説明

画像読取装置及び画像読取装置の制御方法

【課題】1つの画像読取装置で、反射原稿、透過原稿の両方を読み取る場合、コストがアップせず、また、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができる画像読取装置、画像読取方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定し、透過原稿であると判定した場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると判定した場合、先に読み取ったデータを用いる画像読取装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な画像信号に変換するイメージセンサによって、原稿を読み取り、画像信号を処理して出力する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置を用いて、スキャン処理を実行する場合、反射原稿、透過原稿を自動的に判定して読み込むモード(以下、「オートモードスキャン」という)と、反射原稿、透過原稿を手動で指定して読み込む画像処理装置がある。
【0003】
反射原稿、透過原稿を自動的に判定し読み込む場合、最初に原稿の種別を判定し、フィルム等の透過原稿であると判定されると、透過用の光源を点灯し、透過原稿として読み取る。一方、紙原稿等、反射原稿であると判定されると、反射用の光源を点灯し、反射原稿として読み取る。
【0004】
原稿の種別を判定する場合、センサによってフィルムの有無を判定する技術が一般的である。センサによって種別する場合、たとえば透過原稿用光源を有効にするために、原稿台カバーを外すが、原稿台カバーが外されたことを検知する。また、フィルムをセットするためのフィルムガイドが置かれたことを検知することによって、透過原稿であると判定し、透過原稿のスキャン処理を実行する。
【0005】
また、原稿を、透過原稿と反射原稿との両方で読込み、どちらが適切かを判定する発明が知られている。
【0006】
原稿の種別を判定する場合、プレスキャン動作を行い、スキャンされた結果を画像解析し、特定のマークやパターン等を識別することによって、透過原稿であるかどうかを判定する発明が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−241838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ハードウェアで、反射原稿、透過原稿を判定する場合、デバイスがコストアップするという問題がある。また、プレスキャンによって、反射原稿、透過原稿を判定する場合、プレスキャン自体の時間がスキャンに加味されることによって、最終的なスキャン時間が長くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、1つの画像読取装置で、反射原稿、透過原稿の両方を読み取る場合、コストがアップせず、また、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができる画像読取装置、画像読取方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定し、透過原稿であると判定した場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると判定した場合、先に読み取ったデータを用いる画像読取装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1つの画像読取装置で、反射原稿、透過原稿の両方を読み取る場合、画像読取装置のコストがアップせず、また、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1である画像読取装置100の断面図である。
【図2】実施例においてスキャナ本体101の機能構成を示すブロック図である。
【図3】実施例においてホストPC221の概略構成を示す図である。
【図4】オートモードスキャンの全体の流れを示すフローチャートである。
【図5】オートモード原稿種別判定(S01)の具体的なフローチャートである。
【図6】原稿台全面を読み取った場合におけるイメージを示す図である。
【図7】原稿を識別するために読み込む領域を示す図である。
【図8】オートモード反射原稿スキャン(S03)を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2の動作を示すフローチャートである。
【図10】オートモード透過原稿スキャン(S04)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明を実施するための形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1である画像読取装置100の断面図である。画像読取装置100は、スキャナ本体101と、透過原稿ユニット102とを有する。
【0015】
スキャナ本体101は、不図示のインタフェースケーブルによって、ホストPCに接続されている。ホストPCは、ホストコンピュータである。スキャナ本体101は、移動光学ユニット104と、原稿台ガラス105と、電気基板106と、パルスモータ107と、無端ベルト108と、プーリ109、110と、ギア列111と、ガイドレール112と、白色基準板113とを有する。
【0016】
