説明

畦形成機

【課題】 従来の畦成形機の畦成形部は、1つの円錐体によって畦の形成がなされるため、水分や土質による盛土の高さや性質に対応させた角度を保つことができない課題があった。
【解決手段】 走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部4と、前処理部4によって盛られた土を畦に形成する畦成形部3とを有する畦成形機において、畦成形部3は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡される無端体32、7とを有し、複数の回転軸は、走行方向に交差する方向に互いに平行に設けられ、複数の回転軸の少なくとも1つを駆動回転軸30とし、該駆動回転軸30の前方に前方回転軸31を設け、かつ駆動回転軸30を中心に前方回転軸31を回動可能に設けたことを特徴とする畦成形機を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタに装着される畦成形機に関する。詳細には、走行機の後部に装着され、掘削爪を有して回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に形成する畦成形部とを有する畦成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畦成形機に関する装置は、多数提案されている。例えば、特許第2564230号公報(従来技術1)には「 牽引車に付設されて該牽引車の進行方向に順次畦を形成する畦形成機であって、畦形成部2に土を盛り上げ状態に連続的に供給する土盛り装置3と、畦形成部2に盛られた土を締め固めて畦を形成する畦形成装置4とを具え、該畦形成装置4は、畦と直交する軸線回りに回転せしめられ且つその上側周面が牽引車の進行方向に回転するようにその回転方向が設定されて畦上面を形成する丸軸からなる回転体33を具え、畦上面の内縁を形成する回転体内端には、内方に向かって大径となる円錐面を具えた畦内側面形成用の内側回転板36が連設され、該内側回転板36と回転体33とは一体に回転するものとなされており、又単位時間当たりの牽引車の進行長さをL1、回転体33の円周をL2、単位時間当たりの回転体の回転数をNとしたとき、N×L2>L1の関係が充足されるようになされていることを特徴とする畦形成機」の記載がある。
【0003】
また、特許第3564621号公報(従来技術2)には、「トラクタに連結機構により機枠を連結し、該機枠に畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の上方にカバー部材を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に整畦体を設けてなり、上記整畦体は畦上面及び畦一方斜面に適合する連続した線分を母線とする周側面を有する縦軸を備えた回転体状に形成されて該縦軸に対して横回りに回転するように設けられていることを特徴とする整畦機、及び上記整畦体を強制回転させる回転機構を設けて構成した整畦機等の記載がある。
【0004】
上述したような従来の畦成形機は、従来技術1の「盛られた土を締め固めて畦を形成する畦形成装置4」が「回転体33、内側回転板36、外側回転板39」等の回転によって畦を形成するが、この畦形成装置4の回転は1つの「回転軸30」を中心に回転させられる構造である。同様に従来技術2の「整畦機」は、畦を形成する「整畦体12」が「上回転部分13と下回転部分14」とを有するが、この「整畦体12」の回転は回転機構15に駆動される1本のロータ軸12aを中心に回転する構造である。
【0005】
更に、従来の畦成形機における畦形成部分、例えば従来技術1では、「畦形成装置4の内側回転板36と外側回転板39」、従来技術2の「「整畦体12の上回転部分13と下回転部分14」の形状は、全て円錐面又は円錐台面からなっていた。
【特許文献1】特許第2564230号公報(従来技術1)
【特許文献2】特許第3564621号公報(従来技術2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
畦成形機は、回転ロータ等の回転掘り上げ装置からなる前処理部によって盛り上げられた土を、走行方向後方に位置する畦成形部の回転によって圧して畦を形成する。そして、従来技術1及び2に例示されるような畦成形機における畦成形部は、1つの回転軸によって回転される円錐面又は円錐台面形状からなる畦形成面を有していた。
