説明

画像表示装置

【課題】 画像表示装置の輝度寿命、色温度、発光輝度のリニアリティ及び色度を向上することである。
【解決手段】 複数個の互いに平行な第1の電極,前記第1の電極に直交する複数個の互いに平行な第2の電極及び前記第1の電極と前記第2の電極との交点または交点近傍に設置された電子放出素子を有する基板と,蛍光膜が形成されたフェースプレートとを有する画像表示装置であって,前記蛍光膜に主ピークである29.8°付近に現れるX線回折ピークの半値幅が0.16°以下であることを特徴とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いることによって、従来では解決されなかった輝度寿命、色温度、発光輝度のリニアリティ及び色度を改善した電子線励起型薄型平面表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,蛍光膜が形成された基板と,前記蛍光膜に電子線を照射する電子放出素子、または紫外線を照射する放電ガスを備えた画像表示装置に係り,特に蛍光膜を構成する蛍光体として主ピークである29.8°付近に現れるX線回折ピークの半値幅が0.16°以下であるCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を用いたことを特徴とする画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像情報システムにおいては,高精細化、大画面化,薄型化,低消費電力化といった様々な要求に応じて各種ディスプレイ装置の研究開発が盛んに行われている。このような要求に応える薄型化,低消費電力化を実現するディスプレイとして電子線励起型薄型平面表示装置の研究開発が近年,盛んに行われている。電子線励起型薄型平面表示装置は画素(サブ画素)に対応した電子放出素子を真空外囲器の背面に設置し,前面のフェースプレートの内面に蛍光膜を設置した構造となっており,加速電圧約0.1kVから10kV程度の低加速電子線を蛍光膜に照射して発光させ,画像を表示する。ここで,蛍光膜に照射する電子線の電流密度は一般のブラウン管の約10倍から1000倍程度と高電流密度であるため,電子線励起型薄型平面表示装置用蛍光膜においてはチャージアップを引き起こさない,低抵抗な特性が望まれる。さらに,高電流密度下における寿命特性及び長時間電子線を照射した後の色バランスが良好であり,輝度飽和(発光輝度の照射電流量に対する伸びが鈍化すること)が少なく高輝度な特性も必要とされる。
【0003】
電子線励起型薄型平面表示装置には使用する電子放出素子によっていくつかの方式がある。電子放出素子として,スピント型電子源やカーボンナノチューブ型電子源などの電界放出電子源を用いたものは,電界放出表示装置(フィールド・エミッション・ディスプレイ,FED)と呼ばれている。その他にも,電子放出素子として,表面伝導型電子源を用いる表示装置,MIM型やBSD型(弾道電子表面電子源),HEED型など電子加速層で加速されたホットエレクトロンを用いる薄膜電子源を用いる表示装置などが知られている。以下,これらの電子線励起型薄型平面表示装置を総称して(広義の)「FED」と呼ぶことにする。
【0004】
これまで,長寿命、高リニアリティ(発光輝度の照射電流量に対する伸びが高い)な蛍光膜を実現するために様々な開発が行われてきた。高圧型FEDでは非特許文献1に記載されるようにZnS:Ag青色発光蛍光体が使用されているが、硫黄のエミッタへの汚染、青及び緑色発光蛍光体の輝度寿命及び輝度飽和などの問題がある。また、低圧型FEDでは非特許文献2に記載されるようにY2SiO5:Ce青色発光蛍光体が用いられているが、輝度が低いこと及び長時間の電子線照射で青色発光の色度が白色方向にシフトする色度劣化の問題がある。一方、新規な青色発光酸化物蛍光体としてCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を低加速電圧電子線励起で輝度評価した結果が非特許文献3に記載されている。しかしながら、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の特徴である長寿命・高リニアリティについての記載は無く、結晶性を向上して発光輝度を改善するということについての記載も無い。
【0005】
最近、特許文献1に記載されるようにCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体とZnS:Ag青色発光蛍光体とを組み合わせてFED用青色発光蛍光膜として使用している。しかしながら、結晶性を向上して発光輝度を高めたCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の例は無い。また、FED用蛍光体としてでは無いが、特許文献2及び非特許文献4に記載されるようにCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を真空紫外線励起用蛍光体として使用している。しかしながら、結晶性を向上して発光輝度を高めたという例は未だ無い。
【0006】
これまで,FED用として低抵抗、長寿命、高輝度な蛍光膜を実現するために様々な方法が検討されてきた。しかしながら,これら従来の方法でその課題が全て解決されたわけではない。特に,長寿命・高リニアリティを実現する新しい方法が必要である。
【0007】
【特許文献1】特開2003197135号公報
【特許文献2】特開2002332481号公報
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol. A19(4) 2001年, p1083