白色基準板113の中には、黒マーク136が有り、スキャナ本体101は、黒マーク136を基準にし、読み取りエリアを決め、画像を読み取る。移動光学ユニット104とパルスモータ107とは、それぞれ不図示のケーブルによって電気的に接続されている。また、移動光学ユニット104は、ガイドレール112を介して、載置部114によって摺動可能に載置されている。載置部114は、無端ベルト108に固着されている。
【0017】
移動光学ユニット104は、反射原稿用光源115と、複数の反射ミラー116、117、118と、結像レンズ119と、撮像手段であるラインセンサ120とを有する。
【0018】
電気基板106は、反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定手段の例である。また、電気基板106は、透過原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、先に読み取ったデータを用いる制御手段の例である。
【0019】
次に、スキャナ本体101における反射原稿の読み取り動作について説明する。ホストPCからの読み取りコマンド命令コマンドによって、スキャナ本体101が読み取り動作を開始する。スキャナ本体101は、反射原稿が指定されると、移動光学ユニット104の反射原稿用光源115を点灯し、読み取り原稿103からの反射光が、複数の反射ミラー116、117、118で反射し、結像レンズ119を介して、ラインセンサ120に結像する。これによって、主走査方向1ライン分の画像を読み取る。透過原稿が指定されると、透過原稿ユニット102の透過原稿用光源135を点灯し、読み取り原稿103を介した透過光が、複数の反射ミラー116、117、118で反射し、結像レンズ119を介して、ラインセンサ120に結像する。これによって、主走査方向1ライン分の画像を読み取る。
【0020】
また、パルスモータ107の動力が、ギア列111を介して、プーリ109を回転させ、無端ベルト108を駆動する。これによって、無端ベルト108を介して、載置部114に固着されている移動光学ユニット104は、矢印Xで示す副走査方向に、ガイドレール112上を移動する。
【0021】
スキャナ本体101は、移動光学ユニット104を、副走査方向に移動しつつ、上記主走査方向のライン画像の読み取りを繰り返す。スキャナ本体101は、図1に点線で示す位置まで、読み取り動作をしながら移動光学ユニット104を移動させることによって、原稿台ガラス105の全面をスキャンすることができる。
【0022】
図2は、実施例においてスキャナ本体101の機能構成を示すブロック図である。図1に示す構成と同じ構成には、同じ符号を付してある。移動光学ユニット104において、光源点灯回路224は、反射原稿用光源115と透過原稿用光源135とを点灯する回路であり、この中に、光源の光量検知を行う検知部が含まれている。反射原稿用光源115と透過原稿用光源135とに、冷陰極管を用いた場合、いわゆるインバータ回路を使用する。
【0023】
電気基板106において、アナログゲイン調整器227R、227G、227Bは、ラインセンサ120から出力されたアナログ画像信号を可変増幅することができる。A/D変換機228は、アナログゲイン調整器227R、227G、227Bから出力されたアナログ画像信号を、デジタル画像信号に変換する。
【0024】
画像処理部229は、デジタル信号化された画像信号に、オフセット補正、シェーディング補正、デジタルゲイン調整、カラーバランス調整、マスキング、主・副走査方向の解像度変換、画像圧縮等、画像処理を行う。ラインバッファ230は、画像データを一時的に記憶し、汎用のランダムアクセスメモリを使用している。
【0025】
I/F231は、ホストPC221と通信するためのものであり、ここではUSBインタフェースで実装しているが、IEEE1394やネットワーク等、別のインタフェースを採用するようにしてもよい。
【0026】
オフセットRAM232は、画像処理を行う際のワーキングエリアとして用いられる。オフセットRAM232は、ラインセンサ120に、RGB用ラインセンサが、それぞれ、所定のオフセットを持って平行に配置されているので、そのRGBライン間オフセットの補正値として用いられる。また、オフセットRAM232は、シェーディング補正等の各種データを、一時記憶し、ここでは、汎用のランダムアクセスメモリを使用している。ガンマRAM233は、ガンマカーブを記憶し、ガンマ補正を行うためのガンマRAMである。
【0027】
システムコントローラ226は、フィルムスキャナ全体のシーケンスを記憶しているシステムコントローラであり、ホストPC221からの命令に従って、各種制御を行う。CPUバス234は、システムコントローラ226と、画像処理部229と、ラインバッファ230と、I/F231と、オフセットRAM232と、ガンマRAM233とをお互いに接続するCPUバスである。CPUバス234は、アドレスバスとデータバスとによって構成されている。
【0028】
モータ駆動回路225は、パルスモータ107用のモータ駆動回路であり、スキャナ本体101のシステム制御手段であるシステムコントローラ226からの信号によって、パルスモータ107の励磁切替信号を出力する。
【0029】
次に、スキャナ本体101の制御に用いられるホストPC221の概略構成について説明する。
【0030】
図3は、実施例においてスキャナ本体101の制御に用いられるホストPC221の概略構成を示す図である。ホストPC221は、ROM307と、RAM308と、中央処理装置309と、ディスク装置310と、バス311と、I/F312と、I/F313と、外部記憶装置314とを有する。
