画像読取センサ及び画像読取装置
【課題】 環境の変化に対して画像読取センサの反り変形を抑え、画像読取センサの筐体とガイド部材との密着性を高く安定して保ち、画像読取センサ内へのゴミの侵入を軽減する。
【解決手段】 ガイドホルダ105が筐体104に着脱可能に設けられており、ガイドホルダ105は少なくとも画像読取センサ100長手方向の中心近傍の1箇所で筐体104と掛止されている。
【解決手段】 ガイドホルダ105が筐体104に着脱可能に設けられており、ガイドホルダ105は少なくとも画像読取センサ100長手方向の中心近傍の1箇所で筐体104と掛止されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ、ファクシミリ、複写機等の原稿の画像を読取る画像読取装置に関し、特にラインセンサを有する画像読取センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に、従来の画像読取装置700を示す。701はOA紙、チェック、小切手等の原稿束、702は原稿束を載置する原稿台、703は載置された原稿を給紙部へ搬送するピックアップローラ、704はピックアップされた原稿を給紙する送りローラ、705はピックアップされた原稿が複数枚であった場合に送り出す原稿を1枚に分離する分離ローラ、706は原稿の読取タイミングを決定すると共に搬送速度を一定にするレジストローラ対、707は搬送されている原稿の画像データを読込む画像読取センサ、708は読取った原稿を下流側へ搬送する搬送ローラ対、709は搬送されてきた原稿を排出する排紙ローラ対、710は排紙された原稿を積載する排紙トレイである。
【0003】
ここで、画像読取センサ707として、縮小光学系を用いたものと、コンタクト型のものが知られており、装置全体の小型化を図る場合には、読取部全体が搬送路近傍に集約されているコンタクト型の画像読取センサが多く用いられている。
【0004】
図6にコンタクト型の画像読取センサ600の概略説明のための切断図を示す。コンタクト型の画像読取センサ600は、原稿を照射する照明手段101と、原稿面で反射された反射光をラインセンサ103に結像するためのレンズアレイ102と、結像された反射光を電気信号に変換する受光素子を長手方向に並べたラインセンサ103と、これらを指定の位置に固定保持する筐体604と、から構成されている。
【0005】
また、画像読取センサ600の原稿搬送面上には、汚れ、ゴミ、傷などから画像読取センサ600内の照明手段101、レンズアレイ102等を保護する読取ガイド601が取付けてある。読取ガイド601は搬送中の原稿を読取るために透明な部材で構成されており、主にガラスを用いたものが多い。読取ガイド601は筐体604に対して一体的に取付けられており、取付け手段として接着を用いる事が多い。
【0006】
画像の読取りは、レジストローラ対706や搬送ローラ対708等の搬送手段により搬送されて読取ガイド601面を通過する原稿をラインセンサ103が走査を行い、照明手段101によって照射された原稿面上の画像を読取る。
【0007】
図7の画像読取装置700では、原稿束を自動で給紙する機構を備えているため一度に多量の原稿を読取る事が可能である。多量の原稿の搬送、読取を繰り返し行うと原稿上にある汚れや紙粉などのゴミが搬送路上に付着、残留してくことが多い。また、搬送路上のみならず原稿搬送時の風圧により周辺に飛び散り搬送路周辺部にも悪影響を及ぼす。特に画像読取部付近では、ゴミが画像読取センサ600の読取ガイド601と筐体604の隙間から中に入り込む事がある。これは、読取ガイド601と筐体604との固定手段に起因するもので、両者が数ヶ所の部分的な接着602で固定されており、接着部以外にはわずかな隙間が開いているためである。このような状態のままで原稿の搬送を続けると画像読取センサ600内のゴミがレンズアレイ102の結像光路上に入りこみ、読取った画像上に線のようなスジを付けてしまう事がある。
【0008】
このため、ゴミなどが侵入しないような構成や清掃できるような構成として、図8、図9に示すように筐体604と読取ガイド601とを強固な接着剤で隙間無く接着し(接着
602)、ゴミの侵入の防止を図った画像読取センサ600が用いられている。また、画像読取センサの長手方向両端に開閉できる開口部を設け、侵入したゴミを取除く構成(特許文献1参照)や、画像読取センサ故障時に、接着されている読取ガイドを工具でこじって外し、画像読取センサ内部の修理ができる構成(特許文献2参照)があった。
【特許文献1】特開平11−150640号公報
