説明

異物検出装置の製造方法

【課題】製造時における作業性が高く、製造コストが安価な異物検出装置の製造方法を得る。
【解決手段】内側に電極線18、20及びスペーサ102が設けられた外皮部14を、その長手方向一端側から押出成形機106に通過させる。これにより、押出成形機106を通過した外皮部14の周囲にはプロテクタ30が形成される。このように、感圧センサ12とは別体で構成したプロテクタ30の筒部32に感圧センサ12を挿入するのではなく、押出成形によって外皮部14の周囲にプロテクタ30を形成する。このため、プロテクタ30の筒部32に感圧センサ12を挿入するという煩雑な作業が不要になり、異物検出装置10の製造をするうえでの作業性が向上し、製造コストも安価になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の乗降口や車両後部の開口等に設定された自動ドアに適用される異物検出装置を製造するための異物検出装置を製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に示されるような自動スライドドア装置用の異物検出装置は、感圧センサが断面円形の長尺紐形状に形成される。この感圧センサは筒形状に形成されたプロテクタの保持部に挿入され、プロテクタの取付脚がドアパネルの前端に設けられた挟持部と挟持板との間に嵌め込まれて接着されることにより感圧センサがドアパネルに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−271154号の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、感圧センサの外皮部やプロテクタは、比較的柔軟な弾性部材によって形成されている。このため、プロテクタの保持部を筒状に形成しても、この保持部の内側に感圧センサを挿入する作業は煩雑であった。また、感圧センサの長手方向一端には、感圧センサの電極線と、車両に搭載されたバッテリーや、異物の挟み込みを検出したか否かを判定するための判定手段(ECU等)とを電気的に接続するための接続部材が取り付けられる。このため、感圧センサをその長手方向他端側からプロテクタの保持部に挿入しなくてはならなかった。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、製造時における作業性が高く、製造コストが安価な異物検出装置の製造方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法は、内周部に複数の電極が互いに離間した状態で設けられると共に、開口の内周縁部及び前記開口を閉止するドアの外周部の何れかの一方に取り付けられる取付部を有し、前記ドアの外周部と前記開口の内周縁部との間に挟み込まれた異物からの押圧力により変形可能な弾性絶縁体を形成する弾性絶縁体形成工程と、前記弾性絶縁体における所定部位の前記取付部を除去する取付部除去工程と、前記複数の電極に接続されて前記弾性絶縁体及び前記複数の電極を含めて構成される感圧センサに給電する給電部材を接続する給電部材接続工程と、前記複数の電極と前記給電部材との接続部分を、前記弾性絶縁体を含めて被覆する被覆工程と、を含めて構成された製造工程を有している。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法では、弾性絶縁体形成工程では感圧センサを構成する中空の弾性絶縁体の内側に複数の電極が互いに離間した状態で配置された状態で弾性絶縁体が形成される。弾性絶縁体形成工程では、弾性絶縁体に取付部が形成されるが、取付部除去工程で弾性絶縁体における所定部位の取付部が除去される。次いで、給電部材接続工程では上記の複数の電極に給電部材が接続されて、更に、被覆工程では複数の電極と給電部材との接続部分が弾性絶縁体を含めて被覆される。
【0008】
このような製造工程を経て製造された異物検出装置は、弾性絶縁体に形成されている取付部が開口の内周縁部や、この開口を閉止するドアの外周部に沿って取り付けられることで、弾性絶縁体、ひいては、感圧センサが開口の内周縁部やドアの外周部に取り付けられ、開口の内周縁部とドアの外周部との間で異物が挟まれると、異物からの押圧力で弾性絶縁体が弾性変形して、弾性絶縁体内の複数の電極が互いに接触する。これにより、開口の内周縁部とドアの外周部との間で異物が挟まれたことを検知できる。
【0009】
