画像読み取り装置および画像形成装置
【課題】複数の読み取り画素列にて画像の読み取りを行う画像読み取り装置等における画質の向上を図る。
【解決手段】R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の画素列を備えたセンサ部と、センサ部から出力された読み取り信号を遅延させて、読み取り信号の位置ずれを補正するFIFOメモリ342aと、補正された読み取り信号に対して、3本の画素列のうち特定の一つの画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の二つの画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行う補間処理部342bと、を備える。補間処理部342bは、さらに、可能であれば各読み取り信号の補正量が等しくなるように、2点間補間処理を行う。
【解決手段】R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の画素列を備えたセンサ部と、センサ部から出力された読み取り信号を遅延させて、読み取り信号の位置ずれを補正するFIFOメモリ342aと、補正された読み取り信号に対して、3本の画素列のうち特定の一つの画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の二つの画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行う補間処理部342bと、を備える。補間処理部342bは、さらに、可能であれば各読み取り信号の補正量が等しくなるように、2点間補間処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、R,G,Bの各色成分に対応した3ライン型固体撮像素子を備え、各色成分信号のライン単位での位置ずれをライン遅延処理によって補正するとともに、走査速度の増減に伴って生じる1ライン分未満の位置ずれを2点間補間処理によって補正する原稿読取装置において、2点間補間処理を施す補間処理回路23R,23Bを、3ライン型固体撮像素子17からのR色成分信号の出力系およびB色成分信号の出力系のみに設けた原稿読取装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−281324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の読み取り画素列にて画像の読み取りを行う画像読み取り装置等における画質の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
複数の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列の各画素から得られる信号電荷を電気信号に変換し、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置である。
請求項2に記載の発明は、
前記読み取り手段は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の前記読み取り画素列を備え、
前記第2の補正手段は、特定の1色に対応付けられた前記読み取り画素列を前記特定の一つの読み取り画素列とし、当該特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号補正量が、他の2色に対応付けられた二つの前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像読み取り装置である。
請求項3に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、複数の前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像読み取り装置である。
請求項4に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像読み取り装置である。
請求項5に記載の発明は、
前記特定の1色はG色であることを特徴とする、請求項2に記載の画像読み取り装置である。
請求項6に記載の発明は、
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の色ごとに画像を読み取り、RGB各色の読み取り信号を出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力されたRGB各色の前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正されたRGB各色の前記読み取り信号に対して、G色の読み取り信号に対する補正量が、他の2色の読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置である。
請求項7に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、RGB各色の前記読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項6に記載の画像読み取り装置である。
請求項8に記載の発明は、
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の二つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
前記第1の補正手段および前記第2の補正手段の一方または両方により補正された読み取り信号に基づき、画像形成材にて媒体上に画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする、画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、
前記特定の一つの読み取り画素列は、G色に対応付けられた読み取り画素列であることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、2点間補間処理に基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項2の発明によれば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)各色で画像を読み取る画像読み取り装置において、2点間補間処理に基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項3の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきを抑制し、さらなる画質の向上を図ることができる。
請求項4の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきをさらに抑制し、一層の画質の向上を図ることができる。
請求項5の発明によれば、G(Green)色の補正量が小さいことに基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項6の発明によれば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)各色で画像を読み取る画像読み取り装置において、G(Green)色の補正量が小さいことに基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項7の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきを抑制し、一層の画質の向上を図ることができる。
請求項8の発明によれば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)各色で画像を読み取る画像読み取り装置が搭載された画像形成装置において、2点間補間処理に基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項9の発明によれば、G(Green)色の補正量が小さいことに基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項10の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきを抑制し、一層の画質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の画像読み取り装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の画像読み取り機構の構成例を示す図である。
【図3】センサ部の構成例を示す図である。
【図4】信号処理部の構成例を示す図である。
【図5】ずれ補正部の構成例を示す図である。
【図6】センサ部の各画素列による出力信号のずれとずれ補正部による補正の内容を説明する図である。
【図7】各画素列の出力信号のずれ量が1ライン分に満たない例を示す図である。
【図8】副走査2点間補間処理を説明する図である。
【図9】本実施の形態による副走査2点間補間処理の例を示す図である。
【図10】図7〜図9に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。
【図11】本実施の形態による副走査2点間補間処理の他の例を示す図である。
【図12】図11に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。である。
【図13】上記の実施形態による画像読み取り装置を備えた画像形成装置の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像読み取り装置>
図1は、本実施形態の画像読み取り装置110の構成例を示す図である。
図示の画像読み取り装置110は、積載された原稿束から原稿を順次搬送する原稿送り装置10、スキャンによって画像を読み込むスキャナ装置70、読み込まれた画像信号を処理する処理装置200を備える。
【0009】
原稿送り装置10は、複数枚の原稿からなる原稿束が積載される第1原稿積載部11と、第1原稿積載部11を上昇および下降させるリフタ12とを備えている。また、リフタ12により上昇された第1原稿積載部11上の原稿を搬送する原稿搬送ロール13と、原稿搬送ロール13により搬送された原稿を更に下流側まで搬送するフィードロール14と、原稿搬送ロール13により搬送された原稿を1枚ずつ捌くリタードロール15とを備えている。また、原稿が搬送される原稿搬送路31には、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールまで搬送するテイクアウェイロール16、原稿を更に下流側のロールまで搬送すると共にループ作成を行うプレレジロール17が設けられている。
【0010】
