説明

異なる抵抗力を有する二つの殺虫物体を備えた部屋

人間又は動物のための部屋であって、第一の物体と、前記第一の物体から離間している第二の物体とを備えている部屋において、
前記第一の物体が対象とする昆虫を接触することにより殺すために形成された取りはずし可能な第一殺虫剤を備えていて、前記第二の物体が、前記第一殺虫剤とは異なる第二殺虫剤を備えており、前記第二殺虫剤は、前記第一殺虫剤に対して抵抗力のある前記対象とする昆虫に対して殺虫作用のある殺虫剤を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる殺虫抵抗力を有する殺虫物体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる昆虫が、人間に影響を与える伝染病の媒介生物及び伝達物質に関する多くの問題をもたらしており、これらの昆虫を管理するために多大な努力が行なわれてきた。これらの努力は、双翅目(蚊、ブヨ、黒い昆虫(black flies)、ツエツエバエ及び他のbiting-flies)、半翅目(ベッドバグ(bed bugs))及びノミ目(ノミ)に属する昆虫の管理に向けられてきた。これらの昆虫を管理する方法には、壁の内外面を処理すること、エアスプレー、カーテン及び蚊帳への含浸が含まれている。カーテン及び蚊帳への含浸は、処理すべき表面が家への表面スプレーに比較して非常に少ないとの利点がある。蚊帳への含浸はすい眠虫の被害を低減し、たとえ蚊帳が使用するのに破られていても効果がある。
ピレスロイドを含浸させたネット又は繊維の効果は、これらの昆虫への迅速な殺虫性に基づくものであるけれど、これらの昆虫の一部に対する防虫作用に基づくものでもある。試験結果によると、含浸された蚊帳は部屋に浸入してくる蚊の75%を防いでいる。従って、蚊帳は同一の部屋で寝ている蚊帳を使用していない他の人に対しても、いくらかの昆虫を防いでいる。
【0003】
しかしながら、ある地域では、蚊はピレスロイドの対に耐性がある。これらの耐性のタイプの一つであるノックダウン耐性(KDR)も迅速な効果への抵抗力となる。このことは、蚊が蚊帳に長時間とどまることを可能にし、従って致死量の殺虫剤を蓄積することであるけれども、死に至る前に蚊が刺す機会を与えることになる。他の耐性は、代謝耐性(metabolic resistance)であって、昆虫が殺虫作用に対する反作用する酵素を有していることである。
【0004】
この場合相乗剤、例えばピペロニルブトキシド(PBO)を蚊帳に加えると非常に効果がある。蚊帳におけるコーティングに相乗剤を用いることは、特許文献1〜10に開示されている。
【0005】
抵抗に打ち勝つ提案は、非特許文献1に記載されていて、ピレスロイド処理のカーテンの代りにカルバメート処理のカーテンの使用が提案されている。そのカルバメート処理のカーテンは、人々が処理されていない蚊帳で寝ている時に入口に吊り下げることが提案されている。しかしながら、このことには短所があって、人々が入口を歩く際に害のあるカルバメートに接触してしまう。
【0006】
別の提案が特許文献13に記載されていて、例えば蚊帳の一部分に第一の殺虫剤が含浸されていて、別の部分に第二の殺虫剤が含浸されており、少なくとも一方の殺虫剤が距離に応じた昆虫の殺虫を示めすことである。
【0007】
この提案の短所は、本装置が蚊のような昆虫の行動を考りょする場合欠点となっていることである。第一の殺虫剤の遠隔殺虫作用は、代謝抵抗力(KDR抵抗力とは対照的に)を有している蚊に迅速な作用を与えるので、これらの蚊は蚊帳にはとまらないで第二の殺虫剤に接触する。従って、殺虫されない代謝抵抗力のある蚊が生まれる。蚊帳を囲んでいる致死量により、わずかな昆虫だけが致死作用のある空間に飛んでゆく。従って、もし昆虫が空間内に閉じ込められないと、殺虫剤の蒸発が大きいので、昆虫は殺虫されるが、昆虫がこの空間の外側にいる場合には、昆虫は殺虫されない。本装置は、昆虫を空間内に保持しなくても有効なものであるけれども、昆虫を殺虫するのに完全なものではない。しかしながら、マラリアに打ち勝つには、昆虫を殺虫することが重要である。というのは、昆虫は、遠隔殺虫作用範囲外に犠牲者のいる場所を見つけるからである。従って、マラリアに打ち勝つ別の装置が必要となる。
【0008】
特許文献13において、遠隔殺虫作用のある布が蚊帳の効果を増すために同一の部屋に吊られている本装置は、マラリアに打ち勝つには適切なものでないが、蚊は殺虫される。この場合、布は遠隔殺虫作用のある殺虫剤を有していているが、蚊帳は殺虫剤を有していても有していなくてもよい。しかしながら、遠隔殺虫作用は迅速に作用するので、そのような装置は部屋に蚊が入ってくるのを防ぐだけで、マラリアを持った蚊を減らすことはできない。
【0009】