ここで、本発明に係る異物検出装置の製造方法では、弾性絶縁体形成工程で取付部を有する弾性絶縁体の内周部に複数の電極が設けられた状態で形成されるので、中空の弾性絶縁体の内側に感圧センサを挿入するといった煩雑な組付工程を廃止でき、作業性の向上を図ることができる。しかも、弾性絶縁体形成工程にて弾性絶縁体に形成された取付部も、所定部位、すなわち、不要な部位の取付部が取付部除去工程で除去される。このため、給電部材接続工程にて複数の電極と給電部材とが接続される際や、被覆工程にて複数の電極と給電部材との接続部分やこの接続部分近傍の弾性絶縁体を被覆する際の作業が容易になる。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法は、請求項1に記載の本発明において、前記弾性絶縁体を構成する中空の第1弾性絶縁体の内周部に複数の電極が互いに離間した状態で前記第1弾性絶縁体を形成する第1弾性絶縁体形成工程と、前記複数の電極が設けられた前記第1弾性絶縁体の外側に、前記取付部を有する第2弾性絶縁体を形成する第2弾性絶縁体形成工程と、を含めて前記弾性絶縁体形成工程を構成している。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法では、第1弾性絶縁体形成工程において弾性絶縁体を構成する中空の第1弾性絶縁体が形成されると共に、第1弾性絶縁体の内周部に複数の電極が離間した状態で配置される。次いで、第2弾性絶縁体形成工程では、内側に複数の電極が設けられた第1弾性絶縁体の外側に第2弾性絶縁体が形成される。第2弾性絶縁体形成工程では、第2弾性絶縁体に取付部が形成されるが、取付部除去工程で第2弾性絶縁体における所定部位の取付部が除去される。
【0012】
ここで、本発明に係る異物検出装置の製造方法では、第2弾性絶縁体形成工程で第1弾性絶縁体の外側に取付部を有する第2弾性絶縁体が形成されるので、中空の第2弾性絶縁体の内側に感圧センサを挿入するといった煩雑な組付工程を廃止でき、作業性の向上を図ることができる。しかも、第2弾性絶縁体形成工程にて第2弾性絶縁体を形成することによって第2弾性絶縁体に形成された取付部も、所定部位、すなわち、不要な部位の取付部が取付部除去工程で除去される。このため、給電部材接続工程にて複数の電極と給電部材とが接続される際や、被覆工程にて複数の電極と給電部材との接続部分やこの接続部分近傍の第1弾性絶縁体及び前記第2弾性絶縁体を被覆する際の作業が容易になる。
【0013】
請求項3に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記弾性絶縁体形成工程は、前記複数の電極の間にスペーサを介在させた状態で前記弾性絶縁体を前記複数の電極の周囲に形成し、少なくとも前記弾性絶縁体形成工程が終了するまで前記複数の電極の間にスペーサを介在させたままとしている。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法は、弾性絶縁体形成工程でスペーサが複数の電極の間に介在した状態で弾性絶縁体が複数の電極の周囲に形成される。
【0015】
ここで、本発明に係る異物検出装置の製造方法では、弾性絶縁体形成工程にて弾性絶縁体を形成するに際して複数の電極の間にスペーサが設けられるが、このスペーサは弾性絶縁体形成工程が終了するまで複数の電極の間に介在したままの状態になっている。このため、弾性絶縁体形成工程では複数の電極の間に介在したスペーサによって複数の電極が弾性絶縁体の内側で互いに離間した状態になる。このため、弾性絶縁体形成工程での成形圧等によって複数の電極が互いに接触してしまうことがない。
【0016】
請求項4に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法は、請求項3に記載の本発明において、前記複数の電極の間から前記スペーサを抜き取るスペーサ抜取工程を前記取付部除去工程と前記給電部材接続工程との間に設定している。
【0017】
請求項4に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法では、複数の電極の間からスペーサを抜き取るスペーサ抜取工程が取付部除去工程と給電部材接続工程との間に設定される。このため、給電部材接続工程にて複数の電極と給電部材とが接続されるまでは、スペーサによって複数の電極が互いに離間した状態で維持される。これにより、取付部除去工程における弾性絶縁体から取付部を除去する作業等の給電部材接続工程よりも前の工程の作業で複数の電極が互いに接触してしまうことを防止できる。
【0018】
請求項5に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の本発明において、前記被覆工程にて前記複数の電極と前記給電部材との接続部分を被覆する被覆部材は液密に前記接続部分をシールするシール材を含めて構成されている。
【0019】
