説明

異なるネットワーク技術に跨って顧客装置内において計測を実行するシステム及び方法

【課題】 顧客の観点から、異なる技術カバレージエリア内において享受するサービスレベルに関する能力を認知できるシステムを提供する。
【解決手段】上述した課題は、異なるネットワーク技術をサポートしている複数の技術カバレージエリア(4、6)を具備した通信ネットワーク(2)アーキテクチャにおいて、サービスプロバイダは、技術カバレージエリア間において自身の顧客がローミングする際の顧客の経験を監視している。顧客のモバイル装置(12)上にインストールされたソフトウェアなどのエージェントが、ネットワーク技術に関係したパラメータ(32)を計測(22、24、34、44)し、計測されたパラメータを通信ネットワーク(2)上においてサービスプロバイダに対して伝達(28、40、42)することにより解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の分野に関するものであり、更に詳しくは、無線通信ネットワークに関するものである。これは、他の分野の中でも、GPRS及びIDENなどのネットワークとIEEE802.11規格に準拠したネットワークに対する適用可能性を具備している。
【背景技術】
【0002】
一般的な通信アーキテクチャにおいては、ユーザーは、基地局やサーバーなどの1つ又は複数のノードと通信するべく結合されており、これらのノードが、今度は、インターネットなどの公衆通信ネットワークと通信するべく結合されており、これらの公衆通信ネットワークが、そのネットワーク内において、技術カバレージエリアを技術的にサポートしている。このようなユーザー間における通信は、その個々の基地局を通じ、且つ、公衆ネットワークに跨って伝播する。このようなユーザーは、ラップトップ又はその他の携帯型コンピュータや携帯電話機などのモバイル装置を利用している。
【0003】
所与の技術カバレージエリアは、そのネットワーク技術の点で特徴を有している。このようなネットワーク技術においては、利用可能なサービス及び動作パラメータの個別のメニューが提供されることになる。所与のネットワーク技術をサポートしているサービスプロバイダは、その顧客に提供されているサービスに関する多数のデータへのアクセスを具備することになる。このデータの大部分は、サポートされているネットワーク技術に関連したものとなる。サービスプロバイダは、基地局及びネットワーク内のその他の場所における様々なシステムインフラストラクチャのコンポーネントを監視することにより、このデータに対してアクセスする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サービスプロバイダは、従来、専用の試験装置を使用すると共に、「駆動」試験を実行することにより、自身のネットワークの内外においてネットワーク性能を計測している。サービスプロバイダは、例えば、その他のネットワーク技術において提供されているサービスレベル及び性能品質について理解するべく、自身の顧客の調査を実施している。又、予想される環境をシミュレートするべく、テストラボも設けられている。しかしながら、これらの方法は、顧客の経験を直接的に計測することができないという欠点を有している。
【0005】
サービスプロバイダは、従来、自身の顧客によって使用されているネットワーク及びサービスの性能に関する非常に限られた認知能力しか具備していない(或いは、認知能力をまったく具備していない)。これは、特に、新しいネットワーキング技術によるサービスの展開を始める際に、サービスプロバイダにとって重大な欠点となりうる。このような際には、サービスプロバイダは、問題を処理するべく、或いは、自身の顧客のニーズに対応するために、このような性能に関する情報を必要とする。
【0006】
又、この欠点は、顧客装置が、サービスプロバイダによって提供されている異なるネットワーク技術(又は、サービスプロバイダによってサポートされているものとは異なる技術)をサポートしている技術カバレージエリア内に「ローミング」する(即ち、場所間において移動する)能力を獲得した場合に重大となる。このようなその他の技術カバレージエリアは、サービスプロバイダの技術とは異なる(或いは、サービスプロバイダが制御不能な)ネットワーキング技術を利用している可能性があろう。この異なる技術に起因して、従来、サービスプロバイダは、顧客がその他の技術カバレージエリア内において享受しているサービスレベルに関する認知能力をほとんど(又は、まったく)具備していない。
【0007】
例えば、サービスプロバイダの顧客が、サービスプロバイダのGPRSネットワークとIEEE802.11x規格に基づいた無線LAN(Local Area Network)の間においてスイッチングする能力を有するGPRS携帯電話機を使用する可能性があろう。顧客は、自身のモバイル装置を無線ホットスポットにおいて、或いは、サービスプロバイダの技術カバレージエリア外に位置している顧客の自宅において使用することを望む可能性があろう。ユーザーが経験しているシステムの性能を直接反映した情報をサービスプロバイダが取得できないことにより、不都合なことに、顧客に効果的なサポートを提供するためのサービスプロバイダの能力が制限されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
