説明

画像読取装置、その制御方法、及びプログラム

【課題】多様な種類のシート媒体の画像を読み取り可能で、使用者に煩わしい回収作業などの弊害を発生させることのない画像読取装置、その制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】本画像読取装置は、排紙部からシートが挿入されたことを検知すると、搬送部及び排紙部を逆転駆動させてシートを搬送させ、シートの後端が画像読取部を通過すると、搬送部及び排紙部を正転駆動に切り替えてシートを搬送させ、シートを画像読取部を介して排紙部から排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の媒体を順次給送するシート給送装置を有する画像読取装置、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ドキュメントスキャナ、ファックスなどに設けられる画像読取装置においては、載置台にセットされたシートを画像読取部に順次給送するためのシート給送装置を備えている。このようなシート給送装置の一例として、原稿を画像読取部に給送する自動原稿給送装置(ADF)が知られている。ADFは、装置内に取り込んだ原稿を、画像読取部や装置外へと搬送する搬送機構を備える。
【0003】
また、画像読取装置においては、USBバスパワーのみで駆動可能な装置が知られている。しかし、USBバスパワーによる装置駆動は供給電力が制限されている。したがって、シート読取に掛かる消費電力が少なければ少ないほど搬送に電力を回し、搬送速度を上げることができる。
【0004】
さらに、小型の画像読取装置においては、自動給送部から排紙部までの搬送経路中に搬送経路が屈曲した屈曲部を設けることで装置の小型化を図っているものがある。しかし、比較的剛性が高い厚いシート、例えばカードなどを搬送する際には、当該シートが屈曲部において屈曲形状に沿って変形できず、搬送不良を起こしてしまう虞がある。そこで、特許文献1には、搬送方向を逆転させることにより排紙部から1枚ずつ手差しで給紙することが可能な画像読取装置が提案されている。さらに、特許文献1に記載の画像読取装置は、画像読取部と搬送路の屈曲部の間に搬送路を切り替える機構を設けて、屈曲部を通過することなく副排紙部へとシートを搬出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−270954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には以下に記載する問題がある。例えば、排紙部は使用者に面する位置にあることが一般的であり、排紙部から1枚ずつ手差しし、副排紙部へと排出されたシートは、使用者からみて装置の反対側に排出されることになる。そのため、使用者は排出されたシートを回収するに当たり、装置の向こう側に手を伸ばす、または回り込むなどの煩わしい動作が必要となる。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、多様な種類のシート媒体の画像を読み取り可能で、使用者に煩わしい回収作業などの弊害を発生させることのない画像読取装置、その制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明の画像読取装置は、載置台に載置されたシートを装置内部に給送する給紙手段と、
前記給紙手段から搬送路を通じて給送されたシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段から搬送されたシートを装置外に排出する排紙手段と、
前記搬送手段と前記排紙手段との間に設けられ、シートの第1面の画像及び前記第1面の裏面となる第2面の画像を読み取る画像読取手段と、
前記搬送手段から前記排紙手段の方向へシートを搬送すべく、前記搬送手段及び排紙手段を正転駆動し、前記排紙手段から前記搬送手段の方向へシートを搬送すべく、前記搬送手段及び前記排紙手段を逆転駆動する駆動手段と、を備え、
前記給紙手段及び前記排紙手段のそれぞれからシートを給送可能な画像読取装置であって、
前記排紙手段からシートが挿入されたことを検知する第1検知手段と、
前記第1検知手段によってシートが検知されると、前記駆動手段によって前記搬送手段及び前記排紙手段を逆転駆動させてシートを搬送させ、前記画像読取手段をシートの後端が通過すると、前記駆動手段によって前記搬送手段及び前記排紙手段を正転駆動に切り替えてシートを搬送させ、シートを前記画像読取手段を介して前記排紙手段から排出させる制御手段と
をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するために本発明は、載置台に載置されたシートを装置内部に給送する給紙手段と、
前記給紙手段から搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路からシートを装置外に排出すると共にシートを前記装置内部に向けて給送する手段を兼ねる排紙手段と、
前記搬送路に設けられ、シートの少なくとも一方面の画像を読み取る画像読取手段と、
前記給紙手段からのシートを前記排紙手段の方向へ搬送すべく駆動系を正転駆動し、前記排紙手段からのシートを前記搬送手段の方向へ搬送すべく駆動系を逆転駆動する駆動手段と、を備える画像読取装置の制御方法であって、
前記排紙手段からシートが挿入されたことを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいてシートが検知されると、前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動させてシートを搬送させ、前記画像読取手段をシートの後端が通過すると、前記駆動手段によって駆動系を正転駆動に切り替えてシートを搬送させ、シートを前記画像読取手段を介して前記排紙手段から排出させる制御ステップと
を実行することを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために本発明は、画像読取装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多様な種類のシート媒体の画像を読み取り可能で、使用者に煩わしい回収作業などの弊害を発生させることのない画像読取装置、その制御方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像読取装置の構成例を示す断面図である。
【図2】画像読取装置の構成例を示す平面図である。
【図3】画像読取装置の搬送駆動系を示す斜視図である。
【図4】画像読取装置における正転搬送を示す断面図である。
【図5】画像読取装置における逆転搬送を示す断面図である。
【図6】画像読取装置の制御構成を示すブロック図である。
【図7】画像読取装置におけるカード読取の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0014】
<第1の実施形態>
<画像読取装置の構成>
以下では、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明に係る画像読取装置の構成例について説明する。
【0015】
図1に示すように、画像読取装置10は、載置台1、給紙部2、分離部21、給紙ローラ(給紙手段の一例)22、退避部32、搬送路3、搬送部4、画像読取部5、排紙部6、検知センサ(第1検知手段)9、及び排出センサ(第2検知手段)100を備える。画像読取部5は、第1の画像読取部51及び第2の画像読取部52から構成される。
【0016】
載置台1には、読み取り対象となるシート媒体Sが載置される。給紙部2は、分離部21によって複数のシート媒体Sを1枚ずつ分離し、給紙ローラ22によってシート媒体を搬送部4に給送する。シート媒体Sが搬送される搬送路3には、屈曲部31が形成されている。このような屈曲部31は、画像読取装置10を小型化するため形成されるものである。つまり、屈曲部31を設けずに搬送路3を形成するためには、装置を大型化する必要がある。なお、比較的剛性が低いシート媒体は、当該屈曲部31に沿って変形し、搬送される。また、搬送路3には、排紙部6から搬送部4を超えて延伸した搬送路3の一部であって、シートの先端部が侵入可能な退避部32が設けられる。なお、この退避部32は、本実施形態のように、その端部が装置本体の背面に開口していてもよいし、装置外に開口せず装置本体内だけに設けられていてもよい。
【0017】
搬送部4は、第1搬送ローラ対41を含む。また、排紙部6は、第2搬送ローラ対61を含み、搬送部4から送られてきたシート媒体Sを装置外に排出する。また、画像読取装置10は、第1および第2搬送ローラ対41、61を正転/逆転に回転させる不図示の駆動部を備える。
【0018】
第1の画像読取部51および第2の画像読取部52は、第1搬送ローラ対41と、第2搬送ローラ対61との間に設けられ、通過する原稿の第1面の画像及び前記第1面の裏面となる第2面の画像を読み取ことができる。検知センサ9は、画像読取部5と、第1搬送ローラ対41との間に設けられ、通過するシート媒体の有無を検知する。排出センサ100は、排紙部6の近傍に設けられ、通過するシート媒体の有無を検知する。なお、本実施形態に係る画像読取装置10によれば、給紙部2及び排紙部6のそれぞれからシートが給送可能である。排紙部6からシートを給送する場合は、使用者は排紙部6付近の開口部から装置内にシートを挿入する。