請求項5に記載の本発明に係る異物検出装置の製造方法によれば、被覆工程ではシール材によって複数の電極と給電部材との接続部分が液密にシールされる。これにより、複数の電極と給電部材との接続部分を被覆した部分に水等が付着しても、この水等が複数の電極と給電部材との接続部分に容易に達することがなく、複数の電極と給電部材との機械的な接続及び電気的な接続を長期に亘り良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法で製造された異物検出装置の長手方向中間部の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法で製造された異物検出装置の長手方向一端部近傍の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法で製造された異物検出装置が適用される車両の後方からの斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法の各工程の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1弾性絶縁体形成工程を説明する概略的な斜視図である。
【図6】第2弾性絶縁体形成工程を説明する概略的な斜視図である。
【図7】取付部除去工程を経た異物検出装置の一端近傍を拡大した斜視図である。
【図8】給電部材接続工程を説明する断面図である。
【図9】図8の下側から見た給電部材接続工程を説明する断面図である。
【図10】被覆工程にてシール材を塗布した状態を説明する図8に対応した断面図である。
【図11】被覆工程にて被覆材を装着した状態を説明する図8に対応した断面図である。
【図12】第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法の変形例における各工程の流れを示すフローチャートである。
【図13】第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法の変形例での取付部除去工程を経た異物検出装置の一端近傍を拡大した斜視図である。
【図14】第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法の変形例でのスペーサ抜取工程を経た異物検出装置の一端近傍を拡大した斜視図である。
【図15】シール材の変形例を示す図11に対応した断面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法で製造された異物検出装置の長手方向中間部の構成を示す斜視図である。
【図17】第2の実施の形態における弾性絶縁体形成工程を説明する概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の各実施の形態について図1から図17の各図に基づいて説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0022】
<第1の実施の形態の構成>
第1の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法により製造された異物検出装置10の構成について図1から図3の各図に基づき説明する。
【0023】
図1に示されるように、異物検出装置10は感圧センサ12を備えている。感圧センサ12は第1弾性絶縁体として弾性絶縁体を構成する外皮部14を備えている。外皮部14はゴムや軟質の合成樹脂材等、絶縁性を有する弾性材によって外周形状が円形の長尺状に形成されている。この外皮部14には中空部16が外皮部14の長手方向に沿って連続して形成されている。
【0024】
この中空部16の内側には各々が電極としての2本の電極線18、20が設けられている。これらの電極線18、20の各々は銅線等の導電性細線を縒り合わせることにより可撓性を有する長尺状に形成された芯線の外周部を、導電性ゴム等の導電性を有する弾性材により被覆することで紐状に形成されている。これらの電極線18、20は中空部16を介して互いに離間した状態で外皮部14の内周部に固着されており、このため、外皮部14が弾性変形することで電極線18、20の少なくとも一方が撓んで電極線18と電極線20とが接触して導通する。
【0025】
なお、本実施の形態では、外皮部14の内側に2本の電極線18、20が設けられる構成であるが、電極線は複数であればその数に限定されるものではなく、例えば、4本の電極線を外皮部14の内側に設ける構成であってもよい。
【0026】
また、異物検出装置10は、ゴム等の弾性を有する絶縁性材料により形成された第2弾性絶縁体として弾性絶縁体を構成するプロテクタ30を備えている。プロテクタ30は筒部32を備えている。筒部32は全体的にチューブ(筒)状とされている。筒部32の内周形状は内径寸法が外皮部14(感圧センサ12)の外径寸法に略等しい断面円形とされており、感圧センサ12は筒部32の内側に収容されている。
