説明

画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラム

【課題】不必要に記録処理のスループットを低下させることなく消費電力を所定値以下に抑えることが可能な画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】インク温度検出部22,22−1−1乃至22−n−mは、インクの温度を検出する。インク温度調節部25,25−1乃至25−nは、インクの温度を調節する。電力制御部9は、上位装置40から通知される画像データを含むジョブ情報、及びインク温度検出部22,22−1−1乃至22−n−mにより検出されたインクの温度の情報に基づき画像記録装置1の消費電力の推定を行い、この推定結果に基づいて温度調節部25,25−1乃至25−nを制御してインクの温度を調節させることで画像記録装置1の消費電力を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録技術に関し、特に、インクをノズルから吐出させて記録媒体に定着させることで画像記録を行う画像記録装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやコピー機に代表される画像記録装置は、近年、記録解像度の高精細化や記録速度の高速化が求められている。これに伴い、画像記録装置の電源は大型化している。
画像記録装置が必要とする電源容量の大きさは、高速・高密度での連続記録条件下で必要とされる電力量に基づき決定される。しかしながら、使用用途によっては、大容量の電源の搭載が過大であるだけでなく、装置本体の大型化、重量の増加、コストアップ等を招く場合もある。
【0003】
そこで、記録処理時の電力消費に一定の制限を設けることで、電源を小型化する技術が検討されている。
このような技術に関し、例えば特許文献1に開示の技術が知られている。この技術では、インクを吐出するノズルの同時駆動される数が閾値を超えているかどうかをまず判別する。そして、この判別結果に基づいてキャリッジの移動速度や同時にインクを吐出するノズル数を変化させて記録動作を制御する。
【特許文献1】特開2006−289859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術のようにして、同時駆動するノズル数が閾値を超えた際に記録速度を単純に減速させれば、スループットを不必要に低下させる可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、不必要に記録処理のスループットを低下させることなく消費電力を所定値以下に抑えることが可能な画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明の態様のひとつである画像記録装置は、複数のノズルから形成されるノズル列と、当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部と、記録処理される記録媒体を搬送した際の搬送情報を生成するための搬送情報生成部を有する記録媒体搬送部と、を有し、ノズル列駆動部を制御して複数のノズルより画像データに基づいてインクを吐出させて記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置において、インクの温度を検出するインク温度検出部と、インクの温度を調節するインク温度調節部と、上位装置から通知される画像データを含むジョブ情報、及びインク温度検出部により検出されたインクの温度の情報に基づき画像記録装置の消費電力の推定を行い、当該推定の結果に基づいて温度調節部を制御して当該インクの温度を調節させることで画像記録装置の消費電力を低下させる電力制御部と、を少なくとも備える、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様のひとつである画像記録装置の制御方法は、複数のノズルから形成されるノズル列と、当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部と、記録処理される記録媒体を搬送した際の搬送情報を生成するための搬送情報生成部を有する記録媒体搬送部と、を有し、ノズル列駆動部を制御して複数のノズルより画像データに基づいてインクを吐出させて記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置の制御方法であって、インクの温度を検出することと、上位装置から通知される画像データを含むジョブ情報、及びインクの温度の検出結果の情報に基づき画像記録装置の消費電力を推定することと、インクの温度を調節するインク温度調節部を推定の結果に基づいて制御して当該インクの温度を調節させることで画像記録装置の消費電力を低下させることと、を含む、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の更なる別の態様のひとつであるプログラムは、複数のノズルから形成されるノズル列と、当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部と、記録処理される記録媒体を搬送した際の搬送情報を生成するための搬送情報生成部を有する記録媒体搬送部と、を有し、ノズル列駆動部を制御して複数のノズルより画像データに基づいてインクを吐出させて記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、インクの温度を検出する温度検出処理と、上位装置から通知される画像データを含むジョブ情報、及びインクの温度の検出結果の情報に基づき画像記録装置の消費電力を推定する消費電力推定処理と、インクの温度を調節するインク温度調節部を推定の結果に基づいて制御して当該インクの温度を調節させることで画像記録装置の消費電力を低下させるインク温度調節部制御処理と、演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以上のようにすることにより、不必要に記録処理のスループットを低下させることなく消費電力を所定値以下に抑えることが可能な画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像記録装置を概念的なブロック構成で示している。また、図2は、本実施形態に係る画像記録装置の配置例を模式的に示している。
【0011】
なお、図中にも矢印で示されている各方向は、X方向が主走査方向(記録媒体の搬送方向に対して直交する方向)を示し、Y方向が副走査方向(記録媒体の搬送方向)を示し、Z方向がXY平面に直交する方向を示すものとする。
【0012】
本実施形態に係る画像記録装置1は、給送部3と、記録媒体搬送部7と、記録媒体検出部6と、画像記録部20と、インク温度調節部25,25−1乃至25−nと、制御部2と、を少なくとも備える。ここで、給送部3は記録媒体41の搬送経路の最上流側に少なくとも1つ配設され、記録媒体搬送部7は当該搬送経路の給送部3よりも下流側に配設される。また、記録媒体検出部6は画像記録部20の上流側に配置される。画像記録部20は、固定部材12に取り付けられて記録媒体搬送部7に対向配置される。
【0013】
給送部3は、少なくとも1つの給送トレイ4と、給送機構5と、を備える。
給送トレイ4には、記録媒体41が複数枚積載して収納される。
給送機構5は、ピックアップローラ5aと、レジストレーションローラ対5bと、を備える。ここで、ピックアップローラ5aは給送トレイ4の上方に配設され、レジストレーションローラ対5bは、このピックアップローラ5aの搬送経路の下流側に配設される。
【0014】
給送部3は、制御部2の指示に応じてピックアップローラ5aを駆動させて、給送トレイ4に積載収納されている記録媒体41を1枚ずつ搬送経路の下流側へ給送させる。ピックアップローラ5aにより給送された記録媒体41は、レジストレーションローラ対5bにより斜行を矯正された後、記録媒体搬送部7へ給送される。
【0015】
記録媒体搬送部7は、例えば搬送部材8である無端ベルトが、従動ローラ11bと、駆動ローラ11aとに架設して構成される。この無端ベルトの内側上方には、複数の孔を有するプラテン(不図示)と、このプラテンの下方に吸引ファン(不図示)とを備える。ここで、従動ローラ11bの回転軸には搬送情報生成部10を接続しておき、駆動ローラ11aの回転軸には搬送駆動部9を接続しておく。なお、搬送情報生成部10は、例えばロータリエンコーダにより構成し、搬送駆動部9は、制御部2の指示により駆動される例えばモータにより構成する。
【0016】
記録媒体搬送部7は、制御部2の指示に応じて、給送部3から給送された記録媒体41を吸引ファンの駆動により搬送部材8である無端ベルト上に吸着保持した上で、搬送駆動部9が無端ベルトを回動させることで、記録媒体41を搬送経路の下流側へ搬送する。なお、このとき、搬送情報生成部10であるロータリエンコーダは、無端ベルトの移動量(すなわち記録媒体41の搬送量)に対応するパルス信号を、記録処理される記録媒体41を記録媒体搬送部7が搬送した際の搬送情報として生成して制御部2へ通知する。
【0017】
記録媒体検出部6は、記録媒体搬送部7により搬送されてきた記録媒体41の先端及び後端位置を検出し、その検出結果を示している検出情報を制御部2へ通知する。
画像記録部20は記録ユニット21,21−1乃至21−nを少なくとも1つ備える。この記録ユニット21,21−1乃至21−nは、インク温度検出部22,22−1−1乃至22−n−mと、ノズル列駆動部23,23−1−1乃至23−n−mと、ノズル列24,24−1−1乃至24−n−mと、を有する。なお符号n及びmは、共に2≦n、2≦mの整数であり、nが記録ユニット21の個数に対応し、mがノズル列24の総数に対応している。
【0018】
画像記録装置1がカラー画像の記録処理を行う画像記録部20を備える場合は、記録ユニット21−1乃至21−nとして、例えば記録媒体41の搬送経路順に、K(ブラック)記録ユニット21−1、C(シアン)記録ユニット21−2、M(マゼンタ)記録ユニット21−3、及びY(イエロ)記録ユニット21−4を配設して構成する。
【0019】
ノズル列24,24−1−1乃至24−n−mは、インクを吐出する複数のノズルから形成されており、ノズル列駆動部23,23−1−1乃至23−n−mにより、それぞれ駆動される。
【0020】
