説明

画像読取装置、およびその制御方法

【課題】 印刷媒体より硬質のカード型媒体について新たに異常搬送検知センサを設けることなく、カード型媒体の異常搬送状態を検出することで、装置の価格の高騰化を押さえる共に、小型化を達成する為の技術を提供すること。
【解決手段】 センサ30によりカード型媒体M2がカード挿入口N2に挿入されたことを検知すると、駆動ローラ152,154を制御し、カード型媒体M2を排出口16へと搬送させると共に、該搬送中にイメージセンサ13,14を制御する。そして、イメージセンサ13,14が読み取ったライン単位の画素列において既定値以上の画素値を有する画素群が、該画素列において搬送路に対応する範囲内に収まっているか否かを判断し、判断結果を、外部の装置に対して通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の原稿搬送装置では、一般に原稿積載部を設け、原稿積載部に原稿が積載されたことを検知するセンサにより原稿の有無を確認し、操作者によりスキャン指示を受けることにより、搬送動作を開始する。
【0003】
原稿有無を検知する原稿検知手段としては、例えば光学式センサを用いる。発光・受光素子を設け、発光素子からの光を受光素子まで導光体により導き、原稿が積載されたときに光路が遮られたことを原稿搬送装置内のCPUなどによって検知することにより、CPUが原稿積載状態を検知する。または、原稿積載に連動するレバー等の原稿検知部材が光路を遮断することで、原稿積載状態を検出しても良い。一方、原稿破損を防止する目的で、異常搬送を検出するために装置内の異常搬送位置にセンサを設け、異常搬送を検出する方法も一般的である。
【0004】
主たる使用目的が紙原稿を搬送することである画像読み取り装置において、プラスティックカードといった固く厚い原稿を搬送する場合には、紙原稿とは異なるプラスティックカード用専用パスを設ける方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−298735号公報
【特許文献2】実登録03131964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙原稿搬送路は、操作者の使いやすさのために、Uターン形状をしている装置が多い。また、一般に、紙原稿の搬送路パスとプラスティックカードの搬送パスは、装置の大型化を防ぐため、非常に近接した位置に配置されることが多く、またその搬送路の一部は共用している場合が多い。
【0007】
しかしながら、紙原稿の搬送パスがストレートではない装置における上記共用パスにおいて、プラスティックカードが専用パスをはみ出すように搬送された場合、プラスティックカードを破損もしくは装置を破損してしまう恐れがある。従来の方法では、プラスティックカードの異常搬送を検出するために、プラスティックカード異常搬送センサを必要とし、その結果、装置の価格が高くなった。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑み、被読取媒体より硬質のカード型媒体について新たに異常搬送検知センサを設けることなくカード型媒体の異常搬送状態を検出することで、装置の価格の高騰化を押さえる共に、小型化を達成する為の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像読取装置は、前記画像読取装置内に被読取媒体を導入するための導入口と、前記被読取媒体を前記画像読取装置外に排出するための排出口と、前記導入口から前記排出口に至る搬送路上に設けられ、前記導入口に導入された前記被読取媒体を前記排出口に向けて搬送する搬送手段と、前記搬送路上に前記搬送路と直交する方向をライン方向とした場合に、前記搬送手段により搬送される前記被読取媒体をライン単位で読み取る1次元イメージセンサと、前記排出口に設けられ、前記被読取媒体よりも幅狭且つ硬質のカード型媒体が該排出口に挿入されたことを検知するための検知センサと、前記検知センサにより前記カード型媒体が前記排出口に挿入されたことを検知すると、前記搬送手段を制御し、前記カード型媒体を前記1次元イメージセンサ側へと搬送させると共に、該搬送中に前記1次元イメージセンサを制御し、該1次元イメージセンサが読み取ったライン単位の画素列を取得する制御手段と、前記画素列において既定値以上の画素値を有する画素群が、該画素列において前記カード型媒体を前記排出口へと搬送する前記搬送路の範囲内に収まっているか否かを判断する判断手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の目