説明

画像読取装置、及びこれを備えた画像形成装置

【課題】読取ラインにおける光量ムラが所定に閾値を超えない範囲で、点光源の照射角度を狭めることにより、光量ムラを抑制しつつ、色ムラを低減する。
【解決手段】LED素子Lに対応した窓部72を有するマスク部材71を光源12にかける。窓部12によってLED素子Lの照射角度θを絞る(狭める)ことにより、読取ラインにおける色味の変化を少なくする。この際、照射角度θが小さすぎると、読取ラインLnにおいて主走査方向に光量ムラが発生するので、光量ムラが所定の閾値の範囲内に収まるように、照射角度θを絞る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の白色の点光源を並べて構成したライン状の光源によって原稿の画像面を読み取る画像読取装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、従来の画像読取装置の光源として使用されてきた棒状の冷陰極蛍光灯、キセノンランプに代わり、長方形の基板に複数の白色の点光源であるLEDチップ(LED素子)をライン状に整列させて光源を構成する画像読取装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
LEDチップは、冷陰極蛍光灯、キセノンランプに比べて寿命が長いため、画像形成装置の光源としては好適である。
【0004】
また、LEDチップは、例えばキセノンランプと比較すると、照射角度が広く、LEDチップの直上の照射強度を100%とすると、半値で±30度の範囲で証明が可能である。
【特許文献1】特開2002−314760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、LEDチップの単体の照明状態を詳細に解析すると、照明角度によって発行する光の色味が異なることが判明した。
【0006】
図8に示すように、LEDチップ直上の領域Aの範囲の色座標は、X:0.292、Y:0.288となり、白色ではあるが青色味が強い。また、直上から±30度の領域Bの範囲の色座標は、X:0.332、Y:0.380となり、白色ではあるが黄色味が強いのがわかる。
【0007】
このように、照射角度によって色味が異なると、読取ライン上の主走査方向の位置の違いで、照射光の色が異なることになり、照明分布に色ムラが発生することになる。この照明分布の色ムラにより、イメージセンサが読み取る画像に色ムラが発生する。
【0008】
本発明は、点光源の照射角度を狭める(絞る)ことにより、上述の色ムラをなくすようにしている。
【0009】
一方、点光源の照射角度を狭めるほど、読取ライン上の、点光源と点光源との間に対応する部分の光量が少なくなって、主走査方向に沿っての光量ムラが発生し、濃度ムラの原因となる。
【0010】
そこで、本発明は、光量ムラを抑制しつつ、色ムラを低減することができる画像読取装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、複数の白色の点光源を主走査方向に並べてライン状の光源を構成し、前記光源又は原稿を副走査方向に移動させるとともに前記光源から光を読取ラインに照射し、前記原稿の画像面からの反射光を結像レンズでイメージセンサに結像して画像を読み取る画像読取装置に関する。この発明に係る画像読取装置は、前記光源と前記読取ラインとの間に、前記光源から前記読取ラインに照射される光を規制するマスク部材を備えた、ことを特徴としている。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る画像読取装置において、前記マスク部材は、前記各点光源に対応して形成された複数の窓部を有し、前記窓部は、前記読取ラインにおける主走査方向の照射光量のばらつきが所定の閾値に収まる範囲内で前記点光源の照射角度を狭める、ことを特徴としている。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る画像読取装置において、前記マスク部材が前記光源の直上に配設されている、ことを特徴としている。
【0014】
