説明

画像読取り装置

【課題】スキャナユニットを本体フレームに連結する際に、スキャナユニットを歪ませないように連結することが可能な機構を備える画像読取り装置を提供する。
【解決手段】下方からの支持箇所が設けられていない左側前側領域(第4角部領域C4)は、他の角部領域に比べるとスキャナユニット100に歪みが生じ易い箇所であるため、この領域に歪み防止調整機構700を設けることで、効果的にスキャナユニット100への歪みの発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、FAX機等の画像読取り装置においては、平面が矩形形状を有し、原稿から画像情報を読取るスキャナユニットと、用紙に画像を印字する画像印字機能を有するエンジンユニットとを有している。スキャナユニットは、画像を歪ませることなく正確に読み込む必要があるため、スキャナユニットを歪ませないようにして、スキャナユニットを本体フレームに固定する必要がある。
【0003】
たとえば、下記特許文献1からには特許文献9には、スキャナユニットを歪ませないようにして、スキャナユニットを本体フレームに固定する種々の機構・構成が開示されている。
【特許文献1】特開平07−273949号公報
【特許文献2】特開平10−322526号公報
【特許文献3】特開2000−216952号公報
【特許文献4】特開2000−347315号公報
【特許文献5】特開2004−274651号公報
【特許文献6】特開2005−039314号公報
【特許文献7】特開2005−123777号公報
【特許文献8】特開2007−081906号公報
【特許文献9】特開2007−135243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スキャナユニットの歪みを防止するために、スキャナユニットは四つの角部領域をそれぞれ柱部材で支持することが、強度的、部品精度的には有利である。しかし、四つの角部領域のそれぞれに柱部材を設けると、スキャナユニットの下方に排出部がある場合には、複写された用紙が排出部に排出されたあと、使用者が用紙を取り出す際、柱部材が邪魔になり操作し難い問題が挙げられる。
【0005】
そこで、近年では、使用者が用紙を取り出し易くするために用紙を取り出す領域の柱部材を無くし、スキャナユニットを3つの角で支持する構成が主流となっている。
【0006】
上述したように、スキャナユニットを本体フレームに連結する際、スキャナユニットの歪みによる画像歪みを防止する為に、スキャナユニットを歪ませないように連結する必要がある。しかし、本体フレームのスキャナユニットとの連結部は、部品精度のばらつきの発生により、スキャナユニットを歪ませる原因となる。
【0007】
平面視において矩形形状を有するスキャナユニットの四つの角部領域のうち、下方からの支持が3箇所しか設けられない本体フレームを有する画像読取り装置においては、下方からの支持箇所が設けられていない角部領域は、他の角部領域に比べるとスキャナユニットに歪みを生じさせ易い。たとえば、組立て段階では、歪みがない状態であっても、自動原稿送り装置を備えるカバーの開閉動作により外力が加わり、長期にわたりスキャナユニットの上面に力が加わる場合や、瞬間的に上部から大きな外力が加わる場合に、スキャナユニットに歪みが生じるおそれがある。
【0008】
スキャナユニットに歪みが生じた場合には、画像歪みが生じる以外に、スキャナユニットの側面や下方に位置する、ビルトインフィニッシャ、ジョブセパレータ等の他の周辺機器との相対隙間の減少や、他の周辺機器との干渉により、原稿排出機能に障害を生じるおそれがある。
【0009】
また、スキャナユニットの歪み(傾斜)が生じた場合には、他の周辺機器や美装用の外装化粧カバーとの間に隙間が生じ、また、その隙間の間隔が不均一になる等により、画像読取り装置の外観上の美感を損ねるおそれもある。
【0010】
したがって、この発明は上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、スキャナユニットの歪みによる画像歪みを防止する為、スキャナユニットを本体フレームに連結する際に、スキャナユニットを歪ませないように連結することが可能な機構を備える画像読取り装置を提供することにある。
【0011】
また、この発明の他の目的は、原稿搬送部を有するカバーの開閉動作により、長期にわたり、スキャナユニットの上面に力が加わる場合や、瞬間的に上部から大きな外力が加わる場合に対しても、スキャナユニットに歪みが生じ難い構造を備える画像読取り装置を提供することにある。
【0012】
