説明

画質検査方法、画質検査装置及び画質検査プログラム

【課題】画質検査に要する画像を最小限に抑えて画質検査に要する処理負担を軽減する画質検査方法、画質検査装置及び画質検査プログラムを提供する。
【解決手段】画質検査装置1は、検査対象の画面の外枠を黒の破線模様40で形成された白色パターンWPと、黒の破線と同じ位置に白の破線模様40で形成された黒色パターンBPとを切替表示される検査対象の画面を連続撮像して取り込む取込部21を有する。更に、画質検査装置1は、取り込まれた複数の画面の内、外枠の破線上辺40Aと当該破線上辺に対向する破線下辺40Bとが一致した画面を抽出する抽出部22を有する。更に、画質検査装置1は、抽出した画面から白色パターンと黒色パターンとを選別する選別部23と、選別された白色パターン及び黒色パターンに基づき、当該検査対象の画面に対する画質検査を実行する検査部24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画質検査方法、画質検査装置及び画質検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のノンインターレース(プログレッシブ)表示方式のディスプレイの画質を検査する方法では、検査対象のディスプレイ上に検査パターンを表示し、検査パターンを画質検査装置と接続されるカメラで撮像する。そして、画質検査装置は、カメラで撮像した検査パターンの画面を用いて、様々な画質検査を実行する。
【0003】
検査対象のディスプレイが表示する検査パターンには、全面を白色表示した白色パターンと、全面を黒色表示した黒色パターンとの2種類がある。検査対象のディスプレイは、パターン発生器と接続され、パターン発生器の切替指示に応じて、白色パターン及び黒色パターンを所定周期毎に切替えて表示する。
【0004】
また、画質検査装置のカメラは、外光が遮断された暗所内に検査対象のディスプレイが収容されると、その暗所で、ディスプレイ上に画面表示する白色パターン及び黒色パターンの検査パターンを撮像する。そして、画質検査装置は、白色パターン及び黒色パターンを用いて、ディスプレイの画素単位で、例えば、部分異常表示、暗点(線)、輝点(線)、輝度、色ムラ等の各種の画質検査を実行する。
【0005】
また、画質検査装置が検査パターンを取得する方式としては、例えば、同期方式及び非同期方式の2種類がある。同期方式の場合、画質検査装置は、検査対象のディスプレイと接続するパターン発生器に切替を指示する。更に、パターン発生器は、画質検査装置からの切替指示に応じてディスプレイに検査パターンを画面表示させる。その結果、画質検査装置は、ディスプレイ上の画面の撮像周期と検査パターンの切替周期とが同一となるため、切替指示に応じて、2種類の検査パターンである白色パターン及び黒色パターンを取得できる。
【0006】
しかしながら、同期方式の場合、画質検査装置とパターン発生器との間に、無線アダプタや通信ケーブル等の通信手段を設ける必要があるため、その通信手段に要する設備コストが嵩む。しかも、一般的に、画質検査装置は、検査対象のディスプレイがベルトコンベア上を流れ、その流れ作業の中でディスプレイに対する画質検査を実行する。従って、例えば、ディスプレイと接続されるパターン発生器に対して、通信手段の接続及び取外しに要する作業負担は大である。
【0007】
これに対して、非同期方式は、画質検査装置がパターン発生器に対してディスプレイの切替表示の指示を与えるものではなく、ディスプレイ側の検査パターンの切替表示と、画質検査装置側のディスプレイの表示画面に対する撮像とが独立で行われる方式である。図13は、非同期方式の画質検査装置に関わる検査パターンの取得動作の一例を示す説明図である。
【0008】
図13において検査対象のディスプレイは、接続するパターン発生器を使用して一定の切替周期毎に、2種類の検査パターンである白色パターン及び黒色パターンを切替表示する。尚、白色パターンと黒色パターンとの切替途中には、白色パターン及び黒色パターンが混合する不要なパターンが生じる。また、画質検査装置のカメラは、ディスプレイの表示画面全面が撮像可能な撮像エリア内にディスプレイが存在した場合に、ディスプレイの表示画面を一定の撮像周期で連続撮像することになる。尚、カメラの撮像周期は、効率よく、2種類の検査パターンである白色パターン及び黒色パターンが撮像できるように、検査パターンの切替周期及びディスプレイのリフレッシュレートに基づき算出されるものである。図13の例では、例えば、パターン発生器によるディスプレイの検査パターンの切替表示周期を0.38秒とした場合、画質検査装置のカメラの撮像周期は0.33秒としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−152188号公報
【特許文献2】特開2009−212757号公報
【特許文献3】特開平5−172759号公報
【特許文献4】特開2002−250702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
画質検査装置では、図13に示すように、一定の撮像周期でディスプレイ上に画面表示した検査パターンを連続撮像する。そして、画質検査装置は、撮像周期で、白色パターン及び黒色パターンは勿論のこと、白色パターンと黒色パターンとの切替途中の不要な画面が撮像されることを考慮すると、少なくとも3枚の画面を撮像することになる。しかしながら、画質検査装置は、白色パターン及び黒色パターンの画面は勿論のこと、本来、不要な切替途中の画面についても画質検査処理を実行してしまう。
【0011】
その結果、画質検査装置は、不要な切替途中の画面についても画質検査処理を実行するため、白色パターン及び黒色パターンの2枚の画面に対して画質検査処理を実行する場合に比較して、その処理負担が約1.5倍となり、その検査時間も1.5倍長くなる。
【0012】
一つの側面では、画質検査に必要な画面を最小限に抑えて画質検査に要する処理負担を軽減する画質検査方法、画質検査装置及び画質検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの方法では、画質検査装置に、検査対象の画面の外枠を黒破線で形成された白画面と前記黒破線と同じ位置に白破線で形成された黒画面とを交互に連続して表示される検査対象の画面を連続撮像して取り込む。更に、態様では、取り込まれた複数の画面の内、前記破線で形成する前記外枠の一辺の破線と当該一辺に対向する対向辺の破線とが一致した画面を抽出する。更に、態様では、抽出した画面から前記白画面と前記黒画面とを選別し、これら選別された前記白画面及び前記黒画面に基づき、当該検査対象の画面に対する検査を実行する、各処理を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
