説明

画像記録装置

【課題】 複合機のフィニッシャの各ビンをそれぞれ個人用のメールBOXとするときに、IPv6によるグローバルIPアドレスを割り振ることで、メールBOXの指定がしやすいように利便性を高める。
【解決手段】 ・IPv6プロトコル準拠のネットワークI/Fを具備した画像形成装置、・IPv6プロトコル準拠のネットワークI/Fを具備し、前記画像形成装置に接続された、かつ前記画像形成装置経由でネットワークに接続された画像形成成果物排出部、・ネットワークから前記画像形成装置を経由して前記画像形成成果物排出部へ画像データが到達するとき、前記画像形成装置は前記画像データを変換して前記画像形成成果物排出部が扱うことのできる形式に変換して渡すことを特徴とする画像データ通信方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の排紙部を備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の排紙トレイを持った(1台または複数台の)複合機において、特定の1つの排紙トレイに対して出力を行う「メールBOX機能」を持つものがあった。
【特許文献1】特開平7−10363号公報(特願平6−88856)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来例ではオペレータは常にどの装置の排紙口であるかどうかといった物理的な位置に関する情報にしばられていたため、使い勝手が削がれていた。
【0004】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、複合機のフィニッシャの各ビンをそれぞれ個人用のメールBOXとするときに、IPv6によるグローバルIPアドレスを割り振ることで、メールBOXの指定がしやすいように利便性を高める画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明ではIPv6に則り、各排紙口にネットワーク上で一意なIPアドレスを割り振り、あたかも各々1つの排紙口を持った複合機が複数存在するかのように振舞うことで、使い勝手を向上させることができる。
【0006】
すなわち、本発明の技術内容は以下の構成を備えることにより前記課題を解決できた。
【0007】
(1)記録媒体に画像を記録する画像形成手段と、前記画像形成手段に接続され、前記画像形成手段からの出力画像記録媒体を載置する複数の排紙先手段と、前記画像形成手段および前記排紙先手段をIPv6ネットワークに接続するためのネットワーク接続手段を具備した画像記録手段であり、少なくとも前記複数の排紙先手段の全てが独立したIPアドレスを取得することを特徴とする画像記録装置。
【発明の効果】
【0008】
記録媒体に画像を記録する画像形成手段と、前記画像形成手段に接続され、前記画像形成手段からの出力画像記録媒体を載置する複数の排紙先手段と、前記画像形成手段および前記排紙先手段をIPv6ネットワークに接続するためのネットワーク接続手段を具備した画像記録手段であり、少なくとも前記複数の排紙先手段の全てが独立したIPアドレスを取得することを特徴とする画像記録装置により、前記IPアドレスを割り振られた全ての排紙先手段との通信が全て前記画像形成手段を経由して行われるものとし、
第1に行われる通信のうち、画像出力に関する通信については前記画像形成手段が代理通信を行い、出力画像記録媒体を通信結果として前記排紙先手段へ出力することを特徴とする画像記録装置であり、
第2には行われる排紙先手段との通信の全てを前記画像形成手段が代理通信を行い、出力画像記録媒体を通信結果として前記排紙先手段へ出力することをと特徴とする画像記録装置によって、
使用者の利便性を大きく向上させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例である画像形成装置100の構成を示す断面図である。
【0011】
画像形成装置100は、画像形成装置本体160と、デッキ150と、自動原稿給送装置(DF)180と、排紙処理装置190とを有する。
【0012】
画像形成装置本体160は、原稿載置台として使用されるプラテンガラス101と、スキャナ102と、原稿照明ランプ103と、走査ミラー104,105,106と、レンズ107と、イメージセンサ部108とを具備する。
【0013】
ここで、スキャナ102は、モータ(図示せず)によって駆動され、所定方向に往復走査する。