【0027】
なお、このプロテクタ30の材質は外皮部14と同じであってもよいし、外皮部14とは異なる材質であってもよい。
【0028】
また、プロテクタ30は取付部34を備えている。筒部32の側面から連続して形成されている。取付部34には筒部32とは反対側へ向けて開口した取付溝36が形成されており、この取付溝36には支持ブラケット46を構成する被挟持部54が挿し込まれる。
【0029】
支持ブラケット46は、長尺の平板材を幅方向中間部にて断面L字形状に屈曲させることで形成されており、屈曲部分を介して被挟持部54とは反対側の固定部48が、例えば、図3に示される車両40の自動スライドドア装置42を構成するドア44の前端部や、このドア44によって開閉される開口としての乗降口50の内周縁に沿うようにドア44や乗降口50の内周縁の近傍部分にボルト等の固定部材にて固定される。このように、ドア44に固定された支持ブラケット46を構成する被挟持部54が取付部34に挿し込まれるように支持ブラケット46にプロテクタ30が取り付けられることで、感圧センサ12がドア44の前端部に沿って取り付けられる。
【0030】
なお、本実施の形態は、上記のようにプロテクタ30は取付部34に取付溝36を形成して、この取付溝36の内側に支持ブラケット46の被挟持部54を挿し込んで固定する構成であるが、プロテクタ30をドア44の前端部や乗降口50の内周縁に固定する構成がこのような構成に限定されるものではない。例えば、取付部34に取付溝36を形成せず、接着剤や両面テープ等の固着手段によって取付部34をドア44の前端部や乗降口50の内周縁に固着させ、これによりプロテクタ30をドア44の前端部や乗降口50の内周縁に固定する構成としてもよい。
【0031】
一方、図1に示されるように、プロテクタ30の長手方向一端部の近傍では、取付部34が除去されている。また、感圧センサ12及びプロテクタ30の長手方向一端部には給電部材としての接続部材72が設けられる。図11に示されるように、接続部材72は合成樹脂材等の絶縁体で形成された接続板74を備えている。
【0032】
この接続板74は平板状に形成されており、外周一部からは挿入棒76が突出形成されている。接続部材72は接続板74の外周部が感圧センサ12及びプロテクタ30の長手方向一端に突き当たるまで挿入棒76が感圧センサ12の長手方向一端部から外皮部14の中空部16に嵌挿される。また、この接続板74には銅等の導電性を有する金属平板により形成された一対の導通片78が固定されている。
【0033】
これらの導通片78の一方は接続板74の厚さ方向一方の面で露出するように接続板74に固定されており、他方の導通片78は接続板74の厚さ方向他方の面で露出するように接続板74に固定されている。一方の導通片78には感圧センサ12及びプロテクタ30の長手方向一端から引き出された電極線18が導通片78に対して電気的に導通した状態で導通片78に機械的に接合されており、他方の導通片78には感圧センサ12及びプロテクタ30の長手方向一端から引き出された電極線20が導通片78に対して電気的に導通した状態で導通片78に機械的に接合されている。
【0034】
また、接続部材72は、接続部80を備えている。接続部80は、例えば、外皮部14の半径方向外方へ向けて開口した箱形状に形成されており、その内側には上述した一対の導通片78が入り込んでいる。この接続部80には、その開口側から図3に示されるような他の接続部材82が嵌め込まれ、この接続部材82に設けられた一対の導通部が上記の一対の導通片78に接触する。この接続部材の導通部は、コード等を介して車両に搭載されたバッテリーに直接又は間接的に接続されていると共に、導通部の何れかの一方が電極線18と電極線20とが互いに接触して導通したか否かを判定するECU等の判定手段に電気的に接続されている。
【0035】
なお、本実施の形態では、接続部80を外皮部14の半径方向外方へ向けて開口した箱形状としたが、接続部80の開口方向がこの向きに限定されるものではなく、例えば、接続板74や挿入棒76が設けられた側とは反対側へ向けて開口させてもよい。
【0036】
さらに、図11に示されるように、接続部材72の接続板74よりも接続部80側と、プロテクタ30の長手方向一端部近傍との間にはシール材84が設けられており、上述した接続板74等がシール材84に液密的に埋設されており、その周囲が筒状の被覆材86により被覆されている。
【0037】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本異物検出装置10の製造工程の説明を通して本実施の形態の作用並びに効果を説明する。
【0038】
