説明

画像診断装置、画像処理装置、及び画像処理プログラムを記録した記録媒体

【課題】 造影剤注入前後において体動が発生した場合であっても、アーチファクトがなく臨床的価値の高いDSA画像を生成する画像診断装置等を提供すること。
【解決手段】 被検体への造影剤の注入の前後にわたって連続的に収集された撮影対象部位に関する複数の画像を、マスク像とコントラスト像とに区分して記憶する記憶装置15と、各コントラスト像とのサブトラクション処理に利用する最適マスク画像を、複数のマスク像から選択するマスク選択部19と、最適画像を部分的に変形させるワーピング処理を実行することで、コントラスト画像に位置合わせされたワーピング画像を生成するワーピング処理部22と、各コントラスト像からワーピング画像をサブトラクションすることでワーピングDSA画像を生成するサブトラクション処理部21と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば ディジタルアンギオ装置においてDSA画像を作成、保存、表示するX線診断装置等に代表される画像診断装置、画像処理装置、及び画像処理プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
造影剤を注入する前とか、観察領域に造影剤がない状態で収集した画像(マスク像)と、造影剤の注入後で観察領域に造影剤が存在する状態で収集した血管コントラストが増強された画像(コントラスト画像)との間でサブトラクション処理を行い、そのサブトラクション像を用いて行う診断は、例えば血管の狭窄位置や状態を観察するのに非常に有用であり、今日では多くの医療現場において使用されている。
【0003】
このサブトラクション処理では、サブトラクション処理に供する画像間で位置や濃度の変化がない構造物は消去され、位置や濃度の変化のあった構造物は残存する。従って、サブトラクション処理によれば、造影前後の期間で被検体の体動がなければ、造影前後で濃度変化が生じる血管のみが抽出されることになるので、背景構造物に影響を受けることなしに血管狭窄等の観察を行うことができる。
【0004】
ところが、このサブトラクションに供される各画像を収集する間に被検体が複雑に動くことが多く、その場合は各画像間で位置ずれが生じ偽像として映出されてしまう(なお、この様な偽像を「アーチファクト」と呼ぶ。)。従来は、例えば特許文献1に示すように、このアーチファクトを抑制するために、サブトラクションに供する前にいずれか一方の画像を求められた位置ずれ量に基づいて平行移動させて位置合せを行うことを行っていた。
【特許文献1】特開昭64−20830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらタイミングの間で被検体の心拍や呼吸或いは咳などによって体動が生じた場合、被検体の構造物に位置の変化が生じてしまう。特に、高齢者や重症者、意識がない被検者では息止めができないため、こういった被検者で特に腹部の検査においてはこの位置変化が甚だしい。この様に位置変化が生じた前後の画像を用いてサブトラクション処理が行われると、造影された血管が映出されるのはもちろんであるが、位置の変化が生じて完全に差分されず残存した他の構造物もアーチファクトとして映出されてしまう。実際の臨床の場面では、時々咳が止まらなくなったり、造影剤注入に熱さを感じて条件反射的に動いてしまう被検体もある。この様な場合には、横隔膜の移動によるアーチファクトが生じてしまい診断に支障をきたすことになる。
【0006】
また、このような事情の他に心臓や大血管の拍動、体動、腸管の蠕動等の要因により、サブトラクションに供する2つの画像における被写体形状は完全同一ではないため、特許文献1に示すように平行移動による位置合せを行ってもDSA画像上には多くのアーチファクトが発生することがあり、医師による診断に悪影響を与える可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、マスク像やコントラスト像の撮影中において、又はマスク像撮影からコントラスト像撮影までの間に体動が発生した場合であっても、アーチファクトがなく臨床的価値の高いDSA画像を生成することができる画像診断装置、画像処理装置、及び画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0009】
請求項1に記載の発明は、被検体の撮影対象部位に関する複数の画像を、当該被検体への造影剤の注入の前後にわたって連続的に収集する画像収集手段と、前記複数の画像のうちの一画像である第1の画像を少なくとも部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記複数の画像のうちの前記第1の画像とは異なる第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成する変形処理手段と、前記各第2の画像と前記第3の画像の間でサブトラクションすることで、第1のサブトラクション画像を生成する画像生成手段と、を具備することを特徴とする画像診断装置である。
【0010】
請求項11に記載の発明は、被検体への造影剤の注入の前後にわたって連続的に収集された、当該被検体の撮影対象部位に関する複数の画像を記憶する記憶手段と、前記複数の画像のうちの一画像である第1の画像を少なくとも部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記複数の画像のうちの前記第1の画像とは異なる第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成する変形処理手段と、前記各第2の画像と前記第3の画像の間でサブトラクションすることで、第1のサブトラクション画像を生成する画像生成手段と、を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0011】
