説明

画像読み取り装置および画像読み取り装置の制御方法

【課題】 画像読み取り装置において、1枚または複数枚の原稿を原稿台に配置し、その原稿を読み取る際に、切り出し方法をユーザが事前に設定せずに、所望の画像を自動的に切り出すことができる画像読み取り装置および画像読み取り装置の制御方法を提供することを目的とするものである。

【解決手段】 原稿台全面を読み取り、この読み取った原稿台全面の画像の色特性情報に基づいて、原稿の種別を判別し、この判別した原稿種別に応じて、複数の読み取り画像の切り出し方法のうちの1つの方法を、選択し、上記選択された切り出し方法によって、読み取った原稿台全面の画像を切り出すことを特徴とする画像読み取り装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置および画像読み取り装置の制御方法に関し、詳しくは、1または複数の原稿を画像読み取り装置が読み取る際に、原稿台全面を読み取り、原稿台全面の画像に基づいて、原稿に対応する画像を自動的に切り出す画像読み取り装置および画像読み取り装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読み取り装置では、原稿を読み取る際に、原稿台に1枚の原稿を配置し、専用のTWAIN規格対応のスキャナドライバソフトウェア(以下、「TWAINドライバ」という)を用いて、原稿台全面を読み取り、読み取った画像に基づいて、原稿の位置と大きさとを自動的に検出し、上記TWAINドライバのグラフィックユーザインタフェース(以下、「GUI」と略す)上に、原稿台全面の画像と切り出し枠とを同時に表示するか、または、原稿に対応する画像の切り出しを自動的に行う読み取り方法が一般的である。
【0003】
この読み取り方法を採用した場合、ユーザは、原稿の読み取りサイズを指定する必要がなく、また、読み取った画像を手動で切り出す必要がないので、所望の画像を容易に取得することができる。
【0004】
以下では、上記のように、原稿台上の原稿に応じて、1画像を自動的に切り出す読み取り方法を、「オートクロップ」と呼ぶ。
【0005】
また、従来の画像読み取り装置において、原稿台に複数の原稿を配置し、上記TWAINドライバを用いて、原稿台全面を読み取り、読み取った画像に基づいて、原稿台の上に置かれた複数の原稿の位置とサイズとを自動的に検知し、TWAINドライバのGUI上に、原稿台全面の画像と各原稿に対応する複数の切り出し枠とを同時に表示するか、または、各原稿に対応する複数の画像の切り出しを自動的に行う読み取り方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
上記原稿台上の複数の原稿に対応する画像の切り出しを自動的に行う読み取り方法を、「マルチクロップ」と呼ぶ。
【0007】
上記マルチクロップは、主に、複数の写真を、別々の画像として同時に読み取る際に有効であり、写真用途に用いられている。
【0008】
また、上記マルチクロップでは、原稿に対応する画像の切り出しと同時に、傾き補正を行うことが一般的である。
【0009】
さらに、従来の画像読み取り装置では、原稿の読み取りを行う際に、読み取った原稿の画像データの濃度ヒストグラム等の色特性情報に基づいて、「写真」、「テキスト」、「グラフィックス」等、原稿の種別を自動的に判別し、原稿の種別に応じた最適な色補正処理を行う読み取り方法が知られている(たとえば、特許文献2、3参照)。
【0010】
なお、特許文献2、3に記載されている発明では、画像データに基づいて、原稿の種別を自動的に判別する。
【特許文献1】特開2003−46731号公報
【特許文献2】特開昭57−23618号公報
【特許文献3】特開平6−350861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記オートクロップ、マルチクロップによる原稿の自動切り出しでは、オートクロップ、マルチクロップのいずれであるかを、ユーザが事前に設定する必要があり、この設定を誤ると、意図した画像を得ることができないという問題がある。
【0012】
図8は、画像読み取り装置の説明図である。
【0013】
図8(1)に示すように、4枚の写真702、703、704、705を、原稿台701にセットし、マルチクロップ設定して読み取りすると、図8(3)に示すように、4枚の画像710、711、712、713が正しく切り出されるが、誤って、オートクロップ設定し、読み取ると、図8(4)に示すように、4枚の写真702、703、704、705が、1枚の画像714として切り出されるという問題がある。
