説明

画像読取用レンズおよび画像読取装置

【課題】画像読取用レンズにおいて、諸収差が補正され良好な結像性能を奏するものとする。
【解決手段】物体側から順に、前群GF、開口絞りSt、後群GBを配し、物体側にテレセントリック性を持たせる。前群GFを、正または負の接合レンズの第1群G1、正または負の接合レンズの第2群G2、物体側に凸面をなす正の接合レンズの第3群G3、像側に凹面をなす接合レンズの第4群G4を配したものとし、後群GBを、3つまたは4つのレンズ群からなり、物体側に凹面をなす負の接合レンズの第5群G5、像側に凸面をなす正の第6群G6を有するものとし、前群GFを構成する3枚以上の正レンズ、および後群GBを構成する2枚以上の正レンズが条件式(1):νd>60.0を満たし、かつ、前群GFを構成する1枚以上の正レンズ、および後群GBを構成する2枚以上の正レンズが条件式(1):Δθg,d>0.015を満たすように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取用レンズおよびこの画像読取用レンズを備えた画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、有限距離に配置されたフィルム等の原稿画像を結像レンズを介してCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子に取り込んで電子画像化するイメージスキャナが知られている。また、映画の分野ではデジタル化が進んでおり、LCD(Liquid Crystal Display)等の画像表示デバイスに表示された電子画像を結像レンズによって光学像に変換して映画フィルムに焼き付けたり、逆に、映画フィルム上の画像を結像レンズを介して撮像素子の撮像面に結像させ、この撮像素子により電子画像に変換するような画像読取装置が開発されている。そして、画像読取装置の開発とともに、画像読取装置の結像レンズとして用いられる画像読取用レンズの開発も行われている。
【0003】
上記のような画像読取装置は原稿画像の情報を忠実に読み取ることが要求されるため、画像読取用レンズは、ディストーションなどの諸収差が良好に補正されて、結像領域の中心部から周辺部にわたって高解像であることが求められる。また、近年では、原稿の大半がカラー原稿であることから、画像読取用レンズは軸上色収差および倍率色収差の両方が良好に補正されていることが必要である。
【0004】
また、上記分野の画像読取装置において、特に、フィルム画像を撮像素子で取り込む場合、フィルム面上の微小なキズや埃等を画像情報として検出するとともに、そのキズや埃等によって生じた不要な画像部分を画像処理によってデジタル的に除去したいという要求がある。フィルム面上のキズや埃等を検出する場合、近赤外光を用いることが多い。このため、画像読取用レンズには、可視域だけでなく、可視域から近赤外域(例えば900nm程度)にわたった広い波長域で、軸上色収差および倍率色収差がともに良好に補正され、良好な光学性能を有していることが望まれる。
【0005】
可視域から近赤外域にわたって諸収差を補正した画像読取用レンズとしては、例えば、以下の特許文献1〜4に記載のレンズが知られている。
【0006】
特許文献1には、4群6枚構成において、開口絞りに隣接する縮小側および拡大側の2つのレンズ群それぞれを2枚の接合レンズで構成した例が記載されている。
【0007】
特許文献2には、13〜14枚のレンズからなる6群構成において、開口絞りに隣接する縮小側および拡大側の2つのレンズ群それぞれを3枚の接合レンズで構成した例が記載されている。
【0008】
また、特許文献3には、10〜12枚のレンズからなる6群構成において、開口絞りに隣接する縮小側および拡大側の2つのレンズ群それぞれを2枚の接合レンズで構成した例が記載されている。
【0009】
さらに、特許文献4には、12〜14枚のレンズからなる7群構成において、倍率が1.4倍から1.7倍程度となるように構成した例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−287022号公報
【特許文献2】特開2002−148514号公報
【特許文献3】特開2008−26593号公報
【特許文献4】特開2010−276892
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、画像読取用レンズには、結像領域の中心部から周辺部まで諸収差の発生を抑えた、高解像で品質の高い画像が得られることが要求される。また、近年の撮像素子の高画素化に伴い、さらに高品質の画像の得られる画像読取用レンズが求められている。
【0012】
より具体的には、諸収差、特に歪曲と倍率・軸上の色収差を良好に補正することや、例えばLCDから発せられたりCCDで受光したりする光線が角度を持つとシェーディングが発生し画質が劣化するため、そのようなシェーディングの発生を抑制することが求められている。
【0013】
しかしながら、特許文献1、3に記載されている、レンズ枚数やレンズ群数の少ないレンズ系は、近年の画像読取用レンズに対する要求性能に比して、収差の補正が十分に施されたものとは言えない。
【0014】
また、特許文献2に記載されている、入射側、射出側がどちらもテレセントリックではないレンズ系や、特許文献4に記載の倍率が1.4倍から1.7倍程度のレンズ系も、近年の画像読取用レンズに対する要求性能に比して十分な性能を有するものとは言えない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、諸収差、特に軸上色収差および倍率色収差が良好に補正され、結像領域中心部から周辺部に亘って良好な結像性能を有する画像読取用レンズおよびこの画像読取用レンズを備えた画像読取装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像読取用レンズは、物体側から順に、正の屈折力を持つ前群と、開口絞りと、正の屈折力を持つ後群とからなり、物体側にテレセントリック性を有するものであり、前群は、物体側から順に、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第1レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第2レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として正の屈折力を持ち、最も物体側の面が物体側に凸面をなす接合レンズである第3レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凹面をなす接合レンズである第4レンズ群とからなり、第1レンズ群、第2レンズ群、および第3レンズ群を合わせた屈折力が正となるように構成されたものであり、後群は、4枚の正レンズと少なくとも2枚の負レンズとを含み、3つまたは4つのレンズ群からなり、この後群中の最も物体側に配されている第5レンズ群が、正レンズと負レンズとからなり、全体として負の屈折力を持ち最も物体側の面が物