説明

画像送信装置、画像送信方法、及び画像送信プログラム

【課題】各受信者が設定により送信先を任意に選択できる環境において、送信者の知らぬ間に通信料金が高くなったり、送信者の意図通りに画像が送信できなくなる等の不都合を解消することができる画像送信装置を提供する。
【解決手段】アドレスサーバに登録されている送信方法に従って画像データを送信する画像送信装置であって、送信先名毎に対応付けて以前の送信方法を記憶している記憶手段と、送信者から送信先名を受付ける受付手段(S4)と、受付けられた送信先名に対応付けて登録されている新しい送信方法をアドレスサーバから入手する入手手段(S10)と、受付けられた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を記憶手段から抽出する抽出手段(S13)と、新しい送信方法と以前の送信方法とのいずれか一方を送信者に選択させる選択手段(S20)と、選択された送信方法に従って画像データを送信する送信手段(S24、S25)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像送信装置に関し、特に、送信先を選択する際の利便性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、プリンタ、コピー機、FAX等の複数の装置の機能を1台に集約したMFP(Multiple Function peripheral)等において、画像データを送信するときに毎回送信先を入力するのは大変面倒なので、予め取引先等を登録したアドレス帳をMFP本体、あるいはアドレスサーバ等に記憶しておき、送信する際にこのアドレス帳を呼び出して、この中から送信先を指定することにより入力の手間を省いている。
【0003】
ここで、取引先の1つの送信先が変更された場合には、MFP又はアドレスサーバ等の管理者が、変更を知った後でアドレス帳を手作業で変更しなければならず、迅速性、及び作業性の面で問題があった。
そこで、迅速かつ自動的にアドレス帳を更新することができる以下のような従来技術がある。
【0004】
特許文献1には、特定のサーバにアドレス帳を送信先のプロファイルに関連付けて登録しておき、送信先のプロファイルが変更されると、変更されたプロファイルに従って関連するアドレス帳データを自動的に更新する技術が開示され、利用者がプロファイルを変更することで、関連する相手先のアドレス帳データを更新できる効果があると記載されている。
【0005】
特許文献2には、アドレス帳をインターネット経由で利用できるようにする技術が開示され、物理的に個別な機器への登録修正削除に関する労力を軽減することができると記載されている。
特許文献3には、第1の端末からその端末の利用者のアドレスの変更を指示し、第1の端末から指示された利用者のアドレスをサーバにおいて変更し、サーバにおいて変更された利用者のアドレスと対応する第2の端末のアドレス帳におけるアドレスを自動的に変更する技術が開示され、第1の端末の利用者、第2の端末の利用者ともに面倒な作業が強いられることがなく、利用者にかかる負担を大幅に軽減することができると同時に、アドレス帳における相手のアドレスを常に最新のものに保つことができ、また、新しいアドレスの不用意な漏洩を防止することができると記載されている。
【0006】
特許文献4には、アドレス帳に登録され、かつDNSサーバに登録された通信相手の宛先情報が変更されたことを検知し、変更されたDNSサーバに登録された通信相手の宛先情報に対応してアドレス帳に登録された通信相手の宛先情報を自動更新する技術が開示され、アドレス帳の整理作業の負荷を軽減するとともに、接続不可等となるような不要な通信を防止することができると記載されている。
【特許文献1】特開2003−108479号公報
【特許文献2】特開2003−244308号公報
【特許文献3】特開2005−33733号公報
【特許文献4】特開2006−20049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、1人1人の受信者に対して複数の送信先があり、各受信者が設定により送信先を任意に選択できる画像送信システムを想定しており、このようなシステムにおいて上記特許文献1〜4のように無条件で自動的に画像データの送信先の更新を許すと、送信者の知らぬ間に、例えば通信料金が桁違いに高くなったり、更新後の送信方法では解像度が不足したり、カラー画像をカラーで送信できなくなるなど送信者の意図通りに画像が送信できなくなる等の不都合が起こり得る。
【0008】
