説明

画像読取装置

【課題】原稿の両面を読取可能な画像読取装置において、省エネルギー及び静音性に優れた構成を実現する。
【解決手段】イメージスキャナ装置20は、原稿を原稿搬送経路に沿って搬送する複数の送りローラを備え、この送りローラは第1モータ201によって駆動される。クラッチ58,66は、伝達ギア群71が伝達した第1モータ201の動力を、送りローラに伝達するか遮断するかを切替可能である。イメージスキャナ装置20が備える制御部は、片面読取モードでは、第1モータ201が発生させた動力を、複数の送りローラのうち片面専用の送りローラに対して伝達するとともに、両面専用の送りローラには伝達しないようにクラッチ58,66を制御する。また、制御部は、両面読取モードでは、第1モータ201が発生させた動力を両面専用の送りローラに対して伝達するとともに、片面専用の送りローラには伝達しないようにクラッチ58,66を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の両面を読み取ることが可能な画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動原稿搬送装置(ADF)を備えたイメージスキャナ装置等の画像読取装置において、自動で原稿の両面の画像を読取可能とするために、様々な構成が従来から提案されている。例えば、表面用と裏面用にそれぞれ原稿読取部を備え、ワンパスで両面読取りを行う構成や、原稿の搬送方向を逆転させる、いわゆるスイッチバック機能を備えた構成等が知られている。
【0003】
上記の他にも、原稿を反転させる経路を設けることで、1つの読取部で原稿の表側の面と裏側の面との両面を読み取らせる構成の画像読取装置が知られている。特許文献1及び特許文献2は、この種の画像読取装置を開示する。
【0004】
特許文献1は、以下のように構成される画像読取装置を開示する。即ち、画像読取装置は、導入パスと、反転パスと、排出パスと、を有するシート搬送パスを備える。導入パスは、原稿を一端部から読取位置へ導く。反転パスは、前記読取位置の他端部から排出された原稿の表裏を反転させて再び前記他端部から前記読取位置へ導く環状に構成されている。排出パスは、前記読取位置の前記一端部から排出された原稿を排出部へ排出する。また、前記自動原稿送り装置は、前記シート搬送パスに設けられていて、シート原稿を送る方向の一方向に回転する複数の原稿送り回転体と、前記原稿送り回転体を駆動するものであって一方向に回転する駆動手段と、を備える。
【0005】
特許文献2は、以下のように構成される画像読取装置を開示する。即ち、画像読取装置は、原稿を積載するトレイと、このトレイより1枚ずつ原稿を送り出す給送手段と、を備える。また、両面原稿送り装置は、送り出された原稿の第1の面を走査面に送り込み走査後に原稿の表裏面を反転して上記走査面へと原稿の第2の面を送り、第2の面の走査後に排出してなる搬送手段を備える。そして、上記搬送手段は、送り出された原稿の第1の面を上記走査面に送り込む第1の搬送手段と、第1の面の走査後に原稿の表裏面を搬送状態を逆転することなく原稿の表裏面を反転する反転手段と、を有する。また、上記搬送手段は、この反転手段にて搬送状態を逆転することなく表裏面が反転された原稿の第2の面を上記走査面に送り込むために上記第1の搬送手段の一部を共用した搬送部を経由し上記第1の面の送り方向と逆方向より送り込む第2の搬送手段を有する。そして、搬送手段は、上記一部を共用した搬送部の位置から上記第1又は第2の搬送手段を介して上記走査面へと送り込む方向を選択的に分岐する分岐手段と、第2の面の走査後に原稿を排出する排出手段と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−247642号公報
【特許文献2】特開平10−69129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2の画像読取装置は、反転パスを備える必要があるため、上述のワンパス方式又はスイッチバック方式と比較して、搬送経路を短く構成することが困難である。また、搬送ローラ(原稿送り回転体)を多く配置する必要があるため、これらの搬送ローラを駆動するために、比較的サイズの大きいモータ又は複数個のモータが必要になることが多い。この結果、消費電力が大きくなり、原稿搬送時の騒音も大きくなってしまう。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、反転パスを備え、原稿の両面の画像を読み取る手段を備えた画像読取装置において、省エネルギー性及び静音性に優れる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成の画像読取装置が提供される。即ち、画像読取装置は、原稿トレイと、分離部と、読取部と、原稿搬送経路と、送りローラと、駆動源と、動力伝達部と、クラッチと、制御部と、を備える。前記原稿トレイは、原稿をセット可能である。前記分離部は、前記原稿トレイに積層された前記原稿を1枚ずつ分離して搬送する。前記読取部は、前記原稿の画像情報を読み取る。前記原稿搬送経路は、前記原稿の片面のみを読み取るときは、前記原稿の片面のみが前記読取部によって読み取られるように前記原稿を案内し、前記原稿の両面を読み取るときは、前記原稿の両面が前記読取部によって読み取られるように前記原稿を案内する。前記送りローラは、前記原稿を前記原稿搬送経路に沿って搬送する。前記駆動源は、前記送りローラを回転させるための動力を発生させる。前記動力伝達部は、前記駆動源が発生させた動力を伝達する。前記クラッチは、前記動力伝達部の動力を前記送りローラに伝達するか遮断するかを切替可能である。前記制御部は、前記原稿の片面のみを読み取るときは、前記駆動源が発生させた動力を、前記送りローラのうち片面のみを読み取るときに用いる送りローラに対して伝達するとともに、両面を読み取るときにのみ用いる送りローラのうち少なくとも一部に対しては伝達しないように前記クラッチを制御する。また、前記制御部は、前記原稿の両面を読み取るときは、前記駆動源が発生させた動力を、前記送りローラのうち両面を読み取るときにのみ用いる送りローラに対して伝達するとともに、片面のみを読み取るときにのみ用いる送りローラのうち少なくとも一部に対しては伝達しないように前記クラッチを制御する。
【0011】
これにより、片面読取と両面読取を切替可能なADF型の画像読取装置を提供できる。また、原稿が搬送されない経路の送りローラに動力を伝達しないようにできるので、駆動源の負担を軽減することができ、省エネルギーで低騒音な画像読取装置を実現できる。
