説明

画像読取装置及び照明装置

【課題】 大きな電力損失がある多数の光源で原稿に高輝度の照明を与えても温度上昇を緩和した画像読取装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】 原稿搬送方向に直交し、主走査側に延在する金属板上に極性を同一にし、LEDチップの一方の電極端子を主走査側にアレイ状に配置して金属板に接続した複数の光源と、これらの光源と離間して金属板に設けられ、両側から少なくとも一つの光源を挟んでアレイ状に配置された複数の導電パターンを有する基板の導電パターンに光源の他方の電極端子を個別に電気接続し、LEDチップの閉回路とする電気接続手段と、主走査側に延在する板状導体、及び、この板状導体の複数箇所から突出した導体からなる金属リードであって、突出した導体のそれぞれが、個別に設置した電気接続手段の接続位置とは異なる位置の導電パターン上に載置され、導体パターンを介して光源の他方の電極端子が電気接続された金属リードとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機や金融端末装置などの画像読み取りや画像識別に用いる画像読取装置及び照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像情報を読み取る画像読取装置として、例えば、特開平9−190489号公報図1(特許文献1参照)には、レーザーダイオードを用いた光源20のみを支持する金属製基台51と、ミラー15など光源20以外の光学部品即ち読取光学系を支持するプリント回路基板1を搭載した情報読取装置が開示されている。
【0003】
また、特開2006−313321号公報図4(特許文献2参照)には、RGB発光素子23を直接金属基板28上に載置し、導光体11の長手方向両端部に固定した発光ユニット20から光を照射する照明装置10を搭載した画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−190489号公報(第1図)
【特許文献2】特開2006−313321号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のものは、金属製基台51とプリント回路基板1とを別体としたので光源20で生じる発熱が読取光学系に及ぼす熱的影響を軽減するもののレーザー光を読み取り方向に走査駆動する方式であるので、構造が複雑になるという課題があった。
【0006】
特許文献2に記載のものは、金属基板28に直接RGB発光素子23を載置するので発光素子23から生じる発熱を効果的に金属基板28に放熱することが可能であるが、発光素子23を導光体11の端部に取り付けるので、アレイ状に多数の発光素子を搭載することは困難であるため複写機など高速読み取り用の照明装置として使用するには照明不足となるという課題があった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、大きな電力損失を有する多数の光源を設置し、被照射体に高輝度の照明を与えても光源から発生するジュール熱による温度上昇を緩和した画像読取装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る画像読取装置は、原稿搬送方向に直交し、主走査側に延在する金属板と、この金属板上に極性を同一にし、LEDチップの一方の電極端子を主走査側にアレイ状に配置して前記金属板に接続した複数の光源と、これらの光源と離間して前記金属板に設けられ、両側から少なくとも一つの前記光源を挟んでアレイ状に配置された複数の導電パターンを有する基板と、この基板の前記導電パターンに前記光源の他方の電極端子を個別に電気接続し、前記LEDチップの閉回路とする電気接続手段と、原稿面で反射した前記光源からの光を受光する受光部と、主走査側に延在する板状導体、及び、この板状導体の複数箇所から突出した導体からなる金属リードであって、前記突出した導体のそれぞれが、個別に設置した前記電気接続手段の接続位置とは異なる位置の前記導電パターン上に載置され、前記導体パターンを介して前記光源の他方の電極端子が電気接続された金属リードとを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明に係る画像読取装置は、前記突出した導体以外の部分の前記金属リードが、被覆されたバスバーである請求項1に記載のものである。
【0010】
