説明

画像表示装置及びシミュレーション装置

【課題】視覚・聴覚以外の感覚に臨場感・没入感を与えることで、VE酔い等にも配慮した画像表示装置。
【解決手段】異なる映像を左右の目に表示し立体映像をを作り使用者の顔面に接触し、かつ、使用者の顔面の動きに応じて移動可能な様に、制御用や電力供給用の配線若しくはこれらの情報を空中電送する手段を有し2次元型画像形成装置から放出された光を、それぞれ右目用、及び左目用の光拡散体にリレーする右目用、及び左目用のリレー光学系と、右目用及び左目用の光拡散体からの拡散光をそれぞれ右目及び左目の眼球内の網膜上に投影し結像させ使用者により認識された立体映像が不自然に見えないように前記接眼光学系を調整させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼球に近接させて使用する画像表示装置、及びそれを使用したシミュレーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在ゲームセンター等で一般的に使用されている画像形成装置を使用した遊戯装置は、図26Aに示すようなものである。支持台101の上に足乗せ部102、椅子103を配置し、表示架台104上に表示パネル106、ハンドル107、ディスプレイ105が搭載してある。
【0003】
使用者は椅子に座り、ディスプレイ105及び表示パネル106を見ながら手元のハンドル107等を操作することによりディスプレイ105上に表示された仮想的物体を操作して楽しんだりする。
【0004】
一方、航空機や車両の運転の訓練のため等に使用されるシミュレーション装置もほぼ同様の構成であるが、ハンドル107の部分がよりリアルに構成されていると共に、支持台101が、ディスプレイ105上に表示される画像に合わせて、臨場感を出すための振動や動きを、使用者に対して実際に加えることができるようになっているものが多い。
【0005】
これら遊戯装置やシミュレーション装置(なお、このような遊技装置もシミュレーション装置であるので、本明細書及び請求の範囲では、画像表示装置に表示させる画面により仮想的な空間を形成するようなものを、全てシミュレーション装置として表現することがある。特に、権利範囲に係るものについては、このような意味で用いる。)においては、更なる臨場感・没入感を与えることができるようにする欲求は常に存在している。それを最も実現し易い方法は、目で見える画像の大きさを大きくすることで臨場感・没入感を増そうという試みであり、これに応えるものとして、技術開発に伴いディスプレイ105のサイズは年々大きくなり、より高精細な画像を与えることができるようになっている。
【0006】
目で見える画像の大きさを大きくすることで臨場感・没入感を増すための装置として、最も有力な候補として考えられたのが、図26Bに示すようなヘッドマウントディスプレイ又は眼鏡型ディスプレイであった。これは目の前に液晶デバイス等の表示素子からなるディスプレイ105を設置し、それを拡大光学系で大きく写し、約2m離れた位置に画面IFが形成されているように見せる装置である。なお、図26Bにおいて、図26Aと同じ符号を付したものは図26Aにおけるものと同じものを示す(これは以下の図26C、図26Dでも同じである)。このような装置については、平成5年頃から平成13年頃までは色々な特許が多く出願されている。しかしながら、実際には、数社が製品化しているが、遊戯装置やシミュレータ装置としてはあまり採用されていない。
【0007】
その理由を、図26Bを参照して説明する。元々、ヘッドマウントディスプレイ又は眼鏡型ディスプレイは、頭又は顔に支持されることを前提として製造されており、重さは80g〜500g以下となるように設計されている。これは、これ以上の重さでは使用者が装着する際に大きな負荷を感じ、臨場感・没入感を損なう上に、短時間しか装着していられないという理由による。
【0008】
しかし、重さが80〜500gに制限されると、拡大レンズ系や液晶デバイスも大きなものを使用することができず、一般的に市販されているものでは「2m先設けられた52インチの巨大画面相当」という、視野角度で±18°程度のものが中心となってしまう。その上解像度も低いので、図26Aに示したディスプレイ105を用いた装置の方が、視野角が大きく、解像度も高い画面となってしまい、結局、図26Bに示すようなヘッドマウントディスプレイ又は眼鏡型ディスプレイを使用するメリットが得られない。
【0009】
そこで最近良く検討されているのが、図26Cに示すようなドーム型のスクリーン部に画像を表示する方法である。図26Cのドーム型のスクリーン109はスクリーン支持部110、回動機構111により使用者が内部に出入りできる構造となっており、支持台107に設置されたプロジェクター108より、魚眼レンズ等を用いて使用者の周りを囲むスクリーン109に画像を表示する。しかし、この場合、使用者は近い位置に設けられたスクリーン109に目の焦点を合わす必要があり、広い視野角で画像を見られるものの、やはり臨場感や没入感を損なうという欠点があった。
【0010】
このような背景のもとで、最近大きく取り上げられているのが、映画館のような広いスペースに視野一杯にドーム型スクリーンを設けたもの(一般に「I−MAX」と呼称され、大規模遊技場に設置された映画館で使用されている)や、図26Dに示すような数メートルのボックス型の部屋の中の、人間が見える5面の部分を全てスクリーン部112とし、数台のプロジェクター109を用いて連続した一つの画像となるようにスクリーン部112上に表示できる制御機構を導入したシミュレーション室である。このシミュレーション室は、画面の影とならない位置に使用者を配置し、操作ジョイスティック113を用いて、スクリーン部112上の仮想画面の中を使用者が移動するようなミュレーションを行うもので、研究機関に多く用いられている。
【0011】
しかしながら、I−MAXは、臨場感・没入感を味わうという点で大きな効果があるが、大きなスペースと高価な設備費用が必要となる。更に、使用者が顔を左右方向に向けると、画面が存在していないので、観客席が見えてしまい、映画館にいるという現実からは逃れられない。また、設備が大きいので、複数の使用者が画像鑑賞をする遊戯装置としては適しているが、個人で操作する方式の遊戯装置としては不向きである。
【0012】
一方、図26Dに示すような装置においては、同様に大きなスペースと高価な設備費用が必要となるだけでなく、先に述べたように、数メートル先の画像に目の焦点を合わせる必要があるという点で臨場感・没入感が損なわれる上に、以下に示すような問題点がある。
【0013】
すなわち、人間の目は「ボーとした状態」では無限遠像を見るようにフォーカスされており、その状態では物体の移動を無視することができるので、リラックスし易い。しかし、図26Dに示すような装置では、数メートル先の画像に目の焦点を合わせた場合、そこの所定の物体に焦点を合わせるように、脳が動作しており、その物体の動きを自然に目が追ってしまうことになる。像としては無限遠像に近い遠くの像を映していても、その物体の動きを自然に目が追ってしまうと、VE酔いを引き起こし、気分が悪くなってしまう。
【0014】
また、このようなシステムでは最も解像度、ディストーションの面できれいに見える正面の画像を視野中心にする必要があり、見る方向を変える際にジョイスティック等を用いて進行方向が正面の画像となるように操作しなければならない。また、殆どのスペースをディスプレイ用スクリーンとプロジェクター用光束部の通気空間として利用してしまっているので、使用者に目以外の臨場感を与えるための設備が設置し難い等の欠点がある。
【0015】
即ち、前記従来技術である図26Aに示した装置以上の臨場感、没入感を得るための改善案として考えられている4タイプ(図26B、図26C、図26Dに示したもの、及びI−MAX)は上記に示すような欠点がそれぞれあり、図26Aのディスプレイ大型化に取って代わる程の効果を出すことができなかった。
【0016】
このような問題を解決する方法として、眼鏡型ディスプレイを用いながら、それを使用者の頭部に装着させるのではなくて、使用者以外の部分に支持されるようにし、使用者の顔面に接触した状態で使用し、使用者の顔面の動きに従って、その位置や姿勢を変えるようにした装置が、特開平6−195440号公報(特許文献1)に記載されている。
【0017】
これは、7軸ロボットに眼鏡型ディスプレイを搭載し、眼鏡型ディスプレイと使用者の顔面位置の相対関係をセンサーによって検出し、センサーの出力に応じて7軸ロボットを制御することにより、眼鏡型ディスプレイの動きを使用者の顔面の動きに追随させるものである。これによれば、眼鏡型ディスプレイの重量を大きくすることが可能であるので、光学系を工夫すれば、広視野角の画像を形成することができ、臨場感・没入感を与えることができ、かつ、使用者が操作する機器と眼鏡型ディスプレイの位置との機械的な干渉を避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平6−195440号公報
【特許文献2】特開平7−128612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、前記特許文献1に記載されているような装置においては、7軸のロボットを使用しているので、高価なものとなるばかりでなく、実際には、眼鏡型ディスプレイと使用者の顔面位置の相対関係を正確に検出することが困難であるという問題点がある。眼鏡型ディスプレイと使用者の顔面位置の相対関係が正確に検出できないと、使用者の顔面の動きに眼鏡型ディスプレイを正確に追従させることができず、使用者の顔面に圧迫感や衝撃を与える可能性があるという問題点がある。
【0020】
又、カウンターウエイト等を用いることにより、支持機構に支持される眼鏡型ディスプ
レイの見かけ上の重量が0に近い値となるようにすることも考えられるが、使用者が頭部を動かした場合に、それに追随する眼鏡型ディスプレイに慣性力が発生し、使用者の顔面に圧迫感を与えるという問題が避けられない。
【0021】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、重量が大きくても人間の頭部の動きに抵抗感無く追随できる画像表示装置を提供すること、さらには、重量が大きな画像表示装置を実現可能とすることにより、人間が見る視界に近い、大きな視界角度を有した画像表示装置を提供すること、加えて、省スペースで安価に製品化でき、視覚・聴覚以外の感覚に臨場感・没入感を与えることで、VE酔い等にも配慮した画像表示装置を提供すること、さらには、この画像表示装置を使用したシミュレーション装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像表示装置の1つの実施態様は、ゲームやシミュレーションに使用するプログラムにより動作し、異なる映像を左右の目に表示する事で立体映像を提供する、使用者の顔面に接触し、かつ、使用者の顔面の動きに応じて移動可能な様に、制御用や電力供給用の配線若しくはこれらの情報を空中電送する手段を有する未来移動型の画像表示装置であって、右目用、及び左目用の2次元型画像形成装置から放出された光を、それぞれ右目用、及び左目用の光拡散体にリレーする右目用、及び左目用のリレー光学系と、前記右目用及び左目用の光拡散体からの拡散光を、視野角±22.5°以上の広域像で、それぞれ右目及び左目の眼球内の網膜上に投影し結像させる右目用、左目用の接眼光学系と、使用者により認識された立体映像が不自然に見えないように前記接眼光学系を調整することで臨場感・没入感を与える画像表示装置であり、時間により変化する前記立体映像は、使用者の選択した前記プログラム条件で、使用者の顔の動き、姿勢情報、使用者が操作手段から入力した情報を加味して、制御システムにより制御されることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記光を拡散する光拡散体は金属酸化物や金属炭化物のミクロングレードで精密に粒径が管理された砥粒を透過板上にコーティングしたものであり、前記砥粒はシリコンカーバイド、酸化クロム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムの少なくとも一つであり、前記透過板はポリエステルフィルムとする事で、視野角を±60度以上とし、臨場感・没入感を高めることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記2つの接眼光学系を構成するレンズ面の内少なくとも1面がコーニック定数K<0のコーニック面とされることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置の1つの実施態様は、前記画像表示装置に表示される画像に合わせて、使用者に音響以外の体感用の刺激を与えるか、使用者の姿勢を制御する体感用駆動部を有することを特徴とする。
【0026】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記体感用駆動部は、画像表示装置より前方から送風を行う送風機構を有し、当該送風機構は、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度に応じて送風量を可変する機能を有することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記送風機構が、送風の温度を制御する制御機構を有することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記送風機構が、送風時の香りを制御する制御機構を有することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、使用者が、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度を、手又は足で制御する操作手段を有することを特徴とする。