【0031】
ROM307は、実施例1の制御工程を実現するプログラムを保持する。RAM308は、上記プログラムの動作に必要な記憶領域とワークエリアとである。中央処理装置309は、ROM307に保持されているプログラムに従って処理を行う。
【0032】
バス311は、上記各構成を接続し、各構成間におけるデータの授受を可能とする。I/F312は、画像読取装置100に設けられているスキャナ本体101との間で通信するI/Fである。I/F312は、スキャナ本体101のI/F231と同様に、USBインタフェースで実現しているが、IEEE1394やネットワーク等、別のインタフェースを採用するようにしてもよい。I/F313は、マウスやキーボード等の入力部320と接続する。
【0033】
外部記憶装置314は、CD−ROM等、外部記憶媒体を駆動する装置であり、上記のように、ROM307に制御プログラムを予め保持する代わりに、外部記憶媒体に記憶されている場合、それを読み出してダウンロードする。なお、不図示のネットワークコネクタを介して、ネットワーク経由で制御プログラムをダウンロードするようにしてもよい。
【0034】
次に、画像読取装置100において、オートモードスキャンの制御方法について説明する。ホストPC221上から、スキャナ本体101に画像を数回読取らせることによって、オートモードスキャンを実現する。オートモードスキャンは、ホストPC221の不図示のオートモードスキャン実行ボタンをクリックすることによって起動する場合や、スキャナ本体101上の不図示のオートスキャン実行ボタン等によって起動する。
【0035】
図4は、オートモードスキャンの全体の流れを示すフローチャートである。
【0036】
オートモードスキャンが開始されると、まず、S01で、オートモード原稿種別判定処理によって、原稿種別Yを判定する。S02で、条件判定(S01)で原稿種別Yが反射原稿であると判定されると、S03で、オートモード反射原稿スキャンを実行する。原稿種別Yが透過原稿であれば、S04で、オートモード透過原稿スキャンを実行する。
【0037】
図5は、図4に示すオートモード原稿種別判定(S01)の動作を具体的に示すフローチャートである。
【0038】
まず、S21で、原稿台全面をスキャンする。S22では、原稿台全面のスキャンの結果である原稿台全面スキャン画像Xを、保存する。
【0039】
図6は、原稿台全面を読み取った場合におけるイメージを示す図である。
【0040】
図6(a)は、反射原稿を置いた場合に、原稿台全面をスキャンして得られる画像を示す図である。
【0041】
反射原稿の場合、原稿台全面に原稿を置くことができ、反射スキャン領域400は、原稿台全面と同じである。反射原稿の場合、反射スキャン領域400に、原稿が存在するか、原稿がない場合には、天板にセットされた白色の反射板が存在する。
【0042】
図6(b)は、透過原稿を置いた場合、原稿台全面をスキャンして得られる画像を示す図である。
【0043】
透過原稿を置くことができる領域は、フィルムプレビュー領域401で示す領域である。透過原稿を置く場合、正しい位置に原稿をセットできるように、フィルムガイド403を、原稿台上に載置し、そのフィルム載置領域に、透過原稿をセットする。
【0044】
フィルムガイドは、光を反射も透過もし難い素材で構成され、スキャン時には、暗い画像になる。また、フィルムガイドには、一部の切り欠きが存在する。これは、透過原稿のスキャン時に、スキャナのキャリブレーションを行うための領域、フィルムキャリブレーションウィンドウ405である。
【0045】
フィルムキャリブレーションウィンドウ405は、スキャン時に透過原稿を100%透過するので、明るい画像である。また、フィルムプレビュー領域以外の原稿台の領域であるフィルムプレビュー外領域402は、透過原稿時には、反射原稿時に反射板を外し、露呈されるデバイス本体の素材になる。通常、これらは、反射しにくい黒の素材である。
【0046】
両原稿の差が出る領域の画像を比較することによって、どちらの原稿が置かれているかを判断する。透過原稿において固定される領域は、フィルムキャリブレーションウィンドウと、フィルムガイドと、フィルムプレビュー外領域とである。
【0047】
フィルムプレビュー外領域402は、原稿台全面に及ぶが、フィルムキャリブレーションウィンドウとフィルムガイドとの領域に着目することによって、判定をすることができる。
【0048】
図7は、原稿を識別するために読み込む領域を示す図である。
【0049】
図7(a)、図7(b)における領域を抜き出した図が、それぞれ、図7(c)、図7(d)である。図7(b)に示す画像は、固定であるので、これとの一致の度合いによって、透過原稿のためのフィルムガイドの有無を識別することができる。
【0050】
図5に戻り、S23では、上記原稿台全面スキャン画像Xから、原稿種別判定領域406をクロップする。クロップされたスキャン画像を、S24で、解析し、フィルムガイドの有無を判定する。フィルムガイドが検出されると、S27で、原稿種別Yという関数に透過原稿をセットし、フィルムガイドが検出されなければ、S26で、原稿種別Yという関数に反射原稿をセットする。そして、S28で、原稿種別Yを返す。
【0051】
図8は、図4に示すオートモード反射原稿スキャン(S03)を具体的に示すフローチャートである。
【0052】