請求項16に記載の発明は、コンピュータに、被検体への造影剤の注入の前後にわたって連続的に収集された、当該被検体の撮影対象部位に関する複数の画像のうちの一画像である第1の画像を少なくとも部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記複数の画像のうちの前記第1の画像とは異なる第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成する第1の機能と、前記各第2の画像と前記第3の画像の間でサブトラクションすることで、第1のサブトラクション画像を生成する第2の機能と、を実現させるための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
以上本発明によれば、マスク像やコントラスト像の撮影中において、又はマスク像撮影からコントラスト像撮影までの間に体動が発生した場合であっても、アーチファクトがなく臨床的価値の高いDSA画像を生成することができる画像診断装置、画像処理装置、及び画像処理プログラムを記録した記録媒体を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
なお、本発明は造影画像を収集可能な画像診断装置を含んでいる。この種の画像診断装置としては、X線診断装置、超音波診断装置、磁気共鳴イメージング装置、さらにPET,SPECTが含まれ、そのいずれでも本発明に適用可能である。以下では、X線診断装置を例に説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係るX線診断装置の構成を示している。本X線診断装置は、X線管1とX線検出器3とを有する画像収集部2、インジェクタ5、画像処理装置7を具備している。
【0016】
画像収集部2は、寝台に載置された被検体Pを挟んで対向配置されたX線管1とX線検出器3とを有する。
【0017】
X線管1は、X線を発生する真空管であり、高電圧発生装置からの高電圧により電子を加速させ、ターゲットに衝突させることでX線を発生する。発生したX線は、被検体に対して曝射される。
【0018】
X線検出器3は、シンチレータとフォトダイオードアレイとを有するフラットパネルデテクタ(FPD)が採用される。しかし、X線検出器3は、イメージインテンシファイアとTVカメラとの組み合わせが採用されても良い。なお、FPDは、被検体を透過したX線を光電膜に当てることで電子正孔を生成し、これを半導体スイッチにおいて蓄積し、電気信号として読み出すことでX線信号を検出するものである。また、I.I.は、被検者を透過したX線を入力蛍光面で光学情報に変換し、さらに当該光学情報に基づいて生成された光電子を出力蛍光面に衝突させて高輝度光学画像を生成する。このX線検出器3から出力されるアナログの映像信号は、アナログディジタル変換器13から画像処理装置7に供給される。
【0019】
インジェクタ5は、被検体Pに造影剤を自動注入するための装置である。造影剤が被検体Pに注入された時、トリガ信号又はその注入時刻を表す信号が、インジェクタインタフェース11を介して画像処理ユニット7に供給される。
【0020】
画像処理装置7は、インジェクタインタフェース11、アナログディジタル変換器13とともに、CPU9、画像データや各種制御データ等を記憶する記憶装置15、コンソール(操作卓)17、マスク選択部19、サブトラクション処理部21、ワーピング処理部22、ディジタルアナログ変換器23、ディスプレイ25から構成される。
【0021】
CPU9は、画像データの収集に関する制御、及び収集した画像データの画像処理、画像再生処理等に関する制御を行う中央処理装置である。
【0022】
インジェクタインタフェース11は、インジェクタ5とCPU9との間のデータ通信を可能にするための装置である。
【0023】
アナログディジタル変換器13は、X線検出器3から入力したアナログ信号を、ディジタル信号に変換し、フレーム毎の画像データとして記憶装置15、マスク選択部16等に送り出す。
【0024】
記憶装置15は、取得された画像データ、画像取得及び画像処理のための各種制御データ等を記憶する。また、記憶装置15は、CPU9による制御のもと、造影剤注入の前後にわたって収集された複数の画像を、後述する遅延時間に基づいて、マスク像とコントラスト像とに区分して記憶する。さらに、記憶装置15は、後述するレビュー機能を実現するために、マスク像、コントラスト像、ワーピングDSA処理によって生成されたワーピング画像等を記憶する。
【0025】
コンソール(操作卓)17は、キーボードや各種スイッチ、マウス等を備えた入力装置であり、撮影指示や画像選択等を入力する際に使用される。
【0026】
マスク選択部19は、造影剤注入後に収集した各コントラスト像について、後述する遅延時間内に収集した複数のマスク像からDSA処理に最適な1枚を最適マスク像として選択する。その選択手法は種々のものを採用することができる。本実施形態では、後述するように、撮影プログラムに応じていずれの選択手法を採用するかを決定する。
【0027】
サブトラクション処理部21は、各コントラスト像と、コントラスト像毎に選択されたマスク像とを用いてサブトラクション処理を実行し、DSA画像を生成する。また、サブトラクション処理部21は、ワーピング処理部22において最適マスク像に基づいて生成されたワーピング画像(後述)と、各コントラスト像とを用いてサブトラクション処理を実行し、ワーピングDSA画像を生成する。
【0028】
ワーピング処理部22は、サブトラクション処理に用いられるコントラスト像と最適マスク像との間で形状が異なる部位を、最適マスク画像において画素単位で部分的に変形(ワーピング)させることで位置合わせを行うワーピング処理を実行する。このワーピング処理、及び当該ワーピング処理を前提とするワーピングDSA処理については、後で詳しく説明する。
【0029】
ディジタルアナログ変換器23は、サブトラクション処理部21等から入力した画像データのディジタル信号列を、アナログ信号列に変換する。
【0030】
ディスプレイ25は、ディジタルアナログ変換器23から受け取った信号により、X線診断画像等を表示するCRT、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置である。特に、本ディスプレイは医用機器に使用されるものであるため、走査線1000本以上の高精細ディスプレイであることが好ましい。
【0031】
(ワーピングDSA処理)