また、この発明の他の目的は、スキャナユニットに歪みが生じた場合でも、画像読取り装置の外観上の美感を損ねることがない構造を備える画像読取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に基づいた画像読取り装置においては、画像読取り機能を有し平面が矩形形状のスキャナユニットを保持するスキャナユニット支持フレームと、画像印字機能を有するエンジンユニットを保持するエンジンユニット支持フレームとを備え、上記スキャナユニット支持フレームは上記エンジンユニット支持フレームの上部に連結される画像読取り装置であって、以下の構成を備えている。
【0014】
上記スキャナユニット支持フレームは、上記スキャナユニットの四つの角部領域のうち第1角部領域、第2角部領域、および第3角部領域をそれぞれ支持する第1支持柱、第2支持柱、および第3支持柱と、第4角部領域を支持するため、上記第3支持柱から上記第4角部領域に向けて、上記スキャナユニットの側面に沿って延びるように設けられる支持アームと、を備え、上記支持アームの上記第4角部領域を支持する領域に、上記スキャナユニットの水平取り付けレベルを調整するための歪み防止調整機構を有している。
【発明の効果】
【0015】
この発明に基づいた画像読取り装置によれば、上記構成を備える歪み防止調整機構を設けることで、各部品の部品精度のばらつきで生じるスキャナユニットへの歪みの発生を抑制することができる。
【0016】
さらに、下方からの支持箇所が設けられていない第4角部領域は、他の角部領域に比べるとスキャナユニットに歪みが生じ易い箇所であるため、この領域に歪み防止調整機構を設けることで、効果的にスキャナユニットへの歪みの発生を抑制することができる。
【0017】
その結果、画像歪みを生じさせ難い画像読取り装置を提供することが可能となる。さらに、スキャナユニットの側面や下方に位置する、ビルトインフィニッシャ、ジョブセパレータ等の他の周辺機器との相対隙間の減少や、他の周辺機器との干渉を回避して、原稿排出機能の性能維持を図ることができる。
【0018】
また、スキャナユニットの周辺に位置しスキャナユニットに固定される他の化粧カバーとの位置ずれや、段差の発生を防止し、画像読取り装置の外観上の美感を維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に基づいた画像読取り装置について、図を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一または相当部分については、同一の参照番号を付し、重複する説明を繰り返さない場合がある。また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
【0020】
なお、以下の説明において、各図中にも示しているように、画像読取り装置1の使用者の立ち位置から見て、使用者側を「前側」、使用者から遠ざかる側を「後側」、左手側を「左側」、および、右手側を「右側」と称するものとする。
【0021】
(画像読取り装置1の全体構成)
まず、図1から図3を参照して、本実施の形態における画像読取り装置1の全体構成について説明する。なお、図1は、本実施の形態における画像読取り装置1の全体構成を示す前側左側から見た斜視図であり、図2は、本実施の形態における画像読取り装置1の全体構成を示す前側右側から見た斜視図であり、図3は、本実施の形態におけるジョブセパレータを装備する画像読取り装置1の全体構成を示す前側左側から見た斜視図である。
【0022】
図1および図2を参照して、本実施の形態における画像読取り装置1は、画像読取り機能を含むスキャナユニット100を有している。スキャナユニット100は、平面視においえて長方形の矩形形状を有し、画像読取り装置1の使用者から見て、右側前側領域に位置する第1角部領域C1、右側後側領域に位置する第2角部領域C2、左側後側領域に位置する第3角部領域C3、および左側前側領域に位置する第4角部領域C4を備えている。
【0023】
スキャナユニット100は、前側側面、左側側面、および右側側面がそれぞれ、前側外装化粧カバー110、左側外装化粧カバー120、および右側外装化粧カバー130に覆われ、外観上の美感を保持している。
【0024】
スキャナユニット100の原稿ガラス面2上の左側後側のコーナには、原稿載置基準位置Pが設けられ、原稿ガラス面2上に原稿P1を載置する場合には、原稿の左側後側の角部を、原稿載置基準位置Pに合わせてセットする。
【0025】
次に、図4から図6を参照して以下説明する。なお、図4は、スキャナユニット100のみを保持した状態の支持フレーム構成を示す前側左側から見た斜視図であり、図5は、スキャナユニット100のみを保持した状態の支持フレーム構成を示す前側右側から見た斜視図であり、図6は、スキャナユニット100のみを保持した状態の支持フレーム構成を示す後側右側から見た斜視図である。
【0026】
