説明

画像読み取り装置

【課題】画像読み取り装置において、画像読み取り性能を損なうことなく、かつ精度の高い原稿の端部検知を実現する。
【解決手段】画像読み取り装置は、押さえ部材31の原稿の搬送方向下流側に設けられる端部検知用光源32を備えている。端部検知用光源32は、押さえ部材31とプラテンガラス11との間に挟み込まれながら搬送される原稿の端面に向けて光を照射する。そして、画像読み取り装置では、端部検知用光源32から照射され原稿の端面で反射した光を読み取りセンサ16によって受光し原稿の端部検知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動原稿送り装置によって順次原稿を搬送しながら、原稿の画像を読み取る画像読み取り装置が知られている。この種の画像読み取り装置においては、原稿の読み取り開始タイミングを得るために原稿の端部の検出が必要となるため、原稿の端部を検知する機構(以下、端部検知機構と呼ぶ)が一般的に設けられている。
【0003】
例えば特許文献1では、主走査方向の特定の数箇所の位置のプラテンゴムを特定の幅だけ削除して複数の溝部を設けたプラテンローラを備え、光源からプラテンローラの各溝部を通して、原稿挿入側から密着型イメージセンサの読取面に向かって光を照射し、光源からの光照射に基づく前記密着型イメージセンサの前記溝部に対応する位置からの出力信号と特定の閾値とを比較手段により比較し、該比較手段の比較情報を基に判定手段により原稿の原稿先端等の判定を行っている。
【特許文献1】特開平8−307590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、原稿送り装置を備えた画像読み取り装置において、端部検知機構を設けることにより、端部検知機構が画像読み取りに影響を与え、画像読み取り性能を低下させてしまう場合がある。また、端部検知機構が画像読み取りに影響を与えないように、例えば端部検知機構を原稿の読み取り位置から離して配置することも考えられる。しかしながら、端部検知機構が原稿の読み取り位置から離れるに従って、原稿の読み取り開始タイミングの検知精度が低下してしまう。
本発明は、画像読み取り装置等において、画像読み取り性能を損なうことなく、かつ精度の高い原稿の端部検知を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、搬送される原稿の画像を読み取る画像読み取り部と、前記原稿の搬送方向下流側から当該原稿の端面に向けて光を照射する照射部と、搬送される前記原稿の端面にて反射した光を受光する受光部と、前記受光部が受光する前記原稿の端面にて反射した反射光に基づいて、当該原稿の先端部を検知する先端検知部とを備えることを特徴とする画像読み取り装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記照射部は、前記原稿の端面に対し、当該原稿の幅方向に亘って明暗のパターンが形成されるように光を照射することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置である。
請求項3に記載の発明は、前記照射部は、発光色が異なる複数の光源を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読み取り装置である。
請求項4に記載の発明は、前記画像読み取り部と前記受光部とは、単一の受光センサを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読み取り装置である。
【0007】
請求項5に記載の発明は、搬送される原稿を載せるとともに当該原稿の原稿面への照射光および当該原稿面からの反射光を透過する原稿台と、搬送される前記原稿の前記原稿面に向けて光を照射する第1の光源と、搬送される前記原稿を前記原稿台側に押さえる押さえ部と、前記原稿台の前記原稿が載せられる側に設けられ、当該原稿の搬送方向下流側から前記押さえ部と当該原稿台との間に向けて光を照射する第2の光源と、前記第1の光源および前記第2の光源から照射される光を受光する受光部と、前記受光部が受光する第2の光源から照射される光に基づいて、前記原稿の先端部を検知する先端検知部とを備えることを特徴とする画像読み取り装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、前記第2の光源は、前記原稿が前記押さえ部と前記原稿台との間に挟まれていない場合に、照射される光が当該押さえ部に遮られるように設定されることを特徴とする請求項5記載の画像読み取り装置である。