オートモード反射原稿スキャン(S03)は、図4に示す条件判定において、原稿種別Yが反射原稿であれば、実行される。S02のオートモード反射原稿スキャンで、反射原稿であると判断された場合に、S51で、原稿台全面を、スキャンし、スキャンの結果を、原稿台全面スキャン画像Xという関数に保持する。そして、S52で、オートモード原稿種別判定S01で保存された原稿台全面スキャン画像Xを解析し、原稿部分を検出する。S53で、原稿が複数あると判断されれば、複数の原稿が検出され、S54で、原稿台全面スキャン画像Xから、原稿部分を抜き出すクロップ処理を行う。これによって、原稿台全面をスキャンしても、ユーザが必要な領域を選択してスキャンした場合と同じ結果を得ることができる。クロップされた画像は、S55で、その画像に応じた適切な画像処理がなされ、S56で、出力スキャン画像Zという関数が出力される。複数の原稿が検出されると、続いてS57で、次の原稿の処理に移動する。最後の原稿になったら終了する。
【0053】
一般的には、反射原稿を使う割合が多いので、原稿が反射原稿であるという前提で、全部を読み取る。このようにすれば、原稿読み取りする度に、反射原稿であるか透過原稿であるかを判断し、その判断に基づいて、原稿読み取りする場合よりも、全体としての処理時間が短いという効果を奏する。
【0054】
なお、透過原稿を読み取る場合、一旦、反射原稿として読み取り、その後に、透過原稿として読み取るので、透過原稿を反射原稿として読み取る時間が無駄になるが、透過原稿の数、割合が少ないので、全体としてみれば、読み取る時間が短い。
【0055】
つまり、実施例1において、反射原稿が載置されていれば、上記のように、従来における原稿種別判定のためのスキャン動作を省略することができ、このスキャン時間だけ、オートモードスキャンを高速で実現することができる。つまり、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができる。
【実施例2】
【0056】
図9は、本発明の実施例2の動作を示すフローチャートである。実施例2は、図4に示すオートモード原稿種別判定(S01)を、別の方法で実現するフローチャートである。
【0057】
実施例2において、S01で、オートモード原稿種別判定が開始されると、S31で、別スレッドを起動する。その後に、S32で、スキャナから1ライン分のデータを取得し、メモリまたはストレージ等の記憶領域に、取得したデータを保存する。S33で、ライン数を増加し、S34で、スキャンしようとした最終ラインに達しているかどうかを判定し、全て読み終われば、S35で、原稿台全面スキャン画像Xとして、今まで蓄積されたデータを保存する。
【0058】
ライン数が最終ラインに達していなければ、S36で、キャンセルフラグを評価し、キャンセルが要求されていなければ、処理をS32に移行する。キャンセルが要求されていれば、S37で、スキャンのキャンセル処理を行い、S38で、別スレッドの終了を待ってから、S39で、原稿種別Yを返して、終了する。最終ラインではなく、キャンセルも要求されていなければ、S32からS36までの処理を繰り返す。
【0059】
一方、S31で作成された別スレッドは、S33でカウントアップされているライン数を、S41で、チェックする。ライン数が原稿種別判定領域406に満たなければ、S41でのチェックを繰り返す。ライン数が原稿種別判定領域406になれば、S42で、その画像データを解析し、フィルムガイドを検出する。フィルムガイドが検出されなければ、S46で、原稿種別Yという関数に、反射原稿を保存し、スレッドを終了する。
【0060】
フィルムガイドが検出されれば、S44で、キャンセルフラグを有効にし、原稿種別Yという関数に、透過原稿を保存し、スレッドを終了する。S44でセットされたキャンセルフラグは、メインスレッドのS36で、評価され、スキャンの動作を途中で中止する。
【0061】
S31からS39の動作と、S41からS47の動作とは、別スレッドで動きであり、同時に処理される。
【0062】
つまり、反射原稿読取手段で反射原稿の読み取り動作を行うと同時に、反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部を取り出し、上記データの一部が得られたら、上記原稿判定手段が原稿種別を判定する。透過原稿であると判定すると、上記読み取り動作を中止し、上記透過原稿読取手段が透過原稿として読み取り、反射原稿であると判定すると、上記反射原稿読取手段での反射原稿の読み取りを継続し、そのデータを用いる。
【0063】
実施例2によれば、透過原稿が積置されていた場合でも、原稿台全面で反射原稿を読むことを中断させることができ、従来例における所要時間に、キャンセル処理を追加した時間で、オートモードのスキャンを実行することができる。これによって、透過原稿時の速度的な低下を低減することができ、すなわち、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができる。
【実施例3】
【0064】
本発明の実施例3は、実施例1において、反射原稿を、透過原稿に置き換えた実施例である。実施例3において、透過原稿が載置されていれば、従来、実行している原稿種別判定のためのスキャンを省略することができ、この省略された時間だけ、オートモードスキャンを高速に実現することができる。つまり、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができる。
【0065】
