説明

画像記録装置

【課題】
画像記録装置の盗難または紛失時、メモリカードに記録した画像の流出を防止すると同時に、容易に画像の受け渡しが行えるようにする。
【解決手段】
デジタルカメラ10は、撮像部20、画像処理部21、JPEG処理部25によって、JPEGフォーマットの圧縮画像データを得る。暗号化の設定が有る場合は、指定したパスワードに基づいて、ZIP処理部25によって、前記圧縮画像データに暗号化を施し、メモリカード部26に装着されたメモリカードに圧縮(ZIP形式)フォルダを作成して、撮影画像を記録するので、撮影直後からセキュリティが保たれる。暗号化の設定が無い場合は、JPEGフォーマットの圧縮画像データは、そのままメモリカードに記録される。暗号化されている圧縮フォルダは、汎用のPC上で、パスワードのみで暗号の解除が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の画像記録装置、特に、撮影画像をパスワードによって暗号化してメモリカードに記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の画像記録装置では、通常、撮影した画像をファイルとして、そのデジタルカメラに設けられているメモリスロットに挿入したメモリカードに記録する。そして、このデジタルカメラをPC(パーソナルコンピュータ)にUSBインタフェースを介して接続したり、メモリスロットからメモリカードを抜いて、PCに組み込まれているカードリーダに装着することにより、画像ファイルをPC上で利用するような構成を有している。そのため、デジタルカメラまたは画像が記録されたメモリカードの盗難時または紛失時には、画像データが流出する恐れが有り、その対策が求められている。
【0003】
その一例として、デジタルカメラ固有の情報として、不良画素を特定する補正情報を適用して、画像を暗号化してメモリカードに記録し、PCを介して画像を閲覧する場合は、閲覧を許可するPCに所定のアプリケーションを組み込んでおくようにしているものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−333519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先述のデジタルカメラにおいては、閲覧を許可するPCに所定のアプリケーションを組み込むようにしており、より高いセキュリティ性を保つことが可能な一方で、メモリカードを遠隔地に送って画像を閲覧をする場合など、このアプリケーションも同時に提供する必要があり、これは利便性の低下を伴っていると言える。
【0005】
また、当然のことながら、通常のデジタルカメラのように、暗号化機能を有さないものであれば、メモリカードの輸送中の盗難または紛失に対処するために、前もって画像ファイルの暗号化作業をPC上で行う必要がある。この場合、撮影直後から暗号化作業の直前まで、デジタルカメラおよびメモリカードの盗難または紛失に十分留意する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の画像記録装置は、固体撮像素子の出力するアナログ画像信号から得られたデジタル画像データを、画像圧縮を用いて圧縮し、圧縮画像データとして出力する画像圧縮手段と、前記圧縮画像データを暗号化して暗号化画像データとして出力する暗号化手段と、前記暗号化画像データをデータファイルとして着脱可能な記録媒体に記録するファイル記録手段と、前記圧縮画像データを記憶する揮発性メモリから構成されるメモリ部とを備え、前記暗号化手段はパスワードに基づいてZIP圧縮処理を行い、前記ファイル記録手段は前記記録媒体内にZIP形式の圧縮フォルダを生成して暗号化したファイルを記録することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の画像記録装置は、さらに、前記デジタル画像データを表示する画像表示手段を備えており、前記画像表示手段によって、前記記録媒体内のZIP形式の圧縮フォルダの中のファイルを選択して画像を再生する際、前記メモリ部に前記ファイルに対応する暗号化前の圧縮画像データが存在する場合、前記メモリ部の前記圧縮画像データを使用して、画像を再生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮影した画像を、画像記録装置の内部で直接、「圧縮(ZIP形式)フォルダ」の形式にしてメモリカードに記録できるため、画像データの流出の危険性を大幅に低下させることができる。このデータの形式は、現在、PC用のOS(オペレーティングシステム)として、最も普及しているとされるマイクロソフト社のWindows XP(登録商標)およびWindows Vista(登録商標)に標準装備されているファイルの圧縮・解凍ツールと互換性があるため、多くの環境でパスワードだけで画像の暗号を解除でき、利便性を大いに高めることができる。
【0009】