【0014】
図9は、画像読み取り装置の説明図である。
【0015】
図9(1)に示すように、文字と写真とによって構成されている1枚の原稿802を、原稿台801にセットし、オートクロップ設定し、読み取ると、図9(3)に示すように、正しく1枚の画像804が切り出されるが、誤ってマルチクロップ設定し、読み取ると、原稿の種類によっては、図9(4)に示すように、原稿の一部が、別々の画像805、806、807、808として誤って切り出されるという問題がある。
【0016】
本発明は、画像読み取り装置において、1枚または複数枚の原稿を原稿台に配置し、その原稿を読み取る際に、切り出し方法をユーザが事前に設定せずに、所望の画像を自動的に切り出すことができる画像読み取り装置および画像読み取り装置の制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、原稿台上に配置されている1または複数の原稿について、原稿台全面を読み取る画像読み取り手段と、上記画像読み取り手段が読み取った原稿台全面の画像の色特性情報に基づいて、原稿の種別を判別する画像種別判別手段と、画像種別判別手段が判別した原稿種別に応じて、複数の読み取り画像の切り出し方法のうちの1つの方法を、選択する切り出し方法選択手段と、上記原稿台全面の画像から画像を切り出す方法を複数、具備し、上記切り出し方法選択手段が選択した切り出し方法によって、上記画像読み取り手段が読み取った原稿台全面の画像を切り出す画像切り出し手段とを有することを特徴とする画像読み取り装置である。
【0018】
上記画像切り出し手段は、1画像のみを切り出す第1の切り出し方法と、1または複数の画像を切り出す第2の切り出し方法とを実行する手段である。
【0019】
また、上記画像種別判別手段は、上記原稿台全面の画像を、その色特性情報に基づいて、「写真」、「テキスト」、「その他」の原稿種別に判別する手段である。
【0020】
さらに、上記画像切り出し手段は、上記画像種別判別手段が判別した原稿種別が「テキスト」または「その他」の原稿種別であると判別した場合、上記1画像のみを切り出す第1の切り出し方法を実行し、原稿種別が、「写真」の原稿種別である場合、上記1または複数の画像を切り出す第2の切り出し方法を実行する手段である。
【0021】
そして、本発明は、原稿台上に配置されている1または複数の原稿について、原稿台全面を読み取る画像読み取り工程と、上記画像読み取り工程が読み取った原稿台全面の画像の色特性情報に基づいて、原稿の種別を判別する画像種別判別工程と、画像種別判別工程で判別された原稿種別に応じて、複数の読み取り画像の切り出し方法のうちの1つの方法を、選択する切り出し方法選択工程と、上記原稿台全面の画像から画像を切り出す方法を複数、具備し、上記切り出し方法選択工程が選択した切り出し方法によって、上記画像読み取り工程で読み取った原稿台全面の画像を切り出す画像切り出し工程とを有することを特徴とする画像読み取り装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像読み取り装置において1または複数の原稿を原稿台に配置し原稿を読み取る際に、原稿台全面を読み取り、読み取った画像の色特性情報から原稿の種別を自動的に判別し、判別結果にしたがって原稿の切り出し方法を自動的に切り替えるので、ユーザが切り出し方法を事前に設定することなく自動で所望の画像を取得することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1である画像読み取り装置IR1を示す図である。
【0025】
画像読み取り装置IR1は、PC(パソコン)100と、フラットベットスキャナ(以下、「スキャナ」と略す)200とを有する。
【0026】
PC100は、ディスプレイ101と、PC本体102と、キーボード103とを有する。
【0027】
スキャナ200は、原稿台カバー105と、マーク106と、スキャナボタン107と、原稿読取ユニット108と、原稿台ガラス109とを有する。また、スキャナ200は、図示しないが、原稿読み取りユニットを副走査方向に駆動するモータと、光電変換素子アレイで読み取った画像信号の処理を行う信号処理回路基板とを有し、ホストコンピュータ300にUSBケーブルで接続されている。
