説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】ブック原稿の見開き画像をページ毎に読み取り可能な画像読取装置及びこれを備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】原稿台ガラス82に載置された原稿のサイズを読み取り可能な副走査サイズセンサ82c及びイメージセンサユニット83と、主走査線上の輝度分布を読み取り可能なイメージセンサユニット83と、見開き状態で原稿台ガラス82に載置されたブック原稿をイメージセンサユニット83によって主走査方向に読み取って主走査線上の輝度分布情報を取得し、取得した輝度分布情報から低輝度が連続したブック原稿の見開き中心線を検出し、検出した見開き中心線と、イメージセンサユニット83により読み取られたブック原稿の原稿サイズと、によって原稿台ガラス82に載置されたブック原稿の見開き2ページから読み取り可能な読取ページを選択し、読取ページの画像をイメージセンサユニット83に読み取らせるCPU10と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取り可能な画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、特には、ブック原稿をページ毎に読み取り可能な画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機等の画像形成装置においては、原稿の画像を読み取り可能な縮小光学系の画像読取装置を有するものが広く採用されている。画像読取装置は、原稿台ガラス上に載置された原稿に、原稿読み取り用の照射光を照射し、原稿からの反射光を集光して光電変換させることにより原稿の画像の読み取りを行う。そのため、画像読取装置において原稿の画像を正確に読み取るためには、原稿を原稿台ガラスに密着させて照射光を正確に反射させる必要がある。
【0003】
ここで、画像読取装置には、原稿台ガラス上に載置された原稿を原稿台ガラスに密着させるための原稿カバーが設けられており、原稿カバーは、一般に、奥側を回動支点として手前側が開くように画像読取装置本体に支持されている。そのため、例えば、書籍や雑誌等の中綴じ製本されている原稿(以下、「ブック原稿」という)の画像を読み取る場合、左右ページを横に並べた見開き状態(以下、「横置き」という)で載置されたブック原稿を、原稿カバーで原稿台ガラスに密着させるようとすると、ブック原稿の奥側が手前側よりも強く押圧され、ブック原稿の奥側が手前側よりも多く撓んでしまう。これにより、ブック原稿の原稿面が全体として略ハの字状に歪んでしまう。そのため、このような場合には、ブック原稿の左右ページを上下方向に並べた状態(以下、「縦置き」という)に置き換えて画像を読み取る場合がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−268702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原稿を縦置きにすると、原稿が原稿台ガラスから食み出す場合がある。原稿が原稿台ガラスから食み出した状態で原稿の画像を読み取ると、画像欠けしたページが見開きのもう一方のページと共に読み取られ、見開き画像をページ毎に読み取ることができない。これに対しては、ユーザが見開き画像の各ページに対応したサイズのシートを選択してコピーすることにより解消する場合もあるが、原稿が食み出している場合、操作部が食み出した原稿に覆われてしまう場合がある。また、操作する際にも原稿カバーでブック原稿を押えておかなければならない。そのため、このような状態で行われるシートを選択する作業はユーザにとって非常に煩雑である。
【0006】
そこで、本発明は、ブック原稿の見開き画像をページ毎に好適に読み取り可能な画像読取装置及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、原稿台ガラスに載置された原稿の原稿サイズを読み取り可能な原稿サイズ読取手段と、主走査線上の輝度分布を読み取り可能な画像読取手段と、見開き状態で前記原稿台ガラスに載置されたブック原稿を前記画像読取手段によって主走査方向に読み取って主走査線上の輝度分布情報を取得し、取得した前記輝度分布情報から低輝度が連続したブック原稿の見開き中心線を検出し、検出した見開き中心線と、前記原稿サイズ読取手段により読み取られたブック原稿の原稿サイズと、によって前記原稿台ガラスに載置されたブック原稿の見開き2ページから読み