さらに、本画像記録装置で撮影した画像を本体に備えた表示部で再生する場合で、かつその画像がメモリカードに暗号化されて記録されている場合、本画像記録装置内部の揮発性メモリに暗号化前の圧縮画像データが存在していれば、この圧縮画像データを用いて画像を再生するようにしたため、画像が速やかに閲覧できる。この構成は、同時に、電源オフで揮発性メモリ上のデータは失われるため、セキュリティ的にも好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の画像記録装置を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例では代表的に、本発明の画像記録装置をデジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0011】
図1は、デジタルカメラの構成例を示すブロック図である。同図に示すように、このデジタルカメラ10は、撮像部20、画像処理部21、メモリ部22、表示部23、JPEG処理部24、ZIP処理部25、メモリカード26、CPU27、操作部28、バス30を有している。
【0012】
撮像部20は、撮像光学系、CCDイメージセンサなどの固体撮像素子および駆動回路、アンプ、A/D変換器等(図示せず)から構成されている。CCDイメージセンサは2次元CCDセンサであり、入力光によって蓄積された電荷を、駆動回路からの駆動信号によって出力する。この出力信号は、さらにアンプによって増幅され、A/D変換器によって、デジタル化されて撮像部から出力されるように構成されている。
【0013】
画像処理部21は、撮像部20から転送されるデジタル信号を入力し、ノイズ除去処理、鮮鋭化処理、濃度補正処理、色信号処理等のデジタル画像処理を施して、同期信号と共にデジタル画像データとして出力する。
【0014】
メモリ部22は、大容量のSDRAM等の揮発性メモリから構成されており、CPU27のワークメモリであると同時に、画像処理部21が出力したデジタル画像データ等の記憶領域としても使用される。
【0015】
表示部23は、図示しないLCD(液晶ディスプレイ)を備え、入力されたデジタル画像データ信号に基づいて、撮影画像のプレビュー表示や、記録画像の再生表示を行う。LCDは、パスワード設定の際の文字・数字情報や現在の撮影可能枚数、撮影日時など各種データを単独で、または画像と重ね合わせて表示することもできる。
【0016】
JPEG処理部24は、先述のデジタル画像データに対し、JPEG(Joint Photographic Experts Group)フォーマットに従って圧縮処理を行い、圧縮画像データを生成する。なお、JPEGとは、静止画像のデジタルデータを圧縮する方式の1つであり、一般的にはDCT(離散コサイン変換)を用いて非可逆圧縮を行うものであり、JPEG処理部24もこれと同様に処理を行う。また、圧縮画像データを伸長して元のデジタル画像データに戻す処理も行う。
【0017】
ZIP処理部25は、圧縮画像データに対し、指定されたパスワードに従って、ZIP圧縮処理を行う。なお、ZIPとはファイル圧縮形式の1つであり、可逆圧縮を行うものとして知られており、ZIP処理部32は、Windows XPおよびWindows Vistaに標準装備の「圧縮(ZIP形式)フォルダ」で使用されるものと互換性の有るファイルを生成するように構成されている。なお、ZIP圧縮処理にはパスワードは必ずしも必要ではないが、本実施例では、データ量の削減でなく、暗号化を目的として、パスワード付きのZIP圧縮処理を使用する。実際、JPEGフォーマット後の圧縮画像データにZIP圧縮処理を施してもファイルサイズはほとんど小さくならない。ZIP処理部25は、ZIP圧縮されたデータを伸長して元のデータに戻す処理も行う。なお、ZIP圧縮のアルゴリズムの詳細については、例えばhttp://www.pkware.com/documents/casestudies/APPNOTE.TXTに開示されている。
【0018】
メモリカード部26は、SDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の着脱可能なメモリカードをメモリスロット(図示せず)を通して装着し、ファイルの記録を行う。メモリカードは、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリから構成されており、PCに組み込まれている、または外付けのカードリーダを介して読み書きが可能である。
【0019】
CPU27は、CPUコアの他に本デジタルカメラ10の動作を制御するためのシステムプログラムおよびデータテーブル等を保持するためのフラッシュメモリ等(図示せず)を内蔵しており、メモリ部22にアクセスする。また、シャッタボタンなどを含む操作部28からの操作信号を入力し、撮像部20、画像処理部21、表示部23、JPEG処理部24、ZIP処理部25、メモリカード部26の各部との入出力および各部間のデータ転送処理の制御をバス30を使用して行う。
【0020】
