説明

画像読取装置、画像読取方法およびプログラム

【課題】異物の視認性を向上させることが可能な画像読取装置、画像読取方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の画像読取装置は、光源と生成部と検出部と設定部とを備える。光源は、原稿に対して光を照射する。生成部は、原稿からの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を原稿の画素ごとに生成する。検出部は、異物に起因して生成された読取信号を検出する。設定部は、検出部により検出された読取信号の値に応じて光源の光量を可変に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像読取方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、副走査方向に搬送される原稿に対して、副走査方向と直交する主走査方向に沿って光を照射し、ライン単位の反射光を取り込みながら画像を読み取る画像読取装置が知られている。このような画像読取装置において、コンタクトガラス上に異物(例えばゴミや汚れなど)があると、読取画像の副走査方向に縦スジが発生し、画質が低下してしまう。
【0003】
例えば特許文献1に開示された画像読取装置は、原稿読取位置における主走査方向に沿った複数の領域と1対1に対応するとともに、対応する領域を照明する複数の照明部を光源として備えている。そして、異物に起因した読取信号を検出した場合は、コンタクトガラスの清掃を促す表示を行うとともに、その読取信号が生成された画素の主走査位置に対応する照明部を選択的に発光させる。これにより、清掃を行うユーザーが異物を見つけ易くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、選択的に発光される照明部の光量は一定なので、例えば異物が「白」に近い場合(異物の光透過率が大きい場合)は、異物が見つけにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異物の視認性を向上させることが可能な画像読取装置、画像読取方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、原稿に対して光を照射する光源と、前記原稿からの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を前記原稿の画素ごとに生成する生成部と、異物に起因して生成された前記読取信号を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記読取信号の値に応じて前記光源の光量を可変に設定する設定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の画像読取方法は、原稿からの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を前記原稿の画素ごとに生成する生成ステップと、異物に起因して生成された前記読取信号を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出された前記読取信号の値に応じて前記光源の光量を可変に設定する設定ステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明のプログラムは、原稿からの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を前記原稿の画素ごとに生成する生成ステップと、異物に起因して生成された前記読取信号を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出された前記読取信号の値に応じて前記光源の光量を可変に設定する設定ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異物の視認性を向上させることが可能な画像読取装置、画像読取方法およびプログラムを提供できるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、画像読取装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、光源の構成例を示す図である。
【図3】図3は、画像読取装置の制御系の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、画像読取ユニットの構成例を示す図である。
【図5】図5は、光源駆動制御部が有する機能の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、操作表示部の一例を示す図である。
【図7】図7は、画像読取装置による処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、検出処理の際に生成された読取信号の一例を示す図である。
【図9】図9は、読取信号と光源の点灯時間との関係の一例を示す図である。
【図10】図10は、光源駆動クロックと点灯時間との関係の一例を示す図である。