【0012】
前記の画像読取装置においては、前記クラッチは電磁クラッチであることが好ましい。
【0013】
これにより、画像読取装置を小型化及び軽量化することができる。また、電磁クラッチは電気信号で制御可能なため、簡単な構成で制御を行うことができる。
【0014】
前記の画像読取装置は以下の構成であることが好ましい。即ち、前記原稿搬送経路は、片面専用経路と両面専用経路とを含む。前記片面専用経路は、前記原稿の片面のみを読み取るときにのみ当該原稿が搬送される。前記両面専用経路は、前記原稿の両面を読み取るときにのみ当該原稿が搬送される。前記送りローラは、片面専用送りローラと両面専用送りローラとを含む。前記片面専用送りローラは、前記片面専用経路に設置される。前記両面専用送りローラは、前記両面専用経路に設置される。前記制御部は、前記原稿の片面のみを読み取るときは、前記片面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を伝達し、前記両面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を遮断するように前記クラッチを制御する。一方、前記制御部は、前記原稿の両面を読み取るときは、前記両面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を伝達し、前記片面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を遮断するように前記クラッチを制御する。
【0015】
これにより、クラッチを制御するだけで、原稿の搬送に必要のない送りローラを停止させることができる。従って、一層の省エネルギーを実現できる。
【0016】
前記の画像読取装置においては、前記両面専用経路は、第1両面専用経路と第2両面専用経路を含む。第1両面専用経路は、前記分離部によって分離された前記原稿の一方の面が前記読取部によって読み取られるように前記原稿を案内する。前記第2両面専用経路は、前記第1両面専用経路を通って一方の面が読み取られた前記原稿の他方の面が前記読取部によって読み取られるように前記原稿を反転させて案内する。
【0017】
これにより、第1両面専用経路と第2両面専用経路を設けることで、両面読取時に原稿が搬送される経路を柔軟に設定することができる。
【0018】
前記の画像読取装置においては、前記クラッチは、前記片面専用経路と前記両面専用経路とが合流する合流部の近傍に設置されていることが好ましい。
【0019】
これにより、動力伝達部及びクラッチを含めた動力伝達経路の構成を簡単にすることができる。
【0020】
前記の画像読取装置においては、前記駆動源が発生させた動力は、前記動力伝達部と、前記読取部による原稿の読取位置の近傍に配置された送りローラに動力を伝達する動力伝動部と、に分かれて伝達されることが好ましい。
【0021】
これにより、読取位置の近傍の送りローラが前記クラッチを経由せずに直接駆動されるので、読取位置の近傍の送りローラの回転に対して前記クラッチのガタが悪影響を及ぼすことを回避できる。この結果、原稿の読取時のブレを抑制でき、読取画像の歪みを防止することができる。
【0022】
前記の画像読取装置においては、片面のみを読み取るときに前記駆動源に流れる電流が、両面を読み取るときに前記駆動源に流れる電流より小さいことが好ましい。
【0023】
これにより、原稿の片面のみを読み取る場合は、原稿の搬送時の消費電力を節約することができる。一方で、原稿の両面を読み取る場合は、片面のみを読み取る場合に比べて大きな動力が一般的に必要になるが、その動力を生じさせるのに十分な電流を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機の正面図。
【図2】複合機が備えるイメージスキャナ装置におけるADFの正面断面図。
【図3】ADFの各ローラに動力を伝えるための動力伝達経路を示す正面図。
【図4】ADFの電気的な構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る複合機10の正面図である。
【0026】
図1に示す複合機10は、ブックスキャナ及びオートドキュメントフィードスキャナとして機能するイメージスキャナ装置(画像読取装置)20を、当該複合機10の上部に備えている。また、複合機10は、コピー部数及び原稿読取モード(片面読取モード、両面読取モード等)等を指示するための操作パネル12を備える。
【0027】
更に、複合機10は、記録媒体としての用紙に画像を形成する画像形成部等を内蔵した本体11と、前記用紙を順次供給する給紙カセット79と、を備えている。この本体11は、通信回線を介して画像データを伝送するための図略の送受信部等を備える。
【0028】
イメージスキャナ装置20は、図略のプラテンガラスと原稿台カバー13とを備えている。この原稿台カバー13には自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)21が備えられている。また、イメージスキャナ装置20は、原稿の画像を読み取るためのスキャナユニット25を備えている。
【0029】
このスキャナユニット25は、光源、反射ミラー、集光レンズ及びCCD等を備える縮小光学系のスキャナ部として構成されており、ADF21内を搬送される原稿を所定の読取位置90で読み取ることができる。スキャナユニット25は、原稿搬送経路70を搬送されてきた原稿に対し、前記光源からの光を照射する。原稿からの反射光は前記CCDへ導かれて結像し、このCCDは原稿に応じた電気信号を出力する。
【0030】
以上の構成で、イメージスキャナ装置20をオートドキュメントフィードスキャナとして使用する場合は、前記ADF21によって原稿を1枚ずつ搬送する。そして、原稿は、その片面のみ又は両面がスキャナユニット25によって読み取られる。
【0031】
一方、イメージスキャナ装置20をブックスキャナとして使用する場合は、読み取るべきブック原稿をユーザがプラテンガラス上に載置して、その上から原稿台カバー13によって押圧し、ブック原稿が動かないように固定する。この状態で、スキャナユニット25によって原稿の画像を読み取ることができるようになっている。
【0032】
上記した何れかの方法によって読み取られた画像データは、前記画像形成装置等に入力される。そして、給紙カセット79から供給される用紙に当該データが印刷されることで、複合機10のコピー機能を実現することができる。あるいは、画像のデータを相手先のファクシミリ装置に伝送することで、複合機10のファクシミリ送信機能を実現することができる。
