説明

画像記録装置および画像記録方法

【課題】本発明に係るいくつかの実施形態は、記録媒体の位置のズレや剥がれを検出する画像記録装置及び画像記録装置の制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る、マルチパス方式で記録媒体に画像を記録する画像記録装置は、マルチパス記録の1パス目において記録媒体検出部の出力信号に基づいて、ドラムに保持されている記録媒体の副走査方向の端部の位置を特定し、マルチパス方式の記録処理の2パス目以降において計数部のカウント数が所定数の倍数になるタイミングに基づいて決定されるウィンドウ区間において取得される記録媒体検出部の出力信号から記録媒体の端部の検出を実行し、記録媒体の端部が検出されなかった場合には、画像記録部による記録処理を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置および画像記録方法に関し、特にマルチパス記録を行う画像記録装置および画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙等の記録媒体に対して文字や画像等のデータを記録する画像記録装置としては、例えばインクジェット方式のフルライン型画像記録装置が知られている。
【0003】
フルライン型画像記録装置は、インク色毎に副走査方向に所定の間隔で離間して配設されるラインヘッドを有している。各ラインヘッドは、記録媒体が搬送される搬送方向(副走査方向)に対して直交する方向(主走査方向)に記録媒体の幅以上の長さに亘って形成された、インクの液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル列を有している。
【0004】
これらのラインヘッドは、ドラム上を搬送されてくる記録媒体に対してノズルの先端(吐出口)が向くように配設されている。
【0005】
このような画像記録装置では、ラインヘッドの直下を通過するように記録媒体を副走査方向に搬送させるだけで、記録媒体の全面に記録処理を行うことができる。
【0006】
そのため、このようなフルライン型画像記録装置は、迅速に、且つキャリッジの移動や記録媒体の間欠的な搬送等を行わない簡易な動作で、記録処理を行うことができる。
【0007】
しかし、その一方、単独で記録媒体の主走査方向の幅を超える長尺なラインヘッドは、短尺なラインヘッドに比べ、コストが高い、歩留りが悪い、信頼性が低い等の課題がある。
【0008】
これらの課題への対策として、複数の短尺ノズル列を、各々ノズル列の両端部分が副走査方向からみて重複するように配列して長尺のラインヘッドを形成すること行われている。このような短尺ノズル列からなるラインヘッドは、コスト、歩留り、信頼性等に優れた短尺ノズル列の利点を生かしつつ、長尺なラインヘッドの利点も併せ持っている。
【0009】
しかし、これらのフルライン型画像記録装置としてのインクジェットラインプリンタでは、記録素子である個々のノズルのインク吐出口から吐出されるインクの体積(吐出量)、及びインク滴が吐出される方向にばらつきが有り、結果として記録したドットの大きさ、及びドットの位置にばらつきが生じる。
【0010】
このようなばらつきに起因して、隣接ドット間の距離は不均一になることがあり、ドット間の距離が近くなった箇所では濃度が濃く、ドット間の距離が離れている所では濃度が薄く、また、すじ状のムラ等が生じてしまうなど、濃度のむらや滲み等による画質の劣化が生じてしまう可能性がある。
【0011】
このような濃度のむら及びインク滲み等による画質の劣化が生じるのを防止して画像形成時の画質を向上させるために、種々の提案が行なわれており、インクジェットラインプリンタによるインクジェット記録方法でも、記録ヘッドを主走査方向に移動させながら、間引いた画像を複数回に分けて少しずつ記録するマルチパス方式のドット記録方法が提案されている。
【0012】
例えば、特許文献1には、複数の用紙を回転面に装着するドラムに、用紙を装着しないブランク区間を設け、そのブランク区間にドラムの回転面上に配置したラインヘッドの位置を変えてマルチパス方式で印刷を行うようにすることにより、高画質な印刷を高速にできるようにする、インクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−69177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、ラインヘッドの移動タイミングとして、先行する用紙の紙尻が通過した瞬間からヘッド移動を開始し、次の用紙の紙頭がやってくる直前のぎりぎりまでのブランク区間でヘッド移動を完了するとあるが、紙尻および紙頭の具体的な検出方法は何ら開示されていない。
【0015】
また、特許文献1に開示される技術では、くわえ爪とクランプとでドラムに用紙を取り付ける構成であるため、用紙はドラム上の固定の位置に装着されるが、例えば、静電吸着方式などの方式を用いて用紙を装着する場合には、用紙の装着位置がドラム上の固定位置ではなく不定の位置に装着されるため、装着された用紙の端部位置を検出する必要が生じる。
【0016】
静電吸着方式及び吸引吸着方式等のドラム上の不定の位置に固定された用紙の端部位置を検出するためには、安価な反射式センサなどが利用できる。
【0017】
しかしながら、反射式センサはドラム面と用紙面との反射レベルの差で用紙を識別するものである。マルチパス方式では各パス毎に記録処理が実行されるため、マルチパス方式の2パス目以降では、用紙への印字が用紙の反射レベルに影響してしまい、用紙とドラム面と反射レベルの差を明確に区別することが困難であった。
【0018】
その結果、反射式センサでは、マルチパス方式の2パス目以降ではドラム上に固定された記録媒体を正確に検出にすることができなかった。
【0019】
そのため、記録処理の過程で用紙が剥がれてしまったり又はズレてしまったりしたとしても、それを検出することができず、そのような事態において吐出を停止する等の対処をとることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るいくつかの実施形態に係るマルチパス方式で記録媒体に画像を記録する画像記録装置は、記録処理を実行する画像記録部と、記録媒体を吸着保持しながら回転するドラムと、ドラムが一定角度回転する毎に搬送情報を出力する搬送情報生成部であって、ドラムの1回転で所定数の搬送情報を出力する搬送情報生成部と、ドラム上の表面の状態を検出して検出結果に基づいた出力信号を生成する記録媒体検出部と、記録媒体検出部の出力信号に基づいて、ドラムに保持されている記録媒体の副走査方向の端部の位置を特定する記録媒体端部位置特定部と、マルチパス方式の1パス目の記録処理において記録媒体検出部が記録媒体の端部の位置を特定したタイミングで搬送情報生成部から出力される搬送情報のカウントを開始する計数部と、計数部のカウント数が所定数の倍数になるタイミングに基づいて決定されるウィンドウ区間において取得される記録媒体検出部の出力信号から記録媒体の端部の検出を実行し、記録媒体の端部が検出されなかった場合には、画像記録部による記録処理を停止させる記録処理制御部と、を備えている。
【0021】
本発明に係るいくつかの実施形態に係る、マルチパス方式で記録媒体に画像を記録し、記録媒体を保持して回転するドラムを備えた画像記録装置を制御する方法は、マルチパス方式の1パス目の記録処理において、ドラム上に保持された記録媒体の端部の位置を、ドラム上の表面の状態の検出結果に基づいて特定する特定ステップと、記録媒体の端部の位置を特定したタイミングからドラムが一回転して再び同じ位置に戻るタイミングを取得する取得ステップと、取得ステップで取得したドラムが再び同じ位置に戻るタイミングに基づいて決定されるウィンドウ区間において、記録媒体の端部の検出を試み、記録媒体の端部が検出されなかった場合には、記録処理を停止する記録処理制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るいくつかの実施形態は、記録が行われる記録媒体の位置のズレや剥がれを検出する画像記録装置及び画像記録装置の制御方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像記録装置の構成の一例を示すブロックである。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像記録装置の各構成要素の配置の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像記録装置における画像記録部の記録ユニットの構成例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像記録装置における画像記録部の記録ユニット移動機構を含む構成例を示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係る画像記録装置におけるマルチパス記録処理の一例を示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態に係る画像記録装置におけるマルチパス記録処理の一例を示す図である。
【図6A】本実施形態に係るマルチパス記録における記録ユニットの主走査方向の移動タイミングを示す図である。
【図6B】本実施形態に係るマルチパス記録における記録ユニットの主走査方向の移動タイミングを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像記録装置のパス毎の記録媒体の記録状態と、それに対応する記録媒体検出部からの出力情報とを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像記録装置の記録媒体検出部からの出力情報と、その情報に基づいて生成される記録処理トリガ信号とを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像記録装置による記録媒体の先端の検出について説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像記録装置による記録媒体の先端の検出について説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る画像記録装置による、ドラム上に2つ以上の記録媒体が固定される場合における記録媒体検出部からの出力情報と、その情報に基づいて生成される記録処理トリガ信号とを示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像記録装置による、ドラム上に2つ以上の記録媒体が固定される場合における、記録媒体の先端及び後端の検出について説明する図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る画像記録装置による、ドラム上に2つ以上の記録媒体が固定される場合における、記録媒体の先端及び後端の検出について説明する図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る画像記録装置の制御部が実行する処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する構成には同一の符号を付した。
【0025】
また、以下の説明においては、記録媒体の搬送方向をY方向又は副走査方向と呼び、この搬送方向に対し直交する方向をX方向又は主走査方向と呼び、X方向およびY方向のどちらにも直交する方向をZ方向と呼ぶこととする。
【0026】
本発明の一実施形態に係る画像記録装置1の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録方法を実施する画像記録装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
本発明の一実施形態に係る画像記録装置1は、給送部20と、搬送機構10と、回収部30と、画像記録部60と、制御部50と、記録媒体検出部15と、図示しないクリーニング部と、を備えている。
【0028】
給送部20は、給送トレイ21と、及び給送駆動部22とを含む。給送部20は、給送駆動部22の動力を用いて給送トレイ21に格納されている記録媒体40を搬送機構10へと供給する。
【0029】
ここで、記録媒体40は、画像記録装置1により画像が記録されるものであり、例えば、フィルム、布、紙、シールである。
【0030】
搬送機構10は、搬送駆動部14を含む。搬送機構10は、給送部20から受け取った記録媒体40を搬送駆動部14の駆動力を用いて画像記録部60による記録が行われる位置(以降、記録位置とも称する)へと搬送し、その後、回収部30へと搬送する。
【0031】
搬送機構10はまた、搬送情報生成部12を含む。搬送情報生成部12は、例えば、ロータリエンコーダであり、搬送機構10における記録媒体40の搬送距離を表す搬送情報を生成する。
【0032】
回収部30は、収納トレイ31及び排出駆動部32を含む。回収部30は、搬送機構10から搬送されてくる記録媒体40を排出駆動部32の駆動力を用いて収納トレイ31へと収納する。
【0033】
画像記録部60は、少なくとも1つの記録ユニット70を含み、各記録ユニット70には記録ユニット移動機構90が接続されている。また、記録ユニット70は、ノズル列駆動部80と、少なくとも1つの記録ヘッド71とを含む。
【0034】
各記録ヘッド71はインクを吐出するためのノズル73がライン状に配列されたノズル列72を有する。
【0035】
ノズル列駆動部80が記録ヘッド71に含まれるノズル73を個別に駆動してインクを吐出させることで、搬送機構10上を搬送されてくる記録媒体40に画像が記録される。
【0036】
記録ユニット移動機構90は、制御部50の指示に従って記録ユニット70を主走査方向(X方向)に移動する。記録ユニット移動機構90による記録ユニット70の移動の詳細については図4から図6を参照して後述する。
【0037】
記録媒体検出部15は、Y方向(副走査方向)に記録媒体40を搬送する搬送機構10の搬送経路において画像記録部60よりも上流に設けられており、記録媒体検出部15による検出が行われる搬送経路上の位置(検出位置)で、搬送されてきた記録媒体40を検出するために用いられる。
【0038】
制御部50は、例えば、給送部20、搬送機構10、回収部30、画像記録部60などの画像記録装置1の各部を制御する。制御部50は、例えばMPU(Micro Processor Unit:演算処理装置)を含み、制御機能及び演算機能を有する。また、制御部50は記憶部57を含む。
【0039】
記憶部57には、例えば、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、MPUが作業用記憶領域として使用するRAM(Random Access Memory)、並びに記録処理の指定情報及び画像記録装置1の制御に関する各種設定値を記憶する不揮発性メモリが含まれる。
【0040】
