説明

画像解析装置、画像解析方法及びプログラム

【課題】 広範囲の災害状況を的確に把握する。
【解決手段】地表高データ計算部201は第1と第2の衛星データのペアに基づいて第1及び第2のDSMデータを作成する。地表物データ計算部202は第1と第2の衛星データのペアに基づいて第1及び第2の地表物データを作成する。地面高さデータ計算部203は第1のDSMデータと第1の地表物データ、及び、第2のDSMデータと第2の地表物データに基づいてそれぞれ第1及び第2のDEMデータを作成する。災害領域判定部204は第1のDSMデータ及び第2のDSMデータに基づいて災害領域データを作成する。災害規模計算部205は災害領域データと第1のDEMデータと第2のDEMデータに基づいて災害面積値と災害体積値を計算し災害規模を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広範囲の災害状況を把握するために好適な、画像解析装置、画像解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星から撮影された衛星画像や航空機等から撮影された空撮画像は、地形図の作成や地形変化の解析等のように、様々な用途に用いられる。例えば、地震や土砂崩れ等の自然災害が発生した場合に、衛星画像や空撮画像を用いて災害地域の特定や災害規模を推定することが行われている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、災害等が発生した地域の災害発生前後の衛星リモートセンシングデータ(以下、「衛星データ」と呼ぶ)を人間による写真判読もしくはコンピュータによる画像解析によって、土地被覆の変化箇所を評価する技術が開示されている。この方法によれば、まず、評価者は、土地被覆変化の評価を行う評価領域と、災害等が発生した前後のその評価領域の画像を含む衛星データを選定する。一般に衛星データは複数のバンド(波長の帯域)で取得されており、この手法では評価者は土地被覆の変化箇所を識別しやすいバンドで取得した衛星データを選定する。次に、評価者は、衛星データに対して幾何補正と輝度補正を施す。幾何補正とは、衛星データと既知の地形図とのフィッティングと座標変換を行う処理である。また、輝度補正とは、2つの衛星データの撮影時期の違いに伴う大気による影響を、2つの衛星データ間で相対的に小さくする処理である。更に、評価者は、コンピュータ等を用いて評価を行う前後の衛星データ間の非類似性を計算し、土地被覆変化を評価する。そして、土地被覆変化が認められた領域を災害領域とみなし、災害が発生した領域の面積を計算して災害規模を推定する。
【0004】
また、従来から行われている災害規模の推定手法として、衛星データや特許文献1に開示される技術を用いて撮影された画像データを画像解析することによって地面高データ(以下、「DEM(Digital Elevation Model)データ」と呼ぶ)を作成し、地面の高さが変化した領域を検出して災害領域と災害規模を推定することが行われている。この場合、まず、災害等が発生する前の同時期に異なる撮影方向から撮影して得られる第1の衛星データ等のペアに対してステレオマッチング処理を施して第1のDEMデータを得る。次に、災害等が発生した後の同地域の同時期に異なる撮影方向から撮影して得られる第2の衛星データ等のペアに対してステレオマッチング処理を施して第2のDEMデータを得る。そして、第1のDEMデータと第2のDEMデータとをコンピュータ等を用いて比較し、地面の高さが変化した領域を災害領域とみなし、災害が発生した領域の面積を計算して災害規模を推定する。
【非特許文献1】日本リモートセンシング学会誌Vol.18、No.4(1998)30〜44ページ、「衛星マルチスペクトルデータを用いた土地被覆変化箇所の評価方法について」、小島尚人・大林成行
【特許文献1】特開2004−117254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来行われている災害規模の推定のためには、地面の部分を判別できる画像データを用意する必要があり、高縮尺空中写真や解像度が大きい衛星データなどを用いた高精度(具体的には、高さ精度が1メートル程度で地面部分を特定できる精度)のDEMデータが必要である。しかし、このような解像度が大きい衛星データ等は高価であり、災害領域や災害規模を推定することは容易ではない。また、高解像度の衛星データ等を用いる場合、その撮影領域が狭くなったりデータ量が膨大になったりするため、広範囲を対象とすると処理負担が大きく、広範囲の災害規模の推定には不向きである。また、低縮尺空中写真や解像度があまり大きくない衛星データなどを用いた中精度(具体的には、高さ精度が5メートル程度の精度)のDEMデータを利用することも可能であるが、地面部分を特定できず、地面上の建造物や樹木等を含んだおおよその地面の高さを求めることになるため、計算の誤差が大きく、災害規模を正確に推定できないという問題がある。
また、非特許文献1による手法では、2次元情報のみを利用しているため、災害領域の面積を計算することはできても、発生した災害等の規模を示す体積(例えば、土砂災害の場合に流出した土砂の体積など)を計算できず、災害規模を正確に推定できないという問題がある。
このように、従来の技術では、広範囲の災害状況(災害領域、災害規模等)を正確に把握することは困難である。また、中精度程度の衛星データ等を利用できれば、広範囲の災害領域や災害規模を推定することが可能となるが、推定結果の信頼性が低い。このため、中精度程度以下の衛星データ等を用いて災害規模を正確に推定する技術が望まれている。
【0006】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、処理負担が比較的小さく、正確に災害状況を解析可能な画像解析装置と画像解析方法を提供することを目的とする。
また、この発明は、広範囲の災害状況を的確に把握するのに好適な画像解析装置と画像解析方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像解析装置は、
注目地域を第1のタイミングで上方から撮影して得られる第1の画像データに基づいて、第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第1の地表高データを求める第1の地表高データ取得手段と、
前記注目地域を第2のタイミングで上方から撮影して得られる第2の画像データから、第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第2の地表高データを求める第2の地表高データ取得手段と、
前記第1の画像データに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を判別して第1の地表物データを求める第1の地表物判別手段と、
前記第2の画像データに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を判別して第2の地表物データを求める第2の地表物判別手段と、
前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第1の地面高データを求める第1の地面高データ取得手段と、
前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第2の地面高データを求める第2の地面高データ取得手段と、
前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化を求める地表変化判別手段と、
を備える。
【0008】
前記地表変化判別手段は、例えば、前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化量を計算する変化量計算手段と、前記変化量計算手段により計算された変化量が所定のしきい値に達したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段がしきい値に達したと判定した場合に、前記変化量が所定のしきい値に達した領域の規模の大きさを示す規模データを生成する規模データ生成手段と、を備える。
【0009】
複数の地表物とその地表物の高さとを対応づけるデータを予め格納する地表物データ格納手段を更に配置し、前記第1の地面高データ取得手段は、前記第1の地表物データ取得手段が判別した地表物の高さを前記地表物データ格納手段に格納されるデータから求め、前記第1の地表高データが示す高さから、地表物の高さを減算することにより、地面の高さを求め、前記第2の地面高データ取得手段は、前記第2の地表物データ取得手段が判別した地表物の高さを前記地表物データ格納手段に格納されるデータから求め、前記第2の地表高データが示す高さから、地表物の高さを減算することにより、地面の高さを求める、ように構成してもよい。
【0010】
