説明

画像読取装置

【課題】利用者がスキャン処理が完了したことを容易に判別することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿の読み取りが終了したことを示す目印を、前記原稿上に押印するスタンプを備えた自動給紙装置を備える画像読取装置であって、前記原稿を読み取って画像データを出力する読取手段と、前記画像データの画像部分の範囲を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記画像データの画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の位置に前記目印を押印するように、前記スタンプを移動させるスタンプ制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿をスキャンして画像処理を行う画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタや、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、印刷機能、スキャナ機能等を一つの筐体に納めたいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称される複合機、スキャナ機能を備えたコピー機等、スキャナ機能を備えた種々の装置が存在する。一般的に、これらの装置では、原稿がスキャンされた場合、利用者に対して既にスキャン済みである旨を知らせるために、スキャンされた原稿上にスタンプ等の目印を付けることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された技術では、スキャナによって原稿の読み取りが完了した場合には、搬送ローラに並列して設けられたスタンプ(以下、済みスタンプと呼ぶ。)が、排紙される原稿の所定の位置に、スキャンが完了したことを示す目印を付す技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3560195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された技術では、済みスタンプの位置が固定されているため、原稿に記載された文字や図柄等の位置によっては、済みスタンプが文字や図柄等に被ってしまうため、利用者はスキャンが完了したか否かを確認することが困難な場合があるという問題があった。
【0006】
具体的には、図13に示すように、原稿Pの右下部分に文字列がある場合には、済みスタンプを付す位置(g1)の位置に被ってしまい、原稿がスキャンされたのかどうかが利用者にとって判別しづらいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者が、スキャン処理が完了したことを容易に判別することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原稿の読み取りが終了したことを示す目印を、前記原稿上に押印するスタンプを備えた自動給紙装置を備える画像読取装置であって、前記原稿を読み取って画像データを出力する読取手段と、前記画像データの画像部分の範囲を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記画像データの画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の位置に前記目印を押印するように、前記スタンプを移動させるスタンプ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、原稿の表面の読み取りが終了したことを示す第1の目印を前記原稿上に押印する第1のスタンプと、前記原稿の裏面の読み取りが終了したことを示す第2の目印とを前記原稿上に押印する第2のスタンプと、を備えた自動給紙装置を備える画像読取装置であって、前記原稿の表面と前記原稿の裏面とを読み取って、前記原稿の画像データである第1の画像データと前記原稿の裏面の画像データである第2の画像データとを出力する読取手段と、前記第1の画像データおよび前記第2の画像データに画像部分の範囲を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記第1の画像データの画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の位置に前記第1の目印を押印し、前記第2の画像データに画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の位置に前記第2の目印を押印するように、前記第1のスタンプおよび前記第2のスタンプを移動させるスタンプ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者はスキャン処理が完了したことを容易に判別することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像読取装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の一実施の形態として、画像読取装置をコピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、印刷機能、スキャナ機能等を一つの筐体に納めたいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称される複合機等のスキャナ機能を備えた装置に適用した例を示す。尚、以下の説明では、画像読取装置を上述の複合機に適用した場合について説明しているが、少なくともスキャナ機能を備えるものであれば、複合機以外の装置に対しても適用可能である。