【0019】
また、図2に示すように、本実施形態に係る画像読取装置10は、搬送・読取部13の背部に、開口部16が形成されており、シート媒体Mの画像読取時に当該シート媒体Mを直線的に搬送し、開口部16からシート媒体Mを一時的に突出させる。これは画像読取装置10のコンパクト化に寄与する。例えば、本実施形態では、画像読取装置10の奥行き方向の長さ寸法Dは、シート媒体Mの長手方向の長さ寸法D´と略同等としている。また、シート媒体Mの搬送経路は、排出口12からシート媒体Mの搬送経路の一部を通って屈曲部31に開口する退避部(シート媒体M専用の搬送経路であって、本実施形態ではスイッチバックのための退避エリア)32に連通して形成された直進経路からなる。この退避部32は、例えば、本実施形態では、画像読取装置Aの背部(背面)に開口部16として開放されている。なお、シート媒体Mの搬送方法については、後述する第2搬送方法において詳細に説明する。
【0020】
<搬送駆動構成>
次に、図3を参照して、画像読取装置10の搬送駆動構成について説明する。図3に示す81は、上述した、第1および第2搬送ローラ対41、61を正転/逆転に回転させるための駆動部を示す。82は、駆動部81と同軸上に固定された駆動ギアを示す。83は、駆動部81の回転方向や回転数を検知するローラ対回転検知部を示す。
【0021】
71は、駆動ギア82にギア列を介して接続する第1搬送ギアを示す。第1搬送ギア71には、同軸上に第1駆動ローラ42が固定されている。したがって、第1駆動ローラ42と、第1駆動ローラ42に接することにより回転する第1従動ローラ43とからなる第1搬送ローラ対41が第1搬送ギア71に接続されていることとなる。
【0022】
72は、駆動ギア82にギア列を介して接続される第2搬送ギアを示す。第2搬送ギア72には、同軸上に第2駆動ローラ62が固定されている。したがって、第2駆動ローラ62と、第2駆動ローラ62に接することにより回転する第2従動ローラ63からなる第2搬送ローラ対61が第2搬送ギア72に接続されていることとなる。また、73は、第1搬送ギア71と第2搬送ギア72を連結する連結ギアを示す。
【0023】
なお、本実施形態で示す構成は一例であり、この限りではない。例えば、本発明には、ギア列を構成するギアの数が異なる構成、或いは、タイミングベルトによって連結するなどの構成を適用することができる。また、ローラ対回転検知部83は、駆動部81によって回転する要素であればどこに設置しても検知することが可能である。
【0024】
例えば、本実施形態の画像読取装置10は、DCモータ(駆動モータ)等からなる駆動部81が1個設けられている。そして、この駆動部81の駆動力は、各ギア71、72、73を介して、駆動系の一例である給紙ローラ22、第1駆動ローラ42、第2搬送ローラ対61に回転駆動として伝達される。すなわち、画像読取装置10の駆動部81は、給紙ローラ22と、第1駆動ローラ42と、第2搬送ローラ対61とをそれぞれ同一駆動条件で駆動させるようになっている。なお、本実施形態では、駆動部を1つのモータで構成した例を説明したが、複数のモータで各ローラを別駆動できるようにしてもよいが、給紙手段と搬送手段と排紙手段とをそれぞれ同時駆動条件で制御することも可能である。
【0025】
<第1搬送方法>
本実施形態に係る画像読取装置10は、以下で説明する2種類の原稿搬送方法で原稿を読み取ることができる。まず、図4を参照して、第1搬送方法における画像読取装置10の動作について説明する。第1搬送方法は、載置台1から原稿(シート媒体S)が給紙され、当該原稿が搬送路3を経由して排紙部6から装置外に排出される搬送方法である。また、図2に示すように、第1搬送方法においては、複数の第1搬送ローラ対41、41’と、複数の第2搬送ローラ対61、61’が回転することにより、シート媒体Sを搬送する。
【0026】
まず、使用者が原稿となるシート束を載置台1上に載置する。そして、不図示の読取制御部を介して、使用者から読取開始の指示を受け付ける。この読取制御部は、例えば、画像読取装置10に設けられた操作部や、画像読取装置10にネットワークを介して接続されたコンピュータとなる。
【0027】