取り可能な読取ページを選択し、該読取ページの画像を前記画像読取手段に読み取らせる制御部と、を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブック原稿の見開き中心線を検出して見開き中心線を基準にブック原稿のページを読み取ることにより、ブック原稿の見開き画像をページ毎に好適に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る複写機の全体構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施形態に係る画像読取部の全体構造を模式的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す画像読取部の断面図である。
【図4】本実施形態に係るリーダ部の内部構造を模式的に示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る複写機の連写モードに係る内部構成を示すブロック図である。
【図6】ブック原稿を連写モードで読み取る際のCPUによる制御動作を示すフローチャートである。
【図7】見開き中心線を検出する状態を説明するための図である。
【図8】(a)は、横置きにしたブック原稿を示す図であり、(b)は、縦置きにしたブック原稿を示す図である。(c)は、縦置きにしたブック原稿の第2ページが原稿台ガラスから食み出した状態を示す図であり、(d)は、縦置きにしたブック原稿の第1ページが原稿台ガラスから食み出した状態を示す図である。
【図9】(a)は、縦置きのブック原稿が読み取られた状態のプレビュー画面の表示例を示す図であり、(b)は、(a)に示すブック原稿が回転した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、冊子状のブック原稿の見開き画像(見開き2ページ)を1ページ毎に読み取り可能な画像読取装置を備えた画像形成装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置として、白黒/カラー複写機(以下、「複写機」という)1を用いて説明する。
【0011】
まず、本実施形態に係る複写機1の概略構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複写機1の全体構造を模式的に示す断面図である。なお、以下においては、ユーザが複写機1に対して各種入力/設定を行う不図示の操作部に臨む位置を複写機1の「手前側」といい、背面側を「奥側」という。つまり、図1は、手前側から見た複写機1の全体構造を示したものである。
【0012】
図1に示すように、複写機1は、シートSを給送するシート給送部2と、画像を形成する画像形成部3と、画像形成部3で形成された画像をシートSに転写する転写部4と、転写部4で転写された画像をシートSに定着させる定着部5と、画像が定着されたシートSを排出する排出部6と、原稿Dの画像情報を読み取る画像読取装置としての画像読取部7と、を備えている。
【0013】
シート給送部2は、複写機1の下部に配設されており、シートSを収納する収納カセット21と、収納カセット21に収納されるシートSを給送する給送ローラ22と、給送ローラ22により給送されるシートSを1枚ずつに分離する分離部23と、を備えている。
【0014】
画像形成部3は、シート給送部2の上部に配設されており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する感光体ドラム31Y〜31Kと、感光体ドラム31Y〜31Kの表面を印加して一様に帯電させる一次帯電器32Y〜32Kと、画像情報に基づいてレーザ光を照射して感光体ドラム31Y〜31Kに静電潜像を形成する露光装置33Y〜33Kと、感光体ドラム31Y〜31Kに形成された静電潜像をトナー像として可視化する現像装置34Y〜34Kと、を備えている。
【0015】
転写部4は、感光体ドラム31Y〜31Kの下部に配設されており、回転駆動する転写ベルト41と、感光体ドラム31Y〜31Kの各色トナー像を転写ベルト41に転写する転写器42Y〜42Kと、を備えている。定着部5は、転写部4の下流側に配設されており、ヒータを内蔵した定着ローラ51と、定着ローラ51に圧接する加圧ローラ52と、を備えている。排出部6は、定着部5の下流側に配設されており、シートSを機外に排出する排出ローラ対61と、機外に排出されたシートSを積載する排出トレイ62と、を備えている。
【0016】