さらに原稿搬送路31には、一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し原稿読み取り部に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給するレジロール18が備えられている。また、原稿搬送路31には、読み込み中の原稿搬送をアシストするプラテンロール19と、読み込まれた原稿を更に下流に搬送するアウトロール20が設けられている。さらに、原稿搬送路31には、搬送される原稿のループ状態に応じて支点を中心として回転するバッフル41が備えられている。また、プラテンロール19とアウトロール20との間には、原稿上の画像を読み取る画像読み取りユニット50が設けられている。さらにアウトロール20の原稿の搬送方向下流側には、読み込みが終了した原稿が積載される第2原稿積載部40が設けられているとともに、この第2原稿積載部40へ原稿を排出する排出ロール21が設けられている。
【0011】
ここで、原稿搬送ロール13は、待機時にはリフトアップされて退避位置に保持され、原稿搬送時にニップ位置(原稿搬送位置)へ降下して第1原稿積載部11上の最上位の原稿を搬送する。またフィードロール14は、原稿搬送ロール13により搬送が開始された原稿を更に下流側へと搬送する。またプレレジロール17は、停止しているレジロール18に原稿先端を突き当ててループを作成する。レジロール18では、ループ作成時にレジロール18に噛み込んだ原稿先端をニップ位置まで戻している。このループが形成されると、バッフル41は支点を中心として開き、原稿のループを妨げることのないように機能する。また、テイクアウェイロール16およびプレレジロール17は、読み込み中におけるループを保持している。このループ形成によって、読み込みタイミングの調整が図られ、また、原稿のスキューが抑制される。
【0012】
一方、スキャナ装置70は、上述した原稿送り装置10を装置フレーム71によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送される原稿の画像読み取りを行っている。このスキャナ装置70は、装置フレーム71の上部に、画像を読み込むべき原稿が静止させた状態で載せられる第1プラテンガラス72A、原稿送り装置10によって搬送中の原稿を読み取るための光の開口部を形成する第2プラテンガラス72Bを有している。なお本実施形態では、画像読み取り装置110の奥側に設けられた支点を中心として原稿送り装置10が回転できるようになっている。そして本実施形態では、原稿送り装置10をこの支点を中心として上方に回転させることで原稿送り装置10が上方に移動し、第1プラテンガラス72Aの上に原稿がセットできるようになっている。
【0013】
またスキャナ装置70は、第2プラテンガラス72Bの下に静止し、および第1プラテンガラス72Aの全体に亘ってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ73を備えている。またスキャナ装置70は、フルレートキャリッジ73から得られた光を像結合部へ提供するハーフレートキャリッジ75を備えている。フルレートキャリッジ73には、原稿に光を照射する照明ランプ74、原稿から得られた反射光を受光する第1ミラー76Aが設けられている。またハーフレートキャリッジ75には、第1ミラー76Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー76Bおよび第3ミラー76Cが設けられている。またスキャナ装置70は、第3ミラー76Cから得られた光学像を光学的に縮小する結像用レンズ77、結像用レンズ77によって結像された光学像を光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ78を備えている。また、スキャナ装置70には駆動基板79が設けられ、CCDイメージセンサ78によって得られたアナログ画像信号は駆動基板79上でデジタル画像信号に変換される。そして、このデジタル信号は処理装置200に送られる。
【0014】
ここで、第1プラテンガラス72Aに載せられた原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75とが、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。このとき、フルレートキャリッジ73の照明ランプ74の光が原稿の被読み取り面に照射されると共に、その原稿からの反射光が第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cの順に反射されて結像用レンズ77に導かれる。結像用レンズ77に導かれた光は、CCDイメージセンサ78の受光面に結像される。CCDイメージセンサ78は1次元のセンサであり、1ライン分を同時に処理している。このライン方向(スキャンの主走査方向)の1ラインの読み取りが終了すると、主走査方向とは直交する方向(副走査方向)にフルレートキャリッジ73は移動し、原稿の次のラインが読み取られる。これを原稿サイズ全体にわたって実行することで、1ページの原稿読み取りが完了する。
【0015】
また、原稿送り装置10によって搬送される原稿を読み取る場合には、原稿送り装置10によって搬送される原稿が第2プラテンガラス72Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75は、図1に示す実線の位置に停止した状態にある。そして、原稿送り装置10のプラテンロール19を経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cを経て結像用レンズ77にて結像され、CCDイメージセンサ78によって画像が読み込まれる。
【0016】
そして、1次元のセンサであるCCDイメージセンサ78によって主走査方向の1ライン分が同時に処理された後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。その後、原稿の後端が、第2プラテンガラス72Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの読み取りが完了する。なお本実施形態では、CCDイメージセンサ78により原稿の第一面の読み取りを行うときに、同時に画像読み取りユニット50によって、原稿の第二面の読み取りを行うこととしている。このようにすることで、原稿を何度も搬送することなく一回の搬送で原稿の両面を読み取ることが可能となる。ここで、上記の「同時」とは、時間の完全一致を意味するものではなく、原稿の同一の搬送時に、という意味である。
【0017】
画像読み取りユニット50は、プラテンロール19とアウトロール20との間に設けられる。ここで、原稿の第一面は、第2プラテンガラス72Bに押し当てられ、上記の通り、この第一面の画像はCCDイメージセンサ78により読み取られる。また、原稿の第二面の画像は、画像読み取りユニット50により読み取られる。
【0018】
画像読み取りユニット50は、原稿の第二面に光を照射する図示しないLED(Light Emitting Diode)を備えている。また画像読み取りユニット50には、原稿からの反射光をレンズにより集光した後に、集光された光を光電変換する図示しないラインセンサが設けられている。ここで、画像読み取りユニット50のラインセンサにより得られたアナログ画像データ信号は、デジタル画像信号に変換されて、処理装置200に送られる。
【0019】
<画像読み取り機構の構成>
次に、本実施形態の画像読み取り機構について説明する。
図2は、本実施形態の画像読み取り機構300の構成例を示す図である。
図2に示す画像読み取り機構300は、センサ部310と、センサ駆動部320と、信号変換部330と、信号処理部340と、制御部350とを備える。センサ部310は、例えば図1に示した画像読み取り装置110のCCDイメージセンサ78や画像読み取りユニット50のラインセンサとして実現される。センサ駆動部320および信号変換部330は、例えば図1に示した画像読み取り装置110の駆動基板79や画像読み取りユニット50のラインセンサを駆動する回路(駆動基板)の機能として実現される。信号処理部340および制御部350は、例えば図1に示した画像読み取り装置110の処理装置200として実現される。
【0020】
図3は、センサ部310の構成例を示す図である。
図3に示すセンサ部310は、読み取り対象の画像を読み取る読み取り手段であり、読み取り画素列としての3本の画素列(CCDラインセンサ)311〜313を備える。また、センサ部310は、電荷転送部として、画素列311〜313に各々1つずつ付設された転送レジスタ311a〜313aを備える。さらに、センサ部310は、各転送レジスタ311a〜313aから出力される信号電荷を電圧に変換して出力する出力部として、出力アンプ315〜317を備える。
【0021】
画素列311〜313は、例えば10μm×10μmの大きさのフォトダイオード(画素)をn個直線状に並列に配列して構成される。これら3ライン構成の画素列311〜313の受光面上には、RGB(Red(赤)、Green(緑)、Blue(青))の各色成分に対応したカラーフィルタが、それぞれ別個に設けられている。これにより、これらの画素列311〜313は、一組の読み取り画素列として、カラー画像を撮像するためのRGBの各色成分について光学像の読み取りを行う。なお、各画素列311〜313の配置間隔は、一般に等間隔である。
【0022】
上記のように、画素列311〜313には、各々1つの転送レジスタ311a〜313aが付設されている。画像読み取りにおいて画素列311〜313が受光により蓄積した電荷は、外部から与えられるシフトパルスにより、この転送レジスタ311a〜313aに垂直転送(シフト)される。転送レジスタ311a〜313aは、画素列311〜313から受け取った信号電荷を、メインクロック(転送用タイミング信号)により水平転送し、出力アンプ315〜317へ出力する。
【0023】
出力アンプ315〜317は、外部から与えられる最終段パルス(出力用タイミング信号)により、対応する転送レジスタ311a〜313aから出力された信号電荷に基づく出力信号を出力する。
【0024】
センサ駆動部320は、水平転送ドライバと、垂直転送ドライバと、出力ドライバとを備える(図示せず)。また、センサ駆動部320は、これらのドライバに電力を供給する電源(図示せず)を備える。水平転送ドライバは、転送レジスタ311a〜313aを駆動するためのメインクロック(水平転送クロック)をセンサ部310に供給する。垂直転送ドライバは、画素部311〜313から対応する各転送レジスタ311a〜313aへ信号電荷をシフト(垂直転送)させるためのシフトパルスをセンサ部310に供給する。出力ドライバは、出力アンプ315〜317を駆動するための最終段パルスをセンサ部310に供給する。
【0025】
信号変換部330は、センサ部310からの出力信号(アナログ信号)を増幅し、デジタル信号に変換(アナログ/デジタル変換)する。デジタル信号に変換されたセンサ部310の出力信号は、信号処理部340に送られる。なお、出力信号の増幅は、変換前のアナログ信号に対する増幅に代えて、またはこれに加えて、変換後のデジタル信号に対して行っても良い。
【0026】
図4は、信号処理部340の構成例を示す図である。
信号処理部340は、信号変換部330において増幅され、A/D変換された出力信号に対して必要な補正を行い、画像処理を行う。これにより、デジタルデータによる画像データが生成される。図4に示す信号処理部340は、光量分布補正部341と、ずれ補正部342と、画像処理部343とを備える。
【0027】
光量分布補正部341は、信号変換部330から受信した出力信号に対して、センサ部310における画素列311〜313を構成する各画素の感度のばらつきや光学系(図1参照)の光量分布特性に基づく各画素の実質的な感度のばらつきを補正する(いわゆるシェーディング補正)。