請求項7に記載の発明は、前記第2の光源は、前記原稿台に直接入射した光が前記受光部に向けて進行しないように、当該原稿台に対する入射角が設定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像読み取り装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像読み取り性能の低下をより抑制し、より精度の高い原稿の端部検知を行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、照射部における光照射のパターンの認識により誤検知を軽減した端部検知が実現できる。
請求項3記載の発明によれば、照射部における発光色のパターンの認識により誤検知を軽減した端部検知が実現できる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、原稿の読み取り位置と原稿の端部の検知位置とのずれをより小さくすることが可能となる。
【0010】
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像読み取り性能の低下を抑制し、かつより精度の高い原稿の端部検知を実現できる。
請求項6記載の発明によれば、第2の光源から照射される光が受光部に入射する期間を短くすることができる。
請求項7記載の発明によれば、第2の光源から照射される光の受光部への入射を制限できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施形態1>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、画像読み取り装置1の全体構成を示す図である。
画像読み取り装置1は、原稿Pを走査(スキャン)することによって画像を読み込むスキャナ装置10と、積載された原稿束から原稿Pを順次搬送する原稿送り装置20とを備えている。
【0012】
スキャナ装置10は、読み取り対象の原稿Pを載せるプラテンガラス11と、プラテンガラス11に静止した状態で載せられた原稿P、あるいは原稿送り装置20によってプラテンガラス11上を搬送される原稿Pの読み取りを行う読み取りユニット12とを有している。
読み取りユニット12は、原稿Pに向けて光を照射する読み取り用光源13と、原稿Pで反射した光を読み取りセンサ16に結像する等倍レンズアレイ15と、等倍レンズアレイ15によって結像された光学像を光電変換する読み取りセンサ16とを含んで構成される。このように、本実施形態の読み取りユニット12は、等倍光学系により画像読み取りを行うものである。
【0013】
第1の光源の一例としての読み取り用光源13は、原稿Pの画像読み取りの際に原稿Pに向けて光を照射するものである。また、本実施形態の読み取り用光源13は、白色光を照射する。反射板14は、読み取り用光源13から照射された光のうち、原稿Pへ向けて直接進行しない光を原稿Pへと反射するものである。本実施形態の読み取りユニット12では、反射板14を設けることで、原稿Pに対して効率的に光を照射している。
【0014】
画像読み取り部の一例としての読み取りセンサ16(受光センサ)は、基板と、基板上実装される複数の画素列とを備えている。本実施形態の読み取りセンサ16は、赤用(R)画素列、緑用(G)画素列および青用(B)画素列を有している。赤用画素列、緑用画素列および青用画素列には、それぞれに異なる波長成分を透過するためのカラーフィルタが装着されている。このように、読み取りセンサ16は、赤用画素列、緑用画素列、青用画素列のカラーセンサとして機能する。なお、読み取りセンサ16には、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、密着型センサ等を用いることができる。
【0015】
受光部として機能する読み取りセンサ16は、画像読み取りの際に、読み取り用光源13から照射されて原稿Pで反射した光を受光して原稿Pの画像を読み取るものである。また、読み取りセンサ16は、後述する原稿Pの端部検知の際に、端部検知用光源32から照射されて原稿Pの先端部で反射した光を受光する。そして、読み取りセンサ16は、各画素列において受光した受光データを制御部40に送る。
【0016】
ところで、原稿Pの端部検知を行うために、例えば読み取りセンサ16とは別個のセンサを設けて原稿Pの端部検知機構を構成することも考えられる。しかしながら、この場合には、読み取りセンサ16とは異なる位置に端部検知用のセンサを配置せざるを得ない。従って、原稿Pの先端部の検出位置と画像読み取り位置とが離れることになり、原稿Pの読み取り開始タイミングの検出精度の低下に繋がる。
