説明

異痛および痛覚過敏の治療

本発明は、異痛および/または痛覚過敏の治療または予防、ならびに前記治療で使用される、トナベルサットまたは式(1)の類似体およびトナベルサットまたは式(1)の類似体を含む組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナベルサットおよびその類似体、ならびに異痛および痛覚過敏の治療および予防で使用される、トナベルサットまたはその類似体を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第95/34545号パンフレットには、神経細胞のギャップ結合遮断薬と呼ばれる薬のクラスのメンバーであり、かつ片頭痛、癲癇、鬱病および他の神経症状を含む、ある範囲の症状に関して現在研究されている、別名シス−6−アセチル−4−(S)−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−(S)−オールとして知られるトナベルサットなど、一連の具体的な指定の化合物が開示されている。
【0003】
米国特許第5948811号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)には、片頭痛、精神病、癲癇および他の神経症状などの中枢神経系および末梢神経系内の疾患の予防および治療に使用することができる化合物のクラス(「式Iの類似体」)が記述されている。

式中、YはC−Rであり;
はアセチルであり;
は、水素、C3−8シクロアルキル、任意選択により酸素がその間に挟まれている、またはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは置換アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、またはCFS;またはCF−A−基(Aは、−CF−、−CO−、−CH−、CH(OH)、SO、SO、CH−O、またはCONHである);またはCFH−A’−基(A’は、酸素、硫黄、SO、SO、CFまたはCFHである);トリフルオロメトキシ、C1−6アルキルスルフィニル、パーフルオロC2−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシスルフィニル、C1−6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニル(いずれかの芳香族部位が任意選択により置換されている)、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、C1−6アルキル−チオカルボニル、C1−6アルコキシ−チオカルボニル、C1−6アルキル−チオカルボニルオキシ、1−メルカプトC2−7アルキル、ホルミル、またはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル(いずれかのアミノ部位が、1または2個のC1−6アルキル基で任意選択により置換されている)、またはC1−6アルキルスルフィニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルコキシスルフィニルアミノまたはC1−6アルコキシスルホニルアミノ、またはC1−6アルキルカルボニル、ニトロまたはシアノ、または−C(C1−6アルキル)NOHまたは−C(C1−6アルキル)NNHで末端が置換されているエチレニル;または1または2個のC1−6アルキルによって、またはC2−7アルカノイルによって任意選択により置換されているアミノであり;RおよびRのうちの1つが水素またはC1−4アルキルであり、もう1つがC1−4アルキル、CFまたはCHであり、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、−S−C1−4アルキル、ニトロ、1または2個のアルキル基で任意選択により置換されているアミノ、シアノまたはC1−4アルコキシカルボニルであり;またはRおよびRは共に、C1−4アルキルで任意選択により置換されているC2−5ポリメチレンであり;
は、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1−6アルコキシであり、
およびRは水素であるか、またはRはヒドロキシであり、Rは水素またはC1−2アルキルであり、Rは水素であり;
は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、その両方が、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、C1−4アルキルによって1回または2回任意選択により置換されているアミノ、シアノ、アジド、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される基または原子で独立して1回または複数回任意選択により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、OR11またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1−6アルキル、ホルミル、C1−6アルカノイル、アロイルまたはアリールC1−6アルキルであり、R10は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、モノまたはジC1−6アルキルアミノ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アシルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6−アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;R−N−CO−R基はR基に対してシス位にあり;Xは、酸素またはNR12であり、R12は水素またはC1−6アルキルである。