本発明は、上記不具合を解消するためになされたものであり、各受信者が設定により送信先を任意に選択できる環境において、各受信者により送信先を変更する場合に、送信者の知らぬ間に通信料金が高くなったり、送信者の意図通りに画像が送信できなくなる等の不都合を解消することができる画像送信装置、画像送信方法、及び画像送信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像送信装置は、ネットワークを介して接続されているアドレスサーバに送信先名に対応付けて登録されている送信方法に従って画像データを送信する画像送信装置であって、送信先名毎に対応付けて以前の送信方法を記憶している記憶手段と、送信者から送信先名を受付ける受付手段と、前記アドレスサーバから受付手段により受付けられた送信先名に対応付けて登録されている新しい送信方法を入手する入手手段と、前記記憶手段から受付手段により受付けられた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を抽出する抽出手段と、入手手段により入手された新しい送信方法と抽出手段により抽出された以前の送信方法とのいずれか一方を送信者に選択させる選択手段と、選択手段により選択された送信方法に従って画像データを送信する送信手段とを備えることを特徴とする
上記目的を達成するために、本発明に係る画像送信方法は、ネットワークを介して接続されているアドレスサーバに送信先名に対応付けて登録されている送信方法に従って画像データを送信する画像送信装置における画像送信方法であって、前記画像送信装置は、送信先名毎に対応付けて以前の送信方法を記憶している記憶手段を備え、当該画像送信方法は、送信者から送信先名を受付ける受付ステップと、前記アドレスサーバからステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて登録されている新しい送信方法を入手する入手ステップと、前記記憶手段からステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を抽出する抽出ステップと、入手ステップにより入手された新しい送信方法と抽出ステップにより抽出された以前の送信方法とのいずれか一方を送信者に選択させる選択ステップと、選択ステップにより選択された送信方法に従って画像データを送信する送信ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像送信プログラムは、ネットワークを介して接続されているアドレスサーバに送信先名に対応付けて登録されている送信方法に従って画像データを送信する画像送信装置に画像送信処理を実行させる画像送信プログラムであって、前記画像送信装置は、送信先名毎に対応付けて以前の送信方法を記憶している記憶手段を備え、当該画像送信プログラムは、前記画像送信装置に、送信者から送信先名を受付ける受付ステップと、前記アドレスサーバからステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて登録されている新しい送信方法を入手する入手ステップと、前記記憶手段からステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を抽出する抽出ステップと、入手ステップにより入手された新しい送信方法と抽出ステップにより抽出された以前の送信方法とのいずれか一方を送信者に選択させる選択ステップと、選択ステップにより選択された送信方法に従って画像データを送信する送信ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
課題を解決するための手段に記載した構成により、送信方法が更新された場合に、新しい送信方法と以前の送信方法とのいずれか一方を送信者が選択することができるので、送信者の知らぬ間に通信料金が高くなったり、送信者の意図通りに画像データが送信できなくなる等の不都合が起こらない。
ここで、画像送信装置において、前記選択手段は、送信方法毎に通信料金を記憶するか又はその計算を行なう機能を備え、前記入手手段により入手された新しい送信方法による通信料金が前記抽出手段により抽出された以前の送信方法による通信料金よりも高額である場合には送信者に対しその旨を通知する通知手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0012】
これにより、通信料金が高額である通信方法に変更されようとしている場合に、送信者に対しその旨が通知されるので、送信者の知らぬ間に通信料金が高くなることがない。
ここで、画像送信装置において、前記送信方法には送信先を特定する情報と共に送信すべき画像の品質に関わる送信条件が含まれており、前記選択手段は、前記入手手段により入手された新しい送信方法による送信条件が前記抽出手段により抽出された以前の送信方法による送信条件と異なる場合には送信者に対しその旨を通知する通知手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0013】
