説明

画像読み取り装置

【課題】読取りガラス表面の異物を清掃部材によって除去する画像読み取り装置において、清掃部材によって読取りガラスから取り払われた異物が、清掃部材の回転と共に上方へ舞い上がるのを防止する。
【解決手段】第1プラテンガラスG1とブラシ部32が接触する領域よりも清掃部材3の回転方向下流側に、ブラシ部32と接触するように板状部材6を設ける。ここで、第1プラテンガラスG1上方への異物の飛散をより効果的に防止するためには、清掃部材3の本体部31と板状部材6の清掃部材側の端部との隙間は5mm以下とするのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関し、より詳細には、清掃部材を備えた画像読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿の画像情報を光学的に読み取る画像読取り装置としては、プラテンガラス上に載置された原稿の画像情報を読み取るプラテンセット方式と、原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中において原稿の画像情報を読み取るシートスルー方式が、それぞれ単独であるいは組み合わせて用いられてきた。シートスルー方式は、小型化、低コスト、低騒音、画像読取りの高速化、ひいてはプリントの高生産性に利点を有し、モノクロ複写機では画像読取り装置の主流となっており、カラー複写機においてもその導入が望まれている。
【0003】
シートスルー方式の場合、原稿画像の読取りは、透明部材(長尺状の読取りガラス)の一方面側に固定された画像読み取り部によって、読取りガラスの他方面側を通過する原稿の画像面に読取り光学系の焦点をあわせて読み取るため、読取りガラス上にゴミなどの異物が付着していると、異物によって遮光された部分が読取り画像において筋状の画像ノイズとなる。
【0004】
読取りガラスに付着する異物には、紙などが主体の原稿から飛散する紙粉や、大気中の埃などの浮遊性異物、さらには原稿に貼着したテープの粘着部や糊の剥がれ、修正液、ボールペンのインク塊、消しゴム屑などの粘着性の異物などがある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1では、読取りガラスの上方に設けた白色ローラの外周に、弾性部材を取り付け、読取りガラス表面をこの弾性部材で摺擦して清掃する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2000-270152
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案技術では、清掃部材によって読取りガラスから取り払われた異物が、清掃部材の回転と共に上方へ舞い上がった後、読取りガラス表面に再び付着することまでは考慮されていない。
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、読取りガラス表面の異物を清掃部材によって除去する画像読み取り装置において、清掃部材によって読取りガラスから取り払われた異物が、清掃部材の回転と共に上方へ舞い上がらないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、一方面側を原稿が通過する板状の透明部材と、前記透明部材の他方面側から、通過する原稿の画像情報を光学的に読み取る読取り手段と、回転自在の本体部と、本体部の軸方向に延設された、弾性を有する清掃部とを有し、前記透明部材の原稿通過側の表面に前記清掃部が接触するように設けられた清掃部材と、前記清掃部が前記透明部材と接触する領域よりも前記清掃部材の回転方向下流側に、前記清掃部と接触するように設けられた板状部材とを備え、前記清掃部材の回転によって前記透明部材の表面を清掃すると共に、前記板状部材によって前記透明部材上方への異物の飛散を防止することを特徴とする画像読み取り装置が提供される。
【0009】
ここで、透明部材上方への異物の飛散をより効果的に防止するためには、前記清掃部材の本体部と前記板状部材の清掃部材側の端部との隙間を5mm以下とするのが好ましい。
【0010】
また、透明部材に付着した異物を効果的・効率的に除去するには、前記清掃部として、複数の毛状体からなるものを用いるのが好ましく、この毛状体は導電性繊維であるのが好ましい。
【0011】
前記清掃部材による清掃は原稿が通過する度に行ってもよい。
【0012】
また、前記清掃部材を逆回転させることによる前記清掃部材の変形の防止又は修復は、前記透明部材を通過した原稿が所定枚数に達する度に行ってもよいし、あるいは前記透明部材を通過した原稿の積算長さが所定長さに達する度に行ってもよい。