請求項4に係る発明は、求項1に係る画像読取装置において、前記光源と前記読取ラインとの間に配設されて前記光源からの光を集光する集光レンズを備え、前記マスク部材が前記集光レンズに取り付けられている、ことを特徴としている。
【0015】
請求項5に係る発明は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部によって読み取られた原稿の画像情報に基づいてシート上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部にシートを供給するシート給送部と、を備えた画像形成装置に関する。この発明に係る画像形成装置は、前記画像読取部に、請求項1乃至4のいずれか1項に係る画像読取装置が配設されている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、読取ライン上の光量ムラを抑制しつつ、色ムラを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
【0018】
<実施形態1>
図1〜図6を参照して、本発明に係る画像読取装置10について説明する。このうち、図1は、画像読取装置10の縦断面を正面側(前側)から見た図である。図2は、原稿載置用のコンタクトガラス18と、原稿G(同図ではA3サイズ)の載置位置と、光源12を構成するLED素子(光源素子)L1〜L35との位置関係を説明する上面図である。図3は、LED素子L1〜L35が千鳥状に配列されたようすを説明する斜視図である。図4は、読取ラインLnにおける主走査方向の光量ムラを説明する図である。図5は、光源12に取り付けるマスク部材71を説明する図である。図6は、集光レンズ19に取り付けるマスク部材73を説明する図である。図7は、本発明に係る画像読取装置10を備えた画像形成装置(本発明に画像形成装置)1を正面側から見て模式的に説明する図である。
【0019】
なお、以下の説明では、光源素子としてのLED素子L1〜L35について、これらを区別する必要がない場合、任意の1つについて説明する場合、総称して呼ぶ場合等には、LED素子Lという。なお、図1〜図3において矢印で示す前後左右上下等の方向は、実際の画像読取装置10や光源12の前後左右上下等の方向を示している。
【0020】
図1に示すように、画像読取装置10は、照明装置11と結像レンズ13とCCD(固体撮像素子)14とを備えており、さらに、照明装置11は、光源12と駆動装置15とを備えている。これら光源12、駆動装置15、結像レンズ13、CCD14は、いずれも直方体状の筐体(フレーム)16の内側の収納室Sに配設されている。筐体16は、その上面に開口部17を有していて、この開口部17には、原稿Gの固定読み時に使用される透明な原稿載置用のコンタクトガラス18が配設されている。これに対し、後述する原稿自動給送装置60を使用して、原稿Gを流し読みする際には、このコンタクトガラス18の左側に配置されている、前後方向(主走査方向、読取ライン方向と同じ)に長い長板状の透明なシートスルー用のコンタクトガラス(コンタクト部材)18aが使用される。
【0021】
図2に示すように、コンタクトガラス18は、最大サイズの原稿G(本実施形態ではA3サイズ)よりも大きい長方形状に形成されている。コンタクトガラス18の左端には前後方向に向けて左指示板20が、また後端及び前端には、それぞれ左右方向に向けて後指示板21、前指示板22が配設されている。このうち左指示板20と後指示板21とが交差する位置が、原稿Gを固定読みする際の読取基準位置P01となる。固定読み時にコンタクトガラス18に載置される原稿Gは、1つの角部を基準位置P01に合わせ、左端を左指示板20に合わせ、後端を後指示板21に合わせて位置決めされる。これが、固定読み時の読取位置である。図2中には、読取位置に配置された状態のA3サイズの原稿Gを表示している。なお、左指示板20及び後指示板21における、各サイズの原稿Gの前端及び右端に対応する位置には、それぞれの原稿Gのサイズを示す表記が付されている。コンタクトガラス18の左端側における下方には、光源12が配設されている。光源12は、後述するように、点光源であるLED素子L1〜L35を前後方向に並べて全体として前後方向に長く構成されている。
【0022】