【0030】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記操作手段にはイマージェンシースイッチが設けられていることを特徴とする。
【0031】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記体感用駆動部は、前記画像表示装置に表示される画像によって体感する使用者の体の傾きに応じて、使用者を支持する部分を傾ける制御装置を有することを特徴とする。
【0032】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記使用者を支持する部分は、使用者を、起立状態又は歩行状態で支持することを特徴とする。
【0033】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記使用者を支持する部分は、使用者を座った状態、又は座ると共に足で漕いでいる状態で支持すること特徴とする。
【0034】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記使用者を支持する部分は、使用者が寝た状態で体の一部を吊り上げた状態、又は足とお尻以外の体の部分で全身を支えている状態で支持することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が選択されて前記画像表示装置に表示されるものであり、ハイビジョン画像を表示する際には、当該ハイビジョン表示に合わせて予め定められたシーケンスにより、前記体感用駆動部を制御し、コンピュータにより形成された画像を表示する際には、使用者が操作部より入力した入力情報に応じて、コンピュータにより画像を形成すると共に前記体感用駆動部を制御する機能を有することを特徴とする。
【0036】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が合成されて前記画像表示装置に表示されるものであり、前記体感用制御部は、前記ハイビジョン表示に合わせて予め定められたシーケンスにより、前記体感用駆動部を制御し、一方、使用者が操作部よりした入力情報に応じて、コンピュータにより画像を形成する機能を有することを特徴とする。
【0037】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、ハイビジョン画像を形成する第1の2次元画像形成装置と、コンピュータにより形成された画像を形成する第2の2次元画像形成装置を有し、第1の2次元画像形成装置と第2の2次元画像形成装置の画像を、光学的に合成する手段を有することを特徴とする。
【0038】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記第1の2次元画像形成装置が表示可能なハイビジョン画像情報より広い範囲のハイビジョン画像情報を有し、前記画像表示部を装着した場合の使用者の顔面の向きを検出する検出装置の出力に応じて、前記広い範囲のハイビジョン画像情報の一部を前記第1の2次元画像形成装置に形成させる機能を有することを特徴とする。
【0039】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、使用者以外の部分に支持されて使用者の顔面に接触し、かつ、使用者の顔面の動きに応じて移動可能な画像表示装置であって、当該画像表示装置の重心が、前記使用者への装着時に、眼球よりも後頭部側で、かつ眼球よりも首側にあることを特徴とする。
【0040】
本実施態様においては、画像表示装置が使用者の顔面に接触する状態で使用されるものの、使用者以外の部分に支持されているので、使用者に重量感を与えることがない。よって、重量を重くすることが可能なので、広角度な視野を有する画像を形成するような光学系を使用することができ、使用者に臨場感・没入感を与えることができる。
【0041】
さらに、画像表示装置の重心が、前記使用者への装着時に、眼球よりも後頭部側で、かつ眼球よりも首側にあるので、重心位置が使用者が顔を動かしたときの回動中心に近くなる。よって、使用者が顔を動かしたときの回動中心と画像表示装置の重心位置とが離れていることに起因して働く慣性力や遠心力が小さくなり、使用者が顔を動かしたときに感じる抵抗力は、画像表示装置全体が動いたときに生じる慣性モーメントによる力が殆どの状態となる。よって、画像表示装置の重量を大きくしても、顔の移動に伴う圧迫感を小さくすることができる。従って、装着感を軽減することができるので、これにより臨場感・没入感を増し、VE酔いを低減する効果も期待できる。
【0042】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記画像表示装置の重心は、当該画像表示装置を使用することが想定される人間の首の、平均的な3軸の回動中心にほぼ一致していることを特徴とする。
【0043】
本実施態様においては、画像表示装置の重心は、当該画像表示装置を使用することが想定される人間の首の、平均的な3軸の回動中心にほぼ一致しているので、使用者が顔を動かしたときの回動中心と画像表示装置の重心位置とが離れていることに起因して働く慣性力や遠心力が小さくなり、使用者が顔を動かしたときに感じる抵抗力は慣性モーメントによる力が殆どの状態となる。よって、画像表示装置の重量を大きくしても、顔の移動に伴う圧迫感を小さくすることができ、前記第1の手段の作用効果をさらに高めることができる。なお、人間の首の、平均的な3軸の回動中心にほぼ一致しているとは、慣性モーメント以外の慣性力が実用上問題にならない程度に一致していればよいことを意味するが、典型的には、人間の首の範囲にある場合が考えられる。
【0044】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、使用者以外の部分に、空間での3次元方向に移動可能に支持されると共に、3次元方向に回動可能に支持されて、使用者の顔面に接触し、かつ、使用者の顔面の動きに応じて移動及び回動が可能な画像表示装置であって、当該画像表示装置の回動軸複数有し、当該回動軸は、それぞれ当該画像表示装置の重心の近傍を通ることを特徴とする。
【0045】
本実施態様においては、画像表示装置の回動軸が当該画像表示装置の重心の近傍を通るので、画像装置の位置を回動により変化させるとき、回動中心と画像表示装置の重心位置とが離れていることに起因して働く慣性力や遠心力が小さくなり、画像装置の位置変化に伴う抵抗力は慣性モーメントによる力が殆どの状態となる。よって、他の慣性力が無くなるため、画像表示装置を動かし易くなる。なお、回動軸が重心の近傍を通るとは、必ずしも実体としての回動軸が通ることを意味せず、実体としての回動軸の延長線が近傍を通る場合もを含む。また、「近傍を通る」とは、回動中心と画像表示装置の重心位置とが離れていることに起因して働く慣性力や遠心力が、使用上問題とならない程度しか離れていないことをいう。
【0046】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、使用者以外の部分に、空間での3次元方向に移動及び回動が可能に支持されると共に、3次元方向に回動可能に支持されて、使用者の顔面に接触し、かつ、使用者の顔面の動きに応じて移動及び回動が可能なものであり、当該画像表示装置の回動軸は、それぞれ当該画像表示装置の重心の近傍を通ることを特徴とする。
【0047】
本実施態様においては、上記の作用効果を併せて奏することができる。なお、回動軸が重心の近傍を通るとは、必ずしも実体としての回動軸が通ることを意味せず、実体としての回動軸の延長線が近傍を通る場合もを含む。また、「近傍を通る」とは、回動中心と画像表示装置の重心位置とが離れていることに起因して働く慣性力や遠心力が、使用上問題とならない程度しか離れていないことをいう。結果として、典型的には、回動軸が、使用を想定される人間の首の範囲にあることである。
【0048】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記回動軸には回動量計測センサーがそれぞれ設置されており、当該回動量計測センサーの出力に応じて、前記画像表示装置の出力画像を決定する演算装置を有することを特徴とする。
【0049】
本実施態様においては、回動量計測センサーの出力に応じて、画像表示装置の出力画像を決定する演算装置を有するので、使用者が顔を動かしたときに、それに応じて画像表示装置に表示する画像を、実際に使用者の視線方向に見える画像とすることができ、臨場感・没入感を与えることが可能となる。
【0050】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記画像表示装置は、カウンターウエイトと紐状の軟性材により連結され、当該紐状の軟性材は、床に支持された水平平面上を移動可能な2次元方向駆動機構に設置された滑車を介して、前記画像表示装置とカウンターウエイトとをつり下げることにより、前記画像表示装置を支持するものであることを特徴とする。
【0051】
本実施態様においては、カウンターウエイトと画像表示装置が紐状の軟性材により連結されて滑車に支持されているので、画像表示装置の重量がカウンターウエイトによって相殺される。従って、使用者は画像表示装置の重量を感じなくなるので、画像表示装置の重量を重くした場合でも、装着感を軽減できる。
【0052】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記画像表示装置はイヤホンを兼ねた左右の顔側面への挟み込み手段を介して使用者の顔面に接触し、当該挟み込み手段により顔面と画像表示装置の位置関係がほぼ固定されていることを特徴とする。
【0053】
本実施態様においては、画像表示装置はイヤホンを兼ねた左右の顔側面への挟み込み手段を介して使用者の顔面に接触し、挟み込み手段により顔面と画像表示装置の位置関係がほぼ固定されているので、画像表示装置を幅広く緩い力で顔面に固定することができ、接触部分での痛みを感じることがなく、かつ、爽快な条件で固定することができる。
【0054】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、2次元型画像形成装置から放出された光を、リレー光学系を介して左右両目に対し視野角±22.5°以上の広域像で眼球内の網膜上に投影し結像させる機能を有することを特徴とする。
【0055】
本実施態様においては、2次元型画像形成装置から放出された光を、リレー光学系を介して左右両目に対し視野角±22.5°以上の広域像で眼球内の網膜上に投影し結像させるので、実際の人間の眼で見える視野角内全体に2次元型画像形成装置からの画像を形成することができ、臨場感・没入感を高めることができる。
【0056】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、2次元型画像形成装置と、第1(右眼用)、及び第2(左目用)の光拡散体と、前記2次元型画像形成装置から放出された光を、それぞれ第1(右眼用)、及び第2(左目用)の光拡散体にリレーする第1(右眼用)、及び第2(左目用)のリレー光学系と、光拡散体を透過した第1の透過像及び第2の透過像を、それぞれ、右眼及び左目の眼球内の網膜上に投影し結像させる第1(右眼用)、第2(左目用)の接眼光学系を有することを特徴とする。
【0057】
本実施態様においては、2次元型画像形成装置からの光をリレー光学系を通して一旦光拡散体上に結像させ、光拡散体からの拡散光を、接眼光学系を通して網膜状に結像させるようにしている。よって、後に発明を実施するための最良の形態の欄で説明するように、視野角が大きい範囲において主光線のテレセンが傾いた場合にも、対応が可能である。又、左右両眼に対して別々の光学系を使用しているので、左右の眼に別の画像を結像させることも可能である。
【0058】
更に、スクリーンと人間の目の間にある接眼光学系の一部若しくは全体をフォーカス方向に両接眼系別々に移動できる構成をとることで、近視、遠視、乱視の人間全てにメガネやコンタクトを付けること無く良好な無限遠像を見てもらうことが可能となる。更に、スクリーンと接眼光学系間の相対距離を近づけることで、画像内容に合わせた近い物体を見るような条件にもすることができるので、より一層の臨場感を得ることができる。
【0059】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記第1、第2の接眼光学系の光学的中心、及び光拡散体を透過した第1の透過像及び第2の透過像の間隔が、使用者の眼幅と等しくなるように調整する調整機構を有することを特徴とする。
【0060】
本実施態様においては、第1、第2の接眼光学系の光学的中心、及び光拡散体を透過した第1の透過像及び第2の透過像の間隔が、使用者の眼幅と等しくなるように調整する調整機構を有するので、これらを適宜使用者の眼幅に合わせて調整することにより、画面を見やすくすると共に、違和感による酔いを防止することができる。
【0061】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記光を拡散する光拡散体は金属酸化物や金属炭化物のミクロングレードで精密に粒径が管理された砥粒を透過板上にコーティングした透過型拡散板であることを特徴とする。
【0062】
このような拡散板を用いることにより、拡散角を±60°以上に大きくすることができ、キョロ眼を考慮した場合でも、±22.5°以上の視野角を確保することができる。又、このような砥粒をコーティングした拡散板は、DVD映像、ハイビジョン相当の画質を観測する場合であっても、砥粒間を感じさせず、自然な画質を得ることができる。