【特許文献2】特開平06−268814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、読取りガイド601を強固な接着剤で筐体604に固定した場合、使用環境の温度変化やセンサ内の温度変化で画像読取センサ600に反りを発生してしまう事がある。これは、筐体604と読取ガイド601における透明部材の線膨張係数が異なる事で発生する。一般に筐体604は生産性が良いプラスチックを用いる事が多く、また透明部材には透明度や耐久性を考慮しガラスを用いる事が多い。
【0010】
図10に示すように接着時に比べ使用環境の温度が上がるとプラスチック部の膨張率の方が大きいため、矢印E方向に力が働き、読取ガイド601面側が凹になるように反りが発生し搬送路Pが広がることで原稿面へのピントが合わなくなり、適正な画像が得られなくなることがある。
【0011】
また、図11に示すように使用環境の温度が下がるとプラスチック部の方がより収縮するため、矢印F方向に力が働き、読取ガイド601面が凸になるように反りが発生し、搬送路Pを狭めてしまい搬送ジャムの原因になる。さらに、読取りガイド601のみが傷付いた場合には、画像読取センサ600全体を交換する必要があるが、接着部をこじ開けて読取ガイド601のみ取り外す場合には、筐体604側を破損する可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、環境の変化に対して画像読取センサの反り変形を抑え、画像読取センサの筐体とガイド部材との密着性を高く安定して保ち、画像読取センサ内へのゴミの侵入を軽減することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、画像読取センサのガイド部材の着脱を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、
原稿を搬送する搬送路に沿って配置された透明部材を含むガイド部材と、
前記透明部材を透過して前記原稿に光を照射する照明手段と、
入射光を電気信号に変換する受光素子を有するラインセンサと、
前記ラインセンサと前記透明部材との間に位置して前記透明部材を透過した前記原稿からの反射光を前記ラインセンサに結像する光学部材と、
前記照明手段、前記ラインセンサ及び前記光学部材を保持するための筐体と、
を備え、
前記ガイド部材が前記筐体に着脱可能に設けられており、前記ガイド部材は少なくとも画像読取センサ長手方向の中心近傍の1箇所で前記筐体と掛止されていることを特徴とする画像読取センサである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、環境変化による画像読取センサの反り等の変形を生じ難い。また、画像読取センサのガイド部材と筐体は確実な密着性を保ち、画像読取センサ内へのゴミの侵入を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を画像読取センサ100の断面図を示す図1に基づいて説明する。101は原稿を照射するための照明手段である。照明手段101の光源にはLED(不図示)を用い、LEDからの光を、ライトガイドを介して原稿に照明している。図1では、図面の左右両方の下から原稿を照明する。102は照明された原稿からの反射光をラインセンサ103に結像するためのライン状のレンズアレイ(光学部材)である。103はレンズアレイ102で結像された反射光を電気信号に変換する受光素子を長手方向に並べたラインセンサである。104は照明手段101とレンズアレイ102を決まった位置に保持すると共にレンズアレイ102からの距離を一定に保った状態でラインセンサ103を固定している筐体である。106は原稿の搬送ガイドであると共に光学的に透明で汚れや紙粉などのゴミから照明手段101やレンズアレイ102などを守るための読取ガイド(透明部材)である。105は読取ガイド106と一体的に接合されており筐体104と読取ガイド106とを着脱可能にする掛止部を設けたガイドホルダ(ガイド部材)である。
【0017】
また、ガイドホルダ105には、掛止部105Aを画像読取センサ100の長手方向の中心近傍と両端近傍の計3箇所に備えており、掛止部105Aに対する筐体104の対応位置に被掛止部104Aを設けてある。図2に示すように、被掛止部104Aと掛止部105Aは掛止できる構成になっている。掛止を解除してのガイドホルダ105の筐体104からの着脱は、図3、図4、図5上の矢印方向に読取ガイド106と一体になったガイドホルダ105を筐体104に対してスライド移動させることで行うことができる。
【0018】
