説明

画像読取装置、画像読取装置の制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体

【課題】磁気インク文字が傾いた状態で磁気ヘッドを通過した場合における磁気インク文字の誤認識を防止することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、原稿に印刷された磁気インク文字を磁気データとして読み取る磁気読取手段(ステップS101)と、読み取られた磁気データとMICR辞書情報とを比較することで得られる磁気的類似度に基づいて、磁気インク文字を認識する磁気文字認識手段(ステップS103)と、原稿の画像を画像データとして光学的に読み取る読取手段(ステップS102)と、読み取られた画像データに基づいて、画像の傾き角を算出する算出手段(ステップS104)と、磁気文字認識手段による磁気インク文字の認識結果と算出手段により算出された前記画像の傾き角とに基づいて、磁気インク文字を最終認識する最終認識処理手段(ステップS105)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、小切手や手形等の原稿に印刷されている磁気インク文字の読み取り処理を行う画像読取装置、画像読取装置の制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
小切手による精算処理では、小切手の下欄に印刷された口座番号、金額等の磁気インク文字を読み取り、読み取ったデータを所定の機関に照会し、小切手の有効性を確認する。
【0003】
磁気インク文字を読み取るための装置として、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)装置がある。MICR装置は、磁気インク文字に含まれる磁気情報を磁気ヘッドで読み取り、読み取った磁気情報を基に文字を認識する(特許文献1)。
【0004】
また、MICR装置の他にOCR(Optical Character Recognition)装置を備え、MICR装置での磁気インク文字の認識結果が信頼できなかった場合に、OCR装置で磁気インク文字を再度認識する画像読取装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭49−49545号公報
【特許文献2】特開平2004−259254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2では、MICR装置での磁気インク文字の認識結果が十分な信頼水準でありながら、実際の磁気インク文字と一致しない場合がある。
【0007】
図20〜図23を参照して具体的に説明する。図20は画像読取装置の斜視図、図21は図20に示す画像読取装置の内部構成を示すブロック図である。
【0008】
図20及び図21に示すように、この画像読取装置1は、載置部2、搬送路3、MICR装置7、及び排紙部4を備える。
【0009】
載置部2に載置された小切手は、図21に示すように、搬送路3を矢印D方向に搬送されて、MICR装置7の磁気ヘッド5によって磁気インク文字が磁気情報として読み取られ、その後、排紙部4に排紙される。
【0010】
小切手に印刷された磁気インク文字には磁性材料が混合されているため、小切手が磁気ヘッド5を通過すると、磁気インク文字の形に応じて磁束が変化し、文字の形に応じた波形が磁気ヘッド5から処理部7aに出力される。そして、処理部7aは、磁気ヘッド5から出力された波形を解析する。
【0011】
図22(a)は、E13Bフォントの一部である「2」の外観図、図22(b)は、E13Bフォントの一部である「5」の外観図である。図22(c)は、図22(a)の「2」及び図22(b)の「5」ついて、磁気ヘッド5にて磁気データを読み取った際の波形を示すグラフ図である。図22(c)において、実線で示された波形が「2」の波形、点線で示された波形が「5」の波形であり、縦軸は出力電圧値、横軸は時間の経過を表す。MICR装置7の処理部7aは、図22(c)に示す波形を解析することにより、磁気インク文字を認識する。
【0012】
図22(a)及び図22(b)に示す「2」と「5」は、E13Bフォントにて非常に似た波形を持つ文字として知られており、図22(c)に示す「2」と「5」の2つの波形において、異なるのはピーク位置(尾根、谷の部分)の時間軸の差のみである。MICR装置7の処理部7aは、この時間軸の差を比較し、磁気インク文字を正しく認識することが可能になる。
【0013】
図22(c)に示す「2」と「5」の波形は、磁気インク文字が磁気ヘッド5に対して傾かない状態で通過した場合の例であるが、搬送路3や小切手の状態によっては、磁気インク文字が磁気ヘッド5に対して傾いた状態で通過することがある。
【0014】
図23(a)は、図22(a)の「2」が傾いて磁気ヘッド5を通過した際の外観図、図23(b)は、図22(b)と同様のE13Bフォントの一部である「5」の外観図である。図23(c)は、図23(a)の「2」及び図23(b)の「5」ついて、磁気ヘッド5にて磁気データを読み取った際の波形を示すグラフ図であり、実線で示された波形が「2」の波形、点線で示された波形が「5」の波形である。
【0015】
図23(c)に示すように、「2」が傾いた状態で磁気ヘッド5を通過した場合、「2」が傾かない状態で磁気ヘッド5を通過したときとは異なる波形が磁気ヘッド5から出力される。図23(c)の例では、「2」が傾いた状態で磁気ヘッド5を通過した場合の波形が、「5」が傾かない状態で磁気ヘッド5を通過した場合の波形に非常に似た波形となる。
【0016】
磁気ヘッド5により読み取られる波形は、「信号レベル」及び「時間経過」の2次元の値で構成されている。したがって、図23(c)に示す状況が発生してしまうと、MICR装置7の処理部7aは、傾いた「2」の波形なのか、傾かない「5」の波形なのかを判別することができなくなる。