【0004】
異痛は一般に、正常に痛みを誘発しない刺激による痛みとして定義される。それは通常、不快な、異常な感覚または知覚不全を伴う。2種類の異なる種類の異痛;機械的および熱的異痛がある。静的な機械的異痛は、軽い接触および圧力を受けての痛みであり、動的な機械的異痛は、ブラッシングを受けての痛みである。熱的な異痛とは、通常穏やかな皮膚温度からの患部における痛みを意味する。異痛は、多くの有痛性症状の臨床的特徴であり、神経障害、神経過敏性障害、炎症症状、神経圧迫および/または絞扼および外傷、例えば術後外傷および幻肢痛と関連する。異痛は、言及される痛みと異なる。
【0005】
痛覚過敏は、侵害受容器または末梢神経への損傷によって起こり得る有痛性刺激に対する過剰反応および過敏症である。痛覚過敏は、限局的または散在的な状態で経験される。限局的状態は一般に、損傷と関連し、2つのサブタイプ:原発性痛覚過敏および続発性痛覚過敏に分けられる。原発性痛覚過敏は、損傷組織に直接起こる痛みの感受性と説明される。続発性痛覚過敏は、周囲の非損傷組織に起こる痛みの感受性と説明される。痛覚過敏は、炎症またはアレルギー症状を有する患者において血小板活性化因子(PAF)によって誘発される。それは免疫細胞を介して起こり、末梢神経系と相互作用し、かつ痛みを生成する化学物質を放出する。慢性痛の治療のために長期間または高用量のオピオイド投薬を受けた患者は、痛覚過敏を経験することがある。
【0006】
神経障害性疼痛などの神経障害に伴う他の痛みと同様に異痛および痛覚過敏は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、三環系抗うつ薬、非ステロイド性抗炎症薬、グルココルチコイド、ガバペンチンまたはプレガバリン、NMDAアンタゴニストまたは異型オピオイドなどの様々な薬物を用いた標準的治療に反応し得る。異痛を治療する化合物としては、リドカイン、アルフェンタニル、アデノシン、ケタミン、グリシンアンタゴニストおよびベンラファキシンが挙げられる。しかしながら、神経機能不全に関係する痛みの他の形態と同様に、異痛および/または痛覚過敏の治療は臨床的に難しく、すべての患者が反応するわけではなく、したがって、異痛および/または痛覚過敏を治療または予防するための、安全な、代替の、かつ改善された方法および組成物が極めて必要とされている。
【0007】
第1の態様において、本発明は、異痛および/または痛覚過敏の治療または予防で使用される、トナベルサット、または式Iの類似体

(式中、YはC−Rであり;
はアセチルであり;
は、水素、C3−8シクロアルキル、任意選択により酸素がその間に挟まれている、またはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは置換アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、またはCFS;またはCF−A−基(Aは、−CF−、−CO−、−CH−、CH(OH)、SO、SO、CH−O、またはCONHである);またはCFH−A’−基(A’は、酸素、硫黄、SO、SO、CFまたはCFHである);トリフルオロメトキシ、C1−6アルキルスルフィニル、パーフルオロC2−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシスルフィニル、C1−6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニル(いずれかの芳香族部位が任意選択により置換されている)、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、C1−6アルキル−チオカルボニル、C1−6アルコキシ−チオカルボニル、C1−6アルキル−チオカルボニルオキシ、1−メルカプトC2−7アルキル、ホルミル、またはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル(いずれかのアミノ部位が、1または2個のC1−6アルキル基で任意選択により置換されている)、またはC1−6アルキルスルフィニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルコキシスルフィニルアミノまたはC1−6アルコキシスルホニルアミノ、またはC1−6アルキルカルボニル、ニトロまたはシアノ、または−C(C1−6アルキル)NOHまたは−C(C1−6アルキル)NNHで末端が置換されているエチレニル;または1または2個のC1−6アルキルによって、またはC2−7アルカノイルによって任意選択により置換されているアミノであり;RおよびRのうちの1つが水素またはC1−4アルキルであり、もう1つがC1−4アルキル、CFまたはCHであり、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、−S−C1−4アルキル、ニトロ、1または2個のアルキル基で任意選択により置換されているアミノ、シアノまたはC1−4アルコキシカルボニルであり;またはRおよびRは共に、C1−4アルキルで任意選択により置換されているC2−5ポリメチレンであり;
は、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1−6アルコキシであり、
およびRは水素であるか、またはRはヒドロキシであり、Rは水素またはC1−2アルキルであり、Rは水素であり;