【0028】
原稿台カバー105は、セットした原稿を押さえ、原稿台側の色は白色である。マーク106は、原稿をセットするときに合わせる原稿位置合わせマークである。原稿読取ユニット108は、セットした原稿を読み込むユニットであり、原稿照明用LED、光電変換素子アレイ、原稿像を光電変換素子アレイに結像するレンズ等によって構成されている。
【0029】
原稿台ガラス109は、原稿を置くためのガラスであり、原稿台109の上に原稿を置き、原稿読み取りユニット108が原稿を読み取る。
【0030】
図2は、スキャナ200の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
スキャナ200は、光学ユニット201と、透過原稿用光源204と、電気基板205と、モータ駆動回路219と、モータ220とを有する。
【0032】
光学ユニット201は、光源点灯回路202と、反射原稿用光源203と、結像レンズ218とによって構成されている。また、光源点灯回路202には、光源の光量検知を行うための検知部が含まれている。
【0033】
電気基板205は、R、G、Bのアナログゲイン調整機206、207、208と、A/D変換機210と、画像処理部211と、ラインバッファ212と、インタフェース部213と、オフセットRAM214と、ガンマRAM215と、システムコントローラ216と、CPUバス217とを有する。
【0034】
R、G、Bのアナログゲイン調整機206、207、208は、ラインセンサ209が出力したアナログ画像信号を可変増幅する。A/D変換機210は、可変アナログゲイン調整機が出力したアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。画像処理部211は、デジタル信号化された画像信号に、オフセット補正、シェーディング補正、デジタルゲイン調整、カラーバランス調整、マスキング、主・副走査方向解像度変換等の画像処理を行う。
【0035】
ラインバッファ212は、画像データの一時記憶領域として用いる。インタフェース部213は、ホストコンピュータ300と双方向通信を行い、実施例1では、USBインタフェースで実現している。オフセットRAM214は、画像処理を行うためのワーキングエリアとして用いられ、ラインセンサ209にRGB用ラインセンサが各所定のオフセットをもって平行に配置されているので、そのRGBライン間オフセットの補正用として用いられる。また、オフセットRAM214は、シェーディング補正等の各種データを一時記憶する。
【0036】
ガンマRAM215は、ガンマカーブを記憶し、ガンマ補正を行う。システムコントローラ216は、ホストコンピュータ300からの命令に従って各種制御を行う。
【0037】
CPUバス217は、システムコントローラ216と、画像処理部211と、ラインバッファ212と、インタフェース部213と、オフセットRAM214と、ガンマRAM215とをつなぐシステムバスであり、アドレスバスとデータバスとによって構成されている。
【0038】
パルスモータ用のモータ駆動回路219は、システムコントローラ216からの信号によって、パルスモータ220の励磁切り替え信号を出力する。
【0039】
図3は、スキャナ200を制御するために用いられる一般的なホストコンピュータ300のシステム構成を示すブロック図である。
【0040】
ホストコンピュータ300は、中央演算処理装置(CPU)301と、RAM302と、ROM303と、ハードディスク304と、通信インタフェース305と、キーボード306と、マウス307と、表示装置308と、システムバス309とを有する。
【0041】
中央演算処理装置(CPU)301は、データや命令を演算、判断、制御し、オペレーティングシステム(以下OSと略す)やその他の制御プログラムを格納する。
【0042】
通信インタフェース305は、たとえばUSB、SCSIや無線等のスキャナとデータ通信するためのものである。キーボード306は、ユーザインタフェースとして用いる。
【0043】
表示装置308は、グラフィックコントローラとCRTや液晶ディスプレイからなる。
【0044】
次に、ホストコンピュータ300上で動作する制御プログラム400とそのデータ処理構成について説明する。
【0045】
図4は、ホストコンピュータ300上で動作する制御プログラム400を説明する図である。
【0046】