的を達成する為に、例えば、本発明の画像読取装置の制御方法は、画像読取装置内に被読取媒体を導入するための導入口と、前記被読取媒体を前記画像読取装置外に排出するための排出口と、前記導入口から前記排出口に至る搬送路上に設けられ、前記導入口に導入された前記被読取媒体を前記排出口に向けて搬送する搬送手段と、前記搬送路上に前記搬送路と直交する方向をライン方向とした場合に、前記搬送手段により搬送される前記被読取媒体をライン単位で読み取る1次元イメージセンサと、前記排出口に設けられ、前記被読取媒体よりも幅狭且つ硬質のカード型媒体が該排出口に挿入されたことを検知するための検知センサとを有する前記画像読取装置の制御方法であって、前記検知センサにより前記カード型媒体が前記排出口に挿入されたことを検知すると、前記搬送手段を制御し、前記カード型媒体を前記1次元イメージセンサ側へと搬送させると共に、該搬送中に前記1次元イメージセンサを制御し、該1次元イメージセンサが読み取ったライン単位の画素列を取得する制御工程と、前記画素列において既定値以上の画素値を有する画素群が、該画素列において前記カード型媒体を前記排出口へと搬送する前記搬送路の範囲内に収まっているか否かを判断する判断工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、被読取媒体より硬質のカード型媒体について新たに異常搬送検知センサを設けることなく、カード型媒体の異常搬送状態を検出することで、装置の価格の高騰化を押さえる共に、小型化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の上面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像読取装置内の搬送路の断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の主要なハードウェア構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像読取装置が行う処理のフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の挿入口N2の正面図である。
【図6】イメージセンサ13(14)上の各画素位置における画素値を示す図。
【図7】イメージセンサ13(14)上の各画素位置における画素値を示す図。
【図8】イメージセンサ13(14)上の各画素位置における画素値を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0014】
先ず、本実施形態に係る画像読取装置の画像読み取り機構について、画像読取装置の上面図である図1、画像読取装置内の搬送路の断面図である図2を用いて説明する。なお、図1,2に示す構成は一例であり、同様の効果を奏することができるのであれば、他の機構を用いても良い。
【0015】
原稿積載台111には画像読み取り対象となる被読取媒体である印刷媒体(例えば原稿)を積載することができ、この印刷媒体は、導入口110から画像読取装置内に導入される。外部の装置や画像読取装置が有する操作部等からスキャン指示が入力されると、駆動部155は、導入口110から排出口12に至る搬送路上に設けられた給紙ローラ112、駆動ローラ(搬送ローラ)152,154を紙面反時計回りに回転させる。これにより、原稿積載台111に積載されている印刷媒体を順次、導入口110から画像読取装置内の搬送路に導入する。また、この搬送路において、駆動ローラ152,154に対向する位置には対向ローラ151,153が設けられており、印刷媒体を搬送路内で搬送する際にこの印刷媒体を挟持することで、印刷媒体を安定して搬送する。このようにして印刷媒体は導入口110から搬送路内に導入され、排出口12から画像読取装置外に排出される。
【0016】
また、搬送路上にはレジストセンサ31が設けられており、レジストセンサ31は、導入口110から搬送されてきた印刷媒体の先端位置を検出する。
【0017】
イメージセンサ13(14)は、図1に示す如く、搬送路上に搬送路と直交する方向に設けられ、該方向をライン方向とした場合に、駆動ローラ152,154により搬送される印刷媒体をライン単位で読み取る1次元イメージセンサである。即ち、イメージセンサ13,14はそれぞれ、導入口110から搬送されてくる印刷媒体の一方の面の先端から後端まで、他方の面の先端から後端まで、をライン単位で読み取る。
【0018】