本X線診断装置は、被検体の体動に起因して発生するコントラスト像に対するマスク像の位置ずれを、ワーピングを利用して修正した後にDSA処理を実行する処理(ワーピングDSA処理)を有している。このワーピングDSA処理により、マスク像やコントラスト像の撮影中において、又はマスク像撮影からコントラスト像撮影までの間に体動が発生した場合であっても、アーチファクトがなく臨床的価値の高いDSA画像を生成することができる。以下、この処理について詳しく説明する。
【0032】
なお、被検体の体動は、周期的なものと非周期的なものとのに分類することができる。周期的な体動とは、心臓や大血管の拍動、呼吸による横隔膜や肺の部位の動き等である。また、非周期的な体動とは、腸管の蠕動、撮影中の咳、造影剤流入を体感した場合における条件反射等である。本ワーピングDSA処理は、いずれの体動をも対象とすることができる。
【0033】
図2は、本ワーピングDSA処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、本ワーピングDSA処理の各ステップでは、人体構造の解析、画像濃度の補正、ローカルマッチング、画像のワーピング、差分画像の生成の各処理が実行される。
【0034】
まず、人体構造の解析処理(ステップSa)では、撮影したマスク像に基づいて人体構造物を解釈し、人体解析データを作成する。ここで、人体解析データとは、例えば胸部の血管撮影の場合であれば、横隔膜、脊椎、心臓など、マスク像上に写っているランドマークとなる人体構造物の位置、形状に関する情報である。
【0035】
図3は、腹部アンギオ画像においてランドマークとする人体構造物(横隔膜、脊椎、心臓、肋骨)の一例を示した図である。また、図4は、胸部アンギオ画像においてランドマークとする人体構造物(胸郭、横隔膜、脊椎)の一例を示した図である。
【0036】
この人体構造の解析処理においては、複数枚のマスク像を用いて平均化等された情報に基づいて、人体解析データを作成することも可能である。この場合、同一の撮影シーケンスにおいて撮影されたマスク像に限定されない。例えば、同一患者の同一検査のアンギオ画像であれば、それほど大きな変動はしないことが予想されるから、過去に撮影された同一患者の同一検査のマスク像や人体解析データも利用することができる。特に、骨、肺、腸管ガス、体外の空気等の高コントラストを形成する部位等、また、差分に用いる2画像の位相差を類推する目的で血管内に挿入された、コイル、ステント、IVCフィルター、カテーテルのマーカーや過去の手術で体内に挿入されたクリップ、義歯などは、人体解析データとして利用可能である。また、後述するワーピング処理によって体動補正をより効率よく行うために、前もって被検者の体表に付着させ金属等のマーカーを人体解析データとして利用することも可能である。
【0037】
なお、一般に、撮影対象部位(例えば、頭部、頚部、胸部、腹部、四肢)によって、ランドマークとなる人体構造物は異なる。従って、人体解析データを作成する対象部位を予め指定すれば、人体構造物の解釈がより容易に行うことができる。
【0038】
また、同一の撮影対象部位であっても、正面、側面、斜位といった撮影方向によって、ランドマークとなる人体構造物は異なる。本解析処理によって得られた人体解析データは、同一の撮影対象部位であれば、いかなる撮影方向にも適応させることが可能である。
【0039】
この様に生成される人体解析データは、後段のステップにおいて、人体構造の知識(解剖学的情報)に沿った処理ができるように利用される。
【0040】
次に、画像濃度の補正(ステップSb)では、コントラスト像、マスク像(今の場合、最適マスク像)に対して、画像濃度の補正処理を適用して、補正コントラスト像、補正マスク像を作成する。この補正処理により、腸管ガスの影響除去、ノイズ除去、アンギオ装置の撮影時のフィルター除去など、造影剤注入以外の原因に起因する、DSA画像画質低下の要因を低減させることができる。
【0041】
次に、ローカルマッチング(ステップSc)では、ステップ2で生成された補正コントラスト像と補正マスク像について、両画像が局所的に一致するような関心領域を多数配置し、これらに基づいて移動ベクトルを導出する。具体的なローカルマッチングの手法は、次の様である。
【0042】
図5(a)、図5(b)は、ローカルマッチングの手法の一例を説明するための図である。図5(a)に示すように、まず、ある一定サイズのテンプレートROI50を補正コントラスト像上に配置し、当該テンプレートROI50に対応する(複数個の場合には、それぞれに対応する)探索領域ROI54を補正マスク像上に配置する。そして、探索領域ROI54とテンプレートROI50との間で、テンプレートマッチングと呼ばれる技法を用いて、局所的な移動量(移動ベクトル)を導出する。なお、一般的には、テンプレートROIが複数設定されるため、移動ベクトルは、個々のテンプレートROIに対応して導出される。
【0043】
なお、移動ベクトルを導出するためのテンプレートROI50及び探索領域ROI54は、ステップSaにおいて取得した人体解析データに基づいて決定された各画像の所定エリア内に、例えば一定の間隔をおいて配置される。
【0044】
図6は、補正コントラスト像又は補正マスク像としての腹部アンギオ画像上において、複数のテンプレートROI50又は複数の探索領域ROI54を配置するエリアの一例を示した図である。同図に示す腹部アンギオ画像の例では、テンプレートROI50又は探索領域ROI53を配置しないのは、脊椎のような不動部分や、横隔膜より上の部分などである。
【0045】
次に、画像のワーピング(ステップSd)では、ステップ2で導出された補正マスク像について、ステップScで導出された移動ベクトルを基に、例えば画素単位の移動ベクトルを導出し、これに基づいて補正マスク像上に表示された所定部位を変形(ワープ)させるワーピング処理を実行する(以下、このワーピング処理によって得られる画像を「ワーピング画像」と呼ぶ。)。
【0046】
この様なワーピング処理を行うのは、次の理由による。すなわち、補正マスク像と補正コントラスト像に写っている人体構造物は、ほぼ同じ形状で写っているものと考えてよい。しかしながら、呼吸、体動、心臓や大血管の拍動、腸管の蠕動により変形が発生する部位については、DSA対象となる補正マスク像と補正コントラスト像との間で形状が異なる場合がある。この様な変形が発生する部位については、補正マスク像を画素単位で部分的に変形させ(画像ワーピング)、補正コントラスト像に合せこむことによって、その変形の効果を相殺する。これにより、DSA画像におけるアーチファクトの原因となる補正マスク像と補正コントラスト像との位置ずれをなくすことができる。
