説明

畦形成機

【課題】畦上面削土装置の不必要時における畦上面削土装置の適切な収納を実現する。
【解決手段】畦形成機には、旧畦表面に土を盛り上げる盛土装置41、および盛土装置41により盛り上げられた盛土を締め固めて新畦を形成する畦形成装置31、および作業状態では畦上面側に展開され、非作業状態では盛土装置41の上方に折畳まれる畦上面削土装置51とを設ける。折畳み部にはクラッチが設けられ、非作業時には、クラッチを切断して駆動を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旧畦を修復して新たな畦を形成する畦形成機に関する。詳細には、旧畦上面を削土する畦上面削土装置が設けられた畦形成機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、盛土装置と円錐状のディスクからなる畦形成装置とを備え、旧畦上に盛土装置で土を盛り上げ、次いで、畦形成装置を回転させて盛土を上から締め固めて、旧畦上に新たな畦を形成する畦形成機が知られている。更に、そのような畦形成機に、旧畦上面を削土する畦上面削土装置が設けられたものも知られている。
特許文献1及び特許文献2に記載の畦形成機は、いずれも、盛土装置、畦形成装置および畦上面削土装置を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−131196号公報
【特許文献2】特開2002−95303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
畦形成作業を行う場合に、水田圃場の畦の形状は千差万別であり、畦の斜面部が高く形成されていて畦上面を形成しない場合は、畦上面削土装置や畦形成装置の上面を形成する上面ローラを取り外して畦の斜面のみを成形する作業も行われる。これは、一筆の圃場においても上面の高さが異なる場合や前記のような状態となっている場合もある。また、畦に草等が少なく比較的高さも安定した畦の作業では畦上面削土装置を使用せずに作業が可能な場合もある。このような場合に、各部の取り外しが容易ではないために、一筆の圃場において全周に亘り作業ができない場合や、畦上面削土が不要でも作業を行わざるを得ないために動力を無駄に多く使用する不都合がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の畦形成機では、畦上面削土装置の不必要時にも畦上面削土装置を畦上面から解除することは想定されていない。
一方、特許文献2記載の畦形成機では、畦上面削土装置の不必要時には、畦上面削土装置を上方に上げて畦から解除することは可能である(特許文献2[0018]参照)。しかし、特許文献2では、解除された畦上面削土装置をどのように収納するかについては、言及されていない。
【0006】
このため本発明の目的は、畦上面削土装置の不必要時における畦上面削土装置の容易に適切な退避を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、旧畦の一部とその裾部を削土するとともに、削土した土を旧畦に盛り上げる盛土装置と、該盛土装置により盛り上げられた盛土を締め固める畦形成装置と、旧畦の上面を削土する畦上面削土装置を有する畦成形機において、畦上面削土装置は、畦上面から離反する上方向に回動して折り畳み可能であり、折り畳まれた畦上面削土装置は前記盛土装置の上方部に位置することを特徴とした畦形成機を提案する。
【0008】
また、畦上面削土装置は、畦上面側に展開された作業状態から上方にほぼ180度角回動して折り畳まれることを特徴とした0007欄記載の畦形成機を提案する。
【0009】
さらに、畦上面削土装置の折り畳み部の畦成形機本体側と対向離間する動力伝達軸にはクラッチが設けられていて、畦上面削土装置を畦上面側に展開して畦上面を削土する畦形成作業状態と、畦上面削土装置を折り畳んで畦上面を削土しない畦形成作業状態とに切り替え可能であることを特徴とした0007欄又は0008欄記載の畦形成機を提案する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、本発明の畦上面削土装置は、畦成形作業状態で成形畦側に展開して畦上面削土作業を行う場合と、畦成形作業状態で成形畦から離反させて盛土装置の上方部に位置させ畦上面削土作業を非作業状態とすることが可能であるため、畦の形成条件の異なる圃場においても適切に対応できる。また、折り畳まれた畦上面削土装置は盛土装置の上方部に位置するため、折畳時の畦上面削土装置の重心を比較的低く抑えることが可能で、作業時の姿勢が安定して適切な作業が可能となる。さらに、畦上面削土装置は、畦上面側に展開された作業状態から上方にほぼ180度角回動して折り畳まれると、重心を最も低くして盛土装置の上方部に位置させることが可能となる。