【0028】
図5は、ずれ補正部342の構成例を示す図である。
図5に示すように、ずれ補正部342は、遅延処理用のFIFO(First-In First-Out)メモリ342aと、副走査2点間補間処理を行う補間処理部342bとを備える。このずれ補正部342は、各画素列311〜313の配置間隔に基づいて生じる、読み取り画像の時間的なずれを補正(同時化)する。ずれ補正部342による具体的な処理の詳細については後述する。
【0029】
画像処理部343は、上記の各種の補正が行われた出力信号(読み取り画像)に対し、必要に応じて、例えば、色間変換処理、拡大縮小処理、地肌除去処理、2値化処理等の画像処理を行う。
【0030】
図2に示した制御部350は、画像読み取りの動作設定を行い、上記のセンサ駆動部320、信号変換部330、信号処理部340の各動作を制御する。これにより、センサ部310による画像読み取りが行われ、読み取った画像に対する各種の処理が行われて、デジタルデータ化された画像が得られる。
【0031】
<ずれ補正部による補正>
図3を参照して説明したように、本実施形態のセンサ部310は、3本の画素列311〜313を並列に並べて構成される。このセンサ部310において、画素列311〜313の伸びる方向が主走査方向であり、主走査方向に直角な方向が副走査方向である。画像を読み取る際には、このセンサ部310が読み取り対象の画像に対して副走査方向へ移動しながら、画素列311〜313の各々からの出力信号が得られる。ここで、画素列311〜313の各々が読み取る画像上の位置は、各画素列311〜313の配置に基づき、各画素列311〜313の間隔分だけずれる。したがって、各画素列311〜313によるRGB各色の出力信号は、各画素列311〜313の配置および読み取り速度(センサ部310の副走査方向への移動速度)に基づいて、1つの出力信号に対して他の2つの出力信号が遅延する。
【0032】
具体的には、例えば図3において画素列311側を副走査方向における進行方向とする場合を考える。この場合、画素列312の出力信号は、画素列311の出力信号に対し、画素列311と画素列312との間の距離と読み取り速度に基づく一定量だけ遅延する。同様に、画素列313の出力信号は、画素列311の出力信号に対し、画素列311と画素列313との間の距離と読み取り速度に基づく一定量だけ遅延する。
【0033】
ずれ補正部342は、上記のようにして発生する各画素列311〜313による出力信号(読み取り画像)のずれを補正する。図5に示したように、ずれ補正部342は、FIFOメモリ342aと、補間処理部342bとを備える。FIFOメモリ342aは、センサ部310を構成する画素の1列単位(1ライン単位)のずれを遅延処理によって補正する第1の補正手段である。補間処理部342bは、この画素の1ライン分に満たない量のずれを副走査2点間補間処理によって補正する第2の補正手段である。
【0034】
図6は、センサ部310の各画素列311〜313による出力信号のずれとずれ補正部342による補正の内容を説明する図である。
本実施の形態では、センサ部310の各画素列311〜313が、隙間なく配列されているものとする。すなわち、各画素列311〜313の間には、画素列1本分の距離(ギャップ)が存在する。また、RGB各色のうち、画素列311がR色に対応し、画素列312がG色に対応し、画素列313がB色に対応する。そして、センサ部310が副走査方向へ進行した場合、読み取り対象である画像の同じ箇所を画素列311(R色)、画素列312(G色)、画素列313(B色)の順に読み取るものとする。
【0035】
上述したように、各画素列311〜313の出力信号には、各画素列311〜313の間の距離(ギャップ)と読み取り速度との関係に基づく遅延が生じる。言い換えれば、各画素列311〜313の位置に対応して、各画素列311〜313が同時に読み取る画像の位置には位置ずれが存在する。また、画像読み取り装置110は、読み取りの際の解像度を変更した場合等、画像の読み取り速度が変わる場合がある。この場合、各画素列311〜313の出力信号の遅延量が変わり、各画素列311〜313が同時に読み取る画像の位置のずれ量も変わる。以下、場合を分けて、具体的に説明する。
【0036】
図6(a)は、各画素列311〜313による読み取りのタイミングを示す。図6(a)において、「R」、「G」、「B」の各ブロックの列は、各画素列311〜313における主走査方向の位置が同じ特定の画素(以下、特定画素)による出力信号を時系列に並べたものである。言い換えれば、「R」、「G」、「B」の各ブロック列は、読み取り対象の画像のうち、この特定画素に対応する位置で副走査方向に沿って伸びる帯状(線状)部分に対する読み取り信号の列である。
【0037】
図6(a)において、横方向に並ぶRGB各色のブロック(例えば、図示の二点鎖線で囲まれた範囲)は、特定の時点で各画素列311〜313の特定画素が同時に読み取った画像部分の読み取り信号を示す。また、各ブロック列の太線で示したブロックは、読み取り対象の画像における特定の同一箇所を読み取った場合の各画素列311〜313の特定画素による出力信号を示す。
【0038】
したがって、図6(a)を参照すると、読み取り対象の画像に対する各画素列311〜313の出力信号は、R色とG色との間で1ライン分、G色とB色との間で1ライン分(R色とB色との間で2ライン分)、それぞれずれていることがわかる。言い換えると、画素列312が特定の画像部分を読み取ったとき、画素列311は1ライン分先の位置の隣接する画像部分を同時に読み取っており、画素列313は1ライン分後の位置の隣接する画像部分を同時に読み取っている。
【0039】
この場合、ずれ補正部342による補正は、先行するR色およびG色の出力信号を遅延させることによって行われる。すなわち、R色の出力信号をFIFOメモリ342aにより2ライン分遅延させ、G色の出力信号をFIFOメモリ342aにより1ライン分遅延させることにより、各出力信号をB色の出力信号の位置に揃える。図6(b)は、図6(a)の出力信号において、R色およびG色の出力信号を遅延させてB色の出力信号に合わせた状態を示す。
【0040】
図6に示した例では、画像の同一箇所に対する各色の出力信号が画素列311〜313の1ライン分の整数倍だけずれていた。このため、FIFOメモリ342aにより先行する色の出力信号を遅延させることによって、1ラインの整数倍に相当する量のずれを吸収し、画像の同一箇所に対する各色の出力信号を揃えることができた。これに対し、各画素列311〜313の出力信号のずれ量が1ライン分の整数倍でない場合、FIFOメモリ342aを用いた遅延処理だけでは、1ライン分に満たない量のずれが残ってしまう。このような場合に、補間処理部342bによる副走査2点間補間処理が行われる。
【0041】
図7は、各画素列311〜313の出力信号のずれ量が1ライン分に満たない例を示す図である。
図7(a)に示す例では、各画素列311〜313の出力信号が0.5ライン分ずつずれている。この場合、R色の出力信号は、図7(b)に示すように、1ライン分遅延させることによってB色の出力信号と位置を合わせることができる。これに対しG色の出力信号は、R色およびB色のいずれの出力信号とも0.5ライン分ずれているため、FIFOメモリ342aを用いた遅延では位置を合わせることができない。そこで、副走査2点間補間処理により補正が行われる。
【0042】
図8は、副走査2点間補間処理を説明する図である。
副走査2点間補間処理とは、各画素列311〜313の各画素による出力信号に対し、図示のRGB各色のブロック列における副走査方向の隣り合う(すなわち時間的に連続する)2つのブロック(2点)の出力信号を用いて1ブロック分の出力信号を算出する処理である。ここでは、副走査2点間補間処理の手法を説明する都合上、簡単のため、G色に対してのみ副走査2点間補間処理を行う例について説明する。
【0043】
図8に示すように、求める1ブロック分の位置(図中、破線で示す箇所、以下、この仮想的なブロックを「仮想ブロック」と呼ぶ)の出力信号の強度(レベル)を、その仮想ブロックに重なる実際の2つのブロックの出力信号の強度を用いて算出する(以下、この実際のブロックを仮想ブロックと区別する場合は「実ブロック」と呼ぶ)。具体的には、隣り合う2つの実ブロック(図示の例では、太線の実ブロックおよびその直後に読み取られた実ブロック)の出力信号の強度にそれぞれ補間係数を乗じ、加算する。
【0044】
ここで、補間係数とは、出力信号の強度を求めようとする仮想ブロックに対して実ブロックが重なる割合を示す係数である。図7、図8に示した例では、R色、B色の出力信号に対して0.5ライン分ずれたG色の出力信号を補間処理するため、図8に示した仮想ブロックに対し、その前後の実ブロックは、50%ずつ重なっている。すなわち、各実ブロックの補間係数は0.5である。したがって、2つの実ブロックの出力信号の強度をDIN1、DIN2、仮想ブロックの出力信号の強度をDOUTとすると、下記の式により仮想ブロックの出力信号の強度DOUTが求まる。
DOUT=DIN1×0.5+DIN2×0.5
【0045】
一般的には、仮想ブロックに重なる2つの実ブロックのうち、一方の実ブロックが重なる割合をαで表すと、仮想ブロックの出力信号の強度DOUTは、次式で算出される。
DOUT=DIN1×α+DIN2×(1−α) (1)
ただし、仮想ブロックに対して割合αだけ重なっている実ブロックの出力信号の強度をDIN1とする。
【0046】
<本実施の形態による副走査2点間補間処理>
本実施の形態では、上記の副走査2点間補間処理を下記の条件に基づいて行う。
1.可能な限り多くの色の出力信号に関して、その出力信号に対する補正量が等しくなるように仮想ブロックを設定する。
2.G色の出力信号に対する補正量が最も大きくなるように(他の2色の出力信号と等しい場合を含む)仮想ブロックを設定する。
【0047】
条件1は、各色の出力信号に対する補正量の差が小さい方が、画質全体に及ぼす影響が小さいことに基づく。したがって、RGB全色の補正量を等しくすることができる場合は、そのように仮想ブロックを設定する。また、RGB全色の補正量を等しくすることができない場合であっても、2色の補正量を等しくすることができる場合は、そのように仮想ブロックを設定する。ただし、2色の補正量が等しいか否かは、RGB全色の補正量が等しいか否かの別と比較して、画質全体に及ぼす影響が小さいので、必ずしも2色の補正量が等しいという条件を満足しなくても良い。
【0048】
条件2は、G色の出力信号の補正量が他の色の出力信号の補正量よりも小さいと、画像形成装置等によって読み取った画像を出力した場合に、筋状の欠陥が生じやすいことに基づく。したがって、RGB全色の補正量を等しくすることができない場合は、まず条件2を満足し、かつ可能であれば他の2色の補正量が等しくなるように仮想ブロックを設定する。
【0049】
図9は、本実施の形態による副走査2点間補間処理の例を示す図である。
図9に示す例では、図7および図8に示した例と同様に、各画素列311〜313の出力信号が0.5ライン分ずつずれている。また、この例において、G色およびB色の仮想ブロックには、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線で記載)の75%が重なっている。ここで、図9(a)に示すように、R色の仮想ブロックには、同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線)の25%が重なっている。しかし、FIFOメモリ342aを用いて、R色の読み取り信号を1ライン分遅延させることにより、図9(b)に示すように、R色においても太線の実ブロックの75%が仮想ブロックに重なる。
