説明

画像表示装置及び画像表示方法

【課題】高画質を確保しながら画像投射素子の数を少なくして、コストの低減と小型化できる画像表示装置及びその画像表示装置を用いた画像表示方法を提供すること。
【解決手段】時分割に画像を光束として出射する一つの画像投射素子2と、当該画像投射素子2から出射された光束の光軸が時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向となるように変更可能なポリゴンミラー14とを具備することとした。従って、例えば画像投射素子2から出射された光束を時分割で複数の光軸方向に変更し、スクリーン5の異なる領域にそれぞれ投射することができる。そして、この際、当該時分割ごとに画像投射素子2から画像としての光束を出射するので、画像投射素子の数を減らすことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投射素子を用いた画像表示装置及びその画像表示装置を用いた画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示装置、例えば立体画像表示装置は複数の画像投射素子(プロジェクター)を並列に多数並べ、それらの画像投射素子から投射される画像の合成により立体画像を得ていた。
【0003】
しかし、高画質、高精細な画像を得るためには多数の画像投射素子を用いなければならないが、単位面積当たりの画像投射素子を増やすことにも限界があり、画像表示装置が大型化となってしまうことや多数の画像投射素子が必要であることから製造コストの低減も図れないなどという問題があった。
【0004】
そこで、立体表示方法において、二次元レンズアレイの個々のレンズを立体表示の一画素として、個々のレンズに二次元光源アレイを対応させて垂直方向と水平方向に異なる方向に進む多数の光線を発生させ、垂直方向拡散板で表示角度範囲を垂直方向にのみ広げて、二次元レンズアレイ全体として水平方向に異なる表示方向をもつ画像を二次元光源アレイの光源数だけ生成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表2003−140083号公報(段落[0024]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、二次元画像表示装置として例えば液晶表示パネルを利用すると小型の液晶表示パネルを用いたとしても二次元画像表示装置全体の大きさを十分には小さくできないことやコストを軽減できないという問題が考えられた。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高画質を確保しながら画像投射素子の数を少なくして、コストの低減と小型化できる画像表示装置及びその画像表示装置を用いた画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像表示装置は、時分割に画像を光束として出射する画像投射素子と、前記画像投射素子から出射された前記光束の光軸方向を、前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向となるように変更可能な光学部材とを具備することを特徴とする。ここで、「光学部材」とは、例えばミラーであるがこれに限られるものではなく、光軸方向を変えることができるものであればよい。
【0008】
本発明では、時分割に画像を光束として出射する画像投射素子と、当該画像投射素子から出射された光束の光軸が時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向となるように変更可能な光学部材とを具備することとした。従って、例えば一つの画像投射素子から出射された光束を時分割で複数の光軸方向に変更し、スクリーン等の異なる領域にそれぞれ投射することができる。そして、この際、当該時分割ごとに画像投射素子から画像としての光束を出射するので、結局当該スクリーンには複数の画像投射素子から夫々画像が投射されたのと同様の画像情報を提供できることとなり、その分、画像投射素子の数を減らすことが可能となる。
【0009】
また、画像投射素子から時分割に出射する画像情報の精度を高めることができれば、当該時分割をより細分化して、究極的には一つの画像投射素子により高画質な映像を提供できる。
【0010】
本発明の一の形態によれば、前記光学部材は、前記画像投射素子から出射された前記光束を反射させるミラーを有し、当該ミラーを回動させて前記反射する光束の光軸方向を、前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なるものとできることを特徴とする。これにより、より多くの異なる光軸方向を生成でき、多数の画像投射素子の代わりを果たすことができ、より少ない画像投射素子により高画質な映像を提供できる。
【0011】
本発明の一の形態によれば、前記ミラーの回動及び前記時分割の少なくともいずれかを制御することで前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる前記光軸方向とする制御部を更に備えることを特徴とする。これにより、ミラーの回動のタイミングや速度等をコントロールして当該時分割の夫々のときに同期させることができるし、時分割の夫々のとき自体をコントロールしてミラーの回動のタイミングに同期させることも可能となる。
【0012】
本発明の一の形態によれば、前記ミラーは、多角柱の側面に配置された複数のミラーを有し、前記多角柱の柱軸を中心軸として前記ミラーを回動させることで前記光軸方向の変更を連続的なものとできることを特徴とする。これにより、画像投射素子から出射される光束のミラーによる反射角を連続的に変更でき、より精細な光軸方向の変更が可能となる。また、当該多角柱を回転させることにより、周期的に光軸方向を変更できる。
【0013】