これに対し、本実施形態の画像読み取り装置1では、原稿Pの画像読み取りと、原稿Pの端部検知とに単一の読み取りセンサ16を併用している。これにより、画像読み取り装置1では、画像読み取り位置と、原稿Pの先端部検知位置とを一致させて、原稿Pの読み取り開始タイミングの検知精度の向上を図っている。さらに、画像読み取り装置1では、原稿Pの画像読み取りと、原稿Pの端部検知とに読み取りセンサ16を併用することで、装置構成の簡略化を実現している。
【0017】
そして、スキャナ装置10は、先端検知部として機能する制御部40を備えている。制御部40は、スキャナ装置10における各部材の読み取り動作の制御、読み取り画像データの画像処理、および原稿送り装置20における原稿搬送動作の制御等を行う。さらに、制御部40は、後述する原稿Pの端部の検出も行う。なお、制御部40における上記の機能はプログラムにより制御されたCPU等によって実現される。
【0018】
原稿送り装置20は、複数枚の原稿Pからなる原稿束を積載する原稿積載部21、原稿積載部21の下方に設けられ、読み取りが終了した原稿Pを積載する排紙積載部22を備える。また、原稿送り装置20には、原稿積載部21に積載された原稿Pを繰出す繰出しロール23と、用紙を一枚ずつに捌く捌き部24とが設けられている。また、原稿Pが搬送される搬送路25には、一枚ずつに捌かれた原稿Pを下流側のロールに向けて搬送するプレレジロール26と、原稿Pにレジストレーション調整を施しながら画像読み取り位置へ向けて原稿Pを供給するレジロール27とを備える。
【0019】
また、原稿送り装置20は、スキャナ装置10にて読み込み中の原稿Pを搬送する搬送ロール28と、スキャナ装置10にて読み込まれた原稿Pをさらに下流に搬送するアウトロール29を備える。そして、原稿送り装置20は、画像読み取り後の原稿Pを排紙積載部22へと排出する排出ロール30を備えている。
さらに、原稿送り装置20は、レジロール27と搬送ロール28との間に配置される押さえ部材31と、押さえ部材31の原稿Pの搬送方向下流側に設けられる端部検知用光源32とを備えている。
【0020】
図2は、画像読み取り位置周囲の部材について詳細に説明するための図である。図2(a)は図1に示す画像読み取り装置1と同じ方向から見た側面図である。図2(b)は、押さえ部材31や端部検知用光源32等を図2(a)に示す矢印A方向から見た図である。
押さえ部材31は、図2(a)の例に示すように、原稿Pを搬送しながら画像を読み取る際に、読み取りユニット12における読み取りセンサ16と対向するように設けられている。また、押さえ部材31は、図2(b)の例に示すように、原稿Pの幅方向(主走査方向)の全幅に亘って設けられる矩形状の部材である。そして、本実施形態の押さえ部材31は、白色部材によって構成されている。さらに、押さえ部材31は、後述する端部検知用光源32からの光を透過しないように構成されている。このような特性を有する押さえ部材31は、不図示の弾性部材等によってプラテンガラス11側に向けて押されている。
【0021】
押さえ部材31は、原稿Pが画像読み取り位置SPに向けて搬送されてくると、プラテンガラス11との間で原稿Pを挟み込むとともに、原稿Pをプラテンガラス11側へと押しつける。このように、本実施形態の画像読み取り装置1では、押さえ部材31を設けて、画像読み取りの際に原稿Pに生じ得るシワ等の発生を抑制や、画像読み取りにおける等倍レンズアレイ15の焦点距離と原稿Pの位置との安定化を図っている。
【0022】
また、押さえ部材31は、原稿Pを搬送しながら画像を読み取りの際の背景板としての機能を有する。そして、本実施形態では、押さえ部材31の色を白色に構成して、押さえ部材31の色が読み取り対象の原稿Pに写り込むことを抑制している。また、押さえ部材31の色を白色にすることで、例えばパンチ孔を有する原稿Pの読み取りを行う場合に、読み取り画像上でのパンチ孔を消すことも可能となる。なお、押さえ部材31としては、プラテンガラス11と対向する面を白色塗装とする、あるいは、白色シートを形成する等でも良い。
【0023】
照射部および第2の光源の一例としての端部検知用光源32は、搬送される原稿Pの先端部の画像読み取り位置SPへの到達を検知するために用いられる光源である。本実施形態の端部検知用光源32には、例えば発光ダイオード(LED)を光源として用いることができる。また、本実施形態の端部検知用光源32は、図2(b)の例に示すように、光を照射する発光ダイオード32Wを2つ備えている。そして、端部検知用光源32は、搬送されてくる原稿Pの先端部に向けて、原稿Pの幅方向の2箇所から光を照射する。なお、本実施形態の端部検知用光源32では、発光ダイオードとレンズ等とを組み合わせて、発光光の指向性を高めている。
