説明

画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラム

【課題】画像読取装置のエラー解除の操作を行った際に、利用者が誤って搬送パスを変更してしまった場合でも、利用者が容易に確認できるようにすること。
【解決手段】画像読取装置100のCPU401は、画像読取装置100のエラー発生時の搬送路の選択状態を記憶しておき(S1003)、エラー解除の操作が行われた際の搬送路の選択状態と、前記記憶しておいた搬送路の選択状態とを比較し、これらが異なる場合(S1006でYesの場合)、エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す記号を、表示パネル104の7セグメントLED301に一定時間点滅表示することより利用者に通知する(S1007)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を読み取る画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートフィード型の画像読取装置には、原稿束を本体前面の給紙トレイにセットすると、その原稿を1枚ずつ分離して画像データを読み取り、本体の給紙口と同じ側面に設けられた排紙トレイへ原稿を排出するものがある。
【0003】
このような画像読取装置は、本体内部で原稿搬送路がU字型に湾曲している。このようにU字型に湾曲した搬送路を一般的にUターンパスと呼ぶ。特に小型の画像読取装置でこのUターンパスを実現しようとすると、搬送路の湾曲部分の曲率半径を小さくする必要がある。
【0004】
このUターンパスを備えた小型の画像読取装置で、プラスチック製の磁気カード等、容易に曲げ変形しない原稿を搬送しようとすると、搬送路の湾曲部分に沿って原稿をたわませることができず、周囲の機械部品と原稿が干渉して搬送ができない、あるいは干渉中に過大な搬送動力が加わることによって原稿が破損してしまう、といった問題が起こる可能性が高い。
【0005】
この問題の対策として、Uターンパスを備えた画像読取装置の中には、Uターンパスの湾曲部分よりも給紙トレイ側の搬送路にフラッパ等の搬送路選択手段を備えるものがある。例えば、フラッパの向きを変更することによって、原稿がUターンパスの湾曲部分へ侵入する以前に、直線的に構成された別の搬送路へ導くことが可能である。このような直線的に構成された搬送路を一般的にストレートパスと呼ぶ。
【0006】
ストレートパスへ進入した原稿は、給紙トレイとは反対の面に設けた、通常とは別の排紙口へ排出される。利用者は、原稿の種類に応じて搬送路選択手段の向きを操作し、容易に曲げ変形しない原稿を読み取る場合にはストレートパスで、それ以外の原稿を読み取る場合にはUターンパスで搬送されるように設定してから、画像読み取り動作を開始する必要がある。
【0007】
一方、画像読取装置本体に表示器や操作ボタンを備え、それらを操作することでスキャン設定を選択し、画像読み取りを開始できる画像読取装置がある。しかし、近年、装置の低価格化、小型化の影響により操作ボタンの数や表示器の大きさが制限されることが多くなってきている。
【0008】
このような簡易的な表示器を備えた画像読取装置において、エラー状態やスキャン設定の状態を表すために、必要に応じて表示器を点滅させるなどして状態を通知するものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009―290714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の複数の搬送路を選択可能な画像読取装置では、例えばジャム復帰処理を行う最中に、不意にフラッパ等の搬送路選択手段を操作してしまい、次の画像読み取り開始時に利用者の意と反するところへ原稿が搬送されてしまうことがあった。特に、フラッパ等の搬送路選択手段が利用者から目視しづらいところにある場合は、利用者も搬送路選択手段を操作してしまったことに気づき辛く、このような事態が発生しやすい。
【0011】
このような事態の発生を防ぐ為、現在選択されている搬送路を常に表示し利用者に通知することも考えられるが、従来の簡易的な表示器しか備えていな画像読取装置では、同時に複数の通知すべき事象が発生したときに、それらの情報を利用者へ的確に通知することができなかった。上述のようにジャム復帰処理を行う最中に搬送路の選択状態が変更されしまった場合では、エラー発生やその解除、搬送路の選択状態といった複数の事象が絡むため、これらの情報の全てを利用者に的確に通知することができず、結果として、画像読み取り再開時に利用者の意と反するところへ原稿が搬送されてしまうといった事態の発生を防止できなかった。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、簡易的な通知手段しか備えていない画像読取装置であっても、利用者による画像読取装置のエラー解除操作の前後で、原稿の搬送パスが変更されたことを、利用者が容易に確認できるようになり、利用者の意と反する搬送パスへ原稿が排紙されることを防止できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、画像読取装置であって、原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される原稿から画像を読み取る画像読取手段と、前記搬送手段が原稿を搬送する搬送路を複数の搬送路から選択する選択手段と、前記選択手段によって選択されている搬送路を検知する搬送路検知手段と、前記画像読取装置のエラー状態及び前記画像読取装置