実施例3において、電気基板106は、透過原稿読取手段が透過原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定手段の例である。また、電気基板106は、反射原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、反射原稿として上記反射原稿読取手段に読み取らせ、透過原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、先に読み取ったデータを用いる制御手段の例である。
【0066】
図10は、オートモード透過原稿スキャン(S04)の詳細を示す図である。
【0067】
オートモード透過原稿スキャン(S04)は、図4に示す条件判定において、原稿種別Yが透過原稿であれば、実行される。オートモード透過原稿スキャンにおいて、透過原稿として、スキャンする。フィルムプレビュー領域の画像データを解析することによって、フィルムの種類(ポジフィルム、ネガフィルム等)、形状(スリーブ、マウント等)やコマを検出する。S02のオートモード透過原稿スキャンで、透過原稿であると判断された場合に、S61で、原稿台全面を、スキャンし、スキャンの結果を、原稿台全面スキャン画像Xという関数に保持する。そして、S52で、オートモード原稿種別判定S01で保存された原稿台全面スキャン画像Xを解析し、原稿部分を検出する。S53で、原稿が複数あると判断されれば、複数の原稿が検出され、S54で、原稿台全面スキャン画像Xから、原稿部分を抜き出すクロップ処理を行う。これによって、原稿台全面をスキャンしても、ユーザが必要な領域を選択してスキャンした場合と同じ結果を得ることができる。クロップされた画像は、S55で、その画像に応じた適切な画像処理がなされ、S56で、出力スキャン画像Zという関数が出力される。複数の原稿が検出されると、続いてS57で、次の原稿の処理に移動する。最後の原稿になったら終了する。
【0068】
透過原稿を使う割合が多ければ、原稿が透過原稿であるという前提で、全部を読み取る。このようにすれば、原稿読み取りする度に、透過原稿であるか反射原稿であるかを判断し、その判断に基づいて、原稿読み取りする場合よりも、全体としての処理時間が短いという効果を奏する。
【0069】
なお、反射原稿を読み取る場合、一旦、透過原稿として読み取り、その後に、反射原稿として読み取るので、反射原稿を透過原稿として読み取る時間が無駄になるが、反射原稿の数、割合が少なければ、全体としては、読み取る時間が短い。
【0070】
つまり、実施例3において、透過原稿が載置されていれば、上記のように、従来における原稿種別判定のためのスキャン動作を省略することができ、このスキャン時間だけ、オートモードスキャンを高速で実現することができる。つまり、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができる。
【実施例4】
【0071】
本発明の実施例4は、実施例2において、反射原稿を透過原稿に置き換えて実行する実施例である。反射原稿が載置されていた場合に、透過原稿を読み取る動作を中断させることができる。この読み取り中断によって、従来、所要時間にキャンセル処理を追加した時間だけ、オートモードのスキャンを実行することができる。このために、反射原稿時の速度的な低下を低減することができ、つまり、複数回のスキャンにおける平均スキャン時間を短くすることができる。
【実施例5】
【0072】
本発明の実施例5は、ユーザが日常多く使う読取手段を登録手段に予め登録する登録手段を設け、この登録された読取手段によって、全体を読み取り、その後に原稿種別を判定する実施例である。つまり,上記登録手段は、ユーザが日常多く使う読取手段として、反射原稿読取手段または透過原稿読取手段を、登録手段に予め登録する登録手段の例である。
【0073】
上記実施例5は、反射原稿で全体を読むのか、透過原稿で全体を読むのかについて、画像読取装置側またはドライバ上で、予め決めてある。
【0074】
反射原稿よりも透過原稿の読み取りを行うことが多いユーザが、反射原稿で全体を読み取った後に原稿判定し、オートモードスキャンを実行すると、反射原稿で全体を読む時間が無駄になる。この無駄を除くために、実施例5では、ユーザがスキャナ本体上、または、ホストPC221上から、反射原稿、透過原稿のどちらの読み込みを優先させて行うかを、予め登録可能な登録手段を設ける。これによって、ユーザが日常的に良く使う原稿種別に対して、最も早い原稿種別の判定と読み込み処理とを行うことができる。
【実施例6】
【0075】
上記実施例の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を想定することができる。この記録媒体をシステムまたは装置に供給し、このシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が、記録媒体に格納されているプログラムコードを読み出し実行することによって、本発明の目的が達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、上記実施例の機能を実現し、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成する。
【0076】
プログラムコードを供給するための記憶媒体として、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD等を用いることができる。