【0063】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記砥粒はシリコンカーバイド、酸化クロム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムの少なくとも一つであり、前記透過板はポリエステルフィルムであることを特徴とする。
【0064】
これらの物質の砥粒は、ミクロングレードの粒子とするのに都合がよく、又、ポリエステルフィルムは強靱であるので、高い耐久性が得られる。
【0065】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記2次元型画像形成装置が、緑(G),青(B),赤(R)の色に応じた3枚の、光束放出方向に直交した2次元の透過型又は反射型の液晶デバイス素子と、当該液晶デバイス素子を照明する照明装置と、前記液晶デバイス素子から放出された光を合成して一つの画像とする画像合成装置とを有することを特徴とする。
【0066】
本実施態様においては、G,B,Rの色に応じた液晶デバイス素子から放出された光を合成して一つの画像としているので、画素数の大きな液晶デバイス素子を使用することが可能になり、広角度の画面を見る場合にでも、画素の継ぎ目が目立たないようにすることができる。
【0067】
本発明に係る画像表示装置のその他の実施態様は、前記第1、第2の接眼光学系を構成するレンズ面の内少なくとも1面がコーニック定数K<0のコーニック面とされ、かつ、当該接眼光学系が、少なくとも2枚の貼り合せレンズ有することを特徴とする。
【0068】
後に発明を実施するための最良の形態の欄で述べるように、このような構成をとることにより、光学系のディストーションや色収差を改善することができる。
【0069】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記画像表示装置に表示される画像に合わせて、使用者に音響以外の体感用の刺激を与えるか、使用者の姿勢を制御する体感用駆動部を有することを特徴とする。
【0070】
本実施態様においては、画像表示装置に表示される画像に合わせて、使用者に音響以外の体感用の刺激を与えるか、使用者の姿勢を制御する体感用駆動部を有しているので、使用者に臨場感を与えることができる。「音響以外の」としたのは、音響を与えることは、画像表示を行うシミュレーション装置として当然のことであるので、それ以外の刺激を与えることが特徴であることを明確にするためであり、音響を与えるものを除外する趣旨ではない。
【0071】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記体感用駆動部は、画像表示装置より前方から送風を行う送風機構を有し、当該送風機構は、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度に応じて送風量を可変する機能を有することを特徴とする。
【0072】
本実施態様においては、前記体感用駆動部に送風機構を有し、送風機構は、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度に応じて送風量を可変する機能を有するので、画面に応じた臨場感を視覚、聴覚以外からも感じ取ることができ、防汗効果や、車で窓を開けるのと同様に、酔いの防止効果、リラクゼーション効果等、総合面から臨場感を高めることができる。
【0073】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記送風機構が、送風の温度を制御する制御機構を有することを特徴とする。
【0074】
本実施態様においては、送風機構が、送風の温度を制御する制御機構を有するので、画面の状態に応じた温度の風を送ることにより、上記の効果をより高めることができる。
【0075】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記送風機構が、送風時の香りを制御する制御機構を有することを特徴とする。
【0076】
本実施態様においては、送風機構が、送風時の香りを制御する制御機構を有するので、画面の状態に応じた香りの風を送ることにより、上記の効果をより高めることができる。
【0077】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、使用者が、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度を、手又は足で制御する操作手段を有することを特徴とする。
【0078】
本実施態様においては、使用者が、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度を、手又は足で制御する操作手段を有するので、各種のシミュレーションに使用できると共に、遊戯装置としても高度のものとすることができる。
【0079】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記操作手段にはイマージェンシースイッチが設けられていることを特徴とする。
【0080】
本実施態様においては、イマージェンシースイッチが設けられているので、緊急時や使用者が不快感を覚えたときに装置を停止することや、第三者に不快感を訴えることができる。特に、全視野を画像表示装置で覆われている場合が殆どであるので、このようなイマージェンシースイッチを設けることは重要である。
【0081】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記体感用駆動部は、前記画像表示装置に表示される画像によって体感する使用者の体の傾きに応じて、使用者を支持する部分を傾ける制御装置を有することを特徴とする。
【0082】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記使用者を支持する部分は、使用者を、起立状態又は歩行状態で支持することを特徴とする。
【0083】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記使用者を支持する部分は、使用者を座った状態、又は座ると共に足で漕いでいる状態で支持すること特徴とする。
【0084】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記使用者を支持する部分は、使用者が寝た状態で体の一部を吊り上げた状態、又は足とお尻以外の体の部分で全身を支えている状態で支持することを特徴とする。
【0085】
上記の実施態様においては、画面上に表される画像によって生じる使用者の移動感に応じて、使用者の支持部分を左右上下方向に傾けると共に、画面の仮想的傾斜状況に応じて使用者の同支持部分を前後左右に傾ける手段を有することで、三半規管と視覚の慮方を一致させることが可能となり、VE酔いの防止や臨場感向上につなげることができる。そして、使用者を支持する支持部分は起立状態若しくは歩行状態で支持するか、座った状態若しくは、座ると共に足で漕いでいる状態、更に、寝た状態で体の一部を吊り上げた状態若しくは、足とお尻以外の体の部分で全身を支えている状態で支持する構造を導入しているので幅広い用途で臨場感・没入感の高い遊戯装置、検索システム(詳細は後述する)、シミュレーション装置を提供することができる。
【0086】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が選択されて前記画像表示装置に表示されるものであり、ハイビジョン画像を表示する際には、当該ハイビジョン表示に合わせて予め定めらたシーケンスにより、前記体感用駆動部を制御し、コンピュータにより形成された画像を表示する際には、使用者が操作部より入力した入力情報に応じて、コンピュータにより画像を形成すると共に前記体感用駆動部を制御する機能を有することを特徴とする。
【0087】
ハイビジョンの動画を表示する場合には、その動きが速いため、その表示内容を解析してそれに合わせて体感用駆動部を制御することは困難である。しかし、通常のテレビ等と違って、シミュレーション装置に表示されるハイビジョン画像は、予め決められているので、それに合わせて、予め体感用駆動部を駆動するシーケンスを作っておくことができる。本実施態様においては、このことを利用して、ハイビジョン画像を表示する場合には、予め作成されたシーケンスにより、ハイビジョン画像に同期して体感用駆動部を駆動する。それに対して、コンピュータにより形成された画像は、使用者の操作によって変わってくるので、使用者が操作部よりした入力情報に応じて、コンピュータにより画像を形成すると共に体感用駆動部を制御する。
【0088】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が合成されて前記画像表示装置に表示されるものであり、前記体感用制御部は、前記ハイビジョン表示に合わせて予め定めらたシーケンスにより、前記体感用駆動部を制御し、一方、使用者が操作部よりした入力情報に応じて、コンピュータにより画像を形成する機能を有することを特徴とする。
【0089】
本実施態様においては、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が合成されて前記画像表示装置に表示されるが、通常は、ハイビジョン画像が背景を構成し、コンピュータにより形成された画像は、使用者の操作部からの入力に応じた画像となる。本実施態様においては、体感用駆動部は、ハイビジョン画像に合わせて制御されるようにし、上記の理由によりシーケンス制御により駆動する。そして、コンピュータにより画像形成された画像は表示されるだけであり、体感用駆動部の制御には使用されない。
【0090】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、ハイビジョン画像を形成する第1の2次元画像形成装置と、コンピュータにより形成された画像を形成する第2の2次元画像形成装置を有し、第1の2次元画像形成装置と第2の2次元画像形成装置の画像を、光学的に合成する手段を有することを特徴とする。
【0091】
本実施態様においては、第1の2次元画像形成装置と第2の2次元画像形成装置の画像を光学的に合成している。どちらかの画像を選択する場合には、他の画像表示装置の表示を停止すればよい。合成する場合には、両者の画像をそのまま合成してもよいし、背景となる画像から、他の画像が表示される部分の画像を切り取ったものを表示して、その上で両者を合成するようにしてもよい。
【0092】
本発明に係る画像表示装置を用いたシミュレーション装置のその他の実施態様は、前記第1の2次元画像形成装置が表示可能なハイビジョン画像情報より広い範囲のハイビジョン画像情報を有し、前記画像表示部を装着した場合の使用者の顔面の向きを検出する検出装置の出力に応じて、前記広い範囲のハイビジョン画像情報の一部を前記第1の2次元画像形成装置に形成させる機能を有することを特徴とする。
【0093】
本実施態様においては、使用者の顔面の向きに応じた画像を表示させることができるので、臨場感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態である画像表示装置における光学系の概要を示す図である。
【図2】図1に示す接眼光学系の詳細を示す図である。
【図3A】図2に示す接眼光学系での、視野中心が0°の場合の色収差を示すのスポットダイヤグラムである。
【図3B】図2に示す接眼光学系での、視野中心が5°に移動したの場合の色収差を示すのスポットダイヤグラムである。
【図3C】図2に示す接眼光学系での、視野中心が10°に移動したの場合の色収差を示すのスポットダイヤグラムである。
【図3D】図2に示す接眼光学系での、視野中心が15°に移動したの場合の色収差を示すのスポットダイヤグラムである。
【図4】図1に示したリレー拡大光学系の詳細を示す図である。
【図5A】図4に示すリレー拡大光学系での、フォーカスを最適値の−3.0mmとした場合の像高毎のMTFを示した図である。
【図5B】図4に示すリレー拡大光学系における、横収差プロット出力図である。
【図5C】図4に示すリレー拡大光学系における、スポットダイヤグラムである。
【図6】本発明の実施の形態である画像表示装置の構成と、頭と首との位置関係を示した平面概念図である。
【図7A】顔の方向と画像表示装置との関係を示した図である。
【図7B】寝た状態における顔の方向と画像表示装置との関係を示した図である。
【図7C】寝ながら顔を起こした状態における顔の方向と画像表示装置との関係を示した図である。
【図7D】立ったまま上を見た状態における顔の方向と画像表示装置との関係を示した図である。
【図8】画像表示装置の支持機構を示した概要図である。
【図9】顔を下に向けた時の、支持機構の動きと画像情報との関係を示した図である。
【図10】首を横に振った時の、支持機構の動きと画像情報との関係を示した図である。
【図11】顔を横に傾けた時の、支持機構の動きと画像情報との関係を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態において可動表示機構を支える機構を示す概要図である。
【図13】マジックハンド機構の平面図である。
【図14】本発明のシミュレーション装置の実施の形態の1例であり、座った状態で楽しむディスプレイ表示型装置を示す概要図である。
【図15】図14に示すディスプレイ表示型装置を使用して、走行中の動作を画面に表示している状態を示す図である。
【図16】図14に示すディスプレイ表示型装置を使用して、絶壁を下降中の状態を画面に表示している状態を示す図である。
【図17】本発明のシミュレーション装置の実施の形態の1例であり、起立した状態でで楽しむディスプレイ表示型装置を示す概要図である。
【図18】ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像を光学的に合成する光学系の概要を示す図である。
