説明

異物粒子分離装置

【課題】低コストでコンパクトな設備で、被処理流体中の異物粒子の除去効率を向上させる。
【解決手段】被処理流体浄化システムは、異物粒子分離装置1を備えている。被処理流体はダーティタンクから異物粒子分離装置1に供給され、比重が比較的小さい粒子等は浮上物排出口25から排出され、比重の重い異物粒子jが遠心力により分離されて、バイパス流路20でサイクロン分離部11の下側に導かれ、比重の重い異物粒子jが分離された後の被処理流体が、サイクロン分離部11で更に異物粒子jとクリーンな被処理流体に分離され、これらの異物粒子jは、排出口4から排出される。浄化処理後の被処理流体が、筒状排出管6を通って異物粒子分離装置1外に排出されて、スーパクリーンタンクへと導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械等において切削加工時や研削加工時に生じるスラッジ(加工屑)等をクーラント液(被処理流体)から分離・除去するためなどに使用される異物粒子分離装置に関し、特に、異物粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の異物粒子を分離して排出するサイクロン式処理容器を備えた異物粒子分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の異物粒子分離装置は、サイクロン式処理容器の内周面が下側ほど縮径する逆円錐状に形成されていて、該サイクロン式処理容器の上部側壁の導入開口から該容器内に導いたクーラント液をその内周面に沿って旋回流動させることでその遠心力により異物粒子を該内周面近傍に集約して分離する。そして、このクーラント液の旋回流動に伴いその旋回中心部に生じる上昇流によって、異物粒子を排除した浄化処理されたクーラント液を該旋回中心部に配設された排出管から容器外へと排出する。
【0003】
このような異物粒子分離装置において、異物粒子をより効率良く分離・除去するための技術が種々提案されており、例えば特許文献1に示す被処理流体浄化システムは、サイクロン式処理容器を2つ直列に並べられて、被処理流体が、第1番目のサイクロン式処理容器に供給されて異物粒子が分離された後に、第2番目のサイクロン式処理容器に供給されて、さらに異物粒子が分離されるように構成され、被処理流体中の異物粒子の浄化率を向上させるようにしたものが知られている。
【0004】
具体的には、特許文献1では、被処理流体はダーティタンクから1番目のサイクロン式処理容器に供給され、異物粒子が遠心力により分離されて排出口から排出され、異物粒子分離後の被処理流体が、筒状排出管から2番目のサイクロン式処理容器に導かれる。この2番目のサイクロン式処理容器では、1番目のサイクロン式処理容器では除去しきれなかった異物粒子が、同様に遠心力により分離されて排出口から排出されるとともに、比重が比較的小さい粒子等は浮上物排出口から排出され、浄化処理後の被処理流体が、筒状排出管からスーパクリーンタンクへと導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−83702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、被処理流体はダーティタンクから1番目のサイクロン式処理容器に供給され、比重の大きい異物粒子が遠心力により分離されて排出口から排出され、この後の被処理流体が、筒状排出管から2番目のサイクロン式処理容器に導かれる。2番目のサイクロン式処理容器では、1番目のサイクロン式処理容器では除去しきれなかった異物粒子が、同様に遠心力により分離されて排出口から排出されるとともに、比重が比較的小さい粒子等は浮上物排出口から排出され、浄化処理後の被処理流体が、筒状排出管からクリーンタンクへと導かれるようになっている。従って、かなりの浄化率で異物粒子を分離除去できるが、複数のサイクロン式処理容器を並設するために設備が大がかりとなると共にコストアップになるという不具合を有する。また、サイクロン式処理容器自身での異物粒子の処理効率を高めることができず、比較的比重の軽い微小な異物粒子を分離除去することができなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、微小な異物粒子や、被処理流体との比重の差が小さい異物粒子であっても、被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることを目的としている。更に、低コストでコンパクトな設備で得られるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、
異物粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体中の異物粒子を分離して下方の異物粒子の排出口から排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該サイクロン式処理容器外へと導く排出管と、
を備えた異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器の上側の内周壁に開口され、被処理流体が旋回流になって該サイクロン式処理容器内に導入される導入口と、
該導入口の下方位置に該内周壁から内周方向に向かって突出し、下方向への被処理流体の流路を狭める突出壁と、
該突出壁から下側の内周壁に、該排出管の該開口部の下方位置まで伸びて設けられた旋回筒状部を備えるサイクロン分離部と、
該サイクロン分離部の該旋回筒状部をバイパスして該突出壁の上面と該サイクロン分離部の下端部とを連通するように設けられたバイパス流路と、
入口を該旋回筒状部の旋回表面に有し、出口を該サイクロン分離部の該下端部に有し、半径方向外側で且つ下方に向かって設けられ、該旋回筒状部の該旋回表面側に集まる異物粒子を下方に案内する複数の案内通路部と、
を有することを特徴とする。