ここで、読取ガイド106は光学的に透明なガラス(透明部材)を用い、ガイドホルダ105は形状の自由度と量産性が高いプラスチックを用いて、両者の接触面を接着にて固定している。従来例では筐体と読取ガイドが強固に接着された例を挙げたが、本実施形態の場合は、ガイドホルダ105が筐体104との掛止部105Aを有しただけの形状であり、なおかつ、ガイドホルダ105の中央に読取ガイド106を入れるための穴を設けた形状なので、ガイドホルダ105はガラスの読取ガイド106に比べ剛性が非常に低い。このため、環境温度変化による伸縮が起きた場合でもガイドホルダ105が読取ガイド106にならうため反りやねじれ等の心配はない。なお、掛止部分の寸法は、環境温度の変化による部材の伸縮によっても十分に掛止状態を保つように選択される。このように、読取ガイド106と筐体104の伸縮量の差による反りやねじれの原因となる力は、掛止状態を保ったままで僅かにスライドすることで相殺される。
【0019】
107はガイドホルダ105が筐体104と掛止された時にガイドホルダ105のスライド方向への移動を規制する抜け止めとなる抜け止め部材としてのクリップであり、筐体104の端部に着脱可能に係合し、ガイドホルダ105のスライドを止める。なお、クリップ107が環境温度変化による読取ガイド106と筐体104の伸縮を妨げることが無いように、クリップ107と読取ガイド106との間は、僅かな隙間を有する。また、クリップ107は、掛止部105Aによる掛止位置とはことなる位置として筐体104の端部に配置される。
【0020】
以上説明した画像読取センサ100を従来技術の説明で示した画像読取装置700の画像読取センサ707に換えて用いる。
【0021】
画像読取センサ100内に紙粉などのゴミが入り込んだ時の読取ガイド106を着脱する方法を図3、図4、図5を用いて説明する。
【0022】
まず、ガイドホルダ105の抜け止めを行っているクリップ107を、図3、図4、図5上の矢印C方向に移動して外す。次に、ガイドホルダ105を矢印A方向にスライドさ
せて持ち上げる事で、筐体104からガイドホルダ105を簡単に外す事ができる。ユーザーは、外したガイドホルダ105に接合した読取ガイド106を拭き画像読取センサ100内の紙粉などのゴミを取除き、ガイドホルダ105を外した時と逆の手順(矢印B方向)で再びガイドホルダ105を筐体104へ取付ける事ができる。
【0023】
この時、ガイドホルダ105をスライドさせる量は、掛止部105Aを被掛止部104Aから外すためだけの僅かなスライド距離で十分なため、画像読取センサ100の長手方向の広い空間を用いる必要がなく、読取り原稿の側から作業が行える。よって、画像読取センサ100の筐体104は画像読取装置本体に取付けたままの状態で、原稿のジャム処理等の場合と同様に、原稿搬送部分を開いた状態でガイドホルダ105の着脱を行うことができる。このように専用の工具も使わず簡単にガイドホルダ105の筐体104からの着脱ができるため、メンテナンスが容易に行える。
【0024】
また、本構成によればガイドホルダ105で、画像読取センサ100の長手方向両端付近と長手方向中心近傍を筐体104と掛止するため、ガイドホルダ105に接合した読取ガイド106と筐体104との密着性が高く安定して保つので、紙粉などのゴミが入りづらい構成になる。加えて、読取ガイド106と筐体104が長手方向には固定されていないため、環境による変化などで筐体104は読取ガイド106とは関係なく伸縮でき、画像読取センサ100が反ることも無い。
【0025】
なお、本実施形態とは逆に、フック状の掛止部を筐体に設け、ガイドホルダに被掛止部を設けてもよい。またフック状の掛止部でなく、L字形の溝に掛止部が入ることで掛止されるようにしてもよい。
【0026】
また、ガイドホルダの抜け止めを行うクリップ等の抜け止め部材を、画像読取センサの筐体に設けるのではなく、画像読取装置本体側に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取センサを示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガイドホルダと筐体とが掛止された状態を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガイドホルダと筐体の着脱の方法を示す概略図である。
【図4】図3の斜視図を示す概略図である。
【図5】図3の断面図を示す概略図である。
【図6】従来における画像読取センサの断面を示す概略図である。
【図7】従来における画像読取装置構成を示す概略図である。
【図8】従来における筐体と読取ガイドとを接着した構成を示す概略図である。
【図9】図8の側面を示した概略図である。