【図19】合成された画像の例を示す図である。
【図20】ハイビジョン画像の表示方法の例を示す図である。
【図21】ハイビジョン画像の表示方法の例を示す図である。
【図22】ハイビジョン画像の表示方法の例を示す図である。
【図23】ハイビジョン画像を1分程度の短編とし、ゲームにより撃墜得点の高い人に次のステージを選ばせる方法を示す図である。
【図24】図23に示す方法を実施するための制御回路を示す図である。
【図25】本発明のシミュレーション装置の実施の形態の1例であり、寝た状態で楽しむディスプレイ表示型装置を示す概要図である。
【図26A】従来技術によるディスプレイ表示型遊戯装置の例を示す図である。
【図26B】従来技術によるヘッドマウントディスプレイを用いたディスプレイ表示型遊戯装置の例を示す図である。
【図26C】従来技術による大画面表示型遊戯装置の例(I−MAX)を示す図である。
【図26D】従来技術によるボックス型多方向ディスプレイシミュレーション装置を示す図である。
【図27A】従来技術を用いて第1の光学設計をした場合の接眼レンズ機構光路図のである。
【図27B】図27Aの光学系におけるフィールド収差出力図である。
【図27C】図27Aの光学系における±15°での横収差プロット出力図である。
【図27D】図27Aの光学系における±30°での横収差プロット出力図である。
【図28A】従来技術を用いて第2の光学設計をした場合の接眼レンズ機構の光路図である、。
【図28B】図28Aの光学系におけるフィールド収差出力図である。
【図28C】図28Aの光学系における±15°での横収差プロット出力図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下、本発明実施の形態の例を、図を用いて説明する。以下に示す本発明の実施の形態においては、図26Bに示したものと同様の接眼型の拡大光学系を使用した画像表示装置を用いる。但し、図26Bに示すように、頭部に装着する方式のものでは、前述のように重量に制限があるので、画像表示装置は、使用者以外の部分で支持するようにし、それにより重量を重くすることができるようにする。
【0096】
又、図26Bで一般に使用される同接眼光学系のように、同拡大光学系の内部に瞳位置を設け、眼球の網膜と共役な位置に液晶ディスプレイデバイスを設置する方法では、人間の眼球の横シフト動作(本明細書中においては、「キョロ目動作」と称することがある)を行った場合、主光線の傾いた光束が瞳でケラれてしまうので、視野角を大きくできた場合でも、キョロ目に対応できなくなってしまう。そこで、前記接眼光学系の液晶表示面側に拡散型スクリーンを設置し、そのスクリーンに液晶デバイスからの像を投影する方法を採用している。
【0097】
図1は、本発明の実施の形態である画像表示装置における光学系の概要を示す図である。図1(a)において、照明系2g、2b、2rはそれぞれ緑色LED、青色LED、赤色LEDからの射出光束を均一化した照明光を射出するものであり、それぞれに対応した2次元液晶デバイス3g、3b、3rを裏面より照明する。2次元液晶デバイス3g、3b、3rを透過した光束は色ビーム合成プリズム4により合成され、リレー拡大光学系5によりスクリーン7上に前記2次元液晶デバイス3g、3b、3r上の像を3〜5倍程度の拡大像として投影する。なお、これらは全て画像出力制御装置1により管理されており、カラーの鮮明な画像として眼球9内の網膜上に画像を投影している。
【0098】
スクリーン7を透過した光束は、スクリーン7により拡散され、入射光束のNAより大きなNAを有する光束として、接眼光学系8を経て眼球9内の網膜上にスクリーン7上の像を投影する構成となっている。
【0099】
図1(a)に示す光学系においては、LCDと呼ばれる透過型2次元液晶デバイス3g、3b、3rを用いたが、図1(b)に示す光学系では、LCOSと呼ばれる反射型2次元液晶デバイス6g、6b、6rを用いている。
【0100】
この場合、照明系2w、偏光ビームスプリッター2wIが照明手段となる。照明系2w内の白色LEDから均一照明化された偏光光束は、一旦、偏光ビームスプリッター2wIにて偏光とされ、λ/4板を介して、色ビーム合成プリズム4によりそれぞれ緑色、青色、赤色に分離され、それぞれの反射型2次元液晶デバイス6g、6b、6rを照明する。反射型2次元液晶デバイス6g、6b、6rにより反射された光束は再び色ビーム合成プリズム4により合成され、偏光ビームスプリッター2wIまで戻り、今度は透過して、後は図1(b)のような経路(図1(a)で説明したものと同じ)を経て、網膜上にスクリーン7上の像を投影する構成となっている。偏光ビームスプリッター2wI後の光学系は、図1(a)に示したものと同じであるので説明を省略する。
【0101】
ここで、図1に示したような光学系を採用した理由は、人間が違和感を覚えない、±22.5°以上の視野角を得るためである。しかし、一般にスクリーンを用いても視野角±22.5°以上であって、しかもキョロ目動作に対応可能な光学系の提供は容易ではない。そこで理解を深めるために、視野角が±22.5°以上の光学系が何故難しいかを簡単に説明していく。
【0102】
図27A〜図27Dは広視野角度を得るために設計された光学系の1例を示すものである。これは、図27Aの光学系の概要図に示すように、発光画面G(ここでは発光画面と呼んでいるが、それ自身が発光したり光を反射して画像を形成したりするもののみならず、スクリーンのように、画像が投影され、そこから出る光が眼に観測されるものをも含むものである。)に対し、人間の目の瞳をHとしたとき、屈折率は低いが色分散が小さい硝材LAC7からなり、曲率が220cmの3枚の凸レンズL101、L102、L103を使用した場合の例を示す図であり、図27Aの光束はそれぞれ、視野角が−60°、−45°、−30°、−15°、0°、15°、30°、45°、60°に対応する光束を示している。図27Bは、は左から順に球面収差、非点収差、ディストーションを示しているが、非点収差が視野角±30°付近で10mm、ディストーションが12.6%発生している。更に図27Cでは、色収差が視野角±15°のところでも150μm程度発生
しているのが確認できる。
【0103】
一般に色収差の補正は色分散の異なる2種類以上の硝材を組み合わせて行うことは知られており、瞳の大きさを5mm程度に設定し、±30°の範囲で色収差を含む諸収差を補正したルーペ光学系のようなものは存在する。この光学設計が容易な理由は、光学系と眼球の位置を固定して使用する必要が無いので、光学系の光軸と眼球の瞳の位置が常に最適となるように調整できるためである。
【0104】
しかし、ディスプレイと目の位置を固定してそれぞれ別々の接眼光学系を用いて画像観察を行うウェアラブルディスプレイの接眼光学系としては、最大でも視野角±22.5°未満のものしか無い。図27Dには0°、7.5°、15°、22.5°、30°までの凸レンズL101,L102,L103レンズを使用した時の諸収差を示す。レンズの組み合わせで色収差を補正したとしても、22.5°の位置では色収差200μm、諸収差400μmとなっている。
【0105】
人間の目で確認できる大きさを100μm程度とすると、これでは不十分なことが分かる。よって、人間の目で確認できる程度に収差を小さくするためには、凸レンズのみの組み合わせでは不十分であり、凸レンズと凹レンズの組み合わせが必要なことが推定される。
【0106】
しかし、凸レンズと凹レンズの組み合わせを考えると、凹レンズでは、発光画面からの各光束の主光線のそれぞれは、傾きの差を小さくし、眼球の瞳における各主光線のそれぞれの傾きを大きくするように光束を偏向できず、レンズ径を大きくしてしまうことになる。すなわち、凸レンズのみで構成した図27Aの光束を見ても明らかなように、左右の目にそれぞれこのような接眼レンズを設置した場合、眼幅(左右の目の間隔)を6.5cmとすると、凸レンズのみを使用した場合でも、左右両側の接眼光学系が鼻側で重なってしまい、鼻側の視野として30°程度までしか得られないことになる。凸レンズと凹レンズの組み合わせで収差を取ることまで考えると、目から出た各光束の主光線が凹レンズで広げられるので、更に鼻側の視野が取れないことになり、22.5°程度が限界の視野角度となってしまう。
【0107】
次に、視野をもっと大きく取ることを考えていく。臨場感の高い画像を得るためには、人間がメガネをかけた視界と同等以上の視界を得る必要があり、接眼レンズ径に制限のある鼻側の視野角度を十分に取らなければならない。鼻側の視野角度をもっと得るためには、更に凸レンズの曲率を大きくしたり、屈折率の高い硝材を用いることになる。
【0108】
ここで、より広い視野を得るために、眼球側から曲率100cm、200cm、220cmの3枚の凸レンズL101’、L102’、L103’を用いた例を、図28A〜図28Cに示す。図28Aにおいて、Gは発光画面、Hは人間の目の瞳であり、図27Aと同じように、レンズには屈折率は低いが色分散が小さい硝材LAC7を使用している。図28Aの光束を見ると、鼻側に65mmの範囲内で45°程度の広視野が得られているのがわかる。しかし、図28Bでは非点収差が視野角±30°付近で3.5mmと改善しているものの、ディストーションが13.5%と大きくなっている。更に図28Cでは色収差が視野角±15°のところでも150μm程度発生しているのが確認できる。このように、全て凸の球面レンズからなる光学系でも、視野角を±22.5°以上広げる光学系で、色収差を含む諸収差を補正することは非常に難しいことがわかる。
【0109】
以上、今までの技術では視野角が±22.5°以上ある接眼光学系を設計することが難しいことがわかったので、本発明に至る段階を説明していく。
【0110】
従来の考え方で、図28Aのように収差が改善しないのは、レンズ周辺を光束路とする視野角度の大きい部分に該当する光束において、レンズの曲率が大きすぎることが原因である。これに対しては、通常は曲率を下げたり、凹レンズとの組み合わせにより収差を改善し、更にはレンズ枚数を多くする設計を行う。しかし、両目に別々の接眼系を有する機構の場合、前述のように、眼幅との関係でレンズ径を65mm以上にすることができない。
【0111】
そこで本発明の実施の形態では、図1に示す接眼光学系8において、これらの凸レンズ面の少なくとも1枚をコーニック面としている。この光学系を図2に示す。図2に示す光学系においては、眼球に一番近いレンズL1の裏面をコーニック面とし、コマ収差や非点収差を抑え、キョロ目動作により瞳位置が変わっても、良好な像を眼球内に投影できるようにしている。コーニック面においては、その曲面Z(r)は、cを曲率、r2=x2+y2、として、
【0112】
【数1】

【0113】
で表される。kはコーニック定数であり、k<0を用いている。ここでコーニック面としては加工し易い硝材SLAH66を用いている。又、色収差補正を2面の貼り合せレンズ(L3,L4,L5)を導入することで、瞳側の凸レンズL2に屈折率の高い硝材を用いている。図2に示す光学系の光学設計値を表1に示す。レンズの径はいずれも60mm以下である。なお、表1をはじめ、以下の表に示す面の曲率半径は、各レンズの面の位置に対し、曲率中心が瞳側にあるときは負、発光画面G側にあるときは正としている。又、曲率半径、光軸上の面間隔の単位は、特に断らない限りmmである。
【0114】
【表1】

【0115】
貼り合せレンズはL3,L4,L5の3枚のレンズで構成され、L3,L5のレンズ硝材より、L4のレンズ硝材の色分散を大きくし、貼り合せ面を瞳側に凹面凸面の順となるように構成している。そのため、大きな色収差を補正できるようになり、瞳側の凸レンズL2についても屈折率の高い硝材を用い、レンズ周辺を通過する光束の偏向角を大きくすることができている。この方法で、レンズ径を眼幅の65mm以下にし、且つキョロ目動作時の収差も改善している。
【0116】
図2の光束の図を見ると分かるように、スクリーン7での幅が62mmの範囲で、視野角として±60°が得られており、かつ、キョロ目動作にも視点の中心部で良好な収差が得られるレンズ構成となっている。すなわち、図2において、視野角60°は眼球が中心を向いているときのものであり、接眼光学系8にてケラれていないことがわかる。
【0117】
但し、人間の目がキョロ目を行う場合、図2の眼球の中心を中心として光軸に対する開き角が±15°の線を見ればわかるように、眼球9の中心が回動中心なので、キョロ目動作時においては、瞳位置の横ずれ及び、主光線の傾きが発生する。一般に人間が顔を動かさずに違和感無くキョロ目を行う範囲は±30°であり、それ以上は自然に僅かに顔を傾ける動作を行う。一方、視力については、人間の目は視点中心では高い視力を持つが、視点中心から±5°の視力は1/2に悪化、±10°の視力は1/4に悪化、±15°の視力は1/8に悪化することがわかっている。
【0118】
よって、接眼レンズの視野角は、広視野角全てに対し、良好な収差を持つ必要は無く、視点中心移動角±30°の範囲で同視点中心から±10°を良好にしておけば、その外側では物が見え、その物の移動等が識別できれば、ぼけがあっても臨場感を損ねることが無い。更に、本発明の実施の形態においては顔面の動きに応じて視界画面を移動させることも配慮しているので、実質的に±15°程度で鮮明な画像が見えていればよく、それ以外の範囲を見るときは、顔をそちらに向ければよいことになる。
【0119】
図3A〜図3Dは、それぞれ視点中心を0°、5°、10°、15°と移動した状態で、そこから−60°、−30°、0°、30°、60°の色収差がどのようになっているかを調べた収差のスポットダイヤグラムである。これによれば、諸収差をスポットでプロットしたRMS値は中心では50μm以下であり、キョロ目時にも十分良好な像が得られることがわかる。
【0120】