図1に示すように、コンタクトガラス18の左端側の下方には、照明用光学移動枠ユニット23が配設されている。照明用光学移動枠ユニット23は、前後方向に長い移動枠24を有している。この移動枠24には、光源12が取り付けられた光源用メイン基板(基板)25と、集光レンズ19と、反射板26と、第1ミラー27とが搭載されている。このうち光源用メイン基板25は、図2に示すように、前後方向に長く形成されていて、その上面には、光源12が取り付けられている。本実施形態では、光源12は、点光源であるLED素子L1〜L35を複数(図2では35個)、前後方向にライン状に整列させて構成している。ここで、ライン状とは、1本の直線上に整列された場合に限らず、例えば、図2に示すように、千鳥状に整列して、実質的に直線状である場合も含めるものとする。これらLED素子L1〜L35は、前後方向に沿って原稿Gの画像面をムラ無く照射できる所定のピッチPで整列されている。図2において、最後端のLED素子L1の中心から、最前端のLED素子L35の中心までの間に、通紙幅が最大となる、A4サイズの原稿Gの長辺(=297mm)、またはA3サイズの原稿Gの短辺(=297mm)が入るように設定されている。なお、LED素子L1〜L35については、後に、図3を参照して、さらに説明する。
【0023】
複数のLED素子L1〜L35によって構成された光源12は、図1に示すように、コンタクトガラス18aの上面に設定されている読取ラインLnを右斜め下方から照射するようになっている。これらLED素子L1〜L35は、図1に示す制御手段70によって、個別に点灯(オン)及び消灯(オフ)のタイミングが制御される。また、光量についても、制御手段70により、電流値又は電圧値が調整されることで、個別に制御されるようになっている。集光レンズ19は、光源12と読取ラインLnとの間に位置するように、移動枠24によって保持されており、光源12から発光された光を読取ラインLnに導くようになっている。
【0024】
図1に示すように、反射板26は、読取ラインLnから下ろした垂線に対して、上述の光源12と反対側に配置されている。上述のように、光源12は、コンタクトガラス18上の原稿Gを右斜め下方から照射しているため、原稿Gの左端に影が形成されて、この影が前後方向の直線状の画像として読み込まれがちである。反射板26は、光源12からの光を反射して読取ラインLnに導いて、この影を除去する。なお、本実施形態では、反射板26は、光源12からの光を反射して原稿Gの画像面を間接照射し、これにより、直接照射による物面照度ムラや像面照度ムラを低減する部材としても使用されている。
【0025】
照明用光学移動枠ユニット23における、読取ラインLnの直下に位置する部分には、第1ミラー27が配設されている。第1ミラー27は、左斜め上の45度を向けた状態で取り付けられている。以上のように、照明用光学移動枠ユニット23は、移動枠24に光源12、光源用メイン基板25、集光レンズ19、反射板26、第1ミラー27を搭載した状態で、左右方向に敷設した光学レール(ガイド部材)29に沿って左右方向に移動できる。つまり、前後方向にライン状(線状)の光源12に対して、これに直交する左右方向に移動することができるようになっている。この照明用光学移動枠ユニット23は、右方に移動しながら読取ラインLnに向けて光源12から光を照射し、原稿Gの画像面からの反射光を次に説明する第2ミラー28に導くものである。
【0026】
図1に示すように、コンタクトガラス18の左端側の下方には、上述の照明用光学移動枠ユニット23の左方に、反射用光学移動枠ユニット30が配設されている。反射用光学移動枠ユニット30は、前後方向に長い移動枠31を有している。この移動枠31には、右斜め下45度を向けた状態で第2ミラー28が、また右斜め上45度を向けた姿勢で第3ミラー32が搭載されている。さらに、この移動枠31は、その前端と後端とにおいて、可動プーリ33を回動自在に支持している。以上のように、反射用光学移動枠ユニット30は、第2ミラー28、第3ミラー32、可動プーリ33を搭載した状態で、左右方向に敷設された光学レール29に沿って左右方向に移動できるようになっている。この反射用光学移動枠ユニット30は、右方に移動しながら、上述の照明用光学移動枠ユニット23の第1ミラー27からの光を第2ミラー28、第3ミラー32で反射して後述の結像レンズ13に導くものである。