【0047】
なお、ローカルマッチング、及びワーピング処理のアルゴリズムについては、例えば特開平7−37074号公報に記載されている経時的差分画像作成と同じアルゴリズムを適用することができる。
【0048】
次に、差分画像の生成(ステップSe)では、ステップSbにおいて生成された補正コントラスト像から、ステップSdにおいて生成されたワーピング画像を差し引くことでDSA画像を生成し、表示部に出力する。
【0049】
(撮影シーケンス)
次に、上記ワーピングDSA処理を含む一連の撮影シーケンスについて説明する。以下説明を簡単にするため、被検体に対して撮影系を移動させない静的(static)なDSA撮影を対象とする。しかしながら、本発明は、ステッピングDSA撮影、回転DSA撮影といった動的な撮影手法においても適用可能である。
【0050】
図7は、当該撮影シーケンスにおいて実行される処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、患者ID、撮影プログラム等の入力・選択等が実行される(ステップS1)。ここで、撮影プログラムとは、撮影領域(部位)別に固有の遅延時間(マスク像の撮影開始からコントラスト像の撮影開始までの期間)、撮影条件、後処理等を実行するための制御プログラムである。本実施形態においては、「腹部専用プログラム」、「心臓専用プログラム」、「その他の領域(例えば、頭部、四肢等)用プログラム」等の複数種の撮影プログラムが選択可能であるとする。
【0051】
次に、ステップS1において選択された撮影プログラムに合わせて、管電流/管電圧等、遅延時間(マスク像の撮影開始からコントラスト像の撮影開始までの期間)の設定を実行する(ステップS2)。なお、遅延時間は、確実に一呼吸分のマスク像を収集するようにするため、一呼吸期間よりも少し長めに設定するのが一般的である。
【0052】
図8は、ステップS2において利用される入力画面の一例を示した図である。同図において、例えばステップS1において腹部専用プログラムが選択された場合には、1呼吸期間に多少のマージンを考慮して、最初の数秒間は造影剤を注入しないように遅延時間を設定する。また、ワーピングDSA処理についてより好適なマスク像を選択可能とするために、遅延時間内の画像収集フレームレートは、遅延時間経過後の画像収集フレームレートより高くなるように、例えば遅延時間内の画像収集フレームレートを15/30fps、遅延時間経過後の画像収集フレームレートを7.5/3fpsとして設定する。
【0053】
また、例えばステップS1において心臓専用プログラムが選択された場合には、呼吸動より速い心拍動を考慮して、最初の数秒間は造影剤を注入しないように遅延時間を設定する。また、同様に、遅延時間内の画像収集フレームレートが遅延時間経過後の画像収集フレームレートより高くなるように、例えば遅延時間内の画像収集フレームレートを30/60fps、遅延時間経過後の画像収集フレームレートを15/30fpsとして設定する。
【0054】
なお、ステップS1においてその他の領域用プログラムが選択された場合には、本実施形態においては、遅延時間、フレームレート等の設定には特に条件を設けない。しかしながら、これに限定する趣旨ではなく、その他の領域用プログラムが選択された場合であっても、必要に応じて領域毎の固有の遅延時間、フレームレート等を設定可能な構成にしてもよい。また、当該ステップS2における遅延時間、フレームレート等の設定は、ステップS1において選択された撮影プログラムに応じて、自動的に設定される構成であってもよい。
【0055】
次に、専用DSA処理プログラム実行の実行/非実行を選択する(ステップS3)。ここで、専用DSA処理プログラムとは、複数枚のマスク像の中から自動的にDSA処理に最適なマスク像(最適マスク像)を自動的に選択し、これを用いてワーピングDSA処理を実行するものである。
【0056】
次に、複数枚のマスク像撮影及び複数枚のコントラスト像撮影が実行される(ステップS4)。このとき、コントラスト像の最初の撮影は、マスク像の最初の撮影から遅延時間経過後に開始される。
【0057】
次に、ステップS3において専用DSA処理プログラムが選択された場合には、当該プログラムに従って最適マスク像の自動選択処理が実行される(ステップS5a)。この自動選択処理としては、例えば特開2004−112469号公報に開示されている手法を採用することができる。この手法では、各マスク像と各コントラスト像との「位置ずれの程度の類似性を示す一致度」を計算することで、位置ずれの程度が最も近いマスク像(最適マスク像)をコントラスト像毎に選択し、これを用いてDSA処理を実行するものである。これにより、例えば体動があった領域について、コントラスト像に最も近い形状を有するマスク像を選択することができる。
【0058】
なお、最適マスク像は必ずしもコントラスト像毎に選択する必要はなく、複数のコントラスト像に共通する最適マスク像(共通最適マスク像)を選択する構成であってもよい。本実施形態では、説明を簡単にするため、共通最適マスク像を選択するものであるとする。
【0059】
また、自動選択処理は、上記手法に限定されない。例えば、心臓専用プログラムを実行する場合には、心電波形の位相が略一致するフレーム同士を選択しサブトラクションする構成であることが好ましい。また、その他の自動選択処理として、心臓や大血管の拍動では指先でモニターする脈波を、呼吸では被検者に装着した呼吸同期装置を、体軸の移動では被検者の皮膚に塗布したマーカーをそれぞれ用いることも可能である。
【0060】
次に、ステップS5aにおいて自動選択された最適マスク像と各コントラスト像とを用いて、ワーピングDSA処理を実行する(ステップS6a)。ワーピングDSA処理の内容は、図2のステップSa〜Seに示した通りである、当該ワーピングDSA処理によって得られたDSA画像は、ディスプレイ25に表示される。
【0061】