例えば、前記第1及び第2の画像データは、複数の画素から構成され、前記第1の地表高データ取得手段は、前記第1の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に第1の地表高データを求め、前記第2の地表高データ取得手段は、前記第2の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に第2の地表高データを求め、前記第1の地表物判別手段は、前記第1の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に地表物を判別し、前記第2の地表物判別手段は、前記第2の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に地表物を判別し、前記第1の地面高データ取得手段は、前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、領域毎に第1の地面高データを取得し、前記第2の地面高データ取得手段は、前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、領域毎に第2の地面高データを取得する。
【0011】
例えば、前記第1の地表物判別手段は、前記第1の画像データに、スペクトル解析、テクスチャ解析、空間周波数解析の少なくとも1つを施して、地表物を判別し、前記第2の地表物判別手段は、前記第2の画像データに、スペクトル解析、テクスチャ解析、空間周波数解析の少なくとも1つを施して、地表物を判別する。
【0012】
例えば、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データは、それぞれ、前記注目地域を含むステレオ画像の画像データから構成され、前記第1の地表高データ取得手段は、複数の第1の画像データから構成されるステレオ画像に基づいて、地表高データを生成する。
【0013】
複数の地点について、異なったタイミングで異なった位置で撮影した複数の画像を予め記憶する画像データベースと、新たな画像データを入力する入力手段と、前記入力手段に入力された新たな画像データに対応する画像データを前記画像データベースから検索する手段と、前記データベースより検索された画像データを前記第1の画像データ、前記入力手段により入力された画像データを前記第2の画像データとして供給する供給手段と、を配置してもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る画像解析方法は、
注目地域を第1のタイミングで上方から撮影して得られる第1の画像データから、第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第1の地表高データを求める第1の地表高データ取得ステップと、
前記注目地域を第2のタイミングで上方から撮影して得られる第2の画像データから、第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第2の地表高データを求める第2の地表高データ取得ステップと、
前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第1の地表物データを求める第1の地表物データ取得ステップと、
前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第2の地表物データを求める第2の地表物データ取得ステップと、
前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第1の地面高データを求める第1の地面高データ取得ステップと、
前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第2の地面高データを求める第2の地面高データ取得ステップと、
前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化を求めるステップと、
を備えることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
注目地域を第1のタイミングで上方から撮影して得られる第1の画像データから、第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第1の地表高データを求める第1の地表高データ取得手段、
前記注目地域を第2のタイミングで上方から撮影して得られる第2の画像データから、第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第2の地表高データを求める第2の地表高データ取得手段、
前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第1の地表物データを求める第1の地表物データ取得手段、
前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第2の地表物データを求める第2の地表物データ取得手段、
前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第1の地面高データを求める第1の地面高データ取得手段、
前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第2の地面高データを求める第2の地面高データ取得手段、
前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化を判別する判別手段、
として機能させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、災害状況等を把握するために好適な、画像解析装置と画像解析方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の一実施の形態に係る災害状況解析用の画像解析装置100を説明する。
画像解析装置100は、図1に示すように、制御部110、RAM111、ROM112、記憶部113、出力部114、I/F115、入力部116、及び、システムバス118を含む。
【0018】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置から構成され、画像解析装置100の全体の制御を行う。また、制御部110は、ROM112や記憶部113に格納されるプログラムを読み出して、プログラムに基づいて所定の処理を実行する。例えば、制御部110は、人工衛星から撮影して得られる衛星データをステレオマッチング処理することによって、樹木等の地表物の高さを含む地表高データであるDSM(Digital Surface Model)データを得るための処理を行う。また、例えば、制御部110は、DSMデータから地表物(建築物、樹木等)を含まない地面の高さを示すDEM(Digital Elevation Model)データを得るための処理を行う。そして、制御部110は、DEMデータやDSMデータ等を用いて災害規模データ255を計算する。災害規模データ255には、災害等が発生した災害領域データ、災害面積値、災害体積値等が含まれる。尚、制御部110が実行する処理の詳細については、後述する。
【0019】
RAM(Random Access Memory)111は、制御部110が所定の処理(例えば、DSMデータ作成処理、DEMデータ作成処理、等)を実行するために読み出したプログラムや、制御部110が当該プログラムを実行するために必要なデータを格納する揮発性メモリである。
【0020】
ROM(Read Only Memory)112は、制御部110が所定の処理を実行するためのプログラム等を予め格納する不揮発性メモリである。制御部110は、ROM112から必要に応じてプログラム等を読み出して、RAM111に展開し、当該プログラム等に基づいて所定の処理を実行する。
【0021】
記憶部113は、ハードディスクドライブ等の記憶装置から構成され、制御部110が後述する災害規模データ255を計算する処理を行うために用いる衛星データ251乃至254等を格納する。記憶部113は、衛星データのデータベースとしても機能する。各衛星データには、撮影日時、撮影条件等の属性データが付属している。また、記憶部113は、制御部110がROM112等に格納されたプログラムを実行した結果として得られるデータ(例えば、DSMデータ、DEMデータ、災害規模データ255、等)を所定の場所に格納する。
【0022】
出力部114は、モニタ等の表示装置やスピーカ等の出力装置から構成され、制御部110からの指示により、制御部110がROM112等に格納されたプログラムに従って実行した処理の結果として得られる災害規模データ255等を出力する。つまり、ユーザは、出力部114によって出力される映像や音声等によって、制御部110が実行して得られる災害規模データ255の内容等を知ることができる。
【0023】
I/F(インタフェース)115は、CD(Compact Disc)等のリムーバルディスクに対して読み書きするためのCD−ROMドライブ等のドライブ装置や、外部のネットワーク121(例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)等)に繋ぐNIC(Network Interface Card)などと接続するインタフェースである。
【0024】
入力部116は、キーボード、マウス等の入力装置から構成され、これら入力装置を用いてユーザによって入力されるデータを受け付けて、入力されたデータを制御部110に入力する。
【0025】
システムバス118は、制御部110、RAM111、ROM112、記憶部113、出力部114、I/F115、及び、入力部116の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0026】
画像解析装置100は、一般的に普及しているコンピュータ等を用いて構成することができる。
【0027】