【0013】
そしてまた、本発明によれば、原稿画像を読み取って被転写部材に画像を形成する画像形成装置において、前記のいずれかに記載の画像読み取り装置と、この画像読み取り装置によって読み取られた画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像読み取り装置では、清掃部が透明部材と接触する領域よりも清掃部材の回転方向下流側に設けた板状部材によって、清掃部材の回転と共に異物が上方へ舞い上がることが防止されるので、清掃部材によって取り払われた異物が、読取りガラス表面に再び付着することが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像読み取り装置についてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0016】
図1に、本発明に係る画像読み取り装置の一実施形態を示す概説図を示す。この図の画像読み取り装置は、原稿自動搬送装置(以下、「ADF」と記すことがある)2によって搬送される原稿を画像読取部(読み取り手段)10で読み取るものである。原稿載置トレイ21に載置された原稿は、ピックアップローラ24によって原稿載置トレイ21から引出され、フィードローラ25と分離ローラ26とによって一枚ずつ搬送路に送り出される。そして、搬送ローラ対27によって第1プラテンガラス(透明部材)G1上に搬送される。第1プラテンガラスG1の表面上を原稿が通過する際に、第1プラテンガラスのG1下方に設けられた画像読取部10によって原稿の画像情報が読み取られる。第1プラテンガラスG1を通過した原稿は搬送ローラ対28及び排出ローラ対29によって排出トレイ22上に排出される。また、第1プラテンガラスG1の上方には清掃部材3が回転自在に設けられている。
【0017】
一方、画像読取部10は、光源161とミラー162とを備えた走査ユニット16、反射光をガイドするルーフミラー171,172を備えた走行体17、結像レンズ18、CCDセンサ19とを有する。画像読取部10による原稿の画像情報の読み取りは、第1プラテンガラスG1上を原稿が通過する際に、走査ユニット16の光源161を原稿に照射し、その反射光を、走行体17の二枚のルーフミラー171,172、結像レンズ18を介してCCDセンサ19上に導き結像させることによって行われる。CCDセンサ19では、読み取った光画像を電子画像データに変換して画像処理部(不図示)に送る。画像処理部では、この電子画像データをアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、ディジタル化した画像情報のデータを画像形成手段11(図5に図示)へ送る。なお、もう一つの画像読み取り面である第2プラテンガラスG2上に原稿を載置して原稿の画像情報を読み取る場合は、走査ユニット16と走行体17とが第2プラテンガラスG2に沿って原稿を走査し、その反射光をCCDセンサ19に導き結像させて読み取る。
【0018】
図2に、第1プラテンガラスG1付近の拡大図、図3に、清掃部材3及び板状部材6の一例を示す斜視図をそれぞれを示す。図2に示すように、第1プラテンガラスG1の原稿通過面側の離隔上方には、清掃部材3が軸部33によって不図示のフレームに回転自在に設けられている。この清掃部材3は、軸方向に対して垂直な断面外形が円弧の柱形状体からなる本体部31と、本体部31の平面部分に複数の毛状体321が取り付けられてなるブラシ部(清掃部)32とを有する。毛状体321は、導電性繊維から構成するのが好ましい。ブラシ部32が第1プラテンガラスG1を摺擦した際の摩擦帯電を防止するためからである。また、本体部31の、ブラシ部32が形成されていない外周面を白色として、白レベル補正用の白基準面として用いてもよい。
【0019】
第1プラテンガラスG1の原稿搬送方向上流側には、段差シート20が貼着されている。この段差シート20によって、搬送されてきた原稿Mは、第1プラテンガラスG1に非接触状態で画像読み取り位置を通過する。第1プラテンガラスG1に原稿Mが接触しないことによって、原稿Mに貼着したテープの粘着部や糊の剥がれ、修正液、ボールペンのインク塊、消しゴム屑などの粘着性の異物が、第1プラテンガラスG1に付着するのが抑えられる。第1プラテンガラスG1の画像読み取り位置に原稿Mを接触させないようにするには、段差シート20を用いる他、原稿Mを湾曲状態とすることによって生じる、第1プラテンガラスG1に原稿Mが接触しない領域に画像読み取り位置を設けることが等が挙げられる。もちろん、第1プラテンガラスG1に原稿Mを接触させて画像を読み取るようにしても構わない。
【0020】