非特許文献2において、上部がカルバメート・カルボンスルファン処理され、下部がピレスロイド・ビフェンスリン(pyrethroid bifenthrin)又はデルタメトリン処理された蚊帳につき実験が行なわれ、評価されている。これらのカルボメイトとピレスロイド処理された蚊帳は、カルボメイト処理だけをされた蚊帳より優れているとの結果は得られなかったけれど、ピレスロイド処理だけをされたものよりも優れていた。さらに、蚊は常に蚊帳の上方から攻撃を試み、そして最初に蚊帳のカルボメイト処理された場所にとまる。本文献にて報告されているカルボメイトの強力な殺虫作用は考りょすべきものであって、下部をピレスロイド処理する必要はない。蚊帳において二つの処理をすることの結論はないが、本結果にもとづいて、カルボメイト処理した蚊帳はピレスロイド処理したものよりすぐれている。というのは、カルボメイトは迅速な作用に欠けているからである。
しかしながら、一般にカルボメイトはピレスロイドと比較して人間に対して有害であり、そのピレスロイドは、市場で入手可能なPerma Net(商標名)として使用されているデルタメトリン、又は市場で入手可能なOlyset Net(登録商標)として使用されているペルメトリンのようなものである。このことが、市場においてピレスロイド処理された蚊帳が大勢を占めている理由である。カルバメート処理された蚊帳は選択肢となっていないので、マラリアに打ち勝つ方法を見つけなければならない。
【0010】
前述の議論を考りょして、昆虫、特に蚊やハエによる被害を低減し、かつ昆虫による病気を低減するために、処方、製品の形態及び方法についての努力が必要とされていて、それらには、種々のタイプの殺虫剤の耐性に対する処方が含まれている。そして、殺虫剤の耐性及びマラリアの拡大を防ぐための新しい戦略の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国特許出願公開第1099825号明細書
【特許文献2】国際公開第90/14006号パンフレット
【特許文献3】国際公開第06128870号パンフレット
【特許文献4】国際公開第06128867号パンフレット
【特許文献5】特開平02−062804号公報
【特許文献6】特開平04−185766号公報
【特許文献7】特開平06−346373号公報
【特許文献8】特開平07−316003号公報
【特許文献9】米国特許第5503918号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第20070009563A1明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第20060288955明細書
【特許文献12】国際公開第00/40084号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2007085640号パンフレット
【特許文献14】国際公開第01/37662号パンフレット
【特許文献15】国際公開PCT/DK2007/000179号パンフレット
【特許文献16】国際公開第03055307号パンフレット
【特許文献17】国際公開第03/063587号パンフレット
【特許文献18】国際公開第07/017518号パンフレット
【特許文献19】国際公開第07/017502号パンフレット
【特許文献20】国際公開第06/127407号パンフレット
【特許文献21】国際公開第07/017433号パンフレット
【特許文献22】国際公開第06/125748号パンフレット
【特許文献23】国際公開第06/125745号パンフレット
【特許文献24】国際公開第06/122949号パンフレット
【特許文献25】国際公開第06/097488号パンフレット
【特許文献26】国際公開第06/097489号パンフレット
【特許文献27】国際公開第06/097279号パンフレット
【特許文献28】国際公開第06/058730号パンフレット
【特許文献29】国際公開第06/056462号パンフレット
【特許文献30】国際公開第06/056433号パンフレット
【特許文献31】国際公開第06/002984号パンフレット
【特許文献32】国際公開第05/053402号パンフレット
【特許文献33】国際公開第05/053403号パンフレット
【特許文献34】国際公開第05/040162号パンフレット
【特許文献35】国際公開第05/040143号パンフレット
【特許文献36】国際公開第04/013112号パンフレット
【特許文献37】国際公開第PCT/DK2007/000321号パンフレット
【特許文献38】国際公開第PCT/DK2007/000071号パンフレット
【特許文献39】国際公開第PCT/DK2007/000319号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】"Comparative evaluation of carbosulan-and permethrin-impregnated curtains for preventing house-entry by the malaria vector Anopheles gambiae in Burkino Faso"by C.Fanello et al.and published in Medical and Veterinary Entomology(2003)17,333-338.