体側に凹面をなす接合レンズであり、第5レンズ群の像側に配されている、後群中の第6レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み全体として正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものであり、第5レンズ群よりも像側に配された後群中のレンズ部分が、全体として正の屈折力を持つように構成されたものであり、前群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚、および後群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚が条件式(1):νd>60.0を満たし、かつ、前群を構成する正レンズのうち少なくとも1枚、および後群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚が条件式(2):Δθg,d>0.015を満たすことを特徴とするものである。ただし、νdをレンズのd線に対するアッベ数、Δθg,dを異常分散性(Δθg,d=θg,d−1.365+0.00208×νd)、θg,dをg線、d線の部分分散比(θg,d=(ng−nd)/(nF−nC))、ngをg線に対する屈折率、ndをd線に対する屈折率、nFをF線に対する屈折率、nCをC線に対する屈折率とする。
【0017】
前記画像読取用レンズは、後群が、物体側から順に、第5レンズ群、第6レンズ群、第7レンズ群、第8レンズ群からなる前記4つのレンズ群で構成され、第7レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものであり、第8レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものであることを特徴とするものである。さらに、この画像読取用レンズは、後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が条件式(1)を満たし、前群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚、および後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が条件式(2)を満たすものとすることができる。
【0018】
前記画像読取用レンズは、後群が、物体側から順に、第5レンズ群、第6レンズ群、第7レンズ群からなる前記3つのレンズ群で構成され、第6レンズ群が、少なくとも2枚の正レンズを含むものであり、第7レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み全体として正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものとすることができる。さらに、この画像読取用レンズは、後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が条件式(1)を満たし、前群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚、および後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が条件式(2)を満たすものとすることができる。
【0019】
前記画像読取用レンズは、後群が、物体側から順に、第5レンズ群、第6レンズ群、第7レンズ群、第8レンズ群からなる前記4つのレンズ群で構成され、第1レンズ群が、最も物体側の面が物体側に凸面をなすものであり、第2レンズ群が、全体として正の屈折力を持ち、最も物体側の面が物体側に凸面をなすものであり、第6レンズ群が単レンズであり、第7レンズ群が、正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなす単レンズであり、第8レンズ群が、正レンズと負レンズとからなり、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなす接合レンズであるものとすることができる。さらに、第8レンズ群を構成する接合レンズは、物体側から順に正レンズ、負レンズを配置してなるものとすることができる。
【0020】
前記画像読取用レンズは、後群が、物体側から順に、第5レンズ群、第6レンズ群、第7レンズ群、第8レンズ群からなる前記4つのレンズ群で構成され、第1レンズ群が、全体として正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなす接合レンズであり、第6レンズ群が、単レンズであり、第7レンズ群が、正レンズと負レンズとからなり、全体として正または負の屈折力を持ち、最も物体側の面が物体側に凹面を向けた接合レンズであり、第8レンズ群が、像側に凸面を向けた正の屈折力を持つ単レンズであるものとすることができる。さらに、第7レンズ群を構成する接合レンズは、物体側から順に負レンズ、正レンズを配置してなるものとすることができる。
【0021】
本発明の画像読取装置は、前記画像読取用レンズを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
前記画像読取用レンズは、実質的に7つまたは8つのレンズ群からなるものとすることができる。なお、「実質的にn個のレンズ群からなるレンズ」とは、n個のレンズ群以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、絞りやカバーガラス等レンズ以外の光学要素、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、手振れ補正機構等の機構部分、等を持つレンズである。
【0023】
前記「正レンズ」は1枚の正の屈折力を有するレンズを意味し、前記「負レンズ」は1枚の負の屈折力を有するレンズを意味する。すなわち、単に「正レンズ」と記載されている場合は1枚の正の屈折力を有するレンズを意味し、単に「負レンズ」と記載されている場合は1枚の負の屈折力を有するレンズを意味する。
【0024】
前記画像読取用レンズを構成するレンズとして非球面レンズを用いる場合、非球面の凹凸、非球面の屈折力の正負、および非球面の曲率半径の正負は、この非球面の近軸領域における凹凸、屈折力の正負、および曲率半径の正負によって規定するものとする。
【0025】
画像読取用レンズは、一般に、被写体から発せられた光を一方の側から他方の側へ通してその被写体を表す光学像を結像させることができるとともに、被写体から発せられた光を他方の側から一方の側へ通してその被写体を表す光学像を結像させることもできるように構成されている。そのため、前記「物体側」は、必ずしも被写体側に対応する場合に限らず結像側に対応することもある。また、前記「像側」についても同様に、この「像側」は必ずしも結像側に対応する場合に限らず被写体側に対応することもある。
【0026】