画像読取部7は、複写機1の上部に配設されており、原稿Dの画像を読み取るリーダ部8と、リーダ部8に原稿Dを給送可能な原稿給送部9と、を備えている。なお、画像読取部7については、後に詳しく説明する。
【0017】
次に、上述のように構成された本実施形態に係る複写機1の画像形成ジョブについて説明する。複写機1の画像形成ジョブが開始されると、不図示のパソコン又は画像読取部7から入力された画像情報に基づいて、露光装置33Y〜33Kが感光体ドラム31Y〜31Kの表面にレーザ光を照射する。これにより、一次帯電器32Y〜32Kによって所定の極性電位に一様に帯電されている感光体ドラム31Y〜31Kの表面が順次露光され、感光体ドラム31Y〜31Kの表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム31Y〜31Kの表面に静電潜像が形成されると、現像装置34Y〜34Kが静電潜像を現像し、トナー像として可視化される。
【0018】
トナー像の形成動作に並行して、収納カセット21に収容されたシートSは、給送ローラ22により送り出され、分離部23で1枚ずつに分離される。そして、分離されたシートSは、不図示のレジストローラに達し、レジストローラにより所定のタイミングで転写器42Y〜42Kに搬送される。転写器42Y〜42KにシートSが搬送されると、転写器42Y〜42Kに印加された転写バイアスによって、可視化された上述の各色のトナー像が、順次、シートSに重畳転写される。これにより、シートS上にフルカラー(4色)のトナー像が形成される。
【0019】
フルカラーのトナー像が転写されたシートSは、転写部4から定着部5に搬送され、定着部5において熱及び圧力を受けてトナーが溶融混色されることにより画像として定着される。その後、画像が定着されたシートSは、定着部5の下流に設けられた排出ローラ対61によって排出トレイ62に排出され、画像形成ジョブが終了する。
【0020】
なお、シートSの両面に画像を形成する場合は、定着部5でシートSに未定着トナー像を定着した後、排出ローラ対61によって排出トレイ62に排出される前に、排出ローラ対61を逆回転させて、シートSを両面搬送路63に搬送される。両面搬送路63に搬送されることでシートSは反転し、反転したシートSは両面搬送路63に設けられた搬送ローラにより画像形成部3に再搬送され、上述が繰り返される。
【0021】
次に、本実施形態に係る画像読取部7について、図2から図4を参照しながら詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る画像読取部7の全体構造を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示す画像読取部7の断面図である。図4は、本実施形態に係るリーダ部8の内部構造を模式的に示す斜視図である。
【0022】
図2に示すように、画像読取部7は、原稿Dの画像を読み取るリーダ部8と、リーダ部8に原稿Dを給送可能な原稿給送部9と、を備えており、手前側からリーダ部8が開放自在となるように、奥側に配設されたヒンジ部70,70により、原稿給送部9がリーダ部8に開閉自在に支持されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、リーダ部8は、後述の原稿給送装置90の下方側に位置するように配設されるプラテンガラス80と、支持ステー81を挟んでプラテンガラス80と副走査方向に並んで配置される矩形状の原稿台ガラス82と、プラテンガラス80及び原稿台ガラス82を支持する筐体8aと、画像読取手段としてのイメージセンサユニット83と、を備えている。
【0024】
原稿台ガラス82は、原稿Dを載置するためのものであり、原稿台ガラス82には、原稿Dを載置する際に、主走査方向の目安となる画先基準板82aと、副走査方向の目安となる画先基準板82bとが貼り付けられている。また、原稿台ガラス82の下には、原稿Dの副走査幅を検知するための原稿サイズ読取手段を構成する副走査サイズセンサ82c,82dが取り付けられている。なお、本実施形態に係る副走査サイズセンサ82c,82dは、反射型センサとなっている。筐体8aは、プラテンガラス80及び原稿台ガラス82を支持すると共に、イメージセンサユニット83等を内部に収容している。
【0025】