【0017】
この結果、磁気インク文字をMICR装置7で認識した結果が十分な信頼水準でありながら、実際には小切手に印字された磁気インク文字と一致しない文字を誤認識する場合が発生してしまう。図23(c)の例では、傾いた「2」の波形を傾かない「5」の波形として誤認識してしまう。
【0018】
そこで、本発明は、磁気インク文字が傾いた状態で磁気ヘッドを通過した場合における磁気インク文字の誤認識を防止することができる画像読取装置、画像読取装置の制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、原稿に印刷された磁気インク文字を磁気データとして読み取る磁気読取手段と、該磁気読取手段により読み取られた磁気データとMICR辞書情報とを比較することで得られる磁気的類似度に基づいて、前記磁気インク文字を認識する磁気文字認識手段と、原稿の画像を画像データとして光学的に読み取る読取手段と、該読取手段により読み取られた画像データに基づいて、画像の傾き角を算出する算出手段と、前記磁気文字認識手段による前記磁気インク文字の認識結果と前記算出手段により算出された前記画像の傾き角とに基づいて、前記磁気インク文字の認識結果を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の画像読取装置の制御方法は、原稿に印刷された磁気インク文字を磁気データとして読み取る磁気読取ステップと、該磁気読取ステップで読み取られた磁気データとMICR辞書情報とを比較することで得られる磁気的類似度に基づいて、前記磁気インク文字を認識する磁気文字認識ステップと、原稿の画像を画像データとして光学的に読み取る読取ステップと、該読取ステップで取られた画像データに基づいて、画像の傾き角を算出する算出ステップと、前記磁気文字認識ステップでの前記磁気インク文字の認識結果と前記算出ステップで算出された前記画像の傾き角とに基づいて、前記磁気インク文字の認識結果を変更する変更ステップと、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の画像読取装置の制御プログラムは、原稿に印刷された磁気インク文字を磁気データとして読み取る磁気読取ステップと、該磁気読取ステップで読み取られた磁気データとMICR辞書情報とを比較することで得られる磁気的類似度に基づいて、前記磁気インク文字を認識する磁気文字認識ステップと、原稿の画像を画像データとして光学的に読み取る読取ステップと、該読取ステップで取られた画像データに基づいて、画像の傾き角を算出する算出ステップと、前記磁気文字認識ステップでの前記磁気インク文字の認識結果と前記算出ステップで算出された前記画像の傾き角とに基づいて、前記磁気インク文字の認識結果を変更する変更ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0022】
本発明のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、前記制御プログラムを格納した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、磁気インク文字が傾いた状態で磁気ヘッドを通過した場合における磁気インク文字の誤認識を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像読取装置を説明するためのブロック図である。
【図2】画像読取装置における、小切手に印刷された磁気インク文字の認識処理について説明するためのフローチャート図である。
【図3】読み取り画像の一例を示す図である。
【図4】E13Bフォントの文字の一覧を示す図である。
【図5】図2のステップS103での磁気文字認識処理を説明するためのフローチャート図である。
【図6】図5のステップS201での文字位置の切り出し処理について説明するためのフローチャート図である。
【図7】デジタル信号からピーク位置信号を検出した結果の一例を示すグラフ図である。
【図8】サンプルテーブルの一例を示す図である。
【図9】MICR辞書テーブルの一例を示す図である。
【図10】MICR辞書テーブルの波形データとサンプルテーブルの波形データとを重ねて表示したグラフ図である。
【図11】図3の読み取り画像に対して磁気文字認識処理を施した結果を示す図である。
【図12】図2のステップS104における文字の傾き角算出処理について説明するためのフローチャート図である。
【図13】(a)は、テンプレートの一例を示す図であり、(b)は、文字「1」のテンプレートの拡大図である。
【図14】図3に示す読み取り画像に対して上記の光学文字認識処理を行った結果を示す図である。
【図15】図2のステップS105における認識結果変更処理について説明するためのフローチャート図である。
【図16】画像読取装置からホスト装置に送信される磁気インク文字の認識結果の一例を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施形態である画像読取装置において、図2のステップS105における認識結果変更処理について説明するためのフローチャート図である。
【図18】図17のステップS608における光学文字認識結果に基づく再判定処理について説明するためのフローチャート図である。
【図19】画像読取装置からホスト装置に送信される磁気インク文字の認識結果の一例を示す図である。
【図20】従来の画像読取装置を説明するための斜視図である。
【図21】図20に示す画像読取装置の内部構成を示すブロック図である。
【図22】(a)は、E13Bフォントの一部である「2」の外観図、(b)は、E13Bフォントの一部である「5」の外観図である。(c)は、(a)の「2」及び(b)の「5」ついて、磁気ヘッドにて磁気データを読み取った際の波形を示すグラフ図である。
【図23】(a)は、図22(a)の「2」が傾いて磁気ヘッドを通過した際の外観図、(b)は、図22(b)と同様のE13Bフォントの一部である「5」の外観図である。(c)は、(a)の「2」及び(b)の「5」ついて、磁気ヘッドにて磁気データを読み取った際の波形を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である画像読取装置を説明するためのブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置1Aは、不図示の載置部に原稿の一例としての複数の小切手が載置され、載置部に載置された複数の小切手は、不図示の分離給送手段によって一枚ずつ分離されて搬送路3に給送される。搬送路3には、MICR(磁気文字認識)装置10及びOCR(光学文字認識)装置20が配置されており、MICR装置10及びOCR装置20は、アドレスバス33を介して接続された主制御部31により制御される。また、アドレスバス33には、各種データ等を記憶するメモリ34及び外部インターフェイス32が接続され、外部インターフェイス32には、ホスト装置40が接続される。
【0028】
MICR装置10は、磁気ヘッド(磁気読取手段)1000、磁気データ処理部11、MICR辞書テーブル(MICR辞書情報)記憶部12、及びMICR処理部13を備える。
【0029】
磁気ヘッド1000は、搬送路3を矢印D方向に搬送される小切手に印刷された磁気インク文字の磁気データを読み取る。磁気データ処理部11は、磁気ヘッド1000によって読み取られた磁気データに対してA/D変換や平滑化等の処理を施し、MICR処理部13に出力する。MICR処理部13は、磁気データ処理部11から出力された磁気データに対して、MICR辞書テーブル記憶部12に記憶されたMICR辞書テーブルを参照して磁気文字認識処理を行う。
【0030】
OCR装置20は、読取センサ(読取手段)2000、画像データ処理部21、OCR辞書テーブル(OCR辞書情報)記憶部23、及びOCR処理部22を備える。
【0031】
読取センサ2000は、搬送路3を矢印D方向に搬送される小切手に印刷された磁気インク文字を光学的に読み取る。画像データ処理部21は、読取センサ2000によって読み取られた画像データに対して各種処理を施し、OCR処理部22に出力する。OCR処理部22は、画像データ処理部21から出力された画像データに対して、OCR辞書テーブル記憶部23に記憶されたOCR辞書テーブルを参照して光学文字認識処理を行う。
【0032】
次に、図2を参照して、本実施形態の画像読取装置1Aにおける、小切手に印刷された磁気インク文字の認識処理について説明する。図2での各処理は、不図示のROM等の記憶部に記憶された制御プログラムが不図示のRAMにロードされて、主制御部31のCPU等により実行される。
【0033】
なお、以下の説明では、磁気インク文字が印刷された小切手が、磁気センサ1000及び読取センサ2000に対して傾いた状態で搬送路3を搬送される場合を例に採る。また、磁気センサ1000及び読取センサ2000で読み取られた磁気インク文字は、例えば、図3に示すように、E13Bフォント文字「2」「5」「8」とし、図中の画像下端の黒部分は背景部分であることを表す。図4に、E13Bフォントの文字の一覧を示すが、認識対象とするフォントは、特に限定されない。
【0034】
図2において、ステップS101では、主制御部31は、MICR装置10の磁気ヘッド1000により搬送路3を搬送される小切手に印刷された磁気インク文字の磁気データを読み取る。そして、主制御部31は、磁気データ処理部11を制御して、磁気ヘッド1000で読み取った磁気データに対してA/D変換や平滑化等の処理を施し、MICR処理部13に出力して、ステップS102に進む。
【0035】
ステップS102では、主制御部31は、OCR装置20の読取センサ2000により搬送路3を搬送される小切手に印刷された磁気インク文字を光学的に読み取る。そして、主制御部31は、画像データ処理部21を制御して、読取センサ2000で読み取った画像データに対してシェーディング処理、ガンマ補正等の各種処理を施し、OCR処理部22に出力して、ステップS103に進む。
【0036】
ステップS103では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、ステップS101で磁気データ処理部11から出力された磁気データに対して、MICR辞書テーブルを参照して磁気文字認識処理を行い、ステップS104に進む。ステップS103の具体的な処理については、後述する。
【0037】
ステップS104では、主制御部31は、OCR処理部22を制御して、ステップS102で画像データ処理部21から出力された磁気インク文字の画像データに対して、OCR辞書テーブルを参照して光学文字認識処理を行う。そして、主制御部31は、光学文字認識処理結果に基づいて、磁気インク文字の傾き角を算出し、ステップS105に進む。ステップS104の具体的な処理については、後述する。
【0038】
ステップS105では、主制御部31は、ステップS103で得られた磁気文字認識処理結果とステップS104で算出した磁気インク文字の傾き角とから、必要に応じて磁気インク文字の認識結果の変更処理を行う。そして、主制御部31は、磁気インク文字の最終認識処理結果を外部インターフェイス32を介してホスト装置40に送信し、処理を終了する。ステップS105の具体的な処理については、後述する。
【0039】
次に、図5〜図11を参照して、図2のステップS103での磁気文字認識処理について説明する。
【0040】
図5は、図2のステップS103での磁気文字認識処理を説明するためのフローチャート図である。
【0041】
図5において、ステップS201では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、ステップS101で磁気データ処理部11から出力された磁気データから磁気文字位置を切り出す。