【0014】
原稿照明ランプ103は,原稿に照射する光を発するランプである。
【0015】
スキャナ102が走査するときに、上記原稿から反射した反射光が、走査ミラー104,105,106を介して、レンズ107を通過する。
【0016】
そして、レンズ107を通過した上記反射光によって、CCDセンサ(図示せず)に上記原稿の画像が結像される。
【0017】
なお、CCDセンサは、イメージセンサ部108内に設けられている。
【0018】
また、画像形成装置本体160は、画像形成部110を有する。
【0019】
そして、画像形成部110は、露光制御部109と、感光体ドラム111と、一次帯電器112と、現像器113と、前露光ランプ114と、クリーニング装置115と、転写帯電器116とによって構成されている。
【0020】
ここで、露光制御部109は、レーザ光発生部とポリゴンスキャナ等とによって構成されている。
【0021】
また、イメージセンサ部108で電気信号に変換された画像信号であって、所定の画像処理が施された画像信号に基づいて変調されたレーザ光119を、露光制御部109が発生する。
【0022】
そして、このレーザ光119が、感光体ドラム111に照射される。
【0023】
また、感光体ドラム111の周辺には、一次帯電器112と、現像器113と、転写帯電器116と、前露光ランプ114と、クリーニング装置115とが装備されている。
【0024】
感光体ドラム111は、モータ(図示せず)によって駆動され、矢印AR1の方向に回転し、一次帯電器112によって、所望の電位に帯電された後、露光制御部109が発するレーザ光119の照射を受ける。
【0025】
そして、感光体ドラム111上に静電潜像が形成される。
【0026】
感光体ドラム111上に形成された上記静電潜像は、現像器113によって現像され、トナー像として可視化される。
【0027】
また、画像形成装置本体160は、分離帯電器117と、転写ベルト134と、定着器135と、排紙フラッパ137と、右カセットデッキ121と、左カセットデッキ122と、上段カセットデッキ123と、下段カセットデッキ124とを有する。
【0028】
なお、カセットデッキ121,122,123,124には、画像形成部110が画像形成するときに用いる転写紙(記録紙)が格納されている。
【0029】
ここで、ピックアップローラ125と、給紙ローラ129と、レジストローラ133とによって、右カセットデッキ121から転写ベルト134に転写紙が給送される。
【0030】
また、ピックアップローラ126と、給紙ローラ130と、レジストローラ133とによって、左カセットデッキ122から転写ベルト134に転写紙が給送される。
【0031】
また、ピックアップローラ127と、給紙ローラ131と、レジストローラ133とによって、上段カセットデッキ123から転写ベルト134に転写紙が給送される。
【0032】
また,ピックアップローラ128と、給紙ローラ132と、レジストローラ133とによって、下段カセットデッキ124から転写ベルト134に転写紙が給送される。
【0033】
そして、転写ベルト134に給送された転写紙に,上記感光体ドラム111上で可視化されたトナー像が転写される。
【0034】
なお、上記トナー像の転写は、転写帯電器116を用いて行われる。
【0035】
上記トナー像を転写紙に転写した後、感光体ドラム111に残留している残留トナーを、クリーナ装置115が清掃し、また、感光体ドラム111の残留電荷を、前露光ランプ114が消去する。
【0036】
また、分離帯電器117が、上記トナー像転写後の転写紙を感光体ドラム111から分離し、この分離された転写紙が、転写ベルト134によって定着器135に送られ、定着器135で加圧と加熱とをすることによって、上記転写紙にトナーが定着する。
【0037】
そして、上記トナーが定着した転写紙(画像形成された記録紙)が、排出ローラ136によって、画像形成装置本体160の外に排出される。
【0038】
排紙フラッパ137は、上記トナーが定着された転写紙の排出先を、搬送パス138側または排出パス143側に切り替える。
【0039】
下搬送パス140は、排紙ローラ136が送出した転写紙を、反転パス139を介して、再給紙パス141に導く、また、反転パス139と下搬送パス140とを通過することによって、転写紙が裏返しになる。
【0040】
なお、左カセットデッキ122から、給紙ローラ130によって給紙される転写紙は再給紙パス141を通過し、画像形成部110に供給される。