記憶部57にはまた、例えば、画像記録装置1の制御に関する設定値及び例えば上位装置2から受信されるジョブ情報に含まれる画像記録情報等が記憶される。
【0041】
本発明の一実施形態においては、記憶部57の不揮発メモリ領域に、ヘッド移動制御テーブル58が記憶されており、これは後述する記録ユニット70の移動の制御に用いられる。
【0042】
ヘッド移動制御テーブル58には、例えば、ドラム11のドラム周長LD、ドラム11のドラム回転数NR(rps)、ノズル列のノズル間の距離を表すノズル間隔d、記録ヘッド列h間の距離を表す記録ヘッド列配列間隔La、ドット単位ヘッド移動時間tp、ドラム11上に固定される記録媒体同士の間の間隔を表す記録媒体間隔L2、記録媒体40が定形用紙である場合には記録媒体の大きさを表す媒体サイズLp等の情報が含まれており、このヘッド移動制御テーブル58は予め記憶部57に記憶されている。ヘッド移動制御テーブル58は、制御部50に読み出されて、例えば、後述する記録ユニットの移動の際に使用される。
【0043】
制御部50は、記憶部57の例えばROMに記憶されている制御プログラムを実行することで、例えば、記録処理制御部52、記録データ制御部51、記録媒体端部位置特定部55、計数部56、記録ユニット移動制御部53、用紙搬送制御部54、として機能する。
【0044】
記録処理制御部52は、画像記録装置1の各構成要素の制御を行い、例えば、記憶部57から読み出した設定値に基づいて記録ユニット70に含まれるノズル73のインクの吐出のタイミングを制御する。
【0045】
記録データ制御部51は、上位装置2から受信したジョブ情報に含まれる画像記録情報と、画像記録装置1の記憶部57に記憶されている設定値とに基づいて、画像データを記録処理することが可能な記録画像データへと変換する。
【0046】
記録データ制御部51は、変換により得られた記録データを画像記録部60へと転送し、画像記録部60は受信した記録データに基づいて記録処理を実行する。ここでの画像データの記録画像データへの変換処理に際して、記録データ制御部51は、短尺記録ヘッド71のノズル列72毎の記録データの分配やデータ位置合わせ、記録濃度変換などの処理も行なう。
【0047】
記録媒体端部位置特定部55は、記録媒体検出部15からの出力に基づいて、ドラム11に固定された記録媒体40の端部の位置を特定する。
【0048】
計数部56は、搬送情報生成部12から出力される搬送情報をカウントする。一実施形態においては、計数部56は記録媒体端部位置特定部55により記録媒体40の先端位置が特定されると搬送情報のカウントを開始する。
【0049】
記録ユニット移動制御部53は、主走査方向(X方向)における記録ユニットの移動を制御する。記録ユニット移動制御部53は、ドラム11上の記録ユニット70によって記録が行なわれる記録位置を記録媒体40が通過していないときに、記録ユニット移動機構90の駆動を制御し記録ユニット70を主走査方向(X方向)に所定の距離だけ移動させる。
【0050】
例えば、図6A,Bを参照して後述するように、ドラム11上に複数の記録媒体40が固定される場合には、記録ユニット移動制御部53は、ドラム11上の記録媒体40同士の間にある間隔L1が記録ユニット70の記録位置を通過するタイミングで、記録ユニット移動機構90を制御して記録ユニット70を主走査方向に移動させる。
【0051】
なお、画像記録装置1が複数の記録ユニット70を備える場合には、それぞれの記録ユニット70の記録位置を間隔L1が通過するタイミングで、記録ユニット移動制御部53により対応する記録ユニット移動機構90の制御が行われる。それによって、個々の記録ユニット70は順次、主走査方向に所定の距離だけ移動する。
【0052】
用紙搬送制御部54は、搬送機構10、給送部20、回収部30を制御することで、画像記録装置1における記録媒体の搬送を制御する。
【0053】
例えば、用紙搬送制御部54は、上位装置2からジョブ情報を受信すると、搬送機構10の搬送駆動部14を制御してドラム11の回動を開始させる。続いて、用紙搬送制御部54は、給送部20の給送駆動部22を制御して、給送トレイ21に積載された記録媒体40を1枚ずつピックアップさせて搬送機構10へ受け渡させる。
【0054】
図1において、画像記録装置1は、上位装置2と接続されている。上位装置は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)であり、本実施形態に係る画像記録装置1に記録処理を行わせるユーザによって操作されるコンピュータなどである。上位装置2は、本実施形態に係る画像記録装置1と、Local Area Network(LAN)などを介して外部機器として接続されている。
【0055】
上位装置2は、本実施形態に係る画像記録装置1に画像の記録処理を指示する情報としてジョブ情報を通知する。画像記録装置1の記録データ制御部51は、上位装置2からジョブ情報を受信すると、ジョブ情報に含まれる画像記録情報を記憶部57に記憶する。
【0056】
画像記録情報には、例えば、記録媒体サイズ、記録速度、マルチパス記録回数、記録画像サイズ情報、解像度、濃度、色情報、上位装置2のメモリに保持した画像データのアドレス情報、及び画像データなどの記録処理を行う際に必要な設定値及び画像データなどが含まれている。画像記録情報に含まれる画像データは、画像記録装置1が実際に記録処理を実行するために用いる記録画像データを生成する基となるデータである。
【0057】
また、上位装置2は、R(レッド)、G(グリーン)、及びB(ブルー)の光の三原色からなる多階調画像データをC(シアン)、M(マゼンタ)、及びY(イエロー)、並びに、K(ブラック)の色からなる画像記録装置1で出力することが可能な色の階調値に変換する擬似階調変換処理した画像データを生成する処理を行ってもよい。上位装置2は、生成した画像データを含む印刷ジョブを画像記録装置1へと送信する。
【0058】
そして、画像記録装置1は、上位装置2からジョブ情報を受信し、受信したジョブ情報に含まれる画像記録情報に基づいて記録媒体40に記録処理を実行する。
【0059】
しかしながら、画像記録装置1は必ずしも上位装置2と接続されている必要は無く、例えば、画像記録装置1にフラッシュメモリなどの記憶媒体が接続され、画像記録装置1は、記憶媒体に格納されているデータに基づいて画像記録情報を生成して記録処理を実行してもよい。
【0060】
画像記録装置1は、安定して及び記録媒体40を汚すことなく画像を記録するために、画像記録部60に含まれる記録ユニット70のクリーニングを行う図示されないクリーニング部を含む。クリーニング部は、例えば、ワイプブレードや吸引機構等のクリーニング機構を有して構成される。
【0061】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置1の各構成要素の配置の一例を示す図である。
【0062】
図2において、給送部20は、給送トレイ21と、給送駆動部22とを備えている。給送トレイ21は、例えば、給送カセットで構成されており、記録媒体40を収容している。給送駆動部22は、例えば給送ローラで構成されており、給送トレイ21に収容されている記録媒体40の最上部にある記録媒体40に当接して、記録媒体40を1枚ずつ取り出し搬送機構10へと給送する。
【0063】
搬送機構10は、ドラム11と、剥離部13と、図示しない帯電ローラ及び徐電器とを含んでいる。また、ドラム11の近傍には記録媒体検出部15が配置されている。
【0064】
帯電ローラは、記録媒体40をドラム11の表面へと案内するとともに、記録媒体40に電荷を与え、それによって、記録媒体40は帯電してドラム11の表面に吸着する。
【0065】
ドラム11は、その外周面上に記録媒体40を吸着して回転することで、画像記録部60による記録処理が実行される記録位置に記録媒体40を搬送する。ドラム11は、例えばモータである搬送駆動部14により、図2に示される矢印の方向に一定速度で回転駆動される。ドラム11の回転軸には、ドラム11の回転角を検出する搬送情報生成部12が備えられている。
【0066】
搬送情報生成部12は、例えばロータリエンコーダである。搬送情報生成部12は、ドラム11が所定の角度を回転する毎に搬送情報(パルス信号)を生成して制御部50へと出力する。搬送情報生成部12は、例えば、ドラム11の1回転で18000パルスというように、ドラム11の回転に合わせて所定数の搬送情報を出力するように構成されている。ドラム11の外周の長さは既知であるため、制御部50は、搬送情報生成部12から出力された搬送情報の数をカウントすることにより記録媒体40の搬送距離を取得することができる。
【0067】
ドラム11は、例えば中空アルミ円筒と両側面のフランジとから構成されており、円筒表面は絶縁コート処理されている。また、ドラム11自体は主走査方向(X方向)にズレ動いてしまわないように構成されている。
【0068】
記録媒体40は、画像記録部60による画像の記録処理が行なわれる位置に搬送された後、除電器の近傍へと搬送される。除電器は、帯電ローラにより与えられた静電気によって帯電し、ドラム11に吸着された状態にある記録媒体40から、電荷を除去することで吸着を弱める。
【0069】
剥離部13は、ドラム11の表面に対して僅かな間隙を空けて配置される。この間隙の幅は、ドラム11上を搬送され得る記録媒体40の厚みに、更に最小限の余裕をもたせるための幅を追加した幅を有している。除電器により吸着力が弱められドラム11上から僅かに浮き上がった記録媒体40は、剥離部13によってドラム11から剥離される。また、剥離部13は、剥離した記録媒体40を回収部30へと案内する。
【0070】
記録媒体検出部15は、記録媒体40の搬送経路において画像記録部60よりも上流に設けられている。記録媒体検出部15は、ドラム11上に固定されて搬送される記録媒体40の副走査方向の先端及び/又は後端の位置を特定するために用いられる。
【0071】
記録媒体検出部15は、例えば光学式の反射型センサ又は静電容量型センサ等をその一部分に備えて構成される。記録媒体検出部15からの出力結果に基づいて、記録媒体端部位置特定部55はドラム11上での記録媒体40の先端及び/又は後端の位置を特定する。
【0072】
回収部30は、収納トレイ31と、排出駆動部32とを備えている。ここで、収納トレイ31は、搬送機構10から排出された記録媒体40を収納するものである。排出駆動部32は、搬送機構10によって搬送されてくる記録媒体40を収納トレイ31へと排出するものであり、例えば排出ローラの対で構成される。
【0073】
画像記録部60は、記録ユニット70と、それに対応付けられた記録ユニット移動機構90を少なくとも1組備えている。例えば図2に示されるように、画像記録装置1が複数の記録ユニット70(記録ユニット70-1〜記録ユニット70-n。ここで、nは記録ユニット70の総数である)を備えている場合には、複数の記録ユニット70は副走査方向(Y方向)に配列して設置されている。
【0074】
また、図2に示す例はn=8の場合を示しており、画像記録装置1は、8つの記録ユニット70を備えている(記録ユニット70-1〜記録ユニット70-8)。本実施形態では、画像記録装置1は、例えばK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、及びY(イエロー)の4色のインクを用いて画像の記録を行い、各色毎に2個の記録ユニット70を備えている。
【0075】
記録ユニット70は、記録処理制御部52の指示に従って駆動され、ドラム11上を搬送される記録媒体40に画像の記録処理を実行する。
【0076】
続いて、以上で述べた図1及び図2に示される構成において実行される記録処理の流れについて簡単に説明する。
【0077】
記録処理開始の指示を上位装置2から受け取ると、用紙搬送制御部54は搬送機構10の搬送駆動部14を制御してドラム11の回動を開始させる。続いて、用紙搬送制御部54は、給送部20の給送駆動部22を制御して、給送トレイ21に積載された記録媒体40を1枚ずつピックアップさせて搬送機構10へ受け渡し搬送させる。
【0078】
搬送機構10へ受け渡された記録媒体40は、帯電ローラによって帯電し、ドラム11に吸着し、ドラム11の回転により搬送される。搬送経路上を搬送されている記録媒体40は、やがて、記録媒体検出部15により、例えばその先端が検出される。記録媒体端部位置特定部55は、記録媒体検出部15の出力を監視し、記録媒体40が検出されたときに生じる信号のエッジを記録媒体40の端部の位置として特定する。記録処理制御部52は、特定した記録媒体40の位置に基づいて、記録処理を指示するための記録処理トリガ信号を画像記録部60に通知するタイミングを決定する。
【0079】
記憶部57には、記録媒体検出部15によって検出されているドラム11上の位置から、例えば図2に示される記録ユニット70‐1〜記録ユニット70‐8によりインクが吐出されるドラム11上の記録位置までの搬送距離に対応する搬送情報の数が記憶されている。
【0080】
計数部56は、記録媒体40の先端が記録媒体検出部15により検出されたときに生じる信号のエッジを記録媒体端部位置特定部55が特定した時点以降に搬送情報生成部12から出力される搬送情報をカウントする。記録処理制御部52は、この搬送情報のカウント数と、予め記憶部57に記憶されている記録媒体検出部15の検出位置から、各記録ユニットの記録位置までの距離に対応する搬送情報の数とが一致したタイミングで、それぞれの記録ユニット70に記録処理トリガ信号を出力する。
【0081】
記録ユニット70が記録処理トリガ信号を受信すると、ノズル列駆動部80がノズル列72を駆動してインクを吐出させて、それによって、ドラム11上を搬送される記録媒体40への記録処理が実行される。
【0082】
以降、ジョブ情報に含まれるマルチパス記録の回数Nに応じて、N回ドラム11が回転し、N回のマルチパス記録が行われる。マルチパス記録についての詳細は後に説明する。
【0083】
このようにして記録処理された後の記録媒体40は、除電器の近傍へと搬送されて電荷が除去される。電荷が除去された記録媒体40はドラム11から僅かに浮き上がり、剥離部13によって剥離され、収納トレイ31へと収納される。
【0084】
なお、上記の例では、ドラム11への記録媒体40の吸着手段として帯電ローラにより発生される静電気を利用したが、絶縁されたドラム11の表面に網目上の電位の印加される配線を施し、この網目に電位を与え、電荷によりカット紙等の記録媒体40を吸着させるようにしてもよい。
【0085】
或いは、ドラム11の円周に多数の貫通穴を設け、ドラム11内を負圧にしてカット紙等の記録媒体40をドラム11の外周面に吸着させるようにしてもよい。
【0086】
図3は、本実施形態に係る画像記録装置1の記録ユニット70の構成例を示す図である。
【0087】
図3は、色毎に配設される2つの記録ユニット70を示している(記録ユニット70‐1及び記録ユニット70‐2)。この2つの記録ユニット70はそれぞれ、副走査方向(X方向)に配列された複数の短尺の記録ヘッド71(図3では記録ヘッド71‐1〜記録ヘッド71‐3、及び記録ヘッド71‐4〜記録ヘッド71‐6)を含み、配列された複数の短尺の記録ヘッド71は記録ヘッド列hを構成している(図3では記録ヘッド列h1及び記録ヘッド列h2)。