【非特許文献2】"Combined pyrethroid and carbamate'two-in-on'treated mosquito nets:field efficiency against pyrethroid-resistant Anopheles gambiae and Culex quinquefacia-tus"by P.Guillet et al,published in Medical and Veterinary Entomology(2001)15,105-112,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、昆虫、特に蚊の昆虫への耐性に打ち勝つための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本目的は、人間又は動物のための部屋であって、第一の物体と、前記第一の物体から離間している第二の物体とを備えている部屋により達成されていて、前記第一の物体が対象とする昆虫を接触することにより殺すために形成された取りはずし可能な第一殺虫剤、例えばピレスロイドを備えている。第一の殺虫剤は第一の殺虫剤に対する、対象とする昆虫の抵抗を誘発する可能性がある。前記第二の物体が、前記第一殺虫剤とは異なる第二殺虫剤、例えばカルボメイトを備えており、前記第二殺虫剤は、前記第一殺虫剤に対して抵抗力のある前記対象とする昆虫に対して接触殺虫及び殺虫作用のある殺虫剤を形成している。
異なる殺虫剤を備えた異なる物体を同一の部屋に設けることにより、一方の殺虫剤のに抵抗力のある昆虫が効率よく対象とすることができる。
用語“離間した”は、二つの物体が距離をおいて独立した物体であって、例えば第一物体が部屋の一部分に配置されており、第二物体が部屋の別の部分に配置されていると理解されるべきである。用語“殺虫剤”は昆虫病原物質をも防御するものである。
【0015】
用語“接触殺虫”は、昆虫が物体に接触することにより生じる殺虫作用を意味している。それとは対照的に、遠隔殺虫作用の場合、昆虫は、物体と接触する前に撃退されるか、又は接触する前に殺虫され、従って接触はない。もし、昆虫の殺虫作用が達成されないなら、少量の殺虫剤が粉末又は蒸気として空中に放出されるという事実は問題がない。実際のところ、遠隔殺虫作用と対照的に、接触殺虫は撃退作用が非常に小さくて、より大くの蚊を殺虫する。
【0016】
これに関連して、殺虫作用は常に統計的なものであって、100%より小さく、そして一般に使用されている基準及びプロトコールに沿っているなら、殺虫作用として重要である。従って、本発明において接触殺虫は、もし昆虫に耐性が無いなら、物体にとまった蚊の50%以上、又は75%以上、又は90%以上、又は95%又は99%以上が接触により殺虫されることを想定している。本発明において、殺虫される昆虫の数は接触殺虫によるものが大部分である。昆虫は、ほとんど遠隔殺虫作用によって殺虫されるものではない。例えば25%以下、又は10%以下、最も好ましくは5%以下、現実的にはデルタメトリンの場合、1%以下の部屋の中の蚊しか遠隔殺虫作用により殺虫されない。
【0017】
実際のところ、デルタメトリンは遠隔殺虫作用があるとは見なされていない。このことは、特許文献13に説明されていることであって、第二例はアルファサイパメトリン(alphacypermethrin)処理された蚊帳だけが遠隔殺虫作用を示めしていて、一方デルタメトリン処理された蚊帳は遠隔殺虫作用を示めしていない。また、第一例はデルタメトリン処理された蚊帳による遠隔殺虫作用はデルタメトリンの粉末の放出によるものと信じられていて、その粉末は蚊帳の含浸部分ではなくて製品からのデルタメトリン粉末の一部分である。洗たく後、この粉末は第二例のように除去され、遠隔殺虫作用はなくなる。
【0018】
以下に、蚊に対する蚊帳及び壁面ライニングの例を用いて本発明が詳細に説明されるが、他の組合せも可能である。
【0019】
非特許文献2に説明されているように、蚊はベッドに寝ている人間に上方から接近する傾向がある。従って、蚊は蚊帳の屋根にとまる傾向があり、もし蚊帳が長方形状の蚊帳であるなら、蚊は蚊帳の側面に沿って下降し、蚊帳の下方の被害者への通路を見つけようとする。下降中に、昆虫は第一殺虫剤、例えばピレスロイドにさらされ、もし昆虫がピレスロイドに対する耐性がなければ、死に至る。もし、昆虫に耐性があれば、昆虫は留まる場所をさがし、攻撃する機会を待つ。一般に、蚊は壁に居場所を見つける。蚊が血を吸った場合には、消化し卵を熟成するために室内にとどまる。このことを利用して、もし壁が壁面ライニング形状の第二の物体で覆われていることは、利点のあることである。この壁面ライニングは第二の殺虫剤、例えばカルバメイトを含んでいる。というのは、昆虫はピレスロイドとカルバメイトとに対する耐性を同時に示めすことはないからである。カルバメイトは、一般に使用されるピレスロイド・デルタメトリンのように人間に無害であることから、蚊帳に対してデルタメトリンを使用し、壁に対してカルバメイト、例えばベンディオカーブ(Bendiocarb)を使用することは、利点のあることである。
【0020】