【0011】
また、畦上面削土装置の折り畳み部の畦成形機本体側と対向離間する動力伝達軸にはクラッチが設けられていて、畦上面削土装置を畦上面側に展開して畦上面を削土する畦形成作業状態と、畦上面削土装置を折り畳んで畦上面を削土しない畦形成作業状態とに切り替え可能であるため、多様な圃場条件に容易に対応可能であり、折り畳むことによりクラッチで畦上面削土装置の駆動力を切断することで退避状態の作業箇所の掘削刃の回転が停止するため、畦上面削土装置を使用しない畦形成作業中の掘削刃からの危険を回避できる。したがって、本発明によれば、畦上面削土装置不必要時における畦上面削土装置の適切な退避をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】畦上面削土装置作業状態の畦形成機の右側面図である。
【図2】畦上面削土装置作業状態の畦形成機の平面図である。
【図3】畦上面削土装置非作業状態の畦形成機の右側面図である。
【図4】畦上面削土装置非作業状態の畦形成機の平面図である。
【図5】畦上面削土装置作業状態の畦形成機の駆動系を表す動力系統図である。
【図6】畦上面削土装置作業状態の畦形成機の畦上面削土装置及び盛土装置の一部拡大後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の一形態を、図1乃至図6に基づいて説明する。図1は畦上面削土装置が作業状態の畦形成機の右側面図、図2は畦上面削土装置が作業状態の畦形成機の平面図、図3は畦上面削土装置が非作業状態の畦形成機の右側面図、図4は畦上面削土装置が非作業状態の畦形成機の平面図、図5は畦上面削土装置を有する畦形成機の駆動系を表す動力系統図、図6は畦上面削土装置が作業状態の畦形成機の一部拡大後面図である。なお、図6では、畦の形状が一点鎖線で示されている。また、図6では、ディスク33は省略されている。
【0014】
図1〜図6において、11は、畦形成機に備わる装着フレームである。装着フレーム11は、トラクタ(図示せず)の後方に取り付けられて用いられる。装着フレーム11は、畦形成機において、トラクタが取り付けられる側(図1における右側)の端部である進行方向前方側に設けられる。装着フレーム11には、1個のトップブラケット12が上部の中央に、ロアピン13、14が下部の両端に、それぞれ取り付けられていて、これらによりトラクタの三点リンク機構に連結され装着される。
【0015】
15は、入力軸である。入力軸15は、トラクタ側の駆動力の出力軸であるPTO軸(図示せず)に連結され、トラクタの駆動力を畦形成機に伝動する。21は、支持フレームである。支持フレーム21は、図2および図4に図示されるように装着フレーム11の後方側に設けた略鉛直方向に延びる水平回動軸22を介して、装着フレーム11に取り付けられている。このため、支持フレーム21は、水平回動軸22を回動中心として装着フレーム11に対して水平面内で回動する。
【0016】
23は、回動シリンダである。回動シリンダ23の一端は、装着フレーム11に取り付けられる。また、回動シリンダ23の他端は、支持フレーム21に取り付けられる。回動シリンダ23が伸縮することにより、支持フレーム21は、水平回動軸22を回転中心として、水平面内で回動する。回動シリンダ23が伸縮して、水平回動軸22を回動中心として支持フレーム21が回動することで、畦形成部のトラクタからの側方へのオフセット量を調整する。
【0017】
31は、畦形成装置である。畦形成装置31は、支持フレーム21の進行方向後方側の端部に取り付けられている。畦形成装置31は、畦形成装置回転軸32と、ディスク33と、円筒部34とを備える。
【0018】
ディスク33は、円錐台状をなし、円錐台先端側を旧畦側面に向けて畦形成装置回転軸32に取り付けられる。ディスク33の表面には、複数の金属板が貼り付けられる。畦形成作業時には、ディスク33の表面は傾斜している旧畦側面の盛土装置41で盛り上げた盛土に当接させ、このディスク33を回転させるとともに進行させることで盛土を締め固めて、旧畦側面上に新畦側面の傾斜面を成形する。ディスク33は、畦に押しつけられて畦側面を成形するための必要な強度と重量を有する。
【0019】
円筒部34は、水平方向の円筒状をなし、ディスク33の円錐台先端側に取り付けられる。円筒部34は、畦形成作業時には、外周を旧畦上面の盛土に接しさせて回転され、新畦の上面を成形する。
