画素回路、電気光学装置及び電子機器
【課題】ラッチ回路の誤動作発生等を抑止しながら画素を駆動できる画素回路等の提供。
【解決手段】画素回路は第1、第2のラッチ回路11、12を含む。第1のラッチ回路11は、並列接続されたP型トランジスターTP1及びN型トランジスターTN1により構成される第1のトランスファーゲートTG1と、直列接続されたP型トランジスターTP2、TP3、N型トランジスターTN3、TN2により構成される帰還用第1のクロックドインバーター回路CIV1と、第1のインバーター回路IV1を含む。第2のラッチ回路12は、並列接続されたP型トランジスターTP5及びN型トランジスターTN5により構成される第2のトランスファーゲートTG2と、直列接続されたP型トランジスターTP6、TP7、N型トランジスターTN7、TN6により構成される帰還用第2のクロックドインバーター回路CIV2と、第2のインバーター回路IV2を含む。
【解決手段】画素回路は第1、第2のラッチ回路11、12を含む。第1のラッチ回路11は、並列接続されたP型トランジスターTP1及びN型トランジスターTN1により構成される第1のトランスファーゲートTG1と、直列接続されたP型トランジスターTP2、TP3、N型トランジスターTN3、TN2により構成される帰還用第1のクロックドインバーター回路CIV1と、第1のインバーター回路IV1を含む。第2のラッチ回路12は、並列接続されたP型トランジスターTP5及びN型トランジスターTN5により構成される第2のトランスファーゲートTG2と、直列接続されたP型トランジスターTP6、TP7、N型トランジスターTN7、TN6により構成される帰還用第2のクロックドインバーター回路CIV2と、第2のインバーター回路IV2を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素回路、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置(LCD)などの電気光学装置の画素を駆動する画素回路の従来技術としては特許文献1、2に開示される技術が知られている。
【0003】
特許文献1の従来技術では、複数の画素に対応して複数の画素回路が設けられ、各画素回路には、スタティックRAM(スタティック・ランダムアクセスメモリー)型のラッチ回路が設けられる。そしてスタティックRAM型のラッチ回路に保持されたデータ信号(画像データ)に基づく駆動データ信号が、所定タイミングで一斉に全画素回路から全画素に転送される。
【0004】
特許文献2の従来技術では、片チャンネルのN型トランジスターとキャパシターにより構成される容量ホールド型のラッチ回路が各画素回路に設けられる。この容量ホールド型のラッチ回路では、そのキャパシターに電荷を保持することでデータ信号をラッチしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−4216号公報
【特許文献2】特開2005−352457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようなスタティックRAM型のラッチ回路を用いて、画素回路を設計すると、データ信号の書き込みに長時間を要したり、書き込み時間が足りなくなってデータ信号の書き込みに失敗するなどの課題があることが判明した。
【0007】
また、特許文献2のような容量ホールド型のラッチ回路では、トランジスターのリーク電流を考慮したラッチ回路の設計が必要になる。そして、リーク電流の影響を低減するために、キャパシターの容量値を大きくすると、キャパシターを1画素内に形成することが難しくなってしまうという課題がある。
【0008】
本発明の幾つかの態様によれば、ラッチ回路の誤動作発生等を抑止しながら画素を駆動できる画素回路、電気光学装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、電気光学装置の画素を駆動する画素回路であって、前記画素を駆動するためのデータ信号をラッチして記憶する第1のラッチ回路と、前記第1のラッチ回路から転送される前記データ信号をラッチして記憶する第2のラッチ回路を含み、前記第1のラッチ回路は、前記データ信号の入力ノードと第1のノードとの間に設けられ、並列接続された第1のP型トランジスター及び第1のN型トランジスターにより構成される第1のトランスファーゲートと、第2のノードを入力ノードとし、前記第1のノードを出力ノードとし、直列接続された第2のP型トランジスター、第3のP型トランジスター、第3のN型トランジスター及び第2のN型トランジスターにより構成される帰還用の第1のクロックドインバーター回路と、前記第1のノードを入力ノードとし、前記第2のノードを出力ノードとし、直列接続された第4のP型トランジスター及び第4のN型トランジスターにより構成される第1のインバーター回路とを含み、前記第2のラッチ回路は、前記第2のノードと第3のノードとの間に設けられ、並列接続された第5のP型トランジスター及び第5のN型トランジスターにより構成される第2のトランスファーゲートと、第4のノードを入力ノードとし、前記第3のノードを出力ノードとし、直列接続された第6のP型トランジスター、第7のP型トランジスター、第7のN型トランジスター及び第6のN型トランジスターにより構成される帰還用の第2のクロックドインバーター回路と、前記第3のノードを入力ノードとし、前記第4のノードを出力ノードとし、直列接続された第8のP型トランジスター及び第8のN型トランジスターにより構成される第2のインバーター回路とを含む画素回路に関係する。
【0010】
本発明の一態様では、画素回路は第1、第2のラッチ回路を有する。そして第1、第2の各ラッチ回路は、トランスファーゲートとクロックドインバーター回路とインバーター回路を有する。これらの各回路はP型トランジスターとN型トランジスターにより構成される相補型の回路となり、これらの相補的な回路により帰還ループが構成される。このように画素回路の各回路を相補型な回路で構成することで、ラッチ回路内の各ノードが中間電位レベルに設定される事態を抑止でき、ラッチ回路の誤動作発生等を抑止できる。また帰還信号を出力するインバーター回路としてクロックドインバーター回路を用いることで、データ信号と帰還信号の信号衝突が抑止され、ラッチ回路の安定動作を実現できる。従って、ラッチ回路の誤動作発生を抑止しながら画素を駆動できる画素回路の提供が可能になる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のP型トランジスター及び前記第3のP型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のP型トランジスターが、第1の方向に沿って配置され、前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のN型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されてもよい。
【0012】
このようなレイアウト配置にすれば、第1のクロックドインバーター回路や第1のトランスファーゲートを構成するトランジスターを効率良くコンパクトにレイアウト配置できる。これにより、例えば第1の方向に直交する方向を第2の方向とした場合に、画素回路の第2の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記第2のP型トランジスターのドレインと前記第3のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のP型トランジスターのドレインと前記第1のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第2のN型トランジスターのドレインと前記第3のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のN型トランジスターのドレインと前記第1のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されてもよい。
【0014】
このように隣り合うトランジスターのドレインとソースを共用するレイアウト配置にすれば、例えば画素回路の第1の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のP型トランジスター及び前記第7のP型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のP型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のN型トランジスター及び前記第7のN型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されてもよい。
【0016】
このようなレイアウト配置にすれば、第2のクロックドインバーター回路や第2のトランスファーゲートを構成するトランジスターを効率良くコンパクトにレイアウト配置できる。これにより、画素回路の第2の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記第6のP型トランジスターのドレインと前記第7のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のP型トランジスターのドレインと前記第5のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第6のN型トランジスターのドレインと前記第7のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のN型トランジスターのドレインと前記第5のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されてもよい。
【0018】
このように隣り合うトランジスターのドレインとソースを共用するレイアウト配置にすれば、例えば画素回路の第1の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記第2のP型トランジスター、前記第3のP型トランジスター、前記第1のP型トランジスター、前記第2のN型トランジスター、第3のN型トランジスター、前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第1のラインに沿って配置され、前記第6のP型トランジスター、前記第7のP型トランジスター、前記第5のP型トランジスター、前記第6のN型トランジスター、第7のN型トランジスター、前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第2のラインに沿って配置され、前記第1のインバーター回路を構成する前記第4のP型トランジスター及び前記第4のN型トランジスターが、前記第1のラインと前記第2のラインの間に配置されてもよい。
【0020】
このようにすれば第1のラインと第2のラインの間のスペースを有効活用して、第1のインバーター回路を構成する第4のP型トランジスター及び第4のN型トランジスターをレイアウト配置できる。従って、第1のインバーター回路の効率的なレイアウト配置を実現できる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づく駆動データ信号を、前記画素に出力する出力回路を含み、前記出力回路は、所与の信号が入力又は出力される信号ノードと前記出力回路の出力ノードとの間に設けられ、並列接続された第1の出力側P型トランジスター及び第1の出力側N型トランジスターにより構成される出力側トランスファーゲートと、直列接続された第2の出力側P型トランジスター、第3の出力側P型トランジスター、第3の出力側N型トランジスター及び第2の出力側N型トランジスターにより構成され、前記出力回路の前記出力ノードに前記駆動データ信号を出力する出力側クロックドインバーター回路を含み、前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側P型トランジスター及び前記第3の出力側P型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側P型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側N型トランジスター及び前記第3の出力側N型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側N型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されてもよい。
【0022】
このようなレイアウト配置にすれば、出力側クロックドインバーター回路や出力側トランスファーゲートを構成するトランジスターを効率良くコンパクトにレイアウト配置できる。これにより、画素回路の第2の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0023】
また本発明の一態様では、テスト時において、前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードに対してテスト信号が前記所与の信号として入力される、或いは前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードから前記画素の検査結果信号が前記所与の信号として出力されてもよい。
【0024】
このようにすれば、例えばテスト時において、出力側トランスファーゲートの信号ノードに対して、テスト信号を所与の信号として入力したり、出力側トランスファーゲートの信号ノードから、画素の検査結果信号を所与の信号として出力できるようになる。
【0025】
また本発明の一態様では、1フレームが複数のサブフレームに分割され、前記複数のサブフレームの各サブフレームにおいて、前記電気光学装置の複数の走査線の各走査線が順次選択される場合に、前記第1のトランスファーゲートと、前記第1のクロックドインバーターの前記第3のP型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターは、前記複数の走査線のうちの画素回路に対応する走査線が選択される場合にアクティブになる走査信号に基づいて、オン・オフ制御され、前記第2のトランスファーゲートと、前記第2のクロックドインバーターの前記第6のP型トランジスター及び前記第6のN型トランジスターは、前記各サブフレームに同期してアクティブになるサブフレーム同期信号に基づいて、オン・オフ制御されてもよい。
【0026】
このようにすれば、サブフレーム駆動手法による電気光学装置の駆動が可能になる。
【0027】
また本発明の一態様では、前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づいて制御され、オン駆動用波形信号及びオフ駆動用波形信号のいずれかを選択して出力するセレクターを含み、前記セレクターは、前記オン駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第1のセレクター用トランスファーゲートと、前記オフ駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの前記出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第2のセレクター用トランスファーゲートを含んでもよい。
【0028】
このようにすれば、第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づいて、オン駆動用波形信号及びオフ駆動用波形信号のいずれかを選択して、駆動データ信号として画素に対して供給できるようになる。
【0029】
また本発明の他の態様は、複数の画素と、各画素回路が上記のいずれかに記載の画素回路である複数の画素回路とを含む電気光学装置に関係する。
【0030】
また本発明の他の態様では、前記複数の画素回路のうちの第1の画素回路、第2の画素回路、第3の画素回路、第4の画素回路が、各々、前記複数の画素のうちの第1の画素、第2の画素、第3の画素、第4の画素を駆動し、前記第1の画素回路と前記第2の画素回路が、第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、前記第3の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、前記第1の画素回路と前記第3の画素回路が、前記第1の線対称ラインに直交する第2の線対称ラインに対して線対称に配置され、前記第2の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第2の線対称ラインに対して線対称に配置されてもよい。
【0031】
このように第1、第2の線対称ラインを基準とした線対称配置を行うことで、各画素回路間において重なる部分を共用することなどが可能になる。従って、画素回路の第1の方向や第1の方向に直交する第2の方向での幅を実質的に縮小化することが可能になる。
【0032】
また本発明の他の態様は、上記に記載の電気光学装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態の画素回路の構成例。
【図2】本実施形態の画素回路の詳細な構成例。
【図3】本実施形態の画素回路の更に詳細な構成例。
【図4】画素回路のレイアウト配置例。
【図5】画素回路の第1のメタル層のレイアウト配線例。
【図6】画素回路の第2のメタル層のレイアウト配線例。
【図7】画素回路の第3のメタル層のレイアウト配線例。
【図8】複数の画素回路のレイアウト配置例。
【図9】第1の線対称ラインを基準とした線対称配置の説明図。
【図10】第2の線対称ラインを基準とした線対称配置の説明図。
【図11】等間隔のサブフレーム駆動についての説明図。
【図12】電気光学装置の回路装置の構成例。
【図13】電気光学装置の構成例。
【図14】本実施形態の動作を説明するための信号波形例。
【図15】電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0035】
1.画素回路の構成
図1に本実施形態の画素回路の構成例を示す。本実施形態の画素回路は、電気光学装置の画素を駆動する回路であり、ラッチ部10を含む。また出力回路30を含むことができる。
【0036】
液晶表示装置や有機EL装置等の電気光学装置の各画素は、例えば液晶素子等の電気光学素子CELと画素電極EPXを有する。画素電極EPXは、複数の画素に対して共通の電極である対向電極ECM(コモン電極)に対向している。そして液晶素子等の電気光学素子は、例えば画素電極EPXと対向電極ECMの間に設けられ、画素回路は、駆動データ信号を画素電極EPXに出力して画素を駆動する。
【0037】
ラッチ部10は、第1のラッチ回路11と第2のラッチ回路12を含む。第1のラッチ回路11は、画素を駆動するためのデータ信号(画像データ)をラッチして記憶する。第2のラッチ回路12は、第1のラッチ回路11に接続され、第1のラッチ回路11から転送されるデータ信号(第1のラッチ回路11にラッチされた画像データ)をラッチして記憶する。
【0038】
出力回路30は、画素を駆動するための駆動データ信号を画素に対して出力する。具体的には、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号に基づく駆動データ信号を、画素(画素電極)に出力する。
【0039】
図2に本実施形態の画素回路の詳細な構成例を示す。図2では、図1のラッチ部10、出力回路30に加えて、更にセレクター20が設けられている。また第1、第2のラッチ回路11、12の詳細な構成例が示されている。なお本実施形態の画素回路は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えばセレクター)を省略したり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0040】
第1のラッチ回路11は、第1のトランスファーゲートTG1、帰還用の第1のクロックドインバーター回路CIV1、第1のインバーター回路IV1を含む。
【0041】
