説明

画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラム

【課題】使用メモリ量を増加させずに複数のコンテンツをカバーフロー表示できる画像表示装置を提供する。
【解決手段】この画像表示装置は、入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置であって、予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択部と、前記選択された画像データをデコードするデコード部と、前記デコードされた画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してスケーリングするスケーリング部と、前記スケーリング部によりスケーリングされた画像データを記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムに関し、複数のコンテンツをカバーフロー表示するときの処理メモリを増大させない技術に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送におけるデジタル多チャンネル化が進み、例えば100チャンネルといったような非常に多くの数のチャンネルが選択対象となるようになった。このため、多くのチャンネルの中から所望のチャンネルを迅速かつ確実に選択することが必要となってきた。
【0003】
このような多チャンネルに対する番組ガイド方法として次のような方法がある。
【0004】
(1)グリッドベース一覧表示技術:
各チャンネルの画像を縮小して、1つの画面に複数の縮小画面を形成したマルチ画面を見て、このマルチ画面の中から所望の縮小画面を選択することで、所望のチャンネルを選択する。
【0005】
(2)カバーフロー表示技術:
各チャンネルの映像を縮小して一列に並べ、その列の縮小画面が移動するように表示して、あたかもアルバムのページをパラパラめくるように表示する。
例えば、図1(A)のように、表示画面に3つのコンテンツの縮小画面が表示され、注目コンテンツ2が中央の縮小画面であったときに、右(左)方向に注目コンテンツの縮小画面を徐々に移動させて、新たな注目コンテンツ3の縮小画面が図1(E)のように表示させる。表示が図1の(A)から(E)へ変化する間にコンテンツ1の縮小画面は消えるように表示幅がだんだん小さくなり、その代わり新たなコンテンツ4の縮小画面が徐々に現れるように表示される。
【0006】
上記のカバーフロー表示技術の例として、特許文献1の映像表示装置では、複数のチャンネルの番組の映像を合成して1つのチャンネルとした映像ストリームを受信し、この映像ストリームをもとの複数のチャンネル1つ1つの映像ストリームに分割して、それぞれを多角柱の側面に投影し、この多角柱を回転させて、視点から見える映像を表示画面へ投影するようにしている。これにより、見た目にわかり易い映像表示ができるようにしている。
【特許文献1】特開2000−196971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のグリッドベース一覧表示技術は、表示画面を矩形分割する表示方法を用いており、分割数が増えると分割1つあたりのコンテンツの表示サイズが小さくなって見えにくくなるので、所望のコンテンツを選びにくくなるという問題がある。
【0008】
一方、カバーフロー表示技術は、表示画面に1度に表示されるコンテンツの数が限定されるので、コンテンツの表示サイズが小さくなることはなく、所望のコンテンツを選びやすい。
【0009】
しかし、特許文献1のカバーフロー表示技術は、送信側で複数チャンネルの映像を1つのチャンネルの映像に合成して送信し、これを分割して表示に用いるため、必要以上に解像度が低くなるという問題がある。
【0010】
また、受信した複数のチャンネルから表示に必要なチャンネル分の映像を取り出してカバーフロー表示技術を使う場合、例えば、図1のように出力画像上に合成する画面の数だけ画像を読み出す必要があり、外部メモリに蓄積した画像を処理用の内部メモリへ転送するデータ転送量が多くなるという問題が生じる。
この問題を回避するために従来ではバンド幅の大きい(データ転送効率の高い)メモリを使う必要があり、コストが高くなるという問題が生じる。
【0011】
また、図1の例では定常時(3コンテンツ表示)よりもトランジション時(4コンテンツ表示)の方が同時に多くのデータを読み出す場合があり、トランジション時に必要な帯域を基準に外部メモリを選定する必要があった。
【0012】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであって、使用メモリ量を増加させずに複数のコンテンツをカバーフロー表示できる画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成をとる。