【0024】
また、本実施形態の端部検知用光源32は、図2(a)に示すように、押さえ部材31の原稿Pの搬送方向下流側に設けられている。そして、端部検知用光源32は、押さえ部材31とプラテンガラス11との間に挟み込まれながら搬送される原稿Pの先端部に向けて光を照射する。そして、本実施形態の画像読み取り装置1では、端部検知用光源32から照射され原稿Pの端部面で反射した光を読み取りセンサ16によって受光し、原稿Pの端部検知を行っている。
【0025】
ここで、原稿Pの先端部を検知するために、読み取りセンサ16に対向するように光源を設け、光源によって図2(a)に示す矢印Aの方向に光を照射することが考えられる。
この場合、読み取りセンサ16は、原稿Pが到達するまで光源からの光を受光する。そして、原稿Pが到達すると、光源から照射される光は原稿Pによって遮られて読み取りセンサ16では受光されない。そして、この場合には、読み取りセンサ16における光源からの受光強度の変化をみて原稿Pの先端部の検知を行う。
しかしながら、画像読み取り装置1においては、押さえ部材31を設けることが一般的に要求されている。上記の構成において、押さえ部材31を設けるとすると、押さえ部材31に例えば切り欠き等を設け、その隙間から原稿の先端側に向けて光を照射することになる。すると、押さえ部材31に設けられた切り欠き等が読み取り対象の原稿Pに写り込み、場合によっては読み取り画像に例えば筋状の乱れが生じる畏れがある。
【0026】
これに対し、本実施形態の端部検知用光源32は、原稿Pの搬送方向下流側から押さえ部材31とプラテンガラス11との間に向けて光を入射している。従って、端部検知用光源32から照射される光を通すために押さえ部材31に切り欠き等を設ける必要がなくなる。これにより、本実施形態の画像読み取り装置1では、押さえ部材31が読み取り対象の原稿Pに写り込むことが抑制され、画像読み取り性能の低下の防止が図られている。
【0027】
また、本実施形態が適用される原稿送り装置20では、光源を下流に配置した結果、図2(a)に示すように、端部検知用光源32と、押さえ部材31との間に搬送ロール28が位置する構成となっている。
このように搬送ロール28を配置した場合には、端部検知用光源32から照射される光が搬送ロール28によって遮られることとなる。これに対し、本実施形態の搬送ロール28は、図2(b)に示すように、軸方向に並べられた3つのロール部材28a、28b、28cを備えている。そして、搬送ロール28では、例えばロール部材28aとロール部材28bとの間のように隣接するロール部材の間に隙間が設けられている。そして、端部検知用光源32は、搬送ロール28における上記の隙間を通って、画像読み取り位置SP側に光を照射している。
【0028】
次に、端部検知用光源32からの照射光Bmの照射角度について説明する。
本実施形態では、端部検知用光源32により、画像読み取り位置SPへと搬送されてくる原稿Pの先端部に向けて光を照射する。そして、本実施形態では、原稿Pの先端部にて乱反射した光を読み取りセンサ16が受光することで、原稿Pの先端が画像読み取り位置SPに到達したことを判断する。従って、原稿Pの先端部で反射するタイミングを除いて、端部検知用光源32からの照射光Bmは、読み取りセンサ16(等倍レンズアレイ15)へと進行しないように設定されている。
【0029】
図3は、端部検知用光源32からの照射光Bmのプラテンガラス11に対する入射角θについて説明するための図である。図3(a)は、端部検知用光源32からプラテンガラス11へと入射した光の経路の一例を示す図である。図3(b)は、端部検知用光源32からの照射される光のプラテンガラス11への入射角θと、プラテンガラス11における透過率との関係を示す図である。
本実施形態の端部検知用光源32からの照射光Bmは、プラテンガラス11面に対する入射角θが60度以上となるように設定されている。そして、図3(a)に示すように、端部検知用光源32から直接プラテンガラス11に入射した光は、等倍レンズアレイ15から離れる方向へと進行する。なお、端部検知用光源32から直接プラテンガラス11に入射した光は、等倍レンズアレイ15の画角の範囲外に進行するように構成している。
【0030】
さらに、図3(b)に示すように、プラテンガラス11に対する光の入射角θが大きくなるに従って、プラテンガラス11に入射した光の透過率が低くなる傾向がある。本実施形態では、この関係を踏まえて、プラテンガラス11に対する端部検知用光源32からの照射光Bmの入射角θが60度以上となるように設定している。