【0088】
記録ヘッド71は、インクを吐出する複数のノズル73が主走査方向に配列されたノズル列72を含む。また、記録ユニット70(図3では記録ユニット70-1及び記録ユニット70-2)はそれぞれ、対応するノズル列駆動部80(ノズル列駆動部80‐1及びノズル列駆動部80‐2)に接続されている。ノズル列駆動部80は、上位装置2から受信した画像記録情報に基づいて記録ユニット70に含まれるノズル73を選択し、記録処理制御部52が生成した記録処理トリガ信号により指示されるタイミングで選択したノズル73を個別に駆動してインク吐出させ、それによって、記録媒体40への記録処理が実行される。
【0089】
図3に示すように、記録ユニット70‐1の記録ヘッド71‐1〜記録ヘッド71‐3に含まれるノズル列72‐1〜ノズル列72‐3の複数のノズル73は、Y方向(副走査方向)に同一の位置に整列されており、X方向(主走査方向)に直線状に配置されている。また、記録ユニット70‐2の記録ヘッド71‐4〜記録ヘッド71‐6に含まれるノズル列72‐4〜ノズル列72‐6の複数のノズル73も同様に、Y方向(副走査方向)に同一の位置に整列されており、X方向(主走査方向)に直線状に配置されている。
【0090】
これら各色毎に配設された2つの記録ユニット70‐1及び記録ユニット70‐2において、記録ユニット70‐1に含まれるノズル列72‐1〜ノズル列72‐3と、記録ユニット70‐2に含まれるノズル列72‐4〜ノズル列72‐6とは、その配設位置が主走査方向にズラされており、そのため、ノズル列72‐1〜ノズル列72‐3と、ノズル列72‐4〜ノズル列72‐6とは、副走査方向から見るとノズル列の端部が一部重複している。
【0091】
従って、ノズル列72‐1〜ノズル列72‐6に含まれるノズル73を全体として見ると、記録媒体40の主走査方向の最大幅Wを超える長さに亘って、主走査方向にノズル73が連続して配設されていることになる。換言すると、主走査方向に見た場合に、色毎に備えられた2つの記録ユニット70に含まれるノズル列72‐1〜72‐6は全体として、主走査方向における記録媒体40の最大幅Wよりも大きな幅を有する一つのラインヘッドを構成している。
【0092】
図3に拡大して示すように、ノズル列72のノズル73は主走査方向にノズル間隔dだけ離間されて配列されている。
【0093】
また、個々の記録ユニット70にはそれぞれ、記録ユニット移動機構90が接続されており、対応する記録ユニット移動機構90によって記録ユニット70は独立に主走査方向(X方向)に移動される。
【0094】
例えば、図3の例では、記録ユニット70‐1は記録ユニット移動機構90‐1によって主走査方向(X方向)に移動され、記録ユニット70‐2は記録ユニット移動機構90‐2によって主走査方向(X方向)に移動される。
【0095】
即ち、本実施形態においては、個々の記録ユニット70に含まれる記録ヘッド列hn(ここで、nはヘッド列の総数)単位(即ち、記録ユニット70に搭載され、副走査方向に見て同一の位置にある複数のノズル列72のグループ単位)で、記録ユニット移動機構90によって主走査方向における移動制御が行われる。
【0096】
続いて、マルチパス方式での記録処理について説明する。
【0097】
いくつかの実施形態において、マルチパス方式での記録処理(本明細書においてはマルチパス記録とも称される)とは、搬送経路(パス)に記録媒体を複数回(マルチ)に亘って通して、搬送経路を通る度に記録媒体の1つの表面に記録処理を繰り返し実行することを指す。一実施形態に係るマルチパス方式での記録処理では、記録媒体が搬送経路を通る度に、インクを吐出するノズル列を有する記録ユニットを主走査方向へ移動して記録媒体に記録を実行することが繰り返し行なわれる。
【0098】
マルチパス方式での記録処理を実行することで、一実施形態においては、記録ユニットのノズル列に含まれるノズル同士の間隔dよりも高い解像度で画像記録を行うことが可能となる。また、一実施形態においては、マルチパス方式での記録処理を実行することで、記録ユニットのノズル列の個々のノズルの特性のばらつきに等に起因する記録画像の濃淡のばらつきを軽減することもできる。
【0099】
図4は、本実施形態に係るマルチパス方式での記録処理における、記録ユニット移動機構90による記録ユニット70の移動について説明する図である。
【0100】
図4は、画像記録装置1を、記録媒体40の搬送方向(副走査方向)から見た図であり、図面には記録ユニット70、記録ユニット移動機構90、及びドラム11が示されている。
【0101】
記録ユニット70には、ノズル73のインクを吐出する吐出口を有する先端部をドラム11へと向けるようにして、複数の短尺記録ヘッド71が主走査方向に並んで配置されている。記録媒体40は、ドラム11上を吸着され、ドラム11の回転により記録ユニット70のノズル73から吐出されるインクが届く位置へと搬送される。
【0102】
なお、図4では説明の簡略化のため、一つの記録ユニット70のみを図示したが、例えば、図2を参照して述べたように、他の記録ユニット70がドラム11の外周に沿って並べて配置されていてもよい。
【0103】
個々の記録ユニット70(記録ユニット70‐1〜記録ユニット70‐n、ここでnは記録ユニット70の総数)には、対応する記録ユニット移動機構90(記録ユニット移動機構90‐1〜記録ユニット移動機構90‐n、ここでnは記録ユニット移動機構90の総数)が備えられているので、個々の記録ユニット70は、独立して主走査方向に移動することができる。
【0104】
記録ユニット移動機構90(記録ユニット移動機構90‐1〜記録ユニット移動機構90‐n)のそれぞれには、記録ユニットホルダ91、及びリニアモータ92が備えられている。
【0105】
記録ユニットホルダ91は、図示されない画像記録装置1の筐体に対して相対的に主走査方向に移動することが可能に設けられている。記録ユニットホルダ91は記録ユニット70を支持している。
【0106】
記録ユニットホルダ91の一端は、リニアモータ92に接続されている。記録ユニットホルダ91に支持された記録ユニット70は、リニアモータ92による主走査方向の直線的な駆動動作によって、主走査方向の任意の位置に移動及び位置決めされる。
【0107】
リニアモータ92による記録ユニット70の主走査方向における移動の向き及び移動量は、記録ユニット移動制御部53によって制御される。
【0108】
続いて、図5Aおよび図5Bを参照して、本実施形態におけるマルチパス記録について説明する。
【0109】
図5Aおよび図5Bは、本実施形態の画像記録装置1におけるマルチパス記録処理の一例を示す図である。
【0110】
なお、図5Aおよび図5Bでは、説明の簡単のために、ノズル列72が主走査方向に1列に揃えられた長尺の記録ヘッドからなるラインヘッドが図示されている。しかしながら、図3を参照して述べたような、例えば隣り合う二つの記録ユニット70に搭載された複数の短尺記録ヘッド71のノズル列72を組合せることによって、記録媒体40の主走査方向の幅全体にわたる1色分のラインヘッドを構成してもよい。
【0111】
記録媒体40がドラム11に吸着されてからドラム11が1回転するまでの間に、記録媒体40は、記録ユニット70に備えられたノズル73から吐出されるインクを受けるドラム11上の位置(記録位置)に搬送され、そこで、図5A示すように1パス目の記録処理が行われる。1パス目の記録処理では、ノズル73の間隔がdであるノズル列72より吐出されるインク滴74のドットが記録媒体40に記録される。
【0112】
画像記録装置1が複数の記録ユニット70を備える場合には、記録媒体40がドラム11に吸着されて後ドラム11が1回転するまでの間に、他の記録ユニット70からも同様に記録処理が行われて、1パス目の記録処理が完了する。例えば、図2を参照して述べた例においては、4色分の記録ユニット70の組からの記録処理が完了すると、1パス目の記録処理は終了する。
【0113】
続いて、ドラム11は記録媒体40を吸着したまま2回転目(2パス目)に入り、記録媒体40は再び記録ユニット70のノズル73からのインクの吐出を受ける記録位置に搬送される。
【0114】
ここで、記録ユニット70が記録媒体40への1パス目の記録を終了した後から、2パス目に入り再びその記録ユニット70による記録位置に記録媒体40が搬送される前までの間に、記録ユニット移動制御部53は、記録ユニット移動機構90を駆動し、それによって、記録ユニット70をノズル間隔dの半分であるd/2の距離だけ主走査方向に移動させる。
【0115】
そのため、2パス目において記録ユニット70は、図5Bに示すように、1パス目に吐出されたインク滴74aの間にインク滴74bが吐出することになる。このようにして、ノズル列72のノズル間隔dの2倍の解像度で記録処理を行うことができる。
【0116】
ここで、例えば、ノズル間隔dが300dpi相当の間隔(≒85μm)で配置されているとすると、2パスのマルチパス記録を行うことによって、主走査方向に600dpi(≒42μm)の解像度の記録画像を記録することが可能となる。
【0117】
同様に、1つの記録媒体40の1表面当たりに実行する記録処理の回数(マルチパス記録におけるパスの数)をn回(nは2以上の任意の整数)とすると、1回あたりの主走査方向の移動量をノズル間隔d/nとすることで、ノズル間隔dのn倍の解像度で記録処理を実行することが可能である。
【0118】
続いて、本実施形態に係る画像記録装置1のマルチパス記録における記録ユニット70の移動タイミングについて説明する。
【0119】
画像記録装置1が複数の記録ユニット70を備えている場合、各記録ユニットは搬送方向(副走査方向)に異なる位置に取り付けられている。そのため、複数の記録ユニットでマルチパス方式の記録処理を実行する際に、各パスの合間に実行される記録ユニット70の主走査方向の移動は、記録ユニット70毎に独立に行われる。
【0120】
例えば、図3に示されるような、主走査方向に6つの短尺記録ヘッドを用いて1つの色のラインヘッドが構成される場合を想定する。この6つの短尺記録ヘッドは、2列の記録ユニットに、主走査方向に向けて千鳥状(ジグザグ状)に3つずつ配置され、一方の記録ユニット70(記録ユニット70−1)には3個の記録ヘッド71‐1〜記録ヘッド71‐3が主走査方向に一列に並んでいる。また、それと主走査方向から見て互い違いとなる位置に、もう一方の記録ユニット70−2に含まれる3個の記録ヘッド71‐4〜記録ヘッド71‐6が主走査方向に一列に並ぶように配置されている。
【0121】
マルチパス記録に際しては、この3個の短尺を記録ヘッドで構成される記録ユニット単位で移動が制御される。そして、ドラム11の回転周期において、記録ユニット70から吐出されるインクが届くドラム11上の記録位置に記録媒体40が存在しない区間中に記録ユニット70の移動を実行するように、記録ユニット移動制御部53による記録ユニット移動機構90の駆動のタイミングが制御されている。
【0122】
図6A及び図6Bは、本実施形態に係るマルチパス記録における記録ユニット70の移動タイミングを示している。
【0123】
図6A及び図6Bには、ドラム11、搬送情報生成部12、2つの記録ユニット70(記録ユニット70‐1及び記録ユニット70‐2)、2つの記録媒体40(記録媒体40‐1及び記録媒体40‐2)が示されている。
【0124】
図6Aにおいて、2つの記録媒体40(記録媒体40‐1及び記録媒体40‐2)は、ドラム11上に間隔L1の隙間を空けて吸着固定されている。そして、記録ユニット移動制御部53による記録ユニット70‐1の主走査方向の移動は、ドラム11の回転周期において、記録ユニット70‐1のノズル先端に対向する記録位置に、それら2つの記録媒体40の間にある間隔L1が来たときに行われる。
【0125】
また、図6Bは、記録ユニット70‐2のノズル73による記録位置を間隔L1が通過している状態を表し、記録ユニット移動制御部53による記録ユニット70‐2の主走査方向の移動は、記録ユニット70‐2のノズルの先端に対向するドラム上の位置を間隔L1が通過している区間中に行われる。
【0126】
このような記録ユニット70の主走査方向の移動のタイミングや、その他にも記録ユニット70による記録媒体40への記録処理の実行のタイミングは、記録媒体検出部15からの出力信号と、搬送情報生成部12から出力される搬送情報とに基づいて決定される。
【0127】
記録媒体検出部15によって検出されるドラム11上の位置(以降、検出位置とも称する)から、個々の記録ユニット70による記録が実行される記録位置に到達するまでの搬送距離は、搬送情報生成部12から出力される搬送情報の数として、予め画像記録装置1の記憶部57に記憶されている。
【0128】
搬送情報とは、一実施形態においては、ドラム11が所定の角度を回転する毎に搬送情報生成部12が生成するパルスである。従って、この搬送情報が出力された回数をカウントすることで、制御部50は、例えば、ドラム11上の記録媒体40の搬送距離を取得することができる。
【0129】
搬送情報生成部12が搬送情報を出力する間隔は、例えば、記録媒体40に記録されるインク滴74の副走査方向の解像度に合わせて決定してもよい。例えば、搬送情報生成部12が搬送情報を出力する間隔を、ドラム11上の記録媒体40が600dpi(≒42μm)の距離を搬送される毎に発生するように設定する。このように所定の解像度に対応する長さに設定した搬送情報生成部12からのパルスの出力間隔に合わせて、記録ユニット70からの画像記録を実行することで、記録媒体40に記録されたインク滴74の副走査方向の解像度を決定してもよい。
【0130】
そして、記録ユニット移動制御部53は、例えば、記録媒体検出部15により記録媒体40の間隔L1が検出されているタイミングから数えて、搬送情報生成部12から出力される搬送情報のカウント数が、予め記憶部57に記憶されている記録媒体検出部15の検出位置から個々の記録ユニット70の記録位置までの搬送に必要な搬送情報の数に達したタイミングで、記録ユニット移動機構90を制御し、それによって、個々の記録ユニット70の記録位置に間隔L1が来たタイミングでの記録ユニット70の移動を実行する。
【0131】
以上の様にして、ドラム11上の間隔L1が、個々の記録ユニット70の記録位置を通過するタイミングを見積もり、その見積もったタイミングで複数の記録ユニット70のそれぞれが記録ユニット移動機構90により、順次、主走査方向に所定の距離だけ移動させる。
【0132】
以下、上述したような構成を用いて本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。
【0133】
まず、図7、図8、図9、及び図10を参照して、本発明に係る第1の実施形態を説明する。
【0134】
画像記録装置1が画像の記録処理を行うためには、記録ユニット70が記録媒体40にインクを吐出するタイミングを決定する必要がある。そのため、制御部50は、ドラム11の外周面上での記録媒体40が固定された位置を特定する必要がある。