次に、本実施の形態に係る画像解析装置100の制御部110が実行する処理について説明する。
画像解析装置100は、人工衛星から撮影して得られる衛星データや、航空機から撮影した低縮尺空中写真をデジタル変換した画像データ等を用いて、地震や土砂崩れ等の災害の程度の大きさを解析する処理(以下、「災害解析処理」と呼ぶ)を行う。尚、災害解析処理に用いられる画像データはこれらに限定されるものではない。
【0028】
本実施形態では、災害解析処理に用いる画像データとして、人工衛星から撮影して得られる衛星データを用いる。また、以下の説明においては、図3を参照して後述するように、被災地を災害等が発生する前に異なる2つの撮影方向A及びBから撮影して得られる第1の衛星データのペアを衛星データ251及び252とし、災害等が発生した後に2つの撮影方向A’及びB’から撮影して得られる第2の衛星データのペアを衛星データ253及び254とする。撮影方向AとB(又はA’とB’)は、後述するステレオマッチング処理を行うために支障のない程度に異なるものであればよく、撮影方向の具体的な視差角等は限定されるものではない。
【0029】
図2は、制御部110が実行する処理を説明するための機能ブロック図である。図のように、図1に示す制御部110とその周辺回路とは、機能的に、地表高データ計算部201、地表物データ計算部202、地面高さデータ計算部203、災害領域判定部204、及び、災害規模計算部205を含む。
【0030】
地表高データ計算部201は、制御部110から構成され、人工衛星から撮影して得られる衛星データや、航空機から撮影された低縮尺空中写真を用いて、樹木等の地表物の高さを含む地表高データ(DSMデータ)を計算する。以下、地表高データ計算部201が行う処理を「DSMデータ計算処理」と呼ぶ。
【0031】
DSMデータは、図4に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素を備え、各画素データは3次元座標(X,Y,Z)が割り当てられている。ここで、Xはその画素が表している位置の東西方向(又は衛星画像の左右方向)の位置(例えば、経度)、Yはその画素が表している位置の南北方向(又は衛星データの上下方向)の位置(例えば、緯度)、Zはその画素が表している位置の高さ(例えば、高度)を表す。地表高データ計算部201は、計算されたDSMデータを地面高さデータ計算部203及び災害領域判定部204に供給する。また、地表高データ計算部201は、入力された衛星データ251、253(又は252、254)を後述する地表物データ計算部202に供給する。
【0032】
本実施の形態で用いられる衛星データは、図3に示すように、同じ地域を同じ時期に異なる撮影方向から撮影して得られる2つの衛星データのペアを1組とする。そして、災害等が発生した前後の2組の衛星データを用いる。例えば、ある日時に災害等が発生した場合に、災害等が発生する前に撮影して得られる1組の衛星データ251及び252と、災害等が発生した後に撮影して得られる他の1組の衛星データ253及び254を用いる。衛星データ251の撮影タイミングと衛星データ252の撮影タイミングは異なっていてもよい。ここで、一般に、衛星データには、人工衛星が多コースで進行方向に対して左右に傾斜撮影するCross Track方式や、同一コースで進行方向の前後に傾斜撮影するForward-Afterward方式など、様々な方式によって撮影して得られるものがあるが、撮影方式は限定されない。また、ここで述べる同じ時期(タイミング)とは、必ずしも絶対的な同時刻を示すものではなく、災害解析処理を行う上で支障のない限りの日時のずれを含んでいても良い。
【0033】
また、災害解析処理に用いられる衛星データ251乃至254は、予め記憶部113の所定の格納場所(データベース)に、例えば、撮影地の位置情報、撮影時期、撮影条件などの情報と共に格納されており、地表高データ計算部201は必要に応じて、例えば、撮影地の位置と時期とを特定してデータを検索してこれらの衛星データを読み込む。あるいは、地表高データ計算部201は、I/F115に接続されるドライブ装置に挿入されたCD等のメディアに記録された衛星データを必要に応じて読み込むこととしてもよい。または、地表高データ計算部201は、I/F115に接続されるNICを用いて接続される外部のネットワーク121(例えば、インターネット、LAN等)上のコンピュータ、データベース等から必要に応じて衛星データを読み込むこととしてもよい。
【0034】
地表物データ計算部202は、制御部110から構成され、衛星データに対してスペクトル解析やテクスチャ解析、あるいは空間周波数を用いた一般的な画像解析を行って、森林、草地などの所定の地表物が占める領域を判定する。そして、地表物データ計算部202は、このような画像解析を行って得られる結果である地表物データを地面高さデータ計算部203に供給する。
【0035】
具体的には、地表物データ計算部202は、衛星データを構成する画素データごとに、あるいは、衛星データを構成する画素データのうちN個×M個(N、Mは自然数)の集合によって示されるカーネル領域ごとに、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データ251(又は252)に対してスペクトル解析等を行って、所定の地表物が占める領域を判定する。更に、地表物データ計算部202は、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データ253(又は254)に対して同様のスペクトル解析等を行って、所定の地表物が占める領域を判定する。以下、地表物データ計算部202が行う処理を「地表物データ作成処理」と呼ぶ。
【0036】
地面高さデータ計算部203は、制御部110から構成され、地表高データ計算部201から入力されるDSMデータと、地表物データ計算部202から入力される地表物データとに基づいて、地面高さデータ(DEMデータ)を生成し、災害規模計算部205に入力する。以下、地面高さデータ計算部203が行う処理を「DEMデータ作成処理」と呼ぶ。
【0037】
ここで、DEMデータとは、地表物データ計算部202によって判定された所定の地表物(例えば、森林、草地など)の高さを含まない、地面の高さを示すデータである。
例えば、図5に示すように、地表面の一部に地表物である樹木が存在する場合、DSMデータは地表物である樹木の高さを含む。一方、DEMデータは地表物である樹木の高さを含まない。
【0038】
地面高さデータ計算部203によって計算されるDEMデータの各画素データは、地表高データ計算部201によって計算されるDSMデータと同様に、それぞれ3次元座標(X,Y,Z)をもつ。ここで、Xは東西方向(又は衛星画像の左右方向)の位置、Yは南北方向(又は衛星画像のの上下方向)の位置、Zはその画素が表している地点の高さを表す。
【0039】
災害領域判定部204は、制御部110から構成され、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データ251、252に基づいて地表高データ計算部201によって計算された第1のDSMデータと、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データ253、254に基づいて地表高データ計算部201によって計算された第2のDSMデータと、に基づいて、災害等が発生した領域(以下、「災害領域」と呼ぶ)を判定する。そして、災害領域判定部204は、判定結果を示すデータ(以下、「災害領域データ」と呼ぶ)を災害規模計算部205に供給する。
【0040】
具体的には、災害領域判定部204は、第1のDSMデータと第2のDSMデータの画素データごとに高さ(Z座標)の変化量を計算する。そして、災害領域判定部204は、災害等が発生した地域やその周辺地域において予め行われた現地調査によって得られる平均的な地表物の高さをしきい値として、前記変化量が当該しきい値よりも大きい場合に、その画素データに対応する領域を災害領域と判定する。以下、災害領域判定部204が行う処理を「災害地域判定処理」と呼ぶ。
【0041】
災害規模計算部205は、制御部110から構成され、災害領域判定部204から入力される災害領域データと、地面高さデータ計算部203から入力されるDEMデータとに基づいて、災害領域データによって示される災害領域に対して、高さ(DEMデータのZ座標の値)の変化量を計算する。入力されるDEMデータは、災害等が発生する前の第1のDEMデータ、及び、災害等が発生した後の第2のDEMデータの両方である。そして、第1のDEMデータの各画素データの高さ(Z座標)の値と第2のDEMデータの各画素データの高さ(Z座標)の値との差を取ることによって、災害等が発生した前後の高さ(Z座標)の変化量を得る。また、災害規模計算部205は、提供される衛星データ251乃至254の縮尺(あるいは縮小率等)を元に、画素データの1個あたりが示す面積を計算し、災害領域の災害面積値を計算する。更に、災害規模計算部205は、災害領域に含まれる画素データごとに、画素データ1個あたりの面積と高さ(Z座標)の変化量を乗じて得られる体積を計算し、その和を取ることによって災害領域の災害体積値を計算する。尚、災害規模計算部205が行う処理を「災害規模計算処理」と呼ぶ。
【0042】
次に、本実施の形態に係る画像解析装置100の制御部110が実行する処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