図3は、記録ユニット21の構成を示した図である。なお、図3では、例として、記録ユニット21−1の構成を示しており、記録ユニット21−1乃至21−nは、いずれも同様の構成を有している。
【0021】
図3において、インクは、インク供給路29−1からインクタンク26−1へ供給(補給)される。インク経路27−1は、インクタンク26−1から、記録ユニット21−1の共通インク室30−1−1乃至30−1−mを通ってインクタンク26−1へと戻る循環経路を構成している。
【0022】
インク循環機構28−1は、例えばモータにより構成されており、このインク経路27−1の経路中に配置される。このインク循環機構28−1は、制御部2からの指示に応じて駆動されると、インクを循環させる。インク循環機構28は、例えばモータにより構成する。
【0023】
インク温度調節部25−1は、記録ユニット21−1の近傍のインク経路27−1に接するように配置され、インク経路27−1を循環するインクの温度を調整する。なお、インク温度調整部25−1には、例えばペルチェ素子などの発熱体を使用する。
【0024】
インク温度検出部22−1−1乃至22−1−mは、共通インク室30−1−1乃至30−1−m内にそれぞれ配置され、共通インク室30−1−1乃至30−1−mのインクの温度を検出して、その温度の検出結果を示すインク温度情報を制御部2へ通知する。なお、インク温度検出部22−1−1乃至22−1−mには、例えばサーミスタを使用する。
【0025】
ノズル列駆動部23−1−1乃至23−1−mは、ノズル列24−1−1乃至24−1−mの個数に対応して記録ユニット21−1に配設する。また、ノズル列駆動部23−1−1乃至23−1−mは、制御部2の指示に応じ、ノズル列24−1−1乃至24−1−mが有する複数のノズルを駆動させてインク吐出を行わせる。このノズル列24−1−1乃至24−1−mは、例えば複数のインク室内に貯えられたインクを、インク室毎に設けられた圧電素子(PZT)の変形による容積変化で吐出させる方式のものを用いて構成する。
【0026】
以上の図3の説明においては、インク経路27−1を循環型の経路として説明したが、循環型でなくてもよい。また、インク温度調節部25として発熱体を備える代わりに、インクを吐出しない程度にノズル列を駆動させることで、インクの温度を上昇させる方式を採用してもよい。
【0027】
制御部2は、本発明に係る動作処理を含む画像記録装置1全体の統括制御を行う。制御部2は、制御機能及び演算機能を有する例えばMicro Processor Unit(MPU)と制御プログラムを記憶するRead Only Memory(ROM)やMPUのワークメモリとなるRandom Access Memory(RAM)等とからなる処理回路と、画像記録装置1の制御に関する設定値等を記憶しておく不挿発性メモリを少なくとも有して構成される。
【0028】
制御部2は、各種の設定値等を予め記憶しておく記憶部18と、電力制御部19と、を少なくとも備える。なお、制御部2では、記憶部18を例えば不揮発性メモリにより構成する。また、制御部2では、制御プログラムを例えばROMに予め記憶させておく構成とし、この制御プログラムをMPUに読み出させて実行させることにより、電力制御部19の機能を提供する。
【0029】
なお、記憶部18における不揮発性メモリには、記録媒体検出部6の検出位置から記録ユニット21のノズル形成位置までの離間距離に対応する情報を、搬送情報生成部10であるロータリエンコーダのパルス信号数の累積値に換算して予め記憶させておく。記録ユニット21−1を例にすると、この離間距離に対応する情報は、記録媒体41の先端部が記録媒体検出部6の検出位置から記録ユニット21−1のノズル形成位置まで搬送された際に搬送情報生成部10であるロータリエンコーダが生成するパルス信号数の累積値になる。
【0030】
制御部2は、搬送中の記録媒体41の例えば先端部を検出したことで記録媒体検出部6が出力する検出情報をトリガとして、搬送情報生成部10であるロータリエンコーダが生成するパルス信号数の累積を開始する。そして、この累積値が、当該制御部2の不揮発性メモリに予め記憶させていた値である、記録ユニット21の複数のノズル形成位置に対応するパルス信号数の累積値と一致したときに、記録ユニット21を制御して記録処理を行わせる。制御部2によるこの制御により、記録媒体搬送部7が記録媒体41を搬送する過程で、記録ユニット21の複数のノズルからインクが吐出されて記録媒体41上に記録処理が行われる。
【0031】
上位装置40は、本実施形態の画像記録装置1の外部機器として、例えばLocal Area Network(LAN)等を介して接続される。この上位装置40は、本実施形態の画像記録装置1に記録処理を行わせるユーザのコンピュータに相当するものであり、本実施形態の画像記録装置1に対し、記録処理に関する情報として、ジョブ情報を通知する。
【0032】
このように、画像記録装置1は、ジョブ情報に含まれている画像データに基づいてノズル列駆動部23,23−1−1乃至23−n−mを制御して、ノズル列24,24−1−1乃至24−n−mに形成されているノズルよりインクを吐出させて記録媒体41上に記録処理を行う。
【0033】
次に、画像記録装置1において行われる、電力制御部19が行う電力制御処理について説明する。
まず図4について説明する。図4は、インク温度とインク吐出電力の一般的な関係を模式的に示したものである。