トランスファーゲートTG1は、データ信号SDAの入力ノードNDと第1のノードN1との間に設けられる。このトランスファーゲートTG1は、並列接続された第1のP型トランジスターTP1及び第1のN型トランジスターTN1により構成される。例えば、P型トランジスターTP1とN型トランジスターTN1は、そのソース同士が共通接続されると共にそのドレイン同士が共通接続される。またP型トランジスターTP1のゲートには、負論理の走査信号XSG(負論理のゲート信号)が入力され、N型トランジスターTN1のゲートには、正論理の走査信号SG(正論理のゲート信号)が入力される。なお信号名に付される「X」は負論理の信号であることを意味する。
【0042】
クロックドインバーター回路CIV1は、第2のノードN2を入力ノードとし、第1のノードN1を出力ノードとする。このクロックドインバーター回路CIV1は、直列接続された第2のP型トランジスターTP2、第3のP型トランジスターTP3、第3のN型トランジスターTN3及び第2のN型トランジスターTN2により構成される。例えばP型トランジスターTP2、TP3は、高電位側電源であるVDDのノードと第1のノードN1との間に設けられ、N型トランジスターTN3、TN2は、第1のノードN1と低電位側電源であるVSSのノードとの間に設けられる。またトランジスターTP3、TN3のゲートには第2のノードN2が接続され、トランジスターTP2、TN2のゲートには、各々、走査信号SG、XSGが入力される。なおクロックドインバーター回路は図2に示す構成に限定されず、トランジスターの接続関係や個数などを図2とは異ならせるなどの種々の変形実施が可能である。
【0043】
インバーター回路IV1は、第1のノードN1を入力ノードとし、第2のノードN2を出力ノードとする。このインバーター回路IV1は、直列接続された第4のP型トランジスターTP4及び第4のN型トランジスターTN4により構成される。例えばP型トランジスターTP4は、VDDのノードと第2のノードN2との間に設けられ、N型トランジスターTN4は、第2のノードN2とVSSのノードとの間に設けられ、TP4、TN4のゲートには第1のノードN1が接続される。なおインバーター回路IV1は、クロックドインバーター回路の構成であってもよい。
【0044】
第2のラッチ回路12は、第2のトランスファーゲートTG2、帰還用の第2のクロックドインバーター回路CIV2、第2のインバーター回路IV2を含む。
【0045】
トランスファーゲートTG2は、第2のノードN2と第3のノードN3との間に設けられる。このトランスファーゲートTG2は、並列接続された第5のP型トランジスターTP5及び第5のN型トランジスターTN5により構成される。これらのトランジスターTP5、TN5は、そのソース同士が共通接続されると共にそのドレイン同士が共通接続される。またP型トランジスターTP5のゲートには、負論理のサブフレーム同期信号XSFが入力され、N型トランジスターTN5のゲートには、正論理のサブフレーム同期信号SFが入力される。なお走査信号SG、XSG、サブフレーム同期信号SF、XSFの詳細については後述する。
【0046】
クロックドインバーター回路CIV2は、第4のノードN4を入力ノードとし、第3のノードN3を出力ノードとする。このクロックドインバーター回路CIV2は、直列接続された第6のP型トランジスターTP6、第7のP型トランジスターTP7、第7のN型トランジスターTN7及び第8のN型トランジスターTN8により構成される。例えばP型トランジスターTP6、TP7は、VDDのノードと第3のノードN3との間に設けられ、N型トランジスターTN7、TN6は、第3のノードN3とVSSのノードとの間に設けられる。またトランジスターTP7、TN7のゲートには第4のノードN4が接続され、トランジスターTP6、TN6のゲートには、各々、サブフレーム同期信号SF、XSFが入力される。
【0047】
インバーター回路IV2は、第3のノードN3を入力ノードとし、第4のノードN4を出力ノードとする。このインバーター回路IV2は、直列接続された第8のP型トランジスターTP8及び第8のN型トランジスターTN8により構成される。例えばP型トランジスターTP8はVDDのノードと第4のノードN4との間に設けられ、N型トランジスターTN8は、第4のノードN4とVSSのノードとの間に設けられ、TP8、TN8のゲートには第3のノードN3が接続される。なおインバーター回路IV2は、クロックドインバーター回路の構成であってもよい。
【0048】
セレクター20は、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいて制御される。そしてオン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFFのいずれかを選択して出力する。即ち、ラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいて波形信号SON、SOFFのいずれかを選択して、信号SLQとして出力回路30に出力する。そして出力回路30は、この信号SLQを受け、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づく駆動データ信号SDRを、画素(画素電極)に出力する。
【0049】
図3に本実施形態の画素回路の更に詳細な構成例を示す。図3では、セレクター20、出力回路30の詳細な構成例が示されている。なおセレクター20、出力回路30の構成は図3に示す構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0050】
図3に示すようにセレクター20は、セレクター用のトランスファーゲートTGS1、トランスファーゲートTGS2を含む。
【0051】
トランスファーゲートTGS1は、オン駆動用波形信号SON(オン駆動電圧)の入力ノードとセレクター20の出力ノードNSとの間に設けられ、ラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいてオン・オフ制御される。具体的には、ラッチデータ信号LTQ、XLTQが、各々、Hレベル、Lレベルの場合にトランスファーゲートTGS1はオンになり、LTQ、XLTQが、各々、Lレベル、Hレベルの場合にオフになる。
【0052】
トランスファーゲートTGS2は、オフ駆動用波形信号SOFFの入力ノードとセレクター20の出力ノードNSとの間に設けられ、ラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいてオン・オフ制御される。具体的には、ラッチデータ信号LTQ、XLTQが、各々、Lレベル、Hレベルの場合にトランスファーゲートTGS2はオンになり、LTQ、XLTQが、各々、Hレベル、Lレベルの場合にオフになる。このようにトランスファーゲートTGS1とTGS2は互いに排他的にオン又はオフになる。
【0053】
出力回路30は、出力側(出力回路用)のトランスファーゲートTGQ、クロックドインバーター回路CIVQを含む。また抵抗RP、第1のダイオードDI1、第2のダイオードDI2を含む。
【0054】
トランスファーゲートTGQは、所与の信号TINが入力される信号ノード(又は所与の信号TQが出力される信号ノード)と、クロックドインバーター回路CIVQ(広義にはバッファー回路)の出力ノードNCQとの間に設けられる。このトランスファーゲートTG3は、並列接続された第1の出力側P型トランジスターTPQ1及び第1の出力側N型トランジスターTNQ1により構成される。これらのトランジスターTPQ1、TNQ1は、そのソース同士が共通接続されると共にそのドレイン同士が共通接続される。またP型トランジスターTPQ1のゲートには、負論理のテスト信号XSTが入力され、N型トランジスターTNQ1のゲートには、正論理のテスト信号STが入力される。
【0055】
クロックドインバーター回路CIVQは、直列接続された第2の出力側P型トランジスターTPQ2、第3の出力側P型トランジスターTPQ3、第3の出力側N型トランジスターTNQ3及び第2の出力側N型トランジスターTNQ2により構成される。そしてクロックドインバーター回路CIVQの出力ノードNCQに駆動データ信号SDRを出力する。P型トランジスターTPQ3、N型トランジスターTNQ3のゲートには、セレクター20の出力信号SLQが入力される。またP型トランジスターTPQ2、N型トランジスターTNQ2のゲートには、各々、負論理のハイインピーダンス制御信号XSHZ、正論理のハイインピーダンス制御信号SHZが入力される。
【0056】
抵抗RPは、クロックドインバーター回路CIVQ(バッファー回路)の出力ノードNCQと画素回路出力ノードNQとの間に設けられる。ダイオードDI1は、VDDのノードと画素回路出力ノードNQとの間に設けられ、ノードNQからVDDのノードに向かう方向を順方向とするダイオードである。ダイオードDI2は、ノードNQとVSSのノードとの間に設けられ、VSSのノードからノードNQに向かう方向を順方向とするダイオードである。このようなダイオードDI1、DI2、抵抗RPを設けることで、画素電極からの電荷を、電源VDDやVSS側に効率的に逃がすことが可能になる。これにより、出力回路30のトランジスターTPQ3、TNQ3等の特性劣化を抑制できるようになる。
【0057】
次に図3等に示す本実施形態の画素回路の動作について説明する。
【0058】
まず、走査信号SG(広義には第1のラッチ信号)がHレベル(XSGがLレベル)になると、トランスファーゲートTG1がオンして、データ信号SDAが第1のラッチ回路11にラッチされる。例えばデータ信号SDAがHレベル(論理「1」)である場合には、ノードN1、N2は、各々、Hレベル、Lレベルに設定され、データ信号SDAがLレベル(論理「0」)である場合には、ノードN1、N2は、各々、Lレベル、Hレベルに設定される。この時、クロックドインバーター回路CIV1のトランジスターTP2、TN2は信号SG、XSGによりオフになるため、CIV1はハイインピーダンス出力状態に設定される。従って、トランスファーゲートTG1を介したデータ信号SDAと、クロックドインバーター回路CIV1の出力信号とが衝突して、ノードN1等が不安定な中間電位レベルに設定されてしまう事態を防止できる。
【0059】
次に、走査信号SGがLレベル(XSGがHレベル)になると、トランスファーゲートTG1がオフになると共に、クロックドインバーター回路CIV1のトランジスターTP2、TN2がオンになり、CIV1が通常の帰還用のインバーター回路として機能する。これによりデータ信号SDAの電圧レベルが第1のラッチ回路11にスタティックに保持されるようになる。例えばデータ信号SDAがHレベルである場合には、ノードN1、N2に、各々、Hレベル、Lレベルの電圧レベルがスタティックに保持され、データ信号SDAがLレベルである場合には、ノードN1、N2に、各々、Lレベル、Hレベルの電圧レベルがスタティックに保持されるようになる。
【0060】
次に、サブフレーム同期信号SF(広義には第2のラッチ信号)がHレベル(XSFがLレベル)になると、トランスファーゲートTG2がオンして、第1のラッチ回路11に保持されていたデータ信号が第2のラッチ回路12に転送されて保持される。この時、クロックドインバーター回路CIV2のトランジスターTP6、TN6は信号SF、XSFによりオフになるため、CIV2はハイインピーダンス出力状態に設定される。従って、トランスファーゲートTG2を介したデータ信号と、クロックドインバーター回路CIV2の出力信号とが衝突して、ノードN3等が不安定な中間電位レベルに設定されてしまう事態を防止できる。
【0061】
次に、サブフレーム同期信号SFがLレベル(XSFがHレベル)になると、トランスファーゲートTG2がオフになると共に、クロックドインバーター回路CIV2のトランジスターTP6、TN6がオンになり、CIV2が通常の帰還用のインバーター回路として機能する。これにより第1のラッチ回路11から転送されてきたデータ信号の電圧レベルが第2のラッチ回路12にスタティックに保持されるようになる。例えば第1のラッチ回路11に入力されたデータ信号SDAがHレベルである場合には、ノードN4、N3に、各々、Hレベル、Lレベルの電圧レベルがスタティックに保持される。これによりラッチデータ信号LTQ、XLTQは、各々、Hレベル、Lレベルになる。また第1のラッチ回路11に入力されたデータ信号SDAがLレベルである場合には、ノードN4、N3に、各々、Lレベル、Hレベルの電圧レベルがスタティックに保持される。これによりラッチデータ信号LTQ、XLTQは、各々、Lレベル、Hレベルになる。
【0062】
セレクター20のトランスファーゲートTGS1、TGS2は、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号LTQ、XLTQにより制御される。そしてラッチデータ信号LTQがHレベル(画像データの論理レベルが「1」)である場合には、トランスファーゲートTGS1がオンになりTGS2がオフになる。従って、オン駆動用波形信号SONが選択され、信号SLQが出力回路30によりバッファリングされて、駆動データ信号SDRとして画素に出力される。一方、データ信号LTQがLレベル(画像データの論理レベルが「0」)である場合には、トランスファーゲートTGS1がオフになりTGS2がオンになる。従って、オフ駆動用波形信号SOFFが選択され、信号SLQが出力回路30によりバッファリングされて、駆動データ信号SDRとして画素に出力される。
【0063】
また電気光学装置のテスト時(検査時)には、テスト信号STがHレベル(XSTがLレベル)になり、ハイインピーダンス制御信号SHZがLレベル(XHZがHレベル)になる。従って、トランスファーゲートTGQがオンになると共にクロックドインバーター回路CIVQがハイインピーダンス出力状態に設定される。
【0064】
従って、テスト時(検査時)において、トランスファーゲートTGQの信号ノードに対してテスト信号を、所与の信号として入力できるようになる。或いはトランスファーゲートTGQの信号ノードから画素の検査結果信号を、所与の信号として出力できるようになる。これにより電気光学装置の効率的なテスト(検査)が可能になる。
【0065】
以上のように本実施形態によれば、ラッチ回路の誤動作発生等を抑止しながら画素を駆動できる画素回路を提供できる。
【0066】
例えば前述のスタティックRAM型のラッチ回路を用いた画素回路では、片チャンネルのN型トランジスターにより構成されるスイッチとインバーター回路を用いてラッチ回路を実現している。
【0067】
しかしながら、スタティックRAM型のラッチ回路では、データの書き込みラインからN型トランジスターのスイッチを介して入力されるデータ信号と、インバーター回路が出力する帰還信号とが信号衝突する構成になり、データ信号により、インバーター回路の出力ノードの電位レベルを強制的に反転させる必要がある。このため、データ信号の書き込みに長い時間を要したり、書き込み時間が足りなくなってデータ信号の書き込みに失敗するなどの問題が生じる。また、N型トランジスターのスイッチの抵抗値を下げる必要があるため、N型トランジスターのサイズが大きくなってしまい、画素回路のレイアウト面積を、画素領域のサイズに収めることが困難になる。
【0068】
また、前述の容量ホールド型のラッチ回路では、トランジスターのリーク電流を考慮したラッチ回路の設計が必要になる。そして、光によるリーク電流の影響を低減するために、キャパシターの容量値を大きくすると、キャパシターを1画素の領域内に形成することが困難になる。またキャパシターを形成するには、そのためのマスクセットが追加になり、製品コストが増加する。また、キャパシターの容量の電位レベルがホールドされた信号により論理回路を動作させると、電位レベルがしきい値電圧以上にシフトした場合に、誤動作が生じるおそれがある。
【0069】
また、データ信号を入力するためのスイッチを片チャンネルのN型トランジスターだけで構成すると、適正な電位レベルの電圧をラッチ回路に書き込むことが難しくなる。この場合に、スイッチを高耐圧のN型トランジスターにより形成し、ゲートに高電圧を印加することで適正な電位レベルの電圧をラッチ回路に書き込む手法も考えられる。しかしながら、高耐圧のトランジスターを用いると、画素回路のレイアウト面積が非常に大きくなってしまう。また、テスト信号をN型トランジスターのスイッチを介して入力すると、テスト時に高速読み出しができないため、テスト時間が長くなってしまうなどの問題がある。更に、画素の対向電極が揺れた場合に、液晶素子の容量結合によるノイズにより、出力回路のトランジスターが破壊されるおそれもある。
【0070】
以上のように従来の画素回路では、少ない面積の画素領域の中に多くの回路素子を内蔵させることが難しいという考えから、スイッチを片チャンネルのN型トランジスターだけにより構成したり、ラッチ回路のラッチ動作を、強制書き込みや容量保持により実現する手法を採用していた。このような手法の設計による回路は、一時的な開発レベルでは実現できるレベルであるものの、量産性や長期的な信頼性を考慮すると、その実現が難しいという課題がある。
【0071】
そこで図1〜図3の画素回路では、電位保持のためのキャパシターを使用せずに、各スイッチを、片チャンネルのN型トランジスターではなく、P型トランジスター及びN型トランジスターからなる相補型のトランスファーゲートにより実現している。これにより誤動作の発生を抑止できると共に、各スイッチを小さなサイズのトランジスターで構成できるため、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。また、テスト用のスイッチについてもトランスファーゲートを用いることで、テスト時間の短縮が可能になる。また本実施形態では、帰還信号を出力するインバーター回路としてクロックドインバーター回路を用いている。これにより、データ信号と帰還信号の信号衝突が回避され、ラッチ回路の安定動作が実現される。また本実施形態では、画素回路の各回路を、P型トランジスター及びN型トランジスターからなるCMOS構成(相補型)の回路で実現している。これにより、ラッチ回路内の各ノードが中間電位レベルに設定されないようになり、ラッチ回路の誤動作発生が抑止される。また画素回路のトランジスターとして、例えば高耐圧トランジスターではなく、通常耐圧(例えば5〜3V)のトランジスターを用いることが可能になり、画素回路の大規模化を抑止できる。また出力回路の後段に抵抗と2つのダイオードを設けることで、画素の対向電極が揺れることによる容量カップリングノイズにより出力回路のトランジスターが破壊されてしまう事態の発生も抑止できる。
【0072】
2.レイアウト手法
次に本実施形態の画素回路のレイアウト手法について説明する。なお本実施形態の画素回路のレイアウト手法は以下に説明する手法には限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0073】
図4に本実施形態の画素回路のレイアウト配置例を示す。図4では、トランジスターのソース、ドレイン等を形成する不純物層(ACT)と、ゲートを形成するポリシリコン層(POLY)を示している。また、紙面に向かって縦方向が第1の方向D1となっており、横方向が第2の方向D2となっている。また図4では、上側の領域が、N型ウェル上に形成されるP型トランジスターの領域となっており、下側の領域が、P型ウェル上に形成されるN型トランジスター領域となっている。
【0074】
図4のB1に示すように、図3のクロックドインバーター回路CIV1を構成するP型トランジスターTP2及びTP3と、トランスファーゲートTG1を構成するP型トランジスターTP1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。同様にB2に示すように、クロックドインバーター回路CIV1を構成するN型トランジスターTN2及びTN3と、トランスファーゲートTG1を構成するN型トランジスターTN1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。具体的には、これらのトランジスターのチャネル領域(ポリシリコン層と不純物層の重複領域)が第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。