【0135】
記録媒体40がドラム11の外周面上の定められた位置に固定される場合には、制御部50は、例えばフォトマイクロセンサ等のセンサを用いてドラム11の原点となる回転位置を検出し、更に搬送情報生成部12から搬送情報をカウントすることで、ドラム11自体の回転角度を取得することができる。そして、ドラム11自体の回転角度に基づいて、ドラム11上の定められた位置に固定された記録媒体40の位置も特定することが可能である。
【0136】
しかしながら、例えば上述したような静電吸着方式で記録媒体40がドラム11の外周面上へと固定される場合、記録媒体40が固定される位置は、給送部20からの記録媒体40の給送のタイミング等によってドラム11上の様々な位置に固定されることになる。そのため、制御部50は上述のようなドラム11自体の回転角度を検出するセンサを備えていたとしても、ドラム11の外周面上の多様な位置に固定された記録媒体40が位置を特定することはできない。
【0137】
そのため、本発明の実施形態に係る画像記録装置1は、例えば、光学式反射センサなどのドラム11と、ドラム11上に固定された記録媒体40とを識別できる記録媒体検出部15を備えている。
【0138】
記録媒体検出部15が光学反射式のセンサである場合、記録媒体40とドラム11面上との反射率の差が大きくなるように、使用する記録媒体40の色等に合わせてドラム11の外周面の色を選択する。
【0139】
例えば、記録媒体40が白色であった場合には、記録媒体40は高い反射率を有する。そのため、ドラム11の表面には、黒色系の色で表面を処理して反射率が低くなるように構成する。また逆に、記録媒体40が黒色であった場合には、記録媒体40は低い反射率を有する。そのため、ドラム11の表面には、白色系の色で表面を処理して反射率が高くなるように構成する。
【0140】
この様に、記録媒体40が有する反射率に応じて、その反射率とドラム11の外周面が有する反射率との差が大きくなるようにドラム11の表面を加工することで、記録媒体検出部15により検出されている表面が記録媒体40の表面であるか又はドラム11の表面であるかを検出値の差から判定することが可能になる。
【0141】
この判定は、例えば、記録に使用される記録媒体40が有する反射の検出値の平均的な値が、ドラム11の外周面が有する反射の検出値の平均的な値よりも高い値を有する場合を仮定すると、次のようにして行われてもよい。
【0142】
まず、光学反射式センサにより検出されている表面が記録媒体40であるか、又はドラム11であるかを判定するための閾値の値が設定される。例えば、記録媒体40を記録媒体検出部15で検出したときの反射検出値の平均的な値と、ドラム11の外周面を記録媒体検出部15で検出したときの反射検出値の平均的な値との間にある値が閾値として設定される。
【0143】
そして、記録媒体検出部15は、設定した閾値の値と、検出している反射検出値の値とを比較する。検出している反射検出値の値が閾値よりも高い場合、記録媒体検出部15は記録媒体40を検出していると考えられる。一方、検出している反射検出値の値が閾値よりも低い場合、記録媒体検出部15はドラム11を検出していると考えられる。
【0144】
そして、本実施形態においては、記録媒体検出部15は、検出結果を閾値と比較した結果、閾値よりも高い場合には“1”を出力し、また、閾値よりも低い場合には“0”を出力するというように検出結果を2値化して制御部50(例えば、記録処理制御部52及び記録媒体端部位置特定部55)に出力する。
【0145】
記録媒体端部位置特定部55は、この“0”と“1”に2値化された記録媒体検出部15の出力を用いて、記録媒体40の表面と、ドラム11の表面とを識別する判定を実行する。また、記録処理制御部52は、この記録媒体検出部15の出力値を記憶部57に記憶する。
【0146】
本実施形態においては説明の簡便のために、記録媒体40が有する反射検出値の平均的な値は、ドラム11の外周面が有する反射検出値の平均的な値よりも高い値を有する場合の例にとり説明を行う。従って、記録媒体検出部15の検出値が所定の閾値以上であれば記録媒体検出部15は記録媒体40の表面を検出していることを表し、閾値以下であればドラム11の表面を検出していることを表す。また、記録媒体検出部15は、検出値を閾値と比較して、閾値よりも高い場合には“1”を、閾値よりも低い場合には“0”を出力するように、検出値の判定結果を2値化して制御部50(例えば、記録処理制御部52及び記録媒体端部位置特定部55)に出力する。
【0147】
しかしながら、これらは理解を助けるためのただの例示であって、本発明に係る実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、記録媒体40の反射率は記録媒体40の種類によって様々であり、また上述したようにドラム11の表面の加工等も、使用される記録媒体40の種類によって、記録媒体40との反射率の差が際立つように選択することができる。そのため、定めた閾値の値以下であれば記録媒体40の表面を検出していることを表し、定めた閾値の値以上であればドラム11の表面を検出していることを表すこともあり得ることに留意されたい。
【0148】
また、検出値を判定して2値化する処理は、制御部50(例えば、記録処理制御部52及び記録媒体端部位置特定部55)が行ってもよい。或いは、2値化する処理は必ずしも行なわれなくてもよい。検出値を判定して2値化する処理を制御部50が行う場合には、記録媒体検出部15は、検出値をそのまま制御部50へと出力し、制御部50が記録媒体検出部15から受信した出力値を閾値の値と比較することで、閾値の値よりも高い場合には“1”と、閾値の値よりも低い場合には“0”と判定し、記憶部57に格納する。
【0149】
図7は、マルチパス方式を用いる画像記録装置1において記録媒体40に画像を記録する際に、記録媒体検出部15が制御部50(例えば、記録処理制御部52及び記録媒体端部位置特定部55)へと出力する信号(図7の上段)と、マルチパス記録のパス毎に記録が実行されて変化する記録媒体40の表面の状態(図7の下段)とを表している。
【0150】
マルチパス方式での記録において、1パス目の記録媒体検出部15による記録媒体40の検出時には、記録媒体40上には何も記録されていない。そのため、記録媒体検出部15が記録媒体40の表面を検出している間の読み取り値は安定して設定された閾値以上の値をとる。
【0151】
従って、図7に示されるように記録媒体検出部15が記録媒体40を検出している間は、記録媒体検出部15からは安定して“1”が出力される。また、記録媒体検出部15がドラム11の表面を検出している間は設定された閾値以下の値をとるため、記録媒体端部位置特定部55に“0”が出力される。
【0152】
従って、記録媒体端部位置特定部55は、記録媒体40の先端が搬送経路上の記録媒体検出部15による検出位置を通過するタイミングを、受信した記録媒体検出部15からの出力が“0”から“1”へと変化する立ち上がりエッジより特定することができる。
【0153】
同様に、記録媒体端部位置特定部55は、記録媒体40の後端が搬送経路上の記録媒体検出部15による検出位置を通過するタイミングを、記録媒体検出部15からの出力が“1”から“0”へと変化する立ち下がりエッジより特定することができる。
【0154】
以上のようにして、ドラム11上での記録媒体40の先端及び後端のエッジ位置を特定することで、画像記録装置1は、記録媒体40に記録処理を行うタイミングを決定することができる。
【0155】
ところで、記録媒体40には、1パス目で記録媒体検出部15の出力により記録媒体40の先端及び後端の位置を特定した後に、画像記録部60により画像の記録処理が実行される。
【0156】
そのため、2パス目以降で記録媒体検出部15が再び記録媒体40を検出する際には、記録媒体40に記録処理によるインクが付着している。
【0157】
インクが付着した部分の記録媒体40の反射率は、記録媒体40自体が有する反射率とは異なる可能性があり、例えば、記録媒体40の記録処理が黒色のインクなどのドラム11と同じように光の反射率が低い性質のインクを用いて行われている場合には、記録媒体検出部15はまだ記録媒体40を検出している最中であるのにもかかわらず、記録媒体40の表面に付着したインクに起因してドラム11の表面と近い反射率になり、その結果、出力信号が“0”に立ち下ってしまう可能性がある。
【0158】
この2パス目以降の状態を具体的に説明する。記録媒体40が記録媒体検出部15の検出位置に到達する前までは、記録媒体検出部15はドラム面を検出している。従って、記録媒体検出部15の出力信号は“0”である。
【0159】
続いて、記録媒体40が記録媒体検出部15の検出位置に到達すると、記録媒体検出部15は記録媒体40の先端部分を検出して記録媒体検出部15の出力信号は“0”から“1”へと変化する。更に記録媒体40の搬送が進み、記録媒体検出部15の検出位置に記録媒体40上の画像が記録された部分が到達すると、記録媒体検出部15の出力信号は記録媒体40に付着したインクに起因して、場合によっては“0”に変化してしまう可能性がある。
【0160】
更に搬送が進み、再び画像記録がされていない領域が記録媒体検出部15の検出位置に到達すると、記録媒体検出部15の出力信号は記録媒体40の反射率の値を示し出力信号は再び“1”へと立ち上がることになる。
【0161】
以降、このようにして記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するまで、記録媒体40上に記録された画像の内容に応じて、反射の検出値のレベルは変化し続け、記録媒体検出部15の出力信号は“0”と、“1”との間を繰り返し変化する可能性がある。
【0162】
従って、1パス目で行ったように、記録媒体検出部15をモニタし続けて、その出力信号が“0”から“1”へと変化する立ち上がりエッジを記録媒体40の先端と、或いは、出力信号“1”から“0”へと変化する立ち下がりエッジを記録媒体40の後端というように特定しようとしても、そのような立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジが記録媒体40を検出している間に複数存在する可能性あるため、記録媒体40の先端及び後端位置を特定することができない。
【0163】
そこで、本発明に係る一実施形態では、1パス目においては上述したように記録媒体検出部15の出力信号を用いてドラム11上での記録媒体40のエッジ位置を検出し、それに基づいて記録処理のタイミングを決定するが、2パス目移行では以下に述べるようにして記録処理のタイミングを決定している。
【0164】
図8は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置1の記録媒体検出部15による出力信号に基づいた、記録処理制御部52による記録処理のタイミングを指示するためのトリガ信号(以降、記録処理トリガ信号と記載する)の通知のタイミングを説明する図である。
【0165】
図8の上段には、図7と同様に、記録媒体検出部15から出力される出力信号が示されている。
【0166】
図8の中段には、1パス目の記録媒体検出部15の出力の“0”から“1”への立ち上がりエッジに基づいて記録媒体40の先端を検出したタイミングで開始する、搬送情報生成部12から出力される搬送情報のカウントのカウント数が示されている。
【0167】
図8の下段には、記録処理制御部52が画像記録部60に記録処理を指示するトリガ信号を出力するタイミングと、トリガ信号を受信した画像記録部60が記録処理を行っている期間とが示されている。
【0168】
図8の上段については、図7と同様であり、記録処理の1パス目では記録媒体検出部15の出力信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジから、記録媒体検出部15による検出位置を記録媒体40が通過している期間を明確に読み取ることができる。しかしながら、2パス目以降では各パス毎に行われる記録処理に起因して記録媒体検出部15の出力に影響を及ぼしていることが分る。
【0169】
記録媒体端部位置特定部55は、図8に示されるように、記録媒体40に何も記録されていない1パス目の記録媒体検出部15の良好な出力の立ち上がりエッジを検出して、ドラム11上に固定された記録媒体40の先端位置(C0)と特定し、記録処理制御部52は、その特定したタイミング(C0)から遅延期間Dを待った後に記録処理トリガ信号を画像記録部60に出力する。この遅延期間Dについては後述する。
【0170】
記録媒体端部位置特定部55が記録媒体40の先端位置を特定すると、計数部56は、搬送情報生成部12から出力される搬送情報のカウントを開始する。記録媒体端部位置特定部55は、次の記録媒体検出部15からの出力の立ち下がりエッジを記録媒体40の後端位置(C1)として特定し、記録処理制御部52は、その検出タイミング(C1)から遅延期間Dを待った後に画像記録部60への記録処理トリガ信号の出力を停止する。
【0171】
また、記録媒体端部位置特定部55は、その記録媒体40の後端位置を特定した時点での搬送情報のカウント数C1を記録媒体40のドラム11上での後端位置として記憶部57に記憶する。なお、搬送情報のカウントは記録媒体40の先端位置を特定した時に開始しているため、ここで得られたカウント数C1は記録媒体40の搬送方向の長さLに対応している。
【0172】
以上のようにして、画像記録装置1の記録媒体端部位置特定部55は、記録処理の1パス目において、ドラム11上に固定された記録媒体40の位置を記録媒体検出部15の出力信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジに基づいて特定する。そして、記録処理制御部52はそれに基づいて記録処理の実行のタイミングを決定する。また、記録媒体端部位置特定部55は1パス目の記録媒体検出部15の出力信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジから、ドラム11上に固定された記録媒体40の長さLを取得することができる。
【0173】
続いて、2パス目以降の記録処理制御部52による画像記録処理を指示するトリガ信号の出力タイミングの決定について説明する。
【0174】
2パス目以降では、上述したように記録媒体40には記録処理が実行されているため、記録媒体検出部15の出力信号は記録媒体40に実施された記録処理の内容に起因して変化してしまう可能性がある。そのため、記録処理制御部52は、2パス目の記録処理トリガ信号の出力タイミングの決定に、記録媒体検出部15の出力を使用せず、搬送情報生成部12が出力する搬送情報のカウント数を用いる。
【0175】
1パス目において、記録媒体検出部15の検出位置を記録媒体40の先端が通過するタイミングC0が特定されている。
【0176】
また、ドラム11が一回転する間に搬送情報生成部12から出力される搬送情報の数Rは既知の値であり、このRの値は記憶部57に記憶されている。記録処理制御部52は記憶部57を参照することでRの値を取得する。