非特許文献2に説明されているような、上部をカルバメイト処理し、下部をピレスロイド処理した蚊帳と比較して、部屋における離間した二つの物体を備えた装置には、多くの利点がある。利点を説明するために、デルタメトリン処理した蚊帳及びカルバメイト処理した壁面ライニングを組合せた本発明と、非特許文献2とを比較する。第一の利点は、蚊帳を定期的に洗たくする際に見られる。カルバメイトを含んだ蚊帳は洗たくする人に有害な殺虫剤を曝露するけれども、デルタメトリン処理した蚊帳は無害である。第二の利点は、一般的に壁面ライニングは洗浄されないことによるものである。このことが、洗たくする人をカルバメイトにさらすことはなく、かつ、カルバメイトは洗たくにより減少されない。このことは、カルバメイト含有率が二つの処理をする蚊帳と比較して小さいものとなっていて、長期間にわたって殺虫剤の作用を制御するものとなっている。第三の利点は、ピレスロイドの撃退作用が離間したカルバメイト処理した壁面ライニングに与える影きょうは、二つの処理をした蚊帳のカルバメイト処理した頂部に比較した著しく小さいことである。第四の利点は、部屋に入ってきたこれらの蚊は壁面ライニングに覆われた壁にとまり殺虫され、一方、暗い場所にあるのではなく、かつ部屋の静かな場所にあるのではない蚊帳にはとまらない。第五の利点は、蚊帳の使用者は広い蚊帳で暗い壁面ライニングを好む場合に見られる。暗い壁面ライニングは蚊をとまらせるものであり、一方二つの処理をした蚊帳の白い頂部には蚊はとまらず、耐性のある蚊は二つの処理をした蚊帳より壁面ライニングにより殺虫される可能性が高い。第六の利点は、カルバメイト処理した蚊帳はWHOにより蚊帳として使用することを推しょうされていない。
【0021】
本発明は非常に簡素なものであるが、その効果は蚊の行動に関する知識に基づいたものであることが理解されるべきである。
【0022】
カルバメイトは異なる代謝酵素を抑制するので、ピレスロイドに対する耐性の進行を鈍化させる。ベンディオカーブ(Bendio carb)はカルバメイトであって、そしてアセチルコリン・エステラーゼ酵素に対して抑制剤として作用する。従って、ベンダイオカルブは、ピレスロイドに対する異なったモードの作用を使用して、PBOと相乗作用することができる。カルバメイト耐性はアフリカにおいてピレスロイド耐性のように広がっておらず、本発明とこれらの殺虫剤との組合せはノック・ダウン・レジスタンス遺伝子(Knock Down Resistance gene)のまん延を低減し、デルタメトリンの有効寿命を延ばすことが期待される。
【0023】
さらに、蚊は壁の高い部分にとまることが判明した。従って、もし壁の高い部分に第二の殺虫剤を含んだライニングを施せば十分である。利点のあることに、殺虫剤を備えた壁面ライニング(又は少なくとも壁面ライニングの殺虫剤の部分)は一定の高さより上方、例えば1mより上方、好ましくは1.2mより上方、最も好ましくは1.6mより上方だけに備えられていて、このことが人間、特に子供への接触を低減している。接触を低減することは、殺虫剤が、例えばカルバメイトのように人間に有害な場合に重要なこととなる。もし、上方の壁面ライニング又は壁面ライニングの上部だけがカルバメイトを備えているなら、子供が蚊帳に接触しカルバメイトするリスクを防止することができる。しかしながら、壁面ライニングは下部にさらなる殺虫剤、例えば人間には有害でないデルタメトリンを備えていてもよい。
【0024】
さらに、蚊は壁の暗い色の部分に好んでとまる。従って、取りはずし可能な殺虫剤を備えた最上部を壁面ライニングに設ける場合、最上部を暗い色にすることは蚊を殺虫するのに有効である。
【0025】
この装置は、蚊帳の屋根部分に相乗剤、例えばPBOを備えることにより、より効果的なものとすることができ、その蚊帳の屋根部分は蚊が接近する第一の物体であって、早期に相乗剤を蚊に接種させることになる。
【0026】
別の重要な実施形態は次のとおりである。アフリカの多くの国において、住居は小屋であって、小屋は壁、屋根、及び壁の上端と屋根との間の空間とを備えていて、その空間の高さは0.2〜0.4mである。蚊及び他の昆虫はこれらの空間から侵入してくる傾向がある。というのは、住居の移住者は、これらの空間にカーテン又はフォイルのような材料で覆っている。殺虫剤への耐性が増すに従って、小屋には対応策として殺虫剤がスプレーされてきた。しかしながら、殺虫剤の作用は数ヶ月続くだけであって、処置が繰り返されてきた。この空間を、布(例えばネット、フォイル又は防水布)製の殺虫剤の壁面ライニングで覆うことにより、一方で殺虫剤に対する障壁の作用を果たし、他方で昆虫を殺虫剤にさらすことになり、数年の長期にわたって昆虫への作用を達成することができる。用語“布”には、特殊な編み方をした“デュムリア(Dumuria)布”も含まれている。これらはPermaNet Dumuria(登録商標)として入手可能である。
【0027】
この場合、第一の物体は屋根部分及び側面を備えた蚊帳であって、屋根部分は相乗剤を備えていて、この相乗剤は蚊帳の屋根部分に移行し均質混合され、この場合殺虫剤があってもよいしなくてもよい。もし、相乗剤が最上部の材料に均質混合されると、殺虫剤は均質混合されるか含浸と同じく表面処理される。代りに、相乗剤が表面処理されてもよくて、殺虫剤は屋根部分の材料に均質混合されてもよい。殺虫剤の均質混合の場合及び/又は相乗剤を材料に均質混合する場合、利点のあることに、材料はポリエチレンであって、融点が低いので相乗剤と殺虫剤とを分解することなく布を射出成形することに適している。しかしながら、その木綿のような感触のために、蚊帳の側面は好ましくはマルチ・フィラメント(multifilament)、例えばポリエステルポリエチレン又はポリプロピレン製のマルチ・フィラメントである。ポリエステルの融点はポリエチレンより高いもので、殺虫剤は表面処理、例えば含浸により備えられる。