TWAINアプリケーション401は、TWAIN規格に対応したスキャナアプリケーションであり、GUIを有し、ユーザの指示に従って、TWAINドライバ402に、「原稿タイプ」、「読み取りサイズ」、「読み取り解像度」等の読み取り設定を行い、TWAINドライバ402経由で、スキャナ200から画像を読み取り、読み取った画像を、表示装置308に表示する。TWAINアプリケーション401は、また、読み取った画像をファイルに保存する機能や、メールソフトに画像を送信する機能、画像を印刷する機能等を備えている。
【0047】
TWAINドライバ402は、TWAIN規格に従い、TWAINアプリケーション401に、スキャナ200から読み取った画像を、転送する機能を有する。TWAINドライバ402は、スキャナ200から受信した読み取り画像の切り出し方法、回転処理、ガンマ補正、各種色調整等を行う機能についても備えている。
【0048】
また、TWAINドライバ402は、独自のGUIを有し、このGUIを通して、ユーザが各種読み取りを設定し、プレビュー画像の確認や読み取り範囲の設定等を行う。さらに、TWAINドライバ402は、上記独自のGUIを表示せずに、TWAINアプリケーション401から指定された読み取り設定に従い、GUI非表示で、スキャナから画像を読み取る機能も有する。
【0049】
TWAINドライバ402が独自のGUIを表示する方法を、UI表示モードと呼び、GUIを表示しない方法を、UI非表示モードと呼び、TWAIN規格では、両モードの動作が規格化されている。
【0050】
実施例1において、TWAINドライバ402は、UI非表示モードで動作する。
【0051】
デバイスドライバ403は、スキャナ200との間で、専用のコマンドの送受信を行い、スキャナ200の各種読み取り設定や、画像読み取りのためのフロー制御等を行う。
【0052】
オペレーティングシステム(OS)404は、Windows(登録商標)やMacOS(登録商標)等のオペレーティングシステムである。
【0053】
図5は、実施例1におけるTWAINアプリケーション401によるGUI画面の一例を示す図である。
【0054】
つまり、図5は、原稿の読み取り前の状態を図示してあり、プレビュー領域501には原稿読み取りのためのガイドが表示されている。
【0055】
プレビュー領域501は、読み取った画像を表示する領域として用い、プレビュー領域501には、1画像または複数の画像を表示することが可能である。
【0056】
原稿タイプを設定するための「原稿タイプ」コンボボックス502は、自動的に原稿タイプを判別する「自動判別」モードと、「カラー写真」、「カラー文書」、「モノクロ文書」等、手動で原稿タイプを選択するモードとが選択可能である。
【0057】
「詳細設定」ボタン503は、読み取りの詳細設定ダイアログを表示する(不図示)。読み取りの詳細設定ダイアログでは、「原稿サイズ」、「読み取り解像度」、「モアレ除去ON/OFF」、「輪郭強調ON/OFF」等の各種読み取り設定が可能である。
【0058】
ただし、上記「原稿タイプ」で、「自動判別」モードが設定されていると、読み取りサイズは、「自動読み取り」固定になる。
【0059】
上記「原稿タイプ」で、「自動判別」モードが選択されていると、スキャンが実行された場合、TWAINドライバ402は、スキャナ200の原稿台全面を読み取り、原稿台全面画像の色特性情報に基づいて、原稿種別を自動的に判別し、この判別結果に従って、自動的に画像の切り出し方法が切り替わり、1つまたは複数の画像が切り出される。
【0060】
したがって、TWAINドライバ402から、TWAINアプリケーション401へ転送される読み取り画像の数、サイズは、スキャン以前では特定することができないので、上記「原稿タイプ」が「自動判別」であれば、読み取りサイズは、「自動読み取り」固定になる。
【0061】
「読み取りサイズ」、「読み取り解像度」の表示領域504は、上記詳細設定ダイアログで選択されている各設定を表示する。
【0062】
スキャンボタン505は、このボタンを押下することによって読み取り処理を実行する。読み取った画像に対する各種処理の実行ボタン506として、「ファイル保存」、「焼き増し印刷」、「メール添付」等のボタンが用意され、これらの処理は、公知であるので、詳細については省略する。
【0063】
次に、TWAINドライバ402の処理について説明する。
【0064】