【0013】
図1は、第1の実施の形態にかかる複合機1000の物理的な構成を示す図である。図1に示すように、複合機1000は、ADF(Auto Document Feeder)100と、スキャナ200と、操作パネル300と、本体ユニット400と、フィニッシャ500と、両面ドライブユニット600と、給紙バンク700と、を含んで構成されている。
【0014】
ADF100は、スキャナ200の上部に設けられ、スキャナ200に原稿を自動的に搬送する装置である。
【0015】
図2は、ADF100の物理的な構成を示す図である。図2に示すように、ADF100は、原稿トレイ241と、ピックアップローラ242と、レジストローラ対243と、搬送ドラム244と、押さえローラ245と、排紙ローラ246および247と、排紙トレイ248と、済みスタンプユニット253と、を含んで構成されている。なお、図2には、ADF100とスキャナ200とが示されているが、スキャナ200については後述する。
【0016】
原稿トレイ241に載置された原稿は、ピックアップローラ242とレジストローラ対243とによって、搬送ドラム244と押さえローラ245との間に給紙される。その後、原稿は、搬送ドラム244に密着しつつ、スキャナ200の読み取りガラス240上を通過する。そして、読み取りガラス240上を通過した原稿は、排紙ローラ246および247によって、原稿トレイ241の下方に位置する圧板兼用の排紙トレイ248上に排出される。
【0017】
済みスタンプユニット253は、原稿がスキャナ200の読み取りガラス240上を通過した後、本体ユニット400からスキャナ200に対して原稿の読み取り指示がされ、原稿の読み取りが完了したことを示す目印(以下、スタンプ印と呼ぶ。)を原稿上に付す装置である。
【0018】
図3は、済みスタンプユニット253の物理的な構成を示す図である。図3に示すように、済みスタンプユニット253は、搬送モータ2531と、搬送ベルト2532と、スイッチ2533と、済みスタンプ2534と、ローラ2535と、を含んで構成されている。
【0019】
搬送モータ2531は、本体ユニット400からの指示を受けて、搬送ベルト2532を駆動させ、搬送ベルト上に取り付けられた済みスタンプ2534を主走査方向(x軸方向)に移動させ、またはローラ2535によって済みスタンプ2534を副走査方向(y軸方向)に移動させる。
【0020】
また、搬送モータ2531は、本体ユニット400からの指示を受けると、搬送ベルト2532を移動させて済みスタンプ2534をスイッチ2533に当接させて、スイッチ2533をON状態にする。後述するように、このスイッチ2533の位置は、本体ユニット400が、原稿上の文字列や図柄等の部分(以下、画像部分と呼ぶ。)を検知しない場合に、スタンプ印を付すためのデフォルト位置となっており、搬送モータ2531は、本体ユニット400から、画像部分以外の部分がない旨の信号を受けると、搬送ベルト2532を駆動させ、済みスタンプ2534をON状態にしたスイッチ2533の位置まで移動させる。続いて、図2に戻り、スキャナ200について説明する。
【0021】
図2に示すように、スキャナ200は、コンタクトガラス231と、複数の照明ランプ232と、第1ミラー233と、第2ミラー234と、第3ミラー235と、レンズ236と、走行体モータ238と、白基準板239と、読み取りガラス240と、基点センサ249と、スケール251と、コンタクトイメージセンサユニット252と、CCD(Charge Coupled Device)207と、を含んで構成されている。
【0022】
ADF100によって搬送された原稿は、読み取りガラス240を通過する際に、その直下に位置決めされて静止している照明ランプ232により照射される。そして、原稿の反射光が、第1ミラー233、第2ミラー234、第3ミラー235によって反射され、CCD207に照射される。照射された反射光は、CCD207によって電気信号に光電変換される。このようなスキャン処理の方法をシートフィード方式と呼ぶ。
【0023】
CCD207は、多数の光電変換素子が主走査方向に並んだ光電変換素子アレイ(撮像素子)を含んでいる。光電変換素子アレイは、原稿の反射光を読み取り、読み取った反射光を、所定のライン毎に電気信号(以下、画像読み取り信号と呼ぶ。)に変換したデータ(以下、ライン画像データと呼ぶ。)を、順次出力することによって、画像データを出力する。なお、CCD207による反射光の読み取りおよび画像データの出力は、後述するように、本体ユニット400からの指示に応じて行われる。
