説明

画像表示装置およびその表示方法

【課題】従来の省電力対策では、省電力制御を行う事で元々の画像の表示色と違った色に変化してしまう、電池残量が少なくなれば画面が暗くなるためユーザの視認性が十分でない。
【解決手段】画像データの各画素の輝度値、および、該各画素の輝度値の合計である合計輝度値を演算する演算部(164A)と、演算部で演算した合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて最も低い輝度値を持つ画素から、最低輝度値の画素に変換する変換部(164B)と、変換部で変換された画素を含む画像データを表示する、自発光素子から構成される画素を複数配列してなる表示部(140)とを有することを特徴とする画像表示装置(100)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光素子は、表示させる表示色によって消費電力が変化するという特徴をもっているため、消費電力の少ない色(黒、緑)を携帯端末の待ち受け等で積極的に利用するという試みがなされている。また、自発光素子は一般に液晶よりも電力を多く消費するため、携帯端末などの小さい電力しか持たない電池を使う機器では、変化の少ない表示領域は点灯表示させないなどの省電力方法が用いられている。自発光型表示装置の省電力対策として、電池残量に応じて画面表示領域の明るさを制御する(特許文献1を参照されたい。)、電池残量に応じてRGBの色の色素を間引いていく(特許文献2を参照)、背景色をライン状、市松模様状に間引き表示(点灯させない)するように制御を行う(特許文献3を参照)ような消費電力の少ない色に変更するという手法が主である。
【特許文献1】特開2004-12600号公報
【特許文献2】特開2004-198809号公報
【特許文献3】特開2004-12655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来手法による省電力対策では、省電力制御を行う事で元々の画像の表示色と違った色に変化してしまう、また電池残量が少なくなれば画面が暗くなるためユーザの視認性が十分満足できないという課題がある。また、動画再生のようにユーザが連続視聴をする場合に、急激に画像が変化してしまいユーザにとってかなり違和感を感じるなどの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による画像表示装置は、
(それぞれが輝度値を持つ各画素で構成される画像データを格納する格納部と)
(前記格納部から読み出した)画像データの各画素の輝度値、および、該各画素の輝度値の合計である合計輝度値を演算する演算部と、
前記演算部で演算した合計輝度値が、所定の輝度値(ユーザの視認性を損なわない程度、即ち、原画像の再現性に影響を与えない程度であって十分に省電力を達成できる数値、例えば80%以下など)になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて最も低い輝度値を持つ画素から、最低輝度値(典型的には、黒点、即ち非発光/非点灯となる)の画素に変換する変換部と、
前記変換部で変換された画素を含む画像データを表示する、自発光素子から構成される画素を複数配列してなる表示部と、
を有することを特徴とする。
【0005】
また、第2の発明による画像表示装置は、
(それぞれが輝度値を持つ各画素で構成される画像データを格納する格納部と、)
(前記格納部から読み出した)画像データの各画素の輝度値、および、該各画素の輝度値の合計である合計輝度値を演算する演算部と、
前記演算部で演算した合計輝度値が、所定の輝度値(ユーザが視認性を損なわない程度であって十分に省電力を達成できる数値、例えば80%以下など)になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて画素の輝度値が低いほど高い頻度で、最低輝度値(典型的には、黒点、即ち、非発光/非点灯となる)の画素に変換する変換部と、
前記変換部で変換された画素を含む画像データを表示する、自発光素子から構成される画素を複数配列してなる表示部と、
を有する。
【0006】
また、第3の発明による画像表示装置は、
前記演算部で輝度値を演算される画像データが、動画像を構成するフレームのうちの基準フレーム(例えば、MPEGにおけるIフレームなど)である、ことを特徴とする。
【0007】
また、第4の発明による画像表示装置は、