【0050】
以上の操作により、RGB各色において、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロックが、等しい割合(75%)で仮想ブロックに重なった。したがって、上述した条件1および条件2を満足する。このとき、各仮想ブロックの出力信号の強度DOUTは、以下のようになる。
DOUT=DIN1×0.75+DIN2×0.25
ただし、太線の実ブロックの出力信号の強度をDIN1とする。
【0051】
図10は、図7〜図9に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。
図10に示すグラフにおいて、横軸は、仮想ブロックの位置を、実ブロックの位置に対するずれ量で示す。したがって、最小値が0(仮想ブロックが実ブロックに、完全に重なっている状態)、最大値が1(仮想ブロックが最初の実ブロックに隣接する実ブロックに、完全に重なっている状態)である。また、縦軸は、補間係数αを、仮想ブロックに重なる2つの実ブロックの補間係数のうち、小さい方の値で示す。これは、図9を参照して説明したように、実ブロックはFIFOメモリ342aを用いた遅延処理により1ライン単位で位置を補正できるためである。したがって、この縦軸の値は、最小値が0(実ブロックが仮想ブロックに、完全に重なっている状態)、最大値が0.5(隣り合う2つの実ブロックが0.5ライン分ずつ仮想ブロックに重なっている状態)である。
【0052】
図10に示す例では、G色の実ブロックの位置を基準として、グラフが示されている。すなわち、G色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0および1のときに0であり、仮想ブロックのずれ量が0.5のときに0.5である。また、R色およびB色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0および1のときに0.5であり、仮想ブロックのずれ量が0.5のときに0である。
【0053】
ここで、図10の例によれば、仮想ブロックのずれ量が0.25の位置および0.75の位置の2箇所で、RGB各色のグラフが全て重なっている。これは、仮想ブロックのずれ量がこの値のときに、RGB各色の実ブロックの補間係数が等しいことを表す。そして、図示の例において、このときの補間係数の値は0.25である。すなわち、図7〜図9に示したように、各画素列311〜313の出力信号が0.5ライン分ずつずれている場合には、補間係数α=0.25(または0.75(=1−0.25))となるように仮想ブロックを設定することで、RGB各色における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロックが等しい割合で重なることがわかる。
【0054】
上記のように、図9に示した例では、同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロックが等しい割合(75%)で重なるように仮想ブロックを設定することができた。しかし、出力信号のずれ量によっては、RGB各色の全ての実ブロックを等しい割合で仮想ブロックに重ねることができない場合がある。
【0055】
図11は、本実施の形態による副走査2点間補間処理の他の例を示す図である。
図11に示す例では、各画素列311〜313の出力信号が2/3ライン分ずつずれている。また、この例において、B色の仮想ブロックには、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線で記載)の83%が重なっている。G色の仮想ブロックには、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線で記載)の50%が重なっている。ここで、図11(a)に示すように、R色の仮想ブロックには、同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線)が重なっていない。しかし、FIFOメモリ342aを用いて、R色の読み取り信号を1ライン分遅延させることにより、図11(b)に示すように、R色においても太線の実ブロックの83%が仮想ブロックに重なる。
【0056】
ここで、RGB各色の出力信号に対して副走査2点間補間処理を行うと、補間係数の値が0.5であるG色の補正量は、補間係数の値が0.83(または0.17(=1−0.83))である他の2色の補正量よりも大きい。したがって、上述した条件2を満足する。また、R色およびB色の補正量が等しいため、条件1も満足する。なお、各仮想ブロックの出力信号の強度DOUTは、上述した一般式(1)を適用して求められる。
【0057】
図12は、図11に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。
図12に示すグラフにおいて、横軸および縦軸は、図10に示したグラフと同様である。図12に示す例では、B色の実ブロックの位置を基準として、グラフが示されている。すなわち、G色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0および1のときに0であり、仮想ブロックのずれ量が0.5のときに0.5である。また、R色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0.33のときに0であり、仮想ブロックのずれ量が0.83のときに0.5である。
【0058】
ここで、図12の例によれば、G色の補間係数は、仮想ブロックのずれ量が0から0.33までの間でのみ最も大きい値となっている(これ以外のずれ量の場合、B色の補間係数またはR色の補間係数の少なくとも一方の値が、G色の補間係数の値よりも大きい)。したがって、上記の条件2を満足するには、仮想ブロックのずれ量が0から0.33までの間であることが必要である。
【0059】
次に、仮想ブロックのずれ量が0のとき、G色の補間係数の値とR色の補間係数の値とは等しい。また、仮想ブロックのずれ量が0.33のとき、G色の補間係数の値とB色の補間係数の値とは等しい。また、仮想ブロックのずれ量が0.17のとき、B色の補間係数の値とR色の補間係数の値とは等しい。したがって、条件1を満足するためには、仮想ブロックのずれ量を0または0.17または0.33とすれば良い。
【0060】
以上のようにして、上述した条件1および条件2を満足する副走査2点間補間処理が実現された。なお、本実施の形態では、条件2として、G色の出力信号に対する補正量が最も大きくなるように(言い換えれば、他の2色の出力信号に対する補正量よりも小さくならないように)仮想ブロックを設定した。これに対し、G色以外の色の出力信号に対する補正量がG色の出力信号に対する補正量よりも大きくすることにより実現される画質の劣化の改善を優先させる場合は、条件2に代えて、そのような画質の改善を実現するための他の条件を適用しても良い。
【0061】
<画像形成装置の構成>
次に、他の実施形態として、上記の画像読み取り装置110を備えた画像形成装置について説明する。
図13は、上記の実施形態による画像読み取り装置110を備えた画像形成装置の機能構成を示す図である。
図13に示す画像形成装置100は、画像読み取り装置110と、装置の動作制御を行う装置制御部120と、トナーやインク等の画像形成材を用いて媒体である用紙等に画像を形成する画像形成部130とを備える。
【0062】
画像読み取り装置110は、図1に示した画像読み取り装置110と同様の構成を備える。この画像読み取り装置110は、上記黒シェーディング処理等の各処理を実行する機能を備える。
【0063】
装置制御部120は、CPU、CPUが実行するプログラムを格納したROM、作業用メモリであるRAM等で実現される。この装置制御部120は、予めインストールされたプログラムおよび各種設定に基づき、画像読み取り装置110および画像形成部130の動作制御、図示しない表示装置への表示、図示しないインターフェイスによる入力受け付けやデータ交換等、各種処理の制御を行う。また、装置制御部120は、媒体上に形成される画像を生成する。
【0064】
画像形成部130は、画像読み取り装置110が読み取った画像を、トナーやインク等の画像形成材を用いて、用紙等の媒体上に印刷する。なお、ここでは、印刷方式については限定しない。すなわち、電子写真方式や、インクジェット方式、サーマル方式等、種々の方式の印刷手段により本実施形態の画像形成部130を構成し得る。
【符号の説明】
【0065】
300…画像読み取り機構、310…センサ部、311〜313…画素列、320…センサ駆動部、330…信号変換部、340…信号処理部、342…ずれ補正部、342a…FIFOメモリ、342b…補間処理部、350…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、R,G,Bの各色成分に対応した3ライン型固体撮像素子を備え、各色成分信号のライン単位での位置ずれをライン遅延処理によって補正するとともに、走査速度の増減に伴って生じる1ライン分未満の位置ずれを2点間補間処理によって補正する原稿読取装置において、2点間補間処理を施す補間処理回路23R,23Bを、3ライン型固体撮像素子17からのR色成分信号の出力系およびB色成分信号の出力系のみに設けた原稿読取装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−281324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の読み取り画素列にて画像の読み取りを行う画像読み取り装置等における画質の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
複数の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列の各画素から得られる信号電荷を電気信号に変換し、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置である。
請求項2に記載の発明は、
前記読み取り手段は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の前記読み取り画素列を備え、
前記第2の補正手段は、特定の1色に対応付けられた前記読み取り画素列を前記特定の一つの読み取り画素列とし、当該特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号補正量が、他の2色に対応付けられた二つの前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像読み取り装置である。
請求項3に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、複数の前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像読み取り装置である。
請求項4に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像読み取り装置である。
請求項5に記載の発明は、