まず、制御部110の地表高データ計算部201は、同じ地域を同じ時期に異なる撮影方向から撮影して得られる衛星データのペア(衛星データ251及び252のペア、又は、衛星データ253及び254のペア)を入力として、DSMデータ作成処理を行う(ステップS601)。すなわち、地表高データ計算部201は、災害等が発生する前の第1のDSMデータと、災害等が発生した後の第2のDSMデータとを計算する。DSMデータ作成処理の結果得られるデータは、衛星データを構成する各画素データに対して計算された地表高の値をZ座標とし、各画素データがX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置されたDSMマップデータである。地表高データ計算部201が行うDSMデータ作成処理の詳細については、後述する。また、ここで述べる同じ時期とは、必ずしも絶対的な同時刻を示すものではなく、災害解析処理を行う上で支障のない限りの日時のずれを含んでいても良い。
【0044】
次に、制御部110の地表物データ計算部202は、衛星データ251(又は252)又は衛星データ253(又は254)を入力として、地表物データ作成処理を行う(ステップS602)。すなわち、地表物データ計算部202は、災害等が発生する前の第1の地表物データと、災害等が発生した後の第2の地表物データとを計算する。地表物データ作成処理の結果得られるデータは、衛星データを構成する各画素データがX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置され、各画素データに対して判定された所定の地表物を示すデータが対応づけられた地表物マップデータである。地表物データ計算部202が行う地表物データ作成処理の詳細については、後述する。
【0045】
更に、制御部110の地面高さデータ計算部203は、地表高データ計算部201によって作成されたDSMデータと、地表物データ計算部202によって作成された地表物データとを入力として、DEMデータ作成処理を行う(ステップS603)。すなわち、地面高さデータ計算部203は、災害等が発生する前の第1のDEMデータと、災害等が発生した後の第2のDEMデータとを計算する。DEMデータ作成処理の結果得られるデータは、DSMマップデータを構成する各画素データに対して計算された各地面高さの値をZ座標とし、各画素データがX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置されたDEMマップデータである。地面高さデータ計算部203が行う地表物データ作成処理の詳細については、後述する。
【0046】
また、制御部110の災害領域判定部204は、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データ251及び252から生成される第1のDSMデータと、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データ253及び254から生成される第2のDSMデータを入力として、災害領域判定処理を行う(ステップS604)。災害領域判定処理の結果得られるデータは、衛星データを構成する各画素データがX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置され、各画素データに対して判定された災害領域か否かを示すデータが対応づけられた災害領域マップデータである。災害領域判定部204が行う災害領域判定処理の詳細については、後述する。
【0047】
制御部110の災害規模計算部205は、地面高さデータ計算部203によって計算された、災害等が発生する前の第1のDEMデータと、災害等が発生した後の第2のDEMデータと、災害領域判定部204によって計算された災害領域データとを入力として、災害規模計算処理を行う(ステップS605)。災害規模計算処理の結果得られる災害規模データ255は、災害領域の面積値と、災害等の規模を示す体積値を含む。災害規模計算部205が行う災害規模計算処理の詳細については、後述する。災害規模計算部205によって計算された災害規模データ255は、制御部110からの指示に従って、出力部114に含まれるモニタ等に対して出力される。
【0048】
このように、画像解析装置100は、衛星データ251乃至254を入力として、災害規模データ255を出力する。すなわち、ユーザは、災害規模を推定するために有用な情報である災害規模データ255を知ることができる。
【0049】
次に、制御部110の地表高データ計算部201がステップS601で行うDSMデータ作成処理の詳細について、図7を参照して説明する。
【0050】
まず、地表高データ計算部201は、同じ地域(重複していればよく、完全に一致している必要はない)を同じ時期に異なる撮影方向から撮影して得られる衛星データのペア(すなわち、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データ251、252を含む第1の衛星データのペア、と、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データ253、254を含む第2の衛星データのペア)を入力する(ステップS701)。尚、これらの衛星データは、デジタルデータとして提供されるデータである。また、フィルム等に撮影されたアナログ写真を用いる場合には、予めデジタルデータに変換し、デジタル変換後のデータを用いればよい。
【0051】
次に、地表高データ計算部201は、第1又は第2の衛星データのペアが撮影された時期の衛星軌道、衛星の姿勢データ、センサモデル等を元に、衛星データを取得するカメラの撮影方向などを示す標定モデルを計算する(ステップS702)。すなわち、撮影された場所の位置情報(緯度、経度等)や衛星カメラの位置情報(緯度、経度、高さ、傾き等)を得る。
【0052】
更に、地表高データ計算部201は、第1又は第2の衛星データのペアの対応点を探索する処理(ステレオマッチング)を行う(ステップS703)。例えば、衛星データ251(又は253)を構成する画素データのうちN個×M個の集合で示されるカーネル領域を定義し、このカーネル領域と最も相関が大きい衛星データ252(又は254)のカーネル領域を検索する。この結果、衛星データのペアに対して、撮影箇所や撮影方向をマッチングさせることができる。尚、このステレオマッチングでは、第1又は第2の衛星データのペアに対して、衛星データの示す画像内のエッジやコーナーなどの特徴点を探して、それら特徴点を合わせることでマッチングを行うこともできる。
【0053】
また、地表高データ計算部201は、第1又は第2の衛星データのペアの画素データ(又はカーネル領域)ごとに、衛星カメラが撮影した視差を計算して、画素データ(又はカーネル領域)ごとに3次元座標(X,Y,Z)を計算する(ステップS704)。ここで、Xはその画素(又はカーネル領域)が表している位置の東西方向(又は衛星データの左右方向)の位置(例えば、経度)、Yは南北方向(又は衛星データの上下方向)の位置(例えば、緯度)、Zは高さ(例えば、海抜)を表す。
【0054】
1画素(又はカーネル領域)について座標計算が終了すると、座標を計算すべき他の画素データが残っているか否かを判別し(ステップS705)、残っている場合(ステップS705;Yes)、地表高データ計算部201は、当該他の画素データ(又はカーネル領域)に対して座標を計算する処理を行う(ステップS704を繰り返す)。座標を計算すべき他の画素データが残っていない場合(ステップS705;No)、地表高データ計算部201は、各画素データ(又は各カーネル領域)に対して計算された地表高の値をZ座標とし、各画素データをX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置し、画素データ(又はカーネル領域)ごとにZ座標である高さを持ったDSMデータを得る(ステップS706)。地表高データ計算部201は、DSMデータ作成処理を終了する。尚、DSMデータ作成処理は、災害等が発生する前の第1の衛星データのペアに対して行われ、更に、災害等が発生した後の第2の衛星データのペアに対しても行われる。
【0055】
本実施の形態では、DSMデータは、画素データ(又はカーネル領域)が3次元座標で表現されるデジタルデータとしてだけでなく、Z座標の大きさの違いを色彩や模様の種類・濃淡・輝度の違い等によって表現したDSMデータのマップデータで表現される。そして、地表高データ計算部201は、出力部114に含まれるモニタ等に当該DSMデータをマップデータとして表示させる。このようにすれば、ユーザは、得られたDSMデータによって示される事象(例えば、ある地域の地表物を含めた高さがどれくらいか、等)を容易に把握することができる。
【0056】
このように、地表高データ計算部201は、同じ地域を同じ時期に異なる撮影方向から撮影して得られる衛星データのペア(すなわち、衛星データ251、252のペア、又は、衛星データ253、254のペア)から、1つのDSMデータを計算する。そして、地表高データ計算部201によって、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データ251、252のペアから第1のDSMデータが生成され、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データ253、254のペアから第2のDSMデータが生成される。
【0057】