【0034】
インクは、温度を上げると一般的には粘度が下がるので、インク吐出のために必要なエネルギーは、インクの温度を上げると小さくなる。このことから、インクの使用可能温度範囲内でその温度を高くすれば、ノズル列24,24−1−1乃至24−n−mからインクを吐出させるためにノズル列駆動部23,23−1−1乃至23−n−mが消費する電力を低下させることができる。なお、インクの使用可能温度範囲は、例えば、記録ユニットの特性等により決定される。
【0035】
次に図5について説明する。図5は、画像記録装置1の消費電力の変化を模式的に示したものであって、同一の画像データをN枚連続で記録処理を行った場合におけるものである。
【0036】
図5において、ta0、tb0、及びtc0は、いずれも、給送部3から記録媒体41の給送を開始してからインクの吐出を開始するまでの時間を示している。また、ta1、tb1、及びtc1は、1枚の記録媒体41に対するインクの吐出時間を示している。更に、ta2、tb2、及びtc2は、記録媒体41に対するインクの吐出を終了してから、その次の記録媒体41に対するインクの吐出を開始するまでの時間を示している。また、ta3、tb3、及びtc3は、最後(第N枚目)の記録媒体41へのインクの吐出が終了してから、その記録媒体41の排出が完了するまでの時間を示している。更に、taN,tbN,tcNは、計N枚の記録媒体41に対する記録処理に要する時間を示している。
【0037】
なお、規定値αは、消費電力について許容される最大値を示している。また、wv0、wv1は、それぞれ搬送速度V0とV1でのインク吐出電力以外の消費電力であり、主に記録媒体搬送部7による記録媒体41の搬送で消費される電力を示している。
【0038】
図5において、(a)は、記録媒体搬送部7による記録媒体41の搬送速度が初期設定値V0のままであって消費電力に関する特段の制御を行わなかった場合の例を示しており、消費電力が、規定値αを越えてしまっている場合を示している。
【0039】
次に、図5の(b)は、記録媒体搬送部7による記録媒体41の搬送速度をV1に減速した場合の例である。この例は、搬送速度を低下させたことにより、記録媒体搬送部7で消費される電力とインク吐出電力が低減した結果、消費電力が規定値α以下に抑えられた場合を示している。しかしながら、この場合は、記録処理時間がtbN(=taN+t’)と長くなってしまっている。
【0040】
これに対し、図5の(c)は、インクをt’’時間加温してインク吐出電力を下げた場合の例を示している。この例では、記録媒体搬送部7による記録媒体41の搬送速度を初期設定値V0としたままで、消費電力を規定値α以下に抑えて記録処理が行えている。搬送速度がV0であるため、ta0=tc0、ta1=tc1、ta2=tc2、、ta3=tc3となり、このときの記録処理時間は、tcN(=taN+t’’)<tbNとなる。
【0041】
電力制御部19は、tcN<tbNとなる場合を判別し、この場合には、図5の(c)に示したように、インクを加温した上で記録処理を行わせるようにする。
次に、画像記録装置1での記録処理による消費電力を所定値以下に抑えるために制御部2が行う制御処理について説明する。図6は、この制御処理の処理内容をフローチャートで示したものである。
【0042】
図6に示した処理は、制御部2のROMに予め記憶させておいた制御プログラムをMPUが読み出して実行することにより実現されるものであり、制御部2は、この制御プログラムをMPUが実行することで、電力制御部19として機能する。
【0043】
制御部2は、図6の処理を開始すると、まず、ステップS1において、記録処理を開始するための処理として、上位装置40から送られてくるジョブ情報を取得する処理を行う。ここで、制御部2は、ジョブ情報を取得したか否かを判定する処理を行い、ジョブ情報を取得したと判定した場合(判定結果がYes)、ステップS2に処理を進める。一方、制御部2は、ジョブ情報を取得していないと判定した場合(判定結果がNo)、ジョブ情報を取得したと判定するまで、ステップS1の処理を繰り返す。
【0044】
次に、制御部2は、ステップS2において、インク温度情報をインク温度検出部22−1−1乃至22−n−mから取得し、この情報で示されている温度が、インクの使用可能温度範囲内であるか否かを判定する処理を行う。ここで、インクの使用可能温度範囲は、制御部2のROMに予め記憶させておくようにする。
【0045】
このステップS2において、制御部2は、全てのインク温度情報が使用可能温度範囲内であると判定した場合(判定結果がYes)、ステップS4に処理を進める。一方、制御部2は、いずれかのインク温度情報が使用可能温度範囲外であると判定した場合(判定結果がNo)、ステップS3に処理を進める。そして、ステップS3において、制御部2は、インク温度調節部25−1乃至25−nのうち、使用可能温度範囲外であるインク温度情報を通知したインク温度検出部22−1−1乃至22−n−mのいずれかに対応するものを作動させて、対応するインクの温度が使用可能温度範囲内となるように制御する処理を行う。制御部2は、このステップS3の終了後、ステップS4に処理を進める。
【0046】