すなわち、この画像読取用レンズに関する「物体側」、あるいは「像側」の記載は、便宜的に記載したものであり、画像読取用レンズ対して光を通す方向を制限するものではない。
【0027】
ただし、この画像読取用レンズは、物体側にテレセントリック性を有し像側にはテレセントリック性を有していない。また、この画像読取用レンズは、開口絞りよりも物体側に配されているレンズの総数の方が、開口絞りよりも像側に配されているレンズの総数よりも多くなるように構成されている。
【0028】
画像読取用レンズが物体側にテレセントリック性を有するとは、完全にテレセントリックとなる場合に限らない。ここで、「物体側」を「一方の側」と言い換えて説明すると、すなわち、「画像読取用レンズが一方の側にテレセントリック」とは、この画像読取用レンズから一方の側へ向けて射出される主光線、あるいは一方の側からこの画像読取用レンズへ入射される主光線が光軸に対して完全に平行となる場合に限るものではなく、多少の誤差がある場合をも含むものを意味する。なお、多少の誤差がある場合とは、光軸に対する主光線の傾きが±1°以下となる場合である。
【0029】
なお、画像読取用レンズは、光軸に対する主光線の傾きが±0.6°以下となるようなテレセントリック性を有するものとすることがより望ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の画像読取用レンズおよび画像読取装置によれば、物体側から順に、正の屈折力を持つ前群、開口絞り、正の屈折力を持つ後群からなり、物体側にテレセントリック性を有するものとし、前群を、物体側から順に、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第1レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第2レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として正の屈折力を持ち、最も物体側に配された面が物体側に凸面をなす接合レンズである第3レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として負の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凹面をなす接合レンズである第4レンズ群とからなり、第1レンズ群、第2レンズ群、および第3レンズ群を合わせた屈折力が正となるように構成し、後群を、4枚の正レンズと少なくとも2枚の負レンズとを含み、3つまたは4つのレンズ群からなるものとし、後群中の最も物体側に配されている第5レンズ群を、正レンズと負レンズとからなり、全体として負の屈折力を持ち、最も物体側の面が物体側に凹面をなす接合レンズとし、第5レンズ群の像側に隣接して配されている、後群中の第6レンズ群を、少なくとも1枚の正レンズを含み全体として正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものとし、第5レンズ群よりも像側に配された後群中のレンズ部分を、全体として正の屈折力を持つように構成し、さらに、前群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚、および後群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚が条件式(1):νd>60.0を満たし、かつ、前群を構成する正レンズのうち少なくとも1枚、および後群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚が条件式(2):Δθg,d>0.015を満たすようにしたので、諸収差、特に軸上色収差および倍率色収差が良好に補正され、結像領域中心部から周辺部に亘って良好な結像性能を得ることができる。
【0031】
すなわち、この画像読取用レンズは、開口絞りを間に挟んで略対称なパワー配置とすることにより、等倍近傍で良好な性能を達成することができる。また、この画像読取用レンズは、例えばCCDやLCD等の配される側をテレセントリック性を有する物体側とすることでシェーディングを抑制することができるとともに、倍率合わせの感度を抑えることができるので、予め定められた所定倍率に合わせることが容易となる。
【0032】
また、開口絞りより物体側を4群構成、開口絞りより像側を3〜4群構成とすることでコマ収差や非点収差を良好に補正することができる。
【0033】
さらに、正レンズにアッベ数の大きなガラス、異常分散性をもつガラスを多用することで、諸収差、特に可視域全域での軸上・倍率色収差をより良好に補正することができ、さらに、開口絞りより物体側(テレセントリック側)のすべての群と、開口絞りより像側(テレセントリック側ではない側)の少なくとも2つの群を接合レンズとすることで色収差をより良好に補正することができる。
【0034】
なお、本発明の画像読取用レンズに関するより具体的な効果につては後述する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態による画像読取用レンズの概略構成を示す断面図
【図2】実施例1の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図3】実施例2の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図4】実施例3の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図5】実施例4の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図6】実施例5の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図7】実施例6の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図8】実施例7の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図9】実施例8の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図10】実施例9の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図11】実施例10の画像読取用レンズの構成を示す断面図