【図11】図11は、読取信号と光源の駆動電流値との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像読取装置、画像読取方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る画像読取装置1の概略構成例を示す図である。図1に示すように、画像読取装置1は、自動原稿搬送装置1aと、画像読取ユニット1bとを備える。自動原稿搬送装置1aは、原稿台2に載置された原稿PPを1枚ずつ分離して読み取り位置RLへ搬送する。自動原稿搬送装置1aは、例えばADF(オートドキュメントフィーダ)で構成されてもよい。画像読取ユニット1bは、自動原稿搬送装置1aによって原稿を搬送して画像読取を行うシートスキャン機能と、原稿をコンタクトガラス上に載置して画像読取を行うブックスキャン機能とを備える。本発明は、主としてシートスキャン機能に関するものであるので、以下の説明では、ブックスキャン機能についての説明は省略する。
【0012】
自動原稿搬送装置1aにおいて、原稿台2に載置された原稿PPは、その最上部に位置するものがピックアップコロ3により取り出されて分離ユニット4に送り出される。分離ユニット4により、原稿PPは1枚ずつに分離されて送り出しコロ5に送り出される。送り出しコロ5は、ガイド部材を介して原稿PPを搬送方向に送り出す。送り出された原稿PPは、搬送ローラ6と搬送ドラム7に挟持されて、搬送ドラム7の表面に密着した状態で搬送ドラム7の回転方向に送り出される。搬送ドラム7の表面に密着した状態で搬送される原稿PPは、光源からの光が照射される読取位置RLを通過して排出ローラ8へと搬送され、排出ローラ8によって排紙トレイ9へと排紙される。
【0013】
また、光センサで構成される原稿セットセンサ104の遮光が解除されることにより、原稿PPがセットされたことが検知される。また、センサ102a又はセンサ102bによって、原稿の搬送方向の長さが検知される。さらに、センサ103によって、原稿PPの幅方向の長さが検知される。センサ102a、102bおよび103は、例えば光学式反射型センサやアクチュエータタイプのセンサで構成され得る。
【0014】
画像読取ユニット1bでは、読取位置RLに対応して(読取位置RLの直下に)、シートスキャン用のコンタクトガラス(原稿読取用のガラス)10が配設される。本実施形態では、コンタクトガラス10の副走査方向のサイズは4mm程度であるが、これに限らず、コンタクトガラス10の副走査方向のサイズは任意である。また、図1において、コンタクトガラス10の右側には、ブックスキャン用のコンタクトガラス11が配設される。さらに、シェーディング補正用の白基準板も配設される。
【0015】
光源12は、読取位置RLで原稿PPを照明するものであり、読取位置RLにおける原稿PPからの反射光は、第1ミラー13、第2ミラー14、および、第3ミラー15を順次反射してレンズ18に導かれる。そして、レンズ18により集束された光は、基板19に設けられたCCDラインイメージセンサ20に照射される。また、光源12および第1ミラー13は、第1キャリッジ16に搭載されて副走査方向SSへ往復移動する。一方、第2ミラー14および第3ミラー15は、第2キャリッジ17に搭載されて副走査方向SSへ往復移動する。また、コンタクトガラス10からCCDラインイメージセンサ20までの光路長を維持するために、第2キャリッジ17は、第1キャリッジ16の1/2の速度で移動する。第1キャリッジ16および第2キャリッジ17は、スキャナモータ21により駆動される。
【0016】
図2は、光源12の構成例を示す図である。図2に示すように、光源12は、原稿PPの読取位置RLにおける主走査方向に沿った複数の領域と1対1に対応するとともに、対応する領域を照明する複数の発光素子アレイ(照明部)を含んで構成される。詳細な図示は省略するが、光源12は、不図示の原稿PPに対して所定の角度を持たせて照明する。このため、発光素子アレイを配置するベース部に所定の角度を設定可能な傾斜構成(勾配)を持たせておく工夫や、光源12を取り付ける部分に予め勾配を形成することによって、原稿PPへの照明と、原稿PPからの反射光のCCDへの導光を効率的に行うことが可能となる。さらに、原稿読み取り時の色再現性を向上させるために光源12からの光として白色光が要求される。このため、発光素子から放射された光を白色光に変換するための蛍光物質(塗料)を内面に塗布した樹脂製のキャップを付加している。さらに、光源12を構成する複数の発光素子によって原稿PPを照明する際に、発光素子の照度分布が同心円状に形成されることに起因して発光素子間で発生する光量ムラを抑制又は軽減するために、発光素子アレイと原稿台ガラスとの間に拡散板が配置されている。
【0017】