読取開始指示を受けると、画像読取装置10は、第1搬送方法で原稿の搬送を開始する。原稿の搬送が開始されると、載置台1に載置されたシート媒体Sは、図4に示す正転搬送で装置内部に搬送される。具体的には、給紙部2でシート束が1枚ずつ分離されて搬送され、屈曲部31を経て第1搬送ローラ対41へと送られ、第1搬送ローラ対41により画像読取部5に送られる。この際、検知センサ9によって画像読取部5にシート媒体Sの先端が到達するタイミングを検知し、画像読取を開始する。そして、画像読取を終了した後、正転方向に駆動する第2搬送ローラ対61を経て排紙部6から装置外へと順次排出される。
【0028】
<第2搬送方法>
次に、図2、図4及び図5を参照して、第2搬送方法における画像読取装置10の動作について説明する。第2搬送方法は、排紙部6からシート媒体Mが給紙され、当該シート媒体Mが、各ローラが逆転駆動することにより退避部32に向けて搬送され、その後、各ローラが正転駆動することにより再び排紙部6に向けて搬送され、当該排紙部6から排出される搬送方法である。なお、第2搬送方法では、原稿(シート媒体M)として例えば比較的剛性の高いカードも適用できる。以下の説明では、原稿(シート媒体M)としてカードが使用された場合を想定して説明する。なお、本発明は、これに限定されず、原稿として任意のシート媒体が選択されてもよい。また、図2に示すように、第2搬送方法においては、上記第1搬送ローラとは異なり、第1搬送ローラ対41’と、第2搬送ローラ対61’のみが回転することにより、シート媒体Mを搬送する。即ち、シート媒体Mの短手方向の幅に合わせて必要なローラ対のみが駆動される。しかし、本発明はこれに限らず、第2搬送方法においても、複数のローラ対が使用されてもよい。
【0029】
まず、排出センサ100でカードが挿入されたことを検出すると、画像読取装置10は、第2搬送方法で原稿の搬送を開始する。カードは、図5に示すように各ローラが逆転駆動され、逆転方向に回転する第2搬送ローラ対61によって画像読取部5に送られた後、画像の一方面が読み取られ、第1搬送ローラ対41へと送られる。次に、第1搬送ローラ対41へと送られたカードの先端は屈曲部31を回避して、退避部32へと送られていく。退避部32は、図1に示すように、排紙部6と搬送部4を結んだ直線上に位置し、かつ、給紙部2と搬送部4との間に位置する屈曲部31を回避して設けられる。退避部32を設けることにより、装置搬送路が長くなり、装置が大型化することを防ぐことができる。さらに、退避部32は、装置後方に貫通していてれば、退避部32自体を小さくすることができ、さらに装置の小型化にとって望ましい。
【0030】
その後、カードの後端が画像読取部5を通過したことを検知センサ9にて検知すると、図4に示すように、第1および第2搬送ローラ対41、61は、駆動部81により正転駆動され、カードの搬送方向が正転方向、即ち、排紙部6方向に変更される。その後、カードは、再び画像読取部5を通過する際に、他方面が読み取られ、再び排紙部6から装置外へと排出される。
【0031】
上記の過程において、排紙部6から搬送されるカードの厚みが比較的大きい場合には、紙等の厚みの小さい媒体である場合と比較してモータの負荷が大きくなってしまう。モータの負荷が大きくなれば、それだけ消費電力も増大してしまい、画像読取へ供給できる電力が低減してしまう。そこで、カードの往路・復路と2度、画像読取部5上を通過する本構成においては、表/裏面の画像を往路、復路で別々に読み取ることにより、装置における瞬間最大消費電力を少なくすることができる。これは、前述のようにUSB等のI/Fから電力が供給されるような場合に有効である。
【0032】
ここで、図2を参照して、本実施形態に係る小型化を図った画像読取装置10での第2搬送方法についてより詳細に説明する。図2に示すように、画像読取装置10において、排出口12からカードを導入した後に、カードの先端が画像読取装置10の後端部に到達する状態では、画像読取装置10内部にカードの全体が一時的に収容される。その後、カードの後端部が検知センサ9を通過した時点で、カードが退避部32に突入すると共に、各ローラが逆転駆動される。このとき、カードの先端部側は、一時的に開口部16から突出することになる。
【0033】
なお、カードは、その後部側が規制壁部SWに案内されるので、幅方向の移動が実質的に規制される。これにより、カードのスイッチバック搬送時においてもカードの斜行を有効に防止することができる。このように、本実施形態に係る画像読取装置10には、カードの斜行防止のための規制壁部として、カードの搬送経路における少なくとも搬送・読取部13の排出口12側及びその反対側(開口部16側)に対応する部分にそれぞれ各壁部(媒体Mの搬送ガイド)が設けられている。これにより、本実施形態の画像読取装置10は、図1に示すシート媒体Sの搬送(後述する第1搬送方法)を可能としながらも、一部の搬送経路を兼用してシート媒体M(カード)のスイッチバック搬送(第2搬送方法)を実現しつつ、シート媒体Mの斜行を有効に防止することができて、画像読取の品質を向上することができる。