顧客のモバイル装置は、モバイル装置上にインストールされたソフトウェアエージェントなどのエージェントを含んでおり、このエージェントが、通信ネットワークアーキテクチャ内のモバイル装置の性能に関係したパラメータを計測する。モバイル装置は、計測されたパラメータを通信ネットワークを通じてサービスプロバイダに伝送する。
【0009】
従って、サービスプロバイダは、顧客の観点からシステムの性能に対して直接的にアクセス可能であり、且つ、この情報を使用して顧客に対するサービスを改善することができる。サービスプロバイダは、顧客が別のネットワーク技術においてローミングしている際の自身の顧客の経験について理解するべく利用可能なリアルタイム又は略リアルタイムのデータを具備することができる。
【0010】
以下、本発明の更なる特徴及び利点、並びに、本発明の好適な実施例の構造及び動作について、添付の模範的な図面を参照して詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(用語の解説)
本発明に関する説明においては、以下の用語は、それぞれ以下に規定されている意味を具備している。
【0012】
「基地局」とは、通信ネットワーク上におけるユーザーの通信を円滑に実行するべく、一般にサービスプロバイダによって提供及び運営されているネットワークノードやサーバーなどを意味している。
【0013】
「顧客」とは、携帯電話機やラップトップコンピュータなどの通信装置を所有し、且つ、ネットワーク通信サービスに関してサービスプロバイダと加入契約を結んでいる個人又はその他の当事者を意味している。「ユーザー」及び「モバイルユーザー」という用語も、「顧客」と相互交換可能に使用されている。
【0014】
「ホームサービスプロバイダ」とは、所与の顧客において、その顧客がネットワーク通信サービスの加入契約を結んでいるサービスプロバイダを意味している。
【0015】
「モバイル装置」とは、顧客によって所有又は保持されており、通信ネットワーク上において通信する能力を有し、且つ、顧客が、その顧客のそのモバイル装置の使用法に従って、ある場所から別の場所に携行し、それらの個々の場所において使用可能である1つの装置を意味している。「モバイル機器」及び「モバイル装置」という用語も、「モバイル装置」と相互交換可能に使用されている。
【0016】
「ネットワーキング技術」とは、所与のサービスプロバイダが通信ネットワーク上における通信を実現するべく利用する通信技術、規格、プロトコル、フォーマットなどを意味している。ネットワーキング技術の例には、GPRS(General Packet Radio Service)及びIDEN(Integrated Enhanced Digital Network)が含まれる。
【0017】
「サービスプロバイダ」とは、通信ネットワーク上において通信を送受信するための装置及び手段を維持しており、且つ、通信ネットワーク上において通信するべく、顧客がサービスプロバイダの送受信装置及び手段を利用する際に準ずる加入者サービスを顧客に対して提供している当事者を意味している。
【0018】
「技術サービスエリア」とは、所与のサービスプロバイダにおいて、そのサービスプロバイダがネットワーク通信サービスを提供している地理的な又はその他のエリアを意味している。通常、技術サービスエリア内における顧客からの通信は、その所与のサービスプロバイダによって提供及び維持されている基地局を通じてルーティングされることになる。所与の技術サービスエリアは、そのサービスプロバイダが利用及びサポートしている個々のネットワーキング技術によって特徴付けられる。一般に、顧客の通信装置は、そのホームサービスプロバイダが利用しているネットワーキング技術と一貫性を有する通信装置及びソフトウェアを使用することになるが、装置及びソフトウェアが、その他のネットワーキング技術を使用して通信する能力を有していてもよい。
【0019】
(詳細な説明)
本発明の様々な実施例が実施され得る環境の一例を図1のブロックダイアグラムに示す。通信ネットワーク2は、地理的な領域などの領域をカバーしており、この内部においては、第1及び第2サービスプロバイダが、個々の技術カバレージエリア4及び6内においてカバレージを提供している。個々の技術カバレージエリア4及び6内には、ユーザーの通信を円滑に実行するべく、基地局8及び10として示されているサービスプロバイダのサーバー装置が提供されている。従って、例えば、第1サービスプロバイダの顧客は、第1サービスプロバイダの技術カバレージエリア4内に位置している際には、通信ネットワーク2に対してアクセスするべく、無線又はその他の通信リンク14によって基地局8と通信する。
【0020】