【図12】図12(a)〜12(d)は、実施例1の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図13】図13(a)〜13(d)は、実施例2の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図14】図14(a)〜14(d)は、実施例3の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図15】図15(a)〜15(d)は、実施例4の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図16】図16(a)〜16(d)は、実施例5の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図17】図17(a)〜17(d)は、実施例6の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図18】図18(a)〜18(d)は、実施例7の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図19】図19(a)〜19(d)は、実施例8の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図20】図20(a)〜20(d)は、実施例9の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図21】図21(a)〜21(d)は、実施例10の画像読取用レンズの諸収差を示す収差図
【図22】本発明の実施の形態の画像読取装置の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の画像読取用レンズおよびこの画像読取用レンズを備えた画像読取装置について図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態の画像読取用レンズを示す断面図である。なお、図中の矢印X、Y、Zは互いに直交する3方向を示すものであり、矢印Z方向は光軸Z1と同方向を示している。
【0038】
図示の画像読取用レンズ100は、一方の側である物体側(図中矢印−Z方向の側)から順に、正の屈折力を持つ前群GF、開口絞りSt、正の屈折力を持つ後群GBからなり、物体側にテレセントリック性を有するものである。
【0039】
前群GFは、物体側から順に、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第1レンズ群G1と、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第2レンズ群G2と、正レンズと負レンズとからなり全体として正の屈折力を持ち、最も物体側に配された面が物体側に凸面をなす接合レンズである第3レンズ群G3と、正レンズと負レンズとからなり全体として負の屈折力を持ち、最も像側(図中矢印+Z方向の側、他方の側)に配された面が像側に凹面をなす接合レンズである第4レンズ群G4とからなり、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、および第3レンズ群G3を合わせた屈折力が正となるように構成されたものである。
【0040】
後群GBは、4枚の正レンズと少なくとも2枚の負レンズとを含み、3つまたは4つのレンズ群からなるものである。後群GB中の最も物体側に配されている第5レンズ群G5は、正レンズと負レンズとからなり、全体として負の屈折力を持ち最も物体側に配された面が物体側に凹面をなす接合レンズである。第5レンズ群G5の像側に隣接して配されている後群中の第6レンズ群G6は、少なくとも1枚の正レンズを含み全体として正の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凸面をなすものであり、さらに、第5レンズ群G5よりも像側に配された(この第5レンズ群G5を含まない)後群GB中のレンズ部分は、全体として正の屈折力を持つように構成されたものである。
【0041】
さらに、画像読取用レンズ100は、前群GFを構成する正レンズのうち少なくとも3枚の正レンズ、および後群GBを構成する正レンズのうち少なくとも2枚の正レンズが以下の条件式(1):νd>60.0を満たし、かつ、前群GFを構成する正レンズのうち少なくとも1枚の正レンズ、および後群GBを構成する正レンズのうち少なくとも2枚の正レンズが以下の条件式(2):Δθg,d>0.015を満たしている。
【0042】
ただし、νdはレンズのd線に対するアッベ数、Δθg,dは異常分散性(Δθg,d=θg,d−1.365+0.00208×νd)である。なお、θg,dはg線とd線との部分分散比(θg,d=(ng−nd)/(nF−nC))、ngはg線に対する屈折率、ndはd線に対する屈折率、nFはF線に対する屈折率、nCはC線に対する屈折率である。
【0043】
画像読取用レンズ100は、上記基本構成の他に以下のような構成を付加したものとすることができる。
【0044】
この画像読取用レンズ100は、結像倍率が0.7倍以上、1.5倍以下となるように構成されたものとすることができる。
【0045】
また、後群GBは、上記第5レンズ群G5、上記第6レンズ群G6に加えて、第7レンズ群G7、第8レンズ群G8をこの順に配置した4つのレンズ群からなり、第7レンズ群G7が、少なくとも1枚の正レンズを含み、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凸面をなすものであり、第8レンズ群G8が、少なくとも1枚の正レンズを含み、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凸面をなすものとすることができる。
【0046】
また、後群GBは、上記第5レンズ群G5、上記第6レンズ群G6に加えて第7レンズ群G7をこの順に配置した3つのレンズ群からなり、第6レンズ群G6が、少なくとも2枚の正レンズを含むものであり、第7レンズ群G7が、少なくとも1枚の正レンズを含み全体として正の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凸面をなすものとすることができる。
【0047】
また、画像読取用レンズ100は、前群GFを構成する正レンズのうち少なくとも3枚の正レンズ、および後群GBを構成する正レンズのうち少なくとも3枚の正レンズが条件式(1)を満たし、前群GFを構成する正レンズのうち少なくとも2枚の正レンズ、および後群GBを構成する正レンズのうち少なくとも3枚の正レンズが条件式(2)を満たすものとすることができる。
【0048】
後群GBが、物体側から順に、第5レンズ群G5、第6レンズ群G6、第7レンズ群G7、第8レンズ群G8からなるものであるときには、この後群GBは、第1レンズ群が、最も物体側に配された面が物体側に凸面をなすものであり、第2レンズ群G2が、全体として正の屈折力を持ち、最も物体側に配された面が物体側に凸面をなすものであり、第6レンズ群G6が単レンズであり、第7レンズ群G7が、正の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凸面をなす単レンズであり、第8レンズ群が、正レンズと負レンズとからなり、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凸面をなす接合レンズとなるように構成されたものとすることができる。さらに、第8レンズ群G8は、物体側から順に、正レンズ、負レンズからなる接合レンズとすることもできる。
【0049】