【0007】
図7(a)、図7(b)は従来の1つの回転軸によって矢印R方向に回転される畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図であり、図7(a)は円錐体Caの直径が相対的に大きいものの畦成形部、図7(b)は円錐体Cbの直径が相対的に小さいものの畦成形部である。畦成形機の矢印T方向の走行により前処理部で放り上げられ盛り上げられた土Sを円錐面で掻き込んで行くが、盛り上げられた土Sの高さ、幅が同じ場合、図7(a)のように円錐体Caの直径が大きいと盛土の掻き込み角度θaが小さくなり、盛土Sが逃げないで掻き込まれ押し固まれる。逆に図7(b)のように円錐体Cbの直径が小さいと盛土Sの掻き込み角度θbが大きくなるため、盛土が前方に押し戻され易くなり、掻き込みにくくなり、成形される畦の硬度が確保できない課題があった。
【0008】
したがって、大きな直径の円錐体を有する畦成形部の方が好ましいが、大きな直径の円錐体からなる畦成形部を装備すると、従来より大きく重い円錐体を有する畦成形部と、この円錐体を回転させるためのより大きな駆動力が必要となり、伝動機構に負担が掛かり耐久性が劣るとともに全体の装置がコンパクトにできない課題があった。特に円錐体の直径を大きくすると、走行機の移動時やを回転時に他所に当接しやすく扱いにくくなる課題があった。
【0009】
更に、従来は1つの回転軸に設けられた同軸の円錐体によって畦の形成がなされるため、水分や土質による盛土の高さや性質に対応させた角度を保つことができない課題があった。すなわち、盛土の水分や性質が異なると前処理部による盛土の高さなどが変化し、盛土の掻き込み角度が変わってしまい、形成された畦の硬度に影響を与える課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に形成する畦成形部とを有する畦成形機において、畦成形部は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体とを有することを特徴とする畦成形機を提案する。
【0011】
また、走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に形成する畦成形部とを有する畦成形機において、
畦成形部は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体とを有し、複数の回転軸は、走行方向と交差する方向に互いに平行に設けられ、複数の回転軸の少なくとも1つを駆動回転軸とし、該駆動回転軸の前方に前方回転軸を設け、かつ駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けたことを特徴とする畦成形機を提案する。
【0012】
更に又、無端体が、端辺側が中央側に比較して周長が長い長円裾広形状の畦斜面成形面及び畦上面成形面とを有する無端体である0010又は0011欄記載の畦成形機を提案する。
【0013】
また、走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に形成する畦成形部とを有する畦成形機において、
畦成形部は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体とを有し、複数の回転軸は、走行方向と交差する方向に互いに平行に設けられ、複数の回転軸の少なくとも1つを駆動回転軸とし、該駆動回転軸の前方に前方回転軸を設け、かつ駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けるとともに、
無端体は、畦内側斜面にほぼ平行な駆動回転軸を有して回転する無端体からなるとともに、駆動回転軸に着脱自在に装着される畦上面成形面部を有することを特徴とする畦成形機を提案する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、畦成形部に、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体を設けることによって、畦形成面をコンパクトな小径面とすることによって扱いやすさを確保するとともに、図6の説明図に示すように盛土の掻き込み角度を小さくすることができ、成形される畦の硬度を確保することができる効果がある。また、畦形成面である円錐体を回転駆動させるための伝動機構もコンパクトにでき経済的な効果がある。