画像表示装置は、入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置であって、予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択部と、前記選択された画像データをデコードするデコード部と、前記デコードされた画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してスケーリングするスケーリング部と、前記スケーリング部によりスケーリングされた画像データを記憶する記憶手段とを備え、前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示する。
【0014】
または、画像表示装置は、入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置であって、予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択部と、前記選択された所定数の画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してデコードするデコード部と、前記デコードされた画像データを記憶する記憶手段とを備え、前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示する。
【0015】
上記の画像表示装置において、前記画像データ選択部によって選択される所定数の画像データは、前記予め設定された表示手法に従ったカバーフロー表示において画像全体の表示が可能な所定の数であって、全体が表示される画像および表示範囲が増大する画像の画像データである。
【0016】
前記記憶手段に記憶される画像データの解像度は、カバーフロー表示の態様が前記所定数の画像全体が表示される際の定常状態の解像度に対し、前記所定数+1の画像が表示されトラジション中の解像度を粗くし、また、カバーフロー表示において表示範囲が減少する画像の画像データは画像全体が表示された最後の定常状態における当該画像データによる静止画像のデータが記憶される。
【0017】
また、画像表示方法は、入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置に用いられる画像表示方法であって、画像データ選択部により、予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択ステップと、デコード部により、前記選択された画像データをデコードするデコードステップと、スケーリング部により、前記デコードされた画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してスケーリングするスケーリングステップと、前記スケーリングステップにより、スケーリングされた画像データを記憶手段に記憶する記憶ステップとを備え、前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示する。
【0018】
または、画像表示方法は、入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置で用いられる画像表示方法であって、画像データ選択部により、予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択ステップと、デコード部により、前記選択された所定数の画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してデコードするデコードステップと、前記デコードステップにより、デコードされた画像データを記憶手段に記憶する記憶ステップとを備え、前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示する。
【0019】
また、上記画像表示装置の一部は、コンピュータによって実現されてもよく、この場合には、コンピュータを上記画像表示装置の各部として動作させる画像表示プログラムも、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、トランジション中に定常状態よりも多くの画像を表示する場合であっても、読み込んだ画像の解像度を変更することにより内部のデータ転送量を定常状態と同様かそれ以下のデータ転送量に保つことができるので、使用メモリ量を増加させずに複数のコンテンツをカバーフロー表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る画像表示装置について説明する。
まず、用語について説明する。
【0022】
「定常状態」とは、カバーフロー表示において、注目したコンテンツが中央に表示される図1(A)や(E)のような表示状態をいう。
「トランジション」とは、定常状態から次の定常状態までを何段階かでアニメーションを表示するとき、1つの段階から次の段階へ遷移することをいう。
「トランジション中」とは、定常状態(図1(A))から次の定常状態(図1(E))の間の1つ1つの表示状態(図1(B)〜(D))が維持されている状態のことをいう。
「トランジション開始」とは、定常状態からトランジション中にすることをいう。
「トランジション終了」とは、トランジション中から定常状態にすることをいう。
「トランジションの方向」とは、トランジション中の表示の進行方向のことをいい、例えば、図1では左方向に進行しているという。
【0023】