図4の製造工程のフローチャートに示されるように、本実施の形態では、先ず、第1弾性絶縁体形成工程にて感圧センサ12が製造される。図5に示されるように、この第1弾性絶縁体形成工程では、スペーサ102が用いられる。スペーサ102は外周形状が外皮部14における中空部16の内周形状と同じ形状に形成される長尺状の部材で、このスペーサ102を挟むように電極線18と電極線20とが配置される。この状態でスペーサ102及び電極線18、20がその長手方向一端側から押出成形機104にセットされる。図5に示されるように、押出成形機104を通過したスペーサ102及び電極線18、20の周囲には断面円形の外皮部14が形成される。このように、スペーサ102を電極線18と電極線20との間に介在させているので、押出成形機104を通過させて外皮部14を成形する際の成形圧等で、電極線18と電極線20とが接触してしまうことがない。
【0039】
次いで、第2弾性絶縁体形成工程では、図6に示されるように、外皮部14の内側に電極線18、20及びスペーサ102が設けられた状態で外皮部14がその長手方向一端側から押出成形機106にセットされる。図6に示されるように、押出成形機106を通過した外皮部14の周囲にはプロテクタ30が形成される。このように、本実施の形態では、感圧センサ12とは別体で構成したプロテクタ30の筒部32に感圧センサ12を挿入するのではなく、押出成形によって外皮部14の周囲にプロテクタ30を形成する。このため、プロテクタ30の筒部32に感圧センサ12を挿入するという煩雑な作業が不要になり、異物検出装置10の製造をするうえでの作業性が向上し、製造コストも安価になる。
【0040】
また、第2弾性絶縁体形成工程では、外皮部14の内側にスペーサ102が設けられたまま外皮部14の周囲にプロテクタ30が形成される。このため、プロテクタ30を形成する際の押出成形の成形圧等によって電極線18と電極線20とが接触してしまうことがない。
【0041】
次に、図7に示されるように、取付部除去工程ではプロテクタ30の長手方向端部近傍やその他の部位でプロテクタ30の取付部34が除去される。この取付部除去工程では、外皮部14の内側にスペーサ102が設けられたままプロテクタ30の長手方向端部近傍やその他の所定部位の取付部34が除去される。
【0042】
このため、取付部除去工程にてプロテクタ30や外皮部14が弾性変形させられても、電極線18と電極線20とが接触してしまうことがない。なお、本実施の形態では、取付部除去工程で除去される取付部34は、プロテクタ30の長手方向端部近傍であるが、例えば、車両に本異物検出装置10を取り付けるにあたり、プロテクタ30をその長手方向中間部において適宜に屈曲させるために、取付部除去工程でプロテクタ30の屈曲部分等の取付部34を適宜に除去してもよい。
【0043】
次に、スペーサ抜取工程で外皮部14の長手方向一端又は他端からスペーサ102が抜き取られる。これにより、外皮部14に中空部16が形成され、電極線18と電極線20とが中空部16を介して互いに対向する。
【0044】
次に、給電部材接続工程では、図8に示されるように、接続部材72の接続板74の外周部がプロテクタ30や外皮部14の長手方向一端部に突き当たるまで挿入棒76が中空部16に挿し込まれる。次いで、この状態で接続板74に設けられた一対の導通片78の一方に電極線18が電気的且つ機械的に接合され、他方の導通片78に電極線20が電気的且つ機械的に接合される。ここで、上記のように、取付部除去工程でプロテクタ30の長手方向端部近傍の取付部34を除去しているので、各導通片78と電極線18、20とを容易に接合できる。
【0045】
次に、被覆工程では、図10に示されるように、先ず、液状のシール材84が接続部材72の接続板74よりも接続部80側と、プロテクタ30の長手方向一端部近傍との間に塗布され、これにより、接続部材72の接続板74とその周囲がシール材84に液密的に埋設される。このシール材84が硬化した後、図11に示されるように、シール材84が筒状の被覆材86によって被覆される。ここで、上記のように、取付部除去工程でプロテクタ30の長手方向端部近傍の取付部34を除去しているので、シール材84の塗布や被覆材86の装着を容易にできる。
【0046】
このように、接続部材72の接続板74とその周囲がシール材84に液密的に埋設されることで、外皮部14の一端から引き出された電極線18、20や、これらの電極線18、20と導通片78との接合部分に雨水等が被水することなく、長期に亘り、電極線18、20と導通片78との機械的且つ電気的な接合を長期に亘り良好に維持できる。
【0047】
なお、本実施の形態は、第2弾性絶縁体形成工程とスペーサ抜取工程との間に取付部除去工程を設定したが、図12に示されるように、第2弾性絶縁体形成工程と取付部除去工程との間にスペーサ抜取工程を設定する構成、すなわち、第2弾性絶縁体形成工程の終了後に図13に示されるようにスペーサ抜取工程で外皮部14の内側からスペーサ102を抜き取り、その後に図14に示されるように取付部除去工程でプロテクタ30の長手方向端部近傍やその他の部位の取付部34を除去してもよい。