【0015】
また、複数の回転軸である駆動回転軸と前方回転軸との間で、駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けたことにより、盛土の掻き込み角度を変更させることができ、水分や土質による盛土の高さや性質に対応させた角度を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施形態について、畦成形機の平面図である図1、畦成型機の後面図である図2、同じく前処理部と畦成形部を後方から見た一部断面説明図である図3、この発明の別の実施形態を示す畦成形部を後方から見た断面説明図である図4、畦成型機の動力の伝動を示す動力伝達説明図である図5、この発明の回転される畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図である図6に基づいて説明する。
【0017】
この発明の1つの実施形態である畦成形機は、トラクタに連結する装着フレーム1と、装着フレーム1に対して回動軸20を中心に水平方向に回動可能かつ伸縮可能な支持フレーム2と、支持フレーム2の回動端側に設けられる畦成形部3及び前処理部4と、装着フレーム1と支持フレーム2間に伸縮自在に掛け渡される伸縮ロッド5と、トラクタからの動力を伝達する伝達機構6とを有する。
【0018】
装着フレーム1は、トラクタとの装着部であるロアピン10とトップブラケット11によってトラクタ後部の三点リンクヒッチに連結される。装着フレーム1は、反トラクタ側で回動軸20によって支持フレーム2を回動可能に装着しており、装着フレーム1の上部に設けた伸縮可能な伸縮ロッド5の端部で支持フレーム2の上部と回動可能に連結している。伸縮ロッド5は、支持フレーム2の回動軸20より走行方向の前方に位置である装着フレーム1の位置する第1ピン51と、支持フレーム2のパイプフレーム22の上部に設けた第2ピン52との間に伸縮自在に掛け渡したものである。この実施形態では伸縮ロッド5は、ターンバックル構造で中央胴体枠の両端に左ネジ、右ネジ軸を差し込んだもので、左右のネジ軸端が第1ピン51と第2ピン52とに固着されており、中央胴体を回転することにより、伸縮ロッドの長さを伸縮する。伸縮ロッド5の他の実施形態として電動シリンダや油圧シリンダ等のような伸縮可能な部材ならばよい。
【0019】
支持フレーム2は、前端に支持フレームボス22を設けて装着フレーム1の後部略中心部に設けた回動軸20に水平方向に回動自在に支持されている。支持フレーム2は中間部のパイプフレーム21を介しての回動端側に畦成形部3及び前処理部4を配設してなる。パイプフレーム21は支持フレーム2の外周を摺動自在に構成している。支持フレーム2の回動は、支持フレームボス22に設けた固定板23の適宜位置に適宜数設けた係合孔23aにロックピン24が係合して支持フレーム2の水平方向の回動を阻止可能である。
【0020】
畦形成部3は、この実施形態では、複数の回転軸である駆動回転軸30と前方回転軸31とが走行方向と交差する方向に互いに平行に設けられており、駆動回転軸30と前方回転軸31との間に畦を成形する無端体32をエンドレス回転可能に掛け渡して設ける。駆動回転軸30と前方回転軸31との間に無端体支持フレーム34を設けて駆動回転軸30と前方回転軸31を回転可能に支持する。
【0021】
駆動回転軸30は無端体駆動スプロケット33a、33bを設けており、無端体駆動スプロケット33aは、無端体32の畦斜面成形無端体32aの内周面に周回して設けた嵌合帯37aと噛合しており、無端体駆動スプロケット(ガイド輪)33bは、無端体32の畦上面成形無端体32bの内周面に周回して設けた嵌合帯37bと噛合している。無端体駆動スプロケット33aは、図1に示すように円板体の周辺位置の両面に多数の突起を有する形状であり、この多数の突起が対応する形状である無端体32の内周面の嵌合帯37aの凹部と噛合して駆動回転軸30の駆動回転力を無端体32に伝動する。
【0022】
駆動回転軸30は、畦成形部駆動ケース69内に設けられるスプロケット69cの回転軸であり伝達機構6によって伝動される駆動回転力によって回転する。前方回転軸31は無端体32の回転によって従動的に回転する。
【0023】