操作部28は、電源スイッチ、シャッタボタン、メニューダイヤル、矢印キー等(図示せず)を備えており、ユーザが操作したボタン等の情報を入力して、CPU27に転送する。メニューダイヤルは、例えば回転式のスイッチで、撮影を行うための撮影モード、撮影した画像を確認表示するための再生モード、撮影条件やパスワード等を設定するための設定モード等を切り替えるものとする。矢印キーは、再生モード時に表示する画像の選択を行うために使用したり、パスワードの設定を行うために表示部に表示された文字を選択するために使用する。なお、パスワードは、印刷された1次元または2次元のバーコードや手書き文字を撮影してCPU27がその情報を認識することによって、設定または入力するようにしてもよい。
【0021】
このように構成されるデジタルカメラ10の動作を図2に示すフローチャートに従って以下に説明する。
【0022】
ユーザは、操作部28の電源スイッチによって、デジタルカメラ10の電源をオンにする(S101)。デジタルカメラ10で撮影を行う前に、まず操作部28を操作して、画像を暗号化して記憶する際のパスワードの設定を行う。具体的には、メニューダイヤルを操作して、設定モードを選択する(S102)。すると、表示部23の表示を確認しながら、操作部28の矢印キーを操作することによって、アルファベットや数字が選択できるようになっており、所定の文字数からなるパスワードを設定する(S103)。なお、表示部23におけるパスワードの表示は、他人の覗き見によるパスワードの漏洩を防ぐため、設定後、短時間で消えるようになっている。
【0023】
なお、決定したパスワードはCPU27内部のフラッシュメモリに記録保存されるようになっており、撮影画像のため、使用されることになるが、パスワードが保存されている以上、毎回設定する必要は無い。また、パスワードを設定後、これから撮影する画像について暗号化が必要か否かを設定する(S104)。ここでは、まず暗号化不要を選択したこととする。
【0024】
次に、メニューダイヤルを操作して撮影モードを選択する(S105)。撮影モードに入ると、撮像部20で撮影された画像に基づくデジタル信号は、画像処理部21へ転送され、ノイズ除去処理、鮮鋭化処理、濃度補正処理、色信号処理等のデジタル画像処理を施して、同期信号と共にデジタル画像データとして出力され、非圧縮のデジタル画像データとなり、メモリ部22の所定の領域に転送されて格納される。
【0025】
また、メモリ部22内のこのデジタル画像データは、表示部23に送られることによりLCDに表示される。撮影モード中は、撮像部20から画像処理部21、メモリ部22、表示部23への画像信号の転送が繰り返し行われるため、LCD上に画像がプレビューとしてほぼ動画的に表示される。なお、このプレビュー表示中の画像は、メモリカード上に記録されるものでなく、画像処理部での画像処理は、ユーザが撮影対象を適切に捉えているかどうかを確認する程度で十分であるので、処理速度を優先して簡略化したもの、またLCDの解像度に対応した低解像度のものでも構わない。
【0026】
ユーザがLCDを確認しながら撮影対象を捉え、シャッターボタンを押すことにより、撮影が実行される(S106)。これによって、撮像部20で撮影された信号は、改めて画像処理部21へ転送され、ノイズ除去、色変換等の処理が行われて、非圧縮のデジタル画像データとなり、さらにメモリ部22の所定の領域に転送されて格納される(S107)。また、ユーザの撮影画像確認のため、LCDにはこの画像が一定時間、継続表示される。
【0027】
それから、メモリ部内に格納されている画像データはJPEG処理部24によって、JPEGフォーマットである圧縮画像データに変換され、メモリ部22の別の位置にある格納領域に格納されるものとする(S108)。なお、この格納領域は、所定の大きさを有して、複数のデータが格納可能であり、撮影を繰り返すことにより、最も古いデータが記録されている部分から順次上書きして再利用することとする。ここで、CPU27は、データの格納について、メモリカードに記録されるファイル名と関連付けて、メモリ部のどのアドレスにいかなるサイズでデータが格納されているかを管理している。
【0028】
なお、図1でJPEG処理部24はCPU27とは別のブロックとして構成されているが、CPU27が自分でJPEG処理を行うようにしてもよい。
【0029】
ここで、以前、すなわちS104にて、このデジタルカメラ10が暗号化有りに設定されているかどうかを参照する(S109)。もし、暗号化有りに設定されていないときは、撮影画像は、通常のデジタルカメラと同様に、メモリカード部26のメモリカードにJPEGフォーマットのファイルとして記録が行われる(S111)。
【0030】
一方、暗号化有りに設定されているときは、JPEGフォーマットで格納されている画像データに対し、さらにCPU27内部のフラッシュメモリに格納されたパスワードに基づいて、ZIP処理が施され(S110)、メモリカードにはZIP圧縮されたファイルとして格納が行われる(S111)。JPEG処理部24の場合と同様に、ZIP処理部25はCPU27とは別のブロックとして構成されているが、CPU27が自分でZIP圧縮処理を行ってもよい。
【0031】
なお、デジタルカメラ10において、設定モードを使用して、暗号化の有無を設定するとしたが、より簡便な動作を行うため、操作部28にシャッタボタンを2個設けて、どちらのボタンを押すかで、暗号化有りまたは無しの記録を切り替えるようにしてもよい。