前記変換部が、前記基準フレームで最低輝度値に変換された各画素を、次の基準フレームに至るまで、当該最低輝度値に維持する(即ち、基準フレーム間にある各フレーム(MPEGの場合には基準のIフレーム間にあるB、Pフレーム)の対応する各画素を最低輝度値に変換する)、ことを特徴とする。
【0008】
また、第5の発明による画像表示装置は、
前記最低輝度値の画素が非点灯(非発光)の画素である、ことを特徴とする。
【0009】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、本発明を方法として実現させた第6の発明による画像表示装置の表示方法は、自発光素子から構成される画素を多数配列してなる表示部を持つ画像表示装置の表示方法であって、
(それぞれが輝度値を持つ各画素で構成される画像データを格納部に格納し、)
(前記格納部から読み出した画像データの各画素の輝度値、および、該各画素の輝度値の合計である合計輝度値を演算部を用いて演算し、)
(前記演算した)前記表示部に表示されるべき画像データの各画素の輝度値の合計である合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値を除いて最も低い輝度値を持つ画素から、最低輝度値の画素に変換し、前記変換された画素を含む画像データを前記表示部に表示する、ことを特徴とする。
【0010】
また、第7の発明による画像表示装置の表示方法は、
自発光素子から構成される画素を多数配列してなる表示部を持つ画像表示装置の表示方法であって、
前記表示部に表示されるべき画像データの各画素の輝度値の合計である合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて画素の輝度値が低いほど高い頻度で最低輝度値の画素に変換し、前記変換された画素を含む画像データを前記表示部に表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、消費電力が最も少ない黒色を画素単位でフレームに挿入することで、ユーザの視認性を満足させながら省電力を達成することが可能となる。即ち、本発明では、OLEDなどの自発光素子を載せた移動体端末で動画再生を行う場合に、本来の画像表現を保ちつつ、ユーザの視認性を満足させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。自発光素子を使った画像表示装置の典型例として移動体端末(携帯端末装置)に本発明を適用して説明する。図1は、本発明を適用した移動体端末の画像表示機能ブロックを示すブロック図である。図に示すように、本発明を適用した移動体端末100は、記憶部120、キャッシュ(ワークメモリ)130、表示部140、操作部150、および制御部160を備える。記憶部120は、省電力変換前の画像データ122、省電力画像変換アルゴリズム(プログラムモジュール)124、色と消費電力の相関関係情報126を記憶しておく部分である。キャッシュ130は、記憶部から読み出した画像データおよび様々な処理中のデータ、特に、変換後の画素を含む変換後画像データ132を一時的に記憶しておく。表示部140は、自発光素子で構成された表示部であり、制御部160によって制御された映像を表示させる部分である。操作部150は、ユーザからの入力を受け入れるブロックである。制御部160は記憶部120に保存されている設定に従いデータを処理し、各部の制御を行うブロックであり、再生処理部162および省電力画像変換部164を備える。再生処理部162は、記憶部120に記憶されている画像データのデコードと再生処理を行う部分、省電力画像変換部164は、再生処理部162でデコードされた画像データを省電力画像変換アルゴリズム124を使って変換処理を行うブロックである。省電力画像変換部164は、画像データの各画素の輝度値、および、該各画素の輝度値の合計である合計輝度値を演算したり、他の関連演算なども行う演算部164Aと、演算部で演算した合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて最も低い輝度値を持つ画素から、最低輝度値の画素に変換したり、相関関係色に変換する変換部164Bとを備える。上記構成によって、画質の変化をユーザにほとんど意識させることなく移動体端末の省電力を達成して、連続作動時間の向上を図ることが可能となる。
【0013】
また、図13は従来の自発光型表示部を持つ移動体端末のブロック図である。図1と従来の図13を比較すると、図1の記憶部120には、省電力変換アルゴリズム124、色と消費電力の相関関係情報126が追加され、省電力画像変換部164が制御部160に追加されており、これらが本発明の主要な部分をなす。