これにより、送信条件が変更されようとしている場合に、送信者に対しその旨が通知されるので、送信者の知らぬ間に送信条件が変更されて送信者の意図通りに画像データが送信できなくなることがない。
ここで、画像送信装置において、前記選択手段は、前記通知する際にはその理由を合わせて提示することを特徴とすることもできる。
【0014】
これにより、通信料金が高額である通信方法に変更されようとしている旨や、送信条件が変更されようとしている旨を通知する際に、その理由を合わせて提示するので、送信者は提示された理由に基づいて、より的確に新しい送信方法と以前の送信方法とのいずれか一方を選択することができる。
ここで、画像送信装置において、前記送信方法には送信先を特定する情報と共に送信すべき画像の品質に関わる送信条件が含まれており、前記選択手段は、送信方法毎に通信料金を記憶するか又はその計算を行なう機能を備え、入手手段により入手された新しい送信方法による通信料金が抽出手段により抽出された以前の送信方法による通信料金と較べて同額もしくは低額であり、かつ入手手段により入手された新しい送信方法による送信条件が抽出手段により抽出された以前の送信方法による送信条件と同等である場合には前記入手手段により入手された新しい送信方法を強制的に選択するとともに前記記憶手段の記憶している以前の送信方法を新しい送信方法に書き換えることを特徴とすることもできる。
【0015】
これにより、通信料金が高額にならず、かつ送信条件が同等である場合に、新しい送信方法を強制的に選択するので、送信者の知らぬ間に通信料金が高くなったり、送信者の意図通りに画像データが送信できなくなる等の不都合が起こらない場合に限り、送信者は送信方法を選択しなくてよくなり、不都合なく利便性が向上する。
ここで、画像送信装置において、前記送信方法には送信先名毎に常に新しい送信方法を優先するか否かが設定されており、前記選択手段は、前記受付手段により受付けられた送信先名についての設定が常に新しい送信方法を優先する設定になっている場合には前記入手手段により入手された新しい送信方法を強制的に選択するとともに前記記憶手段の記憶している以前の送信方法を新しい送信方法に書き換えることを特徴とすることもできる。
【0016】
これにより、常に新しい送信方法を優先する設定になっている場合に、新しい送信方法を強制的に選択するので、送信者が信頼している送信先に対してこの設定を有効にすることにより、不都合なく利便性が向上し、また、単に送信方法を選択したくないと欲っする送信者にとって有用である。
ここで、画像送信装置において、当該画像送信装置は、さらに、送信先を特定する情報の入力を送信者から直接受付けるマニュアル入力手段を備え、前記送信手段は、マニュアル入力手段により送信先を特定する情報の入力を受付けた場合には当該情報に従って画像データを送信することを特徴とすることもできる。
【0017】
これにより、送信者は送信先を特定する情報をマニュアル操作で直接入力することができるので、選択の自由度が高い。
ここで、画像送信装置において、前記記憶手段に記憶されている以前の送信方法は受信者設定による以前の送信方法であり、前記入手手段が入手する新しい送信方法は受信者設定による新しい送信方法であり、当該画像送信装置は、さらに、送信者毎に個別の個人アドレス帳を取得する取得手段を備え、前記個人アドレス帳には送信先名毎に送信者が設定した送信方法を含むとともに受信者設定に従うか否かが設定されており、前記選択手段は、前記受付手段により受付けられた送信先名についての設定が受信者設定に従わない設定になっている場合には前記入手手段により入手された新しい送信方法と前記抽出手段により抽出された以前の送信方法とのいずれも送信者に選択させることを禁止し、前記送信手段は、個人アドレス帳に含まれる受付けた送信先名に対応する送信者が設定した送信方法に従って画像データを送信することを特徴とすることもできる。
【0018】
これにより、受信者設定に従わない設定になっている場合に、個人アドレス帳に従うので、受信者設定と個人アドレス帳のどちらに従うかを送信者が設定でき、利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[実施の形態]
<構成>
図1は、本発明の実施の形態における画像送信システム全体の概要を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態における画像送信システムは、画像送信装置1、アドレスサーバ2、パーソナルコンピュータ3、及び、ネットワーク4からなる。なお、ここでは説明の簡略化のために、各装置とも1台ずつしか記載していないが、通常の台数はこれとは異なり、例えばアドレスサーバ2は1台かせいぜい数台程度であり全機が一体となって動作するが、画像送信装置1及びパーソナルコンピュータ3は多数台あって、それぞれが同等の機能を備えそれぞれ独立に動作する。
【0020】