【0077】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードの指示に基づいて、コンピュータ上で稼動しているOperating System(OS)等が、実際の処理の一部または全部を実行し、この処理によって、上記実施例の機能が実現される。
【0078】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入されている機能拡張ボードやコンピュータに接続されている機能拡張ユニットに具備されているメモリに書き込まれる。その後に、そのプログラムコードの指示に基づいて、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに具備されているCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施例の機能が実現される。
【0079】
上記実施例によれば、ハードウェアのコストアップなしに、反射原稿が載置されていた場合のオートモードスキャンを高速化することができる。また、上記実施例によれば、透過原稿が載置されていた場合でも、そのオートモードスキャンのスピードの低下を抑えることができる。
【0080】
さらに、上記実施例によれば、ハードウェアのコストアップなしに、透過原稿が載置されていた場合のオートモードスキャンを高速化することができる。しかも、上記実施例によれば、反射原稿が載置されていた場合でも、そのオートモードスキャンのスピードの低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0081】
100…画像読取装置、
102…透過原稿ユニット、
104…移動光学ユニット、
X…原稿台全面スキャン画像、
Y…原稿種別。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射させて反射原稿を読み取る反射原稿読取手段と;
光を透過させて透過原稿を読み取る透過原稿読取手段と;
上記反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定手段と;
透過原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、先に読み取ったデータを用いる制御手段と;
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1であって、
上記反射原稿読取手段で反射原稿の読み取り動作を行うと同時に、上記反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部を取り出し、上記データの一部が得られたら、上記原稿判定手段が原稿種別を判定し、透過原稿であると判定すると、上記読み取り動作を中止し、上記透過原稿読取手段が透過原稿として読み取り、反射原稿であると判定すると、上記反射原稿読取手段での反射原稿の読み取りを継続し、そのデータを用いることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
光を反射させて反射原稿を読み取る反射原稿読取手段と;
光を透過させて透過原稿を読み取る透過原稿読取手段と;
上記透過原稿読取手段が透過原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定手段と;
反射原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、反射原稿として上記反射原稿読取手段に読み取らせ、透過原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、先に読み取ったデータを用いる制御手段と;
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3であって、
上記透過原稿読取手段で透過原稿の読み取り動作を行うと同時に、上記透過原稿読取手段が透過原稿として読み取ったデータの一部を取り出し、上記データの一部が得られたら、上記原稿判定手段で原稿種別を判定し、反射原稿であると判定すると、上記読み取り動作を中止し、上記反射原稿読取手段が反射原稿として読み取り、透過原稿であると判定すると、上記透過原稿読取手段での透過原稿の読み取りを継続し、そのデータを用いることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
光を反射させて反射原稿を読み取る反射原稿読取手段と;
光を透過させて透過原稿を読み取る透過原稿読取手段と;
ユーザが日常多く使う読取手段として、上記反射原稿読取手段または上記透過原稿読取手段を、登録手段に予め登録する登録手段と;
上記登録手段に登録されている上記反射原稿読取手段または上記透過原稿読取手段が読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定手段と;
上記登録手段に上記反射原稿読取手段が登録され、透過原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、先に読み取ったデータを用い、一方、上記登録手段に上記透過原稿読取手段が登録され、反射原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、反射原稿として上記反射原稿読取手段に読み取らせ、透過原稿であると上記原稿判定手段が判定した場合、先に読み取ったデータを用いる制御手段と;
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