前記特定の1色はG色であることを特徴とする、請求項2に記載の画像読み取り装置である。
請求項6に記載の発明は、
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の色ごとに画像を読み取り、RGB各色の読み取り信号を出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力されたRGB各色の前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正されたRGB各色の前記読み取り信号に対して、G色の読み取り信号に対する補正量が、他の2色の読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置である。
請求項7に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、RGB各色の前記読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項6に記載の画像読み取り装置である。
請求項8に記載の発明は、
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の二つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
前記第1の補正手段および前記第2の補正手段の一方または両方により補正された読み取り信号に基づき、画像形成材にて媒体上に画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする、画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、
前記特定の一つの読み取り画素列は、G色に対応付けられた読み取り画素列であることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、2点間補間処理に基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項2の発明によれば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)各色で画像を読み取る画像読み取り装置において、2点間補間処理に基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項3の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきを抑制し、さらなる画質の向上を図ることができる。
請求項4の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきをさらに抑制し、一層の画質の向上を図ることができる。
請求項5の発明によれば、G(Green)色の補正量が小さいことに基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項6の発明によれば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)各色で画像を読み取る画像読み取り装置において、G(Green)色の補正量が小さいことに基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項7の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきを抑制し、一層の画質の向上を図ることができる。
請求項8の発明によれば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)各色で画像を読み取る画像読み取り装置が搭載された画像形成装置において、2点間補間処理に基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項9の発明によれば、G(Green)色の補正量が小さいことに基づく筋状の欠陥の発生を軽減させ、画質の向上を図ることができる。
請求項10の発明によれば、2点間補間処理における補正量のばらつきを抑制し、一層の画質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の画像読み取り装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の画像読み取り機構の構成例を示す図である。
【図3】センサ部の構成例を示す図である。
【図4】信号処理部の構成例を示す図である。
【図5】ずれ補正部の構成例を示す図である。
【図6】センサ部の各画素列による出力信号のずれとずれ補正部による補正の内容を説明する図である。
【図7】各画素列の出力信号のずれ量が1ライン分に満たない例を示す図である。
【図8】副走査2点間補間処理を説明する図である。
【図9】本実施の形態による副走査2点間補間処理の例を示す図である。
【図10】図7〜図9に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。
【図11】本実施の形態による副走査2点間補間処理の他の例を示す図である。
【図12】図11に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。である。
【図13】上記の実施形態による画像読み取り装置を備えた画像形成装置の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像読み取り装置>
図1は、本実施形態の画像読み取り装置110の構成例を示す図である。
図示の画像読み取り装置110は、積載された原稿束から原稿を順次搬送する原稿送り装置10、スキャンによって画像を読み込むスキャナ装置70、読み込まれた画像信号を処理する処理装置200を備える。
【0009】
原稿送り装置10は、複数枚の原稿からなる原稿束が積載される第1原稿積載部11と、第1原稿積載部11を上昇および下降させるリフタ12とを備えている。また、リフタ12により上昇された第1原稿積載部11上の原稿を搬送する原稿搬送ロール13と、原稿搬送ロール13により搬送された原稿を更に下流側まで搬送するフィードロール14と、原稿搬送ロール13により搬送された原稿を1枚ずつ捌くリタードロール15とを備えている。また、原稿が搬送される原稿搬送路31には、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールまで搬送するテイクアウェイロール16、原稿を更に下流側のロールまで搬送すると共にループ作成を行うプレレジロール17が設けられている。
【0010】
さらに原稿搬送路31には、一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し原稿読み取り部に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給するレジロール18が備えられている。また、原稿搬送路31には、読み込み中の原稿搬送をアシストするプラテンロール19と、読み込まれた原稿を更に下流に搬送するアウトロール20が設けられている。さらに、原稿搬送路31には、搬送される原稿のループ状態に応じて支点を中心として回転するバッフル41が備えられている。また、プラテンロール19とアウトロール20との間には、原稿上の画像を読み取る画像読み取りユニット50が設けられている。さらにアウトロール20の原稿の搬送方向下流側には、読み込みが終了した原稿が積載される第2原稿積載部40が設けられているとともに、この第2原稿積載部40へ原稿を排出する排出ロール21が設けられている。
【0011】
ここで、原稿搬送ロール13は、待機時にはリフトアップされて退避位置に保持され、原稿搬送時にニップ位置(原稿搬送位置)へ降下して第1原稿積載部11上の最上位の原稿を搬送する。またフィードロール14は、原稿搬送ロール13により搬送が開始された原稿を更に下流側へと搬送する。またプレレジロール17は、停止しているレジロール18に原稿先端を突き当ててループを作成する。レジロール18では、ループ作成時にレジロール18に噛み込んだ原稿先端をニップ位置まで戻している。このループが形成されると、バッフル41は支点を中心として開き、原稿のループを妨げることのないように機能する。また、テイクアウェイロール16およびプレレジロール17は、読み込み中におけるループを保持している。このループ形成によって、読み込みタイミングの調整が図られ、また、原稿のスキューが抑制される。
【0012】
一方、スキャナ装置70は、上述した原稿送り装置10を装置フレーム71によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送される原稿の画像読み取りを行っている。このスキャナ装置70は、装置フレーム71の上部に、画像を読み込むべき原稿が静止させた状態で載せられる第1プラテンガラス72A、原稿送り装置10によって搬送中の原稿を読み取るための光の開口部を形成する第2プラテンガラス72Bを有している。なお本実施形態では、画像読み取り装置110の奥側に設けられた支点を中心として原稿送り装置10が回転できるようになっている。そして本実施形態では、原稿送り装置10をこの支点を中心として上方に回転させることで原稿送り装置10が上方に移動し、第1プラテンガラス72Aの上に原稿がセットできるようになっている。
【0013】
またスキャナ装置70は、第2プラテンガラス72Bの下に静止し、および第1プラテンガラス72Aの全体に亘ってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ73を備えている。またスキャナ装置70は、フルレートキャリッジ73から得られた光を像結合部へ提供するハーフレートキャリッジ75を備えている。フルレートキャリッジ73には、原稿に光を照射する照明ランプ74、原稿から得られた反射光を受光する第1ミラー76Aが設けられている。またハーフレートキャリッジ75には、第1ミラー76Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー76Bおよび第3ミラー76Cが設けられている。またスキャナ装置70は、第3ミラー76Cから得られた光学像を光学的に縮小する結像用レンズ77、結像用レンズ77によって結像された光学像を光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ78を備えている。また、スキャナ装置70には駆動基板79が設けられ、CCDイメージセンサ78によって得られたアナログ画像信号は駆動基板79上でデジタル画像信号に変換される。そして、このデジタル信号は処理装置200に送られる。
【0014】
ここで、第1プラテンガラス72Aに載せられた原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75とが、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。このとき、フルレートキャリッジ73の照明ランプ74の光が原稿の被読み取り面に照射されると共に、その原稿からの反射光が第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cの順に反射されて結像用レンズ77に導かれる。結像用レンズ77に導かれた光は、CCDイメージセンサ78の受光面に結像される。CCDイメージセンサ78は1次元のセンサであり、1ライン分を同時に処理している。このライン方向(スキャンの主走査方向)の1ラインの読み取りが終了すると、主走査方向とは直交する方向(副走査方向)にフルレートキャリッジ73は移動し、原稿の次のラインが読み取られる。これを原稿サイズ全体にわたって実行することで、1ページの原稿読み取りが完了する。
