説明

留置カテーテル交換用器具

【課題】留置カテーテルを容易に交換することができる交換器具を提供する。
【解決手段】交換器具1は、留置カテーテル40を体腔D内から抜去し、交換用の留置カテーテル40を挿入するために用いられ、外筒10と、外筒10内に挿入され内部にチューブ41を挿通可能な内筒20とを有する。内筒20は、可撓性部材からなり、長さ方向に沿って形成された複数のスリット24を備える。外筒10は、内筒本体21の外方への展開を抑制する弾性部材からなる。内筒20は、スリット24の基端側に長孔25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃や膀胱等の体腔内に留置される留置カテーテルを交換する際に用いる器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の留置カテーテル用に用いられる器具としては、例えば下記特許文献1に開示されたものが知られている。当該特許文献1には、チューブの先端部に、体腔内固定部として該チューブの外径よりも大径に形成されたバンパーを備えた瘻孔カテーテルを抜去する補助具が開示されている。当該抜去補助具は、チューブの外径とほぼ同径の内径を有する円筒部材を備えており、この円筒部材の内部にチューブを後端部から挿入し、その状態で円筒部材を瘻孔に挿入して先端部を体腔内に挿入する。この状態からチューブを後方に引っ張ることで、バンパーを変形させて円筒部材内部に引き込み、円筒部材からバンパーを外部に引き出すことができるとされている。
【0003】
しかしながら、チューブの外径とほぼ同様の内径を有する円筒部材内に、チューブの外径よりも大径となっているバンパーを引き込むのには、実際には強い力を要するという不都合がある。
【0004】
特に、前記体腔が胃である場合には、前記バンパーは胃酸により劣化されて硬化しているので、前記円筒部材内に該バンパーを引き込むには非常に強い力を必要とする。また、この場合、術者がバンパーを円筒部材内に引き込もうとして円筒部材に対してチューブを後方に強く引っ張ると、前記のように胃酸に劣化されて脆化しているバンパーがチューブの先端から外れて、体腔内に落下してしまうおそれがある。
【0005】
また、チューブを強く引っ張るときには前記円筒部材を強い力で押さえておかなければならないが、円筒部材に強い力を加えると該円筒部材が瘻孔の軸方向或いは径方向に動いて患者に苦痛を与えるおそれもある。
【0006】
そこで、特許文献1には、前記円筒部材の先端部に該円筒部材の長さ方向に沿って複数のスリットを形成し、各スリットの間に円筒部材を形成すると共に、該円筒部材の外周側に外筒部材を配設した抜去補助具が開示されている。前記円筒部材は、前記外筒部材の内周面に沿って摺動自在であり、前記円筒部材は弾性変形可能に形成されていて、該円筒部材の先端部が該外筒部材の先端部から突出すると、該内筒部材の外周方向に展開するようにされている。
【0007】
係る抜去補助具によれば、前記円筒部材を瘻孔に挿入して先端部を体腔内に挿入したときに、該円筒部材を前記外筒部材の内周面に沿って摺動させ、該円筒部材の先端部を該外筒部材の先端部から突出させると、前記円筒部材が該内筒部材の外周方向に拡開する。この状態からチューブを後方に引っ張ると、前記バンパーが前記円筒部材の傾きに案内されて変形されるので、弱い力で容易に円筒部材内部に引き込むことができるとされている。
【0008】
しかしながら、前記円筒部材を備える抜去補助具では、前記バンパーを前記円筒部材内部に引き込む際に、該円筒部材が折損すると、該円筒部材の破片が体腔内に落下してしまうという不都合がある。
【0009】
また、特許文献1に記載された抜去補助具は、段落0034によれば、胃瘻カテーテルの交換の際にも用いることが記載されている。その手順は、胃瘻カテーテルを瘻孔から抜去する際に胃瘻カテーテルと共に補助具を抜去し、交換用の胃瘻カテーテルを瘻孔内に挿入する際に、補助具内にバンパーを挿入した状態で補助具と共に瘻孔内に挿入し、その後バンパーを補助具から押し出し、補助具を瘻孔から引き抜くものとなっている。
【0010】
しかしながら、上記方法では、一度補助具を瘻孔から抜去するため、再度胃内に胃瘻カテーテルを挿入しようとすると、体表部における瘻孔には補助具を容易に挿入できるが、体表部の瘻孔と胃壁に設けられた瘻孔との位置がずれるおそれがあり、再度胃内に胃瘻カテーテルを挿入することが困難であった。
【0011】