【0075】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP2、TP3、TP1、TN2、TN3、TN1を、横方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置できる。従って、画素回路の横方向(D2方向)の幅を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0076】
更に図4ではB3に示すように、クロックドインバーター回路CIV1のP型トランジスターTP2のドレインとP型トランジスターTP3のソースが共通の不純物領域(P型不純物領域)により形成される。またB4に示すように、P型トランジスターTP3のドレインと、トランスファーゲートTG1のP型トランジスターTP1のソースが、共通の不純物領域(P型不純物領域)により形成される。即ち、1つのP型不純物領域に重畳するように、TP2、TP3、TP1のゲートに対応する3つのポリシリコンのパターンが形成されている。同様にB5に示すように、クロックドインバーター回路CIV1のN型トランジスターTN2のドレインと、N型トランジスターTN3のソースが、共通の不純物領域(N型不純物領域)により形成される。またB6に示すように、N型トランジスターTN3のドレインと、トランスファーゲートTG1のN型トランジスターTN1のソースが、共通の不純物領域(N型不純物領域)により形成される。即ち1つのN型不純物領域に重畳するように、TN2、TN3、TN1のゲートに対応する3つのポリシリコンのパターンが形成されている。
【0077】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP2、TP3、TP1、TN2、TN3、TN1を、縦方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置できる。従って、画素回路の縦方向(D1方向)の幅を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。なお、トランジスターのソースは、電源側(VDD側、VSS側)の不純物領域(拡散領域)であり、ドレインは、出力ノード側の不純物領域である。
【0078】
また図4ではB6に示すように、クロックドインバーター回路CIV2を構成するP型トランジスターTP6及びTP7と、トランスファーゲートTG2を構成するP型トランジスターTP5が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。同様にB7に示すように、クロックドインバーター回路CIV2を構成するN型トランジスターTN6及びTN7と、トランスファーゲートTG2を構成するN型トランジスターTN5が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。
【0079】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP6、TP7、TP5、TN6、TN7、TN5を、横方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置でき、画素回路の横方向の幅を縮小化できる。
【0080】
更に図4では、P型トランジスターTP6のドレインとP型トランジスターTP7のソースが共通の不純物領域により形成され、P型トランジスターTP7のドレインとP型トランジスターTP5のソースが共通の不純物領域により形成される。同様に、N型トランジスターTN6のドレインとN型トランジスターTN7のソースが共通の不純物領域により形成され、N型トランジスターTN7のドレインとN型トランジスターTN5のソースが共通の不純物領域により形成される。
【0081】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP6、TP7、TP5、TN6、TN7、TN5を、縦方向の狭いスペースに効率良くコンパクトに配置でき、画素回路の縦方向の幅を縮小化できる。
【0082】
また図4ではB1、B2に示すように、P型トランジスターTP2、TP3、TP1、N型トランジスターTN2、TN3、TN1が、第1の方向D1に沿った第1のラインL1に沿ってレイアウト配置される。同様にB6、B7に示すように、P型トランジスターTP6、TP7、TP5、N型トランジスターTN6、TN7、TN5が、第1の方向D1に沿った第2のラインL2に沿ってレイアウト配置される。
【0083】
そしてB8、B9に示すように、図3のインバーター回路IV1を構成するP型トランジスターTP4及びN型トランジスターTN4が、第1のラインL1と第2のラインL2の間にレイアウト配置される。
【0084】
このようにすれば第1のラインL1と第2のラインL2の間のスペースを有効活用して、インバーター回路IV1を構成するP型トランジスターTP4及びN型トランジスターTN4をレイアウト配置できる。従って、画素回路の横方向や縦方向での幅の増加を最小限に抑えながら、インバーター回路IV1を効率的にレイアウト配置できる。また、トランスファーゲートTG1やクロックドインバーター回路CIV1のトランジスターが配置される第1、第2のラインL1、L2の間に、インバーター回路IV1のトランジスターをレイアウト配置することで、インバーター回路IV1の入力や出力に接続される信号線も効率的に配線できるようになる。
【0085】
また図4ではF1に示すように、図3のクロックドインバーター回路CIVQを構成するP型トランジスターTPQ2及びTPQ3と、トランスファーゲートTGQを構成するP型トランジスターTPQ1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。同様にF2に示すように、クロックドインバーター回路CIVQを構成するN型トランジスターTNQ2及びTNQ3と、トランスファーゲートTGQを構成するN型トランジスターTNQ1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。
【0086】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTPQ2、TPQ3、TPQ1、TNQ2、TNQ3、TNQ1を、横方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置できるため、画素回路の横方向の幅を縮小化できる。
【0087】
また図4のF3、F4に示すように、P型トランジスターTPQ2のドレインとTPQ3のソースが共通の不純物領域により形成され、TPQ3のドレインとTPQ1のソースが共通の不純物領域により形成される。同様にF5、F6に示すように、N型トランジスターTNQ2のドレインとTNQ3のソースが共通の不純物領域により形成され、TNQ3のドレインとTNQ1のソースが共通の不純物領域により形成される。
【0088】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTPQ2、TPQ3、TPQ1、TNQ2、TNQ3、TNQ1を、縦方向の狭いスペースに、第3のラインL3に沿って、効率良くコンパクトに配置できるようになり、画素回路の縦方向の幅を縮小化できる。
【0089】
なお、図3のインバーター回路IV2を構成するトランジスターTP8、TN8と、セレクター20のトランスファーゲートTGS1、TGS2を構成するトランジスターTPS1、TPS2、TNS1、TNS2は、第2のラインL2と第3のラインL3の間にレイアウト配置される。このようにすることで、信号線も効率的に配線できるようになり、画素回路のレイアウト面積を更に小規模化できる。
【0090】
なお図3の抵抗RPは、C1に示すようにP型トランジスターTPQ3のドレイン(TPQ1のソース)を延在形成したP型不純物領域と、C2に示すようにN型トランジスターTNQ3のドレイン(TNQ1のソース)を延在形成したN型不純物領域とにより形成される。例えばC1では、第1の方向D1に直交する第2の方向D2に沿って、P型トランジスターTPQ3とN型トランジスターTNQ3のドレインが延在形成されて、この延在形成部分により抵抗RP(拡散抵抗)が実現される。
【0091】
そしてダイオードDI1は、C1に示すP型不純物領域をアノードとし、C3に示す電位安定化用N型不純物領域及びこの電位安定化用N型不純物領域が形成されるN型ウェルをカソードとするダイオードとなる。ここでC3に示す電位安定化用N型不純物領域は、C1に示す延在形成されたP型不純物領域に対向すると共に、VDDノードに接続される。
【0092】
またダイオードDI2は、C2に示すN型不純物領域をカソードとし、C4に示す電位安定化用P型不純物領域及びこの電位安定化用P型不純物領域が形成されるP型ウェルをアノードとするダイオードとなる。ここでC4に示す電位安定化用P型不純物領域は、C2に示す延在形成されたN型不純物領域に対向すると共に、VSSノードに接続される。
【0093】
図5は、図4の不純物層(ACT)、ポリシリコン層(POLY)に加えて、第1のメタル層(MET1)の配線が示されるレイアウト配置例である。ここでメタル層は例えばアルミ層である。図5に示すように、トランジスター間を接続する信号線の大部分は第1のメタル層で形成される。
【0094】
図6は、画素回路の第2のメタル層(MET2)のレイアウト配線例である。図6では第2のメタル層で形成される信号線が第2の方向D2に沿って配線されている。具体的には、走査信号SG、XSG、テスト信号XT、XSTの信号線が、第2のメタル層で形成されて第2の方向D2に沿って横方向に配線される。そして、これらの信号線は、ビアコンタクトを介して下層の信号線やトランジスターに接続される。
【0095】
図7は、画素回路の第3のメタル層(MET3)のレイアウト配線例である。図7では第3のメタル層で形成される信号線が第1の方向D1に沿って配線されている。具体的には、データ信号SDA、サブフレーム同期信号SF、XSF、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、ハイインピーダンス制御信号SHZ、XSHZの信号線が、第3のメタル層で形成されて第1の方向D1に沿って縦方向に配線される。そして、これらの信号線は、ビアコンタクトを介して下層の信号線やトランジスターに接続される。
【0096】
本実施形態では、同じ走査線に接続される画素回路及び対応する画素は、第2の方向D2に沿って配置される。そして同じ走査線に接続される画素回路に対して、図6のように第2の方向D2に沿って第2のメタル層で配線される信号線から、走査信号SG、XSGが供給される。テスト信号ST、XSTも同様である。
【0097】
一方、同じデータ線に接続される画素回路及び対応する画素は、第1の方向D1に沿って配置される。そして同じ信号線に接続される画素回路に対して、図7のように第1の方向D1に沿って第3のメタル層で配線されるデータ信号SDA、サブフレーム同期信号SF、XSF、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、ハイインピーダンス制御信号SHZ、XSHZの信号線から信号が供給される。なお、VDD、VSSの電源線は、電源補強のために、図6に示すように第2の方向D2に沿って配線されると共に図7に示すように第1の方向D1に沿っても配線される。
【0098】
以上のように、第2、第3のメタル層で形成された信号線を配線することで、画素の配列状態に応じた適正で効率的な信号線のレイアウト配線を実現できる。
【0099】
また本実施形態の画素回路が適用される電気光学装置(電気光学パネル)は、複数の画素と、複数の画素の各画素を各画素回路が駆動する複数の画素回路を有する。そして、これらの複数の画素回路(及び複数の画素)は例えば図8にようにレイアウト配置される。
【0100】
例えば図8において、複数の画素回路のうちの第1の画素回路、第2の画素回路、第3の画素回路、第4の画素回路を、各々、CPX1、CPX2、CPX3、CPX4とする。これらの第1、第2、第3、第4の画素回路CPX1、CPX2、CPX3、CPX4は、各々、第1、第2、第3、第4の画素を駆動する。
【0101】
そして図8に示すように、第1の画素回路CPX1と第2の画素回路CPX2が、第1の線対称ラインLSY1に対して線対称に配置される。同様に第3の画素回路CPX3と第4の画素回路CPX4が、第1の線対称ラインLSY1に対して線対称に配置(LSY1を基準として線対称に配置)される。ここで第1の線対称ラインLSY1は例えば第1の方向D1に沿ったラインである。
【0102】
一方、第1の画素回路CPX1と第3の画素回路CPX3は、第2の線対称ラインLSY2に対して線対称に配置される。同様に、第2の画素回路CPX2と第4の画素回路CPX4が、第2の線対称ラインLSY2に対して線対称に配置される。ここで第2の線対称ラインLSY2は、第1の線対称ラインLSY1に直交するラインであり、例えば第2の方向D2に沿ったラインである。
【0103】
このように第1、第2の線対称ラインLSY1、LSY2を基準とした線対称配置を行うことで、各画素回路間において重なる部分を共用することが可能になる。従って、画素回路の第1の方向D1や第2の方向D2での幅を実質的に縮小化することが可能になり、小さな画素領域に画素回路をコンパクトに収めることが可能になる。
【0104】
図9は第1の線対称ラインLSY1に対して線対称に配置される第1、第2の画素回路CPX1、CPX2のレイアウト配置例を示す図である。なお第3、第4の画素回路CPX3、CPX4のレイアウト配置も図9と同様になる。
【0105】
図9では、例えば図4に示すトランジスターTP1、TP2、TN1、TN2のゲートコンタクトが、第1、第2の画素回路CPX1、CPX2の間で共用されるように、CPX1、CPX2が配置される。そして共用されるゲートコンタクトを介して、第1の画素回路CPX1のトランジスターTP1、TN1のゲートと第2の画素回路CPX2のトランジスターTP1、TN1のゲートに対して、各々、図6の走査信号XSG、SGが供給される。同様に共用されるゲートコンタクトを介して、第1の画素回路CPX1のトランジスターTP2、TN2のゲートと第2の画素回路CPX2のトランジスターTP2、TN2のゲートに対して、各々、走査信号SG、XSGが供給される。即ち、前述のように第1の方向D1に沿って隣り合って配置される第1、第2の画素回路CPX1、CPX2は、同じ走査線により選択される回路であるため、走査線のゲートコンタクトを共用できる。
【0106】
このようにゲートコンタクトを共用することで、画素回路の第2の方向D2での幅を実質的に縮小化することが可能になり、小さな画素領域に画素回路をコンパクトに収めることが可能になる。
【0107】
図10は第2の線対称ラインLSY2に対して線対称に配置される第1、第3の画素回路CPX1、CPX3のレイアウト配置例を示す図である。なお第2、第4の画素回路CPX2、CPX4のレイアウト配置も図10と同様になる。
【0108】
図10では、VDD(或いはVSS)の信号線や電位安定化用のN型不純物領域(或いは電位安定化用のP型不純物領域)が、第1、第3の画素回路CPX1、CPX3の間で共用されるように、CPX1、CPX3が配置される。
【0109】
このようにすることで、画素回路の第1の方向D1での幅を実質的に縮小化することが可能になり、小さな画素領域に画素回路をコンパクトに収めることが可能になる。
【0110】
以上に説明した本実施形態の画素回路のレイアウト手法によれば、画素回路の第1の方向D1での幅や第2の方向D2での幅を小さくすることができ、画素回路を画素領域に対して効率的にレイアウト配置することが可能になる。特に電気光学装置の高画質化が進むと、それにつれて画素領域の面積も小さくなるが、本実施形態の画素回路によれば、このような小さな面積の画素領域に対しても画素回路を形成できるため、高画質化にも対応できる。
【0111】
例えば前述の容量ホールド型のラッチ回路を用いた画素回路では、データ信号の入力用のスイッチを片チャンネルのN型トランジスターにより構成し、キャパシターに電荷を蓄積することでデータ信号のラッチを実現している。しかしながら、この従来の手法では、N型トランジスターでのしきい値電圧分の電圧降下やリーク電流による蓄積電荷の減少などにより、誤動作が生じるおそれがある。そして、これを防止するためにスイッチを構成するN型トランジスターのサイズやキャパシターのサイズを大きくすると、画素回路のレイアウト面積が増加する。
【0112】
この点、本実施形態の画素回路では、データ信号の入力用のスイッチがトランスファーゲートにより構成されると共に、インバーター回路とクロックドインバーター回路の帰還ループによるスタティックなラッチ回路でデータ信号が保持される。従って、しきい値電圧分の電圧降下や光によるリーク電流を原因とする誤動作の発生が抑制され、ラッチ回路の安定動作を実現できる。そして、このような安定動作が実現されるのにもかかわらず、本実施形態によれば、図4に示すようにラッチ回路等を構成するトランジスターのサイズ(ゲート幅、ゲート長)として、例えばデザインルール上の最少サイズを使用できる。しかも、図4のB1、B2、B6、B7等に示すようにトランスファーゲートのトランジスターとクロックドインバーター回路のトランジスターが、少ないレイアウト面積で効率的にレイアウト配置される。従って、画素回路のレイアウト面積を最小限に抑えることが可能になり、高画質化により画素領域の面積が小さくなった場合にも、これに対応できるようになる。
【0113】
3.サブフレーム駆動
次に本実施形態が適用される電気光学装置(電気光学パネル)の駆動手法の一例として、等間隔のサブフレーム駆動について説明する。
【0114】
サブフレーム駆動では、図11のA1に示すように、1フレームを例えば6つのサブフレームSF1〜SF6に分割する。このサブフレームSF1〜SF6は、それぞれ期間の長さが等しい等間隔のサブフレームである。
【0115】
各サブフレームでは、画素をオン電圧又はオフ電圧で駆動する。なお、図11では、オン電圧で駆動するサブフレームを網掛けで表す。例えば、オン電圧は、印加電圧に対する液晶の透過率特性において、透過率が最大になる印加電圧である。オフ電圧は、印加電圧に対する液晶の透過率特性において、透過率が最小になる印加電圧である。
【0116】
A1に示すように、サブフレームSF1においてオン電圧を印加し、サブフレームSF2〜SF6においてオフ電圧を印加したとする。この場合、A2に示すように、液晶の応答時間に対してサブフレームの長さが短いため、サブフレームSF1の期間内では透過率は最大にならず、透過率は徐々に上昇していく。そして、その後のサブフレームにおいて透過率は徐々に下降していく。このとき、画素値の階調は、A2に示す透過率曲線の積分値により決まり、積分値が大きいほど高階調に対応する。
【0117】
A3に示すように、オン電圧とオフ電圧の組み合わせパターン(以下では、サブフレームパターンと呼ぶ)を変更すると、A4に示すように、サブフレームパターンに応じて透過率曲線の形が変化する。そのため、所望の階調特性が得られるように、各階調に対するサブフレームパターンをあらかじめ設定しておくことで、画像の階調を表示することができる。なお本実施形態では、画素をオン電圧で駆動するサブフレームにおいてオフ電圧で駆動する期間を設け、透過率の応答特性の変化による階調特性の変化を抑制してもよい。
【0118】
図12にサブフレーム駆動を実現する電気光学装置の回路装置の構成例を示す。この回路装置は、波形信号供給回路40と第1〜第kの画素回路50−1〜50−k(kは自然数)を含む。なお、本実施形態の回路装置は図12の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0119】
画素回路50−1〜50−kは、駆動データ信号SDR1〜SDRkを出力して画素60−1〜60−kの画素電極を駆動する。より具体的には、画素回路50−1〜50−kは、それぞれラッチ部10−1〜10−k、セレクター20−1〜20−k、出力回路30−1〜30−kを含む。なお以下では、画素回路50−1を例にしてその構成、動作について説明するが、他の画素回路50−2〜50−kの構成、動作も同様である。
【0120】
ラッチ部10−1は、走査信号SG(XSG)、データ信号SDA、サブフレーム同期信号SF(XSF)を受けて、画素60−1に対応するデータ信号をラッチ(記憶、保持)する。
【0121】