に対する利用者のエラー解除操作を認識するエラー認識手段と、前記エラー認識手段が認識した前記画像読取装置のエラー状態を利用者に通知する通知手段と、前記エラー認識手段によりエラー状態が認識された場合に前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態を記憶する記憶手段と、前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識された場合に前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態と、前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合に、エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを前記通知手段により利用者に通知するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易的な通知手段しか備えていない画像読取装置であっても、利用者による画像読取装置のエラー解除操作の前後で、原稿の搬送パスが変更されたことを、利用者が容易に確認できるようになり、利用者の意と反する搬送パスへ原稿が排紙されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示す画像読取装置の前面の外観を示す斜視図である。
【図2】画像読取装置100の背面の外観を示す斜視図である。
【図3】画像読取装置100の概略断面図である。
【図4】フラッパ213の動作の一例を示す図である。
【図5】画像読取装置100の内部構成を示すブロック図である。
【図6】ホストコンピュータ450にインストールされたキャプチャーアプリケーション画面の一例を示す図である。
【図7】表示パネル104の構成の一例を示す図である。
【図8】画像読取装置100における7セグメントLED301への表示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す画像読取装置の前面の外観を示す斜視図である。
図1において、100は本実施例の画像読取装置である。画像読取装置100は、複数枚の原稿105を載置可能な原稿台102と、第一の搬送路であるUターンパスを通って排紙された原稿105が載置される排紙トレイ103と、原稿105の載置位置を規制する原稿規制板101とを備えている。
【0017】
また、画像読取装置100は、表示パネル104を備えている(図7参照)。表示パネル104は、利用者(ユーザ)への通知手段の一例として7セグメントLEDを備え、画像読取装置100の各種状態を表示する。また、表示パネル104は、ハードキー(ボタン)を備え、利用者による画像読取装置100への操作入力を受け付ける。
【0018】
図2は、画像読取装置100の背面の外観を示す斜視図である。
図2に示すように、画像読取装置100の背面には、第二の搬送路であるストレートパスを通って排紙された原稿105が排紙されるストレート排紙口を覆うストレート排紙口カバー106が存在する。
【0019】
図3は、画像読取装置100の概略断面図である。
図3に示すように、画像読取装置100は、搬送部として、原稿105を本体内へ取り込むピックローラ201と、給紙ローラ202に追従して回転すると共に、原稿105が重送された時に逆回転して分離する分離ローラ203と、原稿105を画像読取センサ200の読取面近傍へ搬送するレジストローラ204を備える。
【0020】
また、画像読取装置100は、レジストローラ204に追従して回転するレジスト従動ローラ208と、搬送路上の原稿105の有無を検知する給紙センサ220と、原稿105の通過有無を検知するレジストセンサ212を備える。
【0021】
また、画像読取装置100は、原稿105の画像を読み取る画像読取センサ200と、第一搬送ローラ205、第二搬送ローラ206、排紙ローラ207、及び、それらのローラに追従して回転する第一従動ローラ209、第二従動ローラ210、排紙従動ローラ211とを備える。
【0022】
また、画像読取装置100は、給紙ローラ202及びレジストローラ204、第一搬送ローラ205、第二搬送ローラ206、排紙ローラ207を駆動させるメインモータ280を備える。
【0023】
画像読取装置100は、搬送路の上部が開閉可能になっている。上部ユニット230は開閉軸231を中心に回転可能に配置されており、原稿105が装置の内部で詰まった場合には、上部ユニット230を上方に回転させて開き、原稿105を取り出すことができる。
【0024】
また、画像読取装置100は、Uターン形状の搬送パス(Uターンパス)とストレート形状の搬送パス(ストレートパス)を備え、搬送路選択手段としてのフラッパ213を動作させることにより、それぞれの搬送パスの切り替えが可能である。なお、Uターンパスを搬送された原稿は、Uターン排紙口214から排紙される。また、ストレートパスを搬送された原稿は、ストレート排紙口215から排紙される。
【0025】
図4は、フラッパ213の動作の一例を示す図である。
図4(a)は、Uターンパスが選択された状態を示す。図4(a)に示す状態では、フラッパ213が下方に回転した状態であり、第一搬送ローラ205及び第一従動ローラ209に挟支された原稿105が、フラッパ213に接触しながら搬送方向を上部へと変え、Uターン排紙口214へと導かれる。
【0026】
図4(b)は、ストレートパスが選択された状態を示す。図4(b)に示す状態では、フラッパ213が上方に回転した状態であり、第一搬送ローラ205及び第一従動ローラ209に挟支された原稿105は、ストレート排紙口215へと導かれる。