本発明の一の形態によれば、前記光学部材から出射された前記光束を受け、当該光束をその光軸方向に水平な方向には拡散せず、垂直方向に拡散する垂直拡散板を有するスクリーンを更に備えることを特徴とする。これにより、縦ラインの合成画像により観察者は高画質で奥行きのある画像を見ることができる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、前記画像投射素子は、複数の画像投射素子からなり、少なくとも同じ画像投射素子から出射され前記光学部材により光軸方向が変更された各光軸が、前記スクリーンの夫々異なる位置に入射するものであることを特徴とする。これにより、液晶表示素子のように応答速度の遅い表示素子であっても、より少ない画像投射素子の数で高画質な画像を提供できる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記複数の画像投射素子は、各画像投射素子から出射される前記光束の光軸方向が水平面方向で夫々平行であることを特徴とする。これにより、光学部材により変更された光軸方向をスクリーンに対し水平面方向に平行とすることが容易となり、より容易に高画質な映像を提供できる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、前記複数の画像投射素子は、第1及び第2の画像投射素子を有し、前記光学部材は、前記第1の画像投射素子からの光束が入射する第1の光学部材と前記第2の画像投射素子からの光束が入射する第2の光学部材を有し、前記第1の光学部材により光軸方向が変更された第1の光軸と前記第2の光学部材により光軸方向が変更された第2の光軸とが、前記スクリーンの夫々異なる位置に入射するものであることを特徴とする。ここで、「第1の光学部材」及び「第2の光学部材」とは、「光学部材」と同様、例えばミラーであるがこれに限られるものではなく、光軸方向を変えることができるものであればよい。これにより、複数の画像投射素子からスクリーンへの画像投射の効率化が図れ、応答速度の遅い表示素子でも更に必要な画像投射素子数を少なくできる。また、光軸方向が変更された光束を夫々の光学部材を制御してより容易に所望のスクリーンの位置に入射でき、更に高画質な映像を提供できる。
【0017】
本発明の一の形態によれば、前記複数の画像投射素子は夫々の時分割が同期していることを特徴とする。これにより、複数の画像投射素子によりスクリーンに纏まりのある画像を投射できる。
【0018】
本発明の他の形態に係る画像表示方法は、時分割に画像を光束として画像投射素子から当該光束の光軸方向を変更可能な光学部材に出射するステップと、前記光学部材に入射された前記時分割ごとの光束を、前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向に変更して出射するステップとを具備することを特徴とする。
【0019】
本発明では、光学部材に入射された時分割ごとの光束を当該時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向に変更して出射するステップを具備することとした。従って、例えば一つの画像投射素子から出射された光束を時分割で複数の光軸方向に変更し、スクリーン等の異なる領域にそれぞれ投射することができる。そして、この際、当該時分割ごとに画像投射素子から画像としての光束を出射するので、結局当該スクリーンには複数の画像投射素子から夫々画像が投射されたのと同様の画像情報を提供できることとなり、その分、画像投射素子の数を減らすことが可能となる。
【0020】
また、画像投射素子から時分割に出射する画像情報の精度を高めることができれば、当該時分割をより細分化して、究極的には一つの画像投射素子により高画質な映像を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、高画質を確保しながら画像投射素子の数を少なくして、より画像表示装置を低コスト化、小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。尚、以下の説明では、画像表示装置の一例として立体画像表示装置について説明するが、勿論これに限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示装置の概略を示す斜視図、図2は、画像投射素子及びポリゴンミラーを説明する部分平面図、図3は、画像表示装置の制御ブロック図及び図4は、スクリーンの概略を示す斜視図である。
【0024】
立体画像表示装置1は、例えば図1に示すように一つの画像投射素子2、その画像投射素子2から出射された光束の光軸方向を変更するミラーを有するミラー部3、その画像投射素子2に時分割に画像信号を送り、当該時分割やミラーの回動を制御する制御部4、そのミラーにより反射された光束としての像光が投射されるように配置されたスクリーン5及び当該画像投射素子2及びミラー部3やスクリーン5等を支えるベース6等を有する。
【0025】
ここで、画像投射素子2は例えば図2に示すように円筒状の後部筒体7、直方体状の箱体(筺体)8及び前部筒体9を有しており、箱体8は、後部筒体7と前部筒体9とに挟まれるように配置されている。
【0026】
後部筒体7には、例えば光源として光を出射するLED(Light Emitting Diode)10が内蔵されており、LED10から出射された光が箱体8内に進入できるように箱体8に接続されている。また、後部筒体7は当該LED10から出射された光を平行光とする図示しない照明用光学系が内蔵されている。
【0027】
箱体8には、例えば図2に示すようにその内部に光学変調素子としての透過型の液晶表示素子11が保持されており、LED10からの光の強度を変調し画像を生成し前部筒体内に出射することができる。
【0028】
前部筒体9は、例えば図2に示すように平板状のプロジェクターベース12に保持されており、内蔵されたレンズ系13により、液晶表示素子11により生成された画像を一つの光軸B(図2中のB)を有する光束としてミラー部3に出射する。
【0029】
次に、ミラー部3は例えば図1及び図2に示すようにミラーとしての多角柱の側面に複数のミラーが形成されたポリゴンミラー14、そのポリゴンミラー14の柱軸C(図2中のC)を中心軸として当該ポリゴンミラー14を回動(回転)させる後述するモータの駆動力をポリゴンミラー14に伝えるミラー回転軸16等を有する。
【0030】
例えばポリゴンミラー14は、図1及び図2に示すように断面が6角形の多角柱の6つの側面に夫々複数のミラーとしての平面ミラー14a,14b,14c,14d,14e,14fが配置されており、夫々の平面ミラー14a〜14fの側端縁が互いに連続するように形成されている。
【0031】
また、ポリゴンミラー14は図2に示すように画像投射素子2から出射された光束の光軸Bが、例えば平面ミラー14aに入射するようにミラー回転軸16に保持されており、そこで反射され光軸方向を変更された光束の光軸Dがスクリーン5の観察側と反対側の面に入射するように配置されている。
【0032】
次に、制御部4は例えば図3に示すようにメモリ17a,17b,17c、マルチプレクサ18、切替えスイッチ19、コントローラ20、ロータリエンコーダ21及びモータ22等を有する。
【0033】
メモリ17a,17b,17cは、図示しない例えば三つのカメラにより夫々撮像され、スクリーン5に投射する縦ライン画像の基礎となる画像情報を夫々記憶しており、マルチプレクサ18は例えば当該メモリ17a,17b,17cに記憶された画像情報を基に、画像処理や合成処理を行い、縦ライン画像情報を生成する。