【0177】
C0のタイミングから搬送情報生成部12の出力する搬送情報をカウントした場合、2パス目の記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するタイミングは、カウント数がドラム11が1回転するのに必要な搬送情報数Rに到達したときである。
【0178】
そのため、記録処理の2パス目において、記録処理制御部52は、計数部56の搬送情報のカウント数を監視し、カウント数がドラム1周分の搬送情報の数Rと一致した時に記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置にあると判定し、そのタイミングから遅延期間Dを待った後に画像記録部60に記録処理トリガ信号の出力を開始する。
【0179】
同様にして、1パス目で記録媒体40の長さLは搬送情報の数C1として特定されているので、記録処理制御部52は計数部56の搬送情報のカウント数を監視し、カウント数がR+C1個と一致した時に記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置にあると判定し、そのタイミングから遅延期間Dを待った後に画像記録部60への記録処理トリガ信号の出力を停止する。
【0180】
以降同様にして、記録処理制御部52はNパス目(Nは1以上の整数)の記録処理で記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置に到達するタイミングTnを、
Tn=R×N
として取得し、また、
Nパス目の記録処理で記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置に到達するタイミングBnを、
Bn=(R×N)+C1
として取得する。
【0181】
このように、本実施形態に係る画像記録装置1は、記録処理を実行するタイミングを、1パス目では記録媒体検出部15の出力信号より特定したドラム11上の記録媒体40の固定位置に基づいて決定するが、2パス目以降では記録媒体検出部15の出力には基づかずに、1パス目で決定した記録媒体40の固定位置の情報と搬送情報生成部12から出力される搬送情報のカウント数に基づいて決定する。そのため、記録処理制御部52は、各パス毎に記録媒体40に実施される記録処理の影響を受けずに記録処理のタイミングを決定することができる。
【0182】
しかしながら、ドラム11上へ記録媒体40の固定が静電吸着方式を用いて行われる場合、記録媒体40の先端及び後端はドラム11に機械的に固定されているわけではなく静電気によって吸着固定されているため、仮に1パス目でドラム11上の或る位置に吸着されていたからといって、2パス目以降においても同じ位置に保持されていることが完全に保証されているわけではない。
【0183】
そして、上述した2パス目以降の画像の記録タイミングは、記録媒体検出部15の検出信号により決定されるのではなく、1パス目で記録媒体検出部15の出力により記録媒体40の先端位置として特定したタイミングC0にドラム1周分の搬送情報の数を加算することで決定されている。これは換言すると、2パス目以降では実際の記録媒体40の有無とは無関係に記録タイミングが決定されるということである。
【0184】
記録媒体40が、記録処理の期間中にドラム11上で大きな位置のズレを起こしていたり、或いはドラム11から剥がれていたりした場合に、その状態を検出することが出来ないと記録処理を停止することが出来ず、そのまま剥がれた記録媒体40が画像記録部60のヘッドに衝突してしまったり、或いは、記録媒体40ではなくドラム面に対して画像の記録処理を実行してしまうおそれがある。
【0185】
これらは、ヘッドの破損や、ドラム面の汚れ、静電吸着力の低下を引き起こす。
【0186】
そのため、2パス目以降においても、ドラム11上の記録媒体40の位置を確認する必要がある。
【0187】
本発明の第1の実施形態では、2パス目以降においても記録媒体検出部15の出力を用いて記録媒体40の端部(先端及び/又は後端)の位置を検出することで、記録媒体40に剥がれ及びズレが生じていないことを確認する。
【0188】
図9及び図10は、本発明の第1の実施形態に係る2パス目以降の記録媒体40の先端を検出する方法を説明する図である。
【0189】
図9に示されるように、第1の実施形態においては、2パス目以降においても記録媒体40の端部を記録媒体検出部15からの出力信号により検出することができるように、記録媒体40の搬送方向の先端及び後端に、インクの吐出が行なわれない所定の長さを有する余白領域を設けている。
【0190】
余白領域の設定は、本実施形態においては画像記録装置1の記録データ制御部51及び記録処理制御部52によって行われる。例えば、記録データ制御部51は上位装置から受信したジョブ情報に含まれる画像記録情報に基づいて画像データを、記録媒体40の先端及び後端に所定の長さの余白領域を設けても記録ができるようなサイズに変換し、また、記録処理制御部52は搬送情報生成部12から出力される搬送情報と、1パス目で特定した記録媒体40の先端及び後端の位置の情報に基づいて、画像記録部60からのインクの吐出のタイミングを記録媒体40の先端及び後端に所定のサイズの余白領域が形成されるように制御する。以上のようにして、記録媒体40の先端及び後端に余白領域を形成する。
【0191】
また、本実施形態では、2パス目以降で記録媒体40の先端及び後端を検出する処理を実行する範囲を表すウィンドウ区間が設けられている。
【0192】
ドラム11上に吸着された記録媒体は、例えば、その材質により、周辺の温度と湿度により、又は記録媒体上に吐出されたインクによる膨潤で伸縮する可能性がある。また、例えば、記録媒体に吐出されたインクの乾燥を促すために、ドラムを加温する加温器が備えられている場合には、加温器による加温で記録媒体40が収縮する可能性がある。
【0193】
記録媒体40の伸縮は、用紙の後端部の余白領域及び用紙先端部の余白領域のような微少な領域で見ると僅かな量の伸縮でしかないが、記憶媒体の全体で見るとある程度の伸縮が起きており、その結果、ドラム11上に固定された記録媒体40の先端及び後端の位置が僅かに変化する可能性がある。そのため、本実実施形態においては、記録媒体40が伸縮する可能性を見込んで、或る程度の幅でウィンドウ区間が設けられている。
【0194】
上述したように、記録媒体40の先端がNパス目に記録媒体検出部15の検出位置に到達する搬送情報のカウント数は、C0から数えてR×Nパルス目(搬送情報のカウント数がRの倍数になるとき)である。
【0195】
本実施形態では、このカウント数(R×N)パルス目の前後に、所定の幅を有する先端検出ウィンドウ区間を設けている。例えば、Nパス目の先端検出ウィンドウ区間の開始となる搬送情報のカウント数を、図9に示すように(R×N)−W1に設定する。また、Nパス目の先端検出ウィンドウ区間の終了となる搬送情報のカウント数を(R×N)+W2に設定する。
【0196】
先端検出ウィンドウ区間を用いた2パス目以降の用紙先端を検出する方法を、図10を使って説明する。
【0197】
記録処理制御部52は、搬送情報のカウント数が先端検出ウィンドウ区間の開始タイミング(R×N)−W1パルス目に到達すると、記録媒体検出部15からの出力の記憶部57への記憶を開始する。この記憶処理は所定の周期で行われ、記録媒体検出部15から順次出力される“0”又は“1”値が配列(出力配列)として記憶部57に記憶されることになる。本実施形態においては、搬送情報生成部12からの搬送情報の出力周期と同じ周期で、記録媒体検出部15の出力信号の記憶部57への記憶を実行するが、異なる周期で記憶を実行してもよい。
【0198】
記録処理制御部52は、記憶部57に記憶した記録媒体検出部15からの出力配列と、記憶部57に記憶された所定の先端識別パターンとの比較を行う。
【0199】
この先端識別パターンは、記録媒体40の先端を検出するために使用されるものであり、記録媒体検出部15がドラム11面を検出している状態から記録媒体40の表面を検出している状態へ移行するときに出力すると予想される配列を表すものである。
【0200】
上述したように記録媒体検出部15がドラム11面を検出しているときは、反射率が低いため閾値以下となり出力結果は“0”が続く。記録媒体検出部15が記録媒体40の表面を検出している状態へと移行すると、反射率が高いため閾値以上となり出力結果は“1”へと移行する。そのため、先端識別パターンには、“0”の連続から“1”の連続へと移行する配列が利用される。
【0201】
図10では、先端識別パターンの一例として、先頭から“0”が7つ、その後“1”が3つ続く“0000000111”の10個の数字からなるパターンが示されている。記録処理制御部52は、この先端識別パターンと、記憶部57に記憶した記録媒体検出部15からの出力配列とを比較することで、記録媒体40の先端を検出する。
【0202】
前述したように、記録処理制御部52は搬送情報のカウント数が(R×N)−W1に達すると、記録媒体検出部15からの出力を記憶部57に記憶し始める。そして、記憶部57に記憶された記録媒体検出部15からの出力の配列の長さが先端識別パターンの長さ(ここでは、10個)と等しくなると、その出力配列の10個の情報が先端識別パターンと完全に一致するか否かの判定を行う(図10の(a))。
【0203】
一致しない場合、出力配列の10個の情報のうち一番先頭の情報(即ち、最も古くに記録媒体検出部15から取得された情報)を破棄し、また、一番後ろ(即ち、最も最近に記録媒体検出部15から取得された情報の後ろ)に次の記録媒体検出部15からの出力を追加し、新たな10個の情報として記憶部57に記憶する。この新たな10個の情報を用いて先端識別パターンと一致するか否かを再び判断する図10(b)。
【0204】
このようにして、搬送情報のカウント数が(R×N)−W1に到達して以降に記録媒体検出部15より出力された信号を、先端検出ウィンドウ区間の先頭から順に10個ずつ記憶媒体識別パターンと比較して、先端検出ウィンドウ区間内で記憶媒体識別パターンと一致するパターンが有るか否かを判定する。
【0205】
図10の(b),(c)では、記憶部57に記憶した10個の情報が先端識別パターンと一致しないため、10個の情報のうち一番先頭の情報を破棄し、一番後ろに次の記録媒体検出部15の出力を追加して新たな10個の情報を記憶部57に記憶する。
【0206】
図10の(d)に示されるように、記憶部57に記憶された10個の情報が先端識別パターンと一致する場合、記録処理制御部52は記録媒体の先端を検出したものと判定する。先端検出ウィンドウ区間内で記録媒体40の先端を検出できた場合には、記録媒体40はドラム11上から剥がれておらず、ドラム11上の先端検出ウィンドウ区間内に存在するため、記録処理制御部52は記録処理を続行する。
【0207】
一方、先端検出ウィンドウ区間が終了するまでの間に、先端識別パターンと一致するパターンが無かった場合には、記録処理制御部52はドラム11上の記録媒体40がドラムから剥がれた又はズレたものと判断し、画像記録処理を停止する。
【0208】
以上の例では、記録媒体40の先端の検出について述べた。しかしながら、記録媒体40の先端が検出され画像記録を続行したものの、その後にドラム11から記録媒体40が剥がれてしまう可能性もある。そのため、上述した記録媒体40の先端検出と同様にして、記録媒体40の後端の検出を行なってもよい。
【0209】
記録媒体40の後端の検出を行う場合には、記録媒体40の後端に余白領域を設ける。また、1パス目で特定した記録媒体の後端位置のカウント数C1を用いて、Nパス目に記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するタイミング(R×N)+C1の前後に後端検出ウィンドウ区間を設ける。
【0210】
記録媒体40の後端を検出するためのNパス目の後端検出ウィンドウ区間の開始となる搬送情報のカウント数に(R×N)+C1−W3を設定する。また、後端検出ウィンドウ区間の終了となる搬送情報のカウント数に(R×N)+C1+W4を設定する。
【0211】
記録媒体40の後端を検出するために用いられる後端識別パターンは、先端を検出するために用いた先端識別パターンとは異なり、記録媒体40の後端を検出するために使用されるものであり、記録媒体検出部15が記録媒体40の表面を検出している状態からドラム11面を検出している状態へ移行するときに出力すると予想される配列を表すものである。
【0212】
本実施形態においては、記録媒体検出部15が記録媒体40の表面を検出しているときは、反射率が高いため閾値以上となり出力結果は“1”が続く。記録媒体検出部15がドラム11面を検出している状態へと移行すると、反射率が低いため閾値以下となり出力結果は“0”へと移行する。そのため、後端識別パターンには“1”の連続から“0”の連続へと移行する配列を用いる。
【0213】
後端識別パターンは、例えば、先頭から“1”が3つ、その後“0”が7つ続く“1110000000”の10個の数字からなるパターンである。記録処理制御部52は、カウント数が(R×N)+C1−W3に到達すると、記録媒体検出部15からの出力を記憶部57に記憶し始める。そして、後端検出ウィンドウ区間の期間中に記憶部57に記憶される記録媒体検出部15からの出力の配列を先頭から順に後端識別パターンの配列の長さと同じ長さ(即ち、ここでは10個)だけ取り出して、後端識別パターンと比較し、後端検出ウィンドウ区間に後端識別パターンと一致するパターンがあるか否かを判定する。後端識別パターンと一致するパターンが見つかった場合、記録処理制御部52は記録媒体40の後端を検出したものと判定し、記録処理を続行する。
【0214】
また、後端検出ウィンドウ区間の間で記録媒体検出部15の出力配列に後端識別パターンと一致するパターンが無ければ、記録媒体40がドラムから剥がれた又はズレたものと考えられるため、記録処理制御部52は画像の記録処理を停止する。
【0215】
このように、記録媒体検出部15の出力に基づいて記録媒体40の先端が検出されていても、その後、後端の検出を行い、記録媒体検出部15の出力配列に後端識別パターンと一致するパターンが無ければ、画像の記録処理を停止する。
【0216】
従って、記録処理制御部52は、記録媒体40の先端及び後端がドラム11上から剥がれていないこと、又はズレていないことを確認したうえで記録処理を続行することができる。
【0217】
以上で述べたように、本発明の第1の実施形態によれば、マルチパス記録中の記録媒体40への記録の状態によらず、安価な反射式の検出方法を用いて所望の位置に精度良く記録を行なうことができると共に、記録媒体40がドラム11上に正しく吸着されていない場合はドラムへの誤印刷を防止できる。
【0218】
なお、ウィンドウ区間内で先端識別パターンを用いて記録媒体40の先端を検出する場合、記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置を通過すると見積もられる搬送情報数(R×N)を過ぎてからも先端識別パターンとの比較のために配列の取得が続けられるため、最長でウィンドウ区間が終了するまで(即ち、(R×N)+W2まで)記録処理トリガ信号の出力が遅延する可能性がある。
