説明

画像表示装置

【課題】表示部に表示される画像を容易に変更することができる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】画像表示装置14は、板状の基材20と、この基材20に設けられ、画像を表示するディスプレイ13と、基材20の表面に配置されて、基材20の伸縮変形を検出する4つの伸縮検出部21と、4つの伸縮検出部21により検出された基材20の伸縮変形に基づいて、ディスプレイ13に表示させる画像を変更する制御部とを備えている。これによれば、板状の基材20を引っ張る、又は、圧縮するという簡単な操作だけで、ディスプレイ13に表示される画像の変更を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用紙等の被記録媒体に画像を記録(印刷)するプリンタ等には、画像に関する様々な情報を表示可能なディスプレイ(表示部)と、ユーザーによって操作される操作パネルが一般的に設けられている(例えば、特許文献1参照)。また、このようなプリンタは、通常、入力された画像データの画像をディスプレイに表示することが可能になっており、さらに、操作パネルに設けられた様々な種類のボタンをユーザーが操作することで、表示画像の切り替えや画像の拡大縮小といった画像変更処理をディスプレイに行わせることが可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−35662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、高齢者などの機器の操作を苦手とするユーザーにとっては、操作パネルに設けられた複数の小さなボタンの機能をそれぞれ理解した上で、これら複数のボタンを操作して、ディスプレイに、表示画像の切り替えや画像の拡大縮小といった画像変更処理を実行させることは非常に困難である。
【0005】
本発明の目的は、機器の操作を苦手とするユーザーであっても、表示部に表示される画像を容易に変更することができる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の画像表示装置は、画像を表示する表示部の画像変更を含む複数の機能を選択して実行可能な画像表示装置であって、板状の基材と、前記基材に配置されて、前記基材の伸縮変形を検出する伸縮検出手段と、前記伸縮検出手段の検出結果に基づいて前記基材に生じる複数の伸縮変形の態様を区別して検出可能であり、検出された前記伸縮変形の態様に応じて前記複数の機能の1つを選択して実行する制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
第2の発明の画像表示装置は、前記第1の発明において、前記複数の機能には、前記表示部に表示される画像の拡大縮小と、画像の切り替えとが含まれており、前記基材は矩形の平面形状を有する板部材であり、前記制御手段は、前記伸縮変形の態様のうち前記基材の一辺に平行な方向の伸縮変形の態様を検出した場合には、前記表示部に表示される画像の拡大縮小を実行し、前記伸縮変形の態様のうち前記基材の対角線に平行な方向の伸縮変形の態様を検出した場合には、前記表示部に表示される画像の切り替えを実行することを特徴とするものである。
【0008】
第3の発明の画像表示装置は、前記第1または第2の発明において、前記伸縮検出手段は、前記基材に複数設けられており、前記制御手段は、複数の前記伸縮検出手段のうち伸縮変形を検出したものの配置箇所及び個数に基づいて、前記伸縮変形の態様を区別して検出することを特徴とするものである。
【0009】
第4の発明の画像表示装置は、前記第3の発明において、前記複数の伸縮検出手段は、前記基材の4つの角部にそれぞれ設けられ、前記制御手段は、前記複数の伸縮検出手段のうち4つ全てが伸縮変形を検出した場合には、前記基材の一辺に平行な方向の伸縮変形の態様と検出し、前記複数の伸縮検出手段のうち対角線上に位置する2つが伸縮変形を検出した場合には、前記基材の対角線に平行な方向の伸縮変形の態様と検出することを特徴とするものである。
【0010】
第5の発明の画像表示装置は、前記第4の発明において、前記基材には、正規の使用姿勢を認識させるための姿勢認識部が設けられ、前記複数の機能には、前記表示部に表示される画像の向きを上下変更するものと、画像を90度回転させるものとが含まれており、前記制御手段は、前記姿勢認識部により正規の使用姿勢と認識された状態において、前記複数の伸縮検出手段のうち上部の2つが伸張変形を検出した場合には、前記基材の上部が引っ張られた伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に表示される画像の向きを上下変更し、前記複数の伸縮検出手段のうち下部の2つが伸張変形を検出した場合には、前記基材の下部が引っ張られた伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に表示される画像を90度回転させることを特徴とするものである。
【0011】
第6の発明の画像表示装置は、前記第の発明において、複数の画像データを順序付けて記憶することができる画像データ記憶部をさらに備え、前記複数の機能には、前記表示部に現在表示されている画像データよりも1つ前の画像データを選択して切り替えるものと、現在表示されている画像データよりも1つ後の画像データを選択して切り替えるものとが含まれており、前記制御手段は、前記画像データ記憶部に複数の画像データが順序付けて記憶されている状態において、前記複数の伸縮検出手段のうち上部の2つが収縮変形を検出した場合には、前記基材の下部が圧縮された伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に現在表示されている画像データよりも1つ前の画像データを選択して切り替え、前記複数の伸縮検出手段のうち下部の2つが収縮変形を検出した場合には、前記基材の下部が圧縮された伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に現在表示されている画像データよりも1つ後の画像データを選択して切り替えることを特徴とするものである。