【0042】
文字位置の切り出しは、文字開始位置を検出することにより確定する。文字開始位置を検出するためには、まず、磁気データからサンプリング波形のピークを検出する。次に、最初に検出したピーク位置を基にして文字開始位置を求め、予め定められた所定の範囲を1文字分のデータとして切り出す。
【0043】
図6を参照して、ステップS201での文字位置の切り出し処理について説明する。なお、図6において、Dは、サンプリングデータである。D(X)は、Xの位置のサンプリングデータである。R, Kは、文字フォントやサンプリングレートにより一意に決定される定数である。Nは、現在何文字目かを示す文字数カウントである。Lengthは、サンプリングデータの長さである。また、小切手の右端部分に相当する位置を0とする。
【0044】
ステップS301では、主制御部31は、小切手の右端から磁気データを走査していくために、MICR処理部13を制御して、X,Nをそれぞれ0にリセットし、ステップS302に進む。
【0045】
ステップS302では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、D(X)とKとを比較し、D(X)がKを超えていれば、ステップS304に進み、D(X)がK以下であれば、ステップS303に進む。
【0046】
ステップS304では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、D(X)とD(X+1)とを比較し、D(X)がD(X+1)を超えていれば、ステップS305に進み、D(X)がD(X+1)以下であれば、ステップS303に進む。
【0047】
ステップS305では、主制御部31は、D(X)は磁気データの波形における最初の頂点位置であると判断し、MICR処理部13を制御して、XからX+RまでのデータがN番目の文字として、位置情報をメモリ34に保存し、ステップS306に進む。
【0048】
ステップS306では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、XをRだけ進め(X=X+R)、Nを1つカウントし(N=N+1)、ステップS307に進む。
【0049】
一方、ステップS303では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、Xを1つカウントし(X=X+1)、ステップS307に進む。
【0050】
ステップS307では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、XがLength未満か否かを判断し、XがLength未満であれば、ステップS302に戻り、XがLength以上であれば、文字切り出し処理を終了し、図5のステップS202へ進む。
【0051】
図5に戻って、ステップS202では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、文字数カウントNを0にリセットし、ステップS203に進む。
【0052】
ステップS203では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、N文字目の磁気データを取得し、ステップS204に進む。ここでは、MICR処理部13は、メモリ34に保存された位置情報データを参照し、磁気データ中の位置情報データに該当する部分の波形を切り出す。
【0053】
ステップS204では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、N文字目の磁気データについて、ピーク位置信号を検出してピーク位置データを作成し、ステップS205に進む。
【0054】
本実施形態での磁気インク文字のフォントであるE13Bフォントは、1文字分の幅を時間軸に対して8等分に分割すると、磁気ヘッド1000で文字を読み取った際に得られる読取信号のピークは、それぞれ異なるブロックに存在するよう構成されている。
【0055】
そこで、MICR処理部13は、1文字毎に8等分すると共に、磁気信号のピーク位置を検出し、検出したピーク位置をピーク位置信号として算出する。さらに、MICR処理部13は、ピーク位置毎の振幅レベルを検出し、ピーク位置における時間と振幅レベルを示すピーク値データを算出する。
【0056】
ピーク位置の検出方法としては、例えば、サンプリング波形の振幅レベルが増加から減少に転じた点、およびサンプリング波形の振幅レベルが減少から増加に転じた点をピーク位置として検出する方法がある。なお、ピーク位置の検出方法は、その他の態様であっても構わない。例えば、図7(a)に示すデジタル信号について、上記の方法でピーク位置信号を検出した結果は、図7(b)に示すようになり、ピーク値データは、図7(c)に示すようになる。
【0057】
ステップS205では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、ステップS204によって得られたピーク値データに基づいてピーク位置の時間と振幅レベル(極性)の関係をテーブル(サンプルテーブル)として作成し、ステップS206に進む。図8に、サンプルテーブルの一例を示す。なお、図8では、便宜上、N文字目の磁気データのピーク位置は、4つ検出されたものとしているが、これに限定されない。
【0058】
ステップS206では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、MICR辞書テーブル記憶部12に記憶されたMICR辞書テーブルのデータと、ステップS205にて作成されたサンプルテーブルのデータとを比較する。
【0059】
図9に、MICR辞書テーブルの一例を示す。このMICR辞書テーブルには、文字毎にピーク位置の時間、振幅レベル、極性を示すデータが格納されている。なお、図9は、1つの文字の辞書テーブルを示すが、全てのMICR文字(14種類)に関して辞書テーブルが作成されている。