図3は、画像読取装置1の制御系の一例を示すブロック図である。図2に示すように、画像読取装置1は、主制御部31と、画像読取ユニット1bと、自動原稿搬送装置1aと、操作表示部33と、外部I/F部506と、外部装置507とを備える。主制御部31は、CPU501とROM502とRAM503とを含んで構成される。CPU501はROM502に格納された各種のプログラムを読み出し、RAM503上に展開して実行することにより画像読取装置1全体を制御する。ROM502は、各種のデータを記憶する。一例として、ROM502には、画像読取装置1の制御に必要なプログラムの他に、異物(例えばゴミや汚れ等)に起因した読取信号に応じた光源12の点灯時間(点灯駆動クロックのパルス幅)や駆動電流値、主走査画素位置と対応する光源12の点灯エリア(発光素子アレイ)を示すデータ、清掃の要否を判定するための閾値などが格納される。RAM503は、制御データを一時的に保持する領域や制御に伴う演算の作業領域として機能する。
【0018】
図4は、画像読取ユニット1bの構成例を示すブロック図である。図4に示すように、画像読取ユニット1bは、CCDラインイメージセンサ20と、CCDドライバ32bと、アナログ処理部32cと、A/D変換器32dと、画像処理部32eと、異物検出処理部32fと、清掃要否判定部32gと、タイミングクロック生成部32hと、光源12と、光源駆動制御部101とを備える。
【0019】
CCDドライバ32bは、CCDラインイメージセンサ20の読取動作を制御する。CCDラインイメージセンサ20は、CCDドライバ32bの制御の下、原稿PPからの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号をライン単位で生成し、生成した読取信号をアナログ処理部32cへ出力する。ここでは、反射光の光量が多いほど読取信号の値は大きい値を示す。アナログ処理部32cは、CCDラインイメージセンサ20から出力された読取信号に対して所定のアナログ処理を行い、そのアナログ処理後の読取信号をA/D変換器32dへ出力する。A/D変換器32dは、アナログ処理部32cから出力されるライン単位の読取信号を1画素ごとにサンプリングして、原稿PPの各画素のアナログ値を、対応する桁数のデジタル値に変換する。デジタル値に変換された各画素の読取信号は画像処理部32eおよび異物検出処理部32fの各々に出力される。この例では、CCDラインイメージセンサ20、CCDドライバ32b、アナログ処理部32c、および、A/D変換器32dは、原稿PPからの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を生成する生成部として機能すると捉えることができる。
【0020】
画像処理部32eは、入力された読取信号に対して所定の画像処理(例えば黒補正、シェーディング補正、カラーのCCDラインイメージセンサで読み取られた場合はライン間補正も含む)を行う。画像処理部32eによる画像処理が行われた後の信号は、画像読取デジタル信号PPとして次段の装置へ出力される。異物検出処理部32fは、入力された読取信号の中に、異物により反射光が遮られて生成された読取信号(異物に起因した読取信号)が存在するか否かを検出する。清掃要否判定部32gは、異物検出処理部32fで検出された読取信号(異物に起因した読取信号)の値に基づいて、異物の清掃が必要か否かを判定する。より具体的には、清掃要否判定部32gは、異物検出処理部32fで検出された読取信号の値が閾値以上の場合は清掃が必要であると判定する。その判定結果を示す判定信号DTは主制御部31へ出力される。
【0021】
また、異物検出処理部32fは、異物に起因した読取信号を検出した場合、その検出した読取信号の値に基づいて、光源12の点灯時間(光源駆動クロックのパルス幅)や駆動電流の設定情報をタイミングクロック生成部32hへ出力する。さらに、異物検出処理部32fは、異物に起因した読取信号を検出した場合、その読取信号が生成された画素の主走査位置に対応する光源12の発光素子アレイ(点灯Ch)を指定する点灯Ch設定信号を生成して光源駆動制御部101へ出力する。この例では、異物検出処理部32fは、異物に起因した読取信号を検出する機能(検出部としての機能)と、異物に起因した読取信号の値に応じて光源の光量を可変に設定する機能(設定部としての機能)とを有するが、これに限らず、検出部および設定部の各々を個別に設けることもできる。
【0022】
タイミングクロック生成部32hは、各種のタイミングクロックを生成し、その生成したタイミングクロックを、CCDドライバ32b、アナログ処理部32c、A/D変換器32d、および、光源駆動制御部101の各々に供給する。例えばタイミングクロック生成部32hは、異物検出処理部32fからの点灯時間(光源駆動クロックのパルス幅)または駆動電流の設定情報に基づいて、定電流源を駆動する光源駆動クロックやPWM信号を生成することもできる。
【0023】
図5は、光源駆動制御部101が有する機能の一例を説明するためのブロック図である。光源駆動制御部101は、タイミングクロック生成部32hからの光源駆動クロックと、主制御部31からの光源点灯信号と、異物検出処理部32fからの点灯Ch設定信号とに基づいて、光源12の駆動を制御する。例えば光源駆動制御部101は、異物検出処理部32fからの点灯Ch設定信号によって指定された点灯Ch(発光素子アレイ)のみが発光するように光源12の駆動を制御することもできる。
【0024】