画像送信装置1は、例えばMFPであり、原稿をスキャンして生成した画像データ、記憶している画像データ、あるいは送信者のパソコンから送信された画像データを、FAXやメール等の様々な送信方法で送信する機能を有する。
図1では、(1)画像送信装置1がアドレスサーバ2へ個人アドレス帳及びお任せアドレス帳のダウンロード要求を出し、(2)この要求に基づいてアドレスサーバ2から画像送信装置1へ個人アドレス帳及びお任せアドレス帳がダウンロードされ、送信者が画像データを送りたい送信先を、主にダウンロードした個人アドレス帳及びお任せアドレス帳の中から選び、(3)選ばれた送信先のパーソナルコンピュータ3へ画像データを送信する様子を示している。
【0021】
図2は、画像送信装置1の構成の概要を示す図である。
図2に示すように、本実施の形態における画像送信装置1は、記憶部10、アドレス帳管理部11、制御ユニット12、外部インターフェース13、エンジン14、スキャナ15、画像処理制御モジュール16、操作パネル17により構成されている。
ここで、外部インターフェース13、エンジン14、スキャナ15、画像処理制御モジュール16、操作パネル17等は、それぞれ制御ユニット12により制御されて各機能を発揮する機能ユニットである。なお、これらの機能ユニットは従来技術なので詳細な説明を省略する。
【0022】
記憶部10は、ハードディスクドライブ等の記憶媒体であり、原稿をスキャンして生成した画像データや、外部から受信した画像データ等の各種データを記憶するとともに、ネットワーク4から個人アドレス帳やお任せアドレス帳を受信して保持するためのアドレス帳保存領域18を備え、さらに、個々の送信先名毎に対応付けた以前の送信方法の一覧を旧アドレス帳19として記憶している。ここで個人アドレス帳は、各送信者がそれぞれカスタマイズした送信先候補者の名称と送信方法とを対応付けたリストであり、お任せアドレス帳は、受信者設定を登録している送信先候補者の名称のリストである。ここで送信先候補者の名称とは、個人名、会社名、所属、及び肩書き等の送信先候補者を特定するために用いる固有名詞やその限定要素等である。また受信者設定とは、各利用者が受信者の立場で画像データを受信する際に自分の都合のよい受信方法を予めアドレスサーバ2に登録しておくことをいい、送信者が受信者設定に従って画像データを送信しようとする場合に、受信者の希望に沿った送信方法でタイムリーに受信者が最も受け取りやすいと考える送信先へ画像データを送信することを可能にするものである。
【0023】
アドレス帳管理部11は、ログイン直後等の予め決められた所定のタイミングで、ログインした利用者のユーザIDを手がかりにして、当該利用者専用の個人アドレス帳をアドレスサーバ2からダウンロードしてアドレス帳保存領域18に保存し、当該個人アドレス帳が操作パネルに表示されて、利用者(以降「送信者」)により送信先名が選択されて受付けられると、当該個人アドレス帳から対応する送信方法を抽出し、抽出した送信方法に従って画像データを送信させる。ここで、個人アドレス帳から抽出した送信方法において「受信者設定に従う」という設定がなされている場合には、アドレスサーバ2から、受付られた送信先名に対応付けて登録されている受信者設定による新しい受信方法をダウンロードし、一方、旧アドレス帳19から、受付られた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を抽出し、新しい送信方法と以前の送信方法とのいずれか一方を送信者に選択させ、選択された送信方法に従って画像データを送信する。なお、画像データの送信の詳細に関しては後述する。
【0024】
また、アドレス帳管理部11は、送信者からお任せアドレス帳の表示を指示された場合には、お任せアドレス帳をアドレスサーバ2からダウンロードしてアドレス帳保存領域18に保存し、当該お任せアドレス帳が操作パネルに表示されて、送信者により送信先名が選択されることにより受付けられると、アドレスサーバ2から、受付られた送信先名に対応付けて登録されている受信者設定による新しい受信方法をダウンロードし、新しい受信方法に従って画像データを送信する。
【0025】
制御ユニット12は、例えばCPUやワークメモリ等のハードウェアと、制御ソフトウェアとからなり、ジョブの実行順序やジョブ毎にデータ等を管理するジョブ管理部20や、それぞれに対応する機能ユニットの動作等を制御する、FAX送受信制御部21、ハードディスク制御部22、不揮発性メモリ制御部23、プリント入力制御部24、外部通信制御部25、エンジン制御部26、スキャナ制御部27、ASIC制御部28、メモリ制御部29、ネット配信制御部30、操作パネル制御部31等の機能別制御部を含む。なお、これらの機能別制御部は従来技術なので詳細な説明を省略する。
【0026】
図3は、アドレスサーバ2の構成の概要を示す図である。