「エフェクト」とは、各トランジションにおける各画面をどのような形態で表示するかという演出された画面効果のことをいう。例えば、「トランジション中」に消えていく映像や現れてくる映像の幅を変化させたり、表示された映像を見る視点を変化させる方法があり、エフェクトの種類として指定する。
以下では、エフェクトの種類を「トランジション中に消えていく映像や現れてくる映像の幅を変化させるもの」として説明する。
【0024】
例えば、図1のように、4ステップのトランジションで行う場合、各映像の表示部分の幅に対し、各映像の表示幅の1/4ずつ移動するアニメーションを作成する。
1ステップ目では、消えていく映像については、進行方向に対して映像の1/4を削除した残りの3/4の映像を表示し、現れてくる映像については、同様に、進行方向に対して映像の1/4だけを表示する。
2ステップ目では、消えていく映像については、進行方向に対して映像の2/4を削除した残りの2/4の映像を表示し、現れてくる映像については、同様に、進行方向に対して映像の2/4だけを表示する。
3ステップ目では、消えていく映像については、進行方向に対して映像の3/4を削除した残りの1/4の映像を表示し、現れてくる映像については、同様に、進行方向に対して映像の3/4だけを表示する。
4ステップ目には、消えていく映像については表示せず、現れてくる映像については、同様に、映像の全体を表示して、定常状態となる。
【0025】
<実施形態1>
図2は、本実施形態1に係る画像表示装置の機能構成を示すブロック図であり、画像表示装置は、映像入力部11、セレクタ部(画像データ選択部)12、デコード部13、スケーリング部14、画像合成部20、制御部10、出力部30、外部信号入力部40とから構成される。
映像入力部11は、同時に入力される映像ストリームの数(n個)だけ用意され、また、デコード部13、スケーリング部14は、カバーフロー表示の定常状態で同時に表示される映像ストリームの数(m個)だけ用意されるが、同じ機能であるから、1つのみ代表して説明する。
また、1個のデコーダで複数の映像ストリームをデコードするとしてもよい。
【0026】
外部信号入力部40は、例えば、テレビのリモコンなどの入力装置などから受けた信号のうち、カバーフロー表示に関係あるもののみを選別し、制御信号として制御部10に出力する。この制御信号としては、カバーフロー表示の開始信号や終了信号、トランジション開始信号やトランジション終了信号、あるいは、コンテンツを選択して本視聴を開始する指示であるコンテンツ選択信号等がある。
【0027】
制御部10は、当該画像表示装置の全体の処理の流れを制御し、特に、外部信号入力部40から入力された制御信号をスケーリング部14および画像合成部20へ供給する。
また、制御部10は、カバーフロー表示が開始されると、カバーフロー表示に使われる映像ストリームを選択する選択信号をセレクタ部12へ送信する。
【0028】
映像入力部11は、H.264やMpegなどの動画像圧縮技術により構成され、映像ストリームを入力し、セレクタ部12に供給する。
セレクタ部12は、制御部10からの選択信号に応じて、複数ある映像入力部11からカバーフロー表示に必要な所定数の映像ストリームを選択して、各デコード部13に対して供給する。ここでカバーフロー表示に必要な映像ストリームは、全体が表示される映像ストリームと表示範囲が増大する映像ストリームである。
デコード部13は、セレクタ部12で選択された映像ストリームを上記動画像圧縮技術によりデコードした画像を逐次スケーリング部14に供給する。
【0029】
次に、スケーリング部14について説明する。
例えば、図1(A)のように定常状態で3つの映像ストリームが表示されている場合には、トランジション中には図1(B)から(D)のように4つの映像ストリームが表示されることになる。このため、画像合成部20で行われる画像処理のために使用されるメモリ量が増加する。
【0030】
しかし、カバーフロー表示のように、トランジション中に複数の縮小された映像が移動表示されるような場合、視聴者は縮小された映像の内容を詳細に視聴することはない。
したがって、トランジション中には所定のレベルまで解像度を落とした映像を表示したとしても、十分高速に移動させたとき(例えば、60Hzのテレビ画面において30フレームで画面中央から左に移動するなど)には、解像度の差まで認知することができないと思われる。
【0031】
本発明では、この性質を利用して、スケーリング部14で映像ストリームの画像の解像度を減らすことによって、画像合成部20で行われる画像処理のために使用されるメモリ量を少なくする。
【0032】
スケーリング部14は、制御部10からのトランジションの開始信号に基づき、デコード部13から受け取ったデコード済み画像に対し、カバーフローの表示状態が定常状態のときには、定常状態の所定の解像度でスケーリングを行い、カバーフローの表示状態がトランジション中のときにはトランジション中の所定の解像度(例えば、定常状態の解像度の半分)でスケーリングを行って、画像合成部20へ出力する。この解像度変換は、1画面単位(テレビ等の場合、前段からのVSync信号単位が1画面単位と同じとなる)で実行される。