【0060】
ステップS206でのMICR辞書テーブルのデータとサンプルテーブルのデータとの比較処理は、サンプルテーブルの文字のピークとすべてのMICR辞書テーブルとの二次元上の距離を各々算出することで行われる。
【0061】
図10は、MICR辞書テーブルの波形データとサンプルテーブルの波形データとを重ねて表示した図である。図10において、縦軸は振幅、横軸は時間であり、実線にて表された波形がサンプルテーブルの波形データ、点線にて表された波形がMICR辞書テーブルの波形データである。
【0062】
ここで、図8に示すサンプルテーブルと図9に示すMICR辞書テーブルとの比較処理について説明する。なお。図8および図9のテーブルに含まれている極性は、本実施形態では、使用されない。
【0063】
MICR処理部13は、サンプルテーブルの1つ目の項(St_0、Sl_0)に対して、MICR辞書テーブルにある4つの項の二次元上の距離L0〜L3を算出する。
【0064】
図10に示すように、距離L0は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の最初のピークD_peak0までの距離である。距離L1は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の2番目のピークD_peak1までの距離である。距離L2は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の3番目のピークD_peak2までの距離である。距離L3は、サンプルテーブル波形の最初のピークS_peak0からMICR辞書テーブル波形の4番目のピークD_peak3までの距離である。
【0065】
これらの距離L0〜L3は、次式で算出される。
L0={A×(St_0−Dt_0)2+B×(Sl_0−Dl_0)21/2
L1={A×(St_0−Dt_1)2+B×(Sl_0−Dl_1)21/2
L2={A×(St_0−Dt_2)2+B×(Sl_0−Dl_2)21/2
L3={A×(St_0−Dt_3)2+B×(Sl_0−Dl_3)21/2
(A、Bは所定の定数)
なお、上式で距離を求める際に、波形データの縦横比が極端に縦長や横長にならないように適宜波形データを調整しておくことが好適である。
【0066】
次に、MICR処理部13は、算出した距離に基づいて、サンプルテーブルの1つ目の項は、MICR辞書テーブルにある4つの項の中でどれに最も近いかを総当りで判定し、最も近いピークの距離を記憶する。最も近いと判定した辞書テーブルの中の項は、以降省かれ、サンプルテーブルの2つ目の項(St_1、Sl_1)、3つ目の項(St_2、Sl_2)…に対して、同様にMICR辞書テーブルの項の二次元上の距離を演算する。そして、それぞれ最も近いピークの距離を総当りで4つ目の項(St_3、Sl_3)まで判定し、それぞれ最も近いと判定した距離を加算して、その総和値を記憶する。同様にして、図8のサンプルテーブルに対してMICR辞書テーブルの次の文字、その次の文字というように最も近いと判定した距離の総和を算出する。
【0067】
ステップS207では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、ステップS206にて算出された距離の総和から認識結果文字の決定を行い、ステップS208に進む。ここでは、認識結果文字として、ステップS206にて算出した距離の総和が最小となる文字を磁気的類似度が大きい文字として選択する。
【0068】
ステップS208では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、文字数カウントNが切り出されたすべての文字数未満が否かを判断し、Nが文字数未満の場合は、ステップS209に進み、Nが文字数以上の場合は、図2のステップS104に進む。
【0069】
ステップS209では、主制御部31は、MICR処理部13を制御して、Nを1カウントし(N=N+1)、ステップS203に戻る。
【0070】
例えば、図3の読み取り画像に対して上記の磁気文字認識処理を施した結果は、図11に示すようになる。図11に示す磁気文字認識結果は、認識結果文字と距離の総和とで構成される。図3に示すように、磁気インク文字が磁気ヘッド1000に対して傾いた状態で搬送された結果、図11では、1文字目の「2」を「5」と誤認識しているのが判る。
【0071】
次に、図12を参照して、図2のステップS104における文字の傾き角算出処理について説明する。
【0072】
ステップS401では、主制御部31は、OCR処理部22を制御して、ステップS102で画像データ処理部21から出力された磁気インク文字の画像データに対して、OCR辞書テーブルを参照して光学文字認識処理を行い、ステップS402に進む。
【0073】
OCR辞書テーブル記憶部23に記憶されたOCR辞書テーブルについても、MICR辞書テーブル12と同様に、E13Bフォント文字全文字分、すなわち14文字分の辞書データを有する。OCR辞書テーブルが有する辞書データは、各文字の画像データのテンプレートとなっており、以下、OCR辞書テーブルが有する各文字の辞書データをテンプレートと呼ぶ。
【0074】
図13(a)は、テンプレートの一例を示す図であり、図13(b)は、文字「1」のテンプレートの拡大図である。図13(a)において、文字の高さ方向をx方向とし、x方向と直交する方向をy方向とする。
【0075】
ステップS401の処理では、ステップS102で画像データ処理部21から出力された磁気インク文字の画像データに対して、このテンプレートを参照して光学文字認識処理を行う。
【0076】
具体的には、取得した画像データの左上の座標を起点とし、OCR辞書テーブルのテンプレートの幅、高さ分の画像を、OCR辞書テーブルのすべてのテンプレートと比較し、画素の不一致率をカウントする。
【0077】