【0009】
これにより、導入口から導入されて旋回下降流動する被処理流体中の異物粒子の一部は、遠心力の影響により、内周壁の外周側に移動する。そこで、バイパス流路の流入口を通ってサイクロン分離部の旋回筒状部をバイパスしてサイクロン分離部の下端部まで送られる。そして、バイパス流路を通らなかった被処理流体は、下降流動しながらサイクロン分離部に導かれ、このサイクロン分離部で、被処理流体が旋回しながら下降流動するにつれて異物粒子は徐々に外周側(旋回筒状部の旋回表面側)に集約され、内周側の清浄な被処理流体中に異物粒子が混入する可能性が低くなる。特に、サイクロン処理部に導かれる前に予め遠心力で異物粒子を分離除去するので、被処理流体中の比較的比重の大きい異物粒子がバイパス流路で分離除去される傾向にあり、この比較的比重の大きな異物粒子が除去された被処理流体がサイクロン処理容器に導かれるようになる。従って、サイクロン処理容器では、比較的比重の大きな異物粒子を徐供した後の被処理流体で更に遠心力で分離除去が促進されるので、被処理流体中の異物粒子の浄化率が大幅に向上させることが、簡単な構成で実現できる。
【0010】
第2の発明は、請求項1の異物粒子分離装置において、上記案内通路部は、溝部からなることを特徴とする。
【0011】
これにより、サイクロン分離部の外周に集約した異物粒子を効率的に分離できる。
【0012】
第3の発明は、請求項1の異物粒子分離装置において、上記案内通路部は、貫通路からなることを特徴とする。
【0013】
これにより、サイクロン分離部の外周に集約した異物粒子を確実に分離でき、異物粒子が浄化後被処理流体排出管から排出される被処理流体に混入することが確実に防止される。
【0014】
第4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該サイクロン分離部の該旋回筒状部の該旋回表面に、下方に向けて徐々に拡径するテーパー壁が設けられ、該テーパー壁の下端部から、内周方向に向かって伸びた内向き壁を備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、サイクロン分離部での異物粒子をテーパー壁側に移動させて分離されやすくすることができる。
【0016】
第5の発明は、請求項4に記載の異物粒子分離装置において、該案内通路部の該入口が、該テーパー壁の該下端部を含んで、テーパー壁の一部と該内向き壁の一部を含むことを特徴とする。
【0017】
これにより、テーパー壁の下端部に集約した異物粒子を効果的に分離でき、異物粒子の分離を促進できる。
【0018】
第6の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該バイパス流路の該上面には、該上面に設けられた該流入口に向かって徐々に深くなった第1傾斜溝が、円周方向に向かって設けられていることを特徴とする。
【0019】
これにより、異物粒子がスムーズに流入口に導かれ、分離除去効率が向上すると共に、乱流も起こり難くきれいな旋回流を得られやすい。
【0020】
第7の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該サイクロン分離部の該旋回筒状部の該旋回表面には、該案内通路部の該入口に向かって徐々に深くなった第2傾斜溝が、円周方向に向かって設けられていることを特徴とする。
【0021】
これにより、異物粒子がスムーズに入口に導かれ、分離除去効率が向上すると共に、乱流も起こり難くきれいな旋回流を得られやすい。
【0022】
第8の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該サイクロン分離部の下端部であって、該排出管の開口部に対向する位置には、下方ほど拡径する円錐状部が形成されていることを特徴とする。
【0023】
これにより、サイクロン分離部の内周側に移動した異物粒子は、下方に移動するほど、さらに遠心力によって内周壁から外周側に離れるので、排出管の開口部から離れるようになり、該開口部から排出管に巻き込まれる可能性を低く抑えることができる。
【0024】
第9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該旋回筒状部の該旋回表面に対向する該排出管の外周面に、第1螺旋溝が形成されていることを特徴とする。
【0025】
これにより、被処理流体中の異物粒子に、より強い遠心力を作用させて、一層、異物粒子の除去効率を向上させることが容易にできる。
【0026】
第10の発明は、請求項1ないし9のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該導入口と該突出壁との間に相当する位置であって、該排出管の外周面に突出部が設けられ、該突出部に第2螺旋溝が形成されていることを特徴とする
これにより、被処理流体中の異物粒子に、より強い遠心力を作用させて、予め比重の大きな異物粒子を一層分離でき、異物粒子の除去効率を向上させることが容易にできる。
【0027】
第11の発明は、請求項1ないし10のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該排出管の下方位置であって、該開口部に対向する位置に、底面、該底面から立ち上がった囲い壁及び該囲い壁の下端に開口した排出孔からなる下方分離壁が設置されていることを特徴とする。
【0028】
これにより、分離除去された異物粒子が、開口部から排出管に混入することを抑制できると共に、下方分離壁内に入ってくる異物粒子も遠心力で外に出されるので、異物粒子を効果的に分離できる。
【0029】
第12の発明は、請求項1ないし11のいずれか1つの異物粒子分離装置において、該排出管の下流側、および該排出口の下流側の少なくとも一方に、流量および圧力の少なくとも一方を調整するバルブが設けられていることを特徴とする。
【0030】