請求項3の発明に係る照明装置は、画像読取装置に用いられる照明装置であって、原稿搬送方向に直交し、主走査側に延在する金属板と、この金属板上に極性を同一にし、LEDチップの一方の電極端子を主走査側にアレイ状に配置して前記金属板に接続した複数の光源と、これらの光源と離間して前記金属板に設けられ、両側から少なくとも一つの前記光源を挟んでアレイ状に配置された複数の導電パターンを有する基板と、この基板の前記導電パターンに前記光源の他方の電極端子を個別に電気接続し、前記LEDチップの閉回路とする電気接続手段と、主走査側に延在する板状導体、及び、この板状導体の複数箇所から突出した導体からなる金属リードであって、前記突出した導体のそれぞれが、個別に設置した前記電気接続手段の接続位置とは異なる位置の前記導電パターン上に載置され、前記導体パターンを介して前記光源の他方の電極端子が電気接続された金属リードとを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の発明に係る照明装置は、前記突出した導体以外の部分の前記金属リードが、被覆されたバスバーである請求項3に記載のものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る画像読取装置によれば、金属板に多数の光源をアレイ状に配列し、光源周辺に光源電極を個別に接続する基板を設け、基板の接続パターンに金属リードを載置したので、光源で発生するジュール熱は金属板で速やかに放散され、基板上に伝導した熱も金属リードから放散される画像読取装置及び照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の断面構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の端部断面構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の側面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の光源ユニットの内部構造説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の光源ユニット部分拡大平面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の光源ユニット断面部分拡大側面図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の光源ユニット部分拡大断面図であり、図8(a)は図6のB−B断面の部分拡大図、図8(b)は図6のC−C断面の部分拡大図、図8(c)は図6のD−D断面の部分拡大図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置のブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の駆動タイミングである。
【図11】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の光源ユニットの部分拡大平面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の光源ユニットの断面部分拡大側面図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の断面構成図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の各光学波長領域における発光出力を説明する図である。
【図15】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の光源ユニットの温度上昇を説明する図である。
【図16】試供用光源ユニットの部分拡大平面図である。
【図17】試供用光源ユニットの部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1に係る画像読取装置ついて図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る画像読取装置の断面構成図である。図1において、1は文書やメディアなどの被照射体(原稿とも呼ぶ)、2は被照射体1を搬送支持する天板、3は光を伝搬させる導光体、3aは導光体3の光出射部(出射部)、4は光を通過させる透過体、5は被照射体1に対する光の照射部、6は照射部5からの散乱光を副走査方向に反射させる第1ミラー、7は第1ミラー6からの反射光を受光する凹型の第1レンズミラー(第1レンズ 第1非球面ミラーとも呼ぶ)、8は第1レンズ7からの平行光を受光するアパーチャミラー、9はアパーチャミラー8からの反射光を受光する凹型の第2レンズミラー(第2レンズ 第2非球面ミラーとも呼ぶ)、10は周囲が遮光され、アパーチャミラー8の表面に設けた開口部、11は第2レンズ9からの光を受光し、反射させる第2ミラーである。