は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、その両方が、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、C1−4アルキルによって1回または2回任意選択により置換されているアミノ、シアノ、アジド、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される基または原子で独立して1回または複数回任意選択により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、OR11またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1−6アルキル、ホルミル、C1−6アルカノイル、アロイルまたはアリールC1−6アルキルであり、R10は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、モノまたはジC1−6アルキルアミノ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アシルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6−アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;R−N−CO−R基はR基に対してシス位にあり;Xは、酸素またはNR12であり、R12は水素またはC1−6アルキルである)、または薬学的に許容されるその組成物を提供する。
【0008】
本発明による治療的投与に関しては、トナベルサットまたは式Iの類似体は、その遊離塩基の形で最も好ましくは用いられるが、薬学的に許容される塩、好ましくは塩酸塩の形で使用することもできる。予防的および/または治療的投与において、薬学的に許容される酸を用いた代替の塩、例えば、限定されないが、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの酸から誘導される塩を用いることもできる。
【0009】
本明細書におけるトナベルサットまたは式Iの類似体のすべての言及は、そのすべての薬学的に許容される塩、およびそのすべての溶媒和化合物を包含する。
【0010】
トナベルサットまたは式Iの類似体の多形、溶媒和化合物および放射標識誘導体およびその薬学的に許容される組成物もまた、本発明の範囲内に含まれる。トナベルサットまたは式Iの類似体の言及は、そのかかる多形、溶媒和化合物および放射標識誘導体を包含する。
【0011】
本発明による予防的および/または治療的投与に関しては、トナベルサットまたは式Iの類似体を純粋な形で投与してもよいが、好ましくは、体内で活性成分を有効なレベルにするいずれかの適切な、薬学的に許容され、かつ有効な組成物中に配合される。
【0012】
したがって、本発明は、その必要がある患者に、薬学的に有効な量のトナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を投与することを含む、異痛および/または痛覚過敏を治療または予防する方法を提供する。
【0013】
更なる態様において、本発明は、神経障害、神経過敏性障害および/または1つまたは複数の関連する症状の治療または予防に使用される、トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を提供する。
【0014】
したがって、本発明は、その必要がある患者に、薬学的に有効な量のトナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を投与することを含む、神経障害、神経過敏性障害に伴う異痛および/または痛覚過敏を治療または予防する方法を提供する。
【0015】
更なる態様において、本発明は、炎症性障害に伴う異痛および/または痛覚過敏および/または1つまたは複数の関連する症状の治療または予防に使用される、トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を提供する。
【0016】
更なる態様において、本発明は、舌痛症または口内焼灼感症候群の治療または予防に使用される、トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を提供する。口内焼灼感症候群は、舌または口の焼灼感であり、末梢神経系または中枢神経系の味覚神経および/または知覚神経の問題に関連し得る。
【0017】
したがって、本発明は、その必要がある患者に、薬学的に有効な量のトナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を投与することを含む、炎症性障害に伴う異痛および/または痛覚過敏を治療または予防する方法を提供する。
【0018】
更なる態様において、本発明は、神経圧迫、神経絞扼、外傷、さらに詳しくは術後外傷、幻肢痛と関連する痛覚過敏および/または1つまたは複数の関連する症状の治療または予防に使用される、トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を提供する。
【0019】
したがって、本発明は、神経圧迫、神経絞扼、外傷、さらに詳しくは術後外傷、幻肢痛と関連する異痛および/または痛覚過敏を治療または予防する方法であって、その必要がある患者に、薬学的に有効な量のトナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0020】
本発明はさらに、上記の用途のうちのいずれか1つまたは複数を治療するための薬物の製造において、トナベルサットを使用することを含む。
【0021】
すべての治療は急性期または予防的治療であり得る。急性期治療については、処置を迅速に開始することが好ましく、したがって、投与後間もなく最高血漿中濃度に達する薬物が最も有益であろう。したがって、迅速な薬物放出および/または溶解を提供する組成物が好ましい。
【0022】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、単独で投与してもよいが、一般に、トナベルサットまたは式Iの類似体、および意図される投与経路に関して選択される1種または複数種の薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、その薬学的に許容される組成物の形態で送達される。