これにより、異物粒子の比重に適合するように、サイクロン式処理容器内で被処理流体の流速や流量、被処理流体中の異物粒子に作用する遠心力を調整し、異物粒子の除去効果を高めることが容易にできる。
【0031】
これにより、被処理流体の旋回速度を増速させて、より強い遠心力を異物粒子に作用させることができる。
【0032】
第13の発明は、請求項1ないし12のいずれか1つの異物粒子分離装置において、上記サイクロン式処理容器における、被処理流体の導入口が設けられている位置の上方位置に、サイクロン式処理容器の上部に浮上した浮上物を回収して排出する浮上物排出口が設けられていることを特徴とする。
【0033】
これにより、被処理流体中に含まれる比重の小さい浮上物も、浮上物排出口から排出す
ることにより除去することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、サイクロン式処理容器の中央部などに存在する特に微小な異物粒子や、被処理流体との比重の差が小さい異物粒子などであっても、被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることが容易にできる。特に、コンパクトな構成で被処理流体からの異物粒子の除去効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態1の被処理流体浄化システムの構成を示す全体図である。
【図2】実施形態1の異物粒子分離装置の構成を示す縦断面図である。
【図3】図2の異物粒子分離装置を90°異なる角度で断面にした縦断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】実施形態1のバイパス流路の流入口の部分平面図である。
【図7】実施形態1のバイパス流路の流入口の部分断面図である。
【図8】実施形態1の支持プレートの平面図である。
【図9】実施形態2の異物粒子分離装置の構成を示す縦断面図である。
【図10】図10の異物粒子分離装置を90°異なる角度で断面にした縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0037】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る被処理流体浄化システム100を示し、本実施形態では一例として、この被処理流体浄化システム100を、工作機械101のクーラント液(被処理流体)の浄化システムに適用した例を示す。
【0038】
すなわち、上記被処理流体浄化システム100は、工作機械101において、クーラント液(すなわち被処理流体)の中に混入する切粉、或いは該切粉と砥粒との溶着したもの等からなる切削屑等を含む異物粒子jと、クーラント液とを分離し、該異物粒子jを分離回収する場合に適用したものである。より具体的には、この被処理流体浄化システム100は、ダーティタンク102と、異物粒子分離装置1と、ダスト分離用タンク103と、コンベア式のダスト分離装置108と、スーパクリーンタンク104とを備えている。
【0039】
工作機械101から排出されたダーティ液(異物粒子jを除去する前の被処理流体)は、先ず、ダーティタンク102内へと導かれて貯留される。ダーティタンク102内に貯留された被処理流体は、ポンプ105により汲み上げられて異物粒子分離装置1へと導かれる。
【0040】
異物粒子分離装置1では、後に詳述するように、比重が比較的大きな異物粒子jは、バイパス流路を通って排出口4からダスト分離用タンク103へと排出され、異物粒子jが分離された浄化処理後の被処理流体は、筒状の排出管6から排出されてスーパクリーンタンク104へと導かれる。
【0041】
上記排出口4から排出された異物粒子jは、ダスト分離用タンク103内でバッフル板282の右方から下方に回り込んで該ダスト分離用タンク103の底部に沈殿すると、ダスト分離装置108により回収されてダストボックス107に排出される。尚、ダスト分離装置108は、例えば特開2003−251542号公報に示す公知の構造を有するものとされ、ここではその説明を省略する。ダスト分離用タンク103内の上層の被処理流体は、その水位が所定水位h1に達すると、排出口103dから戻り管103bを介してダーティタンク102へと戻され、再度、異物粒子分離装置1へと導かれる。
【0042】
一方、異物粒子分離装置1の筒状排出管6からスーパクリーンタンク104に導かれて貯留された、異物粒子除去後のクリーンな被処理流体は、ポンプ115により工作機械101に供給され、クーラント液として使用される。ここで、スーパクリーンタンク104内の被処理流体は、その水位が所定水位h2に達すると、上壁部104aから垂下された仕切り壁104fの下方を回り込み、側壁との間を上昇して戻り管104bからダーティタンク102へと戻されるようになっている。また、上記仕切り壁104fには、戻り管104bと同程度の高さ位置に浮遊物排出孔104cが形成され、スーパクリーンタンク104内で表面に浮いた油分や軽いダスト等の浮上物も、ダーティタンク102へと戻されるようになっている。ここで、上記浮遊物排出孔104cの大きさを適切に設定することにより、浮上物を確実に排出するとともに、仕切り壁104fの下方を回り込む流れを確保して、沈殿したダストも確実に排出されるようにすることができる。この流れに伴って、異物粒子分離装置1によっても除去されずスーパクリーンタンク104内で深部に沈殿したダストもダーティタンク102へと戻される。なお、図1に示すように、下端が仕切り壁104fよりも低い仕切り壁104eを仕切り壁104fよりもポンプ115の吸入口側に設け、浮上物がより工作機械101に送られにくいようにしてもよい。上記のような構成により、スーパクリーンタンク104内でのダストや浮上物の蓄積を極力抑制できるので、常時クリーンな液を工作機械101に供給することがより容易にでき、工作機械101の稼働を止めることなく、連続して使用可能にすることができる。
【0043】