【0027】
本実施例の画像読取装置100は、図4(a)及び図4(b)に示したように、回動可能なフラッパ213と、ストレート排紙口カバー106が機械的にリンクしており、ストレート排紙口カバー106を開閉すると、フラッパ213も連動して回転動作し、Uターンパス、ストレートパスが切り替わる。
【0028】
例えば、利用者が、図4(a)の下段のようにストレート排紙口カバー106を閉じた状態から、図4(b)の下段のようにストレート排紙口カバー106を開けると、この動作にフラッパ213が連動して回転動作し、図4(b)の上段に示す状態となり、Uターンパスからストレートパスに切り替わる。
【0029】
また、利用者が、図4(b)の下段のようにストレート排紙口カバー106を開けた状態から、図4(a)の下段のようにストレート排紙口カバー106を閉じると、この動作にフラッパ213が連動して回転動作し、図4(a)の上段に示す状態となり、ストレートパスからUターンパスに切り替わる。
【0030】
なお、画像読取装置100は、現在どちらの搬送パスが選択されているかの状態を取得する手段として、一般的な接触検知センサによって構成される搬送路センサ221を備える。搬送路センサ221は、フラッパ213の状態を検知する。
【0031】
本実施例では、フラッパ213はストレート排紙口カバー106に連動して動作するとしたが、画像読取装置100は、フラッパ213を切り替えるための切り替えレバーや、モータ等を備えていても良い。
【0032】
図5は、画像読取装置100の内部構成を示すブロック図である。
図5に示すように、画像読取装置100は、原稿105の画像を読み取る画像読取センサ200を備える。また、画像読取装置100は、画像読取センサ200で読み取った画像データに対して色調補正等の所定の画像処理を行う画像処理部413と、画像処理された画像データを記憶する所定サイズの記憶部である画像メモリ414とを備える。
【0033】
また、画像読取装置100は、メインモータ駆動制御部411とセンサ制御部415を備える。メインモータ駆動制御部411は、原稿105を搬送するためにメインモータ280の駆動を制御する。センサ制御部415は、給紙センサ220、レジストセンサ212、搬送路センサ221、上部ユニット230の開閉の状態を検知するカバーセンサ420の状態を取得する。
【0034】
また、画像読取装置100は、CPU401を備える。CPU401は、フラッシュメモリ402にコンピュータ読み取り可能に書き込まれた各種制御プログラムを実行し、図5に示す各モジュールを統合的に制御して、画像読取装置100に原稿画像の読み取りを実行させる。
【0035】
さらに、画像読取装置100は、表示パネル制御部412と、搬送路検知部416と、搬送路記憶部417と、エラー認識部418とを備えている。表示パネル制御部412は、表示パネル104に搭載されている表示器及びボタンを制御する。搬送路検知部416は、搬送路検出手段の一例として、センサ制御部415を介して搬送路センサ221の状態を取得する。搬送路記憶部417は、搬送路記憶手段の一例として、搬送路検知部416が検知した搬送路の状態を一時的に記憶する。エラー認識部418は、エラー認識手段の一例として、センサ制御部415によって各種センサの状態を監視し、エラー状態を認識する。また、エラー認識部418は、後述する利用者によるエラークリア操作を認識する。
【0036】
また、画像読取装置100は、通信インタフェースを介してホストコンピュータ450(情報処理装置)に画像データを送信する通信制御部403を備える。この通信制御部403による通信インタフェースは、例えば、USB、SCSI、IEEE1394等を使用できる。
【0037】
ホストコンピュータ450は、通信インタフェースを介して画像読取装置100と通信可能に接続されるものである。ホストコンピュータ450には、画像読取装置100を制御するためのドライバや画像キャプチャーアプリケーション等のプログラムがインストールされており、これらにより画像読取装置100に画像を読み取らせることが可能となっている。また、ホストコンピュータ450は、マウス/キーボード452及びディスプレイ451に接続されている。なお、ホストコンピュータ450は、ディスプレイ451及びマウス/キーボード452と一体型でもよい。また、ホストコンピュータ450は、ディスプレイ451及びマウス/キーボード452の代わりに、タッチパネル式ディスプレイを備えたものでもよい。
【0038】
ここで、ホストコンピュータ450にインストールされたキャプチャーアプリケーション画面について説明する。
【0039】
図6は、ホストコンピュータ450にインストールされたキャプチャーアプリケーション画面の一例を示す図である。
【0040】
キャプチャーアプリケーション画面600は、ホストコンピュータ450のCPU(不図示)が、ホストコンピュータ450にインストールされたキャプチャーアプリケーションを実行することにより、ディスプレイ451に表示される画面である。
【0041】
本実施例のキャプチャーアプリケーションでは、「1」から「9」までの番号に対して、利用者が任意の画像読み取り設定を登録可能である。この番号をジョブ番号と呼ぶ。それぞれのジョブ番号には、ジョブ名称601とスキャン設定ボタン602が対応付けられている。利用者は、このスキャン設定ボタン602をマウス等で押下指示することで、不図示のスキャン設定画面がディスプレイ451に表示され、このスキャン設定画面から、それぞれのジョブ番号に対応する名称と、読み取りカラーモード、読み取り解像度、画像データの転送先等の画像読み取り設定が登録可能となる。