また、上記と同様に後群GBが、物体側から順に、第5レンズ群G5、第6レンズ群G6、第7レンズ群G7、第8レンズ群G8からなるものであるときには、この後群GBは、第1レンズ群G1が、全体として正の屈折力を持ち、最も像側に配された面が像側に凸面をなす接合レンズであり、第6レンズ群G6が単レンズであり、第7レンズ群G7が、正レンズと負レンズとからなり、全体として正または負の屈折力を持つ物体側に凹面を向けた接合レンズであり、第8レンズ群G8が、像側に凸面を向けた正の屈折力を持つ単レンズとなるように構成されたものとすることができる。さらに、第7レンズ群G7は、物体側から負レンズ、正レンズの順に配置された接合レンズとすることもできる。
【0050】
以下、画像読取用レンズ100の上記のような構成による作用、効果について説明する。ここでの記載は、画像読取用レンズ100に対して「物体側」から「像側」へ光を通して、被写体を表す光学像を結像させるものとして説明を行うが、既に説明したようにこの画像読取用レンズに対して逆方向に(「像側」から「物体側」へ)光を通して被写体の光学像を結像させるようにしてもよい。
【0051】
この画像読取用レンズ100は、物体側(一方の側)にテレセントリック性を有しているので、このテレセントリック性を有する物体側に電子デバイス(LCDやCCD等)を配置することにより、電子デバイスを用いる場合に問題となる角度依存性に起因するシェーディングの発生を防止することができ、中心部から周辺部に亘って良好な画像品質を維持することができる。また、テレセントリック性を有する物体側での距離変動は、結像倍率に影響を殆ど及ぼさないので倍率合わせの感度が抑えられ、所望の結像倍率に合わせやすくなる。
【0052】
なお、画像読取用レンズ100がテレセントリック性を有するとは、主光線と光軸Z1との角度が1°以下であることを意味する。画像読取用レンズ100は、物体側に、主光線と光軸Z1との角度が0.6°以下となるようなテレセントリック性を有することが望ましい。なお、この画像読取用レンズ100は、像側にはテレセントリック性を有していない。
【0053】
画像読取用レンズ100を、結像倍率が0.7倍以上、1.5倍以下となるように構成しつつ、良好な光学性能を実現するためには、この画像読取用レンズ100に対して、開口絞りStを間に挟んで両側に対称に近いパワー配置を持たせることが望ましい。開口絞りStの物体側、像側にそれぞれ隣接して配置されたレンズ群(第4レンズ群G4、第5レンズ群G5)は、両方共に、開口絞りStに凹面を向けた正負の接合レンズからなる負のレンズ群である。さらに、第4レンズ群G4の物体側に配された第3レンズ群G3を物体側に凸面を向けた正の屈折力を持つレンズ群とし、第5レンズ群G5の像側に配された第6レンズ群G6を、像側に凸面を向けた正の屈折力を持つレンズ群とすることで第3レンズ群G3から第6レンズ群G6までの4つの群でいわゆるダブルガウス型の光学系を構成することができる。また、第4レンズ群G4よりも物体側に配された(この第4レンズ群G4を含まない)全てのレンズ群を全体として正の屈折力を有するものとし、第5レンズ群G5より像側に配された(この第5レンズ群G5を含まない)全てのレンズ群を全体として正の屈折力を有するものとすることで、レンズ全系としてもダブルガウス型の光学系を構成するものとなっている。ダブルガウス型の光学系は、像面湾曲およびディストーションを小さくすることができ、明るい光学系の設計に有利であるという長所を有する。
【0054】
また、映画用フィルムに要求される解像度をその画像形成領域の全域で達成するためには球面収差だけではなく、コマ収差、非点収差をも良好に補正する必要がある。そのために、開口絞りStより物体側に配置された、前群GFを4群構成として良好な光学性能を達成している。さらにテレセントリック性を確保しながら軸上色収差と倍率色収差を良好に補正するため、この前群GFにおける4つのレンズ群をすべて正レンズと負レンズの接合レンズとしている。
【0055】
開口絞りStを間に挟んでレンズ構成を対称なものとするために、開口絞りStよりも物体側と同じく、開口絞りStよりも像側においても正レンズを4枚配置している。さらに、開口絞りStより像側での諸収差の発生を抑えるため、この像側に少なくとも2枚の負レンズを配置している。諸収差のバランスを重視した場合、後群GBは前群GFと対称となる4群構成であることが望ましいが、特に色収差の補正を重視した場合、正レンズ2枚と負レンズ1枚を接合した3枚接合のレンズ群を含む3群構成とすることもできる。
【0056】
また、色収差の発生を抑え良好に補正するために、前群GF中の正レンズのうち少なくとも3枚と、後群GB中の正レンズのうち少なくとも2枚とが条件式(1):νd>60.0を満たし、前群GF中の正レンズのうち少なくとも1枚の正レンズと、後群GB中の正レンズのうち少なくとも2枚の正レンズとが条件式(2):Δθg,d>0.015を満たすように構成されている。上記条件を満たすことにより、軸上色収差と倍率色収差の発生量を抑える事ができる。より効果的に色収差を補正するためには後群GB中の正レンズのうち少なくとも3枚が条件式(1):νd>60.0を満たし、前群GF中の正レンズのうち少なくとも2枚と後群GB中の正レンズのうち少なくとも3枚が条件式(2):Δθg,d>0.015を満たしていることが望ましい。
【0057】
また、開口絞りStより像側で発生する諸収差を補正するため、第6レンズ群G6より像側のいずれかの群に負レンズが配置されている必要がある。この負レンズを、後群GB中の第6レンズ群G6より像側に配置する際に、なるべく像側寄りに配置することで非点収差を良好に補正することができる。更にこの負レンズを正レンズとの接合レンズにすることで倍率色収差を良好に補正する事ができるため、第6レンズ群G6を正の単レンズ、第7レンズ群G7を正の単レンズ、第8レンズ群G8を正と負の接合レンズから成るものとすることが望ましい。
【0058】
さらに、第8レンズ群G8の接合レンズを正レンズ、負レンズの順に配置することで負レンズを最も像側に配置することができるため収差補正上より望ましい配置とすることができる。
【0059】
なお、第8レンズ群G8に配置された接合レンズは、光学系に要求される仕様に応じて正負いずれの値も取り得るため、上記のような場合の後群GBのパワー配置は負の第5レンズ群G5、正の第6レンズ群G6、正の第7レンズ群G7、正または負の第8レンズ群G8となる。そのような場合には、レンズ全体のパワー配置を、開口絞りStを間に挟んで対称なものとするため、前群GFのパワー配置は、第1レンズ群G1が正または負、第2レンズ群G2が正、第3レンズ群G3が正、第4レンズ群G4が負とすることが望ましい。
【0060】
また、画像読取用レンズ100が8つのレンズ群で構成されたものである場合、第6レンズ群G6以降に配置する負レンズを後群GB中の4枚の正レンズの間に配置することで軸上色収差を良好に補正することができる。更にこの負レンズを正レンズとの接合レンズとすることで軸上色収差と倍率色収差をバランス良く補正することができるため、第6レンズ群G6が正の単レンズ、第7レンズ群G7が正と負の接合レンズ、第8レンズ群G8が正の単レンズから成るものとすることが望ましい。