テンプレートとOCR辞書テーブルとの比較は、その後、縦方向、横方向に1ピクセルずつずらして繰り返し行われ、画像データのすべての画素に対して行われる。そして、不一致率のカウントが所定の数Aよりも小さいテンプレートが存在した場合に、その位置を文字と認め、認識結果を出力する。
【0078】
例えば、図3に示す読み取り画像に対して上記の光学文字認識処理を行った結果は、図14に示すようになる。
【0079】
図14(a)の矩形Rで囲まれた範囲が、実際に文字として認識された範囲である。また、図14(b)は、OCR処理部22が最終的に出力した認識結果である。図14(b)に示すように、認識結果は、認識結果文字、不一致率、左上座標、右下座標で構成され、ここで取得した認識結果は、メモリ34に保存される。
【0080】
ステップS402では、主制御部31は、ステップS401で算出した認識結果に基づいて磁気インク文字の傾き角を算出する。
【0081】
一般に、磁気インク文字列は、原稿の水平方向に同じ高さで並んでいるため、磁気インク文字の傾き角をBとすると、Bは、例えば、1文字目の左上の座標情報と2文字目の左上の座標情報とを用いて次式で算出することができる。
【0082】
磁気インク文字の傾き角B(絶対値)=|(1文字目のy座標−2文字目のy座標)÷(1文字目のx座標−2文字目のx座標)|
そして、主制御部31は、上式で算出された磁気インク文字の傾き角Bをメモリ34に書き込み、図2のステップS105へ進む。
【0083】
次に、図15を参照して、図2のステップS105における認識結果変更処理について説明する。なお、図15において、Nは、文字数カウントである。Bは、ステップS104で算出した磁気インク文字の傾き角である。Cは、磁気インク文字の傾き角が所定の傾き角未満か否かを判断するために使用される閾値である。D,Eは、磁気インク文字の認識結果が信頼できるか否かを判断するために使用される閾値である。Sxは、N文字目の磁気インク文字の認識結果における距離の総和である。StrLengthは、認識結果文字数である。
【0084】
ステップS501では、主制御部31は、文字数カウントNを0にリセットし、ステップS502に進む。
【0085】
ステップS502では、主制御部31は、N文字目の磁気文字認識結果を取得し、ステップS503に進む。
【0086】
ステップS503では、主制御部31は、磁気インク文字の傾き角Bが閾値C未満か否かを判断し、磁気インク文字の傾き角Bが閾値C未満である場合は、ステップS504に進み、磁気インク文字の傾き角Bが閾値C以上である場合は、ステップS506に進む。
【0087】
ステップS504では、主制御部31は、距離の総和Sxが閾値Dを超えているか否かを判断する。そして、主制御部31は、距離の総和Sxが閾値Dを超えている場合は、磁気インク文字認識結果が信頼できないものとしてステップS505に進む。一方、距離の総和Sxが閾値Dを超えていない場合は、磁気インク文字認識結果が信頼できるものとしてステップS507に進む。
【0088】
ステップS506では、主制御部31は、距離の総和Sxが閾値Eを超えているか否かを判断する。そして、主制御部31は、距離の総和Sxが閾値Eを超えている場合は、磁気インク文字認識結果が信頼できないものとしてステップS505に進む。一方、距離の総和Sxが閾値Eを超えていない場合は、磁気インク文字認識結果が信頼できるものとしてステップS507に進む。ここで、閾値Eは、閾値Dに対して小さい値に設定しておくことが望ましい。上述したように、傾いている文字に対する磁気文字認識は、傾いていない文字に対する磁気文字認識に比べて信頼性が劣るからである。
【0089】
ステップS505では、主制御部31は、磁気インク文字認識結果を未読に差し替える変更を行い、ステップS507に進む。
【0090】
ステップS507では、主制御部31は、文字数カウントNが認識結果文字数StrLengthに達したか否かを判断する。そして、主制御部31は、文字数カウントNが認識結果文字数StrLengthに達した場合は、外部インターフェイス32を介して磁気インク文字の認識結果をホスト装置40に送信し、処理を終了する。例えば、図3に示す磁気インク文字は、1文字目の傾いた「2」の認識結果がステップS505で未読に差し替えられ、図16に示す認識結果として送信される。一方、主制御部31は、文字数カウントNが認識結果文字数StrLengthに達していない場合は、ステップS508に進む。
【0091】
ステップS508では、 主制御部31は、文字数カウントNを1カウントし(N=N+1)て、ステップS502に戻り、処理を繰り返す。
【0092】
以上説明したように、本実施形態では、光学文字認識処理にて算出した文字の傾き角が閾値を超えているか否かを判断し、閾値を超えている場合は、磁気インク文字の認識結果が信頼できないものとして、該認識結果を未読に差し替えている。これにより、磁気インク文字が傾いた状態で磁気ヘッド1000を通過した場合における磁気インク文字の誤認識を防止することができる。
【0093】
なお、本実施形態では、磁気インク文字認識結果のすべての文字に対して、閾値Dあるいは閾値Eにより認識結果の変更の要否を判断しているが、例えば、認識する文字毎に異なる閾値を用いてもよい。
【0094】
例えば、E13Bフォント「2」および「5」については、それぞれの波形が非常に似ているため、磁気インク文字が傾くことによる誤認識の可能性があり、磁気インク文字が傾いている場合の認識結果判断の閾値は、厳しい値(小さい値)に設定する必要がある。しかし、磁気インク文字が傾くことによる誤認識の可能性が小さい文字については、認識結果の変更を判断するための閾値は、緩めの値(大きい値)に設定し、文字毎にどの閾値を用いるかを切り替える構成にすることも可能である。
【0095】
また、本実施形態では、傾き角の算出に光学文字認識処理にて認識した各文字の位置を使用したが、これに限定されず、例えば、画像データに含まれる原稿の端部の情報から画像の傾き角度を算出してもよい。
