画素パターン
本発明は,不規則パターンによる配列に画素を配置することによってエイリアシングの危険を減らす,電子カラー撮像装置における画素配置のための配列を開示する。配列は,第1,第2,及び第3の色をそれぞれ表す第1,第2,及び第3の画素集合を備える。第1の画素集合内の画素及び/又は第2画素集合内の画素は,すくなくとも第1の空間周波数で配置し,第3の画素集合内の画素は少なくとも第2の空間周波数で配置する。さらに,前記第1又は第2の画素集合のどちらか一方を少なくとも第3空間周波数で配置し得る。前記第1,第2,及び第3の空間周波数は,どれも互いの調波ではない。この配列を1つ又はいくつかの異なる画素マトリックスに実現してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,使用される画像記録配列又は画像再生配列における画素配置の規則性を主原因としたエイリアシング(aliasing)を起こしやすい電子撮像装置に関する。本発明は,特にカラー画像の電子的な記録及び再生に関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに
電子カメラ,スキャナ(コピー機,ファックス装置などに含まれるデジタルスキャナを含む),及び他の電子画像記録装置においては,画像は通常,複数の感光素子から成る配列に投写されるか,又は他の方法で受光される。各素子は,受光した光を,この受光した光の強度に対応する電子信号に変換する。したがって,複数の個別感光素子から成る1つの配列から受光した複数の値から成る配列として1つの画像全体を記録することができる。特定の1つの値は,配列内の特定の位置にある特定の1つの素子が受光した光に対応する。したがって,これらの感光素子は,画像の要素,すなわち画素であると理解することができる。
【0003】
ここで画像再生について少し触れると,前記画素をコンピュータ画面又はテレビ画面に再生することによって,あるいはビデオプロジェクタ又はデータプロジェクタなどによって再生することによって,記録された画像の可視コピーを作成することができる。ここで,対応する感光素子が本来受光した光量に応じて,画素をより高輝度又はより低輝度で再生し得る。人間の目は,画素の輝度に応じて,再生された画素を黒又は白として,又は灰色のさまざまな濃淡として知覚し得る。
【0004】
ただし,カラー画像を記録する場合は,画像中の光の強度を感知するだけでは不十分である。この場合は,さらにカラー画像記録用の画素配列によって色を感知する必要がある。最も一般的な原理は,赤色,緑色,青色の3原色を感知することである。この3原色によって,人間の目に見えるほとんどの色と色相とを再生できる。用途によっては,シアン,マゼンタ,黄色の3つの補色,又は他の色の組み合わせを感知し得る。
【0005】
3つの色は,3つの異なる画素によって感知できる。この場合,たとえば,第1の画素は赤色に敏感であり,第2の画素は緑色に敏感であり,第3の画素は青色に敏感である。感色性は,たとえば,一般的な感光素子に,光の赤成分,緑成分,又は青色成分を通す適切なフィルタを設けることによって実現し得る。
【0006】
画像記録用の画素配列においては,通常,前記必要な3つの光に敏感な画素を密に近接させてトリプレット(triplet)としてまとめ,さらに,これらのトリプレット同士を密に近接させて配置する。記録されたカラー画像を再生すると,1つのトリプレット内の画素同士がこのように近いために,人間の目は赤色,緑色,及び青色の画素をそれぞれ別個に識別できない。代わりに,人間の目は,赤色,緑色,及び青色の画素を単一のマクロ画素として知覚し,すなわち,人間の目は,3つの画素を加え合わせたものとして知覚する。これにより,画像記録配列の赤色,緑色,及び青色の光に鋭敏な対応する画素が受光した光の強度に応じて赤色,緑色,及び青色の画素の強度を変えれば,単一のマクロ画素を人間の目に見えるあらゆる色に再生できる。さらに,画像記録用の画素配列内のトリプレット間が近いことによって,記録されたカラー画像の再生時に,人間の目は個々のトリプレットを識別できない。再生された画像が複数のトリプレットから成る配列を含み,各トリプレットが赤色,緑色,及び青色の画素を含み,各画素の輝度が異なっていても,人間の目はこの画像を1つの均質な画像として知覚する。このような画素配列の例を図1A〜図1Dに示す。
【0007】
この結果,相当数のトリプレットを使用することによって,記録された画像を黒,白,及び灰色の濃淡を含み,輝度がそれぞれ異なる複数の色を有する1つの均質な画像として再生できる。ただし,カラー画像を拡大し,及び/又は間近で見た場合,実際には人間の目は部分画素又はトリプレットを個別に識別し得る。
【0008】
1つの画素配列内の複数の画素は通常,極めて規則的なパターンで集積されているが,この理由は,規則的なパターンは,通常最も密な集合,すなわち上記のような近接度になるからである。したがって,図1A〜図lDに例示したように,電子画像記録装置においては,複数の感色性画素は通常,極めて規則的なパターンに従った画素配列に配置されており,赤色,緑色,及び青色の画素が同じ空間周波数で存在する。これらの画素は,水平方向において第1の空間周波数で,垂直方向において第2の周波数で,及び何れか任意の斜め方向において第3の空間周波数で配置されていることもある。ただし,赤色,緑色,及び青色の画素は,前記それぞれの方向において同じ空間周波数で配置されている。言い換えれば,前記第1の方向においては,2つの赤色画素間の距離は2つの緑色画素間又は2つの青色画素間の距離と同じであり,前記第2の方向及び第3の方向においても同じである。
【0009】
記録される画像内のどこかに記録画素パターンと同様のパターンが存在し,画像パターンと画素パターンとがほぼ同じ空間周波数又はその調波を有していると,この画像パターンと画素パターンとの相互作用によってビートパターンが発生する。記録された画像内にビートパターンが発生すると,その画像を再生するたびにそのビートパターンが現れる。さらに,記録された画像にビートパターンが存在しなくても,記録された画像内のパターンとほぼ同じ空間周波数又はその調波を有する画素パターンによってその画像を再生すると,ビートパターンが現れる。たとえば,このような画素パターンを有するテレビ画面,データモニタ,ビデオ又はデータプロジェクタなどによってその画像を再生すると,ビートパターンが現れる。
【0010】
ビートパターンは,エイリアシングとして周知の望ましくない効果又は現象であり,再生される画像がモワレ干渉パターン(Moire Pattern of interference)(モワレビートパターン(a Moire beat pattern))と同じか,又は似たものになる。通常,モワレビートパターンは,2つの同様な規則的パターンを重ね合わせたときに生じる。たとえば,複数の黒及び白の縞が等間隔に並んだ単純な格子を含む2つの同じ図を重ね合わせると,モワレビートパターンが生じ得る。この2つの図を90°ずらして重ね合わせると,モワレ効果のない市松パターンが見られる。ただし,図3の例のように交差角が45°未満であると,等間隔の線から成るモワレパターン,つまりモワレ干渉縞が見られる。交差角が小さくなるほど,干渉縞の間隔が広がる。一般に,重ね合わせた2枚の図中の線の交差角が45°未満のときにのみモワレパターンが生じる。
【0011】
ただし,画像内に発生し得るあらゆるパターンの空間周波数が当該画素パターンに存在するどの空間周波数よりも低い場合は,エイリアシングは発生しない。この条件を満たすには,画素パターンの解像度(resolution)を画像の解像度より高くする。逆に,画像の解像度を当該画素パターンの解像度より下げた場合も,この条件が満たされる。
【0012】
画素のサイズを小さくすれば,画素パターンの解像度を上げることができる。ただし,通常,カラー画像を再生する際,1つの画素を別の画素から人間の目が見分けられなくなる限度より低く画素のサイズを縮小する理由はない。また,さまざまな画素のサイズを縮小することは技術的に難しい問題であるので,あらゆる用途に合わせるために必要な画素解像度を,少なくとも手ごろなコストで,達成することは今日の技術では無理であると言えるであろう。さらに,1つの画像を電子的に表すために必要なデータ量は線形画素の解像度の二乗に増える。処理するデータ量の増加によって,さらなるコンピュータの処理能力,より多くのデータメモリ,より高速のデータ伝達回路などが必要になる。さらに,処理能力の増加によってより多くの電力が必要になるので,バッテリ電源方式の装置においては明らかに不都合である。また,電子部品のコストが増加する。
【0013】
画素サイズの縮小による画素パターンの解像度の向上は不可能か,又は不適切であるように思われるが,多くの電子撮像システムにおいては画像の解像度を単に下げるだけでエイリアシングを回避し得る。たとえば,記録する画像をデジタルカメラの光記録画素配列に投写するレンズ系の分解能(resolution)を下げることによって,エイリアシングを回避し得る。この場合,画像の解像度を画素の解像度より低くする必要がある。ただし,レンズ系の光学分解能を上げると画像のコントラストが向上するという利点があるので,この利点はできれば通常,維持すべきである。
【0014】
上記の説明は,2つの例によって明らかにし得る。今日のデジタルカメラに一般的に使用されている画像記録用CCDチップ(荷電結合素子)又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)配列センサの解像度は,約1920×1600画素(すなわち合計で約3百万画素)か,これより若干高い。ただし,画像をカメラのCCDチップなどに投写するためのカメラレンズ系の分解能はこれよりかなり高いので,記録された画像にビートパターン,すなわちエイリアシング現象が生じ得る。同様に,1920×1600画素のCCDチップを有するデジタルカメラによって記録された画像を800×600画素のデータモニタに表示した場合も,ビートパターンが生じ得る。
【0015】
従来技術
米国特許第5,899,550号(参照によって本願明細書に援用する)には,たとえば数字及び文字の表示品質が向上されるように,それぞれのカラー画素が同一の濃淡レベルを表示するように駆動されたときに,すべてのカラー画素が同一のサブカラー(sub-colour)画素配列を有する場合より,列方向の線幅に対する行方向の線幅の比率がより1に近くなるようにサブカラー画素を配置し得る表示装置が示されている。
【0016】
英国特許第2 320 790号(参照によって本願明細書に援用する)には,第1の方向において複数の画素が複数の行に配置され,各画素がそれぞれ3色のフィルタ部分画素で構成されている構造が示されている。これらの行の長手方向に直角な方向においては,これらの部分画素が所定のRGB順番(order RGB)で配置されている。1つの行の画素は,隣接行の画素から所定の距離だけずれている。この配置によって,水平方向の鮮明度が向上し,曲線成分の処理が可能になる。
【0017】
上記の各文献においては,エイリアシング現象,又はこのような現象を解決するための解決策については何も述べられていない。
【0018】
欧州特許出願第1 098 535 Al号(参照によって本願明細書に援用する)には,第1の色(一般には緑色)の輝度素子と,第2及び第3の色(一般には赤色及び青色)のクロミナンス(chrominance)素子とを有するタイプのカラー撮像配列が示されている。ビデオ信号処理は,第2の色の素子ごとに第3の色のクロミナンス値を推定するステップを含むが,この推定は,(1)その素子の実際のクロミナンス値と,(2)第3の色の複数の実クロミナンス値の局所近傍演算値と,(3)複数の実カラークロミナンス値及び複数の実輝度値の局所近傍演算値から導き出したアンチエイリアシング制御値と,に応じて行う。
【0019】
要するに,欧州特許出願第1 098 535 Al号には,エイリアシングの効果を軽減するためのコンピュータによる計算方法が示されている。この方法は,多くの点において,画像におけるエイリアシング現象を軽減するための一般的な手法である,画像コンテンツのコンピュータによるフィルタリングに匹敵する。
【0020】
米国特許第5,461,503号(参照によって本願明細書に援用する)には,所与の画像品質に対して接続数を減らすことが可能であり,又は逆に,所与の接続数に対して鮮明度を向上することが可能な表示装置が示されている。一実施態様において,この特許は,単一行が赤色,緑色,青色,緑色の順に並んだ画素の繰り返しで構成されており,緑色の各画素の面積は赤色及び青色の画素の面積のほぼ半分であり,この特許の図4〜図7を参照のこと。
【0021】
前記の実施態様は,このような赤色,緑色,及び青色の画素の配列によってエイリアシング現象を調節し得ることを示す。ただし,緑色画素の空間周波数は赤色及び青色画素の空間周波数の2倍である。すなわち,赤色及び青色画素の空間周波数は,緑色画素の空間周波数の調波である。この結果,緑色画素と同じ空間周波数を有する画像パターンは,緑色画素とビートパターンを形成し得るばかりでなく,赤色及び青色画素ともビートパターンを形成し得る。たとえば,ストライプパターンは前記緑色画素と同じ空間周波数を示す複数の線を有し得るので,緑色の画素パターンに干渉し得る。この現象が発生すると,ストライプパターン中のそれぞれ2番目の線も赤色及び青色画素パターンに干渉する。上記の欠点,すなわち,それぞれ種類の異なる複数の画素が同じ空間周波数又はその調波を有するという欠点は,行又は列構成のあらゆるパターンで基本的に同じであり,たとえば上記米国特許第5,461,503号の図4〜図7に示されているような行又は列構成のパターンでもそうである。さらに,このような行又は列構成のパターンは,本明細書の図1B〜図1Dにも示されている。さらに,前記欠点は,本明細書の図1Aに示すように,六角形又は三角形の規則的な画素パターンでも基本的に同じである。
【0022】
発明の概要
電子画像記録装置及び電子画像再生装置はエイリアシングを起こしやすく,この主な原因は,使用される画素の配置の規則性であるが,画素の解像度が低い場合にも起こるので,この問題に対する簡単な解決策が必要とされている。したがって,本発明は,画像内のさまざまなパターンと相互作用しにくいパターンに画素が配置された画素配列を提供することによって電子撮像装置におけるエイリアシング現象を軽減する方法を開示する。撮像装置は,文脈から明確である場合,又は明記されている場合を除き,画像記録と画像再生の両装置を含むものと理解されるべきである。
【0023】
画素をできるだけ密に集積すると,画素配列の解像度が通常最大になる。規則的なパターンは通常最も密な集積になるので,結果として配列内の画素は通常極めて規則的なパターンに集積される。最も集積度が高い構造は,配列内の画素の種類の数によって異なる。この構造は,形状がそれぞれ異なる画素の配列内の相対存在量によっても異なる。
【0024】