【0012】
第7の発明の画像表示装置は、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記表示部は、前記基材の表面に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置本体に設けられた操作ボタン等を複雑に操作する必要がなく、機器の操作が苦手なユーザーであっても、表示部に表示される画像を簡単に変更することができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るプリンタの斜視図である。
【図2】プリンタの制御系を概略的に示すブロック図である。
【図3】画像表示装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図4】(a)は伸縮検出部を基材の裏面側から見た図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図5】伸縮検出部により検出される基材の伸縮変形態様に対する、画像変更処理の割り付けを示す図である。
【図6】変更形態における、基材の伸縮変形態様に対する画像変更処理の割り付けを示す図である。
【図7】別の変更形態の基材の平面図である。
【図8】さらに別の変更形態に係るプリンタの斜視図である。
【図9】図8のプリンタの制御系を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態のプリンタの斜視図、図2は、プリンタの制御系を概略的に示すブロック図である。
【0016】
図1、図2に示すように、本実施形態のプリンタ1は、印刷用紙Pに画像を記録する記録ヘッド2と、印刷用紙Pを所定方向(図1の前方)へ搬送する搬送機構3と、印刷用紙Pに記録する画像を表示する画像表示装置14と、プリンタ1の各部をそれぞれ制御する制御装置4を備えている。
【0017】
図1に示すように、プリンタ1は、略直方体状のプリンタ本体6を有し、このプリンタ本体6内に、記録ヘッド2、搬送機構3、及び、制御装置4等が収容されている。記録ヘッド2としては、インクジェット方式や、レーザー方式、あるいは、熱転写方式等、公知の方式で印刷用紙Pに印刷を行うものを採用できるが、本実施形態では、インクジェットヘッドを想定している。この記録ヘッド2は、画像データが記録されたデータ記録媒体7(図2参照)がプリンタ1に接続された状態で、制御装置4からの指令に基づいて、データ記録媒体7から入力された、画像データ(画像ファイル)の画像を印刷用紙Pに記録する。尚、以下の説明において、1つの画像データ(画像ファイル)とは、1枚の画像を構成するひとまとまりのデータの集合体を意味するものとする。
【0018】
プリンタ本体6の下半部はその一部が前方に開放されており、この開放部分には、印刷用紙Pが収容される給紙トレイ9と、画像が記録された印刷用紙Pが排出される排紙トレイ8が設けられている。そして、搬送機構3は、モータで回転駆動される搬送ローラによって、給紙トレイ9内の印刷用紙Pを、プリンタ本体6内の記録ヘッド2へ搬送するとともに、記録ヘッド2により画像が記録された印刷用紙Pを前方の排紙トレイ8へ排出する。
【0019】
プリンタ本体6の下半部前面の、給紙トレイ9及び排紙トレイ8の側方位置には、カートリッジ装着部10が設けられており、このカートリッジ装着部10には、4色のインク(イエロー、マゼンタ、シアン、及び、ブラック)をそれぞれ収容した4つのインクカートリッジ11が着脱自在に装着される。
【0020】
プリンタ本体6の上部は、図1の紙面手前側に位置するユーザーに向けて、前方に傾斜しており、この傾斜面6aには、ユーザーにより操作される複数の操作ボタン12が設けられている。
【0021】
さらに、プリンタ1は、このプリンタ本体6内の制御装置4とケーブル15を介して接続されるとともに、印刷する画像を表示可能な画像表示装置14を備えている。
【0022】
図3(a)は、画像表示装置14の平面図、図3(b)は図3(a)のB−B線断面図である。図3(a),(b)に示すように、画像表示装置14は、板状の基材20と、基材20に一体的に設けられるとともに画像を表示可能なディスプレイ13と、ディスプレイを制御する制御部22(図2参照)と、基材20の伸縮変形を検出する4つの伸縮検出部21a〜21dとを有する。
【0023】
ディスプレイ13に表示させる画像を変更したい場合には、ユーザーは、画像表示装置14の基材20を、その面方向に沿って引っ張る、又は、圧縮する。このとき、基材20に伸縮変形が生じ、その伸縮変形は基材20に設けられた4つの伸縮検出部21(第1〜第4伸縮検出部21a〜21d)により検出される。そして、4つの伸縮検出部21により検出された基材20の伸縮変形の態様に基づいて、制御部22がディスプレイ13に表示させる画像を変更するようになっている。以下、上記作用を奏する画像表示装置14の具体的な構成について以下詳細に説明する。尚、図3(a),(b)における左右方向を左右方向と定義して以下説明する。
【0024】
基材20は、矩形の平面形状を有する板部材である。また、基材20は、ポリイミド等の樹脂材料やアルミニウム合金等の金属材料で形成されており、人力では曲げるのが容易ではない程度の、比較的高い剛性を有する部材である。尚、基材20の長手方向両端部(左右両端部)の裏面(図3(a)の紙面向こう側の面)には、基材20の短手方向に延在する2本の溝部20aがそれぞれ形成されている。言い換えれば、これら2本の溝部20aが形成された部分は、それらの周囲に比べて局所的に厚みが小さい薄肉部20bとなっている。