また、搬送路上にはセンサ30が設けられており、センサ30は、排出口12近傍に何らかの媒体が位置しているか否かを検知するためのもので、例えば、搬送路を搬送される印刷媒体の後端位置を検出する。この場合、センサ30は、印刷媒体の後端が画像読取装置外に排出されたことを監視するために取りつけられていることになる。
【0019】
ここで、本実施形態に係る画像読取装置の排出口12には、印刷媒体よりも幅狭且つ硬質のカード型媒体M2を挿入するための挿入口N2が設けられている。図1ではSW1は、イメージセンサ13(イメージセンサ14)上における、挿入口N2の一端の画素位置、SW2は、イメージセンサ13(イメージセンサ14)上における、挿入口N2の他端の画素位置、を示している。
【0020】
挿入口N2を正面から見たときの挿入口N2(カード型媒体M2を挿入する方向から見た挿入口N2)を図5に示す。図5に示す如く、排出口12の開口部における厚さ方向の幅は、挿入口N2の一端の位置(図5では左端の位置)SW1から他端の位置(図5では右端の位置)SW2までの間、即ち挿入口N2における幅が、より広い。これは、挿入口N2には、印刷媒体よりも厚みのあるカード型媒体M2を挿入するからである。なお、図5に示す如く、挿入口N2の厚さ方向における幅は当然ながら、カード型媒体M2の厚さ方向における幅よりも広い。
【0021】
この挿入口N2にカード型媒体M2を挿入すると、センサ30は、排出口12(挿入口N2)に何かが位置していることを検知する。その場合、駆動部155は駆動ローラ152,154を紙面時計回りに回転させ、カード型媒体M2を挿入口N2から紙面右側に搬送する。搬送の際(搬送中)、イメージセンサ13,14は、駆動ローラ152,154により搬送されるカード型媒体M2をライン単位で読み取る。即ち、イメージセンサ13,14はそれぞれ、挿入口N2から搬送されてくるカード型媒体M2の一方の面の先端から後端まで、他方の面の先端から後端まで、をライン単位で読み取る。そしてこの搬送によりこのカード型媒体M2は、カード型媒体用の排出口16から画像読取装置外に排出される。
【0022】
なお、ここでは、カード型媒体M2は、装置背面の排出口16から排出するようにしたが、一旦、排出口12から装置内部に取り込んだ後、イメージセンサ13,14を通過後、スイッチバック(逆転搬送)により排出口12から排出するようにしてもよい。この場合、装置背面の排出口16は必ずしも設けなくてもよいが、スイッチバックの際にカード型媒体M2の端部を装置外部に一時的に突出させることで、装置の小型化を図ることができる。
【0023】
画像読取装置の主要なハードウェア構成例を図3のブロック図に示す。即ち、図3には、本実施形態に係る画像読取装置が有する全ての構成要素を示している訳ではない。なお、図3において図2に示したものと同じ構成用件には同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0024】
CPU301は、メモリ302に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて、画像読取装置を構成する各部の動作制御を行うことで、画像読取装置が行うものとして説明する各処理を実行する。
【0025】
メモリ302には、画像読取装置が行うものとして説明する各種の処理をCPU301に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが格納されている。更にメモリ302は、CPU301が各種の処理を実行する際に用いるワークエリア、イメージセンサ13,14により読み出されたライン毎の画素列やI/F303を介して外部から受信した様々な情報を一時的に記憶するためのエリア、を有する。
【0026】
I/F303には、画像読取装置に対してスキャン指示を入力する外部の装置、画像読取装置が読み取った画像の送信先である外部の装置、等を適当なネットワークを介して接続する為のものである。
【0027】
次に、画像読取装置が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図4を用いて説明する。なお、図4のフローチャートにおける各ステップの主体は何れもCPU301若しくはCPU301による制御に基づいて動作する機能部である。また、以下では、カード型媒体M2をプラスティックカードとして説明するが、印刷媒体よりも幅狭且つ硬質のカード型媒体であれば良い。
【0028】
なお、カード型媒体M2は、導入口110から導入可能な印刷媒体の最大幅よりも狭い幅で且つ導入口110からでは屈曲部(導入口から排出口に至る搬送路の途中にある)で詰まってしまう程度の硬さのものであれば良い。
【0029】