【0024】
また、シートフィード方式以外のスキャン処理の方式として、ブックリード方式がある。ブックリード方式では、ADF100によって搬送された原稿は、コンタクトガラス231上の所定の位置に載置される。そして載置された原稿は、照明ランプ232により照明され、まず、原稿の反射光が第1ミラー233によって副走査方向(y軸方向)と平行に反射される。なお、照明ランプ232および第1ミラー233は、副走査方向に定速で駆動する第1キャリッジ(不図示)に搭載されている。
【0025】
第2ミラー234および第3ミラー235は、第1キャリッジと同じ副走査方向に、第1キャリッジの速度の1/2の速度で駆動する第2キャリッジ(不図示)に搭載されている。第1ミラー233によって反射された反射光は、第2ミラー234によって副走査方向と垂直下方の方向(z方向)に反射され、さらに、第3ミラー235によって副走査方向に反射される。
【0026】
なお、不図示の第1キャリッジおよび第2キャリッジは、走行体モータ238を駆動源として、副走査方向に往復するように駆動される。
【0027】
第3ミラー235によって反射された反射光は、その後レンズ236により集束されてCCD207に照射され、シートフィード方式と同様に、CCD207によって、反射光が画像読み取り信号に変換され、画像データとして出力される。
【0028】
なお、本実施の形態における複合機1000は、上述したシートフィード方式およびブックリード方式のいずれの方式によってスキャン処理を行うことが可能となっているが、以下では、シートフィード方式で原稿がスキャンされるものとして説明する。
【0029】
また、図2に示すように、読み取りガラス240とスケール251との間には、白基準板239と第1キャリッジを検出する基点センサ249が設けられている。スケール251は、搬送された原稿の読み取り開始位置を示すものである。
【0030】
白基準板239は、照明ランプ232から照射される光の強度のばらつき、あるいはCCD207を構成する光電変換素子アレイの各撮像素子の感度ムラ等によって、濃度が一定の原稿を読み取ったにもかかわらず、その後、読み取った原稿の画像データに濃淡等生じてしまう現象を補正(以下、シェーディング補正と呼ぶ。)するために、照明ランプ232から照射される光を反射するものである。この白基準板239によって反射された光の照度が基準となって、画像データに対してシェーディング補正が施される。
【0031】
また、スキャナ200には、コンタクトイメージセンサユニット252が備えられ、搬送された原稿の裏面を読み取ることが可能となっている。続いて、図1に戻り、操作パネル300について説明する。
【0032】
操作パネル300は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイから構成され、利用者からスキャン処理やコピー処理等に関する各種の設定情報(例えば、用紙サイズ、枚数、カラー有無等)の指定を受け付けるほか、スキャン処理やコピー処理等の実行指示を受け付ける。
【0033】
本体ユニット400は、物理的には、スキャナ処理、コピー処理等の各種の処理を、操作パネル300から指定された設定に従って実行させるコントローラ410と、コントローラ410からの指示を受けて、各色の感光体ドラムや転写ベルト等を駆動させて画像形成処理を実行するエンジン部420と、を含んで構成されている。
【0034】
図4は、本体ユニット400の機能的な構成を示す図である。図4に示すように、本体ユニット400は、上述したように、コントローラ410と、エンジン部420とを主に備えている。
【0035】
さらに、コントローラ410は、制御部411と、コピー処理部412と、スキャナ処理部413と、FAX処理部414と、プリンタ処理部415と、を含んで構成されている。なお、以下の説明では、上述したコピー処理部412、スキャナ処理部413、FAX処理部414、プリンタ処理部415のうち、スキャナ処理部413を例に説明する。
【0036】
制御部411は、操作パネル300が、スキャン処理を行うための各種の設定情報や実行指示を受け付けると、スキャナ処理部413に対して、設定情報と実行指示が受け付けられた旨を通知する。なお、コピー処理やFAX処理の設定情報や実行指示が受け付けられた場合には、スキャナ処理と同様に、コピー処理部412やFAX処理部414に、設定情報と実行指示を通知する。続いてスキャナ処理部413について説明する。
【0037】
図5は、スキャナ処理部413の機能的な構成を示す図である。図5に示すように、スキャナ処理部413は、画像検知部4131と、カウンタ4132と、記憶部4133と、スキャン制御部4144と、を含んで構成されている。
【0038】
画像検知部4131は、後述するように、スキャン制御部4144が、CCD207に対して読み取り指示および画像データの出力指示を行い、ライン画像データが出力された場合に、出力されたライン画像データの中の画像部分を検知する。
【0039】
そして、ライン画像データの画像部分を検知した場合には、ライン画像データに含まれる画像部分の範囲(位置)を特定し、そのライン画像データを出力したときのカウンタ4132の値と、特定した画像部分の範囲を対応付けて記憶部4133に記憶させる。