たとえば,スペクトル的に異なる3つの画素(たとえば,赤色,緑色,及び青色の画素)の形状が円形で,サイズが等しく,また画素配列内の存在量が等しい場合は,これらの画素を三角形又は六角形のパターンに最大の密度で集積できるが,この場合,図1Aに示すように,各画素をその画素とは種類の異なる2種類の6つの画素で取り囲むことが好ましい。あるいは,前記3つのスペクトル的に異なる画素が長方形又は正方形であり,サイズが等しく,画素配列内の存在量も等しい場合は,これらの画素を隣接列又は行の繰り返しパターンで最も高密度に集積することができる。この場合,図1B〜図lDのように各列又は各行の垂直位置又は水平位置を揃えても,相互にずらしてもよい。
【0025】
ただし,画素の規則的,ひいては高密度の集積にもかかわらず,多くの電子撮像用途における解像度はエイリアシングを回避できるほど高くはないので,画素の規則性によってエイリアシングの危険性は継続する。この理由により,本発明の根底にある考えの1つは,異なる色の画素を,異なる空間周波数で配置した電子撮像用の画素配列を提供することである。特に,異なる色の画素を異なる空間周波数で少なくとも1つの方向,たとえば配列の左から右の方向,に配置し,好適には,できる限り多くの方向に配置し,最も好適にはあらゆる方向に配置する。さらに,前記各周波数ができる限り相互に調和しないようにする。
【0026】
本発明の効果は概略的な例によって説明し得るが,本発明はどのような意味においてもこの例に限定されるものではない。上記のように,たとえば赤色,緑色,及び青色を適切に混合することによって人間の目に見えるほとんどの色を作成できることは周知である。たとえば黄色は,緑色と赤色との混合である。したがって,周知の画素配列においては,画像内の黄色のパターンが緑色及び赤色の画素パターンに干渉し得る。ただし,本発明によると,緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンに,それぞれ異なる調和しない空間周波数が割り当てられるので,黄色のパターンが干渉したとしても,緑色または赤色の画素パターンのどちらか一方にしか干渉しない。したがって,出現し得るビートパターンは,赤色及び緑色の両画素パターンの組み合わせによって形成されるビートパターンに比べ,はるかに弱い。発生し得るビートパターンを弱化するこの方法は,赤色,緑色,及び青色の各画素パターンの空間周波数がそれぞれ異なり,また調和しない場合であれば,赤色,緑色,及び青色のうちの少なくとも2色の混合によって構成された色を有するすべての画像パターンに使用し得る。
【0027】
しかしながら,干渉する画像パターンが赤色,緑色,又は青色の単一色で構成されている場合は,発生したビートパターンが弱められない。したがって,異なる色の画素を異なる空間周波数で配置すると共に,同色の画素を不規則に,及び/又はいくつかの空間周波数で配置することが好ましい。これによって,画像パターンが画素パターンに干渉する危険性が最小化されるか,又は画像パターンが少なくとも画素パターン内のすべての画素に干渉する危険性が最小化される。
【0028】
上の例では,赤色,緑色,及び青色について説明したが,同じ条件は,たとえば補色であるシアン,マゼンタ,及び黄色など,特定の用途により適切な他の色の組み合わせにも有効である。
【0029】
上記に照らして,異なる色の画素ばかりでなく,同色の画素も,できるだけ多くの短い空間周波数に従って配置し,これらの周波数のいずれもが相互に調和しないこと,又は調和する周波数ができるだけ少ないことが好ましい。これによって,画像パターンが画素パターン内の短い空間波長のすべて又は大半に干渉しなくなるので,ビートパターンが発生しにくくなる。
【0030】
したがって,本発明は,第1の色を表す第1の画素集合と,第2の色を表す第2の画素集合と,第3の色を表す第3の画素集合とを少なくとも含む1つの画素配列を提供する。この配列は,前記第1の色を表す第1の画素集合内の画素及び/又は前記第2の色を表す第2の画素集合内の画素を少なくとも第1の空間周波数で配置することを特徴とする。さらに,前記第3の色を表す第3の画素集合内の画素を少なくとも第2の空間周波数で配置する。さらに,本発明の少なくとも1つの実施形態による画素配列は,前記第1の画素集合又は前記第2の画素集合のどちらか一方の画素を少なくとも第3の空間周波数で配置することを特徴とする。
【0031】
前記第1,第2,及び第3の空間周波数のいずれもが相互に調波とならない,すなわち1つの周波数が別の周波数の整数値にならないようにする必要がある。また一般には1つの画素配列内に存在するすべての空間周波数のうち,相互に調波となる空間周波数をできる限り少なくする必要がある。たとえば,前記第1の空間周波数がfサイクル/分である場合は,前記第2及び第3の空間周波数として周波数f/2,f/3,f/4...f/n,又は2f,3f,4f...nfを採用してはならない。ここで,nは整数値である。
【0032】
なお,本発明による画素配列は,1つ又はいくつかの画素マトリックスに配置し得る。
【0033】
本発明の一実施形態において,画素配列は少なくとも1つのマトリックスに配置され,前記第1の画素集合の少なくとも1つの部分集合は第1のサイズを有し,前記第2の画素集合の少なくとも1つの部分集合又は前記第3の画素集合の少なくとも1つの部分集合は第2のサイズを有する。さらに,前記単一マトリックス内の少なくともいくつかの画素はダブル画素を構成する。このダブル画素は画素を少なくとも2つ含み,これらの画素はそれぞれ前記第1,第2,または第3の画素集合のうちの異なる1つから選択される。さらに,ダブル画素で構成された少なくとも第1の部分集合は,ダブル画素で構成された少なくとも第2の部分集合に対して角度を付けて配置される。
【0034】
さらに,本発明の少なくとも1つの実施形態では,配列内のいくつかの画素が1つのダブル画素を構成する。各ダブル画素は,前記第1,第2,又は第3の色のうちの2つの色から選択された少なくとも2つの隣接画素を含み,第1の画素が表す色が第2の画素が表す色と異なることが好ましい。ただし,ダブル画素は,本発明から逸脱することなく,3つ又はそれ以上の画素を有し得る。ダブル画素中の前記第1及び第2の画素は赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましいが,他の色も可能である。さらに,前記ダブル画素から成る少なくとも第1の部分集合は,前記ダブル画素から成る少なくとも第2の部分集合に対して角度を付けて配置される。
【0035】
また,本発明の少なくとも1つの実施形態においては,いくつかのダブル画素中の2つの画素が結合対を構成し,これら2つの画素のうちの一方を活性化すると,他方の画素も活性化されるが,後者の活性化は前者より若干小さい。この逆の活性化も可能である。2つの画素の色が異なるので,画像パターンが両画素とビートパターンを発生させる可能性がほぼ皆無になるために,エイリアシングの危険が減る。活性化レベルは,それぞれ特定の用途に合わせて最適化する必要があり得る。結合対は赤色画素と緑色画素とを含んでもよいが,他の色も可能である。
【0036】
さらに,本発明による画素配列を3つの別個の画素マトリックスとして配置してもよい。この場合,たとえば,第1の色を表す画素を第1のマトリックスに配置し,第2の色を表す画素を第2のマトリックスに配置し,第3の色を表す画素を第3のマトリックスに配置する。さらに,前記第1のマトリックスを前記第2のマトリックス及び前記第3のマトリックスに対してシフトする。前記シフトを実現するには,各マトリックスをそれぞれ異なる角度で配置し,及び/又はマトリックスごとにそれぞれ異なるパターンに従って画素を配置する。
【0037】
明らかに,本発明は,画素の規則的な行及び列を極力回避することによって,電子撮像装置において出現し得るエイリアシング現象の効果を最小化する。本発明による画素パターンが有する不規則性は,直線及び/又は曲線,又は鋭い境界線全般の記録及び/又は再生に関してさらなる効果を有する。画像内の線又は鋭い境界線を図1A〜図1Dに示すような規則的な行及び/又は列構成の周知の画素パターンによって記録及び/又は再生すると,図4Bに概略的に示すように,線又は境界線が階段状に表される。ただし,この効果は,本発明による,より規則性のない画素パターンによって軽減される。結果を図4Aに概略的に示す。ただし,黒領域と白領域との間の移行領域に,灰色がかった濃淡(図示せず)を有する細い境界線が現れることもある。
【0038】
次に,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
上記のように,図1Aに示すような,また場合によっては図1Bに示すような,六角形の画素パターンにおいては,あるいは図1B〜図1Dに示すような行又は列形式の画素パターンにおいては,赤色,緑色,及び青色の画素は,サイズ及び形状が等しく,規則的に配置され,1:1:1の比率で存在するために,画像のストライプパターン又は他の規則的な画像パターンが画素に干渉してビートパターン,すなわちエイリアシング現象が発生しやすい。
【0040】
7つの実施形態を以下に説明する。最初の6つの実施形態は,一般的な画素配列に関して説明する。ただし,これらの実施形態はそれぞれ単一マトリックスを示す図によって示されている。したがって,本発明から逸脱することなく,それぞれ異なる色を表す複数の画素を1つの単一マトリックスとして配置することも,いくつかの別々のマトリックスとして配置することもできることに留意されたい。この結果,第7の実施形態は,単一色の画素をそれぞれ複数含む3つの個別マトリックスとして配置された画素配列を示す。ただし,最初の6つの実施形態が3つの異なる色の画素を複数含む単一マトリックスとして示され,第7の実施形態が単一色の画素をそれぞれ複数含む3つのマトリックスとして示されていても,1つのマトリックスに2つの異なる色の画素を含めることも可能であり,本発明から逸脱するものではない。
【0041】
第1の実施形態(方形パターン)
図2Aに示す本発明の第1の実施形態によると,このようなエイリアシングの危険が減る。図2Aに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成されており,画素配列中のダブル画素と単一画素の比率は約1:1である。シングル画素は青色を表し,ダブル画素中の2つの画素は赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。他の複数の実施形態においては,特定の用途,周囲環境などに応じて,前記画素が他の色を表してもよい。他の色候補の一例は,シアン,マゼンタ,及び黄色などの補色である。
【0042】
第1の実施形態においては,画素が「方形パターン」に配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を占める。第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置され,さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素を約90度,約180度,及び約270度回転したコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましいが,他の回転角度も可能である。言い換えれば,第1及び第2のダブル画素を1つの方形の下部と上部とにそれぞれ水平に配置し,第3及び第4のダブル画素をその方形のそれぞれ左右の辺に垂直に配置する。
【0043】
上部及び下部のダブル画素は,それぞれの緑色及び赤色の画素を反対方向に配置することが好ましい。言い換えれば,下部のダブル画素の緑色画素を左側にし,赤色画素を右側にした場合は,上部の画素の緑色画素を右側にし,赤色画素を左側にする。同様に,左右のダブル画素は,それぞれの緑色及び赤色の画素を反対方向に配置することが好ましい,すなわち,左側のダブル画素の緑色画素を下向きにし,赤色画素を上向きにした場合は,右側のダブル画素の緑色画素を上向きにし,赤色の画素を下向きにする。
【0044】
赤色と緑色のダブル画素の間の隙間は,青色のシングル画素で埋めることが好ましい。水平に配置されたダブル画素の各隣接対の間に1つのシングル画素を配置し,また垂直に配置されダブル画素の各隣接対の間に1つのシングル画素を配置する。これは1つのダブル画素と1つの隣接シングル画素とが,赤色,緑色,及び青色の画素を1つずつ含む1つのトリプレット画素又はマクロ画素として知覚され得る1つの画素配列を提供する。
【0045】
この第1の実施形態においては,赤色及び緑色のすべての画素がほぼ同じ第1のサイズと,ほぼ同じ第1の略半円形状とを有する一方で,すべての青色画素はほぼ同じ第2のサイズと,ほぼ同じ第2の略円形形状とを有する。図2Aから分かるように,この実施形態における青色画素は,赤色及び緑色の画素より小さいので,多くの用途において補償する必要がある。これを電子画像記録装置で補償する1つの方法は,赤色及び緑色の画素の感色性に比べ,青色画素の感色性を向上するというものであり,一方,電子画像再生装置でこれを補償する方法の1つは,赤色及び緑色の画素の強度に比べ,青色画素の強度を増加するというものである。
【0046】
ここで説明する「方形パターン」においては,1つのダブル画素内の赤色及び緑色の画素は,隣接する他のダブル画素内の赤色及び緑色の画素により近接させて配置することが可能であるので,少なくとも図1A〜図1Dに示される画素パターンに比べ,解像度が向上する。さらに,この「方形パターン」では,赤色画素及び/又は緑色画素が少なくとも第1の空間周波数で配置され,青色画素が少なくとも第2の空間周波数で配置される。
【0047】
解像度が高いため,「方形パターン」におけるビートパターンの発生は,赤色及び緑色の成分を含む画像パターンの空間波長が,図1A〜図1Dに示すパターンにおけるビートパターンの発生に比べかなり短いことを要求する。たとえ「方形パターン」でビートパターンが発生したとしても,不規則性が高くなるに伴い,画素パターン内の空間周波数が増加するために,ビートパターンが弱まるので,図1A〜図1Dによるパターンの場合ほどビートパターンは明確ではない。要するに,解像度を上げ,空間周波数の数を増やせば,エイリアシング現象の総合的な危険が低下する。
【0048】
ただし,「方形パターン」においては,好ましくは青色の小さなシングル画素は,青色成分を含む空間波長がより長い場合に,ビートパターンを発生しやすい。この理由は,赤色及び緑色画素に比べ,青色画素はより規則的なパターンで,より広い間隔を置いて配置されるからである。ただし,これは多くの用途において許容できる。スペクトルの青色範囲における人間の目の空間分解能は,スペクトルの赤色及び緑色範囲に比べかなり低いからである。
【0049】
第2の実施形態(シフト方形パターン)
図2Bに示す本発明の第2の実施形態によると,図2Aに示すような上記の本発明の第1の実施形態と同様の方法で,エイリアシングの危険が軽減される。
【0050】
図2Bに示す画素配列は,ダブル画素とシングル画素とで構成されており,画素配列内のダブル画素とシングル画素の比率は約2:1である。第1の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。他の複数の実施形態においては,特定の用途,周囲環境などに応じて,前記画素が他の色を表してもよい。他の色候補の一例は,補色であるシアン,マゼンタ,及び黄色である。
【0051】