【0034】
切替えスイッチ19は、マルチプレクサ18から出力される縦ライン画像情報ごとの画像信号を所定の時分割に同期させ順次切替えながら液晶表示素子11に出力する。ここで、液晶表示素子11は例えば図3に示すように液晶コントローラ30、液晶ドライバ23及び複数の画素で構成される液晶パネル24等を有する。液晶コントローラ30は、コントローラ20の制御の下で液晶ドライバ23に制御信号を出力する。液晶ドライバ23は、切替えスイッチ19からの画像信号及び液晶コントローラ30からの制御信号を受け、液晶パネル24中の図示しない例えばTFT(Thin Film Transistor)にデータ信号を印加する。これにより、所定の画素の液晶に電圧が印加され、透過光の強度が変調されて、液晶表示素子全体として所定の画像を生成するものである。
【0035】
ロータリエンコーダ21は、例えばポリゴンミラー14のミラー回転軸16に設けられており当該ミラー回転軸16の回動に伴い所定のパルスを出力するものであり、当該出力信号をコントローラ20が受信し、例えば当該パルスをカウントすることによりミラー回転軸16の回転角度、すなわちポリゴンミラー14の回転角度の変化等を検出できる。例えばこの情報に基づき、コントローラ20が当該ポリゴンミラー14の回動に同期した時分割情報を切替えスイッチ19の送ることができる。
【0036】
次に、スクリーン5は、例えば図4に示すようにポリゴンミラー14からの光を平行光線に変換するフレネルレンズシート25、その平行光線をその光線の方向に対し垂直方向(図4中のZ軸方向)に屈折させる垂直拡散板としてのレンチキュラーシート26、その屈折された光線を拡散させる拡散部材27等を有する。
【0037】
ここで、フレネルレンズシート25はレンズ系13から出射された投射光をレンチキュラーシート26に対して垂直に近い角度(図4中のY軸方向)の略平行光線に変換する。
【0038】
レンチキュラーシート26は、例えば図4に示すようにレンズ系側のシリンドリカルレンズ部26a及び観察者側のレンズ基部26bを有する。当該シリンドリカルレンズ部26aは、平板状のレンズ基部26bに水平方向に等しく略半円状の断面で延びるシリンドリカルレンズが複数垂直方向に並設されている。これにより、平行光線をその方向に対し垂直方向(図4中のZ軸方向)に屈折させ散乱させることができる。
【0039】
また、拡散部材27は全方向に拡散させるもので、例えば無機化合物を透明樹脂内に分散混合させる等の方法により製造できる。勿論、全方向に拡散する拡散部材である必要はなく、例えば特定の拡散特性を持たせたホログラム拡散シートであってもよい。
【0040】
以上のように構成された立体画像表示装置1による画像表示方法について特に光の進み方を中心に説明する。図5は、立体画像表示装置の光に進み方の説明図及び図6は、ポリゴンミラーからの光が観察者に立体画像として進む様子の説明図である。
【0041】
原理的に立体画像表示装置では、観察者の左右の眼に対して、対応する視差情報を入れるために、スクリーン後方(観察者から見て)に複数の画像投射素子(プロジェクター)を配置することと、スクリーンの拡散板を垂直方向だけの拡散で水平方向はほとんど拡散しないように設定することで、左右の眼に対して別々の画像情報を入力できるようになる。
【0042】
このとき左右の眼には、例えば第1の画像としての1つ目の画像投射素子の情報は当該拡散板によって、垂直方向にしか拡散されないため、縦ラインの表示として見える。隣の表示ラインはその隣の例えば第2の画像としての2つ目の画像投射素子からの表示情報が眼に入るため、複数の画像投射素子から夫々必要な情報が眼に入るようになっている。
【0043】
これにより、左右の眼に見えるスクリーン上の画像は各画像投射素子による縦ライン表示の合成画像として見えることとなる。
【0044】
本実施形態では、この各画像投射素子による縦ライン表示を一つの画像投射素子からの複数の縦ライン表示として合成画像を形成しようとするものである。
【0045】
以下具体的に説明する。
【0046】
まず、例えば図5に示すようにプロジェクターベース12に保持された画像投射素子2の後部筒体7に内蔵されたLED10の電極に所定の電流が供給されると、当該LED10の光出射側から光が出射され、同じく後部筒体7に内蔵された照明用光学系により例えば平行光とされ、当該平行光が液晶表示素子11に照射される。
【0047】
このとき、平行光が照射された液晶表示素子11は、例えば制御部4の切替えスイッチ19から所定の時分割で送られてくる画像T1〜Tn等の画像信号を液晶ドライバ23に受信し、入射した光を画素ごとに変調し、画像T1〜Tn等を生成している。従って、例えば当該液晶表示素子11が透過型であるときは、その画像を透過した光が前部筒体9のレンズ系13に入射し、ポリゴンミラー14に向けて時分割された画像T1〜Tn等としての光束が出射されることとなる。
【0048】
ここで、例えば図3及び図5に示すようにコントローラ20は、液晶表示素子11に表示させる画像T1〜Tn等の縦ライン画像情報を送信するようマルチプレクサ18に指示する。マルチプレクサ18は、画像T1〜Tn等の縦ライン画像情報を例えばメモリ17a,17b,17cに記憶されている画像情報を夫々選択し処理、合成して生成する。すると、コントローラ20はその生成された縦ライン画像情報を切替えスイッチ19に送信させ、当該切替えスイッチ19はコントローラ20の制御下、所定の時分割ごとに例えば0.01736ms(120フレームレートの液晶を縦に使った場合、その液晶の解像度が640×480ドットとして 1÷120÷480=0.01736msとなる。)ごとに画像T1〜Tn等の画像信号を一つずつ液晶ドライバ23に送信することとなる。
【0049】
このとき、コントローラ20は光学部材としてのポリゴンミラー14の回転速度とその回転角度の変化を例えばミラー回転軸16に設けられたロータリエンコーダ21からのパルス信号により読み取る。そして、コントローラ20は読み取ったポリゴンミラー14の回転速度等の情報から画像T1〜Tn等の画像信号を例えばどういう時分割で液晶ドライバ23に送信すれば、当該時分割ごとの一の時とその次の時とで当該画像T1〜Tn等の光束ごとの光軸方向を変更できるか、即ち一番適当な時分割を選択、制御してその時分割情報を切替えスイッチ19に送信する。
【0050】