【0033】
次に図2を参照して、イメージスキャナ装置20が備えるADF(自動原稿搬送装置、オートドキュメントフィーダ)21の詳細な構成について説明する。図2は、ADF21の正面断面図である。
【0034】
イメージスキャナ装置20は、原稿99を読み取るためのスキャナユニット25と、原稿99を搬送するためのADF21と、を備えており、このADF21の底部には、原稿99を読み取るためのコンタクトガラス45が配置されている。このコンタクトガラス45は、前記スキャナユニット25の読取位置90に対応するように配置されている。また、このコンタクトガラス45は、読取位置90を通過する原稿99の下側の面に対面するように配置される。
【0035】
ADF21の内部には、読取位置90を通過するように原稿トレイ23と排出トレイ24とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路70が構成されている。この原稿搬送経路70は、導入パス80と、片面専用パス(片面専用経路)81と、第1両面専用パス(第1両面専用経路)83と、第2両面専用パス(第2両面専用経路)84と、共通案内パス85と、排出パス82と、を備えている。以下に、原稿搬送経路70を構成するこれらのパスについて説明する。
【0036】
導入パス80は、原稿トレイ23上の原稿99をADF21内に導入するためのものである。導入パス80は、図2に示すように、ADF21内に原稿トレイ23の原稿99が供給される位置から、原稿トレイ23から離れる向きに略水平に延びる構成となっている。この導入パス80の経路上には、ピックアップローラ31が配置されている。また、このピックアップローラ31の下流側であって導入パス80の経路上には、分離ローラと、この分離ローラに対向配置される対向ローラ等で構成される分離部32が配置されている。
【0037】
ピックアップローラ31は前記分離ローラの回転軸を中心にして回動可能に構成されており、ADF21の非動作時においては、ピックアップローラ31は2点鎖線で示す上側の位置に保持されている。一方、原稿99を繰り込む際はピックアップローラ31が下方に回動し、原稿トレイ23に重ねてセットされている原稿のうち、最上層にある原稿99の端部に接触する(図2に示す実線の位置)。この状態でピックアップローラ31が回転することによって、原稿トレイ23上の最上層の原稿99が分離部32に送られる。
【0038】
ピックアップローラ31によって分離部32へ送られた原稿99は、当該分離部32の前記分離ローラ及び対向ローラの間にニップされる。そして原稿99は、回転駆動する分離ローラ及び対向ローラによって1枚ずつ分離され、下流側のレジストローラ33に送られる。レジストローラ33は、分離部32の下流側であって導入パス80の経路上に配置された1対のローラによって構成されている。レジストローラ33は、分離部32によって搬送されてくる原稿の先頭側を一時的に止めて弛ませ、所定時間後に弛みを除去しつつ下流側に搬送する。これにより、原稿の斜行が矯正される。
【0039】
レジストローラ33の下流側には、導入パス80の下流側端部と、片面専用パス81の上流側端部及び第1両面専用パス83の上流側端部と、が接続される三叉路状の分岐部91が形成されている。この分岐部91には切替装置95が配置されており、この切替装置95は、爪状に形成される回転部材と図略のソレノイドを備えている。切替装置95は、前記ソレノイドによって回転部材を回転させることで、レジストローラ33の駆動によって導入パス80から搬送されてきた原稿99を片面専用パス81又は第1両面専用パス83に振り分けることが可能に構成されている。
【0040】
なお、この片面専用パス81と第1両面専用パス83との間の経路の切替は、前記操作パネル12での原稿読取モードの指定等に基づき、本体11に備えられた制御部110(図4)によって制御される。この制御部110はマイクロコンピュータとされ、演算部としてのCPUと、記憶部としてのROM及びRAMと、を備えて構成されている。
【0041】
片面専用パス81は、原稿99の片面を読み取る場合にのみ使用される経路である。図2に示すように、片面専用パス81は、前記原稿トレイ23から離れる向きに分岐部91からほぼ水平に延びて前記コンタクトガラス45(読取位置90)の上方を通過した後、その向きを下方に向けるように湾曲するように構成されている。また、片面専用パス81は、合流部92で第2両面専用パス84と合流しながら共通案内パス85の上流側端部に接続するように構成されている。この片面専用パス81の経路上には、搬送ローラ(片面専用送りローラ)34,35が配置されている。これらのローラが駆動されることによって、片面専用パス81に案内されてきた原稿99を合流部92まで搬送することができる。
【0042】
共通案内パス85は、片面読取及び両面読取の何れの場合でも共通に使用される経路である。この共通案内パス85は、前記合流部92から下方に延びるとともに、読取位置90に向かうように斜めに(排出トレイ24側に)曲げられた形状に構成されている。この共通案内パス85の経路上には、搬送ローラ(送りローラ)36及び三連ローラ(送りローラ)37が配置されている。搬送ローラ36及び三連ローラ37が駆動されることによって、合流部92に送られた原稿99をADF21の底部の読取位置90まで搬送することができる。なお、三連ローラ37の構成については後述する。
【0043】
本実施形態では、スキャナユニット25による読取位置90が、片面専用パス81及び共通案内パス85からなる横向きU字状の折返し部93よりも下流側に位置するように構成されている。従って、片面専用パス81及び共通案内パス85から構成される経路によって、原稿99は反転した状態で前記読取位置90まで導かれることになる。ここで、原稿トレイ23において原稿99は、その表側の面が上向きとなるようにセットされる。従って、原稿99は、折返し部93を通過することでその表側の面が下側に向けられ、読取位置90においてスキャナユニット25の読取面(コンタクトガラス45)に対面するように搬送されることになる。なお、片面専用パス81を搬送されて読取位置90を通過するときの原稿99の搬送方向は、当該原稿99がピックアップローラ31によって導入パス80に繰り込まれる向きと逆になっている。
【0044】