【0027】
図1に示すように、筐体16の左端近傍には前端と後端とに固定左プーリ34,34が、また筐体16の右端近傍には前端と後端とに固定右プーリ35,35がそれぞれ回動自在に配設されている。また、固定右プーリ35,35の下方には、正逆回転可能なモータ36が配設されている。さらに、モータ36の左方には、駆動軸37と一体の駆動プーリ38が配設されていて、モータ36の出力軸40と駆動プーリ38との間には、駆動ベルト41が張設されている。駆動軸37の前端と後端とには、ワイヤドラム42,42が固定されており、これらワイヤドラム42,42には、それぞれ光学ワイヤ43,43が巻き掛けられている。
【0028】
これら光学ワイヤ43,43の一方の端部44,44は、筐体16の左側壁45の内面に固定されている。光学ワイヤ43,43は、ここから右方に延びて、反射用光学移動枠ユニット30の可動プーリ33,33の右半部に掛け渡されて左方に折り返し、固定左プーリ34,34の左半部に掛け渡された後、右方に折り返して固定右プーリ35,35に向かって延びる。さらに、ワイヤドラム42,42に1周分巻き付けられた後、固定右プーリ35,35の右半部に掛け渡されて左方に延び、途中で照明用光学移動枠ユニット23に固定された後、さらに左方に延びて、可動プーリ33,33の左半部に掛け渡されて右方に折り返し、レンズ取付台46上に突設されたフック47に係止されている。
【0029】
このような光学ワイヤ43,43の引き回しに基づき、モータ36が図1中の反時計回りに回転すると、駆動ベルト41、駆動プーリ38、駆動軸37を介して、ワイヤドラム42,42が同じく反時計回りに回転する。これに伴い、光学ワイヤ43,43に引かれて、照明用光学移動枠ユニット23及び反射用光学移動枠ユニット30が右方に移動する。この際、反射用光学移動枠ユニット30は、その可動プーリ33,33がいわゆる動滑車として作用するため、移動距離が照明用光学移動枠ユニット23の移動距離の半分となる。これにより、照明用光学移動枠ユニット23及び反射用光学移動枠ユニット30の移動にかかわらず、読取ラインLnからCCD14に至る光路長が一定に保持されて、次に説明する結像レンズ13を通過した光がCCD14上で像を結ぶようになっている。なお、本実施形態では、上述のように光源12を移動させるための構成全体が駆動装置(移動装置15)に相当する。
【0030】
図1に示すように、結像レンズ13は、レンズ取付台46に固定されたレンズ取付板48上に固定されている。光源12から照射された光は、原稿Gの画像面で反射されて、同図に示す光路Kをたどる。すなわち、画像面からの反射光は、第1ミラー27、第2ミラー28、第3ミラー32で反射されて結像レンズ13を通過して、次に説明するCCD14上で結像される。レンズ取付板48の後端側には屈曲形状のCCD調整板49が固定されていて、このCCD調整板49の水平部49には、前端側と後端側とに、後述する光軸調整ピン53,53が螺合される雌ねじ(不図示)が螺刻されている。
【0031】
CCD14は、直立姿勢のCCD基板50の表面(図1では左面)に取り付けられており、CCD取付板51によって保持された状態で、CCD基板50とともに、箱状のCCDカバー52によって覆われている。CCD取付板51の上端は、左方に屈曲された水平部51aとなっていて、この水平部51aには、前端側と後端側とに、光軸調整ピン53,53が貫通する透孔(不図示)が穿設されている。光軸調整ピン53,53は、CCD取付板51側の水平部51上の透孔を上方から貫通するとともに、CCD調整板49側の水平部49aの雌ねじに螺合されている。さらに、これら水平部49a,51aの間には、光軸調整ピン53,53によって貫通された圧縮ばね54,54が介装されている。CCD取付板51は、この圧縮ばね54,54によって、CCD調整板49に対して上方に付勢されており、上述の光軸調整ピン53,53の大径の頭部に下方から当接されている。光軸調整ピン53,53は、CCD調整板49の水平部49aに対するねじ込み量を調整することで、CCD14の前後方向の傾斜を調整することができるようになっている。CCD14は、上述の制御手段70に接続されている。