開示の方法では、取り込まれた複数の画面の内、外枠の一辺の破線と対向辺の破線とが一致した画面を抽出し、これら抽出された画面から白画面及び黒画面を選別し、これら選別された白画面及び黒画面に基づき、検査対象の画面に対する検査を実行する。その結果、画質検査に必要な画面を最小限に抑えて画質検査に要する処理負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施例の画質検査装置の一例を示す説明図である。
【図2】図2は、画質検査装置の検査対象のディスプレイの撮像状況の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、画質検査装置で撮像した検査パターンの一例を示す説明図である。
【図4】図4は、画質検査装置の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、画質検査装置が破線上辺を抽出する際の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、画質検査装置が破線下辺を抽出する際の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、画質検査装置が検査パターンを選別する際の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、検査処理に関わる画質検査装置の制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、画面抽出処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、破線抽出処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、破線抽出処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、画質検査プログラムを実行するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【図13】図13は、非同期方式の画質検査装置に関わる検査パターンの取得動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本願の開示する画質検査方法、画質検査装置及び画質検査プログラムの実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本実施例の画質検査装置の一例を示す説明図、図2は、画質検査装置の検査対象のディスプレイの撮像状況の一例を示す説明図である。図1に示す画質検査装置1は、製造ラインの検査工程に設置され、非同期方式が採用され、例えば、ベルトコンベア2で搬送されるノートパソコン等の検査対象のディスプレイ3の表示画面を連続撮像する。更に、画質検査装置1は、撮像された画面で画質検査を実行する。
【0018】
画質検査装置1は、撮像部11Aと、制御部14とを有する。撮像部11Aは、検査対象のディスプレイ3の画面の全領域が撮像可能な撮像エリアQ内に存在する検査対象のディスプレイ3の画面を連続撮像する。尚、画質検査装置1は、ベルトコンベア2に隣接して配置された撮像センサ4を用いて、検査対象のディスプレイ3の表示画面の全領域が撮像可能な撮像エリアQ内にディスプレイ3が存在することを認識する。撮像エリアQは、暗所内に配置される。撮像部11Aは、検査対象のディスプレイ3が撮像エリアQ内に存在する時間や、撮像部11Aの撮像速度や撮像周期に依存するが、少なくとも2枚以上の画面を連続的に撮像する。尚、撮像エリアQは、例えば、490mm×325mmとする。また、ディスプレイ3の表示画面の1画素は、例えば、0.094mmとする。また、説明の便宜上、ディスプレイ3は、例えば、15.6インチのLCD(Liquid Crystal Display)とする。
【0019】
検査対象のディスプレイ3は、図示せぬパターン発生器と接続され、このパターン発生器を用いて白色パターン及び黒色パターンの2種類の検査パターンを一定周期で切替表示する。尚、画質検査装置1は、例えば、検査対象のディスプレイ3と接続するパターン発生器とは非同期である。図3は、画質検査装置1で撮像した検査パターンの一例を示す説明図である。図3に示す撮像画面は、撮像エリアQ内の暗所でディスプレイ3の表示画面を撮像したものである。撮像画面は、表示画面の背景が黒色の画面となる。従って、ディスプレイ3に画面表示した検査パターンPには、その背景Rと検査パターンPとの境界を識別するため、その最外周枠に所定間隔の破線模様40が描画されている。例えば、検査パターンPが白色パターンWPの場合は、図3の(A)に示すように白地ベースに所定間隔の黒色の破線模様40が描画される。また、黒色パターンBPの場合は、図3の(B)に示すように黒地ベースに同一の所定間隔の白色の破線模様40が描画される。尚、破線模様40は、四角枠とし、その上辺を破線上辺40Aとし、その下辺を破線下辺40Bとする。また、白色パターンWPは、例えば、ディスプレイ3のRGBの設定値で定義した場合、「R」、「G」及び「B」はそれぞれ最大の「255」である。これに対して、黒色パターンBPは、「R」、「G」及び「B」はそれぞれ最小の「0」である。
【0020】
また、ベルトコンベア2が、例えば、14mm/秒の一定の速度で検査対象のディスプレイ3を搬送する。ディスプレイ3のパターン発生器によるディスプレイ3の検査パターンPの切替表示周期を0.38秒とし、画質検査装置1の撮像部11Aの撮像周期を0.33秒とする。
【0021】
図4は、画質検査装置1の一例を示すブロック図である。図4に示す画質検査装置1は、入力部11と、表示部12と、記憶部13と、制御部14とを有する。入力部11は、前述した撮像部11Aの他に、キーボード11Bと、マウス11Cとを有する。キーボード11B及びマウス11Cは、各種指令等の入力を受け付けるものである。表示部12は、各種情報を画面表示するものである。
【0022】
記憶部13は、各種情報を記憶するものである。記憶部13は、パラメータ格納領域13Aと、輝度格納領域13Bと、白色画素格納領域13Cと、破線候補格納領域13Dと、破線格納領域13Eとを有する。パラメータ格納領域13Aは、例えば、検査対象のディスプレイ3の幅寸法、縦寸法や画素数と、撮像部11Aの画素分解能(mm/画素)と、画面上の破線模様40の所定間隔等の各種パラメータを格納する。尚、パラメータ格納領域13Aには、1種類のディスプレイ3だけでなく、複数種のディスプレイ3のパラメータを格納しても良い。
【0023】