次に、制御部2は、ステップS4において、消費電力を推定する処理を行う。この消費電力の推定は以下のようにして行われる。
まず、上位装置40から受け取ったジョブ情報に含まれている画像データに基づき、印字率を算出する処理を行う。なお、本実施形態では、画像サイズが予め定められている当該画像データの記録処理により記録媒体41上に形成される記録ドット数を、当該画像サイズの領域全てを埋めるために必要な記録ドット数で除算することで、この印字率をインクの色毎に算出する。
【0047】
次に、制御部2は、消費電力テーブルを参照する処理を行う。消費電力テーブルの例を図7に示す。消費電力テーブルは、記録媒体搬送部7による記録媒体41の搬送速度を初期設定値V0として上記所定サイズの画像の記録処理を行う場合における、当該画像の記録処理時のインクの温度T及び当該記録処理での印字率Pと、当該記録処理によるノズル列駆動部23,23−1−1乃至23−n−mの消費電力Wとの関係を示したものである。このテーブルの値(図7のテーブルにおける各欄の消費電力値)は予め測定して求めておくようにし、得られたテーブルは制御部2のROMに記憶させておく。
【0048】
なお、本実施形態では、このテーブルをインクの各色で共通のものとするが、インクの各色で独自のものを用意するようにしてもよい。
次に、制御部2は、消費電力テーブルにおいて、ステップS2において取得したインク温度(ここでは色毎のインクの平均値とする)、及び、前述したようにして算出した印字率に対応する消費電力値をインク色毎に取得してその合計消費電力を算出する処理を行う。この算出結果を、記録処理によりノズル列駆動部23−1−1乃至23−n−m全体で消費される電力の推定値とする。
【0049】
なお、上述したインクの温度T及び印字率Pと搬送速度Vと消費電力Wとの関係を示す近似式を、予め行った測定の結果に基づき算出しておき、この近似式を用いて、ノズル列駆動部23−1−1乃至23−n−m各々の消費電力を制御部2が算出するようにしてもよい。
【0050】
次に、制御部2は、以上のようにして算出された、ノズル列駆動部23−1−1乃至23−n−m全体で記録処理により消費される電力の推定値に、予め設定されている搬送速度の初期設定値V0で記録媒体41を搬送すると記録媒体搬送部7で消費される電力を加算する処理を行う。この加算結果が、消費電力の推定結果となる。なお、搬送速度V0での記録媒体41の搬送時における記録媒体搬送部7の消費電力は、予め測定して制御部2のROMに記憶させておく。
【0051】
消費電力の推定は以上のようにして行われる。制御部2は、ステップS4の終了後、ステップS5に処理を進める。
次に、制御部2は、ステップS5において、推定された消費電力が規定値αよりも大きいか否かを判定する処理を行う。ここで、制御部2は、消費電力が規定値αよりも大きいと判定した場合(判定結果がYes)、ステップS6に処理を進めて、電力抑制のための処理を開始する。一方、制御部2は、消費電力が規定値α以下であると判定した場合(判定結果がNo)、特段の電力制御は不要との判断を下し、ステップS12に処理を進める。
【0052】
次に、制御部2は、ステップS6において、消費電力を規定値α以下にする搬送速度V1を取得しておく処理を行う。
このステップS6の処理では、制御部2は、まず、図8に例示するような、消費電力の現在値と、消費電力を規定値α以下にする搬送速度V1との対応関係が示されている搬送速度テーブルを参照する。そして、この搬送速度テーブルにおいて、ステップS4で推定した消費電力に対応する搬送速度V1を取得する。なお、この搬送速度テーブルの値(図8のテーブルにおける各欄の搬送速度V1の値)は予め測定して求めておくようにし、得られたテーブルは制御部2のROMに記憶させておく。
【0053】
なお、上述した消費電力の現在値と搬送速度V1との関係を示す近似式を、予め行った測定の結果に基づき算出しておき、この近似式を用いて、搬送速度V1を制御部2が算出するようにしてもよい。
【0054】
制御部2は、このステップS6の終了後、ステップS7に処理を進める。
次に、制御部2は、ステップS7において、消費電力が規定値α以下になるインク温度T1が印刷可能温度範囲内に存在するか否かを判定する処理を行う。
【0055】
このステップS7の処理では、制御部2は、まず、図9に例示するような、消費電力の現在値と、消費電力が規定値α以下になるインク温度T1(インク各色で共通とする)との対応関係が示されているインク温度テーブルを参照する。そして、このインク温度テーブルにおいて、ステップS4で推定した消費電力に対応するインク温度T1を取得する。なお、このインク温度テーブルの値(図9のテーブルにおける各欄のインク温度T1の値)は予め測定して求めておくようにし、得られたテーブルは制御部2のROMに記憶させておく。その上で、制御部2は、取得したインク温度T1が、インクの使用可能温度範囲内であるか否かを判定する処理を、ステップS2と同様にして行う。
【0056】
なお、上述した消費電力の現在値とインク温度T1との関係を示す近似式を、予め行った測定の結果に基づき算出しておき、この近似式を用いて、インク温度T1を制御部2が算出するようにしてもよい。
【0057】