本発明について説明するべく、前述の用語解説における定義に従って、第1サービスプロバイダを「ホームサービスプロバイダ」と呼ぶこととする。尚、基地局8及び10は、概略的に図示されているが、これらは、異なる技術カバレージエリア技術、サービスメニュー、利用可能なパラメータなどを提供する様々なサービスプロバイダにおいて、適宜、異なる方式で実装されていることを理解されたい。
【0021】
顧客は、一般に、モバイル装置12として示されているモバイル装置を利用している。モバイル装置12は、その様々な可能な装置に加えて、プロセッサ、メモリ、及び無線通信インターフェイスを含んでいる。例えば、モバイル装置12は、ラップトップコンピュータ、携帯電話機、ハンドヘルドPDA(Personal Digital Assistant)装置、又は無線センサを包含することが可能であろう。図示のように、モバイル装置12は、技術カバレージエリア4から異なる技術カバレージエリア6に移動可能である。これを実行すると、モバイル装置は、例えば、再度、無線又はその他の通信リンク18により、基地局10と通信することになる。
【0022】
第2サービスプロバイダ(これは、技術カバレージエリア6内においてサービスを提供している)は、第1サービスプロバイダとは異なる通信技術を利用することができる。従って、駆動試験しか実行することができない従来のシステムは、モバイル装置12の性能に関する(時間及び空間の両方における)深刻なアンダーサンプリングを提供することになる。
【0023】
又、このような従来の方法は、顧客の観点から計測値を提供していない。即ち、サービスプロバイダが入手可能な計測値は、モバイル装置12が実際に経験している性能を必ずしも正確に反映していないのである。
【0024】
本発明の一実施例においては、顧客が位置している場所において、且つ、顧客が装置を使用している時点において、計測を実行している。計測値は、モバイル装置12において(即ち、この上部において)取得されている。従って、サービスプロバイダは、顧客がネットワーク技術を跨って移動した時の顧客の経験に関する明瞭な認知能力を具備している。この結果、これをサービスプロバイダに提供していない従来のシステムよりも、格段に良好な顧客の経験に関する表現が提供される。
【0025】
本発明の一実施例は、(A)顧客装置上にインストールされた又はインストール可能なソフトウェアエージェント(1.エージェントは、ホームプロバイダのサーバーと通信する能力を有している。2.エージェントは、ある期間にわたって計測値を保存する能力を有している。3.エージェントは、ホームプロバイダにとって有用な計測を実行する能力を有している。)と、(B)エージェントを構成し且つデータを収集するサーバーと、を含んでいる。
【0026】
図2は、ラップトップコンピュータや携帯電話機などの図1の1つのモバイル装置12のブロックダイアグラムであり、本発明のエージェントの一実施例を示している。
【0027】
モバイル装置12は、全般的な機能20を具備しており、この特性は、その装置のタイプによって左右される。例えば、モバイル装置12がラップトップコンピュータである場合には、その全般的な機能20は、データの保存及び処理能力やユーザーインターフェイスなどを含むことになる。携帯電話機の全般的な機能20は、音声通信を含むことになろう。本発明の実施例は、後程詳述するエージェント13を更に含んでいる。
【0028】
モバイル装置12の動作に伴って、その動作パラメータが、センサ22によって検知され、パラメータストレージ24内に保存される。エージェント13は、プロセッサ26を含んでおり、これが、パラメータを処理し、それらを送信インターフェイス28を通じて通信ネットワーク上において送信する。センサ22は、ハードウェアセンサ、検知されたパラメータ値を取得するためのソフトウェアによる実装、又はこれら両方の適切な組み合わせを包含することができる。
【0029】
本発明の別の実施例においては、エージェント13は、モバイル装置12が位置する技術カバレージエリア内において利用されている技術を検知する能力を含んでいる。図2を再度参照すれば、受信インターフェイス30は、ネットワークから信号を受信しており、この信号を使用することにより、技術カバレージエリア内において利用されている技術を識別することができる。これらの信号は、プロセッサ26に供給され、このプロセッサが、信号を適切に解釈し、利用されている技術を識別する。次いで、プロセッサ26は、GPRS及びIEEE802.11規格に基づいたプロトコルなどの様々なカバレージエリア技術に相応しいパラメータの組を収容しているパラメータリスト32にアクセスする。次いで、プロセッサ26は、その技術カバレージエリア内において使用されている技術に相応しい検知パラメータ信号を受信するべく、センサ22を構成する。
【0030】
図3は、モバイル装置12のエージェント13の動作を示すフローチャートである。段階34において、(例えば、センサ22によって)パラメータを検知している。段階36において、これらの検知したパラメータを(例えば、パラメータストレージ24内に)保存している。
【0031】