【図10】従来における画像読取センサが高温環境下で反った状態を示す概略図である。
【図11】従来における画像読取センサが低温環境下で反った状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0028】
100 画像読取センサ
101 照明手段
102 レンズアレイ
103 ラインセンサ
104 筐体
104A 被掛止部
105 ガイドホルダ
105A 掛止部
106 読取ガイド
107 クリップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ、ファクシミリ、複写機等の原稿の画像を読取る画像読取装置に関し、特にラインセンサを有する画像読取センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に、従来の画像読取装置700を示す。701はOA紙、チェック、小切手等の原稿束、702は原稿束を載置する原稿台、703は載置された原稿を給紙部へ搬送するピックアップローラ、704はピックアップされた原稿を給紙する送りローラ、705はピックアップされた原稿が複数枚であった場合に送り出す原稿を1枚に分離する分離ローラ、706は原稿の読取タイミングを決定すると共に搬送速度を一定にするレジストローラ対、707は搬送されている原稿の画像データを読込む画像読取センサ、708は読取った原稿を下流側へ搬送する搬送ローラ対、709は搬送されてきた原稿を排出する排紙ローラ対、710は排紙された原稿を積載する排紙トレイである。
【0003】
ここで、画像読取センサ707として、縮小光学系を用いたものと、コンタクト型のものが知られており、装置全体の小型化を図る場合には、読取部全体が搬送路近傍に集約されているコンタクト型の画像読取センサが多く用いられている。
【0004】
図6にコンタクト型の画像読取センサ600の概略説明のための切断図を示す。コンタクト型の画像読取センサ600は、原稿を照射する照明手段101と、原稿面で反射された反射光をラインセンサ103に結像するためのレンズアレイ102と、結像された反射光を電気信号に変換する受光素子を長手方向に並べたラインセンサ103と、これらを指定の位置に固定保持する筐体604と、から構成されている。
【0005】
また、画像読取センサ600の原稿搬送面上には、汚れ、ゴミ、傷などから画像読取センサ600内の照明手段101、レンズアレイ102等を保護する読取ガイド601が取付けてある。読取ガイド601は搬送中の原稿を読取るために透明な部材で構成されており、主にガラスを用いたものが多い。読取ガイド601は筐体604に対して一体的に取付けられており、取付け手段として接着を用いる事が多い。
【0006】
画像の読取りは、レジストローラ対706や搬送ローラ対708等の搬送手段により搬送されて読取ガイド601面を通過する原稿をラインセンサ103が走査を行い、照明手段101によって照射された原稿面上の画像を読取る。
【0007】
図7の画像読取装置700では、原稿束を自動で給紙する機構を備えているため一度に多量の原稿を読取る事が可能である。多量の原稿の搬送、読取を繰り返し行うと原稿上にある汚れや紙粉などのゴミが搬送路上に付着、残留してくことが多い。また、搬送路上のみならず原稿搬送時の風圧により周辺に飛び散り搬送路周辺部にも悪影響を及ぼす。特に画像読取部付近では、ゴミが画像読取センサ600の読取ガイド601と筐体604の隙間から中に入り込む事がある。これは、読取ガイド601と筐体604との固定手段に起因するもので、両者が数ヶ所の部分的な接着602で固定されており、接着部以外にはわずかな隙間が開いているためである。このような状態のままで原稿の搬送を続けると画像読取センサ600内のゴミがレンズアレイ102の結像光路上に入りこみ、読取った画像上に線のようなスジを付けてしまう事がある。
【0008】
このため、ゴミなどが侵入しないような構成や清掃できるような構成として、図8、図9に示すように筐体604と読取ガイド601とを強固な接着剤で隙間無く接着し(接着
602)、ゴミの侵入の防止を図った画像読取センサ600が用いられている。また、画像読取センサの長手方向両端に開閉できる開口部を設け、侵入したゴミを取除く構成(特許文献1参照)や、画像読取センサ故障時に、接着されている読取ガイドを工具でこじって外し、画像読取センサ内部の修理ができる構成(特許文献2参照)があった。
【特許文献1】特開平11−150640号公報