また、選択されたコンテンツを本視聴している場合などで解像度変換が不要な場合には、処理を行わず(スルー出力)に画像合成部20に出力する。
【0033】
次に、画像合成部20は、制御部10からのトランジション開始信号に基づき、スケーリング部14で解像度変換された画像をトランジション中の各ステップの表示状態にあわせた画像に変換し、定常状態の場合には規定の位置に画像を合成して、カバーフロー表示用の画像を生成し、出力部30へ出力する。
また、コンテンツを本視聴している場合などでは、処理を行わず(スルー出力)に出力部30に出力する。
【0034】
出力部30は、受け取った合成画像を画像の色補正を行う装置や、液晶パネル等の駆動部へ出力する。
【0035】
次に、画像合成部20について詳述する。
図3は、画像合成部20の詳細な機能構成図であり、同図において、画像合成部20は、進行度設定部21、メモリ制御部22、合成部23、外部メモリ24、内部メモリ25から構成されている。
【0036】
外部メモリ25は、各映像ストリームをデコードし、スケーリング部14にて解像度変換された画像を蓄積するメモリであり、少なくともカバーフロー表示される所定数の定常状態の画像を格納できるサイズの2倍を確保する。
内部メモリ25は、外部メモリ24に蓄積した画像の一部が転送されて蓄積されるメモリであり、カバーフロー表示用の画像を作成する画像処理に用いる。
【0037】
進行度設定部21は、制御部10からトランジション開始信号を受け取ると、画面の移動を0%(開始状態)に設定し、画面の移動が0%(または100%)のときは、カバーフロー表示の表示状態を定常状態に設定し、それ以外のときにはカバーフロー表示の表示状態をトランジション中に設定し、メモリに記憶させる。
【0038】
トランジション中の進行度は、トランジションのステップ数がどのステップまで進んだかを割合(%)で算出し、メモリに記憶しておく。図1の場合には、ある定常状態から4ステップで次の定常状態となるので、図1(B)の時点では、進行度が1/4=25%、図1(C)の時点では、進行度が2/4=50%、図1(D)の時点では、進行度が3/4=75%、図1(E)の時点では、進行度が4/4=100%となる。進行度が100%となった場合には、定常状態になったので進行度を0%に再設定する。
【0039】
メモリ制御部22は、カバーフロー表示の表示状態が定常状態かトランジション中かに依存し、スケーリング部14と同期して、外部メモリ24の読み出し領域、書き込み領域を変更して動作する。
メモリ制御部22は、スケーリング部14で解像度変換された画像が供給されると、映像ストリームごとに外部メモリ24上に書き込み制御を行い、読み出し可能なタイミングで外部メモリ24から内部メモリ25へデータ転送する。
【0040】
次に、メモリ制御方法について例を使って説明する。
図4は、メモリ制御部22の動作例を示すための外部メモリ24の模式図である。図4(A)は、外部メモリ24の記録領域のうち画像を蓄積する記録領域を示しているものである。
【0041】
(1)カバーフロー表示の表示状態が定常状態のとき:
図1(A)のように、定常状態で3つの映像ストリームを表示させるためには、例えば、図4(B)のように6分割し、領域1、3、5の各領域にスケーリング部14からの3ストリーム分の画像を各々記録する。3ストリームの次のフレームに対しては、領域2、4、6の各領域に記録する。
この分割は、カバーフロー表示の表示状態が定常状態のときに、スケーリング部14で解像度変換によって設定された所定の画像サイズで分割することになる。
【0042】
即ち、図5に示すように、時刻Tに領域1,3,5の領域に記録された画像は時刻(T+1)に読み出し可能であり、その読み出した画像は内部メモリ25に転送されて画像合成に用いる。一方、領域2,4,6には、時刻(T+1)に画像が記録される。
時刻(T+1)に領域2,4,6の領域に記録された画像は時刻(T+2)に読み出し可能であり、その読み出した画像は内部メモリ25に転送されて画像合成に用いる。一方、領域1,3,5には、時刻(T+2)に画像が記録される。以下、同様に領域を交代させて読み込みおよび書き込みが行われる。
このように、同時刻での書き込み領域と読み出し領域を分離することで、外部メモリ24内の同一アドレスへの読み書きを防ぐことができる。
【0043】
メモリ制御部22は、スケーリング部14から供給されて外部メモリ24に書き込みが行われ、読み出し可能になった外部メモリ24の内容を内部メモリ25へデータ転送する。
例えば、図7(A)に示すように、外部メモリ24の領域1,3,5が読み取り可能になったときには、これらの領域の内容が内部メモリ25へ転送される。
【0044】
(2)カバーフロー表示の表示状態がトランジション中のとき:
図1(B)〜(D)のように、トランジション中の4つの映像ストリームを表示させるためには、上記のように外部メモリ24を分割するとメモリ量が不足してしまう。
本実施形態では、図1(A)の画像1のようにトランジションにより見えなくなる映像については静止画(定常状態の最後フレームの画像)を用い、使われていたデコード部13およびスケーリング部14を、新たに表示される映像ストリームに使わせる。
【0045】