モバイル装置が技術カバレージエリア4内に位置している間、モバイル装置12からの検知パラメータは、基地局8及び通信ネットワーク2を介して、モバイル装置12からホームサービスプロバイダに対して報告される。モバイル装置が技術カバレージエリア4の外部に位置している際には、モバイル装置12からの検知パラメータは、現在の技術カバレージエリアにおける基地局8の等価物を介して、モバイル装置12からホームサービスプロバイダに対して報告される。いずれの場合にも、これは、既定の時間間隔において;既定の値が検知された際に既定のパラメータの既定の値に応答して;サービスプロバイダのサーバー装置からの要求、既定量のパラメータの蓄積、技術カバレージエリアの境界の越境によるものなどのネットワーク技術の変化の検出に応答して、又は、システム設計者が選択可能なその他の時点において、実行される。
【0032】
例えば、図3の実装においては、前述の条件の中の1つが満足されるまでパラメータを蓄積している。段階38において、これを判定している。パラメータ報告書を送信する時期にまだ至っていない場合には、段階34によって更なるパラメータの検知を実行する。
【0033】
報告書を送付する時期になった場合には、エージェント13は、パラメータ報告書を作成する(段階40)。例えば、一実施例においては、プロセッサ26は、その予めプログラムされている命令及び/又はエージェント13の構成設定内容に従って、パラメータ報告書を作成する。パラメータ報告書を作成する段階は、検知したパラメータを伝送やパラメータの前処理などのためにデータパケットにパッケージングする段階を包含することが可能である。前処理は、検知したパラメータを要約する段階、統計情報を算出する段階、平均化する段階、注目すべき検知パラメータ値に対してフラグを付加する段階などを包含することが可能である。
【0034】
次いで、パラメータ報告書を、例えば、送信インターフェイス28を通じて送信する(段階42)。好適な実施例においては、エージェント13は、再度段階34を実行することにより、パラメータを検知する段階や検知されたパラメータを保存及び蓄積する段階などを継続している。
【0035】
図4は、モバイル装置12によって実行されるエージェント13の更なる機能を示すフローチャートである。図4は、モバイル装置12が(図1に示されているように)1つの技術カバレージエリアから別のものにローミングした際に、モバイル装置12が、通信技術の変化などの技術カバレージエリアに関する情報を検知できるようにする機能の一実施例である。技術カバレージエリア内において検知された変化に応答し、エージェント13は、自身が検知するパラメータを変更する。又、エージェント13は、判定の頻度を変更することも可能である。
【0036】
段階44において、エージェント13は、技術カバレージエリア内において利用されているネットワーク技術を検知している。これは、ブロードキャスト信号のトラフィックを監視して特定のネットワーク技術に特徴的なコンテンツ及びフォーマットについて分析したり、ブロードキャスト送信機識別信号を受信及び識別することによるなどの既知の方法によって実行される。このようなブロードキャスト信号は、例えば、受信インターフェイス30によって受信され、プロセッサ26により、そのプログラムされている命令に従って解釈される。或いは、この代わりに、エージェント13は、モバイル装置12からAPI(Application Programming Interface)を読み取ることにより、新しい技術カバレージエリアを識別する。
【0037】
段階46において、エージェント13は、検知した信号を使用することにより、モバイル装置12が現在位置している技術カバレージエリア内においてサポートされている技術を判定する。現在検出されているネットワーク技術と以前に検出されたネットワーク技術の間において、比較を実行することが好ましい。相違点が存在しない場合には(段階48)、エージェント13は、現在のパラメータの構成を維持し(段階49)、従前どおりの動作を継続する。相違点が存在している場合には、エージェント13は、モバイル装置12が1つの技術カバレージエリアから別のものに移動したものと結論付ける。或いは、この代わりに、モバイル装置12は、APIを読み取ることにより、現在使用されている技術を検出する。
【0038】
次いで、エージェント13は、パラメータリスト32を参照し、新しい技術カバレージエリア内において検知及び/又は変更するべきパラメータを判定する(段階50)。次いで、エージェント13は、センサ22を適宜再構成することにより、新しい技術カバレージエリアに相応しいパラメータを検知する段階を開始する(段階52)。異なるパラメータに加えて、エージェント13は、このような新しい技術の検出に応答して起動される追加コードモジュールを利用することも可能である。
【0039】
別の実施例においては、エージェント13は、例えば、受信インターフェイス30を通じて適切な通信を受信することにより、例えば、モバイル装置12の外部から、新しいパラメータや新しいコードモジュールなどを受信することができる。
【0040】