【0042】
例えば、ジョブ番号「1」には、スキャンした画像データをホストコンピュータ450内部の指定のフォルダへ保存する動作(Scan TO Folder)、ジョブ番号「2」にはスキャンした画像データを電子メールに添付して指定したアドレスへ送信する動作(Scan TO Mail)、のように最大9つまで登録可能である。
【0043】
次に、画像読取装置100の表示パネル104について説明する。
図7は、表示パネル104の構成の一例を示す図である。
図7に示すように、表示パネル104は、7セグメントLED301と、選択ボタン302と、ストップボタン303と、スタートボタン304を備える。7セグメントLED301は、7セグメントのLEDで構成され、所定の複数の記号(数字、文字、記号、符号等)からいずれかを選択的に表示することにより、画像読取装置100の各種情報を表示する。例えば、7セグメントLED301は、画像読取装置100で選択されているジョブ番号の表示や、画像読取装置100のエラー状態等の表示を行う。
【0044】
選択ボタン302は、ジョブ番号選択のためのものである。スタートボタン304は、画像読取装置100に原稿105の画像読み取りを開始させるためのものである。ストップボタン303は、画像読取装置100に画像読み取りを停止させるためのものである。
【0045】
以下、図8を参照して、7セグメントLED301の表示処理について説明する。
図8は、画像読取装置100における7セグメントLED301への表示処理の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示す処理は、画像読取装置100のCPU401がフラッシュメモリ402にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。
【0046】
画像読取装置100に電源が投入されると、画像読取装置100のCPU401は、S1001を実行する。S1001において、CPU401は、表示パネル104上の7セグメントLED301に、現在選択中のジョブ番号(即ち、現在選択中の読取設定)を表示させる。ジョブ番号の初期値は「1」であり、選択ボタン302が押下されるたびに、CPU401は、7セグメントLED301表示は、「2」,「3」,「4」,「5」,「6」,「7」,「8」,「9」とカウントアップするように制御する。なお、7セグメントLED301の表示が「9」の時に選択ボタン302が押下されると、CPU401は、次に「1」を表示し、再び選択ボタン302が押下されるたびに、ジョブ番号を「2」,「3」,「4」,「5」,「6」,「7」,「8」,「9」とカウントアップして表示するように制御する。
【0047】
S1001の処理を実行しているときに、利用者によりスタートボタン304が押下されると、CPU401は、スタートボタン304が押下されたことを表示パネル制御部412を介して検知する。そして、CPU401は、スタートボタン304の押下を検知したときに、7セグメントLED301に表示されているジョブ番号を、通信制御部403を通じて、ホストコンピュータ450に送信するように制御する。これにより、ホストコンピュータ450のCPU(不図示)により実行されるキャプチャーアプリケーションは、予めキャプチャーアプリケーションに登録しておいた、上記送信されてきたジョブ番号に対応する画像読み取り設定で、画像読み取り処理を行うように、画像読取装置100を制御する。
【0048】
次にS1002において、CPU401は、エラー認識部418がエラーを認識したか否かを判定する。そして、CPU401は、エラー認識部418がエラーを認識していないと判定した場合(S1002でNoの場合)、S1001に処理を戻し、ジョブ番号表示を継続する。
【0049】
一方、CPU401は、搬送路中でジャムが発生した場合や、画像読み取り中に原稿105の重送を検知した場合などのように、画像読取装置100の内部で利用者に通知すべき事象(エラー)が発生しているとエラー認識部418が検知したと判定した場合(S1002でYesの場合)、S1003に処理を進める。
【0050】
S1003では、CPU401は、搬送路検知部416にセンサ制御部415介して搬送路センサ221の状態を取得させ、この取得値を搬送路記憶部417に記憶するように制御する。なお、搬送路検知部416により取得した取得値から、CPU401は、現在、Uターンパスが選択されているか、或いはストレートパスが選択されているかを判定することができる。
【0051】
次にS1004において、CPU401は、7セグメントLED301にエラー表示を行う(エラー通知ステップ)。エラー表示の一例として、例えば、エラー認識部418が原稿ジャムの発生を検知した場合には「P」、原稿の重送を検知した場合には「d」など、検知されたエラー発生条件ごとに異なるアルファベットや記号等を、7セグメントLED301に点滅表示させる。
【0052】
次にS1005において、CPU401は、エラー認識部418が利用者によるエラークリア操作を認識したか否かを判定する(エラー解除操作認識ステップ)。エラークリア操作の一例として、例えば原稿ジャムエラーや原稿の重送エラーであれば、センサ制御部415を通じてカバーセンサ420の状態を取得し、利用者が上部ユニット230を開け、再び閉じる操作を行ったことを検知したとき、エラー認識部418はエラークリア操作が行われたと認識する。
【0053】
エラー認識部418が利用者によるエラークリア操作を認識していないと判定した場合(S1005でNoの場合)、CPU401は、S1004に処理を戻し、エラー表示を継続するように制御する。