スキャナユニット25の読取位置90で画像が読み取られた原稿99は、排出パス82へと導かれる。この排出パス82は第1両面専用パス83の下方に配置されており、前記読取位置90から若干斜め上方に延びた後、ほぼ水平方向に延びて排出トレイ24に接続するように構成されている。排出パス82の経路上には三連ローラ(送りローラ)40及び排出ローラ39が配置されており、これらのローラが駆動されることによって原稿99を排出トレイ24に排出するように構成されている。なお、三連ローラ40の構成については後述する。
【0045】
第1両面専用パス83は、原稿99の両面を読み取る場合にのみ使用される経路である。第1両面専用パス83は、前記片面専用パス81の下側に位置し、ほぼ直線的に読取位置90に向かうように構成されている。第1両面専用パス83の経路上には案内ローラ38及び前記三連ローラ40が配置されており、これらのローラが駆動されることによって原稿99が読取位置90まで搬送される。なお、この第1両面専用パス83を通過した原稿99が読取位置90を通過するときの搬送方向は、前記片面専用パス81を通過した原稿99が読取位置90を通過するときの搬送方向と逆になっている。
【0046】
この第1両面専用パス83は、片面専用パス81のように原稿99を反転させることなく読取位置90まで搬送する構成になっている。従って、表側の面を上向きにして原稿トレイ23にセットされた原稿99は、第1両面専用パス83を経由して読取位置90に搬送された場合、その裏側の面が読み取られることになる。そして、第1両面専用パス83は、読取位置90の下流側であって、ADF21の底部近傍で第2両面専用パス84の上流側端部に接続されている。
【0047】
第2両面専用パス84も第1両面専用パス83と同様に、原稿99の両面を読み取る場合にのみ使用される。図2に示すように、第2両面専用パス84は、折返し部94で原稿99を反転させることができるように実質Uターン状に構成されている。具体的には、第2両面専用パス84は、ADF21の底部において前記読取位置90からほぼ水平に(排出トレイ24から離れる向きに)延びた後、その向きを上方に向けるように湾曲する。その後、第2両面専用パス84は、前記原稿トレイ23に近づくように曲げられながら折返し部94を形成して下方へ湾曲し、合流部92で片面専用パス81と合流しながら共通案内パス85の上流側端部に接続するように構成されている。
【0048】
第2両面専用パス84の経路上には、前記三連ローラ37及び搬送ローラ(両面専用送りローラ)41,42,43が配置されている。この構成で、第1両面専用パス83を通過して原稿99の裏側の面が読取位置90で読み取られ、第2両面専用パス84に案内された原稿99は、折返し部94で反転されて原稿の上下の向きが反対になった状態で合流部92まで搬送され、その後は共通案内パス85(搬送ローラ36及び三連ローラ37)によって読取位置90まで再び案内される。従って、原稿99が2回目に読取位置90を通過するときは、当該原稿99の表側の面が読み取られることになる。なお、この第2両面専用パス84を通過した原稿99が読取位置90を通過する向きは、前記第1両面専用パス83を通過した原稿99が読取位置90を通過する向きと逆になっている。
【0049】
また、本実施形態では、第2両面専用パス84は、その経路が比較的長距離になるように構成されている。これは、長い原稿の読取を可能にするためである。つまり、第2両面専用パス84及び共通案内パス85からなる経路の距離が仮に短いと、読取位置を通過して第2両面専用パスで折り返した原稿が再び読取位置で読み取られるときに、当該原稿の一部(末尾側)が未だ読取位置を通過し切れず、干渉が生じて読取が正常に行われなくなってしまう。
【0050】
この点、本実施形態の構成では、ある程度の長さを有する原稿も適切に読み取ることができるように、第2両面専用パス84の長さを十分に確保した設計となっている。また、第2両面専用パス84を通過する原稿99の長さは様々であり、短い長さの原稿であっても第2両面専用パス84に沿って適切に搬送できるように、経路に沿って配置される搬送ローラの間隔をある程度短くする必要がある。従って、本実施形態では、第2両面専用パス84が長く形成されていることに対応して、比較的多い数(具体的には、3つ)の搬送ローラ41,42,43を当該第2両面専用パス84に配置することとしている。
【0051】
また、本実施形態では、片面専用パス81及び第2両面専用パス84の下流側端部(合流部92)と、読取位置90との間を、共通の経路(共通案内パス85)によって接続するように構成されている。言い換えれば、片面専用パス81と第2両面専用パス84とが合流部92で合流し、この合流部92から読取位置90までの共通案内パス85が、片面読取の場合と両面読取の場合で共通に利用されるようになっている。これによって、原稿99を搬送するための部材(搬送ローラ36、三連ローラ37等)を共通化することができ、部品点数の削減が可能となる。また、原稿搬送経路70をコンパクトにまとめることができ、ADF21内の空間を効率的に活用できる。
【0052】
三連ローラ40について説明する。三連ローラ40は、中央側に配置される駆動ローラと、この駆動ローラを挟み込むように配置される2つの従動ローラとで構成されている。三連ローラ40は、駆動ローラが第1両面専用パス83と排出パス82とに挟まれるようにして、読取位置90の近傍に配置される。そして、2つの従動ローラのうち一方が第1両面専用パス83を挟んで駆動ローラに対向して配置され、他方の従動ローラが排出パス82を挟んで駆動ローラに対向して配置されている。この構成で、中央に配置された駆動ローラを駆動して回転させることによって、当該駆動ローラに隣接する2つの従動ローラを同時に回転させることができる。従って、部品点数を削減できるとともに、ADF21内の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0053】
なお、三連ローラ37は前記三連ローラ40と同様の構成であって、その駆動ローラが第2両面専用パス84と共通案内パス85とに上下を挟まれるようにして、読取位置90の近傍に配置されている。そして、2つの従動ローラのうち一方が、読取位置90近傍のADF21底部で、第2両面専用パス84を挟んで駆動ローラに対向するように配置されている。また、他方の従動ローラは、前記駆動ローラの斜め上側であって、前記共通案内パス85を挟んで駆動ローラに対向するように配置されている。
【0054】