【0041】
再給紙ローラ142は、転写紙を画像形成部110に再給紙するローラである。
【0042】
排紙フラッパ137の近傍に設けられている排出ローラ144は、排紙フラッパ137によって排出パス143側に排出された転写紙を、画像形成装置本体160の外に排出するローラである。
【0043】
転写紙の両面に画像を形成(両面複写)する場合、片面に画像が形成された転写紙を、排紙フラッパ137が搬送パス138に搬出し、この搬出された転写紙が、反転パス139、下搬送パス140を介して再給紙パス141に導かれる。
【0044】
すなわち、上記転写紙の後端が搬送パス138から全て抜け出し、上記転写紙の後端が反転ローラ145に噛む位置まで、反転ローラ145が、上記転写紙を反転パス139に引き込む。
【0045】
この後、反転ローラ145が逆転して、上記転写紙を搬送パス140に送り出すと、上記転写紙が再給紙パス141に導かれる。
【0046】
また、画像形成装置本体160から転写紙を反転して(裏返して)排出する場合、上記転写紙を、排紙フラッパ137が搬送パス138に搬出し、この搬出された転写紙の後端が搬送パス138に残る位置まで、反転ローラ145が、上記転写紙を反転パス139に引き込む。
【0047】
この後、反転ローラ145が逆転して、転写紙を排出ローラ144側に送り出す。
【0048】
デッキ150は、大量の枚数(たとえば4000枚)の転写紙を収納することができる。
【0049】
また、マルチ手差しトレイ154は、100枚の転写紙を収容することができる。
【0050】
また、デッキ150は、リフタ151と、ピックアップローラ152と、給紙ローラ153とを有する。
【0051】
デッキ150に設けられているリフタ151は、転写紙がピックアップローラ152に常に当接するように、転写紙の量に応じて上昇する。
【0052】
そして、ピックアップローラ152に当接している上記転写紙が、ピックアップローラ152と給紙ローラ153とによって画像形成装置本体160に送られる。
【0053】
排紙処理部190は、画像形成装置本体160から排出された転写紙を処理する装置である。
【0054】
また、排紙処理装置190は、用紙トレイ191と、排紙トレイ192,193,197と、処理トレイ194と、Z折り機195と、製本機196とを有する。
【0055】
ここで、処理トレイ194は、画像形成装置本体160から1枚ずつ排出される転写紙を積載して揃え、上記排出された転写紙が一部(一揃い)集まったときに、この集まった一部の転写紙束をステイプル止めし、排紙トレイ192、または、排紙トレイ193に排出する。
【0056】
排紙トレイ192,193は、モータ(図示せず)によって駆動され、処理トレイ194から排出される転写紙束を積載するために所定の位置に移動する。
【0057】
用紙トレイ191は、排出された転写紙の間に挿入する区切り紙を積載する用紙トレイであり、Z折り機195は、排出された転写紙をZ折りする装置である。
【0058】
また、製本機196は、排出された転写紙を、一部まとめてセンター折りし、ステイプル止めすることによって、製本する製本機であり、この製本された紙束が排出トレイ197に排出される。
【0059】
次に、画像形成装置100の制御回路について説明する。
【0060】
図2は,画像形成装置100の制御回路の構成を示すブロック図である。
【0061】
画像形成装置100の制御回路は、本体制御部200と、CCDセンサ201と、画像処理部202と、画像データセレクタ203と、レーザユニット204と、画像形成部110と、CPU間通信インタフェース(I/F)部206と、画像データ圧縮/伸長部207とを有する。
【0062】
ここで、本体制御部200は、画像形成装置本体160に設けられている画像読取り部と、画像形成部110等との駆動制御を行う。
【0063】
また、本体制御部200は、CPUと、このCPUに作業領域を提供するRAMと、上記CPUの制御プログラムを格納しているROMとによって構成されている。
【0064】
なお、上記ROMは、後述する各動作モードを実行するための制御プログラムと、画像形成装置100全体を制御する制御プログラムとを格納している。
【0065】