図3に示すように、本実施の形態におけるアドレスサーバ2は、記憶部40、アドレス帳管理部41、ユーザ管理部42、制御ユニット43、外部インターフェース44により構成されている。
ここで、外部インターフェース44は、制御ユニット43により制御されて各機能を発揮する機能ユニットである。なお、この機能ユニットは従来技術なので詳細な説明は省略する。
【0027】
記憶部40は、ハードディスクドライブ等の記憶媒体であり、各利用者に関する情報やログイン認証に必要なログイン名やパスワード等の認証用データであるユーザ情報45を記憶するとともに、個人アドレス帳46、お任せアドレス帳47、及び受信者設定アドレス帳48を記憶している。ここで受信者設定アドレス帳48は、各利用者が受信者の立場で登録した受信者設定のリストである。
【0028】
アドレス帳管理部41は、記憶部40に記憶された個人アドレス帳46、お任せアドレス帳47、及び受信者設定アドレス帳48を管理するものであり、画像送信装置1からの要求を受けて個人アドレス帳46やお任せアドレス帳47を送信してダウンロードさせ、また、各利用者から受信者設定の登録を受付けて、お任せアドレス帳47、及び受信者設定アドレス帳48を更新し、さらに、画像送信装置1において送信者により個人アドレス帳46から受信者が選択され、個人アドレス帳46内の対応する送信方法が「受信者設定に従う」という設定である場合や、お任せアドレス帳47から受信者が選択された場合に、受信者設定アドレス帳48内において選択された送信先名に対応付けて登録されている新しい受信者設定を画像送信装置1へ送信してダウンロードさせる。
【0029】
ユーザ管理部42は、画像送信装置1からのログイン認証の要求に応じて、記憶部40に記憶されたユーザ情報45を用いて認証処理を行う等、利用者(ユーザ)を管理する。
制御ユニット43は、例えばCPUやワークメモリ等のハードウェアと、制御ソフトウェアとからなり、ハードディスク制御部49、外部通信制御部50、メモリ制御部51等の機能別制御部を含む。なお、これらの機能別制御部は従来技術なので詳細な説明は省略する。
【0030】
<動作>
図4は、本実施の形態における画像送信装置1による画像データを送信する処理の手順を示す図である。
以下に図4を用いて、画像データを送信する処理の手順を説明する。
(1)画像送信装置1において、利用者がログインするまで待つ(ステップS1)。
【0031】
(2)利用者がログインすると、その利用者の個人アドレス帳をアドレスサーバ2から入手して記憶部10に保存する(ステップS2)。
(3)記憶部10に保存した個人アドレス帳に登録されている送信先名のリストを液晶パネルの液晶表示部分等に表示して、送信先名の選択を促す(ステップS3)。
図5は、ステップS3における送信先名のリストの表示例を示す図である。
【0032】
(4)利用者(送信者)より送信先名の選択を受付けるまで待つ(ステップS4)。
(5)マニュアル入力により操作パネル等から直接、FAX番号等の送信先を特定する情報の入力を受付けるまで待つ(ステップS5)。
(6)マニュアル入力により送信先を特定する情報の入力を受付けると、当該情報に従って画像データを送信する(ステップS6)。
【0033】
(7)送信先名の選択を受付けると、記憶部10に保存した個人アドレス帳を参照して、受付けた送信先名について受信者設定に従う設定になっているか否かを判断する(ステップS7)。
(8)受信者設定に従う設定になっていない場合には、ステップS2において記憶部10に保存した個人アドレス帳から、ステップS4において受付けた送信先名に対応付けて記憶されている送信方法を抽出する(ステップS8)。
【0034】
(9)ステップS8において個人アドレス帳から抽出した送信方法に従って画像データを送信する(ステップS9)。
(10)受信者設定に従う設定になっている場合には、ステップS4において受付けられた送信先名に対応付けて登録されている受信者設定による新しい送信方法を、アドレスサーバ2から入手する(ステップS10)。
【0035】
(11)記憶部10に保存した個人アドレス帳を参照して、ステップS4において受付けた送信先名について新しい受信者設定を無条件で優先する設定になっているか否かを判断する(ステップS11)。
(12)新しい受信者設定を無条件で優先する設定になっている場合には、ステップS10において入手した受信者設定による新しい送信方法に従って画像データを送信する(ステップS12)。
【0036】
(13)新しい受信者設定を無条件で優先する設定になっていない場合には、元々記憶部10に保存している送信先名毎に対応付けて以前の受信者設定による送信方法を記憶している旧アドレス帳から、ステップS4において受付けられた送信先名に対応付けて登録されている以前の受信者設定による送信方法を抽出する(ステップS13)。