DSMデータ作成処理で用いられる衛星データは、本実施の形態では同じ地域を同じ時期に異なる撮影方向から撮影して得られる2つの衛星データであるが、3つ以上の衛星データを用いた実施形態を採用することも可能である。例えば、衛星データの撮影時の気象条件によって地形の判別等が難しい領域がある場合には、同じ地域を同じ時期に異なる撮影方向から撮影した第3の衛星データを用いてDSMデータを作成して合成する等の処理を行ってもよい。
【0058】
次に、制御部110の地表物データ計算部202が図6のステップS602で行う地表物データ作成処理について、図8を参照して説明する。
【0059】
地表物データ計算部202は、入力された衛星データ251(又は252)に対して、スペクトル解析、テクスチャ解析、又は空間周波数を用いた一般的な画像解析を行う。解析に用いられる衛星データ(251乃至254)を構成する各画素データは、少なくとも2次元の座標(X,Y)をもつ。Xは東西方向(又は衛星データの左右方向)の位置、Yは南北方向(又は衛星データの上下方向)の位置を表す。
【0060】
例えば、解析に用いられる衛星データ(251乃至254)の各画素データにL個(Lは正の整数)のバンドからなる発光スペクトルが対応づけられている場合、地表物データ計算部202は、スペクトル解析を行って所定の地表物が占める領域を判定することができる。
【0061】
スペクトル解析を行う場合、衛星データ251と253(又は252と254)の画素データごとに、あるいは、N個×M個の画素データの集合によって示されるカーネル領域ごとに、L個のバンド毎の発光強度を計算する。そして、m番目(mは1以上M以下の整数)のバンドの発光強度が所定のしきい値よりも大きい場合には森林である、等の条件式を予め決定しておき、地表物を判定する。
【0062】
一方、テクスチャ解析を行う場合、地表物データ計算部202は、N個×M個の画素データの集合によって示されるカーネル領域ごとに、予め決定された所定の画像パターン(例えば、森林の場合の画像パターン、等)と比較して相関値を計算し、所定の相関値よりも大きい場合には予め対応づけられた地表物であると判定する。この場合、地表物データ計算部202は、画素データが2次元座標(X,Y)で表される2次元データの衛星データを用いて、地表物を判定することができる。
【0063】
あるいは、空間周波数を用いた解析を行う場合、地表物データ計算部202は、N個×M個の画素データの集合によって示されるカーネル領域ごとに、画像パターンの周期性を計算し、所定の周波数で示される周期性をもった画像パターンの場合には予め対応づけられた地表物であると判定する。
【0064】
地表物データ計算部202が判定する所定の地表物の種類データは予め記憶部113に格納されており、地表物データ計算部202はこの種類データに基づいて地表物を判定する。図9は、記憶部113に格納される、所定の地表物の種類を定義する種類データの例を示す。本図の場合、地表物である森林は、その森林を構成する樹木の種類によって森林1、森林2などのように分類されており、各々の地表物(地表物A、B、Cなど)に対応してその平均的な高さデータが格納されている。これらの平均的な高さデータは、災害等が発生した地域やその周辺地域における現地調査によって予め測定されたものであることが好ましい。しかし、地表物の一般的に知られている高さデータを用いることも可能である。
【0065】
例えば、空間周波数を用いた解析を行う場合を例に地表物データ作成処理の説明を行う。
【0066】
まず、地表物データ計算部202は、地表高データ計算部201によって、災害等が発生する前に撮影された衛星データ251(又は252)が入力される(ステップS801)。
【0067】
次に、地表物データ計算部202は、衛星データ251(又は252)のN個×M個の画素データの集合によって示されるカーネル領域ごとに、当該カーネル領域における周期的な構造パターンの平均周期を表す空間周波数を計算する(ステップS802)。空間周波数解析は、フーリエ変換を利用して周期的な構造パターンの平均周期や微粒子等の周期的配列を算出する方法として一般に知られている手法である。
【0068】
地表物データ計算部202は、予め記憶部113等に格納された、所定の地表物と当該地表物が地面上に配置された場合に得られる空間周波数との対応表に基づいて、前記カーネル領域ごとに計算された空間周波数に対応する地表物を判定する(ステップS803)。尚、当該対応表は、図9に示される所定の地表物の種類を定義する種類データに更に空間周波数を格納するカラムが追加され、所定の地表物に対応する空間周波数が格納されている形式であることが好ましい。
【0069】
地表物を判定すべき他の画素データがまだある場合(ステップS804;Yes)、地表物データ計算部202は、当該他の画素データ(又はカーネル領域)に対して地表物を判定する処理を行う(ステップS802乃至S803を繰り返す)。地表物を判定すべき他の画素データがない場合(ステップS804;No)、地表物データ計算部202は、各画素データ(又は各カーネル領域)をX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置し(ステップS805)、画素データごと(又はカーネル領域ごと)に地表物を示すデータが対応づけられた第1の地表物データを得る。地表物データ計算部202は、衛星データ251(又は252)に対する地表物データ作成処理を終了する。
【0070】
尚、地表物データ計算部202は、災害等が発生した後に撮影された衛星データ253(又は254)に対しても同様の地表物データ作成処理を行い、衛星データ253(又は254)に対応した第2の地表物データを得る。衛星データ253(又は254)に対する地表物データ作成処理の流れは、上述したステップS801乃至S805と同様である。
【0071】
図10は、地表物データ計算部202によって計算された地表物データの例である。本図の場合、地表物データは、画素データごとに判定された地表物(地表物A、B、Cなど)が対応づけられている。
【0072】
例えば、地表物データ計算部202が計算する所定の地表物を示すデータが図9で示され、地表物データ計算部202によって計算された地表物データが図10で示されるとする。この場合、図10の地表物データのうち、右上の破線で囲まれた領域には地表物A(森林1(杉などの針葉樹))が、左上の破線で囲まれた領域には地表物B(森林2(松などの針葉樹))が、右下の破線で囲まれた領域には地表物C(森林3(ブナなどの広葉樹))が対応づけられていることが分かる。
【0073】
さらには、地表物データ計算部202が行う地表物データ作成処理は、人間による目視判読に基づいて行われることとしてもよい。この場合、画像解析装置100は、ユーザ(調査者)から入力される地表物データを受け付ける手段を更に備える。例えば、ユーザは、衛星データ251、253(又は252、254)を目視判読して、あるいは、直接災害等が発生した地域やその周辺地域を調査して得られた調査結果に基づいて、森林、草地などの地表物を判定する。
【0074】
ユーザは、衛星データの画素データごとに、あるいは、N個×M個の画素データの集合によって示されるカーネル領域ごとに決定した、図10のように地表物を指定したデジタルデータ(例えば、所定のデータ形式で電子ファイル化したもの)である地表物データを用意し、入力部116に含まれる入力装置等を用いて、地面高さデータ計算部203に入力するように構成すればよい。
【0075】
尚、地表物データ作成処理で用いられる衛星データは、本実施の形態では同じ地域を同じ時期に異なる撮影方向から撮影して得られる2つの衛星データであるが、3つ以上の衛星データを用いた実施形態を採用することも可能である。例えば、衛星データの撮影時の気象条件によって地形の判別等が難しい領域がある場合には、同じ地域を同じ時期に異なる撮影方向から撮影した第3の衛星データを用いて地表物データを作成して合成する等の処理を行ってもよい。
【0076】
次に、制御部110の地面高さデータ計算部203が図6のステップS603で行うDEMデータ作成処理について、図11を参照して説明する。
【0077】
まず、地面高さデータ計算部203は、地表高データ計算部201からDSMデータを入力する(ステップS1101)。入力されるDSMデータは、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データから生成される第1のDSMデータ、又は、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データから生成される第2のDSMデータである。尚、地面高さデータ計算部203は、第1のDSMデータ及び第2のDSMデータに対してDEMデータ作成処理を行い、それぞれに対応する2つのDEMデータを生成する。
【0078】
地面高さデータ計算部203は、地表物データ計算部202によって地表物データが入力される(ステップS1102)。ここで入力される地表物データは、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データ251、252を含む第1の衛星データのペアから生成される第1の地表物データ、又は、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データ253、254を含む第2の衛星データのペアから生成される第2の地表物データである。
【0079】
尚、地面高さデータ計算部203は、災害等が発生する前の第1のDEMデータを作成する場合には、第1のDSMデータと第1の地表物データを用い、災害等が発生した後の第2のDEMデータを作成する場合には、第2のDSMデータと第2の地表物データを用いる。