また、三連ローラ以外のローラ(分離部32の分離ローラ、レジストローラ33、搬送ローラ34〜36、案内ローラ38、排出ローラ39、搬送ローラ41〜43)も、互いに対向する駆動ローラと従動ローラとから構成されている。即ち、図2において原稿の経路を挟んで対で配置されているローラのうち、少し大きく描かれているのが駆動ローラであり、他方のローラが従動ローラである。また、分離部32においては、図2において上側に描かれているのが駆動ローラである。
【0055】
上記の駆動ローラのそれぞれは、後述のモータの駆動力が伝達されることにより駆動される。一方、従動ローラは、図示しない弾性部材によって駆動ローラに対して押し付けられ、駆動ローラとの間で原稿99をニップできる構成になっている。
【0056】
次に、原稿搬送経路70に配置される上記のローラを駆動するための構成について、図3を参照して説明する。図3は、ADF21の各ローラに動力を伝える駆動伝達経路を示す正面図である。
【0057】
図2を参照して説明したそれぞれのローラ(駆動ローラ)の動力は、図3に示す第1モータ(駆動源)201及び第2モータ202によって供給されている。具体的には、搬送ローラ34〜36,41〜43及び三連ローラ37,40は、第1モータ201によって駆動される。また、分離部32の分離ローラ、レジストローラ33、案内ローラ38及び排出ローラ39は、第2モータ202によって駆動される。
【0058】
第1モータ201及び第2モータ202の出力軸には、第1モータギア50及び第2モータギア59がそれぞれ固定されている。また、ADF21は、第1モータ201及び第2モータ202が発生した動力を各ローラへ伝達するための伝達部材群を備えている。この伝達部材群は、大きく分けて、伝達ギア群(動力伝達部)71と、片面専用プーリ群72と、両面専用ギア群73と、読取用ギア群(動力伝動部)74と、第2ギア群75と、により構成されている。
【0059】
第1モータ201及び第2モータ202は、電気モータとして構成されている。図4に示すように、これらのモータ201,202は前記制御部110と電気的に接続されており、制御部110は、それぞれのモータ201,202の回転及び停止を適宜制御することができる。また、ADF21は電流制御部111を備えており、この電流制御部111は、制御部110からの信号に応じて、第1モータ201に流れる電流を変化させることができるように構成されている。
【0060】
図3に示すように、第1モータ201によって駆動される第1モータギア50は、伝達ギア群71の伝達ギア55と噛み合うとともに、読取用ギア群74の伝達ギア51と噛み合っている。
【0061】
伝達ギア群71は、前記伝達ギア55のほか、ローラギア56及び伝達ギア57を備えている。伝達ギア55は、ローラギア56及び伝達ギア57の双方と噛み合っている。ローラギア56は、図2に示す搬送ローラ36と、シャフトにより連結されている。図3に示すように、伝達ギア57は、第1クラッチ58の入力ギアと噛み合うとともに、第2クラッチ66の入力ギアと噛み合っている。
【0062】
読取用ギア群74は、前記伝達ギア51のほか、ローラギア53、伝達ギア52及びローラギア54を備えている。伝達ギア51は、ローラギア53及び伝達ギア52の双方と噛み合っている。また、ローラギア54は伝達ギア52と噛み合っている。ローラギア53は、図2に示す三連ローラ37とシャフトにより連結されている。また、図2に示すローラギア54は、図3に示す三連ローラ40とシャフトにより連結されている。
【0063】
第1クラッチ58は、同軸で配置された入力ギアと出力ギアを備えている。また、第1クラッチ58は、片面専用パス81と第2両面専用パス84とが合流する合流部92(図2)の近傍に配置されている。前記入力ギアは前記伝達ギア群71の伝達ギア57と噛み合っており、出力ギアは前記片面専用プーリ群72の伝達ギア68と噛み合っている。第1クラッチ58は公知の電磁クラッチとして構成されており、入力ギアと出力ギアを一体的に連結する接状態(動力伝達状態)と、当該連結を解除する断状態(遮断状態)と、の間で切り替えることができる。図4に示すように、第1クラッチ58は制御部110に電気的に接続されている。制御部110は、第1クラッチ58に制御信号を出力することで、第1クラッチ58の状態を切り替えることができる。
【0064】
第2クラッチ66も第1クラッチ58と同様に、同軸で配置された入力ギアと出力ギアを備えている。また、第2クラッチ66は、片面専用パス81と第2両面専用パス84とが合流する合流部92(図2)の近傍に配置されている。前記入力ギアは前記伝達ギア群71の伝達ギア57と噛み合っており、出力ギアは前記両面専用ギア群73の2つのローラギア62,63と噛み合っている。第2クラッチ66も電磁クラッチとして構成されており、入力ギアと出力ギアを一体的に連結する接状態(動力伝達状態)と、当該連結を解除する断状態(遮断状態)と、の間で切り替えることができる。図4に示すように、第2クラッチ66は制御部110に電気的に接続されている。制御部110は、第2クラッチ66に制御信号を出力することで、第2クラッチ66の状態を切り替えることができる。
【0065】
片面専用プーリ群72は、前記伝達ギア68のほか、2つのプーリ64,65を備えている。前記伝達ギア68にはプーリが固定されており、このプーリと2つのプーリ64,65には、タイミングベルト60が巻き掛けられている。また、タイミングベルト60の外周に接触するようにして、ベルトローラ69が設置されている。このベルトローラ69は、タイミングベルト60の軌道を屈曲させることで、プーリ65に対するタイミングベルト60の巻掛け角度を確保している。プーリ64は、図2に示す搬送ローラ34とシャフトにより連結されている。また、図3に示すプーリ65は、図2に示す搬送ローラ35とシャフトにより連結されている。
【0066】
両面専用ギア群73は、前記ローラギア62,63のほか、伝達ギア67及びローラギア61を備えている。伝達ギア67はローラギア62と噛み合い、ローラギア61は伝達ギア67と噛み合っている。ローラギア63は、図2に示す搬送ローラ43とシャフトにより連結されている。また、図3に示すローラギア62は、図2に示す搬送ローラ42とシャフトにより連結されている。更に、図3に示すローラギア61は、図2に示す搬送ローラ41とシャフトにより連結されている。
【0067】
図3に示すように、第2モータ202によって駆動される第2モータギア59は、第2ギア群75の伝達ギア101と噛み合っている。
【0068】