セレクター20−1は、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、ラッチ部10−1に保持されたデータ信号を受けて、信号SLQ1を出力する。具体的には、セレクター20−1は、データ信号がオン論理レベルであるサブフレームにおいて、オン駆動用波形信号SONを信号SLQ1として出力する。一方、セレクター20−1は、データ信号がオフ論理レベルであるサブフレームにおいて、オフ駆動用波形信号SOFFを信号SLQ1として出力する。そして出力回路30−1は、セレクター20−1からの信号SLQ1をバッファリングした信号を、駆動データ信号SDR1として、対応する画素60−1に出力する。
【0122】
ここでデータ信号のオン論理レベルとは、画素のオン駆動状態に対応する第1の論理レベルであり、例えば論理レベル「1」である。また、データ信号のオフ論理レベルとは、画素のオフ駆動状態に対応する第2の論理レベルであり、例えば論理レベル「0」である。例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の液晶表示装置において、画素を光が透過可能な状態に駆動する駆動状態がオン駆動状態であり、画素を光が非透過な状態に駆動する駆動状態がオフ駆動状態である。図11等で上述したサブフレームパターンは、このオン論理レベルとオフ論理レベルの組み合わせによって表され、各階調データに対応してその組み合わせが設定される。
【0123】
波形信号供給回路40は、オン駆動用波形信号SONとオフ駆動用波形信号SOFFを出力する。例えば、図示しない温度センサーからの温度検出結果に基づいてこれらの波形信号を生成して出力する。また、波形信号供給回路40は、対向電極駆動信号VCOM(対向電極駆動電圧)を出力して、画素60−1〜60−kの対向電極を駆動する。
【0124】
波形信号供給回路40が出力するオン駆動用波形信号SON(オン駆動用波形電圧)は、データ信号のオン論理レベルに対応する駆動データ信号の電圧波形を規定する信号である。またオフ駆動用波形信号SOFF(オフ駆動用波形電圧)は、データ信号のオフ論理レベルに対応する駆動データ信号の電圧波形を規定する信号である。そして、この駆動データ信号の電圧波形と、対向電極駆動信号の電圧波形によって、画素60−1に印加される電圧波形が決まる。
【0125】
4.電気光学装置
図13に本実施形態の画素回路が用いられる電気光学装置の構成例を示す。この電気光学装置は、電気光学パネル400(狭義には液晶表示パネル)、走査信号出力回路410、データ信号出力回路420、表示コントローラー430、波形信号供給回路440を含み、いわゆる面順次のデジタル駆動を実現する。なお本実施形態の電気光学装置は図13の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
【0126】
電気光学パネル400は、表示画像を表示するための複数の画素と、その複数の画素を駆動する複数の画素回路を含む。この画素回路には、走査信号、データ信号、駆動用波形信号SON、SOFF、対向電極駆動信号VCOM、サブフレーム同期信号SFが入力される。1つの画素には例えば1つの画素回路が対応し、その画素と画素回路が、走査線(ゲート線)とデータ線に沿ってマトリックス状に配置される。例えば、走査信号SG1のラインとデータ信号SDA1のラインの交点には、画素PX11とPX11を駆動する画素回路CPX11が配置される。
【0127】
表示コントローラー430は、外部のホストコントローラー等からのデータ転送用クロック信号DCK、データ信号DATA、その他の制御信号を受けて、電気光学装置の各構成要素を制御し、電気光学装置の表示制御を行う。また、表示コントローラー430は、データ信号DATAに基づいて等間隔サブフレーム駆動用のデータ信号を生成する。すなわち、データ信号DATAの階調データを、オン論理レベルとオフ論理レベルの組み合わせであるサブフレームパターンに変換する。
【0128】
走査信号出力回路410は、電気光学パネル400に対して走査信号SG1〜SGm(mは自然数)を供給する。走査信号SG1〜SGm(ゲート信号)は、画素回路によりデータ信号SDA1〜SDAnが取り込まれる走査線(ゲート線)を選択(指示)するための信号である。走査信号出力回路410には、表示コントローラー430からの水平同期信号HSYNCやサブフレーム同期信号SF等が入力される。
【0129】
データ信号出力回路420は、電気光学パネル400に対してデータ信号SDA1〜SDAnを供給する。データ信号SDA1〜SDAnは、各データ線上の画素に対応する等間隔サブフレーム駆動用のデータ信号である。データ信号出力回路420には、表示コントローラー430からの水平同期信号HSYNCやサブフレーム同期信号SFやサブフレームパターンに変換されたデータ信号等が入力される。
【0130】
波形信号供給回路440は、電気光学パネル400に対して、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、対向電極駆動信号VCOMを供給する。波形信号供給回路440には、図示しない温度センサーからの温度検出結果や、表示コントローラー430からの信号(サブフレーム同期信号、水平同期信号カウント値、サブフレーム同期信号カウント値等)が入力される。
【0131】
図13の電気光学装置は、例えばLCOS(広義には、液晶表示装置)により構成される。LCOSとは、シリコン基板(広義には、半導体基板)に画素回路や、配線層、反射電極(画素電極)、液晶層、対向電極が積層されて形成された液晶表示装置である。シリコン基板には、波形信号供給回路440等の周辺回路も集積される。LCOSは、反射型の液晶表示装置であり、透明な対向電極側から入射された光が液晶層を通過して反射電極により反射され、その反射光が再び液晶層を通過して出射される。表示画像は、その出射光がスクリーン等に投影されることで得られる。
【0132】
図14に本実施形態の動作を説明するための信号波形例を示す。図14には、サブフレーム同期信号SF、走査信号SG1〜SGm、データ信号SDAの信号波形例が示されている。
【0133】
図14のE1に示すように、走査信号SG1がHレベル(アクティブ)になると、図3のトランスファーゲートTG1がオンになり、クロックドインバーター回路CIV1がハイインピーダンス出力状態となり、データ信号SDAが第1のラッチ回路11に取り込まれる。そしてE2に示すように、走査信号SG1がLレベル(非アクティブ)になると、トランスファーゲートTG1がオフになり、クロックドインバーター回路CIV1が出力状態となり、取り込まれたデータ信号が第1のラッチ回路11にホールドされる。
【0134】
そして、1画面分の走査線が選択された後に、E3に示すようにサブフレーム同期信号SFがHレベル(アクティブ)になると、トランスファーゲートTG2がオンになり、クロックドインバーター回路CIV2がハイインピーダンス出力状態となり、第1のラッチ回路11にラッチされていたデータ信号が第2のラッチ回路12に転送されて取り込まれる。そしてE4に示すように、サブフレーム同期信号SFがLレベルになると、トランスファーゲートTG2がオフになり、クロックドインバーター回路CIV2が出力状態となり、取り込まれたデータ信号が第2のラッチ回路12にホールドされる。
【0135】
以上のように本実施形態をサブフレーム駆動に適用した場合には、図11に示すようにフレームが複数のサブフレームに分割される。そして複数のサブフレームの各サブフレームにおいて、図14に示すように電気光学装置の複数の走査線の各走査線が順次選択される。
【0136】
そして図3の画素回路のトランスファーゲートTG1と、クロックドインバーター回路CIV1のP型トランジスターTP3及びN型トランジスターTN3は、走査信号SGに基づいて、オン・オフ制御される。この走査信号SGは、複数の走査線のうちの画素回路に対応する走査線が選択される場合にアクティブ(Hレベル)になる信号である。
【0137】
一方、画素回路のトランスファーゲートTG2とクロックドインバーター回路CIV2のP型トランジスターTP6及びN型トランジスターTN6は、サブフレーム同期信号SFに基づいてオン・オフ制御される。このサブフレーム同期信号SFは、各サブフレームに同期してアクティブになる信号(サブフレームの開始に同期してアクティブになる信号)である。
【0138】
以上のようにすることで本実施形態の画素回路を有する電気光学装置にサブフレーム駆動を適用して、電気光学パネルを駆動できようになる。
【0139】
5.電子機器
図15に、本実施形態の電気光学装置が適用される電子機器の構成例を示す。この電子機器は、電気光学装置500、コントローラー510(ホストコントローラー)、処理部520、記憶部530、I/F部(外部インターフェース部)540を含む。なお、本実施形態の電子機器は図15の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0140】
この電子機器では、I/F部540を介して画像データや動画データが入力される。入力された画像データや動画データは記憶部530に記憶される。処理部520は、記憶部530からの画像データや動画データの処理を行う。例えば、処理部520は、階調補正処理や、画質を改善するための処理、データ形式を変換する処理等を行う。処理部520は、処理後のデータを電気光学装置500に出力し、電気光学装置500は、そのデータに基づいて上述の等間隔のサブフレーム駆動等により画像表示を行う。コントローラー510は、例えばMPUにより構成され、上記の処理の制御を行う。
【0141】
以上の構成によれば、液晶プロジェクター、プロジェクション方式のテレビジョン装置、3Dプロジェクター等の種々の電子機器を実現できる。
【0142】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語(バッファー回路、電気光学装置等)と共に記載された用語(クロックドインバーター回路、液晶表示装置等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また画素回路、電気光学装置、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0143】
TG1、TG2、TGS1、TGS2、TGQ トランスファーゲート、
CIV1、CIV2、CIVQ クロックドインバーター回路、
IV1、IV2 インバーター回路、RP 抵抗、DI1、DI2 ダイオード、
SDA、SDA1〜SDAn データ信号、SG、XSG、SG1〜SGm 走査信号、
SDR、SDR1〜SDRk 駆動データ信号、
SON オン駆動用波形信号、SOFF オフ駆動用波形信号、
SF、XSF サブフレーム同期信号、
ST XST テスト信号、SHZ、XSHZ ハイインピーダンス制御信号、
10、10−1〜10−k ラッチ部、
11 第1のラッチ回路、12 第2のラッチ回路、
20、20−1〜20−k セレクター、30、30−1〜30−k 出力回路、
40 波形信号供給回路、50−1〜50−k 画素回路、60−1〜60−k 画素、
410 走査信号出力回路、420 データ信号出力回路、
430 表示コントローラー、440 波形信号供給回路、
500 電気光学装置、510 コントローラー、520 処理部、
530 記憶部、540 I/F部(外部インターフェース部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素回路、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置(LCD)などの電気光学装置の画素を駆動する画素回路の従来技術としては特許文献1、2に開示される技術が知られている。
【0003】
特許文献1の従来技術では、複数の画素に対応して複数の画素回路が設けられ、各画素回路には、スタティックRAM(スタティック・ランダムアクセスメモリー)型のラッチ回路が設けられる。そしてスタティックRAM型のラッチ回路に保持されたデータ信号(画像データ)に基づく駆動データ信号が、所定タイミングで一斉に全画素回路から全画素に転送される。
【0004】
特許文献2の従来技術では、片チャンネルのN型トランジスターとキャパシターにより構成される容量ホールド型のラッチ回路が各画素回路に設けられる。この容量ホールド型のラッチ回路では、そのキャパシターに電荷を保持することでデータ信号をラッチしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−4216号公報
【特許文献2】特開2005−352457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようなスタティックRAM型のラッチ回路を用いて、画素回路を設計すると、データ信号の書き込みに長時間を要したり、書き込み時間が足りなくなってデータ信号の書き込みに失敗するなどの課題があることが判明した。
【0007】
また、特許文献2のような容量ホールド型のラッチ回路では、トランジスターのリーク電流を考慮したラッチ回路の設計が必要になる。そして、リーク電流の影響を低減するために、キャパシターの容量値を大きくすると、キャパシターを1画素内に形成することが難しくなってしまうという課題がある。
【0008】
本発明の幾つかの態様によれば、ラッチ回路の誤動作発生等を抑止しながら画素を駆動できる画素回路、電気光学装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、電気光学装置の画素を駆動する画素回路であって、前記画素を駆動するためのデータ信号をラッチして記憶する第1のラッチ回路と、前記第1のラッチ回路から転送される前記データ信号をラッチして記憶する第2のラッチ回路を含み、前記第1のラッチ回路は、前記データ信号の入力ノードと第1のノードとの間に設けられ、並列接続された第1のP型トランジスター及び第1のN型トランジスターにより構成される第1のトランスファーゲートと、第2のノードを入力ノードとし、前記第1のノードを出力ノードとし、直列接続された第2のP型トランジスター、第3のP型トランジスター、第3のN型トランジスター及び第2のN型トランジスターにより構成される帰還用の第1のクロックドインバーター回路と、前記第1のノードを入力ノードとし、前記第2のノードを出力ノードとし、直列接続された第4のP型トランジスター及び第4のN型トランジスターにより構成される第1のインバーター回路とを含み、前記第2のラッチ回路は、前記第2のノードと第3のノードとの間に設けられ、並列接続された第5のP型トランジスター及び第5のN型トランジスターにより構成される第2のトランスファーゲートと、第4のノードを入力ノードとし、前記第3のノードを出力ノードとし、直列接続された第6のP型トランジスター、第7のP型トランジスター、第7のN型トランジスター及び第6のN型トランジスターにより構成される帰還用の第2のクロックドインバーター回路と、前記第3のノードを入力ノードとし、前記第4のノードを出力ノードとし、直列接続された第8のP型トランジスター及び第8のN型トランジスターにより構成される第2のインバーター回路とを含む画素回路に関係する。
【0010】
本発明の一態様では、画素回路は第1、第2のラッチ回路を有する。そして第1、第2の各ラッチ回路は、トランスファーゲートとクロックドインバーター回路とインバーター回路を有する。これらの各回路はP型トランジスターとN型トランジスターにより構成される相補型の回路となり、これらの相補的な回路により帰還ループが構成される。このように画素回路の各回路を相補型な回路で構成することで、ラッチ回路内の各ノードが中間電位レベルに設定される事態を抑止でき、ラッチ回路の誤動作発生等を抑止できる。また帰還信号を出力するインバーター回路としてクロックドインバーター回路を用いることで、データ信号と帰還信号の信号衝突が抑止され、ラッチ回路の安定動作を実現できる。従って、ラッチ回路の誤動作発生を抑止しながら画素を駆動できる画素回路の提供が可能になる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のP型トランジスター及び前記第3のP型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のP型トランジスターが、第1の方向に沿って配置され、前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のN型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されてもよい。
【0012】
このようなレイアウト配置にすれば、第1のクロックドインバーター回路や第1のトランスファーゲートを構成するトランジスターを効率良くコンパクトにレイアウト配置できる。これにより、例えば第1の方向に直交する方向を第2の方向とした場合に、画素回路の第2の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記第2のP型トランジスターのドレインと前記第3のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のP型トランジスターのドレインと前記第1のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第2のN型トランジスターのドレインと前記第3のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のN型トランジスターのドレインと前記第1のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されてもよい。
【0014】
このように隣り合うトランジスターのドレインとソースを共用するレイアウト配置にすれば、例えば画素回路の第1の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のP型トランジスター及び前記第7のP型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のP型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のN型トランジスター及び前記第7のN型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されてもよい。
【0016】
このようなレイアウト配置にすれば、第2のクロックドインバーター回路や第2のトランスファーゲートを構成するトランジスターを効率良くコンパクトにレイアウト配置できる。これにより、画素回路の第2の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記第6のP型トランジスターのドレインと前記第7のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のP型トランジスターのドレインと前記第5のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第6のN型トランジスターのドレインと前記第7のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のN型トランジスターのドレインと前記第5のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されてもよい。
【0018】
このように隣り合うトランジスターのドレインとソースを共用するレイアウト配置にすれば、例えば画素回路の第1の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記第2のP型トランジスター、前記第3のP型トランジスター、前記第1のP型トランジスター、前記第2のN型トランジスター、第3のN型トランジスター、前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第1のラインに沿って配置され、前記第6のP型トランジスター、前記第7のP型トランジスター、前記第5のP型トランジスター、前記第6のN型トランジスター、第7のN型トランジスター、前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第2のラインに沿って配置され、前記第1のインバーター回路を構成する前記第4のP型トランジスター及び前記第4のN型トランジスターが、前記第1のラインと前記第2のラインの間に配置されてもよい。
【0020】