輝度格納領域13Bは、撮像画面毎に、後述する各画素の輝度値を格納するものである。白色画素格納領域13Cは、撮像画面上で抽出した、後述する白色画素の画素座標を格納するものである。破線候補格納領域13Dは、撮像画面上で抽出した、後述する破線候補の白色画素の画素座標を格納するものである。破線格納領域13Eは、撮像画面上で抽出した、後述する破線上辺40A及び破線下辺40Bの白色画素の画素座標を格納するものである。
【0024】
制御部14は、画面処理部20と、演算部30とを有する。画面処理部20は、撮像部11Aによって撮像された検査対象のディスプレイ3の画面に各種処理を施すものである。画面処理部20は、取込部21と、抽出部22と、選別部23と、検査部24とを有する。取込部21は、撮像部11Aによって連続的に撮像された検査対象の撮像画面を取り込む。抽出部22は、取込部21によって取り込まれた撮像画面から破線模様40を抽出する破線抽出部22Aを有する。抽出部22は、取込部21で取り込まれた撮像画面をグレイスケールに変換し、各画素の輝度値(0〜255)を記憶部13内の輝度格納領域13Bに格納する。更に、抽出部22は、撮像画面内の各画素の輝度値に二値化処理を施し、二値化した各画素の内、白色の画素を抽出する。そして、抽出部22は、二値化した各画素の内、白色の画素を抽出すると、白色画素の画素座標を白色画素格納領域13Cに格納する。
【0025】
図5は、画質検査装置1が破線上辺40Aを抽出する際の一例を示す説明図である。撮像画面の縦軸をY、横軸をXとする。そして、破線模様40は、例えば、同一Y座標上を連続するX座標上の白色画素5個及び黒色画素5個の所定間隔の1ペアの破線が構成され、これら複数のペアで構成される。破線抽出部22Aは、取り込まれた撮像画面内の画素から白色の画素を順次抽出する。例えば、破線抽出部22Aは、図5の(A)及び(B)に示すように、原点座標(X=0,Y=0)を対象画素41の開始座標に設定し、設定された対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する。
【0026】
破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない、例えば、黒色画素41Bの場合、その対象画素41のY座標を+1インクリメントし、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する。更に、破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない場合、その対象画素41のY座標を+1インクリメントする。つまり、破線抽出部22Aは、白色画素41Aが抽出されるまで継続して対象画素41のY座標を+1インクリメントする。そして、破線抽出部22Aは、図5の(B)に示すように、対象画素41が白色画素41Aの場合、当該白色画素41Aを破線上辺40A候補の白色画素41Cとして、その画素座標を記憶部13の破線候補格納領域13Dに格納する。
【0027】
また、破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最大座標Mに到達した場合、対象画素41のX座標を+1インクリメントし、Y座標を“0”に設定して、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する。そして、破線抽出部22Aは、白色画素41Aが抽出されるまで、対象画素41のY座標を+1インクリメントし、Y座標が最大座標Mに到達した場合、X座標を+1インクリメントするといった一連の動作を繰り返す。
【0028】
破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標に対して、破線模様40の少なくとも1ペア分の白色画素を得るまでX座標の+1インクリメントを継続する。破線抽出部22Aは、同一Y座標上のX座標上で連続する5個の黒色画素41B及び5個の白色画素41Aを経て次のペアの白色画素41Aを得る設定最大座標までX座標のインクリメントを継続する。つまり、破線抽出部22Aは、少なくとも1ペア分の5個の白色画素+1個の白色画素の破線候補が認識できる、X座標の設定最大座標までのインクリメントを継続する。尚、破線抽出部22Aは、撮像画面が白色パターンの場合、破線模様40が5個の黒色画素41B+5個の白色画素41Aのペアを経て次のペアの白色画素41Aを得るまでX座標のインクリメントを実行する。また、破線抽出部22Aは、撮像画面が黒色パターンの場合、破線模様40が5個の白色画素41A+5個の黒色画素41Bのペアを経て次のペアの白色画素41Aを得るまでX座標のインクリメントを実行する。
【0029】
破線抽出部22Aは、図5の(C)に示すように、記憶部13の破線候補格納領域13Dに格納された破線上辺40Aの白色画素41Cの画素座標の内、そのY座標が原点座標に最も近接する白色画素42を抽出する。そして、破線抽出部22Aは、これら抽出された白色画素42で破線上辺40Aを特定する。そして、破線抽出部22Aは、破線上辺40Aを特定すると、その破線上辺40Aの白色画素42を含む1ペア分の画素座標を破線格納領域13Eに格納する。
【0030】
図6は、画質検査装置1が破線下辺40Bを抽出する際の一例を示す説明図である。破線抽出部22Aは、図6の(A)に示すように、所定座標(X=0、Y=M)を対象画素41の開始座標に設定し、設定された対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する。破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない場合、その対象画素41のY座標を−1デクリメントし、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する。更に、破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない場合、その対象画素41のY座標を−1デクリメントする。つまり、破線抽出部22Aは、白色画素41Aが抽出されるまで継続して対象画素41のY座標を−1デクリメントする。そして、破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aの場合、当該白色画素41Aを破線下辺40B候補の白色画素41Cとして、その画素座標を破線候補格納領域13Dに格納する。
【0031】