【0034】
<画像読取装置の制御構成>
次に、図6を参照して、本発明の実施形態における画像読取装置の制御構成について説明する。画像読取装置10は、画像読取主制御部202、ROM203、SDRAM204、画像読取センサ光源205、画像読取センサ206、A/D変換器207、各種モータ208、及び画像読取位置検知センサ209を備える。また、画像読取主制御部202は、画像制御部210及び外部I/F制御部211を備える。
【0035】
画像読取主制御部202は、画像読取センサ光源205、画像読取センサ206、及びA/D変換器207を制御し画像データを取得して、SDRAM204へ画像データを一時格納し、SDRAM204に格納された画像データを外部I/F制御部211を介して上位装置であるHostPC212へ転送する。また、画像読取主制御部202は、ROM203に格納された制御プログラムに基づき、画像制御部210、外部I/F制御部211、各種モータ208及び画像読取位置検知センサ209を統括的に制御する。
【0036】
213はHostPC212と画像読取装置10を接続するためのI/Fであり、USB等が相当する。特にUSBにおいては、HostPC212から電源を画像読取装置10に供給することができる。
【0037】
ROM203は、画像読取主制御部202の制御プログラム等を格納した読取専用のメモリである。画像読取センサ光源205は、画像読取センサ206へ作像用の反射光を入れるための光源である。画像読取センサ206は、作像用の反射光をアナログの画像データ信号に変換する。A/D変換器207は、画像読取センサ206から送られてきたアナログの画像データ信号をデジタル画像データ信号に変換し、画像制御部210に画像データ信号を送る。
【0038】
SDRAM204は、画像読取主制御部202が取得した画像データ及び画像読取主制御部202のプログラムの一部を一時格納しておくためのメモリである。各種モータ208は、原稿を給紙させるための給紙モータや、原稿を搬送させるための搬送モータである。画像読取位置検知センサ209は、画像読取のタイミングを図るためのものである。
【0039】
<読取動作>
次に、図7を参照して、本発明の特徴的な実施形態である上記第2搬送方法によるカード読取動作の処理手順について説明する。なお、以下で説明する処理は、画像読取主制御部202が、ROM203に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0040】
まず、S101において、画像読取主制御部202は、現在、原稿をスキャンしているかどうかを判定する。つまり、画像読取主制御部202は、現在、原稿を搬送しているか否かを判定する。原稿のスキャン中には当然に、カードを給紙することができないからである。スキャン中でないと判定するとS102に進み、画像読取主制御部202は、排紙部6からカードが挿入されたかどうかを、排出センサ100からの出力信号に基づいて判定する。カードが挿入されるとS103に進み、画像読取主制御部202は、HOST PC212にカードが挿入されたことを外部I/F制御部211を通して通知する。
【0041】
次に、S104において、画像読取主制御部202は、HOST PC212からスキャン開始指示を外部I/F制御部211を通して受信したか否かを判定する。スキャン開始指示を受信するとS105に進み、画像読取主制御部202は、第1搬送ローラ対41、第2搬送ローラ対61を図5に示すように逆転駆動し、カードをスキャナ内部に搬送する。続いて、S106において、画像読取主制御部202は、画像読取センサ光源205のいずれか1つの光源のみを点灯し、カードのいずれかの面を画像を読み取る。例えば、画像読取装置10は、ここで第1の画像読取部51によってカードの表面を読み取る。
【0042】
次に、S107において、画像読取主制御部202は、検知センサ9によりカードの後端を検出したか否かを判定する。即ち、ここでは、検知センサ9からの出力信号がシート有りからシート無しを示す信号に変化したか否かが判定される。カードの後端を検出するとS108に進み、画像読取主制御部202は、第1搬送ローラ対41及び第2搬送ローラ対61を停止する。その後、S109において、画像読取主制御部202は、第1搬送ローラ対41及び第2搬送ローラ対61を正転駆動する。続いて、S110において、画像読取主制御部202は、先ほど読まれたカード面と反対の面の画像を読み取る。例えば、画像読取装置10は、ここで第2の画像読取部52によってカードの裏面を読み取る。