たとえば、上記ROMは、CCDセンサ201が読取った画像データを画像処理部202を用いて所定の画像データに変換する制御プログラムと、画像データセレクタ203が受け取った画像データをレーザユニット204、画像データ圧縮部207、画像メモリ208、ファンクション制御部209のうちのいずれかに送出するように切り換える制御プログラムとを格納している。
【0066】
また、上記ROMは、原稿給送装置制御部216を用いて原稿を給送する制御プログラムと、後処理装置制御部217に設定されている所定のモードを実行する制御プログラムと、画像データに対して所定の処理を施す制御プログラムと、画像データを大容量不揮発性メモリであるハードディスク(HD)201に記憶するボックス機能を、画像形成装置100が実行するように制御する制御プログラムとを格納している。
【0067】
ボックス機能の詳細については後述する。
【0068】
CCDセンサ201は、原稿台と、原稿照射部と、光学系等とによって構成されている画像読取り部に設けられ、上記が原稿照射部が照射する光のうちで、原稿から反射する光をとらえて光電変換し、この光電変換によって得られた画像データを出力する。
【0069】
画像処理部202は、CCDセンサ201が出力した画像データに対して、所定の画像処理を施す。
【0070】
なお、上記所定の画像処理は、操作部219を介して設定された画像処理モードに応じた処理である。
【0071】
画像データセレクタ203は、画像データバスを介して、レーザユニット204と、画像データ圧縮部207と、画像メモリ208と、ファンクション制御部209とに接続されており、本体制御部200から制御情報を受け取り、この受け取った制御情報に基づいて、画像データが流れる方向を決定する。
【0072】
レーザユニット204は、画像形成部110に設けられているドラム111に対して、レーザ露光を行うユニットである。
【0073】
画像形成部110は、上述のように、レーザ露光によってドラム111に形成された画像を記録紙に現像する。
【0074】
CPU間通信I/F部206は、本体制御部200とファンクション制御部209との間で、制御情報を送受信するインタフェースである。
【0075】
画像データ圧縮/伸長部207は、画像データセレクタ203から出力された画像データを、大容量不揮発性メモリであるハードディスク(HD)212に蓄積する際に、HD212における画像データの占有率を節約することを目的として、上記出力された画像データを圧縮する。
【0076】
また、画像データ圧縮/伸長部207は、圧縮されてHD212に格納されている画像データを、画像データセレクタへ転送する際に、圧縮前の元の画像データに伸長する。
【0077】
また、画像形成装置100の制御回路は、画像メモリ208と、ファンクション制御部209と、CPU間通信インタフェース(I/F)部210と、HD(ハードディスク)制御部211と、HD(ハードディスク)212と、スキャン画像変更部213と、プリント画像変換部214と、ネットワーク通信インタフェース(I/F)部215と、原稿給送装置制御部216と、後処理装置制御部217と、原稿読取り部218と、操作部219とを有する。
【0078】
ここで、画像メモリ208は、画像データセレクタ203が送出した画像データを一時的に格納するメモリである。
【0079】
上記格納された画像データは、必要に応じて画像データセレクタ203に送出される。
【0080】
なお、画像メモリ208は、揮発性メモリで構成されている。
【0081】
ファンクション制御部209は、本体制御部200との間で通信し、本体制御部200から受け取った画像データ制御情報を、スキャン画像変換部213と、プリント画像変換部214とへ送出する。
【0082】
なお、上記画像データ制御情報として、画像データセレクタ203が送出した画像データをスキャン画像変更部213へ送出すべき制御情報と、プリント画像変換部214が送出した画像データを、画像データセレクタ203へ送出すべき制御情報とが考えられる。
【0083】
また、プリント画像変換部214は、ネットワーク通信I/F部215からプリント画像データ受け取り、この受け取った画像データに所定の変換処理を施し、この変換処理された画像データを、画像データセレクタ203へ送出する。
【0084】
また、ファンクション制御部209は、操作部219を介して入力された制御情報であって、画像形成装置100全体を制御する制御情報を、CPU間通信I/F206を介して、本体制御部200へ送出する。
【0085】
CPU間通信I/F210は、HD212に記憶されている画像データに関する制御情報を、HD制御部211と本体制御部200との間で送受するインタフェースである。