また、破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最小座標0に到達した場合、対象画素41のX座標を+1インクリメント、Y座標を最大座標Mに設定して、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する。そして、破線抽出部22Aは、白色画素41Aが抽出されるまで、対象画素41のY座標を−1デクリメント、Y座標が最大座標Mに到達した場合、X座標を+1インクリメントといった一連の動作を繰り返す。
【0032】
破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標は破線模様40の少なくとも1ペア分の5個の白色画素+次のペアの1個の白色画素を得るまでX座標の+1インクリメントを継続する。破線抽出部22Aは、同一Y座標上のX座標上で連続する5個の黒色画素41B及び5個の白色画素41Aを経て次のペアの白色画素41Aを得る設定最大座標までX座標のインクリメントを継続する。つまり、破線抽出部22Aは、少なくとも1ペア+1個の白色画素の破線候補が認識されるまで、X座標の設定最大座標までのインクリメントを継続する。尚、破線抽出部22Aは、撮像画面が白色パターンの場合、破線模様40が5個の黒色画素41B+5個の白色画素41Aを経て次のペアの白色画素41Aを得るまでX座標のインクリメントを実行する。また、破線抽出部22Aは、撮像画面が黒色パターンの場合、破線模様40が5個の白色画素41A+黒色画素41Bを経て次のペアの白色画素41Aを得るまでX座標のインクリメントを実行する。
【0033】
破線抽出部22Aは、図6の(B)に示すように、破線候補格納領域13Dに格納された破線下辺40Bの白色画素41Cの画素座標の内、そのY座標が原点座標に最も遠い白色画素42を抽出し、これら抽出された白色画素42で破線下辺40Bを特定する。そして、破線抽出部22Aは、破線下辺40Bが特定されると、その破線下辺40Bの白色画素42を含む1ペア分の画素座標を破線格納領域13Eに格納する。
【0034】
選別部23は、抽出部22によって抽出された破線模様40を用いて、複数の撮像画面から検査パターンPを選別する。図7は、画質検査装置1が検査パターンPを選別する際の一例を示す説明図である。選別部23は、破線抽出部22Aにて特定された破線上辺40A及び破線下辺40Bの同一X座標同士の画素が一致するか否かを判定する。選別部23は、同一X座標同士の画素が全て一致した場合、図7の(A)に示すように、この撮像画面が検査対象の検査パターンPと判定する。尚、選別部23は、破線上辺40Aの(Xun,Yun)の画素と、破線下辺40Bの(Xun,Ydn)の画素とを比較して一致するか否かを判定する。更に、選別部23は、破線上辺40Aの(Xun+1,Yun)の画素と、破線下辺40Bの(Xun+1,Ydn)の画素とを比較して一致するか否かを判定する。そして、選別部23は、破線上辺40Aの1ペア分の白色画素41A及び破線下辺40Bの1ペア分の白色画素41Aの内、同一X座標の画素が全て一致した場合、この撮像画面が検査対象の検査パターンPと判定する。尚、選別部23は、破線上辺40Aの1ペア分の画素及び破線下辺40Bの1ペア分の画素の内、同一X座標の画素同士を比較して判定しても良い。
【0035】
また、選別部23は、破線上辺40A及び破線下辺40Bの同一X座標同士の画素が全て一致しなかった場合、図7の(B)に示すように、切替途中や障害パターン等の検査対象の検査パターンPでないと判定する。更に、選別部23は、複数の撮像画面の内、検査パターンPが選別されると、これら選別された検査パターンP内の中央範囲の画素が白色であるか否かを判定する。選別部23は、検査パターンP内の中央範囲の画素が白色の場合、検査パターンPを白色パターンWPと選別する。更に、選別部23は、検査パターンP内の中央範囲の画素が白色でない場合、検査パターンPを黒色パターンBPと選別する。
【0036】
検査部24は、選別部23によって選別された白色パターンWP及び黒色パターンBPを用いて、検査対象のディスプレイ3の画質検査を実行する。検査部24は、白色パターンWPを使用して、例えば、部分的な表示の異常を示す部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常や左右の歪みの検査を実行する。また、検査部24は、黒色パターンBPを使用して、輝点(輝線)の異常の検査を実行する。また、検査部24は、白色パターンWPの破線模様40の黒部分につき、黒色パターンBPの破線模様40の白部分を使用して部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常の検査を実行する。また、検査部24は、黒色パターンBPの破線模様40の黒部分につき、白色パターンWPの破線模様40の白部分を使用して部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常の検査を実行する。
【0037】
次に本実施例の画質検査装置1の動作について説明する。図8は、検査処理に関わる画質検査装置1の制御部14の処理動作の一例を示すフローチャートである。図8に示す検査処理は、撮像エリアQ内で検査対象のディスプレイ3の画面を連続撮像し、撮像した画面から2種類の検査パターンPを選別し、選別された2種類の検査パターンPを用いて検査対象のディスプレイ3の画質検査を実行する処理である。
【0038】
図8において制御部14は、検査対象のディスプレイ3が撮像エリアQ内にあるか否かを判定する(ステップS11)。制御部14は、検査対象のディスプレイ3が撮像エリアQ内にある場合(ステップS11肯定)、撮像部11Aを使用して検査対象のディスプレイ3の画面を連続撮像する(ステップS12)。尚、撮像部11Aは、撮像エリアQ内に存在する検査対象のディスプレイ3の画面を所定枚数連続的に撮像する。
【0039】
制御部14の抽出部22は、検査対象の画面を連続撮像すると、後述の図9に示す画面抽出処理を実行する(ステップS13)。制御部14の選別部23は、画面抽出処理を実行した後、白色パターンWP及び黒色パターンBPの2種類の検査パターンPを取得したか否かを判定する(ステップS14)。制御部14の検査部24は、2種類の検査パターンPを取得した場合(ステップS14肯定)、白色パターンWP及び黒色パターンBPを用いて当該ディスプレイ3の画面を検査する画質検査処理を実行し(ステップS15)、図8に示す処理動作を終了する。
【0040】
制御部14は、検査対象のディスプレイ3が撮像エリアQ内にない場合(ステップS11否定)、図8に示す処理動作を終了する。抽出部22は、2種類の検査パターンを取得しなかった場合(ステップS14否定)、撮像された検査対象のディスプレイ3の複数の撮像画面の内、画面抽出処理が未処理の撮像画面があるか否かを判定する(ステップS16)。抽出部22は、画面抽出処理が未処理の撮像画面がある場合(ステップS16肯定)、未処理の撮像画面に対する画面抽出処理を実行すべく、ステップS13に移行する。