次に、スクリーン7について説明する。スクリーン7の位置は、接眼光学系8に対して網膜と共役な位置であり、全体の大きさを考えると、その位置に発光する液晶ディスプレイ等に代表される発光型の2次元画像出力素子を置くのが、最も理想的である。しかしながら、現時点の技術では60mm角程度のディスプレイで上記接眼光学系により拡大される画像の分解能に見合うドットサイズの2次元画像出力素子は存在しない。よって、スクリーン7の位置にできる像の形成方法としては、1インチ以下のプロジェクターのような微小ドットサイズの発光型の2次元画像出力素子像をリレー光学系により拡大して、スクリーン7の位置に像を形成することが考えられる。
【0121】
現在、存在しているプロジェクターはQVGAと呼ばれる解像度縦横が320×240のものから、SXGAと呼ばれる解像度縦横が1980×1024のものを用いて、GRBの各色で合計3枚の液晶表示素子でカラー像を別々に形成し、合成してその解像度を3倍とするのものまでさまざまである。もし、本発明の実施の形態として解像度が低いものを利用すると、映画館クラスの大きさの画面では、その液晶表示素子の画素の継ぎ目が目で見えてしまい、臨場感が失われてしまう。よって、プロジェクター以上の画質を得る場合は、SXGAと呼ばれる解像度縦横が1280×760〜1980×1024のものを用い、GRBの各色で合計3枚の液晶表示素子で各色の像を別々に形成し、それらの像を合成してその解像度を3倍とする技術を導入するが、画像表示を通常の3倍(180Hz)とし、時分割でG,R,Bの色を順に各60Hzで表示することが不可欠である。
【0122】
また、前述の接眼光学系としては本発明の全てがスクリーン7位置に対し、非テレセントリックな構成とすることで、良好なディストーション及び、収差補正を行っているため、前述のプロジェクターのような微小ドットサイズの発光型の2次元画像出力素子のテレセン条件を前記接眼光学系のテレセン条件と合わせる必要がある。
【0123】
さらに、例えば図2で考えると、±60°の視野角度光束の主光線がスクリーン7の位置から接眼光学系のレンズL5に達するときに、主光線がスクリーン7となす角度は最大20°であり、発光型の2次元画像出力素子から画面Gまでの拡大倍率を3倍とすると、発光型の2次元画像出力素子から放射される各画素の光束のNAは3倍の60°で射出される非テレセントリック光学系でなければならない。このような2次元画像出力素子の照明機構を設計するのは液晶表示素子等の有効照明角度、瞳の形成条件から考えても厳しいものとなる。
【0124】
そこで、スクリーン7の位置に実際にスクリーン7を設け、発光型の2次元画像出力素子から射出された光束をリレー系にて同スクリーンに投影し、スクリーンを透過した裏面像(スクリーンにより拡散されて出射NAが大きくなったもの)を前記接眼光学系にて眼球の網膜まで再投影する方法をとることが考えられる。この方法は従来例としても特開平7−128612号公報(特許文献2)に提案されているが、上記のような±22.5°以上で発生する収差を改善するための手法については何ら記載されていない。
【0125】
本実施の形態に使用するスクリーンとしては、前述のような非テレセントリックな接眼レンズとして20°の傾きを持った接眼光学系に像を提供し、且つ、SXGAと呼ばれる解像度縦横が1280×760〜1980×1024の微小ドットよりも小さい粒子で形成された拡散透過型スクリーンを提供する必要がある。
【0126】
以下、このような条件を備えたスクリーンについて説明する。このようなスクリーンとして、厚みが均一で表面が平滑なポリエステルフィルムに接着剤を塗布し、そして、ミクロングレードで精密に粒径が管理された砥粒をクリーンルームでコーティングしたものを使用する。なお、砥粒としてはシリコンカーバイド、酸化クロム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの炭化物、酸化物が最適で、0.3〜40μm程度の均一な超精密仕上げで製造したものを採用している。
【0127】
これらの素材は、不透明ではあるが均一な砥粒をランダムに所定の厚さで積層させることが可能で、発散角を±60°以上に大きくすることができ、DVD映像やハイビジョン映像であっても全く粒状感を感じさせず、±22.5°以上の視野角を確保することができる。また、このスクリーンは安く製造できる点でも好ましい。なお、この砥粒層は投影像の焦点深度以内の厚さにすることが好ましく、照度を得るためにできるだけ薄いことが望ましい。
【0128】
なお、砥粒の大きさはメッシュナンバー#320〜#15000までが選択可能であり、強靭なポリエステルフィルムを用いているので、耐久性が高くなる。また、このスクリーンは安く製造できる点でも好ましい。なお、この砥粒層は投影像の焦点深度以内の厚さにすることが好ましく、照度を得るためにできるだけ薄いことが望ましい。
【0129】
上記スクリーンを利用した場合、拡散角が広くスクリーン上の粒子も見えないので鮮明な画像を得られる効果はあるものの、光量が1/10程度に低下する。よって、その分投影照度を上げる工夫が必要である。勿論、プロジェクターのようなハロゲンランプを用いれば十分な照度が得られるが、後述の本発明での装置概観からすると、できるだけ照明系は小さく、且つ寿命の長い、LED等の光源を用いる必要がある。
【0130】
次に、リレー拡大光学系5について、図4を参照して説明する。図4において、2次元液晶デバイス素子3g上に形成された画像は、色ビーム合成プリズム4によって色合成された後、L11〜L18までのレンズ群からなるリレー拡大光学系5によって、スクリーン7上に投影されて結像する。この光学系の光学設計値を表2に示す。
【0131】
【表2】

【0132】
この光学系において、レンズL11とL12、レンズL15とL16は貼り合わせレンズとなっており、これにより色消しを行っている。表2に示す光学設計値の場合、光学倍率は3倍となっている。
【0133】
本実施の形態においては、図1に示すように接眼系で拡大して観察するため、例えば液晶スクリーンが22.1mmφに入り、アスペクト比は16:9と仮定して液晶部の大きさを求めると、液晶パネルは、横サイズが19.26mm、縦サイズが10.83mmとなる。即ち、1280画素の場合は、横に19.26mm÷1280=15μm、縦に14.3μmの大きさの画素となり、そのピッチを解像できるにはピッチで考えて30μmの分解能がリレー拡大光学系5に必要となる。3倍系なので、周波数にして1000÷(15+14.3)/2/3=11.2HzのMTF(所定の空間周波数を有する像について空間周波数を変化させた場合のライン/スペースでの振幅の(MAX−MIN)/(MAX+MIN)を%で示したもの)を最適フォーカス位置で求めることで、収差の評価が可能となる。
【0134】
MTFを向上させる手段としてNAを小さくすると、諸収差は改善するが限界解像度が悪化する。反対にNAを大きくとると限界解像度が向上し、光量を得るにも都合がよい。しかし、NAを大きくすることはレンズの球面収差等の影響を大きく受け、これがMTFを悪化させる原因になる。
【0135】
そこでNAは0.03で設計している。図5Aに、フォーカスの位置を便宜的に決めた位置から−3.0mmとした場合の像高毎のMTFを示している。点線が限界解像度を示し、実線がMTFである。これを見ると、経験的に十分解像できると考えられるMTFを30%以上とした場合、像高0.0(0°)と0.5(30°)では周波数20Hzまで解像が可能であり、満足できるNA0.03の光学系が実現できていることがわかる。像高1.0(60°)では収差が発生しているが、目標の11.2Hzでは、30%のMTFを得ることができている。
【0136】
図5Bには横収差プロット出力図、図5Cにはスポットダイヤグラムを示しているが、これらにおいても、像高0.0〜0.5では良好な画質が得られていることがわかる。
【0137】
以上、図1〜図5Cまでを使用して、本発明の実施の形態による視野角±60°、キョロ目対応の光学系を説明したが、次に図1(a)に示した光学系を2セット用意し、両目用に折り曲げた構成例を、図6を用いて説明する。
【0138】
なお、両目用の光学系は人間の顔を左右に分ける軸yを含む紙面に垂直な面対称なので、ここでは左目用の光学系のみ説明することとする。2次元液晶デバイス3gを透過した光束は、図1(a)の説明で説明したように、光学系により眼球9に導かれるが、図6に示す光学系では、その間に4枚のミラー(13,16,17,21)により偏向することで、図示したような形状の左目画像表示装置15Lと、右目画像表示装置15Rを構成している。なお、左目画像表示装置15Lと右目画像表示装置15Rは眼幅補正機構14により左右に移動できる構成となっている。
【0139】
すなわち、本発明のような、両目に独立したスクリーン画像を接眼レンズにより投影する装置においては、接眼レンズの光学的中心と眼線の中心を一致させることで、左右に発生したディストーションを同じ条件にすることができるので、両目で異なる画像を見る際に引き起こされる違和感や目の疲れを完全に取り除くことができる。しかし、人間の眼幅は個人差があり、5.5cm〜7.5cm程度変わるため、本来観察者の眼幅に合わせて、左目画像表示装置15Lと右目画像表示装置15Rの目に入射する光線の中心位置間の距離を、眼幅補正機構14により、変えることができるようになっている。すなわち、眼幅補正機構14は、ミラー13の位置を変えることにより、左目画像表示装置15Lと右目画像表示装置15Rの目に入射する光線の中心位置を、それぞれ独立に変更できるような機能を有している。
【0140】
画像表示装置15には耳18を挟み込む固定機構と視聴を行うためのイヤホンを兼ねた挟み込み部材19があり、弾性部材20により所定の力で顔を挟み込むことで顔と画像表示装置15が固定されるように設計されている。
【0141】
又、眼球9と接眼光学系8の間には外界からの漏れ光を遮光し、且つ眼球9と接眼光学系8との接触を防止するための弾性カバー12が設置されており、臨場感・没入感を向上させると共に、目を傷つけないための安全機構の役割を果たしている。
【0142】
以下、前述の4枚のミラー(13,16,17,21)の役割について説明する。4枚のミラー(13,16,17,21)は光学系を折り曲げて小さいスペースに入れるということだけでなく、重要な意味を持っている。
【0143】
図6では頭11及び首10の断面を合わせて示しているが、人間の頭の動きは首10により行われているため、首10の断面のフィールド内に頭11の動きの回動中心があると考えることができる。仮にその点をCNTとした場合、画像表示装置15は頭11に固定されているので、CNTを中心に移動する。
【0144】
図7Aは、画像表示装置15を装着した状態を示す概要図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。図7AではCNTを黒く塗りつぶした○として表し、画像表示装置15の重心位置をGRAとして示している。この形状をみればわかるように、ミラー17及びミラー21は光束を上下に偏向するために使用されている。通常の場合、光学系は眼球の前方か、眼球を含む水平面上の位置に集まるような配置となるため、重心も眼球の前方及び眼球を含む水平面上近傍にある。
【0145】
しかし、ここでは、頭の回動中心CNTが首10の断面範囲中にあり、首10の位置が眼球より下にあることから、ミラー13,ミラー16を用いることにより図6に示すように、光束を折り曲げて、リレー拡大光学系5の一部及び、色ビーム合成プリズム4、2次元液晶デバイス素子3g等が、頭11の後方にあるようにして画像表示装置15の重心を後方に移し、かつ、ミラー17及びミラー21により、色ビーム合成プリズム4、2次元液晶デバイス素子3g等の位置を下に下げて、画像表示装置15重心を下方に移すことで、画像表示装置15の重心位置GRAを、頭の回動中心CNTに、できる限り合わせる工夫を行っている。
【0146】
すなわち、図6を見るとわかるように、光学部材として重量が大きいものは接眼光学系8と挟み込み部材19、2次元液晶デバイス3g、3b、3r、色ビーム合成プリズム4、照明系2を含む画像形成部なので、ミラー17及びミラー21により光束を下に偏向することで画像形成部の重量を下に集中させ、画像表示装置15の重心位置GRAを、頭の回動中心CNTとほぼ一致させている。ここで、ミラーとしては像のゴースト発生を避けるために、表面反射の金属ミラー等を用いている。
【0147】
但し、頭の回動中心CNTは当然一点ではなく、頭の動かし方で変化してしまうし、個人差もある。画像表示装置15の重心位置GRAを、頭の回動中心CNTとほぼ一致させる理由は、頭を動かしたとき(回動させたとき)に、画像表示装置15の回転モーメント以外の慣性力による抵抗力をできるだけ小さくして頭の動きに画像表示装置15の動きをスムーズに追従させるようにするためである。
【0148】
画像表示装置15の重心位置GRAを、頭の回動中心CNTとのずれが大きいと、頭を回動させたときに、発生する画像表示装置15の回転モーメント以外の慣性力に起因する抵抗力が大きくなり、頭を動かすときに顔面を押されるような大きな違和感が発生する。
【0149】
すなわち、頭の回動中心CNTと画像表示装置15の重心位置に大きなずれがあると、頭の動きを止めても慣性力により画像表示装置15が止まらず、うまく追従してくれない。よって、画像表示装置15の重心位置GRAと頭の回動中心CNTをできるだけ合わせて、画像表示装置15の回転モーメント以外の慣性力に起因する抵抗力をできるだけ小さくするようにする。
【0150】