【0032】
図1に示すように、本実施形態では、画像読取装置10は、コンタクトガラス18の上方に、開閉自在な自動原稿給送装置60を備えていて、この自動原稿給送装置60で原稿Gを搬送することで、原稿Gの流し読みを行っている。自動原稿給送装置60全体は、後端側が、筐体16におけるコンタクトガラス18の後方に位置する部分によって揺動自在に支持されており、前端側がほぼ上下方向に開閉自在になっている。自動原稿給送装置60は、原稿Gの搬送方向に沿っての上流側から順に配設された給紙トレイ61、搬送ローラ62、排紙ガイド63、排紙トレイ64等を備えている。このうち排紙ガイド63は、上述の左指示板20の左端側の上面に、右上がりの傾斜面として形成されている。
【0033】
図1に示すように、給紙トレイ61には、載置された原稿Gの後端及び前端(原稿Gの搬送方向の下流側に向かって見た場合の右端及び左端)の位置を規制するサイド規制板65,66が前後方向に移動自在に配設されている。これらサイド規制板65,66の間には、例えば、ラック&ピニオン等の連動機構(不図示)が介装されていて、給紙トレイ61の通紙幅方向(前後方向)の中心に向けて一方のサイド規制板65(又は66)を移動させると、他方のサイド規制板66(又は65)も同様に中心に向かって移動し、また、この逆に、一方のサイド規制板65(又は66)を中心から遠ざかる方向に移動させると、他方のサイド規制板66(又は65)も同様に中心から遠ざかる方向に移動する。つまり、給紙トレイ61上に原稿Gを載置した後、サイド規制板65,66をそれぞれ原稿Gの後端及び前端に押し当てることにより、通紙幅の異なる種々の原稿Gを給紙トレイ61の通紙幅方向の中央に配置することができる。すなわち、自動原稿給送装置60を使用して原稿Gを流し読みする場合には、原稿Gは中央基準で読み取られるようになっている。
【0034】
給紙トレイ61には、載置された原稿Gの通紙幅を検知するためのサイズ検知センサ(不図示)が配置されている。上述のように、給紙トレイ61に載置された原稿Gは、サイド規制板65,66がそれぞれ後端,前端に当接されることで、給紙トレイ61の前後方向の中央に位置決めされる。サイズ検知センサは、このときのサイド規制板65,66の位置を検知することで、原稿Gの通紙幅を検知することができる。
【0035】
上述構成の画像読取装置10は、原稿Gの画像を読み取る際に、原稿Gを固定して光源12を移動させる固定読みと、光源12を固定して原稿Gを移動させる流し読みとの双方を行うことができる。また、いずれの場合も、原稿Gの照射に必要なLED素子Lのみが点灯され、照射に寄与しないLED素子Lは消灯されるようになっている。
【0036】
前者の固定読みに際しては、自動原稿給送装置60を開放して、原稿Gをコンタクトガラス18上にセットする。このとき、原稿Gを後端基準で読取位置にセットする。自動原稿給送装置60を原稿Gの上から閉鎖すると、一旦、光源12のすべてのLED素子L1〜L35が点灯され、原稿Gからの反射光がCCD14に入射される。このときの通紙幅方向に沿っての入射光量の違いに基づいて、原稿Gのサイズ(通紙幅)が検知される。制御手段70は、この検知結果に基づいて、画像読取りの際に点灯させるLED素子Lを決定する。
【0037】
つづいて、作業者が筐体16に取り付けられている操作パネル(不図示)を操作して読取開始ボタン(不図示)を押す。これにより、照明用光学移動枠ユニット23が原稿Gの左端よりも左側の読取開始位置に配置され、ここから右方に移動する。これに伴い、照明用光学移動枠ユニット23に搭載されている光源12が原稿Gの画像面を読取ラインLnに沿って照射(主走査)しながら、右方に移動して副走査し、原稿Gの画像面をその全領域にわたって、光照射する。画像面からの反射光は、さらに第1ミラー27,第2ミラー28,第3ミラー32で反射され、結像レンズ13を通って結像し、CCD14に導かれる。これにより、原稿Gの画像面が全領域にわたって読み取られる。
【0038】