【0028】
しかしながら、蚊帳である第一の物体は例示のためのものであって、他の物体例えば部屋の一部分としての他のタイプの布、フォイル又は防水布であってもよい。
【0029】
前述の壁面ライニングは蚊帳以外との組合せで使用してもよい。例えば、第一の物体及び第二の物体が壁面ライニングであって、第一の壁面ライニングが第一の殺虫剤を備えていて、第二の壁面ライニングが第二の殺虫剤を備えていてもよい。例示の蚊帳との組合せで前述したように、壁面ライニングが上部と下部とを有していて、最上部だけが取りはずし可能な殺虫剤を含んでいるか、又は、人間特に予備が殺虫剤に接触することを防止するために、殺虫剤の壁面ライニングがある高さより上に備えられているだけでもよい。従って、前述したように壁面ライニング又は壁面ライニングの上部が1.6m以上の高さに備えられていることが好ましい。さらに、蚊が好む暗い色がこの上部ライニングに使用されてもよい。
【0030】
代りに、第二の物体がカーテンであってもよい。壁面ライニングと同様に、カーテンが上部と下部とを有していて、上部だけが取りはずし可能な殺虫剤を含んでいてもよい。例えば、カーテンの上部は1.6mより高い位置に備えられている。代りに、上部が第一の殺虫剤を備えていて、下部が第二の殺虫剤を備えており、下部の殺虫剤は人間に無害な殺虫剤から選択されてもよい。
【0031】
第一の物体又は第二の物体又は両者は、一部分が殺虫剤材料で覆われている家具であってもよい。
【0032】
殺虫剤の作用が長期間続くことは興味のあることである。このことは、例えば特許文献14,15に記載されているように布を含浸させることにより達成されていて、両文献の開示内容を参考として包含するものである。代りに、本発明の関連して有用な解決方法は、第一の殺虫剤が第一の物体の一部分に移行して均質混合していることである。また、第一の物体及び/又は第二の物体が、特許文献14,15に記載されているように、含浸された木材、紙、カーペット、殺虫剤のブランケットを含んでいてもよい。
【0033】
第一の殺虫剤がピレスロイドの場合、利点のあることに、第二の殺虫剤はピレスロイドを含んでいない殺虫剤でよい。もし、第一の物体又は第二の物体が相乗剤を備えている場合、利点のあることに相乗剤は両殺虫剤に対して効果のあるエンハンサーを選択することができる。例えばPBOがデルタメトリン及びベンダイオカルブに対する相乗剤としての役割を果す。そのような相乗剤は、第一の物体又は第二の物体の材料の一部分に移行して均質混合してもよいし、蚊帳に関連して説明したように表面処理として備えられてもよい。他の相乗剤としては、スルホキシド、トロピタル(Tropital)、ブカポレイト(Bucarporate)、エチオン、プロフェノフォス(propenofos)又はディモソアトク(dimothoatc)を含んでいる。
【0034】
蚊帳の例と同じであるが、第一の殺虫剤が第一の物体の第一の部分に備えられていて、相乗剤が第一の物体の第一の部分ではない第二の部分に備えられていてもよい。このことは、高価な相乗剤を第一の物体全体に処理する必要はないので、第一の物体のコストを低減する。蚊は上方から攻撃してくるので、第一の物体の第二の部分は第一の物体の第一の部分の上方に位置している。
【0035】
本発明は前述において、主に第一の殺虫剤が第一の物体に備えられ、第二の殺虫剤が第二の物体に備えられているものとして説明してきたが、さらなる殺虫剤の物体が部屋に備えられてもよくて、本発明における他の物体各々が一つ以上の殺虫剤を備えていてもよくて、例えば、殺虫剤がすべての物体に備えられているか、物体の異なる部分に異なる殺虫剤が備えられていてもよい。
【0036】
さらに、殺虫剤は特許文献3,14に説明されていて、防虫剤の例も含まれていて、さらに以下にも説明されている。
・フェニールセミカーバゾン(phenylsemicarbazone)化合物、好ましくはメタフルミゾン(metaflumizone)、(特許文献18,19,20に開示)
・アンスラニルアミド(anthranilamid)、(特許文献21に開示)
・N−アリールヒドラジン(N-arylhydrazine)、(特許文献3に開示)
・1−フェニールトリアゾル(1-phenyltriazole)の誘導体、(特許文献4に開示)、例えばピレスロイドとの組合せ
・1−(イミダゾリン−2−YL)アミノ−1,2−ディフェニルエタン化合物(1-(Imidazolin-2-YL)Amino-1,2-Diphenylethane compound)、(特許文献22に開示)
・1−(1,2−ディフェニール−エチル)−3−(2−ハイドロオキセシル)シウリア化合物(1-(1,2-Diphenyl-ethyl)-3-(2-Hydroxyethyl)Thiurea compound)、(特許文献23に開示)
・マロノニトリル(Malononitriles)、(特許文献24に開示)
・ビフェニール−N−(4−ピリディル)メチルサフォナミド(Biphenyl-N-(4-phridyl)Methylsufonamides)、(特許文献25,26に開示)
・アミドラゾン化合物(Amidrazone compound)、(特許文献27に開示)