【0040】
画像検知部4131が、画像データの画像部分を検知する手法としては、例えば、特開2004−112197に開示されているように、画像データを画素単位に分割し、ある画素の画素値と、その画素に隣接する画素の画素値の差分をとることによって画像部分を特定したり、あるいは、特開平07−073326に開示されているように、あらかじめ画像部分となりうる画像を記憶しておき、画像データにその画像が含まれているか否かを検知することによって画像部分を特定することも可能である。すなわち、画像データの中から画像部分が特定できる手法であれば、いずれの手法によって特定することとしてもよい。
【0041】
一方、画像検知部4131は、ライン画像データに画像部分を検知しない場合には、そのライン画像データを出力したときのカウンタ4132の値のみを記憶部4133に記憶させる。
【0042】
カウンタ4132は、CCD207が出力したライン画像データの数をカウントする。上述したように、CCD207は、ライン画像データを順次出力することによって画像データを出力するので、画像検知部4131は、出力されたライン画像データの数をカウントすることによって、画像データのなかでどのラインのライン画像データの中の画像部分の範囲を特定できる。
【0043】
記憶部4133は、メモリやHDD等の記憶媒体から構成され、画像検知部4131が、ライン画像データの中の画像部分を検知した場合、その画像部分の範囲とカウンタ4132がカウントした値、またはライン画像データの中の画像部分を検知した場合に、カウンタ4132がカウントした値を対応付けて記憶する。
【0044】
また、記憶部4133は、画像検知部4131が、ライン画像の中に画像部分を件h氏しない場合に、スキャン制御部4144が済みスタンプユニット253の済みスタンプ2534を移動させるためのデフォルト位置を記憶する。
【0045】
スキャン制御部4144は、制御部411から、操作パネル300が設定情報と実行指示を受け付けた旨の通知を受けると、CCD207に対して、読み取りを開始し、ライン画像データを出力するように指示する。また、スキャン制御部4144は、原稿の読み取りが終了したか否かを判定する。
【0046】
また、スキャン制御部4144は、画像検知部4131が、ライン画像データの中に画像部分を検知しない場合におけるカウンタの値が記憶部4133に記憶された場合、またはライン画像データの中に画像部分を検知した場合における、その画像部分の範囲とカウンタの値とが記憶された場合に、カウンタ4132の値を1つずつカウントアップさせる。
【0047】
また、スキャン制御部4144は、原稿の読み取りが終了した場合には、記憶部4133に、画像部分の範囲が記憶されているか否かを判定し、画像部分の範囲が記憶されていると判定した場合は、その画像部分以外の位置に、済みスタンプ2534を移動させる。
【0048】
一方、スキャン制御部4144は、記憶部4133に画像部分の範囲が記憶されていないと判定した場合は、あらかじめ記憶部4133に記憶されたデフォルト位置に、済みスタンプ2534を移動させる。
【0049】
さらにスキャン制御部4144は、移動させた済みスタンプ2534に対して、スタンプ印を押印するように指示する。続いて、図1に戻り、フィニッシャ500について説明する。
【0050】
フィニッシャ500は、操作パネル300がコピー処理の実行指示を受付、コピー処理部412が、原稿をコピーした場合の複写紙を載置するトレイ等である。
【0051】
両面ドライブユニット600は、コピー処理部412が、両面コピー処理を実行する際に、転写紙の向き(表・裏)を入替えるためのユニットである。
【0052】
給紙バンク700は、コピー処理やプリンタ処理を行うための転写紙を格納する給紙ボックスである。
【0053】
次に、上述した複合機1000で行われるスキャン処理の処理手順について説明する。
【0054】
図6は、利用者が操作パネル300を操作して、スキャナ処理の実行を指示し、スキャン処理が開始されてから、完了するまで(済みスタンプが原稿に押印されるまで)の処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、原稿がADF100にセットされた状態で、制御部411から、操作パネル300が実行指示を受け付けた旨の通知を受けたものとする。
【0055】
まず、スキャン制御部4144は、制御部411から、操作パネル300が設定情報と実行指示を受け付けた旨の通知を受けると、カウンタ4132をリセットする(ステップS601)。
【0056】
そして、スキャン制御部4144は、反射光を読み取ってライン画像データを出力するようにCCD207に指示する(ステップS602)。
【0057】
その後、画像検知部4131は、出力されたライン画像データに画像部分を検知する(ステップS603)。
【0058】
そして、画像検知部4131は、ライン画像データの中に画像部分を検知した場合(ステップS603;Yes)、ライン画像データに含まれる画像部分の範囲を特定し(ステップS604)、そのライン画像データを出力したときのカウンタの値と、特定した画像部分の範囲を対応付けて記憶部4133に記憶させる(ステップS605)。