【0061】
さらに、第7レンズ群G7を構成する接合レンズを物体側から負レンズ、正レンズの順に配置するとともに、第5レンズ群G5を構成する接合レンズも物体側から負レンズ、正レンズの順に配置することにより、第7レンズ群G7中の負レンズを4枚の正レンズの中央に配置することができ、収差補正上より望ましい配置とすることができる。
【0062】
なお、第7レンズ群G7に配置された接合レンズは光学系に要求される仕様に応じて正負いずれの値も取り得るため、上記のような場合の後群GBのパワー配置は負の第5レンズ群G5、正の第6レンズ群G6、正または負の第7レンズ群G7、正の第8レンズ群G8となる。そのような場合には、レンズ全体のパワー配置を、開口絞りStを間に挟んで対称なものとするために、前群GFのパワー配置は、第1レンズ群G1が正、第2レンズ群G2が正または負、第3レンズ群G3が正、第4レンズ群G4が負とすることが望ましい。
【実施例】
【0063】
次に、本発明による画像読取用レンズの具体的な数値データを示す実施例1〜10について、図2から図11、図12から図21、表1から表10を参照し、まとめて説明する。なお、上述の画像読取用レンズ100を示す図1中の符号と一致する図2から11中の符号は互に対応する構成要素を示している。
【0064】
なお、上述の場合と同様に、図中矢印−Z方向の側が物体側(テレセントリック性を有する側)、図中矢印+Z方向の側が像側(テレセントリック性を有していない側)である。
【0065】
また、以下に説明する実施例では、実施例1〜10それぞれの画像読取用レンズを構成する各接合レンズおよび各単レンズが1つの群に対応している。
【0066】
<実施例1>
図2は、実施例1の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。
【0067】
この実施例1の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【0068】
また、表1は、実施例1の画像読取用レンズのレンズデータと各種データを示すものである。表1の上段にレンズデータを、下段に各種データを示す。
【0069】
表1の上段のレンズデータにおいて、面番号iは最も物体側に配置された面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面Siの面番号を示す。なお、このレンズデータには開口絞りStをも含めて面番号を付している。
【0070】
表1の上段の記号Riはi番目(i=1、2、3、…)の面の曲率半径を示し、記号Diはi(i=1、2、3、…)番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。記号Riおよび記号Diは、各レンズ面や開口絞りStを示す記号Si(i=1、2、3、・・・)と番号が対応している。
【0071】
また、表1の上段の記号Ndjは最も物体側の光学要素を1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示す。
【0072】
θg,djの欄にはj番目のレンズのg線とd線間の部分分散比θg,dを示し、Δθg,djの欄にはj番目のレンズの異常分散性Δθg,dを示している。
【0073】
また、表1の下段の各種データは、レンズ全系の焦点距離f、倍率M、テレセントリック性を有する物体側における主光線の入射角度V1、および主光線の射出角度V2、第1レンズ群から第3レンズ群に含まれる全レンズの合成焦点距離f13、第6レンズ群よりも像側に配置されている全レンズの合成焦点距離f6Aそれぞれについての値を示している。なお、各種データの値は、e線(波長546.07nm)を基準にして求めたものである。
【0074】
なお、表1の上段において、曲率半径は物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。また、曲率半径、面間隔、焦点距離の単位はmmとしている。しかしながら、上記のような光学系は、一般にレンズ等の光学要素の寸法を比例拡大または比例縮小しても所定の性能を維持することが可能なため、上記レンズデータ全体を比例拡大または比例縮小した画像読取用レンズについても本発明に係る実施例とすることができる。
【表1】

【0075】
図12(a)〜図12(d)に実施例1の画像読取用レンズの諸収差を示す。図12(a)は球面収差、図12(b)は非点収差、図12(c)はディストーション(歪曲収差)、図12(d)は倍率色収差(倍率の色収差)を示す。各収差図は、e線(波長546.07nm)を基準波長として作成したものである。球面収差図および倍率色収差図にはC線(波長656.27nm)、g線(波長435.84nm)についての収差も示す。非点収差図の実線はサジタル方向の収差、破線はタンジェンシャル方向の収差を示す。
【0076】
また、球面収差図の縦軸上部にははFナンバー(Fno.)の値を示し、非点収差図、ディストーション、倍率色収差図それぞれの縦軸上部には、上表の各種データの物体側における物体高で決まる最大の像高を示す。
【0077】
以上のデータから、実施例1の画像読取用レンズが、約等倍において、諸収差、特に軸上色収差および倍率色収差が良好に補正され、結像領域中心部から周辺部に亘って良好な結像性能を有するものであることがわかる。
【0078】
なお、上記実施例1の画像読取用レンズの構成を示す図2、収差を示す図12(a)〜12(d)、およびレンズデータや各種データを示す表1の読取り方等は、後述する実施例2〜7についても同様なので、後述の実施例についてはそれらの詳しい説明は省略する。
【0079】
<実施例2>
図3は、実施例2の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図13(a)〜13(d)は、実施例2の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0080】
下記表3の上段には実施例2の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0081】
この実施例2の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表2】

【0082】
<実施例3>
図4は、実施例3の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図14(a)〜14(d)は、実施例3の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0083】
下記表4の上段には実施例3の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0084】
この実施例3の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表3】

【0085】
<実施例4>