図6は、操作表示部33の一例を示す図である。図6の例では、操作表示部33は、スタートキー33aと、ストップキー33bと、モードキー33c〜33eと、液晶表示パネル33fとを備える。スタートキー33aは、原稿読取動作の開始を入力するためのデバイスである。ユーザーが、スタートキー33aを操作することにより原稿読取動作の開始を指示する信号が入力される。ストップキー33bは、原稿読取動作の停止を入力するためのデバイスである。モードキー33c〜33eは、読取動作モードの設定を入力するためのデバイスである。液晶表示パネル33fは、各種情報(例えばエラー警告表示、読取画像の表示など)を表示するデバイスである。
【0025】
次に、本実施形態の画像読取装置1の動作例について説明する。図7は、本実施形態の画像読取装置1による処理動作の一例を示すフローチャートである。処理動作の開始に先立ち、ユーザーは、自動原稿搬送装置1aに対して複数枚の原稿PPをセットする。そして、ユーザーは、操作表示部33のスタートキー33aを操作する(押す)ことで、原稿読取動作の開始を入力する。具体的には、スタートキー33aの操作入力を受け付けた場合(ステップS1の結果:YESの場合)、主制御部31は、シートスキャン型の読取動作を開始する(ステップS2)。
【0026】
次に、異物検出処理部32fは、読取動作によって生成された読取信号の中に、異物に起因した読取信号が存在するか否かを検出する検出処理を行う(ステップS3)。本実施形態では、シートスキャンの紙間のタイミングで検出処理が行われる。より具体的には、異物検出処理部32fは、ある原稿の読取動作が完了してから次の原稿の読取動作が開始されるまでの期間(区間)において生成された読取信号に基づいて検出処理を行う。
【0027】
図8は、検出処理の際に生成された読取信号(ある原稿の読取動作が完了してから次の原稿の読取動作が開始されるまでの期間において生成された読取信号)の一例を示す図である。コンタクトガラス10上に異物(例えばゴミや汚れなど)が存在する場合、異物に起因して生成された読取信号(例えば異物により反射光が遮られて生成された読取信号)の値は、異物に起因せずに生成された読取信号(例えば異物により反射光が遮られることなく生成された読取信号)の値に比べて小さい値を示す。これを利用して、異物検出処理部32fは、異物に起因して生成された読取信号が存在するか否かを検出することができる。
【0028】
異物に起因した読取信号を検出した場合、異物検出処理部32fは、異物の主走査画素位置を検出する(ステップS4)。より具体的には、異物検出処理部32fは、ライン単位の読取信号のうち、異物に起因した読取信号が生成された画素の主走査方向の位置を検出する。
【0029】
また、異物に起因した読取信号を検出した場合、異物検出処理部32fは、その検出した読取信号の値に応じて、光源12の光量を可変に設定するための情報を生成し、その生成した情報をRAM503に一旦格納する。例えば異物検出処理部32fは、図9に示すように、検出した読取信号(異物に起因した読取信号)の値に応じて、点灯時間(点灯駆動クロックのパルス幅)を規定する光量設定情報を生成することができる。図8の例では、異物Aに起因した読取信号の値は異物Bに起因した読取信号の値よりも小さい(つまりは、反射光を透過させる割合は異物Aの方が異物Bよりも大きい、言い換えれば、異物Bの方が異物Aよりも白に近い)ので、異物検出処理部32fは、異物Bに起因した読取信号が生成された画素に対応する点灯Ch(発光素子アレイ)の光量が、異物Aに起因した読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの光量よりも小さくなるように、光量設定情報を生成する。より具体的には、図10に示すように、異物検出処理部32fは、異物Bに起因した読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの光源駆動クロック(PWM信号)が、異物Aに起因した読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの光源駆動クロックよりも、アクティブレベル(例えばハイレベル)に設定される時間長(つまりは点灯時間)が短くなるように、光量設定情報を生成する。
【0030】
なお、これに限らず、光源12の光量を可変に設定するための情報は任意である。例えば異物検出処理部32fは、図11に示すように、異物Bに起因した読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの駆動電流値が、異物Aに起因した読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの駆動電流値よりも小さくなるように、駆動電流値の設定情報を生成することもできる。要するに、異物に起因した読取信号の値が大きいほど、つまりは、異物の反射光の透過率が高いほど(異物が「白」に近いほど)、その読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの光量が小さくなるように設定されるものであればよい。異物検出処理部32fは、検出した読取信号(異物に起因した読取信号)の値に応じて、光源12が所定量の光を照射する時間を可変に設定することもできるし、光源12の駆動電流値を可変に設定することもできる。
【0031】