【0041】
また、制御部14は、画面抽出処理が未処理の撮像画面がない場合(ステップS16否定)、当該検査対象のディスプレイ3の画質検査が不可である旨の画質検査不可を報知し(ステップS17)、図8に示す処理動作を終了する。尚、制御部14は、例えば表示部12に画質検査不可の報知内容を画面表示する。その結果、画質検査装置1の管理者は、その報知内容を見て、検査対象のディスプレイ3の画質検査不可を認識できる。
【0042】
図8において画質検査装置1は、撮像エリアQ内の検査対象のディスプレイ3の画面を連続撮像し、これら連続した複数の撮像画面の内、白色パターンWP及び黒色パターンBPの2種類の検査対象となる検査パターンPを取得する。そして、画質検査装置1は、取得された2種類の検査対象となる検査パターンPを用いて、検査対象のディスプレイ3の画面の画質検査を実行する。
【0043】
また、画質検査装置1は、複数の撮像画面の内、2枚の撮像画面で白色パターンWP及び黒色パターンBPを取得できた場合、3枚目以降の未処理の撮像画面に対する検査パターンPの取得を停止する。その結果、画質検査装置1は、画質検査に要する必要最小限である2枚の撮像画面に対する処理で済むため、その検査に要する処理負担を軽減し、その検査に要する時間を短縮化できる。
【0044】
また、画質検査装置1は、複数の撮像画面の内、2種類の検査パターンPを取得できない場合、画質検査不可を報知するため、管理者は、検査対象のディスプレイ3の画質検査不可を認識できる。
【0045】
図9は、画面抽出処理に関わる制御部14の処理動作の一例を示すフローチャートである。図9に示す画面抽出処理は、複数の撮像画面から検査対象となる検査パターンPの撮像画面を抽出する処理である。図9に示す制御部14の抽出部22は、取込部21で取り込まれた検査対象の撮像画面をグレイスケール(8ビット:0〜255)に変換する(ステップS21)。抽出部22は、撮像画面をグレイスケールに変換した後、撮像画面上の各画素の輝度値を記憶部13内の輝度格納領域13Bに格納する(ステップS22)。抽出部22は、撮像画面内の各画素の輝度値を二値化する(ステップS23)。
【0046】
抽出部22は、撮像画面内の各画素の輝度値を二値化した後、二値化した各画素の内、白色の画素を抽出する(ステップS24)。抽出部22は、抽出した白色の画素の座標を記憶部13の白色画素格納領域13Cに格納する(ステップS25)。尚、白色画素格納領域13Cには、白色画素の座標(画素座標)を格納するものである。
【0047】
抽出部22は、白色画素41Aの画素座標を白色画素格納領域13Cに格納した後、白色画素41Aの座標に基づき、破線模様40を抽出する破線抽出処理を実行する(ステップS26)。尚、破線抽出処理は、図10及び図11を参照して後述する。抽出部22は、破線抽出処理を実行した後、撮像画面内から破線上辺40A及び破線下辺40Bを抽出したか否かを判定する(ステップS27)。
【0048】
制御部14の選別部23は、撮像画面から破線上辺40A及び破線下辺40Bを抽出した場合(ステップS27肯定)、破線上辺40A及び破線下辺40Bの画素の内、同一X座標同士の画素が全て一致したか否かを判定する(ステップS28)。選別部23は、破線上辺40A及び破線下辺40Bの画素の内、同一X座標同士の画素が全て一致した場合(ステップS28肯定)、検査対象となる検査パターンPと判定する。選別部23は、検査対象となる検査パターンPと判定すると、撮像画面の中央範囲の画素41が白色であるか否かを判定する(ステップS29)。
【0049】
選別部23は、撮像画面の中央範囲の画素41が白色である場合(ステップS29肯定)、当該撮像画面の検査パターンPを白色パターンWPと判定し(ステップS30)、図9に示す処理動作を終了する。選別部23は、撮像画面の中央範囲の画素41が白色でない場合(ステップS29否定)、当該撮像画面の検査パターンPを黒色パターンBPと判定し(ステップS31)、図9に示す処理動作を終了する。
【0050】
また、抽出部22は、破線上辺40A及び破線下辺40Bを抽出しなかった場合(ステップS27否定)、未処理の画面があるか否かを判定すべく、図8に示すM1のステップS16に移行する。また、選別部23は、破線上辺40A及び破線下辺40Bの画素の内、同一X座標同士の画素が全て一致しなかった場合(ステップS28否定)、図8に示すM1に移行する。
【0051】
図9において画質検査装置1は、撮像画面の白色画素41Aで破線上辺40A及び破線下辺40Bを抽出し、破線上辺40A及び破線下辺40Bの画素の内、同一X座標同士の画素が全て一致した場合、撮像画面が検査対象となる検査パターンPと判定する。その結果、画質検査装置1は、複数の撮像画面から検査対象となる検査パターンPを取得できる。
【0052】
更に、画質検査装置1は、検査パターンPの中央範囲が白色の場合、検査パターンPが白色パターンWPと判定する。その結果、画質検査装置1は、検査対象となる検査パターンPから白色パターンWPを選別できる。
【0053】
更に、画質検査装置1は、検査パターンPの中央範囲が白色でない場合、検査パターンPが黒色パターンBPと判定する。その結果、画質検査装置1は、検査対象となる検査パターンPから黒色パターンBPを選別できる。
【0054】
画質検査装置1は、抽出された破線上辺40A及び破線下辺40Bの画素の内、同一X座標同士の画素が全て一致しなかった場合、撮像画面が検査に不要な画面(障害画面や切替途中の画面)と判定する。その結果、画質検査装置1は、複数の撮像画面から検査に不要な画面を識別できる。
【0055】
図10及び図11は、破線抽出処理に関わる制御部14の処理動作の一例を示すフローチャートである。破線抽出処理は、撮像画面内の破線上辺40A及び破線下辺40Bを特定する処理である。図10において制御部14の破線抽出部22Aは、撮像画面内の検査対象の画素、すなわち原点座標(X0,Y0)を対象画素41の開始座標に設定し(ステップS41)、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する(ステップS42)。破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない場合(ステップS42否定)、対象画素41のY座標を+1インクリメントし(ステップS43)、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する(ステップS44)。
【0056】