例えばn=50の時分割のタイミングのときに図5に示す実線Hの状態であるポリゴンミラー14が、n=51の時分割のタイミングのときに図5に示す破線Iのポリゴンミラー14に移動する。すると、n=50の時は画像投射素子2から出射された画像T50の光束の光軸Bは、ポリゴンミラー14の平面ミラー14aにより反射され実線で表す光軸Eの方向に変更されてスクリーン上の例えばS50の位置に入射することとなる。一方、その次の時分割のタイミングであるn=51では、次の画像であるT51の光束は同じ光軸Bとして画像投射素子2から出射され、同じ平面ミラー14aにより反射されるが、当該ポリゴンミラー14が図5に示すように例えばθ1だけ回動しているのでその反射された光軸Fは破線のように光軸の方向が変更される。そして、その変更された光軸Fはスクリーン5のS50の隣のS51に入射することとなる。
【0051】
すなわち、コントローラ20は、ポリゴンミラー14が実線Hの状態からθ1だけ回動し、破線Iの状態になったときに例えば時分割のn=50がn=51となるように時分割を選択、制御し、当該ポリゴンミラー14の回動に同期させることになる。
【0052】
次に、スクリーン5での光の動作を簡単に説明する。
【0053】
ポリゴンミラー14により光軸方向を変更された光軸Fの光束は、例えば図4に示すようにスクリーン5のポリゴンミラー側のフレネルレンズシート25に入射し、略平行光に変換されて当該フレネルレンズシート25を出射してレンチキュラーシート26に入射する。
【0054】
ここで、レンチキュラーシート26に入射した平行光は、シリンドリカルレンズ部26aにより垂直方向(図4中のZ軸方向)に屈折されて拡散した後、その屈折された光は拡散部材27に入射し、水平方向にはほとんど拡散しないで当該拡散部材27から画像としての像光として出射する。
【0055】
そして、例えば図6に示すように拡散部材27から出射した像光は、観察者の左右の眼28に対し、立体画像を構成する画像情報の内の一つである横方向に分割された一部の画像情報を表示することとなる。
【0056】
このとき、スクリーン5をその垂直方向には大きな拡散角を有し、水平方向にはほとんど拡散しない構成としているので、1つの画像投射素子2から時分割でスクリーン5に送られてきた画像T50及びT51の像光は水平方向にはほとんど拡散せず、縦ライン表示J1及びJ2として観察者には見えることとなる。
【0057】
以上のように画像投射素子2から出射された画像T50及びT51の光束はポリゴンミラー14とスクリーン5とにより動作するが、このような動作は当該画像投射素子2による他の時分割された画像の光束においても略同様である。
【0058】
更にポリゴンミラー14が回動して、平面ミラー14aの次の平面ミラー14bに画像投射素子2からの時分割された画像の光束が入射するようになると、平面ミラー14aと同様に時分割された画像T´1〜T´n等の光束が当該平面ミラー14bにより夫々スクリーン5の平面ミラー14aのときと同じ分割された位置に入射するようにその光軸方向が変更されることとなる。
【0059】
また、所定の時分割された画像T´1〜T´n等が夫々スクリーン5に出射されると次の平面ミラー14cに画像投射素子2からの時分割された画像の光束が入射されることとなり、ポリゴンミラー14が回動するにつれて次々と平面ミラー14a〜14fまでにより、光軸方向が変更される。そして、ポリゴンミラー14が一回転してまた平面ミラー14aによって光軸方向が変更されるようになり、結局連続して一つの画像投射素子2からの時分割された画像の光束をスクリーン5の夫々の位置に投射することになる。
【0060】
スクリーン5への投射は、例えばポリゴンミラー14によりその光軸方向を変更され時分割で異なる角度でスクリーン5に投射されることとなる。ここで、当該角度は例えばポリゴンミラー14が図6に示すように断面6角形の多角柱であるとすると一つの平面ミラー14aの次の平面ミラー14bが来て光軸方向を変更するまでとなるので、±30°となる。液晶の応答速度が早ければ光線本数を稼げるので、できるだけ広い角度から見えたほうが3D映像としては好ましい。ただし、実際には応答速度に限界があり、1画素当りの光線密度が減るので画角を広くすることは好ましくない。従ってMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)のような高速応答が可能な表示デバイスであれば例えば約±10°となる。
【0061】
従って、ポリゴンミラー14の形状は断面6角形の多角柱に限られるものではなく、それより角数の多い断面形状でもいいし、それより角数の小さい多角柱であっても良い。
【0062】
尚、上述の説明ではコントローラ20は例えばロータリエンコーダ21からのポリゴンミラーの回転速度等の情報に基づき適切な時分割情報を選択、制御して切替えスイッチ19に送信し当該時分割ごとに当該切替えスイッチ19が画像T1〜Tn等の画像信号を液晶ドライバ23に送信することとした。
【0063】
しかし、制御部4による制御はこれに限られるものではなく例えば、コントローラ20は切替えスイッチ19に予め定められた時分割ごとに画像T1〜Tn等の画像信号を一つずつ液晶ドライバ23に送信させるようにしてもよい。
【0064】
このとき、コントローラ20は光学部材としてのポリゴンミラー14に入射された時分割ごとの画像T1〜Tn等の光束を、当該時分割ごとの一の時とその次の時とで異なる光軸方向に変更できるように、モータ22を制御する。
【0065】
例えばコントローラ20は、上述した時分割のn=50がn=51となったときにポリゴンミラー14が実線Hの状態からθ1だけ回動し、破線Iの状態になるようにモータ22の回転速度や回転タイミングを制御し、当該時分割に同期させる。例えばミラー回転軸16に設けられたロータリエンコーダ21からのパルス信号によりポリゴンミラー14の回転速度とその回転角度の変化を読み取り、予め記憶された時分割情報と比較して同期させることができる。
【0066】
このように本実施形態によれば、時分割に画像を光束として出射する一つの画像投射素子2と、当該画像投射素子2から出射された光束の光軸が時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向となるように変更可能なポリゴンミラー14とを具備することとした。従って、例えば画像投射素子2から出射された光束を時分割で複数の光軸方向に変更し、スクリーン5の異なる領域にそれぞれ投射することができる。そして、この際、当該時分割ごとに画像投射素子2から画像としての光束を出射するので、結局当該スクリーン5には複数の画像投射素子から夫々画像が投射されたのと同様の画像情報を提供できることとなり、その分、画像投射素子の数を減らすことが可能となる。
【0067】