第2の実施形態においては,上記の第1の実施形態とほぼ同様の方法で,画素は方形パターンに配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を占める。この結果,第1のダブル画素は方形の下部に水平に配置され,さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素約90度,約180度,及び約270度回転させたコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましいが,他の回転角度も可能である。言い換えれば,第1及び第2のダブル画素を方形の下部と上部とにそれぞれ水平に配置し,第3及び第4のダブル画素を方形の左右の辺にそれぞれ垂直に配置する。
【0052】
上部及び下部のダブル画素は,それぞれの緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。言い換えれば,下部のダブル画素の緑色画素を左側にし,赤色画素を右側にした場合は,上部のダブル画素の緑色画素を右側にし,赤色の画素を左側にする。同様に,左右のダブル画素のそれぞれの緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。すなわち,左側のダブル画素の緑色画素を下向きにし,赤色画素を上向きにした場合は,右側のダブル画素の緑色画素を上向きにし,赤色の画素を下向きにする。
【0053】
さらに,「シフト方形パターン」は,各方形内の隙間をより小さな青色シングル画素を包含するに十分な大きさの隙間に均一化する。好ましくは赤色及び緑色のダブル画素間のこれらの隙間を好ましくは青色のシングル画素で埋める。このように,この第2の実施形態によると,各方形の中心には青色のシングル画素が1つだけ配置される。この結果,2つのダブル画素と隣接する1つのシングル画素とが,2つの赤色画素と2つの緑色画素と1つの青色画素とを含む,1つの拡張トリプレット画素又は拡張マクロ画素として知覚される画素配列になる。トリプレット画素及びマクロ画素という名称は,含まれる画素が4つ又はそれ以上であっても,色は3つだけであることによる。
【0054】
第1の実施形態と同じように,この第2の実施形態においても,赤色及び緑色のすべての画素はほぼ同じ第1のサイズとほぼ同じ第1の略半円形状とを有し,一方青色のすべての画素はほぼ同じ第2のサイズとほぼ同じ第2の略円形形状とを有する。図2Bから分かるように,この実施形態における青色画素は赤色及び緑色の画素より小さいので,多くの用途において補償する必要がある。さらに,青色画素の数は赤色及び緑色の画素の約半分であるので,これも多くの用途において補償する必要がある。電子画像記録装置においてこれを補償する1つの方法は,赤色及び緑色画素の感色性に比べ,青色画素の感色性を上げることによるものであり,一方,電子画像再生装置においてこれを補償する1つの方法は,赤色及び緑色画素の強度に比べ,青色画素の強度を上げることによるものである。画素の相対サイズの調整によって補償することもできよう。
【0055】
ここで説明する「シフト方形パターン」は,赤色及び緑色の画素を1つずつ含むダブル画素間の距離がほぼ最大になると同時に,集積密度が可能なほぼ最大密度になる画素パターンを示す。この結果,特に緑色を表す画素,すなわち図2Bで黒色で示されている画素,の解像度が,上記の第1の実施形態による規則的な「方形パターン」における何れの画素解像度よりも多少高くなる。特に,図1A〜図1Dに示す何れの画素パターンよりも解像度が著しく高くなる。さらに,上記の「方形パターン」と同様に,「シフト方形パターン」内の赤色,緑色,及び青色の画素は,少なくとも第1の空間周波数,少なくとも第2の空間周波数,及び少なくとも第3の空間周波数でそれぞれ配置される。人間の目の分解能及び感色性は可視スペクトルの緑色範囲において最高であるので,一般に,緑色に最高の解像度を割り当てるべきである。
【0056】
図1A〜図lDに示す画素パターンでのビートパターンの発生に比べ,「シフト方形パターン」では解像度がより高いことから,赤色成分及び緑色成分を含む画像パターンの空間波長が大幅に短くなければ,ビートパターンが発生しない。たとえ「シフト方形パターン」でビートパターンが発生したとしても,不規則性がより高く,ひいては画素パターン内の空間周波数の数がより多いために,ビートパターンが弱められるので,図1A〜図1Dによるパターンほどビートパターンは明確でない。要するに,解像度を上げ,空間周波数の数を増やせば,エイリアシング現象の総合的なリスクが減る。
【0057】
ただし,上記の「方形パターン」と同様に,「シフト方形パターン」内の好ましくは青色の小さいシングル画素は,赤色及び緑色の画素に比べ,青色画素はより規則的なパターンに配置され,間隔がより広いため,青色成分を含む空間波長がより長い場合に,ビートパターンを発生させやすい。ただし,「方形パターン」と同じように,これは多くの用途において許容できる。この理由は,スペクトルの青色範囲における人間の目の空間分解能は,スペクトルの赤色及び緑色範囲よりはるかに低いからである。
【0058】
また,「シフト方形パターン」で緑色を表す画素は,上記の「方形パターン」の対応する緑色画素より若干規則的に配置され得る。したがって,「シフト方形パターン」における緑色画素は,同様の空間波長を有する,緑色を含む画像パターンとビートパターンを形成しやすい。同時に,緑色の画素パターンでは,解像度がより高いために,どのようなエイリアシングの危険も調整される。
【0059】
さらに,「シフト方形パターン」においては,赤色を表す画素は,各方形の各隅にある同種の画素に接触する。光点は接触している両画素に容易に重なるので,受光した光点の位置が分かりにくい。同様に,電子画像再生装置においては,人間の目は,接触している複数の赤色画素を単一の赤色画素と知覚し得るので,粗さが増加する,すなわち赤色画素の解像度が下がる。ただし,これは多くの用途において許容できる。この理由は,スペクトルの赤色範囲における人間の目の空間分解能は,スペクトルの緑色範囲より低いからである。
【0060】
また,「シフト方形パターン」における赤色画素は,図1A〜図1Dに示すパターン内の匹敵する赤色画素より解像度が高くなるように配置できる。
【0061】
第3の実施形態(シフト方形パターン)
図2Eに示す本発明の第3の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2Bに示すような本発明の上記第2の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0062】
第2の実施形態と同じように,第3の実施形態においても,図2Eに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成され,1つの画素配列内におけるダブル画素とシングル画素の比率は約2:1である。第2の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。
【0063】
第3の実施形態においては,画素は「シフト方形パターン」に配置され,4つのダブル画素は1つの方形の辺を上記の第2の実施形態と同様に占める。この結果,第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置され,さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素を約90度,約180度,及び約270度回転させたコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましいが,他の回転角度も可能である。言い換えれば,第1及び第2のダブル画素を方形の下部と上部とにそれぞれ水平に配置し,第3及び第4のダブル画素を方形の左右の辺にそれぞれ垂直に配置する。
【0064】
上部及び下部のダブル画素のそれぞれ緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。言い換えれば,下部のダブル画素の緑色画素を左側にし,赤色画素を右側にした場合は,上部のダブル画素の緑色画素を右側にし,赤色画素を左側にする。同様に,左右のダブル画素はそれぞれ緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。すなわち,左側のダブル画素の緑色画素を下向きにし,赤色画素を上向きにした場合は,右側のダブル画素の緑色画素を上向きにし,赤色画素を下向きにする。
【0065】
第3の実施形態においては,赤色,緑色,及び青色のすべての画素は,ほぼ同じ方形状の形状を有する。赤色及び緑色のすべての画素はほぼ同じ第1のサイズを有する。ただし,図2Eから分かるように,この実施形態における青色のすべての画素はより大きな第2のサイズを有する。実際には青色画素は赤色及び緑色の画素の約2倍のサイズであることが好ましい。つまり,青色画素の数は,赤色及び緑色の画素の約半分であるので,すべてのスペクトル種別の画素の総表面面積が同じになる。そうならない場合は,多くの用途において補償が必要になり得る。可能な補償方法は,本発明の第1及び第2の実施形態に関して例示した。
【0066】
第3の実施形態の他の特性は,第2の実施形態の特性と同様であるので,第2の実施形態に関する上記の説明を第3の実施形態に準用する。
【0067】
第4の実施形態(傾斜シフト方形パターン)
図2Fに示す本発明の第4の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2B及び図2Eに示す本発明の上記第2の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0068】
この第4の実施形態における画素は,図2Eに示す第3の実施形態とほぼ同じである。つまり,第4の実施形態は「シフト方形パターン」を表し,4つのダブル画素が上記第3の実施形態と同様の方法で1つの方形の辺を占める。この結果,第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置される。さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素のコピーとして,方形の3つの辺に配置されることが好ましい。ただし,これら3つのダブル画素は,約80度,約180度,及び約260度で回転されるが,他の回転角度も可能である。
【0069】
さらに,第4の実施形態においては,赤色,緑色,及び青色のすべての画素がほぼ同じ菱形状の形状を有するが,菱形以外の形状もまた可能である。赤色及び緑色のすべての画素は,ほぼ同じ第1のサイズを有する。ただし,図2Fから分かるように,この実施形態における青色のすべての画素はより大きい第2のサイズを有する。実際には青色画素は赤色及び緑色の画素の2倍のサイズであることが好ましい。つまり,青色画素の数は,赤色及び緑色の画素の約半分であるので,すべてのスペクトル種別の画素の総表面面積が同じになるようにする。そうならない場合は,多くの用途において補償が必要になり得る。可能な補償方法は,本発明の第1及び第2の実施形態に関して例示した。
【0070】
図2Fから分かるように,画素パターンは,図2Eに示す第3の実施形態の画素パターンに比べ,若干傾斜している。このような傾斜によって「方形」の対角線の長さが異なることから,解像度の上限に近い空間波長の数が増加する。言い換えれば,第4の実施形態においては,多くの高空間周波数が画素配列パターンにさらに組み込まれた。この結果,1つの画像内のパターンの大半の向きに対して,エイリアシングがさらに発生しにくくなる。
【0071】
第4の実施形態の他の特性は,第2及び第3の実施形態の特性と同様であるので,第2及び第3の実施形態に関する上記の説明を第4の実施形態に準用する。
【0072】
第5の実施形態(傾斜シフト方形パターン)
図2Dに示す本発明の第5の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2Bに示す本発明の上記第2の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0073】
第2の実施形態と同じように,第5の実施形態においても,図2Dに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成され,1つの画素配列内におけるダブル画素とシングル画素との比率は約2:1である。第2の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。
【0074】
第5の実施形態においては,画素は「シフト方形パターン」に配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を上記の第2の実施形態と同様に占める。この結果,第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置される。さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素のコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましい。ただし,これら3つのダブル画素は約80度,約180度,及び約260度で回転されるが,他の回転角度も可能である。
【0075】
この結果,図2Dから分かるように,画素パターンは,図2Bに示す第2の実施形態における画素パターンに比べ,若干傾斜している。このような傾斜によって「方形」の対角線の長さが異なることから,解像度の上限に近い空間波長の数が増加する。言い換えれば,第4の実施形態においては,多くの高空間周波数が画素配列パターンにさらに組み込まれた。この結果,1つの画像内のパターンの大半の向きに対して,エイリアシングがさらに発生しにくくなる。
【0076】
第5の実施形態の他の特性は,第2の実施形態の特性と同様であるので,第2の実施形態に関する上記の説明を第3の実施形態に準用する。
【0077】
第6の実施形態(傾斜方形パターン)
図2Cに示す本発明の第6の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2Aに示すような本発明の上記第1の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0078】
第1の実施形態と同じように,第6の実施形態においても,図2Cに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成される。1つの画素配列内におけるダブル画素とシングル画素との比率は約1:1である。第1の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。
【0079】
第1の実施形態と同じように,第6の実施形態においても,画素は「方形パターン」に配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を占める。第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置される。さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素のコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましい。ただし,これら3つのダブル画素は約80度,約180度,及び約260度回転させるが,他の回転角度も可能である。