−異物粒子分離装置1の構成−
異物粒子分離装置1は、図2及び図3に示すように、ステンレス、アルミニウムや樹脂等の非磁性体等からなるサイクロン式処理容器2と、サイクロン式処理容器2内の浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器2外(異物粒子分離装置1外)へと排出する排出管とを備えている。この排出管は、サイクロン式処理容器2の中心部に設けられ上下方向に延びる筒状排出管6、および該筒状排出管6の下端部に螺合された筒状排出管延長部7からなる。これらの筒状排出管6、および筒状排出管延長部7がサイクロン式処理容器2の内外を連通することで該サイクロン式処理容器2内のクリーンな被処理流体を該サイクロン式処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1外)へと導くように構成されている。
【0044】
サイクロン式処理容器2は、上端部が閉塞された略円筒状の本体部2aと、該本体部2aの下端部に接続される略円筒状の流体渦流部2bとで構成されている。このサイクロン式処理容器2は、上下方向に延びる内周面2hに、旋回筒状部2c、旋回筒状部2d、円筒状部2e、逆円錐状部2f、円錐状部2gおよび逆円錐状部2fを形成した槽体からなるものであって、後述するように、異物粒子jを含む被処理流体を該内周面2hに沿って旋回流動させることでその遠心力により異物粒子jを分離する。
【0045】
より詳細には、サイクロン式処理容器2の内周面2hの上端部に形成された旋回筒状部2cは、導入口3より上側に円錐状部2c1と、該円錐状部2c1に連続した逆円錐状部2c2とからなり、油分等の軽いものが上方に導かれ、重いものが下方に導かれ易くなっている。この旋回筒状部2cは別体で形成され、本体部2aの内周面に嵌め込まれる構成であって、旋回筒状部2cの表面は窒化処理、熱処理等の耐摩耗性の表面処理が施されており、交換可能になっている。旋回筒状部2cの下側に突出壁9を介して、旋回筒状部2cよりも内径が小さい旋回筒状部2dが設けられ、この旋回筒状部2dの内側を流れる旋回下降流動によって、旋回筒状部2dの外周側(旋回表面側)に集まる異物粒子jと内周側に集まるクリーンな処理液への分離が行われる。旋回筒状部2dの下側には、内径が上下方向の全体に亘って略一定となる円筒状部2eが設けられ、円筒状部eの下側に逆円錐状部2fが形成され、該逆円錐状部2fの下側に円錐状部2gが形成され、円錐状部2gの下側に逆円錐状部2fが形成されている。旋回筒状部2c、2d、円筒状部2e、逆円錐状部2f、円錐状部2gおよび逆円錐状部2fの軸心は一致しており、この軸心が、サイクロン式処理容器2の中心軸1Cとされる。そして、この中心軸1Cは、被処理流体の旋回中心軸に略一致している。尚、旋回筒状部2cと一部の旋回筒状部2dは、上記本体部2aの内周面とされ、旋回筒状部2dの残りと円筒状部2e、逆円錐状部2f、円錐状部2g及び逆円錐状部2fは、上記流体渦流部2bの内周面とされている。
【0046】
上記旋回円筒状部2cには、図4に示すように、上記サイクロン式処理容器2内に被処理流体を導入するための導入口3が形成されている。この導入口3は、旋回円筒状部2cに対してその接線方向から貫通して開口するとともに、該開口からサイクロン式処理容器2内に流入する被処理流体を旋回円筒状部2cの中心軸(サイクロン式処理容器2の中心軸1C)周りに図4における反時計回り方向(r)に旋回流動させるように構成されている(なお、図2及び図3に示す断面には、実際には導入口3は現れないが、図2及び図3では、便宜上、ほぼ同図の断面に投影した位置に表している。)。こうして、被処理流体は、旋回円筒状部2cにおいて反時計回り方向に旋回流動されることで、その勢いで流体渦流部2b内においても同方向(反時計回り方向)に旋回流動される。なお、例えば導入口3の位置に応じて被処理流体を時計回り方向に旋回流動させるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0047】
サイクロン式処理容器2の中心部には、上下方向に延びる筒状排出管6、および筒状排出管6の下端部に螺合された筒状排出管延長部7が配設され、これらの筒状排出管6、および筒状排出管延長部7がサイクロン式処理容器2の内外を連通することで、サイクロン式処理容器2内のクリーンな被処理流体を該サイクロン式処理容器2外(異物粒子分離装置1外)へと導く排出管として構成されている。より詳細には、筒状排出管6は、サイクロン式処理容器2の上壁部(本体部2aの上端部)を貫通して該サイクロン式処理容器2外(異物粒子分離装置1外)へと延設されている。筒状排出管6と筒状排出管延長部7との螺合部は、被処理流体のサイクロン式処理容器2への導入口3よりも下方の位置に設定されるとともに、外径が導入口3の位置よりも大きい膨出部7aが形成され、比重が比較的大きな異物粒子jが外周方向に移動しやすくなるようになっている。また、膨出部7aの外周には、第1螺旋溝71が形成され、被処理流体の旋回速度を増速させて、より強い遠心力を異物粒子jに作用させ、比較的小さな異物粒子jも、より確実にサイクロン分離部11の外周側に移動させるようになっている。膨出部7aの上下部分における中心軸1Cに対するテーパー角は、例えば45°に設定されている。第1螺旋溝71は、リード角が30°で、2条形成されている。ここで、第1螺旋溝71の方向(右ネジ方向か左ネジ方向か)は、例えば旋回流動の方向に応じて決定すればよい。
【0048】
