説明

画像読み取り装置および画像読み取り方法

【課題】画像読み取り装置で読み取った画像の編集を容易に行う。
【解決手段】MFP10は、原稿を光学的に走査して原稿画像を読み取る画像読み取り部16と、画像読み取り部16が読み取った原稿画像を表示する表示部24と、表示部24が表示した原稿画像に対して編集を指示するための編集指示部20と、編集指示部20による指示に応じて原稿画像を編集し、編集した原稿画像のデータを出力する画像処理部18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置および画像読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷する機能に加えて、原稿の読み取り機能やコピー機能を備えた複合的な印刷装置が知られている。このような印刷装置では、特許文献1に示すように、手書き文字等を含む手書きシートの画像を読み取り、メモリーカード等に保存された電子データが示す画像と合成し、合成した画像を印刷するような機能が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−104131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した機能では、合成する2つの画像の1つは電子データの様態で供給される必要があった。従って、共に印刷用紙に印刷された画像である場合は、何れか一方を読み取って電子データに変換する必要があり、手間と時間を要した。本発明は、画像の編集を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる画像読み取り装置は、原稿を光学的に走査して原稿画像を読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部が読み取った前記原稿画像を表示する表示部と、前記表示部が表示した前記原稿画像に対して編集を指示するための編集指示部と、前記編集指示部による指示に応じて前記原稿画像を編集し、編集した前記原稿画像のデータを出力する画像処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、画像読み取り部により読み取られた画像は、表示部に表示され、表示された画像に対する編集指示部の指示に応じて編集され、編集された画像のデータは出力される。従って、画像読み取り部に読み取られ、表示部に表示された画像に対して編集指示を行うことにより、画像読み取り部が読み取った画像を容易に編集し出力できる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる画像読み取り装置において、前記画像処理部は、前記原稿画像を編集する画像編集部を備え、前記画像編集部は、前記原稿画像の拡大機能や縮小機能、前記原稿画像に対する情報の追加機能や削除機能、および、複数の前記原稿画像の合成機能の少なくとも1つを有することが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、原稿画像の拡大や縮小、原稿画像に対する情報の追加や削除、および、複数の原稿画像の合成の少なくとも1つを、画像読み取り部が読み取った画像に対して行うことができる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかる画像読み取り装置において、前記画像処理部が出力する前記データに基づいて前記原稿画像を印刷する印刷部を備えることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、編集した画像を印刷することができる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかる画像読み取り装置において、前記画像処理部が出力する前記データを記憶する記憶部を備えることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、編集した画像を記憶することができる。
【0014】
[適用例5]
上記適用例にかかる画像読み取り装置において、前記表示部は、前記画像処理部が前記データを出力した場合、表示している第1の前記原稿画像に替えて、前記データが示す第2の前記原稿画像を表示することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、編集した画像を直ちに視認できる。
【0016】
[適用例6]
本適用例にかかる画像読み取り方法は、原稿を光学的に走査して原稿画像を読み取る画像読み取り工程と、前記画像読み取り工程で読み取った前記原稿画像を表示する表示工程と、前記表示工程で表示した前記原稿画像に対して編集を指示するための編集指示工程と、前記編集指示工程での指示に応じて前記原稿画像を編集し、編集した前記原稿画像のデータを出力する画像処理工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
このような方法によれば、画像読み取り工程で読み取られた画像は、表示工程で表示され、表示された画像に対する編集指示工程での指示に応じて編集され、編集された画像のデータは出力される。従って、画像読み取り工程で読み取られ、表示工程で表示された画像に対して編集指示を行うことにより、読み取った画像を容易に編集し出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読み取り装置としてのMFPの概略構成を示すブロック図。
【図2】書き込み処理の一例を示す図。
【図3】縮小化処理と書き込み処理の一例を示す図。
【図4】合成処理の一例を示す図。
【図5】MFPにより原稿を読み取る処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、画像読み取り装置について図面を参照して説明する。
【0020】
(実施形態)
図1は、画像読み取り装置として原稿を読み取り画像データを出力する機能、および読み取った画像データを保存や印刷する機能等を備えた複合機能周辺機器(Multifunction Peripheral:MFP)10の概略構成を示すブロック図である。この図において、実線の矢印は制御データの流れを示し、破線の矢印は画像データの流れを示す。