前方回転軸31は無端体従動スプロケット33c、33dを設けており無端体32の回転を無端体従動スプロケット33c、33dによって受け支持しながら従動的に回転する。前方回転軸31は、駆動回転軸30の前方に設けられ、駆動回転軸30を中心として斜め方向に回動可能である。この前方回転軸31の回動は、畦成形機の走行中に駆動回転軸30に対して任意の角度で固定されて作業することも可能であり、また畦成形機の作業中に駆動回転軸30に対して揺動できる自由回動可能であるように設定することもできる。前方回転軸31を駆動回転軸30に対して回動しないように固定する場合は、無端体支持フレーム34に取り付けられる扇形状の固定用フランジ35の係合孔35aと、畦成形駆動ケース69に取り付けられた固定用基台36の出没可能な固定突起36aとの係合によって行なう。固定用フランジ35は扇状板状体の弧辺部に複数の係合孔35aを設け、無端体支持フレーム34に取り付けられており、駆動回転軸30を回動中心として回動可能である。固定用フランジ35を適宜角度に回動させ、1つの係合孔35aに固定突起36を挿入することによって前方回転軸31は、駆動回転軸30を中心とする回動をその角度で固定される。別の実施例として、固定突起36aの代りに、固定用基台35に雌ネジ孔を形成して、係合孔35aにボルトを挿入固定用フランジ35を固定させてもよい。
【0024】
無端体32は、畦斜面成形無端体32aと接続面32c及び畦上面成形無端体32bからなり、畦斜面成形無端体32a及び畦上面成形無端体32bは、端辺側が中央側に比較して周長が長い長円裾広形状である。接続面32cは帯状ベルトであり、畦斜面成形面32aと畦上面成形面32bの中間に位置するが、この実施形態では畦斜面成形無端体32aと一体に形成されている。この実施形態では、無端体32は、畦斜面成形無端体32aと接続面32c及び畦上面成形無端体32bの2つ別体であり、畦上面成形無端体32bを取り外して畦斜面成形無端体32aのみの作業を行なうこともできる。別の実施形態では畦斜面成形無端体32a、接続面32c及び畦上面成形無端体32bを一体的に形成してもよい。無端体32は、ゴム等の素材からなるベルト状体又は多数の金属片を折曲自在に接続してなるキャタピラ状体によって形成される。
【0025】
前処理部4は、畦成形部3の走行方向前方に位置し、後述する前処理部駆動回転軸40に設けられた回転して土を掘削して盛り上げる回転する耕耘ロータ(掘削爪)41とからなる。
【0026】
装着フレーム1は、中央部の下方にトラクター出力軸(図示せず)からの駆動力を畦成形部3と前処理部4とに伝達する伝達機構6を装備している。図5に示されるように伝達機構6はトラクタ出力軸と連結する入力軸61と、入力軸61と連結するダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)62と、ダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)62の他端と連結する入力伝達ケース64の第1伝動軸63と、第1伝動軸63から畦成形部3と前処理部4とまで駆動力を伝動する以下の各部材からなる。
【0027】
第1伝動軸63は、入力伝達ケース64内に設けられるスプロケット64aとスプロケット64c間に掛け渡されるチェーン64bにより第2伝動軸65に連結される。第2伝動軸65は、前処理部駆動ケース66内に設けられるスプロケット66a及びベベルギアボックス67内のベベルギア67aに連結している。前処理部駆動ケース66内に設けられるスプロケット66aは、スプロケット66cとの間に掛け渡されるチェーン66bにより前処理部4の前処理部駆動回転軸40に駆動力は伝達される。
【0028】
第2伝動軸63は、ベベルギアボックス67内のベベルギア67a、第3伝動軸67b、ベベルギア67cを介して第4伝動軸68に連結している。第4伝動軸68は、畦成形部駆動ケース69内に設けられるスプロケット69aとスプロケット69c間に掛け渡されるチェーン69bを介してスプロケット69cの回転軸である駆動回転軸30に連結される。
【0029】