スキャナユニット100の内部には、画像を光学的に読取るための画像読取り機能を有し左右方向にスライド移動可能に設けられた画像読取り用スライダー機構150を含んでいる。また、この画像読取り用スライダー機構150の基準位置を検出する位置150aは、後述の歪み防止調整機構700が設けられる側(左側)と同じ側の左側後側に設けられている。
【0027】
スキャナユニット100の上面には、前側を開閉し後側にヒンジ機構を有する自動原稿送装置(ADF)を備えるカバー10が設けられている。このカバー10については、説明の便宜上、図1にのみ二点鎖線で図示している。スキャナユニット100の右側手前側には、画像読取り装置1の機能設定を行なうためのオペレーションパネル300が配置されている。
【0028】
スキャナユニット100の下方には、左側前側領域に支柱が設けられず大きく開放した用紙排出空間400を規定するように、画像印字機能および用紙トレイ等を有するエンジンユニット200が設けられている。用紙排出空間400の左側には、用紙排出口401が設けられている。なお、図3に示す画像読取り装置1の用紙排出空間400には、排出用紙をジョブ毎に仕分けするためのジョブセパレータ500を設けた場合を図示している。
【0029】
(支持フレーム構造)
次に、図4から図8を参照して、スキャナユニット100およびエンジンユニット200を保持するスキャナユニット支持フレーム601およびエンジンユニット支持フレーム600の構成について説明する。なお、図7は、スキャナユニット100を取り外した状態の支持フレーム構成を示す前側左側から見た斜視図であり、図8は、スキャナユニット100を取り外した状態の支持フレーム構成を示す前側右側から見た斜視図である。
【0030】
エンジンユニット支持フレーム600は内部に所定の空間領域を有する箱型の外形形状を有している。スキャナユニット支持フレーム601は、エンジンユニット支持フレーム600の右側前側領域(第1角部領域C1)において上方に延びる第1支持柱としての右前支持柱610と、右側後側領域(第2角部領域C2)において上方に延びる第2支持柱としての右後支持柱620と、左側後側領域(第3角部領域C3)において上方に延びる第3支持柱としての左後支持柱630とを備えている。
【0031】
左後支持柱630には、第4角部領域C4に向けて、スキャナユニット100の側面に沿って延びるように設けられる支持アーム640が設けられている。また、この支持アーム640には、スキャナユニット100の第4角部領域C4を支持する領域に、スキャナユニット100の水平取り付けレベルを調整するための歪み防止調整機構700が設けられている。この歪み防止調整機構700の詳細構造について後述する。
【0032】
支持アーム640は、その断面形状が、上下方向に延びるベース部640aと、ベース部640aの上下端において、ベース部640aから略水平方向に延びる側壁部640b,640cとを有するコの字形状を有している。これにより、縦方向に外力が加わった場合の撓み強度の向上を図っている。
【0033】
ベース部640aの、前側位置、中間位置、および後側位置には、小判型の拡大開口部641,642,643が設けられている。また、ベース部640aの後側には、スキャナユニット100を固定するため、取付ビス孔661,661を有する左側後部固定プレート660が設けられている。
【0034】
右前支持柱610の上部領域と右後支持柱620の上部領域との間には、右側上部フレーム650が掛け渡されている。この右側上部フレーム650は、底部プレート651と、この底部プレート651の両側から上方に延びる一対の側壁フレーム652を有し、上方に開口するコの字形状を有している。外側に位置する側壁フレーム652には、スキャナユニット100を固定するため取付ビス孔653,654が複数設けられている。また、右後支持柱620と左後支持柱630との間には、連結フレーム670が設けられている。
【0035】
(スキャナユニット100の外装構造)
次に、図9および図10を参照して、スキャナユニット100を上記支持フレーム構造に対して取り付けるためのスキャナユニット100の外装構造について説明する。なお、図9は、スキャナユニット100の外装構造を示す前側右側から見た斜視図であり、図10は、スキャナユニット100の外装構造を示す前側左側から底部を見上げた状態を示す図である。
【0036】
スキャナユニット100は、側壁ユニットフレーム101を有し、右側に位置する側壁ユニットフレーム101の下面には取付用孔104を備える前側ブラケット102と、取付用孔105を備える後側ブラケット103とが取り付けられている。また、左側に位置する側壁ユニットフレーム101の側面の前側には、後述する歪み防止調整機構700が取付られる取付用孔101a,101bが設けられている。また、側壁ユニットフレーム101の側面の前側と後側とには、左側外装化粧カバー120を固定する際に用いられる取付用孔101c,101dが設けられている。