・ヒドラジド化合物(Hydrazid compound)、(特許文献28に開示)
・アジン化合物、(特許文献29に開示)
・2−シアノ−3−(ハロ)アルコキシ−ベンゼンサルファノマイド(2-cyno-3-(halo)alkoxy-benzenesulfanomide)、(特許文献30に開示)
・ナノ粒子有機殺虫剤化合物、(特許文献31に開示)
・N−アリールヒドラジン誘導体(N-arylhydrazine derivatives)、(特許文献32,33に開示)
・5−(2−アリアセタニド)イソシアジオル化合物(5-(2-Arylacetanido)Isothiaziole compound)、(特許文献34,35に開示)
・フルオラルケン誘導体(Fluoralkene derivative)、(特許文献36に開示)
【0037】
本発明における第一の物体は、例えば前述した蚊帳のような殺虫剤障壁であってもよくて、第一の物体は上部の殺虫剤ネット部分と下部とを備えていて、そのネットは選択された昆虫、例えば蚊が障壁から侵入することを防止するメッシュサイズを有しており、下部は、障壁の下端から40cm以上、好ましくは75cmより好ましくは100cmの高さに延在していて、下部が殺虫剤の布、殺虫剤の防水布、殺虫剤のフォイル、上部のネットより引裂強度の強いネット材料を備えた殺虫剤のネット、上部のネットよりメッシュ密度又は糸密度の高いネット材料の殺虫剤のネット、又はそれらの組合せである、布、防水布、フォイル又は編まれていないもので作られた下部を備えた殺虫剤の障壁を設けることにより、障壁は従来技術の蚊帳に比較して、下部より強度が強く、そして殺虫剤の作用が長期間続く。本発明におけるこれらの目的及び例示は特許文献37に説明されていて、ここに参考として包含するものである。
【0038】
用語“殺虫剤の布”は編んだものか、ニットの織物又は編んでいないものを意味している。
【0039】
居住用でない(non living)殺虫剤材料、例えば布又はネットを提供するプロセスが特許文献38に開示されていて、その殺虫剤材料には、少なくとも一つの殺虫剤を含んでいる被膜をコーティングする前に少なくとも一つの相乗剤が移行され均質溶解されたポリマー・マトリックスを備えていて、特許文献38は、本発明に利点的に使用されるので、参考としてここに包含するものである。
【0040】
本発明における物体に関連する布に関して、殺虫剤の糸は第一の断面部分と第二の断面部分とを備えていて、第一の断面部分は、第一の断面部分のポリマー材料に均質溶解された殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、又はそれらの組合せを有していて、第二の断面部分は殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫に病原物質若しくは相乗剤を含んでいるか、又は第二の断面部分は、第二の断面部分のポリマー材料に均質溶解された殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、又はそれらの組合せを有している。第二の断面部分における殺虫剤又は相乗剤の成分は、第一の断面部分の殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、又はそれらの組合せの成分とは異なるものである。例えば、第一の断面部分は第一のタイプのフィラメントであり、第二の断面部分は第二のタイプのフィラメントである。この場合、殺虫剤の糸が本発明による第一のタイプのフィラメントと第二のタイプのフィラメントを有している。第一のタイプのフィラメントは殺虫剤を有していて、第一のタイプのフィラメントが、第一のタイプのフィラメントのポリマー材料に均質溶解された殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、又はそれらの組合せを有している。第二のタイプのフィラメントは、殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、を含んでいないか、又は第二にタイプのフィラメントのポリマー材料に均質溶解された殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、又はそれらの組合せを有している。第二のタイプのフィラメントにおける殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、又はそれらの組合せの成分は、第一にタイプのフィラメントにおける殺虫剤、昆虫の殺菌剤、昆虫病原物質又は相乗剤、又はそれらの組合せの成分とは異なるものである。このことは、特許文献39に詳細に説明されており、特許文献39は、本発明に利点的に使用されるので、参考にここに包含するものである。
【0041】
図面を参照して本発明を以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】図1aは、蚊帳と壁面ライニングとの組合せを示めすもので、壁面ライニングが、壁と屋根とだけを覆っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間又は動物のための部屋であって、第一の物体と、前記第一の物体から離間している第二の物体とを備えている部屋において、