前述のステップS4の後、清掃要否判定部32gは、異物検出処理部32fで検出された読取信号(異物に起因して生成された読取信号)の値に基づいて、清掃が必要か否かを判定する(ステップS5)。より具体的には、清掃要否判定部32gは、異物検出処理部32fで検出された読取信号の値が閾値以上の場合は清掃が必要であると判定し、異物検出処理部32fで検出された読取信号の値が閾値未満の場合は清掃が不要であると判定する。
【0032】
清掃要否判定部32gにより清掃が必要であると判定された場合(ステップS5の結果:YES)、主制御部31は読取動作を停止する(ステップS6)。本実施形態では、清掃要否判定部32gにより清掃が必要であると判定された場合、主制御部31は自動原稿搬送装置1aの動作を停止する。一方、清掃要否判定部32gにより清掃が不要であると判定された場合(ステップS5の結果:NO)、処理は前述のステップS3に戻され、再び検出処理が行われる。
【0033】
次に、主制御部31は、コンタクトガラス10上の異物の清掃を促す警告を表示するように、操作表示部33の液晶表示パネル33fを制御する(ステップS7)。なお、これに限らず、例えば主制御部31は、外部装置507の表示画面上に、コンタクトガラス10上の異物の清掃を促す警告が表示されるように、外部I/F506を介して外部装置507を制御することもできる。
【0034】
次に、ユーザーによる清掃の選択入力を受け付けた場合(ステップS8の結果:YES)、操作表示部33は、その受け付けた入力信号を、照明を点灯させる起動信号として主制御部31へ出力する。起動信号を受けた主制御部31は、点灯を指示する光源点灯信号を画像読取ユニット1bへ出力する。また、起動信号を受けた主制御部31は、RAM503に格納されている光量設定情報を読み出してタイミングクロック生成部32hへ出力する。タイミングクロック生成部32hは、光量設定情報に基づいて、各点灯Chの光源駆動クロックを設定する(ステップS9)。ステップS9で設定された各点灯Chの光源駆動クロックは光源駆動制御部101へ出力される。また、異物検出処理部32fは、前述のステップS4で検出した画素に対応する光源12の点灯Chを指定する点灯Ch設定信号を設定する(ステップS10)。ステップS10で設定された点灯Ch設定信号は光源駆動制御部101へ出力される。
【0035】
次に、光源駆動制御部101は、入力された光源点灯信号、光源駆動クロック、および、点灯Ch設定信号に基づいて、光源12の駆動を制御する(ステップS11)。この例では、点灯Ch指定信号で指定された点灯Chのみが、対応する光源駆動クロックに従って発光するように制御される。
【0036】
次に、ユーザーによる清掃終了の入力を受け付けた場合(ステップS12の結果:YES)、光源駆動制御部101への光源点灯信号の入力が停止することで光源12による照明が消灯する(ステップS13)。次に、主制御部31は、異物が検出された読取画像をプレビュー表示する(ステップS14)。例えば主制御部31は、異物が検出された読取画像を表示するように、操作表示部33の液晶表示パネル33fを制御することもできるし、異物が検出された読取画像を表示するように、外部I/F506を介して外部装置507を制御することもできる。次に、ユーザーから、プレビュー表示された読取画像を有効にすることを選択する入力を受け付けた場合(ステップS15の結果:YES)、主制御部31は、シートスキャン型の読取動作を終了する。プレビュー表示された読取画像を有効にしないことを選択する入力を受け付けた場合(ステップS15の結果:NO)、主制御部31は、プレビュー表示した読取画像を無効化する。そして、処理は、前述のステップS2に戻される。
【0037】
なお、異物が検出された読取画像を有効にするか否かをユーザーに選択させずに、主制御部31は、異物を検出した原稿の読取画像を自動的に無効化することもできる。この場合、ユーザーは、コンタクトガラス10の清掃後に、再度原稿を自動原稿搬送装置1aにセットして、スタートキー33aを操作することでステップS1からの処理を繰り返す。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態では、異物に起因した読取信号が検出された場合、当該読取信号の値に応じて、当該読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの光量が可変に設定される。より具体的には、異物に起因した読取信号の値が大きいほど(異物が「白」に近いほど)、当該読取信号が生成された画素に対応する点灯Chの光量が小さくなるように設定されるので、読取信号の値によらずに点灯Chの光量が一定の場合に比べて、異物の視認性を向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば光源12の複数の点灯Chを選択的に発光させるのではなく、一斉に発光させてもよい。この場合、光源12のうち点灯させるChを指定する処理(図7のステップS10)は不要となる。要するに、異物に起因した読取信号の値に応じて光源12の光量が可変に設定されるものであればよい。また、上述の画像読取装置1は、スキャナ機能の他に、コピー機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能のうちの少なくとも何れかの機能を有する画像形成装置(例えば複合機)に適用することも可能である。