図5は、実施例4の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図15(a)〜15(d)は、実施例4の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0086】
下記表4の上段には実施例4の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0087】
この実施例4の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表4】

【0088】
<実施例5>
図6は、実施例5の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図16(a)〜16(d)は、実施例5の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0089】
下記表5の上段には実施例5の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0090】
この実施例5の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表5】

【0091】
<実施例6>
図7は、実施例6の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図17(a)〜17(d)は、実施例6の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0092】
下記表6の上段には実施例6の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0093】
この実施例6の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表6】

【0094】
<実施例7>
図8は、実施例7の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図18(a)〜18(d)は、実施例7の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0095】
下記表7の上段には実施例7の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0096】
この実施例7の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表7】

【0097】
<実施例8>
図9は、実施例8の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図19(a)〜19(d)は、実施例8の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0098】
下記表8の上段には実施例8の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0099】
この実施例8の画像読取用レンズは、7つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表8】

【0100】
<実施例9>
図10は、実施例9の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図20(a)〜20(d)は、実施例9の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0101】
下記表9の上段には実施例9の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0102】
この実施例9の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表9】

【0103】
<実施例10>
図11は、実施例10の画像読取用レンズの概略構成を示す断面図である。また、図21(a)〜21(d)は、実施例10の画像読取用レンズの諸収差を示す図である。
【0104】
下記表10の上段には実施例10の画像読取用レンズのレンズデータを、下段には各種データを示す。
【0105】
この実施例10の画像読取用レンズは、8つのレンズ群からなる画像読取用レンズに対応するものである。
【表10】

【0106】
次に、本発明の実施形態の画像読取装置について説明する。図22は、本発明の実施の形態の画像読取装置の概略構成を示す図である。
【0107】
図示の画像読取装置200は、上記画像読取用レンズ100と、読み取り対象となる映画フィルム等の原稿2が載置される原稿載置台3と、原稿2の画像を取り込むCCD等の撮像素子4とを備えている。画像読取用レンズ100は、原稿2と撮像素子4との間に配置される。なお、必要に応じて、色フィルタや結像倍率を変化させるアタッチメントレンズ等の光学部材5を画像読取用レンズ100に対して装着するようにしてもよい。
【0108】
この画像読取装置200は、反射原稿方式または透過原稿方式のいずれにも適用できる。反射原稿方式の画像読取装置の場合、図示しない光源からの光が原稿2の表面側に照射される。そして、その原稿2からの反射光が画像読取用レンズ100を透して撮像素子4上に結像される。この撮像素子4上に結像された上記原稿2を表す光学像は、撮像素子4によって画像情報として取り込まれる。
【0109】
透過原稿方式の画像読取装置の場合、原稿載置台3は光を透過する透明な部材で構成され、原稿2がネガフィルムやポジフィルム等の透過原稿で構成される。また、図示しない光源が原稿載置台3の裏面側に配置され、原稿2の裏面側からこの原稿2に向けて照明光が照射される。そして、原稿2からの透過光が画像読取用レンズ100を透過して結像作用を受けることによって、この原稿2を表す光学像が撮像素子4上に結像される。この結像された光学像は、撮像素子4によって画像情報として取り込まれる。
【0110】
なお、原稿2としてLCD等の画像表示デバイスを配置したり、撮像素子4に代えて映画フィルム等を配置するようにしてもよい。これにより、画像表示デバイスに表示された電子画像を画像読取用レンズによって光学像に変換して映画フィルム等に焼き付けることができる。
【0111】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ要素の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
【符号の説明】
【0112】
GF 前群
St 開口絞り
GB 後群
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を持つ前群と、開口絞りと、正の屈折力を持つ後群とからなり、物体側にテレセントリック性を有するものであり、
前記前群は、