【0096】
(第2の実施形態)
次に、図17〜図19を参照して、本発明の第2の実施形態である画像読取装置について説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、図及び符号等を流用して説明する。
【0097】
本実施形態は、上記第1の実施形態に対して、図2のステップS105における認識結果変更処理が相違する。
【0098】
図17は、図2のステップS105における認識結果変更処理について説明するためのフローチャート図である。図17において、Nは、文字数カウントである。Bは、図2のステップS104で算出した磁気インク文字の傾き角である。Cは、磁気インク文字の傾き角が所定の傾き角未満か否かを判断するために使用される閾値である。D,E,F,Gは、磁気インク文字の認識結果が信頼できるか否かを判断するために使用される閾値(判断基準値)である。D, E, F, Gの関係は、D<F、E<Gであり、本実施形態では、D>Eとする。Sxは、N文字目の磁気インク文字の認識結果における距離の総和である。StrLengthは、認識結果文字数である。
【0099】
ステップS601では、主制御部31は、文字数カウントNを0にリセットし、ステップS602に進む。
【0100】
ステップS602では、主制御部31は、N文字目の磁気文字認識結果を取得し、ステップS603に進む。
【0101】
ステップS603では、主制御部31は、磁気インク文字の傾き角Bが閾値C未満か否かを判断し、傾き角Bが閾値C未満の場合は、ステップS604に進み、そうでない場合は、ステップS605に進む。
【0102】
ステップS604では、主制御部31は、第1閾値としてD、第1閾値としてFをそれぞれ選択し、ステップS606に進む。
【0103】
ステップS605では、主制御部31は、第1閾値としてE、第2閾値としてGをそれぞれ選択し、ステップS606に進む。
【0104】
ステップS606では、主制御部31は、距離の総和Sxが第1閾値を超えているか否かを判断する。そして、主制御部31は、距離の総和Sxが第1閾値を超えている場合は、磁気インク文字の認識結果が信頼できないものとして、ステップS607に進む。一方、主制御部31は、距離の総和Sxが第1閾値を超えていない場合は、磁気インク文字の認識結果が信頼できるものとして、ステップS610に進む。
【0105】
ステップS607では、主制御部31は、距離の総和Sxが第2閾値未満か否かを判断する。そして、主制御部31は、距離の総和Sxが第2閾値未満の場合は、ステップS608に進み、距離の総和Sxが第2閾値以上の場合は、磁気インク文字の認識結果が信頼できないものとして、ステップS609に進む。
【0106】
ステップS608では、主制御部31は、光学文字認識結果に基づく再判定処理を行い、ステップS610に進む。なお、ステップS608の具体的な処理については、後述する。
【0107】
ステップS609では、主制御部31は、磁気インク文字の認識結果を未読に差し替える変更を行い、ステップS610に進む。
【0108】
ステップS610では、主制御部31は、文字数カウントNが認識結果文字数StrLengthに達したか否かを判断する。そして、主制御部31は、文字数カウントNが認識結果文字数StrLengthに達した場合は、外部インターフェイス32を介して磁気インク文字の認識結果をホスト装置40に送信し、処理を終了する。一方、主制御部31は、文字数カウントNが認識結果文字数StrLengthに達していない場合は、ステップS611に進む。
【0109】
ステップS611では、 主制御部31は、文字数カウントNを1カウントし(N=N+1)て、ステップS602に戻り、処理を繰り返す。
【0110】
次に、図18を参照して、図17のステップS608における光学文字認識結果に基づく再判定処理について説明する。図18において、Oxは、N文字目の光学文字認識結果における不一致率である。Hは、所定の閾値である。
【0111】
ステップS701では、主制御部31は、不一致率Oxが閾値H未満か否かを判断し、不一致率Oxが閾値H未満の場合は、ステップS703に進み、不一致率Oxが閾値H以上の場合は、ステップS702に進む。
【0112】
ステップS702では、主制御部31は、磁気文字認識結果も光学文字認識結果も信頼できないものとし、磁気インク文字の磁気文字認識結果を未読に差し替え、図17のステップS610に進む。
【0113】
ステップS703では、主制御部31は、不一致率も小さく、光学文字認識結果が信頼できるとして、磁気インク文字の磁気文字認識結果を光学文字認識結果に差し替え、図17のステップS610に進む。この場合、ホスト装置40に送信される磁気インク文字の認識結果は、例えば、図3に示す磁気インク文字は、1文字目の傾いた「2」の認識結果が光学文字認識結果に差し替えられ、図19に示す認識結果として送信される。
【0114】
以上説明したように、本実施形態では、磁気インク文字の磁気文字認識結果が信頼できなかった場合に、光学文字認識処理での認識結果を最終的な認識結果とすることができ、磁気インク文字の認識率の向上が図れる。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0115】
なお、本発明は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0116】
例えば、上記各実施形態では、磁気インク文字列の傾き角に対して単一の閾値を用いて比較判断を行っている。したがって、比較判断の結果も「傾いている」か「傾いていない」の2通りの結果となるが、比較判断の方法は、これに限らない。
【0117】
例えば、磁気インク文字の傾き度合に応じた複数の閾値を設け、磁気インク文字の傾きがどの閾値の間に入ったかによって、後段の判定を切り替えるような構成にしてもよい。このように構成することにより、磁気インク文字の読み取りにおける誤認識率の更なる低下が期待できる。