上記のようにカバーフロー表示の対象の映像ストリームを選択するように、制御部10は、カバーフロー表示の表示状態が定常状態からトランジション中へ変ることに同期して、見えなくなる映像ストリームの選択の替わりに、新しく表示される映像ストリームを選択するようにセレクタ部12に選択信号を送信する。
【0046】
このようにして得た3つの映像ストリームの画像2乃至4については、静止画像を記憶している領域以外を図4(C)または(D)のように6分割して用いる。
この分割には、カバーフロー表示の表示状態がトランジション中のときに、スケーリング部14で解像度変換によって設定された画像サイズ(定常状態の画像サイズの1/2)で分割することになる。
【0047】
この静止画の領域は、定常状態からトランジション中に変化したときに、消える画像を記憶していた領域がいずれにあったかによって、図4(C)や(D)のような場所に確保され、その静止画領域は書き込み禁止領域となる。
【0048】
例えば、図1(A)の画像1が図4(B)の領域1に記憶されていた場合には、この領域1を静止画領域とし、トランジション中の他の3つのストリームの画像は図4(C)のように6分割され、これらの領域1〜6は、図6に示したように各フレームの読み込み時刻にあわせて読み書きされる。
メモリ制御部22は、読み出し可能になった外部メモリ24の内容を内部メモリ25へデータ転送する。例えば、図7(B)に示すように、外部メモリ24の静止画領域、領域1,3,5が読み取り可能になったときには、これらの領域の内容が内部メモリ25へ転送される。
【0049】
また、図1(A)の画像1が図4(B)の領域4に記憶されていた場合には、この領域4を静止画領域とし、トランジション中の3つのストリームの画像は図4(D)のように6分割され、これらの領域1〜6は、図6に示したように各フレームの読み込み時刻にあわせて読み書きされる。このとき、図4(D)のように静止画領域によって、新たに分割した領域(領域4)が分断されるときには、これに対応する領域(領域3)も同じサイズで分断するものとする。
【0050】
メモリ制御部22は、読み出し可能になった外部メモリ24の内容を内部メモリ25へデータ転送する。例えば、図7(C)に示すように、外部メモリ24の静止画領域、領域2,4(4a,4b),6が読み取り可能になったときには、静止画領域を先頭に、分断された領域4(4a,4b)は連結されて内部メモリ25へ転送される。
【0051】
トランジションが終了し、定常状態に戻った場合、画像の転送が終わった領域から適宜、図4(B)の分割状態に戻して、スケーリング部14から画像を記録していく。
【0052】
合成部23は、トランジションの進行により進行度設定部21の進行度を更新するとともに、定常状態から次の定常状態までのカバーフロー表示の画面を合成して出力部30に出力する。
【0053】
このカバーフロー表示の画面は、転送された定常状態またはトランジション中にある各画像が記憶されている内部メモリ25のアドレスに基づいて、内部メモリ25からピクセル情報を取得し、このピクセル情報に基づいて、トランジションの進行に同期してエフェクト種類に対応した各画像の変形画像を生成して、進行度に対応した規定の位置に各画像をはめ込んだ形の画面を合成して生成する。
【0054】
また、上記の画像合成は、一画面単位で出力してもよいが、この場合には出力画像を蓄積するバッファが必要となる。
【0055】
上記の説明では、図1のように入力映像ストリームが3系統の場合を例にして説明したが、以下、入力映像ストリームがn(n>1)系統の場合について説明する。
図8(A)に示すようにn系統のコンテンツの表示領域を移動させると、(n+1)個の表示領域が必要となる。(n+1)個の表示領域のうち(n−1)個はトランジション前後で同じコンテンツ(入力ソース)を表示する領域(図8中の2からnの領域)であり、1つは動画の更新を止めたことによる静止画を表示する領域(図8の1の領域)である。残りの1個の表示領域(図8の(n+1)の領域)には新たに表示されるコンテンツを前述の動画更新を止めた入力系統を用いて行う。
【0056】
このような場合、外部メモリの分割は上記図4と同様に行えばよい。即ち、定常状態のときには、表示領域がn個あるときには、2×n個に分割した領域を用いる。
トランジション中のときには、静止画領域以外の2×(n−1)の領域を2×n個に分割して用いる。
このようにすることによって、入力映像ストリームが何系統あったとしても、同様に動画像および静止画を用いてカバーフロー表示のトランジションを行うことができる。
【0057】
次に、カバーフロー表示の開始から終了までの制御部10の動作について説明する。
図9は、カバーフロー表示の開始の指示がなされ、終了指示がなされるまでの制御信号を入力したときの処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
外部信号入力部40から制御信号が入力されないときには(ステップS1でNO)、スケーリング部14および画像合成部20に対し、解像度変換なしの指示を送り(ステップS2)、次の制御信号の入力を待つ。
【0059】
制御信号が入力され(ステップS1でYES)、制御信号がカバーフロー表示の開始指示の場合(ステップS3でYES)、カバーフロー表示の表示状態を定常状態に設定してメモリに記憶し、スケーリング部14および画像合成部20に対して、解像度変換ありの指示を送り(ステップS4)、次の制御信号の入力を待つ。