CPU301は、I/F303に接続されている外部の装置からスキャン指示を受けると、センサ30からの信号を監視する。レジストセンサ31から何らかの物体を検知したことを示す信号を受けた後に続いてセンサ30から何らかの物体を検知したことを示す信号を受けた場合(ケース1)、この検知した物体は、導入口110から搬送されてきた印刷媒体である。一方、レジストセンサ31から何らかの物体を検知したことを示す信号を受けていないにも関わらずセンサ30から何らかの物体を検知したことを示す信号を受けた場合(ケース2)、この検知した物体は、挿入口N2から挿入されたカード型媒体M2である。
【0030】
然るに、ステップS401ではCPU301は、上記の2つのケース(ケース1、ケース2)の何れが発生したのかを判断する。この判断の結果、ケース1の場合には、処理はステップS411に進み、ケース2の場合には、処理はステップS402に進む。
【0031】
ステップS402ではCPU301は駆動部155を制御して、駆動ローラ152,154を紙面時計回り(A方向)に回転させ、カード型媒体M2を挿入口N2から排出口16に向けて搬送する。
【0032】
ステップS403ではCPU301は、イメージセンサ13,14を駆動させ、イメージセンサ13,14がライン単位で読み取った画素列をメモリ302に取得する。ここで、イメージセンサ13(14)のセンシング範囲にカード型媒体M2が入っていない場合、イメージセンサ13(14)が読み取った画素列中のそれぞれの画素値は図6に示す如く、何れの画素値も規定値(スライスレベル)を下回っている。
【0033】
図6において横軸はイメージセンサ13(14)上の各画素位置を示しており、縦軸は各画素位置における画素値を示している。図6の横軸に沿った矢印方向は、図1のイメージセンサ13内に記した矢印の方向に一致する。本実施形態では、背景色を黒、すなわち、イメージセンサ13(14)の対向側の部材の色が黒であり、背景部分は低いレベルが出力されている。
【0034】
然るにステップS404ではCPU301は、イメージセンサ13(14)から取得した画素列中のそれぞれの画素の画素値と規定値との大小比較を行う。この大小比較の結果、何れの画素の画素値も規定値を下回っている場合には、イメージセンサ13(14)のセンシング範囲にカード型媒体M2が入っていないと判断し、ステップS403でメモリ302に取得したこの画素列をメモリ302から削除する。一方、この大小比較の結果、規定値を上回っている画素値を有する画素が規定数以上存在する場合には、イメージセンサ13(14)のセンシング範囲にカード型媒体M2が入っていると判断し、処理はステップS405に進む。
【0035】
イメージセンサ13(14)のセンシング範囲にカード型媒体M2が入ると、イメージセンサ13(14)が読み取った画素列中のそれぞれの画素値は図7に示す如く、規定値を上回っている画素値を有する画素が規定数以上存在する。図7においても縦軸及び横軸が指し示すものはそれぞれ図6と同じである。一般に黒色だけのカード型媒体M2は存在しないため、既定のスライスレベル以上の出力は、原稿やカード型媒体M2の出力と断定することが出来る。
【0036】
ステップS405ではCPU301は、イメージセンサ13(14)から取得した画素列において搬送路に対応する範囲(SW1からSW2までの間の範囲)内に、既定値以上の画素値を有する画素群が収まっているか否かを判断する。図8の場合、既定値以上の画素値を有する画素群は、この画素列において搬送路に対応する範囲(SW1からSW2までの間の範囲)内には収まっていない。一方、図7の場合、既定値以上の画素値を有する画素群は、この画素列において搬送路に対応する範囲(SW1からSW2までの間の範囲)内に収まっている。図8においても縦軸及び横軸が指し示すものはそれぞれ図6と同じである。
【0037】
そしてステップS405における判断の結果、収まっていると判断した場合には処理はステップS406に進み、収まっていないと判断した場合には処理はステップS409に進む。
【0038】
ステップS406ではCPU301は、イメージセンサ13(14)から取得した画素列において画素位置SW1から画素位置SW2までの間の画素群をこの画素列から抽出する。そしてCPU301は、抽出した画素群を、カード型媒体M2の1ライン分の読み取りデータとしてメモリ302に格納したり、I/F303を介して外部の装置に対して送信する。これをライン毎に行うことで、メモリ302若しくは外部の装置に対して、全てのラインについてカード型媒体M2の読み取りデータを送信することができる。
【0039】