このようにすれば第1のラインと第2のラインの間のスペースを有効活用して、第1のインバーター回路を構成する第4のP型トランジスター及び第4のN型トランジスターをレイアウト配置できる。従って、第1のインバーター回路の効率的なレイアウト配置を実現できる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づく駆動データ信号を、前記画素に出力する出力回路を含み、前記出力回路は、所与の信号が入力又は出力される信号ノードと前記出力回路の出力ノードとの間に設けられ、並列接続された第1の出力側P型トランジスター及び第1の出力側N型トランジスターにより構成される出力側トランスファーゲートと、直列接続された第2の出力側P型トランジスター、第3の出力側P型トランジスター、第3の出力側N型トランジスター及び第2の出力側N型トランジスターにより構成され、前記出力回路の前記出力ノードに前記駆動データ信号を出力する出力側クロックドインバーター回路を含み、前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側P型トランジスター及び前記第3の出力側P型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側P型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側N型トランジスター及び前記第3の出力側N型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側N型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されてもよい。
【0022】
このようなレイアウト配置にすれば、出力側クロックドインバーター回路や出力側トランスファーゲートを構成するトランジスターを効率良くコンパクトにレイアウト配置できる。これにより、画素回路の第2の方向での幅等を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0023】
また本発明の一態様では、テスト時において、前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードに対してテスト信号が前記所与の信号として入力される、或いは前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードから前記画素の検査結果信号が前記所与の信号として出力されてもよい。
【0024】
このようにすれば、例えばテスト時において、出力側トランスファーゲートの信号ノードに対して、テスト信号を所与の信号として入力したり、出力側トランスファーゲートの信号ノードから、画素の検査結果信号を所与の信号として出力できるようになる。
【0025】
また本発明の一態様では、1フレームが複数のサブフレームに分割され、前記複数のサブフレームの各サブフレームにおいて、前記電気光学装置の複数の走査線の各走査線が順次選択される場合に、前記第1のトランスファーゲートと、前記第1のクロックドインバーターの前記第3のP型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターは、前記複数の走査線のうちの画素回路に対応する走査線が選択される場合にアクティブになる走査信号に基づいて、オン・オフ制御され、前記第2のトランスファーゲートと、前記第2のクロックドインバーターの前記第6のP型トランジスター及び前記第6のN型トランジスターは、前記各サブフレームに同期してアクティブになるサブフレーム同期信号に基づいて、オン・オフ制御されてもよい。
【0026】
このようにすれば、サブフレーム駆動手法による電気光学装置の駆動が可能になる。
【0027】
また本発明の一態様では、前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づいて制御され、オン駆動用波形信号及びオフ駆動用波形信号のいずれかを選択して出力するセレクターを含み、前記セレクターは、前記オン駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第1のセレクター用トランスファーゲートと、前記オフ駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの前記出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第2のセレクター用トランスファーゲートを含んでもよい。
【0028】
このようにすれば、第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づいて、オン駆動用波形信号及びオフ駆動用波形信号のいずれかを選択して、駆動データ信号として画素に対して供給できるようになる。
【0029】
また本発明の他の態様は、複数の画素と、各画素回路が上記のいずれかに記載の画素回路である複数の画素回路とを含む電気光学装置に関係する。
【0030】
また本発明の他の態様では、前記複数の画素回路のうちの第1の画素回路、第2の画素回路、第3の画素回路、第4の画素回路が、各々、前記複数の画素のうちの第1の画素、第2の画素、第3の画素、第4の画素を駆動し、前記第1の画素回路と前記第2の画素回路が、第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、前記第3の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、前記第1の画素回路と前記第3の画素回路が、前記第1の線対称ラインに直交する第2の線対称ラインに対して線対称に配置され、前記第2の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第2の線対称ラインに対して線対称に配置されてもよい。
【0031】
このように第1、第2の線対称ラインを基準とした線対称配置を行うことで、各画素回路間において重なる部分を共用することなどが可能になる。従って、画素回路の第1の方向や第1の方向に直交する第2の方向での幅を実質的に縮小化することが可能になる。
【0032】
また本発明の他の態様は、上記に記載の電気光学装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態の画素回路の構成例。
【図2】本実施形態の画素回路の詳細な構成例。
【図3】本実施形態の画素回路の更に詳細な構成例。
【図4】画素回路のレイアウト配置例。
【図5】画素回路の第1のメタル層のレイアウト配線例。
【図6】画素回路の第2のメタル層のレイアウト配線例。
【図7】画素回路の第3のメタル層のレイアウト配線例。
【図8】複数の画素回路のレイアウト配置例。
【図9】第1の線対称ラインを基準とした線対称配置の説明図。
【図10】第2の線対称ラインを基準とした線対称配置の説明図。
【図11】等間隔のサブフレーム駆動についての説明図。
【図12】電気光学装置の回路装置の構成例。
【図13】電気光学装置の構成例。
【図14】本実施形態の動作を説明するための信号波形例。
【図15】電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0035】
1.画素回路の構成
図1に本実施形態の画素回路の構成例を示す。本実施形態の画素回路は、電気光学装置の画素を駆動する回路であり、ラッチ部10を含む。また出力回路30を含むことができる。
【0036】
液晶表示装置や有機EL装置等の電気光学装置の各画素は、例えば液晶素子等の電気光学素子CELと画素電極EPXを有する。画素電極EPXは、複数の画素に対して共通の電極である対向電極ECM(コモン電極)に対向している。そして液晶素子等の電気光学素子は、例えば画素電極EPXと対向電極ECMの間に設けられ、画素回路は、駆動データ信号を画素電極EPXに出力して画素を駆動する。
【0037】
ラッチ部10は、第1のラッチ回路11と第2のラッチ回路12を含む。第1のラッチ回路11は、画素を駆動するためのデータ信号(画像データ)をラッチして記憶する。第2のラッチ回路12は、第1のラッチ回路11に接続され、第1のラッチ回路11から転送されるデータ信号(第1のラッチ回路11にラッチされた画像データ)をラッチして記憶する。
【0038】
出力回路30は、画素を駆動するための駆動データ信号を画素に対して出力する。具体的には、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号に基づく駆動データ信号を、画素(画素電極)に出力する。
【0039】
図2に本実施形態の画素回路の詳細な構成例を示す。図2では、図1のラッチ部10、出力回路30に加えて、更にセレクター20が設けられている。また第1、第2のラッチ回路11、12の詳細な構成例が示されている。なお本実施形態の画素回路は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えばセレクター)を省略したり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0040】
第1のラッチ回路11は、第1のトランスファーゲートTG1、帰還用の第1のクロックドインバーター回路CIV1、第1のインバーター回路IV1を含む。
【0041】
トランスファーゲートTG1は、データ信号SDAの入力ノードNDと第1のノードN1との間に設けられる。このトランスファーゲートTG1は、並列接続された第1のP型トランジスターTP1及び第1のN型トランジスターTN1により構成される。例えば、P型トランジスターTP1とN型トランジスターTN1は、そのソース同士が共通接続されると共にそのドレイン同士が共通接続される。またP型トランジスターTP1のゲートには、負論理の走査信号XSG(負論理のゲート信号)が入力され、N型トランジスターTN1のゲートには、正論理の走査信号SG(正論理のゲート信号)が入力される。なお信号名に付される「X」は負論理の信号であることを意味する。
【0042】
クロックドインバーター回路CIV1は、第2のノードN2を入力ノードとし、第1のノードN1を出力ノードとする。このクロックドインバーター回路CIV1は、直列接続された第2のP型トランジスターTP2、第3のP型トランジスターTP3、第3のN型トランジスターTN3及び第2のN型トランジスターTN2により構成される。例えばP型トランジスターTP2、TP3は、高電位側電源であるVDDのノードと第1のノードN1との間に設けられ、N型トランジスターTN3、TN2は、第1のノードN1と低電位側電源であるVSSのノードとの間に設けられる。またトランジスターTP3、TN3のゲートには第2のノードN2が接続され、トランジスターTP2、TN2のゲートには、各々、走査信号SG、XSGが入力される。なおクロックドインバーター回路は図2に示す構成に限定されず、トランジスターの接続関係や個数などを図2とは異ならせるなどの種々の変形実施が可能である。
【0043】
インバーター回路IV1は、第1のノードN1を入力ノードとし、第2のノードN2を出力ノードとする。このインバーター回路IV1は、直列接続された第4のP型トランジスターTP4及び第4のN型トランジスターTN4により構成される。例えばP型トランジスターTP4は、VDDのノードと第2のノードN2との間に設けられ、N型トランジスターTN4は、第2のノードN2とVSSのノードとの間に設けられ、TP4、TN4のゲートには第1のノードN1が接続される。なおインバーター回路IV1は、クロックドインバーター回路の構成であってもよい。
【0044】
第2のラッチ回路12は、第2のトランスファーゲートTG2、帰還用の第2のクロックドインバーター回路CIV2、第2のインバーター回路IV2を含む。
【0045】
トランスファーゲートTG2は、第2のノードN2と第3のノードN3との間に設けられる。このトランスファーゲートTG2は、並列接続された第5のP型トランジスターTP5及び第5のN型トランジスターTN5により構成される。これらのトランジスターTP5、TN5は、そのソース同士が共通接続されると共にそのドレイン同士が共通接続される。またP型トランジスターTP5のゲートには、負論理のサブフレーム同期信号XSFが入力され、N型トランジスターTN5のゲートには、正論理のサブフレーム同期信号SFが入力される。なお走査信号SG、XSG、サブフレーム同期信号SF、XSFの詳細については後述する。
【0046】
クロックドインバーター回路CIV2は、第4のノードN4を入力ノードとし、第3のノードN3を出力ノードとする。このクロックドインバーター回路CIV2は、直列接続された第6のP型トランジスターTP6、第7のP型トランジスターTP7、第7のN型トランジスターTN7及び第8のN型トランジスターTN8により構成される。例えばP型トランジスターTP6、TP7は、VDDのノードと第3のノードN3との間に設けられ、N型トランジスターTN7、TN6は、第3のノードN3とVSSのノードとの間に設けられる。またトランジスターTP7、TN7のゲートには第4のノードN4が接続され、トランジスターTP6、TN6のゲートには、各々、サブフレーム同期信号SF、XSFが入力される。
【0047】
インバーター回路IV2は、第3のノードN3を入力ノードとし、第4のノードN4を出力ノードとする。このインバーター回路IV2は、直列接続された第8のP型トランジスターTP8及び第8のN型トランジスターTN8により構成される。例えばP型トランジスターTP8はVDDのノードと第4のノードN4との間に設けられ、N型トランジスターTN8は、第4のノードN4とVSSのノードとの間に設けられ、TP8、TN8のゲートには第3のノードN3が接続される。なおインバーター回路IV2は、クロックドインバーター回路の構成であってもよい。
【0048】
セレクター20は、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいて制御される。そしてオン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFFのいずれかを選択して出力する。即ち、ラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいて波形信号SON、SOFFのいずれかを選択して、信号SLQとして出力回路30に出力する。そして出力回路30は、この信号SLQを受け、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づく駆動データ信号SDRを、画素(画素電極)に出力する。
【0049】
図3に本実施形態の画素回路の更に詳細な構成例を示す。図3では、セレクター20、出力回路30の詳細な構成例が示されている。なおセレクター20、出力回路30の構成は図3に示す構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0050】
図3に示すようにセレクター20は、セレクター用のトランスファーゲートTGS1、トランスファーゲートTGS2を含む。
【0051】
トランスファーゲートTGS1は、オン駆動用波形信号SON(オン駆動電圧)の入力ノードとセレクター20の出力ノードNSとの間に設けられ、ラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいてオン・オフ制御される。具体的には、ラッチデータ信号LTQ、XLTQが、各々、Hレベル、Lレベルの場合にトランスファーゲートTGS1はオンになり、LTQ、XLTQが、各々、Lレベル、Hレベルの場合にオフになる。
【0052】
トランスファーゲートTGS2は、オフ駆動用波形信号SOFFの入力ノードとセレクター20の出力ノードNSとの間に設けられ、ラッチデータ信号LTQ、XLTQに基づいてオン・オフ制御される。具体的には、ラッチデータ信号LTQ、XLTQが、各々、Lレベル、Hレベルの場合にトランスファーゲートTGS2はオンになり、LTQ、XLTQが、各々、Hレベル、Lレベルの場合にオフになる。このようにトランスファーゲートTGS1とTGS2は互いに排他的にオン又はオフになる。
【0053】
出力回路30は、出力側(出力回路用)のトランスファーゲートTGQ、クロックドインバーター回路CIVQを含む。また抵抗RP、第1のダイオードDI1、第2のダイオードDI2を含む。
【0054】
トランスファーゲートTGQは、所与の信号TINが入力される信号ノード(又は所与の信号TQが出力される信号ノード)と、クロックドインバーター回路CIVQ(広義にはバッファー回路)の出力ノードNCQとの間に設けられる。このトランスファーゲートTG3は、並列接続された第1の出力側P型トランジスターTPQ1及び第1の出力側N型トランジスターTNQ1により構成される。これらのトランジスターTPQ1、TNQ1は、そのソース同士が共通接続されると共にそのドレイン同士が共通接続される。またP型トランジスターTPQ1のゲートには、負論理のテスト信号XSTが入力され、N型トランジスターTNQ1のゲートには、正論理のテスト信号STが入力される。
【0055】
クロックドインバーター回路CIVQは、直列接続された第2の出力側P型トランジスターTPQ2、第3の出力側P型トランジスターTPQ3、第3の出力側N型トランジスターTNQ3及び第2の出力側N型トランジスターTNQ2により構成される。そしてクロックドインバーター回路CIVQの出力ノードNCQに駆動データ信号SDRを出力する。P型トランジスターTPQ3、N型トランジスターTNQ3のゲートには、セレクター20の出力信号SLQが入力される。またP型トランジスターTPQ2、N型トランジスターTNQ2のゲートには、各々、負論理のハイインピーダンス制御信号XSHZ、正論理のハイインピーダンス制御信号SHZが入力される。
【0056】
抵抗RPは、クロックドインバーター回路CIVQ(バッファー回路)の出力ノードNCQと画素回路出力ノードNQとの間に設けられる。ダイオードDI1は、VDDのノードと画素回路出力ノードNQとの間に設けられ、ノードNQからVDDのノードに向かう方向を順方向とするダイオードである。ダイオードDI2は、ノードNQとVSSのノードとの間に設けられ、VSSのノードからノードNQに向かう方向を順方向とするダイオードである。このようなダイオードDI1、DI2、抵抗RPを設けることで、画素電極からの電荷を、電源VDDやVSS側に効率的に逃がすことが可能になる。これにより、出力回路30のトランジスターTPQ3、TNQ3等の特性劣化を抑制できるようになる。
【0057】
次に図3等に示す本実施形態の画素回路の動作について説明する。
【0058】
まず、走査信号SG(広義には第1のラッチ信号)がHレベル(XSGがLレベル)になると、トランスファーゲートTG1がオンして、データ信号SDAが第1のラッチ回路11にラッチされる。例えばデータ信号SDAがHレベル(論理「1」)である場合には、ノードN1、N2は、各々、Hレベル、Lレベルに設定され、データ信号SDAがLレベル(論理「0」)である場合には、ノードN1、N2は、各々、Lレベル、Hレベルに設定される。この時、クロックドインバーター回路CIV1のトランジスターTP2、TN2は信号SG、XSGによりオフになるため、CIV1はハイインピーダンス出力状態に設定される。従って、トランスファーゲートTG1を介したデータ信号SDAと、クロックドインバーター回路CIV1の出力信号とが衝突して、ノードN1等が不安定な中間電位レベルに設定されてしまう事態を防止できる。
【0059】
次に、走査信号SGがLレベル(XSGがHレベル)になると、トランスファーゲートTG1がオフになると共に、クロックドインバーター回路CIV1のトランジスターTP2、TN2がオンになり、CIV1が通常の帰還用のインバーター回路として機能する。これによりデータ信号SDAの電圧レベルが第1のラッチ回路11にスタティックに保持されるようになる。例えばデータ信号SDAがHレベルである場合には、ノードN1、N2に、各々、Hレベル、Lレベルの電圧レベルがスタティックに保持され、データ信号SDAがLレベルである場合には、ノードN1、N2に、各々、Lレベル、Hレベルの電圧レベルがスタティックに保持されるようになる。
【0060】