【0059】
一方、画像検知部4131は、ライン画像データの中に画像部分を検知しない場合(ステップS603;No)、そのライン画像データを出力したときのカウンタ4132の値のみを記憶部4133に記憶させる(ステップS606)。
【0060】
そして、スキャン制御部4144は、ステップS605またはS606のいずれかの処理が終了すると、カウンタ4132の値を1つずつカウントアップさせる(ステップS607)。
【0061】
その後、スキャン制御部4144は、原稿の読み取りが終了したか否かを判定する(ステップS608)。
【0062】
そして、原稿の読み取りが終了していないと判定した場合(ステップS608;No)、ステップS602に戻り、ステップS602〜S607までの各処理を繰り返す。
【0063】
一方、スキャン制御部4144は、原稿の読み取りが終了したと判定した場合(ステップS608;Yes)、記憶部4133に、画像部分の範囲が記憶されているか否かを判定する(ステップS609)。
【0064】
そして、記憶部4133に画像部分の範囲が記憶されていると判定した場合(ステップS609;Yes)、その画像部分以外の位置に、済みスタンプ2534を移動させる(ステップS610)。
【0065】
一方、記憶部4133に画像部分の範囲が記憶されていないと判定した場合(ステップS609;No)、あらかじめ記憶部4133に記憶されたデフォルト位置に、済みスタンプ2534を移動させる(ステップS611)。
【0066】
その後、スキャン制御部4144は、移動させた済みスタンプ2534に対して、スタンプ印を押印するように指示する(ステップS612)。このステップS612の処理が終了すると、本実施の形態における全ての処理が終了する。
【0067】
このように、画像検知部4131が、画像データの中の画像部分を検知し、スキャン制御部4144が、ライン画像データの中の画像部分ではない部分に済みスタンプを移動させ、スタンプ印を押印するので、例えば、図7に示すように、原稿P’をスキャンした場合におけるスタンプ印を、画像部分以外の部分S1やS2に押印することができるので、利用者はスキャン処理が完了したことを容易に判別することができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
上述した第1の実施の形態においては、搬送された原稿の片側の面の中で画像部分以外の部分にスタンプ印を押印することとした。しかし、原稿が両面印刷の場合には、各面(表面・裏面)のそれぞれにスタンプ印を押印することによって各面のスキャン処理が完了したことを利用者に知らせた方が便利な場合もある。そこで、そのような場合であっても、原稿の表面および裏面の各面の中の画像部分を検知し、画像部分以外の部分にスタンプ印を押印する場合について説明する。
【0069】
図8は、第2の実施の形態にかかる複合機2000のADF800の物理的な構成を示す図である。図8に示すように、ADF800は、裏面済みスタンプユニット254をさらに備えている点で、第1の実施の形態におけるADF100と異なっている。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0070】
図9に示すように、裏面済みスタンプユニット254は、第1の実施の形態における済みスタンプユニット253(図3)と同様に構成され、後述するように、本体ユニット4000からスキャナ200に対して原稿の裏面の読み取り指示がされ、その読み取りが完了した場合に、原稿の裏面の読み取りが完了したことを示すスタンプ印を原稿の裏面上に押印する。裏面済みスタンプユニット254の搬送モータ2541等の各構成の具体的な内容については、第1の実施の形態における済みスタンプユニット253と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0071】
図10は、第2の実施の形態における、本体ユニット4000の機能的な構成を示す図である。図10に示すように、本体ユニット4000は、第1の実施の形態におけるコントローラ410とは異なるコントローラ4100を備えており、コントローラ4100は、第1の実施の形態におけるスキャナ処理部413とは異なるスキャナ処理部4130を備えている点で、第1の実施の形態における本体ユニット400と異なっている。
【0072】
図11は、図10に示したスキャナ処理部4130の機能的な構成を示す図である。図11に示すように、スキャナ処理部4130は、第1の実施の形態における画像検知部4131とは異なる画像検知部4181と、記憶部4183と、スキャン制御部4184とを備え、カウンタ4132に代えて、第1カウンタ4182と、第2カウンタ4185とを備えている点で、第1の実施の形態におけるスキャナ処理部413とは異なっている。なお、第1カウンタ4183は、第1の実施の形態におけるカウンタ4132と同様に原稿の表面のライン画像データの数をカウントしている。以下の説明においては、原稿の表面に対する処理の内容については第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略している。