一方、後者の流し読みに際しては、自動原稿給送装置60を閉鎖した状態で、給紙トレイ61上に原稿Gをその画像面を上に向けた状態で載置し、原稿Gの後端及び前端にサイド規制板65,66を当接させることで、原稿Gを給紙トレイ61の中央にセットする。これにより、原稿Gの通紙幅が検知される。操作パネルの読取開始ボタンを押すと、照明用光学移動枠ユニット23が左指示板20の左側のコンタクトガラス18aの画像読取部Rの読取ラインLnの下方の読取位置に移動する。給紙トレイ61上の原稿Gは、搬送ローラ62等によって画像読取部Rに搬送される。このとき、光源12から照射された照射光は、読取ラインLnを通過する原稿Gの画像面によって反射され、上述の固定読みの場合と同様、第1ミラー27,第2ミラー28,第3ミラー32で反射され、結像レンズ13を通って結像し、CCD14に導かれる。これにより、原稿Gの画像面が全領域にわたって読み取られる。
【0039】
図3を参照して、LED素子L1〜L35について説明する。LED素子L1〜L35は、5個又は6個の単位で直線上に整列されて取付板24bに取り付けられた状態で、光源用メイン基板25の上面25aに配設されている。LED素子L1〜L35全体としては、2列にわたって、千鳥状に配設されている。すなわち、奇数番目のLED素子L1,L3……L(2n−1)、(ただし、1≦n≦18)が所定のピッチ2Pで等間隔に1列に配列され、一方、偶数番目のLED素子L2,L4……L{2(n−1)}も上述の奇数番目のものと同じ所定のピッチ2Pで等間隔に1列に配置されている。そして、奇数番目のLED素子Lと偶数番目のLED素子Lとは、副走査方向(左右方向)の位置については所定の距離を隔てて配置され、また、主走査方向(前後方向)の位置については、偶数番目のLED素子Lが、隣接する2個の奇数番目のLED素子Lの中間に位置するように配置されている。これにより、LED素子L1〜L35は、主走査方向については、所定にピッチPで配置されることになる。これらLED素子L1〜L35は、図1に示す制御手段70によって、点灯及び消灯、また、発光量を、それぞれ個別に制御することができるようになっている。
【0040】
図7を参照して、本発明に係る画像読取装置10を備えた画像形成装置1(本発明に係る画像形成装置)の一例を説明する。同図は、画像形成装置1を正面側から見た模式図である。なお、同図に示す画像形成装置1は、電子写真方式のプリンタ,複写機等の画像形成装置である。
【0041】
同図に示すように、画像形成装置1には、シート給送部2と、画像形成部3と、定着部4と、シート排出部5とが設けてある。このうち、シート給送部2には、給紙カセット2a、給紙ローラ2b、給送ローラ2c、リタードローラ2d、搬送ローラ2e、レジストローラ2f等が配設されている。給紙カセット2a内に積層状態で収納された複数枚のシートPは、その最上位のものが、給送ローラ2bによって給紙され、給送ローラ2c及びリタードローラ2dによって重送を防止されて1枚だけ下流側に給送される。さらには搬送ローラ対2eによって停止中のレジストローラ対2fに当接されて、斜行が矯正される。シートPは、その後、画像形成部3の感光ドラム3a上に形成されたトナー像にタイミングを合わせるようにして、画像形成部3に供給される。
【0042】
画像形成部3には、感光ドラム3a、帯電ローラ3b、露光装置3c、現像装置3d、テンションローラ3e、クリーニング装置3f等が配設されている。感光ドラム3aは、矢印方向(時計回り)に回転駆動され、帯電ローラ3bによって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム3aは、露光装置3cによる露光により、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。この露光は、上述の画像読取装置10によって読み見取られた原稿の画像情報に基づいて行われる。
【0043】
感光ドラム3a上に形成された静電潜像は、現像装置3dによってトナーが付着されてトナー像として現像される。
【0044】
このトナー像は、感光ドラム3aと転写ローラ3eとの間に形成される転写ニップ部において、上述のシート給送部2から供給されたシートPに転写される。
【0045】
トナー像転写後の感光ドラム3aは、表面に残ったトナー(転写残トナー)がクリーニング装置3fによって除去され、次の画像形成に供される。
【0046】