【0080】
地面高さデータ計算部203は、DSMデータに含まれる所定の地表物がもつ平均的な高さの値を取得する(ステップS1103)。例えば、記憶部113には、予め行われた現地調査や一般的に知られている情報などに基づいて、図9に示されるような各々の所定の地表物がもつ平均的な高さの値が格納されている。そして、地面高さデータ計算部203は、記憶部113に格納された対応する地表物の高さの値を読み出す。
【0081】
そして、地面高さデータ計算部203は、DSMデータの各画素データ又はN個×M個の画素データの集合によって示される各カーネル領域がもつ高さ(Z座標の大きさ)から、各画素データ(又は各カーネル領域)に対応づけられた地表物の高さの値を差し引く(ステップS1104)。これによって、地面高さデータ計算部203は、画素データ(又はカーネル領域)ごとに地表物を含まない地面の高さを得る。
【0082】
計算すべき他の画素データがまだある場合(ステップS1105;Yes)、地面高さデータ計算部203は、当該他の画素データ(又はカーネル領域)に対して地表物を含まない地面の高さを計算する処理を行う(ステップS1104を繰り返す)。計算すべき他の画素データ(又はカーネル領域)がない場合(ステップS1105;No)、地面高さデータ計算部203は、各画素データ(又は各カーネル領域)をX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置し(ステップS1106)、Z座標に画素データ(又はカーネル領域)ごとに計算された地面の高さをもったDEMデータを得る。ここで得られるDEMデータは、DSMデータと同様に、図4に示されるような構造である。
【0083】
本実施形態では、DEMデータは、各画素データ(又は各カーネル領域)が3次元座標(X,Y,Z)で表現されるデジタルデータとしてだけでなく、Z座標の大きさの違いを色彩や模様の種類・濃淡・輝度の違い等によって表現したDEMデータのマップデータで表現される。そして、地面高さデータ計算部203は、出力部114に含まれるモニタ等に当該DEMデータをマップデータとして表示させる。このようにすれば、ユーザは、得られたDEMデータによって示される事象(例えば、ある地域の標高がどれくらいか、等)を容易に把握することができる。
【0084】
このように、地面高さデータ計算部203は、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データ251及び252から生成される第1のDSMデータに対応して第1のDEMデータを生成する。更に、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データ253及び254から生成される第2のDSMデータに対応して第2のDEMデータを生成する。
【0085】
次に、制御部110の災害領域判定部204が、図6のステップS604で行う災害領域(地域)判定処理について、図12を参照して説明する。
【0086】
まず、災害領域判定部204は、地表高データ計算部201によってDSMデータを入力する(ステップS1201)。ここで入力されるDSMデータは、災害等が発生する前に撮影して得られる衛星データから生成される第1のDSMデータ、及び、災害等が発生した後に撮影して得られる衛星データから生成される第2のDSMデータの両方である。
【0087】
災害領域判定部204は、DSMデータの画素データごとに、第1のDSMデータのZ座標(高さ)と第2のDSMデータのZ座標(高さ)との差を計算する(ステップS1202)。
【0088】
この差の大きさが所定のしきい値以上の場合(ステップS1203;Yes)、災害領域判定部204は、当該画素データ(又はカーネル領域)に対応する領域が災害領域であると判定する(ステップS1204)。そして、災害領域判定部204は、当該画素データ(又はカーネル領域)に対して災害領域であることを示すデータを対応づける。一方、この差の大きさが所定のしきい値に満たない場合(ステップS1203;No)、災害領域判定部204は、当該画素データ(又はカーネル領域)に対応する領域が災害領域ではないと判定する(ステップS1205)。そして、災害領域判定部204は、当該画素データ(又はカーネル領域)に対して災害領域ではないことを示すデータを対応づける。
【0089】
例えば、災害領域判定部204は、災害領域である場合には対応する画素データに対して「1」をセットし、災害領域ではない場合には対応する画素データに対して「0」をセットし、「1」又は「0」の2値によって判定結果を表す。
【0090】
ここで、災害領域か否かの判定に用いられるしきい値は、災害等が発生した地域やその周辺地域において予め行われた現地調査によって得られる平均的な地表物の高さに基づいた値であることが好ましい。しかし、当該地表物の一般的に知られている高さの値を用いることも可能である。
【0091】
そして、災害領域判定部204は、図13に示すように、各画素データ(又は各カーネル領域)をX,Y座標に基づいて等間隔(メッシュ)の平面に配置し(ステップS1206)、Z座標に各画素データ(又はカーネル領域)ごとに判定された災害地域か否かを示す値をもった災害領域データを得る。本図の場合、災害等が発生する前の地表物データが図10に示されるものとすると、災害等が発生する前に地表物Cが存在した領域が災害領域であることが分かる。
【0092】
本実施形態では、災害領域データは、各画素データ(又は各カーネル領域)が3次元座標で表現されるデジタルデータとしてだけでなく、Z座標の大きさの違いを色彩や模様の種類・濃淡・輝度の違い等によって表現した災害領域データのマップデータで表現される。そして、災害領域判定部204は、出力部114に含まれるモニタ等に当該災害領域データをマップデータとして表示させる。このようにすれば、ユーザは得られた災害領域データによって示される事象(例えば、どの領域が災害領域か、等)を容易に把握することができる。
【0093】
また、災害等が発生する前の第1の地表物データが示す地表物の種類と、災害等が発生した後の第2の地表物データが示す地表物の種類とが異なる場合には、該当する画素データ(又はカーネル領域)が示す領域を災害地域として判定することもできる。
【0094】
次に、制御部110の災害規模計算部205が、図6のステップS605で行う災害規模計算処理について、図14を参照して説明する。
【0095】
まず、災害規模計算部205は、地面高さデータ計算部203からの入力によって、災害等が発生する前の第1のDEMデータと、災害等が発生した後の第2のDEMデータを取得する(ステップS1401)。また、災害規模計算部205は、災害領域判定部204からの入力によって、災害領域データを取得する(ステップS1402)。
【0096】
災害規模計算部205は、災害領域データが示す災害領域の占める面積を計算する(ステップS1403)。すなわち、災害解析処理に用いる衛星データ251乃至254と共に提供される当該衛星データの倍率等を元に画素データ(又はカーネル領域)1個あたりの占める面積が得られ、更に、災害領域である画素データ(又はカーネル領域)の数を乗じることによって、災害規模データ255の1つである災害面積値を得る。
【0097】
更に、災害規模計算部205は、災害領域データが示す災害領域の各画素データ(又は各カーネル領域)に対して、第1のDEMデータの各画素データの高さ(Z座標)と、対応する第2のDEMデータの各画素データ(又は各カーネル領域)の高さ(Z座標)との差を計算する(ステップS1404)。すなわち、災害規模計算部205は、各画素データ(又は各カーネル領域)に対応する領域における地面の高さの変化量を計算する。
【0098】
そして、災害規模計算部205は、災害領域データが示す災害領域の各画素データ(又は各カーネル領域)に対して、ステップS1404で得られた高さの差の絶対値と、画素データ(又はカーネル領域)1個あたりの占める面積とを乗じることによって、災害領域の画素データ(又はカーネル領域)1個あたりの災害体積値を得る。さらに、災害規模計算部205は、災害領域の各画素データ(又は各カーネル領域)1個当たりの災害体積の和を計算することによって、災害規模データ255の1つである災害体積値を得る(ステップS1405)。
【0099】
このように、災害規模計算部205によって、災害規模を推定するために有益な情報である災害面積値と災害体積値が計算される。尚、災害規模計算部205は、具体的な災害面積値と災害体積値を計算するほかに、衛星データが示す領域全体あるいは所定の一部の領域に対して災害領域が占める割合など、災害規模を把握するための他の情報を出力してもよい。
【0100】
次に、画像解析装置100による災害解析処理の具体例について、図15乃至図17を用いて説明する。尚、図15乃至図17では、衛星データはX方向に4個、Y方向に4個の画素データから構成されるものとし、高さデータ(Z座標)の単位及びX,Y方向の単位は任意とする。
【0101】
(第1のDSMデータ作成処理)
地表高データ計算部201は、図15(a)のように、災害等が発生する前の衛星データのペアから第1のDSMデータを計算する。第1のDSMデータは、本図に図示されるようにマップデータとして表される。そして、本図には示されていないが、第1のDSMデータの各画素データに対するZ座標の値は、データの大きさの違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0102】