上記筒状排出管延長部7における膨出部7aの下方には、くびれ部7bが形成されている。くびれ部7bの下方には、くびれ部7bよりも外径がわずかに拡径した拡径部7cが形成されている。拡径部7cの外周には、第2螺旋溝72が形成され、被処理流体の旋回速度を増速させて、より強い遠心力を異物粒子jに作用させ、比較的小さな異物粒子jも、より確実にサイクロン分離部11の外周側に移動させるようになっている。第2螺旋溝72は、リード角が30°で、2条形成されている。ここで、第2螺旋溝72の方向(右ネジ方向か左ネジ方向か)は、例えば旋回流動の方向に応じて決定すればよい。拡径部7cの下側には、再びくびれ部7dが設けられ、くびれ部7dの下側には再び拡径部7eが設けられ、拡径部7eの下側には傾斜縮小部7fが形成されている。すなわち、例えば被処理流体の流路の横断面における平均径は、筒状排出管延長部7の膨出部7aの部分で拡径し、くびれ部7bの部分で縮径し、拡径部7cの部分で再度拡径し、くびれ部7dの部分で又縮径し、拡径部7e部分で又拡径するようになっている。そして、傾斜縮小部7fで内側に向けた流れを促進するようになっている。
【0049】
後述するように、異物粒子jが除去されたクリーンな被処理流体は、流体排出口7hから、筒状排出管延長部7および筒状排出管6内を通ってサイクロン式分離除去装置1外へと導かれる。なお、流体排出口7hが設けられた筒状排出管延長部7の下端部の内周面は(僅かに)外側に拡径させた案内傾斜部7gを設けて、流体が、より滑らかに流体排出口7hに導かれるようになっている。
【0050】
旋回筒状部2cの下端部の外周付近(導入口の下方位置)には、内周壁から内周方向に向かって突出した突出壁9が設けられている。遠心力によって速やかに外周側に移動する比重が比較的大きな異物粒子jが内側に寄ってこないようにするために、突出壁9の内周上側には、仕切り壁9bが設けられている。突出壁9によって、下方向への被処理流体の流路が狭められ、被処理流体の旋回流動半径が縮径されて被処理流体中の異物粒子jに大きな遠心力が作用するようになっている。突出壁9の下方には、旋回筒状部2dを有するサイクロン分離部11が設けられている。旋回筒状部2dの旋回表面には、上記突出壁9の内径から連続したテーパー壁13が設けられている。テーパー壁13は、4〜8°の僅かな傾斜角度で、旋回筒状部2dの長さの約2/3の長さに形成され、テーパー壁13の下端部には略水平な内向き壁14が内周方向に向かって伸びて設けられている。テーパー壁13の下端部から内向き壁14にかけて入口16aを有し、サイクロン分離部11の下端面11aに出口16bを有する案内通路部16が、半径方向外側に且つ下方に向かって傾斜溝として形成されている。図6及び図7に示すように、更に、案内通路部16の入口16aに向かって徐々に深くなった第2傾斜溝22がテーパー壁13及び内向き壁14(即ち旋回筒状部2dの旋回表面)に円周方向に設けられており、旋回流の被処理流体jが入口16aにスムーズに入り易くなっている。この第2傾斜溝22の傾斜角度は約4〜8°で、第2傾斜溝22の長さはその幅の2〜5倍程度に設けることが好ましい。なお、案内通路部16は直線的に設けられているが、旋回流の方向に応じて円周方向に傾斜した案内通路としても良い。テーパー壁13と筒状排出管延長部7との間に導かれた被処理流体は旋回下降流動によって、テーパー壁13のほうに異物粒子が集約され、テーパー壁13の下端部付近に集まる。この集まった異物粒子が案内通路部16を通って更に半径方向外側で且つ下方に導かれるようになっている。なお、案内通路部16は傾斜溝として設けたが、これに限られるものではなく、例えば」貫通路として設けても良い。
【0051】
円筒状部2eの下方には、逆円錐状部2f、円錐状部2g及び逆円錐状部2fが設けられ、下方側の逆円錐状部2fの下端(つまりサイクロン式処理容器2(流体渦流部2b)の底部)には、異物粒子jを排出するための排出口4が設けられている。
【0052】
これらの円筒状部2e、逆円錐状部2f、円錐状部2g及び逆円錐状部2fが構成される流体渦流部2bは、円筒外筒5に嵌合挿入されて着脱可能に構成されている。円筒外筒5は、その上端部付近に形成されたフランジ部5aに挿通されるボルト10によって本体部2aに固定されている。円筒外筒5の底部内には、流体渦流部2bを上方に押し上げるコイルばね311が設けられている。このように、円筒外筒5をボルト10によって本体部2aに固定することにより流体渦流部2bが上方に押し付けられ、組み付けられるので、組付性及びメンテナンス性に優れる。特に、異物粒子jが砥粒などを含む場合に、アグレッシブ磨耗等が生じにくいように耐磨耗性を持たせた部材と交換することなども容易にできる。上記円筒外筒5の材質は、例えば側壁部2jの外周面2iにおける筒状排出管延長部7の下端付近の上下方向位置)に、被処理流体中の異物粒子を含む異物粒子jを外周方向に向けて吸引する磁石が設けられる場合には、ステンレス、合成樹脂等の非磁性体で構成することが考えられるが、そのような磁石が設けられる場合でも、その磁力の作用上で影響が無ければ、鋼管としてもよい。また、本体部2a及び流体渦流部2bは別体で構成しているが、一体でもよい。円筒外筒5とサイクロン式処理容器2との間、各側壁部2jどうしの間、および最下方の側壁部2jと円筒外筒5との間にはOリング8が設けられ、被処理流体の漏出が確実に防止されるようになっている。なお、上記の例では、流体渦流部2bは4つの側壁部2jに分割されている例を示すが、これに限らず、一体でもよいし、2分割などでもよい。また、円錐状部2gおよび逆円錐状部2fは1段だけ設けるなどしてもよい。
【0053】
また、旋回筒状部2cの下部には、サイクロン式処理容器2に流入されて後、遠心力によって速やかに外周側に移動する比重が比較的大きな異物粒子jがサイクロン式処理容器2のサイクロン分離部11をバイパスしてサイクロン分離部11の下方に導かれるためのバイパス流路20が設けられている。
【0054】
バイパス流路20の流入口20aは突出壁9の上面9aに開口され、流出口20bはサイクロン分離部11の下端面11aに開口され、これらの流入口20aと流出口20bとを直線的に連通するようにサイクロン分離部11の旋回筒状部2dの壁内を下方に貫通して、バイパス流路20が設けられている。なお、バイパス流路20は直線的に下方に伸びて設けられているが、旋回流の方向に応じて円周方向に傾斜した流路としても良い。
【0055】