【0086】
HD制御部211は、画像データ圧縮/伸長部207が送出した画像データをHD212が記憶するように、HD212を制御する。
【0087】
また、HD制御部211は、記憶されている画像データを読み出し、この読み出した画像データを画像データ圧縮/伸長部207へ送出するように、HD212を制御する。
【0088】
なお、HD制御部211がHD212を制御するために必要な制御情報は、CPU間通信I/F210を介して、本体制御部200から受け取る。
【0089】
また、HD212は、不揮発性メモリによって構成されている。
【0090】
スキャン画像変更部213は、画像データセレクタ203が送出した画像データを、PDL(Page Description Language)によって記述される画像データに変換し、この変換された画像データを、ネットワーク通信I/F215を介して接続されているホストコンピュータ(図示せず)に転送する。
【0091】
なお、上記ホストコンピュータは、PDLによって記述された画像データを処理することができる。
【0092】
また、スキャン画像変更部213は、上記ホストコンピュータから受け取ったPDLの画像データを、画像形成部110が印字出力できる形式の画像データに変更する。
【0093】
また、スキャン画像変更部213における上記変更処理は、本体制御部200の制御に基づいて行われる。
【0094】
原稿給送装置制御部216は、本体制御部200が送出した制御情報に基づいて、原稿給送装置180を制御し、後処理制御部217は、本体制御部200が送出した制御情報に基づいて、後処理装置190を制御する。
【0095】
原稿読取り制御部218は、本体制御部200が送出した制御情報に基づいて、光学ユニット駆動装置を制御する。
【0096】
なお、上記光学ユニット駆動装置が、光学ユニットを駆動する。
【0097】
また、上記光学ユニットは、原稿照射手段と、光学手段等とを具備し、これらの手段を用いて原稿を照射する。
【0098】
また、上記光学ユニットが駆動することによって、原稿に記録されている画像が、CCD201に結像される。
【0099】
操作部219は、画像形成装置100に情報を入力するときに、ユーザが使用する。
【0100】
また、操作部219を介して、画像形成装置100の動作状況がユーザに示される。
【0101】
なお、操作部219に設けられているキーを介して入力されたキー情報が、ファンクション制御部209に通知される。
【0102】
そして、ファンクション制御部209が、上記キー情報のコマンドを解析し、この解析されたコマンドを、CPU間I/F206を介して、本体制御部200に送出することによって、ユーザが入力した制御情報が、本体制御部200に通知される。
【0103】
なお、ボックス機能とは、ボックスという概念で抽象化されたハードディスク上の所定領域に、あたかも郵便の私書箱のように、画像データをまとめて保存することを可能とする機能である。
【0104】
ネットワーク通信I/F215は、画像形成装置100を、ネットワークに接続する。
【0105】
そして、IPv6通信規約(プロトコル)に基づいて、上記ネットワークに接続されている機器(たとえばコンピュータ)との間で、画像データや制御情報を送受する。
【0106】
IPv6での自動アドレス取得動作について説明する。
【0107】
IPv6では、本画像形成装置をIPv6ルータ(不図示)に接続すると、本画像形成装置(ネットワーク通信I/F)はルータに対して、ルータに割り振られているそのルータ固有の64bitの数値(プレフィックスとも呼ばれる)を要求する。このプレフィックスが送られてくると、本画像形成装置はインターフェースIDと呼ばれる64bitの数値を生成して、ルータから送られてきたプレフィックスに組み合わせて、合計128bitのIPアドレスを完成させる。次に完成したIPアドレスをLAN上に送信し、同じIPアドレスを使用している端末装置が無いかどうかを調べる。
【0108】
重複が無ければ、本画像形成装置のIPアドレスとして決定する。もし重複があれば、インタフェースIDの数値を変えて、再度重複の確認を行い、重複が無くなるまで繰り返し、IPアドレスを決定する。
【0109】
上記のアドレス取得シーケンスを図3に示した。
【0110】
図3のステップS101で本画像形成装置がIPv6ルータに接続されると次のような制御が行われる。