【0025】
ディスプレイ13は、基材20の表面(図3(a)紙面手前側の面)の中央部に配置されている。別の言い方をすれば、基材20の裏面に形成された左右2本の溝部20a(薄肉部20b)の間の領域に、ディスプレイ13が配置されている。
【0026】
基材20の裏面(ディスプレイ13と反対側の面)に形成された左右2本の溝部20aには、各溝部20aに2つ、合計4つの伸縮検出部21(21a〜21d)が配置されている。各溝部20aの2つの伸縮検出部21は、溝部20aの基材20の短手方向両端部にそれぞれ配置されている。その結果、図3(a)に示すように、4つの伸縮検出部21は、矩形状の基材20の4つの角部近傍にそれぞれ配置されている。
【0027】
4つの伸縮検出部21は、基材20の伸縮変形を検出できるものであれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、伸縮検出部21として、圧電素子の機械−電気変換作用(圧電効果)を利用して対象物の歪みを電圧信号に変換する圧電センサが採用されている。
【0028】
4つの伸縮検出部21a〜21dは同様の構成を有するため、以下ではそのうちの1つについて説明する。図4は伸縮検出部21の具体的構成を示す図であり、(a)は伸縮検出部21を基材20の裏面側から見た図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図4に示すように、伸縮検出部21は、基材20の裏面に設けられた圧電層23と、圧電層23の基材20と反対側の面に設けられた2種類の電極24,25とを有する。
【0029】
圧電層23は、例えば、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなり、例えばエアロゾルデポジション法や、スパッタ法、ゾルゲル法等によって基材20の裏面に形成することができる。
【0030】
圧電層23の表面(基材20と反対側の面)には、基材20の短手方向と平行に延在するとともに互いに導通した、櫛歯状の複数の第1電極24と、これら複数の第1電極24と平行に延在するとともに互いに導通した、同じく櫛歯状の複数の第2電極25とが設けられている。さらに、複数の第1電極24と複数の第2電極25は、間隔を空けて互い違いに配置されている。これら第1電極24及び第2電極25は、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料により、スクリーン印刷法や蒸着法等を用いて形成される。
【0031】
図4(a)に示すように、互いに導通した複数の第1電極24からは配線26が引き出されており、この第1電極24の配線26は制御部22(図2参照)と接続されている。また、互いに導通した複数の第2電極25からも配線27が引き出され、この第2電極25の配線27はグランド配線に接続されており、配線27を介して、すべての第2電極25が常にグランド電位に保持されている。尚、圧電層23は、予め、圧電層23の面方向に平行で、且つ、第1電極24から第2電極25に向かう方向に沿って分極されている。
【0032】
図4(b)に示すように、圧電層23の表面(基材20と反対側の面)には、伸縮検出部21の第1電極24と第2電極25を全て覆うように、絶縁層28が形成されている。この絶縁層28は、ポリイミド等の絶縁性を有する合成樹脂材料で形成することができる。このように、第1電極24と第2電極25とが絶縁層28で覆われることにより、電極24,25の剥離や破損、あるいは、第1電極24と第2電極25の間の短絡等が防止される。
【0033】
次に、伸縮検出部21が基材20の伸縮変形を検出する際の作用について説明する。伸縮検出部21が設けられている領域において基材20に伸縮変形が生じたときに、伸縮検出部21の圧電層23が、電極の延在方向と直交する方向(基材20の長手方向)に伸縮したときには、この圧電層23の伸縮変形に応じて、相対向する第1電極24と第2電極25との間に電位差が生じる(圧電効果)。
【0034】
より具体的には、第1電極24と第2電極25との間の圧電層23の部分に、電極の延在方向と直交する方向(分極方向と平行な方向)の伸張(引っ張り)変形が生じたときには、第1電極24に、第2電極25の電位(グランド電位)よりも低い負の電位が発生する。一方、第1電極24と第2電極25との間の圧電層23の部分に、電極の延在方向と直交する方向の収縮(圧縮)変形が生じたときには、第1電極24に、第2電極25の電位(グランド電位)よりも高い正の電位が発生する。従って、2種類の電極24,25間に生じる電位差から、基材20の伸張変形と収縮変形とを区別して検出することが可能と
なる。
【0035】
さらに、基材20の4つの角部に4つの伸縮検出部21a〜21dがそれぞれ設けられているため、変形箇所や変形方向等が異なる、基材20の複数の伸縮変形態様を区別して検出することが可能となる。例えば、図3(a)において、基材20の上部が左右に引っ張られたときには、上側2つの伸縮検出部21a,21cにおいては第1電極24の電位が負になるものの、下側2つの伸縮検出部21b,21dにおいては第1電極24の電位はほとんど変化しない。逆に、基材20の下部が左右に引っ張られたときには、下側2つの伸縮検出部21b,21dにおいては第1電極24の電位が負になるものの、上側2つの伸縮検出部21a,21cにおいては第1電極24の電位はほとんど変化しない。このように、基材20の複数の伸縮変形態様を区別して検出することができると、これら複数の伸縮変形態様のそれぞれに対して、ディスプレイ13で実行される複数の画像変更処理を割り付けることができる。この画像変更処理の割り付けについては後で詳細に説明する。
【0036】