図5に示すように、バイパス流路20は、180°間隔で2か所設けられ、案内通路部16がこれらのバイパス流路20と90°円周方向にずれて2か所設けられている。
【0056】
仕切り壁9b、突出壁9の上面9aと旋回筒上部2cの逆円錐状部2c2とによって、バイパス流路20の流入口20aに連通するドーナツ状の流路が形成されるようになっている。これにより、導入口3からサイクロン式処理容器2内に流入し遠心力によって外周側に移動した比重が比較的大きな異物粒子jが、確実に流入口20aからサイクロン分離部11の下端面に、サイクロン分離部11をバイパスして導かれるようになっている。更に、流入口20aに向かって徐々に深くなった第1傾斜溝21が円周方向に設けられており、旋回流の被処理流体jが流入口20aにスムーズに入り易くなっている。この第1傾斜溝21の傾斜角度は約4〜8°で、第1傾斜溝21の長さは第1傾斜溝21の開口幅の2〜5倍程度に設けることが好ましい。一方、残りの被処理流体は、仕切り壁9bの内周側から下方に向けて、さらに旋回下降流動するようになっている。
【0057】
図2及び図3に示すように、流体排出口7hの下方位置には、下方分離壁12が設けられている。下方分離壁12は、流体排出口7hの下方で、円筒状部2eの下部内側に配置された円筒壁12aと、底部壁12bとを有している。円筒壁12aの下端部に放射状に4箇所程度排出孔12cが設けられている。下方分離壁12の内側に入り込んだ異物粒子jも遠心力で旋回しているので、旋回流動を利用して排出孔12cから下方分離壁12の外側に排出するようになっている。なお、排出孔12cは底部壁12bにも設けても良い。下方分離壁12には、底部壁12bの中心に下方に向けて設けられた支持部12dが設けられている。円筒状部2eの下端面と逆円錐状部2fの上端部に形成された段部との間に支持される支持プレート12eの中心部に設けられた貫通孔12hに上記支持部12dが通されて、支持部12dの外周に設けられたネジ部にナット12fが螺合されて、下方分離壁12自体が固定されている。なお、支持プレート12eには、図8に示すように、切り欠け部12gが4か所設けられ、円筒状部2eの外周に集まった異物粒子jが逆円錐状部2fのほうに落下する抵抗になることを出来るだけ少なくするようになっている。
【0058】
なお、下方分離壁12は、図2及び図8に示すように、上記のように支持部12dが円筒状部2eと逆円錐状部2fとの間に挟まれるようにして固定されるのに限らず、円筒状部2eに固定されるなどしてもよい。また、円筒壁12aおよび底部壁12bの形状や位置は特に限定されず、筒状排出管延長部7およびサイクロン分離部11の形状や位置等に応じて異物粒子jの分離効率が高くなるように適宜決定すればよい。また、必ずしも底部壁12bを設けるのに限らず、円筒壁12aを設けるだけでも、異物粒子jがサイクロン分離部11の下端から内周側に回り込むのを防止する効果をある程度得ることはできる。
【0059】
本体部2aの上面には、油分等の比較的比重の軽い浮上物(例えば、比重の小さい異物粒子、油成分、浮遊カーボン、浮遊ゴミ等であり、以下浮上物と称す)を回収するための浮上物排出口25が設けられている。なお、側面に接線方向から貫通して開口するように設けても良い。
【0060】
また、サイクロン式分離除去装置1としては、必ずしも浮上物排出口25を備えず、遠心分離による異物粒子jの除去などを主とするようにしてもよい。
【0061】
浄化後の被処理流体が排出される筒状排出管6の下流には、浄化後の被処理流体の流量、および/または圧力を調整する流量調整バルブ31が設けられている。一方、遠心分離された異物粒子jの排出口4の下流には、異物粒子jと伴に排出される被処理流体の流量、および/または圧力を調整する流量調整バルブ32が設けられている。
【0062】
−異物粒子分離装置1の動作−
以上のように構成された異物粒子分離装置1における異物粒子jの分離回収動作について説明する。
【0063】
先ず、異物粒子jを含む被処理流体が、高速で、導入口3(図2〜図4参照)からサイ
クロン式処理容器2内に導入される。導入された被処理流体は、該サイクロン式処理容器2の内周面2hの旋回筒状部2cに沿って旋回運動することで旋回流が生じる。ここで、被処理流体中に含まれる比重の小さい浮上物は、これを浮上させようとする浮力によって、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上集約されることとなる。この浮上集約された浮上物は、被処理流体が筒状排出管6周りに旋回流動する過程で、逆円錐状部2c1の円錐形状によって上方向への流れが促進され、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上集約されることとなる。そして、浮上物排出口25からサイクロン式処理容器2の外に排出される。一方、浮上物排出口25に流入しなかった残りの流体(つまり比重の小さい浮上物が除去された被処理流体)は、旋回しながら下降し、遠心力が作用するとともに、加えて、筒状排出管6と筒状排出管延長部7との螺合部に形成された膨出部7aの作用によって外周方向に向かう力が作用する。特に、膨出部7aに形成された第1螺旋溝71により旋回流が促進される。それによって、比重が比較的大きな異物粒子jは、集中的に外周方向に移動し、流入口20aからバイパス流路20に流れ込む。これにより、例えば50%程度の異物粒子jが除去される。
【0064】