【非特許文献2】SID04, 19.4L, p832
【非特許文献3】Extended Abstract of the Fifth Int. Conf. of Display Phosphors 1999年 p317
【非特許文献4】Asia Display/IDW’01, PHp1-7, p1115
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は,上記従来の蛍光膜の発光輝度、輝度寿命、リニアリティ、色度の各特性の改善を図ることであり,優れた輝度寿命特性を有する画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は複数個の互いに平行な第1の電極,前記第1の電極に直交する複数個の互いに平行な第2の電極及び前記第1の電極と前記第2の電極との交点または交点近傍に設置された電子放出素子を有する基板と,蛍光膜が形成されたフェースプレートとを有する画像表示装置であって,前記蛍光膜を主ピークである29.8°付近に現れるX線回折ピークの半値幅が0.16°以下であることを特徴とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いた画像表示装置により達成される。この場合の画像表示装置の電子線の加速電圧は主に1kV以上15kV以下の範囲である。また、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径は蛍光体の性能を十分に発揮出来る大きさを持ち、且つ印刷塗布に適した大きさであることが望ましい。このような蛍光体の平均粒径に対する要求を満たすには、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径はおよそ5μm以上8μm以下となる。
【0010】
また、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体にIIa族、IIb族及びIVb族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を添加してもよい。これらの元素を添加することによって、発光輝度及び色度を改善することができる。特に、Sr元素を添加した場合にCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の発光輝度を向上することができる。この時のSr元素の添加量は1重量%以上10重量%以下が適当である。また、各蛍光体においてフラックスを用いて蛍光体を合成する方法では、Ia族、VIIb族及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも一種の微量不純物を含有する場合がある。このように各種元素を添加したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体によって、より高性能な画像表示装置を実現することができる。
【0011】
また、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の製造方法としては、2次焼成において弱還元雰囲気とすることによって、その結晶性を向上することができる。具体的には、カーボン製のルツボを使用する方法及びN−H還元雰囲気においてH濃度を0.5%以下とする方法などがある。このように弱還元雰囲気で焼成したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体では、254nmで励起した時の発光スペクトルにおいて、620nmにEu3+の発光が448nmの青色発光ピーク強度に対して1%程度存在する。620nmの発光が色度に影響せず、良好な結晶性を保ち且つ青色発光強度が十分高いことから、620nm発光ピーク強度の範囲は448nmの青色発光ピーク強度に対して0.3%以上2%以下の範囲が適当である。
【0012】
また、本発明により作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体はプラズマディスプレイパネルにおいて使用することができる。対向して配置された前面側の基板と背面側の基板とを備え、前面側の基板に複数の表示電極対が平行に配置され、背面側の基板には蛍光膜、及び表示電極対と交差する方向に設置された複数のアドレス電極が平行に配置されたプラズマディスプレイパネルであって、前記蛍光膜に主ピークである29.8°付近に現れるX線回折ピークの半値幅が0.16°以下であることを特徴とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いた画像表示装置によって上記目的が達成できる。また、弱還元雰囲気で合成したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体では、254nmで励起した時の発光スペクトルにおいて、620nmにEu3+の発光が448nmの青色発光ピーク強度に対して1%程度存在する。このような蛍光体を用いることによって、輝度寿命の優れた画像表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像表示装置は、結晶性を向上したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を使用しているため、発光輝度のリニアリティが良好であり長寿命化が図られており、長時間駆動した後でも輝度特性及び色度バランスが良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ここでは本発明の画像表示装置に使用する蛍光体の製造方法、X線回折及び発光輝度等の各特性について詳述するが、以下に示す実施例は、本発明を具体化する一例を示すものであり、本発明を拘束するものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明に使用するCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の製造方法について述べる。蛍光体原料はCaCO3、MgCO3、SiO2、EuCl3及びフラックスとしてNH4Clを用いた。各原料の混合量は以下の通りである。