次に、サブフレーム同期信号SF(広義には第2のラッチ信号)がHレベル(XSFがLレベル)になると、トランスファーゲートTG2がオンして、第1のラッチ回路11に保持されていたデータ信号が第2のラッチ回路12に転送されて保持される。この時、クロックドインバーター回路CIV2のトランジスターTP6、TN6は信号SF、XSFによりオフになるため、CIV2はハイインピーダンス出力状態に設定される。従って、トランスファーゲートTG2を介したデータ信号と、クロックドインバーター回路CIV2の出力信号とが衝突して、ノードN3等が不安定な中間電位レベルに設定されてしまう事態を防止できる。
【0061】
次に、サブフレーム同期信号SFがLレベル(XSFがHレベル)になると、トランスファーゲートTG2がオフになると共に、クロックドインバーター回路CIV2のトランジスターTP6、TN6がオンになり、CIV2が通常の帰還用のインバーター回路として機能する。これにより第1のラッチ回路11から転送されてきたデータ信号の電圧レベルが第2のラッチ回路12にスタティックに保持されるようになる。例えば第1のラッチ回路11に入力されたデータ信号SDAがHレベルである場合には、ノードN4、N3に、各々、Hレベル、Lレベルの電圧レベルがスタティックに保持される。これによりラッチデータ信号LTQ、XLTQは、各々、Hレベル、Lレベルになる。また第1のラッチ回路11に入力されたデータ信号SDAがLレベルである場合には、ノードN4、N3に、各々、Lレベル、Hレベルの電圧レベルがスタティックに保持される。これによりラッチデータ信号LTQ、XLTQは、各々、Lレベル、Hレベルになる。
【0062】
セレクター20のトランスファーゲートTGS1、TGS2は、第2のラッチ回路12からのラッチデータ信号LTQ、XLTQにより制御される。そしてラッチデータ信号LTQがHレベル(画像データの論理レベルが「1」)である場合には、トランスファーゲートTGS1がオンになりTGS2がオフになる。従って、オン駆動用波形信号SONが選択され、信号SLQが出力回路30によりバッファリングされて、駆動データ信号SDRとして画素に出力される。一方、データ信号LTQがLレベル(画像データの論理レベルが「0」)である場合には、トランスファーゲートTGS1がオフになりTGS2がオンになる。従って、オフ駆動用波形信号SOFFが選択され、信号SLQが出力回路30によりバッファリングされて、駆動データ信号SDRとして画素に出力される。
【0063】
また電気光学装置のテスト時(検査時)には、テスト信号STがHレベル(XSTがLレベル)になり、ハイインピーダンス制御信号SHZがLレベル(XHZがHレベル)になる。従って、トランスファーゲートTGQがオンになると共にクロックドインバーター回路CIVQがハイインピーダンス出力状態に設定される。
【0064】
従って、テスト時(検査時)において、トランスファーゲートTGQの信号ノードに対してテスト信号を、所与の信号として入力できるようになる。或いはトランスファーゲートTGQの信号ノードから画素の検査結果信号を、所与の信号として出力できるようになる。これにより電気光学装置の効率的なテスト(検査)が可能になる。
【0065】
以上のように本実施形態によれば、ラッチ回路の誤動作発生等を抑止しながら画素を駆動できる画素回路を提供できる。
【0066】
例えば前述のスタティックRAM型のラッチ回路を用いた画素回路では、片チャンネルのN型トランジスターにより構成されるスイッチとインバーター回路を用いてラッチ回路を実現している。
【0067】
しかしながら、スタティックRAM型のラッチ回路では、データの書き込みラインからN型トランジスターのスイッチを介して入力されるデータ信号と、インバーター回路が出力する帰還信号とが信号衝突する構成になり、データ信号により、インバーター回路の出力ノードの電位レベルを強制的に反転させる必要がある。このため、データ信号の書き込みに長い時間を要したり、書き込み時間が足りなくなってデータ信号の書き込みに失敗するなどの問題が生じる。また、N型トランジスターのスイッチの抵抗値を下げる必要があるため、N型トランジスターのサイズが大きくなってしまい、画素回路のレイアウト面積を、画素領域のサイズに収めることが困難になる。
【0068】
また、前述の容量ホールド型のラッチ回路では、トランジスターのリーク電流を考慮したラッチ回路の設計が必要になる。そして、光によるリーク電流の影響を低減するために、キャパシターの容量値を大きくすると、キャパシターを1画素の領域内に形成することが困難になる。またキャパシターを形成するには、そのためのマスクセットが追加になり、製品コストが増加する。また、キャパシターの容量の電位レベルがホールドされた信号により論理回路を動作させると、電位レベルがしきい値電圧以上にシフトした場合に、誤動作が生じるおそれがある。
【0069】
また、データ信号を入力するためのスイッチを片チャンネルのN型トランジスターだけで構成すると、適正な電位レベルの電圧をラッチ回路に書き込むことが難しくなる。この場合に、スイッチを高耐圧のN型トランジスターにより形成し、ゲートに高電圧を印加することで適正な電位レベルの電圧をラッチ回路に書き込む手法も考えられる。しかしながら、高耐圧のトランジスターを用いると、画素回路のレイアウト面積が非常に大きくなってしまう。また、テスト信号をN型トランジスターのスイッチを介して入力すると、テスト時に高速読み出しができないため、テスト時間が長くなってしまうなどの問題がある。更に、画素の対向電極が揺れた場合に、液晶素子の容量結合によるノイズにより、出力回路のトランジスターが破壊されるおそれもある。
【0070】
以上のように従来の画素回路では、少ない面積の画素領域の中に多くの回路素子を内蔵させることが難しいという考えから、スイッチを片チャンネルのN型トランジスターだけにより構成したり、ラッチ回路のラッチ動作を、強制書き込みや容量保持により実現する手法を採用していた。このような手法の設計による回路は、一時的な開発レベルでは実現できるレベルであるものの、量産性や長期的な信頼性を考慮すると、その実現が難しいという課題がある。
【0071】
そこで図1〜図3の画素回路では、電位保持のためのキャパシターを使用せずに、各スイッチを、片チャンネルのN型トランジスターではなく、P型トランジスター及びN型トランジスターからなる相補型のトランスファーゲートにより実現している。これにより誤動作の発生を抑止できると共に、各スイッチを小さなサイズのトランジスターで構成できるため、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。また、テスト用のスイッチについてもトランスファーゲートを用いることで、テスト時間の短縮が可能になる。また本実施形態では、帰還信号を出力するインバーター回路としてクロックドインバーター回路を用いている。これにより、データ信号と帰還信号の信号衝突が回避され、ラッチ回路の安定動作が実現される。また本実施形態では、画素回路の各回路を、P型トランジスター及びN型トランジスターからなるCMOS構成(相補型)の回路で実現している。これにより、ラッチ回路内の各ノードが中間電位レベルに設定されないようになり、ラッチ回路の誤動作発生が抑止される。また画素回路のトランジスターとして、例えば高耐圧トランジスターではなく、通常耐圧(例えば5〜3V)のトランジスターを用いることが可能になり、画素回路の大規模化を抑止できる。また出力回路の後段に抵抗と2つのダイオードを設けることで、画素の対向電極が揺れることによる容量カップリングノイズにより出力回路のトランジスターが破壊されてしまう事態の発生も抑止できる。
【0072】
2.レイアウト手法
次に本実施形態の画素回路のレイアウト手法について説明する。なお本実施形態の画素回路のレイアウト手法は以下に説明する手法には限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0073】
図4に本実施形態の画素回路のレイアウト配置例を示す。図4では、トランジスターのソース、ドレイン等を形成する不純物層(ACT)と、ゲートを形成するポリシリコン層(POLY)を示している。また、紙面に向かって縦方向が第1の方向D1となっており、横方向が第2の方向D2となっている。また図4では、上側の領域が、N型ウェル上に形成されるP型トランジスターの領域となっており、下側の領域が、P型ウェル上に形成されるN型トランジスター領域となっている。
【0074】
図4のB1に示すように、図3のクロックドインバーター回路CIV1を構成するP型トランジスターTP2及びTP3と、トランスファーゲートTG1を構成するP型トランジスターTP1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。同様にB2に示すように、クロックドインバーター回路CIV1を構成するN型トランジスターTN2及びTN3と、トランスファーゲートTG1を構成するN型トランジスターTN1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。具体的には、これらのトランジスターのチャネル領域(ポリシリコン層と不純物層の重複領域)が第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。
【0075】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP2、TP3、TP1、TN2、TN3、TN1を、横方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置できる。従って、画素回路の横方向(D2方向)の幅を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。
【0076】
更に図4ではB3に示すように、クロックドインバーター回路CIV1のP型トランジスターTP2のドレインとP型トランジスターTP3のソースが共通の不純物領域(P型不純物領域)により形成される。またB4に示すように、P型トランジスターTP3のドレインと、トランスファーゲートTG1のP型トランジスターTP1のソースが、共通の不純物領域(P型不純物領域)により形成される。即ち、1つのP型不純物領域に重畳するように、TP2、TP3、TP1のゲートに対応する3つのポリシリコンのパターンが形成されている。同様にB5に示すように、クロックドインバーター回路CIV1のN型トランジスターTN2のドレインと、N型トランジスターTN3のソースが、共通の不純物領域(N型不純物領域)により形成される。またB6に示すように、N型トランジスターTN3のドレインと、トランスファーゲートTG1のN型トランジスターTN1のソースが、共通の不純物領域(N型不純物領域)により形成される。即ち1つのN型不純物領域に重畳するように、TN2、TN3、TN1のゲートに対応する3つのポリシリコンのパターンが形成されている。
【0077】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP2、TP3、TP1、TN2、TN3、TN1を、縦方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置できる。従って、画素回路の縦方向(D1方向)の幅を縮小化でき、画素回路のレイアウト面積を小規模化できる。なお、トランジスターのソースは、電源側(VDD側、VSS側)の不純物領域(拡散領域)であり、ドレインは、出力ノード側の不純物領域である。
【0078】
また図4ではB6に示すように、クロックドインバーター回路CIV2を構成するP型トランジスターTP6及びTP7と、トランスファーゲートTG2を構成するP型トランジスターTP5が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。同様にB7に示すように、クロックドインバーター回路CIV2を構成するN型トランジスターTN6及びTN7と、トランスファーゲートTG2を構成するN型トランジスターTN5が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。
【0079】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP6、TP7、TP5、TN6、TN7、TN5を、横方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置でき、画素回路の横方向の幅を縮小化できる。
【0080】
更に図4では、P型トランジスターTP6のドレインとP型トランジスターTP7のソースが共通の不純物領域により形成され、P型トランジスターTP7のドレインとP型トランジスターTP5のソースが共通の不純物領域により形成される。同様に、N型トランジスターTN6のドレインとN型トランジスターTN7のソースが共通の不純物領域により形成され、N型トランジスターTN7のドレインとN型トランジスターTN5のソースが共通の不純物領域により形成される。
【0081】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTP6、TP7、TP5、TN6、TN7、TN5を、縦方向の狭いスペースに効率良くコンパクトに配置でき、画素回路の縦方向の幅を縮小化できる。
【0082】
また図4ではB1、B2に示すように、P型トランジスターTP2、TP3、TP1、N型トランジスターTN2、TN3、TN1が、第1の方向D1に沿った第1のラインL1に沿ってレイアウト配置される。同様にB6、B7に示すように、P型トランジスターTP6、TP7、TP5、N型トランジスターTN6、TN7、TN5が、第1の方向D1に沿った第2のラインL2に沿ってレイアウト配置される。
【0083】
そしてB8、B9に示すように、図3のインバーター回路IV1を構成するP型トランジスターTP4及びN型トランジスターTN4が、第1のラインL1と第2のラインL2の間にレイアウト配置される。
【0084】
このようにすれば第1のラインL1と第2のラインL2の間のスペースを有効活用して、インバーター回路IV1を構成するP型トランジスターTP4及びN型トランジスターTN4をレイアウト配置できる。従って、画素回路の横方向や縦方向での幅の増加を最小限に抑えながら、インバーター回路IV1を効率的にレイアウト配置できる。また、トランスファーゲートTG1やクロックドインバーター回路CIV1のトランジスターが配置される第1、第2のラインL1、L2の間に、インバーター回路IV1のトランジスターをレイアウト配置することで、インバーター回路IV1の入力や出力に接続される信号線も効率的に配線できるようになる。
【0085】
また図4ではF1に示すように、図3のクロックドインバーター回路CIVQを構成するP型トランジスターTPQ2及びTPQ3と、トランスファーゲートTGQを構成するP型トランジスターTPQ1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。同様にF2に示すように、クロックドインバーター回路CIVQを構成するN型トランジスターTNQ2及びTNQ3と、トランスファーゲートTGQを構成するN型トランジスターTNQ1が、第1の方向D1に沿ってレイアウト配置される。
【0086】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTPQ2、TPQ3、TPQ1、TNQ2、TNQ3、TNQ1を、横方向の狭いスペースに、効率良くコンパクトに配置できるため、画素回路の横方向の幅を縮小化できる。
【0087】
また図4のF3、F4に示すように、P型トランジスターTPQ2のドレインとTPQ3のソースが共通の不純物領域により形成され、TPQ3のドレインとTPQ1のソースが共通の不純物領域により形成される。同様にF5、F6に示すように、N型トランジスターTNQ2のドレインとTNQ3のソースが共通の不純物領域により形成され、TNQ3のドレインとTNQ1のソースが共通の不純物領域により形成される。
【0088】
このようなレイアウト配置にすれば、6つのトランジスターTPQ2、TPQ3、TPQ1、TNQ2、TNQ3、TNQ1を、縦方向の狭いスペースに、第3のラインL3に沿って、効率良くコンパクトに配置できるようになり、画素回路の縦方向の幅を縮小化できる。
【0089】
なお、図3のインバーター回路IV2を構成するトランジスターTP8、TN8と、セレクター20のトランスファーゲートTGS1、TGS2を構成するトランジスターTPS1、TPS2、TNS1、TNS2は、第2のラインL2と第3のラインL3の間にレイアウト配置される。このようにすることで、信号線も効率的に配線できるようになり、画素回路のレイアウト面積を更に小規模化できる。
【0090】
なお図3の抵抗RPは、C1に示すようにP型トランジスターTPQ3のドレイン(TPQ1のソース)を延在形成したP型不純物領域と、C2に示すようにN型トランジスターTNQ3のドレイン(TNQ1のソース)を延在形成したN型不純物領域とにより形成される。例えばC1では、第1の方向D1に直交する第2の方向D2に沿って、P型トランジスターTPQ3とN型トランジスターTNQ3のドレインが延在形成されて、この延在形成部分により抵抗RP(拡散抵抗)が実現される。
【0091】
そしてダイオードDI1は、C1に示すP型不純物領域をアノードとし、C3に示す電位安定化用N型不純物領域及びこの電位安定化用N型不純物領域が形成されるN型ウェルをカソードとするダイオードとなる。ここでC3に示す電位安定化用N型不純物領域は、C1に示す延在形成されたP型不純物領域に対向すると共に、VDDノードに接続される。
【0092】
またダイオードDI2は、C2に示すN型不純物領域をカソードとし、C4に示す電位安定化用P型不純物領域及びこの電位安定化用P型不純物領域が形成されるP型ウェルをアノードとするダイオードとなる。ここでC4に示す電位安定化用P型不純物領域は、C2に示す延在形成されたN型不純物領域に対向すると共に、VSSノードに接続される。
【0093】
図5は、図4の不純物層(ACT)、ポリシリコン層(POLY)に加えて、第1のメタル層(MET1)の配線が示されるレイアウト配置例である。ここでメタル層は例えばアルミ層である。図5に示すように、トランジスター間を接続する信号線の大部分は第1のメタル層で形成される。
【0094】
図6は、画素回路の第2のメタル層(MET2)のレイアウト配線例である。図6では第2のメタル層で形成される信号線が第2の方向D2に沿って配線されている。具体的には、走査信号SG、XSG、テスト信号XT、XSTの信号線が、第2のメタル層で形成されて第2の方向D2に沿って横方向に配線される。そして、これらの信号線は、ビアコンタクトを介して下層の信号線やトランジスターに接続される。
【0095】
図7は、画素回路の第3のメタル層(MET3)のレイアウト配線例である。図7では第3のメタル層で形成される信号線が第1の方向D1に沿って配線されている。具体的には、データ信号SDA、サブフレーム同期信号SF、XSF、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、ハイインピーダンス制御信号SHZ、XSHZの信号線が、第3のメタル層で形成されて第1の方向D1に沿って縦方向に配線される。そして、これらの信号線は、ビアコンタクトを介して下層の信号線やトランジスターに接続される。
【0096】
本実施形態では、同じ走査線に接続される画素回路及び対応する画素は、第2の方向D2に沿って配置される。そして同じ走査線に接続される画素回路に対して、図6のように第2の方向D2に沿って第2のメタル層で配線される信号線から、走査信号SG、XSGが供給される。テスト信号ST、XSTも同様である。
【0097】
一方、同じデータ線に接続される画素回路及び対応する画素は、第1の方向D1に沿って配置される。そして同じ信号線に接続される画素回路に対して、図7のように第1の方向D1に沿って第3のメタル層で配線されるデータ信号SDA、サブフレーム同期信号SF、XSF、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、ハイインピーダンス制御信号SHZ、XSHZの信号線から信号が供給される。なお、VDD、VSSの電源線は、電源補強のために、図6に示すように第2の方向D2に沿って配線されると共に図7に示すように第1の方向D1に沿っても配線される。
【0098】
以上のように、第2、第3のメタル層で形成された信号線を配線することで、画素の配列状態に応じた適正で効率的な信号線のレイアウト配線を実現できる。
【0099】