【0080】
この結果,図2Cから分かるように,画素パターンは,図2Aに示す第1の実施形態における画素パターンに比べ,若干傾斜している。このような傾斜によって「方形」の対角線の長さが異なることから,解像度の上限に近い空間波長の数が増加する。言い換えれば,第4の実施形態においては,多くの高空間周波数が画素配列パターンにさらに組み込まれた。この結果,1つの画像内のパターンの大半の向きに対して,エイリアシングがさらに発生しにくくなる。
【0081】
第6の実施形態の他の特性は,第1の実施形態と同様であるので,第1の実施形態に関する上記の説明を第3の実施形態に準用する。
【0082】
第7の実施形態(3つの異なるマトリックス)
カラー画像の記録及び/又は再生に使用する1つの配列内の画素を3つの個別の画素マトリックスに分散させてもよい。たとえば,デジタルカメラ及び他の電子画像記録装置においては,光のスペクトルの複数の異なる範囲を光学的に分離及び検出する際に,いくつかの画素マトリックス,一般には赤色用の1つの画素マトリックスと,緑色用の1つの画素マトリックスと,青色用の1つの画素マトリックスとを使用し得る。同様に,たとえばビデオプロジェクタ及び他の電子画像再生装置においては,それぞれ1つの画素マトリックスを使用した個別色チャネルを光学的に複数組み合わせることによって1つの画像を生成することができる。これらの色チャネルは,一般には赤色用の1つのチャネル,緑色用の1つのチャネル,及び青色用の1つのチャネルである。
【0083】
上に概説したようなマルチチャネル装置も,3つのマトリックス内の画素が規則的に配置されていると,エイリアシング現象を起こしやすい。規則的に配置された3つの画素マトリックスの一例を図5A〜図5Cに示す。図5Aは赤色を表す第1の画素マトリックスを示し,図5Bは緑色を表す第2の画素マトリックスを示し,図5Cは青色を表す第3の画素マトリックスを示す。図5A〜図5Cから分かるように,3つのマトリックスはどれもその画素がほぼ同じ矩形パターンに従って配置されており,つまり,画素パターンとほぼ同じ空間周波数又はその調波を有する矩形又は線形の画像パターンは,すべての画素パターンに同時に干渉してビートパターン,すなわちエイリアシング現象を発生させ得る。
【0084】
ただし,図6A〜図6Cに例示されているように,3つのマトリックス内の画素行をそれぞれ異なる角度に配向することによって,エイリアシング現象の効果を減らすことができる。ここで,図6Aは,第1の角度で配置された,好ましくは赤色を表す第1の画素マトリックスを示し,図6Bは,第2の角度で配置された,好ましくは緑色を表す第2の画素マトリックスを示し,図6Cは,第3の角度で配置された,好ましくは青色を表す第3の画素マトリックスを示す。ただし,他の色も可能である。ここで,1つの画像パターンがこのように角度をずらした配置の1つのマトリックス内の画素パターンに干渉したとしても,その画像パターンは他のマトリックス内の画素パターンにはおそらく干渉しない。これによって,画像パターンを構成する色が少なくとも2つ又はそれ以上の場合は,発生し得るエイリアシング現象の効果が軽減されることは明らかである。
【0085】
別の方法では,複数の異なるパターンの画素(たとえば六角形,五角形,方形などの画素)を配置する。これによって,3つのマトリックス内の画素を異なる空間周波数に従って配置できる。これは図7A〜図7Cに例示されている。図7Aは,第1のパターンに従って配置された,好ましくは赤色を表す画素の第1のマトリックスを示し,図7Bは,第2のパターンに従って配置された,好ましくは緑色を表す画素の第2のマトリックスを示し,図7Cは,第3のパターンに従って配置された,好ましくは青色を表す画素の第3のマトリックスを示す。ただし,他の色も可能である。図6A〜図6Cと同様に,画像パターンがこのようにパターンをシフトした配置の画素パターンの1つに干渉したとしても,その画像パターンは他のマトリックス内の画素パターンにはおそらく干渉しない。これによって,画像パターンを構成する色が少なくとも2つ又はそれ以上の場合は,発生し得るエイリアシング現象の効果が軽減されることは明らかである。
【0086】
パターンをシフトするには,たとえば3つのマトリックスにそれぞれ異なるパターンを使用する。たとえば,第1のマトリックスに方形パターンを使用し,第2のマトリックスに六角形パターンを使用し,第3のマトリックスに,上記の6つの実施形態(図2A〜図2Fを参照)で赤色,緑色,又は青色を有する画素に割り当てたパターンの何れかを使用してもよい。より具体的には,たとえば画素マトリックス内に使用する画素のサイズを違えることによって,パターンのシフトを行うことができる。たとえば,第1のサイズを第1のマトリックスに使用し,第2のサイズを第2のマトリックスに使用し,第3のサイズを第3のマトリックスに使用する。この結果,3つのマトリックス内の画素がそれぞれ異なる空間周波数に従って配置されることになるので,エイリアシング現象の危険が最小化される。異なる空間周波数に従って画素を3つのマトリックスに配置した場合と同じ効果を得るために,3つのマトリックスにそれぞれ異なる形状の画素を使用してもよい。画素の形状は,たとえば円,扇形,円弧,半円,楕円,放物線の線分,三角形,方形,菱形,台形,五角形,六角形,八角形に似たものとする(たとえば図7Aと7Cとを比較)。さらに,1つの画素マトリックス内の画素の形状及びサイズの両方を別のマトリックス内の画素と違えてもよい。
【0087】
上記のように,特定の電子撮像用途に合わせて,角度のシフトとパターンのシフトとを組み合わせることができる。たとえば,第1の画素マトリックス内の画素を他のどのマトリックス内の画素とも異なる角度とパターンで配置してもよい。
【0088】
例示的実施形態に照らして本発明を説明してきた。ただし,本発明はこれらの実施形態に限定されるものと考えられるべきではない。逆に,本発明は,添付請求項に定義されている範囲に含まれるあらゆる可能な変形例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1A】赤色,緑色,及び青色の画素が三角形又は六角形のパターンに配置された周知のパターン。
【図1B】赤色,緑色,及び青色の画素が列又は行形式のパターンに配置された周知のパターンを示す。このパターンは,三角形又は六角形のパターンとしても認識され得る。
【図1C】赤色,緑色,及び青色の画素が列又は行形式のパターンに配置された周知のパターンを示す。
【図1D】赤色,緑色,及び青色の画素が列又は行形式のパターンに配置された周知のパターンを示す。
【図2A】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第1の実施形態による「方形パターン」に配置されたパターンを示す。
【図2B】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第2の実施形態による「シフト方形パターン」に配置されたパターンを示す。
【図2C】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第6の実施形態による「方形パターン」に配置された傾斜パターンを示す。
【図2D】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第5の実施形態による「シフト方形パターン」に配置された傾斜パターンを示す。
【図2E】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第3の実施形態による「シフト方形パターン」に配置されたパターンを示す。
【図2F】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第4の実施形態による「シフト方形パターン」に配置された傾斜パターンを示す。
【図3】黒の縞と白の縞とが等間隔で交互に並んだ単純な格子を含む2つの同じ図を重ね合わせることによって生じたモワレビートパターンを示す。
【図4A】本発明の一実施形態による画素配列の不規則な配置によって「階段」現象が調整された概略図を示す。
【図4B】線及び/又は縁が,たとえば図1A〜図lDの画素配列に従って規則的に配置された画素配列と相互作用することによって発生した「階段」現象の概略図を示す。
【図5】(A)〜(B)は,同様なパターンに配置された3つの画素マトリックスを示す。
【図6】(A)〜(B)は,同様のパターンで角度を違えて配置された3つの画素マトリックスを示す。
【図7】(A)〜(B)は,それぞれパターンが異なる3つの画素マトリックスを示す。
【その他】
【0090】
原文では各頁に一ずつ記載されている画素の色の説明図を,添付の図面の翻訳文では,各図に記載しています。
【技術分野】
【0001】
本発明は,使用される画像記録配列又は画像再生配列における画素配置の規則性を主原因としたエイリアシング(aliasing)を起こしやすい電子撮像装置に関する。本発明は,特にカラー画像の電子的な記録及び再生に関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに
電子カメラ,スキャナ(コピー機,ファックス装置などに含まれるデジタルスキャナを含む),及び他の電子画像記録装置においては,画像は通常,複数の感光素子から成る配列に投写されるか,又は他の方法で受光される。各素子は,受光した光を,この受光した光の強度に対応する電子信号に変換する。したがって,複数の個別感光素子から成る1つの配列から受光した複数の値から成る配列として1つの画像全体を記録することができる。特定の1つの値は,配列内の特定の位置にある特定の1つの素子が受光した光に対応する。したがって,これらの感光素子は,画像の要素,すなわち画素であると理解することができる。
【0003】
ここで画像再生について少し触れると,前記画素をコンピュータ画面又はテレビ画面に再生することによって,あるいはビデオプロジェクタ又はデータプロジェクタなどによって再生することによって,記録された画像の可視コピーを作成することができる。ここで,対応する感光素子が本来受光した光量に応じて,画素をより高輝度又はより低輝度で再生し得る。人間の目は,画素の輝度に応じて,再生された画素を黒又は白として,又は灰色のさまざまな濃淡として知覚し得る。
【0004】
ただし,カラー画像を記録する場合は,画像中の光の強度を感知するだけでは不十分である。この場合は,さらにカラー画像記録用の画素配列によって色を感知する必要がある。最も一般的な原理は,赤色,緑色,青色の3原色を感知することである。この3原色によって,人間の目に見えるほとんどの色と色相とを再生できる。用途によっては,シアン,マゼンタ,黄色の3つの補色,又は他の色の組み合わせを感知し得る。
【0005】
3つの色は,3つの異なる画素によって感知できる。この場合,たとえば,第1の画素は赤色に敏感であり,第2の画素は緑色に敏感であり,第3の画素は青色に敏感である。感色性は,たとえば,一般的な感光素子に,光の赤成分,緑成分,又は青色成分を通す適切なフィルタを設けることによって実現し得る。
【0006】
画像記録用の画素配列においては,通常,前記必要な3つの光に敏感な画素を密に近接させてトリプレット(triplet)としてまとめ,さらに,これらのトリプレット同士を密に近接させて配置する。記録されたカラー画像を再生すると,1つのトリプレット内の画素同士がこのように近いために,人間の目は赤色,緑色,及び青色の画素をそれぞれ別個に識別できない。代わりに,人間の目は,赤色,緑色,及び青色の画素を単一のマクロ画素として知覚し,すなわち,人間の目は,3つの画素を加え合わせたものとして知覚する。これにより,画像記録配列の赤色,緑色,及び青色の光に鋭敏な対応する画素が受光した光の強度に応じて赤色,緑色,及び青色の画素の強度を変えれば,単一のマクロ画素を人間の目に見えるあらゆる色に再生できる。さらに,画像記録用の画素配列内のトリプレット間が近いことによって,記録されたカラー画像の再生時に,人間の目は個々のトリプレットを識別できない。再生された画像が複数のトリプレットから成る配列を含み,各トリプレットが赤色,緑色,及び青色の画素を含み,各画素の輝度が異なっていても,人間の目はこの画像を1つの均質な画像として知覚する。このような画素配列の例を図1A〜図1Dに示す。
【0007】
この結果,相当数のトリプレットを使用することによって,記録された画像を黒,白,及び灰色の濃淡を含み,輝度がそれぞれ異なる複数の色を有する1つの均質な画像として再生できる。ただし,カラー画像を拡大し,及び/又は間近で見た場合,実際には人間の目は部分画素又はトリプレットを個別に識別し得る。
【0008】
1つの画素配列内の複数の画素は通常,極めて規則的なパターンで集積されているが,この理由は,規則的なパターンは,通常最も密な集合,すなわち上記のような近接度になるからである。したがって,図1A〜図lDに例示したように,電子画像記録装置においては,複数の感色性画素は通常,極めて規則的なパターンに従った画素配列に配置されており,赤色,緑色,及び青色の画素が同じ空間周波数で存在する。これらの画素は,水平方向において第1の空間周波数で,垂直方向において第2の周波数で,及び何れか任意の斜め方向において第3の空間周波数で配置されていることもある。ただし,赤色,緑色,及び青色の画素は,前記それぞれの方向において同じ空間周波数で配置されている。言い換えれば,前記第1の方向においては,2つの赤色画素間の距離は2つの緑色画素間又は2つの青色画素間の距離と同じであり,前記第2の方向及び第3の方向においても同じである。
【0009】
記録される画像内のどこかに記録画素パターンと同様のパターンが存在し,画像パターンと画素パターンとがほぼ同じ空間周波数又はその調波を有していると,この画像パターンと画素パターンとの相互作用によってビートパターンが発生する。記録された画像内にビートパターンが発生すると,その画像を再生するたびにそのビートパターンが現れる。さらに,記録された画像にビートパターンが存在しなくても,記録された画像内のパターンとほぼ同じ空間周波数又はその調波を有する画素パターンによってその画像を再生すると,ビートパターンが現れる。たとえば,このような画素パターンを有するテレビ画面,データモニタ,ビデオ又はデータプロジェクタなどによってその画像を再生すると,ビートパターンが現れる。
【0010】
ビートパターンは,エイリアシングとして周知の望ましくない効果又は現象であり,再生される画像がモワレ干渉パターン(Moire Pattern of interference)(モワレビートパターン(a Moire beat pattern))と同じか,又は似たものになる。通常,モワレビートパターンは,2つの同様な規則的パターンを重ね合わせたときに生じる。たとえば,複数の黒及び白の縞が等間隔に並んだ単純な格子を含む2つの同じ図を重ね合わせると,モワレビートパターンが生じ得る。この2つの図を90°ずらして重ね合わせると,モワレ効果のない市松パターンが見られる。ただし,図3の例のように交差角が45°未満であると,等間隔の線から成るモワレパターン,つまりモワレ干渉縞が見られる。交差角が小さくなるほど,干渉縞の間隔が広がる。一般に,重ね合わせた2枚の図中の線の交差角が45°未満のときにのみモワレパターンが生じる。