【0048】
さらに、本実施の形態では、外皮部14の内周部の断面形状が非円形であったが、外皮部14の内周部の断面形状を円形、すなわち、外皮部14を円筒形状としてもよく、更に、外皮部14を円筒形状とした場合、外皮部14の厚さをプロテクタ30の筒部32と同じ厚さに設定してもよい。
【0049】
また、上記の各実施の形態では、被覆工程で液状のシール材84を接続部材72の接続板74よりも接続部80側と、プロテクタ30の長手方向一端部近傍との間に塗布したが、例えば、図15に示されるように、接続部材72と被覆材86との間、及び、プロテクタ30の長手方向一端部近傍と被覆材86との間にそれぞれ設けたOリング122を設ける構成としてもよい。
【0050】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る異物検出装置の製造方法により製造された異物検出装置140の構成について図16に基づき説明する。
【0051】
図16に示されるように、異物検出装置140の感圧センサ142は外皮部14及びプロテクタ30を備えておらず、代わりに、弾性絶縁体としてのプロテクタ144を備えている。このプロテクタ144は筒部32に代わる筒部146を備えている。この筒部146には前記第1の実施の形態における外皮部14における中空部16に対応する中空部148が形成されている。この中空部148の断面形状は十字形状(X字形状)とされており、更に、この断面形状の十字形状の交差部分近傍で、各々が電極としての4本の電極線150、152、154、156が互いに離間した状態で配置されている。
【0052】
一方、この筒部146の外周部には、前記第1の実施の形態におけるプロテクタ30の筒部32と同様に取付部34が形成されており、この取付部34の取付溝36に支持ブラケット46を構成する被挟持部54が挿し込まれる。
【0053】
すなわち、本実施の形態を構成するプロテクタ144は、前記第1の実施の形態における外皮部14とプロテクタ30とを別体で構成せずに、外皮部14とプロテクタ30とを一体成形した構成となっている。なお、プロテクタ144の材質は、前記第1の実施の形態における外皮部14と同じであってもよいし、外皮部14とは異なる材質であってもよい。
【0054】
このようなプロテクタ144を有する本実施の形態では、弾性絶縁体形成工程にて感圧センサ142が製造される。図17に示されるように、この弾性絶縁体形成工程では、スペーサ158が用いられる。このスペーサ158は外周形状が中空部148の内周形状と同じ略十字形状(X字形状)の長尺状とされている。上記の電極線150〜156は、スペーサ158の外周形状である十字形状の交差部分で各電極線150〜156の長手方向がスペーサ158の長手方向に沿うように配置される。この状態でスペーサ158及び電極線150〜156がその長手方向一端側から押出成形機162にセットされる。
【0055】
図17に示されるように、押出成形機162を通過したスペーサ158及び電極線150〜156の周囲には上記のプロテクタ144が形成される。このように、スペーサ158を電極線150〜156の各々の間に介在させているので、押出成形機162を通過させてプロテクタ144を成形する際の成形圧等で、電極線150〜156のうちの何れか1つと他の何れか1つとが接触してしまうことがない。
【0056】
次いで、詳細な説明は省略するが、前記第1の実施の形態と同様に、取付部除去工程、スペーサ抜取工程、給電部材接続工程、及び被覆工程を経て異物検出装置140が形成される。このような取付部除去工程、スペーサ抜取工程、給電部材接続工程、及び被覆工程を経ることで、前記第1の実施の形態において取付部除去工程、スペーサ抜取工程、給電部材接続工程、及び被覆工程を経ることと同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、外皮部14とプロテクタ30とが別体で構成されておらず、プロテクタ144における筒部146に中空部16に対応する中空部148を形成して、その内側に電極線150〜156を設けた。このため、部品点数を削減でき、更には、弾性絶縁体形成工程を第1弾性絶縁体形成工程及び第2弾性絶縁体形成工程に分けずに1つの工程とすることができる。これにより、部品コスト及び製造コストを削減できる。
【0058】