【0219】
そのため、本実施形態においては、この遅延が発生したとしても2パス目以降の記録処理制御部52からの記録処理トリガ信号出力タイミングが間に合うように、記録媒体検出部15と画像記録部60との間の距離を設定している。
【0220】
そして、この記録媒体検出部15と画像記録部60との間の距離に基づいて決まる、記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するタイミング(R×N)から、画像記録部60に記録処理を指示する記録処理トリガ信号を出力するタイミングまでの待ち期間が図8に示される遅延期間Dである。
【0221】
続いて、ウィンドウ区間の幅W1、W2、W3、及びW4の設定について説明する。先端検出ウィンドウの開始位置を定めるW1は、先端検出対象の記録媒体40の直前のドラム11の表面を検出できるように設けられたウィンドウ区間である。
【0222】
従って、W1の幅は最大で、記録媒体40の先端位置(R×N)から、ドラム11上で搬送方向とは逆方向にある最初の記録媒体40の後端まで設定することができる。
【0223】
具体的に言うと、ウィンドウ区間W1の開始位置は最大で、例えば、ドラム11上に2つ以上の記録媒体40が同時に固定されている場合には、ドラム11上で搬送方向に1つ前に固定されている記録媒体40の後端まで、また、ドラム11上に1つの記録媒体40のみが固定される場合は、その記録媒体40自体の後端まで設定することができる。
【0224】
しかしながら、上述したように記録媒体40は、湿度や温度の影響等で記録媒体40が伸縮し得るため、1つ前の記録媒体40(或いはその記録媒体40自体)が伸縮する可能性も考慮する必要がある。従って、実際にはウィンドウ区間のW1の開始位置は最大でも、1つ前の記録媒体40の後端位置までよりも、少し小さく設定される。
【0225】
一方、W1の幅は、先端識別パターンのうちドラム11の表面を表している先頭の“0”の数(図10では7つ)以上の大きさに設定する必要がある。また、実際には記録媒体40の伸縮も考慮する必要があるため、先頭の“0”の数よりも少し大きめに設定する。
【0226】
また、W1の幅はあまり長く設けると誤検知を起こす可能性もあるため、好ましくは、先端識別パターンのうちドラム11の表面を表している先頭の“0”の数と、記録媒体40の伸縮とを考慮して適度な長さに設定する。
【0227】
先端検出ウィンドウの終了位置を定めるW2は、記録媒体40の先端の余白領域を検出するために設けられたウィンドウ区間である。従って、W2の幅は最大では検出対象の記録媒体40の長さLだけ取ることができるが、記録媒体40の記録処理が実行される領域で記録媒体検出部15の出力を取得しても記録媒体40の先端の検出にはあまり有効ではない。そのため、W2の幅は先端の余白領域の幅に設定するか、或いは、記録媒体40が伸縮する可能性を考慮して余白領域の幅より少し大きめに設定する。
【0228】
一方、W2の幅は、先端識別パターンのうち記録媒体40の表面を表している後部の“1”の数(図10では3つ)以上の大きさに設定する必要があり、また、実際には記録媒体40の伸縮も考慮する必要があるため、先頭にある“1”の数よりも少し大きめに設定する。
【0229】
同様に、後端検出ウィンドウの開始位置を定めるW3は、後端検出対象の記録媒体40の後端の余白領域を検出するために設けられたウィンドウ区間であるため、最大では検出対象の記録媒体40の長さLだけ取ることができるが、記録媒体40の記録処理が実行される領域で記録媒体検出部15の出力を取得しても記録媒体40の後端の検出にはあまり有効ではない。そのため、いくつかの実施形態では、後端の余白領域の幅に設定するか、或いは、記録媒体40が伸縮する可能性を考慮して余白領域の幅より少し大きめに設定する。
【0230】
一方、W3は、後端識別パターンのうち記録媒体40の表面を表している先頭の“1”の数(上述した例では3つ)以上の大きさに設定する必要があり、また、実際には記録媒体40の伸縮も考慮する必要があるため、先頭にある“1”の数よりも少し大きめに設定する。
【0231】
後端検出ウィンドウの終了位置を定めるW4は、後端検出対象の記録媒体40の直後のドラム11の表面を検出できるように設けられたウィンドウ区間である。
【0232】
従って、W4の幅は最大では、記録媒体40の後端位置(R×N)+C1から、ドラム11上で後続する最初にある記録媒体40の先端までとることができる。
【0233】
具体的に言うと、例えば、ドラム11上に2つの記録媒体40が同時に固定されている場合には、ドラム11上で搬送方向に1つ後ろに固定されている記録媒体40の先端までであり、ドラム11上に1つの記録媒体40のみが固定される場合は、その記録媒体40自体の先端までW4の範囲を設定することができる。
【0234】
しかしながら、上述したように記録媒体40は、湿度や温度の影響等で記録媒体40が伸縮し得るため、1つ前の記録媒体(或いはその記録媒体40自体)が伸縮する可能性も考慮する必要がある。従って、実際にはウィンドウ区間W4の終了位置は最大でも1つ後ろの記録媒体40の先端位置までよりも、少し小さく設定する。
【0235】
一方、W4は、後端識別パターンのうちドラム11の表面を表している後部の“0”の数(上述した例では7つ)以上の大きさに設定する必要があり、また、実際には記録媒体40の伸縮も考慮する必要があるため、後部の“0”の数よりも少し大きめに設定する。
【0236】
また、W4の幅をあまり長く設けると誤検知を起こす可能性もあるため、好ましくは、後端識別パターンのうちドラム11の表面を表している後部の“0”の数と、記録媒体40の伸縮とを考慮して適度な長さに設定する。
【0237】
続いて、先端識別パターン及び後端識別パターンの設定について説明する。
【0238】
先端識別パターンは、ドラム11の表面から記録媒体40の表面への移行する変化点を検出するための配列であり、最小でも“01”の2つの配列で構成される。また、当然の事ながら、配列中の“0”の長さ、及び“1”の長さ共にある程度の長さをとったほうが、ドラム11の表面から記録媒体40の表面への移行する変化点の検出の信頼性は高くなる。
【0239】
また、先端識別パターンの先頭側にあるドラム11の表面を検出するための“0”の長さはW1以下の長さに設定する必要があり、一方、先端識別パターンの後部の記録媒体40の表面を検出するための“1”の長さは先端の余白領域の長さ以下に設定する必要がある。
【0240】
後端識別パターンは、記録媒体40の表面からドラム11の表面への移行する変化点を検出するための配列であり、最小でも“10”の2つの配列で構成される。また、当然の事ながら、配列中の“1”の長さ、及び“0”の長さ共にある程度の長さをとったほうが、記録媒体40の表面からドラム11の表面への移行する変化点の検出の信頼性は高くなる。
【0241】
また、後端識別パターンの先頭側にある記録媒体40の表面を検出するための“1”の長さは後端の余白領域の長さ以下に設定する必要があり、一方、後端識別パターンの後部のドラム11の表面を検出するための“0”の長さはW4以下の長さに設定する必要がある。
【0242】
続いて先端及び後端の余白領域の長さの設定について説明する。
【0243】
先端の余白領域の長さは、記録媒体検出部15が余白領域を検出している最中に少なくとも1つの記録媒体検出部15の出力が記憶部57に記憶されるように、設定される。換言すると、記録処理制御部52が記録媒体検出部15からの出力を記憶部57に記憶する1周期の間にドラム11の回転で進む搬送距離の長さ以上の長さを余白領域は有する。
【0244】
このような長さであれば余白領域の長さは、任意の長さに設定することができる。しかしながら、記録媒体40の先端及び後端を信頼性高く検出するためには、余白領域はある程度の長さに設定する必要がある。また、一方で、余白領域に設定した領域には記録処理が実行されなくなるため、あまり大きくとり過ぎると記録媒体40に記録された画像の見栄えに影響してしまい好ましくは無い状況も存在する。例えば、これらのことを考慮して、余白領域の長さを設定する。
【0245】
以上のように設定した、ウィンドウ区間の幅、識別パターン、余白領域の長さ用いて、本発明の第1の実施形態に係る処理を実行することで、ドラム11上の記録媒体40の剥がれ等を検知することが可能である。この様に設定したウィンドウ区間の幅を用いることで、ドラム11上に記録媒体40がある場合には、その先端或いは後端をできるだけ確実に検出して記録処理を続行し、検出できなかった場合には記録媒体40がドラム11から剥がれている、或いはズレていると判断して記録処理を停止することでドラム11の表面にインクを吐出することを防止することができる。
【0246】
しかしながら、ウィンドウ区間W1〜W4の幅はより狭い幅に設定してもよい。記録媒体40の位置が各パス毎にある程度以上の大きさで搬送方向にズレてしまうと(例えば、搬送方向の解像度の数ドット分)、図5Bに示されるように隣り合うはずのインク滴74aと、インク滴74bとの位置が搬送方向にズレてしまう結果となる。
【0247】
そして、この搬送方向のズレが大きくなると、記録される画像の画質には許容できない影響を及ぼしてしまう可能性がある。そのため、搬送方向の解像度も考慮して、記録される画像の画質に許容できない悪影響がでてしまう場合には記録処理を停止するような大きさに先端及び後端のウィンドウ区間W1〜W4の幅を設定してもよい。
【0248】
例えば、そのような場合、ウィンドウ区間W1〜W4(特にW1及びW4)の幅に関しては、記録処理に必要となる画質に依存して、搬送方向の解像度の数ドット分等の長さに、記録媒体40の伸縮を考慮した長さを加えた幅に設定してもよい。
【0249】
このように設定したウィンドウ区間を用いることで、記録媒体40が剥がれ等を引き起こしておらず、ドラム11上に固定されている状態であっても、記録媒体40のズレにより、記録処理の結果形成される画像に許容できない画質の劣化が生じるような場合には、記録処理を停止することができる。そのため、無駄なインクの消費等が防止される。
【0250】
なお、上述したウィンドウ区間W1〜W4の幅の設定は、本発明に係るウィンドウ区間の幅の設定のほんの一例であって、本発明に係るウィンドウ区間の幅はこれらに限定されるものではなく、その他の幅に設定されてもよいことに留意されたい。
【0251】
次に、本発明に係る第2の実施形態を図11から図13を参照して説明する。第2の実施形態では、ドラム11面上に吸着固定された複数枚の記録媒体40の先端及び/又は後端が検出される。以下では2枚の記録媒体40がドラム11の外周面上に吸着固定されて搬送される場合を例にとり説明を行う。
【0252】
本実施形態では、給送部20より給送された奇数番目の記録媒体40がドラム11上に吸着した後、偶数番目の記録媒体40が給送されドラム11上に吸着する。奇数番目の記録媒体40の給送タイミングと、偶数番目の記録媒体40の給送タイミングとの間には、ドラム11上でこれら2つの記録媒体40が重なる位置に固定されてしまわないように、所定の間隔の待ち時間を設けている。この様にして、ドラム11は2つの記録媒体を同時に保持する。
【0253】
また、記録媒体40の端部の検出に利用するために、搬送方向における記録媒体40の先端及び/又は後端には、図12に示されるようにインクの吐出が行なわれない所定量の大きさの余白領域を設けている。そして、余白領域を用いてドラム11上に固定された2つの記録媒体40を記録媒体検出部15によって検出する。
【0254】
図11は、基本的には第1の実施形態の図8と対応しているが、図11ではドラム11上に固定された2つの記録媒体40についての情報を取得している。記録媒体端部位置特定部55は、第1の実施形態と同様に、1パス目において、奇数番目の記録媒体40及び偶数番目の記録媒体40の先端及び後端を記録媒体検出部15からの出力に基づいて特定する。
【0255】
1パス目では記録媒体40には何も記録が行われていないため、記録媒体検出部15がドラム11の表面を検出している状態から、1番目(奇数番目)の記録媒体40を検出している状態へと移行する際に記録媒体検出部15の出力信号は“0”から“1”へと良好な立ち上がりを見せる。記録媒体端部位置特定部55は、この立ち上がりエッジを1番目の記録媒体40の先端位置として特定する。記録媒体端部位置特定部55は、記録媒体40の先端位置を特定したタイミングC0を記憶部57に記憶する。また、この1番目の記録媒体40の先端位置を特定すると同時に計数部56は搬送情報のカウントを開始する。
【0256】
記録媒体端部位置特定部55は、続く記録媒体検出部15の出力の“1”から“0”へ変化する立ち下がりエッジを1番目の記録媒体40の後端位置として特定し、その時の搬送情報のカウント数C1を記録媒体40の後端位置として記憶部57に記憶する。また、記録媒体40の長さL1は搬送情報のカウント数C1と対応しているためC1を記録媒体40の長さとして記憶部57に記憶する。
【0257】
記録媒体検出部15の出力に基づいて、記録媒体40の先端及び後端の両方が特定できた場合、1番目の記録媒体40がドラム11上に無事に固定されているとことになるため、記録処理制御部52はC0のタイミングから上述の遅延期間Dを待ったタイミングで画像記録部60に記録処理トリガ信号を出力する。
【0258】
1番目(奇数番目)の記録媒体40の先端位置及び後端位置の検出に続いて、2番目(偶数番目)の記録媒体40の先端位置及び後端位置の検出を行う。2番目(偶数版目)の記録媒体40の先端位置は、C0のタイミング以降で再び記録媒体検出部15の出力が“0”から“1”へと変化する立ち上がりエッジとして特定できる。
【0259】
2番目の記録媒体40にも未だ何も記録が行われていないため、記録媒体検出部15の出力によって、ドラム11の表面から記録媒体40の表面へと移行する際の“0”から“1”への立ち上がりエッジを良好に特定することが可能である。
【0260】
記録媒体端部位置特定部55は、このC0後に訪れる2回目の立ち上がりエッジを2番目の記録媒体40の先端位置として特定し、この立ち上がりエッジのタイミングにおける搬送情報のカウント数C2を記憶部57に記憶する。
【0261】
また、記録媒体端部位置特定部55は、C1後に訪れる2回目の“1”から“0”へと変化する立ち下がりエッジを2番目の記録媒体40の後端位置として特定し、この立ち下がりエッジのタイミングにおける搬送情報のカウント数C3を記憶部57に記憶する。
【0262】
以上で述べたように、ドラム11上に複数の記録媒体が同時に保持される場合には、ドラム11に保持された全ての記録媒体40の先端位置は、1パス目における記録媒体検出部15の出力が“0”から“1”に立ち上がる点を連続して取得することで、それぞれの記録媒体40の先端位置を特定することが可能である。
【0263】
同様に、ドラム11に保持された全ての記録媒体40の後端位置に関しても、1パス目における記録媒体検出部15の出力が“1”から“0”へと立ち下がる点を連続して取得することで、それぞれの記録媒体40の後端位置を特定することが可能である。