前記第一の物体が対象とする昆虫を接触することにより殺すために形成された取りはずし可能な第一殺虫剤を備えていて、前記第二の物体が、前記第一殺虫剤とは異なる第二殺虫剤を備えており、前記第二殺虫剤は、前記第一殺虫剤に対して抵抗力のある前記対象とする昆虫に対して殺虫作用のある殺虫剤を形成している、部屋。
【請求項2】
前記第一の物体が布である請求項1に記載の部屋。
【請求項3】
前記第二の物体が布である、請求項1又は2に記載の部屋。
【請求項4】
前記第二の物体がフォイルである、請求項1又は2に記載の部屋。
【請求項5】
前記第二の物体が防水布である、請求項1又は2に記載の部屋。
【請求項6】
前記第一の物体が蚊帳である、請求項1−5のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項7】
前記蚊帳が屋根部分と側面とを有していて、前記屋根部分が相乗剤を備えている、請求項6に記載の部屋。
【請求項8】
前記相乗剤が、前記蚊帳の前記屋根部分の材料に移行されて均質混合されている、請求項7に記載の部屋。
【請求項9】
前記屋根部分の材料がポリエチレンである、請求項8に記載の部屋。
【請求項10】
前記側面は相乗剤を含んでいない殺虫剤を備えている、請求項6−9のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項11】
前記側面の材料がポリエステルである、請求項6−10のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項12】
前記第一殺虫剤が前記蚊帳の前記側面に染みこんでいる、請求項6−11のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項13】
前記第二の物体が壁面ライニングである、請求項1−12のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項14】
前記壁面ライニングが最上部と最下部とを有していて、前記最上部だけが取りはずし可能な殺虫剤を含んでいる、請求項13に記載の部屋。
【請求項15】
前記壁面ライニングの前記最上部が1.6mより高い、請求項14に記載の部屋。
【請求項16】
前記壁面ライニングの前記最上部が暗い色である、請求項14又は15に記載の部屋。
【請求項17】
前記壁面ライニングの前記最上部が1mより高く、好ましくは1.6mより高い、請求項13に記載の部屋。
【請求項18】
前記第二の物体がカーテンである、請求項1−12のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項19】
前記カーテンが最上部と最下部とを備えていて、前記カーテンの最上部だけが取りはずし可能な殺虫剤を含んでいる、請求項18に記載の部屋。
【請求項20】
前記カーテンの最上部が1.6mより高い、請求項19に記載の部屋。
【請求項21】
前記第一殺虫剤が前記第一の物体の材料の一部分に移行して均質混合している、請求項1−20のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項22】
前記第一殺虫剤がピレスロイドである、請求項1−21のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項23】
前記第一の物体が相乗剤を備えている、請求項1−22のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項24】
前記相乗剤は、両方の殺虫剤の効果的なエンハンサーである、請求項23に記載の部屋。
【請求項25】
前記相乗剤がPBOである、請求項24に記載の部屋。
【請求項26】
前記相乗剤が第一の物体の材料の一部分に移行して均質混合している、請求項23〜25のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項27】
前記第二殺虫剤がピレスロイドを含んでいない殺虫剤である、請求項1〜26のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項28】
前記第二殺虫剤がカルバメートである、請求項27に記載の部屋。
【請求項29】
前記第二殺虫剤がベンダイオカルブである、請求項28に記載の部屋。
【請求項30】
前記第一殺虫剤が前記第一の物体の第一の部分に備えられていて、前記相乗剤が前記第一の物体の第二の部分に備えられて、前記第二の部分は前記第一の部分と異なる部分である、請求項1〜29のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項31】
前記第一の物体の前記第二の部分が、前記第一の物体の前記第一の部分の上方である、請求項30に記載の部屋。
【請求項32】
前記部屋(11)が、壁(10)と屋根(15)とを備えた小屋の部分であって、前記屋根(15)は前記壁(10)の上面(10’)の上方に配置されており、従って前記壁(10)の前記上端(10’)と前記屋根(15)の下面(15’)との間に空間(14)が形成されていて、前記空間(14)には壁面ライニング(12)が充填されている、請求項13〜17のいずれか一項に記載の部屋。
【請求項33】
前記壁面ライニング(14)が前記壁(10)の前記上面(10’)の下方に延伸している、請求項32に記載の部屋。
【請求項34】