図6は、実施例1において、TWAINドライバ402の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0065】
TWAINドライバ402は、TWAINアプリケーション401から、UI非表示モードで起動される。S1では、TWAINドライバ402は、TWAINアプリケーション401から、原稿タイプ、読み取りサイズ、読み取り解像度、各種読み取りの各設定を受け取り、読み取り開始メッセージを受け取ると、S2へ進む。
【0066】
S2では、TWAINドライバ402は、TWAINアプリケーション401から設定された原稿タイプ、読み取りサイズを判別し、原稿タイプが「自動判別」であれば、S3の処理へ進み、「自動判別」以外の場合であれば、S10の処理に進む。
【0067】
次に、実施例1において、原稿タイプに「自動判別」が設定された場合の動作について説明する。
【0068】
S3では、TWAINドライバは、スキャナ200と通信し、S1で設定された読み取り解像度で、スキャナ200の原稿台にセットされている原稿を含む原稿台全面の画像を読み取る。
【0069】
原稿台全面の画像データを読み取る場合、スキャナ200からR、G、Bの各色8ビットのフルカラー点順次データを受信し、ハードディスクまたはRAM等の一時記憶領域に一時保存する。
【0070】
S4では、一時保存された原稿台全面の画像の色濃度ヒストグラム等、色特性情報を解析し、原稿種別が、「写真」、「テキスト」、「その他」のいずれであるかを判別する。
【0071】
S5では、上記原稿種別の判別結果に基づいて、原稿種別が「写真」であれば。S6へ進み、「テキスト」または「その他」の原稿であれば、S7の処理を実行する。
【0072】
S6では、マルチクロップ処理によって、1または複数の写真の切り出し方法を実行する。マルチクロップ処理による1または複数の写真の切り出し方法については、後述する。
【0073】
S7では、オートクロップ処理によって、1枚原稿の余白切り出し方法を実行する。オートクロップ処理による1枚原稿の切り出し方法については、後述する。
【0074】
S8では、S6またはS7で切り出された1または複数の画像に、ガンマ補正、自動色調整処理を実行する。S8では、S5で判別した原稿種別に対応した最適な色補正処理が実行される。たとえば、原稿種別が「テキスト」であると判別されると、テキストデータ専用の色補正データが、色補正処理に用いられ、さらに下地除去処理等が実行される。
【0075】
つまり、原稿種別を判別することによって、原稿の切出し方法と最適な色補正処理方法の2つを選択することができる。
【0076】
S9では、原稿の切り出し後に、色補正済みの画像データを、TWAINアプリケーション401へ転送する。S10では、原稿タイプ、読み取りサイズとして、「自動判別」以外が設定された場合の読み取り処理を実行する。たとえば、原稿タイプには、「カラー写真」、「モノクロ文書」等が設定され、読み取りサイズには、「マルチクロップ」、「オートクロップ」の自動切り出しや、「A4」、「L版」等の定型サイズが設定される。S10の読み取り処理は、一般的に公知な通常の読み取り処理であるので、詳細については省略する。S10の読み取り処理を実行した後に、S9の処理へ進む。
【0077】
図7は、TWAINドライバ402におけるマルチクロップ処理の詳細を示すフローチャートである。
【0078】
S21では、本処理の前処理で読み取った原稿台全面の24ビットフルカラー画像を、白黒2値の2ビット画像に変換する。ここでは、Gの値を、所定の閾値と比較し、閾値以上であれば、各画素を白に変換し、閾値未満であれば、各画素を黒に変換し、フルカラー画像から、白黒2値画像を作成する。
【0079】
原稿台全面の読み取り画像のうちで、原稿台に原稿が置かれていない領域に対応する部分では、原稿台カバーの白色部分が読み取られ、R、G、Bの画素値が、ともに255(0xFF)になるので、閾値を255(0xFF)に近い値に設定することによって、原稿の有無を判別することができる。
【0080】
S22では、白黒2値画像から、原稿の枚数、位置、大きさを検知し、切り出し領域を決定する。
【0081】
次に、実施例1において、マルチクロップ時の切り出し領域決定動作のー例について説明する。
【0082】
図8(1)に示すように、原稿台701上に写真702、写真703、写真704、写真705の4枚の写真を配置した場合、原稿台全面の白黒2値画像を作成し切り出し領域を算出すると、図8(2)に示すように、切り出し領域706、切り出し領域707、切り出し領域708、切り出し領域709の4領域を取得することができる。