【0043】
次に、S111において、画像読取主制御部202は、排出センサ100からの出力信号に基づいて、カードが装置外に排出されたか否かを判定する。カードが排出されたと判定されるとS112に進み、画像読取主制御部202は、第1搬送ローラ対41及び第2搬送ローラ対61を停止し、カードの読取を終了する。
【0044】
上述したように、本実施形態では、S106(往路)において、カードの片面の画像(第1面の画像)を読み取り、S110(復路)において、カードの反対面の画像(第1面の裏面となる第2面の画像)を読み取る例を説明した。しかし、本発明は、この読取手順に限定されず以下の4つの読取手順(1)〜(4)が適用されてもよい。
(1)画像読取主制御部202は、往路でカードの両面を読み取り、復路においてカードの読み取りを禁止する。
(2)画像読取主制御部202は、往路でカードの読み取りを禁止し、復路においてカードの両面を読み取る。
(3)画像読取主制御部202は、往路でカードの何れか1面を読み取り、復路においてカードの読み取りを禁止する。
(4)画像読取主制御部202は、往路でカードの両面を読み取り、復路においてカードの両面を読み取る。
なお、本実施形態に係る画像読取装置10では、搬送路の斜行規制板等を設けることにより、往路よりも復路の方がシートの斜行リスクが低い構成となっている。したがって、上記(2)は斜行リスクを回避する読取手順といえる。また、上記(3)は斜行リスクを伴う一方で、消費電力を抑えることができる。さらに、上記(4)は、消費電力は高いものの、画像読取品質は一番良い読取手順といえる。このように、本実施形態に係る画像読取装置10は、それぞれ特徴の異なる読取手順を採用することができる。
【0045】
以上で説明したように、本実施形態に係る画像読取装置は、装置のサイズを大きくすること無く、さらには、使用者による煩わしい回収作業なく硬いカード原稿などを読み取ることができる。さらには、上記第2搬送方法を用いる場合は、シート媒体の両面を往路復路で同時に読み取らない構成とすることで、読み取りに要する瞬間最大電力を調整することができる。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、第2搬送方法で原稿を搬送する際の正転駆動と逆転駆動との切り替えが異なる。なお、以下では、第1の実施形態と同様の構成及び技術については説明を省略する。
【0047】
以下では、第2の実施形態における第2搬送方法の動作について説明する。第2搬送方法において、画像読取装置10は、図5に示すように、排紙部6から供給されたカードを逆転駆動によって装置内部に搬送する。その後、第1の実施形態と同様に、図5に示す回転方向に第1および第2ローラ対41、61が回転し、カードは排紙部6、画像読取部5、搬送部4を介して退避部32へ搬送される。なお、画像読取部5を通過する際には、カードの片面の画像が読み取られる。
【0048】
ここで、画像読取部5は、読み取った画像からシート媒体S(カード)の後端を検知する。画像読取部5は、原稿から画像を読み取る際に、読取対象の原稿に光を照射し、当該原稿からの反射光を受光することによって画像を読み取る。つまり、反射光の光量に従って、当該反射光が原稿からの反射光であるか否かを判定することができる。この判定結果を用いて、画像読取部5は、シート媒体Sの後端を検知することができる。即ち、本実施形態では、上記第1の実施形態で説明した検知センサ9を設けることなく、シート媒体Sの後端を検知することができ、コストを低減することができる。
【0049】
画像内に後端が現れることで画像読取終了を検知し、画像読取装置10は、駆動部81の回転方向を切り替え、第1および第2ローラ対41、61を逆転駆動から正転駆動へと切り替える。その後の動作は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0050】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、上記実施形態に対して第2搬送方法を取る際のシート媒体挿入を検知する方法が異なる。第1搬送方法及び第2搬送方法の開始後の動作は上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
本実施形態によれば、画像読取装置10は、待機状態であっても、ローラを回転状態に制御している。また、第2搬送ローラ対61における第2駆動ローラ62と第2従動ローラ63とは、お互いに一定圧で押し付け力を有して当接している。この押し付け力によって、第2駆動ローラ62及び第2従動ローラ63は、回転力が供給されているにも関わらず、回転が停止した状態となる。