【0014】
また、本発明の消費電力を適宜消費エネルギーまたはエネルギーと記載して説明することがある。図2は、有機発光ダイオード(OLED)における色と消費電力の相関関係図である。横軸はRGB符号、縦軸は消費電力値を表している。色と消費電力の相関関係図とは、色毎の消費電力値を対応させたものである。色と消費電力の相関関係図(いわゆるRGB888形式であり、RGBの各色を8ビット:256色で表現する形式である。)は、4つに大別されており、
1)黒と白のモノクロでの消費電力関係(0x000000〜0x******〜0xffffff)
2)赤の濃淡消費電力関係(RGB:0x000000〜0x**0000〜0xff0000〜0xff****〜0xffffff)
3)緑の濃淡消費電力関係(RGB:0x000000〜0x00**00〜0x00ff00〜0x**ff**〜0xffffff)
4)青の濃淡消費電力関係(RGB:0x000000〜0x0000**〜0x0000ff〜0x****ff〜0xffffff)
上記4つによって全ての色と消費電力の相関関係が表現できる。白(0xffffff)ほど消費電力が高く、黒(0x000000)ほど消費電力が低いという非線形の関係がある。この関係を記憶部に保存しておく事で、1画素に対する消費電力値を算出する事ができる。白にかかる消費エネルギーを100とした場合には、黒の消費電力は17程度である。これは、黒の画素が実際には発光用の電力を消費するわけではないが、この場合であっても素子駆動上の待機電力などが消費されるからである。ここで、点灯させない事と同意であるとして便宜上、黒の消費エネルギーを0と定義する。実際記憶部には、白を100、黒0とした場合の各色の比率が値として記憶されている。
【0015】
図3は、本発明による画像変換アルゴリズムによって白の画像を80%の消費電力の画像に変換した場合の模式図である。図3(a)に示した320×240画素の白(0xffffff)フレームから消費エネルギーを算出し、黒点を挿入して消費電力を80%に抑えた図3(b)に変換するためには、最低輝度値の画素である黒点をいくつ挿入すればよいかを図の右側に計算例として図示してある。色と消費電力の相関関係図を元にフレームの消費エネルギーを計算し、挿入する黒点の数を決定する事ができる。
【0016】
図4は、自然画像を表示した際の消費エネルギーを算出し、黒点挿入をした例である。ここでは、MPEG形式の画像パケットが送られてきた事を想定している。フレーム走査によって黒点以外の平均消費エネルギーEaを計算し、黒点挿入数xを算出している。消費電力を100%(通常状態)から80%に変換した後の画像(省電力状態)を見ると、黒点挿入方法に特徴がある事がわかる。黒点挿入時に以下のルールに従い、画素を入れ替える。
i)黒に近い画素ほど黒点挿入の頻度を上げる、逆に白に近い色ほど黒点挿入の頻度を下げる。
ii)元々の画素が黒画素の場合は入れ替えない。
iii)MPEG形式の場合はIフレームのみ黒点挿入の位置を変化させる。それ以外のフレーム(P、B)はIフレームと同じ位置に黒挿入を行う。すなわち、15フレームに1回の割合で、フレームを解析し黒点挿入の位置を変化させる作業を行う。
ルールi)によれば、黒に近い画素ほど黒点に変換される確率が高くなり、白に近い画素ほど黒点に変換される確率が低くなるため、ユーザに画質の変化を認識させにくい効果がある。図4(b)では、図の左上に位置する空は明るく黒から遠いため黒点挿入が少なく、左やや下に位置する山はやや黒に近いため黒点挿入がやや多く、一番下にの地面部分は黒に最も近いグレー色であるため、この図では黒点挿入が最も多くなっている。また、ルールiii)によって黒点の挿入位置が一定間隔で変化するため、ユーザが動画視聴時に黒点が挿入されている事を意識せずに見る事ができるといった効果がある。
【0017】
図5は、本発明による移動体端末の画像変換アルゴリズムの処理フローを示すフローチャートである。ここで、図5のフローチャートにおいて、Iフレームのときのみにフレーム消費エネルギー算出処理サブルーチン(図6)と、黒点挿入位置決定処理サブルーチン(図7)の処理が行われる。フレーム消費エネルギー算出処理時に各画素のエネルギー値情報テーブルを図8のように記憶部に保存しておき、黒画素以外の画素をこのテーブルのように黒点挿入候補リストのように記憶部で記憶しておく。黒点挿入位置決定処理では、黒点挿入候補リストの中から黒点に変換する画素の選択決定を行う。ここで、黒点挿入位置の選択方法は消費エネルギーの低い画素を選択する確率を上げ、消費エネルギーの高い画素を選択する確率を下げるように重み付けを行うような選択方法を適用する。黒点挿入位置リストは記憶部に保存しておき、Iフレーム以外のフレーム(B、Pフレーム)において、同様の黒点挿入位置リストを適用し、黒点を挿入する。以下、各フローチャートを詳細に説明する。