従って、特許文献1に記載された補助具を用いて交換用の胃瘻カテーテルを胃内に挿入する際には、従来のようにガイドワイヤ等で案内する必要があり、ガイドワイヤを瘻孔に挿入する処置が必要になると共に、ガイドワイヤに沿って補助具を瘻孔内に挿入する際にも、縮まりかけた瘻孔を押し広げながら補助具を挿入する必要があるため、患者に負担をかけるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−168980号公報、段落0018、0019、0028、0029、0034、図5、図9、図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、体腔内に留置される留置カテーテルを交換する際に用いる器具の改良を目的とする。さらに詳しくは、本発明は、体腔内固定部を弱い力で確実に収容して支障無く瘻孔から引き抜くことができると共に、部材が折損したときにも該部材が体腔内に落下することを確実に防止することができる留置カテーテルの交換器具を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、交換用の留置カテーテルを患者に装着する際に作業が容易となる留置カテーテルの交換器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の留置カテーテルの交換器具は、瘻孔を介して先端が体腔内に挿入される可撓性を有するチューブと、前記チューブの先端に設けられ体腔内からのチューブの抜出しを規制する可撓性を有する椀状の体腔内固定部とを備える留置カテーテルを体腔内から抜去すると共に、交換用の留置カテーテルを患者に装着するための交換器具であって、瘻孔に挿入される外筒と、前記外筒内に少なくとも一部が挿入され内部に前記チューブを挿通可能な内筒とを有し、前記内筒は可撓性部材で形成され、前記外筒に挿入される円筒状の内筒本体と、前記円筒本体の基端部に設けられ前記内筒本体よりも大径に形成され前記内筒本体が瘻孔に挿入された際に体外に露出する大径部とからなり、前記内筒本体の先端から長さ方向に沿って基端側に延設されるスリットが形成され、前記外筒は、前記内筒本体の外方への展開を抑制する弾性部材からなることを特徴とする。
【0016】
本発明の留置カテーテルの交換器具によれば、前記外筒及び内筒の先端部から前記チューブの基端部を挿入し、前記チューブに沿って前記外筒及び前記内筒本体を体腔内に挿入し、この状態で前記チューブを後方に引っ張ると、前記体腔内固定部が前記内筒の先端部に圧接される。このとき、前記内筒は可撓性部材からなり、その先端部から前記大径部までスリットが形成されているので、前記内筒本体の先端部が前記体腔内固定部の外形に沿って前記内筒の外周方向に展開する。またこのとき、前記体腔内固定部は、前記内筒本体の内面形状に案内されて変形される。従って、前記体腔内固定部を、弱い力で内筒の内部に引き込むことができる。
【0017】
ここで、前記内筒本体は、前記外筒内に挿入されており、前記外筒は弾性部材からなるので、前記内筒本体の先端部は外方への展開が前記外筒の弾性により抑制され、過度に展開することがない。そして、前記体腔内固定部が完全に前記内筒の内部に引き込まれると、前記内筒本体はその先端部が前記外筒の弾性により窄まるので、前記体腔内固定部を前記内筒内部に引き込むことができる。
【0018】
次に、前記外筒及び内筒を瘻孔に挿入した状態で、術者が留置カテーテルのチューブを手前側に引っ張ると、外筒及び内筒の内部を通って留置カテーテルが瘻孔から抜去される。このとき、内筒本体にはスリットが設けられているので、内筒本体が撓むため、容易に留置カテーテルを瘻孔から抜去することができる。
【0019】
前記内筒本体は、前記体腔内固定部を前記内筒の内部に引き込む際に折損したとしても、前記外筒の弾性により前記体腔内固定部に圧接されて脱落することがないので、体腔内への落下を確実に防止することができる。
【0020】
本発明の留置カテーテルの交換器具において、前記内筒は、前記スリットに、長さ方向に沿って形成された長孔部を備えていることが好ましい。当該構成によれば、前記長孔部が設けられている箇所は、前記内筒本体の周方向の幅が狭くなっているので、留置カテーテルを前記内筒内から引き抜く際に前記内筒本体が撓みやすくなるため、小さい力で留置カテーテルを前記内筒から引き抜くことができる。
【0021】
また、前記内筒は、前記大径部の基端側に筒状の把持部材が着脱自在に装着されていることが好ましい。当該構成によれば、前記外筒及び内筒を、前記チューブを介して瘻孔内に挿入する際には、術者が前記把持部材を把持して処置を行うことができるので、容易に且つ確実に前記外筒及び内筒を瘻孔内に挿入することができる。
【0022】
また、前記把持部材は前記大径部に着脱自在であるため、前記把持部材を前記大径部から取り外すことにより、留置カテーテルを挿通させる内筒の長さを短くすることができる。従って、留置カテーテルを抜去した後、交換用の留置カテーテルを瘻孔内に挿入する際の術者の処置が容易となる。
【0023】
また、本発明の留置カテーテルの交換器具においては、前記内筒が、前記外筒と着脱自在に装着されててもよい。当該構成によれば、前記外筒及び内筒本体を瘻孔に挿入し、留置カテーテルを引き抜いた後、前記外筒のみを瘻孔に留置して内筒本体及び把持部材を引き抜くことができ、当該外筒を介して交換用の留置カテーテルを瘻孔内に挿入することができる。