【0023】
トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物での治療は、1〜1000mg、適切には1〜500mgの単位用量、例えば活性化合物2、5、10、20、30、40、50、80、100、200、300および400mgなど2〜400mgの範囲の量の単位用量で行うことができる。
【0024】
単位用量は通常、1日の総投与量が通常、70kgの成人では1〜1000mg、例えば1〜500mgの範囲、つまり約0.01〜15mg/kg/日、より一般的には0.1〜6mg/kg/日、例えば1〜6mg/kg/日の範囲になるように、1日に1回または複数回、例えば1日に1、2、3、4、5または6回、より一般的には1日に1〜4回投与される。
【0025】
好ましくは、トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される塩は、約0.01〜15mg/kg/日、さらに一般的には0.1〜6mg/kg/日、例えば1〜6mg/kg/日の用量範囲で患者に投与される。
【0026】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、舌下投与を含む経口投与、鼻腔内投与、直腸投与、局所投与、非経口(特に静脈内)投与、点眼または点耳投与用の組成物など、医薬組成物の形で投与されることが好ましい。
【0027】
トナベルサットまたは式Iの類似体の送達に適している医薬組成物、およびその製造方法は、当業者には容易に理解されよう。かかる組成物およびその製造方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Edition (Mack Publishing Company,1995)に記載されている。
【0028】
経口投与に適している組成物としては、固形剤形、例えば錠剤、顆粒を含有するカプセル剤、液剤または散剤、トローチ剤(液体充填されたものを含む)、チュアブル錠、多粒子剤およびナノ粒子製剤、ゲル剤、固溶体製剤、リポソーム剤、フィルム剤、オビュール剤、スプレー剤および液状剤が挙げられる。液状剤形としては、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。液状剤形は、例えば小さな袋から固形物を再構成することによって調製することもできる。
【0029】
経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、香錠、ペレット、丸剤、トローチ剤、散剤および顆粒剤などの経口固形組成物の形をとり得る。この組成物は、患者の舌と接触すると溶解する固形状、例えば商品名ZYDIS(登録商標)で販売されている崩壊性錠剤の形状であることができる。一般的な使用に、より都合がよいことから、成形された経口組成物が好ましい。
【0030】
経口投与用の固形形態は通常、単位用量で表され、アジュバント、結合剤、希釈剤、崩壊剤、分散剤、賦形剤、充填剤、製錠剤(tabletting agents)、滑沢剤、着色剤、香味剤、乾燥剤、保水剤、および湿潤剤などの従来の添加剤を含有する。
【0031】
丸剤、ペレットおよび錠剤は、当技術分野でよく知られている方法に従ってコーティングすることができる。経口用固形剤形は、腸溶コーティングを有する錠剤または顆粒剤などの従来の徐放性剤形も含む。
【0032】
適切な充填剤としては、セルロース、マンニトール、ラクトースおよび他の同様な充填剤があげられる。適切な崩壊剤としては、デンプン、ポリビニルピロリドンおよびグリコール酸デンプンナトリウムなどのデンプン誘導体が挙げられる。適切な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。適切な薬学的に許容される湿潤剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0033】
固形経口組成物は、混合によって調製され、ブレンド、充填、製錠化等の従来の方法によって製造することができる。ブレンド操作を繰り返して、多量の充填剤を使用して、組成物全体に作用薬を分散させることができる。当然のことながら、かかる操作は、当技術分野では従来どおりである。
【0034】
組成物は、水性もしくは油性ブレンド、混合物、懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、チンキおよびエリキシルおよびゲル製剤などの液体製剤を含む口腔液製剤の形をとることもできる。
【0035】
組成物は、使用前に水または他の適切な賦形剤で希釈または再構成される、希釈可能な液体濃縮物または乾燥生成物、再構成可能な粉末として存在することもできる。
【0036】
ゲルおよび液体製剤などの口腔液製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトール、シロップ剤、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂;乳化剤、例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアカシア;非水性賦形剤(食用油を含み得る)、例えば、アーモンド油、ヤシ油、油状エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールのエステル:保存剤、例えばメチルもしくはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸;および所望の場合には、従来の香味剤または着色剤などの従来の添加剤:を含有し得る。
【0037】