【0015】
また、原稿送り装置10によって搬送される原稿を読み取る場合には、原稿送り装置10によって搬送される原稿が第2プラテンガラス72Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75は、図1に示す実線の位置に停止した状態にある。そして、原稿送り装置10のプラテンロール19を経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cを経て結像用レンズ77にて結像され、CCDイメージセンサ78によって画像が読み込まれる。
【0016】
そして、1次元のセンサであるCCDイメージセンサ78によって主走査方向の1ライン分が同時に処理された後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。その後、原稿の後端が、第2プラテンガラス72Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの読み取りが完了する。なお本実施形態では、CCDイメージセンサ78により原稿の第一面の読み取りを行うときに、同時に画像読み取りユニット50によって、原稿の第二面の読み取りを行うこととしている。このようにすることで、原稿を何度も搬送することなく一回の搬送で原稿の両面を読み取ることが可能となる。ここで、上記の「同時」とは、時間の完全一致を意味するものではなく、原稿の同一の搬送時に、という意味である。
【0017】
画像読み取りユニット50は、プラテンロール19とアウトロール20との間に設けられる。ここで、原稿の第一面は、第2プラテンガラス72Bに押し当てられ、上記の通り、この第一面の画像はCCDイメージセンサ78により読み取られる。また、原稿の第二面の画像は、画像読み取りユニット50により読み取られる。
【0018】
画像読み取りユニット50は、原稿の第二面に光を照射する図示しないLED(Light Emitting Diode)を備えている。また画像読み取りユニット50には、原稿からの反射光をレンズにより集光した後に、集光された光を光電変換する図示しないラインセンサが設けられている。ここで、画像読み取りユニット50のラインセンサにより得られたアナログ画像データ信号は、デジタル画像信号に変換されて、処理装置200に送られる。
【0019】
<画像読み取り機構の構成>
次に、本実施形態の画像読み取り機構について説明する。
図2は、本実施形態の画像読み取り機構300の構成例を示す図である。
図2に示す画像読み取り機構300は、センサ部310と、センサ駆動部320と、信号変換部330と、信号処理部340と、制御部350とを備える。センサ部310は、例えば図1に示した画像読み取り装置110のCCDイメージセンサ78や画像読み取りユニット50のラインセンサとして実現される。センサ駆動部320および信号変換部330は、例えば図1に示した画像読み取り装置110の駆動基板79や画像読み取りユニット50のラインセンサを駆動する回路(駆動基板)の機能として実現される。信号処理部340および制御部350は、例えば図1に示した画像読み取り装置110の処理装置200として実現される。
【0020】
図3は、センサ部310の構成例を示す図である。
図3に示すセンサ部310は、読み取り対象の画像を読み取る読み取り手段であり、読み取り画素列としての3本の画素列(CCDラインセンサ)311〜313を備える。また、センサ部310は、電荷転送部として、画素列311〜313に各々1つずつ付設された転送レジスタ311a〜313aを備える。さらに、センサ部310は、各転送レジスタ311a〜313aから出力される信号電荷を電圧に変換して出力する出力部として、出力アンプ315〜317を備える。
【0021】
画素列311〜313は、例えば10μm×10μmの大きさのフォトダイオード(画素)をn個直線状に並列に配列して構成される。これら3ライン構成の画素列311〜313の受光面上には、RGB(Red(赤)、Green(緑)、Blue(青))の各色成分に対応したカラーフィルタが、それぞれ別個に設けられている。これにより、これらの画素列311〜313は、一組の読み取り画素列として、カラー画像を撮像するためのRGBの各色成分について光学像の読み取りを行う。なお、各画素列311〜313の配置間隔は、一般に等間隔である。
【0022】
上記のように、画素列311〜313には、各々1つの転送レジスタ311a〜313aが付設されている。画像読み取りにおいて画素列311〜313が受光により蓄積した電荷は、外部から与えられるシフトパルスにより、この転送レジスタ311a〜313aに垂直転送(シフト)される。転送レジスタ311a〜313aは、画素列311〜313から受け取った信号電荷を、メインクロック(転送用タイミング信号)により水平転送し、出力アンプ315〜317へ出力する。
【0023】
出力アンプ315〜317は、外部から与えられる最終段パルス(出力用タイミング信号)により、対応する転送レジスタ311a〜313aから出力された信号電荷に基づく出力信号を出力する。
【0024】
センサ駆動部320は、水平転送ドライバと、垂直転送ドライバと、出力ドライバとを備える(図示せず)。また、センサ駆動部320は、これらのドライバに電力を供給する電源(図示せず)を備える。水平転送ドライバは、転送レジスタ311a〜313aを駆動するためのメインクロック(水平転送クロック)をセンサ部310に供給する。垂直転送ドライバは、画素部311〜313から対応する各転送レジスタ311a〜313aへ信号電荷をシフト(垂直転送)させるためのシフトパルスをセンサ部310に供給する。出力ドライバは、出力アンプ315〜317を駆動するための最終段パルスをセンサ部310に供給する。
【0025】
信号変換部330は、センサ部310からの出力信号(アナログ信号)を増幅し、デジタル信号に変換(アナログ/デジタル変換)する。デジタル信号に変換されたセンサ部310の出力信号は、信号処理部340に送られる。なお、出力信号の増幅は、変換前のアナログ信号に対する増幅に代えて、またはこれに加えて、変換後のデジタル信号に対して行っても良い。
【0026】
図4は、信号処理部340の構成例を示す図である。
信号処理部340は、信号変換部330において増幅され、A/D変換された出力信号に対して必要な補正を行い、画像処理を行う。これにより、デジタルデータによる画像データが生成される。図4に示す信号処理部340は、光量分布補正部341と、ずれ補正部342と、画像処理部343とを備える。
【0027】
光量分布補正部341は、信号変換部330から受信した出力信号に対して、センサ部310における画素列311〜313を構成する各画素の感度のばらつきや光学系(図1参照)の光量分布特性に基づく各画素の実質的な感度のばらつきを補正する(いわゆるシェーディング補正)。
【0028】
図5は、ずれ補正部342の構成例を示す図である。
図5に示すように、ずれ補正部342は、遅延処理用のFIFO(First-In First-Out)メモリ342aと、副走査2点間補間処理を行う補間処理部342bとを備える。このずれ補正部342は、各画素列311〜313の配置間隔に基づいて生じる、読み取り画像の時間的なずれを補正(同時化)する。ずれ補正部342による具体的な処理の詳細については後述する。
【0029】
画像処理部343は、上記の各種の補正が行われた出力信号(読み取り画像)に対し、必要に応じて、例えば、色間変換処理、拡大縮小処理、地肌除去処理、2値化処理等の画像処理を行う。
【0030】
図2に示した制御部350は、画像読み取りの動作設定を行い、上記のセンサ駆動部320、信号変換部330、信号処理部340の各動作を制御する。これにより、センサ部310による画像読み取りが行われ、読み取った画像に対する各種の処理が行われて、デジタルデータ化された画像が得られる。
【0031】
<ずれ補正部による補正>
図3を参照して説明したように、本実施形態のセンサ部310は、3本の画素列311〜313を並列に並べて構成される。このセンサ部310において、画素列311〜313の伸びる方向が主走査方向であり、主走査方向に直角な方向が副走査方向である。画像を読み取る際には、このセンサ部310が読み取り対象の画像に対して副走査方向へ移動しながら、画素列311〜313の各々からの出力信号が得られる。ここで、画素列311〜313の各々が読み取る画像上の位置は、各画素列311〜313の配置に基づき、各画素列311〜313の間隔分だけずれる。したがって、各画素列311〜313によるRGB各色の出力信号は、各画素列311〜313の配置および読み取り速度(センサ部310の副走査方向への移動速度)に基づいて、1つの出力信号に対して他の2つの出力信号が遅延する。
【0032】
具体的には、例えば図3において画素列311側を副走査方向における進行方向とする場合を考える。この場合、画素列312の出力信号は、画素列311の出力信号に対し、画素列311と画素列312との間の距離と読み取り速度に基づく一定量だけ遅延する。同様に、画素列313の出力信号は、画素列311の出力信号に対し、画素列311と画素列313との間の距離と読み取り速度に基づく一定量だけ遅延する。
【0033】
ずれ補正部342は、上記のようにして発生する各画素列311〜313による出力信号(読み取り画像)のずれを補正する。図5に示したように、ずれ補正部342は、FIFOメモリ342aと、補間処理部342bとを備える。FIFOメモリ342aは、センサ部310を構成する画素の1列単位(1ライン単位)のずれを遅延処理によって補正する第1の補正手段である。補間処理部342bは、この画素の1ライン分に満たない量のずれを副走査2点間補間処理によって補正する第2の補正手段である。
【0034】
図6は、センサ部310の各画素列311〜313による出力信号のずれとずれ補正部342による補正の内容を説明する図である。
本実施の形態では、センサ部310の各画素列311〜313が、隙間なく配列されているものとする。すなわち、各画素列311〜313の間には、画素列1本分の距離(ギャップ)が存在する。また、RGB各色のうち、画素列311がR色に対応し、画素列312がG色に対応し、画素列313がB色に対応する。そして、センサ部310が副走査方向へ進行した場合、読み取り対象である画像の同じ箇所を画素列311(R色)、画素列312(G色)、画素列313(B色)の順に読み取るものとする。
【0035】
上述したように、各画素列311〜313の出力信号には、各画素列311〜313の間の距離(ギャップ)と読み取り速度との関係に基づく遅延が生じる。言い換えれば、各画素列311〜313の位置に対応して、各画素列311〜313が同時に読み取る画像の位置には位置ずれが存在する。また、画像読み取り装置110は、読み取りの際の解像度を変更した場合等、画像の読み取り速度が変わる場合がある。この場合、各画素列311〜313の出力信号の遅延量が変わり、各画素列311〜313が同時に読み取る画像の位置のずれ量も変わる。以下、場合を分けて、具体的に説明する。
【0036】