なお、当該ワーピングDSA処理中においては、DSA画像又はコントラスト像と(ワーピング処理前の)最適マスク像とDSA画像を、中間処理画像として表示することが好ましい。ワーピングDSA画像が生成されると、ディスプレイ25上は、自動的に中間処理画像からワーピングDSA画像に切り換えて表示する。この様な構成によれば、操作者はワーピングDSA処理中であっても診断を行うことができ、また、中間処理画像とワーピングDSA画像との双方を臨床情報として有効に利用することができる。
【0062】
一方、ステップS3において専用DSA処理プログラムが選択されなかった場合には、ステップ5b〜6eまでの流れに従って処理される。すなわち、DSA処理用として初期設定されたマスク像(例えば、最初に撮影されたマスク像)が最適マスク像として選択される(ステップS5b)。
【0063】
次に、例えば図9に示すような操作画面から「Warping」のボタンがクリックされると、初期設定による最適マスク像と現在表示中のコントラスト像(カレント像)とを用いて、ワーピングDSA処理が実行される(ステップS6b)。当該ワーピングDSA処理によって得られたDSA画像は、ディスプレイ25に表示される。
【0064】
次に、操作者は、表示されたDSA画像を観察し、リマスク処理を実行する必要があるか否かを判定し(ステップS6c)、実行する場合には、最適マスク像の変更が実行される(ステップ6e)。ここで、「リマスク処理」とは、最適マスク像の変更を行うための処理であり、例えば次の様なものがある。
【0065】
図10は、リマスク処理の一例を説明するための図である。同図に示すように、初期設定により「収集画像1」が全コントラスト像に対して共通する最適マスク像として設定されているとする。この状態で、図9に示した入力画面において「Remask」のボタンをクリックすると、他の任意の収集画像を最適マスク像として再設定することができる。実際の撮影においては、造影剤注入の際に患者が「熱い」と感じる場合があり、このときに体動が発生する場合が多い。従って、造影剤注入が終了し且つ造影剤が撮影対象に流入する手前である画像(例えば、「収集画像8」)を新たな最適マスク像として設定することで、好適なDSA処理を実現することができる。また、ステップS5aではあらかじめマスク画像を一致度の高い順に並べ替え、リマスクの候補の選択に用いてもよい。なお、図10に示した例は、例えば静的なDSA撮影、ステッピングDSA撮影等において、特に有益である。
【0066】
また、図11は、回転DSA撮影におけるリマスク処理の例を説明するための図である。回転DSA撮影では、初期設定として、同じ角度で収集したマスク像i(i=1〜n)とコントラスト像iとの間でサブトラクション処理が実行される。この状態で、図9に示した入力画面において「Remask」のボタンをクリックすることで、所定のコントラスト像に対するマスク像だけを変更することができる。なお、図11では、「コントラスト像1」に対する最適マスク像を「マスク像1」から「マスク像3」に変更する例を示してある。
【0067】
また、図12は、回転DSA撮影におけるリマスク処理の他の例を説明するための図である。同図に示すように、リマスク処理によって新たに選択したマスク像を基準に、全てのマスク像をコントラスト像に対して一定フレーム数ずらしてサブトラクション処理を実行することも可能である。
【0068】
ステップS6eにおいて最適マスク像が変更されると、操作画面からの「Warping」ボタンの操作に応答して、リマスク処理後の最適マスク像とカレント像とを用いて、ワーピングDSA処理が実行され、得られたDSA画像がディスプレイ25に表示される。操作者は、表示されたDSA画像を観察し、再度リマスク処理を実行する必要があるか否かを判定し、必要ならば最終的な最適マスク像を決定するまでリマスク処理を繰り返す。最終的な最適マスク像は、例えば図9に示す「confirm」ボタンをクリックすることで決定され、以降のコントラスト像に対するワーピングDSA処理は、当該最適マスク像を用いて実行される。一方、「confirm」ボタンをクリックしなければ、当該最適マスク像は、カレント像に対してのみ適用されることになる。
【0069】
次に、以降のコントラスト像に対して、決定された最適マスク像を用いてワーピングDSA処理を実行する(ステップS6d)。このとき、例えば図9に示す「apply」ボタンをクリックすれば、マルチフレーム画像に対して一度にワーピングDSA処理を実行することができる。
【0070】
なお、ステップS3において専用DSA処理プログラムが選択された場合であっても、必要に応じてワーピングを適用しないDSA処理を実行することも可能である。すなわち、専用DSA処理プログラムが選択された場合には、図9に示す「Warping」ボタンは初期設定でON状態となっている。また、専用DSA処理プログラム選択後に撮影された画像は、初期設定でCheck−BoxがON状態となっており、また、「Warping」ボタンがON状態となっている時にCheck−Boxが選択可能となる。このCheck−BoxをOFF状態とした画像については、ワーピング処理前の補正マスク像が最適マスク像として選択することができる。
【0071】
以上述べた処理によって得られるDSA画像等は、自動的に記憶装置15に記憶される(ステップS7)。
【0072】
(レビュー機能)
次に、本X線診断装置が有するレビュー機能について説明する。本機能は、ワーピングDSA処理によって得られた画像(例えば、図7のステップS6a、S6b、S6dにおいて得られた画像)を事後的に再生するものである。
【0073】
まず、図7のステップS7において各コントラスト像と各マスク像、及び各コントラスト像に対応するワーピング画像を自動的に記憶装置15に保存する。この様に各コントラスト像に対応するワーピング画像を保存することで、ワーピング画像生成を省略したワーピングDSA処理を事後的に実行でき、ワーピングDSA画像を迅速に再生することができる。なお、メモリ資源をできるだけ有効に活用する観点から、保存するワーピング画像については非可逆圧縮を施す構成であってもよい。
【0074】
また、ワーピング画像そのものを保存する構成ではなく、各コントラスト像に対応する最適マスク像のフレーム番号を保存し、ワーピング画像生成を含むワーピングDSA処理を事後的に実行することで、ワーピングDSA画像を再生することも可能である。この場合、最適マスク像からワーピング画像を生成する過程を保存しておくことで、ワーピング画像そのものを保存するよりもデータ量を小さくし、且つ最適マスク像のフレーム番号を保存するよりも事後再生において迅速化を図る構成としてもよい。また、この様にワーピング画像生成過程を保存する場合には、そのログの解析を元に、作成されたDSA画像の画質の推測をし、当該DSA画像と供に表示することも可能である。