イメージセンサユニット83は、原稿Dに光を照射するLED84と、LED84に照射された光に対応する原稿Dからの反射光を誘導する複数のミラー85a,85b,85cと、複数のミラー85a〜85cによって誘導された反射光を集光する集光レンズ86と、集光レンズ86で集光された反射光を光電変換して画像信号として出力するCCD87と、を備えている。LED84及びミラー85aは、光学キャリッジ(走行体)88に収容されており、光学キャリッジ88は、駆動ベルト89に接続されている。駆動ベルト89は、駆動モータ89aに連結されており、駆動モータ89aにより駆動するように構成されている。駆動モータ89aは、例えば、ステッピングモータにより構成されている。光学キャリッジ88の位置は、不図示のポジションセンサと駆動モータ89aの回転パルス数とにより把握可能に構成させている。
【0026】
イメージセンサユニット83は、LED84で原稿Dに向けて光を照射し、原稿Dから反射された反射光をCCD87で受光することにより画像が投影され、投影された画像から1ラインずつの画像信号が生成される。またこのとき、イメージセンサユニット83は、駆動モータ89aにより駆動ベルト89が駆動し、光学キャリッジ88が図4に示す矢印方向(副走査方向)に移動することで、原稿台ガラス上に載置された原稿Dを光学的に走査可能となる(載置原稿読取モード)。また、イメージセンサユニット83は、光学キャリッジ88を原稿給送部9の下方に位置する所定の原稿読取位置100に停止させ、原稿給送部9により原稿Dを給送させることで原稿Dの画像情報を読み取り可能となる(原稿流し読みモード)。
【0027】
更に、イメージセンサユニット83は、LED84で原稿Dに向けて光を照射し、原稿Dから反射された反射光をCCD87で受光することで原稿Dの主走査線上の輝度分布を読み取り可能に構成されている。イメージセンサユニット83で読み取られた主走査方向における輝度分布は、後述のCPU10により輝度分布情報として取得され、輝度分布情報によりブック原稿の後述の見開き中心線が検出される。そして、検出された見開き中心線とブック原稿の原稿サイズとに基づいて見開き状態のブック原稿の読取ページを選択し、選択した読取ページを読み取る(連写モード)。
【0028】
原稿給送部9は、原稿Dを自動給送する原稿給送装置90と、原稿台ガラス82上に載置された原稿Dを押圧する原稿台カバー91と、を備えている。図3に示すように、原稿給送装置90は、原稿Dを積載する原稿トレイ92と、原稿トレイ92に積載された原稿Dを給送する給送ローラ93と、給送ローラ93に給送される原稿Dを1枚ずつ分離する分離搬送ローラ94及び分離パッド95と、原稿Dの先端を揃えて搬送するレジストローラ対96と、レジストローラ対96の下流側に設けられ、原稿読取位置100に原稿Dを案内する原稿案内部97と、読取りが終了した原稿Dを機外に排出する排出ローラ対98と、を備えている。
【0029】
原稿トレイ92は、原稿Dの幅方向にスライド自在に設けられた一対の幅方向規制板92aを備えており、一対の幅方向規制板92aが原稿トレイ92に積載される原稿Dの幅方向を規制することで原稿Dの給送時における搬送安定性を確保している。給送ローラ93は、原稿トレイ92の上方に設けられており、ユーザによる原稿Dのセット作業を阻害しないように、図3に示す実線位置をホームポジションとしている。給送ローラ93は、原稿Dの給送動作が開始されると、ホームポジションから給送位置(図3に示す破線位置)に移動し、原稿Dの上面に当接して原稿Dを給送する。レジストローラ対96は、分離搬送ローラ94の下流に設けられており、分離搬送ローラ94にて1枚ずつ分離して搬送される原稿Dの先端をニップ部に突き当て、原稿Dにループを生じさせることにより原稿Dの先端を揃える。その後、レジストローラ対96は、回転して原稿Dを原稿案内部97に向かって搬送する。
【0030】
原稿案内部97は、プラテンガラス80上の所定の原稿読取位置100に位置するように設けられており、レジストローラ対96により先端が揃えられた原稿Dが原稿読取位置100上を移動するように案内する。原稿案内部97は、リードローラ対97aと、第1プラテンローラ97bと、白色板を有する不図示の読取ガイドと、第2プラテンローラ97cと、リード排出ローラ対97dと、を備えている。
【0031】
リードローラ対97aは、レジストローラ対96により搬送される原稿Dを原稿読取位置100に向けて搬送する。第1プラテンローラ97bは、リードローラ対97aの下流に設けられており、リードローラ対97aにより搬送される原稿Dを原稿読取位置100に搬送する。読取ガイドは、第1プラテンローラ97bの下流に設けられており、第1プラテンローラ97bによって原稿読取位置100に搬送された原稿Dを、プラテンガラス80に密着させた状態で案内する。第2プラテンローラ97cは、読取ガイドの下流に設けられており、読取ガイドにより案内され、画像情報の読み取りが終了した原稿Dを搬送する。リード排出ローラ対97dは、第2プラテンローラ97cの下流側に設けられており、第2プラテンローラ97cにより搬送された原稿Dを排出ローラ対98に搬送する。