【0031】
次に、画像読み取り装置1における画像読み取り動作について説明する。
まず、画像読み取り装置1において、プラテンガラス11上に原稿Pを載せて画像を読み取る場合を説明する。プラテンガラス11の上に原稿Pがセットされ、読み取りが開始されると、読み取りユニット12がスキャン方向(例えば図1矢印X方向)に移動を開始する。このとき、読み取りユニット12における読み取り用光源13から原稿Pに向けて光が照射される。そして、原稿Pで反射した反射光は、等倍レンズアレイ15によって、読み取りセンサ16に結像する。読み取りセンサ16は、結像された光学像を光電変換し、その受光データを制御部40へと送る。
【0032】
続いて、画像読み取り装置1において、原稿送り装置20によって原稿Pを搬送しながら原稿Pの画像を読み取る場合を説明する。
原稿積載部21に原稿Pがセットされ、読み取り開始の指示等を受け付けると、読み取りユニット12は、図1に示す実線の位置に停止した状態に待機する。さらに、読み取り用光源13および端部検知用光源32が点灯する。その後、原稿送り装置20によって原稿Pが原稿読み取り位置へと供給される。端部検知用光源32からの照射光Bmに基づいて、原稿Pの先端部が画像読み取り位置SPに到達したタイミングが検知されると、原稿Pの画像読み取りを開始する。そして、読み取り用光源13から原稿Pに向けて照射された光は、原稿Pで反射して、等倍レンズアレイ15によって読み取りセンサ16に結像する。読み取りセンサ16は、結像された光学像を光電変換し、その画像データを制御部40へと送る。このようなスキャンが原稿Pの副走査方向に亘って行われ、原稿Pの1枚分の原稿読み取りが完了する。
【0033】
図4は、原稿Pの先端部の検出動作の一例について説明するための図である。
図4(a)の例に示すように、原稿Pが押さえ部材31の設けられた位置に到達していない状態において、端部検知用光源32からの光が照射されると、照射光Bmは押さえ部材31によって遮られて読み取りセンサ16には進行しない。このとき、上述したように読み取り用光源13は点灯している。従って、読み取りセンサ16(等倍レンズアレイ15)が受光する光は、読み取り用光源13から照射されて押さえ部材31で反射した光となる。
【0034】
次に、図4(b)の例に示すように、原稿Pが押さえ部材31が設けられた位置に到達し、押さえ部材31とプラテンガラス11との間に挟み込まれると、押さえ部材31は、プラテンガラス11から離れる方向に持ち上がる。そして、押さえ部材31とプラテンガラス11との間に原稿Pの厚み分の隙間が形成される。すると、端部検知用光源32から照射される光は、プラテンガラス11と押さえ部材31との間に進入する。
ここで、端部検知用光源32による照射光Bmは、図3を参照しながら説明したように、プラテンガラス11に対する入射角θが予め定められている。従って、端部検知用光源32から照射された光は、原稿Pの先端部に当たらない限り、プラテンガラス11に入射した後、等倍レンズアレイ15の画角の範囲外に向けて抜けていく。よって、端部検知用光源32から照射された光は、読み取りセンサ16側には進行しない。従って、この状態においても、図4(a)に示した状態と同様に、読み取りセンサ16が受光する光は、読み取り用光源13から照射されて押さえ部材31で反射した光となる。
【0035】
そして、図4(c)の例に示すように、原稿Pがさらに搬送され、原稿Pの先端部が端部検知用光源32から照射される光を受ける位置まで到達する。すると、原稿Pの厚み方向と幅方向とによって形成される面(以下、端面という)に端部検知用光源32から照射された光が照射される。そして、原稿Pの端面では、端部検知用光源32からの照射光Bmが乱反射する。この原稿Pの端面を乱反射した光のうち、等倍レンズアレイ15の画角の範囲内に含まれる成分が、等倍レンズアレイ15によって集光される。さらに、その光は、等倍レンズアレイ15によって、読み取りセンサ16へと導かれる。このとき、読み取りセンサ16には、読み取り用光源13から照射されて押さえ部材31で反射した光も導かれている。従って、この状態で読み取りセンサ16が受光する光は、読み取り用光源13から照射され押さえ部材13で反射した光と、端部検知用光源32から照射され原稿Pの端面で反射した光との両方の光となる。
【0036】