【0054】
一方、エラー認識部418が利用者によるエラークリア操作を認識したと判定した場合(S1005でYesの場合)、CPU401は、S1006に処理を進める。
【0055】
S1006では、CPU401は、エラー表示中に利用者が搬送パスを変更した否かを判定する。CPU401は、現在の搬送パスの選択状態を、搬送路検知部416を介して取得し、この取得値と、上記S1003で搬送路記憶部417に記憶した値、すなわちエラー表示を行う前の搬送路検知部416の状態と比較する。該比較の結果、上記2つの値が等しい場合、即ち、エラー解除の操作の前後で搬送路の選択状態が変化していない場合、CPU401は、「搬送パスを変更していない」と判定する。一方、上記比較の結果、上記2つの値が等しくない場合、即ち、エラー解除の操作の前後で搬送路の選択状態が変化した場合、CPU401は、「搬送パスを変更した」と判定する。
【0056】
エラー表示中に利用者が搬送パスを変更していないと判定した場合(S1006でNoの場合)、CPU401は、S1001に処理を戻し、再び7セグメントLED301にジョブ番号の表示を行うように制御する。
【0057】
一方、エラー表示中に利用者が搬送パスを変更したと判定した場合(S1006でYesの場合)、CPU401は、S1007に処理を進める。
【0058】
S1007では、CPU401は、7セグメントLED301に、搬送路が変更されたことを示す情報を表示する(搬送路変更通知ステップ)。例えば、CPU401は、上記取得値の変化から、搬送路がUターンパスからストレートパスへと変更されたと判定した場合には、7セグメントLED301に、「−」を一定時間点滅表示させる。一方、CPU401は、上記取得値の変化から、搬送路がストレートパスからUターンパスへと変更されたと判定した場合には、7セグメントLED301に、「U」を一定時間点滅表示させるように制御する。そして、この搬送路が変更されたことを示す情報の表示を一定時間行った後に(上記S1007の表示から一定時間経過後)、CPU401は、S1001に処理を戻し、ジョブ番号表示を継続して行うように制御する。
【0059】
以上のように、エラー解除の操作の前後でフラッパ213の状態が変更された場合、エラー解除が行われたときに、そのことを利用者に通知することによって、例えばジャムエラーを解決する為に本体内部から原稿を取り出す時に、利用者が不意にストレート排紙口カバー106を開き又は閉じてしまい、搬送路選択手段としてのフラッパ213の状態が変化し、搬送パスが変更されてしまったとしても、上記表示パネル104による利用者への通知により、搬送パスが変更されたことを、利用者が容易に視認できるようになり、利用者の意と反する搬送パスへ原稿が排紙されることを防ぐことができる。
【0060】
なお、従来では、7セグメントLED301のような簡易的な表示器しか備えていない画像読取装置では、現在選択されている搬送路を表示させようとしても、同時に複数の通知すべき事象(例えばエラー発生や、搬送路の選択状態の変更)が発生したことを表示しなければならないため非常に困難であり、それらの情報を利用者へ的確に通知することができないことがあった。しかし、本実施例では、第1の事象(エラー発生)を表示して通知した後、第2の事象(搬送路の選択状態の変更)を一定時間表示して通知することにより、通知すべき複数の事象の情報を利用者へ的確に通知することができる。
【0061】
即ち、本実施例によれば、7セグメントLED301のような簡易的な表示器等の簡易的な通知器しか備えていない画像読取装置であっても、エラー解除の操作の前後で搬送パスが変更されたことを、利用者が容易に確認できるようになり、利用者の意と反する搬送パスへ原稿が排紙されることを防止できる。
【0062】
なお、本実施例では、利用者への通知手段としての表示パネル104の7セグメントLED301に、ジョブ番号等を表示させていたが、表示パネル104の7セグメントLED301を搬送路が変更されたことを示す専用の表示部としてもよい。
【0063】
また、本実施例では、利用者への通知手段として、7セグメントLEDを用いる構成としたが、利用者への通知手段は、これに限らず、単一のLEDでも良い。例えば、図8のS1007では単一のLEDを発光させるようにしてもよい。また、図8のS1001ではLEDを点灯して正常を通知し、図8のS1004ではLEDを第1のテンポ(第1の点滅パターン)で点滅してエラー状態を通知し、図8のS1007ではLEDを第2のテンポ(第2の点滅パターン)で点滅してエラー解除操作前後で搬送路が変更されたことを通知するようにしてもよい。また、発光色を変更可能であるなら、図8のS1001、S1004、S1007で、LEDの発光色を変更するようにしてもよい。即ち、上記LEDの発光状態を、エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す発光状態に変更する。
【0064】
また、利用者への通知手段は、キャラクタディスプレイや、タッチスクリーン付き液晶パネルでもよいし、ホストコンピュータ450のディスプレイ451でもよい。なお、ホストコンピュータ450のディスプレイ451のディスプレイに表示する場合、図8の処理自体を、ホストコンピュータ450のCPU(不図示)が実行するキャプチャーアプリケーションが行うように構成してもよい。
【0065】