【特許文献2】特開平06−268814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、読取りガイド601を強固な接着剤で筐体604に固定した場合、使用環境の温度変化やセンサ内の温度変化で画像読取センサ600に反りを発生してしまう事がある。これは、筐体604と読取ガイド601における透明部材の線膨張係数が異なる事で発生する。一般に筐体604は生産性が良いプラスチックを用いる事が多く、また透明部材には透明度や耐久性を考慮しガラスを用いる事が多い。
【0010】
図10に示すように接着時に比べ使用環境の温度が上がるとプラスチック部の膨張率の方が大きいため、矢印E方向に力が働き、読取ガイド601面側が凹になるように反りが発生し搬送路Pが広がることで原稿面へのピントが合わなくなり、適正な画像が得られなくなることがある。
【0011】
また、図11に示すように使用環境の温度が下がるとプラスチック部の方がより収縮するため、矢印F方向に力が働き、読取ガイド601面が凸になるように反りが発生し、搬送路Pを狭めてしまい搬送ジャムの原因になる。さらに、読取りガイド601のみが傷付いた場合には、画像読取センサ600全体を交換する必要があるが、接着部をこじ開けて読取ガイド601のみ取り外す場合には、筐体604側を破損する可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、環境の変化に対して画像読取センサの反り変形を抑え、画像読取センサの筐体とガイド部材との密着性を高く安定して保ち、画像読取センサ内へのゴミの侵入を軽減することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、画像読取センサのガイド部材の着脱を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、
原稿を搬送する搬送路に沿って配置された透明部材を含むガイド部材と、
前記透明部材を透過して前記原稿に光を照射する照明手段と、
入射光を電気信号に変換する受光素子を有するラインセンサと、
前記ラインセンサと前記透明部材との間に位置して前記透明部材を透過した前記原稿からの反射光を前記ラインセンサに結像する光学部材と、
前記照明手段、前記ラインセンサ及び前記光学部材を保持するための筐体と、
を備え、
前記ガイド部材が前記筐体に着脱可能に設けられており、前記ガイド部材は少なくとも画像読取センサ長手方向の中心近傍の1箇所で前記筐体と掛止されていることを特徴とする画像読取センサである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、環境変化による画像読取センサの反り等の変形を生じ難い。また、画像読取センサのガイド部材と筐体は確実な密着性を保ち、画像読取センサ内へのゴミの侵入を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を画像読取センサ100の断面図を示す図1に基づいて説明する。101は原稿を照射するための照明手段である。照明手段101の光源にはLED(不図示)を用い、LEDからの光を、ライトガイドを介して原稿に照明している。図1では、図面の左右両方の下から原稿を照明する。102は照明された原稿からの反射光をラインセンサ103に結像するためのライン状のレンズアレイ(光学部材)である。103はレンズアレイ102で結像された反射光を電気信号に変換する受光素子を長手方向に並べたラインセンサである。104は照明手段101とレンズアレイ102を決まった位置に保持すると共にレンズアレイ102からの距離を一定に保った状態でラインセンサ103を固定している筐体である。106は原稿の搬送ガイドであると共に光学的に透明で汚れや紙粉などのゴミから照明手段101やレンズアレイ102などを守るための読取ガイド(透明部材)である。105は読取ガイド106と一体的に接合されており筐体104と読取ガイド106とを着脱可能にする掛止部を設けたガイドホルダ(ガイド部材)である。
【0017】
また、ガイドホルダ105には、掛止部105Aを画像読取センサ100の長手方向の中心近傍と両端近傍の計3箇所に備えており、掛止部105Aに対する筐体104の対応位置に被掛止部104Aを設けてある。図2に示すように、被掛止部104Aと掛止部105Aは掛止できる構成になっている。掛止を解除してのガイドホルダ105の筐体104からの着脱は、図3、図4、図5上の矢印方向に読取ガイド106と一体になったガイドホルダ105を筐体104に対してスライド移動させることで行うことができる。
【0018】