第2ギア群75は、前記伝達ギア101のほか、ローラギア109、伝達ギア104、ローラギア108、伝達ギア105、伝達ギア106、ローラギア103、伝達ギア107及びローラギア102を備えている。前記伝達ギア104は、ローラギア109と噛み合うと同時に、伝達ギア104と噛み合っている。伝達ギア104は、ローラギア108と噛み合うと同時に、伝達ギア105と噛み合っている。伝達ギア105は伝達ギア106と噛み合い、伝達ギア106はローラギア103と噛み合っている。ローラギア103は伝達ギア107と噛み合い、伝達ギア107はローラギア102と噛み合っている。
【0069】
ローラギア109は、図2の排出ローラ39とシャフトにより連結されている。図3に示すローラギア108は、図2に示す案内ローラ38とシャフトにより連結されている。図3に示すローラギア103は、図2に示すレジストローラ33と、図略のクラッチ等を介して連結されている。図3に示すローラギア102は、図2に示す分離部32の駆動ローラと、図略のクラッチ等を介して連結されている。
【0070】
次に、以上の構成のADF21によって原稿99を搬送して片面(表側の面)のみを読み取る場合について説明する。
【0071】
ユーザが複合機10に対し、図1の操作パネル12等を操作して片面読取モードを指定した上で、原稿トレイ23に原稿99をセットしてコピー開始を指示したとする。すると、図4に示す制御部110の制御により、切替装置95は原稿99の経路を片面専用パス81側に切り替える。そして、制御部は、第1モータ201及び第2モータ202の駆動を開始するとともに、第1クラッチ58を接状態とし、第2クラッチ66を断状態とするように制御する。これにより、伝達ギア群71、片面専用プーリ群72、読取用ギア群74及び第2ギア群75に対して、それぞれのモータ201,202の駆動力が伝達される。
【0072】
第2ギア群75が駆動されることで、ADF21のピックアップローラ31及び分離部32が駆動される。従って、原稿99は分離部32によって1枚ずつ分離されて導入パス80を通過し、(前記切替装置95によって)片面専用パス81へ案内される。また、片面専用プーリ群72を介して搬送ローラ34,35が駆動され、伝達ギア群71を介して搬送ローラ36が駆動され、読取用ギア群74を介して三連ローラ37が駆動されている。従って、原稿99は、上記のローラの回転によって片面専用パス81及び共通案内パス85に沿って搬送され、折返し部93でUターンしつつ読取位置90へ送られる。そして、原稿99の内容は、読取位置90の下側に位置するスキャナユニット25の読取面(コンタクトガラス45)によって読み取られる。
【0073】
また、読取用ギア群74を介して三連ローラ40が駆動され、第2ギア群75を介して排出ローラ39が駆動されている。従って、読取位置90を通過した原稿99は、上記のローラの回転によって排出パス82に沿って搬送され、排出トレイ24に排出される。
【0074】
なお、この片面読取モードにおいては第2クラッチ66が断状態となっているので、両面専用ギア群73への動力伝達は遮断され、第2両面専用パス84の搬送ローラ41,42,43は駆動されない。従って、原稿99が通過しない第2両面専用パス84の部分の駆動を止めることができるので、第1モータ201の消費電力を節約できるとともに、騒音を低減することができる。本実施形態において、制御部110は、片面読取モードにおいては第1モータ201に流れる電流が両面読取モードよりも若干小さくなるように電流制御部111(図4)を通じて制御しており、これにより省電力が実現されている。特に、本実施形態では前述のとおり、第2両面専用パス84の搬送ローラ41,42,43の数が比較的多くなっているので、その省電力化及び低騒音化の効果は顕著である。
【0075】
次に、原稿の両面を読み取る場合について説明する。
【0076】
ユーザが複合機10に対し、図1の操作パネル12等を操作して両面読取モードを指定した上で、原稿トレイ23に原稿99をセットしてコピー開始を指示したとする。すると、図4の制御部110の制御により、切替装置95は原稿99の経路を第1両面専用パス83側に切り換える。そして制御部110は、片面読取モードのときと同様に第1モータ201及び第2モータ202の駆動を開始するとともに、第1クラッチ58を断状態とし、第2クラッチ66を接状態とするように制御する。この結果、伝達ギア群71、両面専用ギア群73、読取用ギア群74及び第2ギア群75に対して、それぞれのモータ201,202の駆動力が伝達される。
【0077】
これにより、前述の片面読取モードと同様にピックアップローラ31及び分離部32が駆動される。また、案内ローラ38及び三連ローラ40も同様に駆動される。従って、分離部32によって分離されて導入パス80を通過した原稿99は、(切替装置95によって)第1両面専用パス83側へ案内され、読取位置90までほぼ一直線状に斜めに搬送される。
【0078】
第1両面専用パス83では原稿99を反転させずに搬送するので、原稿99の下側の面(裏側の面)が読取位置90で先に読み取られることになる。読取位置90を通過した原稿99は、第2両面専用パス84に搬送される。
【0079】
また、三連ローラ37及び搬送ローラ36が読取用ギア群74を介して駆動され、搬送ローラ41〜43が両面専用ギア群73によって駆動される。従って、第2両面専用パス84に案内された原稿99は、折返し状に形成される第2両面専用パス84によって反転させられ、原稿の表側の面が下に向けられた状態で読取位置90まで案内され、スキャナユニット25によって読み取られる。
【0080】
更に、三連ローラ40及び排出ローラ39が第2ギア群75を介して駆動されている。従って、原稿99は排出パス82を通過して、排出トレイ24に排出される。
【0081】
なお、この両面読取モードにおいては第1クラッチ58が断状態となっているので、片面専用プーリ群72への動力伝達は遮断され、片面専用パス81の搬送ローラ34,35は駆動されない。従って、原稿99が通過しない片面専用パス81の部分の駆動を止めることができるので、省エネルギー性に優れるとともに、騒音を低減することができる。
【0082】