【0037】
(スキャナユニット100のスキャナユニット支持フレーム601への固定)
再び、図4から図6を参して、スキャナユニット100のスキャナユニット支持フレーム601への固定について説明する。
【0038】
スキャナユニット100に設けられた前側ブラケット102と後側ブラケット103とは、右側上部フレーム650の底部プレート651に載置され、ビスB1によりに前側ブラケット102と後側ブラケット103とがそれぞれ、側壁フレーム652に固定される。これにより、スキャナユニット100の右側前側領域(第1角部領域C1)と右側後側領域(第2角部領域C2)とがスキャナユニット支持フレーム601に固定される。また、スキャナユニット100の左側後側領域(第3角部領域C3)は、左側後部固定プレート660によりビスB3を用いて固定される。
【0039】
(歪み防止調整機構700)
スキャナユニット100の左側前側領域(第4角部領域C4)は、支持アーム640に固定する際に、スキャナユニット100の水平取り付けレベルを調整するため、スキャナユニット100と支持アーム640との間に歪み防止調整機構700を介在させる構成が採用されている。まず、支持アーム640の左側前側領域に設けられる開口部について、図11を参照して説明する。なお、図11は、支持アーム640の構造を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、および(D)は(A)中のD線矢視断面図である。
【0040】
支持アーム640の先端部には、位置調節用ボルト孔646,647が設けられている。この位置調節用ボルト孔646,647は、それぞれ高さ位置が異なるように配置され、スキャナユニット支持フレーム601が延びる方向(支持アーム640が延びる方向でもある)に対して傾斜する長孔である。より具体的には、図11(D)に示すように、位置調節用ボルト孔647は、長孔部647aと、長孔部647aの周囲を取り囲む座ぐり穴647bとを有している。なお、位置調節用ボルト孔646も同じ構造である。
【0041】
また、位置調節用ボルト孔646,647の両側には、位置調節用ボルト孔646,647に対して並行に延びるガイド孔648,649が設けられている。このガイド孔648は、幅が狭い第1スリット部648aと、この第1スリット部648aよりも幅が広い第2スリット部648bとを有している。また、ガイド孔649も、ガイド孔648と同様に、第1スリット部649aおよび第2スリット部649bとを有している。また、位置調節用ボルト孔646,647の下方位置には、上下方向に延びる長孔644,645が設けられている。
【0042】
次に、図12を参照して、スキャナユニット100と支持アーム640との間に介在させる調節プレート701Aの構造について説明する。なお、図12は調節プレート701Aの構造を示す図であり、図12(A)は正面図、(B)は平面図、および(C)は側面図である。
【0043】
調節プレート701Aは、本体プレート701と、本体プレート701から延びるブラケット702とを有する。このブラケット702の下方には、載置プレート707が設けられている。このブラケット702には、横方向に延びる長孔702a,702bが上下に一つずつ、合計2つ設けられている。本体プレート701には、支持アーム640に設けられた位置調節用ボルト孔646,647を挿通したボルトが螺合するため、貫通孔を含むナット705,706が設けられている。また、ナット705,706の下方には、横方向に延びる長孔710,711が設けられている。
【0044】
また、本体プレート701には、支持アーム640に設けられたガイド孔648,649に対して挿通可能に設けられ、調節プレート701Aを支持アーム640に対し、ガイド孔648,649の延びる方向に対して摺動可能に係合させる鉤状部材としてのフック703,704が設けられている。
【0045】
(歪み防止調整機構700の取付)
次に、図13から図16を参照して、歪み防止調整機構700を用いて、スキャナユニット100の左側前側領域(第4角部領域C4)に支持アーム640を固定する場合について説明する。
【0046】
なお、図13は、調節プレート701Aが支持アーム640に固定された状態を示す部分拡大図であり、図13(A)は正面図、(B)は平面図、および(C)は側面図である。また、図14から図16は、調節プレート701Aと支持アーム640との間の相互の高さ調節を行なった場合の状態を示す図である。
【0047】