CaCO3・・・0.981g
MgCO3・・・0.959g
SiO2・・・1.322g
EuCl3・・・0.074g
NH4Cl・・・0.016g
原料を乳鉢にて30分程度乾式混合した後にアルミナルツボに原料を充填してマッフル炉にて600℃、大気雰囲気にて3時間、1次焼成を行った。得られた1次焼成物を取り出し、軽くほぐした後に、カーボン製のルツボに充填し、さらにそのカーボンルツボを一回り大きいアルミナルツボに入れてカーボン粒をアルミナルツボの中の空隙に詰めたものをマッフル炉にて1150℃、大気雰囲気にて3時間、2次焼成を行った。得られた2次焼成物を取り出し、軽くほぐして、目的とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を得た。
【0016】
また、2次焼成においてN−H還元雰囲気にて蛍光体を合成することもできる。1次焼成物を石英製の2重ルツボに充填して管状炉にて1150℃、N−H還元雰囲気(H濃度0%〜3%)にて3時間、2次焼成を行った。得られた2次焼成物を軽くほぐして、目的とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を得た。
【0017】
次に、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体のX線回折の測定を行った。測定には理学製RINT2000を用いた。測定条件は以下の通りである。
X線源:CuKα
管電圧:40kV
管電流:100mA
発散スリット幅:1/2deg
散乱スリット幅:1/2deg
受光スリット幅:0.15mm
スキャンスピード:0.5sec ステップスキャン
スキャンステップ:0.02deg
図1にカーボンルツボにて合成したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体のX線回折図を示す。29.8°に主ピークをもつCaMgSi2O6のX線回折を観測した。29.8°のX線回折ピークを(1)式のガウス型曲線でフィッティングを行い、その半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)を求めた。ここで、(1)式においてc(0), c(1), c(2), 及びc(3)はそれぞれガウス型曲線の形状を決める定数であり、c(3)は2^(1/2)σ(σ:標準偏差)である。この時のFWHMは2(2ln2)^(1/2)σ=2.35σで求められる。図2にX線回折の拡大図を示す。カーボンルツボ合成品の半値幅は0.154°であった。この値は市販のCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体のX線回折ピークの半値幅(0.181°)よりも狭く、カーボンルツボ合成品の結晶性が良好であることを確認した。次に、N−H還元雰囲気合成品のX線回折の測定を行った。図3にN−H還元雰囲気合成品におけるX線回折ピークの半値幅のH濃度依存性を示す。H濃度が低い方が半値幅が狭く結晶性が良好である。特に、H濃度0.5%未満で半値幅が狭く、結晶性が良好であった。(カーボンルツボ焼成品はH2濃度0%で示した)
【0018】
【数1】

【0019】
次に、合成したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体のUV励起の発光スペクトルを測定した。UV励起源としてはハンディタイプのUVライトを用いた。蛍光体サンプルは深さ1mmの試料ホルダに蛍光体を充填して用いた。254nmの光で蛍光体を励起し、蛍光体の発光を反射側から輝度計にて測定した。測定結果を図4に示す。カーボンルツボ焼成品では620nmにEu3+の赤色発光成分が現れている。その発光強度は448nmの青色発光強度の1%である。N−H雰囲気(H2濃度3%)で焼成した蛍光体では赤色発光成分が現れておらず、この赤色発光成分はカーボンルツボ焼成品に特有のものである。カーボンルツボ焼成は弱還元雰囲気であるため、Eu3+からEu2+へ全て還元しきれずに極僅かEu3+が残ったものである。CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の結晶性を高めるには、この程度の弱還元雰囲気が適当である。
【0020】
次に、合成したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体のSEM(Scanning Electron Microscope) 観察を行った。図5にカーボンルツボ合成品のSEM像を示す。粒径3μm〜8μm程度の蛍光体粒子を観察した。カーボンルツボにて合成したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径は粒度分布測定装置で測定すると8μmであった。用いたSiO2原料の粒径は1μm〜2μm程度であるが、弱還元雰囲気で合成することによって結晶成長することを観察した。このような結晶成長はN−H還元雰囲気合成においてもH濃度0.5%未満で見られた。