【0015】
12は第2ミラー11からの反射光を受光し、光電変換する光電変換回路及びその駆動部からなるMOS半導体構成のセンサIC(受光部)、13はセンサIC12を載置するセンサ基板、14はセンサIC12で光電変換された信号を信号処理する信号処理IC(ASIC)、15はセンサ基板13に載置されたコンデンサ・抵抗器などの電子部品、16は導光体3を介して被照射体1の照射部5に光を照射する光源、17は光源近傍に設置した金属リードを被覆したミニバス(バスバー)、18は光源ユニットであり、光源16やミニバス17を含む照明体の総称、19は光源ユニット18を支持する金属板(放熱板)である。20は導光体3、レンズやミラーなどの光学系(レンズ体とも呼ぶ)、センサ基板13及び光源ユニット18を収納又は保持する筐体である。21は被照射体1を搬送する搬送プーリである。なお、天板2および搬送プーリ21は通常、画像読取装置(CISとも呼ぶ)の外部に設置される。図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の端部断面構成図である。図2において、22は画像読取装置とシステム本体(図示せず)とを固定するバーリング穴、23は光学系部品で構成したレンズ体であり、23aは第1ミラー6、アパーチャミラー8及び第2ミラー11を組み込み一体化形成したミラー系一体化ユニット、23bは第1レンズ7及び第2レンズ9を組み込み一体化形成したレンズ系一体化ユニットである。なお、筐体20は端部を除きレンズ体23、センサ基板13、光学ユニット18を隔離して収納又は保持する。
【0017】
光源ユニット18を除き導光体3、センサ基板13及びレンズ体23はCIS筐体20の端部から主走査方向に挿入する構造となっている。なお、レンズ体23は本実施の形態1では、テレセントリック光学系のレンズやミラーで説明しているが、市販のロッドレンズアレイなどに置き換えても良い。
【0018】
図3は、この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の全体側面図である。図3において、24はCISの端部を保護する側板、25はCISを駆動する入出力用のコネクタである。
【0019】
光源ユニット18及び放熱板19は主走査方向に延在し、副走査方向に側面から挿入する。図中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0020】
図4は、この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の全体平面図である。図5は、図4に示す透過体4を除去し、導光体3及びレンズ体23などを透視した光源ユニット18の内部構造を説明する平面図であり、26は光源ユニット18とセンサ基板13とを金属線で接続する光源端子接続部である。図5において、光源にユニット18に搭載する1単位(グループ)当たりの光源16は、4、2mmピッチでアレイ状に片側に72個搭載される。また、光源ユニット18は照射部5に対して導光体3を介して両側から照射される。
【0021】
図6は光源ユニット18の部分拡大平面図であり、16Rは波長630nmの赤色発光光源(R光源)、16Gは波長525nmの緑色発光光源(G光源)、16Bは波長475nmの青色発光光源(B光源)である。30はR光源16R、G光源16G及びB光源16Bを導電性ダイボンドペーストでアレイ状に載置する薄型の金属板であり、31は光源16と離間して金属板30に設けられた導電パターンを有する基板、32は基板31上に配線した導電パターンであり、32RはR光源16Rの電源供給用のRパターン(R導電パターン)、32GはG光源16G接続用の個別に設置した浮島形状のGパターン(G導電パターン)、32BはB光源16B接続用の個別に設置した浮島形状のBパターン(B導電パターン)である。
【0022】