このような目的のために、画像表示装置15の重心位置GRAを、図7Aに示すように、使用者への装着状態で眼球9よりも後頭部側にあり、且つ眼球9よりも首側にあるようにする。この場合頭の回動軸として、互いに直交するX軸,Y軸,Z軸を考えると、これらの交点が頭の回動中心CNTである。但し、頭の回動は1点を中心として行われるわけではないので、X軸,Y軸,Z軸とも所定の範囲を移動し、頭の回動中心CNTは、例えば、図6においては首10の断面のような断面積を持った円柱の範囲にある。同様、人間の屹立状態においても、所定の高さの範囲にあるが、図7Aに示すように眼球9よりも後方にあり且つ下にある。よって、画像表示装置15の重心位置GRAをそのCNTに近づけるということは、換言すれば「画像表示装置15の重心位置GRAを人間の起立状態で眼球よりも後方、且つ下にする」ということを意味している。より具体的には、重心位置GRAが人間の起立状態における首の範囲内とすることが好ましい。
【0151】
図7B〜図7Dは、所定の物体を見る際に、観察者が行う姿勢を示しており、図7Bのが寝た状態、図7Cがうつぶせに寝ながら顔を起こした状態、図7Dが立ったまま上を見た状態で、画像表示装置15も上下にほぼ180°、当然左右にも180°回動する使われ方がある。画像表示装置15の形状はこのような姿勢に対しても、画像表示装置15が体にぶつからないように設計されている。
【0152】
又、遊戯装置、シミュレーション装置でも当然このような頭の移動に対し、完全に画像表示装置15を追従させる機構とすることで、今までに無い臨場感・没入感を与えることができる。なお、本発明の実施の形態では、画像表示装置15の頭部との接触部である接眼光学系の周囲には、弾性カバー12を配置しており、使用者に不快感を与えないようにしている。また、画像表示装置15の外壁にも弾性部材が採用されており、顔面に当たっても問題が発生しないように構成されている。
【0153】
更に、画像表示装置15は重量的にも1〜2kg程度あるので、これを観察者に負担させることは許されない。よって、本発明の実施の形態として、画像表示装置15の重量を観察者に負担させない機構を考案しており、この機構について、図8を用いて説明する。
【0154】
図8において、(a)は画像表示装置15の支持機構の正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。図8では、画像表示装置15を画像表示装置支持棒29により上方から支持し、観察者が装置の重量を感じない構造となっている。その機構の詳細については、後に図12を用いて説明することとし、まず、頭の回動に対応する、この支持機構の動作全体の説明を行う。
【0155】
図8は画像表示装置15の可動表示機構48を示すものであるが、鉛直方向にz軸、使用者の左右方向にx軸、使用者の前後方向にy軸をとり、これをそれぞれ一点鎖線で表している。一点鎖線の交点は画像表示装置15の重心位置GRAを示している。
【0156】
画像表示装置支持棒29には、直交した3辺の梁を持つコの字型をしたz軸回動ユニット27zがベアリング26zを介して接続され、z軸回動ユニット27zは、図12に示す固定された画像表示装置支持棒29に対してz軸を中心として回動可能とされている。z軸回動ユニット27zの2つの他端には、直交した3辺の梁を持つコの字型をしたx軸回動ユニット27xが2つのベアリング26xを介して接続され、z軸回動ユニット27zに対して、x軸を中心として回動可能とされている。
【0157】
x軸回動ユニット27xのコの字型の縦棒の中心位置には、延長板28がベアリング26yを介して接続され、y軸を中心として回動可能とされている。そして、画像表示装置15は延長板28により保持されている。そして、画像表示装置15の重心位置GRAが、x軸、y軸、z軸の交点と一致するようにされている。これにより、x軸回動ユニット27x、延長板28、z軸回動ユニット27zが回動しても、画像表示装置15の重心位置GRAは、常にx軸、y軸、z軸の交点と一致する。
【0158】
以下、図9〜図11を用いて、実際に観察者が画像表示装置15を顔面に固定したままで回動方向に顔を動かした時の様子を説明していく。まず、x軸を中心とした動きについて説明する。図9(a)は観察者が直立してL離れた直交フィールド30x上の画像を観察しているような姿勢で画像表示装置15にグラフィック画像を見ている場合を側面図にて示している。図9(b)は、図9(a)の状態から、観察者がθxの角度分下を向いた状態を示す図である。観察者に画像表示装置15が固定されているので、ベアリング26xに設置されているロータリーエンコーダにて回動角θxが測定される。図示しない画像表示制御装置は、この回動角θxを入力し、観察者の目を中心としてθx回動した方向のL離れた位置を画面中心とした直交フィールド30x’を出力するように演算処理を行って、直交フィールド30x’に対応する出力画像を画像表示装置15に表示する。これにより、観察者は、本来の目で見た場合と同じ画像を画像表示装置15により観察することができる。
【0159】
次に、z軸を中心とした動きについて説明する。図10(a)は、観察者が正面を向いた状態、図10(b)は、図10(a)に示す状態から、観察者がθzの角度分右を向いた状態を示す上面図である。観察者に画像表示装置15が固定されているので、ベアリング26zに設置されているロータリーエンコーダにて回動角θzが測定される。図示しない画像表示制御装置は、この回動角θzを入力し、観察者の目を中心としてθz回動した方向のL離れた位置を画面中心とした直交フィールドを出力するように演算処理を行って、対応する出力画像を画像表示装置15に表示する。これにより、観察者は、本来の目で見た場合と同じ画像を画像表示装置15により観察することができる。
【0160】
続いて、y軸を中心とした動きについて説明する。図11は、観察者が直立してL離れた直交フィールド30y上の画像を観察している状態を示す正面図であるが、この場合、観察している直交フィールド30yが紙面上で重なってしまうので、便宜上、直交フィールド30yを左横にずらして表示している。図11(a)は、観察者が正面を向いた状態、図11(b)は、図11(a)に示す状態から、観察者がθyの角度分右に顔を傾けた状態を示す図である。観察者に画像表示装置15が固定されているので、ベアリング26yに設置されているロータリーエンコーダにて回動角θyが測定される。この場合、直交フィールド30yも一緒に回動角θy傾いてしまう。図示しない画像表示制御装置は、この回動角θyを入力し、観察者の目を中心としてθyだけ反対方向に回動した方向のL離れた位置を画面中心とした直交フィールド30y’を出力するように演算処理を行って、直交フィールド30y’に対応する出力画像を画像表示装置15に表示する。これにより、観察者は、本来の目で見た場合と同じ画像を画像表示装置15により観察することができる。
【0161】
以上、図9〜図11を使用して説明した実施の形態においては、画像表示装置15の重心GRAを通るxyzの3軸にベアリング26x、26y、26zがそれぞれ設置されており、かつ、観察者の頭を動かす時の回動中心CNTと重心GRAが近い位置となるようにされているので、画像表示装置15の回転モーメント以外の慣性力が小さくなり、これにより、顔の動きに対し、スムーズに画像表示装置15を追従させることが可能となる。従って、観察者は画像表示装置15の存在を殆ど意識すること無く、高い臨場感、没入感を得ることができる。
【0162】
以下、画像表示装置支持棒29より上方に設けられ、画像表示装置15の支持機構全体の重量を保持し、観察者に重量を感じさせない制御機構について、図12、図13を用いて説明する。
【0163】
図12において、画像表示装置15を支持する支持機構全体は、画像表示装置支持棒29により保持されており、画像表示装置支持棒29は紐状の軟性部材33により吊り下げられている。紐状の軟性部材33は、ベース機構30上のxy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)上に設置された滑車34を介して、ベース機構30の柱部分の空洞スペースに上下の移動可能に設けられたカウンターウエイト32と画像表示装置支持棒29を連結している。カウンターウエイト32と、画像表示装置支持棒29、支持機構全体及び画像表示装置15の合計の重量はほぼ等しく設計されており、滑車34の摩擦等により任意の場所で止まる構成となっている。これにより、観察者は画像表示装置15の重量を感じること無く、更に、観察者の頭の上下もスムーズに行える構造となっている。
【0164】
なお、画像表示装置15内にはイヤホン、2次元液晶デバイス、照明系、エンコーダ出力があり、当然制御用や電力供給用の配線が必要となる。これらを空中電送することも可能ではあるが、本実施の形態においては、前述の各ベアリングの中心空洞部分に配線が通過可能なスペースを設け、画像表示装置15からx軸回動ユニット27x、z軸回動ユニット27z(図8参照)を介して画像表示装置支持棒29まで、配線の引き回しを行っている。配線は、映像用(D3端子若しくはパソコン用ビデオ端子用配線)とイヤホン用配線、出力配線、5〜10v電源用配線であり、回動軸中心でのねじれ力だけなので、それ程大きな負荷にはならない。
【0165】
更に、これらの配線36は支持棒上下駆動用ガイド31の中で釣り竿上の釣具(37,38)で吊り下げられ、画像表示装置支持棒29の上下動作時にも負荷を与えないように設計されている。これらの配線36は画像処理装置39に接続され、ここで画像、音声処理された情報が画像表示装置15上に出力される構成となっている。
【0166】
また、支持棒上下駆動用ガイド31はマジックハンド棒41に固定されており、画像表示装置支持棒29の上下をガイドするが、コロ又はエアガイド等でスムーズな上下駆動を実現している。xy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)は固定ベアリング42(図13参照)を回動中心として、MFとして示されるスペース内を自由にxy駆動できるように設計されている。この支持棒上下駆動用ガイド31が無いと、xy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)が摩擦力により動かない状態で、画像表示装置支持棒29と紐状の軟性部材33が傾くことで、画像表示装置15のxy駆動を達成させてしまう。
【0167】
そして、画像表示装置支持棒29と紐状の軟性部材33の傾きが限界になった所で、xy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)が摩擦力に打ち勝ち、一気に動き出す。すると画像表示装置支持棒29と紐状の軟性部材33の傾きが緩和され画像表示装置15をxyに駆動させる力が発生する。この感触は観察者にとって大きな違和感となる。
【0168】
このような問題が発生するのを防止するため、支持棒上下駆動用ガイド31を設けて、画像表示装置支持棒29と同紐状の軟性部材33の傾きが発生しないように管理し、顔のxy方向の動きに対応してxy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)が動くように構成されている。よって、xy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)はできるだけxy方向にスムーズに動く必要がある。以下、図13を用いて、xy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)その仕組みを説明する。
【0169】
図13は、マジックハンド機構(35,40,41,42)の平面図である。固定ベアリング42によりベース機構30と2本のマジックハンド棒41a、41bが回動可能に連結されており、マジックハンド棒41aと41c、41bと41d、41cと41d(これらは、図13では符号41として図示されており、これらを総称して41と称することがある)が、それぞれ、それらの交点部分で可動ベアリング40により互いに回動可能に連結されて、パンタグラフ機構を構成している。
【0170】
即ち、固定ベアリング42部分を軸として、マジックハンドのように紐状の軟性部材33の落下地点PTが駆動スペースMF内で矢印方向に直線移動及び回動移動が可能なように設計されている。
【0171】
また滑車はそれぞれマジックハンド棒41上の3箇所に固定されており、マジックハンド部の伸縮に対しても、滑車間の同紐状の軟性部材33が直線状に張られている部分の距離が変わらない配置にすることで、マジックハンド部の伸縮をスムーズにしている。又、マジックハンド部は固定ベアリング42にて回動可能に支持されていると共に、マジックハンド棒41c、41dの先端に設けられた球状コロ35によりベース機構30上に、xy方向に移動可能に支えられているので、マジックハンド棒41自体には高い剛性は必要無く、軽量化が可能である。
【0172】
更に、マジックハンドとしては最も伸縮に抵抗がかからない位置である、各マジックハンド部が直角に交差する状態から、所定の伸縮範囲までの移動が可能なように駆動スペースMFを設けており、固定ベアリング42と落下地点PTまでの距離MLも十分長く取ることで、よりxy面移動マジックハンド機構(35,40,41,42)のxy駆動時の摩擦力を小さくできるように工夫されている。
【0173】
以下、画像表示装置15を使用した遊戯装置、シミュレーション装置の例について、その全体構成を説明する。以下の図においては、ベース機構30(画像表示装置15を含む可動表示機構48を支える部分)及び、制御機構収納部50(可動表示機構のXYZ駆動を可能にする部分)、可動表示機構48(θx、θy、θz駆動を可能にする部分及び画像、音出力、姿勢情報入力部)のように各機構を大きく分けて、装置全体の説明を行うことにする。
【0174】
図14は遊技装置の最も基本的な装置構成の例を示しており、座った姿勢で制御ユニット61を操作して、先に述べた画像表示装置15と同じ可動表示機構48上に映し出される映像を見るものである。同装置には前述のベース機構30、制御機構収納部50、可動表示機構48の他に、観察者の保持機構(49,51,52,53,54,60)及び、操作機構(55,61)、臨場感向上装置(56,57,58,59)の3つが設けられている。
【0175】