また、図2に示すように、第1プラテンガラスG1の原稿通過面と反対面側には、画像読み取り手段の一部としての光源161とルーフミラー162、171がそれぞれ設けられている。搬送ローラ対27及びガイド板によって第1プラテンガラスG1上に原稿Mが搬送されてくると、希ガス蛍光灯などの光源161から光が放射され、原稿Mに照射し反射された光はプラテンガラスG1直下のルーフミラー162,171で反射して、前述のようにCCDセンサ19(図1に記載)に導かれ結像されて、画像情報が読み取られる。
【0021】
原稿Mが第1プラテンガラスG1上の通過している間、清掃部材3は、本体部31の、ブラシ部32が形成されていない部分が原稿搬送側となるように停止している(図2(a)及び図3(a))。これによって、清掃部材3の本体部31は、搬送されてくる原稿Mのガイドとしての役割をも果たす。あるいは、本体部31の、ブラシ部32が形成されていない部分が常に原稿搬送側となるように、原稿搬送速度よりも遙かに遅い速度で清掃部材3を回転させてもよい。そして、第1プラテンガラスG1上を原稿Mが通過すると、清掃部材3は、第1プラテンガラスG1上における原稿搬送方向と同方向(図2では反時計回り)に回転する(図2(b)及び図3(b))。これによって、清掃部材3のブラシ部32が第1プラテンガラスG1を摺擦し、第1プラテンガラスG1の表面に付着した異物が除去される。
【0022】
また、第1プラテンガラスG1よりも回転方向下流側の清掃部材3の近傍には、ブラシ部32に接触し且つ本体部31には接触しないように、清掃部材3の軸方向に細長い板状部材6が取り付けられている。図4に示すように、この板状部材6によって、清掃部材3の回転領域の一部が封鎖され、第1プラテンガラスG1から除去された異物が、清掃部材3の回転と共に上方に飛散するのが抑制され、第1プラテンガラスG1上に異物が再び落下・付着するのが防止される。さらには、回転するブラシ部32が、この板状部材6に接触することで、ブラシ部32に付着した異物がはたき落とされ、ブラシ部32に異物が蓄積されることが防止される。加えて、原稿Mが搬送されているときは(図2(a))、板状部材6によって原稿Mはガイドされながら搬送される。
【0023】
板状部材6による、異物の上方飛散の防止効果及びブラシ部32に付着した異物のはたき落とし効果を一層有効なものとするには、図2(a)に示すように、板状部材6の端部と清掃部材3の本体部31との間隙dは5mm以下とするのが好ましい。より好ましくは3mm以下である。
【0024】
板状部材6の材質に特に限定はないが、清掃部32との摩擦帯電を防止する観点からは導電性材料が望ましく、例えばステンレス鋼などの金属材料が好適に使用できる。
【0025】
複数枚の原稿Mが連続して搬送される場合、清掃部材3による第1プラテンガラスG1の清掃は、原稿Mが第1プラテンガラスG1を通過する度に行う。あるいは、一連の原稿Mがすべて通過した後に行う。第1プラテンガラスG1への異物付着を確実に防止する観点からは、前者による清掃が望ましい。加えて、原稿読み取り開始信号が入力されると、原稿が搬送される前に清掃部材3を正回転させて第1プラテンガラスG1の清掃を行うようにするのが望ましい。
【0026】
清掃部としては、弾性を有するものであれば特に限定はなく、毛状体からなるブラシ部の他、例えばスポンジ部材や、ゴムブレードなどが使用できる。
【0027】
次に、本発明に係る画像形成装置について説明する。図5に、図1に示した画像読み取り装置を備えた画像形成装置の概説図を示す。この図の画像形成装置は、いわゆる胴内排紙型画像形成装置である。装置本体の上下方向略中央部には、正面側が開口した排紙空間4が形成されている。この排紙空間4の底面には、排出される用紙を載置するためのトレイ87が筺体と一体成形されている。一方、排紙空間4の上側には、原稿を読み取るための画像読み取り部10が内蔵され、排紙空間4の下側には、画像形成手段11が内蔵されている。
【0028】
画像形成手段11について説明する。感光体ドラム50は帯電装置51によってその表面が正又は負に一様に帯電される。そして、前述のように、画像読み取り装置によって読み取られた画像データが、レーザスキャナ(露光装置)52によって感光体ドラム50の表面に書き込まれ、感光体ドラム50の表面に静電潜像が形成される。具体的には反転現像方式の場合には画像に相当する部分の帯電が除去され、正規現像方式の場合は背景に相当する部分の帯電が除去されて、それぞれ静電潜像が形成される。次に現像装置53によって感光体ドラム50上の静電潜像をトナーで可視像化する。このときトナーの帯電極性は、反転現像方式の場合には感光体ドラム50の帯電極性と同極性であり、正規現像の場合は感光体ドラム50の帯電極性と逆極性である。