また、表示パネル104のように視覚による通知手段に限らず、圧電ブザー等の音波により状態を利用者に通知するものや、画像読取装置100が振動することによって状態を利用者に通知する振動モータで構成してもよい。圧電ブザー等の音波による通知手段を用いる場合、図8のS1004とS1007とで音波の周波数やリズムを変更するようにしてもよい。即ち、上記ブザーの音波出力状態を、エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す発光状態に変更する。また、振動モータ等の音波通知手段を用いる場合、図8のS1004とS1007とで振動の状態を変更するようにしてもよい。即ち、上記振動モータの振動状態を、エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す発光状態に変更する。
【0066】
以上示したように、簡易的な通知器しか備えていない画像読取装置であっても、エラー解除の操作の前後で搬送パスが変更されたことを、利用者が容易に確認できるようになり、利用者の意と反する搬送パスへ原稿が排紙されることを防止できる。
【0067】
上述した各実施例では、図8の処理を画像読取装置の本体(スキャナ)側で行う例について説明したが、本発明は勿論これに限定されず、外部装置(ホストコンピュータ450)のキャプチャーアプリケーションにより行うことも可能である。即ち、上述した実施例の画像読取装置の一部の機能を外部装置に機能分散させてもよい。また、画像読取装置の本体と外部装置とで画像読取システムが構成されるが、本発明でいう画像読取装置とは、このような画像読取システムを含む広い概念としてもよい。即ち、本発明にかかる画像読取装置は、上述した実施例の画像読取装置の本体を対象としてもよいし、それ以外にも、画像読取装置の本体とこの画像読取装置の本体に接続されて当該画像読取装置の本体動作を制御する外部装置とで構成される画像読取システムを含めてもよい。
【0068】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0069】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0070】
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0071】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0072】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0073】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0074】
以上より、画像読取装置のエラー解除の操作を行った際に、利用者が誤って搬送パスを変更してしまった場合でも、利用者が容易に確認できるようになり、利用者の意と反する搬送パスへ原稿が排紙されることを防止することができる。
【符号の説明】
【0075】
100 画像読取装置
103 排紙トレイ
104 表示パネル
106 ストレート排紙口カバー
213 フラッパ
214 Uターン排紙口
215 ストレート排紙口
221 搬送路センサ
401 CPU
401 フラッシュメモリ
417 搬送路記憶部
418 エラー認識部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される原稿から画像を読み取る画像読取手段と、
前記搬送手段が原稿を搬送する搬送路を複数の搬送路から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されている搬送路を検知する搬送路検知手段と、
前記画像読取装置のエラー状態及び前記画像読取装置に対する利用者のエラー解除操作を認識するエラー認識手段と、
前記エラー認識手段が認識した前記画像読取装置のエラー状態を利用者に通知する通知手段と、
前記エラー認識手段によりエラー状態が認識された場合に前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態を記憶する記憶手段と、
前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識された場合に前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態と、前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合に、エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを前記通知手段により利用者に通知するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを、一定時間、前記通知手段により利用者に通知するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識されていない場合には前記画像読取装置の読取設定を前記通知手段により通知し、前記エラー認識手段が認識した場合には該認識されたエラー状態を前記通知手段により通知し、前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識され且つ前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態と前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合には前記エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを前記通知手段により通知し、一定時間経過後に再び前記読取設定を前記通知手段により通知するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