【0264】
しかしながら、実施形態によっては、例えば、1番目の記録媒体40と、2番目の記録媒体40とが、ドラム11の1回転目で1番目の記録媒体40が固定され、2回転目で2番目の記録媒体40が固定されるというように、ドラム11の回転周期の異なる周期でドラム11上に固定される場合があり得る。
【0265】
そのような場合、2番目の記録媒体40の給送時には、既にドラム上に保持されている1番目の記録媒体40についての先端位置C0及び後端位置C1、並びに1番目の記録媒体40の長さL1(即ち、C1と等しい)が特定されている。そのため、記録媒体検出部15が1番目の記録媒体40を検出していると予想される搬送情報のカウント数(R×N)から(R×N)+C1の区間では、記録媒体検出部15の出力結果をマスクし、ドラム11上のそれ以外の区間(即ち、(R×N)+C1からR×(N+1))において2番目の記録媒体の1パス目の先端及び後端位置の特定を行うように構成してもよい。
【0266】
このように構成することで、2番目の記録媒体40に関係する記録媒体検出部15の出力のみを参照できるため、記録媒体端部位置特定部55は、2番目の記録媒体40の先端位置を1パス目の記録媒体40に何も記録されていない状態で、記録媒体検出部15の出力が“0”から“1”へと変化する立ち上がりエッジとして良好に特定することができる。記録媒体端部位置特定部55はこの“0”から“1”への変化点を2番目の記録媒体40の先端位置として特定したタイミングC2を記憶部57に記録する。
【0267】
また、同様にして、記録媒体端部位置特定部55は、2番目の記録媒体40の後端位置も1パス目の記録媒体検出部15の出力が“1”から“0”へと変化する立ち下がりエッジとして良好に特定することができる。記録媒体端部位置特定部55はこの“1”から“0”への変化点を2番目の記録媒体40の後端位置として特定したタイミングC3を記憶部57に記録する。
【0268】
以上で述べたような、マスク処理を実行することで、ドラム11上に3つ以上の記録媒体40がドラム11の異なる回転周期で固定される場合においても、既にドラム11上に保持されている記録媒体40の先端位置から後端位置までの区間をマスクすることで、新たに給送されドラム11上に保持された記録媒体40の先端位置及び後端位置を特定することが可能である。
【0269】
記録処理制御部52は、2番目の記録媒体40の先端位置を特定したタイミングC2から遅延期間Dを待った後に、2番目の記録媒体40の記録処理を指示する記録処理トリガ信号を画像記録部60に通知する。
【0270】
また、記録媒体端部位置特定部55は、2番目の記録媒体40の長さL2を、取得した搬送情報のカウント数C3及びC2を用いて、C3−C2を演算することにより特定して記憶部57に記憶する。
【0271】
続いて、本実施形態に係る2パス目以降での記録処理トリガ信号の出力のタイミングの決定について述べる。2パス目以降では、記録処理制御部52は、記録処理トリガ信号の出力のタイミング決定に、記録処理制御部52は、搬送情報生成部12から出力される搬送情報を利用する。
【0272】
例えば、1パス目で1番目の記録媒体40の先端位置と特定したC0のタイミングより計数部56が搬送情報のカウントを開始し、カウント数がドラム1周分の搬送情報のカウント数Rと一致した時に、記録処理制御部52は、2パス目における1番目の記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置にあると見積もることができる。
【0273】
従って、搬送情報のカウント数がRに達してから上述した遅延期間Dを待った後に、記録処理制御部52は、1番目の記録媒体40に対する2パス目の記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力を開始する。
【0274】
更に、1パス目で取得した記録媒体40の長さL1を搬送情報の数C1として取得しているため、記録処理制御部52は計数部56の搬送情報のカウント数を監視し、搬送情報のカウント数がR+C1に達した時に、2パス目における1番目の記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置にあると見積もることができる。
【0275】
従って、記録処理制御部52は、搬送情報のカウント数が(R×N)+C1に達してから上述した遅延期間Dを待った後に、1番目の記録媒体40に対する2パス目の記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力を停止する。
【0276】
以降同様にして、Nパス目の1番目の記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するタイミングを表す搬送情報のカウント数T1は、
T1=(R×N) …(パルス)
と見積もることができ、そこから遅延期間Dを待った後に、記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力が開始する。
【0277】
また、Nパス目の記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するタイミングを表す搬送情報のカウント数B1
B1=(R×N)+C1 …(パルス)
と見積もることができ、そこから遅延期間Dを待った後に、記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力が停止する。
【0278】
1番目の記録媒体40に対する全ての画像記録処理が終了すると、ドラム11上から剥離部13を介して1番目の記録媒体40を剥がし、回収部30へと収納する。
【0279】
ドラム11に固定された2番目の記録媒体40に対する記録処理に関しても、1パス目で1番目の記録媒体40の先端位置として特定したC0のタイミングより計数部56が搬送情報のカウントを開始し、記録処理制御部52は、ドラム1周分の搬送情報のカウント数Rに2番目の記録媒体40の先端位置のカウント数C2を加えたR+C2にカウント数が到達した時に、2パス目における2番目の記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置にあると見積もることができる。
【0280】
従って、搬送情報のカウント数がR+C2に達してから上述した遅延期間Dを待った後に、記録処理制御部52は、2番目の記録媒体40に対する2パス目の記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力を開始する。
【0281】
また、2番目の記録媒体40の長さL2は1パス目で取得されている。そのため、記録処理制御部52は搬送情報のカウント数がR+C2+(C3−C2)に達した時に、2パス目における1番目の記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置にあると見積もることができる。
【0282】
従って、搬送情報のカウント数がR+C2+(C3−C2)に達してから上述した遅延期間Dを待った後に、記録処理制御部52は、2番目の記録媒体40に対する2パス目の記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力を停止する。
【0283】
以降同様にして、Nパス目の2番目の記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するタイミングを表す搬送情報のカウント数T2は、
T2=(R×N)+C2 …(パルス)
と見積もることができ、そこから遅延期間Dを待った後に、記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力が開始する。
【0284】
また、Nパス目の2番目の記録媒体40の後端が記録媒体検出部15の検出位置を通過するタイミングを表す搬送情報のカウント数B2
B2=C2+(R×N)+(C3−C2)=(R×N)+C3 …(パルス)
と見積もることができ、そこから遅延期間Dを待った後に、記録処理を指示する記録処理トリガ信号の画像記録部60への出力が停止する。
【0285】
2番目の記録媒体40に対する全ての画像記録処理が終了(図11においては4パス目で終了する)したら、2番目の記録媒体40は、ドラム11上から剥離部13を介して剥がされ回収部30へと収納される。この際に、計数部56はC0からカウントし始めた搬送情報のカウントを停止してもよい。その場合には、次の記録媒体40(ここでは、3番目の記録媒体40)をドラム11上に給送して1パス目で先端位置を特定した際に、カウントを開始して、その後は1番目の記録媒体と同様の処理を実行するように構成してもよい。また、記憶部57に記憶したC1〜C3、L1、及びL2の情報等も記録処理の終了後には記憶部から消去してもよい。なお、以降の例では計数部56はC0からカウントし始めた搬送情報のカウントを停止しないものとして説明を行う。
【0286】
続いて、3番目の記録媒体40のドラム11への固定について説明する。本実施形態において、3番目の記録媒体40の給送は、1番目の記録媒体40がドラム11から剥がされ、2番目の記録媒体40がドラム11上に保持され画像記録されている最中に行われる。
【0287】
2番目の記録媒体40の先端位置及び後端位置は既にC2及びC3として特定されている。そのため、この2番目の記録媒体40の先端位置及び後端位置C2及びC3に基づいて、ドラム11上にある2番目の記録媒体40と重ならないタイミングで3番目の記録媒体40をドラム11上に給送することができる。
【0288】
新たにドラム11に固定された3番目の記録媒体40のドラム11上での先端位置及び後端位置は、未だ特定されておらず、記録処理のタイミングを決定するために3番目の記録媒体40の先端位置及び後端位置を特定する必要がある。
【0289】
2番目の記録媒体は未だドラム11上に保持されているため、2番目の記録媒体を3番目の記録媒体の先端及び後端の位置の特定において誤検出してしまわないように、3番目の検出処理において、T2からB2の区間をマスクする。
【0290】
これにより、記録媒体端部位置特定部55は3番目の給紙時の記録媒体40の先端位置の搬送情報値C4を記録媒体検出部15の出力が“0”から“1”へと移行する変化点として、及び後端位置の搬送情報値C5を記録媒体検出部15の出力が“1”から“0”へと移行する変化点として良好に特定することが可能である。
【0291】
以降、新たに給送された記録媒体に対しても同様の処理を行うことで記録媒体に記録処理を実行する記録処理タイミングを決定することができる。
【0292】
奇数番目の記録媒体40の先端を検出するための先端検出ウィンドウ区間の範囲の設定、及び、偶数番目の記録媒体40の後端を検出するための後端検出ウィンドウ区間の範囲の設定に関しては、第1の実施形態と同様にして設定する。しかしながら、本実施形態においては、奇数番目の記録媒体40の後端と、偶数番目の記録媒体40の先端との検出に用いるウィンドウ区間には、これらの端部を同時に検出するために1つのウィンドウ区間を設定する。
【0293】
図12及び図13は、第2の実施形態に係る複数の記録媒体40がドラム11上に固定される場合において、ドラム11上に連続して固定された2つの記録媒体40のうち、先行する記録媒体40の後端と、後続の記録媒体40の先端とを同時に1つの識別パターンを用いて検出する例を説明する図である。
【0294】
図12は図9と類似した図であるが、ドラム11上に記録媒体40が2つ固定されている点で図9と異なっている。図12において、左側の記録媒体は奇数番目の記録媒体40であり、上述のように、その先端はT1で表されるタイミングで記録媒体検出部15の検出位置を通過し、後端はB1で表されるタイミングで記録媒体検出部15の検出位置を通過する。
【0295】
一方、右側の記録媒体40は、偶数番目の記録媒体40であり、上述のように、その先端はT2で表されるタイミングで記録媒体検出部15の検出位置を通過し、後端はB2で表されるタイミングで記録媒体検出部15の検出位置を通過する。
【0296】
本実施形態においては、奇数番目の記録媒体40の後端と偶数番目の記録媒体40の先端とが図12に示されるように1つのウィンドウ区間で同時に検出する例を説明する。
【0297】
ウィンドウ区間の範囲は、ウィンドウ区間の開始位置で、奇数番目の記録媒体40の後端が検出できるように、記録媒体40の後端位置B1から上述の第1の実施形態で述べたW3を差し引いた位置(B1−W3)に設定する。また、終了位置は、奇数番目の記録媒体40の先端が検出できるように、偶数番目の記録媒体40の先端位置T2に上述の第1の実施形態で述べたW2を加算した位置(T2+W2)に設定する。
【0298】
(B1‐W3)から(T2+W2)の範囲のウィンドウ区間における、2パス目以降の奇数番目の記録媒体40の後端と偶数番目の記録媒体40の先端を検出する処理について、図13を使って説明する。
【0299】
記録処理制御部52は、2パス目以降でウィンドウ区間の開始タイミングに到達すると、所定の周期(本実施例では、搬送情報生成部12から出力される搬送情報の周期と同じ周期とする)で記録媒体検出部15からの出力を記憶部57に記憶し始める。
【0300】
記憶部57に比較の対象となる媒体間識別パターンと同じ数のデータが蓄積したときに(図13に示されるように、本実施形態においては、媒体間識別パターンは10個の数字からなり、“1100000111”である)、蓄積した情報が媒体間識別パターンと一致するか否かを判定する(図13(a))。
【0301】
一致しない場合、10個の情報のうち先頭の情報を1つ破棄し、後端に次の記録媒体検出部15の出力を追加することで新たな10個の情報を作成して記憶部57に記憶し、再度10個の情報が媒体間識別パターンと一致するかを判断する。
【0302】
図13(b)、及び図13(c)では、10個の情報が媒体間識別パターンと一致しないため、10個の情報のうち先頭の情報を1つ破棄し、後端に次の記録媒体検出部15の出力を追加して新たな10個の情報を作成し、記憶部57に記憶する。再度10個の情報が媒体間識別パターンと一致するかを判定し、10個の情報が媒体間識別パターンと一致する場合(図13の(d))、奇数番目の記録媒体40の後端と、偶数番目の記録媒体40の先端との両方を検出したものと判定する。
【0303】
以上のようにして、2つの記録媒体40の先端及び後端が検出されると、記録処理制御部52は、記録媒体40がドラム11上に固定されていると判定し、遅延Dを待った後に、記録処理トリガ信号を出力して記録処理を続行する。
【0304】
記録媒体40の先端及び後端の検出処理を実行した結果、ウィンドウ区間内で媒体間識別パターンに一致するパターンが記録媒体検出部15の出力配列から取得できない場合には、記録媒体40がドラム11上から剥がれた、又はズレてしまったと判定し、記録処理制御部52は記録処理を停止する。
【0305】
従って、剥がれやズレに起因してドラム11上の記録媒体40の無い部分にインクを吐出してしまい、ドラム11の外周面を汚染してしまうことが防止できる。