【0075】
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0076】
本X線診断装置においては、最適マスク像からワーピング画像を生成し、これとコントラスト像とを用いてDSA処理を実行する。従って、最適マスク像とコントラスト像との単純差分によりDSA処理を実行する従来技術に比して、より位置精度の高いサブトラクション処理を実行することができる。その結果、マスク像やコントラスト像の撮影中において体動が発生した場合であっても、従来よりもアーチファクトがなく臨床的価値の高いDSA画像を提供することができる。特に、ワーピング処理は、部分的な位置ずれを補正するのに好適であり、マスク画像とコントラスト像とが完全に同位相になるような撮影は困難である場合には、特に実益がある。
【0077】
また、本X線診断装置においては、撮影プログラムに応じて遅延時間内の画像収集フレームレートを設定することができる。従って、コントラスト像より多くのマスク像を収集することができ、DSA処理においてより位置精度の高いマスク像を選択することができる。
【0078】
また、本X線診断装置においては、複数のマスク像の中から最適マスク像を、例えば位置ずれの程度の類似性を示す一致度に基づいて、自動的に選択することができる。従って、コントラスト像と位置対応性の高い最適マスク像を迅速且つ簡便に選択することができる。
【0079】
また、本X線診断装置においては、必要に応じて最適マスク像を他の任意のマスク像に変更することができる。従って、自動選択された最適マスク像、又は初期設定されている最適マスク像によるDSA画像以外にも、他のマスク像を最適マスク像とすることで、種々の所望のDSA画像を取得することができ、診断の自由度を広げることができる。
【0080】
また、本X線診断装置においては、レビュー機能により、ワーピングDSA処理によって得られた画像を事後的に再生することができる。これにより、撮影以後の診断や、画像再生による撮影・診断の事後的な検討が可能となり、医療行為の質の向上に寄与することができる。たとえば、血管奇形、動静脈瘻、肝細胞癌などでは動脈塞栓術の前後で、動脈の閉塞や狭窄病変では人工血管によるバイパス術、血管形成術、ステント留置術前後で、それぞれの造影剤注入後の画像同士の差分画像を作成し、治療の効果を客観的に表示することも可能となる。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的には、次のような変形例を挙げることができる。
【0082】
(1)ワーピングにより十分補正できなかった腸管の蠕動などのアーチファクトは、例えばさらにダイナミックレンジ圧縮の技法を用い、低吸収値部分のコントラストを減弱させ、アーチファクトを軽減させる構成としてもよい。
【0083】
(2)胸部の血管撮影、特に冠動脈撮影では、心拍動によるアーチファクトが問題となる。係る撮影においては、例えば初期設定として、心電図同期によるR波からのトリガー遅延を最適マスク像の選択に使用する構成であってもよい。
【0084】
(3)血管撮影装置のX線管球と検出器を移動させながら撮影する3次元撮影の場合、もしくは被検者を載せたテーブルを移動させながら撮影を行う場合では、被検者とX線管球および検出器の空間的位置関係を、最適マスク像の選択に利用することもできる。
【0085】
(4)一般の血管撮影装置に併設されている、CT画像にも本ワーピングDSA処理は適用可能である。この場合、IVRCT(Interventional Radiology CT)で撮影された造影前と造影後のボリュームデータを2次元に投影したRaySum(もしくはRay−Sum)表示画像やMIP(Maximum Intensity Projection)画像等を用いて本技術を応用することができる。なお、これらRaySum表示画像等についての詳細は、特開2002−219123公報に記載されている。
【0086】
(5)上記実施形態においては、X線診断装置において、ワーピングDSA処理等を実施する例を示した。これに対し、X線診断装置と高速なインターフェースで連結され、例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)による通信を行う専用のワークステーションによって、ワーピングDSA処理等を実施する構成であってもよい。PACS(Picture archiving and communications system)のネットワーク上にワークステーションを配置して、血管撮影のデータを取得し任意に本手法を適応することも可能である。
【0087】
なお、この場合、DICOMのプライベートタグ中に遅延時間、画像収集レート等の情報を記録することで、ワークステーション上においても、ワーピングDSA処理を含む一連の撮影シーケンス(すなわち、図7に示したシーケンス)を擬似的に再現することができる。
【0088】
(6)本実施形態に係るワーピングDSA処理等は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0089】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上本発明によれば、マスク像やコントラスト像の撮影中において体動が発生した場合であっても、アーチファクトがなく臨床的価値の高いDSA画像を生成することができるX線診断装置、画像処理装置、及び画像処理プログラムを格納する記憶媒体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は本実施形態に係るX線診断装置の構成を示している。
【図2】図2は、本ワーピングDSA処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3は、腹部アンギオ画像においてランドマークとする横隔膜、脊椎、心臓、肋骨の例を示した図である。
【図4】図4は、腹部アンギオ画像においてランドマークとする横隔膜、脊椎、心臓、肋骨を示した図である。