破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない場合(ステップS44否定)、対象画素41のY座標が最大座標Mであるか否かを判定する(ステップS45)。破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最大座標Mでない場合(ステップS45否定)、対象画素41のY座標を+1インクリメントすべく、ステップS43に移行する。破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最大座標Mの場合(ステップS45肯定)、対象画素41のX座標を+1インクリメントする(ステップS46)。更に、破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標を最小座標(Y=0)に設定し(ステップS47)、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定すべく、ステップS42に移行する。
【0057】
破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aの場合(ステップS42肯定)、当該白色画素41Aを破線上辺40A候補の白色画素41Cとして、その画素座標を破線候補格納領域13Dに格納する(ステップS48)。破線抽出部22Aは、白色画素41Cの画素座標を破線候補格納領域13Dに格納すると、対象画素41のX座標が設定最大座標であるか否かを判定する(ステップS49)。尚、設定最大座標は、パラメータ格納領域13Aで格納された検査対象のディスプレイ3の寸法や破線模様40の設定内容(1ペアを構成する白色画素及び黒色画素の個数及び配列画素順序)に基づいて設定されるものである。設定最大座標は、少なくとも1ペア分の白色画素及び黒色画素、次のペアの白色画素が抽出される予定のX座標の幅である。破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標が設定最大座標でない場合(ステップS49否定)、対象画素41のX座標を+1インクリメントすべく、ステップS46に移行する。また、破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aの場合(ステップS44肯定)、破線上辺40A候補の画面座標を格納すべく、ステップS48に移行する。
【0058】
また、破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標が設定最大座標である場合(ステップS49肯定)、破線上辺40A候補の白色画素41Cの画素座標の内、Y座標が原点座標(Y=0)に最も近い画素座標を収集する(ステップS50)。破線抽出部22Aは、Y座標が原点座標に最も近い破線上辺40A候補の白色画素41Cの画素座標を収集すると、収集された破線上辺40A候補の白色画素42の画素座標で破線上辺40Aを特定し(ステップS51)、図11に示すM2に移行する。
【0059】
また、破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最大座標Mでない場合(ステップS45否定)、対象画素41のY座標を+1インクリメントすべく、ステップS43に移行する。また、破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標が設定最大座標でない場合(ステップS49否定)、対象画素41のX座標を+1インクリメントすべく、ステップS46に移行する。
【0060】
また、図11に示すM2において破線抽出部22Aは、撮像画面内の所定座標(X=0,Y=M)を対象画素41の開始座標に設定し(ステップS61)、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する(ステップS62)。破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない場合(ステップS62否定)、対象画素41のY座標を−1デクリメントし(ステップS63)、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定する(ステップS64)。
【0061】
破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aでない場合(ステップS64否定)、対象画素41のY座標が最小座標(Y=0)であるか否かを判定する(ステップS65)。破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最小座標でない場合(ステップS65否定)、対象画素41のY座標を−1デクリメントすべく、ステップS63に移行する。破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最小座標(Y=0)の場合(ステップS65肯定)、対象画素41のX座標を+1インクリメントする(ステップS66)。破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標を+1インクリメントした後、対象画素41のY座標を最大座標Mに設定し(ステップS67)、対象画素41が白色画素41Aであるか否かを判定すべく、ステップS62に移行する。
【0062】
破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aの場合(ステップS62肯定)、当該白色画素41Aを破線下辺40B候補の白色画素41Cとして、その画素座標を破線候補格納領域13Dに格納する(ステップS68)。破線抽出部22Aは、白色画素41Cの画素座標を破線候補格納領域13Dに格納すると、対象画素41のX座標が設定最大座標であるか否かを判定する(ステップS69)。破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標が設定最大座標でない場合(ステップS69否定)、対象画素41のX座標を+1インクリメントすべく、ステップS66に移行する。
【0063】
また、破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標が設定最大座標である場合(ステップS69肯定)、破線下辺40B候補の白色画素41Cの画素座標の内、Y座標が原点座標(Y=0)に最も遠い画素座標を収集する(ステップS70)。破線抽出部22Aは、Y座標が原点座標から最も遠い破線下辺40B候補の白色画素41Cの画素座標を収集すると、収集された破線下辺40B候補の白色画素42の画素座標で破線下辺40Bを特定し(ステップS71)、図11に示す処理動作を終了する。
【0064】