【0111】
ステップS102において制御部200は、ネットワーク通信I/F部からルータへのプレフィックスを要求するコマンドをルータに対して送信する。
【0112】
ステップS103でルータからプレフィックスを受け取ると、ステップS104で制御部はあらかじめ決められた64bitの数値をインタフェースインタフェースIDとして、受信したプレフィックスに付加してIPアドレスを生成する。
【0113】
IPアドレスを生成したら、ステップS105で、生成したアドレスをネットワークに送信し、そのルータの下に同じアドレスの端末があるかどうかを確認する。
【0114】
ステップS106で重複が確認されなければ、ステップS107に進み、この画像形成装置のIPアドレスとして決定する。
【0115】
制御部は1つ目のIPアドレスが決定したら、そのIPアドレスを画像形成装置本体用のIPアドレスとして認識する。
【0116】
1つ目のIPアドレスが決定すると、制御部200はステップS102に戻って、ネットワーク通信I/F部215を通じて再びルータに対してプレフィックス要求コマンドを送信して、同様にアドレス取得動作を繰り返す。ルータからプレフィックスが送られてくると、ステップS104では前回プレフィックスに付加した数値にプラス1した数値をプレフィックスに付加して、つまり前回取得したアドレスとは違う新しいアドレスを生成して、ステップS105でネットワーク上に送信する。
【0117】
そして前回と同様にステップS106でIPアドレスの重複が確認され、重複が無ければ2つ目のIPアドレスとして決定する。制御部200は2つ目のIPアドレスが決定すると、そのアドレスを排紙トレイ192のIPアドレスとして認識する。
【0118】
排紙トレイ193のIPアドレスも同様に決定される。
【0119】
上記例では、排紙トレイのIPアドレスも制御部200が取得し、与えるようにしたが、後処理装置制御部217が取得して、制御部200へ通知しても良い。
【0120】
また排紙トレイがさらに複数ある場合には必要な回数だけIPアドレスの取得動作を繰り返す。
【0121】
以上のようにして、本実施例においては、ルータとの間のプラグ&プレイ制御により、複数のIPアドレスを取得する。
【0122】
ステップS109では必要な数のIPアドレスを取得できたかどうかを判定し、全てのIPアドレスを取得したら図3のIPアドレス取得処理を終了する。
【0123】
なお、プレフィックスに付加する64bitのインタフェースIDの数値は、画像形成装置に割り振られたMAC(Media Access Contorol)アドレスをもとに生成してもよい。
【0124】
この場合、IPv6では、図5に示すように48bitのMACアドレスの中間に「fffe」(16進数)という固定値を挿入する方法が定められている。
【0125】
図5(アドレス値はいずれも16進数表記)では、48bitのMACアドレス901を24bitの2つのブロック901a、901bに2分割し(上位ブロック901aの7bit目は反転し、「01」から「03」に変換する)、その中間に「fffe」(16進数)のブロック901cを挿入してインタフェースID902を生成することが出来る。
【0126】
図3の処理により、装置の排紙トレイ(排紙口)の数に応じて必要な数のIPアドレスを取得し、画像形成装置および、各排紙トレイ(排紙口)それぞれにIPアドレスを取得することが出来る。このように、各排紙トレイ(排紙口)毎にIPアドレスを取得することによって、物理的には1つの画像形成装置がネットワークに接続されているだけであっても、ネットワーク上のPCなどほかの機器からは複数の画像形成装置が接続されているかのように見える。
【0127】
すなわち、各排紙トレイに対しては画像データが送られてきた場合にはネットワークからはあたかも排紙トレイが応答しているように見え、排紙トレイからは画像データが印刷されて出力されてきたかに見える。
【0128】
次にPC(あるいはネットワーク上の機器)からのコマンドによる動作について説明する。
【0129】
[本体が全てのコマンドを受けて、IPアドレスから排紙先を特定する方法]
この場合は、本体制御部200が後処理装置制御部217などと通信を行いながらネットワークに対する応答を全て行う場合で、パケットが指し示すIPアドレスから排紙先を特定する場合である。
【0130】
図4フローチャートに沿って、まずステップS500において受信したパケットがあるかどうかを確認し、パケット受信が無ければ、ステップS508の送信制御へ移行する。