経口投与用組成物は、即時放出および/または調節放出されるように配合することができる。調節放出製剤としては、遅延放出型、徐放型、パルス放出型、放出制御型、標的化型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0038】
非経口投与に適した組成物としては、注射可能であり、かつ不融性の水性もしくは油性ブレンド、混合物、懸濁液、溶液、エマルジョンおよび低粘度ゲル製剤が挙げられる。非経口投与用組成物は、即時放出および/または調節放出されるように配合することができる。調節放出製剤としては、遅延放出型、徐放型、パルス放出型、放出制御型、標的化型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0039】
本発明で使用される非経口的組成物は、長時間作用性デポ製剤として調製することができる。かかる製剤は、筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、本発明の組成物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、薬学的に許容されるオイル中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と、あるいはやや可溶性の誘導体として、例えばやや可溶性の塩として配合することができる。
【0040】
有利なことに、局所麻酔薬、保存剤および緩衝剤などの補助剤も、賦形剤中に溶解、乳化または懸濁される。
【0041】
かかる組成物は、化合物と溶媒または賦形剤との混合によって調製される。賦形剤および濃度に応じて化合物は、乳化、懸濁または溶解される。非経口的組成物は通常、化合物と滅菌された賦形剤によって調製され、かつ/または適切なバイアルまたはアンプルに充填され、密閉する前に組成物が滅菌される。
【0042】
安定性を高めるために、組成物は、使用前に水または他の適切な賦形剤で再構成される、乾燥生成物、再構成可能な粉末として存在することもできる。バイアルに充填した後に、液体組成物を凍結し、真空下で凍結乾燥させることができる。
【0043】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、皮膚または粘膜に局所的に、つまり皮膚に、または経皮的に投与することもできる。この目的のための一般的な製剤としては、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏、粉末剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、経皮パッチ、オブラート、インプラント、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームも使用することができる。一般的な担体としては、アルコール、水、鉱油、液体ペトロラタム、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透促進剤を組み込むことができる−例えば、J Pharm Sci,88(10),955−958,by Finnin and Morgan(October 1999)を参照されたい。
【0044】
局所投与の他の手段としては、電気穿孔法、イオン導入、音波泳動法、ソノフォレーシスおよび顕微針による注入または針なしの注入(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)等)による送達が挙げられる。
【0045】
局所投与用の製剤は、即時放出および/または調節放出されるように配合することができる。調節放出製剤としては、遅延放出型、徐放型、パルス放出型、放出制御型、標的化型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0046】
手術創において使用される組成物は、長時間作用性デポ製剤として調製することができる。かかる製剤は、埋め込み(例えば皮下にまたは筋肉内に)によって、または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、本発明の組成物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容されるオイル中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と、あるいはやや可溶性の誘導体として、例えばやや可溶性の塩として配合することができる。
【0047】
トナベルサットまたは式(I)の類似体は、一時的にまたは永久的なヒトまたは他の動物の体の開口部、例えば気管、鼻孔、鼻腔、直腸、乳房の管、尿道または膣、または手術創、例えば切開、またはカテーテル、套管針、カニューレ、気管内または他の内視鏡的チューブまたはオストミーチューブ、例えば気管オストミーまたは人工肛門チューブなどのかかる一時的または永久的な開口部に挿入される任意のデバイスに投与するための単位用量組成物の形態で投与されることがさらに好ましい。鼻腔内投与が非常に好ましい。
【0048】
鼻腔内粘膜投与可能な組成物は、粉末および顆粒などの鼻腔内粘膜固形組成物の形態をとり得る。その組成物は、水性または油性ブレンド、混合物、懸濁液、液体、エマルジョンおよびエリキシル、およびゲル製剤などの液体製剤を含む鼻腔内粘膜の液体製剤の形もとり得る。組成物は、使用前に水または他の適切な賦形剤で希釈または再構成される、希釈可能な液体濃縮物または乾燥生成物、再構成可能な粉末として存在することもできる。