【0060】
制御信号がカバーフロー表示の開始指示でない場合(ステップS3でNO)、カバーフロー表示中でなければ(ステップS5でNO)、次の制御信号の入力を待つ。
一方、カバーフロー表示中であれば(ステップS5でYES)、制御信号がトランジションの開始指示であれば(ステップS6でYES)、ステップS9へ進む。
【0061】
しかし、制御信号がトランジションの開始指示でなく(ステップS6でNO)、カバーフロー表示の終了指示であれば(ステップS7でYES)、カバーフロー表示を終了する。
他方、カバーフロー表示の終了指示でなく(ステップS7でNO)、制御信号がコンテンツ選択信号でもないときには(ステップS8でNO)、次の制御信号の入力を待つ。
しかし、制御信号がコンテンツ選択信号ときには(ステップS8でYES)、カバーフロー表示を終了する。
【0062】
次に、カバーフロー表示の表示状態が定常状態ならば(ステップS9でYES)、表示状態をトランジション中としてメモリを更新し(ステップS10)、ステップS11へ進む。
一方、カバーフロー表示の表示状態がトランジション中ならば(ステップS9でNO)、取得した制御信号を無視してステップS11へ進む。
【0063】
カバーフロー表示の進行度を画像合成部20から取得し(ステップS11)、進行度が100%未満のとき(ステップS12でYES)、表示状態をトランジション中に保ち、次の制御信号の入力を待つ。
一方、取得した進行度が100%になったとき(ステップS12でNO)、カバーフロー表示の表示状態を定常状態にしてメモリを更新し(ステップS13)、次の制御信号の入力を待つ。
【0064】
<実施形態2>
実施形態1は、スケーリング部によって解像度を変換していたが、このメリットとしては任意の解像度にスケーリングできる点にある。
本実施形態2は、スケーリング部を使用せず、所定の解像度に切り替える機能を有するデコーダを用いるものである。
【0065】
図10は、実施形態2に係る画像表示装置の機能構成を示すブロック図であり、画像表示装置は、映像入力部11、セレクタ部(画像データ選択部)12、デコード部13、画像合成部20、制御部10、出力部30、外部信号入力部40とから構成される。図10中、図2と同一の符号を付した部分は同一の機能を表わしている。
【0066】
本実施形態2のデコード部13は、映像入力部11から入力され、セレクタ部12で選択された映像ストリームをデコードした後、制御部10から送られたトランジション開始信号を受信して、解像度変換を行い、解像度変更後の画像を画像合成部20へ出力する。
このデコード部13における解像度変換は、所定の倍率にのみ変換可能である点が実施形態1の場合と異なる。
【0067】
また、上述の実施形態1,2は、最初に指定したときの表示方向でカバーフロー表示するものとして説明した。
しかし、このカバーフロー表示の表示方向を途中から逆転するように外部信号入力部40から指定するようにしても構わない。
【0068】
この場合には、カバーフロー表示か行われている間に、新たなトランジション開始信号が指定されると、既に設定されている方向と逆向きか否かを判定して、逆向きの場合には画像合成部20の進行度を、例えば、現在の進行度がx%のとき、(100−x)%に再設定し、トランジションによる表示画像を逆の方向になるようにする。
【0069】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
例えば、エフェクトをトランジションのステップ数に応じた画像の幅だけ隠すようにして表示するのではなく、トランジション中の映像は奥行きをずらし、定常状態の映像はずらさないように表示するものとしてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態ではコンテンツを動画像として説明したが、JPEGやGIF、Bitmapなどの静止画像としても同様に効果がある。即ち、デコード部が各フォーマットに対応さえしていれば、カバーフロー表示が表示可能となる。
【0071】
また、上記画像表示装置の一部は、コンピュータによって実現されてもよく、この場合には、コンピュータを上記画像表示装置の制御部、セレクタ部、スケーリング部および画像合成部(合成部、進行度設定部、メモリ制御部)として動作させる画像表示プログラムも本発明の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】カバーフロー表示におけるトランジションの状態を説明する図である。
【図2】実施形態1に係る画像表示装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】画像合成部の詳細な機能構成図である。
【図4】メモリ制御部の動作例を示すための外部メモリの模式図である。
【図5】定常状態のときの外部メモリの読み書き状態を時刻単位に示した図である。
【図6】トランジション中のときの外部メモリの読み書き状態を時刻単位に示した図である。
【図7】外部メモリと内部メモリとの関連を説明する図である。
【図8】n系統の映像入力を用いたカバーフロー表示を説明する図である。