(第1の地表物データ作成処理)
地表物データ計算部202は、同じく災害等が発生する前の衛星データのペアから第1の地表物データを計算する。第1の地表物データは、本図に図示されるようにマップデータとして表される。本図には示されていないが、第1の地表物データの各画素データに対応する地表物は、その地表物の種類の違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0103】
(第1のDEMデータ作成処理)
地面高さデータ計算部203は、第1のDSMデータと第1の地表物データとに基づいて、災害等が発生する前の第1のDEMデータを計算する。第1のDEMデータは、本図に図示されるようにマップデータとして表される。本図には示されていないが、第1のDEMデータの各画素データに対応するZ座標の値は、データの大きさの違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0104】
(第2のDSMデータ作成処理)
同様に、地表高データ計算部201は、図15(b)のように、災害等が発生した後の衛星データのペアから第2のDSMデータを計算する。第2のDSMデータは、本図に図示されるようにマップデータとして表される。そして、本図には示されていないが、第2のDSMデータの各画素データに対応するZ座標の値は、データの大きさの違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0105】
(第2の地表物データ作成処理)
地表物データ計算部202は、同じく災害等が発生した後の衛星データのペアから第2の地表物データを計算する。第2の地表物データは、本図に図示されるようにマップデータとして表される。本図には示されていないが、第2の地表物データの各画素データに対する地表物の種類は、その地表物の種類の違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0106】
(第2のDEMデータ作成処理)
地面高さデータ計算部203は、第2のDSMデータと第2の地表物データとに基づいて、災害等が発生した後の第2のDEMデータを計算する。第2のDEMデータは、本図に図示されるようにマップデータとして表される。本図には示されていないが、第2のDEMデータの各画素データに対応するZ座標の値は、データの大きさの違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0107】
(災害領域判定処理)
災害領域判定部204は、図16に示すように、各画素データに対して第1のDSMデータと第2のDSMデータとの差を計算する。そして、この差の大きさが所定のしきい値(ここでは、例えば、絶対値が10)以上の場合に災害領域であることを示すデータ「1」を格納する。また、前記差の大きさが所定のしきい値に満たない場合に災害領域ではないことを示すデータ「0」を格納する。災害領域データは、本図に図示されるようにマップデータとして表される。本図の場合、X座標が最も大きい列(X=4)の画素データによって示される領域が災害領域であることが分かる。そして、本図には示されていないが、災害領域データの各画素データに対応する判定結果は、データの大きさの違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0108】
(災害規模計算処理)
災害規模計算部205は、図17に示すように、災害領域データによって災害領域であることが示される画素データの数を計算し、当該画素データの数に画素データ1個当たりの面積を乗じることによって災害面積値を計算する。本図の場合、当該画素データの数は4個であり、災害面積値は4である。また、災害領域データによって災害領域であることが示される各画素データに対して、高さデータの差の絶対値を計算し、当該絶対値と画素データ1個当たりの面積を乗じることによって画素データ1個当たりの災害体積値を計算し、更に災害領域における和を計算する。その結果、本図の場合、全体の災害体積値は14となる。このように、災害の規模を推定するために有益な情報として、災害規模データ255(災害面積値及び災害体積値)が得られる。そして、本図には示されていないが、各画素データに対応する高さデータの差の値は、データの大きさの違いが色彩や模様の種類、濃淡、輝度の違いによって表現される。
【0109】
尚、この具体例は本実施形態による各処理の内容を理解するために記載されたものであり、実際の災害解析処理においては衛星データの撮影倍率等を用いて、高さ、災害面積値、災害体積値等が計算される。
【0110】
このように、画像解析装置100による災害解析処理では、DSMデータとDEMデータとを目的に応じて使い分けるため、災害解析処理に用いる衛星データの精度が大きくない場合においても有効である。そのため、広範囲の災害状況を把握するために適している。
【0111】
以上説明したように、この実施形態によれば、衛星データを画像解析することによって、災害規模を推定するために有益な災害面積値と災害体積値とを得ることができる。そして、この発明によれば、広範囲の災害状況を把握するために好適な、画像解析装置、画像解析方法及びプログラムを提供することができる。
【0112】
この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態においては、図6のステップS605で災害の規模を特定するまで解析を行ったが、ステップS604の災害領域を判定した段階で処理を停止することにより、災害発生地点を特定するようにしても良い。
【0113】
また、例えば、上記実施形態においては、災害等が発生した場合を想定して説明したが、災害等のほかに、都市開発の程度の推移を示す統計データを定期的に得る手段として用いることもできる。この場合、山間部などの土地の起伏が大きい地域において用いると特に有効である。
装置構成やフローチャートは一例であり、適宜変更・応用が可能である。
【0114】
また、例えば、図1の構成において、例えば、記憶部113に過去に取得した様々な衛星写真・航空写真(の画像データ)を格納しておき、I/F115を介して新たな写真(画像データが供給される度に)、制御部110が、同一地点が撮影されている過去の画像データを記憶部113から読み出して、災害などの発生地点やその規模を判別する等の処理を自動的に行う等してもよい。
【0115】
図1に示す装置は、単体の装置で構成される必要はなく、例えば、ネットワークを介して接続された複数の装置から構成される構成であってもよい。
【0116】
本発明が処理する画像データの解像度やサイズは任意であり、低解像度及び広範囲画像に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】画像解析装置の構成を説明するための図である。
【図2】制御部が実行する処理を説明するための図である。
【図3】本実施形態で用いる衛星データのペアを説明するための図である。
【図4】DSMデータ又はDEMデータの構成を説明するための図である。
【図5】DSMデータとDEMデータの違いを説明するための図である。
【図6】災害解析処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】DSMデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】地表物データ作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】地表物の名称とその地表物の平均的な高さとの対応表の例を示す図である。
【図10】地表物データの例を示す図である。
【図11】DEMデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】災害領域判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】災害領域データの例を示す図である。
【図14】災害規模計算処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】DSMデータ作成処理、地表物データ作成処理、及び、DEMデータ作成処理の具体例を示す図である。
【図16】災害領域判定処理の具体例を示す図である。
【図17】災害規模計算処理の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
100 画像解析装置
110 制御部
111 RAM
112 ROM
113 記憶部
114 出力部
115 I/F
116 入力部
118 システムバス
121 ネットワーク
201 地表高データ計算部
202 地表物データ計算部
203 地面高さデータ計算部
204 災害領域判定部
205 災害規模計算部
251 衛星データ(災害発生前、撮影方向A)
252 衛星データ(災害発生前、撮影方向B)
253 衛星データ(災害発生後、撮影方向A)
254 衛星データ(災害発生後、撮影方向B)
255 災害規模データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目地域を第1のタイミングで上方から撮影して得られる第1の画像データに基づいて、第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第1の地表高データを求める第1の地表高データ取得手段と、