なお、本実施の形態にて製造される異物検出装置140の感圧センサ142は、電極としての紐状の電極線150〜156を互いに平行で且つ電極線150〜156の各々が直線的に設けられる構成であった。しかしながら、電極の態様がこのような構成に限定されるものではない。例えば、中空部148の内周形状がその長手方向に沿って中心周りに漸次変位する螺旋状とし、紐状の電極線150〜156が、中空部148の中心(中空部148の内周形状である十字形状の交差部分)を中心軸線として、その長手方向に螺旋状に湾曲する構成としてもよい。このような構成であっても、例えば、スペーサ158の外周形状を対応させることで本実施の形態にて製造が可能である。
【0059】
また、上記の各実施の形態は、自動スライドドア装置42における挟み込み検出用の異物検出装置10に本発明を適用した構成であったが、本発明が自動スライドドア装置42の異物検出装置10の製造方法にのみ限定されるものではなく、例えば、車両のバックドアをモータの駆動力で開閉する自動バックドア装置における挟み込み検出用の異物検出装置に本発明を適用してもよいし、車両のドアガラスを上下動させるパワーウインドウ装置のおける挟み込み検出用の異物検出装置に本発明を適用してもよい。
【0060】
さらに、上記の各実施の形態では、電極を紐状の電極線18、20、150、152、154、156としたが、電極の構成がこのような紐状に限定されるものではない。例えば、複数の電極の少なくとも1を、断面矩形状で可撓性を有する所謂「平角線」で構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10・・・異物検出装置、12・・・感圧センサ、14・・・外皮部(弾性絶縁体、第1弾性絶縁体)、14・・・筒部、16・・・中空部、18、20、150、152、154、156・・・電極線(電極)、30・・・プロテクタ(弾性絶縁体、第2弾性絶縁体)、32・・・筒部、34・・・取付部、36・・・取付溝、40・・・車両、42・・・自動スライドドア装置、44・・・ドア、46・・・支持ブラケット、48・・・固定部、50・・・乗降口(開口)、54・・・被挟持部、72・・・接続部材(給電部材)、74・・・接続板、76・・・挿入棒、78・・・導通片、80・・・接続部、82・・・接続部材、84・・・シール材、86・・・被覆材、102、158・・・スペーサ、104・・・押出成形機、106・・・押出成形機、122・・・Oリング、140・・・異物検出装置、142・・・感圧センサ、144・・・プロテクタ(弾性絶縁体)、146・・・筒部、148・・・中空部、162・・・押出成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周部に複数の電極が互いに離間した状態で設けられると共に、開口の内周縁部及び前記開口を閉止するドアの外周部の何れかの一方に取り付けられる取付部を有し、前記ドアの外周部と前記開口の内周縁部との間に挟み込まれた異物からの押圧力により変形可能な弾性絶縁体を形成する弾性絶縁体形成工程と、
前記弾性絶縁体における所定部位の前記取付部を除去する取付部除去工程と、
前記複数の電極に接続されて前記弾性絶縁体及び前記複数の電極を含めて構成される感圧センサに給電する給電部材を接続する給電部材接続工程と、
前記複数の電極と前記給電部材との接続部分を、前記弾性絶縁体を含めて被覆する被覆工程と、
を含めて構成された製造工程を有する異物検出装置の製造方法。
【請求項2】
前記弾性絶縁体を構成する中空の第1弾性絶縁体の内周部に複数の電極が互いに離間した状態で前記第1弾性絶縁体を形成する第1弾性絶縁体形成工程と、
前記複数の電極が設けられた前記第1弾性絶縁体の外側に、前記取付部を有する第2弾性絶縁体を形成する第2弾性絶縁体形成工程と、
を含めて前記弾性絶縁体形成工程を構成した請求項1に記載の異物検出装置の製造方法。
【請求項3】
前記弾性絶縁体形成工程は、前記複数の電極の間にスペーサを介在させた状態で前記弾性絶縁体を前記複数の電極の周囲に形成し、少なくとも前記弾性絶縁体形成工程が終了するまで前記複数の電極の間にスペーサを介在させたままとする請求項1又は請求項2に記載の異物検出装置の製造方法。
【請求項4】
前記複数の電極の間から前記スペーサを抜き取るスペーサ抜取工程を前記取付部除去工程と前記給電部材接続工程との間に設定した請求項3に記載の異物検出装置の製造方法。
【請求項5】
前記被覆工程にて前記複数の電極と前記給電部材との接続部分を被覆する被覆部材は液密に前記接続部分をシールするシール材を含めて構成される請求項1から請求項4の何れか1項に記載の異物検出装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−194173(P2012−194173A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262258(P2011−262258)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】