このMFP10は、他と接続されない単体状態(スタンドアロン)であっても使用でき、また、コンピューター30とネットワーク等で通信可能に接続し、コンピューター30から送られる指示に応じて使用しても良い。
本実施形態1では、コンピューター30と接続されたMFP10が有するプルスキャン機能を想定する。プルスキャン機能とは、コンピューター30におけるユーザーによる原稿の読み取りに関する操作に従って送信される読み取り指令に応じて、MFP10が原稿の読み取りを開始し、読み取った原稿の画像データをコンピューター30に対して送信する機能である。
【0021】
コンピューター30は、ユーザーからMFP10に対する操作を受け付けるスキャナー操作部32と、MFP10の通信部12と通信する通信部36と、MFP10から送られる原稿画像を表示する表示部34とを有する。スキャナー操作部32は、ユーザーインターフェイスとスキャナードライバーを含んだユニットであり、ソフトウェアで構築される。
【0022】
MFP10は、通信部12、読み取り制御部14、画像読み取り部16、画像処理部18、編集指示部20、表示部24、印刷部26および記憶部28を備える。尚、各機能部は、図示を略すが、RAM(Random Access Memory)、ROMおよびCPU(Central Processing Unit)等をハードウェアとして備え、これらのハードウェアと種々のソフトウェアとが有機的に協働することで機能を実現する。
【0023】
画像読み取り部16は、何れも図示を略した、原稿台、照明ランプ、光学系およびCCD(Charge Coupled Device)等を有するキャリッジと、このキャリッジを一方向(主走査方向)に移動させるための案内機構と、で構成される。この画像読み取り部16は、読み取り制御部14からの指示に応じて、原稿台に載置された原稿をスキャン動作によって図形や写真または文字などを所定の読み取り条件で光学的に読み取り、読み取った画像のデータを画像処理部18に送る。
読み取り方式は、固定された原稿に対して、主走査方向、および主走査方向と直交しCCDの配列方向(副走査方向)にそれぞれ走査を行うフラットベッド方式を採用するが、これには限定されず、原稿移動走査を行うADF(オートドキュメントフィーダー)方式であっても良い。また、文書モードや写真モードのような解像度のモード切替え、白黒/カラー/グレーのような切り替え、背景色の切り替え、画像データの形式設定等の読み取り条件は、コンピューター30のスキャナー操作部32からの指示により予め設定されており、読み取り制御部14から指示される。
【0024】
画像処理部18は、画像読み取り部16から送られる画像のデータを受け取り、画像のデータから原稿画像を必要に応じて切り出し、切り出した原稿画像を表示部24に表示する。更に、画像処理部18は、編集指示部20からユーザーにより指示される編集指示に従い、原稿画像を編集する画像編集部19を備える。本実施形態では、画像編集部19は、原稿画像の拡大機能・縮小機能、原稿画像への情報の書き込み機能・削除機能、複数の原稿画像の合成機能を備える。尚、画像編集部19が編集中の原稿画像は、表示部24に表示されるため、ユーザーは表示部24に表示される画像を視認しながら原稿画像を編集できる。編集された原稿画像のデータは、ユーザーの指示に応じて出力される。
本実施形態では、原稿画像のデータの出力先は、原稿画像を印刷する印刷部26、原稿画像のデータを記憶する記憶部28、および、原稿画像が表示されたり、保存されたりするコンピューター30を想定する。尚、記憶部28に記憶された原稿画像のデータは電子ファイル化されるため、後刻、記憶部28に記憶された原稿画像のデータを読み込んで再度編集を行ったり、電子ファイルを他の情報処理装置で読み込み、他の情報処理装置上で原稿画像のデータを使用したりできる。
本実施形態では、編集指示部20が指示可能な編集指示は、原稿画像の拡大・縮小、原稿画像への情報の書き込み・削除、複数の原稿画像の合成等の単機能処理、および、これらを組み合わせた複合機能処理を想定するが、これらに限定されるものではない。ここで、編集指示部20からの指示に基づいて画像編集部19が編集した原稿画像の例を、図2、図3および図4を参照して説明する。
【0025】
図2は、書き込み処理の一例を示す図である。この図2では、画像読み取り部16が原稿200を読み取ることで得られる原稿画像210に対して、所望の位置に編集指示部20が図形や文字の書き込みを指示することで、黒塗り部Aと文字情報Bを上書きした場合を示す。このように、書き込みによる原稿画像210を汚すことなく、原稿画像210に情報を付加できる。
また、図3は、縮小化処理と書き込み処理の一例を示す図である。この図3では、画像読み取り部16が原稿220を読み取ることで得られる原稿画像230に対して、編集指示部20が原稿画像の縮小化と、情報の書き込みを指示した場合を示す。この図3のように、原稿画像の縮小化を指示することで得られる空白領域に、所望の文字情報C,D,Eを、手書き文字を含む任意のフォントやサイズで書き加えることができる。この結果、原稿220の画像と文字情報C,D,Eを、縮小前のサイズに納めることができる。
【0026】
また、図4は、合成処理の一例を示す図である。この図4では、画像読み取り部16が原稿画像240,250をそれぞれ読み取り、編集指示部20でそれぞれの原稿画像240,250の切り取り領域245を指示すると共に、それぞれの切り取り領域245がA4のような規定サイズに収まるように合成するように指示して得られる原稿画像260を示す。この場合、合成する画像は何れも印刷用紙に印刷された様態であったが、何れも電子データであっても良く、印刷された様態と電子データが混在しても良い。
尚、編集指示部20は、タッチパネル機能を備える表示部24に表示され、ユーザーが手書き文字を入力可能なユーザーインターフェイスであっても良く、表示部24の近傍に配置されたキーボードや操作ボタンであっても良い。また、印刷部26の印字方法は限定されず、レーザー方式やインクジェット方式を採用できる。また、記憶部28は、ハードディスクや着脱可能なメモリーカード等の記憶媒体を想定する。