調節プレート701Aに設けられたフック703,704をガイド孔648,649に設けられた第2スリット部648b,649bに挿通させ、第1スリット部648a,649aにおいてフック703,704をスライドさせる。次に、位置調節用ボルト孔646,647にボルト708,709を挿通させる。これにより、フック703,704が支持アーム640に係合した状態となり、組立て時において、支持アーム640とスキャナユニット100とを保持しなくとも、支持アーム640とスキャナユニット100とを連結させた仮組み状態にすることができ、組立て作業の効率化を図ることができる(自己保持機能)。
【0048】
次に、調節プレート701Aと支持アーム640との間の歪み調整を治具で行なう。その後、スキャナユニット100を4箇所(各角部C1,C2,C3,C4)の支持部に載せ、位置調節用ボルト孔646,647のナット705,706への締め込みを完了させる。図13は、支持アーム640に対して調節プレート701Aが最も上方に位置する状態を示し、図14は、支持アーム640に対して調節プレート701Aが中間に位置する状態を示し、図15は、支持アーム640に対して調節プレート701Aが最も下方に位置する状態を示している。なお、調節プレート701Aの長孔710,711と、支持アーム640の長孔644,645とは、組立て時に用いる治具の設けられたピンを貫通させるための孔であるが、ここでの詳細な説明は省略する。
【0049】
また、スキャナユニット100は、調節プレート701Aの、ブラケット702の長孔702aおよびスキャナユニット100側に設けられた取付用孔101a,101bを利用して取り付けが行なわれる。図12から図15においては、スキャナユニット100の図示を省略するものとする。
【0050】
このような構成で仮に歪みが生じても歪み防止調整機構700は、ボルト2本による固定であるので、容易に再調整することが可能となる。
【0051】
(左側外装化粧カバー120の詳細取り付け構造)
次に、図17を参照して、左側外装化粧カバー120の詳細取り付け構造について説明する。なお、図17は、図1中のXVII線矢視に対応する断面図である。左側外装化粧カバー120は上記したように、スキャナユニット100の側壁ユニットフレーム101に固定されている。具体的な取り付け構造としては、支持アーム640は、左側外装化粧カバー120とスキャナユニット100の側壁ユニットフレーム101との間に挟まれるように配置されている。
【0052】
左側外装化粧カバー120には、スキャナユニット100側に突出する凹部形状領域121,122が設けられている(図1参照)。この凹部形状領域121,122は、支持アーム640の拡大開口部641,642,643に接触することなく支持アーム640を貫通し、凹部形状領域121,122の底部が側壁ユニットフレーム101に接するように設けられる。凹部形状領域121,122の底部領域が、ビスB2を用いて側壁ユニットフレーム101に予め設けられた取付用孔101c,101dを利用して、側壁ユニットフレーム101に固定される。これにより、左側外装化粧カバー120は、支持アーム640に接触することなく、スキャナユニット100に固定されることとなる。
【0053】
(作用・効果)
以上、本実施の形態における画像読取り装置によれば、上記構成を備える歪み防止調整機構700を設けることで、各部品の部品精度のばらつきで生じるスキャナユニット100への歪みの発生を抑制することができる。さらに、下方からの支持箇所が設けられていない左側前側領域(第4角部領域C4)は、他の角部領域に比べるとスキャナユニット100に歪みが生じ易い箇所であるため、この領域に歪み防止調整機構700を設けることで、効果的にスキャナユニット100への歪みの発生を抑制することができる。
【0054】
その結果、画像歪みを生じさせ難い画像読取り装置を提供することが可能となる。さらに、スキャナユニット100の側面や下方に位置する、ビルトインフィニッシャ、ジョブセパレータ等の他の周辺機器との相対隙間の減少や、他の周辺機器との干渉を回避して、原稿排出機能の性能維持を図ることができる。
【0055】
また、上述した防止調整機構700によれば、調節プレート701Aに設けられる位置調節用ボルト孔646,647を、支持アーム640が延びる方向に対して傾斜する長孔646,647とすることで、調節プレート701Aを支持アームに締結固定する際に、ボルト708,709を位置調節用ボルト孔646,647を貫通させ支持アーム640に取り付けた状態で調節プレート701Aの縦方向の位置決めを容易に行なうことが可能となる。
【0056】
さらに、スキャナユニット100の上方から力が加わった場合であっても、ボルト708,709の下方には、位置調節用ボルト孔646,647の端面が位置していることから、ボルト708,709による締結位置がずれることを防止することができる。