【0020】
41は、盛土装置である。盛土装置41は、畦形成装置31よりもトラクタ側即ち進行方向前方側の畦形成装置31直前に設置される。盛土装置41は、盛土装置回転軸42と、複数の掘削刃43と、カバー44とを備える。掘削刃43は、それぞれ先端を畦傾斜面側に屈曲させて、盛土装置回転軸42に取り付けられる。掘削刃43は、旧畦の斜面と斜面裾部を掘削するとともに、掘削した土を畦側面及び上面に飛散して盛土を形成する。カバー44は、盛土装置41の上部に設置され、掘削刃43が掘削する土の上方への飛散を防止するとともに畦側に土を誘導する。
【0021】
掘削刃43は、掘削する畦の斜面及び斜面下部の圃場面を掘削し、土を飛散させて旧畦上に土を盛り上げる。これに対して、畦形成装置31のディスク33は、畦の側面傾斜面全面に当接されて回転され、畦の側面傾斜面を成形する。このような機能の違いから、畦形成装置31のディスク33の径は、図1に図示されるように、盛土装置41に取り付けられた各掘削刃43先端までの径よりも大である。他方、ディスク33の円錐台状外端部が作業される畦の斜面下端の基部に併せて設置される。このため、畦形成機に取り付けられたディスク33および盛土装置41に取り付けられた各掘削刃43の下端は略同じ高さに位置付けられる。そのため、盛土装置41の上部には、スペースAが設けられることになる。本実施の形態では、以下に示すようにして畦上面削土装置51をスペースAに収納させることにより、スペースAが有効利用される。
【0022】
51は、畦上面削土装置である。畦上面削土装置51は、盛土装置41と畦形成装置31との間に設置される。畦上面削土装置51は、畦上面削土装置回転軸52と、回転軸側クラッチ53と、掘削刃側クラッチ54と、複数の掘削刃55と、掘削刃取り付け軸56と、カバー57と、回動軸58と、畦上面削土装置側第3スプロケット81、チェーン82と、掘削刃取り付け軸スプロケット83とを備える。
【0023】
掘削刃55は、それぞれ先端を畦傾斜面側に屈曲させて、掘削刃取り付け軸56に取り付けられる。掘削刃55は、その下端が畦上面部に位置する必要がある。このため、掘削刃55の下端は、畦形成装置31の下端及び盛土装置41の下端のいずれよりも高い位置に設置される。掘削刃55は、回転され旧畦の上面を掘削する。カバー57は、畦上面削土装置51の上部に設置され、掘削刃55が掘削する旧畦の土の上方への飛散を防止する。
【0024】
図5、図6に図示されるように、畦上面削土装置回転軸52の先端には、回転軸側クラッチ53が取り付けられる。掘削刃側クラッチ54は、掘削刃取り付け軸56に取り付けられる。この掘削刃取り付け軸56には、掘削刃55が取り付けられている。畦上面削土装置回転軸52と掘削刃取り付け軸56とは、回動軸58を介して回動自在に連結されている。回動軸58は、図3に図示されるように、進行方向と平行であるとともに後方に傾斜させて設けている。回動軸58の傾斜角度は、本実施の形態では、水平面に対してほぼ30度である。ここで、この傾斜角度は、水平面に対して15度から80度の範囲が望ましい。これにより、畦上面削土装置を非作業状態とした場合に重心が前方に移動し、作業バランスが良好となる。
【0025】
さらに、展開した作業状態から180度角回動して折り畳むと、盛土装置41の上部のスペースAを有効利用してコンパクトに構成可能であるとともに、上下方向の重心を最も低くして盛土装置41の上方部に位置させることが可能となり、作業時の姿勢が安定して適切な作業が可能となる。
【0026】
畦上面削土装置側第3スプロケット81は、畦上面削土装置回転軸52に取り付けられる。掘削刃取り付け軸スプロケット83は、掘削刃取り付け軸56に取り付けられる。チェーン82は、畦上面削土装置側第3スプロケット81と掘削刃取り付け軸スプロケット83との間に掛け渡される。
【0027】
61は、ゲージ輪である。このゲージ輪61は、畦とは反対側となる圃場の側に設置される。ゲージ輪61は金属製の円錐板をなしていて、外周部が圃場面に刺さり込み畦形成部の高さを調整するとともに、畦からの成形圧を受けとめて、畦形成機走行時の直進性を保持させる機能を有する。
【0028】
次に図5に従い、駆動系の詳細を説明する。
【0029】