以上に説明したように、本実施形態のイメージスキャナ装置20は、原稿トレイ23と、分離部32と、スキャナユニット25と、原稿搬送経路70と、搬送ローラ34〜36,41〜43及び三連ローラ37,40と、第1モータ201と、伝達ギア群71と、2つのクラッチ58,66と、制御部110と、を備える。原稿トレイ23は、原稿99をセット可能である。分離部32は、原稿トレイ23に積層された原稿99を1枚ずつ分離して搬送する。スキャナユニット25は、原稿99の画像情報を読み取る。原稿搬送経路70は、片面読取モードでは、原稿99の片面のみがスキャナユニット25によって読み取られるように原稿99を案内し、両面読取モードでは、原稿99の両面がスキャナユニット25によって読み取られるように原稿99を案内する。搬送ローラ34〜36,41〜43及び三連ローラ37,40は、原稿99を原稿搬送経路70に沿って搬送する。第1モータ201は、搬送ローラ34〜36,41〜43及び三連ローラ37,40を回転させるための動力を発生させる。伝達ギア群71は、第1モータ201が発生させた動力を伝達する。クラッチ58,66は、伝達ギア群71の動力を搬送ローラ34,35,41〜43に伝達するか遮断するかを切替可能である。制御部110は、片面読取モードでは、第1モータ201が発生させた動力を、片面のみを読み取るときに用いる搬送ローラ34,35に対して伝達するとともに、両面を読み取るときにのみ用いる搬送ローラ41〜43に対しては伝達しないように、クラッチ58,66を制御する。また、制御部110は、両面読取モードでは、第1モータ201が発生させた動力を、両面を読み取るときにのみ用いる搬送ローラ41〜43に対して伝達するとともに、片面のみを読み取るときにのみ用いる搬送ローラ34,35に対しては伝達しないように、クラッチ58,66を制御する。
【0083】
これにより、片面読取と両面読取を切替可能なADF型のイメージスキャナ装置20を提供できる。また、原稿の搬送に使用されない経路の搬送ローラに動力を伝達しないようにすることができるので、第1モータ201の負担を軽減することができ、省電力で静音性に優れるイメージスキャナ装置20を実現できる。
【0084】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置20において、クラッチ58,66は電磁クラッチである。
【0085】
これにより、イメージスキャナ装置20を小型化及び軽量化することができる。また、電気信号で制御可能なため、簡単な構成で制御を行うことができる。
【0086】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置20は以下の構成である。即ち、原稿搬送経路70は、片面専用パス81と、両面専用パス(第1両面専用パス83及び第2両面専用パス84)と、を含む。片面専用パス81は、原稿99の片面のみを読み取るときにのみ当該原稿99が搬送される。両面専用パスは、原稿99の両面を読み取るときにのみ当該原稿99が搬送される。そして、第1モータ201により駆動可能な送りローラ(搬送ローラ34〜36,41〜43及び三連ローラ37,40)は、片面専用パス81に設置される片面専用の搬送ローラ34,35と、両面専用パス(第2両面専用パス84)に設置される両面専用の搬送ローラ41〜43と、を含む。制御部110は、片面読取モードでは、片面専用の搬送ローラ34,35に対しては第1モータ201の動力を伝達し、両面専用の搬送ローラ41〜43に対しては第1モータ201の動力を遮断するようにクラッチ58,66を制御する。また、制御部110は、両面読取モードでは、両面専用の搬送ローラ41〜43に対しては第1モータ201の動力を伝達し、片面専用の搬送ローラ34,35に対しては第1モータ201の動力を遮断するようにクラッチ58,66を制御する。
【0087】
これにより、クラッチ58,66を制御する簡素な構成で、原稿99の搬送に使用されない搬送経路の搬送ローラを状況に応じて停止させることができる。
【0088】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置20においては、両面専用パスは、第1両面専用パス83と第2両面専用パス84を含む。第1両面専用パス83は、分離部32によって分離された原稿99の一方の面がスキャナユニット25によって読み取られるように原稿99を案内する。第2両面専用パス84は、第1両面専用パス83を通って一方の面が読み取られた原稿99の他方の面がスキャナユニット25によって読み取られるように原稿99を反転させて案内する。
【0089】
これにより、第1両面専用パス83と第2両面専用パス84を設けることで、両面読取時に原稿99が搬送される経路を柔軟に設定することができる。
【0090】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置20においては、2つのクラッチ58,66は何れも、片面専用パス81と両面専用パス(第2両面専用パス84)との合流部92の近傍に設置されている。
【0091】
これにより、伝達ギア群71及びクラッチ58,66を含めた動力伝達経路の構成を簡単にすることができる。
【0092】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置20においては、第1モータ201が発生させた動力は、伝達ギア群71と、読取位置90の近傍に位置する三連ローラ37,40に動力を伝達する読取用ギア群74と、に分かれて伝達される。
【0093】
これにより、読取位置90の近傍に位置する三連ローラ37,40がクラッチ58,66を経由せずに直接駆動されるので、三連ローラ37,40の回転に当該クラッチ58,66のガタが悪影響を及ぼすことを回避できる。この結果、原稿99の読取時のブレを抑制でき、読取画像の歪みを防止することができる。
【0094】
また、本実施形態のイメージスキャナ装置20においては、制御部110は、原稿99の片面のみを読み取るときに第1モータ201に流れる電流が、原稿99の両面を読み取るときに第1モータ201に流れる電流より小さくなるように制御している。
【0095】
これにより、原稿の片面のみを読み取る場合は、原稿搬送時の消費電力を節約することができる。一方で、原稿の両面を読み取る場合は、第2両面専用パス84の搬送ローラ41〜43を含めて多くの搬送ローラの駆動が必要になるので、片面のみを読み取る場合に比べて大きな動力が必要になるが、その動力を生じさせるのに十分な電流を供給することができる。
【0096】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0097】
上記実施形態では、片面専用パス81と第2両面専用パス84が合流部92で合流するように構成されているが、この構成に代えて、片面専用パス81と第2両面専用パス84が合流しないように別々の経路を通って読取位置90まで原稿を案内する構成に変更することができる。
【0098】