【0029】
一方、給紙カセット80に収納されている用紙Pは、ピックアップローラ81により引き出され、給紙ローラ82とさばきローラ83とで挟持されて一枚ずつ搬送路へ送られる。そしてレジストローラ対84によって、感光体ドラム50上のトナー画像が転写部に到達するのにタイミングを合わせて、用紙Pは転写部へ送り出される。転写部では、感光体ドラム50と転写ローラ54との間で用紙Pが挟持されている状態で、トナー帯電極性と逆極性の電荷が転写ローラ54に印加されることにより、感光体ドラム50上のトナー像が用紙P上に移動する。用紙P上に移動せず感光体ドラム50上に残留したトナーはクリーニングローラ55によって除去回収される。一方、トナー像を載置した用紙Pは定着ローラ対85へ搬送される。ここでトナー像は定着ローラ対85によって加熱・加圧されて用紙Pに定着する。そして用紙Pは排出ローラ対86に送られ、トレイ87へ排出される。なお、手差しトレイ88に載置された用紙Pは、給紙ローラ89によってレジストローラ対84へ送りだされ、それ以後は前述の搬送経路と同じ経路を通る。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の画像読み取り装置では、清掃部が透明部材と接触する領域よりも清掃部材の回転方向下流側に設けた板状部材によって、清掃部材によって取り払われた異物が清掃部材の回転と共に上方へ舞い上がり、読取りガラス表面に再び付着することが防止される。これによって、読取りガラスに付着した異物に起因する画像ノイズが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る画像読み取り装置に一例を示す概説図である。
【図2】図1の画像読み取り装置の第1プラテンガラス付近の拡大図である。
【図3】図1の画像読み取り装置の第1プラテンガラス付近の斜視図である。
【図4】板状部材による、第1プラテンガラスG1上方への異物の侵入防止及びブラシ部からの異物のはたき落としの各作用を説明する図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図である。
【符号の説明】
【0032】
2 ADF(原稿自動搬送装置)
3 清掃部材
6 板状部材
10 画像読み取り部
11 画像形成手段
31 本体部
32 ブラシ部(清掃部)
G1 第1プラテンガラス(透明部材)
G2 第2プラテンガラス
321 毛状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面側を原稿が通過する板状の透明部材と、
前記透明部材の他方面側から、通過する原稿の画像情報を光学的に読み取る読取り手段と、
回転自在の本体部と、本体部の軸方向に延設された、弾性を有する清掃部とを有し、前記透明部材の原稿通過側の表面に前記清掃部が接触するように設けられた清掃部材と、
前記清掃部が前記透明部材と接触する領域よりも前記清掃部材の回転方向下流側に、前記清掃部と接触するように設けられた板状部材とを備え、
前記清掃部材の回転によって前記透明部材の表面を清掃すると共に、前記板状部材によって前記透明部材上方への異物の飛散を防止することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記清掃部材の本体部と前記板状部材の清掃部材側の端部との隙間を5mm以下とした請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記清掃部が複数の毛状体からなる請求項1又は2記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記毛状体が導電性繊維からなる請求項3記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
原稿が通過する度に前記清掃部材を回転させて前記透明部材を清掃する請求項1〜4のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
原稿画像を読み取って被転写部材に画像を形成する画像形成装置において、請求項1〜5のいずれかに記載の画像読み取り装置と、この画像読み取り装置によって読み取られた画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−4415(P2010−4415A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162661(P2008−162661)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】