33はミニバス17から突出した細長の金属リードで構成したG光源16Gの電源供給用のGリード、34はミニバス17から突出した細長の金属リードで構成したB光源16Bの電源供給用のBリードである。Gリード33はGパターン32Gと接続され、Bリード34はBパターン32Bと接続される。35は各RGB光源16の個別の電極端子と各導電パターン32とを接続する金ワイヤなどの(電気接続手段)である。
【0023】
また、36は接続部であり、個別に設置した電気接続手段35の接続位置とは異なる同一配線パターン内の導電パターン32上にGリード33及びBリード34は、はんだ材などを用いて載置される。37は電気接続手段35の一部又は全部及び光源16を封止する光透過性樹脂である。なお、ミニバス17にLEDチップの駆動電流を流さない場合には、個別に設置した電気接続手段35の接続位置とは異なる近傍位置に設置した浮島の導電パターン上に接続部36を設けても良い。
【0024】
本実施の形態1では、光源16はカソード側を金属板30に載置する。また、基板31に切り欠きを設け、切り欠き部分に光源16を設置し、切り欠き部分外側の基板31の周囲に各RGB光源色に対応する導電パターン32R、32G、32Bを設置することにより、光源16から大きな発熱が有っても接続用の金ワイヤ35をほぼ同一長さとすることにより熱ストレスを緩和する構造とする。また、金属リードで構成した複数のGリード33及びBリード34は、2回路のミニバス17でそれぞれ共通接続され、ミニバス17端部金属リードを利用した光源端子接続部26を介してセンサ基板13のコネクタ25の電源端子(図示せず)に接続される。なお、光源16は、アノード側を金属板30に接続しても良く、Rパターン32R、Gパターン32G、Bパターン32Bに接続する金属リードは適宜変更して電源供給用の回路構成としても良い。
【0025】
図7は、図6に示す光源ユニット18のA−A断面の部分拡大側面図であり、主走査方向にアレイ状に配置した光源16は4.2mmピッチで配置され、光源16はカソード側を0.25mm厚のステンレス(SUS)板又は燐青銅板で構成した金属板30に載置する。また、基板31は、0.3mm厚の絶縁性基板にプリント配線又は厚膜回路などの導電パターンで構成され、光源16の個別配線するアノード電極高さ位置にほぼ一致させて金ワイヤ35のループを確保する。
【0026】
図8は、図6に示す光源ユニット18の部分拡大断面図であり、図8(a)はB−B断面の部分拡大図、図8(b)はC−C断面の部分拡大図、図8(c)はD−D断面の部分拡大図である。図8において、ミニバス17は2回路の層別構造とし、Bリード34は金属のリードを折り曲げて基板31と接続する。ミニバス17は0.3mm厚の銅板又は銅箔で1回路を構成する。
【0027】
図9はCISの駆動を説明する機能ブロック図である。図9において、40はセンサIC12で光電変換された信号を増幅する増幅器、41は増幅された光電変換出力をアナログ・デジタル変換するアナログデジタル変換器(A/D変換器)、42はRGB各色のデジタル出力を信号処理する信号処理部(信号処理回路)、43は各色のイメージ情報を収納したりデータ補正するRAM、44は信号処理回路42やRAM43の信号を制御するCPU、45はRGBのそれぞれのLED電源を駆動制御する光源駆動回路である。図中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0028】
次にCISの動作について説明する。図9において、システム本体からのシステムコントロール信号(SYC)とシステムクロック信号(SCLK)に基づき、信号処理IC(ASIC)14のクロック信号(CLK)とこれに同期したスタート信号(SI)がセンサIC12に出力され、そのタイミングによりセンサIC12から各画素(n)の連続したアナログ信号(SO)が読み取りライン(m)毎に出力される。アナログ信号は例えば7200画素分を順次出力する。
【0029】
増幅器40で増幅されたアナログ信号は、A/D変換器41でA/D変換してデジタル信号に変換され、A/D変換後に各画素(ビット)の信号出力をシェーディング補正や全ビット補正を行う信号処理回路42で処理される。この補正は、あらかじめ白原稿などの基準テストチャートで読み込んだデータを均一化処理した補正データを記憶したRAM43から補正データを読み出し、A/D変換されたイメージ情報に相当するデジタル信号を演算加工することにより行う。このような一連の動作はCPU44の制御により行われる。この補正データは、センサIC12の各素子間の感度ばらつきや各光源16の不均一性を補正するためのものである。