【0032】
排出ローラ対98は、原稿案内部97の下流に設けられており、原稿Dを機外に排出する。また、排出ローラ対98は、原稿Dの両面を読み取る場合に、原稿Dをスイッチバックしてシートパス99を介して再度レジストローラ対96に搬送する。
【0033】
原稿台カバー91は、プラテンガラス80及び原稿台ガラス82を開閉自在に筐体8aに支持されており、閉動作により原稿台ガラス82上に載置された原稿Dが移動しないように原稿Dを押圧可能に形成されている。また、原稿台カバー91には、筐体8aに対する原稿台カバー91の開放角度を検知可能な開閉センサ91aが取り付けられており、開閉センサ91aは、2つのセンサ(不図示)と1つのフラグ(不図示)により、原稿台カバー91の4パターンの開閉角度が検知可能となっている。
【0034】
次に、本実施形態に係る画像読取部7におけるブック原稿の左右ページをページ毎に読み取り可能な連写モードについて、図5から図9を参照しながら説明する。まず、連写モードに係る複写機1の内部構造について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る複写機1の連写モードに係る内部構成を示すブロック図である。
【0035】
図5に示すように、複写機1は、連写モードの制御を行うCPU10と、RAM11と、ROM12と、通信I/F13と、表示部14と、開閉センサ91aと、駆動モータ89aと、イメージセンサユニット83と、画像メモリ15と、画像処理部16とを備えている。RAM11、ROM12、通信I/F13、表示部14、開閉センサ91a、駆動モータ89a、イメージセンサユニット83、画像メモリ15及び画像処理部16は、システムバス17を介してCPU10に接続されている。
【0036】
CPU10は、イメージセンサユニット83にブック原稿の主走査方向の輝度分布を読み取らせることで取得される輝度分布情報から、原稿台ガラス82上に載置されたブック原稿の見開き中心線を検出して、検出した見開き中心線の位置等に基づいてブック原稿の読取ページ(画像欠け等のないページ)を選択する。そして、イメージセンサユニット83に選択した読取ページ(領域)の画像を読み取らせる。なお、ブック原稿の見開き中心線の検出等については、後に説明する。
【0037】
RAM11は、CPU10による読み取りページの選択等の作業領域及びデータの一時記憶領域を有しており、CPU10の読み取りページの選択等に用いられる。ROM12には、複写機1を駆動するためのファームウェアプログラムやファームウェアプログラムを制御するためのブートプログラム等が格納されている。通信I/F13は、外部のコンピュータ端末装置等と複写機1とを接続可能に構成されており、例えば、外部のコンピュータ端末装置等を介して画像データを複写機1に転送したり、画像読取部7により読み取られた画像をコンピュータ端末装置等の表示部に表示させるためのものである。
【0038】
表示部14は、読取り画像のプレビュー等の情報を表示する。画像メモリ15は、イメージセンサユニット83により読み取られた原稿の画像情報を格納するためのものである。画像処理部16は、ユーザ等の指示(操作)に基づいて、イメージセンサユニット83により読み取られ、表示部14に表示されたプレビュー画像の回転処理や画像情報の補正等を行うためのものである。
【0039】
次に、本実施形態に係る複写機1の連写モードにおけるCPU10の制御動作について、図6から図9(b)を参照しながら説明する。図6は、ブック原稿を連写モードで読み取る際のCPU10による制御動作を示すフローチャートである。図7は、見開き中心線を検出する状態を説明するための図である。図8(a)は、横置きにしたブック原稿を示す図である。図8(b)は、縦置きにしたブック原稿を示す図である。図8(c)は、縦置きにしたブック原稿の第2ページが原稿台ガラス82から食み出した状態を示す図である。図8(d)は、縦置きにしたブック原稿の第1ページが原稿台ガラス82から食み出した状態を示す図である。図9(a)は、縦置きのブック原稿が読み取られた状態のプレビュー画面の表示例を示す図である。図9(b)は、図9(a)に示すブック原稿が回転した状態を示す図である。
【0040】