光を反射させて反射原稿を反射原稿読取手段が読み取る反射原稿読取工程と;
光を透過させて透過原稿を透過原稿読取手段が読み取る透過原稿読取工程と;
上記反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定工程と;
透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用いる制御工程と;
を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項7】
光を反射させて反射原稿を反射原稿読取手段が読み取る反射原稿読取工程と;
光を透過させて透過原稿を透過原稿読取手段が読み取る透過原稿読取工程と;
上記透過原稿読取手段が透過原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定工程と;
反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、反射原稿として上記反射原稿読取手段に読み取らせ、透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用いる制御工程と;
を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項8】
光を反射させて反射原稿を反射原稿読取手段が読み取る反射原稿読取工程と;
光を透過させて透過原稿を透過原稿読取手段が読み取る透過原稿読取工程と;
ユーザが日常多く使う読取手段として、上記反射原稿読取手段または上記透過原稿読取手段を、登録手段に予め登録する登録工程と;
上記登録手段に登録されている上記反射原稿読取手段または上記透過原稿読取手段が読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定工程と;
上記登録工程で上記反射原稿読取手段が登録され、透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用い、一方、上記登録工程で上記透過原稿読取手段が登録され、反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、反射原稿として上記反射原稿読取手段に読み取らせ、透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用いる制御工程と;
を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項9】
光を反射させて反射原稿を反射原稿読取手段が読み取る反射原稿読取工程と;
光を透過させて透過原稿を透過原稿読取手段が読み取る透過原稿読取工程と;
上記反射原稿読取手段が反射原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定工程と;
透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用いる制御工程と;
を画像読取装置に実行させるプログラム。
【請求項10】
光を反射させて反射原稿を反射原稿読取手段が読み取る反射原稿読取工程と;
光を透過させて透過原稿を透過原稿読取手段が読み取る透過原稿読取工程と;
上記透過原稿読取手段が透過原稿として読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定工程と;
反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、反射原稿として上記反射原稿読取手段に読み取らせ、透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用いる制御工程と;
を画像読取装置に実行させるプログラム。
【請求項11】
光を反射させて反射原稿を反射原稿読取手段が読み取る反射原稿読取工程と;
光を透過させて透過原稿を透過原稿読取手段が読み取る透過原稿読取工程と;
ユーザが日常多く使う読取手段として、上記反射原稿読取手段または上記透過原稿読取手段を、登録手段に予め登録する登録工程と;
上記登録手段に登録されている上記反射原稿読取手段または上記透過原稿読取手段が読み取ったデータの一部に基づいて、読み取った原稿が反射原稿であるか、透過原稿であるかを判定する原稿判定工程と;
上記登録工程で上記反射原稿読取手段が登録され、透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、透過原稿として上記透過原稿読取手段に読み取らせ、反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用い、一方、上記登録工程で上記透過原稿読取手段が登録され、反射原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、反射原稿として上記反射原稿読取手段に読み取らせ、透過原稿であると上記原稿判定工程で判定された場合、先に読み取ったデータを用いる制御工程と;
を画像読取装置に実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−15309(P2011−15309A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159258(P2009−159258)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】