一方、トナー像転写後のシートPは、定着部4において、定着ローラ4aと加圧ローラ4bとに間に形成される定着ニップ部を通過する際に、加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。トナー像定着後のシートPは、排紙ローラ対5aによって、排紙トレイ5b上に排出される。
【0047】
ところで、上述のようにLED素子Lは、照射角度が広く、照射角度によって、同じ白色でも色味が青色味がかったり、黄色味がかったりする。そこで、本発明においては、照射角度を狭めることより、色味が比較的均一になるようにした。
【0048】
図5(a)に、LED素子Lにかけるマスク部材71を示す。図3に示すように、LED素子L1〜L35は、2列の千鳥状に配置されている。これに対応して、マスク部材71も同形のものを2枚取り付ける。図5に示すマスク部材71は、奇数のLED素子L1,L3……L35に対応するマスク部材71である。マスク部材71は、主走査方向に長い薄板状に形成されていて、LED素子L1,L3……L35に対応する部分には、それぞれ円形の窓部72が穿設されている。隣接する窓部72,72のピッチは、LED素子L1,L3等のピッチに対応して2Pに設定されている。これにより、図5(b)に示すように、光源12の直上にマスク部材71を、光源12と平行になるように取り付けた場合、各窓部72が各LED素子Lに対応する。
【0049】
窓部72の直径は、LED素子Lからマスク部材71までの距離Xと、読取ラインLnにおける主走査方向の光量ムラとを考慮して決定する。図4に示すように、読取ラインLnにおける主走査方向の光量は、一般に、LED素子Lに対応する部分が多く(明るく)、2個のLED素子Lの中間に対応する部分が少なく(暗く)なる。これにより、主走査方向の光量ムラが発生する。この光量ムラは、図5(b)に示すように、窓部72によってLED素子Lの照射角度θを絞れば絞るほど大きくなる傾向にある。ただし、上述したように、LED素子Lの照射角度θを絞るほど、1つのLED素子Lに起因する色ムラは、少なくなす。つまり、光量ムラと色ムラとは、相反する関係にあり、一方が良くなると、他方が悪くなる。
【0050】
そこで、本発明においては、図4に示すように、光量ムラについて所定の閾値を設定し、光量ムラが、この閾値の範囲内に入るようにした状態で、照射角度θができるだけ小さくなるように窓部72の直径Dを決定するようにした。なお、光量ムラについては、原稿Gの画像を読み取る前に、上述のCCD14等を動作させて主走査方向の受光量を検知することで、検出することが可能である。
【0051】
図5(b)から明らかなように、同じ照射角度θを与える窓部72の直径Dは、LED素子Lからマスク部材71の距離Xによって変化する。したがって、窓部72の直径は、例えば、以下のようにして決定する。まず、光源12(LED素子L)に対するマスク部材71の取付位置を決定する。つまり、LED素子Lからマスク部材71までの距離Xを決定する。次に、図4に示す光量ムラが、所定の閾値の範囲内に入るように、窓部72の直径を決定する。これは、例えば、直径の異なる窓部72を有する数種類のマスク部材72を準備して、これを順次取付位置に取り付ける、といった実験によって決定することができる。これとは逆に、LED素子Lに対してマスク部材72の取付位置が可変となるように構成して、距離Xを変更するようにしてもよい。すなわち、マスク部材71に適宜な値の直径Dで窓部72を穿設する。そして、距離Xを適宜に変更することで、LED素子Lの照射角度θを変更し、光量ムラが所定の閾値の範囲内に入るようにする。この方法は、相反する光量ムラと色ムラとを微妙に調整することが可能であるので好適である。また、性能の異なるLED素子Lを使用する場合でも、容易に対応することができる。図5(a)に示すマスク部材71と同様のものを、偶数のLED素子L2,L4……L34に対しても取り付ける。
【0052】
上述では、マスク部材71を、LED素子Lに取り付ける場合を説明したが、これに代えて、図5(a),(b)に示すように、同様のマスク部材73を、図1,図6(b)に示す集光レンズ19の、読取ラインLnbに対向する側の面19aに取り付けるようにしてもよい。この場合は、LED素子Lからマスク部材73までの距離は一義的に決定されるので、窓部74の直径を変更することで、LED素子Lの照射角度θを決定するようにする。