【0083】
S23では、原稿台全面のフルカラー画像から、S24で取得した切り出し領域に従って、フルカラー画像を切り出すので、原稿領域に対応した画像データを取得することができる。
【0084】
S24では、S23で切り出した各画像の傾きを補正する。
【0085】
次に、TWAINドライバ402のオートクロップ処理について説明する。
【0086】
オートクロップ処理は、マルチクロップ処理同様、前処理で読み取った原稿台全面の24ビットフルカラー画像を、白黒2値の画像に変換し、これから原稿の位置、大きさを検知し、切り出し領域を決定する。ただし、オートクロップ処理では、マルチクロップ処理と異なり1つの矩形領域を決定する。
【0087】
次に、実施例1において、オートクロップ時の切り出し領域の決定動作の例について説明する。
【0088】
図9(1)に示すように、原稿台801上に、原稿802を配置した場合、この原稿台全面の白黒2値画像を作成し、切り出し領域を算出すると、図9(2)に示す切り出し領域803を取得することができる。
【0089】
切り出し領域803に従って、原稿台全面のフルカラー画像から、図9(3)に示す単一画像を切り出す。
【0090】
上記のように、実施例1では、原稿台全面を読み取り、読み取った画像の色特性情報から、自動的に原稿の種別を判別し、判別結果が「写真」であれば、マルチクロップ処理で原稿の切り出しを行い、判別結果が「テキスト」または「その他」であれば、オートクロップ処理で原稿の切り出しを行うので、原稿台に1枚の原稿を配置する場合と、1または複数の写真を配置する場合のどちらにおいても、ユーザが切り出し方法を選択しなくても、所望の画像を自動的にかつ適切に取得することができる。
【0091】
実施例1は、読み取り設定は、TWAINアプリケーションで設定し、TWAINドライバは、UI非表示モードで動作する実施例であるが、TWAINドライバがUI表示モードで動作し、TWAINドライバGUIの読み取り設定に、「自動判別」モードを設け、プレビュー時に、原稿種別を判別し、これに従って、UIのプレビューに表示する切り出し領域の切り出し方法を、自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0092】
また、実施例1は、読み取り装置が、ホストコンピュータとスキャナとによって構成されている実施例であるが、MFPのような原稿の読み取り機能と用紙への記録機能とを備えている装置によって写真や原稿のコピー処理を実行する場合に、原稿種別を自動判別し、判別結果に従って、原稿の切り出し方法を切り替えることによって、切り出された画像を別々の用紙に記録するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例1である画像読み取り装置IR1を示す図である。
【図2】スキャナ200の機能構成を示すブロック図である。
【図3】スキャナ200を制御するために用いられる一般的なホストコンピュータ300のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】ホストコンピュータ300上で動作する制御プログラム400を説明する図である。
【図5】実施例1におけるTWAINアプリケーション401によるGUI画面の一例を示す図である。
【図6】実施例1において、TWAINドライバ402の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】TWAINドライバ402におけるマルチクロップ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】画像読み取り装置の説明図である。
【図9】画像読み取り装置の説明図である。
【符号の説明】
【0094】
IR1…画像読み取り装置、
100…PC、
200…スキャナ、
300…ホストコンピュータ、
701…原稿台、
702〜705…写真、
706〜709…切り出し領域、
710〜713…写真、
714…切り出し後の画像データ、
801…原稿台、
802…原稿、
803…切り出し領域、
804…切り出し後の画像、
805〜808…切り出し後の画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台上に配置されている1または複数の原稿について、原稿台全面を読み取る画像読み取り手段と;