【0073】
画像検知部4181は、第1の実施の形態と同様の処理を行うほか、スキャン制御部4184が、CCD207に対して、原稿の裏面の読み取り指示および画像データの出力指示を行う。また、画像検知部4181は、出力された裏面のライン画像データの中の画像部分を検知する。
【0074】
そして、裏面のライン画像データの中に画像部分を検知した場合には、その画像部分の範囲を特定し、第2カウンタの値と、特定した裏面の画像部分の範囲を対応付けて記憶部4183に記憶させる。
【0075】
一方、画像検知部4181は、裏面のライン画像データの中に画像部分を検知しない場合には、第2カウンタ4185の値のみを記憶部4183に記憶させる。
【0076】
第2カウンタ4185は、スキャン制御部4184が、CCD207に対して、原稿の裏面のライン画像データの数をカウントする。
【0077】
記憶部4183は、第1の実施の形態と同様の内容を記憶するほか、画像検知部4181が、裏面のライン画像データの中の画像部分を検知した場合の画像部分の範囲と第2カウンタ4185がカウントした値を対応付けて記憶し、または裏面のライン画像データの中の画像部分を検知しない場合の第2カウンタ4185がカウントした値を記憶する。
【0078】
また、記憶部4183は、画像検知部4181が、裏面のライン画像データの中に画像部分を検知しない場合において、スキャン制御部4184が、裏面済みスタンプユニット254の裏面済みスタンプ2544を移動させるためのデフォルト位置を記憶する。
【0079】
スキャン制御部4184は、第1の実施の形態と同様の処理を行うほか、制御部411から、操作パネル300が設定情報と実行指示を受け付けた旨の通知を受けると、第2カウンタ4185をリセットする。また、スキャン制御部4184は、原稿の裏面を読み取って、裏面のライン画像データを出力するようにCCD207に指示する。
【0080】
また、スキャン制御部4184は、画像検知部4181が、裏面のライン画像データの中の画像部分を検知しない場合における第2カウンタ4185の値が記憶部4183に記憶された場合、または裏面のライン画像データの中に画像部分を検知した場合における画像部分の範囲と第2カウンタ4185の値が記憶された場合に、第2カウンタ4185の値を1つずつカウントアップさせる。
【0081】
さらに、スキャン制御部4184は、原稿の裏面の読み取りが完了したか否かを判定する。
【0082】
そして、原稿の裏面の読み取りが完了していないと判定した場合には、CCD207に対して、原稿の裏面の反射光の読み取りおよびライン画像データの出力を続行するように指示する。
【0083】
一方、スキャン制御部4184は、原稿の裏面の読み取りが完了した場合には、記憶部4183に、裏面の画像部分の範囲が記憶されているか否かを判定する。
【0084】
そして、記憶部4183に裏面の画像部分の範囲が記憶されていると判定した場合は、その画像部分以外の位置に、裏面用済みスタンプ2544を移動させ、記憶部4183に画像部分の範囲が記憶されていないと判定した場合は、あらかじめ記憶部4183に記憶されたデフォルト位置に、裏面済みスタンプ2544を移動させる。
【0085】
さらにスキャン制御部4184は、移動させた裏面済みスタンプ2544に対して、原稿の裏面にスタンプ印を押印するように指示する。
【0086】
次に、上述した複合機2000で行われるスキャン処理の処理手順について説明する。
【0087】
図12は、利用者が操作パネル300を操作して、原稿の両面をスキャンする場合におけるスキャナ処理の実行を指示し、スキャン処理が開始されてから、完了するまで(済みスタンプが原稿に押印されるまで)の処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、第1の実施の形態の場合と同様に、原稿がADF800にセットされた状態で、制御部411から、操作パネル300が実行指示を受け付けた旨の通知を受けたものとする。
【0088】
また、第2の実施の形態にかかる複合機2000で行われる各処理は、第1の実施の形態における各処理と比べて、原稿の表面と裏面の両方をスキャンしてスタンプ印を押印する部分のみが異なっている。そこで、図12を用いてこれらの処理について説明するが、これら以外の処理については、第1の実施の形態にかかる処理と同じ処理内容であるため、第1の実施の形態にかかる処理と同一の処理、すなわち原稿の表面に関する各処理(ステップS1103〜S1107、S1114〜S1117)については、同一の符号を付してその説明を省略している。
【0089】
まず、スキャン制御部4184は、制御部411から、操作パネル300が設定情報と実行指示を受け付けた旨の通知を受けると、第1カウンタ4132と第2カウンタ4185をリセットする(ステップS1101)。
【0090】
そして、スキャン制御部4184は、原稿の表面及び裏面を読み取ってライン画像データを出力するようにCCD207に指示する(ステップS1102)。
【0091】
その後、原稿の表面に対する各処理(ステップS1103〜S1107)を行い、画像検知部4181は、裏面のライン画像データの中の画像部分を検知する(ステップS1108)。