【0011】
ただし,画像内に発生し得るあらゆるパターンの空間周波数が当該画素パターンに存在するどの空間周波数よりも低い場合は,エイリアシングは発生しない。この条件を満たすには,画素パターンの解像度(resolution)を画像の解像度より高くする。逆に,画像の解像度を当該画素パターンの解像度より下げた場合も,この条件が満たされる。
【0012】
画素のサイズを小さくすれば,画素パターンの解像度を上げることができる。ただし,通常,カラー画像を再生する際,1つの画素を別の画素から人間の目が見分けられなくなる限度より低く画素のサイズを縮小する理由はない。また,さまざまな画素のサイズを縮小することは技術的に難しい問題であるので,あらゆる用途に合わせるために必要な画素解像度を,少なくとも手ごろなコストで,達成することは今日の技術では無理であると言えるであろう。さらに,1つの画像を電子的に表すために必要なデータ量は線形画素の解像度の二乗に増える。処理するデータ量の増加によって,さらなるコンピュータの処理能力,より多くのデータメモリ,より高速のデータ伝達回路などが必要になる。さらに,処理能力の増加によってより多くの電力が必要になるので,バッテリ電源方式の装置においては明らかに不都合である。また,電子部品のコストが増加する。
【0013】
画素サイズの縮小による画素パターンの解像度の向上は不可能か,又は不適切であるように思われるが,多くの電子撮像システムにおいては画像の解像度を単に下げるだけでエイリアシングを回避し得る。たとえば,記録する画像をデジタルカメラの光記録画素配列に投写するレンズ系の分解能(resolution)を下げることによって,エイリアシングを回避し得る。この場合,画像の解像度を画素の解像度より低くする必要がある。ただし,レンズ系の光学分解能を上げると画像のコントラストが向上するという利点があるので,この利点はできれば通常,維持すべきである。
【0014】
上記の説明は,2つの例によって明らかにし得る。今日のデジタルカメラに一般的に使用されている画像記録用CCDチップ(荷電結合素子)又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)配列センサの解像度は,約1920×1600画素(すなわち合計で約3百万画素)か,これより若干高い。ただし,画像をカメラのCCDチップなどに投写するためのカメラレンズ系の分解能はこれよりかなり高いので,記録された画像にビートパターン,すなわちエイリアシング現象が生じ得る。同様に,1920×1600画素のCCDチップを有するデジタルカメラによって記録された画像を800×600画素のデータモニタに表示した場合も,ビートパターンが生じ得る。
【0015】
従来技術
米国特許第5,899,550号(参照によって本願明細書に援用する)には,たとえば数字及び文字の表示品質が向上されるように,それぞれのカラー画素が同一の濃淡レベルを表示するように駆動されたときに,すべてのカラー画素が同一のサブカラー(sub-colour)画素配列を有する場合より,列方向の線幅に対する行方向の線幅の比率がより1に近くなるようにサブカラー画素を配置し得る表示装置が示されている。
【0016】
英国特許第2 320 790号(参照によって本願明細書に援用する)には,第1の方向において複数の画素が複数の行に配置され,各画素がそれぞれ3色のフィルタ部分画素で構成されている構造が示されている。これらの行の長手方向に直角な方向においては,これらの部分画素が所定のRGB順番(order RGB)で配置されている。1つの行の画素は,隣接行の画素から所定の距離だけずれている。この配置によって,水平方向の鮮明度が向上し,曲線成分の処理が可能になる。
【0017】
上記の各文献においては,エイリアシング現象,又はこのような現象を解決するための解決策については何も述べられていない。
【0018】
欧州特許出願第1 098 535 Al号(参照によって本願明細書に援用する)には,第1の色(一般には緑色)の輝度素子と,第2及び第3の色(一般には赤色及び青色)のクロミナンス(chrominance)素子とを有するタイプのカラー撮像配列が示されている。ビデオ信号処理は,第2の色の素子ごとに第3の色のクロミナンス値を推定するステップを含むが,この推定は,(1)その素子の実際のクロミナンス値と,(2)第3の色の複数の実クロミナンス値の局所近傍演算値と,(3)複数の実カラークロミナンス値及び複数の実輝度値の局所近傍演算値から導き出したアンチエイリアシング制御値と,に応じて行う。
【0019】
要するに,欧州特許出願第1 098 535 Al号には,エイリアシングの効果を軽減するためのコンピュータによる計算方法が示されている。この方法は,多くの点において,画像におけるエイリアシング現象を軽減するための一般的な手法である,画像コンテンツのコンピュータによるフィルタリングに匹敵する。
【0020】
米国特許第5,461,503号(参照によって本願明細書に援用する)には,所与の画像品質に対して接続数を減らすことが可能であり,又は逆に,所与の接続数に対して鮮明度を向上することが可能な表示装置が示されている。一実施態様において,この特許は,単一行が赤色,緑色,青色,緑色の順に並んだ画素の繰り返しで構成されており,緑色の各画素の面積は赤色及び青色の画素の面積のほぼ半分であり,この特許の図4〜図7を参照のこと。
【0021】
前記の実施態様は,このような赤色,緑色,及び青色の画素の配列によってエイリアシング現象を調節し得ることを示す。ただし,緑色画素の空間周波数は赤色及び青色画素の空間周波数の2倍である。すなわち,赤色及び青色画素の空間周波数は,緑色画素の空間周波数の調波である。この結果,緑色画素と同じ空間周波数を有する画像パターンは,緑色画素とビートパターンを形成し得るばかりでなく,赤色及び青色画素ともビートパターンを形成し得る。たとえば,ストライプパターンは前記緑色画素と同じ空間周波数を示す複数の線を有し得るので,緑色の画素パターンに干渉し得る。この現象が発生すると,ストライプパターン中のそれぞれ2番目の線も赤色及び青色画素パターンに干渉する。上記の欠点,すなわち,それぞれ種類の異なる複数の画素が同じ空間周波数又はその調波を有するという欠点は,行又は列構成のあらゆるパターンで基本的に同じであり,たとえば上記米国特許第5,461,503号の図4〜図7に示されているような行又は列構成のパターンでもそうである。さらに,このような行又は列構成のパターンは,本明細書の図1B〜図1Dにも示されている。さらに,前記欠点は,本明細書の図1Aに示すように,六角形又は三角形の規則的な画素パターンでも基本的に同じである。
【0022】
発明の概要
電子画像記録装置及び電子画像再生装置はエイリアシングを起こしやすく,この主な原因は,使用される画素の配置の規則性であるが,画素の解像度が低い場合にも起こるので,この問題に対する簡単な解決策が必要とされている。したがって,本発明は,画像内のさまざまなパターンと相互作用しにくいパターンに画素が配置された画素配列を提供することによって電子撮像装置におけるエイリアシング現象を軽減する方法を開示する。撮像装置は,文脈から明確である場合,又は明記されている場合を除き,画像記録と画像再生の両装置を含むものと理解されるべきである。
【0023】
画素をできるだけ密に集積すると,画素配列の解像度が通常最大になる。規則的なパターンは通常最も密な集積になるので,結果として配列内の画素は通常極めて規則的なパターンに集積される。最も集積度が高い構造は,配列内の画素の種類の数によって異なる。この構造は,形状がそれぞれ異なる画素の配列内の相対存在量によっても異なる。
【0024】
たとえば,スペクトル的に異なる3つの画素(たとえば,赤色,緑色,及び青色の画素)の形状が円形で,サイズが等しく,また画素配列内の存在量が等しい場合は,これらの画素を三角形又は六角形のパターンに最大の密度で集積できるが,この場合,図1Aに示すように,各画素をその画素とは種類の異なる2種類の6つの画素で取り囲むことが好ましい。あるいは,前記3つのスペクトル的に異なる画素が長方形又は正方形であり,サイズが等しく,画素配列内の存在量も等しい場合は,これらの画素を隣接列又は行の繰り返しパターンで最も高密度に集積することができる。この場合,図1B〜図lDのように各列又は各行の垂直位置又は水平位置を揃えても,相互にずらしてもよい。
【0025】
ただし,画素の規則的,ひいては高密度の集積にもかかわらず,多くの電子撮像用途における解像度はエイリアシングを回避できるほど高くはないので,画素の規則性によってエイリアシングの危険性は継続する。この理由により,本発明の根底にある考えの1つは,異なる色の画素を,異なる空間周波数で配置した電子撮像用の画素配列を提供することである。特に,異なる色の画素を異なる空間周波数で少なくとも1つの方向,たとえば配列の左から右の方向,に配置し,好適には,できる限り多くの方向に配置し,最も好適にはあらゆる方向に配置する。さらに,前記各周波数ができる限り相互に調和しないようにする。
【0026】
本発明の効果は概略的な例によって説明し得るが,本発明はどのような意味においてもこの例に限定されるものではない。上記のように,たとえば赤色,緑色,及び青色を適切に混合することによって人間の目に見えるほとんどの色を作成できることは周知である。たとえば黄色は,緑色と赤色との混合である。したがって,周知の画素配列においては,画像内の黄色のパターンが緑色及び赤色の画素パターンに干渉し得る。ただし,本発明によると,緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンに,それぞれ異なる調和しない空間周波数が割り当てられるので,黄色のパターンが干渉したとしても,緑色または赤色の画素パターンのどちらか一方にしか干渉しない。したがって,出現し得るビートパターンは,赤色及び緑色の両画素パターンの組み合わせによって形成されるビートパターンに比べ,はるかに弱い。発生し得るビートパターンを弱化するこの方法は,赤色,緑色,及び青色の各画素パターンの空間周波数がそれぞれ異なり,また調和しない場合であれば,赤色,緑色,及び青色のうちの少なくとも2色の混合によって構成された色を有するすべての画像パターンに使用し得る。
【0027】
しかしながら,干渉する画像パターンが赤色,緑色,又は青色の単一色で構成されている場合は,発生したビートパターンが弱められない。したがって,異なる色の画素を異なる空間周波数で配置すると共に,同色の画素を不規則に,及び/又はいくつかの空間周波数で配置することが好ましい。これによって,画像パターンが画素パターンに干渉する危険性が最小化されるか,又は画像パターンが少なくとも画素パターン内のすべての画素に干渉する危険性が最小化される。
【0028】
上の例では,赤色,緑色,及び青色について説明したが,同じ条件は,たとえば補色であるシアン,マゼンタ,及び黄色など,特定の用途により適切な他の色の組み合わせにも有効である。
【0029】
上記に照らして,異なる色の画素ばかりでなく,同色の画素も,できるだけ多くの短い空間周波数に従って配置し,これらの周波数のいずれもが相互に調和しないこと,又は調和する周波数ができるだけ少ないことが好ましい。これによって,画像パターンが画素パターン内の短い空間波長のすべて又は大半に干渉しなくなるので,ビートパターンが発生しにくくなる。
【0030】
したがって,本発明は,第1の色を表す第1の画素集合と,第2の色を表す第2の画素集合と,第3の色を表す第3の画素集合とを少なくとも含む1つの画素配列を提供する。この配列は,前記第1の色を表す第1の画素集合内の画素及び/又は前記第2の色を表す第2の画素集合内の画素を少なくとも第1の空間周波数で配置することを特徴とする。さらに,前記第3の色を表す第3の画素集合内の画素を少なくとも第2の空間周波数で配置する。さらに,本発明の少なくとも1つの実施形態による画素配列は,前記第1の画素集合又は前記第2の画素集合のどちらか一方の画素を少なくとも第3の空間周波数で配置することを特徴とする。
【0031】
前記第1,第2,及び第3の空間周波数のいずれもが相互に調波とならない,すなわち1つの周波数が別の周波数の整数値にならないようにする必要がある。また一般には1つの画素配列内に存在するすべての空間周波数のうち,相互に調波となる空間周波数をできる限り少なくする必要がある。たとえば,前記第1の空間周波数がfサイクル/分である場合は,前記第2及び第3の空間周波数として周波数f/2,f/3,f/4...f/n,又は2f,3f,4f...nfを採用してはならない。ここで,nは整数値である。
【0032】
なお,本発明による画素配列は,1つ又はいくつかの画素マトリックスに配置し得る。
【0033】
本発明の一実施形態において,画素配列は少なくとも1つのマトリックスに配置され,前記第1の画素集合の少なくとも1つの部分集合は第1のサイズを有し,前記第2の画素集合の少なくとも1つの部分集合又は前記第3の画素集合の少なくとも1つの部分集合は第2のサイズを有する。さらに,前記単一マトリックス内の少なくともいくつかの画素はダブル画素を構成する。このダブル画素は画素を少なくとも2つ含み,これらの画素はそれぞれ前記第1,第2,または第3の画素集合のうちの異なる1つから選択される。さらに,ダブル画素で構成された少なくとも第1の部分集合は,ダブル画素で構成された少なくとも第2の部分集合に対して角度を付けて配置される。
【0034】
さらに,本発明の少なくとも1つの実施形態では,配列内のいくつかの画素が1つのダブル画素を構成する。各ダブル画素は,前記第1,第2,又は第3の色のうちの2つの色から選択された少なくとも2つの隣接画素を含み,第1の画素が表す色が第2の画素が表す色と異なることが好ましい。ただし,ダブル画素は,本発明から逸脱することなく,3つ又はそれ以上の画素を有し得る。ダブル画素中の前記第1及び第2の画素は赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましいが,他の色も可能である。さらに,前記ダブル画素から成る少なくとも第1の部分集合は,前記ダブル画素から成る少なくとも第2の部分集合に対して角度を付けて配置される。
【0035】
また,本発明の少なくとも1つの実施形態においては,いくつかのダブル画素中の2つの画素が結合対を構成し,これら2つの画素のうちの一方を活性化すると,他方の画素も活性化されるが,後者の活性化は前者より若干小さい。この逆の活性化も可能である。2つの画素の色が異なるので,画像パターンが両画素とビートパターンを発生させる可能性がほぼ皆無になるために,エイリアシングの危険が減る。活性化レベルは,それぞれ特定の用途に合わせて最適化する必要があり得る。結合対は赤色画素と緑色画素とを含んでもよいが,他の色も可能である。
【0036】