【0049】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、一般に、ドライパウダー吸入器からの乾燥粉末の形状で(単独で、例えばラクトースとのドライブレンドにおいて混合物として、または例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、細かいミストを生成するために電気流体力学を用いたアトマイザー)、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用して、または使用することなく、鼻腔内にまたは吸入によって投与することができる。鼻腔内への使用については、粉末は、生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0050】
鼻腔内経粘膜投与の固形形態は通常、単位用量で存在し、補助剤、希釈剤、分散剤、賦形剤、着色剤、乾燥剤、保水剤、および湿潤剤などの従来の添加剤を含有する。
【0051】
粉末および顆粒は、当技術分野でよく知られている方法に従ってコーティングすることができる。鼻腔内粘膜の固形剤形は、耐性コーティングを有する粉末または顆粒などの従来の徐放性製剤も含む。
【0052】
適切な賦形剤としては、セルロース、マンニトール、ラクトース、キトサン、ペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリオキサマー、例えばポリ(エチレンオキシド)、ゼラチン、ポリビニルピロリドンおよびデンプンが挙げられる。適切な薬学的に許容される湿潤剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0053】
鼻腔内粘膜の固形組成物は、混合によって調製され、かつブレンドなどの従来の方法によって製造することもできる。ブレンド操作を繰り返し、多量の賦形剤を使用して、その組成物全体に作用薬を分散することができる。かかる操作は当然のことながら、当技術分野において従来どおりである。
【0054】
ゲルおよび液体製剤などの鼻腔内粘膜の液体製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトール、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂;乳化剤、例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアカシア;非水性賦形剤(食用油を含み得る)、例えば、アーモンド油、ヤシ油、油状エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールのエステル:保存剤、例えばメチルもしくはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸;および所望の場合には、従来の着色剤:などの従来の添加剤を含み得る。
【0055】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または作用物質を分散、安定化、または作用物質の放出を延ばすための適切な代替剤、溶媒としての噴射剤およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意の界面活性剤を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を収容する。
【0056】
乾燥粉末または懸濁液製剤で使用する前に、製剤は、吸入によって送達するのに適したサイズ(一般に、5ミクロン未満)に微粉化される。これは、スパイラルジェットミル、流動床ジェットミル、ナノ粒子を形成する超臨界流体処理、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕法によって達成することができる。
【0057】
吸入器または注入器で使用される、カプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られた)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末ベース、およびL−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能改質剤の粉末ミックスを含有するように配合することができる。ラクトースは無水であっても、一水和物の形をとってもよく、後者が好ましい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。
【0058】
細かいミストを生成するために電気流体力学を使用したアトマイザーにおいて用いられる適切な溶液製剤は、アクチュエーション1回につき本発明の化合物1μg〜20mgを含有することができ、かつアクチュエーション体積は、1μl〜100μlと様々であり得る。一般的な製剤は、式Iの類似体、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0059】
吸入/鼻腔内投与用の本発明のこれらの製剤に、メントールおよびレボメントールなどの適切な着香剤、またはサッカリンまたはサッカリンナトリウムなどの甘味料を添加してもよい。
【0060】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、例えば坐剤、ペッサリー、または浣腸の形で、経直腸または経膣投与することもできる。
【0061】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、一般にpH調整された等張性滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液または溶液の液滴状で、眼または耳に直接投与することもできる。点眼および点耳投与に適した他の製剤としては、軟膏、生分解性(例えば、吸収性ゼラチンスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、オブラート、レンズおよびニオソームまたはリポソームなどの粒状または小胞状システムが挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはメチルセルロース、またはヘテロポリサッカライドポリマー、例えばゲランガムなどのポリマーを塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と共に組み込むことができる。かかる製剤は、イオン導入法によって送達することもできる。