また本実施形態の画素回路が適用される電気光学装置(電気光学パネル)は、複数の画素と、複数の画素の各画素を各画素回路が駆動する複数の画素回路を有する。そして、これらの複数の画素回路(及び複数の画素)は例えば図8にようにレイアウト配置される。
【0100】
例えば図8において、複数の画素回路のうちの第1の画素回路、第2の画素回路、第3の画素回路、第4の画素回路を、各々、CPX1、CPX2、CPX3、CPX4とする。これらの第1、第2、第3、第4の画素回路CPX1、CPX2、CPX3、CPX4は、各々、第1、第2、第3、第4の画素を駆動する。
【0101】
そして図8に示すように、第1の画素回路CPX1と第2の画素回路CPX2が、第1の線対称ラインLSY1に対して線対称に配置される。同様に第3の画素回路CPX3と第4の画素回路CPX4が、第1の線対称ラインLSY1に対して線対称に配置(LSY1を基準として線対称に配置)される。ここで第1の線対称ラインLSY1は例えば第1の方向D1に沿ったラインである。
【0102】
一方、第1の画素回路CPX1と第3の画素回路CPX3は、第2の線対称ラインLSY2に対して線対称に配置される。同様に、第2の画素回路CPX2と第4の画素回路CPX4が、第2の線対称ラインLSY2に対して線対称に配置される。ここで第2の線対称ラインLSY2は、第1の線対称ラインLSY1に直交するラインであり、例えば第2の方向D2に沿ったラインである。
【0103】
このように第1、第2の線対称ラインLSY1、LSY2を基準とした線対称配置を行うことで、各画素回路間において重なる部分を共用することが可能になる。従って、画素回路の第1の方向D1や第2の方向D2での幅を実質的に縮小化することが可能になり、小さな画素領域に画素回路をコンパクトに収めることが可能になる。
【0104】
図9は第1の線対称ラインLSY1に対して線対称に配置される第1、第2の画素回路CPX1、CPX2のレイアウト配置例を示す図である。なお第3、第4の画素回路CPX3、CPX4のレイアウト配置も図9と同様になる。
【0105】
図9では、例えば図4に示すトランジスターTP1、TP2、TN1、TN2のゲートコンタクトが、第1、第2の画素回路CPX1、CPX2の間で共用されるように、CPX1、CPX2が配置される。そして共用されるゲートコンタクトを介して、第1の画素回路CPX1のトランジスターTP1、TN1のゲートと第2の画素回路CPX2のトランジスターTP1、TN1のゲートに対して、各々、図6の走査信号XSG、SGが供給される。同様に共用されるゲートコンタクトを介して、第1の画素回路CPX1のトランジスターTP2、TN2のゲートと第2の画素回路CPX2のトランジスターTP2、TN2のゲートに対して、各々、走査信号SG、XSGが供給される。即ち、前述のように第1の方向D1に沿って隣り合って配置される第1、第2の画素回路CPX1、CPX2は、同じ走査線により選択される回路であるため、走査線のゲートコンタクトを共用できる。
【0106】
このようにゲートコンタクトを共用することで、画素回路の第2の方向D2での幅を実質的に縮小化することが可能になり、小さな画素領域に画素回路をコンパクトに収めることが可能になる。
【0107】
図10は第2の線対称ラインLSY2に対して線対称に配置される第1、第3の画素回路CPX1、CPX3のレイアウト配置例を示す図である。なお第2、第4の画素回路CPX2、CPX4のレイアウト配置も図10と同様になる。
【0108】
図10では、VDD(或いはVSS)の信号線や電位安定化用のN型不純物領域(或いは電位安定化用のP型不純物領域)が、第1、第3の画素回路CPX1、CPX3の間で共用されるように、CPX1、CPX3が配置される。
【0109】
このようにすることで、画素回路の第1の方向D1での幅を実質的に縮小化することが可能になり、小さな画素領域に画素回路をコンパクトに収めることが可能になる。
【0110】
以上に説明した本実施形態の画素回路のレイアウト手法によれば、画素回路の第1の方向D1での幅や第2の方向D2での幅を小さくすることができ、画素回路を画素領域に対して効率的にレイアウト配置することが可能になる。特に電気光学装置の高画質化が進むと、それにつれて画素領域の面積も小さくなるが、本実施形態の画素回路によれば、このような小さな面積の画素領域に対しても画素回路を形成できるため、高画質化にも対応できる。
【0111】
例えば前述の容量ホールド型のラッチ回路を用いた画素回路では、データ信号の入力用のスイッチを片チャンネルのN型トランジスターにより構成し、キャパシターに電荷を蓄積することでデータ信号のラッチを実現している。しかしながら、この従来の手法では、N型トランジスターでのしきい値電圧分の電圧降下やリーク電流による蓄積電荷の減少などにより、誤動作が生じるおそれがある。そして、これを防止するためにスイッチを構成するN型トランジスターのサイズやキャパシターのサイズを大きくすると、画素回路のレイアウト面積が増加する。
【0112】
この点、本実施形態の画素回路では、データ信号の入力用のスイッチがトランスファーゲートにより構成されると共に、インバーター回路とクロックドインバーター回路の帰還ループによるスタティックなラッチ回路でデータ信号が保持される。従って、しきい値電圧分の電圧降下や光によるリーク電流を原因とする誤動作の発生が抑制され、ラッチ回路の安定動作を実現できる。そして、このような安定動作が実現されるのにもかかわらず、本実施形態によれば、図4に示すようにラッチ回路等を構成するトランジスターのサイズ(ゲート幅、ゲート長)として、例えばデザインルール上の最少サイズを使用できる。しかも、図4のB1、B2、B6、B7等に示すようにトランスファーゲートのトランジスターとクロックドインバーター回路のトランジスターが、少ないレイアウト面積で効率的にレイアウト配置される。従って、画素回路のレイアウト面積を最小限に抑えることが可能になり、高画質化により画素領域の面積が小さくなった場合にも、これに対応できるようになる。
【0113】
3.サブフレーム駆動
次に本実施形態が適用される電気光学装置(電気光学パネル)の駆動手法の一例として、等間隔のサブフレーム駆動について説明する。
【0114】
サブフレーム駆動では、図11のA1に示すように、1フレームを例えば6つのサブフレームSF1〜SF6に分割する。このサブフレームSF1〜SF6は、それぞれ期間の長さが等しい等間隔のサブフレームである。
【0115】
各サブフレームでは、画素をオン電圧又はオフ電圧で駆動する。なお、図11では、オン電圧で駆動するサブフレームを網掛けで表す。例えば、オン電圧は、印加電圧に対する液晶の透過率特性において、透過率が最大になる印加電圧である。オフ電圧は、印加電圧に対する液晶の透過率特性において、透過率が最小になる印加電圧である。
【0116】
A1に示すように、サブフレームSF1においてオン電圧を印加し、サブフレームSF2〜SF6においてオフ電圧を印加したとする。この場合、A2に示すように、液晶の応答時間に対してサブフレームの長さが短いため、サブフレームSF1の期間内では透過率は最大にならず、透過率は徐々に上昇していく。そして、その後のサブフレームにおいて透過率は徐々に下降していく。このとき、画素値の階調は、A2に示す透過率曲線の積分値により決まり、積分値が大きいほど高階調に対応する。
【0117】
A3に示すように、オン電圧とオフ電圧の組み合わせパターン(以下では、サブフレームパターンと呼ぶ)を変更すると、A4に示すように、サブフレームパターンに応じて透過率曲線の形が変化する。そのため、所望の階調特性が得られるように、各階調に対するサブフレームパターンをあらかじめ設定しておくことで、画像の階調を表示することができる。なお本実施形態では、画素をオン電圧で駆動するサブフレームにおいてオフ電圧で駆動する期間を設け、透過率の応答特性の変化による階調特性の変化を抑制してもよい。
【0118】
図12にサブフレーム駆動を実現する電気光学装置の回路装置の構成例を示す。この回路装置は、波形信号供給回路40と第1〜第kの画素回路50−1〜50−k(kは自然数)を含む。なお、本実施形態の回路装置は図12の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加する等の種々の変形実施が可能である。
【0119】
画素回路50−1〜50−kは、駆動データ信号SDR1〜SDRkを出力して画素60−1〜60−kの画素電極を駆動する。より具体的には、画素回路50−1〜50−kは、それぞれラッチ部10−1〜10−k、セレクター20−1〜20−k、出力回路30−1〜30−kを含む。なお以下では、画素回路50−1を例にしてその構成、動作について説明するが、他の画素回路50−2〜50−kの構成、動作も同様である。
【0120】
ラッチ部10−1は、走査信号SG(XSG)、データ信号SDA、サブフレーム同期信号SF(XSF)を受けて、画素60−1に対応するデータ信号をラッチ(記憶、保持)する。
【0121】
セレクター20−1は、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、ラッチ部10−1に保持されたデータ信号を受けて、信号SLQ1を出力する。具体的には、セレクター20−1は、データ信号がオン論理レベルであるサブフレームにおいて、オン駆動用波形信号SONを信号SLQ1として出力する。一方、セレクター20−1は、データ信号がオフ論理レベルであるサブフレームにおいて、オフ駆動用波形信号SOFFを信号SLQ1として出力する。そして出力回路30−1は、セレクター20−1からの信号SLQ1をバッファリングした信号を、駆動データ信号SDR1として、対応する画素60−1に出力する。
【0122】
ここでデータ信号のオン論理レベルとは、画素のオン駆動状態に対応する第1の論理レベルであり、例えば論理レベル「1」である。また、データ信号のオフ論理レベルとは、画素のオフ駆動状態に対応する第2の論理レベルであり、例えば論理レベル「0」である。例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の液晶表示装置において、画素を光が透過可能な状態に駆動する駆動状態がオン駆動状態であり、画素を光が非透過な状態に駆動する駆動状態がオフ駆動状態である。図11等で上述したサブフレームパターンは、このオン論理レベルとオフ論理レベルの組み合わせによって表され、各階調データに対応してその組み合わせが設定される。
【0123】
波形信号供給回路40は、オン駆動用波形信号SONとオフ駆動用波形信号SOFFを出力する。例えば、図示しない温度センサーからの温度検出結果に基づいてこれらの波形信号を生成して出力する。また、波形信号供給回路40は、対向電極駆動信号VCOM(対向電極駆動電圧)を出力して、画素60−1〜60−kの対向電極を駆動する。
【0124】
波形信号供給回路40が出力するオン駆動用波形信号SON(オン駆動用波形電圧)は、データ信号のオン論理レベルに対応する駆動データ信号の電圧波形を規定する信号である。またオフ駆動用波形信号SOFF(オフ駆動用波形電圧)は、データ信号のオフ論理レベルに対応する駆動データ信号の電圧波形を規定する信号である。そして、この駆動データ信号の電圧波形と、対向電極駆動信号の電圧波形によって、画素60−1に印加される電圧波形が決まる。
【0125】
4.電気光学装置
図13に本実施形態の画素回路が用いられる電気光学装置の構成例を示す。この電気光学装置は、電気光学パネル400(狭義には液晶表示パネル)、走査信号出力回路410、データ信号出力回路420、表示コントローラー430、波形信号供給回路440を含み、いわゆる面順次のデジタル駆動を実現する。なお本実施形態の電気光学装置は図13の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
【0126】
電気光学パネル400は、表示画像を表示するための複数の画素と、その複数の画素を駆動する複数の画素回路を含む。この画素回路には、走査信号、データ信号、駆動用波形信号SON、SOFF、対向電極駆動信号VCOM、サブフレーム同期信号SFが入力される。1つの画素には例えば1つの画素回路が対応し、その画素と画素回路が、走査線(ゲート線)とデータ線に沿ってマトリックス状に配置される。例えば、走査信号SG1のラインとデータ信号SDA1のラインの交点には、画素PX11とPX11を駆動する画素回路CPX11が配置される。
【0127】
表示コントローラー430は、外部のホストコントローラー等からのデータ転送用クロック信号DCK、データ信号DATA、その他の制御信号を受けて、電気光学装置の各構成要素を制御し、電気光学装置の表示制御を行う。また、表示コントローラー430は、データ信号DATAに基づいて等間隔サブフレーム駆動用のデータ信号を生成する。すなわち、データ信号DATAの階調データを、オン論理レベルとオフ論理レベルの組み合わせであるサブフレームパターンに変換する。
【0128】
走査信号出力回路410は、電気光学パネル400に対して走査信号SG1〜SGm(mは自然数)を供給する。走査信号SG1〜SGm(ゲート信号)は、画素回路によりデータ信号SDA1〜SDAnが取り込まれる走査線(ゲート線)を選択(指示)するための信号である。走査信号出力回路410には、表示コントローラー430からの水平同期信号HSYNCやサブフレーム同期信号SF等が入力される。
【0129】
データ信号出力回路420は、電気光学パネル400に対してデータ信号SDA1〜SDAnを供給する。データ信号SDA1〜SDAnは、各データ線上の画素に対応する等間隔サブフレーム駆動用のデータ信号である。データ信号出力回路420には、表示コントローラー430からの水平同期信号HSYNCやサブフレーム同期信号SFやサブフレームパターンに変換されたデータ信号等が入力される。
【0130】
波形信号供給回路440は、電気光学パネル400に対して、オン駆動用波形信号SON、オフ駆動用波形信号SOFF、対向電極駆動信号VCOMを供給する。波形信号供給回路440には、図示しない温度センサーからの温度検出結果や、表示コントローラー430からの信号(サブフレーム同期信号、水平同期信号カウント値、サブフレーム同期信号カウント値等)が入力される。
【0131】
図13の電気光学装置は、例えばLCOS(広義には、液晶表示装置)により構成される。LCOSとは、シリコン基板(広義には、半導体基板)に画素回路や、配線層、反射電極(画素電極)、液晶層、対向電極が積層されて形成された液晶表示装置である。シリコン基板には、波形信号供給回路440等の周辺回路も集積される。LCOSは、反射型の液晶表示装置であり、透明な対向電極側から入射された光が液晶層を通過して反射電極により反射され、その反射光が再び液晶層を通過して出射される。表示画像は、その出射光がスクリーン等に投影されることで得られる。
【0132】
図14に本実施形態の動作を説明するための信号波形例を示す。図14には、サブフレーム同期信号SF、走査信号SG1〜SGm、データ信号SDAの信号波形例が示されている。
【0133】
図14のE1に示すように、走査信号SG1がHレベル(アクティブ)になると、図3のトランスファーゲートTG1がオンになり、クロックドインバーター回路CIV1がハイインピーダンス出力状態となり、データ信号SDAが第1のラッチ回路11に取り込まれる。そしてE2に示すように、走査信号SG1がLレベル(非アクティブ)になると、トランスファーゲートTG1がオフになり、クロックドインバーター回路CIV1が出力状態となり、取り込まれたデータ信号が第1のラッチ回路11にホールドされる。
【0134】
そして、1画面分の走査線が選択された後に、E3に示すようにサブフレーム同期信号SFがHレベル(アクティブ)になると、トランスファーゲートTG2がオンになり、クロックドインバーター回路CIV2がハイインピーダンス出力状態となり、第1のラッチ回路11にラッチされていたデータ信号が第2のラッチ回路12に転送されて取り込まれる。そしてE4に示すように、サブフレーム同期信号SFがLレベルになると、トランスファーゲートTG2がオフになり、クロックドインバーター回路CIV2が出力状態となり、取り込まれたデータ信号が第2のラッチ回路12にホールドされる。
【0135】
以上のように本実施形態をサブフレーム駆動に適用した場合には、図11に示すようにフレームが複数のサブフレームに分割される。そして複数のサブフレームの各サブフレームにおいて、図14に示すように電気光学装置の複数の走査線の各走査線が順次選択される。
【0136】
そして図3の画素回路のトランスファーゲートTG1と、クロックドインバーター回路CIV1のP型トランジスターTP3及びN型トランジスターTN3は、走査信号SGに基づいて、オン・オフ制御される。この走査信号SGは、複数の走査線のうちの画素回路に対応する走査線が選択される場合にアクティブ(Hレベル)になる信号である。
【0137】
一方、画素回路のトランスファーゲートTG2とクロックドインバーター回路CIV2のP型トランジスターTP6及びN型トランジスターTN6は、サブフレーム同期信号SFに基づいてオン・オフ制御される。このサブフレーム同期信号SFは、各サブフレームに同期してアクティブになる信号(サブフレームの開始に同期してアクティブになる信号)である。
【0138】
以上のようにすることで本実施形態の画素回路を有する電気光学装置にサブフレーム駆動を適用して、電気光学パネルを駆動できようになる。
【0139】
5.電子機器
図15に、本実施形態の電気光学装置が適用される電子機器の構成例を示す。この電子機器は、電気光学装置500、コントローラー510(ホストコントローラー)、処理部520、記憶部530、I/F部(外部インターフェース部)540を含む。なお、本実施形態の電子機器は図15の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0140】
この電子機器では、I/F部540を介して画像データや動画データが入力される。入力された画像データや動画データは記憶部530に記憶される。処理部520は、記憶部530からの画像データや動画データの処理を行う。例えば、処理部520は、階調補正処理や、画質を改善するための処理、データ形式を変換する処理等を行う。処理部520は、処理後のデータを電気光学装置500に出力し、電気光学装置500は、そのデータに基づいて上述の等間隔のサブフレーム駆動等により画像表示を行う。コントローラー510は、例えばMPUにより構成され、上記の処理の制御を行う。
【0141】
以上の構成によれば、液晶プロジェクター、プロジェクション方式のテレビジョン装置、3Dプロジェクター等の種々の電子機器を実現できる。
【0142】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語(バッファー回路、電気光学装置等)と共に記載された用語(クロックドインバーター回路、液晶表示装置等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また画素回路、電気光学装置、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0143】
TG1、TG2、TGS1、TGS2、TGQ トランスファーゲート、
CIV1、CIV2、CIVQ クロックドインバーター回路、
IV1、IV2 インバーター回路、RP 抵抗、DI1、DI2 ダイオード、
SDA、SDA1〜SDAn データ信号、SG、XSG、SG1〜SGm 走査信号、
SDR、SDR1〜SDRk 駆動データ信号、
SON オン駆動用波形信号、SOFF オフ駆動用波形信号、
SF、XSF サブフレーム同期信号、
ST XST テスト信号、SHZ、XSHZ ハイインピーダンス制御信号、
10、10−1〜10−k ラッチ部、
11 第1のラッチ回路、12 第2のラッチ回路、
20、20−1〜20−k セレクター、30、30−1〜30−k 出力回路、
40 波形信号供給回路、50−1〜50−k 画素回路、60−1〜60−k 画素、
410 走査信号出力回路、420 データ信号出力回路、
430 表示コントローラー、440 波形信号供給回路、
500 電気光学装置、510 コントローラー、520 処理部、
530 記憶部、540 I/F部(外部インターフェース部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学装置の画素を駆動する画素回路であって、
前記画素を駆動するためのデータ信号をラッチして記憶する第1のラッチ回路と、
