説明

番組サーバ装置及び番組素材再生方法

【課題】低コストで再編集を行うことなく再生中の系統の番組素材を別の系統の番組素材に切り替え得る番組サーバ装置を提供する。
【解決手段】メモリ112に記録されている複数系統の番組素材データ(素材A,素材B)それぞれを系統別にデコーダ116,117によってベースバンドの番組素材信号に復号しておき、切替器118によって切替指示が入力されたときに出力中の素材Aの復号出力を待機中の素材Bの復号出力に切り替えるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば放送番組で使用する複数系統の映像/音声等の素材(コンテンツ)のうち1系統の素材を選択的にベースバンドの映像/音声信号に再生し出力する番組サーバ装置及び番組素材再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えばTV放送やラジオ放送の番組素材を送出する番組送出システムにあっては、番組素材を記録し、任意のタイミングで番組素材を再生するビデオサーバが使用されている。
【0003】
ところで、このようなシステムでは、放送波により放送すべき番組素材をVTR(Video Tape Recorder)等の映像用編集装置により編集し、この編集した番組素材をビデオサーバに転送して記録するようにしている。
【0004】
ところが、上記システムでは、ビデオサーバへの記録後の番組素材にノイズ等が見つかったり、途中で別の番組素材を挟みたい場合に、映像用編集装置による再編集が必要となり、多くの手間と時間がかかる。
【0005】
なお、従来では、現用系のビデオサーバと予備系のビデオサーバとを備え、各系のビデオサーバで再生される番組素材の切り替えを行う技術が考えられている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−351284公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記技術では、現用系のビデオサーバと予備系のビデオサーバとを用意する分設備コストがかかるとともに、設置スペースも多く必要とする。
【0007】
そこで、この発明の目的は、低コストで再編集を行うことなく再生中の系統の番組素材を別の系統の番組素材に切り替え得る番組サーバ装置及び番組素材再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明に係わる番組サーバ装置は、記録媒体に記録され符号化された複数系統の番組素材データのうち1系統の番組素材データを選択的にベースバンドの番組素材信号に再生し出力する番組サーバ装置において、各系統ごとに設けられ、記録媒体から読み出された番組素材データを番組素材信号に復号する復号手段と、各系統の復号出力を取り込み、切替指示入力に応じて出力系統の切り替えを行う切替手段とを備えるようにしたものである。
【0009】
この構成によれば、記録媒体中の複数系統の番組素材データそれぞれを系統別にベースバンドの番組素材信号に復号しておき、切替指示入力に応じて出力中の番組素材信号を待機中の番組素材信号に切り替えるようにしている。
【0010】
従って、1台の装置で再生素材の差替え機能を実現できるので、低コストで再編集を行うことなく再生中の系統の番組素材を別の系統の番組素材に切り替えることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上詳述したようにこの発明によれば、低コストで再編集を行うことなく再生中の系統の番組素材を別の系統の番組素材に切り替え得る番組サーバ装置及び番組素材再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、この発明の一実施形態となる番組素材編集システムの構成を示すもので、11はビデオサーバである。なお、ここでは説明を簡単にするため、ビデオサーバ11の入力チャンネル(系統)数を1チャンネルとし、出力チャンネル数を1チャンネルとする。
【0014】
この実施形態では、ビデオサーバ11の入力チャンネルにVTRやDVD(Digital Versatile Disk)レコーダといった入力機器12を接続している。
【0015】
上記ビデオサーバ11及び入力機器12は、制御LAN(Local Area Network)13を介して端末装置14に接続される。
【0016】
上記端末装置14は、入力機器12に対し、ユーザ指定入力操作による制御コマンドに従って任意の映像素材及び任意の音声素材を送出させ、ビデオサーバ11に対し記録開始制御及び再生開始制御を行う。なお、制御コマンドには、いつ実行するかの旨を示すタイミング情報が含まれている。
【0017】
図2は、上記ビデオサーバ11の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
ビデオサーバ11において、データバス111上にはメモリ112、エンコーダ113、LANインタフェース114、CPU115、デコーダ116,117が接続される。ここで、メモリ112には、エンコーダ113により圧縮符号化された複数の番組素材データ(ここでは、2系統の素材A,素材Bを示す)が格納されている。
【0019】
LANインタフェース114には、端末装置14からの制御コマンドと自動番組送出制御装置(図示せず)からの再生指令が入力される。この再生指令には、放送イベント時刻や送出すべき素材IDが含まれている。
【0020】