尚、各々の伸縮検出部21が、互い違いに配置された複数の第1電極24と複数の第2電極25を有するものでなく、互いに平行な第1電極24と第2電極25を1本ずつ有するものであったとしても、この1組の第1電極24と第2電極25の間における圧電層23が変形したときの第1電極24の電位変化を、制御部22側で正確に検知できれば、基材20の伸縮変形を検出することは可能である。しかし、第1電極24の電位変化が小さいと、その電位変化を正しく検知することは困難であり、誤検出が生じる虞がある。誤検出を防止するためには、第1電極24と第2電極25の間の間隔を小さくして、圧電層23に伸縮が生じたときの第1電極24の電位変化をできるだけ大きくして、検出感度を高めることが必要であるが、そうすると、1つの伸縮検出部21で基材20の伸縮変形を検出できる範囲は非常に小さいものとなってしまう。
【0037】
しかし、この実施形態においては、各伸縮検出部21において、圧電層23の同じ面上に、同一方向に延在する複数の第1電極24と複数の第2電極25とが互い違いに配置されることによって、第1電極24と第2電極25とからなる電極の組が複数存在している。そのため、第1電極24と第2電極25間の距離を短くして検出感度を上げつつ、ある程度の広さを有する領域内に生じる基材20の伸縮変形を1つの伸縮検出部21で検出することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、各伸縮検出部21は、溝部20a、即ち、周囲と比べて厚みが局所的に小さくなった薄肉部20bに設けられている。同じ力が作用しても、薄肉部20bにおいては周囲よりも基材20の変形量が大きくなることから、基材20が引っ張られ、あるいは、圧縮されたときの、基材20の伸縮変形を伸縮検出部21で検出しやすくなる。
【0039】
また、基材20の、ディスプレイ13が設けられている中央領域は、このディスプレイ13が設けられている分だけ変形しにくくなり、基材20が引っ張り又は圧縮されたときの伸縮変形量も小さくなると考えられる。しかし、本実施形態では、伸縮検出部21は、基材20の裏面の、ディスプレイ13が設けられていない領域に配置されているため、基材20の伸縮変形を伸縮検出部21で検出しやすくなる。
【0040】
次に、プリンタ1の制御系について、図2のブロック図を参照して詳細に説明する。制御装置4は、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ1の各種機構を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)、CPUで処理されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、外部装置との間の信号の入出力を行う入出力インターフェース等で構成されている。
【0041】
図2に示すように、制御装置4は、記録制御部30と、データ記録媒体7から入力された画像データが記憶される画像データ記憶部31とを有する。データ記録媒体7には、データファイルの名前(例えば、アルファベット順)や画像データの作成日時といった、ある所定の条件に基づいて予め順序付けされた複数の画像データが、画像フォルダで区分けされて記録されている。そして、データ記録媒体7がプリンタ1に接続された状態で、データ記録媒体7から読み出された複数の画像データが画像データ記憶部31に記憶される。
【0042】
尚、画像データが記録されたデータ記録媒体7としては、USBメモリーやメモリカード等、プリンタのスロット等に差し込まれることにより接続されるストレージデバイス、あるいは、ケーブル等の有線、あるいは、無線で制御装置4と接続される外部記憶装置等が該当する。また、データ記録媒体7に記録されているデータは、デジタルカメラで撮影された静止画像データだけでなく、デジタルビデオカメラで撮影された動画データであってもよい。ここで、動画データとは、時間的に連なった複数の静止画像データの集合体である。この動画データがデータ記録媒体7から入力された場合には、制御装置4において、入力された動画データから複数の静止画像データが抽出され、これらの複数の静止画像データの一部がディスプレイ13に表示されたり、あるいは、印刷用紙Pにその静止画像が記録されたりすることになる。
【0043】
記録制御部30は、画像データ記憶部31に記憶されたデータを参照して、記録ヘッド2と搬送機構3をそれぞれ制御することにより、ユーザーによって選択された画像データの画像を、印刷用紙Pに印刷するように構成されている。
【0044】
一方、画像表示装置14は、ディスプレイ13を制御する制御部22を備えている。この制御部22は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータで構成することができる。言い換えれば、マイクロコンピュータのROMに、ディスプレイ13に表示させる画像を変更するプログラムが格納されており、このROMに格納されたプログラムが、CPUで実行されることによって、制御部22の機能が実現される。
【0045】
そして、制御部22は、4つの伸縮検出部21a〜21dからそれぞれ入力された信号(基材20の伸縮変形に関する情報)に基づいて、基材20に生じた伸縮変形の態様を判別し、判別した変形態様に応じて、ディスプレイ13に表示させる画像を変更する。尚、「ディスプレイ13に表示させる画像を変更する」とは、ディスプレイ13の画面全体に表示される画像の一部又は全体を変更することを指す。従って、現在表示されている、ある画像データの画像を別の画像データの画像に切り替えることはもちろんのこと、現在表示されている画像に対して拡大又は縮小といった画像処理を施すことも含まれる。
【0046】
以下、ユーザーによって基材20の引っ張り操作、又は、圧縮操作がなされたときに、制御部22により実行される画像変更処理について説明する。
【0047】