さらに,本発明による画素配列を3つの別個の画素マトリックスとして配置してもよい。この場合,たとえば,第1の色を表す画素を第1のマトリックスに配置し,第2の色を表す画素を第2のマトリックスに配置し,第3の色を表す画素を第3のマトリックスに配置する。さらに,前記第1のマトリックスを前記第2のマトリックス及び前記第3のマトリックスに対してシフトする。前記シフトを実現するには,各マトリックスをそれぞれ異なる角度で配置し,及び/又はマトリックスごとにそれぞれ異なるパターンに従って画素を配置する。
【0037】
明らかに,本発明は,画素の規則的な行及び列を極力回避することによって,電子撮像装置において出現し得るエイリアシング現象の効果を最小化する。本発明による画素パターンが有する不規則性は,直線及び/又は曲線,又は鋭い境界線全般の記録及び/又は再生に関してさらなる効果を有する。画像内の線又は鋭い境界線を図1A〜図1Dに示すような規則的な行及び/又は列構成の周知の画素パターンによって記録及び/又は再生すると,図4Bに概略的に示すように,線又は境界線が階段状に表される。ただし,この効果は,本発明による,より規則性のない画素パターンによって軽減される。結果を図4Aに概略的に示す。ただし,黒領域と白領域との間の移行領域に,灰色がかった濃淡(図示せず)を有する細い境界線が現れることもある。
【0038】
次に,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
上記のように,図1Aに示すような,また場合によっては図1Bに示すような,六角形の画素パターンにおいては,あるいは図1B〜図1Dに示すような行又は列形式の画素パターンにおいては,赤色,緑色,及び青色の画素は,サイズ及び形状が等しく,規則的に配置され,1:1:1の比率で存在するために,画像のストライプパターン又は他の規則的な画像パターンが画素に干渉してビートパターン,すなわちエイリアシング現象が発生しやすい。
【0040】
7つの実施形態を以下に説明する。最初の6つの実施形態は,一般的な画素配列に関して説明する。ただし,これらの実施形態はそれぞれ単一マトリックスを示す図によって示されている。したがって,本発明から逸脱することなく,それぞれ異なる色を表す複数の画素を1つの単一マトリックスとして配置することも,いくつかの別々のマトリックスとして配置することもできることに留意されたい。この結果,第7の実施形態は,単一色の画素をそれぞれ複数含む3つの個別マトリックスとして配置された画素配列を示す。ただし,最初の6つの実施形態が3つの異なる色の画素を複数含む単一マトリックスとして示され,第7の実施形態が単一色の画素をそれぞれ複数含む3つのマトリックスとして示されていても,1つのマトリックスに2つの異なる色の画素を含めることも可能であり,本発明から逸脱するものではない。
【0041】
第1の実施形態(方形パターン)
図2Aに示す本発明の第1の実施形態によると,このようなエイリアシングの危険が減る。図2Aに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成されており,画素配列中のダブル画素と単一画素の比率は約1:1である。シングル画素は青色を表し,ダブル画素中の2つの画素は赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。他の複数の実施形態においては,特定の用途,周囲環境などに応じて,前記画素が他の色を表してもよい。他の色候補の一例は,シアン,マゼンタ,及び黄色などの補色である。
【0042】
第1の実施形態においては,画素が「方形パターン」に配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を占める。第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置され,さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素を約90度,約180度,及び約270度回転したコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましいが,他の回転角度も可能である。言い換えれば,第1及び第2のダブル画素を1つの方形の下部と上部とにそれぞれ水平に配置し,第3及び第4のダブル画素をその方形のそれぞれ左右の辺に垂直に配置する。
【0043】
上部及び下部のダブル画素は,それぞれの緑色及び赤色の画素を反対方向に配置することが好ましい。言い換えれば,下部のダブル画素の緑色画素を左側にし,赤色画素を右側にした場合は,上部の画素の緑色画素を右側にし,赤色画素を左側にする。同様に,左右のダブル画素は,それぞれの緑色及び赤色の画素を反対方向に配置することが好ましい,すなわち,左側のダブル画素の緑色画素を下向きにし,赤色画素を上向きにした場合は,右側のダブル画素の緑色画素を上向きにし,赤色の画素を下向きにする。
【0044】
赤色と緑色のダブル画素の間の隙間は,青色のシングル画素で埋めることが好ましい。水平に配置されたダブル画素の各隣接対の間に1つのシングル画素を配置し,また垂直に配置されダブル画素の各隣接対の間に1つのシングル画素を配置する。これは1つのダブル画素と1つの隣接シングル画素とが,赤色,緑色,及び青色の画素を1つずつ含む1つのトリプレット画素又はマクロ画素として知覚され得る1つの画素配列を提供する。
【0045】
この第1の実施形態においては,赤色及び緑色のすべての画素がほぼ同じ第1のサイズと,ほぼ同じ第1の略半円形状とを有する一方で,すべての青色画素はほぼ同じ第2のサイズと,ほぼ同じ第2の略円形形状とを有する。図2Aから分かるように,この実施形態における青色画素は,赤色及び緑色の画素より小さいので,多くの用途において補償する必要がある。これを電子画像記録装置で補償する1つの方法は,赤色及び緑色の画素の感色性に比べ,青色画素の感色性を向上するというものであり,一方,電子画像再生装置でこれを補償する方法の1つは,赤色及び緑色の画素の強度に比べ,青色画素の強度を増加するというものである。
【0046】
ここで説明する「方形パターン」においては,1つのダブル画素内の赤色及び緑色の画素は,隣接する他のダブル画素内の赤色及び緑色の画素により近接させて配置することが可能であるので,少なくとも図1A〜図1Dに示される画素パターンに比べ,解像度が向上する。さらに,この「方形パターン」では,赤色画素及び/又は緑色画素が少なくとも第1の空間周波数で配置され,青色画素が少なくとも第2の空間周波数で配置される。
【0047】
解像度が高いため,「方形パターン」におけるビートパターンの発生は,赤色及び緑色の成分を含む画像パターンの空間波長が,図1A〜図1Dに示すパターンにおけるビートパターンの発生に比べかなり短いことを要求する。たとえ「方形パターン」でビートパターンが発生したとしても,不規則性が高くなるに伴い,画素パターン内の空間周波数が増加するために,ビートパターンが弱まるので,図1A〜図1Dによるパターンの場合ほどビートパターンは明確ではない。要するに,解像度を上げ,空間周波数の数を増やせば,エイリアシング現象の総合的な危険が低下する。
【0048】
ただし,「方形パターン」においては,好ましくは青色の小さなシングル画素は,青色成分を含む空間波長がより長い場合に,ビートパターンを発生しやすい。この理由は,赤色及び緑色画素に比べ,青色画素はより規則的なパターンで,より広い間隔を置いて配置されるからである。ただし,これは多くの用途において許容できる。スペクトルの青色範囲における人間の目の空間分解能は,スペクトルの赤色及び緑色範囲に比べかなり低いからである。
【0049】
第2の実施形態(シフト方形パターン)
図2Bに示す本発明の第2の実施形態によると,図2Aに示すような上記の本発明の第1の実施形態と同様の方法で,エイリアシングの危険が軽減される。
【0050】
図2Bに示す画素配列は,ダブル画素とシングル画素とで構成されており,画素配列内のダブル画素とシングル画素の比率は約2:1である。第1の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。他の複数の実施形態においては,特定の用途,周囲環境などに応じて,前記画素が他の色を表してもよい。他の色候補の一例は,補色であるシアン,マゼンタ,及び黄色である。
【0051】
第2の実施形態においては,上記の第1の実施形態とほぼ同様の方法で,画素は方形パターンに配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を占める。この結果,第1のダブル画素は方形の下部に水平に配置され,さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素約90度,約180度,及び約270度回転させたコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましいが,他の回転角度も可能である。言い換えれば,第1及び第2のダブル画素を方形の下部と上部とにそれぞれ水平に配置し,第3及び第4のダブル画素を方形の左右の辺にそれぞれ垂直に配置する。
【0052】
上部及び下部のダブル画素は,それぞれの緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。言い換えれば,下部のダブル画素の緑色画素を左側にし,赤色画素を右側にした場合は,上部のダブル画素の緑色画素を右側にし,赤色の画素を左側にする。同様に,左右のダブル画素のそれぞれの緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。すなわち,左側のダブル画素の緑色画素を下向きにし,赤色画素を上向きにした場合は,右側のダブル画素の緑色画素を上向きにし,赤色の画素を下向きにする。
【0053】
さらに,「シフト方形パターン」は,各方形内の隙間をより小さな青色シングル画素を包含するに十分な大きさの隙間に均一化する。好ましくは赤色及び緑色のダブル画素間のこれらの隙間を好ましくは青色のシングル画素で埋める。このように,この第2の実施形態によると,各方形の中心には青色のシングル画素が1つだけ配置される。この結果,2つのダブル画素と隣接する1つのシングル画素とが,2つの赤色画素と2つの緑色画素と1つの青色画素とを含む,1つの拡張トリプレット画素又は拡張マクロ画素として知覚される画素配列になる。トリプレット画素及びマクロ画素という名称は,含まれる画素が4つ又はそれ以上であっても,色は3つだけであることによる。
【0054】
第1の実施形態と同じように,この第2の実施形態においても,赤色及び緑色のすべての画素はほぼ同じ第1のサイズとほぼ同じ第1の略半円形状とを有し,一方青色のすべての画素はほぼ同じ第2のサイズとほぼ同じ第2の略円形形状とを有する。図2Bから分かるように,この実施形態における青色画素は赤色及び緑色の画素より小さいので,多くの用途において補償する必要がある。さらに,青色画素の数は赤色及び緑色の画素の約半分であるので,これも多くの用途において補償する必要がある。電子画像記録装置においてこれを補償する1つの方法は,赤色及び緑色画素の感色性に比べ,青色画素の感色性を上げることによるものであり,一方,電子画像再生装置においてこれを補償する1つの方法は,赤色及び緑色画素の強度に比べ,青色画素の強度を上げることによるものである。画素の相対サイズの調整によって補償することもできよう。
【0055】
ここで説明する「シフト方形パターン」は,赤色及び緑色の画素を1つずつ含むダブル画素間の距離がほぼ最大になると同時に,集積密度が可能なほぼ最大密度になる画素パターンを示す。この結果,特に緑色を表す画素,すなわち図2Bで黒色で示されている画素,の解像度が,上記の第1の実施形態による規則的な「方形パターン」における何れの画素解像度よりも多少高くなる。特に,図1A〜図1Dに示す何れの画素パターンよりも解像度が著しく高くなる。さらに,上記の「方形パターン」と同様に,「シフト方形パターン」内の赤色,緑色,及び青色の画素は,少なくとも第1の空間周波数,少なくとも第2の空間周波数,及び少なくとも第3の空間周波数でそれぞれ配置される。人間の目の分解能及び感色性は可視スペクトルの緑色範囲において最高であるので,一般に,緑色に最高の解像度を割り当てるべきである。
【0056】
図1A〜図lDに示す画素パターンでのビートパターンの発生に比べ,「シフト方形パターン」では解像度がより高いことから,赤色成分及び緑色成分を含む画像パターンの空間波長が大幅に短くなければ,ビートパターンが発生しない。たとえ「シフト方形パターン」でビートパターンが発生したとしても,不規則性がより高く,ひいては画素パターン内の空間周波数の数がより多いために,ビートパターンが弱められるので,図1A〜図1Dによるパターンほどビートパターンは明確でない。要するに,解像度を上げ,空間周波数の数を増やせば,エイリアシング現象の総合的なリスクが減る。
【0057】
ただし,上記の「方形パターン」と同様に,「シフト方形パターン」内の好ましくは青色の小さいシングル画素は,赤色及び緑色の画素に比べ,青色画素はより規則的なパターンに配置され,間隔がより広いため,青色成分を含む空間波長がより長い場合に,ビートパターンを発生させやすい。ただし,「方形パターン」と同じように,これは多くの用途において許容できる。この理由は,スペクトルの青色範囲における人間の目の空間分解能は,スペクトルの赤色及び緑色範囲よりはるかに低いからである。
【0058】
また,「シフト方形パターン」で緑色を表す画素は,上記の「方形パターン」の対応する緑色画素より若干規則的に配置され得る。したがって,「シフト方形パターン」における緑色画素は,同様の空間波長を有する,緑色を含む画像パターンとビートパターンを形成しやすい。同時に,緑色の画素パターンでは,解像度がより高いために,どのようなエイリアシングの危険も調整される。
【0059】
さらに,「シフト方形パターン」においては,赤色を表す画素は,各方形の各隅にある同種の画素に接触する。光点は接触している両画素に容易に重なるので,受光した光点の位置が分かりにくい。同様に,電子画像再生装置においては,人間の目は,接触している複数の赤色画素を単一の赤色画素と知覚し得るので,粗さが増加する,すなわち赤色画素の解像度が下がる。ただし,これは多くの用途において許容できる。この理由は,スペクトルの赤色範囲における人間の目の空間分解能は,スペクトルの緑色範囲より低いからである。
【0060】
また,「シフト方形パターン」における赤色画素は,図1A〜図1Dに示すパターン内の匹敵する赤色画素より解像度が高くなるように配置できる。
【0061】
第3の実施形態(シフト方形パターン)
図2Eに示す本発明の第3の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2Bに示すような本発明の上記第2の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0062】
第2の実施形態と同じように,第3の実施形態においても,図2Eに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成され,1つの画素配列内におけるダブル画素とシングル画素の比率は約2:1である。第2の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。
【0063】