前記第1のラッチ回路から転送される前記データ信号をラッチして記憶する第2のラッチ回路を含み、
前記第1のラッチ回路は、
前記データ信号の入力ノードと第1のノードとの間に設けられ、並列接続された第1のP型トランジスター及び第1のN型トランジスターにより構成される第1のトランスファーゲートと、
第2のノードを入力ノードとし、前記第1のノードを出力ノードとし、直列接続された第2のP型トランジスター、第3のP型トランジスター、第3のN型トランジスター及び第2のN型トランジスターにより構成される帰還用の第1のクロックドインバーター回路と、
前記第1のノードを入力ノードとし、前記第2のノードを出力ノードとし、直列接続された第4のP型トランジスター及び第4のN型トランジスターにより構成される第1のインバーター回路とを含み、
前記第2のラッチ回路は、
前記第2のノードと第3のノードとの間に設けられ、並列接続された第5のP型トランジスター及び第5のN型トランジスターにより構成される第2のトランスファーゲートと、
第4のノードを入力ノードとし、前記第3のノードを出力ノードとし、直列接続された第6のP型トランジスター、第7のP型トランジスター、第7のN型トランジスター及び第6のN型トランジスターにより構成される帰還用の第2のクロックドインバーター回路と、
前記第3のノードを入力ノードとし、前記第4のノードを出力ノードとし、直列接続された第8のP型トランジスター及び第8のN型トランジスターにより構成される第2のインバーター回路とを含むことを特徴とする画素回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のP型トランジスター及び前記第3のP型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のP型トランジスターが、第1の方向に沿って配置され、
前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のN型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2のP型トランジスターのドレインと前記第3のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のP型トランジスターのドレインと前記第1のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、
前記第2のN型トランジスターのドレインと前記第3のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のN型トランジスターのドレインと前記第1のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されることを特徴とする画素回路。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のP型トランジスター及び前記第7のP型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のP型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、
前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のN型トランジスター及び前記第7のN型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記第6のP型トランジスターのドレインと前記第7のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のP型トランジスターのドレインと前記第5のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、
前記第6のN型トランジスターのドレインと前記第7のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のN型トランジスターのドレインと前記第5のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されることを特徴とする画素回路。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記第2のP型トランジスター、前記第3のP型トランジスター、前記第1のP型トランジスター、前記第2のN型トランジスター、第3のN型トランジスター、前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第1のラインに沿って配置され、
前記第6のP型トランジスター、前記第7のP型トランジスター、前記第5のP型トランジスター、前記第6のN型トランジスター、第7のN型トランジスター、前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第2のラインに沿って配置され、
前記第1のインバーター回路を構成する前記第4のP型トランジスター及び前記第4のN型トランジスターが、前記第1のラインと前記第2のラインの間に配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づく駆動データ信号を、前記画素に出力する出力回路を含み、
前記出力回路は、
所与の信号が入力又は出力される信号ノードと前記出力回路の出力ノードとの間に設けられ、並列接続された第1の出力側P型トランジスター及び第1の出力側N型トランジスターにより構成される出力側トランスファーゲートと、
直列接続された第2の出力側P型トランジスター、第3の出力側P型トランジスター、第3の出力側N型トランジスター及び第2の出力側N型トランジスターにより構成され、前記出力回路の前記出力ノードに前記駆動データ信号を出力する出力側クロックドインバーター回路を含み、
前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側P型トランジスター及び前記第3の出力側P型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側P型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、
前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側N型トランジスター及び前記第3の出力側N型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側N型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項8】
請求項7において、
テスト時において、前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードに対してテスト信号が前記所与の信号として入力される、或いは前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードから前記画素の検査結果信号が前記所与の信号として出力されることを特徴とする画素回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
1フレームが複数のサブフレームに分割され、前記複数のサブフレームの各サブフレームにおいて、前記電気光学装置の複数の走査線の各走査線が順次選択される場合に、
前記第1のトランスファーゲートと、前記第1のクロックドインバーターの前記第3のP型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターは、
前記複数の走査線のうちの画素回路に対応する走査線が選択される場合にアクティブになる走査信号に基づいて、オン・オフ制御され、
前記第2のトランスファーゲートと、前記第2のクロックドインバーターの前記第6のP型トランジスター及び前記第6のN型トランジスターは、
前記各サブフレームに同期してアクティブになるサブフレーム同期信号に基づいて、オン・オフ制御されることを特徴とする画素回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づいて制御され、オン駆動用波形信号及びオフ駆動用波形信号のいずれかを選択して出力するセレクターを含み、
前記セレクターは、
前記オン駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第1のセレクター用トランスファーゲートと、
前記オフ駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの前記出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第2のセレクター用トランスファーゲートを含むことを特徴とする画素回路。
【請求項11】
複数の画素と、
各画素回路が請求項1乃至10のいずれかに記載の画素回路である複数の画素回路と、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記複数の画素回路のうちの第1の画素回路、第2の画素回路、第3の画素回路、第4の画素回路が、各々、前記複数の画素のうちの第1の画素、第2の画素、第3の画素、第4の画素を駆動し、
前記第1の画素回路と前記第2の画素回路が、第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、
前記第3の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、
前記第1の画素回路と前記第3の画素回路が、前記第1の線対称ラインに直交する第2の線対称ラインに対して線対称に配置され、
前記第2の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第2の線対称ラインに対して線対称に配置されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
電気光学装置の画素を駆動する画素回路であって、
前記画素を駆動するためのデータ信号をラッチして記憶する第1のラッチ回路と、
前記第1のラッチ回路から転送される前記データ信号をラッチして記憶する第2のラッチ回路を含み、
前記第1のラッチ回路は、
前記データ信号の入力ノードと第1のノードとの間に設けられ、並列接続された第1のP型トランジスター及び第1のN型トランジスターにより構成される第1のトランスファーゲートと、
第2のノードを入力ノードとし、前記第1のノードを出力ノードとし、直列接続された第2のP型トランジスター、第3のP型トランジスター、第3のN型トランジスター及び第2のN型トランジスターにより構成される帰還用の第1のクロックドインバーター回路と、
前記第1のノードを入力ノードとし、前記第2のノードを出力ノードとし、直列接続された第4のP型トランジスター及び第4のN型トランジスターにより構成される第1のインバーター回路とを含み、
前記第2のラッチ回路は、
前記第2のノードと第3のノードとの間に設けられ、並列接続された第5のP型トランジスター及び第5のN型トランジスターにより構成される第2のトランスファーゲートと、
第4のノードを入力ノードとし、前記第3のノードを出力ノードとし、直列接続された第6のP型トランジスター、第7のP型トランジスター、第7のN型トランジスター及び第6のN型トランジスターにより構成される帰還用の第2のクロックドインバーター回路と、
前記第3のノードを入力ノードとし、前記第4のノードを出力ノードとし、直列接続された第8のP型トランジスター及び第8のN型トランジスターにより構成される第2のインバーター回路とを含むことを特徴とする画素回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のP型トランジスター及び前記第3のP型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のP型トランジスターが、第1の方向に沿って配置され、
前記第1のクロックドインバーター回路を構成する前記第2のN型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターと、前記第1のトランスファーゲートを構成する前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2のP型トランジスターのドレインと前記第3のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のP型トランジスターのドレインと前記第1のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、
前記第2のN型トランジスターのドレインと前記第3のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第3のN型トランジスターのドレインと前記第1のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されることを特徴とする画素回路。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のP型トランジスター及び前記第7のP型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のP型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、
前記第2のクロックドインバーター回路を構成する前記第6のN型トランジスター及び前記第7のN型トランジスターと、前記第2のトランスファーゲートを構成する前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記第6のP型トランジスターのドレインと前記第7のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のP型トランジスターのドレインと前記第5のP型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、
前記第6のN型トランジスターのドレインと前記第7のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成され、前記第7のN型トランジスターのドレインと前記第5のN型トランジスターのソースが共通の不純物領域により形成されることを特徴とする画素回路。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記第2のP型トランジスター、前記第3のP型トランジスター、前記第1のP型トランジスター、前記第2のN型トランジスター、第3のN型トランジスター、前記第1のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第1のラインに沿って配置され、
前記第6のP型トランジスター、前記第7のP型トランジスター、前記第5のP型トランジスター、前記第6のN型トランジスター、第7のN型トランジスター、前記第5のN型トランジスターが、前記第1の方向に沿った第2のラインに沿って配置され、
前記第1のインバーター回路を構成する前記第4のP型トランジスター及び前記第4のN型トランジスターが、前記第1のラインと前記第2のラインの間に配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づく駆動データ信号を、前記画素に出力する出力回路を含み、
前記出力回路は、
所与の信号が入力又は出力される信号ノードと前記出力回路の出力ノードとの間に設けられ、並列接続された第1の出力側P型トランジスター及び第1の出力側N型トランジスターにより構成される出力側トランスファーゲートと、
直列接続された第2の出力側P型トランジスター、第3の出力側P型トランジスター、第3の出力側N型トランジスター及び第2の出力側N型トランジスターにより構成され、前記出力回路の前記出力ノードに前記駆動データ信号を出力する出力側クロックドインバーター回路を含み、
前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側P型トランジスター及び前記第3の出力側P型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側P型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置され、
前記出力側クロックドインバーター回路を構成する前記第2の出力側N型トランジスター及び前記第3の出力側N型トランジスターと、前記出力側トランスファーゲートを構成する前記第1の出力側N型トランジスターが、前記第1の方向に沿って配置されることを特徴とする画素回路。
【請求項8】
請求項7において、
テスト時において、前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードに対してテスト信号が前記所与の信号として入力される、或いは前記出力側トランスファーゲートの前記信号ノードから前記画素の検査結果信号が前記所与の信号として出力されることを特徴とする画素回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
1フレームが複数のサブフレームに分割され、前記複数のサブフレームの各サブフレームにおいて、前記電気光学装置の複数の走査線の各走査線が順次選択される場合に、
前記第1のトランスファーゲートと、前記第1のクロックドインバーターの前記第3のP型トランジスター及び前記第3のN型トランジスターは、
前記複数の走査線のうちの画素回路に対応する走査線が選択される場合にアクティブになる走査信号に基づいて、オン・オフ制御され、
前記第2のトランスファーゲートと、前記第2のクロックドインバーターの前記第6のP型トランジスター及び前記第6のN型トランジスターは、
前記各サブフレームに同期してアクティブになるサブフレーム同期信号に基づいて、オン・オフ制御されることを特徴とする画素回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記第2のラッチ回路からのラッチデータ信号に基づいて制御され、オン駆動用波形信号及びオフ駆動用波形信号のいずれかを選択して出力するセレクターを含み、
前記セレクターは、
前記オン駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第1のセレクター用トランスファーゲートと、
前記オフ駆動用波形信号の入力ノードと前記セレクターの前記出力ノードとの間に設けられ、前記ラッチデータ信号に基づいてオン・オフ制御される第2のセレクター用トランスファーゲートを含むことを特徴とする画素回路。
【請求項11】
複数の画素と、
各画素回路が請求項1乃至10のいずれかに記載の画素回路である複数の画素回路と、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記複数の画素回路のうちの第1の画素回路、第2の画素回路、第3の画素回路、第4の画素回路が、各々、前記複数の画素のうちの第1の画素、第2の画素、第3の画素、第4の画素を駆動し、
前記第1の画素回路と前記第2の画素回路が、第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、
前記第3の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第1の線対称ラインに対して線対称に配置され、
前記第1の画素回路と前記第3の画素回路が、前記第1の線対称ラインに直交する第2の線対称ラインに対して線対称に配置され、
前記第2の画素回路と前記第4の画素回路が、前記第2の線対称ラインに対して線対称に配置されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−98358(P2012−98358A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243907(P2010−243907)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]