このステップS7において、制御部2は、インク温度T1が使用可能温度範囲内にあると判定した場合(判定結果がYes)、ステップS8に処理を進める。一方、制御部2は、インク温度T1が使用可能温度範囲外であると判定した場合(判定結果がNo)、ステップS11に処理を進める。
【0058】
次に、制御部2は、ステップS8において、インク温度T0からT1までインクを加温するのに要する加温時間を取得する処理を行う。
このステップS8の処理では、制御部2は、まず、T1とT0との温度差ΔTを算出する処理を行う。次に、制御部2は、図10に例示するような、インク温度の温度差ΔTと、インク温度調節部25−1乃至25−nでインクの温度をこの温度差ΔTだけ上昇させるために必要な加温時間との対応関係が示されている加温時間テーブルを参照する。そして、この加温時間テーブルにおいて、算出した温度差ΔTに対応する加温時間を取得する。なお、この加温時間テーブルの値(図10のテーブルにおける各欄の加温時間の値)は予め測定して求めておくようにし、得られたテーブルは制御部2のROMに記憶させておく。
【0059】
なお、上述した温度差ΔTの現在値と加温時間との関係を示す近似式を、予め行った測定の結果に基づき算出しておき、この近似式を用いて、加温時間を制御部2が算出するようにしてもよい。
【0060】
制御部2は、このステップS8の終了後、ステップS9に処理を進める。
次に、制御部2は、ステップS9において、ステップS1で取得したジョブ情報に示されている画像記録枚数Nの記録処理を行うのに要する記録処理時間として、搬送速度をV1に減速する場合の記録処理に要する記録処理時間tbNと、インク加温を行ってから搬送速度V0で記録処理を行った場合の記録処理に要する記録処理時間tcNを比較する処理を行う。なお、インク加温を行うことなく搬送速度V0で画像記録枚数Nの記録処理を行うときの記録処理時間taNは、前述したta0、ta1、ta2、及びta3の値の測定値を制御部2のROMに記憶させて与えておくことで容易に算出することができる。ここで、記録処理時間tbNは、記録処理時間taNをV1/V0倍して算出し、記録処理時間tcNは、記録処理時間taNに、ステップS8で取得した加温時間を加算して算出する。
【0061】
なお、このステップS9の処理は、消費電力の推定値が規定値αに収まるときの温度へとインク温度調節部25−1乃至25−nがインク温度を調節するために要する加温時間と、消費電力の推定値が規定値αに収まるときの記録媒体搬送部7による記録媒体41の搬送速度V1で記録処理を行うと発生する当該記録処理の遅延時間とを比較する処理であるともいえる。
【0062】
制御部2は、このステップS9の比較処理において、記録処理時間tbNよりも記録処理時間tcNが短いと判定した場合(判定結果がYes)、ステップS10に処理を進める。一方、制御部2は、このステップS9の比較処理において、記録処理時間tbNよりも記録処理時間tcNが短くはないと判定した場合(判定結果がNo)、ステップS11に処理を進める。
【0063】
制御部2は、ステップS10においては、インク温度調節部25−1乃至25−nを制御して、ステップS8で取得した加温時間だけインクを加温させて、インク温度をT0からT1とする処理を行い、その後はステップS12に処理を進める。
【0064】
制御部2は、ステップS11においては、記録媒体搬送部7を制御して記録媒体41の搬送速度の設定値をV0からV1に変更する処理を行い、その後はステップS12に処理を進める。
【0065】
次に、制御部2は、ステップS12において、給送部3及び記録媒体搬送部7を制御して記録媒体41の搬送を開始させ、その後はステップS13に処理を進める。
次に、制御部2は、ステップS13において、画像記録部20を制御して記録処理を開始させ、その後はステップS14に処理を進める。
【0066】
次に、制御部2は、ステップS14において、直近のステップS1により取得したジョブ情報に従って画像記録部20を制御して記録処理を終了し、その後はステップS15に処理を進める。
【0067】
次に、制御部2は、ステップS15において、給送部3及び記録媒体搬送部7を制御して記録媒体の搬送を停止させ、その後はステップS16に処理を進める。
次に、制御部2は、ステップS16において、後続のジョブ情報が上位装置40から送られてきているか否かを判定する処理を行う。ここで、制御部2は、後続のジョブ情報が送られてきたと判定した場合(判定結果がYes)、ステップS2へと処理を戻して上述した処理を改めて行う。一方、制御部2は、後続のジョブ情報はないと判定した場合(判定結果がNo)、この図6の制御処理を終了する。
【0068】
以上のように、図6の制御処理を制御部2が行うことによって、記録処理時間を不必要に長引かせることなく、画像記録装置1の消費電力が規定値以下に抑えられる。従って、電源の小型化を進めることができる。
【0069】
なお、図6の制御処理では、インク加温は記録処理を開始する前に予め行うようにしていた。この代わりに、例えば、画像記録装置1の消費電力が記録処理の開始時においては規定値α以下であって、記録処理中にインク温度が低下してインクの吐出に要する電力が上昇するような場合などでは、記録処理中もインクの温度調整を行うようにしてもよい。