【0092】
そして、画像検知部4181は、裏面のライン画像データの中の画像部分を検知した場合(ステップS1108;Yes)、裏面のライン画像データに含まれる画像部分の範囲を特定し(ステップS1109)、裏面のライン画像データを出力したときの第2カウンタ4185の値と、特定した画像部分の範囲を対応付けて記憶部4183に記憶させる(ステップS1110)。
【0093】
一方、画像検知部4181は、裏面のライン画像データの中の画像部分を検知しない場合(ステップS1108;No)、裏面のライン画像データを出力したときの第2カウンタ4185の値のみを記憶部4183に記憶させる(ステップS1111)。
【0094】
そして、スキャン制御部4184は、ステップS1110またはS1111のいずれかの処理が終了すると、第2カウンタ4185の値を1つずつカウントアップさせる(ステップS1112)。
【0095】
その後、スキャン制御部4184は、原稿の表面と裏面の読み取りが終了したか否かを判定する(ステップS1113)。
【0096】
その後、原稿の表面と裏面の読み取りが終了していないと判定した場合(ステップS1113;No)、ステップS1102に戻り、ステップS1102〜S1112までの各処理を繰り返す。
【0097】
一方、スキャン制御部4144は、原稿の表面と裏面の読み取りが終了したと判定した場合(ステップS1113;Yes)、原稿の表面に対する各処理(ステップS1114〜S1117)を行った後、記憶部4183に、裏面の画像部分の範囲が記憶されているか否かを判定する(ステップS1118)。
【0098】
そして、記憶部4183に裏面の画像部分の範囲が記憶されていると判定した場合(ステップS1118;Yes)、その画像部分以外の位置に、裏面済みスタンプ2544を移動させる(ステップS1119)。
【0099】
一方、記憶部4183に裏面の画像部分の範囲が記憶されていないと判定した場合(ステップS1118;No)、あらかじめ記憶部4183に記憶されたデフォルト位置に、裏面済みスタンプ2544を移動させる(ステップS1120)。
【0100】
その後、スキャン制御部4184は、移動させた裏面済みスタンプ2544に対して、スタンプ印を押印するように指示する(ステップS1121)。このステップS1121の処理が終了すると、本実施の形態における全ての処理が終了する。
【0101】
このように、画像検知部4181が、原稿の両面の画像データの中の画像部分を検知し、スキャン制御部4184が、画像部分ではない部分に裏面済みスタンプ2544を移動させ、スタンプ印を押印するので、両面原稿をスキャンした場合であっても、利用者はスキャン処理が完了したことを容易に判別することができる。
【0102】
なお、上述した第2の実施の形態においては、原稿の表面および裏面のそれぞれにスタンプ印を押印するように、済みスタンプユニット253と裏面済みスタンプユニット254を備えることとした。しかし、原稿の各面に対応する済みスタンプユニットを備えず、単に済みスタンプユニット253のみを備え、両面原稿であっても、表面のライン画像データの画像部分以外の部分に対応する原稿上の位置に2回スタンプ印を押印することによって、原稿の表面と裏面の読み取りが完了したことを利用者に知らせることも可能である。この場合、裏面済みスタンプユニット254を備える必要がないため、スタンプ印の押印処理を、より低コストで実現することができる。
【0103】
さらに、済みスタンプユニット253および裏面済みスタンプユニット254のそれぞれの済みスタンプの形状を変える(例えば、表面を丸印、裏面を三角印)ことによって、利用者に対して、さらに容易に読み取りが完了したことを知らせるようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明にかかる画像読取装置は、原稿をスキャンして画像処理を行う際に有用であり、特に、原稿に画像部分と画像部分以外の部分が含まれている画像データに対してスキャンする技術に適している。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施の形態にかかる複合機の物理的な構成を示す図である。
【図2】図1に示すADFの物理的な構成を示す図である。
【図3】図2に示す済みスタンプの物理的な構成を示す図である。
【図4】図1に示す本体ユニットの機能的な構成を示す図である。
【図5】図4に示すスキャナ処理部の機能的な構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態にかかる複合機において行われるスキャン処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す処理手順に従ってスタンプ印が原稿に押印される様子を示す図である。
【図8】第2の形態におけるADFの物理的な構成を示す図である。
【図9】図8に示す裏面済みスタンプユニットの物理的な構成を示す図である。
【図10】第2の実施の形態における本体ユニットの機能的な構成を示す図である。