また、ポリゴンミラー14の回動及び時分割の少なくともいずれかを制御することで時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向とする制御部4を更に備えることとした。従って、ポリゴンミラー14の回動のタイミングや速度等をコントロールして当該時分割の夫々のときに同期させることができるし、時分割の夫々のとき自体をコントロールしてポリゴンミラー14の回動のタイミングに同期させることも可能となる。
【0068】
更にポリゴンミラー14は、多角柱の側面に配置された複数の平面ミラー14a〜14fを有し、当該多角柱の柱軸であるミラー回転軸16を中心軸として回動させることで光軸方向の変更を連続的なものとすることとした。従って、画像投射素子2から出射される時分割された画像の光束の光軸変更を連続的に変更でき、より動画等の高画質で奥行きのある画像を提供できる。
【0069】
また、ポリゴンミラー14により光軸を変更された光束を受け、当該光束をその光軸方向に水平な方向には拡散せず、垂直方向に拡散する垂直拡散板としてのレンチキュラーシート26を有するスクリーン5を更に備えることとした。従って、縦ラインの合成画像により観察者は高画質で奥行きのある画像を見ることができる。
【0070】
更に時分割に画像を光束として画像投射素子2から当該光束の光軸方向を変更可能なポリゴンミラー14に出射するステップと、当該ポリゴンミラー14に入射された時分割ごとの光束を、当該時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向に変更して出射するステップとを具備することとした。
【0071】
従って、画像投射素子2から出射された光束を時分割で複数の光軸方向に変更し、スクリーン5の異なる領域にそれぞれ投射することができる。そして、この際、当該時分割ごとに画像投射素子2から画像としての光束を出射するので、結局当該スクリーン5には複数の画像投射素子から夫々画像が投射されたのと同様の画像情報を提供できることとなり、その分、画像投射素子の数を減らすことが可能となる。
【0072】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る画像投射素子及びポリゴンミラーの説明図である。尚、これ以降の発明の説明では、上述した実施形態に係る立体画像表示装置の部材や機能等について同様なものは説明を簡略または省略して、異なる点を中心に説明する。
【0073】
例えば図7に示すように立体画像表示装置1には、画像投射素子がプロジェクターベース12に3つ第1の画像投射素子2a、第2の画像投射素子2b及び第3の画像投射素子2cとして並設されており、ポリゴンミラーも第1の画像投射素子2aからの光束が入射する第1の光学部材としての第1のポリゴンミラー140、第2の画像投射素子2bからの光束が入射する第2の光学部材としての第2のポリゴンミラー141及び第3の画像投射素子2cからの光束が入射する第3のポリゴンミラー142を有する点で、上述した実施形態と異なる。
【0074】
具体的には第1、第2及び第3の画像投射素子2a,2b,2cは、例えば図7に示すように夫々のレンズ系13から出射された光束の光軸方向B1,B2,B3が略水平面方向(図7中のXY軸方向)で夫々平行になるように、具体的には図7中のX軸方向に平行になるようにプロジェクターベース12に並設されて保持されている。尚、第1、第2及び第3の画像投射素子2a,2b,2cは、夫々が上述した実施形態の画像投射素子2と同じ構成、例えば後部筒体7、箱体8、前部筒体9、LED10、液晶表示素子11及びレンズ系13を有するのでその説明を省略する。
【0075】
また、第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142は夫々が上述の実施形態のポリゴンミラー14と同様の構成を有し、夫々平面ミラー140a,140b,140c,140d,140e,140fと平面ミラー141a,141b,141c,141d,141e,141d及び平面ミラー142a,142b,142c,142d,142e,142fを有する。
【0076】
更に第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142は、夫々のミラー回転軸16が図7中のZ軸に平行となるように図7中で紙面に垂直に、かつ第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142の夫々がぶつからないよう配置されている。また、例えばプロジェクターベース12に対し第1のポリゴンミラー140が一番近く、次に第2のポリゴンミラー141が配置され、一番遠くに第3のポリゴンミラー142が配置されている。
【0077】
また、図7に示すように第1のポリゴンミラー140は、回転しており、あるタイミングでは第1の画像投射素子2aから出射された光束の光軸B1が、例えば平面ミラー140aの略中央に入射するようにミラー回転軸16に保持されている。そして第1のポリゴンミラー140は、当該平面ミラー140aで反射され光軸方向を変更された光束の光軸D1が、スクリーン上の位置を示す例えばK28の位置で観察側と反対側の面に入射するように配置されている。
【0078】
更に第2のポリゴンミラー141は、同様に回転し、あるタイミングで第2の画像投射素子2bから出射された光束の光軸B2が、平面ミラー141aの略中央に入射するようにミラー回転軸16に保持されている。そして第2のポリゴンミラー141は、当該平面ミラー141aで反射され光軸方向を変更された光束の光軸D2がスクリーン5の例えばK84で観察側と反対側の面に入射するように配置されている。
【0079】
また、第3のポリゴンミラー142は、同様にあるタイミングでは第3の画像投射素子2cから出射された光束の光軸B3が、平面ミラー142aの略中央に入射するようにミラー回転軸16に保持されている。そして第3のポリゴンミラー142は、当該平面ミラー142aで反射され光軸方向を変更された光束の光軸D3が、スクリーン5の例えばK140で観察側と反対側の面に入射するように配置されている。
【0080】
すなわち、第1の光学部材としての第1のポリゴンミラー140により光軸方向が変更された第1の光軸としての例えばD1と第2及び第3の光学部材としての第2及び第3のポリゴンミラー141,142により光軸方向が変更された第2及び第3の光軸としての例えばD2,D3とが相互にスクリーン5の夫々異なる位置に入射するように第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142が形成し配置されている。
【0081】
次に制御部4は、メモリ17a,17b,17c、マルチプレクサ18、切替えスイッチ19、コントローラ20、ロータリエンコーダ21a,21b,21c及びモータ22等を有する。