本実施形態の画像読み取り装置1は、読み取りセンサ16における受光強度の変化をみて、原稿Pの先端部の検知を行っている。即ち、図4(a)及び(b)の例に示す状態では、読み取りセンサ16が受光する光量は、読み取り用光源13からの光となる。これに対して、図4(c)の例に示すように、原稿Pの先端部が画像読み取り位置SPに到達すると、読み取りセンサ16が受光する光量は、読み取り用光源13からの光と、端部検知用光源32からの光との両方の光となる。よって、読み取りセンサ16における受光強度が高くなるタイミングを検出することで、そのタイミングが原稿Pの先端部が読み取り位置SPに到達したタイミングであると判断する。
【0037】
そして、図4(d)の例に示すように、さらに原稿Pが搬送されると、端部検知用光源32からの光は、搬送される原稿Pによって遮られる。原稿Pの先端が原稿読み取り位置を通過すると、読み取りセンサ16には、端部検知用光源32からの光は進まない。従って、この状態で読み取りセンサ16が受光する光は、読み取り用光源13から照射され押さえ部材13で反射した光となる。
以上のように、端部検知用光源32から照射される光は、原稿Pの先端部が原稿読み取り位置SPに到達したタイミングで読み取りセンサ16へと入射する。逆に、原稿Pの先端部が原稿読み取り位置SPに位置していない場合には、端部検知用光源32からの光は、読み取りセンサ16には入射しない。従って、原稿Pの端部が検知された後において、端部検知用光源32からの照射光Bmが画像読み取りに与える影響は抑制される。
【0038】
なお、端部検知の精度を高めるためには、原稿Pの端面からの反射光の光量をさらに大きくし、読み取りセンサ16が受光する原稿Pの端面からの反射光の受光強度を強くすることが考えられる。そこで、例えば端部検知用光源32の照射光Bmの光量を、読み取り用光源13の照射光と比較して大きくしても良い。本実施形態の画像読み取り装置1では、上述のように、端部検知用光源32からの照射光Bmが読み取りセンサ16へと入射する期間を少なくしている。また、端部検知用光源32の照射光Bmが読み取りセンサ16へと直接入射しないようにしている。このように、本実施形態の画像読み取り装置1では、端部検知用光源32に起因する読み取りセンサ16への負荷を低減しているため、端部検知用光源32の照射光Bmを強くすることが可能となる。
【0039】
<実施形態2>
図5は、実施形態2の画像読み取り装置1を説明するための図である。図5(a)は、実施形態2が適用される端部検知用光源32を示す図である。図5(b)は原稿Pが画像読み取り位置に到達したタイミングにて、読み取りセンサ16にて得られる原稿Pの幅方向における受光強度の分布を示している。
実施形態2における画像読み取り装置1は、実施形態1と比較して、端部検知用光源32における発光色が異なるものである。なお、実施形態2において、実施形態1で説明した部材等と同様のものについては、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施形態2の端部検知用光源32は、図5(a)の例に示すように、青色光を照射する青色発光ダイオード32Bを4つ備えている。これら4つの青色発光ダイオード32Bは、幅方向に予め定められた間隔で配置されている。そして、実施形態2の端部検知用光源32は、4つの青色発光ダイオード32Bにより、原稿Pの端部に向けて青色光を照射する。
【0040】
次に、実施形態2における原稿Pの端部検知動作について説明する。なお、ここでは読み取り対象の原稿Pの地色が白色である例について説明する。
原稿Pの先端部が端部検知用光源32から照射される光を受ける位置まで到達する(図4(c)参照)。すると、原稿Pの端面に、端部検知用光源32から照射された青色光が照射される。そして、端部検知用光源32からの照射光Bmは原稿Pの端面にて乱反射する。この原稿Pの端面で乱反射した青色光のうち、等倍レンズアレイ15の画角の範囲内に含まれる角度をもって反射した青色光が、等倍レンズアレイ15によって集光される。さらに、その青色光は、等倍レンズアレイ15によって、読み取りセンサ16へと導かれる。
【0041】
このとき、読み取りセンサ16には、読み取り用光源13から照射されて押さえ部材31で反射した光が導かれている。よって、読み取り用光源13から照射される光に関しては、読み取りセンサ16における赤用画素列、青用画素列および緑用画素列のいずれもが受光する。一方、端部検知用光源32から照射されて原稿Pの先端部で反射した光は、青色光である。よって、端部検知用光源32から照射される光は、読み取りセンサ16の青用画素列により受光される。
従って、図5(b)に示すように、読み取りセンサ16において、青用光(青用画素列)の受光強度は、赤用光(赤用画素列)および緑色光(緑用画素列)と比較して相対的に大きくなる。そして、実施形態2の画像読み取り装置1では、読み取りセンサ16における青色光の受光強度が、他の色と比較して高くなったタイミングに基づいて原稿Pの先端部の到達タイミングの検出を行っている。