ステップS407ではCPU301は、センサ30からカード型媒体M2の後端を検知した旨を示す信号を受けたか否かを判断する。この判断の結果、受けていない場合は処理はステップS403に戻り、次のラインについて以降の処理を行う。一方、受けている場合は処理はステップS408に進む。
【0040】
ステップS408ではCPU301は、駆動部155を制御して駆動ローラ152,154の回転を停止させ、イメージセンサ13,14の動作を停止させる。この時点でメモリ302若しくは外部の装置には、全てのラインについてカード型媒体M2の読み取りデータが転送されていることになる。
【0041】
一方、ステップS409ではCPU301は、駆動部155を制御して駆動ローラ152,154の回転を停止させ、イメージセンサ13,14の動作を停止させ、この段階でメモリ302に保持している画素列をメモリ302から破棄する。なお、ステップ409では、駆動部155を制御して駆動ローラ152,154を紙面反時計回りに回転させることで、カード型媒体M2を排出口12から排出させるようにしても良い。
【0042】
そしてステップS410ではCPU301は、ステップS405における判断結果としての「ジャム状態」を示す情報(収まっていない旨を示す情報)を、I/F303を介して外部の装置に対して送信(通知)する。
【0043】
一方、ステップS411ではCPU301は駆動部155を制御して、駆動ローラ152,154を紙面反時計回り(B方向)に回転させ、原稿積載台111に積載されている印刷媒体を導入口110から排出口12に向けて搬送する。
【0044】
ステップS412ではCPU301は、レジストセンサ31から、導入口110から搬送されてくる印刷媒体の先端を検出したことを示す信号を受けたか否かを判断する。この判断の結果、この信号を受けた場合には処理はステップS413に進み、受けていない場合はステップS412に戻る。
【0045】
ステップS413ではCPU301はイメージセンサ13,14を駆動させ、イメージセンサ13,14がライン単位で読み取った画素列をメモリ302に取得する。そしてステップS414ではCPU301は、この読み取った画素列をメモリ302から順次読み出して、I/F303を介して外部の装置に対して送信する。
【0046】
ステップS415ではCPU301は、センサ30から、導入口110から排出口12に至る搬送路にて搬送される印刷媒体の後端を検出したことを示す信号を受けた否かを判断する。この判断の結果、この信号を受けた場合には処理はステップS416に進み、受けていない場合には処理はステップS413に戻る。
【0047】
ステップS416ではCPU301は駆動部155を制御して駆動ローラ152,154の回転を停止させ、イメージセンサ13,14の動作を停止させる。なお、上記のステップS404,S407,S412,S415において一定時間信号を受けていない場合は、「滞留ジャム」を示す情報を、I/F303を介して外部の装置に対して送信しても良い。
【0048】
以上の説明により、本実施形態によれば、カード型媒体M2が、挿入口N2から排出口16に至る搬送路からはみ出して搬送することを抑制し、カード型媒体M2と画像読取装置とを保護することが出来る。
【0049】
なお、本実施形態では、カード型媒体M2についてのみはみ出し検出を行っているが、印刷媒体について行うようにしても良い。このように、1次元イメージセンサがセンシング可能な範囲内の(ライン方向の)長さを有する媒体(もちろん搬送路上を搬送可能な媒体)であれば、如何なるものを対象としても良い。
【0050】
なお、本実施形態では、センサ30により、現在画像読取装置において搬送すべき対象が印刷媒体であるのかカード型媒体M2であるのかを判別している。しかし、原稿積載台111に原稿積載検知センサを設け、原稿積載台111に印刷媒体が積載されているのか否かを判別することで、今からイメージセンサ13(14)が読み取る対象が印刷媒体かカード型媒体M2かを判別するようにしても良い。
【0051】
なお、上記の説明では、下記の構成要件を有することを特徴とする画像読取装置について説明した。
【0052】
・ 前記画像読取装置内に被読取媒体を導入するための導入口
・ 前記被読取媒体を前記画像読取装置外に排出するための排出口
・ 前記導入口から前記排出口に至る搬送路上に設けられ、前記導入口に導入された前記被読取媒体を前記排出口に向けて搬送する搬送部
・ 前記搬送路上に前記搬送路と直交する方向をライン方向とした場合に、前記搬送部により搬送される前記被読取媒体をライン単位で読み取る1次元イメージセンサ
・ 前記排出口に設けられ、前記被読取媒体よりも幅狭且つ硬質のカード型媒体が該排出口に挿入されたことを検知するための検知センサ