前記注目地域を第2のタイミングで上方から撮影して得られる第2の画像データから、第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第2の地表高データを求める第2の地表高データ取得手段と、
前記第1の画像データに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を判別して第1の地表物データを求める第1の地表物判別手段と、
前記第2の画像データに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を判別して第2の地表物データを求める第2の地表物判別手段と、
前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第1の地面高データを求める第1の地面高データ取得手段と、
前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第2の地面高データを求める第2の地面高データ取得手段と、
前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化を求める地表変化判別手段と、
を備えることを特徴とする画像解析装置。
【請求項2】
前記地表変化判別手段は、
前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化量を計算する変化量計算手段と、
前記変化量計算手段により計算された変化量が所定のしきい値に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段がしきい値に達したと判定した場合に、前記変化量が所定のしきい値に達した領域の規模の大きさを示す規模データを生成する規模データ生成手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項3】
複数の地表物とその地表物の高さとを対応づけるデータを予め格納する地表物データ格納手段を更に備え、
前記第1の地面高データ取得手段は、前記第1の地表物データ取得手段が判別した地表物の高さを前記地表物データ格納手段に格納されるデータから求め、前記第1の地表高データが示す高さから、地表物の高さを減算することにより、地面の高さを求め、
前記第2の地面高データ取得手段は、前記第2の地表物データ取得手段が判別した地表物の高さを前記地表物データ格納手段に格納されるデータから求め、前記第2の地表高データが示す高さから、地表物の高さを減算することにより、地面の高さを求める、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像解析装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の画像データは、複数の画素から構成され、
前記第1の地表高データ取得手段は、前記第1の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に第1の地表高データを求め、
前記第2の地表高データ取得手段は、前記第2の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に第2の地表高データを求め、
前記第1の地表物判別手段は、前記第1の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に地表物を判別し、
前記第2の地表物判別手段は、前記第2の画像データの1又は複数の画素に対応する領域毎に地表物を判別し、
前記第1の地面高データ取得手段は、前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、領域毎に第1の地面高データを取得し、
前記第2の地面高データ取得手段は、前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、領域毎に第2の地面高データを取得する、
ことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の画像解析装置。
【請求項5】
前記第1の地表物判別手段は、前記第1の画像データに、スペクトル解析、テクスチャ解析、空間周波数解析の少なくとも1つを施して、地表物を判別し、
前記第2の地表物判別手段は、前記第2の画像データに、スペクトル解析、テクスチャ解析、空間周波数解析の少なくとも1つを施して、地表物を判別する
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項6】
前記第1の画像データ及び前記第2の画像データは、それぞれ、前記注目地域を含むステレオ画像の画像データから構成され、
前記第1の地表高データ取得手段は、複数の第1の画像データから構成されるステレオ画像に基づいて、地表高データを生成する、
ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項7】
複数の地点について、異なったタイミングで異なった位置で撮影した複数の画像を予め記憶する画像データベースと、
新たな画像データを入力する入力手段と、
前記入力手段に入力された新たな画像データに対応する画像データを前記画像データベースから検索する手段と、
前記データベースより検索された画像データを前記第1の画像データ、前記入力手段により入力された画像データを前記第2の画像データとして供給する供給手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項8】
注目地域を第1のタイミングで上方から撮影して得られる第1の画像データから、第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第1の地表高データを求める第1の地表高データ取得ステップと、
前記注目地域を第2のタイミングで上方から撮影して得られる第2の画像データから、第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第2の地表高データを求める第2の地表高データ取得ステップと、
前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第1の地表物データを求める第1の地表物データ取得ステップと、
前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第2の地表物データを求める第2の地表物データ取得ステップと、
前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第1の地面高データを求める第1の地面高データ取得ステップと、
前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第2の地面高データを求める第2の地面高データ取得ステップと、
前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化を求めるステップと、
を備えることを特徴とする、画像解析方法。
【請求項9】
コンピュータを、
注目地域を第1のタイミングで上方から撮影して得られる第1の画像データから、第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第1の地表高データを求める第1の地表高データ取得手段、
前記注目地域を第2のタイミングで上方から撮影して得られる第2の画像データから、第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含む高さを示す第2の地表高データを求める第2の地表高データ取得手段、
前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第1の地表物データを求める第1の地表物データ取得手段、
前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を示す第2の地表物データを求める第2の地表物データ取得手段、
前記第1の地表高データと前記第1の地表物データとに基づいて、前記第1のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第1の地面高データを求める第1の地面高データ取得手段、
前記第2の地表高データと前記第2の地表物データとに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記注目地域の地表物を含まない高さを示す第2の地面高データを求める第2の地面高データ取得手段、
前記第1の地表高データと前記第2の地表高データとに基づいて、前記注目地域の地表高の変化を判別する判別手段、
として機能させる、ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−33157(P2007−33157A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214971(P2005−214971)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年5月12日 社団法人日本リモートセンシング学会発行の「日本リモートセンシング学会 第38回(H17年度春季)学術講演会論文集」に発表
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】