【0131】
ステップS502では受信したパケットの宛先IPアドレスをチェックし、画像形成装置本体に対するパケットであれば、コマンドの受信からステータスの状況確認まで本体に関連する必要なパケット受信をステップS503で行い、ステップS508へ進む。
【0132】
ステップS504では受信したパケットの宛先IPアドレスをチェックして、排紙トレイ192に関するパケットであれば、ステップS505で処理を行い、ステップS508へ進む。
【0133】
ステップS506では受信したパケットの宛先IPアドレスをチェックして、排紙トレイ193に関するパケットであれば、ステップS507で処理を行い、ステップS508へ進む。
【0134】
ステップS508からは送信処理である。
【0135】
先ほどと同様に、本体、排紙トレイ192、排紙トレイ193の順にそれぞれステップS508,S510,S512において送信すべきパケットがあるかどうかを判断し、必要があればそれぞれステップS509,S511,S513で処理を行い、終了となる。
【0136】
従って、画像形成に関わる画像データなどがパケットに載って受信された場合、ネットワークでの応答は、さも排紙トレイとしているかのように振舞いながら、本体制御部が画像形成を行って、指定の排紙先へ出力することになる。
【0137】
[画像データ以外は各排紙先が応答する方法]
次に、この場合は画像データに関しては前述の方法と同じように本体制御部がさも排紙トレイであるかのように振舞いながら動作を行い、指定された排紙先へ出力を行うが、排紙トレイの状態などの通信などは排紙トレイ、つまり後処理装置制御部217が応答を返す方法である。
【0138】
基本的な動作の流れは図4のフローチャートの通りである。
【0139】
[各排紙先のIPアドレスを本体がルータとなって割り振る方法]
先ほどの実施例では、画像形成装置外のルータが画像形成装置に含まれるさまざまなサブ装置(ここでは排紙トレイなど)のIPアドレスを発行する役目を果たしたが、本発明の別の実施例においては、本体制御部が画像形成装置に接続されるサブ装置のためのルータとして動作して排紙トレイに対するIPアドレスを割り振っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】画像形成装置の断面図
【図2】画像形成装置の制御ブロック図
【図3】IPアドレス取得処理を示したフローチャート
【図4】パケットデータ処理を示したフローチャート
【図5】IPv6におけるインタフェースIDの生成方法を示した概略図
【符号の説明】
【0141】
100 画像形成装置
212 ハードディスク(HD)
210 通信I/F
211 HD制御部
208 画像メモリ
203 画像データセレクタ
219 操作部
215 ネットワーク通信I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する画像形成手段と、前記画像形成手段に接続され、前記画像形成手段からの出力画像記録媒体を載置する複数の排紙先手段と、前記画像形成手段および前記排紙先手段をIPv6ネットワークに接続するためのネットワーク接続手段を具備した画像記録手段であり、少なくとも前記複数の排紙先手段の全てが独立したIPアドレスを取得することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
請求項1で割り振られた全ての排紙先手段との通信が全て前記画像形成手段を経由して行われることを特徴とした画像記録装置。
【請求項3】
請求項2で行われる排紙先手段との通信のうち、画像出力に関する通信については前記画像形成手段が代理通信を行い、出力画像記録媒体を通信結果として前記排紙先手段へ出力することを特徴とする画像記録装置。
【請求項4】
請求項2で行われる排紙先手段との通信の全てを前記画像形成手段が代理通信を行い、出力画像記録媒体を通信結果として前記排紙先手段へ出力することをと特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−33444(P2006−33444A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209792(P2004−209792)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】