図6に示すように、ユーザ等により、ブック原稿の見開き2ページが奥手前方向(主走査方向)に並ぶように見開き状態のブック原稿が原稿台ガラス82上に載置され、連写モードが選択されると、CPU10は、まず、原稿台ガラス82上に載置されたブック原稿の原稿サイズを読み取る(ステップS10)。
【0041】
CPU10は、例えば、ユーザ等により原稿台カバー91が所定角度まで閉じられたことを開閉センサ91aが検知すると、イメージセンサユニット83のLED84でブック原稿の原稿面に向けて光を照射し、ブック原稿から反射された反射光をCCD87で受光することで見開き状態のブック原稿の主走査方向における端部位置を検知する。同時に、CPU10は、副走査サイズセンサ82c,82dで副走査方向における端部位置を検知する。これにより、ブック原稿の原稿サイズが検知される。また、このとき、CPU10は、原稿台ガラス82上に位置するブック原稿の副走査方向に向いた端線も検出し、検出されなかった場合には、原稿台ガラス82の副走査方向の端部をブック原稿の副走査方向に向いた端線と仮定する。
【0042】
ブック原稿の原稿サイズが検知されると、CPU10は、原稿Dから反射された反射光をCCD87で受光することでブック原稿の主走査方向における輝度分布を読み取り、ブック原稿の主走査方向における輝度分布情報を取得する(図7参照)。そして、CPU10は、取得した輝度分布情報から、低輝度(黒画素)が連続して高くなって現れるブック原稿の見開き中心線(中心位置)を検知する(ステップS15)。
【0043】
ここで、輝度分布情報から見開き中心線が検知されなかった場合、CPU10は、ブック原稿が横置き状態(図8(a)参照)と判断し、ブック原稿の見開き2ページの画像を副走査方向に読み取り、読み取った画像を中央で分割(ページ毎に分割)し、分割した画像毎(ページ毎)に読み取った画像データを保存する連写を行う(ステップS55)。
【0044】
一方、輝度分布情報から見開き中心線が検出された場合、CPU10は、見開き中心線が原稿台ガラス82の主走査方向の中心に位置する基準位置よりも奥側(上側)にあるか否かを判断する(ステップS20)。見開き中心線が基準端部よりも手前側(下側)にある場合(図8(c)参照)、見開き中心線よりも奥側に位置するページを読取ページとして選択し、奥側のページの画像をイメージセンサユニット83に読み取らせる(ステップS25)。つまり、見開き中心線から上述の副走査方向に向いた端線までの長さが長い方のページを読取ページとして選択し、読み取らせる。
【0045】
一方、見開き中心線が基準端部よりも奥側(上側)にある場合、見開き中心線からブック原稿の副走査方向に向いた端線までの長さをそれぞれ読み取る。そして、見開き中心線から手前側(下側)の端線までの長さの方が長い場合(図8(d)参照)、手前側のページの方が大きいため、手前側のページを読取ページとして選択し、手前側のページの画像をイメージセンサユニット83に読み取らせる(ステップS35)。また、見開き中心線から手前側(下側)の端線までの長さと、奥側の端線までの長さが同じ場合(図8(b)参照)、奥側のページと手前側のページとをそれぞれ読取ページとして選択し、奥側のページの画像と手前側のページの画像とをページ毎にイメージセンサユニット83に読み取らせる(ステップS40)。
【0046】
ここで、上述のようにして読み取られた画像は、複写機1の備える不図示の表示部にプレビュー表示される。なお、読み取られた画像は、通信I/F13を介して接続された外部のコンピュータ端末装置の表示部にプレビュー表示させてもよい。ここで、表示部に表示される読み取り画像の表示例を図9(a)に示す。例えば、図8(b)に示すように載置されたブック原稿は、図9(a)に示すような状態で表示部にプレビュー表示される。つまり、縦置きしたブック原稿は、そのままの角度で読み取られるため、横を向いた状態となっている。そのため、このままでは見難いため、本実施形態においては、読み取り画像を90度回転可能な回転ボタンが表示部に配設されており、ユーザ等は、表示部に配設された回転ボタンで読み取り画像を90度回転可能に構成されている。
【0047】