上記実施形態では、片面読取モードでは、第2両面専用パス84の搬送ローラ41〜43の駆動は全て遮断されるようになっている。しかしながら、一部の搬送ローラ(例えば搬送ローラ41,42)に対してだけ動力を遮断し、残りの搬送ローラ43には動力を伝達するように構成しても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、両面読取モードでは、片面専用パス81の搬送ローラ34,35の駆動は全て遮断されるようになっている。しかしながら、一部の搬送ローラ(例えば搬送ローラ34)に対してだけ動力を遮断し、残りの搬送ローラ35には動力を伝達するように構成しても良い。
【0100】
前記の三連ローラ37,40に代えて、駆動ローラと従動ローラを1つずつ備える通常の構成の搬送ローラを配置するように変更することもできる。
【0101】
また、上記実施形態では、読取部に縮小光学系のスキャナユニット25を採用しているが、これに代えて、読取部として例えば密着型イメージセンサ等を使用する構成に変更することができる。また、上記実施形態では、本体11にスキャナユニット25が配置されているが、読取部をADF内に配置する構成に変更することもできる。このように、読取部の構成は、事情に応じて適宜変更することができる。
【0102】
上記の実施形態の構成は、コピーファクシミリ複合機に限らず、例えば単体のコピー機に適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
20 イメージスキャナ装置(画像読取装置)
21 ADF
25 スキャナユニット(読取部)
32 分離部
34,35 搬送ローラ(片面専用の送りローラ)
36 搬送ローラ(送りローラ)
37,40 三連ローラ(送りローラ)
41〜43 搬送ローラ(両面専用の送りローラ)
58 第1クラッチ(クラッチ)
66 第2クラッチ(クラッチ)
70 原稿搬送経路
71 伝達ギア群(動力伝達部)
74 読取用ギア群(動力伝動部)
81 片面専用パス
83 第1両面専用パス
84 第2両面専用パス
90 読取位置
110 制御部
201 第1モータ(駆動源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿をセット可能な原稿トレイと、
前記原稿トレイに積層された前記原稿を1枚ずつ分離して搬送する分離部と、
前記原稿の画像情報を読み取るための読取部と、
前記原稿の片面のみを読み取るときは、前記原稿の片面のみが前記読取部によって読み取られるように前記原稿を案内し、前記原稿の両面を読み取るときは、前記原稿の両面が前記読取部によって読み取られるように前記原稿を案内する原稿搬送経路と、
前記原稿を前記原稿搬送経路に沿って搬送する複数の送りローラと、
前記送りローラを回転させるための動力を発生させる駆動源と、
前記駆動源が発生させた動力を伝達する動力伝達部と、
前記動力伝達部の動力を前記送りローラに伝達するか遮断するかを切替可能なクラッチと、
前記原稿の片面のみを読み取るときは、前記駆動源が発生させた動力を、前記送りローラのうち片面のみを読み取るときに用いる送りローラに対して伝達するとともに、両面を読み取るときにのみ用いる送りローラのうち少なくとも一部に対しては伝達しないように前記クラッチを制御し、
前記原稿の両面を読み取るときは、前記駆動源が発生させた動力を、前記送りローラのうち両面を読み取るときにのみ用いる送りローラに対して伝達するとともに、片面のみを読み取るときにのみ用いる送りローラのうち少なくとも一部に対しては伝達しないように前記クラッチを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記クラッチは電磁クラッチであることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取装置であって、
前記原稿搬送経路は、前記原稿の片面のみを読み取るときにのみ当該原稿が搬送される片面専用経路と、前記原稿の両面を読み取るときにのみ当該原稿が搬送される両面専用経路と、を含み、
前記送りローラは、前記片面専用経路に設置される片面専用送りローラと、前記両面専用経路に設置される両面専用送りローラと、を含み、
前記制御部は、
前記原稿の片面のみを読み取るときは、前記片面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を伝達し、前記両面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を遮断するように前記クラッチを制御し、
前記原稿の両面を読み取るときは、前記両面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を伝達し、前記片面専用送りローラに対しては前記駆動源の動力を遮断するように前記クラッチを制御することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記両面専用経路は、
前記分離部によって分離された前記原稿の一方の面が前記読取部によって読み取られるように前記原稿を案内する第1両面専用経路と、
前記第1両面専用経路を通って一方の面が読み取られた前記原稿の他方の面が前記読取部によって読み取られるように前記原稿を反転させて案内する第2両面専用経路と、
を含むことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像読取装置であって、
前記クラッチは、前記片面専用経路と前記両面専用経路とが合流する合流部の近傍に設置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の画像読取装置であって、
前記駆動源が発生させた動力は、前記動力伝達部と、前記読取部による原稿の読取位置の近傍に配置された送りローラに動力を伝達する動力伝動部と、に分かれて伝達されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の画像読取装置であって、
片面のみを読み取るときに前記駆動源に流れる電流が、両面を読み取るときに前記駆動源に流れる電流より小さいことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−269934(P2010−269934A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125873(P2009−125873)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】