その後、エージェント13は、パラメータを検知する段階を再開する。好適な実施例にいては、エージェント13は、バックグラウンド又はベースレベルのタスクとして、図3のプロセスを継続的に実行している。これは、適切なスケジュールに従って図4のプロセスを実行する。例えば、図4のプロセスは、図3の段階42に続いて(段階34にループバックする前に)実行可能であろう。或いは、この代わりに、図4は、既定の時間間隔が経過した後に規則的な間隔をおいてサブルーチンとして呼び出し、実行することも可能であろう。モバイル装置12によってサポートされている場合には、モバイル装置12は、自身が新しい技術カバレージエリアに進入した時点をコールバックAPIを介してエージェント13に対して能動的に通知可能である。
【0041】
サービスプロバイダが、自身の顧客装置上にソフトウェアエージェントを既にインストール済みであると仮定した場合には、エージェント13は、間隔をおいて継続的に計測を実行したり、或いは、顧客が装置を使用する際に計測を実行するべく構成可能である。例えば、GPRSネットワーク内においてエージェントによって取得可能な計測値は、ソフトウェアアプリケーションがフォアグラウンドにある時間の長さ(ウェブブラウザ、電子メールツール、電話などのアプリケーション)、GPRSの状態、PDPの状態、TCP Cold Connect時間、TCP Warm Connect時間、電子メールの単一方向遅延、WAP及びHTMLページのダウンロード時間、UDP Cold Round Trip時間、UDP Warm Round Trip時間、GMS及び/又はMMSの単一方向遅延、TCPの送信レート、TCPの受信レート、信号強度(単位:dBm)、残っている電池電力の割合、ARPCN(Absolute Radio Frequency Channel Number)、BSIC(Base Station Identity Code)、セルID、RAC(Routing Area Code)、時刻及び/又は日付、地理的な場所を含んでいる(但し、これらに限定されない)。
【0042】
様々な計測値が取得可能であり、これらは、異なるネットワーキング技術に必要となろう。例えば、IDENネットワークの場合には、Home Mobile Country Code、Home National Describer Code、International Mobile Equipment Identity、Signal Quality Estimate Levelが、取得可能な計測値の例である。
【0043】
前述のように、エージェント13は、使用されている技術を検知し、使用されている技術に相応しいものになるように、計測値を変更する。
【0044】
顧客が自身の仕事に取り掛かる際に、顧客のモバイル装置は、計測値を取得し、OSS(Operational Support System)サーバーに対して後程伝送するべくそれらを装置上に保存するか、或いは、ネットワーク2を通信媒体として使用することにより、特定の間隔をおいて計測値を送信することになる。
【0045】
顧客が1つの技術カバレージエリアから出て別のものに進入した際には、本装置は、自動的にスイッチオーバーすることにより、新しいネットワーク技術における適切な計測を実行する。従来は、例えば、1つのGPRSモバイル装置が、802.11規格に基づいた技術カバレージエリア内にローミングすると、プロバイダは、通常、顧客が経験している性能について知ることができなくなってしまう。
【0046】
しかしながら、計測値をモバイル装置12から取得しているため、顧客は、ネットワークから独立しており、計測値をホームサービスプロバイダのOSSシステムに対して供給することができる。ホームサービスプロバイダは、このデータを、ネットワークサービスの性能の検証やネットワークカバレージに対する拡張の計画など、多数の様々なアプリケーションに使用可能である。
【0047】
これらのエージェントは、多数のモバイル装置上において利用可能であるため、いくつかの実装は、恐らくは、スケーリングに伴う問題に遭遇することになろう。従来は、サービスプロバイダのすべての顧客装置上にエージェントをインストールした場合には、スケーリング能力を有していないソリューションがもたらされることになったであろう。又、エージェントは、顧客装置上に位置することになるため、プライバシーの問題が生じることにもなる。本発明の実施例を含むシステム及び方法は、以下に一覧表示された特許出願に開示されているものなどの技法を利用することにより、これらの問題を有利に解決することが可能である。
【0048】
第10/047240号「Method and System for improved Monitoring Measurement and Analysis of Communication Networks Utilizing Dynamically and Remotely Configurable Probes」
第10/736653号「Wireless Probe Management System」