【0030】
図10はこの発明の実施の形態1に係るCISの駆動タイミングである。図9、図10において、CPU44に連動してASIC14は光源点灯信号をONし、それを受けて光源駆動回路45は各RGB光源16に所定時間電源を供給することにより順次点灯する。
【0031】
連続的に駆動するCLK信号(CLK)に同期してスタート信号(SI)はセンサIC12のRGB駆動回路を形成する各素子(画素)のシフトレジスタの出力を順次ONし、対応するスイッチ群が共通接続されたSOラインを順次開閉することでCLKに同期したRGBのイメージ情報(画像出力)を得る。この画像出力は前ラインで読み込み蓄積した各イメージの出力である。1ラインの各色読み取り区間にはBLK(ブランキング)時間を設定し、露光時間の設定可変を行う。従ってBLK区間はすべてのSOラインは開放される。
【0032】
次に順次出力されるアナログ信号(SO)について図1及び図9を用いて説明する。被照射体1のイメージ情報となる散乱光は第1ミラー6を介してアレイ状に設置した第1レンズ7に入射する。アレイ状に配列した各光学系からの光は、離散的に設置したアパーチャミラー8の開口部10で焦点を結び、さらに開口部10から放射する光はアレイ状に設置した第2レンズ9で定まる焦点位置にあるセンサIC12に第2ミラー11を介して倒立像で入射する。アナログ信号(SO)はセンサIC12の駆動回路に設けられたシフトレジスタや順次スイッチング信号によりRGBごとに3系列でアナログ信号が同時に出力される。信号処理回路42で処理されたアナログ信号(SO)は最終的にSIG(R,G,B)信号端子から画像信号データとしてシステム本体に送出する。
【0033】
なお、RGB光源16は本実施の形態1ではRGBの順次点灯としているが、センサIC12の受光部画素(セルとも呼ぶ)に各色RGBフィルタを装荷したものであっては、同時点灯させ、擬似白色光源としても良い。
【0034】
次に光源16の発熱について説明する。A3サイズの原稿など主走査方向有効読み取り幅297mm、副走査方向有効読み取り幅420mmでは、本実施の形態1で示す主走査方向に600DPIの密度で構成したCISのセンサIC12では主走査方向に7200画素の受光部を設置し、原稿1枚あたり副走査方向に約10,000ラインの走査を行う。その搬送スピードを0.3ms/ラインに設定した場合には、原稿1枚の読み取り時間は約3秒である。従って光源16のそれぞれのRGB光源(16R、16G、16B)は平均0.1msで駆動する。光源16は図5に示したように片側それぞれ72グループを並列接続したLEDで構成され、それぞれ20mAの駆動電流を供給するので赤色発光光源16Rでは2.88W、緑色発光光源16Gでは4.32W、青色発光光源16Bでは6.19Wの電力損失がある。
【0035】
従って単純平均で約4.46Wのジュール熱を速やかに放散させ、CISの内部に移行する伝導熱を放散させるために光源16の一方の電極は熱伝導性の良好な金属板30や放熱板構成の金属板19などの金属部材に固定し、他方の電極は、発熱部付近のパターンに設けたランドに個別に接続し、且つパターンやランド周辺に移行した熱をミニバス17など金属部材で構成した金属リードで放熱させることにより、CIS内部への熱の移行拡散を防止する。
【0036】
好ましくは、金属部材はCIS外部に熱放散可能なように筐体20に開口領域を設け、筐体20は光学系部品やセンサ部品への熱移行を軽減するため金属部材の搭載位置を他の部品から隔離設置する。
【0037】
また、各色あたりの駆動電流は、1.44Aであり、比較的大電流を駆動するので、ミニバス17など多回路構成の金属部材を使用することで、駆動電流の調節を行う。すなわち、赤色発光光源(16R)など比較的少電流で駆動する光源に対しては、基板31のパターンでLED駆動回路を構成し、比較的電力損失が大きく発光効率も悪い大電流を要する光源に対しては、金属部材で構成したLED回路構成とする。すなわち、短尺のCISに適用したり、放熱効果のみを重視する場合には、金属部材は放熱専用とし、基板31上の導電パターン32だけでLED回路のループを形成する。
【0038】
同様に放熱板19としての金属板、薄板としての金属板30は適用するCISの放熱容量に応じて適宜一体化構成としても良い。
【0039】