【0021】
蛍光体の平均粒径を調べる方法としては、粒度分布測定装置で測定する方法及び電子顕微鏡で直接観察する方法などがある。電子顕微鏡で調べる場合を例にとると、蛍光体の粒径の変量(・・・、0.8〜1.2μm、1.3〜1.7μm、1.8〜2.2μm、・・・、6.8〜7.2μm、7.3〜7.7μm、7.8〜8.2μm、・・・など)の各区間を階級値(・・・、1.0μm、1.5μm、2.0μm、・・・、7.0μm、7.5μm、8.0μm、・・・)で表すことにし、これをxiとし、電子顕微鏡で観察された各変量の度数をfiで示すことにすれば、平均値Mは次のように表される。
【0022】
【数2】

【0023】
ただし、(2)式においてΣfi=Nである。このようにして各蛍光体の平均粒径を求めることができる。
【0024】
次に、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の電子線励起発光輝度の評価を行った。各蛍光体試料は石英基板上に沈降塗布法により蛍光膜を形成した。塗布重量は1〜3mg/cm2とした。作製した試料を電子銃を搭載したデマウンタブル装置にセットして測定を行った。デマウンタブル装置における電子線は偏向ヨークにより、一般のテレビと同じ周波数で左右及び上下に走査され、上述のように作製した蛍光膜上の一定範囲に四角いラスタ(電子線照射範囲)を描く。発光輝度は透過側から光ファイバーを通して色彩色差計を用いて測定した。輝度特性評価は、加速電圧7kV、照射面積20×10mm、照射電流10μA、電流密度5μA/cm2、試料温度20℃の条件で行った。評価結果を図6に示す。X線回折ピークの半値幅が狭く、結晶性が良好であるほど発光輝度が高くなる傾向がある。特に、カーボンルツボで焼成した蛍光体は半値幅が0.16°以下と結晶性が良好であり発光輝度が高い。さらに、カーボンルツボ焼成品でSr元素を1〜10重量%添加した蛍光体は半値幅が0.16°以下であり、発光輝度はSr元素添加無しのものに比べて約10%程度高い結果であった。
【0025】
次に、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の電子線照射における輝度維持率の評価を行った。輝度維持率の評価は上述のデマウンタブル装置を用いた。NiメッキしたCu基板上に沈降塗布法によって蛍光膜を形成し、評価サンプルを作製した。塗布重量は上述の輝度評価の場合と同じである。発光輝度は反射側から色彩色差計及びSiホトセルを用いて測定した。輝度維持率は、加速電圧7kV、照射面積6×6mm、照射電流100μA、電流密度278μA/cm2、試料温度200℃、測定時間1時間にて加速試験を行った。図7に輝度維持率の評価結果を示す。ZnS:Ag蛍光体の輝度維持率は80%であり、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体はそれよりも高く93%であった。また、Srを1〜10%添加したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の輝度維持率はSr添加無しのものとほぼ同じであった。
【0026】
以上のようにしてCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を作製し、発光輝度、輝度維持率及びX線回折の半値幅などの各特性を評価した。その結果、カーボンルツボ焼成などの弱還元雰囲気で2次焼成した蛍光体は結晶性が良好であり、発光輝度が高いことが明らかとなった。
【実施例2】
【0027】
MIM型電子源ディスプレイ装置その1
この実施例では電子放出素子301として薄膜電子源を用いる。さらに具体的にはMIM(Metal-Insulator-Metal, 金属−絶縁体−金属)電子源を用いる。図8は,本実施例で用いる表示パネルの平面図である。図9は図8のA−B間の断面図である。陰極板601,蛍光板602,枠部材603とで囲まれた内部が真空になっている。真空領域には大気圧に抗するためにスペーサ60が配置されている。スペーサ60の形状,個数,配置は任意である。陰極板601上には走査電極310が水平方向に配置され,データ電極311がそれと直交して配置されている。走査電極310とデータ電極311との交点がサブ画素に対応する。ここでサブ画素とは,カラー画像表示装置の場合には,赤,青,緑色それぞれのサブ画素に対応するものである。図8では走査電極310の本数が12本しか記載していないが,実際のディスプレイでは数百本から数千本ある。データ電極311についても同様である。走査電極310とデータ電極311との交点には電子放出素子301が配置されている。本実施例では電子放出素子301として薄膜電子源を用いている。走査電極310と上部電極バスライン32とが交差する領域に電子放出領域があり,この領域から電子が放出される。図10は,本実施例で用いる表示パネルの断面図である。図10(a)は図8のA−B線方向に沿った断面図(但し3サブ画素分),図10(b)はそれと直交する方向での断面図(3サブ画素分)である。
【0028】