【0042】
通常、原稿Pが押さえ部材31まで到達していない場合に、読み取りセンサ16において、青色光のみの受光強度が高くなる確率は低いと考えられる。そこで、実施形態2の画像読み取り装置1は、青色光の受光強度が他の色と比較して高くなったタイミングを検知することで原稿Pの端部検知を良好に行える。
【0043】
また、上述したように、端部検知用光源32は、複数の光源(この例では、4つの青色発光ダイオード32B)を備えている。原稿Pの端部において、各々の光源と対向している領域の光量は大きくなり、対向していない領域は小さくなる。このように端部検知用光源32を構成することで、原稿Pの端部に照射する光に明暗のパターンを形成している。そして、実施形態2の画像読み取り装置1では、端部検知用光源32における4つの青色発光ダイオード32Bの光照射のパターンに基づいて、原稿Pの端部検知を行う。
【0044】
具体的には、青色発光ダイオード32Bの幅方向との配置パターンと、読み取りセンサ16から送られてくる青色光の幅方向の分布とを比較する。例えば、図5(b)の例に示すように、青色光の受光強度の分布における4つのピークが立つ位置と、端部検知用光源32における青色発光ダイオード32Bの配置とを比較することが挙げられる。あるいは、青色光の受光強度の分布における4つのピークの間隔と、端部検知用光源32における青色発光ダイオード32Bの配置間隔とを比較することが挙げられる。
このように、本実施形態の画像読み取り装置1では、原稿Pの端部検知に関して、読み取りセンサ16における受光強度の大きさに基づいて判断を行うのみならず、受光強度の幅方向の分布(パターン)に基づいて判断を行っている。
なお、上記の例では、端部検知用光源32の発光色について、青色光を採用した例について説明したが、赤色光や緑色光であっても構わない。
【0045】
<実施形態3>
図6は、実施形態3の画像読み取り装置1を説明するための図である。図6(a)は、実施形態3が適用される端部検知用光源32を示す図である。図6(b)は原稿Pが画像読み取り位置に到達したタイミングにて、読み取りセンサ16によって得られる受光強度の分布を示している。
実施形態3における画像読み取り装置1は、実施形態1と比較して、端部検知用光源32における発光色が異なるものである。なお、実施形態3において、実施形態1で説明した部材等と同様のものについては、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
実施形態3の端部検知用光源32は、図6(a)に示すように、2つの青色発光ダイオード32Bと2つの赤色発光ダイオード32Rを有している。そして、図6(a)に示す例では、図面手前側から赤色発光ダイオード32R、青色発光ダイオード32B、赤色発光ダイオード32R、青色発光ダイオード32Bの順に幅方向に予め定められた間隔にて配置されている。そして、図6(a)の例に示すように、端部検知用光源32は、これら青色発光ダイオード32Bおよび赤色発光ダイオード32Rによって、原稿Pの端部に向けて青色光および赤色光を照射する。
【0047】
次に、実施形態3における原稿Pの端部検知動作について説明する。なお、実施形態3における端部検知の基本動作は実施形態1同様である。
原稿Pが画像読み取り位置に到達すると、図6(b)に示すように、読み取りセンサ16が得る受光強度は、緑色光と比較して青色光および赤色光が相対的に高くなる。よって、実施形態3においては、読み取りセンサ16の各画素列における受光強度の変化をみて、青色光および赤色光が、緑色光と比較して高くなるタイミングに基づいて原稿Pの端部検知を行う。
さらに、実施形態3の画像読み取り装置1では、青色発光ダイオード32Bと赤色発光ダイオード32Rとを交互に配置している。従って、読み取りセンサ16における受光強度の分布については、原稿Pの幅方向に亘って青色光のピークと赤色光のピークとが交互に現れる。そして、実施形態2において説明したように、例えば端部検知用光源32における青色発光ダイオード32Bと赤色発光ダイオード32Rとの配置パターンに対応させて原稿Pの端部検知を判断する。
【0048】
また、実施形態3のように端部検知用光源32に複数色の光源を備えることによって、原稿Pの地色が白色でない場合においても、原稿Pの端部検知を行い易くすることができる。例えば、搬送されてくる原稿Pの地色が青色であった場合、端部検知用光源32から照射される光のうち、赤色発光ダイオード32Rから照射される光は、原稿Pに吸収される。このような場合には、端部検知用光源32から照射される青色光に基づいて、原稿Pの端部検知を行う。