第一殺虫剤に対する昆虫の抵抗を無効にする方法であって、
第一の物体と、前記第一の物体から離間している第二の物体とを備えている部屋を設ける段階と、
対象とする昆虫を接触することにより殺すために形成された取りはずし可能な第一殺虫剤を前記第一の物体に設ける段階であって、前記第一殺虫剤は前記対象とする昆虫の間に前記殺虫剤に対する抵抗力を誘発する可能性がある段階と、
前記対象とする昆虫を接触することにより殺すために形成された取りはずし可能な第二殺虫剤を前記第二の物体に設ける段階であって、前記第二殺虫剤は前記第一殺虫剤と異なるものである段階と、
前記第一殺虫剤に対して抵抗力のある前記対象とする昆虫に対して殺虫効果のある前記第二殺虫剤を選択する段階と、を含んでいる方法。
【請求項35】
前記第一の物体が蚊帳であって、前記第二の物体が下端部を有している壁面ライニングであって、そして前記方法は前記下端部を1.0mより高い高さに配置する段階を含んでいる、請求項34に記載の方法。

【図1a】図1aは、蚊帳と壁面ライニングとの組合せを示めすもので、壁面ライニングは、壁面の上端の下方にまで延在している。
【図2】図2は、本発明における蚊帳の第一実施形態を図示していて、PBOを含んでいる屋根を含んでいる。
【図3a】図3aは、本発明における蚊帳の第一実施形態を図示していて、蚊帳は円錐状のスカートを有している。
【図3b】図3bは、本発明における蚊帳の第一実施形態を図示していて、蚊帳は長方形状のスカートを有している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1aは、壁10と屋根15とを有している小屋の部分である部屋11を図示している。屋根15は壁10の上面10’の上方に配置されていて、従って壁10の上面10’と屋根15の下面15’との間に空間14が形成されている。部屋11が、ベッド6を覆っている蚊帳1を含んでいて、そして壁10と屋根15との間の空間14に充填された壁面ライニング12を含んでいる。壁面ライニング14は空間14だけを覆うように図示されているけれども、壁面ライニング14は、空間14だけを覆うように図示されているけれども、壁面ライニング14は、図1bに図示するように、上面10’の下方に延伸していてもよいし、そして壁10の一部又は全部を覆っていてもよい。もし、壁面ライニング14が、人間にとって有害な殺虫剤を含んでいる場合、壁面ライニング14の下端14’が人間に接触するリスクを最小にする高さであることが好ましい。例えば、下端14’は、1.6mより高い高さである。代りに、壁面ライニングがさらに下方に延伸して壁10全体を覆ってもよい。しかしながら、この場合人間にとって有害な殺虫剤は壁面ライニング14の上部分だけに含まれていることが望ましい。
【0044】
第一の対象物である蚊帳は、別として、第二の対象物である壁面ライニングに関連して、部屋には、例えば一部に殺虫剤カバー17を有している家具16のような殺虫剤の対象物が含まれている。
【0045】
図2には、ベッド6を覆っている円錐状の蚊帳1が図示されていて、蚊帳1はベッド6における人間を昆虫、特に蚊からの攻撃を防ぐためのものである。蚊帳1の屋根4は、選択的に殺虫剤と混合されるPBOのような相乗剤を備えていて、そして、蚊帳1の側面5殺虫剤を含んでいる。選択的に、側面は相乗を含んでいない。固定リング9が屋根4と側面5との間に挿入されている。
【0046】
一つの実施形態において、屋根4は、側面5の例えばポリエステルのようなポリマー材料とは異なる、例えばポリエチレンのようなポリマー材料で作られていてもよい。屋根4にポリエチレンを使用すると、繊維を射出成形する前に、殺虫剤を比較的低温で溶けたポリマーに均質混合することができる。というのは、ポリマーはポリエステルと比較して非常に低い溶融温度を有しているからである。
【0047】
図3aは、円錐状の蚊帳の別の実施形態であり、図3bは、長方形状の蚊帳を図示している。蚊帳1が屋根4と蚊帳1の下端30に延伸している側面5とを有していて、蚊帳の上部2が屋根4と側面5の上部50とを有しており、蚊帳の下部3は側面5の下部である。蚊帳は、人間又は動物のための空間、例えばベッド6を覆うべく延在している(図3a参照)。蚊帳の下方の空間に入るために、蚊帳1の下部3は表面が摩耗され、従って表面の内面がはく離する。蚊帳の上部2はベッド用に使用されるのに対し、下部3は耐摩耗製で、機械的強度の強い材料、例えば布、又は防水布又はその組合せが使用される。さらに、下部3には、表面を形成する殺虫剤がはく離することを考りょして高濃度の殺虫剤が含まれていてもよい。
【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2011−501954(P2011−501954A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531415(P2010−531415)
【出願日】平成20年11月3日(2008.11.3)
【国際出願番号】PCT/DK2008/050267
【国際公開番号】WO2009/059607
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508310263)ベステルガールド フランドセン ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】