表示部に表示された画像がユーザ等の操作により90度回転されると(ステップS45)、ブック原稿の読み取りが最終頁であるか否かが判断される(ステップS50)。そして、最終頁でなければ、ステップS10に戻って上述を繰り返し、最終頁である場合には画像が出力(ステップS60)されて連写モードが終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る複写機1は、見開き状態で載置されたブック原稿の見開き中心線を検出し、見開き中心線と、ブック原稿の原稿サイズと、によりブック原稿の読取可能な読取ページを選択し、読み取る。そのため、縦置きに載置した見開き状態のブック原稿を読み取る際に、例えば、画像欠けしたページが読取ページとともに読み取られることを防止することが可能となる。つまり、要求するページの画像のみを好適に読み取らせることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る複写機1は、見開き中心線に基づいて読取ページを自動で認識する。そのため、例えば、縦置きしたブック原稿が原稿台ガラスから食み出して操作部が覆われて操作が困難な状態の場合においても、容易かつ好適に読取ページを読み取らせることが可能になる。
【0050】
以上説明した制御部による連写モードの制御動作は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし、上記プログラムを実行するように構成することも可能である。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0052】
例えば、本実施形態においては、見開き中心線が原稿台ガラス82の基準位置よりも奥側(上側)にあるか否かを判断し、見開き中心線が基準端部よりも手前側にある場合、見開き中心線よりも奥側に位置するページを読取ページとして選択し、読み取らせたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、見開き中心線と原稿台ガラス82の基準位置とを比較することなく、見開き中心線から端線までの長さを読み取り、この長さに基づいて読取ページを選択する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 複写機(画像形成装置)
3 画像形成部
7 画像読取部(原稿読取装置)
10 CPU(制御部)
16 画像処理部(画像回転手段)
82 原稿台ガラス
82c 副走査サイズセンサ(原稿サイズ読取手段)
82d 副走査サイズセンサ(原稿サイズ読取手段)
83 イメージセンサユニット(画像読取手段、原稿サイズ読取手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台ガラスに載置された原稿の原稿サイズを読み取り可能な原稿サイズ読取手段と、
主走査線上の輝度分布を読み取り可能な画像読取手段と、
見開き状態で前記原稿台ガラスに載置されたブック原稿を前記画像読取手段によって主走査方向に読み取って主走査線上の輝度分布情報を取得し、取得した前記輝度分布情報から低輝度が連続したブック原稿の見開き中心線を検出し、検出した見開き中心線と、前記原稿サイズ読取手段により読み取られたブック原稿の原稿サイズと、によって前記原稿台ガラスに載置されたブック原稿の見開き2ページから読み取り可能な読取ページを選択し、該読取ページの画像を前記画像読取手段に読み取らせる制御部と、を備えた、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記原稿サイズ読取手段により読み取られた原稿サイズから、原稿台ガラス上に位置するブック原稿の副走査方向に向いた端線を検出し、前記端線が検出されなかった場合には前記原稿台ガラスの副走査方向の端部をブック原稿の副走査方向に向いた端線と仮定して、前記見開き中心線から前記端線までの長さをそれぞれ読み取り、前記見開き中心線から前記端線までの長さが異なる場合には、前記見開き中心線から前記端線までの長さが長い方のページを前記読取ページとして選択し、該読取ページの画像を前記画像読取手段に読み取らせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記見開き中心線から前記端線までの長さが同じ場合は、ブック原稿の見開き2ページのそれぞれのページを前記読取ページとして選択し、前記見開き2ページの画像をページ毎に前記画像読取手段に読み取らせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取られた画像をシートに形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−98694(P2013−98694A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238645(P2011−238645)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】