【0024】
また、本発明の留置カテーテルの交換器具において、前記外筒は、前記内筒の先端から前記内筒の内周面に折返された折返し部を備えていることが好ましい。当該構成によれば、前記内筒を瘻孔に挿入する際に、前記外筒の外側へのめくれが防止される。また、前記体腔内固定部を前記内筒内に引き込む際に、前記内筒本体先端部の内側への折れ曲がりを防止することができる。
【0025】
また、本発明の留置カテーテルの交換器具において、前記内筒よりも長尺であり、前記内筒内に挿通可能な軸部と、前記軸部の先端に設けられ前記チューブを係止可能な係止部を備え、前記係止部を前記内筒の基端側から挿通して先端側から露出させ、前記係止部に前記チューブの一部を係止した状態で前記軸部を引っ張ることにより前記チューブを前記内筒に挿通させるチューブ挿通具をさらに備えることが好ましい。
【0026】
当該チューブ挿通具によれば、前記内筒の内径と前記チューブの外径との差が小さい場合であっても、前記チューブを容易に前記内筒内に挿通させることができる。特に、前記外筒に前記折返し部が設けられ、チューブを前記折返し部内に挿通させる必要がある場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は本発明の留置カテーテル交換器具の構成を示す側面図、(b)はその縦断面図。
【図2】内筒本体と大径部の構成を示す斜視図。
【図3】(a)は図1(a)に示す交換器具の分解図、(b)はその縦断面図。
【図4】チューブ挿通具の一例を示す斜視図。
【図5】チューブ挿通具を用いて内筒内にチューブを挿通する方法を示す説明図。
【図6】図1に示す交換器具の使用方法の一例を示す説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1乃至図6に示すように、本実施形態の留置カテーテルの交換器具1は、瘻孔Aに挿入される外筒10と、外筒10内に挿入される内筒20とからなる。
【0029】
また、図4に示すように、交換器具1内に留置カテーテル40を挿通させるための補助具として、内筒20内に留置カテーテル40のチューブ41を挿通させるチューブ挿通具50を有している。
【0030】
外筒10は、内筒20の先端側が挿入される外筒本体11と、内筒20の内部に折返される折返し部12とからなる。外筒本体11及び折返し部12は、シリコーンゴム等の弾性部材により一体的に形成されている。
【0031】
内筒20は、円筒状で外筒10に挿通される内筒本体21と、内筒本体21の基端部に設けられ内筒本体21よりも大径の大径部22と、大径部22に装着される筒状の把持部材23とを有している。内筒20は、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)等の可撓性部材からなり、内部に留置カテーテル40のチューブ41が挿通可能とされている。
【0032】
内筒本体21には、先端縁から基端側に向けて長さ方向に4本のスリット24(24a、24b)が設けられている。各スリット24は、内筒20の周方向に等間隔で形成されている。また、4本のスリット24の内、図2において左右に位置する2本のスリット24aには、内筒本体21の先端部近傍から大径部に亘って長孔25が形成されている。また、図2において上下に位置する2本のスリット24bには、内筒本体21の先端部近傍に第2の長孔26が形成されている。
【0033】
大径部22は、把持部材23が着脱自在に装着される箇所であり、把持部材23の先端部の内径とほぼ同一の外径を有している。把持部材23は、術者が留置カテーテル40の交換を行う際に把持しやすい形状となっている。
【0034】
チューブ挿通具50は、図4に示すように、内筒20内に挿通可能な軸部51と、軸部51の先端に設けられチューブ41を挿通可能なリング状の係止部52と、軸部の基端に設けられたハンドル部53とを備えている。本実施形態では、軸部51と係止部52とハンドル部53とが合成樹脂で一体に成形されている。
【0035】
また、チューブ挿通具50は、図5(a)に示すように、内筒20(内筒本体21、大径部22及び把持部材23)よりも長尺に形成されており、内筒20の内部に挿入したときは、把持部材23の基端部側からハンドル部53が露出し、内筒20の先端側から係止部52が露出するようになっている。
【0036】
次に、上記構成の抜去補助具1を用いて留置カテーテル40を交換する際の手順を図6を参照して説明する。上記構成を有する留置カテーテル交換器具1は、図6(a)乃至(e)に示すように、留置カテーテル40を体腔内Dから抜去し、交換用の留置カテーテル40を挿入するために用いられる。
【0037】