前述したように、この実施形態のプリンタ1は、基材20に設けられた4つの伸縮検出部21a〜21dにより、ユーザーにより基材20が伸縮されたときに基材20に生じる複数の伸縮変形の態様を、区別して検出可能である。そこで、図5に示すように、4つの伸縮検出部21(第1伸縮検出部21a〜第4伸縮検出部21d)により区別して検出される8種類の伸縮変形(項目A〜H)に対して、画像の拡大縮小や画像の切り替え等に関する8種類の画像変更処理の内容が予め割り付けられている。
【0048】
(1)中央部伸縮(項目A,B)
ユーザーによって基材20の中央部が左右方向(基材20の長手方向)に引っ張られ、あるいは、圧縮されたときには、4つの伸縮検出部21a〜21dの全てにおいて基材20の伸縮変形が検出される。即ち、基材20の中央部が引っ張られたときには、4つ全ての伸縮検出部21a〜21dの第1電極24の電位がそれぞれ負の電位(−)になる。また、基材20の中央部が圧縮されたときには、4つ全ての伸縮検出部21a〜21dの第1電極24の電位がそれぞれ正の電位(+)となる。
【0049】
そして、4つの伸縮検出部21a〜21dの検出結果に基づいて、制御部22が、基材20の中央部が引っ張られたこと(伸張変形)を認識したときには、ディスプレイ13に、現在表示されている画像を拡大させる(項目A)。また、4つの伸縮検出部21a〜21dの検出結果に基づいて、基材20の中央部が圧縮されたこと(収縮変形)を認識したときには、ディスプレイ13に、現在表示されている画像を縮小させる(項目B)。
【0050】
従って、画像を拡大したいときには基材20を引っ張り、画像を縮小したいときには基材20を圧縮すればよく、また、これらの操作は、画像の拡大縮小を体感的に想起させるものであるため、機器の操作が苦手なユーザーでも操作を覚えやすい。また、ユーザーが、画像を拡大縮小させるために矩形状の基材20に対して引っ張り又は圧縮の操作を行う場合、その引っ張り又は圧縮の方向は、操作性の面から、矩形上の基材20の一辺に平行な方向であることが好ましい。そこで、本実施形態においては、この基材20の一辺に平行な方向の伸縮変形に画像の拡大縮小が割り付けられているため、画像を拡大縮小する際の操作性が向上する。さらに、基材20の短辺方向よりも、基材20の長辺方向に引っ張り又は圧縮する方が、操作は容易である。本実施形態では、基材20の長辺方向の伸縮変形に拡大縮小処理が割り付けられているため、操作性が一層向上する。
【0051】
(2)上部伸縮(項目C,D)
ユーザーによって基材20の上部が左右方向に引っ張られ、あるいは、圧縮されたときには、図3(a)に示すように、上側の2つの伸縮検出部21a,21cにおいて基材20の伸縮変形が検出される。即ち、基材20の上部が引っ張られたときには、2つの伸縮検出部21a,21cの第1電極24の電位がそれぞれ負の電位(−)になる。また、基材20の上部が圧縮されたときには、2つの伸縮検出部21a,21cの第1電極24の電位がそれぞれ正の電位(+)となる。尚、このとき、基材20の下部には伸縮変形はほとんど生じないことから、下側2つの伸縮検出部21b,21dにおいては基材20の伸縮変形は検出されず、第1電極24の電位はGNDとなる。
【0052】
そして、4つの伸縮検出部21の検出結果に基づいて、制御部22が、基材20の上部が引っ張られたことを認識したときには、ディスプレイ13に現在表示されている画像の向きを変更(上下逆)にする(項目C)。一方、4つの伸縮検出部21の検出結果に基づいて、基材20の上部が圧縮されたことを認識したときには、表示画像を1つ前の画像に切り替える(項目D)。即ち、画像データ記憶部31に順序づけされた状態で記憶されている複数の画像データの中から、現在ディスプレイ13に表示されている画像データよりも1つ前の画像データを選択し、ディスプレイ13に表示させる画像を、この選択した画像データの画像に切り替える。
【0053】
(3)下部伸縮(項目E,F)
ユーザーによって基材20の下部が左右方向に引っ張られ、あるいは、圧縮されたときには、図3(a)に示すように、下側の2つの伸縮検出部21b,21dにおいて基材20の伸縮変形が検出される。即ち、基材20の下部が引っ張られたときには、2つの伸縮検出部21b,21dの第1電極24の電位がそれぞれ負の電位(−)になる。また、基材20の下部が圧縮されたときには、2つの伸縮検出部21b,21dの第1電極24の電位がそれぞれ正の電位(+)となる。尚、このとき、基材20の上部には伸縮変形はほとんど生じないことから、上側2つの伸縮検出部21a,21cにおいては基材20の伸
縮変形は検出されず、第1電極24の電位はGNDとなる。
【0054】
そして、4つの伸縮検出部21の検出結果に基づいて、制御部22が、基材20の下部が引っ張られたことを認識したときには、ディスプレイ13に現在表示されている画像を90度回転する(項目E)。また、4つの伸縮検出部21の検出結果に基づいて、基材20の下部が圧縮されたことを認識したときには、表示画像を1つ後の画像に切り替える(項目F)。即ち、画像データ記憶部31に順序づけされた状態で記憶されている複数の画像データの中から、現在ディスプレイ13に表示されている画像データよりも1つ後の画像データを選択し、ディスプレイ13に表示させる画像を、この選択した画像データの画像に切り替える。
【0055】
(4)右上がり対角線方向の伸縮(項目G,H)
ユーザーによって基材20全体が、右上がり対角線方向に引っ張られ、あるいは、圧縮されたときには、この対角線上に位置する2つの伸縮検出部21b,21cにおいて基材20の伸縮変形が検出される。即ち、基材20がこの対角線方向に引っ張られたときには、2つの伸縮検出部21b,21cの第1電極24の電位がそれぞれ負の電位(−)になる。また、基材20がこの対角線方向に圧縮されたときには、2つの伸縮検出部21b,21cの第1電極24の電位がそれぞれ正の電位(+)となる。尚、このとき、残り2つの伸縮検出部21a,21dにおいては基材20の伸縮変形は検出されず、第1電極24の電位はGNDとなる。
【0056】