ここで、読取ガイド106は光学的に透明なガラス(透明部材)を用い、ガイドホルダ105は形状の自由度と量産性が高いプラスチックを用いて、両者の接触面を接着にて固定している。従来例では筐体と読取ガイドが強固に接着された例を挙げたが、本実施形態の場合は、ガイドホルダ105が筐体104との掛止部105Aを有しただけの形状であり、なおかつ、ガイドホルダ105の中央に読取ガイド106を入れるための穴を設けた形状なので、ガイドホルダ105はガラスの読取ガイド106に比べ剛性が非常に低い。このため、環境温度変化による伸縮が起きた場合でもガイドホルダ105が読取ガイド106にならうため反りやねじれ等の心配はない。なお、掛止部分の寸法は、環境温度の変化による部材の伸縮によっても十分に掛止状態を保つように選択される。このように、読取ガイド106と筐体104の伸縮量の差による反りやねじれの原因となる力は、掛止状態を保ったままで僅かにスライドすることで相殺される。
【0019】
107はガイドホルダ105が筐体104と掛止された時にガイドホルダ105のスライド方向への移動を規制する抜け止めとなる抜け止め部材としてのクリップであり、筐体104の端部に着脱可能に係合し、ガイドホルダ105のスライドを止める。なお、クリップ107が環境温度変化による読取ガイド106と筐体104の伸縮を妨げることが無いように、クリップ107と読取ガイド106との間は、僅かな隙間を有する。また、クリップ107は、掛止部105Aによる掛止位置とはことなる位置として筐体104の端部に配置される。
【0020】
以上説明した画像読取センサ100を従来技術の説明で示した画像読取装置700の画像読取センサ707に換えて用いる。
【0021】
画像読取センサ100内に紙粉などのゴミが入り込んだ時の読取ガイド106を着脱する方法を図3、図4、図5を用いて説明する。
【0022】
まず、ガイドホルダ105の抜け止めを行っているクリップ107を、図3、図4、図5上の矢印C方向に移動して外す。次に、ガイドホルダ105を矢印A方向にスライドさ
せて持ち上げる事で、筐体104からガイドホルダ105を簡単に外す事ができる。ユーザーは、外したガイドホルダ105に接合した読取ガイド106を拭き画像読取センサ100内の紙粉などのゴミを取除き、ガイドホルダ105を外した時と逆の手順(矢印B方向)で再びガイドホルダ105を筐体104へ取付ける事ができる。
【0023】
この時、ガイドホルダ105をスライドさせる量は、掛止部105Aを被掛止部104Aから外すためだけの僅かなスライド距離で十分なため、画像読取センサ100の長手方向の広い空間を用いる必要がなく、読取り原稿の側から作業が行える。よって、画像読取センサ100の筐体104は画像読取装置本体に取付けたままの状態で、原稿のジャム処理等の場合と同様に、原稿搬送部分を開いた状態でガイドホルダ105の着脱を行うことができる。このように専用の工具も使わず簡単にガイドホルダ105の筐体104からの着脱ができるため、メンテナンスが容易に行える。
【0024】
また、本構成によればガイドホルダ105で、画像読取センサ100の長手方向両端付近と長手方向中心近傍を筐体104と掛止するため、ガイドホルダ105に接合した読取ガイド106と筐体104との密着性が高く安定して保つので、紙粉などのゴミが入りづらい構成になる。加えて、読取ガイド106と筐体104が長手方向には固定されていないため、環境による変化などで筐体104は読取ガイド106とは関係なく伸縮でき、画像読取センサ100が反ることも無い。
【0025】
なお、本実施形態とは逆に、フック状の掛止部を筐体に設け、ガイドホルダに被掛止部を設けてもよい。またフック状の掛止部でなく、L字形の溝に掛止部が入ることで掛止されるようにしてもよい。
【0026】
また、ガイドホルダの抜け止めを行うクリップ等の抜け止め部材を、画像読取センサの筐体に設けるのではなく、画像読取装置本体側に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取センサを示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガイドホルダと筐体とが掛止された状態を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガイドホルダと筐体の着脱の方法を示す概略図である。
【図4】図3の斜視図を示す概略図である。
【図5】図3の断面図を示す概略図である。
【図6】従来における画像読取センサの断面を示す概略図である。
【図7】従来における画像読取装置構成を示す概略図である。
【図8】従来における筐体と読取ガイドとを接着した構成を示す概略図である。
【図9】図8の側面を示した概略図である。
【図10】従来における画像読取センサが高温環境下で反った状態を示す概略図である。