【0052】
この状態で、使用者がシート媒体S(カード)を排紙部6における第2搬送ローラ対61の間に挿入すると、上記押し付け力が弱まり、ローラが受動的に回転し始める。この逆回転を検知して第2搬送方法を開始する。したがって、本実施形態に係る画像読取装置10には、排出センサ100を設ける必要がなく、コストを低減することができる。また、シート媒体Sが装置外に排出されたことを検出する際には、上記押し付け力によって第2搬送ローラ対61が停止することを検出するにより実現できる。その後の動作は上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0053】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0054】
S、M:シート媒体
1:載置台
2:給紙部
21:分離部
22:給紙ローラ
3:搬送路
31:屈曲部
32:退避部
4:搬送手段
41:第1搬送ローラ対
42:第1駆動ローラ
43:第1従動ローラ
51:第1の画像読取部
52:第2の画像読取部
6:排紙手段
61:第2搬送ローラ対
62:第2駆動ローラ
63:第2従動ローラ
71:第1搬送ギア
72:第2搬送ギア
73:連結ギア
81:駆動ギア
82:駆動部
83:ローラ対回転検知部
9:検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置されたシートを装置内部に給送する給紙手段と、
前記給紙手段から搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路からシートを装置外に排出すると共にシートを前記装置内部に向けて給送する手段を兼ねる排紙手段と、
前記搬送路に設けられ、シートの少なくとも一方面の画像を読み取る画像読取手段と、
前記給紙手段からのシートを前記排紙手段の方向へ搬送すべく駆動系を正転駆動し、前記排紙手段からのシートを前記搬送手段の方向へシートを搬送すべく駆動系を逆転駆動する駆動手段と、
前記排紙手段からシートが挿入されたことを検知する第1検知手段と、
前記第1検知手段によってシートが検知されると、前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動させてシートを搬送させ、前記画像読取手段をシートの後端が通過すると、前記駆動手段によって駆動系を正転駆動に切り替えてシートを搬送させ、シートを前記画像読取手段を介して前記排紙手段から排出させる制御手段と
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記搬送路は、前記画像読取手段よりも前記給紙手段側において経路が屈曲した屈曲部と、前記屈曲部に対応する部分に連通して設けられた退避部とを有し、
前記制御手段は、
前記排出手段からシートが挿入された場合には、前記屈曲部を避けて前記退避部にシートを搬送させた後、前記駆動手段によって駆動系を正転駆動に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記給紙手段と前記搬送手段と前記排紙手段とをそれぞれ同時駆動条件で制御することを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、1つの駆動モータによって前記給紙手段と前記搬送手段と前記排紙手段とをそれぞれ同一駆動することを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によってシートの第1面及び該第1面の裏面となる第2面の画像を読み取らせ、
前記駆動手段によって駆動系を正転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によるシートの読み取りを禁止することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によるシートの読み取りを禁止し、
前記駆動手段によって駆動系を正転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によってシートの第1面及び該第1面の裏面となる第2面の画像を読み取らせることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に画像読取装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によってシートの第1面及び該第1面の裏面となる第2面の画像の何れか一方を読み取らせ、