図6は、瘻孔Aが胃に設けられた胃瘻である場合の例であり、瘻孔(胃瘻)Aは、腹壁B及び胃壁Cを貫通して形成されている。また、この場合、留置カテーテル40は胃瘻カテーテルであり、チューブ41と、チューブ41の先端に設けられた椀状のバンパー(体腔内固定部)42とからなり、胃瘻Aを介して体腔(胃の内部)Dに挿入され、チューブ41の先端に設けられたバンパー42により抜け止めされている。チューブ41及びバンパー42は、いずれも可撓性を有する部材により構成されている。
【0038】
留置カテーテル40の交換をする際は、まず、交換器具1の内筒20の内部に留置カテーテル40のチューブ41を挿通させる。このとき、図5(a)に示すように、内筒20及び外筒10及が一体となっている状態で、チューブ挿通具50の係止部52を内筒20の把持部材23の基端側から挿入し、内筒20及び外筒10の先端部から外方に突出させる。
【0039】
この状態でリング状の係止部52内にチューブ41の基端部側の端部近傍を挿入する。この状態から術者がハンドル部53を持って手前側(内筒20の基端方向)に引っ張れば、図5(b)に示すように、内筒20内にチューブ41を容易に挿通させることができる。
【0040】
次に、図6(a)に示すように、留置カテーテル交換器具1をバンパー42の方向に前進させる。そして、図6(b)に示すように、内筒20の大径部22が腹壁Bの表面近傍に位置するまで交換器具1を前進させる。
【0041】
この状態から術者が内筒20の把持部材23を把持し、チューブ41を手前側に引っ張ることによりバンパー42が内筒本体21の先端部近傍の内部に引き込まれる。このとき、内筒本体21の先端部近傍は、長孔25と第2の長孔26が形成され、その間の部分が細くなっているため、その可撓性によりバンパー42の形状に沿って無理なく外方に展開することができる。さらに、内筒本体21の先端部は、外筒10によって周囲が抑えられているため、必要以上に外方に広がることがない。
【0042】
また、本実施形態では、内筒本体21の先端部が外筒10の折返し部12の内部に位置しているため、内筒本体21の先端部がバンパー42に直接当接することがない。従って、内筒本体21の先端部がバンパー42に食い込んで内筒20の内側に折れ曲がることがない。
【0043】
次に、図6(c)に示すように、術者が把持部材23を押さえながらチューブ41を持って手前側に引っ張ることにより、留置カテーテル40を外筒10及び内筒20の内部を介して瘻孔Aから抜去することができる。このように、留置カテーテル40は、バンパー42を患者の瘻孔Aや他の箇所に触れることなく瘻孔Aから抜去することができるため、患者の負担が軽減される。
【0044】
このとき、内筒本体21は、長孔25が設けられていることによりその間の部分が細くなっているため、その可撓性によりバンパー42の形状に沿って無理なく外方に膨出させることができる。また、各内筒本体21は、外周面が外筒本体11により包被されているので、外筒本体11の弾性により過度に広がることが抑制されている。
【0045】
次に、図6(d)に示すように、術者が内筒20の大径部22を押さえながら把持部材23を大径部22から取り外す。本実施形態では、把持部材23は内筒20の大径部22に着脱自在に装着されているため、両者を容易に分離することができる。
【0046】
次に、図6(e)に示すように、瘻孔Aに留置された外筒10と内筒20の一部とを介して交換用の留置カテーテル40を体腔内Dに挿入する。図6(e)における符号60は、留置カテーテルの挿入器具である。当該挿入器具60の詳細な構成については、本願出願人による特開2007−98123号に記載しているので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
このとき、瘻孔Aは、外筒10と内筒20の一部によって保護されているため、瘻孔Aが塞がることがなく、また、腹壁Bにおける瘻孔と胃壁Cにおける瘻孔がずれることがないので、確実に瘻孔Aを介して留置カテーテル40を体腔内Dに挿入することができる。
【0048】
即ち、上記構成により、ガイドワイヤーを用いる必要がないので、留置カテーテルの交換作業が容易となる。また、交換用の留置カテーテル40のバンパー42が体腔内Dに挿入された後は、留置されている外筒10と内筒20の一部を瘻孔Aから引き抜いて廃棄し、通常の処置手順に従い、留置カテーテル40の固定等を行う。
【0049】
なお、上記実施形態においては、図6(d)に示すように、外筒10及び内筒20が瘻孔Aに挿入された後、内筒20の大径部22から把持部材23を取り外しているが、これに限らず、外筒10のみを瘻孔Aに留置して内筒20全体を瘻孔Aから引き抜いてもよい。このとき、外筒10が瘻孔A内に埋没しないように、外筒10の基端部外周に鍔部を設けることがこのましい(図示省略)。
【0050】
また、外筒10及び内筒20が瘻孔Aに挿入された後、内筒20の大径部22から把持部材23を取り外さずに、内筒20の把持部材23の基端部から留置カテーテル40を挿入してもよい。この場合、留置カテーテルの挿入器具60は、内筒20の長さに応じて長くすればよい。