【0018】
図5に示すように、フレームデータを読み込んだ後、本発明による画像変換アルゴリズムを使った省電力再生が開始される。ステップS10ではメモリから省電力設定値N%を読み出す。そして、ステップS11からS21まで所定の終了条件に到るまでループ1として繰り返す。ループ1に含まれるステップS12では、キー入力を判定し、終了キーの場合はループ1を終了し、キー入力が無い場合はステップS13に進み、画像変換対象となる画像フレームを読み取る。次にIフレームか否かを判定し(S16)、Iフレームでない場合は、前回のIフレームの処理において作成済みの黒点挿入位置リストをメモリから読み出して当該フレームに黒点を挿入する(S19)。Iフレームの場合は、ステップS17およびS18に進みフレーム消費エネルギー算出処理サブルーチン(図6)と黒点挿入位置決定処理サブルーチン(図7)に制御を渡す(これらのサブルーチン処理は後で詳細に説明する)。サブルーチンの処理を終えた後は、ステップS20に進み表示を行い、終了条件に達するまでループ1の処理を繰り返す(S21)。
【0019】
図6は、Iフレームのときのみ実施されるフレーム消費エネルギー算出処理サブルーチンのフローチャートである。図に示すように、ステップS30では、メモリから画像サイズ(画素数)を読み出し、変数の初期化を行う(S31)。ステップS32からステップS39までは繰り返し処理のループ2であり、変数iが画面サイズに達する終了条件になるまで処理を繰り返す。ループ2に含まれる処理ステップS33では、色と消費電力相関リストから画素G[i]のエネルギーEm[i]を算出する。次に、対象画素が黒点か否かを算出したEm[i]=0か否かで判定する(S34)。Em[i]=0の場合(対象画素が黒点)は、ステップS36に進み元画像の黒点数としてカウントする。黒点でない場合は、対象画素の番号iを黒点挿入候補リストに格納し(S35)、そのエネルギー値もメモリに格納する(S37)。最後にエネルギー値を総エネルギー値として集計し(S38)、終了条件に達するまでループ2の処理を繰り返す(S39、図8(a)参照)。
【0020】
ループ2の処理が終了した後はステップ40に進み、省電力N%のエネルギー値Esおよびフレームの平均エネルギー値Eaを計算する。そして、ステップ41では、以下の計算を行って処理を終える。
元画像の黒点数X0+黒点挿入の画素数X+黒点以外の画素数Y=総画素数(H×V)
Ea×Y=Es
【0021】
図7は、黒点挿入位置決定処理サブルーチンのフローチャートである。図に示すように、ステップS50では、黒点挿入数X=0として初期化を行い、ステップS50からステップS54までは繰り返し処理のループ3であり、終了条件になるまで処理を繰り返す。ループ3に含まれる処理ステップS51では、黒点挿入候補リスト(図8(b)参照)よりエネルギー値Emが大きいほど重み付け(当選頻度)を小さくしてルーレット選択を行う。選択結果をjとし、黒点をG[j]に挿入し、黒点挿入位置リストにこれを追加する(S52)。黒点挿入候補リストから処理済みの画素番号jを削除し、必要な変数の後処理(デクリメント)を行う(S53)。そして、終了条件に達するまでループ3の処理を繰り返す(S54)。
【0022】
図9は、ユーザが省電力化90%に設定し、端末によって動画再生をおこなっている様子を表す模式図である。図中の黒い点が、挿入された黒点を表すものであるが、これは模式図であり、黒点の大きさや挿入位置、挿入個数などは実際のものとは異なり、省電力設定値にもよるが、ユーザが動画再生中に黒点の挿入を認識することはほとんどできない。本発明による画像変換アルゴリズムにしたがってIフレーム毎に黒点挿入の位置が変化して動画再生が行われていく。図中の楕円は、黒点挿入位置がIフレーム単位で変化したことを模式的に示したものである。これにより、ユーザは動画再生している間、厳密には黒点挿入によって幾らか画質が変化しているにもかかわらず、この変化を認識する事なく省電力90%を達成することが可能になる。
【0023】