・ 前記検知センサにより前記カード型媒体が前記排出口に挿入されたことを検知すると、前記搬送部を制御し、前記カード型媒体を前記1次元イメージセンサ側へと搬送させると共に、該搬送中に前記1次元イメージセンサを制御し、該1次元イメージセンサが読み取ったライン単位の画素列を取得する制御部
・ 前記画素列において既定値以上の画素値を有する画素群が、該画素列において前記カード型媒体を前記排出口へと搬送する前記搬送路の範囲内に収まっているか否かを判断する判断部
しかし、この制御部及び判断部の機能は必ずしも画像読取装置が有する必要はない。例えば、画像読取装置と通信可能な情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)にこの制御部及び判断部の機能を持たせてもよい。もちろん、この制御部及び判断部の機能を、画像読取装置と情報処理装置との共同動作により実現させるような構成にしてもよい。即ち、上記の構成要件は、画像読取装置のみの構成としてもよいし、画像読取装置及び情報処理装置を有するシステムの構成としてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
前記画像読取装置内に被読取媒体を導入するための導入口と、
前記被読取媒体を前記画像読取装置外に排出するための排出口と、
前記導入口から前記排出口に至る搬送路上に設けられ、前記導入口に導入された前記被読取媒体を前記排出口に向けて搬送する搬送手段と、
前記搬送路上に前記搬送路と直交する方向をライン方向とした場合に、前記搬送手段により搬送される前記被読取媒体をライン単位で読み取る1次元イメージセンサと、
前記排出口に設けられ、前記被読取媒体よりも幅狭且つ硬質のカード型媒体が該排出口に挿入されたことを検知するための検知センサと、
前記検知センサにより前記カード型媒体が前記排出口に挿入されたことを検知すると、前記搬送手段を制御し、前記カード型媒体を前記1次元イメージセンサ側へと搬送させると共に、該搬送中に前記1次元イメージセンサを制御し、該1次元イメージセンサが読み取ったライン単位の画素列を取得する制御手段と、
前記画素列において既定値以上の画素値を有する画素群が、該画素列において前記カード型媒体を前記排出口へと搬送する前記搬送路の範囲内に収まっているか否かを判断する判断手段と
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
更に、
前記判断手段により収まっていないと判断した場合、前記搬送手段を停止させ、前記1次元イメージセンサの動作を停止させ、前記1次元イメージセンサにより読み取ったライン単位の画素列を破棄する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記搬送路は、前記導入口から前記排出口に至る経路の途中に屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
画像読取装置内に被読取媒体を導入するための導入口と、
前記被読取媒体を前記画像読取装置外に排出するための排出口と、
前記導入口から前記排出口に至る搬送路上に設けられ、前記導入口に導入された前記被読取媒体を前記排出口に向けて搬送する搬送手段と、
前記搬送路上に前記搬送路と直交する方向をライン方向とした場合に、前記搬送手段により搬送される前記被読取媒体をライン単位で読み取る1次元イメージセンサと、
前記排出口に設けられ、前記被読取媒体よりも幅狭且つ硬質のカード型媒体が該排出口に挿入されたことを検知するための検知センサと
を有する前記画像読取装置の制御方法であって、
前記検知センサにより前記カード型媒体が前記排出口に挿入されたことを検知すると、前記搬送手段を制御し、前記カード型媒体を前記1次元イメージセンサ側へと搬送させると共に、該搬送中に前記1次元イメージセンサを制御し、該1次元イメージセンサが読み取ったライン単位の画素列を取得する制御工程と、
前記画素列において既定値以上の画素値を有する画素群が、該画素列において前記カード型媒体を前記排出口へと搬送する前記搬送路の範囲内に収まっているか否かを判断する判断工程と
を備えることを特徴とする画像読取装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−216931(P2012−216931A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79717(P2011−79717)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】