陰極板601の構成は以下の通りである。ガラスなどの絶縁性の基板14上に,下部電極13(Al),絶縁層12(Al),上部電極11(Ir−Pt−Au)とで構成される薄膜電子源301が構成される。上部電極バスライン32は,上部電極バスライン下地膜33を介して上部電極11に電気的に接続されており,上部電極11への給電線として働く。また,本実施例では上部電極バスライン32はデータ電極311として働く。陰極板601上,電子放出素子301がマトリクス状に配置されている領域(陰極配置領域610と呼ぶ)は,層間絶縁膜410で覆われており,その上に共通電極420が形成されている。共通電極420は,共通電極膜A421と共通電極膜B422の積層膜で構成される。共通電極はアース電位に接続されている。スペーサ60は共通電極420に接しており,蛍光板602の加速電極122からスペーサ60を介して流れる電流を流す働きと,スペーサ60に帯電した電荷を流す働きをする。なお,図10では高さ方向の縮尺は任意である。すなわち,下部電極13や上部電極バスライン32などは数μm以下の厚さであるが,基板14と面板110との距離は1〜3mm程度の長さである。陰極板601の作成方法は特開2003−323148に記載されている。
【0029】
蛍光板602の内側には実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。精細度を上げるために1画素間に黒色導電材を設けた。黒色導電材の作製では,全面にホトレジスト膜を塗布し,マスクを介して露光して現像し,部分的にホトレジスト膜を残す。その後,全面に黒鉛膜を形成してから過酸化水素などを作用させてホトレジスト膜とその上の黒鉛を取り除いて黒色導電材を形成した。蛍光膜の塗布にはスクリーン印刷法を用いた。蛍光体をセルロース系樹脂等を主体としたベヒクルと混練してペースト状とし調合する。次に、ステンレスメッシュを介して押印塗布する。赤、緑、青蛍光体の塗り分けは、メッシュの穴の位置をそれぞれの蛍光膜の位置に合わせることによって行った。次に、印刷により形成した蛍光膜を焼成して混合したセルロース樹脂等を除去した。このようにして蛍光体のパターンを形成した。加速電極122(メタルバック)は,蛍光膜の内面にフィルミング加工してからAlを真空蒸着して作成する。その後,熱処理してフィルミング剤を飛ばして作製した。このようにして蛍光板602が完成する。
【0030】
陰極板601と蛍光板602との間には,スペーサ60が適当な個数配置されている。図8,図9に示したとおり,陰極板601と蛍光板602とは枠部材603をはさんで封着される。さらに,陰極板601と蛍光板602と枠部材603とで囲まれた空間10は真空に排気される。このようにして表示パネル100が完成する。
【0031】
表1に各CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を用いた場合の表示パネル100の色温度を示す。比較例1は市販のCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体(半値幅0.181°)を用いた場合である。この場合の青色蛍光体の発光効率は1.5lm/Wであり、赤蛍光体(Y2O3:Eu)及び緑蛍光体(Y2SiO5:Tb)と組み合わせた時の色温度は6100Kであった。表示パネルの性能として、色温度は9300K以上が求められる。実施例1にX線回折ピークの半値幅が0.16°以下のCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を用いた場合の色温度を示す。この時の青色蛍光体の発光効率は2.1lm/Wであり、色温度は9300Kであった。このように、X線回折ピークの半値幅が0.16°以下であり、結晶性が良好で発光効率が高いCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を使用することにより、色温度が良好な表示パネルを作製することができる。
【0032】
【表1】

【実施例3】
【0033】
MIM型電子源ディスプレイ装置その2
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図10に示す。特に、蛍光板602の内側には実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体、ZnS:Cu,Al緑色発光蛍光体及びY2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による色度は特に良好であった。
【実施例4】
【0034】
MIM型電子源ディスプレイ装置その3
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図10に示す。特に、蛍光板602の内側には実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体とZnS:Ag青色発光蛍光体とを混合した青色発光蛍光体、ZnS:Cu,Al緑色発光蛍光体、Y2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による発光輝度は特に良好であった。
【実施例5】
【0035】
MIM型電子源ディスプレイ装置その4
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図10に示す。特に、蛍光板602の内側には実施例1のようにして作製した(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による輝度寿命及び色温度は良好であった。
【実施例6】
【0036】
MIM型電子源ディスプレイ装置その5
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図10に示す。特に、蛍光板602の内側には実施例1のようにして作製したCaMg(Si,Ge)2O6:Eu青色発光蛍光体、(Y,Gd)2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明によるリニアリティ及び輝度寿命は良好であった。