第3の実施形態においては,画素は「シフト方形パターン」に配置され,4つのダブル画素は1つの方形の辺を上記の第2の実施形態と同様に占める。この結果,第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置され,さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素を約90度,約180度,及び約270度回転させたコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましいが,他の回転角度も可能である。言い換えれば,第1及び第2のダブル画素を方形の下部と上部とにそれぞれ水平に配置し,第3及び第4のダブル画素を方形の左右の辺にそれぞれ垂直に配置する。
【0064】
上部及び下部のダブル画素のそれぞれ緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。言い換えれば,下部のダブル画素の緑色画素を左側にし,赤色画素を右側にした場合は,上部のダブル画素の緑色画素を右側にし,赤色画素を左側にする。同様に,左右のダブル画素はそれぞれ緑色画素及び赤色画素を反対方向に配置することが好ましい。すなわち,左側のダブル画素の緑色画素を下向きにし,赤色画素を上向きにした場合は,右側のダブル画素の緑色画素を上向きにし,赤色画素を下向きにする。
【0065】
第3の実施形態においては,赤色,緑色,及び青色のすべての画素は,ほぼ同じ方形状の形状を有する。赤色及び緑色のすべての画素はほぼ同じ第1のサイズを有する。ただし,図2Eから分かるように,この実施形態における青色のすべての画素はより大きな第2のサイズを有する。実際には青色画素は赤色及び緑色の画素の約2倍のサイズであることが好ましい。つまり,青色画素の数は,赤色及び緑色の画素の約半分であるので,すべてのスペクトル種別の画素の総表面面積が同じになる。そうならない場合は,多くの用途において補償が必要になり得る。可能な補償方法は,本発明の第1及び第2の実施形態に関して例示した。
【0066】
第3の実施形態の他の特性は,第2の実施形態の特性と同様であるので,第2の実施形態に関する上記の説明を第3の実施形態に準用する。
【0067】
第4の実施形態(傾斜シフト方形パターン)
図2Fに示す本発明の第4の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2B及び図2Eに示す本発明の上記第2の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0068】
この第4の実施形態における画素は,図2Eに示す第3の実施形態とほぼ同じである。つまり,第4の実施形態は「シフト方形パターン」を表し,4つのダブル画素が上記第3の実施形態と同様の方法で1つの方形の辺を占める。この結果,第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置される。さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素のコピーとして,方形の3つの辺に配置されることが好ましい。ただし,これら3つのダブル画素は,約80度,約180度,及び約260度で回転されるが,他の回転角度も可能である。
【0069】
さらに,第4の実施形態においては,赤色,緑色,及び青色のすべての画素がほぼ同じ菱形状の形状を有するが,菱形以外の形状もまた可能である。赤色及び緑色のすべての画素は,ほぼ同じ第1のサイズを有する。ただし,図2Fから分かるように,この実施形態における青色のすべての画素はより大きい第2のサイズを有する。実際には青色画素は赤色及び緑色の画素の2倍のサイズであることが好ましい。つまり,青色画素の数は,赤色及び緑色の画素の約半分であるので,すべてのスペクトル種別の画素の総表面面積が同じになるようにする。そうならない場合は,多くの用途において補償が必要になり得る。可能な補償方法は,本発明の第1及び第2の実施形態に関して例示した。
【0070】
図2Fから分かるように,画素パターンは,図2Eに示す第3の実施形態の画素パターンに比べ,若干傾斜している。このような傾斜によって「方形」の対角線の長さが異なることから,解像度の上限に近い空間波長の数が増加する。言い換えれば,第4の実施形態においては,多くの高空間周波数が画素配列パターンにさらに組み込まれた。この結果,1つの画像内のパターンの大半の向きに対して,エイリアシングがさらに発生しにくくなる。
【0071】
第4の実施形態の他の特性は,第2及び第3の実施形態の特性と同様であるので,第2及び第3の実施形態に関する上記の説明を第4の実施形態に準用する。
【0072】
第5の実施形態(傾斜シフト方形パターン)
図2Dに示す本発明の第5の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2Bに示す本発明の上記第2の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0073】
第2の実施形態と同じように,第5の実施形態においても,図2Dに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成され,1つの画素配列内におけるダブル画素とシングル画素との比率は約2:1である。第2の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。
【0074】
第5の実施形態においては,画素は「シフト方形パターン」に配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を上記の第2の実施形態と同様に占める。この結果,第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置される。さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素のコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましい。ただし,これら3つのダブル画素は約80度,約180度,及び約260度で回転されるが,他の回転角度も可能である。
【0075】
この結果,図2Dから分かるように,画素パターンは,図2Bに示す第2の実施形態における画素パターンに比べ,若干傾斜している。このような傾斜によって「方形」の対角線の長さが異なることから,解像度の上限に近い空間波長の数が増加する。言い換えれば,第4の実施形態においては,多くの高空間周波数が画素配列パターンにさらに組み込まれた。この結果,1つの画像内のパターンの大半の向きに対して,エイリアシングがさらに発生しにくくなる。
【0076】
第5の実施形態の他の特性は,第2の実施形態の特性と同様であるので,第2の実施形態に関する上記の説明を第3の実施形態に準用する。
【0077】
第6の実施形態(傾斜方形パターン)
図2Cに示す本発明の第6の実施形態によると,エイリアシングの危険は,図2Aに示すような本発明の上記第1の実施形態と同様の方法で軽減される。
【0078】
第1の実施形態と同じように,第6の実施形態においても,図2Cに示す画素配列はダブル画素とシングル画素とで構成される。1つの画素配列内におけるダブル画素とシングル画素との比率は約1:1である。第1の実施形態と同じように,この実施形態においても,シングル画素が青色を表し,ダブル画素内の2つの画素が赤色及び緑色をそれぞれ表すことが好ましい。
【0079】
第1の実施形態と同じように,第6の実施形態においても,画素は「方形パターン」に配置され,4つのダブル画素が1つの方形の辺を占める。第1のダブル画素が方形の下部に水平に配置される。さらに3つのダブル画素が,第1のダブル画素のコピーとして,方形の残りの辺に配置されることが好ましい。ただし,これら3つのダブル画素は約80度,約180度,及び約260度回転させるが,他の回転角度も可能である。
【0080】
この結果,図2Cから分かるように,画素パターンは,図2Aに示す第1の実施形態における画素パターンに比べ,若干傾斜している。このような傾斜によって「方形」の対角線の長さが異なることから,解像度の上限に近い空間波長の数が増加する。言い換えれば,第4の実施形態においては,多くの高空間周波数が画素配列パターンにさらに組み込まれた。この結果,1つの画像内のパターンの大半の向きに対して,エイリアシングがさらに発生しにくくなる。
【0081】
第6の実施形態の他の特性は,第1の実施形態と同様であるので,第1の実施形態に関する上記の説明を第3の実施形態に準用する。
【0082】
第7の実施形態(3つの異なるマトリックス)
カラー画像の記録及び/又は再生に使用する1つの配列内の画素を3つの個別の画素マトリックスに分散させてもよい。たとえば,デジタルカメラ及び他の電子画像記録装置においては,光のスペクトルの複数の異なる範囲を光学的に分離及び検出する際に,いくつかの画素マトリックス,一般には赤色用の1つの画素マトリックスと,緑色用の1つの画素マトリックスと,青色用の1つの画素マトリックスとを使用し得る。同様に,たとえばビデオプロジェクタ及び他の電子画像再生装置においては,それぞれ1つの画素マトリックスを使用した個別色チャネルを光学的に複数組み合わせることによって1つの画像を生成することができる。これらの色チャネルは,一般には赤色用の1つのチャネル,緑色用の1つのチャネル,及び青色用の1つのチャネルである。
【0083】
上に概説したようなマルチチャネル装置も,3つのマトリックス内の画素が規則的に配置されていると,エイリアシング現象を起こしやすい。規則的に配置された3つの画素マトリックスの一例を図5A〜図5Cに示す。図5Aは赤色を表す第1の画素マトリックスを示し,図5Bは緑色を表す第2の画素マトリックスを示し,図5Cは青色を表す第3の画素マトリックスを示す。図5A〜図5Cから分かるように,3つのマトリックスはどれもその画素がほぼ同じ矩形パターンに従って配置されており,つまり,画素パターンとほぼ同じ空間周波数又はその調波を有する矩形又は線形の画像パターンは,すべての画素パターンに同時に干渉してビートパターン,すなわちエイリアシング現象を発生させ得る。
【0084】
ただし,図6A〜図6Cに例示されているように,3つのマトリックス内の画素行をそれぞれ異なる角度に配向することによって,エイリアシング現象の効果を減らすことができる。ここで,図6Aは,第1の角度で配置された,好ましくは赤色を表す第1の画素マトリックスを示し,図6Bは,第2の角度で配置された,好ましくは緑色を表す第2の画素マトリックスを示し,図6Cは,第3の角度で配置された,好ましくは青色を表す第3の画素マトリックスを示す。ただし,他の色も可能である。ここで,1つの画像パターンがこのように角度をずらした配置の1つのマトリックス内の画素パターンに干渉したとしても,その画像パターンは他のマトリックス内の画素パターンにはおそらく干渉しない。これによって,画像パターンを構成する色が少なくとも2つ又はそれ以上の場合は,発生し得るエイリアシング現象の効果が軽減されることは明らかである。
【0085】
別の方法では,複数の異なるパターンの画素(たとえば六角形,五角形,方形などの画素)を配置する。これによって,3つのマトリックス内の画素を異なる空間周波数に従って配置できる。これは図7A〜図7Cに例示されている。図7Aは,第1のパターンに従って配置された,好ましくは赤色を表す画素の第1のマトリックスを示し,図7Bは,第2のパターンに従って配置された,好ましくは緑色を表す画素の第2のマトリックスを示し,図7Cは,第3のパターンに従って配置された,好ましくは青色を表す画素の第3のマトリックスを示す。ただし,他の色も可能である。図6A〜図6Cと同様に,画像パターンがこのようにパターンをシフトした配置の画素パターンの1つに干渉したとしても,その画像パターンは他のマトリックス内の画素パターンにはおそらく干渉しない。これによって,画像パターンを構成する色が少なくとも2つ又はそれ以上の場合は,発生し得るエイリアシング現象の効果が軽減されることは明らかである。
【0086】
パターンをシフトするには,たとえば3つのマトリックスにそれぞれ異なるパターンを使用する。たとえば,第1のマトリックスに方形パターンを使用し,第2のマトリックスに六角形パターンを使用し,第3のマトリックスに,上記の6つの実施形態(図2A〜図2Fを参照)で赤色,緑色,又は青色を有する画素に割り当てたパターンの何れかを使用してもよい。より具体的には,たとえば画素マトリックス内に使用する画素のサイズを違えることによって,パターンのシフトを行うことができる。たとえば,第1のサイズを第1のマトリックスに使用し,第2のサイズを第2のマトリックスに使用し,第3のサイズを第3のマトリックスに使用する。この結果,3つのマトリックス内の画素がそれぞれ異なる空間周波数に従って配置されることになるので,エイリアシング現象の危険が最小化される。異なる空間周波数に従って画素を3つのマトリックスに配置した場合と同じ効果を得るために,3つのマトリックスにそれぞれ異なる形状の画素を使用してもよい。画素の形状は,たとえば円,扇形,円弧,半円,楕円,放物線の線分,三角形,方形,菱形,台形,五角形,六角形,八角形に似たものとする(たとえば図7Aと7Cとを比較)。さらに,1つの画素マトリックス内の画素の形状及びサイズの両方を別のマトリックス内の画素と違えてもよい。
【0087】
上記のように,特定の電子撮像用途に合わせて,角度のシフトとパターンのシフトとを組み合わせることができる。たとえば,第1の画素マトリックス内の画素を他のどのマトリックス内の画素とも異なる角度とパターンで配置してもよい。
【0088】
例示的実施形態に照らして本発明を説明してきた。ただし,本発明はこれらの実施形態に限定されるものと考えられるべきではない。逆に,本発明は,添付請求項に定義されている範囲に含まれるあらゆる可能な変形例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1A】赤色,緑色,及び青色の画素が三角形又は六角形のパターンに配置された周知のパターン。
【図1B】赤色,緑色,及び青色の画素が列又は行形式のパターンに配置された周知のパターンを示す。このパターンは,三角形又は六角形のパターンとしても認識され得る。
【図1C】赤色,緑色,及び青色の画素が列又は行形式のパターンに配置された周知のパターンを示す。
【図1D】赤色,緑色,及び青色の画素が列又は行形式のパターンに配置された周知のパターンを示す。
【図2A】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第1の実施形態による「方形パターン」に配置されたパターンを示す。
【図2B】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第2の実施形態による「シフト方形パターン」に配置されたパターンを示す。
【図2C】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第6の実施形態による「方形パターン」に配置された傾斜パターンを示す。