なお、本実施の形態1では、RGB光源16を用いて順次点灯方式で説明したが、モノクロの読み取りであっては、単色光源を使用してもよく、同様に蛍光発光の単色光源を用いたカラー読み取り光源をRGB光源に替えて同時に点灯・消灯する光源16の閉(ループ)回路構成としても良い。また光源はRGBに限る必要はなく、複数色を混合した光源や光学波長の異なる光源を併用して使用しても良い。
【0040】
以上から実施の形態1に係る画像読取装置によれば、金属板に多数の光源をアレイ状に配列し、光源周辺に光源電極を個別に接続する基板を設け、基板の接続パターンに金属リードを載置したので、光源で発生するジュール熱は金属板で速やかに放散され、基板上に伝導した熱も金属リードから放散される。また、発熱部からの熱が光学系部品やセンサ(受光)部品に移行しないように筐体を用いて熱遮断したので、光源の発熱による温度変化で生じる光学系の熱歪による光路の微少変化によるゴーストの発生や受光部の受光感度の温度変化に伴う画像出力ばらつきによる画像劣化を防止可能な画像読取装置となる。
【0041】
また、この発明に係る画像読取装置によれば、光学波長の異なる複数の光源を適用し、多数の光源を並列接続する場合において、金属リードを光源の電源供給回路の一部として組み入れることで、基板の導電パターンによる導電損失を金属リードが補完するため
、複数の配線回路や大電流回路としての機能も有するので多層もしくは幅広の基板配線が不要なコンパクトな光源回路を搭載した画像読取装置を得る効果も有する。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態1では、RGBの3色光源について述べたが、実施の形態2では単色の蛍光光源を用いた場合について説明する。その他の構成などについては実施の形態1に記載の事項に準ずるものとする。
【0043】
図11は実施の形態2に係る画像読取装置の光源ユニットの部分拡大平面図であり、160は波長425nmの紫色発光光源(V光源)、170は金属リードを突出させた1回路構成のミニバス、310はV光源160と離間して金属板30に設けられた導電パターンを有する基板、320は基板310上に配線した導電パターンである。
【0044】
330はミニバス170から突出した金属リードで構成したV光源160の電源供給用の金属リード(Vリード)であり、Vリード330は導電パターン320と接続される。360は接続部であり、個別に設置した電気接続手段35の接続位置とは異なる同一配線パターン内の導電パターン320上にVリード330は、はんだ材などを用いて載置される。また、370は蛍光発光用の蛍光樹脂である。図中、図6と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0045】
図12は、図11に示す光源ユニットのA−A断面部分拡大側面図であり、主走査方向にアレイ状に配置した光源160は1単位あたり実施の形態1同様、4.2mmピッチで配置されるが、1単位あたりの光源領域は主走査方向に延在させ2.1mmとする。光源160はカソード側を0.25mm厚のステンレス(SUS)板又は燐青銅板で構成した金属板30に載置する。基板310は、0.3mm厚の絶縁性基板にプリント配線又は厚膜回路などの導電パターンで構成される。図中、図7と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0046】
図13は、実施の形態2に係る画像読取装置の断面構成図である。図13において、180は光源ユニットであり、光源160やミニバス170を含む照明体の総称、380はV光源160から放射される波長425nmの直接光を遮光するVカットフィルタであり、導光体3の光の入射領域に貼り付けられている。図中、図1及び図11と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0047】
次に光源16の発熱について説明する。実施の形態1で説明したようにA3サイズの原稿など主走査方向有効読み取り幅297mm、副走査方向有効読み取り幅420mmでは、実施の形態1同様、本実施の形態2で示す主走査方向に600DPIの密度で構成したCISのセンサIC12では主走査方向に7200画素(受光部)を設置し、副走査方向に約10,000ラインの走査を行う。その搬送スピードを0.3ms/ラインに設定した場合には、原稿1枚の読み取り時間は約3秒である。
【0048】