上記画像読み取り手段が読み取った原稿台全面の画像の色特性情報に基づいて、原稿の種別を判別する画像種別判別手段と;
画像種別判別手段が判別した原稿種別に応じて、複数の読み取り画像の切り出し方法のうちの1つの方法を、選択する切り出し方法選択手段と;
上記原稿台全面の画像から画像を切り出す方法を複数、具備し、上記切り出し方法選択手段が選択した切り出し方法によって、上記画像読み取り手段が読み取った原稿台全面の画像を切り出す画像切り出し手段と;
を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記画像切り出し手段は、1画像のみを切り出す第1の切り出し方法と、1または複数の画像を切り出す第2の切り出し方法とを実行する手段であることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
上記画像種別判別手段は、上記原稿台全面の画像を、その色特性情報に基づいて、「写真」、「テキスト」、「その他」の原稿種別に判別する手段であることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
上記画像切り出し手段は、上記画像種別判別手段が判別した原稿種別が「テキスト」または「その他」の原稿種別であると判別した場合、上記1画像のみを切り出す第1の切り出し方法を実行し、原稿種別が、「写真」の原稿種別である場合、上記1または複数の画像を切り出す第2の切り出し方法を実行する手段であることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項1において、
さらに上記画像種別判別手段が判別した原稿種別に応じて、切り出した原稿の色補正処理方法を選択する色補正処理選択手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
原稿台上に配置されている1または複数の原稿について、原稿台全面を読み取る画像読み取り工程と;
上記画像読み取り工程が読み取った原稿台全面の画像の色特性情報に基づいて、原稿の種別を判別する画像種別判別工程と;
画像種別判別工程で判別された原稿種別に応じて、複数の読み取り画像の切り出し方法のうちの1つの方法を、選択する切り出し方法選択工程と;
上記原稿台全面の画像から画像を切り出す方法を複数、具備し、上記切り出し方法選択工程が選択した切り出し方法によって、上記画像読み取り工程で読み取った原稿台全面の画像を切り出す画像切り出し工程と;
を有することを特徴とする画像読み取り装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
上記画像切り出し工程は、1画像のみを切り出す第1の切り出し方法と、1または複数の画像を切り出す第2の切り出し方法とを実行する工程であることを特徴とする画像読み取り装置の制御方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
上記画像種別判別工程は、上記原稿台全面の画像を、その色特性情報に基づいて、「写真」、「テキスト」、「その他」の原稿種別に判別する工程であることを特徴とする画像読み取り装置の制御方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
上記画像切り出し工程は、上記画像種別判別工程が判別した原稿種別が「テキスト」または「その他」の原稿種別であると判別した場合、上記1画像のみを切り出す第1の切り出し方法を実行し、原稿種別が、「写真」の原稿種別である場合、上記1または複数の画像を切り出す第2の切り出し方法を実行する工程であることを特徴とする画像読み取り装置の制御方法。
【請求項10】
請求項6において、
さらに上記画像種別判別工程が判別した原稿種別に応じて、切り出した原稿の色補正処理方法を選択する色補正処理選択工程を有することを特徴とする画像読み取り装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−287360(P2006−287360A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101551(P2005−101551)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】