前記駆動手段によって駆動系を正転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によるシートの読み取りを禁止することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に画像読取装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によってシートの第1面及び該第1面の裏面となる第2面の画像を読み取らせ、
前記駆動手段によって駆動系を正転駆動させてシートを搬送する際に、前記画像読取手段によってシートの前記第1面及び前記第2面の画像を読み取らせることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に画像読取装置。
【請求項9】
前記搬送手段の近傍に設けられ、シートの有無を検知する第2検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記第2検知手段からの出力信号がシート有りからシート無しを示す出力信号に変化したことに応じて前記画像読取手段をシートの後端が通過したと判定すると、前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動から正転駆動へ切り替えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記画像読取手段による読み取り画像に基づいて前記画像読取手段をシートの後端が通過したと判定すると、前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動から正転駆動へ切り替えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記退避部は、前記画像読取装置の後方に貫通していることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記排紙手段は、互いに当接する駆動ローラと従動ローラとを備え、
前記駆動ローラ及び前記従動ローラは、逆転駆動による回転力が与えられる一方で、互いの押し付け力によって回転が停止しており、前記駆動ローラと前記従動ローラとの間にシートが挿入されることによって前記押し付け力が弱まって回転し始め、
前記検知手段は、前記駆動ローラ及び前記従動ローラが回転し始めると、前記排紙手段からシートが挿入されたと検知することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記第1検知手段は、前記シートの有無を検知する検知センサを有し、前記検知センサによってシートを検知すると、前記排紙手段からシートが挿入されたと検知することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
載置台に載置されたシートを装置内部に給送する給紙手段と、
前記給紙手段から搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路からシートを装置外に排出すると共にシートを前記装置内部に向けて給送する手段を兼ねる排紙手段と、
前記搬送路に設けられ、シートの少なくとも一方面の画像を読み取る画像読取手段と、
前記給紙手段からのシートを前記排紙手段の方向へ搬送すべく駆動系を正転駆動し、前記排紙手段からのシートを前記搬送手段の方向へ搬送すべく駆動系を逆転駆動する駆動手段と、を備える画像読取装置の制御方法であって、
前記排紙手段からシートが挿入されたことを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいてシートが検知されると、前記駆動手段によって駆動系を逆転駆動させてシートを搬送させ、前記画像読取手段をシートの後端が通過すると、前記駆動手段によって駆動系を正転駆動に切り替えてシートを搬送させ、シートを前記画像読取手段を介して前記排紙手段から排出させる制御ステップと
を実行することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の画像読取装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−216930(P2012−216930A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79716(P2011−79716)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】