観察者の保持機構(49,51,52,53,54,60)はZ方向、θx方向に観察者を移動させるZ・θx駆動機構49がZ・θx駆動ベース52を支持し、Z・θx駆動ベース52がθy方向に観察者を移動させるθy駆動機構53を介して仮想駆動ベース54を支持している。仮想駆動ベース54上に椅子51及び操作支持棒55が支持されており、操作支持棒55には制御ユニット61が設けられている。観察者はお尻と足により、椅子51と仮想駆動ベース54上で体を支えられ、手で制御ユニット61を持つことで安定して保持機構に体を預けることができる。又、本装置使用中に気分が悪くなり、倒れたりするのを防止する手段として、体を落下方向に支えるストッパー60及び、シートベルト等が仮想駆動ベース54上に設けられている。
【0176】
一方、操作機構(55,61)は操作支持棒55にオートバイ型のハンドルが付いており、右手には回動式のアクセル、左手には握るタイプのブレーキが付いていて、これらを走査することにより、仮想的な走行時の速度を調節できる。更に、ハンドルを右に切るとθy駆動機構53が僅かに右方向に仮想駆動ベース54を傾け、オートバイと同様に画面に合わせて、自然に右に曲がっているような感覚を起こさせている。又、両手の親指が届く位置に数種類のボタンがあり、緊急時の装置リセット(傾き等を元に戻し、画面をOFFにする)ボタン、画面上で何か操作するための指令ボタン等で構成されている。
【0177】
臨場感向上装置(56,57,58,59)として、扇風機のような送風機構56とそのカバー57が観察者の前方に設けられており、画面内の仮想駆動ベース54の駆動速度に応じて送風量が可変されるように制御されている。更に、画面内のグラフィックの環境条件により送風の温度を制御する温度制御機構59、送風時の香りをコントロールする香り可変機構58が送風機構56の背面に設置されており、観察者に高い臨場感を与えるように、制御されている。
【0178】
特に、この遊戯装置では視野が120°あり、弾性カバー12(図6参照)と所定の音量のイヤホンにて外界からの視覚、聴覚での情報が遮断されているので、高い臨場感からVE酔いを起こし易い環境が整っている。それに対し、この遊戯装置には、前述の仮想駆動ベース54の駆動機構、送風機構56等が設けられているので、これらの働きにより、三半規管の状態を感知面、触覚面で実際の状況に近づけることができる。従って、無限遠像を提供するシステムであるということと併せて、VE酔いを発生する頻度をかなり少なくすることが可能となる。
【0179】
また、仮想駆動ベース54は通常の自転車やオートバイと異なり、未来型移動システムという前提に立ち、空中を浮遊するような感覚を与える機構として設定している。そのため、画面上のでこぼこには追従せず、仮想駆動ベース54自体に振動を与えるようなことはしていない。又、崖を降りたり絶壁を登ったりするときも、視界を確保する意味で、所定量仮想駆動ベース54をZ・θx駆動機構49で傾ける手法をとっている。それにより、周波数の高い仮想駆動ベース54の動きから来る頭の早い動きが無くなり、画像表示装置15が完全に頭の動きに追従する(低い周波数の動きには十分対応可能)。よって、画像表示装置15と頭の位置のずれによる画面の振動も軽減され、VE酔いを起こさなくなる。
【0180】
一般に臨場感が高くなると、VE酔いも起き易いと考えられ易いが、この遊戯装置では、上記のように、高い周波数による画面と体感のずれを小さくし、低い周波数による画面と体感のずれを一致させると共に、車の窓を開けてVE酔いを改善できることを考慮し、仮想速度に合わせて送風を行っているので、臨場感・没入感を維持するとともに、VE酔いを減じることが可能となっている。
【0181】
前述のように、この遊戯装置は未来型移動システムという前提で設計されており、どのようなものでもシミュレーションが可能である。よって、遊戯装置としては、ジェットコースターや電車、コースガイドのような移動コースの決まっている乗り物をシミュレーションする場合、操作機構(55,61)のハンドルは固定され、電車以外はアクセル、ブレーキは設置されていない。顔の動き情報を加味して制御システムにより出力された画面の状況により音声、臨場感向上装置と仮想駆動ベース54の対応が連動して制御されるので、その臨場感を楽しむ機構としてその用途に応じて最適化を図ることができる。
【0182】
また、遊戯装置でも任意のコースを選べるレースや、所定の道を選択して任意の道をたどれるコースガイドについては操作機構(55,61)にハンドル、アクセル、ブレーキ等が設置され、自分の選択した条件で画面、音声、臨場感向上装置と仮想駆動ベース54の対応が連動して制御されるので、ゲーム感覚でその没入感を楽しむ機構としてその用途に応じて最適化を図ることができる。
【0183】
以下、以上説明した遊戯装置の使用方法について、図14〜図16を使用して説明する。図14は観察者がこの遊戯装置の椅子に腰掛けた状態を示しているが、まず観測者が、安全装置であるストッパー60及び、シートベルト等で仮想駆動ベース54に自分自身を固定し、上方にある可動表示機構48を顔面まで引き下ろし、顔面に装着する。その際、画像表示装置15に付帯する眼幅調整システムにより、立体像が不自然に見えないように、眼幅補正機構14と、フォーカス機構で接眼光学系8を前後に動かし、メガネ無しの両目で立体画像が自然に見えるように調整する(図6参照)。
【0184】
次に、顔を任意の方向に傾け、画面情報がその動きに応じて動くか否か確認し、緊急時の装置リセット(傾き等を元に戻し、画面をOFFにする)ボタン、画面上で何かを操作するための指令ボタンが正常に動くか確認を行った後で、装置の利用を開始するように、準備シーケンスが組まれている。
【0185】
図15は、観測者が遊戯装置を使用している様子を示しており、送風機構56からの送風は、上半身に向けて行われている。風を効率良く受けるように、送風機構56と観察者間に大きな障害物が無い構成となっている。
【0186】
図16は、観察者が画面上での仮想絶壁を下る様子を示しており、風向きが下からに変わり、仮想駆動ベース54がZ・θx駆動機構49により前方に大きく傾けられている。図16では後方の部材が伸びているように記載されているが、実際には前方から落ちるので、後ろの高さを固定し、前方を下げるようにした方が臨場感はより向上する。
【0187】
以上、座った状態で行う遊戯装置について説明したが、これは遊戯装置というだけでなく、その場所に行けない状況(例えば観光地、外国、閲覧禁止区域、危険区域、水中、宇宙、仮想的空間)での観光を目的としたバーチャルガイドや、所定の地域(閲覧禁止区域、危険区域、微小区域、水中、宇宙)にビデオカメラを搭載したロボットを送り込み、同ロボットの動きと操作機構(55,61)の操作をリンクして所定の地域移動、画像観察ができる探索システム等に応用できる。
【0188】
また、この分野のVE酔いに関するシミュレーションや三半規管で感じるものと画像で感じるものの不一致、視差による立体画像と酔いの関係等、まだまだ明確な相関がはっきりしていないものが多い。本発明ではこれらのシミュレーション装置としてもベース機構30、制御機構収納部50、可動表示機構48と、観察者の保持機構(49,51,52,53,54,60)及び、操作機構(55,61)、更には臨場感向上装置(56,57,58,59)を全く独立して設置可能なので、幅広い用途に応じてさまざまな応用が行える。
【0189】
更に、座ったまま行う運動としては自転車、ボート等の足と手を使ったものが考えられる。これらは顔の動きが早いものでは無いが、スポーツジム等では単純な運動であり、飽きられる傾向が強い。これらに本発明を応用すると、自転車、ボートの漕ぐスピード、量に応じて、画面上で進行具合を常時確認することができる。又、送風機構も付いているので、臨場感が増すと共に、汗を取る効果もあり、快適にトレーニングを行うことが可能となる。但し、このようなトレーニングに使用する場合は、挟み込み部材19の接触面積を小さくし、接眼レンズ系と眼球間に薄いガラスを挿入し、汗で曇った同ガラスの汗を拭き取るガラスクリーン機構(ガラスを引き出し、入れることで表面を拭く機構)、防曇りガラス、送風機構等を導入することが好ましい。
【0190】
図17は、起立状態で使用する本発明の実施の形態の1例である遊戯装置の構成を示している。ベース機構30、制御機構収納部50、可動表示機構48と、操作機構(55,61)、臨場感向上装置(56,57,58,59)は、図14に示したものとほぼ同じ機構を使用することができる。観察者の保持機構(49,52,53,54,60,62)としては椅子51の代わりに、後方への倒れを防止するストッパー62が新たに設けられている。この起立状態で使用するものとしては、その場所に行けない状況での観光を目的としたバーチャルガイドの中で、気軽に使える観光地、外国、仮想的空間上のものが適している。ほとんど、保持機構(49,52,53,54,60,62)での制御は無く、純粋にその場所の画像のみを短時間で楽しみたい場合に効果的である。
【0191】
また、スポーツジムの歩行器具や足踏み(階段の上り器具)は比較的顔の動きが少ないので、前述の通り、画面上で進行具合を常時確認することができる。又、送風機構も付いているので、臨場感が増すと共に、汗を取る効果もあり、快適にトレーニングを行うことが可能となるという効果が生まれる。
【0192】
図25は、寝た状態で楽しむ遊戯装置の例を示している。これは図14や図17に示したものとは異なり、立った状態で第1胴体保持機構(64,70)を設置し、起立状態から体を寝かせるθx駆動装置(63,65)、前記第1胴体保持機構(64,70)と共に観察者の体重を支え、体の向き等を制御する第2胴体保持機構(66,67)、体を下に向けたり上に向けたりして操作する制御機構(55,61)が設けられている。これはハングライダーや、バンジージャンプ、水中遊泳、宇宙遊泳等を想定した遊戯装置であり、ここで2つの胴体保持機構で体を支えているのは遊戯装置として安全且つ体重の支えを分散し、送風方向も送風可変機構(68,69)にて可変とすることで、浮遊の臨場感を高めるためであり、起立の状態から120°の全視野を覆った状態で寝た状態になること、送風を行うことで、今までに無い臨場感、爽快感を味わうことができる。
【0193】
本発明者は、アミューズメント用に使用されるシミュレーション装置においては、背景画像としてハイビジョン画像を表示し、コンピュータにより形成された画像を重畳して表示することを提案する。コンピュータにより形成された画像には、プログラムにより自動的に作成された画像(例えば射撃の対称となる目標物)と、使用者が操作部から入力した入力情報(例えば射撃の照準)に合わせて作成される画像とがある。
【0194】
図18に、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像を光学的に合成する光学系の概要を示す。この光学系は、基本的に図6に示したものと同じであるので、同じ構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。図18に示す光学系と図6に示す光学系の違いは、図18に示す光学系においては、第2の2次元液晶デバイス23とハーフミラー24が設けられていることである。
【0195】
2次元液晶デバイス23は簡略化して図示しているが、図1に示されるような3色合成機能を有するものである。図1にも示される2次元液晶デバイス3g及び図示していない2次元液晶デバイス3b、3rには、ハイビジョン画像が表示され、色ビーム合成プリズム4を介してハーフミラー24に入射し透過する。コンピュータにより形成された画像は、2次元液晶デバイス23に表示され、ハーフミラー24に入射し反射されて、ハイビジョン画像と合成される。合成された光束は、ズーム光学系に入射し、図6の説明において説明したように、眼球内に投影される。
【0196】
このとき、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が重なる部分においては、ハイビジョン画像を切り抜き状態にしておくと、コンピュータにより形成された画像が前面に出て、ハイビジョン画像がその陰に隠れる効果を出すことができる。これは周知の技術で実現できる。
【0197】
図19に、このようにして合成された画像の例を示す。表示画面81内には、背景としてハイビジョン画像が投影され、その中にコンピュータによって形成された画像である標的物82と射撃の照準83が表示されている。標的物82は、コンピュータ内のプログラムに基づいて形成され、プログラムに従って画面内を移動する。射撃の照準83は、使用者の操作部からの入力に従って、画面内を移動する。
【0198】
図19(a)は初期状態、(b)は標的物82の一つに照準83を合わせて引き金を引き、標的物に命中させたときに表示する画像を示すものであり、爆発した標的物84が異なった形状で表されるようになっている。
【0199】
図20は、ハイビジョン画像の表示方法の例を示す図である。シミュレーション装置中には、図20(a)に示すような広い範囲の全画像情報85が記憶されている。そして、その一部86が実際に2次元液晶デバイスに出力されて、図20(b)に示すように画像として投影されるようになっている。
【0200】
図21においては、(a)に示す全画像情報85のうち、図20に示した部分とは別の一部86’が実際に2次元液晶デバイスに出力されて、図21(b)に示すように画像として投影されている。
【0201】
このように、大きな全画面情報85のうちからどの部分を切り出して表示するかは、使用者の顔面の向きによって定める。すなわち、図9〜図11に示すように、顔面のx、y、z軸周りの回転角を検出するロータリーエンコーダを設け、その出力に応じて、通常人間がその方向を向いたときに中心に見える画像を、画像形成装置の中心に表示するようにする。このようにすると、使用者の顔面の向きに応じて、実際の視野の中心に見えるべきものが視野の中心に表示されることになり、一般のシミュレーション装置のように目玉を動かして目標物を捉える必要が無くなって、使用者は違和感を覚えることなく目標物を捉えることができ、これにより、VE酔いを防止することができる。