以上のように、最低輝度値を持つ画素として黒点を挿入する事で省電力を実現できるが、一方で省電力化の度合いが大きくなりすぎると、黒点挿入数の増加につながり、画面が見にくくなる可能性がある。そこで、本発明では、色と消費電力の相関関係図を利用して消費電力の少ない同系列色に変換する事で黒点挿入数を減少する事ができる。ここでは、消費電力の少ない色に変換する事を相関関係色変換と呼ぶ。
【0024】
図10は、320×240画素の白(0xffffff)画像を省電力80%にする場合に、図2の相関関係図を利用し、全体の色を消費電力90%の色に変換してから黒点を挿入した計算例である。図2(a)の白(0xffffff)についての相関関係図を適用し消費電力90%の色に変換する(輝度を下げる事と同意)。図10(b)が変換後の画像であり、ハッチングは消費電力90%の相関関係色に変換されたことを模式的に示すものである(他の図でも同様である)。図4と図10とを比較すると、全画素を消費電力90%の画素に変換行う事で黒点挿入数が15360画素から8533画素に減らす事が可能となる。また、相関関係図による変換によって全く異なる色になる事がないので、ユーザは自然画像に近い形で画像を視聴する事ができる。なお、図10(b)の相関関係色変換のハッチングは作図および説明の便宜上入れたものであり、省電力設定値にもよるが特に動画再生中にユーザがこれを認識することはほとんどできない。
【0025】
図11は、相関関係色変換によって全画素を省電力L%の画素に変換するときのフローチャートである。図11の処理と図5のそれと比べるとフレーム消費エネルギー算出フローに変化がある。それ以外のステップS60−66、S70−74は図5の対応ステップと同様である。対象画素番号iを黒点挿入候補リストに保存した後(S66)、ステップS67では、相関関係色変換ありか否かを判定し、条件を満たす場合は、目標とする画像省電力変換率Lでエネルギー値を乗算し、それをエネルギー値とし(S68)、相関関係色リストから違和感を感じない相関関係がある色に対象画素を置き換える(S69)。これらの処理によって、黒点挿入数を減少させることができる。
【0026】
図12は、画像変換をおこなった画像を示す図である。図12(a)が原画像であり、図12(b)は黒点挿入のみの変換後画像であり、図12(c)は、相関関係の色変換を行い、さらに黒点を挿入した変換後画像である(色変換のおかげで12bより黒点挿入数は減少している)。黒点の挿入数を減らして輝度を下げる(相関関係色変換を行う)のかまたは、輝度を下げずに黒点挿入するのかは、ユーザポリシーによる。
【0027】
本発明では、OLEDなどの自発光素子を載せた移動体端末で動画再生を行う場合に、本来の画像表現を保ちつつ、ユーザの視認性が満足できる省電力画像変換アルゴリズムを利用するが。これによって以下のような効果が生まれる。省電力画像変換では、消費電力のもっとも少ない黒色を、画素単位でフレームに挿入する事により省電力化を図る。また、ユーザが動画を見る場合に視認性を満足するように、黒色を挿入する位置はMPEG形式であればIフレーム毎といったように、ある一定のフレーム間隔で変化させていく。その結果、ユーザは黒点があると認識しにくくなり、変換前の画像情報を保ちつつ省電力を実現できる。また、省電力画像変換アルゴリズムでは、色と電力の相関関係データを記憶部内にもっており、1つのフレームを再生する場合の消費電力エネルギーを算出する。色と電力の相関関係データはモノクロ、R、G、Bの4つの相関関係データがある。黒色の挿入数を減らしたい場合は、消費エネルギーの多い色を消費電力の低い色に相関関係データを元に変換する事ができる。その結果、従来画像がまったく違った色に変化するのではなく、従来画像の色に近い形で省電力化を実現する事ができる。従来の手法のように電池残量に応じて急激に画像が変化するわけではなく、ユーザが意識せずに省電力化が実現できるため、動画のように連続再生する場合に特に有効である。
【0028】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した移動体端末の画像表示機能ブロックを示すブロック図である。
【図2】有機発光ダイオード(OLED)における色と消費電力の相関関係図である。
【図3】本発明による画像変換アルゴリズムによって白の画像を80%の消費電力の画像に変換した場合の模式図である。
【図4】自然画像の消費エネルギーを算出し、黒点挿入をした例を示す図である。
【図5】本発明による移動体端末の画像変換アルゴリズムの処理フローを示すフローチャートである。