71は、ユニバーサルジョイントである。ユニバーサルジョイント71は、入力軸15に接続され入力軸15からの駆動力を受け、他端を支持フレーム21に設けた第1ギヤケース72の入力軸に接続されて、回転駆動する。第1ギヤケース72は、ベベルギヤを内蔵し、ユニバーサルジョイント71から入力された駆動力をこのベベルギヤを介して下方の水平方向に回動自在に設けた第2ギヤケース73に動力が伝達される。第2ギヤケース73は、ベベルギヤを内蔵し、第1ギヤケース72から入力された駆動力を受け回転駆動する。第2ギヤケース73が受領した駆動力は、ベベルギヤを介して水平方向の畦上面削土装置回転軸52に伝達される。畦上面削土装置回転軸52に伝達された駆動力は、回転軸側クラッチ53および掘削刃側クラッチ54を介して、畦上面削土装置側第3スプロケット81に伝えられる。畦上面削土装置側第3スプロケット81に伝えられた駆動力は、チェーン82、掘削刃取り付け軸スプロケット83を介して、掘削刃取り付け軸56に伝えられる。
【0030】
74は、畦上面削土装置側第1スプロケットである。畦上面削土装置側第1スプロケット74は、畦上面削土装置回転軸52に取り付けられる。75は、盛土装置側スプロケットである。盛土装置側スプロケット75は盛土装置回転軸42に取り付けられる。76は第1チェーンである。第1チェーン76は、畦上面削土装置側第1スプロケット74と盛土装置側スプロケット75との間に張り渡される。
【0031】
77は、畦上面削土装置側第2スプロケットである。畦上面削土装置側第2スプロケット77は、畦上面削土装置側第1スプロケット74に並べて畦上面削土装置回転軸52に取り付けられる。78は、畦形成装置側スプロケットである。畦形成装置側スプロケット78は、畦形成装置回転軸32に取り付けられる。79は、第2チェーンである。第2チェーン79は、畦上面削土装置側第2スプロケット77と畦形成装置側スプロケット78との間に張り渡される。
【0032】
上記に述べた畦形成機を用いて畦を形成する場合、まず、畦形成装置31のディスク33を、旧畦の斜面に設置する。そして、畦形成装置31の円筒部34を、ディスク33が設置された旧畦の上面に設置する。また、盛土装置41を、ディスク33が設置された旧畦の斜面の進行方向前方の直前の箇所に設置する。畦上面削土装置51は、盛土装置41とディスク33とが設置された旧畦の上面に設置する。
【0033】
次いで、畦形成機をトラクタで牽引する。このとき、トラクタPTO軸からの駆動力は、入力軸15、ユニバーサルジョイント71、第1ギヤケース72、第2ギヤケース73を経て、畦上面削土装置回転軸52に伝えられる。畦上面削土装置回転軸52に伝えられた駆動力は、畦上面削土装置側第1スプロケット74、第1チェーン76、盛土装置側スプロケット75を介して、盛土装置回転軸42に伝えられる。盛土装置回転軸42の駆動により、複数の掘削刃43は回転される。盛土装置41は、複数本の削土爪で旧畦の斜面及び斜面下の圃地面を切削する。
【0034】
また、畦上面削土装置回転軸52に伝えられた駆動力は、回転軸側クラッチ53および掘削刃側クラッチ54、畦上面削土装置側第3スプロケット81、チェーン82、掘削刃取り付け軸スプロケット83を介して、掘削刃取り付け軸56に伝えられる。掘削刃取り付け軸56の回転により複数の掘削刃55を回転させる。畦上面削土装置51では、旧畦の上面の土を削土して、雑草等を削り、同時に、畦上面表面の凹凸を一定に掘削する。
【0035】
畦上面削土装置回転軸52に伝えられた駆動力は、畦上面削土装置側第2スプロケット77、第2チェーン79、畦形成装置側スプロケット78を介して、畦形成装置回転軸32に伝えられる。畦形成装置回転軸32の駆動により、ディスク33と、円筒部34とが、回転する。ここで、畦形成装置31の周速は、トラクタおよび畦形成機の走行スピードよりも速くなるように予め設定されている。このため、ディスク33は旧畦の側面に対し、円筒部34は旧畦の上面に対し、それぞれスリップしながら接触し回転して、接土表面を締め固める。
【0036】
畦形成機が整畦作業中において畦上面削土装置を非作業状態とするには、掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57を進行方向と平行であるとともに後方に傾斜させ畦上面削土装置回転軸52と直交する回動軸58を中心として上方向に回動する。掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57は、図6に示す一点鎖線の位置(もしくは、図3に図示される位置)に位置付けられる。このとき、畦上面削土装置回転軸52に設けた回転軸側クラッチ53と掘削刃側クラッチ54との噛み合わせは解除される。他方、掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57を回動させてこれらを折り畳み方向と逆方向に回動させることで、これらは図6の実線で表されるように位置付けられ、回転軸側クラッチ53と掘削刃側クラッチ54との噛み合わせが維持される。すなわち、畦上面削土装置51の作業位置と非作業位置との回動移動により回転軸側クラッチ53と掘削刃側クラッチ54とが噛み合わされることで駆動力は伝導され、クラッチの噛み合わせが解除されることで駆動力の伝動は解除される。