残りの被処理流体は、仕切り壁9bの内周側から下方に向けて、旋回下降流動し、筒状排出管延長部7の外周に形成された第2螺旋溝72によって旋回速度が増速される。そこで、上記流入口20aからバイパス流路20に持ち込まれなかった比較的小さな異物粒子jは、より強い遠心力が作用して径方向外側に移動し、下降する。旋回流動しながらさらに下降すると、被処理流体の旋回半径は、突出壁9と筒状排出管延長部7のくびれ部7bとによって縮径し、異物粒子jには一層強い遠心力が作用する。被処理流体が突出壁9よりも下方に下降すると、この被処理流体の中の比較的比重の重い異物粒子jは、上記遠心力の影響により旋回筒状部2dのテーパー壁13のほうに分離移動し、異物粒子jが極めて少なくなった比較的クリーンな流体は筒状排出管延長部7の外周近くに集まる。テーパー壁13に集まる異物粒子jは、再度内周側に移動しにくいので、被処理流体が旋回しながら下降流動するにつれて徐々に外周側に集約され、内周側の清浄な被処理流体中に異物粒子が混入する可能性が低くなる。この異物粒子jは、テーパー壁13に沿って下降し、テーパー壁13の下端部と内向き壁14との間で集まって旋回するようになる。そして、第2傾斜溝22に導かれながら入口16aから案内通路部16に流れ込み、出口16bからサイクロン分離部11の下方に移動する。テーパー壁13より下側に移動する比較的クリーンな被処理流体は更に旋回しながら下降するので、この旋回下降に伴って、更に異物粒子jが分離されて外側に移動する。この移動した異物粒子jは、円錐状部15に沿って更に外側に移動しながら下降することで、筒状排出管延長部7の外周を沿って下降する被処理流体は更にクリーンになる。ここで、異物粒子jが極めて少なくなった比較的クリーンな流体と表現した理由は、例えば1μm〜5μmの異物粒子が、軽いためにクリーンな流体と共に筒状排出管延長部7に導かれることがあり、僅かに異物粒子が含まれている可能性があるからである。比較的クリーンな流体は、筒状排出管延長部7の下端部に形成された傾斜縮小部7fに沿って下降し、筒状排出管延長部7の下端部で逆向きに方向を変えて、案内傾斜部7gを通って流体排出口7hに導かれる。流体排出口7hから筒状排出管延長部7および筒状排出管6を通ってスーパクリーンタンク104へと供給される。この向きを変える流れの中で、被処理流体は旋回下降しているので、クリーンな液に対して相対的に比重のある1μm〜5μmの異物粒子は下方位置側に移動する傾向にあるので、下方分離壁12の中にたまるようになる。
【0065】
また、このような下方分離壁12が設けられていることにより、旋回流動の遠心力によって案内通路部16を通ってサイクロン分離部11の下端部11aに移動した異物粒子jやバイパス流路20を通ってサイクロン分離部11の下端部11aに移動した異物粒子j等がサイクロン分離部11の下端でサイクロン分離部11の内周側に回り込むことが、円筒壁12aおよび底部壁12bによって阻止されるので、異物粒子jがクリーンな被処理流体に混入して流体排出口7hから排出されるのをより確実に防止することができる。また、円錐状部15のほうに移動した異物粒子jが、円筒壁12aの内周側(筒状排出管延長部7の流体排出口7hの方向)に移動することを阻止することもできる。
【0066】
円筒状部2eの下端外周から逆円錐状部2fの上端部に分離集約された異物粒子jは、いずれ団塊状になってその自重により逆円錐状部2fの傾斜面に沿って落下し、円錐状部2え及び逆円錐状部2fを通って、排出口4から排出され、排出された異物粒子jは、図示しない回収容器内に回収される。
【0067】
上記のように、サイクロン式処理容器2に流入した被処理流体に含まれる比重が比較的大きな異物粒子jは、まずバイパス流路20で分離されて、サイクロン分離部11を通らないルートでサイクロン分離部11の下端面11aに導かれる。それゆえ、サイクロン分離部11での分離は、比較的比重の軽い異物粒子jを分離するように設定できるので、例えば、その下流側の旋回筒状部2d、筒状排出管延長部7の内外径や第2第2螺旋溝72のリード角などを比重の小さな磁性粒子の除去に適するように設定することができ、全体として、種々の比重の磁性粒子jが混在する被処理流体に対する除去効率を大幅に高めることが容易にできる。
【0068】
《発明の実施形態2》
異物粒子分離装置1の他の例について、図9及び図10に基づいて説明する。実施形態2の異物粒子分離装置1は、実施形態1の異物粒子分離装置1と比べて、主として、サイクロン分離部11の構造が異なる。実施形態2では、実施形態1と同じ部位の説明は省略し異なる部位のみ説明し、説明を簡略化する。
【0069】
実施形態2では、突出壁9の仕切り壁9bの内周面が、滑らかな形状で絞られており、その延長線上で、サイクロン分離部11の旋回筒状部2dの上端部に設けられた内周面2d1に繋がっている。内周面2d1の長さは僅かであり、直ぐに内径が小さい内周面2d2になっており、内周面2d2の下端部に円錐状部15が設けられている。内周面2d2は、全長さの約2/3の長さに亘って設けられている。案内通路部56が、内周面2d2に半径方向外側に向かって約7〜10°の傾斜角度で、180°間隔で2ヶ所で設けられている。案内通路部56の入口56aは内周面2d1と内周面2d2の段差部から内周面2d2の長さに亘って大きく開けられており、案内通路部56の出口56bは、サイクロン分離部11の下端部11aに開口されており、遠心力で案内通路部56内に移動した異物粒子jをサイクロン分離部11の下端部11aに速やかに導くようになっている。
【0070】
なお、第1螺旋溝71、第2螺旋溝72の断面形状は、楔形に限らず、角形や円弧状などに形成してもよい。
【0071】
なお、上記実施形態では、案内通路部16,56は、溝として設けたが、溝に限らず、貫通孔の通路として形成しても良い。
【0072】
案内通路部及びバイパス流路は、各2つずつ設けたが、この数に限られるものではなく、被処理流体の種別や流量等によって適切に選定すればよいものであって、多くしても、逆に少なくしても良い。
【0073】
実施形態1と実施形態2とを組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 異物粒子分離装置
2 サイクロン式処理容器
2a 本体部
2b 流体渦流部
2c 旋回筒状部
2c1 逆円錐状部
2c2 円錐状部
2d 旋回筒状部
2e 円筒状部
2f 逆円錐状部
2g 円錐状部
2h 内周面
2i 外周面
2j 側壁部
3 導入口
4 排出口
5 円筒外筒