そして、4つの伸縮検出部21からの信号に基づいて、制御部22が、基材20が右上がり対角線に沿って引っ張られたことを認識したときには、表示画像を最初の画像に切り替える(項目G)。即ち、画像データ記憶部31に順序づけされた状態で記憶されている複数の画像データの中の最初の画像データを選択し、ディスプレイ13に表示させる画像を、この選択した画像データの画像に切り替える。また、制御部22が、基材20が右上がり対角線に沿って圧縮されたことを認識したときには、表示画像を最後の画像に切り替える(項目H)。即ち、画像データ記憶部31に順序づけされた状態で記憶されている複数の画像データの中の最後の画像データを選択し、ディスプレイ13に表示させる画像を、この選択した画像データの画像に切り替える。
【0057】
以上のようにして、ディスプレイ13に所望の画像が表示された状態で、ユーザーにより操作ボタン12(図1、図2参照)等が操作されることによって、画像を記録する指令が制御装置4に入力されると、記録制御部30は、画像表示装置14の制御部22から現在ディスプレイ13に表示されている画像に関する情報を取得し、記録ヘッド2及び搬送機構3を制御して、その画像を印刷用紙Pに記録する。
【0058】
以上説明した本実施形態の画像表示装置14によれば、ユーザーにより板状の基材20が引張又は圧縮されることで、基材20に伸縮変形が生じると、この伸縮変形は4つの伸縮検出部21a〜21dにより検出される。すると、制御部22は、4つの伸縮検出部21a〜1dの検出結果に基づいて、ディスプレイ13に表示される画像を変更する。つまり、板状の基材20を引っ張る又は圧縮するという簡単な操作だけで、画像の拡大縮小や画像の切り替え等をディスプレイ13に行わせることができる。そのため、プリンタ1に設けられた操作ボタン12等を複雑に操作する必要がなく、機器の操作が苦手なユーザーであっても、ディスプレイ13に表示される画像を簡単に変更することができる。
【0059】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0060】
1]基材20の伸縮変形を検出する伸縮検出部21の数や基材における位置等は、前記実施形態のものに限られず、適宜変更が可能である。例えば、前記実施形態では、基材20の4つの角部近傍にのみ伸縮検出部21が設けられていたが、基材20の長手方向に関する中央部や短手方向に関する中央部にも伸縮検出部21が配置されてもよい。
【0061】
2]前記実施形態では、矩形状の基材20が、その長手方向が左右方向となるように保持された上で、長手方向(横方向)に伸縮操作されるように構成されていたが、短手方向(縦方向)に伸縮操作されてもよい。あるいは、矩形状の基材20を、その短手方向が左右方向となるように保持された上で、横方向や縦方向に操作されてもよい。さらに、基材20は矩形状に形成されたものには限られず、方形状や四角形以外の多角形状に形成されてもよい。
【0062】
3]基材20の伸縮変形を検出する伸縮検出部21としては、圧電素子の機械−電気変換作用を利用した圧電センサには限られない。例えば、伸縮検出部21が、基材20の表面に配置された導電性材料からなり、基材20の伸縮変形に応じて電気抵抗が変化する、電気抵抗体を有するもの(いわゆる、ひずみゲージ)であってもよい。この場合には、基材20が伸縮操作されて、この基材20表面に設けられた電気抵抗体が基材20とともに伸縮すると、電気抵抗体の電気抵抗が変化する。従って、この電気抵抗体の電気抵抗の変化から、基材20の伸縮変形を検出することが可能となる。
【0063】
4]前記実施形態では、4つの伸縮検出部21により、変形位置や変形方向の異なる複数の伸縮変形態様が区別して検出されるようになっていたが、変形の強さ(変形量)の異なる伸縮変形を区別して検出するようにしてもよい。例えば、伸縮検出部21が圧電センサで構成されている場合には、ユーザーにより基材20が強く伸縮されて、基材20の変形量が大きいほど伸縮検出部21から出力される電位差(第1電極の電位)は大きくなる。従って、伸縮検出部21から出力された信号が、所定の閾値以上の電位差であるか否かによって、強さの異なる変形を区別して認識することが可能となる。
【0064】
5]伸縮検出部によって検出される基材の伸縮変形に割り付けられる、画像変更処理の内容は、前記実施形態の図5に表されるものに限られない。以下に割り付け可能な処理内容の例をいくつか示す。
【0065】
(1)例えば、前記実施形態では、4つの伸縮検出部21により、基材20の中央部、上部、及び、下部の、3つの領域における左右方向の伸縮変形をそれぞれ区別して検出することが可能である。そこで、4つの伸縮検出部21により、上記3つの領域のうちの1つの領域における伸縮変形が検出されたときには、制御部22は、ディスプレイ13に表示されている画像を、伸縮変形が検出された領域に対応する部分を中心に、拡大又は縮小させるようにしてもよい。
【0066】
即ち、図6に示すように、4つの伸縮検出部21により、基材20の中央部の伸縮変形が検出されたときには、ディスプレイ13に表示されている画像を、その中央部を中心に拡大縮小させる(項目A,B)。また、4つの伸縮検出部21により、基材20の上部の伸縮変形が検出されたときには、ディスプレイ13に表示されている画像を、その上部を中心に拡大縮小させる(項目C,D)。さらに、4つの伸縮検出部21により、基材20の下部の伸縮変形が検出されたときには、ディスプレイ13に表示されている画像を、その下部を中心に拡大縮小させる(項目E,F)。
【0067】
(2)ディスプレイ13を制御する制御部22は、通常、ディスプレイ13に1枚の画像を表示させるが、ディスプレイ13に複数枚の縮小画像(サムネイル画像)を一覧表示(サムネイル表示)させることも可能である。そこで、伸縮検出部21により基材20の伸縮変形が検出されたときに、制御部22が、ディスプレイ13に一覧表示させる画像の数を変更するようになっていてもよい。例えば・BR>A基材20が引っ張られたことが検出されたときには、ディスプレイ13に一覧表示させる画像の数を少なくし、画像が圧縮されたことが検出されたときには、ディスプレイ13に一覧表示させる画像の数を多くする