【図6】Iフレームのときのみ実施されるフレーム消費エネルギー算出処理サブルーチンのフローチャートである。
【図7】黒点挿入位置決定処理サブルーチンのフローチャートである。
【図8】エネルギー値情報テーブルを示す図である。
【図9】ユーザが省電力化90%に設定し、端末によって動画再生をおこなっている様子を表す模式図である。
【図10】相関関係図を利用して全体の色を消費電力90%の色に変換してから黒点を挿入した計算例を示す図である。
【図11】相関関係色変換によって全画素を省電力L%の画素に変換するときのフローチャートである。
【図12】画像変換をおこなった画像を示す図である。図12(a)が原画像である。
【図13】従来の自発光型表示部を持つ移動体端末のブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
100 移動体端末
120 記憶部
122 画像データ
124 省電力画像変換アルゴリズム
126 相関関係情報
130 キャッシュ
132 変換後画像データ
140 表示部
150 操作部
160 制御部
162 再生処理部
164 省電力画像変換部
164A 演算部
164B 変換部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの各画素の輝度値、および、該各画素の輝度値の合計である合計輝度値を演算する演算部と、
前記演算部で演算した合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて最も低い輝度値を持つ画素から、最低輝度値の画素に変換する変換部と、
前記変換部で変換された画素を含む画像データを表示する、自発光素子から構成される画素を複数配列してなる表示部と、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
画像データの各画素の輝度値、および、該各画素の輝度値の合計である合計輝度値を演算する演算部と、
前記演算部で演算した合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて画素の輝度値が低いほど高い頻度で、最低輝度値の画素に変換する変換部と、
前記変換部で変換された画素を含む画像データを表示する、自発光素子から構成される画素を複数配列してなる表示部と、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記演算部で輝度値を演算される画像データが、動画像を構成するフレームのうちの基準フレームである、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像表示装置において、
前記変換部が、前記基準フレームで最低輝度値に変換された各画素を、次の基準フレームに至るまで、当該最低輝度値に維持する、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置において、
前記最低輝度値の画素が、非点灯の画素である、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
自発光素子から構成される画素を多数配列してなる表示部を持つ画像表示装置の表示方法であって、
前記表示部に表示されるべき画像データの各画素の輝度値の合計である合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値を除いて最も低い輝度値を持つ画素から、最低輝度値の画素に変換し、前記変換された画素を含む画像データを前記表示部に表示する、ことを特徴とする画像表示装置の表示方法。
【請求項7】
自発光素子から構成される画素を多数配列してなる表示部を持つ画像表示装置の表示方法であって、
前記表示部に表示されるべき画像データの各画素の輝度値の合計である合計輝度値が、所定の輝度値になるまで、前記画像データを構成する各画素のうち、最低輝度値の画素を除いて画素の輝度値が低いほど高い頻度で最低輝度値の画素に変換し、前記変換された画素を含む画像データを前記表示部に表示する、ことを特徴とする画像表示装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−232751(P2007−232751A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50545(P2006−50545)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】