【図5】図5は、ローカルマッチングの手法の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、腹部アンギオ画像上において、複数のテンプレートROI50又は複数の探索領域ROI53を配置するエリアの一例を示した図である。
【図7】図7は、ワーピングDSA処理を含む一連の撮影シーケンスにおいて実行される処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】図8は、遅延時間等の入力画面の一例を示した図である。
【図9】図9は、ワーピング処理、リマスク処理を指示するための入力画面の一例を示した図である。
【図10】図10は、リマスク処理の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、回転DSA撮影においてリマスク処理の例を説明するための図である。
【図12】図12は、回転DSA撮影におけるリマスク処理の他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0092】
1…X線管、2…画像収集部、3…X線検出器、5…インジェクタ、7…画像処理装置、9…CPU、11…インジェクタインタフェース、13…アナログディジタル変換器、15…記憶装置、17…コンソール、19…マスク選択部、21…サブトラクション処理部、22…ワーピング処理部、23…ディジタルアナログ変換器、25…ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の撮影対象部位に関する複数の画像を、当該被検体への造影剤の注入の前後にわたって連続的に収集する画像収集手段と、
前記複数の画像のうちの一画像である第1の画像を少なくとも部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記複数の画像のうちの前記第1の画像とは異なる第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成する変形処理手段と、
前記各第2の画像と前記第3の画像の間でサブトラクションすることで、第1のサブトラクション画像を生成する画像生成手段と、
を具備することを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
前記第1の画像及び前記第2の画像が複数ある場合には、当該複数の第1の画像から前記各第2の画像との前記サブトラクション処理に利用する最適画像を選択する選択手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記変形処理手段は、前記第1の画像又は前記第2の画像上の標識となる被検体構造物の位置、形状その他の幾何学的情報に基づいて前記変形処理を実行し、前記第3の画像を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記変形処理手段は、
前記最適画像上に少なくとも一つの第1の関心領域を設定し、
前記各第2の画像上に前記第1の関心領域と対応させた少なくとも一つの第2の領域を設定し、
前記少なくとも一つの第1の関心領域と、前記少なくとも一つの第2の関心領域との間の位置ずれを検出することにより、前記各第2の画像に対する前記最適画像の位置ずれ量を取得し、当該前記位置ずれ量に基づいて、前記変形処理を実行すること、
を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記被検体への造影剤注入開始からの所定時間に基づいて、前記複数の画像を前記複数の第1画像と前記複数の第2画像とに区分する画像区分手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記撮影対象部位に応じて、前記所定時間、及び当該所定時間内の画像収集レートの少なくとも一方を所望の値に設定するための設定手段をさらに具備し、
前記画像区分手段は、前記設定手段によって前記所定時間が設定された場合には、
設定後の前記所定時間に基づいて、前記複数の第1画像と前記複数の第2画像との区分を実行し、
前記画像収集手段は、前記設定手段によって前記画像収集レートが設定された場合には、設定後の前記画像収集レートに基づいて、前記画像収集を実行すること、
を特徴とする請求項5記載の画像診断装置。
【請求項7】
前記選択手段は、前記複数の第1の画像から前記最適画像を選択するための複数の選択手法を有し、指定される撮影プログラムに応じて、前記複数の選択手法から選択手法を決定することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の画像診断装置。
【請求項8】
前記画像生成手段は、前記各第2の画像から前記最適画像をサブトラクションすることで、第2のサブトラクション画像を生成し、
前記変形処理手段により前記第3の画像が生成されるまでの間、前記画像収集手段によって収集された画像又は前記第2のサブトラクション画像を表示する表示手段をさらに具備すること、
を特徴とする請求項1乃至7のうちいずか一項記載の画像診断装置。
【請求項9】
前記複数の第2の画像と、前記第2の画像毎の前記第3の画像とを記憶する記憶手段をさらに具備し、
前記画像生成手段は、前記記憶手段に記憶された前記各第2の画像と前記第3の画像とを用いて、前記第1のサブトラクション画像を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の画像診断装置。
【請求項10】
前記複数の第1の画像と、前記複数の第2の画像と、前記第2の画像毎の前記最適画像としての前記第1の画像のフレーム番号と、を記憶する記憶手段をさらに具備し、
前記変形処理手段は、前記記憶手段に記憶された前記各第2の画像と、前記複数の第2の画像と、前記第2の画像毎の前記最適画像としての前記第1の画像のフレーム番号とを用いて前記変形処理を実行することで、前記第3の画像を事後的に生成し、
前記画像生成手段は、前記記憶手段に記憶された前記各第2の画像と事後的に生成された前記第3の画像とを用いて、前記第1のサブトラクション画像を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の画像診断装置。