【0051】
また、内筒20の形状は上記実施形態に限られず、スリット24や長孔25及び第2の長孔26はその形状や数を適宜変更してもよい。例えば、スリット24を1乃至3本、或いは他の本数としてもよい。また、長孔25や第2の長孔26がないものとしてもよい。スリット24の長さも、上記実施形態のように大径部22に達する長さにしてもよく、内筒本体21の途中までの長さとしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態において、大径部22の表面又は内面に、基端部から長孔25につながるように薄肉状とした溝を設け、内筒20を瘻孔Aから抜き出す際に内筒20を前記溝から引き裂いて分割した状態で抜き出せるようにしてもよい(図示省略)。
【0053】
また、チューブ挿通具50は、上記他の実施形態においては軸部51と係止部52とハンドル部53とを合成樹脂で一体成形しているが、このような構成に限らず、針金等の部材で同様の構成としても良い。また、軸部51は中実である必要はなく、中空筒状としても良い。また、軸部51にはリング状のハンドル部53が設けられているが、このような形状に限らず他の形状としても良く、基端部側は軸部51のみとしてハンドル部53を特に設けなくても良い。
【0054】
また、チューブ挿通具50の係止部52は、上記他の実施形態のようにリング状とするのではなく、軸部51の軸方向にスリットを設けてそのスリットにチューブ41を挟持するようにしてもよい。また、軸部51の先端部の外径をチューブ41の内径よりも若干大径とした係止部52として、当該係止部52をチューブ41の内部通路に挿入してチューブ41を係止しても良い。その他、係止部に事務用のクリップのような部材を設ける等の構成としても良い。
【符号の説明】
【0055】
1…交換器具、10…外筒、11…外筒本体、12…折返し部、20…内筒、21…内筒本体、22…大径部、23…把持部材、24…スリット、25…長孔、40…留置カテーテル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瘻孔を介して先端が体腔内に挿入される可撓性を有するチューブと、前記チューブの先端に設けられ体腔内からのチューブの抜出しを規制する可撓性を有する椀状の体腔内固定部とを備える留置カテーテルを体腔内から抜去すると共に、交換用の留置カテーテルを患者に装着するための交換器具であって、
瘻孔に挿入される外筒と、前記外筒内に少なくとも一部が挿入され内部に前記チューブを挿通可能な内筒とを有し、
前記内筒は可撓性部材で形成され、前記外筒に挿入される円筒状の内筒本体と、前記円筒本体の基端部に設けられ前記内筒本体よりも大径に形成され前記内筒本体が瘻孔に挿入された際に体外に露出する大径部とからなり、前記内筒本体の先端から長さ方向に沿って基端側に延設されるスリットが形成され、
前記外筒は、前記内筒本体の外方への展開を抑制する弾性部材からなることを特徴とする留置カテーテル交換用器具。
【請求項2】
前記内筒は、前記スリットに、長さ方向に沿って形成された長孔部を備えていることを特徴とする請求項1記載の交換器具。
【請求項3】
前記内筒は、前記大径部の基端側に筒状の把持部材が着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の交換器具。
【請求項4】
前記内筒は、前記外筒と着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交換器具。
【請求項5】
前記外筒は、前記内筒の先端から内周面に折返された折返し部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の交換器具。
【請求項6】
前記内筒よりも長尺であり、前記内筒内に挿通可能な軸部と、前記軸部の先端に設けられ前記チューブを係止可能な係止部を備え、前記係止部を前記内筒の基端側から挿通して先端側から露出させ、前記係止部に前記チューブの一部を係止した状態で前記軸部を引っ張ることにより前記チューブを前記内筒に挿通させるチューブ挿通具をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の交換器具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−193924(P2011−193924A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61307(P2010−61307)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(390029676)株式会社トップ (106)
【Fターム(参考)】