【0306】
なお、ここで述べた例では、ドラム11上で連続して保持された2つの記録媒体40において、先行する記録媒体40の後端と後続の記録媒体40の先端とを同時に1つの識別パターンを用いて検出する例を述べた。この様に構成することで、先行する記録媒体40の後端と後続の記録媒体40の先端とを個別に検出する場合と比較して同時に処理することができるため、処理を簡略化することができる。そして、この利点はドラム11上に固定される記録媒体40の数が増えるにつれて増大する。
【0307】
しかしながら、先にも述べたように、ドラム11上に吸着された記録媒体40は、例えば、記録媒体40の材質、周辺の温度と湿度により、吐出されたインクにより、又は、記録媒体に吐出されたインクの乾燥を促すために備えられた加温器による加温により、伸縮する可能性がある。
【0308】
そして、このような記録媒体40の伸縮により、先行する記録媒体40の後端と、後続の記録媒体40の先端との間の距離が変動してしまうような場合には、1つの識別パターンで先行する記録媒体40の後端と、後続の記録媒体40の先端を同時に検出することは出来なくなる。
【0309】
従って、記録媒体40の伸縮が生じると予想されるような場合には、2パス目以降に行われる記録媒体40の先端及び後端位置の検出は、第1の実施形態で述べたように、個々の記録媒体40の端部毎に個別に行う。
【0310】
なお、上記の例では、奇数番目の記録媒体40の後端と、偶数番目の記録媒体40の先端とを同時に検出する例を述べたが、これらはほんの一例であり、本発明に係る実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、偶数番目の記録媒体40の後端と奇数番目の記録媒体40の先端とを同時に検出する場合にも適用可能である。
【0311】
更には、上述した実施形態は、ドラム11上に、例えば5つの記録媒体など、3つ以上の記録媒体が固定される場合においても適用が可能であることに留意されたい。3以上の記録媒体が固定される場合においても、記録媒体40を新たにドラム11上に固定した際に、固定した記録媒体40の端部の位置を記録処理が実行されていない1パス目において特定する。
【0312】
また、ドラム11上に記録媒体40が固定されている状態で、別の記録媒体40を新たにドラム11に給送するような場合においても、既に固定されている記録媒体40の先端位置と後端位置は特定済みであるため、既に固定されている記録媒体40の先端位置と後端位置との間の区間で記録媒体検出部15の出力をマスクすることが可能である。
【0313】
ドラム11上に既に固定されている記録媒体40の先端位置と後端位置の間の区間で記録媒体検出部15の出力をマスクするため、新たにドラム11上に給送固定した記録媒体40の先端位置及び後端位置を、記録処理が実行されていない1パス目の記録媒体検出部15の出力結果から特定することが可能である。
【0314】
従って、ドラム11上に3以上の記録媒体40が固定される場合においても、ドラム11上に固定された全ての記録媒体40の先端及び後端位置を記録媒体端部位置特定部55は特定することができる。
【0315】
この様にして、特定したドラム11上での個々の記録媒体40の先端及び後端位置に対して、第1及び第2の実施形態で述べたようなウィンドウ区間を設定することが可能である。従って、上述した全ての実施形態は、1以上の記録媒体40をドラム11上に保持する画像記録装置1に適用することが可能である。
【0316】
以上により複数毎の記録媒体40をドラム11面上に吸着する場合においてもドラム11上の記録媒体の固定位置の精度が良好でない方式において、マルチパス記録中の記録媒体40の印字状態によらず、安価な反射式の検出方法を用いて所望の位置に精度良く印字できるとともに、剥がれ及びズレなどで記録媒体の搬送状態が不適正と判断した場合には記録動作を停止することができる。
【0317】
続いて、図8〜図10を参照して説明した本発明の一実施形態に係る画像記録装置1の制御部50が実行する処理を図14のフロー図を用いて説明する。
【0318】
画像記録装置1が上位装置からジョブ情報を受信すると、本フローは開始する。
【0319】
画像記録装置1は上位装置からジョブ情報を受信すると、記録媒体端部位置特定部55は、記録媒体検出部15からの出力に基づいて、ドラム11に固定された記録媒体40の端部(先端及び/又は後端)の位置を特定する(ステップS1)。
【0320】
ステップS1において、記録媒体40の端部の位置を特定すると、計数部56は搬送情報生成部12から出力される搬送情報のカウントを開始する(ステップS2)。
【0321】
記録処理制御部52は、ステップ1の記録媒体40の端部を特定したタイミングから遅延期間Dを待った後に、画像記録部60に記録処理トリガ信号を出力し、それによって記録処理が実行される(ステップS3)。
【0322】
続いて、計数部56の搬送情報のカウント数がウィンドウ区間の開始タイミング(R×N)−W1に到達すると、記録処理制御部52は、記録媒体検出部15からの出力配列を、識別パターン(例えば、上述した先端識別パターン、後端識別パターン、及び媒体間識別パターン)と比較し、ウィンドウ区間内の出力配列に識別パターンと一致するパターンが有るか否かを判定する(ステップS4)。
【0323】
識別パターンと一致するパターンが無かった場合には、記録処理制御部52は記録媒体40がドラム11上から剥がれた或いはズレたと判断し、記録処理を停止し、本フローは終了する(ステップS4がNo)。
【0324】
識別パターンと一致するパターンがあった場合には、記録処理制御部52は記録媒体40がドラム11上に保持されていると判断し、記録処理を続行し(ステップS4がYes)、記録媒体40の先端が記録媒体検出部15の検出位置を通過する(R×N)のタイミングから遅延期間Dを待った後に、画像記録部60に記録処理トリガ信号を出力し、それによって2パス目以降の記録処理が実行される(ステップS5)。
【0325】
続いて、制御部50は、マルチパス記録の全てのパスの記録処理が完了したか否かを判定する(ステップS6)。
【0326】
マルチパス記録の全てのパスの記録処理が完了していない場合には(ステップS6がNo)、フローはステップS4へと戻り、再びドラム11上の記録媒体40が剥がれ、或いはズレを起こしていないかが判定される。
【0327】
マルチパス記録の全てのパスの記録処理が完了している場合には(ステップS6がYes)、制御部50は、剥離部13を介して記録媒体40をドラム11上から剥離し回収部30へと収納する等の処理を行い、本フローは終了する。
【0328】
上述した本発明に係るいくつかの実施形態においては、記録媒体検出部15の出力を用いて1パス目及び2パス目以降で、記録媒体40の先端と後端の両方を検出する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、先端又は後端の一方のみを検出するように構成することもできる。先端又は後端の一方のみを検出する場合にも、記録媒体40の有無を検出することができるため、有益であることが理解されよう。
【0329】
また、上述した本発明に係るいくつかの実施形態においては、記録媒体40の端部の位置C1〜C3を、最初に特定した記録媒体40の先端位置C0からの相対的な位置として特定する例を述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、計数部56は、記録媒体検出部15の出力から記録媒体40の端部の位置を特定すると個別の端部毎にカウントを開始するというように、全ての記録媒体40の端部に対応するカウント数を計数部56で保持するように構成してもよい。
【0330】
本発明に係るいくつかの実施形態によれば、ドラム11上での記録媒体の固定位置が定まっていない固定方式を用いて記録媒体40を固定した場合にも、マルチパス方式で記録処理中の記録媒体40の記録状態に影響されずに、安価な反射式の検出方式を用いて記録媒体のドラム11からの剥がれやズレを検出することができる。
【0331】
従って、剥がれやズレに起因してドラム11上の記録媒体40が無い部分にインクを吐出してしまい、ドラム11の外周面を汚染してしまうことを防止できる。
【0332】
なお、本発明は、上述の実施形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0333】
1 画像記録装置
2 上位装置
10 搬送機構
11 ドラム
12 搬送情報生成部
13 剥離部
14 搬送駆動部
15 記録媒体検出部
20 給送部
21 給送トレイ
22 給送駆動部
30 回収部
31 収納トレイ
32 排出駆動部
40 記録媒体
50 制御部
51 記録データ制御部
52 記録処理制御部
53 記録ユニット移動制御部
54 用紙搬送制御部
55 記録媒体端部位置特定部
56 計数部
57 記憶部
58 ヘッド移動制御テーブル
60 画像記録部
70 各記録ユニット
70 記録ユニット
71 記録ヘッド
72 ノズル列
73 ノズル
74 インク滴
80 ノズル列駆動部
90 記録ユニット移動機構
91 記録ユニットホルダ
92 リニアモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチパス方式で記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、
前記記録処理を実行する画像記録部と、
前記記録媒体を吸着保持しながら回転するドラムと、
前記ドラムが一定角度回転する毎に搬送情報を出力する搬送情報生成部であって、前記ドラムの1回転で所定数の搬送情報を出力する搬送情報生成部と、
前記ドラム上の表面の状態を検出して検出結果に基づいた出力信号を生成する記録媒体検出部と、
前記記録媒体検出部の前記出力信号に基づいて、前記ドラムに保持されている前記記録媒体の副走査方向の端部の位置を特定する記録媒体端部位置特定部と、
前記マルチパス方式の1パス目の記録処理において前記記録媒体検出部が前記記録媒体の前記端部の位置を特定したタイミングで前記搬送情報生成部から出力される前記搬送情報のカウントを開始する計数部と、
前記計数部のカウント数が前記所定数の倍数になるタイミングに基づいて決定されるウィンドウ区間において取得される前記記録媒体検出部の前記出力信号から前記記録媒体の前記端部の検出を実行し、前記記録媒体の前記端部が検出されなかった場合には、前記画像記録部による記録処理を停止させる記録処理制御部と、
を備える、画像記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体の前記端部には、記録処理において余白として残される余白領域が設定されている、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記ウィンドウ区間は、前記計数部による前記搬送情報のカウント数が前記所定数の倍数になるタイミングから前後に所定の範囲で設けられている、請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録処理制御部による前記記録媒体の前記端部の検出は、前記記録媒体検出部が前記ドラムを検出している状態と前記記録媒体を検出している状態との間を切り替わる際に出力する出力信号のパターンを表す識別パターンが、前記ウィンドウ区間内で前記記録媒体検出部が出力する前記出力信号の配列に存在するか否かを判定することで行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体検出部は、光学式反射センサである請求項1から4のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記記録媒体を帯電させる帯電ローラを更に備え、
前記ドラムによる前記記録媒体の吸着保持は静電吸着方式で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
記録媒体端部位置特定部が前記記録媒体の副走査方向の先端及び後端の位置を特定し、
前記画像記録装置は、前記ドラムに記録媒体を給送する給送部を更に備え、
前記給送部が、前記記録媒体が前記ドラムに吸着保持されている間に別の記録媒体を給装した場合に、前記記録媒体端部位置特定部は、1パス目で特定した前記記録媒体の搬送方向の前記先端から前記後端までの範囲においては前記記録媒体検出部から出力される前記出力信号をマスクして、前記別の記録媒体の副走査方向の端部の位置を特定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
記録媒体端部位置特定部は前記記録媒体の副走査方向の先端及び後端の少なくとも一方の位置を特定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
マルチパス方式で記録媒体に画像を記録し、前記記録媒体を保持して回転するドラムを備えた画像記録装置を制御する方法であって、
マルチパス方式の1パス目の記録処理において、前記ドラム上に保持された記録媒体の端部の位置を、前記ドラム上の表面の状態の検出結果に基づいて特定する特定ステップと、
前記記録媒体の前記端部の位置を特定したタイミングからドラムが一回転して再び同じ位置に戻るタイミングを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記ドラムが前記再び同じ位置に戻るタイミングに基づいて決定されるウィンドウ区間において、前記記録媒体の前記端部の検出を試み、前記記録媒体の前記端部が検出されなかった場合には、記録処理を停止する記録処理制御ステップと、
を含む、方法。

【図1】
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【図3】
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【図6A】
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【図6B】
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【図8】
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【図11】
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【図14】
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【図2】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−153054(P2012−153054A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15242(P2011−15242)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】