(14)ステップS10においてアドレスサーバ2から入手した最新の送信方法による通信料金と、ステップS13において記憶部10から抽出した以前の送信方法による通信料金とを、送信方法毎に記憶している通信料金に基づいて、あるいは自機又はネットワークに接続された他の機器が備える通信料金の計算機能を用いて計算して、どちらが高額であるかを判断する(ステップS14)。
【0037】
(15)最新の送信方法による通信料金が以前の送信方法による通信料金よりも高額である場合には、送信者に対しその旨を通知し、操作パネルの液晶表示部分等に両方の通信料金や差額を表示すること等により、その理由も合わせて提示する(ステップS15)。
例えば、メール送信が固定料金であって実質無料であるときに、送信方法がメール送信からFAX送信に変更される場合には、通信料金が高額に変更になると判断し、その旨、及び、時間当たりの回線使用量、画像データのデータ量、及び回線速度から計算される通信料金を表示する。
【0038】
また例えば、単にFAX番号が変更される場合には、変更前後の通信料金を、時間当たりの各回線使用量、画像データのデータ量、及び各回線速度から計算して比較し、どちらが高額であるかを判断して、通信料金が高額に変更になるときには、計算したそれぞれの通信料金を合わせて表示する。
なお、特に変更後の送信先が海外である場合や、変更後の料金データに関する情報が不足している等により通信料金が不明である場合には、無条件で送信者に対しその旨を通知してもよい。
【0039】
図6は、ステップS15における通信料金の警告画面の表示例を示す図である。
(16)ステップS10においてアドレスサーバ2から入手した最新の送信方法による送信条件と、ステップS13において記憶部10から抽出した以前の送信方法による送信条件とが異なるか否かを判断する(ステップS16)。
(17)最新の送信方法による送信条件と以前の送信方法による送信条件が異なる場合には、送信者に対しその旨を通知し、操作パネルの液晶表示部分に、両方の送信条件を表示すること等により、その理由も合わせて提示する(ステップS17)。
【0040】
例えば、カラー送信が可能な通信条件からモノクロしか送信できないG3FAX等の通信条件に変更しようとする場合には画像品質の低下が懸念され、FAX送信からメール送信に変更しようとする場合にはセキュリティの低下が懸念され、高圧縮ファイル(高圧縮PDF/高圧縮XPS等)を指定する場合にはネットワークスキャン配信を用いる必要があり、送達確認を迅速に行ないたい場合やデータ量が多い場合にはメール送信は除外しなければならない。
【0041】
図7は、ステップS15における送信条件の警告画面の表示例を示す図である。
(18)最新の送信方法による通信料金が以前の送信方法による通信料金と較べて、同額もしくは低額であり、かつ最新の送信方法による送信条件が以前の送信方法による送信条件と同等であるか否かを判断する(ステップS18)。
(19)通信料金が同額もしくは低額であり、送信条件が同等である場合には、上記2つの送信方法のうち、自動的に最新の送信方法を選択する(ステップS19)。
【0042】
(20)通信料金が同額もしくは低額、かつ送信条件が同等ではない場合には、操作パネルの液晶表示部分等に上記2つの送信方法を選択肢として提示して、送信者に選択を即す(ステップS20)。
図8は、ステップS20における送信方法の選択画面の表示例を示す図である。
(21)送信方法の選択を受付けるまで待つ(ステップS21)。
【0043】
(22)最新の送信方法を選択したか否かを判断する(ステップS22)。
(23)最新の送信方法を選択した場合には、元々記憶部10に保存している旧アドレス帳の該当する送信方法を、選択された最新の送信方法に更新する(ステップS23)。
(24)選択された最新の送信方法に従って画像データを送信する(ステップS24)。
【0044】
(25)最新の送信方法を選択せず、以前の送信方法を選択した場合には、以前の送信方法に従って画像データを送信する(ステップS25)。
なお、本実施の形態では、ステップS11において、新しい受信者設定を無条件で優先する設定になっているか否かを判断し、ステップS12において、受信者設定による新しい送信方法に従って画像データを送信しているが、これとは逆に、以前の受信者設定を無条件で優先する設定になっているか否かを判断し、受信者設定による以前の送信方法に従って画像データを送信してもよい。
【0045】
また本実施の形態では、旧アドレス帳19を画像送信装置1内の記憶部10に保存しているが、アドレスサーバ2に記憶して集中管理しておき、個人アドレス帳をダウンロードするときや必要になったときにダウンロードして使用してもよい。
<まとめ>
以上のように、本実施の形態によれば、各受信者が設定により送信先を任意に選択できる環境において、各受信者により送信方法が更新された場合に、新しい送信方法と以前の送信方法とのいずれか一方を送信者が選択することができるので、送信者の知らぬ間に通信料金が高くなったり、送信者の意図通りに画像データが送信できなくなる等の不都合が起こらない。