本実施の形態2では、光源160は単色発光になるので1ラインあたり0.3ms、すなわち常時点灯して駆動する。光源160は1単位あたり2個の紫色発光LEDが配置され、片側144個を並列接続したLEDのアレイで構成され、それぞれのLEDは20mAの駆動電流を供給するので、4.3Vの順電圧降下のある紫色発光光源160では、約12.3Wの電力損失がある。
【0049】
従って約12.3Wのジュール熱を速やかに放散させ、CISの内部に移行する伝導熱を放散させるために光源160の一方の電極は熱伝導性の良好な金属板30や放熱板19などの金属部材に共通して固定し、他方の電極は、発熱部付近のパターンに設けたランドに個別に接続し、且つパターンやランド周辺に移行した熱をミニバス170などの金属部材で放熱させることにより、CIS内部への熱の移行拡散を防止する。
【0050】
好ましくは、金属部材はCIS外部に熱放散可能なように筐体20に開口領域を設け、筐体20は光学系部品やセンサ部品への熱移行を軽減するため金属部材の搭載位置を他の部品から隔離設置する。
【0051】
また、駆動電流は、片側144個の並列接続の場合2.88Aであり、大電流を駆動するので、金属リードが共に共通接続された1回路構成のミニバス170などの金属部材で構成したLED回路構成とする。
【0052】
なお、本実施の形態2では、V光源160を用いて説明したが、さらに波長の短い紫外線光源などを用いたものを使用してもよい。なお、Vカットフィルタ380は、蛍光発光用のV光源160の直接光を遮光を行うもので、図14の各光学波長領域における発光出力特性図に示すように蛍光樹脂370から放射する青色発光波長(475nm)より短い波長領域の遮光を行う。
【0053】
次に光源160を用いた場合のLEDチップからの発熱に関して説明する。既に述べたように、光源160は1単位あたり2個の紫色発光LEDが配置され、片側144個を並列接続したLEDで構成され、それぞれのLEDは0.02mAの駆動電流を供給するので、4.3Vの順電圧降下のある紫色発光光源160Vでは、約12.3Wの電力損失がある。
【0054】
図15は光源160を常時点灯してその時間経過に対する光源ユニット180の温度上昇を説明する図である。光源160の駆動により、約12Wの電力損失による発熱がある場合、光源ユニット180を図13に示すように幅6.2mm、厚さ3.2mm断面、有効長さがA3サイズの金属板(放熱板)19に載置した場合について説明する。
【0055】
図11に対比して図16、図12に対比して図17に示すようなダミー基板400を用いた試供の光源ユニットのように、基板はあるがミニバス170を設置しない場合には約33℃の温度上昇(ΔT)がある。対して、図11に示す基板310にミニバス170を載置したものでは約30℃の温度上昇(ΔT)に留まる。また、1単位あたり1個の紫色発光LEDを配置した場合は、約6Wの電力損失となるのでΔTも半減する。すなわち、金属板19の基板310にミニバス170を載置することで3℃程度のΔTの緩和を図ることができる。
【0056】
一般に発熱温度の温度上昇(ΔT)は以下の式で示される。
ΔT=PdXRthX{1−EXP{t/(CXRth)}
ここでPd:消費電力、Rth:ミニバスや金属板の熱抵抗、C:熱容量、t:通電時間
【0057】
従って1単位あたり1個の紫色発光LEDを配置した場合は、約6Wの電力損失となるのでΔTも半減する。これは実施の形態1で示した赤色発光光源16Rでは2.88W、緑色発光光源16Gでは4.32W、青色発光光源16Bでは6.19Wの電力損失のうち、青色発光光源16Bに相当するものであり、実施の形態1の順次点灯方式では平均約4.46Wのジュール熱を生じるのでミニバス17を基板31に載置した場合にはΔTは15℃以下となる。
【0058】
以上からこの発明の実施の形態2に係る画像読取装置によれば、実施の形態1の効果に加えてアレイ状に配置した白色光源の光源領域を主走査方向に延在させたので原稿面の照度がさらに均一になるという効果もある。
【0059】
また、実施の形態2では、紫色発光光源を用いたが、LEDチップの電力損失の大きい短波長光源や、さらに高密度にLEDチップを搭載する場合においても金属リードをLED供給電源回路の一部として使用することにより、放熱効果を有すると共に高輝度照明による高速読み取りにおいては大きな効果を奏する利点がある。
【符号の説明】
【0060】
1・・被照射体(原稿) 2・・天板 3・・導光体 3a・・出射部 4・・透過体
5・・照射部 6・・第1ミラー 7・・第1レンズ