ようにしてもよい。
【0068】
(3)現在表示されている画像の濃淡、色合い、あるいは、コントラスト等の変更といった、様々な画像変更処理を、基材20の伸縮変形に対して割り付けることも可能である。
【0069】
(4)基材20の伸縮変形に、ディスプレイ13における画像変更に関する処理だけでなく、それ以外の処理を割り付けてもよい。例えば、基材20のある領域における伸縮変形が検出されたときには、制御部22が、現在表示されている画像を印刷用紙Pに記録させるための信号を制御装置4に送信するように構成されてもよい。
【0070】
6]基材20が、予め定められた正規の使用姿勢(例えば、前記実施形態においては、第1伸縮検出部21aと第3伸縮検出部21cが上部に位置する図3の姿勢)とは異なる姿勢で、ユーザーによって操作された場合には、基材20の伸縮変形が伸縮検出部21で検出されなかったり、あるいは、本来行われた伸縮変形とは異なる態様の伸縮変形であると誤って認識されたりして、ユーザーが意図する画像変更が行われなくなる虞がある。そこで、画像表示装置は、ユーザーに正規の使用姿勢を認識させるための構成、あるいは、基材20の現在の姿勢を認識するための構成を備えていることが好ましい。その構成例を
以下にいくつか述べる。
【0071】
(1)基材20に、ユーザーに対して正規の使用姿勢を認識させる姿勢識別部が設けられていてもよい。例えば、図7に示すように、基材20の一部分に文字やマーク等からなる識別部70が設けられてもよい。この場合には、ユーザーは、文字やマーク等からなる識別部70が傾いたり、あるいは、逆向きになっていたりしていないかを確認することによって、基材20が正規の使用姿勢にあるかを一目でわかるようになる。または、基材20のどの姿勢が正規の使用姿勢であるかを知らせる、矢印マークやメッセージが、基材20に付されていてもよい。
【0072】
このように、基材20に使用姿勢を認識させるための姿勢識別部が設けられていると、ユーザーは、基材20を操作するときに、どの姿勢で基材20を伸縮させれば、ディスプレイ13の画像変更を正しく行うことができるかをすぐに認識することができ、意図した通りの画像変更をディスプレイ13に行わせることができる。
【0073】
(2)画像表示装置が、基材20の姿勢を検出するための構成(姿勢検出部)を備えていてもよい。例えば、画像表示装置が、プリンタ本体6から離れた場所で操作される基材20の姿勢を検出する、磁気センサ等からなる姿勢検出センサを備えていてもよい。この場合には、画像表示装置の制御部22が、上述した姿勢検出センサの検出結果から、基材20が正規の使用姿勢にあるか否かを判断することができるため、基材20が正規の使用姿勢にない場合には、ディスプレイ13にエラーメッセージを表示させるなどして、そのことをユーザーに知らせることが可能となる。
【0074】
あるいは、ユーザーに基材20を試行的に伸縮させて、その試行結果から基材20の姿勢を検出するように構成されていてもよい。この場合、まず、画像表示装置が実際に操作される前(例えば、使用しないときに画像表示装置をセットしておくためのホルダ(図示省略)から、ユーザーによって画像表示装置が取り出された直後)に、制御部22は、ユーザーに対して、基材20の一部分を試行的に左右に引っ張ることを依頼するメッセージを、ディスプレイ13に表示させる。この試行的な伸縮操作の必要性は、ユーザーによる基材20の操作直前に知らせる必要は必ずしもなく、プリンタ1の取扱説明書の記載や、プリンタ本体6又は基材20に貼り付けられた注意書き等によって、事前にユーザーに通知しておいてもよい。
【0075】
そして、ユーザーによって試行的に基材20が伸縮されたときに、伸縮検出部21により検出された基材20の伸縮変形に基づいて、制御部22は基材20の姿勢を検出する。例えば、ホルダから取り出された直後の姿勢のままで、基材20の下部を試行的に引っ張るように、ユーザーに対して指示した場合に、伸縮検出部21による検出結果に基づいて、制御部22が、指示した通りに、基材20の下部が引っ張られたと認識した場合には、制御部22は、現在の基材20の姿勢が正規の使用姿勢であると判断する。一方、基材20の下部を試行的に引っ張るようにユーザーに指示しているはずなのに、伸縮検出部21による検出結果からは、基材20の上部が引っ張られたと認識される場合には、制御部22は、現在の姿勢が正規の使用姿勢とは上下反対の姿勢であると判断する。この変更形態では、制御部22自体が、伸縮検出部21による検出結果に基づいて、基材20の姿勢を検出する姿勢検出部に相当する。
【0076】
このように、ユーザーによる試行的な基材20の伸縮が行われたときに、伸縮検出部21の検出結果から、制御部22が基材20の姿勢を認識することができる場合には、基材20の姿勢を検出するための特別なセンサは不要になる。
【0077】
7]画像を表示するディスプレイ13は、基材20に一体的に設けられている必要は必ずしもない。即ち、図8、図9に示すプリンタ1Aのように、板状の基材20を有する入力装置14Aがプリンタ本体6内の制御装置4Aと接続された上で、画像を表示するディスプレイ13Aが複数の操作ボタン12とともにプリンタ本体6に設けられてもよい。
【0078】
図9に示すように、この変更形態では、ディスプレイ13Aを制御する表示制御部22A(表示制御手段)が、プリンタ1Aの制御装置4Aに設けられている。そして、この表示制御部22Aは、入力装置14Aの4つの伸縮検出部21a〜21dから入力された、基材20の伸縮変形に関する情報に基づいて、ディスプレイ13Aに表示させる画像を変更する。この表示制御部22Aの機能については、前記実施形態の制御部22(図2参照)と同様であるので、これ以上の説明は省略する。尚、この変更形態においては、ディスプレイ13Aと入力装置14Aとを備えたプリンタ1Aが、本願発明の画像表示装置に相