図4にこの発明の別の実施形態を示す。畦形成部7は、複数の回転軸、この実施形態では駆動回転軸70と前方回転軸(図示せず)とをそれぞれ畦斜面に平行になるように並行して設け、駆動回転軸70と前方回転軸との間にエンドレス回転可能に掛け渡される平ベルト状無端体71が、畦斜面に平行になるように設ける。平ベルト状無端体71は、駆動回転軸70に設けられた2つの無端体駆動スプロケット72、72と前方回転軸に設けられた従動スプロケット(図示せず)間に掛け渡される。平ベルト状無端体71は、畦斜面成形面部であり、ゴム等の素材又は多数の金属片を折曲自在に接続してなるキャタピラ状体からなる。
【0030】
駆動回転軸70は、チェーンケース74内に設けられる伝動スプロケット73の回転軸である。伝動スプロケット73はチェーンケース74内の図示しないチェーンにより伝達機構6によって伝動される駆動回転力によって回転し駆動回転軸70を回転させる。伝動スプロケット73と平ベルト状無端体71との回転軸方向の間には円錐状の畦上面成形円錐体75を設ける。畦上面成形円錐体75の円錐面と平ベルト状無端体71の平面は、畦の斜面と上面がなすような広角を有する。
【0031】
次にこの発明の作動について説明する。トラクタに牽引される畦成形機は、走行方向に対して支持フレーム2をほぼ90度角水平方向に曲げて固定して畦成形作業を行なう。支持フレーム2は、伸縮ロッド5を適宜縮短させて支持フレーム2を90度角曲げ、固定板23の適宜の係合孔23aとロックピン24を係合して回動不能にしその姿勢に固定する。
【0032】
畦成形部3は、予め前方回転軸31を駆動回転軸30に対して一定の角度を保ち回動しないように固定するため、無端体支持フレーム34に取り付けられる扇形状の固定用フランジ35の適宜の係合孔35aに固定突起36を挿入して好ましい角度で固定する。
【0033】
図示されていないがトラクタ出力軸(PTO軸)からの駆動回転力は、伝動機構6である畦成形機の入力軸61へ伝達され、ダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)62、入力伝達ケース64の第1伝動軸63へ伝達される。更に第1伝動軸63から、入力伝達ケース64内に設けられるスプロケット64a、チェーン64b、スプロケット64cを介して第2伝動軸65に伝達される。第2伝動軸65は、前処理部駆動ケース66内に設けられるスプロケット66a、チェーン66b、スプロケット66cを介して前処理部4の前処理部駆動回転軸40に駆動回転力は伝達され、前処理部4の回転ロータ(掘削爪)41を回転させて、トラクターの走行により土を掘削し旧畦に盛り上げていく。(図6の矢印T方向への走行)
【0034】
第2伝動軸65は、ベベルギアボックス67内のベベルギア67a、第3伝動軸67b、ベベルギア67cを介して第4伝動軸68に駆動回転力を伝達し、第4伝動軸68は、畦成形部駆動ケース69内に設けられるスプロケット69a、チェーン69b、スプロケット69cを介して駆動回転軸30を回転駆動する。
【0035】
駆動回転軸30の回転により駆動スプロケット33a、33bが回転し無端体32である畦斜面成形無端体32a及び畦上面成形無端体32bが、2つの回転軸の間でエンドレス回転する。(図6の矢印R1、矢印R2方向へ回転)
【0036】
別の実施形態である畦形成部7は、伝動機構6からの駆動回転力を伝動スプロケット73を介して駆動回転軸70に伝え駆動回転軸70は回転する。駆動回転軸70の回転により2つの無端体駆動スプロケット72、72が回転し、前方回転軸に設けられた無端体従動スプロケット(図示せず)間に掛け渡されている平ベルト状無端体71をエンドレス回転させるとともに、円錐体からなる畦上面成形面部75を回転させる。
【0037】
このように畦成形部3を作動させてトラクターの走行によって盛土の高さに対して相対的な大きな掻き込み角度θ1、或いは土質や水分によって最適な掻き込み角度θ1をもって好ましい硬度の畦を形成する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、水分や土質の異なる圃場に対応でき、かつコンパクトで経済的な畦作業機として利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の1つの実施形態である畦成形機の平面図
【図2】同じく畦成形機の後面図
【図3】同じく前処理部と畦成形部を後方から見た一部断面説明図
【図4】この発明の別の実施形態を示す畦成形部を後方から見た部分断面説明図
【図5】この発明の畦成形機の動力の伝動を示す動力伝達説明図
【図6】この発明の回転される畦成形部の作用をほぼ上方から見た作用説明図