【0070】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明は、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明をなすことができる。例えば本発明は、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いし、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態に係る画像記録装置を概念的なブロック構成で示した図である。
【図2】本実施形態に係る画像記録装置の配置例を模式的に示した図である。
【図3】記録ユニットの構成を示した図である。
【図4】インク温度とインク吐出電力の一般的な関係を模式的に示した図である。
【図5】消費電力の変化を模式的に示した図である。
【図6】制御部が行う制御処理の処理内容をフローチャートで示した図である。
【図7】消費電力テーブルの例を示す図である。
【図8】搬送速度テーブルの例を示す図である。
【図9】インク温度テーブルの例を示す図である。
【図10】加温時間テーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 画像記録装置
2 制御部
3 給送部
4 給送トレイ
5 給送機構
5a ピックアップローラ
5b レジストレーションローラ対
6 記録媒体検出部
7 記録媒体搬送部
8 搬送部材
9 搬送駆動部
10 搬送情報生成部
11a 駆動ローラ
11b 従動ローラ
12 固定部材
18 記憶部
19 電力制御部
20 画像記録部
21,21−1乃至21−n 記録ユニット
22,22−1−1乃至22−n−m インク温度検出部
23,23−1−1乃至23−n−m ノズル列駆動部
24,24−1−1乃至24−n−m ノズル列
25,25−1乃至25−n インク温度調節部
26,26−1乃至26−n インクタンク
27,27−1乃至27−n インク経路
28,28−1乃至28−n インク循環機構
29,29−1乃至29−n インク補給路
30,30−1−1乃至30−n−m 共通インク室
40 上位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルから形成されるノズル列と、当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部と、記録処理される記録媒体を搬送した際の搬送情報を生成するための搬送情報生成部を有する記録媒体搬送部と、を有し、前記ノズル列駆動部を制御して前記複数のノズルより画像データに基づいてインクを吐出させて前記記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置において、
前記インクの温度を検出するインク温度検出部と、
前記インクの温度を調節するインク温度調節部と、
上位装置から通知される前記画像データを含むジョブ情報、及び前記インク温度検出部により検出された前記インクの温度の情報に基づき前記画像記録装置の消費電力の推定を行い、当該推定の結果に基づいて前記温度調節部を制御して当該インクの温度を調節させることで前記画像記録装置の消費電力を低下させる電力制御部と、を少なくとも備える、ことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記画像記録装置の消費電力の推定値が所定値に収まるときの前記記録媒体搬送部による前記記録媒体の搬送速度を取得し、当該推定値が当該所定値に収まるときの温度へと前記インク温度調節部が前記インクの温度を調節するために要する時間が、当該搬送速度で前記記録処理を行うと発生する前記記録処理の遅延時間よりも短い場合に、前記温度調節部を制御して当該インクの温度を調節させる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記推定値が前記所定値に収まるときの温度へと前記インク温度調節部が前記インクの温度を調節するために要する時間が、前記搬送速度で前記記録処理を行うと発生する当該記録処理の遅延時間よりも長い場合には、前記インク温度調節部による前記インクの温度の調節を行わせずに、前記記録媒体を前記搬送速度で搬送させるように前記記録媒体搬送部を制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、前記推定値が前記所定値に収まるときの前記インクの温度が、当該インクについて定められている使用可能温度範囲外である場合には、前記インク温度調節部による前記インクの温度の調節を行わせずに、前記記録媒体を前記搬送速度で搬送させるように前記記録媒体搬送部を制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記電力制御部を少なくとも備える制御部を更に備え、
前記制御部は、演算処理装置と、制御プログラムを予め記憶している記憶部とを少なくとも備えて構成されており、前記演算処理装置に前記制御プログラムを実行させることにより前記電力制御部として機能する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