第11/230774号「Technique for Management Allowing Anonymous Probe Configuration Allowing Anonymous Probe Identity」
第11/230895号「Selective Distribution Of Measurement Device Behavior In a Loosely Coupled Autonomous System」
第09/884353号「Configuring Devices Using Server Responses」
第10/698292号「Bandwidth Management Using Statistical Measurement」
第10/306940号「Systems and Methods for Measurement and/or Control Using Mobile Probes」
第10/829091号「Methods and Devices for configuring mobile applicaions based on specifications defining regions in multidimensional coordinates」
第09/020630号「Transducers with Electronic Data Sheets That Enable Transducer Access Using Multiple Type of Transducer Object Models」
第10/909051号「Method and System for Treating Events and Data Uniformly」
【0049】
以上、特定の実施例を参照し、本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、添付の請求項の精神及び範囲を逸脱することなしに、様々な変更及び機能強化を実施可能であることを理解するであろう。
【0050】
最後に本発明の代表的な実施態様を以下に示す。
(実施態様1)
通信ネットワーク(2)上において通信するモバイル装置(12)からアクセス可能なパラメータ(32)を計測するパラメータ計測システムであって、前記通信ネットワークが、第1及び第2技術カバレージエリア(4、6)を含んでいる、パラメータ計測システムにおいて、
(i)前記第1(4)及び第2(6)技術カバレージエリアの中の1つの内部において前記モバイル装置(12)の動作の既定のパラメータを計測し、且つ、技術カバレージエリアの変化を検出する計測手段(22)と、
(ii)計測パラメータを変更することにより、前記検出された技術カバレージエリアの変化に相応しいパラメータ計測を実行する手段(32、50、52)と、
(iii)計測されたパラメータを前記通信ネットワーク上において送信する送信機(28、42)と、
を含むエージェントを有することを特徴とするシステム。
【0051】
(実施態様2)
前記モバイル装置(12)は、プロセッサ(26)、メモリ(24、32)、及び無線通信インターフェイス(28、30)を含むことを特徴とする実施態様1記載のシステム。
【0052】
(実施態様3)
前記モバイル装置(12)は、(i)携帯電話機、(ii)携帯型コンピュータ、(iii)ハンドヘルドPDA(Personal Digital Assistant)装置、及び(iv)無線センサの中の1つを含むことを特徴とする実施態様2記載のシステム。
【0053】
(実施態様4)
前記エージェントは、前記パラメータの計測値(34)を蓄積し、且つ、前記計測値の蓄積(38)に伴って前記計測値を保存(36)するパラメータストレージ(24)を含むことを特徴とする実施態様1記載のシステム。
【0054】
(実施態様5)
前記エージェントは、(i)既定の期間、(ii)既定量のパラメータが蓄積(38)されるまで、並びに、(iii)技術の変化が検出されるまで、の中の1つにわたって、前記パラメータの前記蓄積(38)された計測値を保存(36、38)する実施態様4記載のシステム。
【0055】
(実施態様6)
前記エージェントは、前記計測(34)されたパラメータを送信する前に、前記計測(34)されたパラメータを前処理するプロセッサ(26)を更に有することを特徴とする実施態様1記載のシステム。
【0056】
(実施態様7)
前記エージェントは、
(i)前記モバイル装置のローミングに伴って利用可能な前記ネットワーク技術を検知(34)するセンサと、
(ii)前記検知(44)された利用可能なネットワーク技術に基づいて計測のために選択(50)されるパラメータの組を含む、様々なネットワーク技術に相応しいパラメータの組(32)と、
を更に含むことを特徴とする実施態様1記載のシステム。
【0057】
(実施態様8)
前記エージェントは、前記パラメータの送信(28、42)要求の受信に応答し、前記選択されたパラメータを前記通信ネットワーク(2)上において送信(42)する送信機(28)を更に有することを特徴とする実施態様7記載のシステム。
【0058】
(実施態様9)