【0040】
なお、上述の画像読取装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0041】
さらに、上述の画像読取装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、画像読取装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 画像読取装置
1b 画像読取ユニット
1a 自動原稿搬送装置
2 原稿台
3 ピックアップコロ
4 分離ユニット
5 コロ
6 搬送ローラ
7 搬送ドラム
8 排出ローラ
9 排紙トレイ
10 コンタクトガラス
11 コンタクトガラス
12 光源
13 第1ミラー
14 第2ミラー
15 第3ミラー
16 第1キャリッジ
17 第2キャリッジ
18 レンズ
19 基板
20 CCDラインイメージセンサ
21 スキャナモータ
31 主制御部
32b CCDドライバ
32c アナログ処理部
32d A/D変換器
32e 画像処理部
32f 異物検出処理部
32g 清掃要否判定部
32h タイミングクロック生成部
33a スタートキー
33b ストップキー
33c モードキー
33d モードキー
33e モードキー
33f 液晶表示パネル
33 操作表示部
101 光源駆動制御部
102a センサ
102b センサ
103 センサ
104 原稿セットセンサ
506 外部I/F部
507 外部装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2007−104444号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に対して光を照射する光源と、
前記原稿からの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を前記原稿の画素ごとに生成する生成部と、
異物に起因して生成された前記読取信号を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記読取信号の値に応じて前記光源の光量を可変に設定する設定部と、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記光源は、前記原稿の読取位置における主走査方向に沿った複数の領域と1対1に対応するとともに、対応する前記領域を照明する複数の照明部を含んで構成され、
前記設定部は、
前記検出部により検出された前記読取信号の値に応じて、当該読取信号が生成された前記画素の主走査位置に対応する前記照明部の光量を可変に設定する、
ことを特徴とする請求項1の画像読取装置。
【請求項3】
前記反射光の光量が多いほど前記読取信号の値は大きい値を示し、
前記設定部は、前記検出部により検出された前記読取信号の値が大きいほど、前記光源の光量を小さい値に設定する、
請求項1の画像読取装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記検出部により検出された前記読取信号の値に応じて、前記光源が所定量の光を照射する時間を可変に設定する、
ことを特徴とする請求項1の画像読取装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記検出部により検出された前記読取信号の値に応じて、前記光源の駆動電流値を可変に設定する、
ことを特徴とする請求項1の画像読取装置。
【請求項6】
前記検出部により検出された前記読取信号の値に基づいて、前記異物の清掃が必要か否か判定する判定部と、
前記判定部により前記異物の清掃が必要であると判断された場合は、ユーザーに対して前記異物の清掃を促す警告を表示する表示部とを備える、
ことを特徴とする請求項1の画像読取装置。
【請求項7】
原稿からの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を前記原稿の画素ごとに生成する生成ステップと、
異物に起因して生成された前記読取信号を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された前記読取信号の値に応じて前記光源の光量を可変に設定する設定ステップと、を備える、
ことを特徴とする画像読取方法。
【請求項8】
原稿からの反射光を光電変換して、反射光の光量に応じた値を示す読取信号を前記原稿の画素ごとに生成する生成ステップと、
異物に起因して生成された前記読取信号を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された前記読取信号の値に応じて前記光源の光量を可変に設定する設定ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−42429(P2013−42429A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179168(P2011−179168)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】