【0082】
ここで、切替えスイッチ19は例えばマルチプレクサ18から出力される縦ライン画像情報ごとの画像信号を同じ時分割で順次切り替えながら第1、第2及び第3の画像投射素子2a,2b,2cの夫々の液晶表示素子11に出力する。このとき、夫々の液晶表示素子に出力される画像信号は同じ一つの時分割に同期させてある。
【0083】
また、ロータリエンコーダ21a,21b,21cは例えば第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142のミラー回転軸16に夫々設けられており、当該ミラー回転軸16の回動に伴い所定のパルスを出力するものである。そして、当該出力信号をコントローラ20が受信し、例えば当該パルスをカウントすることによりミラー回転軸16の回転角度、すなわち第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142夫々の回転角度の変化等を検出できる。例えばこの情報に基づき、コントローラ20が当該第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142夫々の回動に同期するように時分割情報を制御し、切替えスイッチ19に送ることができる。
【0084】
勿論、逆に例えばコントローラ20が、当該パルスをカウントすることにより夫々のミラー回転軸16の回転角度、即ち第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142夫々の回転角度の変化を計測し、予め定められた時分割に同期するようモータ22の回動を制御してもよい。
【0085】
以上のように構成された立体画像表示装置による画像表示方法については、3つの画像投射素子2a,2b,2cと3つの第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142によりスクリーンに画像の光束を投射する点が上述の実施形態と異なるのでその点を中心に説明をする。図8は、3つの画像投射素子と3つのポリゴンミラーとを有する立体画像表示装置の光に進み方の説明図である。
【0086】
例えば図3及び図8に示すようにコントローラ20は、所定の時分割で液晶表示素子11に表示させる画像Ua1〜Uan、Ub1〜Ubn及びUc1〜Ucn等の縦ライン画像情報を送信するようマルチプレクサ18に指示する。マルチプレクサ18は、画像Ua1〜Uan、Ub1〜Ubn及びUc1〜Ucn等の縦ライン画像情報をメモリ17a,17b,17cに記憶されている画像情報を選択し処理、合成して生成する。
【0087】
すると、コントローラ20はその生成された縦ライン画像情報を切替えスイッチ19に送信させ、当該切替えスイッチ19はコントローラ20の制御下、所定の時分割ごとに、例えば図8に示すように時分割がn=1のときは画像Ua1の画像信号を画像投射素子2aの液晶ドライバ23に送信すると共に画像Ub1の画像信号は画像投射素子2bの液晶ドライバ23に、画像Uc1の画像信号は画像投射素子2cの液晶ドライバ23に夫々送信する。
【0088】
次の時分割n=2のときも同様に画像Ua2,Ub2,Uc2の画像信号を夫々画像投射素子2a,2b,2cの液晶ドライバ23に送信する。このように切替えスイッチ19は、画像Ua1〜Uan、Ub1〜Ubn及びUc1〜Ucn等の画像信号を一つずつ3つの画像投射素子2a,2b,2cにスイッチングして送信することとなる。
【0089】
また、画像投射素子2aの液晶表示素子11は、制御部4の切替えスイッチ19から所定の時分割で送られてくる画像Ua1,Ua2,Ua3等の画像信号を液晶ドライバ23に受信し、入射した光を画素ごとに変調し、画像Ua1,Ua2,Ua3等を生成している。従って例えば当該液晶表示素子11が透過型であるときは、その画像を透過した光が前部筒体9のレンズ系13に入射し、第1のポリゴンミラー140に向けて時分割された画像Ua1,Ua2,Ua3等としての光束が出射されることとなる。
【0090】
同様に画像投射素子2b、2cの液晶表示素子11も、制御部4の切替えスイッチ19から所定の時分割で送られてくる画像Ub1,Ub2,Ub3等、画像Uc1,Uc2,Uc3等の画像信号を液晶ドライバ23に受信し、入射した光を画素ごとに変調し、画像Ub1,Ub2,Ub3等、画像Uc1,Uc2,Uc3等を夫々生成している。従って、その画像を透過した光が前部筒体9のレンズ系13に入射し、第2、第3のポリゴンミラー141,142に向けて時分割された画像Ub1,Ub2,Ub3等、画像Uc1,Uc2,Uc3等としての光束が出射されることとなる。
【0091】
このとき、コントローラ20は光学部材としての第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142の回転速度とその回転角度の変化を例えば夫々のミラー回転軸16に設けられたロータリエンコーダ21a,21b,21cからのパルス信号により読み取る。そして、コントローラ20は読み取った例えば第1のポリゴンミラー140の回転速度等の情報から画像Ua1〜Uan等の画像信号を例えばどういう時分割で液晶ドライバ23に送信すれば、当該時分割ごとの一の時とその次の時とで当該画像Ua1〜Uan等の光束ごとの光軸方向を変更できるか、即ち一番適当な時分割を選択、制御してその時分割情報を切替えスイッチ19に送信する。
【0092】
具体的には、例えばn=55の時分割のタイミングで画像投射素子2aから出射された画像Ua55の光束の光軸B1は、図8に示すように平面ミラー140aによりその光軸方向が変更され、光軸E1となる。当該光軸E1は、例えばスクリーン5のK55の位置に入射する。
【0093】
次の時分割n=56のタイミングで画像投射素子2aからは次の画像Ua56の光束が同じ光軸B1として、平面ミラー140aに入射するが、この時平面ミラー140aは第1のポリゴンミラー140の回動に伴い、その傾きを変化させており、これにより光軸方向を変更された光軸F1はスクリーン5の先ほどのK55の隣であるK56の位置に入射することとなる。
【0094】
即ち、コントローラ20は、第1のポリゴンミラー140がθ2だけ回動し平面ミラー140aの傾きが変化して、当該平面ミラー140aにより反射された光束の光軸F1がスクリーン5のK56の位置に入射するようになったときに、時分割のn=55がn=56となるように時分割を選択、制御し、当該第1のポリゴンミラー140の回動に同期させることになる。
【0095】
尚、時分割n=56の次の時分割n=57では第1のポリゴンミラー140によりその光軸方向が変更されスクリーン5に入射する位置は、例えば図8に示すように直ぐ隣のK57ではなく、最初の位置であるK1に戻ることとなる。