物体側から順に、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第1レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として正または負の屈折力を持つ接合レンズである第2レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として正の屈折力を持ち、最も物体側の面が物体側に凸面をなす接合レンズである第3レンズ群と、正レンズと負レンズとからなり全体として負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凹面をなす接合レンズである第4レンズ群とからなり、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、および前記第3レンズ群を合わせた屈折力が正となるように構成されたものであり、
前記後群は、
4枚の正レンズと少なくとも2枚の負レンズとを含み、3つまたは4つのレンズ群からなり、
前記後群中の最も物体側に配されている第5レンズ群が、正レンズと負レンズとからなり、全体として負の屈折力を持ち最も物体側の面が物体側に凹面をなす接合レンズであり、
前記第5レンズ群の像側に配されている、前記後群中の第6レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み全体として正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものであり、前記第5レンズ群よりも像側に配された前記後群中のレンズ部分が、全体として正の屈折力を持つように構成されたものであり、
前記前群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚、および前記後群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚が以下の条件式(1)を満たし、かつ、前記前群を構成する正レンズのうち少なくとも1枚、および前記後群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚が以下の条件式(2)を満たすように構成されたものであることを特徴とする画像読取用レンズ。
νd>60.0・・・(1)
Δθg,d>0.015・・・(2)
ただし、
νd:レンズのd線に対するアッベ数
Δθg,d:異常分散性(Δθg,d=θg,d−1.365+0.00208×νd)
θg,d:g線、d線の部分分散比(θg,d=(ng−nd)/(nF−nC))
ng:g線に対する屈折率
nd:d線に対する屈折率
nF:F線に対する屈折率
nC:C線に対する屈折率
【請求項2】
前記後群が、物体側から順に、前記第5レンズ群、前記第6レンズ群、第7レンズ群、第8レンズ群からなる前記4つのレンズ群で構成されたものであり、
前記第7レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものであり、
前記第8レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものであることを特徴とする請求項1記載の画像読取用レンズ。
【請求項3】
前記後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が前記条件式(1)を満たし、
前記前群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚、および前記後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が前記条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または2記載の画像読取用レンズ。
【請求項4】
前記後群が、物体側から順に、前記第5レンズ群、前記第6レンズ群、第7レンズ群からなる前記3つのレンズ群で構成されたものであり、
前記第6レンズ群が、少なくとも2枚の正レンズを含むものであり、
前記第7レンズ群が、少なくとも1枚の正レンズを含み全体として正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなすものであることを特徴とする請求項1記載の画像読取用レンズ。
【請求項5】
前記後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が前記条件式(1)を満たし、
前記前群を構成する正レンズのうち少なくとも2枚、および前記後群を構成する正レンズのうち少なくとも3枚が前記条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項4記載の画像読取用レンズ。
【請求項6】
前記後群が、物体側から順に、前記第5レンズ群、前記第6レンズ群、第7レンズ群、第8レンズ群からなる前記4つのレンズ群で構成されたものであり、
前記第1レンズ群が、最も物体側の面が物体側に凸面をなすものであり、
前記第2レンズ群が、全体として正の屈折力を持ち、最も物体側の面が物体側に凸面をなすものであり、
前記第6レンズ群が単レンズであり、
前記第7レンズ群が、正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなす単レンズであり、
前記第8レンズ群が、正レンズと負レンズとからなり、全体として正または負の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなす接合レンズであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像読取用レンズ。
【請求項7】
前記第8レンズ群が、物体側から順に正レンズ、負レンズを配置してなる前記接合レンズであることを特徴とする請求項6記載の画像読取用レンズ。
【請求項8】
前記後群が、物体側から順に、前記第5レンズ群、前記第6レンズ群、第7レンズ群、第8レンズ群からなる前記4つのレンズ群で構成されたものであり、
前記第1レンズ群が、全体として正の屈折力を持ち、最も像側の面が像側に凸面をなす接合レンズであり、
前記第6レンズ群が、単レンズであり、
前記第7レンズ群が、正レンズと負レンズとからなり、全体として正または負の屈折力を持ち、最も物体側の面が物体側に凹面を向けた接合レンズであり、
前記第8レンズ群が、像側に凸面を向けた正の屈折力を持つ単レンズであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像読取用レンズ。
【請求項9】
前記第7レンズ群が、物体側から順に負レンズ、正レンズを配置してなる前記接合レンズであることを特徴とする請求項8記載の画像読取用レンズ。
【請求項10】
前記請求項1から9のいずれか1項記載の画像読取用レンズを備えたことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−41205(P2013−41205A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179510(P2011−179510)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】