【実施例7】
【0037】
MIM型電子源ディスプレイ装置その6
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図10に示す。特に、蛍光板602の内側には実施例1のようにして作製したCa(Mg,Zn)Si2O6:Eu青色発光蛍光体、ZnS:Cu,Al緑色発光蛍光体、Y2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明によるリニアリティ及び輝度寿命は良好であった。
【実施例8】
【0038】
スピント型電子源ディスプレイ装置その1
本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置を図11に示す。スピント型電子源ディスプレイ装置19はフェースプレート110、スピント型電子源18、リアプレイト14で構成されており、スピント型電子源18は陰極20,抵抗膜21,絶縁膜22,ゲート23,円錐型金属(Moなど)24で形成されている。特に、フェースプレート110の内側には実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による発光輝度、リニアリティ、輝度寿命及び色度は(実施例2)と同様に良好であった。
【0039】
スピント型電子源など電界放出電子源は,表面に硫黄(元素名:S)が付着すると電子放出性能が大幅に劣化するという特性がある。したがって,本実施例のように,蛍光体に硫黄を含まない組合せを用いることで電子放出素子の長寿命化,安定性向上も達成できる。
【実施例9】
【0040】
スピント型電子源ディスプレイ装置その2
本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置を図11に示す。特に、フェースプレート110の内側には実施例1のようにして作製した(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による発光輝度、リニアリティ、輝度寿命及び色度バランスは(実施例2)と同様に良好であった。
【実施例10】
【0041】
スピント型電子源ディスプレイ装置その3
本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置を図11に示す。特に、フェースプレート110の内側には実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体とZnS:Ag,Cl青色発光蛍光体とを混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O2S:Eu及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体を混合した赤色発光蛍光体試料によって形成した蛍光膜114がある。また、蛍光体の抵抗を下げるために導電性物質In2O3を蛍光膜に混合した。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による発光輝度、リニアリティ、輝度寿命及び色度バランスは(実施例2)と同様に良好であった。
【実施例11】
【0042】
カーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置その1
本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置を図12に示す。カーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置28はフェースプレート110、カーボンナノチューブ電子源27、リアプレイト14で構成されており、カーボンナノチューブ型電子源27は電極25,カーボンナノチューブ層26で形成されている。特に、フェースプレート110の内側には実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による発光輝度、リニアリティ、輝度寿命及び色度は(実施例2)と同様に良好であった。
【0043】
カーボンナノチューブ型電子源など電界放出電子源は,表面に硫黄(元素名:S)が付着すると電子放出性能が大幅に劣化するという特性がある。したがって,本実施例のように,蛍光体に硫黄を含まない組合せを用いることで電子放出素子の長寿命化,安定性向上も達成できる。
【実施例12】
【0044】
カーボンナノチューブ電子源ディスプレイ装置その2
本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置を図12に示す。特に、フェースプレート110の内側には実施例1のようにして作製した(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による発光輝度、リニアリティ、輝度寿命及び色度バランスは(実施例2)と同様に良好であった。
【実施例13】
【0045】
カーボンナノチューブ電子源ディスプレイ装置その3