【0096】
即ち、コントローラ20は、第1のポリゴンミラー140の平面ミラー140aの次の平面ミラーである140bが画像投射素子2aからの光束を受け、当該光束の光軸方向を変更してスクリーン5のK1の位置に入射できるような位置に来たときに、次の時分割n=57となるように当該時分割を制御することとなる。
【0097】
同様に、コントローラ20は第2、第3のポリゴンミラー141,142に入射された時分割ごとの画像Ub1〜Ubn等、Uc1〜Ucn等の光束を、当該時分割ごとの一の時とその次の時とで異なる光軸方向に変更できるように、当該時分割を制御してその時分割情報を切替えスイッチ19に送信する。
【0098】
以上の制御によりスクリーン5全体としては例えば3つの画像投射素子2a,2b,2cと3つの第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142により高画質な立体映像を提供できる。
【0099】
尚、上述の説明では3つの画像投射素子2a,2b,2cごとに同じ時分割で画像Ua1〜Uan、Ub1〜Ubn、Uc1〜Ucnの画像信号を夫々の液晶ドライバ23に送信することとしたが、勿論これに限られるものではない。例えば図9に示すように一つの時分割による画像U1〜Un等の画像信号を3つの画像投射素子2a,2b,2cに振り分けても良い。尚、図9は一つの時分割による画像を振り分ける場合の説明図である。
【0100】
例えばコントローラ20は、マルチプレクサ18に生成された縦ライン画像情報を切替えスイッチ19に送信させ、当該切替えスイッチ19はコントローラ20の制御下、所定の時分割ごとに、例えば図9に示すように時分割がn=1のときは画像U1の画像信号を画像投射素子2aの液晶ドライバ23に送信し、次の時分割n=2のときは画像U2の画像信号を画像投射素子2bの液晶ドライバ23に送信する。更に当該切替えスイッチ19は、時分割n=3のときは画像U3の画像信号を画像投射素子2cの液晶ドライバ23に送信し、次の時分割n=4のときはまた、画像投射素子2aに戻って画像U4の画像信号を送信する。このように切替えスイッチ19は、画像U1〜Un等の画像信号を一つずつ3つの画像投射素子2a,2b,2cにスイッチングにより振り分けて送信することとなる。
【0101】
また、画像投射素子2aの液晶表示素子11は、例えば制御部4の切替えスイッチ19から所定の時分割で送られてくる画像U1,U4,U7等の画像信号を液晶ドライバ23に受信し、入射した光を画素ごとに変調し、画像U1,U4,U7等を生成している。従って例えば当該液晶表示素子11が透過型であるときは、その画像を透過した光が前部筒体9のレンズ系13に入射し、第1のポリゴンミラー140に向けて時分割された画像U1,U4,U7等としての光束が出射されることとなる。
【0102】
同様に画像投射素子2bの液晶表示素子11は、制御部4の切替えスイッチ19から所定の時分割で送られてくる画像U2,U5,U8等の画像信号を液晶ドライバ23に受信し、入射した光を画素ごとに変調し、画像U2,U5,U8等を生成している。従って、その画像を透過した光が前部筒体9のレンズ系13に入射し、第2のポリゴンミラー141に向けて時分割された画像U2,U5,U8等としての光束が出射されることとなる。
【0103】
また、画像投射素子2cの液晶表示素子11は、制御部4の切替えスイッチ19から所定の時分割で送られてくる画像U3,U6,U9等の画像信号を液晶ドライバ23に受信し、入射した光を画素ごとに変調し、画像U3,U6,U9等を生成している。従って、その画像を透過した光が前部筒体9のレンズ系13に入射し、第3のポリゴンミラー142に向けて時分割された画像U3,U6,U9等としての光束が出射されることとなる。
【0104】
そして、コントローラ20は第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142に入射された時分割ごとの画像U1,U4,U7等、画像U2,U5,U8等及び画像U3,U6,U9等の光束を、当該時分割の一の時とその次の時とで異なる光軸方向に変更できるように、その時分割を制御して時分割情報を切替えスイッチ19に送信する。
【0105】
また、上述の説明ではコントローラ20が各ロータリエンコーダ21a,21b,21cからのパルス出力により各第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142による当該光軸方向の変更のタイミングに同期するように、時分割自体を制御することとした。しかし、これに限られるものではなく例えばコントローラ20は、予め設定された時分割情報に基づきモータ22の回転速度やそのタイミングを制御して当該時分割に同期させてもよいことは勿論である。
【0106】
このように本実施形態によれば、画像投射素子2は、複数の画像投射素子例えば3つの画像投射素子2a,2b,2cからなり、少なくとも同じ画像投射素子から出射され第1、第2及び第3のポリゴンミラー140,141,142により光軸方向が変更された各時分割ごとの光軸が、スクリーン5の夫々異なる位置に入射するものとした。従って、液晶表示素子のように応答速度の遅い表示素子であっても、より少ない画像投射素子の数で高画質な画像を提供できる。
【0107】
また、画像投射素子2は、例えば第1及び第2の画像投射素子2a,2bを有し、光学部材としてのポリゴンミラーは、第1の画像投射素子2aからの光束が入射する第1のポリゴンミラー140と第2の画像投射素子2bからの光束が入射する第2のポリゴンミラー141を有し、当該第1のポリゴンミラー140により光軸方向が変更された第1の光軸としての例えば光軸D1と当該第2のポリゴンミラー141により光軸方向が変更された第2の光軸としての例えば光軸D2とが、スクリーン5の夫々異なる位置K28,K84に入射するものであることとした。従って、複数の画像投射素子2a,2bからスクリーン5への画像投射の効率化が図れ、応答速度の遅い表示素子でも更に必要な画像投射素子数を少なくできる。また、光軸方向が変更された時分割ごとの光束を、夫々のポリゴンミラーの回転速度や回転のタイミング、更には当該時分割自体を制御してより容易に所望のスクリーン5の位置に入射でき、更に高画質な映像を提供できる。
【0108】
更に複数の画像投射素子2a,2b,2cは夫々の時分割を同期させることとしたので、複数の画像投射素子2a,2b,2cによりスクリーン5に纏まりのある画像を投射できる。
【0109】