【0046】
また、コンピュータに本実施の形態のような動作を実行させることができるプログラムがコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、この記録媒体が流通し取り引きの対象となり得る。また、当該プログラムは、例えばネットワーク等を介して流通して取り引きの対象となり得、また、表示装置に表示されたり印刷されて、利用者に提示されることもあり得る。
【0047】
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、CD、MO、DVD、メモリカード等の着脱可能な記録媒体、及び、ハードディスク、半導体メモリ等の固定記録媒体等であり、特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、MFPなどを含む画像送信装置の技術分野に広く適用することができる。
本発明によって、受信者の要望を生かしつつも、送信者に対して不利益を生じさせないで画像データを送信することが可能となるので、ユーザの使い勝手がよく、利便性の高い画像送信装置を提供することができその産業的利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態における画像送信システム全体の概要を示す図である。
【図2】画像送信装置1の構成の概要を示す図である。
【図3】アドレスサーバ2の構成の概要を示す図である。
【図4】本実施の形態における画像送信装置1による画像データを送信する処理の手順を示す図である。
【図5】送信先名のリストの表示例を示す図である。
【図6】通信料金の警告画面の表示例を示す図である。
【図7】送信条件の警告画面の表示例を示す図である。
【図8】送信方法の選択画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 画像送信装置
2 アドレスサーバ
3 パーソナルコンピュータ
4 ネットワーク
10 記憶部
11 アドレス帳管理部
12 制御ユニット
18 アドレス帳保存領域
19 旧アドレス帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続されているアドレスサーバに、送信先名に対応付けて登録されている送信方法に従って、画像データを送信する画像送信装置であって、
送信先名毎に対応付けて、以前の送信方法を記憶している記憶手段と、
送信者から送信先名を受付ける受付手段と、
前記アドレスサーバから、受付手段により受付けられた送信先名に対応付けて登録されている新しい送信方法を入手する入手手段と、
前記記憶手段から、受付手段により受付けられた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を抽出する抽出手段と、
入手手段により入手された新しい送信方法と、抽出手段により抽出された以前の送信方法とのいずれか一方を、送信者に選択させる選択手段と、
選択手段により選択された送信方法に従って、画像データを送信する送信手段と
を備えることを特徴とする画像送信装置。
【請求項2】
前記選択手段は、
送信方法毎に通信料金を記憶するか、又はその計算を行なう機能を備え、前記入手手段により入手された新しい送信方法による通信料金が、前記抽出手段により抽出された以前の送信方法による通信料金よりも高額である場合には、送信者に対しその旨を通知する通知手段を備えること
を特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
前記送信方法には、送信先を特定する情報と共に、送信すべき画像の品質に関わる送信条件が含まれており、
前記選択手段は、
前記入手手段により入手された新しい送信方法による送信条件が、前記抽出手段により抽出された以前の送信方法による送信条件と異なる場合には、送信者に対しその旨を通知する通知手段を備えること
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像送信装置。
【請求項4】
前記選択手段は、
前記通知する際には、その理由を合わせて提示すること
を特徴とする請求項2又は3に記載の画像送信装置。
【請求項5】
前記送信方法には、送信先を特定する情報と共に、送信すべき画像の品質に関わる送信条件が含まれており、
前記選択手段は、
送信方法毎に通信料金を記憶するか、又はその計算を行なう機能を備え、入手手段により入手された新しい送信方法による通信料金が、抽出手段により抽出された以前の送信方法による通信料金と較べて、同額もしくは低額であり、かつ、入手手段により入手された新しい送信方法による送信条件が、抽出手段により抽出された以前の送信方法による送信条件と同等である場合には、前記入手手段により入手された新しい送信方法を強制的に選択するとともに、前記記憶手段の記憶している以前の送信方法を、新しい送信方法に書き換えること