記通知手段は、所定の複数の記号からいずれかを選択的に表示する表示手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記通知手段は、7セグメントLEDであることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識され且つ前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態と前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合には、前記通知手段に表示している記号を、前記エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す記号に変更する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記通知手段に表示している記号を、前記エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す記号に変更した場合、該記号を点滅表示する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記通知手段は、発光手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識され且つ前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態と前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合には、前記通知手段の発光状態を、前記エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す発光状態に変更する、ことを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記発光状態の変更は、発光色の変更である、ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記発光状態の変更は、点滅パターンの変更である、ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記通知手段は、音波出力手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識され且つ前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態と前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合には、前記通知手段の音波出力状態を、前記エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す音波出力状態に変更する、ことを特徴とする請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記通知手段は、振動手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記エラー認識手段によりエラー解除操作が認識され且つ前記搬送路検知手段によって検知された搬送路の選択状態と前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合には、前記通知手段の振動状態を、前記エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを示す振動状態に変更する、ことを特徴とする請求項14に記載の画像読取装置。
【請求項16】
原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される原稿から画像を読み取る画像読取手段と、前記搬送手段が原稿を搬送する搬送路を複数の搬送路から選択する選択手段と、前記選択手段によって選択されている搬送路を検知する搬送路検知手段とを有する画像読取装置の制御方法であって、
エラー認識手段が、前記画像読取装置のエラー状態を認識するエラー認識ステップと、
制御手段が、前記エラー認識手段が認識した前記画像読取装置のエラー状態を通知手段により利用者に通知するエラー通知ステップと、
記憶手段が、前記エラー認識ステップでエラー状態が認識された場合に前記搬送路検知手段によって検知される搬送路の選択状態を記憶する記憶ステップと、
エラー認識手段が、前記画像読取装置に対する利用者のエラー解除操作を認識するエラー解除操作認識ステップと、
制御手段が、前記エラー解除操作認識でエラー解除操作が認識された場合に前記搬送路検知手段によって検知される搬送路の選択状態と、前記記憶手段に記憶されている搬送路の選択状態とが異なる場合に、エラー解除操作の前後で搬送路の選択状態が変更されたことを前記通知手段により利用者に通知するように制御する搬送路変更通知ステップと、
を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータに、請求項16に記載された画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−31033(P2013−31033A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166234(P2011−166234)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】