【図11】図10に示すスキャナ処理部の機能的な構成を示す図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる複合機において行われるスキャン処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】従来技術によってスタンプ印が原稿に押印される様子を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1000 2000 複合機
100 800 ADF
200 スキャナ
231 コンタクトガラス
232 照明ランプ
233 第1ミラー
234 第2ミラー
235 第3ミラー
236 レンズ
238 走行体モータ
239 白基準板
240 読み取りガラス
241 原稿トレイ
242 ピックアップローラ
243 レジストローラ対
244 搬送ドラム
245 押さえローラ
246 排紙ローラ
248 排紙トレイ
249 基点センサ
251 スケール
252 コンタクトイメージセンサユニット
253 254 済みスタンプユニット
300 操作パネル
400 4000 本体ユニット
410 4100 コントローラ
411 制御部
412 コピー処理部
413 4130 スキャナ処理部
414 FAX処理部
415 プリンタ処理部
420 エンジン部
500 フィニッシャ
600 両面ドライブユニット
700 給紙バンク
2531 搬送モータ
2532 搬送ベルト
2533 スイッチ
2534 済みスタンプ
2535 ローラ
2541 搬送モータ(裏面用)
2542 搬送ベルト(裏面用)
2543 スイッチ(裏面用)
2544 裏面済みスタンプ
4131 4181 画像検知部
4132 カウンタ
4133 4183 記憶部
4144 4184 スキャン制御部
4182 第1カウンタ
4185 第2カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の読み取りが終了したことを示す目印を、前記原稿上に押印するスタンプを備えた自動給紙装置を備える画像読取装置であって、
前記原稿を読み取って画像データを出力する読取手段と、
前記画像データの画像部分の範囲を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記画像データの画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の位置に前記目印を押印するように、前記スタンプを移動させるスタンプ制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記画像データの画素値の大きさを比較し、前記画素値が周辺の画素値よりも小さい部分を、前記画像部分が含まれている部分として検知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取手段は、前記原稿の表面および裏面を読み取り、前記原稿の各面の画像データを出力し、
前記検知手段は、前記読取手段が前記原稿の表面および裏面の前記画像部分の範囲を検知し、
前記スタンプ制御手段は、前記読取手段が前記原稿の表面および裏面を読み取った場合には、前記目印を前記画像データの画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の異なる位置に前記目印を押印するように、前記スタンプを移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
原稿の表面の読み取りが終了したことを示す第1の目印を前記原稿上に押印する第1のスタンプと、前記原稿の裏面の読み取りが終了したことを示す第2の目印とを前記原稿上に押印する第2のスタンプと、を備えた自動給紙装置を備える画像読取装置であって、
前記原稿の表面と前記原稿の裏面とを読み取って、前記原稿の画像データである第1の画像データと前記原稿の裏面の画像データである第2の画像データとを出力する読取手段と、
前記第1の画像データおよび前記第2の画像データに画像部分の範囲を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記第1の画像データの画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の位置に前記第1の目印を押印し、前記第2の画像データに画像部分以外の部分に対応する前記原稿上の位置に前記第2の目印を押印するように、前記第1のスタンプおよび前記第2のスタンプを移動させるスタンプ制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
前記第1の目印と前記第2の目印とは互いに異なる形状であること、
を特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−87953(P2010−87953A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256190(P2008−256190)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】