CPU115は、LANインタフェース114に入力された制御コマンドに基づいて、メモリ112から該当する複数の番組素材データを読み出し、デコーダ116,117に入力する。これらデコーダ116,117の復号出力は、CPU115からの切替指示に応じて、切替器118によって選択的に導出される。
【0021】
次に、上記構成における処理動作について説明する。図3は、端末装置14の制御処理手順を示すフローチャートである。
ビデオサーバ11に対し番組素材の記録を行なう場合にオペレータは、端末装置14を起動する。このとき、ビデオサーバ11及び入力機器12は電源ONの状態であるものとする。
【0022】
すると、端末装置14は、入力機器12に記録されている映像素材/音声素材のリストをディスプレイ141に表示する(ステップST3a)。そして、この状態でオペレータがビデオサーバ11への記録を希望する映像素材/音声素材をキーボード/マウス142により選択指定すると、端末装置14は、ステップST3bからステップST3cに移行してここで上記選択指定された2種類の素材A,素材Bが記録される入力機器12に対し再生開始の制御コマンドを送出し、ビデオサーバ11に対し収録開始の制御コマンドを送出する。
【0023】
これにより、ビデオサーバ11のメモリ112に素材A、素材Bが記録される。
【0024】
ビデオサーバ11では、端末装置14からの制御コマンドもしくは自動番組送出制御装置からの再生指令により、メモリ112に記録された素材A、素材Bを読み出し、それぞれ対応するデコーダ116,117に入力してこれらデコーダ116,117の復号出力を切替器118に入力する。ここでは、素材Aが切替器118により切替導出されているものとする。
【0025】
CPU115では、端末装置14により切替指示信号が与えられると、切替器118を素材Aの復号出力から素材Bの復号出力に切り替える。すると、図4に示すように、ビデオサーバ11から素材Aに素材Bが差し替えられたオンエアー出力が得られる。
【0026】
使用方法としては、
A素材は一気に記録したいが、途中でAの代わりにB素材を挟みたい
Aをビデオサーバ11に記録したが一瞬ノイズ等の傷があり、別途記録した正常部分Bと差し替えたい
VTRテープ搬入時期のズレにより、後追いでBを記録し、編集無しで差し替えたい
などがある。
【0027】
以上のように上記実施形態では、ビデオサーバ11において、メモリ112に記録されている複数系統の番組素材データ(素材A,素材B)それぞれを系統別にデコーダ116,117によってベースバンドの番組素材信号に復号しておき、切替器118によって切替指示が入力されたときに出力中の素材Aの復号出力を待機中の素材Bの復号出力に切り替えるようにしている。
【0028】
従って、1台のビデオサーバ11で再生素材の差替え機能を実現できるので、低コストで再編集を行うことなく再生中の系統の素材Aを別の系統の素材Bに差し替えることができる。
【0029】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、2つの素材A,Bの差替えを行う例について説明したが、さらに差し替える番組素材の数を増加しても同様に実施可能である。
【0030】
その他、番組素材編集システムの構成、ビデオサーバの構成、番組素材の差替手順等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態となる番組素材編集システムの構成を示すブロック図。
【図2】図1に示したビデオサーバの要部構成を示すブロック図。
【図3】図1に示した端末装置の制御手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態において、再生中の番組素材が別の番組素材に差し替えられた状態を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0032】
11…ビデオサーバ、12…入力機器、13…制御LAN、14…端末装置、111…データバス、112…メモリ、113…エンコーダ、114…LANインタフェース、115…CPU、116,117…デコーダ、118…切替器、141…ディスプレイ、142…キーボード/マウス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録され符号化された複数系統の番組素材データのうち1系統の番組素材データを選択的にベースバンドの番組素材信号に再生し出力する番組サーバ装置において、
各系統ごとに設けられ、前記記録媒体から読み出された番組素材データを番組素材信号に復号する復号手段と、
各系統の復号出力を取り込み、切替指示入力に応じて出力系統の切り替えを行う切替手段とを具備したことを特徴とする番組サーバ装置。
【請求項2】
記録媒体に記録され符号化された複数系統の番組素材データのうち1系統の番組素材データを選択的にベースバンドの番組素材信号に再生し出力する番組素材再生方法において、
各系統ごとに、前記記録媒体から読み出された番組素材データを番組素材信号に復号し、
各系統の復号出力を取り込み、切替指示入力に応じて出力系統の切り替えを行うことを特徴とする番組素材再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−72645(P2008−72645A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251602(P2006−251602)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】