【図7】(a)従来の1つの回転軸によって回転される円錐体の径が大きな畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図 (b)従来の1つの回転軸によって回転される円錐体の径が小さな畦成形部をほぼ上方から見た作用説明図
【符号の説明】
【0040】
1 装着フレーム
10 ロアピン
11 トップブラケット
2 支持フレーム
20 回転軸
21 パイプフレーム
22 支持フレームボス
23 固定板
23a 係合孔
24 ロックピン
3 畦成形部
30 駆動回転軸
31 前方回転軸
32 無端体
32a 畦斜面形成無端体
32b 畦上面形成無端体
32c 接続面
33 無端体駆動スプロケット
33a 無端体駆動スプロケット(駆動回転軸の)
33b 無端体駆動スプロケット(駆動回転軸の)
33c 無端体従動スプロケット(前方回転軸の)
33d 無端体従動スプロケット(前方回転軸の)
34 無端体支持フレーム
35 固定用フランジ
35a 係合孔
36 固定用基台
36a 固定突起
37a 嵌合帯(畦斜面形成無端体)
37b 嵌合帯(畦上面形成無端体)
4 前処理部
40 前処理部回転軸
41 耕耘ロータ(掘削爪)
5 伸縮ロッド
51 第1ピン
52 第2ピン
6 伝動機構
61 入力軸
62 ダブル広角ジョイント(ユニバーサルジョイント)
63 第1伝動軸
64 入力伝達ケース
64a スプロケット
64b チェーン
64c スプロケット
65 第2伝動軸
66 前処理部駆動ケース
66a スプロケット
66b チェーン
66c スプロケット
67 ベベルギアボックス
67a ベベルギア
67b 第3伝動軸
67c ベベルギア
68 第4伝動軸
69 畦成形駆動ケース
69a スプロケット
69b チェーン
69c スプロケット
7 畦形成部(別の実施形態)
70 駆動回転軸
71 平ベルト状無端体
72 無端体駆動スプロケット
73 伝動スプロケット
74 チェーンケース
75 畦上面成形円錐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に形成する畦成形部とを有する畦成形機において、
畦成形部は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体とを有することを特徴とする畦成形機。
【請求項2】
走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に形成する畦成形部とを有する畦成形機において、
畦成形部は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体とを有し、複数の回転軸は、走行方向と交差する方向に互いに平行に設けられ、複数の回転軸の少なくとも1つを駆動回転軸とし、該駆動回転軸の前方に前方回転軸を設け、かつ駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けたことを特徴とする畦成形機。
【請求項3】
無端体が、端辺側が中央側に比較して周長が長い長円裾広形状の畦斜面成形面部及び畦上面成形面部とを有する無端体である請求項1又は請求項2の畦成形機。
【請求項4】
走行機の後部に装着され、掘削爪を設け回転する耕耘ロータによって土を盛り上げる前処理部と、前処理部によって盛られた土を畦に形成する畦成形部とを有する畦成形機において、
畦成形部は、複数の回転軸と、複数の回転軸間に回転可能に掛け渡されて畦を成形する無端体とを有し、複数の回転軸は、走行方向と交差する方向に互いに平行に設けられ、複数の回転軸の少なくとも1つを駆動回転軸とし、該駆動回転軸の前方に前方回転軸を設け、かつ駆動回転軸を中心に前方回転軸を回動可能に設けるとともに、
無端体は、畦内側斜面にほぼ平行な駆動回転軸を有して回転する無端体からなるとともに、駆動回転軸に着脱自在に装着される畦上面成形面部を有することを特徴とする畦成形機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−206422(P2008−206422A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43993(P2007−43993)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】