本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置を図12に示す。特に、フェースプレート110の内側には実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体とZnS:Ag,Al青色発光蛍光体とを混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O2S:Eu及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体を混合した赤色発光蛍光体試料によって形成した蛍光膜114がある。また、蛍光体の抵抗を下げるために導電性物質In2O3を蛍光膜に混合した。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例2)と同様である。本発明による発光輝度のリニアリティ、輝度寿命及び色度は(実施例2)と同様に良好であった。
【実施例14】
【0046】
本発明のプラズマディスプレイパネルを図13に示す。プラズマディスプレイパネル50は前面側の基板1と背面側の基板10が対向して配置された構造となっている。また、プラズマディスプレイパネル50は、背面側の基板10上に設けられて、その一対の基板1及び10が重ね合わさる時に基板1と基板10との間の間隔を保持する隔壁7と、一対の基板1及び10の間に形成された空間内に封入され、放電により紫外線を発生する放電ガス(図示せず)と、一対の基板1及び10の対向面上に配設された電極51、52及び6とを備える。
【0047】
そして、本発明によるCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体が、前記一対の基板における一方の基板10の上及び隔壁7の表面で蛍光体層8を構成する。放電により前記放電ガスから発生する波長146nm及び172nmの真空紫外線により、蛍光体層8を構成するCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体が励起され、可視光を発光するよう構成されたことを特徴とする。
【0048】
実施例1のようにして作製したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の172nm励起による発光輝度評価結果を表2に示す。Sr元素を5%添加した蛍光体では、Br/yが市販のCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体に対して27%向上している。本発明のCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体ではX線回折の半値幅が狭く、結晶性が良好であるので、電子線励起の場合と同様に真空紫外線励起においても発光輝度が高い。
【0049】
【表2】

【0050】
プラズマディスプレイパネル50は背面基板(基板10)上に、銀などで構成されているアドレス電極(電極6)と、ガラス系の材料で構成される誘電体層9を形成した後、同じくガラス系の材料で構成される隔壁材を厚膜印刷し、ブラストマスクを用いたブラスト除去により、隔壁7を形成する。次に、この隔壁7上に、赤、緑及び青の各蛍光体層8を該当する隔壁7間の溝面を被覆する形で、順次ストライプ状に形成する。ここで、各蛍光体層8は、各蛍光体粉末とビヒクルとを混ぜて蛍光体ペーストとし、スクリーン印刷により塗布した後、乾燥及び焼成工程により蛍光体ペースト内の揮発成分の蒸発と有機物の燃焼除去を行って形成する。また、青色発光蛍光体以外の各蛍光体の材料については、赤色発光蛍光体は(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体、緑色発光蛍光体はZn2SiO4:Mn蛍光体である。
【0051】
次に、表示電極(電極51、52)、バスライン53、54、誘電体層2、及び保護膜3を形成した前面基板(基板1)と、背面基板(基板10)をフリット封着し、パネル内を真空排気した後に放電ガスを注入して封止する。放電ガスは、組成比が10%となる量でキセノン(Xe)ガスを含んで構成されたガスである。
【0052】
このようにして作製したプラズマディスプレイパネルと、プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路とを組み合わせて画像表示を行うよう構成された表示装置であるプラズマディスプレイ装置を作製した。作製した画像表示装置の輝度寿命は良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の蛍光体のX線回折を示すグラフ。
【図2】本発明の蛍光体のX線回折を示すグラフ。
【図3】本発明の蛍光体のX線回折半値幅を示すグラフ。
【図4】本発明の蛍光体の発光スペクトルを示すグラフ。
【図5】本発明の蛍光体のSEM像を示す写真。
【図6】本発明の蛍光体の相対発光輝度を示すグラフ。
【図7】本発明の蛍光体の輝度維持率を示すグラフ。
【図8】本発明の実施例2における表示パネルの模式的平面図。
【図9】本発明の実施例2における表示パネルの模式的断面図。
【図10】本発明の実施例2における表示パネルの模式的断面図。
【図11】本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置の全体構造を示す模式図。
【図12】本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置の全体構造を示す模式図。
【図13】本発明のプラズマディスプレイパネルの全体構造を示す模式図。
【符号の説明】
【0054】