【0057】
これにより、スキャナユニット100への歪みの発生を抑制することが可能となる。その結果、画像歪みを生じさせ難い画像読取り装置を提供することが可能となる。また、スキャナユニット100の周辺に位置しスキャナユニット100に固定される他の化粧カバーとの位置ずれや、段差の発生を防止し、画像読取り装置の外観上の美感を維持することが可能となる。
【0058】
さらに、他の周辺機器や美装用の前側外装化粧カバー110、左側外装化粧カバー120、および右側外装化粧カバー130の相互の間において不必要な隙間の発生を抑制し、画像読取り装置の外観上の美感を損ねることもない。
【0059】
また、左側外装化粧カバー120を支持アーム640ではなくスキャナユニット100の側壁ユニットフレーム101に固定することで、スキャナユニット100の周辺に位置しスキャナユニットに固定される前側外装化粧カバー110、および右側外装化粧カバー130との位置ずれや、段差の発生を防止することが可能となる。その結果、画像読取り装置の外観上の美感を維持することが可能となる。
【0060】
なお、上記実施の形態のおいては、左側前側領域(第4角部領域C4)にエンジンユニット支持フレーム600から上方に延びる支持柱を設けない構成を採用し、左側に向けて開口する用紙排出空間400を設けるようにし、原稿載置基準位置P、画像読取り用スライダー機構150の基準位置を検出する位置150a、および、歪み防止調整機構700を、左側に配置する構成を採用した画像読取り装置を説明しているが、エンジンユニット支持フレーム600から上方に延びる支持柱を設けない領域に歪み防止調整機構700を設けるべき点を除いては、原稿載置基準位置P、および、画像読取り用スライダー機構150の基準位置を検出する位置150aは、上記実施の形態の構造に限定されるものではない。
【0061】
また、エンジンユニット支持フレーム600から上方に延びる支持柱を設けない領域を右側前側領域(第3角部領域C3)とし、歪み防止調整機構700を右側に配置し、右側に向けて開口する用紙排出空間を設ける構成の採用も可能である。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施の形態における画像読取り装置の全体構成を示す前側左側から見た斜視図である。
【図2】本実施の形態における画像読取り装置の全体構成を示す前側右側から見た斜視図である。
【図3】本実施の形態におけるジョブセパレータを装備する画像読取り装置の全体構成を示す前側左側から見た斜視図である。
【図4】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットのみを保持した状態の支持フレーム構成を示す前側左側から見た斜視図である。
【図5】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットのみを保持した状態の支持フレーム構成を示す前側右側から見た斜視図である。
【図6】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットのみを保持した状態の支持フレーム構成を示す後側右側から見た斜視図である。
【図7】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットを取り外した状態の支持フレーム構成を示す前側左側から見た斜視図である。
【図8】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットを取り外した状態の支持フレーム構成を示す前側右側から見た斜視図である。
【図9】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットの外装構造を示す前側右側から見た斜視図である。
【図10】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットの外装構造を示す前側左側から底部を見上げた状態を示す図である。
【図11】本実施の形態における画像読取り装置のスキャナユニットの支持アームの構造を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、および(D)は(A)中のD線矢視断面図である。
【図12】本実施の形態における画像読取り装置の調節プレートの構造を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、および(C)は側面図である。
【図13】本実施の形態における画像読取り装置の調節プレートが支持アームに固定された状態を示す部分拡大図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、および(C)は側面図である。