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述したいずれの実施形態にも限定されず、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更し或は上述した各実施形態を組み合わせて実施できるものである。
【0110】
例えば上述の実施形態では、液晶表示素子として透過型の液晶表示素子を説明したがダイクロイックミラーなどにより光学変調素子の前方から照明し光を変調しても良いし、また画像表示するパネル自体から輝度の大きい光を発光させても良い。これにより、より多種多様な立体画像表示装置において、高画質を確保しながら画像投射素子の数を少なくして、コストを低減できると共により小型化できる。
【0111】
また、上述の実施形態ではロータリエンコーダ21を用いてポリゴンミラー14の回転速度や回転のタイミング等を検知し、当該データに基きコントローラ20が当該タイミングに同期した時分割となるように時分割情報等を制御することとした。しかし、これに限られるものではなく例えば、モータにステッピングモータ(stepping motor)を用いそのステッピングモータへ入力されるパルス信号をコントローラ20の制御下切替えスイッチ19に送り、当該パルス信号に同期された時分割で画像投射素子2に画像信号を送って当該画像投射素子から時分割された画像の光束を出射させてもよい。
【0112】
これにより、デジタル的にポリゴンミラー14の回動を制御でき、より正確に画像投射素子2から出射された光軸方向を変更させて、スクリーン5の夫々の位置に入射させることができると共に、部品点数を少なくして製造コストを更に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1の実施形態に係る立体画像表示装置の概略を示す斜視図である。
【図2】画像投射素子及びポリゴンミラーを説明する部分平面図である。
【図3】画像表示装置の制御ブロック図である。
【図4】スクリーンの概略を示す斜視図である。
【図5】立体画像表示装置の光に進み方の説明図である。
【図6】ポリゴンミラーからの光が観察者に立体画像として進む様子の説明図である。
【図7】第2の実施形態に係る画像投射素子及びポリゴンミラーの説明図である。
【図8】第2の実施形態に係る立体画像表示装置の光に進み方の説明図である。
【図9】一つの時分割による画像を振り分ける場合の説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1…立体画像表示装置
2,2a,2b,2c…画像投射素子
4…制御部
5…スクリーン
14…ポリゴンミラー
26…レンチキラーシート
140…第1のポリゴンミラー
141…第2のポリゴンミラー
142…第3のポリゴンミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割に画像を光束として出射する画像投射素子と、
前記画像投射素子から出射された前記光束の光軸方向を、前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向となるように変更可能な光学部材と
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記光学部材は、前記画像投射素子から出射された前記光束を反射させるミラーを有し、当該ミラーを回動させて前記反射する光束の光軸方向を、前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なるものとできることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記ミラーの回動及び前記時分割の少なくともいずれかを制御することで前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる前記光軸方向とする制御部を更に備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記ミラーは、多角柱の側面に配置された複数のミラーを有し、前記多角柱の柱軸を中心軸として前記ミラーを回動させることで前記光軸方向の変更を連続的なものとできることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記光学部材から出射された前記光束を受け、当該光束をその光軸方向に水平な方向には拡散せず、垂直方向に拡散する垂直拡散板を有するスクリーンを更に備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像表示装置であって、
前記画像投射素子は、複数の画像投射素子からなり、少なくとも同じ画像投射素子から出射され前記光学部材により光軸方向が変更された各光軸が、前記スクリーンの夫々異なる位置に入射するものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像表示装置であって、
前記複数の画像投射素子は、各画像投射素子から出射される前記光束の光軸方向が水平面方向で夫々平行であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像表示装置であって、
前記複数の画像投射素子は、第1及び第2の画像投射素子を有し、
前記光学部材は、前記第1の画像投射素子からの光束が入射する第1の光学部材と前記第2の画像投射素子からの光束が入射する第2の光学部材を有し、
前記第1の光学部材により光軸方向が変更された第1の光軸と前記第2の光学部材により光軸方向が変更された第2の光軸とが、前記スクリーンの夫々異なる位置に入射するものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項6に記載の画像表示装置であって、
前記複数の画像投射素子は夫々の時分割が同期していることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
時分割に画像を光束として画像投射素子から当該光束の光軸方向を変更可能な光学部材に出射するステップと、
前記光学部材に入射された前記時分割ごとの光束を、前記時分割により分割された一の時とその次の時とで異なる光軸方向に変更して出射するステップと
を具備することを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−129105(P2008−129105A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310986(P2006−310986)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】