また、破線抽出部22Aは、対象画素41のY座標が最小座標(Y=0)でない場合(ステップS65否定)、対象画素41のY座標を−1デクリメントすべく、ステップS63に移行する。また、破線抽出部22Aは、対象画素41のX座標が設定最大座標でない場合(ステップS69否定)、対象画素41のX座標を+1インクリメントすべく、ステップS66に移行する。また、破線抽出部22Aは、対象画素41が白色画素41Aの場合(ステップS64肯定)、破線下辺40B候補の画面座標を格納すべく、ステップS68に移行する。
【0065】
画質検査装置1は、撮像画面内の各画素41の白色画素41Aを順次探索して破線上辺40A候補の白色画素41Cの画素座標を破線候補格納領域13Dに格納すると共に、破線下辺40B候補の白色画素41Cの画素座標を破線候補格納領域13Dに格納する。更に、画質検査装置1は、破線候補格納領域13Dの破線上辺40A候補の白色画素41CのY座標が原点座標(0,0)から最も近い画素座標の白色画素42で破線上辺40Aを特定する。更に、画質検査装置1は、破線候補格納領域13Dの破線下辺40B候補の白色画素41CのY座標が原点座標(0,0)から最も遠い画素座標の白色画素42で破線下辺40Bを特定する。その結果、画質検査装置1は、撮像画面上で破線上辺40A及び破線下辺40Bを特定できる。
【0066】
上記実施例では、画質検査装置1が、取り込まれた複数の撮像画面から、外枠の破線上辺40Aと破線下辺40Bとが一致した検査パターンPの撮像画面を抽出し、これら抽出された撮像画面から白色パターンWP及び黒色パターンBPを選別する。更に、画質検査装置1は、これら選別された白色パターンWP及び黒色パターンBPを用いて、検査対象のディスプレイ3の画面に対する画質検査を実行する。その結果、画質検査装置1は、画質検査に要する撮像画面を最小限に抑えて画質検査に要する処理負担を軽減できる。例えば、3枚の撮像画面を読み込んだとしても、画質検査に必要な白色パターンWP及び黒色パターンBPの2枚の撮像画面を選別し、2枚の検査パターンPに対してのみ、画質検査を実行するため、従来の非同期方式に比較して処理負担を約2/3に軽減できる。しかも、従来の非同期方式に比較して処理負担を約2/3に軽減することで、その画質検査に要する時間を約2/3に短縮化できる。
【0067】
上記実施例の画質検査装置1は、選別された白色パターンWP及び黒色パターンBPを用いて、検査対象のディスプレイ3の画質検査を実行する。画質検査装置1は、白色パターンWPを使用して、例えば、部分的な表示の異常を示す部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常や左右の歪みの検査を実行する。また、画質検査装置1は、黒色パターンBPを使用して、輝点(輝線)の異常の検査を実行する。更に、画質検査装置1は、白色パターンWPの破線模様40の黒部分につき、黒色パターンBPの破線模様40の白部分を使用して部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常の検査を実行する。その結果、画質検査装置1は、白色パターンWPの破線模様40の黒部分に関わる、部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常の画質検査を実行できる。
【0068】
また、画質検査装置1は、黒色パターンBPの破線模様40の黒部分につき、白色パターンWPの破線模様40の白部分を使用して部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常の検査を実行する。その結果、画質検査装置1は、黒色パターンBPの破線の黒部分に関わる、部分表示異常、暗点(暗線)の異常、輝度の異常、色ムラの異常の画質検査を実行できる。
【0069】
尚、上記実施例では、画質検査装置1と、検査対象のディスプレイ3と外部接続するパターン発生器とが非同期の非同期方式を例に挙げて説明したが、同期方式にも適用可能である。
【0070】
また、上記実施例では、破線抽出部22Aにて撮像画面の各画素の内、原点座標(0,0)や所定座標(0,M)を開始座標に設定し、白色画素41Aを探索して破線上辺40A及び破線下辺40Bを特定した。しかし、パラメータ格納領域13Aに格納されたディスプレイ3の寸法や破線模様40の白色及び黒色の破線ピッチに基づき、撮像画面の破線上辺40A及び破線下辺40Bを含む画素領域を特定できるため、特定された画素領域内で白色画素を順次探索しても良い。この場合、破線上辺40A及び破線下辺40Bを特定する白色画素41Aの抽出に要する時間を短縮化できる。
【0071】
また、上記実施例では、破線抽出部22Aにて破線上辺40Aを特定した後、破線下辺40Bを特定したが、破線下辺40Bから特定しても良い。
【0072】
また、上記実施例では、撮像画面上の画素から白色画素41Aを抽出し、白色画素41Aの画素座標を白色画素格納領域13Cに格納した。しかし、各画素の輝度差が所定閾値、すなわち最大輝度値の50%以上の場合に、当該画素が破線模様40の画素候補として画素座標を白色画素格納領域13Cに格納しても良い。そして、破線抽出部22Aは、破線模様40の画素候補から白色画素41を抽出し、破線上辺40A及び破線下辺40Bの画素座標を破線候補格納領域13Dに格納しても良い。
【0073】
また、上記実施例では、撮像画面上の破線上辺40A候補の白色画素41C及び破線下辺40B候補の白色画素41Cを用いて破線上辺40A及び破線下辺40Bを特定した。しかし、破線模様40の右辺及び左辺の白色画素41Cを抽出し、これら白色画素41Cを用いて破線模様40の左辺及び右辺を特定する。更に、特定された破線模様40の左辺及び右辺に対して90度の直線で破線上辺40A及び破線下辺40Bを特定しても良い。
【0074】
また、上記実施例では、特定された破線上辺40A及び破線下辺40Bを用いて検査対象となる検査パターンPを選別したが、破線模様40の右辺及び下辺を特定し、これら特定された破線模様40の右辺及び左辺を用いて検査パターンPを選別しても良い。
【0075】
また、上記実施例では、検査パターンPの所定の中央範囲が白色画素の場合、白色パターンWPと判定した。しかし、検査パターンPの全画面領域が白色画素の場合、白色パターンWPと判定しても良い。また、検査パターンPの全画面領域の輝度値の平均値を算出し、平均値が所定閾値以上の場合に、検査パターンPが白色パターンWPと判定し、平均値が所定閾値未満の場合に、検査パターンPが黒色パターンBPと判定しても良い。
【0076】
また、上記実施例の画質検査装置1は、撮像部11Aを内蔵したが、撮像部11Aを別体とし、外部インタフェースで撮像部11Aと接続するようにしても良い。