を特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項6】
前記送信方法には、送信先名毎に、常に新しい送信方法を優先するか否かが設定されており、
前記選択手段は、
前記受付手段により受付けられた送信先名についての設定が、常に新しい送信方法を優先する設定になっている場合には、前記入手手段により入手された新しい送信方法を強制的に選択するとともに、前記記憶手段の記憶している以前の送信方法を、新しい送信方法に書き換えること
を特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項7】
当該画像送信装置は、さらに、
送信先を特定する情報の入力を、送信者から直接受付けるマニュアル入力手段を備え、
前記送信手段は、
マニュアル入力手段により送信先を特定する情報の入力を受付けた場合には、当該情報に従って画像データを送信すること
を特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項8】
前記記憶手段に記憶されている以前の送信方法は、受信者設定による以前の送信方法であり、
前記入手手段が入手する新しい送信方法は、受信者設定による新しい送信方法であり、
当該画像送信装置は、さらに、
送信者毎に個別の個人アドレス帳を取得する取得手段を備え、
前記個人アドレス帳には、送信先名毎に、送信者が設定した送信方法を含むとともに、受信者設定に従うか否かが設定されており、
前記選択手段は、
前記受付手段により受付けられた送信先名についての設定が、受信者設定に従わない設定になっている場合には、前記入手手段により入手された新しい送信方法と、前記抽出手段により抽出された以前の送信方法とのいずれも、送信者に選択させることを禁止し、
前記送信手段は、
個人アドレス帳に含まれる、受付けた送信先名に対応する送信者が設定した送信方法に従って、画像データを送信すること
を特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項9】
ネットワークを介して接続されているアドレスサーバに、送信先名に対応付けて登録されている送信方法に従って、画像データを送信する画像送信装置における画像送信方法であって、
前記画像送信装置は、
送信先名毎に対応付けて、以前の送信方法を記憶している記憶手段を備え、
当該画像送信方法は、
送信者から送信先名を受付ける受付ステップと、
前記アドレスサーバから、ステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて登録されている新しい送信方法を入手する入手ステップと、
前記記憶手段から、ステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を抽出する抽出ステップと、
入手ステップにより入手された新しい送信方法と、抽出ステップにより抽出された以前の送信方法とのいずれか一方を、送信者に選択させる選択ステップと、
選択ステップにより選択された送信方法に従って、画像データを送信する送信ステップと
を含むことを特徴とする。
【請求項10】
ネットワークを介して接続されているアドレスサーバに、送信先名に対応付けて登録されている送信方法に従って、画像データを送信する画像送信装置に画像送信処理を実行させる画像送信プログラムであって、
前記画像送信装置は、
送信先名毎に対応付けて、以前の送信方法を記憶している記憶手段を備え、
当該画像送信プログラムは、前記画像送信装置に、
送信者から送信先名を受付ける受付ステップと、
前記アドレスサーバから、ステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて登録されている新しい送信方法を入手する入手ステップと、
前記記憶手段から、ステップ手段により受付けられた送信先名に対応付けて記憶されている以前の送信方法を抽出する抽出ステップと、
入手ステップにより入手された新しい送信方法と、抽出ステップにより抽出された以前の送信方法とのいずれか一方を、送信者に選択させる選択ステップと、
選択ステップにより選択された送信方法に従って、画像データを送信する送信ステップと
を実行させることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−94792(P2009−94792A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263411(P2007−263411)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】