前記エージェントは、(i)その旨の命令の受信と、(ii)経過時間と、の中の1つに応答し、計測(34)用のパラメータを選択するセレクタ(50)を更に有することを特徴とする実施態様7記載のシステム。
【0059】
(実施態様10)
前記通信ネットワーク(2)上において前記モバイル装置(12)と通信するべく結合されており、且つ、前記計測されたパラメータ(34、36、40)を受信(42)するサービスプロバイダを更に有することを特徴とする実施態様1記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明が実施される広帯域通信アーキテクチャの一例を示すブロックダイアグラムである。
【図2】本発明による1つのモバイル装置の更に詳細な実装を示すブロックダイアグラムである。
【図3】本発明による方法の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明による方法の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
2 通信ネットワーク
4、6 第1及び第2技術カバレージエリア
12 モバイル装置
22 計測手段(センサ)
24 パラメータストレージ
26 プロセッサ
28、30 無線通信インターフェイス
32 パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク上において通信するモバイル装置からアクセス可能なパラメータを計測するパラメータ計測システムであって、前記通信ネットワークが、第1及び第2技術カバレージエリアを含んでいる、パラメータ計測システムにおいて、
前記第1及び第2技術カバレージエリアの中の1つの内部において前記モバイル装置の動作の既定のパラメータを計測し、且つ、技術カバレージエリアの変化を検出する計測手段と、
計測パラメータを変更することにより、前記検出された技術カバレージエリアの変化に相応しいパラメータ計測を実行する手段と、
計測されたパラメータを前記通信ネットワーク上において送信する送信機と、
を含むエージェントを有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記モバイル装置は、プロセッサ、メモリ、及び無線通信インターフェイスを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記モバイル装置は、携帯電話機、携帯型コンピュータ、ハンドヘルドPDA装置、及び無線センサの中の1つを含むことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記エージェントは、前記パラメータの計測値を蓄積し、且つ、前記計測値の蓄積に伴って前記計測値を保存するパラメータストレージを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記エージェントは、既定の期間、既定量のパラメータが蓄積されるまで、並びに、技術の変化が検出されるまで、の中の1つにわたって、前記パラメータの前記蓄積された計測値を保存する請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記エージェントは、前記計測されたパラメータを送信する前に、前記計測されたパラメータを前処理するプロセッサを更に有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記エージェントは、
前記モバイル装置のローミングに伴って利用可能な前記ネットワーク技術を検知するセンサと、
前記検知された利用可能なネットワーク技術に基づいて計測のために選択されるパラメータの組を含む、様々なネットワーク技術に相応しいパラメータの組と、
を更に含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記エージェントは、前記パラメータの送信要求の受信に応答し、前記選択されたパラメータを前記通信ネットワーク上において送信する送信機を更に有することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記エージェントは、その旨の命令の受信と、経過時間と、の中の1つに応答し、計測用のパラメータを選択するセレクタを更に有することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記通信ネットワーク上において前記モバイル装置と通信するべく結合されており、且つ、前記計測されたパラメータを受信するサービスプロバイダを更に有することを特徴とする請求項1記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−251948(P2007−251948A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−64294(P2007−64294)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】