【図9】カバーフロー表示の開始の指示がなされ、終了指示がなされるまでの制御信号を入力したときの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2に係る画像表示装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
10…制御部、11…映像入力部、12…セレクタ部(画像データ選択部)、13…デコード部、14…スケーリング部、20…画像合成部、21…進行度設定部、22…メモリ制御部、23…合成部、24…外部メモリ、25…内部メモリ、30…出力部、40…外部信号入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置であって、
予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択部と、
前記選択された画像データをデコードするデコード部と、
前記デコードされた画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してスケーリングするスケーリング部と、
前記スケーリング部によりスケーリングされた画像データを記憶する記憶手段とを備え、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置であって、
予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択部と、
前記選択された所定数の画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してデコードするデコード部と、
前記デコードされた画像データを記憶する記憶手段とを備え、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、前記画像データ選択部によって選択される所定数の画像データは、前記予め設定された表示手法に従ったカバーフロー表示において画像全体の表示が可能な所定の数であって、全体が表示される画像および表示範囲が増大する画像の画像データであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像表示装置において、前記記憶手段に記憶される画像データの解像度は、カバーフロー表示の態様が前記所定数の画像全体が表示される際の定常状態の解像度に対し、前記所定数+1の画像が表示されトラジション中の解像度を粗くすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像表示装置において、前記記憶手段に記憶される画像データのうち、カバーフロー表示において表示範囲が減少する画像の画像データは画像全体が表示された最後の定常状態における当該画像データによる静止画像のデータが記憶されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置に用いられる画像表示方法であって、
画像データ選択部により、予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択ステップと、
デコード部により、前記選択された画像データをデコードするデコードステップと、
スケーリング部により、前記デコードされた画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してスケーリングするスケーリングステップと、
前記スケーリングステップにより、スケーリングされた画像データを記憶手段に記憶する記憶ステップとを備え、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示することを特徴とする画像表示方法。
【請求項7】
入力される複数の画像データの画像を所定数順次カバーフロー表示する画像表示装置で用いられる画像表示方法であって、
画像データ選択部により、予め設定されたカバーフロー表示手法に従って、画像表示装置におけるカバーフロー表示の進行と同期して更新し、前記入力される複数の画像データから所定数の画像データを選択する画像データ選択ステップと、
デコード部により、前記選択された所定数の画像データの解像度を前記カバーフロー表示の態様と同期して解像度を変更してデコードするデコードステップと、
前記デコードステップにより、デコードされた画像データを記憶手段に記憶する記憶ステップとを備え、
前記記憶手段に記憶された画像データに基づいてカバーフロー表示画像を合成して表示することを特徴とする画像表示方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像表示装置の各部として機能させるための画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−97382(P2010−97382A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267261(P2008−267261)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】