【0202】
一般的には、例えば16:9のハイビジョン画像の内、4:3の部分を拡大表示し、左右の動きに応じて表示を16:9の範囲内でハイビジョン画像の範囲内で、拡大表示した4:3の部分の画像の変更を行うようにすることが考えられる。
【0203】
図22は、図20のように、画面中心に視野があった状態(図22(a)に示すように画像情報の一部86が表示されている)から、右側を向いて、図22(b)に示されるように画像情報の一部86’が表示されるようにして、標的物82の一つに照準83を合わせて引き金を引き、標的物に命中させたときに表示する画像を示すものであり、爆発した標的物84が異なった形状で表されるようになっている。
【0204】
シミュレーション装置には、図14から図18を用いて説明したような体感用駆動部が設けられており、表示される画像に応じて、スピード感や、姿勢等を体感できるようになっているものがある。このような体感用駆動部を駆動する場合において、表示されるハイビジョン画像をコンピュータにより制御することが難しい。この実施の形態においては、コンピュータ制御を行わないハイビジョン画像を利用するため、ハイビジョン画像を表示する場合においては、ハイビジョン画像に合わせて予め組み込まれていたシーケンスにより、ハイビジョン画像の投影に合わせて体感用駆動部を駆動するようにする。
【0205】
コンピュータにより形成される画像を表示する場合には、これらの画像は、使用者が操作手段から入力した情報に応じて変わる場合が多いので、表示される画像に合わせて体感制御装置を駆動する。例えば、使用者の位置する場所に振動を与える装置が設けられている場合は、前記のように標的物に命中して爆発した場合に、振動を与えて臨場感を高めるようにする(音響により爆発音を伝えることは勿論行う)。又、ハンググライダー等のシミュレーションにおいては、前出のように、操作装置からの入力に応じて、画像表示を変えると共に使用者の姿勢を変化させる。
【0206】
以上の説明においては、操作部での入力手段を銃の引き金としたが、本発明は無論それに限定されるものでは無く、太鼓のような手で叩いて入力する方法、手の動きを別途CCDで観察し、それに応じたコンピュータ画像を表示させ、コンピュータ出力像との擬似接触により得点するようなバーチャルリアリティ感覚のものを使用できる。
【0207】
又、通常状態では、ハイビジョン画像に同期してシーケンス制御により体感用駆動部を駆動し、操作部からの入力があった場合に、割り込み制御により、その入力に応じて体感用駆動部を制御するようにしてもよい。
【0208】
図23に、ハイビジョン画像を1分程度の短編とし、ゲームにより撃墜得点の高い人に次のステージを選ばせる方法を示している。使用者が選択した風景に応じて次のステージが開始される。このシーケンスを図24を用いて説明していく。
【0209】
図24ではゲーム用画像制御部及びゲーム操作部があり、使用者がゲームを開始した時点では表示画面はコンピュータ出力画面となっている。ここでは使用者の操作パネル入力に合わせてハイビジョン(HV)画像が選択されるが、その間、ハイビジョン画像表示制御部及び、体感部駆動制御部はウェイト状態(静止状態)である。所定のハイビジョン画像を選択させた時点で、ゲーム用画像制御部の出力画像パターンも同ハイビジョン画像に合わせたものが選択され、ゲームの開始と共に、ハイビジョン画像表示制御部及び体感部駆動制御部はお互いに相関するかの如くタイマー制御により独立に制御が開始される。開始と同時にゲーム用画像制御部もゲーム操作部に入力された情報に基づき、コンピュータ出力画像を表示して行く。そしてタイマー駆動が終了と同時に、ハイビジョン画像表示制御部及び、体感部駆動制御部は再びウェイト状態(静止状態)となり、使用者が得た得点等の結果に応じて次のステージに進ませるかの判断、進ませる場合、次のステージのハイビジョン画像選択を使用者に提示し、同様のシーケンスが繰り返される構成となっている。
【0210】
なお、ハイビジョン画像を使用したとしても、本発明のように22.5°以上の広域画像として表示する場合には、液晶デバイスに対し、ハイビジョン画像の画質の悪さが目立つようになる場合がある。そこで、本発明の実施の形態では、視線が集中する視野角±15°以内の画像に対して、画像処理によりハイビジョン画像データを補間することで、デジタル的画像をスムースにすることも行うようにすることが好ましい。このようにすると、補間処理を部分的に行うことで、ハイビジョン画像でも高速化できるという効果も得られる。このように、ゲームでの得点とハイビジョン画像の選択を上手く絡める事により、一回のみならず、複数のバリエーションが考えられ、使用者を飽きさせないアミューズメント装置を提供する事が可能となる。
【符号の説明】
【0211】
1…画像出力制御装置、2,2r,2b,2g,2w…照明系、2wI…偏光ビームスプリッター、3r,3b,3g…2次元液晶デバイス、4…色ビーム合成プリズム、5…リレー拡大光学系、6r,6b,6g…反射型2次元液晶デバイス、7…スクリーン、8…接眼光学系、9…眼球、10…首、11…頭、12…弾性カバー、13…ミラー、14…眼幅補正機構、15…画像表示装置、16…ミラー、17…ミラー、18…耳、挟19…み込み部材、20…弾性部材、21…ミラー、23…2次元液晶デバイス、24…ハーフミラー、26x,26y,26z…ベアリング、27x…x軸回動ユニット、27z…z軸回動ユニット、28…延長板、29…画像表示装置支持棒、30…ベース機構30x,30x’…直交フィールド、30y,30y’…直交フィールド、31…支持棒上下駆動用ガイド、32…カウンターウエイト、33…軟性部材、34…滑車、35…球状コロ、36…配線、37,38…釣具、39…画像処理装置、40…可動ベアリング、41,41a,41b,41c,41d…マジックハンド棒、42…固定ベアリング、51…椅子、52…駆動ベース、53…駆動機構、54…仮想駆動ベース、55…操作支持棒、56…送風機構、57…カバー、58…香り可変機構、59…温度制御機構、60…ストッパー、61…制御ユニット、62…ストッパー、63…θx駆動装置、64…第1胴体保持機構、65…θx駆動装置、66,67…第2胴体保持機構、68,69…送風方向、送風可変機構、70…第1胴体保持機構、L1〜L5…レンズ、L11〜L18…レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームやシミュレーションに使用するプログラムにより動作し、異なる映像を左右の目に表示する事で立体映像を提供する、使用者の顔面に接触し、かつ、使用者の顔面の動きに応じて移動可能な様に、制御用や電力供給用の配線若しくはこれらの情報を空中電送する手段を有する未来移動型の画像表示装置であって、
右目用、及び左目用の2次元型画像形成装置から放出された光を、それぞれ右目用、及び左目用の光拡散体にリレーする右目用、及び左目用のリレー光学系と、前記右目用及び左目用の光拡散体からの拡散光を、視野角±22.5°以上の広域像で、それぞれ右目及び左目の眼球内の網膜上に投影し結像させる右目用、左目用の接眼光学系と、使用者により認識された立体映像が不自然に見えないように前記接眼光学系を調整することで臨場感・没入感を与える画像表示装置であり、時間により変化する前記立体映像は、使用者の選択した前記プログラム条件で、使用者の顔の動き、姿勢情報、使用者が操作手段から入力した情報を加味して、制御システムにより制御される事を特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記光を拡散する光拡散体は金属酸化物や金属炭化物のミクロングレードで精密に粒径が管理された砥粒を透過板上にコーティングしたものであり、前記砥粒はシリコンカーバイド、酸化クロム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムの少なくとも一つであり、前記透過板はポリエステルフィルムとする事で、視野角を±60度以上とし、臨場感・没入感を高める請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記2つの接眼光学系を構成するレンズ面の内少なくとも1面がコーニック定数K<0のコーニック面とされることを特徴とする請求項1又は、請求項2のうちいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の画像表示装置を使用したシミュレーション装置であって、前記画像表示装置に表示される画像に合わせて、使用者に音響以外の体感用の刺激を与えるか、使用者の姿勢を制御する体感用駆動部を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像表示装置を使用したシミュレーション装置であって、前記体感用駆動部は、画像表示装置より前方から送風を行う送風機構を有し、当該送風機構は、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度に応じて送風量を可変する機能を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項6】
前記送風機構が、送風の温度を制御する制御機構を有することを特徴とする請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記送風機構が、送風時の香りを制御する制御機構を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
請求項4に記載の画像表示装置を使用したシミュレーション装置であって、使用者が、画像表示装置に表示される画像によって体感する仮想的移動速度を、手又は足で制御する操作手段を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項9】
前記操作手段にはイマージェンシースイッチが設けられていることを特徴とする請求項8に記載のシミュレーション装置。
【請求項10】
請求項4に記載の画像表示装置を使用したシミュレーション装置であって、前記体感用駆動部は、前記画像表示装置に表示される画像によって体感する使用者の体の傾きに応じて、使用者を支持する部分を傾ける制御装置を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項11】
前記使用者を支持する部分は、使用者を、起立状態又は歩行状態で支持することを特徴とする請求項10に記載のシミュレーション装置。
【請求項12】
前記使用者を支持する部分は、使用者を座った状態、又は座ると共に足で漕いでいる状態で支持すること特徴とする請求項10に記載のシミュレーション装置。
【請求項13】
前記使用者を支持する部分は、使用者が寝た状態で体の一部を吊り上げた状態、又は足とお尻以外の体の部分で全身を支えている状態で支持することを特徴とする請求項10に記載のシミュレーション装置。
【請求項14】
請求項4に記載のシミュレーション装置であって、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が選択されて前記画像表示装置に表示されるものであり、ハイビジョン画像を表示する際には、当該ハイビジョン表示に合わせて予め定められたシーケンスにより、前記体感用駆動部を制御し、コンピュータにより形成された画像を表示する際には、使用者が操作部より入力した入力情報に応じて、コンピュータにより画像を形成すると共に前記体感用駆動部を制御する機能を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項15】
請求項4に記載のシミュレーション装置であって、ハイビジョン画像とコンピュータにより形成された画像が合成されて前記画像表示装置に表示されるものであり、前記体感用制御部は、前記ハイビジョン表示に合わせて予め定められたシーケンスにより、前記体感用駆動部を制御し、一方、使用者が操作部よりした入力情報に応じて、コンピュータにより画像を形成する機能を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載のシミュレーション装置であって、ハイビジョン画像を形成する第1の2次元画像形成装置と、コンピュータにより形成された画像を形成する第2の2次元画像形成装置を有し、第1の2次元画像形成装置と第2の2次元画像形成装置の画像を、光学的に合成する手段を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項17】
請求項16に記載のシミュレーション装置であって、前記第1の2次元画像形成装置が表示可能なハイビジョン画像情報より広い範囲のハイビジョン画像情報を有し、前記画像表示部を装着した場合の使用者の顔面の向きを検出する検出装置の出力に応じて、前記広い範囲のハイビジョン画像情報の一部を前記第1の2次元画像形成装置に形成させる機能を有することを特徴とするシミュレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【公開番号】特開2010−12290(P2010−12290A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209728(P2009−209728)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【分割の表示】特願2004−130597(P2004−130597)の分割
【原出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【出願人】(504462157)
【Fターム(参考)】