【図14】本実施の形態における画像読取り装置の調節プレートと支持アームとの間の相互の高さ調節を行なった場合の状態を示す図である。
【図15】本実施の形態における画像読取り装置の調節プレートと支持アームとの間の相互の高さ調節を行なった場合の状態を示す図である。
【図16】本実施の形態における画像読取り装置の調節プレートと支持アームとの間の相互の高さ調節を行なった場合の状態を示す図である。
【図17】図1中のXVII線矢視に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像読取り装置、2 原稿ガラス面、10 カバー、100 スキャナユニット、101 側壁ユニットフレーム、101a,101b,101c,101d,104,105 取付用孔、102 前側ブラケット、103 後側ブラケット、110 前側外装化粧カバー、120 左側外装化粧カバー、121,122 凹部形状領域、130 右側外装化粧カバー、150 画像読取り用スライダー機構、150a 検出位置、200 エンジンユニット、300 オペレーションパネル、400 用紙排出空間、401 用紙排出口、500 ジョブセパレータ、600 エンジンユニット支持フレーム、601 スキャナユニット支持フレーム、610 右前支持柱、620 右後支持柱、630 左後支持柱、640 支持アーム、640a ベース部、640b,640c 側壁部、641,642,643 拡大開口部、646,647 位置調節用ボルト孔、647a 長孔部、647b 座ぐり穴、648,649 ガイド孔、648a,649a 第1スリット部、648b,649b 第2スリット部、644,645 長孔、650 右側上部フレーム、651 底部プレート、652 側壁フレーム、653,654 取付ビス孔、660 左側後部固定プレート、661,661 取付ビス孔、670 連結フレーム、700 歪み防止調整機構、701A 調節プレート、701 本体プレート、702 ブラケット、702a,702b 長孔、703,704 フック、705,706 ナット、707 載置プレート、708,709 ボルト、710,711 長孔、B1,B2,B3 ビス、C1 第1角部領域、C2 第2角部領域、C3 第3角部領域、C4 第4角部領域、P 原稿載置基準位置、P1 原稿。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取り機能を有し平面が矩形形状のスキャナユニットを保持するスキャナユニット支持フレームと、画像印字機能を有するエンジンユニットを保持するエンジンユニット支持フレームとを備え、前記スキャナユニット支持フレームは前記エンジンユニット支持フレームの上部に連結される画像読取り装置であって、
前記スキャナユニット支持フレームは、
前記スキャナユニットの四つの角部領域のうち第1角部領域、第2角部領域、および第3角部領域をそれぞれ支持する第1支持柱、第2支持柱、および第3支持柱と、
第4角部領域を支持するため、前記第3支持柱から前記第4角部領域に向けて、前記スキャナユニットの側面に沿って延びるように設けられる支持アームと、を備え、
前記支持アームの前記第4角部領域を支持する領域に、前記スキャナユニットの水平取り付けレベルを調整するための歪み防止調整機構を有する、画像読取り装置。
【請求項2】
当該画像読取り装置の使用者から見て、前記第1角部領域は右側前側領域であり、前記第2角部領域は右側後側領域であり、前記第3角部領域は左側後側領域であり、前記歪み防止調整機構は左前領域に位置する、請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記スキャナユニットは原稿読取画面を有し、
前記原稿読取画面に対する原稿載置基準位置が左側後側である、請求項2に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
前記スキャナユニットは、画像を光学的に読取るための画像読取り機能を有し、スライド移動可能に設けられた画像読取り用スライダー機構を含み、
前記画像読取り用スライダー機構の基準位置を検出する位置を前記歪み防止調整機構が設けられる側と同じ側に有する、請求項1から3のいずれかに記載の画像読取り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−260649(P2009−260649A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107124(P2008−107124)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】