【0118】
また、本発明の磁気文字認識や光学文字認識の処理の一部又は全てをホスト装置等の外部装置で行ってもよい。この場合、画像読取装置とホスト装置等の外部装置とを含むシステムが本発明の画像読取装置に相当する。
【0119】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0120】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0121】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0122】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0123】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0124】
1A 画像読取装置
3 搬送路
10 MICR装置
11 磁気データ処理部
12 MICR辞書テーブル記憶部
13 MICR処理部
20 OCR装置
21 画像データ処理部
22 OCR処理部
23 OCR辞書テーブル記憶部
31 主制御部
32 外部インターフェイス
33 アドレスバス
34 メモリ
40 ホスト装置
1000 磁気ヘッド
2000 読取センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に印刷された磁気インク文字を磁気データとして読み取る磁気読取手段と、
該磁気読取手段により読み取られた磁気データとMICR辞書情報とを比較することで得られる磁気的類似度に基づいて、前記磁気インク文字を認識する磁気文字認識手段と、
原稿の画像を画像データとして光学的に読み取る読取手段と、
該読取手段により読み取られた画像データに基づいて、画像の傾き角を算出する算出手段と、
前記磁気文字認識手段による前記磁気インク文字の認識結果と前記算出手段により算出された前記画像の傾き角とに基づいて、前記磁気インク文字の認識結果を変更する変更手段と、を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記画像データの文字の座標情報から前記画像の傾き角を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記画像データに含まれる原稿の端部の情報から前記画像の傾き角を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記磁気的類似度の大きさに基づいて、前記磁気文字認識手段による認識結果を未読に差し替えるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記画像の傾き角が閾値未満の場合と閾値以上の場合とで、前記磁気文字認識手段による認識結果を未読に差し替えるか否かを判断するための前記磁気的類似度に対する判断基準値を変更する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記判断基準値は、第1閾値と、該第1閾値より小さい値の第2閾値とを備え、
前記変更手段は、前記第1閾値及び前記第2閾値に基づいて、前記磁気文字認識手段による認識結果を未読に差し替えないと判断した場合に、
前記読取手段により読み取られた画像データとOCR辞書情報との比較により得られる不一致率の大きさに基づいて、前記磁気文字認識手段による認識結果を未読に差し替えるか、前記磁気文字認識手段による認識結果を前記画像データのOCR処理による認識結果に差し替えるかを判断する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
原稿に印刷された磁気インク文字を磁気データとして読み取る磁気読取ステップと、
該磁気読取ステップで読み取られた磁気データとMICR辞書情報とを比較することで得られる磁気的類似度に基づいて、前記磁気インク文字を認識する磁気文字認識ステップと、
原稿の画像を画像データとして光学的に読み取る読取ステップと、
該読取ステップで取られた画像データに基づいて、画像の傾き角を算出する算出ステップと、
前記磁気文字認識ステップでの前記磁気インク文字の認識結果と前記算出ステップで算出された前記画像の傾き角とに基づいて、前記磁気インク文字の認識結果を変更する変更ステップと、を備える
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項8】
原稿に印刷された磁気インク文字を磁気データとして読み取る磁気読取ステップと、
該磁気読取ステップで読み取られた磁気データとMICR辞書情報とを比較することで得られる磁気的類似度に基づいて、前記磁気インク文字を認識する磁気文字認識ステップと、
原稿の画像を画像データとして光学的に読み取る読取ステップと、
該読取ステップで取られた画像データに基づいて、画像の傾き角を算出する算出ステップと、
前記磁気文字認識ステップでの前記磁気インク文字の認識結果と前記算出ステップで算出された前記画像の傾き角とに基づいて、前記磁気インク文字の認識結果を変更する変更ステップと、をコンピュータに実行させる、
ことを特徴とする画像読取装置の制御プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の制御プログラムを格納した、
ことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−186231(P2010−186231A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28508(P2009−28508)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】