8・・アパーチャミラー 9・・第2レンズ 10・・開口部
11・・第2ミラー 12・・センサIC(受光部 光電変換回路)
13・・センサ基板 14・・信号処理IC(ASIC) 15・・電子部品
16・・光源 16R・・赤色発光光源(R光源) 16G・・緑色発光光源(G光源)
16B・・青色発光光源(B光源)
17・・ミニバス(バスバー) 18・・光源ユニット
19・・放熱板(金属板) 20・・筐体 21・・搬送プーリー
22・・バーリング穴 23・・レンズ体 23a・・ミラー系一体化ユニット
23b・・レンズ系一体化ユニット 24・・側板 25・・コネクタ
26・・光源端子接続部 30・・薄板の金属板(金属板)
31・・基板 32・・導電パターン 32R・・Rパターン 32G・・Gパターン
32B・・Bパターン
33・・金属リード(Gリード) 34・・金属リード(Bリード)
35・・金ワイヤ(電気接続手段) 36・・接続部 37・・光透過性樹脂
40・・増幅器 41・・アナログデジタル変換器(A/D変換器)
42・・信号処理回路
43・・RAM(ランダムアクセスメモリ)
44・・CPU(セントラル プロセッサー ユニット)
45・・光源駆動回路
160・・紫色発光光源(V光源) 170・・ミニバス 180・・光源ユニット
310・・基板 320・・導電パターン 330・・金属リード(Vリード)
360・・接続部 370・・蛍光樹脂
380・・Vカットフィルタ(紫色発光カットフィルタ)
400・・ダミー基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿搬送方向に直交し、主走査側に延在する金属板と、この金属板上に極性を同一にし、LEDチップの一方の電極端子を主走査側にアレイ状に配置して前記金属板に接続した複数の光源と、これらの光源と離間して前記金属板に設けられ、両側から少なくとも一つの前記光源を挟んでアレイ状に配置された複数の導電パターンを有する基板と、この基板の前記導電パターンに前記光源の他方の電極端子を個別に電気接続し、前記LEDチップの閉回路とする電気接続手段と、原稿面で反射した前記光源からの光を受光する受光部と、主走査側に延在する板状導体、及び、この板状導体の複数箇所から突出した導体からなる金属リードであって、前記突出した導体のそれぞれが、個別に設置した前記電気接続手段の接続位置とは異なる位置の前記導電パターン上に載置され、前記導体パターンを介して前記光源の他方の電極端子が電気接続された金属リードとを備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記突出した導体以外の部分の前記金属リードは、被覆されたバスバーである請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
画像読取装置に用いられる照明装置であって、原稿搬送方向に直交し、主走査側に延在する金属板と、この金属板上に極性を同一にし、LEDチップの一方の電極端子を主走査側にアレイ状に配置して前記金属板に接続した複数の光源と、これらの光源と離間して前記金属板に設けられ、両側から少なくとも一つの前記光源を挟んでアレイ状に配置された複数の導電パターンを有する基板と、この基板の前記導電パターンに前記光源の他方の電極端子を個別に電気接続し、前記LEDチップの閉回路とする電気接続手段と、主走査側に延在する板状導体、及び、この板状導体の複数箇所から突出した導体からなる金属リードであって、前記突出した導体のそれぞれが、個別に設置した前記電気接続手段の接続位置とは異なる位置の前記導電パターン上に載置され、前記導体パターンを介して前記光源の他方の電極端子が電気接続された金属リードとを備えた照明装置。
【請求項4】
前記突出した導体以外の部分の前記金属リードは、被覆されたバスバーである請求項3に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−209956(P2012−209956A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129156(P2012−129156)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2010−97880(P2010−97880)の分割
【原出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】