【0027】
図5は、MFP10により原稿を読み取る処理の流れを示すフローチャートである。最初に、MFP10の原稿台に原稿がセットされる(ステップS100)。続いて、MFP10は、コンピューター30から送られる読み取り指示に応じて原稿を読み取る(ステップS105)<画像読み取り工程>。
次に、MFP10は、読み取った原稿画像を表示部24に表示する(ステップS110)<表示工程>。続いて、MFP10は、表示されている原稿画像に対して編集が指示されたか、否かを判定する(ステップS115)。
【0028】
ここで、原稿画像に対して編集が指示されたと判定した場合(ステップS115でYes)<編集指示工程>、MFP10は、編集指示に応じて原稿画像を編集し(ステップS120)<画像処理工程>、原稿画像を表示部24に表示する工程(ステップS110)に戻る。
他方で、原稿画像に対して編集が指示されていないと判定した場合(ステップS115でNo)、MFP10は、原稿画像の印刷が指示されたか、否かを判定する(ステップS125)。
ここで、原稿画像の印刷が指示されたと判定した場合(ステップS125でYes)、MFP10は、原稿画像を印刷し(ステップS130)、原稿画像を表示部24に表示する工程(ステップS110)に戻る。
【0029】
他方で、原稿画像の印刷が指示されていないと判定した場合(ステップS125でNo)、MFP10は、原稿画像の保存が指示されたか、否かを判定する(ステップS135)。
ここで、原稿画像の保存が指示されたと判定した場合(ステップS135でYes)、MFP10は、原稿画像を記憶し(ステップS140)、原稿画像を表示部24に表示する工程(ステップS110)に戻る。
他方で、原稿画像の保存が指示されていないと判定した場合(ステップS135でNo)、MFP10は、読み取り処理の終了が指示されたか、否かを判定する(ステップS145)。
ここで、読み取り処理の終了が指示されないと判定した場合(ステップS145でNo)、原稿画像を表示部24に表示する工程(ステップS110)に戻る。他方で、読み取り処理の終了が指示されたと判定した場合(ステップS145でYes)、MFP10は一連の処理を終了する。
【0030】
以上述べた実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)MFP10上で読み取った原稿画像に対して、文字やデザインの手書き処理、拡大・縮小処理および合成処理等の編集を行い、編集した画像を印刷や電子ファイル化できるため、ドキュメントの編集を容易かつ迅速にできる。
【0031】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、MFP10は、プルスキャンに限定されるものではなく、プッシュスキャンにおいても適用できる。また、MFP10は、コンピューター30と接続された様態に限定されず、各種の態様を含むものであり、単体状態であっても上述した効果と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0032】
10…MFP、12…通信部、14…読み取り制御部、16…画像読み取り部、18…画像処理部、19…画像編集部、20…編集指示部、24…表示部、26…印刷部、28…記憶部、30…コンピューター、32…スキャナー操作部、34…表示部、36…通信部、200…原稿、210…原稿画像、220…原稿、230…原稿画像、240…原稿画像、245…切り取り領域、250…原稿画像、260…原稿画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を光学的に走査して原稿画像を読み取る画像読み取り部と、
前記画像読み取り部が読み取った前記原稿画像を表示する表示部と、
前記表示部が表示した前記原稿画像に対して編集を指示するための編集指示部と、
前記編集指示部による指示に応じて前記原稿画像を編集し、編集した前記原稿画像のデータを出力する画像処理部と、を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置において、
前記画像処理部は、前記原稿画像を編集する画像編集部を備え、
前記画像編集部は、前記原稿画像の拡大機能や縮小機能、前記原稿画像に対する情報の追加機能や削除機能、および、複数の前記原稿画像の合成機能の少なくとも1つを有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の画像読み取り装置において、
前記画像処理部が出力する前記データに基づいて前記原稿画像を印刷する印刷部を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記画像処理部が出力する前記データを記憶する記憶部を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記表示部は、前記画像処理部が前記データを出力した場合、表示している第1の前記原稿画像に替えて、前記データが示す第2の前記原稿画像を表示することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
原稿を光学的に走査して原稿画像を読み取る画像読み取り工程と、
前記画像読み取り工程で読み取った前記原稿画像を表示する表示工程と、
前記表示工程で表示した前記原稿画像に対して編集を指示するための編集指示工程と、
前記編集指示工程での指示に応じて前記原稿画像を編集し、編集した前記原稿画像のデータを出力する画像処理工程と、を有することを特徴とする画像読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−101085(P2011−101085A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252711(P2009−252711)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】