【請求項11】
被検体への造影剤の注入の前後にわたって連続的に収集された、当該被検体の撮影対象部位に関する複数の画像を記憶する記憶手段と、
前記複数の画像のうちの一画像である第1の画像を少なくとも部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記複数の画像のうちの前記第1の画像とは異なる第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成する変形処理手段と、
前記各第2の画像と前記第3の画像の間でサブトラクションすることで、第1のサブトラクション画像を生成する画像生成手段と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
前記第1の画像及び前記第2の画像が複数ある場合には、当該複数の第1の画像から前記各第2の画像との前記サブトラクション処理に利用する最適画像を選択する選択手段をさらに具備することを特徴とする請求項11記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記変形処理手段は、前記第1の画像又は前記第2の画像上の標識となる被検体構造物の位置、形状その他の幾何学的情報に基づいて前記変形処理を実行し、前記第3の画像を生成することを特徴とする請求項11記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記変形処理手段は、
前記最適画像上に少なくとも一つの第1の関心領域を設定し、
前記各第2の画像上に前記第1の関心領域と対応させた少なくとも一つの第2の領域を設定し、
前記少なくとも一つの第1の関心領域と、前記少なくとも一つの第2の関心領域との間の位置ずれを検出することにより、前記各第2の画像に対する前記最適画像の位置ずれ量を取得し、当該前記位置ずれ量に基づいて、前記変形処理を実行すること、
を特徴とする請求項11又は13記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記選択手段は、前記複数の第1の画像から、初期設定又は所定の選択手法により前記最適画像として選択された所定の画像を、他の前記第1の画像に変更するための変更手段を有し、
前記変形処理手段は、変更された前記最適画像を部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記各第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成すること、
を特徴とする請求項11乃至14のうちいずれか一項記載の画像処理装置。
【請求項16】
コンピュータに、
被検体への造影剤の注入の前後にわたって連続的に収集された、当該被検体の撮影対象部位に関する複数の画像のうちの一画像である第1の画像を少なくとも部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記複数の画像のうちの前記第1の画像とは異なる第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成する第1の機能と、
前記各第2の画像と前記第3の画像の間でサブトラクションすることで、第1のサブトラクション画像を生成する第2の機能と、
を実現させるための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
前記第1の画像及び前記第2の画像が複数ある場合には、当該複数の第1の画像から前記各第2の画像との前記サブトラクション処理に利用する最適画像を選択する選択手段をさらに具備することを特徴とする請求項16記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
前記変形処理は、前記第1の画像又は前記第2の画像上の標識となる被検体構造物の位置、形状その他の幾何学的情報に基づいて前記変形処理を実行し、前記第3の画像を生成することを特徴とする請求項16又は17記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項19】
前記変形処理は、
前記最適画像上に少なくとも一つの第1の関心領域を設定し、
前記各第2の画像上に前記第1の関心領域と対応させた少なくとも一つの第2の領域を設定し、
前記少なくとも一つの第1の関心領域と、前記少なくとも一つの第2の関心領域との間の位置ずれを検出することにより、前記各第2の画像に対する前記最適画像の位置ずれ量を取得し、当該前記位置ずれ量に基づいて、前記変形処理を実行すること、
を特徴とする請求項16乃至18のうちいずれか一項記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
前記選択ステップにおいては、前記複数の第1の画像から前記最適画像を選択するための複数の選択手法を有し、指定される撮影プログラムに応じて、前記複数の選択手法から選択手法を決定することを特徴とする請求項16乃至19のうちいずれか一項記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項21】
前記選択ステップにおいては、前記複数の第1の画像から、初期設定又は所定の選択手法により前記最適画像として選択された所定の画像を、他の前記第1の画像に変更するための変更処理を実行し、
前記変形処理ステップにおいては、変更された前記最適画像を部分的に変形させる変形処理を実行することで、前記各第2の画像に表示された各種部位との位置合わせが施された第3の画像を生成すること、
を特徴とする請求項16乃至20のうちいずれか一項記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−87631(P2006−87631A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275994(P2004−275994)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(800000035)株式会社産学連携機構九州 (34)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】