図6(a)は、各画素列311〜313による読み取りのタイミングを示す。図6(a)において、「R」、「G」、「B」の各ブロックの列は、各画素列311〜313における主走査方向の位置が同じ特定の画素(以下、特定画素)による出力信号を時系列に並べたものである。言い換えれば、「R」、「G」、「B」の各ブロック列は、読み取り対象の画像のうち、この特定画素に対応する位置で副走査方向に沿って伸びる帯状(線状)部分に対する読み取り信号の列である。
【0037】
図6(a)において、横方向に並ぶRGB各色のブロック(例えば、図示の二点鎖線で囲まれた範囲)は、特定の時点で各画素列311〜313の特定画素が同時に読み取った画像部分の読み取り信号を示す。また、各ブロック列の太線で示したブロックは、読み取り対象の画像における特定の同一箇所を読み取った場合の各画素列311〜313の特定画素による出力信号を示す。
【0038】
したがって、図6(a)を参照すると、読み取り対象の画像に対する各画素列311〜313の出力信号は、R色とG色との間で1ライン分、G色とB色との間で1ライン分(R色とB色との間で2ライン分)、それぞれずれていることがわかる。言い換えると、画素列312が特定の画像部分を読み取ったとき、画素列311は1ライン分先の位置の隣接する画像部分を同時に読み取っており、画素列313は1ライン分後の位置の隣接する画像部分を同時に読み取っている。
【0039】
この場合、ずれ補正部342による補正は、先行するR色およびG色の出力信号を遅延させることによって行われる。すなわち、R色の出力信号をFIFOメモリ342aにより2ライン分遅延させ、G色の出力信号をFIFOメモリ342aにより1ライン分遅延させることにより、各出力信号をB色の出力信号の位置に揃える。図6(b)は、図6(a)の出力信号において、R色およびG色の出力信号を遅延させてB色の出力信号に合わせた状態を示す。
【0040】
図6に示した例では、画像の同一箇所に対する各色の出力信号が画素列311〜313の1ライン分の整数倍だけずれていた。このため、FIFOメモリ342aにより先行する色の出力信号を遅延させることによって、1ラインの整数倍に相当する量のずれを吸収し、画像の同一箇所に対する各色の出力信号を揃えることができた。これに対し、各画素列311〜313の出力信号のずれ量が1ライン分の整数倍でない場合、FIFOメモリ342aを用いた遅延処理だけでは、1ライン分に満たない量のずれが残ってしまう。このような場合に、補間処理部342bによる副走査2点間補間処理が行われる。
【0041】
図7は、各画素列311〜313の出力信号のずれ量が1ライン分に満たない例を示す図である。
図7(a)に示す例では、各画素列311〜313の出力信号が0.5ライン分ずつずれている。この場合、R色の出力信号は、図7(b)に示すように、1ライン分遅延させることによってB色の出力信号と位置を合わせることができる。これに対しG色の出力信号は、R色およびB色のいずれの出力信号とも0.5ライン分ずれているため、FIFOメモリ342aを用いた遅延では位置を合わせることができない。そこで、副走査2点間補間処理により補正が行われる。
【0042】
図8は、副走査2点間補間処理を説明する図である。
副走査2点間補間処理とは、各画素列311〜313の各画素による出力信号に対し、図示のRGB各色のブロック列における副走査方向の隣り合う(すなわち時間的に連続する)2つのブロック(2点)の出力信号を用いて1ブロック分の出力信号を算出する処理である。ここでは、副走査2点間補間処理の手法を説明する都合上、簡単のため、G色に対してのみ副走査2点間補間処理を行う例について説明する。
【0043】
図8に示すように、求める1ブロック分の位置(図中、破線で示す箇所、以下、この仮想的なブロックを「仮想ブロック」と呼ぶ)の出力信号の強度(レベル)を、その仮想ブロックに重なる実際の2つのブロックの出力信号の強度を用いて算出する(以下、この実際のブロックを仮想ブロックと区別する場合は「実ブロック」と呼ぶ)。具体的には、隣り合う2つの実ブロック(図示の例では、太線の実ブロックおよびその直後に読み取られた実ブロック)の出力信号の強度にそれぞれ補間係数を乗じ、加算する。
【0044】
ここで、補間係数とは、出力信号の強度を求めようとする仮想ブロックに対して実ブロックが重なる割合を示す係数である。図7、図8に示した例では、R色、B色の出力信号に対して0.5ライン分ずれたG色の出力信号を補間処理するため、図8に示した仮想ブロックに対し、その前後の実ブロックは、50%ずつ重なっている。すなわち、各実ブロックの補間係数は0.5である。したがって、2つの実ブロックの出力信号の強度をDIN1、DIN2、仮想ブロックの出力信号の強度をDOUTとすると、下記の式により仮想ブロックの出力信号の強度DOUTが求まる。
DOUT=DIN1×0.5+DIN2×0.5
【0045】
一般的には、仮想ブロックに重なる2つの実ブロックのうち、一方の実ブロックが重なる割合をαで表すと、仮想ブロックの出力信号の強度DOUTは、次式で算出される。
DOUT=DIN1×α+DIN2×(1−α) (1)
ただし、仮想ブロックに対して割合αだけ重なっている実ブロックの出力信号の強度をDIN1とする。
【0046】
<本実施の形態による副走査2点間補間処理>
本実施の形態では、上記の副走査2点間補間処理を下記の条件に基づいて行う。
1.可能な限り多くの色の出力信号に関して、その出力信号に対する補正量が等しくなるように仮想ブロックを設定する。
2.G色の出力信号に対する補正量が最も大きくなるように(他の2色の出力信号と等しい場合を含む)仮想ブロックを設定する。
【0047】
条件1は、各色の出力信号に対する補正量の差が小さい方が、画質全体に及ぼす影響が小さいことに基づく。したがって、RGB全色の補正量を等しくすることができる場合は、そのように仮想ブロックを設定する。また、RGB全色の補正量を等しくすることができない場合であっても、2色の補正量を等しくすることができる場合は、そのように仮想ブロックを設定する。ただし、2色の補正量が等しいか否かは、RGB全色の補正量が等しいか否かの別と比較して、画質全体に及ぼす影響が小さいので、必ずしも2色の補正量が等しいという条件を満足しなくても良い。
【0048】
条件2は、G色の出力信号の補正量が他の色の出力信号の補正量よりも小さいと、画像形成装置等によって読み取った画像を出力した場合に、筋状の欠陥が生じやすいことに基づく。したがって、RGB全色の補正量を等しくすることができない場合は、まず条件2を満足し、かつ可能であれば他の2色の補正量が等しくなるように仮想ブロックを設定する。
【0049】
図9は、本実施の形態による副走査2点間補間処理の例を示す図である。
図9に示す例では、図7および図8に示した例と同様に、各画素列311〜313の出力信号が0.5ライン分ずつずれている。また、この例において、G色およびB色の仮想ブロックには、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線で記載)の75%が重なっている。ここで、図9(a)に示すように、R色の仮想ブロックには、同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線)の25%が重なっている。しかし、FIFOメモリ342aを用いて、R色の読み取り信号を1ライン分遅延させることにより、図9(b)に示すように、R色においても太線の実ブロックの75%が仮想ブロックに重なる。
【0050】
以上の操作により、RGB各色において、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロックが、等しい割合(75%)で仮想ブロックに重なった。したがって、上述した条件1および条件2を満足する。このとき、各仮想ブロックの出力信号の強度DOUTは、以下のようになる。
DOUT=DIN1×0.75+DIN2×0.25
ただし、太線の実ブロックの出力信号の強度をDIN1とする。
【0051】
図10は、図7〜図9に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。
図10に示すグラフにおいて、横軸は、仮想ブロックの位置を、実ブロックの位置に対するずれ量で示す。したがって、最小値が0(仮想ブロックが実ブロックに、完全に重なっている状態)、最大値が1(仮想ブロックが最初の実ブロックに隣接する実ブロックに、完全に重なっている状態)である。また、縦軸は、補間係数αを、仮想ブロックに重なる2つの実ブロックの補間係数のうち、小さい方の値で示す。これは、図9を参照して説明したように、実ブロックはFIFOメモリ342aを用いた遅延処理により1ライン単位で位置を補正できるためである。したがって、この縦軸の値は、最小値が0(実ブロックが仮想ブロックに、完全に重なっている状態)、最大値が0.5(隣り合う2つの実ブロックが0.5ライン分ずつ仮想ブロックに重なっている状態)である。
【0052】
図10に示す例では、G色の実ブロックの位置を基準として、グラフが示されている。すなわち、G色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0および1のときに0であり、仮想ブロックのずれ量が0.5のときに0.5である。また、R色およびB色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0および1のときに0.5であり、仮想ブロックのずれ量が0.5のときに0である。
【0053】
ここで、図10の例によれば、仮想ブロックのずれ量が0.25の位置および0.75の位置の2箇所で、RGB各色のグラフが全て重なっている。これは、仮想ブロックのずれ量がこの値のときに、RGB各色の実ブロックの補間係数が等しいことを表す。そして、図示の例において、このときの補間係数の値は0.25である。すなわち、図7〜図9に示したように、各画素列311〜313の出力信号が0.5ライン分ずつずれている場合には、補間係数α=0.25(または0.75(=1−0.25))となるように仮想ブロックを設定することで、RGB各色における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロックが等しい割合で重なることがわかる。
【0054】
上記のように、図9に示した例では、同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロックが等しい割合(75%)で重なるように仮想ブロックを設定することができた。しかし、出力信号のずれ量によっては、RGB各色の全ての実ブロックを等しい割合で仮想ブロックに重ねることができない場合がある。
【0055】
図11は、本実施の形態による副走査2点間補間処理の他の例を示す図である。
図11に示す例では、各画素列311〜313の出力信号が2/3ライン分ずつずれている。また、この例において、B色の仮想ブロックには、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線で記載)の83%が重なっている。G色の仮想ブロックには、読み取り対象の画像における同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線で記載)の50%が重なっている。ここで、図11(a)に示すように、R色の仮想ブロックには、同じ画像部分の読み取り信号を表す実ブロック(太線)が重なっていない。しかし、FIFOメモリ342aを用いて、R色の読み取り信号を1ライン分遅延させることにより、図11(b)に示すように、R色においても太線の実ブロックの83%が仮想ブロックに重なる。