【0032】
ここで、メモリカード内部のファイル構造を図3に示す。メモリカードは通常のPCからも認識可能なように汎用的なFATファイルシステムでフォーマットされているものとする。
【0033】
本デジタルカメラ10において、撮影を開始すると、フォーマット直後のメモリカードでは、ルート(¥)の下に、NOCRYPTおよびCRYPTの2つのフォルダが作成される。もし、これらのフォルダが既に存在しているならば、新たには作成されない。
【0034】
まず、暗号化を行わないように設定して撮影を行うと、NOCRYPTの下に圧縮されていない普通のフォルダである001FOLDERが作成され、さらに001FOLDERの下にJPEGフォーマットの画像ファイルP0010001.JPGが記録される。そして、撮影を繰り返すと、メモリカードに空き領域が確保されている限り、画像ファイルがこのフォルダにさらに順番にP0010002.JPG,P0010003.JPGとファイル名を変えて記録される。仮に、ファイル名がP0019999.JPGまで到達すると、次にフォルダNOCRYPTの下に002FOLDERが作成され、同様にP0020001.JPG、P0020002.JPG,P0020003.JPGと記録が行われる。
【0035】
ここで、NOCRYPTの下の001FOLDERの下のP0010003.JPGを記録した後で、撮影画像を暗号化して記録するようにデジタルカメラ10の設定を変更したとする。それから撮影を行うと、今度はCRYPTの下に圧縮フォルダ001FOLDER.ZIPが作成され、さらにこの圧縮フォルダ001FOLDER.ZIPの中にファイルP0010004.JPGが記録される。以後、撮影を繰り返すと、001FOLDER.ZIP内に、P0010005.JPG、P0010006.JPG、...と同じ圧縮フォルダ内に格納が行われる。
【0036】
ところで、こうして作成された圧縮フォルダの内部に格納されたファイルを、Windows XPまたはWindows VistaがOSとしてインストールされたPC上で閲覧するには、そのファイルを開こうとしたときに、パスワードの入力を求められるので、これに従って記録時のパスワードを入力するだけでよい。なお、それぞれのファイル(P0010004.JPG、P0010005.JPG、P0010006.JPG、...)が、それぞれ1つの圧縮フォルダに1つずつ含まれるように圧縮フォルダを個別に作成しても、もちろん構わない。
【0037】
なお、暗号化されているファイルを解凍したとき、暗号化されずに記録されたファイルと同一のファイル名とならないように、ここでは両者を合わせて連番でファイル名を割り付けているが、それぞれ個別に連番としてもよい。CRYPTの下の001FOLDERの下のファイルがP0019999.JPGに達すると、次に002FOLDER.ZIPが作成され、001FOLDER.ZIPのフォルダの場合と同様に記録が行われる。
【0038】
さて、フォーマット後のメモリカードに対し、画像10枚を、暗号化有りとして、第1,2,3,7,8枚目の画像を撮影し、暗号化無しで、第4,5,6,9,10枚目の画像を撮影を行ったものとする。すると、メモリカードの内部は、例えば、図4に示されるようにファイルが格納される。
【0039】
ここで、画像の再生の際の動作を図5に示すフローチャートに従って以下に説明する。デジタルカメラのモードを撮影モード(S201)から再生モード(S202)に変更する。すると、まず、直近の撮影画像として、10枚目の画像が表示され、矢印キーを操作することにより(S203)、メモリカード内の撮影した画像を選択的に表示することができる(S204)。
【0040】
具体的には、メモリカード内のファイルを検索し、選択されているファイルに暗号化が施されているかどうかを判断する(S205)。ファイルがZIP圧縮処理されていない場合は、JPEGフォーマットに基づく圧縮画像データをメモリ部22に転送し(S208)、それから、JPEG処理部24によって、非圧縮形式のデジタル画像データに展開する(S210)。展開されたデジタル画像データは、表示部23によって、LCDに表示される(S211)。
【0041】
一方、S205で、選択されているファイルに暗号化が施されている場合は、まず、メモリ部22に対応するJPEGフォーマットによる圧縮画像データが残っているかどうかを判断する(S206)。メモリ部のSDRAMには、CPU27のワーク領域、非圧縮のデジタル画像データの格納領域、圧縮画像データの格納領域、暗号化画像データの格納領域等が、図6のメモリマップに示されるように設けられている。
【0042】
現在、10枚目の画像を撮影した時点で、1、2枚目の画像データが、それぞれ9、10枚目の画像データによって上書き消去され、3〜10枚目の画像データが残っているものとする。そこで、もし選択されている画像がこの中に残っているならば、このデータから非圧縮形式のデジタル画像データに展開する。
【0043】