【0053】
以上説明した本発明によると、マスク部材71,73によってLED素子Lの照射角度を狭めることにより、読取ラインLnにおける主走査方向の光量ムラを抑制しつつ、同じく主走査方向の色ムラを低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
上述では、本発明を画像読取装置に使用する場合を例に説明したが、本発明は、これ以外に例えば、点光源を複数、ライン状に整列させて棒状の光源を構成する一般的な場合にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】画像読取装置の縦断面を正面側(前側)から見た図である。
【図2】原稿載置用のコンタクトガラスと、原稿(同図ではA3サイズ)の載置位置と、光源を構成するLED素子(光源素子)との位置関係を説明する上面図である。
【図3】複数のLED素子が千鳥状に配列されたようすを説明する斜視図である。
【図4】読取ラインにおける主走査方向の光量ムラを説明する図である。
【図5】光源に取り付けるマスク部材を説明する図である。
【図6】集光レンズに取り付けるマスク部材を説明する図である。
【図7】本発明に係る画像読取装置を備えた画像形成装置(本発明に画像形成装置)を正面側から見て模式的に説明する図である。
【図8】LED素子(LEDチップ)における照射角度の違いにより色味が異なることを説明する図である。
【符号の説明】
【0056】
1……画像形成装置、2……シート給送部、3……画像形成部、4……定着部、5……シート排出部、10……画像読取装置、12……光源、13……結像レンズ、14……CCD(イメージセンサ)、19……集光レンズ、71,73……マスク部材、72,74……窓部、G……原稿、Ln……読取ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の白色の点光源を主走査方向に並べてライン状の光源を構成し、前記光源又は原稿を副走査方向に移動させるとともに前記光源から光を読取ラインに照射し、前記原稿の画像面からの反射光を結像レンズでイメージセンサに結像して画像を読み取る画像読取装置において、
前記光源と前記読取ラインとの間に、前記光源から前記読取ラインに照射される光を規制するマスク部材を備えた、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記マスク部材は、前記各点光源に対応して形成された複数の窓部を有し、
前記窓部は、前記読取ラインにおける主走査方向の照射光量のばらつきが所定の閾値に収まる範囲内で前記点光源の照射角度を狭める、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記マスク部材が前記光源の直上に配設されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記光源と前記読取ラインとの間に配設されて前記光源からの光を集光する集光レンズを備え、
前記マスク部材が前記集光レンズに取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部によって読み取られた原稿の画像情報に基づいてシート上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部にシートを供給するシート給送部と、を備えた画像形成装置において、
前記画像読取部に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置が配設されている、
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−175320(P2009−175320A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12435(P2008−12435)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】