【0056】
ここで、RGB各色の出力信号に対して副走査2点間補間処理を行うと、補間係数の値が0.5であるG色の補正量は、補間係数の値が0.83(または0.17(=1−0.83))である他の2色の補正量よりも大きい。したがって、上述した条件2を満足する。また、R色およびB色の補正量が等しいため、条件1も満足する。なお、各仮想ブロックの出力信号の強度DOUTは、上述した一般式(1)を適用して求められる。
【0057】
図12は、図11に示した例において、仮想ブロックの位置と補間係数との関係を示す図である。
図12に示すグラフにおいて、横軸および縦軸は、図10に示したグラフと同様である。図12に示す例では、B色の実ブロックの位置を基準として、グラフが示されている。すなわち、G色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0および1のときに0であり、仮想ブロックのずれ量が0.5のときに0.5である。また、R色の実ブロックの補間係数の値は、仮想ブロックのずれ量が0.33のときに0であり、仮想ブロックのずれ量が0.83のときに0.5である。
【0058】
ここで、図12の例によれば、G色の補間係数は、仮想ブロックのずれ量が0から0.33までの間でのみ最も大きい値となっている(これ以外のずれ量の場合、B色の補間係数またはR色の補間係数の少なくとも一方の値が、G色の補間係数の値よりも大きい)。したがって、上記の条件2を満足するには、仮想ブロックのずれ量が0から0.33までの間であることが必要である。
【0059】
次に、仮想ブロックのずれ量が0のとき、G色の補間係数の値とR色の補間係数の値とは等しい。また、仮想ブロックのずれ量が0.33のとき、G色の補間係数の値とB色の補間係数の値とは等しい。また、仮想ブロックのずれ量が0.17のとき、B色の補間係数の値とR色の補間係数の値とは等しい。したがって、条件1を満足するためには、仮想ブロックのずれ量を0または0.17または0.33とすれば良い。
【0060】
以上のようにして、上述した条件1および条件2を満足する副走査2点間補間処理が実現された。なお、本実施の形態では、条件2として、G色の出力信号に対する補正量が最も大きくなるように(言い換えれば、他の2色の出力信号に対する補正量よりも小さくならないように)仮想ブロックを設定した。これに対し、G色以外の色の出力信号に対する補正量がG色の出力信号に対する補正量よりも大きくすることにより実現される画質の劣化の改善を優先させる場合は、条件2に代えて、そのような画質の改善を実現するための他の条件を適用しても良い。
【0061】
<画像形成装置の構成>
次に、他の実施形態として、上記の画像読み取り装置110を備えた画像形成装置について説明する。
図13は、上記の実施形態による画像読み取り装置110を備えた画像形成装置の機能構成を示す図である。
図13に示す画像形成装置100は、画像読み取り装置110と、装置の動作制御を行う装置制御部120と、トナーやインク等の画像形成材を用いて媒体である用紙等に画像を形成する画像形成部130とを備える。
【0062】
画像読み取り装置110は、図1に示した画像読み取り装置110と同様の構成を備える。この画像読み取り装置110は、上記黒シェーディング処理等の各処理を実行する機能を備える。
【0063】
装置制御部120は、CPU、CPUが実行するプログラムを格納したROM、作業用メモリであるRAM等で実現される。この装置制御部120は、予めインストールされたプログラムおよび各種設定に基づき、画像読み取り装置110および画像形成部130の動作制御、図示しない表示装置への表示、図示しないインターフェイスによる入力受け付けやデータ交換等、各種処理の制御を行う。また、装置制御部120は、媒体上に形成される画像を生成する。
【0064】
画像形成部130は、画像読み取り装置110が読み取った画像を、トナーやインク等の画像形成材を用いて、用紙等の媒体上に印刷する。なお、ここでは、印刷方式については限定しない。すなわち、電子写真方式や、インクジェット方式、サーマル方式等、種々の方式の印刷手段により本実施形態の画像形成部130を構成し得る。
【符号の説明】
【0065】
300…画像読み取り機構、310…センサ部、311〜313…画素列、320…センサ駆動部、330…信号変換部、340…信号処理部、342…ずれ補正部、342a…FIFOメモリ、342b…補間処理部、350…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列の各画素から得られる信号電荷を電気信号に変換し、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置。
【請求項2】
前記読み取り手段は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の前記読み取り画素列を備え、
前記第2の補正手段は、特定の1色に対応付けられた前記読み取り画素列を前記特定の一つの読み取り画素列とし、当該特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号補正量が、他の2色に対応付けられた二つの前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記第2の補正手段は、複数の前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記特定の1色はG色であることを特徴とする、請求項2に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の色ごとに画像を読み取り、RGB各色の読み取り信号を出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力されたRGB各色の前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正されたRGB各色の前記読み取り信号に対して、G色の読み取り信号に対する補正量が、他の2色の読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置。
【請求項7】
前記第2の補正手段は、RGB各色の前記読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項6に記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の二つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
前記第1の補正手段および前記第2の補正手段の一方または両方により補正された読み取り信号に基づき、画像形成材にて媒体上に画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項9】
前記特定の一つの読み取り画素列は、G色に対応付けられた読み取り画素列であることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列の各画素から得られる信号電荷を電気信号に変換し、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置。
【請求項2】
前記読み取り手段は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の前記読み取り画素列を備え、
前記第2の補正手段は、特定の1色に対応付けられた前記読み取り画素列を前記特定の一つの読み取り画素列とし、当該特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号補正量が、他の2色に対応付けられた二つの前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記第2の補正手段は、複数の前記他の読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記特定の1色はG色であることを特徴とする、請求項2に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の色ごとに画像を読み取り、RGB各色の読み取り信号を出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力されたRGB各色の前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正されたRGB各色の前記読み取り信号に対して、G色の読み取り信号に対する補正量が、他の2色の読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
を備えることを特徴とする、画像読み取り装置。
【請求項7】
前記第2の補正手段は、RGB各色の前記読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項6に記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応付けられた3本の読み取り画素列を備え、当該読み取り画素列ごとの読み取り信号として出力する読み取り手段と、
前記読み取り手段から出力された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号を個別に遅延させて、当該読み取り信号の位置ずれを補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された前記読み取り画素列ごとの前記読み取り信号に対して、複数の当該読み取り画素列のうち特定の一つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が、他の二つの読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量よりも小さくならないように、2点間補間処理を行い、当該読み取り画素列ごとの当該読み取り信号の位置ずれを補正する第2の補正手段と、
前記第1の補正手段および前記第2の補正手段の一方または両方により補正された読み取り信号に基づき、画像形成材にて媒体上に画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項9】
前記特定の一つの読み取り画素列は、G色に対応付けられた読み取り画素列であることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の補正手段は、全ての前記読み取り画素列による読み取り信号に対する補正量が互いに等しくなるように、2点間補間処理を行うことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−147144(P2012−147144A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2731(P2011−2731)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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