【0037】
ところで、回動軸58を回動中心として、クラッチの噛み合わせを解除させて折り畳むために、掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57を回動させる。このとき、回動軸58は、進行方向と平行であるとともに後方に傾斜させ畦上面削土装置回転軸52と直交するため、これらは、図3に図示されるようにトラクタ側上方にすなわち作業時に比較して斜め前に移動されて、盛土装置41上部のスペースAに位置される。すなわち、本実施の形態では、盛土装置41上部に生ずるスペースAを有効活用して、非作業時の畦上面削土装置51を収納することが実現される。更に、畦形成装置31は重量物からなるため、回動軸58を挟んで畦形成装置31と反対側に掘削刃取り付け軸56および掘削刃55およびカバー57は、折りたたまれる。これにより、重心が前方のトラクタ側に移動するため、折り畳み時における重量バランスが優れる。
【0038】
また、本実施の形態の畦形成機では、掘削刃55等を収納するために斜め前に上げると同時にクラッチが切れて、掘削刃取り付け軸56および掘削刃55は駆動されなくなる。掘削刃55がカバー57で覆われることなく上向きにむき出しとなっても駆動していないため、安全性が高まる。なお、掘削刃取り付け軸56、掘削刃55及びカバー57等を有する畦上面削土装置51の回動は、回動軸58の周囲に設けた回動固定穴90に固定ピンを挿入して、作業位置及び非作業位置のそれぞれの位置に固定する。また回動は電動シリンダ等を介在させて作動させても良い。
【0039】
本実施の形態において、畦上面削土装置51は、盛土装置41と畦形成装置31との間に設けられているが、盛土装置41の前方側に設けられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、トラクタ等の走行機後方に装着されて側方にオフセットして畦形成作業を行う畦形成機に利用される。
【符号の説明】
【0041】
11 装着フレーム
12 トップブラケット
13,14 ロアピン
15 入力軸
21 支持フレーム
22 水平回動軸
23 回動シリンダ
31 畦形成装置
33 ディスク
34 円筒部
41 盛土装置
42 盛土装置回転軸
43 掘削刃
51 畦上面削土装置
52 畦上面削土装置回転軸
53 回転軸側クラッチ
54 掘削刃側クラッチ
55 掘削刃
56 掘削刃取り付け軸
57 カバー
58 連結軸
61 ゲージ輪
71 ユニバーサルジョイント
72 第1ギヤケース
73 第2ギヤケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旧畦の一部とその裾部を削土するとともに、削土した土を旧畦に盛り上げる盛土装置と、該盛土装置により盛り上げられた盛土を締め固める畦形成装置と、旧畦の上面を削土する畦上面削土装置を有する畦成形機において、
畦上面削土装置は、畦上面から離反する上方向に回動して折り畳み可能であり、折り畳まれた畦上面削土装置は前記盛土装置の上方部に位置することを特徴とした畦形成機。
【請求項2】
畦上面削土装置は、畦上面側に展開された作業状態から上方にほぼ180度角回動して折り畳まれることを特徴とした請求項1記載の畦形成機。
【請求項3】
畦上面削土装置の折り畳み部の畦成形機本体側と対向離間する動力伝達軸にはクラッチが設けられていて、畦上面削土装置を畦上面側に展開して畦上面を削土する畦形成作業状態と、畦上面削土装置を折り畳んで畦上面を削土しない畦形成作業状態とに切り替え可能であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の畦形成機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−135808(P2011−135808A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297340(P2009−297340)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】