複数のノズルから形成されるノズル列と、当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部と、記録処理される記録媒体を搬送した際の搬送情報を生成するための搬送情報生成部を有する記録媒体搬送部と、を有し、前記ノズル列駆動部を制御して前記複数のノズルより画像データに基づいてインクを吐出させて前記記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置の制御方法であって、
前記インクの温度を検出することと、
上位装置から通知される前記画像データを含むジョブ情報、及び前記インクの温度の検出結果の情報に基づき前記画像記録装置の消費電力を推定することと、
前記インクの温度を調節するインク温度調節部を前記推定の結果に基づいて制御して当該インクの温度を調節させることで前記画像記録装置の消費電力を低下させることと、を含む、ことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項7】
前記画像記録装置の消費電力の推定値が所定値に収まるときの前記記録媒体搬送部による前記記録媒体の搬送速度を取得することを更に含み、
前記インク温度調節部の制御は、前記推定値が前記所定値に収まるときの温度へと当該インク温度調節部が前記インクの温度を調節するために要する時間が、当該搬送速度で前記記録処理を行うと発生する前記記録処理の遅延時間よりも短い場合に行う、ことを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項8】
前記推定値が前記所定値に収まるときの温度へと前記インク温度調節部が前記インクの温度を調節するために要する時間が、前記搬送速度で前記記録処理を行うと発生する当該記録処理の遅延時間よりも長い場合には、前記インク温度調節部による前記インクの温度の調節を行わせずに、前記記録媒体を前記搬送速度で搬送させるように前記記録媒体搬送部を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記推定値が前記所定値に収まるときの前記インクの温度が、当該インクについて定められている使用可能温度範囲外である場合には、前記インク温度調節部による前記インクの温度の調節を行わせずに、前記記録媒体を前記搬送速度で搬送させるように前記記録媒体搬送部を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項10】
複数のノズルから形成されるノズル列と、当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部と、記録処理される記録媒体を搬送した際の搬送情報を生成するための搬送情報生成部を有する記録媒体搬送部と、を有し、前記ノズル列駆動部を制御して前記複数のノズルより画像データに基づいてインクを吐出させて前記記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、
前記インクの温度を検出する温度検出処理と、
上位装置から通知される前記画像データを含むジョブ情報、及び前記インクの温度の検出結果の情報に基づき前記画像記録装置の消費電力を推定する消費電力推定処理と、
前記インクの温度を調節するインク温度調節部を前記推定の結果に基づいて制御して当該インクの温度を調節させることで前記画像記録装置の消費電力を低下させるインク温度調節部制御処理と、前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記画像記録装置の消費電力の推定値が所定値に収まるときの前記記録媒体搬送部による前記記録媒体の搬送速度を取得する取得処理を更に前記演算処理装置に行わせ、
前記インク温度調節部制御処理は、前記推定値が前記所定値に収まるときの温度へと当該インク温度調節部が前記インクの温度を調節するために要する時間が、当該搬送速度で前記記録処理を行うと発生する前記記録処理の遅延時間よりも短い場合に行われる、ことを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記推定値が前記所定値に収まるときの温度へと前記インク温度調節部が前記インクの温度を調節するために要する時間が、前記搬送速度で前記記録処理を行うと発生する当該記録処理の遅延時間よりも長い場合には、前記インク温度調節部制御処理は行われず、代わりに、前記記録媒体を前記搬送速度で搬送させるように前記記録媒体搬送部を制御する記録媒体搬送部制御処理を前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記推定値が前記所定値に収まるときの前記インクの温度が、当該インクについて定められている使用可能温度範囲外である場合には、前記インク温度調節部制御処理は行われず、代わりに、前記記録媒体を前記搬送速度で搬送させるように前記記録媒体搬送部を制御する記録媒体搬送部制御処理を前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−52232(P2010−52232A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218548(P2008−218548)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】