当する。
【0079】
尚、このように、ディスプレイ13Aが入力装置14Aの基材20から分離して設けられている場合には、入力装置14Aの構成が簡単になる。また、前記実施形態のように、ディスプレイ13Aが基材20と一体的に設けられている場合と比べると、基材20が伸縮しやすくなるため、伸縮検出部21による伸縮変形の検出が容易となる。
【0080】
8]前記実施形態の画像表示装置14は、記録ヘッド2を備えたプリンタ1に接続されて使用されるものであった。しかし、ディスプレイを備えた画像表示装置が、プリンタ等の他の装置に接続されずに、単体でも使 BR>p可能なものであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1A プリンタ
13,13A ディスプレイ
14 画像表示装置
14A 入力装置
20 基材
20b 薄肉部
21 伸縮検出部
22,22A 制御部
23 圧電層
24 第1電極
25 第2電極
70 識別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部の画像変更を含む複数の機能を選択して実行可能な画像表示装置であって、
板状の基材と、
前記基材に配置されて、前記基材の伸縮変形を検出する伸縮検出手段と、
前記伸縮検出手段の検出結果に基づいて前記基材に生じる複数の伸縮変形の態様を区別して検出可能であり、検出された前記伸縮変形の態様に応じて前記複数の機能の1つを選択して実行する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記複数の機能には、前記表示部に表示される画像の拡大縮小と、画像の切り替えとが含まれており、
前記基材は矩形の平面形状を有する板部材であり、
前記制御手段は、
前記伸縮変形の態様のうち前記基材の一辺に平行な方向の伸縮変形の態様を検出した場合には、前記表示部に表示される画像の拡大縮小を実行し、
前記伸縮変形の態様のうち前記基材の対角線に平行な方向の伸縮変形の態様を検出した場合には、前記表示部に表示される画像の切り替えを実行することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記伸縮検出手段は、前記基材に複数設けられており、
前記制御手段は、
複数の前記伸縮検出手段のうち伸縮変形を検出したものの配置箇所及び個数に基づいて、前記伸縮変形の態様を区別して検出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記複数の伸縮検出手段は、前記基材の4つの角部にそれぞれ設けられ、
前記制御手段は、
前記複数の伸縮検出手段のうち4つ全てが伸縮変形を検出した場合には、前記基材の一辺に平行な方向の伸縮変形の態様と検出し、
前記複数の伸縮検出手段のうち対角線上に位置する2つが伸縮変形を検出した場合には、前記基材の対角線に平行な方向の伸縮変形の態様と検出することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記基材には、正規の使用姿勢を認識させるための姿勢認識部が設けられ、
前記複数の機能には、前記表示部に表示される画像の向きを上下変更するものと、画像を90度回転させるものとが含まれており、
前記制御手段は、
前記姿勢認識部により正規の使用姿勢と認識された状態において、前記複数の伸縮検出手段のうち上部の2つが伸張変形を検出した場合には、前記基材の上部が引っ張られた伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に表示される画像の向きを上下変更し、
前記複数の伸縮検出手段のうち下部の2つが伸張変形を検出した場合には、前記基材の下部が引っ張られた伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に表示される画像を90度回転させることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
複数の画像データを順序付けて記憶することができる画像データ記憶部をさらに備え、
前記複数の機能には、前記表示部に現在表示されている画像データよりも1つ前の画像データを選択して切り替えるものと、現在表示されている画像データよりも1つ後の画像データを選択して切り替えるものとが含まれており、
前記制御手段は、
前記画像データ記憶部に複数の画像データが順序付けて記憶されている状態において、前記複数の伸縮検出手段のうち上部の2つが収縮変形を検出した場合には、前記基材の下部が圧縮された伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に現在表示されている画像データよりも1つ前の画像データを選択して切り替え、
前記複数の伸縮検出手段のうち下部の2つが収縮変形を検出した場合には、前記基材の下部が圧縮された伸縮変形の態様と検出し、前記表示部に現在表示されている画像データよりも1つ後の画像データを選択して切り替えることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記基材の表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54362(P2013−54362A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222066(P2012−222066)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2008−291619(P2008−291619)の分割
【原出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】