【図2D】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第5の実施形態による「シフト方形パターン」に配置された傾斜パターンを示す。
【図2E】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第3の実施形態による「シフト方形パターン」に配置されたパターンを示す。
【図2F】赤色,緑色,及び青色の画素が本発明の第4の実施形態による「シフト方形パターン」に配置された傾斜パターンを示す。
【図3】黒の縞と白の縞とが等間隔で交互に並んだ単純な格子を含む2つの同じ図を重ね合わせることによって生じたモワレビートパターンを示す。
【図4A】本発明の一実施形態による画素配列の不規則な配置によって「階段」現象が調整された概略図を示す。
【図4B】線及び/又は縁が,たとえば図1A〜図lDの画素配列に従って規則的に配置された画素配列と相互作用することによって発生した「階段」現象の概略図を示す。
【図5】(A)〜(B)は,同様なパターンに配置された3つの画素マトリックスを示す。
【図6】(A)〜(B)は,同様のパターンで角度を違えて配置された3つの画素マトリックスを示す。
【図7】(A)〜(B)は,それぞれパターンが異なる3つの画素マトリックスを示す。
【その他】
【0090】
原文では各頁に一ずつ記載されている画素の色の説明図を,添付の図面の翻訳文では,各図に記載しています。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の画素集合が第1の色を表し,第2の画素集合が第2の色を表し,第3の画素集合が第3の色を表す画素配列において,
−前記第1の色を表す第1の画素集合又は前記第2の色を表す第2の画素集合のうちの少なくとも1つの画素集合内の画素が少なくとも第1の空間周波数で配置され,
−前記第3の色を表す第3の画素集合内の画素が少なくとも第2の空間周波数で配置され,
−前記第1及び前記第2の周波数の何れもが互いの調波でない
ことを特徴とする画素配列。
【請求項2】
前記第1の画素集合又は前記第2の画素集合のどちらか一方の画素集合内の画素が少なくとも第3の空間周波数で配置され,前記第1,第2,又は第3の周波数が互いの調波でない
ことを特徴とする請求項1記載の画素配列。
【請求項3】
前記画素が少なくとも1つの画素マトリックスに配置され,前記第1の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第1のサイズを有し,前記第2の画素集合の少なくとも1つの部分集合,又は前記第3の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第2のサイズを有する画素配列において,
−少なくともいくつかの画素が,前記第1,第2,又は第3の画素集合からそれぞれ選択された少なくとも2つの異なる画素を含むダブル画素を構成し,
−少なくとも第1のダブル画素部分集合が少なくとも第2のダブル画素部分集合に対して角度を付けて配置される
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画素配列。
【請求項4】
前記第2の画素集合の少なくとも1つの部分集合,又は前記第3の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第3のサイズを有する
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項5】
前記第1,第2,又は第3の画素集合内の画素がほぼ等しい量である
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項6】
前記第1,第2,又は第3の画素集合のうちの2つの画素集合内の画素がほぼ等しい第1の量で存在し,前記第1,第2,又は第3の画素集合の残りの画素集合内の画素がより多いか,又はより少ない第2の量で存在する
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項7】
前記第1,第2,及び第3の画素集合内の画素が第1,第2,及び第3の量でそれぞれ存在し,各集合内の画素量が他の2つの集合と異なる
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項8】
配列が傾斜している
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項9】
ダブル画素内の第1の画素の活性化によってダブル画素内の第2の画素がいくらか活性化される
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項10】
前記第1,第2,又は第3の画素集合のうちの1つの画素集合の少なくとも1つの部分集合が第1の形状を有し,前記第1,第2,又は第3の画素集合のうちの別の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第2の形状を有する
ことを特徴とする先行請求項の何れか1項記載の画素配列。
【請求項11】
前記第1,第2,又は第3の画素集合の何れか1つの画素集合の少なくとも1つの部分集合が第3の形状を有する
ことを特徴とする請求項10記載の画素配列。
【請求項12】
前記第1,第2,及び第3の形状のうちの少なくとも1つが,円,扇形,円弧,半円,楕円,放物線の線分,三角形,方形,菱形,台形,五角形,六角形,八角形のうちの少なくとも1つに似ている
ことを特徴とする請求項10又は11記載の画素配列。
【請求項13】
前記画素が3つの別個の画素マトリックスに配置された画素配列であって,
第1の色を表す画素が第1のマトリックスに配置され,
第2の色を表す画素が第2のマトリックスに配置され,
第3の色を表す画素が第3のマトリックスに配置される画素配列において,
前記第1のマトリックスが前記第2のマトリックス及び前記第3のマトリックスに比べてシフトされている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画素配列。
【請求項14】
前記第2のマトリックス及び前記第3のマトリックスが相互にシフトされている
ことを特徴とする請求項13記載の画素配列。
【請求項15】
前記第1のマトリックスを第1の角度で配置し,前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方を第2の角度で配置することによって前記シフトが実現されている
ことを特徴とする請求項13又は14記載の画素配列。
【請求項16】
前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方が第3の角度で配置されている
ことを特徴とする請求項15記載の画素配列。
【請求項17】
前記第1のマトリックスの画素を第1のパターンで配置し,前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方の画素を第2のパターンで配置することによって,前記シフトが実現されている
ことを特徴とする請求項13又は14記載の画素配列。
【請求項18】
前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方の画素が第3のパターンで配置されている
ことを特徴とする請求項17記載の画素配列。
【請求項19】
前記第1の色が赤色であり,前記第2の色が緑色であり,前記第3の色が青色である
ことを特徴とする請求項1,2,又は13記載の画素配列。
【請求項20】
先行請求項の何れか1項記載の画素配列を含む電子撮像装置。
【請求項21】
装置が電子カメラ,画像スキャナ,データモニタ,テレビモニタ,ビデオプロジェクタ,データプロジェクタ,又は写真複写機である
ことを特徴とする請求項20記載の電子撮像装置。
【請求項1】
少なくとも第1の画素集合が第1の色を表し,第2の画素集合が第2の色を表し,第3の画素集合が第3の色を表す画素配列において,
−前記第1の色を表す第1の画素集合又は前記第2の色を表す第2の画素集合のうちの少なくとも1つの画素集合内の画素が少なくとも第1の空間周波数で配置され,
−前記第3の色を表す第3の画素集合内の画素が少なくとも第2の空間周波数で配置され,
−前記第1及び前記第2の周波数の何れもが互いの調波でない
ことを特徴とする画素配列。
【請求項2】
前記第1の画素集合又は前記第2の画素集合のどちらか一方の画素集合内の画素が少なくとも第3の空間周波数で配置され,前記第1,第2,又は第3の周波数が互いの調波でない
ことを特徴とする請求項1記載の画素配列。
【請求項3】
前記画素が少なくとも1つの画素マトリックスに配置され,前記第1の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第1のサイズを有し,前記第2の画素集合の少なくとも1つの部分集合,又は前記第3の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第2のサイズを有する画素配列において,
−少なくともいくつかの画素が,前記第1,第2,又は第3の画素集合からそれぞれ選択された少なくとも2つの異なる画素を含むダブル画素を構成し,
−少なくとも第1のダブル画素部分集合が少なくとも第2のダブル画素部分集合に対して角度を付けて配置される
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画素配列。
【請求項4】
前記第2の画素集合の少なくとも1つの部分集合,又は前記第3の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第3のサイズを有する
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項5】
前記第1,第2,又は第3の画素集合内の画素がほぼ等しい量である
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項6】
前記第1,第2,又は第3の画素集合のうちの2つの画素集合内の画素がほぼ等しい第1の量で存在し,前記第1,第2,又は第3の画素集合の残りの画素集合内の画素がより多いか,又はより少ない第2の量で存在する
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項7】
前記第1,第2,及び第3の画素集合内の画素が第1,第2,及び第3の量でそれぞれ存在し,各集合内の画素量が他の2つの集合と異なる
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項8】
配列が傾斜している
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項9】
ダブル画素内の第1の画素の活性化によってダブル画素内の第2の画素がいくらか活性化される
ことを特徴とする請求項3記載の画素配列。
【請求項10】
前記第1,第2,又は第3の画素集合のうちの1つの画素集合の少なくとも1つの部分集合が第1の形状を有し,前記第1,第2,又は第3の画素集合のうちの別の画素集合の少なくとも1つの部分集合が第2の形状を有する
ことを特徴とする先行請求項の何れか1項記載の画素配列。
【請求項11】
前記第1,第2,又は第3の画素集合の何れか1つの画素集合の少なくとも1つの部分集合が第3の形状を有する
ことを特徴とする請求項10記載の画素配列。
【請求項12】
前記第1,第2,及び第3の形状のうちの少なくとも1つが,円,扇形,円弧,半円,楕円,放物線の線分,三角形,方形,菱形,台形,五角形,六角形,八角形のうちの少なくとも1つに似ている
ことを特徴とする請求項10又は11記載の画素配列。
【請求項13】
前記画素が3つの別個の画素マトリックスに配置された画素配列であって,
第1の色を表す画素が第1のマトリックスに配置され,
第2の色を表す画素が第2のマトリックスに配置され,
第3の色を表す画素が第3のマトリックスに配置される画素配列において,
前記第1のマトリックスが前記第2のマトリックス及び前記第3のマトリックスに比べてシフトされている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画素配列。
【請求項14】
前記第2のマトリックス及び前記第3のマトリックスが相互にシフトされている
ことを特徴とする請求項13記載の画素配列。
【請求項15】
前記第1のマトリックスを第1の角度で配置し,前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方を第2の角度で配置することによって前記シフトが実現されている
ことを特徴とする請求項13又は14記載の画素配列。
【請求項16】
前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方が第3の角度で配置されている
ことを特徴とする請求項15記載の画素配列。
【請求項17】
前記第1のマトリックスの画素を第1のパターンで配置し,前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方の画素を第2のパターンで配置することによって,前記シフトが実現されている
ことを特徴とする請求項13又は14記載の画素配列。
【請求項18】
前記第2のマトリックス又は前記第3のマトリックスのどちらか一方の画素が第3のパターンで配置されている
ことを特徴とする請求項17記載の画素配列。
【請求項19】
前記第1の色が赤色であり,前記第2の色が緑色であり,前記第3の色が青色である
ことを特徴とする請求項1,2,又は13記載の画素配列。
【請求項20】
先行請求項の何れか1項記載の画素配列を含む電子撮像装置。
【請求項21】
装置が電子カメラ,画像スキャナ,データモニタ,テレビモニタ,ビデオプロジェクタ,データプロジェクタ,又は写真複写機である
ことを特徴とする請求項20記載の電子撮像装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【公表番号】特表2006−525745(P2006−525745A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508039(P2006−508039)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000662
【国際公開番号】WO2004/100117
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(502004928)フォルスカーパテント イー エスイーデー アーベー (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000662
【国際公開番号】WO2004/100117
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(502004928)フォルスカーパテント イー エスイーデー アーベー (7)
【Fターム(参考)】
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