なお、実施形態3において、端部検知用光源32が青色光と赤色光を照射する例について説明したが、これらの色の組合せに限定される訳ではない。赤色光、緑色光、青色光のうちいずれかの2色を組み合わせても構わない。また、赤色光、緑色光、青色光を発光する3つの光源を備えて端部検知用光源32を構成して構わない。
【0049】
なお、上述の実施形態では、押さえ部材として板状の部材を用いていたが、これに限定する訳ではない。本実施形態の押さえ部材31に代えて、押さえ部としてロール部材を用いても構わない。この場合、画像読み取り位置に原稿Pが搬送されてくると、押さえ部としてのロール部材がプラテンガラス11から離れる方向に移動する。このとき、端部検知用光源32によって原稿Pの先端部に光が照射される。そして、上述したように、原稿Pの端部検知が行われ、原稿Pの画像読み取り開始タイミングを検出する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】画像読み取り装置の全体構成を示す図である。
【図2】画像読み取り位置周囲の部材について詳細に説明するための図である。
【図3】端部検知用光源からの照射光のプラテンガラスに対する入射角について説明するための図である。
【図4】原稿の先端部の検出動作について説明するための図である。
【図5】実施形態2の画像読み取り装置を説明するための図である。
【図6】実施形態3の画像読み取り装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0051】
1…画像読み取り装置、10…スキャナ装置、12…読み取りユニット、13…読み取り用光源、15…等倍レンズアレイ、16…読み取りセンサ、20…原稿送り装置、32…端部検知用光源、40…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される原稿の画像を読み取る画像読み取り部と、
前記原稿の搬送方向下流側から当該原稿の端面に向けて光を照射する照射部と、
搬送される前記原稿の端面にて反射した光を受光する受光部と、
前記受光部が受光する前記原稿の端面にて反射した反射光に基づいて、当該原稿の先端部を検知する先端検知部と
を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記照射部は、前記原稿の端面に対し、当該原稿の幅方向に亘って明暗のパターンが形成されるように光を照射することを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記照射部は、発光色が異なる複数の光源を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記画像読み取り部と前記受光部とは、単一の受光センサを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
搬送される原稿を載せるとともに当該原稿の原稿面への照射光および当該原稿面からの反射光を透過する原稿台と、
搬送される前記原稿の前記原稿面に向けて光を照射する第1の光源と、
搬送される前記原稿を前記原稿台側に押さえる押さえ部と、
前記原稿台の前記原稿が載せられる側に設けられ、当該原稿の搬送方向下流側から前記押さえ部と当該原稿台との間に向けて光を照射する第2の光源と、
前記第1の光源および前記第2の光源から照射される光を受光する受光部と、
前記受光部が受光する第2の光源から照射される光に基づいて、前記原稿の先端部を検知する先端検知部と
を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
前記第2の光源は、前記原稿が前記押さえ部と前記原稿台との間に挟まれていない場合に、照射される光が当該押さえ部に遮られるように設定されることを特徴とする請求項5記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記第2の光源は、前記原稿台に直接入射した光が前記受光部に向けて進行しないように、当該原稿台に対する入射角が設定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−68410(P2010−68410A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234836(P2008−234836)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】