5a フランジ部
6 筒状排出管
7 筒状排出管延長部
7a 膨出部
7b くびれ部
7c 拡径部
7d くびれ部
7e 拡径部
7f 傾斜縮小部
7g 案内傾斜部
7h 流体排出口
8 Oリング
9 突出壁
9a 上面
9b 仕切り壁
10 ボルト
11 サイクロン分離部
11a 下端面
12 下方分離壁
12a 円筒壁
12b 底部壁
12c 排出孔
12d 支持部
12e 支持プレート
12f ナット
12g 切り欠け部
12h 貫通孔
13 テーパー壁
14 内向き壁
15 円錐状部
16 案内通路部
16a 入口
16b 出口
20 バイパス流路
20a 流入口
20b 流出口
21 第1傾斜溝
22 第2傾斜溝
71 第1螺旋溝
72 第2螺旋溝
25 浮上物排出口
31 流量調整バルブ
32 流量調整バルブ
100 被処理流体浄化システム
101 工作機械
102 ダーティタンク
103 ダスト分離用タンク
104 スーパクリーンタンク
105 ポンプ
107 ダストボックス
108 ダスト分離装置
j 異物粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体中の異物粒子を分離して下方の異物粒子の排出口から排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該サイクロン式処理容器外へと導く排出管と、
を備えた異物粒子分離装置であって、
上記サイクロン式処理容器の上側の内周壁に開口され、被処理流体が旋回流になって該サイクロン式処理容器内に導入される導入口と、
該導入口の下方位置に該内周壁から内周方向に向かって突出し、下方向への被処理流体の流路を狭める突出壁と、
該突出壁から下側の内周壁に、該排出管の該開口部の下方位置まで伸びて設けられた旋回筒状部を備えるサイクロン分離部と、
該サイクロン分離部の該旋回筒状部をバイパスして該突出壁の上面と該サイクロン分離部の下端部とを連通するように設けられたバイパス流路と、
入口を該旋回筒状部の旋回表面に有し、出口を該サイクロン分離部の該下端部に有し、半径方向外側で且つ下方に向かって設けられ、該旋回筒状部の該旋回表面側に集まる異物粒子を下方に案内する複数の案内通路部と、
を有することを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項2】
請求項1の異物粒子分離装置において、
上記案内通路部は、溝部からなることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項3】
請求項1の異物粒子分離装置において、
上記案内通路部は、貫通路からなることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該サイクロン分離部の該旋回筒状部の該旋回表面に、下方に向けて徐々に拡径するテーパー壁が設けられ、該テーパー壁の下端部から、内周方向に向かって伸びた内向き壁を備えることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項5】
請求項4に記載の異物粒子分離装置において、
該案内通路部の該入口が、該テーパー壁の該下端部を含んで、該テーパー壁の一部と該内向き壁の一部を含むことを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該バイパス流路の該上面には、該上面に設けられた該流入口に向かって徐々に深くなった第1傾斜溝が、円周方向に向かって設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該サイクロン分離部の該旋回筒状部の該旋回表面には、該案内通路部の該入口に向かって徐々に深くなった第2傾斜溝が、円周方向に向かって設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該サイクロン分離部の下端部であって、該排出管の開口部に対向する位置には、下方ほど拡径する円錐状部が形成されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該旋回筒状部の該旋回表面に対向する該排出管の外周面に、第1螺旋溝が形成されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該導入口と該突出壁との間に相当する位置であって、該排出管の外周面に突出部が設けられ、該突出部に第2螺旋溝が形成されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該排出管の下方位置であって、該開口部に対向する位置に、底面、該底面から立ち上がった囲い壁及び該囲い壁の下端に開口した排出孔からなる下方分離壁が設置されていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
該排出管の下流側、および該排出口の下流側の少なくとも一方に、流量および圧力の少なくとも一方を調整するバルブが設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1つの異物粒子分離装置において、
上記サイクロン式処理容器における、被処理流体の導入口が設けられている位置の上方位置に、サイクロン式処理容器の上部に浮上した浮上物を回収して排出する浮上物排出口が設けられていることを特徴とする異物粒子分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−81893(P2013−81893A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223255(P2011−223255)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(506294370)株式会社ハマダ (3)
【Fターム(参考)】