1…前面基板、2…誘電体層、3…保護膜、51…電極、52…電極、53…バスライン、54…バスライン、6…電極、7…隔壁、8…蛍光体層、9…誘電体層、10…背面基板、11…上部電極、12…絶縁層、13…下部電極、14…基板、18…Spindt型電子源、19…Spindt型電子源ディスプレイ装置、20…陰極、21…抵抗膜、22…絶縁膜、23…ゲート、24…円錐型金属、25…電極、26…カーボンナノチューブ層、27…カーボンナノチューブ型電子源、28…カーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置、32…上部電極バスライン、41…走査駆動回路、42…データ駆動回路、43…加速電極駆動回路、60…スペーサ、100…表示パネル、110…面板、114…蛍光体、120…黒色導電材、122…加速電極、301…薄膜電子源、310…走査電極、311…データ電極、601…陰極板、602…蛍光板、603…枠部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の互いに平行な第1の電極,前記第1の電極に直交する複数個の互いに平行な第2の電極及び前記第1の電極と前記第2の電極との交点または交点近傍に設置された電子放出素子を有する基板と,蛍光膜が形成されたフェースプレートとを有する画像表示装置であって,前記蛍光膜に主ピークである29.8°付近に現れるX線回折ピークの半値幅が0.16°以下であることを特徴とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いた画像表示装置。
【請求項2】
複数個の互いに平行な第1の電極,前記第1の電極に直交する複数個の互いに平行な第2の電極及び前記第1の電極と前記第2の電極との交点または交点近傍に設置された電子放出素子を有する基板と,蛍光膜が形成されたフェースプレートとを有する画像表示装置であって,前記蛍光膜に254nmで励起した時にEu3+による620nmの赤色発光成分が存在することを特徴とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いた画像表示装置。
【請求項3】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の620nmの赤色発光強度が448nmの青色発光強度に対して0.3%以上2%以下の範囲で存在することを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径が5μm以上8μm以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体にIIa族、IIb族及びIVb族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を添加した青色発光蛍光膜を用いたことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体にSr元素を添加した青色発光蛍光膜を用いたことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項7】
上記Sr元素の添加量が1重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記蛍光膜を構成する蛍光体がIa族、VIIb族及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも一種の微量不純物を含有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記蛍光膜を構成する蛍光体をカーボン製のルツボを用いた還元雰囲気にて合成したことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記蛍光膜を構成する蛍光体をN−H還元雰囲気にて合成する時のH濃度が0.5%未満であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
上記電子放出素子から蛍光膜に放出される電子線の加速電圧が1kV以上15kV以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項12】
対向して配置された前面側の基板と背面側の基板とを備え、前面側の基板に複数の表示電極対が平行に配置され、背面側の基板には蛍光膜、及び表示電極対と交差する方向に設置された複数のアドレス電極が平行に配置されたプラズマディスプレイパネルであって、前記蛍光膜に主ピークである29.8°付近に現れるX線回折ピークの半値幅が0.16°以下であることを特徴とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いた画像表示装置。
【請求項13】
対向して配置された前面側の基板と背面側の基板とを備え、前面側の基板に複数の表示電極対が平行に配置され、背面側の基板には蛍光膜、及び表示電極対と交差する方向に設置された複数のアドレス電極が平行に配置されたプラズマディスプレイパネルであって、前記蛍光膜に254nmで励起した時に620nmの赤色発光強度が448nmの青色発光強度に対して0.3%以上2%以下の範囲で存在することを特徴とするCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いた画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−69256(P2008−69256A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248872(P2006−248872)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】