【0077】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0078】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【0079】
ところで、本実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、上記実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図12は、画質検査プログラムを実行するコンピュータを示す説明図である。
【0080】
図12に示す画質検査プログラムを実行するコンピュータ100では、HDD(Hard Disk Drive)110、RAM(Random Access Memory)120、ROM(Read Only Memory)130及びCPU140を有する。更に、コンピュータ100は、操作部150、表示部160及び通信部170を有する。そして、コンピュータ100は、HDD110、RAM120、ROM130、CPU140、操作部150、表示部160及び通信部170がバス180を介して接続される。
【0081】
そして、HDD110には、上記実施例と同様の機能を発揮する画質検査プログラムが予め記憶されている。尚、HDD110ではなく、ROM130や、図示せぬドライブでコンピュータ読取可能な記録媒体に画質検査プログラムが記録されていても良い。また、記録媒体としては、例えば、CD−ROM、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等でも良い。画質検査プログラムとしては、図12に示すように、取込プログラム110A、抽出プログラム110B、選別プログラム110C及び検査プログラム110Dである。尚、プログラム110A、110B、110C及び110Dについては、図4に示した画質検査装置1の各構成要素と同様、適宜統合又は分散してもよい。
【0082】
そして、CPU140が、これらのプログラム110A、110B、110C及び110DをHDD110から読み出してRAM120上で実行する。そして、図12に示すように、各プログラム110A、110B、110C及び110Dは、RAM120上で取込プロセス120A、抽出プロセス120B、選別プロセス120C及び検査プロセス120Dとして機能するようになる。
【0083】
図示せぬカメラは、検査対象のディスプレイの画面の外枠を黒破線で形成された白色パターンと黒破線と同じ位置に白破線で形成された黒色パターンとを交互に連続して表示される検査対象の画面を連続撮像する。そして、CPU140は、図示せぬ外部インタフェースを用いてカメラから検査対象の複数の画面を取り込む。CPU140は、取り込まれた複数の画面の内、破線で形成する外枠の破線上辺と当該破線上辺に対向する破線下辺とが一致した画面を抽出する。更に、CPU140は、抽出した画面から白色パターンと黒色パターンとを選別する。更に、CPU140は、これら選別された白色パターン及び黒色パターンに基づき、当該検査対象の画面に対する画質検査を実行する。
【0084】
CPU140は、取り込まれた複数の画面の内、外枠の破線上辺と破線下辺とが一致した画面を抽出し、これら抽出された画面から白色パターン及び黒色パターンを選別する。更に、CPU140は、これら選別された白色パターン及び黒色パターンに基づき、検査対象の画面に対する画質検査を実行する。その結果、画質検査に要する画面を最小限に抑えて画質検査に要する処理負担を軽減できる。
【符号の説明】
【0085】
1 画質検査装置
3 ディスプレイ
11A 撮像部
21 取込部
22 抽出部
22A 破線抽出部
23 選別部
24 検査部
40 破線模様
40A 破線上辺
40B 破線下辺
P 検査パターン
WP 白色パターン
BP 黒色パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画質検査装置に、
検査対象の画面の外枠を黒破線で形成された白画面と前記黒破線と同じ位置に白破線で形成された黒画面とを交互に連続して表示される検査対象の画面を連続撮像して取り込み、
取り込まれた複数の画面の内、前記破線で形成する前記外枠の一辺の破線と当該一辺に対向する対向辺の破線とが一致した画面を抽出し、
抽出した画面から前記白画面と前記黒画面とを選別し、
これら選別された前記白画面及び前記黒画面に基づき、当該検査対象の画面に対する検査を実行する
各処理を実行させることを特徴とする画質検査方法。
【請求項2】
前記検査対象の画面に対する検査を実行する処理は、
前記黒画面の前記白破線の白部分の画素に基づき、前記白画面の前記黒破線の黒部分に対する検査を実行すると共に、前記白画面の前記黒破線の白部分の画素に基づき、前記黒画面の前記白破線の黒部分に対する検査を実行することを特徴とする請求項1に記載の画質検査方法。
【請求項3】
検査対象の画面の外枠を黒破線で形成された白画面と前記黒破線と同じ位置に白破線で形成された黒画面とを交互に連続して表示される検査対象の画面を連続撮像して取り込む取込部と、
前記取込部によって取り込まれた複数の画面の内、前記破線で形成する前記外枠の一辺の破線と当該一辺に対向する対向辺の破線とが一致した画面を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出した画面から前記白画面と前記黒画面とを選別する選別部と、
前記選別部によって選別された前記白画面及び前記黒画面に基づき、当該検査対象の画面に対する検査を実行する検査部と
を有することを特徴とする画質検査装置。
【請求項4】
検査対象の画面に対する検査をコンピュータに実行させる画質検査プログラムであって、
検査対象の画面の外枠を黒破線で形成された白画面と前記黒破線と同じ位置に白破線で形成された黒画面とを交互に連続して表示される検査対象の画面を連続撮像して取り込み、
取り込まれた複数の画面の内、前記破線で形成する前記外枠の一辺の破線と当該一辺に対向する対向辺の破線とが一致した画面を抽出し、
抽出した画面から前記白画面と前記黒画面とを選別し、
これら選別された前記白画面及び前記黒画面に基づき、当該検査対象の画面に対する検査を実行する
各処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする画質検査プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−72725(P2013−72725A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211385(P2011−211385)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】