もし、選択されているファイルに対応するデータがメモリ部22に残っていないならば、メモリカードからメモリ部22に暗号化されているデータを転送する(S207)。そして、さらに、暗号化解除を行い、JPEGフォーマットの元の圧縮画像データに戻すものとする(S209)。それから、暗号化されていない画像の場合と同様に、JPEG処理部24によって、非圧縮形式のデジタル画像データに展開する(S210)。復元された画像データは、表示部23によって、LCDに表示される(S211)。
【0044】
このように、メモリ部22のSDRAMにZIP処理が施されていない圧縮画像データが残っていれば、こちらを参照するようにすると、ZIP処理されたデータの暗号解除処理が不要となるので、スムーズに画像の閲覧が行え好適である。この場合、SDRAM上の画像データは電源オフで消滅するため、セキュリティ的にも好適である。
【0045】
なお、デジタルカメラでは、非使用時の余分なバッテリーの消耗を防ぐために、通常、最後の操作時から数分程度の比較的短い時間で電源を自動的にオフにする機能を有するのが普通である。そこで、本実施例におけるデジタルカメラの場合、SDRAMについては電源オフ時でも、上記の閲覧操作のため、しばらくは通電を維持するような構成にしてもよい。
【0046】
ところで、本デジタルカメラ10では、暗号化されて記録されている画像について、パスワードの入力を求めずに、表示部23においては表示可能としている。これは、表示部23のLCDは低解像度のものであり、ここからの画像の流出は考慮していないからである。よって、もし、LCDの解像度が高ければ、暗号化した画像については、撮影者のみが判断程度できる程度にモザイクを掛けるなどして保護するようにしてもよい。もちろん、ZIP処理の暗号解除処理の段階で、再生のため、パスワードの入力を必要とするような仕様にすることも当然可能である。
【0047】
さらに、図3では、CRYPTフォルダは1つしか無いが、例えばCRYPT0、CRYPT1と複数のフォルダを作成するようにして、それぞれの下に圧縮フォルダを格納するようにしてもよい。この場合、それぞれのフォルダに別々のパスワードを設定できるようにし、1台のデジタルカメラを複数の人間で共有しつつ、それぞれが秘匿すべき画像を保有できるようにできるようにもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の活用例として、例えば、デジタルカメラだけでなく、画像の記録を行うことができる他の電子機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施の形態に係るデジタルカメラの制御ブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るデジタルカメラの撮影に関する処理フローチャートである。
【図3】本実施の形態に係るデジタルカメラに装着されるメモリカードのフォルダ構造を示す図である。
【図4】本実施の形態に係るデジタルカメラに装着されるメモリカードのフォルダの一例を示す図である。
【図5】本実施の形態に係るデジタルカメラの再生に関する処理フローチャートである。
【図6】本実施の形態に係るデジタルカメラのメモリ部のメモリマップを示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 デジタルカメラ、20 撮像部、21 画像処理部、22 メモリ部、23 表示部、24 JPEG処理部、 25 ZIP処理部、26 メモリカード部、27 CPU、 28 操作部、 30 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子の出力するアナログ画像信号から得られたデジタル画像データを、画像圧縮を用いて圧縮し、圧縮画像データとして出力する画像圧縮手段と、前記圧縮画像データを暗号化して暗号化画像データとして出力する暗号化手段と、前記暗号化画像データをデータファイルとして着脱可能な記録媒体に記録するファイル記録手段と、前記圧縮画像データを記憶する揮発性メモリから構成されるメモリ部とを備え、前記暗号化手段はパスワードに基づいてZIP圧縮処理を行い、前記ファイル記録手段は前記記録媒体内にZIP形式の圧縮フォルダを生成して暗号化したファイルを記録することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像記録装置であって、さらに、前記デジタル画像データを表示する画像表示手段を備えており、前記画像表示手段によって、前記記録媒体内のZIP形式の圧縮フォルダの中のファイルを選択して画像を再生する際、前記メモリ部に前記ファイルに対応する暗号化前の圧縮画像データが存在する場合、前記メモリ部の前記圧縮画像データを使用して、画像を再生することを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−200577(P2009−200577A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37243(P2008−37243)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】