【図11】従来における画像読取センサが低温環境下で反った状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0028】
100 画像読取センサ
101 照明手段
102 レンズアレイ
103 ラインセンサ
104 筐体
104A 被掛止部
105 ガイドホルダ
105A 掛止部
106 読取ガイド
107 クリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送路に沿って配置された透明部材を含むガイド部材と、
前記透明部材を透過して前記原稿に光を照射する照明手段と、
入射光を電気信号に変換する受光素子を有するラインセンサと、
前記ラインセンサと前記透明部材との間に位置して前記透明部材を透過した前記原稿からの反射光を前記ラインセンサに結像する光学部材と、
前記照明手段、前記ラインセンサ及び前記光学部材を保持するための筐体と、
を備え、
前記ガイド部材が前記筐体に着脱可能に設けられており、前記ガイド部材は少なくとも画像読取センサ長手方向の中心近傍の1箇所で前記筐体と掛止されていることを特徴とする画像読取センサ。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記筐体に掛止される掛止部を、前記画像読取センサ長手方向の中心近傍の1箇所と、前記画像読取センサ長手方向の両端近傍の2箇所とに設け、前記掛止部で前記筐体と掛止されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取センサ。
【請求項3】
前記掛止部は、前記筐体に対して前記ガイド部材をスライドすることで取外し可能であり、
さらに前記ガイド部材のスライド方向の移動を規制する抜け止め部材を備えることを特徴とする請求項2記載の画像読取センサ。
【請求項4】
前記抜け止め部材は、前記掛止部による掛止位置とは異なる位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の画像読取センサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の画像読取センサで、搬送される原稿の画像を読取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項1】
原稿を搬送する搬送路に沿って配置された透明部材を含むガイド部材と、
前記透明部材を透過して前記原稿に光を照射する照明手段と、
入射光を電気信号に変換する受光素子を有するラインセンサと、
前記ラインセンサと前記透明部材との間に位置して前記透明部材を透過した前記原稿からの反射光を前記ラインセンサに結像する光学部材と、
前記照明手段、前記ラインセンサ及び前記光学部材を保持するための筐体と、
を備え、
前記ガイド部材が前記筐体に着脱可能に設けられており、前記ガイド部材は少なくとも画像読取センサ長手方向の中心近傍の1箇所で前記筐体と掛止されていることを特徴とする画像読取センサ。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記筐体に掛止される掛止部を、前記画像読取センサ長手方向の中心近傍の1箇所と、前記画像読取センサ長手方向の両端近傍の2箇所とに設け、前記掛止部で前記筐体と掛止されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取センサ。
【請求項3】
前記掛止部は、前記筐体に対して前記ガイド部材をスライドすることで取外し可能であり、
さらに前記ガイド部材のスライド方向の移動を規制する抜け止め部材を備えることを特徴とする請求項2記載の画像読取センサ。
【請求項4】
前記抜け止め部材は、前記掛止部による掛止位置とは異なる位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の画像読取センサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の画像読取センサで、搬送される原稿の画像を読取ることを特徴とする画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−246107(P2006−246107A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60071(P2005−60071)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
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