【0062】
トナベルサットまたは式Iの類似体の組成物は、Expert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986,by Liang and Chen(2001)およびVerma RK et.al.Current Status of Drug Delivery Technologies and Future Directions,Pharmaceutical Technology On−Line,2001,25(2),1−14に記載の剤形など、即時分散性剤形の形態もとることができる。かかる剤形は、急速溶解、迅速溶解、迅速融解、口腔内溶解および急速崩壊性の経口錠剤としても知られる。この組成物は、例えば商品名ZYDIS(登録商標)(RP Scherer,UK)で市販されている崩壊性錠剤の形で、患者の舌と接触すると融解する固形形態をとり得る。その代わりとして、この組成物は、EFVDAS(発泡性薬物吸収システム、Elan Corporation)、Fast Melt(高多孔性極微小マトリックス錠剤、Elan Corporation)、Flashdose(せん断形成技術を用いたフロスマトリックス、(Fuisz Technologies,USA)、Flashtab(口腔内分散性多粒子錠剤、Prographarm,France)、Multiflash(急速崩壊性マルチユニット、多粒子錠剤、Prographarm)、Orasolv(発泡性分散マイクロカプセル錠剤、Cima Labs Inc,USA)、Wowtab錠剤(Yamanouchi Pharma Technologies,USA)、LYOC(凍結乾燥急速崩壊性錠剤、Farmalyoc,France)またはQuicksolve(凍結乾燥急速崩壊性錠剤、Janssen Pharamceutica,USA)の形態をとり得る。
【0063】
他の適切な製剤技術としては、向上した溶解性を有する薬物の安定化された非晶質形態を利用したINDAS(不溶性薬物吸収システム,Elan Corporation)、一般に粒径400nm未満を有する薬物のナノ粒子を用いたNanoCrystal技術(Elan Corporation)またはソフトゼラチンカプセル剤形を用いたSoftGel(RP Scherer)が挙げられる。
【0064】
本明細書に記載の製剤技術は有利なことに、より迅速な薬物の溶解および吸収を提供することができる。舌下などの口腔内で崩壊する組成物の場合、吸収速度が増加し、初回通過代謝効果は低減され得る。
【0065】
一般的な実施と同様に、この組成物は通常、関係のある内科療法で使用される、書き表された、または印刷された説明が添付されているだろう。
【0066】
本発明で使用される組成物は、投与方法に応じて、作用物質を0.1〜99重量%、好ましくは1〜60重量%含有し得る。
【0067】
本発明を説明し、本発明の理解を助けるために、単に一例として以下を示す:
トナベルサットでの研究では、
−錠剤コア重量250mgを有する直接圧縮錠剤0.05、1.0、10および25mg
−錠剤コア重量400mgを有する直接圧縮錠剤15、25、40および80mg
−錠剤コア重量400mgを有する直接圧縮錠剤20mg
−錠剤コア重量400mgを有するナノ粒子状錠剤10、20および40mg
を含む、多くの異なる製剤を用いた。
【0068】
直接圧縮錠剤では、微粉化された有効成分を使用しているのに対して、ナノ粒子状錠剤は、湿式床粉砕された噴霧乾燥ナノ粒子状有効成分を用いた直接圧縮錠剤であった。臨床試験は、以下の単位組成と共にコア重量400mgを有する、丸い白色の未被覆直接圧縮錠剤10、20、30、40、60および80mgを用いて行われた(示されているのは20mg錠剤のみであり;他のすべての強度は、トナベルサットおよびラクトース含有率のみ異なる)。
【0069】
本発明で使用するのに適している代表的な製剤を表1に詳述する。
【0070】

【実施例】
【0071】
実験方法
実施例1:ホルマリンにより誘発される痛覚過敏および炎症
目的
慢性的異痛および/または痛覚過敏モデルに対するトナベルサットの効果を決定すること。
【0072】
方法
CF1マウス(Charles River,Inc.から入手)の右後足の足底領域に0.5%ホルマリンを注入する。これは、罹患している足をなめるマウスによって特徴付けられる固有の二相性行動プロファイルを導き出す。注入した直後に、マウスは足を約10分間なめる。これは第1期(急性期)であり、続いてほとんど行動上の活動がない短い潜伏期である。約20〜30分のより長い時間、足をなめるのが後に続き、これは第2期(炎症期)である。
【0073】
試験薬物または賦形剤を投与する前、鏡の前に置かれる、高さ6インチのいくつかのプレキシグラス観察チューブ(直径4インチ)のうちの1つにおいて、各マウスは15分間のコンディショニングを受ける。コンディショニング期間後、トナベルサットの用量を経口投与し、マウスをそのホームチューブに戻す。ピーク血漿レベルと相関するように決定された時点で(1時間)、右後足の足底面にホルマリンを皮下注射する(20ul;27ゲージ針)。針のベベルを皮膚表面に対して下向きに置く。ホルマリンを注射した後、5分間の各エポックのうち最初の2分間、合計45分間各動物を観察する。2分間の各期間、なめている累積的長さを測定する。必須量の賦形剤を受けた動物を、試験薬物が与えられた各マウスと交替する。実験が終わった後に、動物を安楽死させる。この研究において、マウス8匹/群が用いられる。
【0074】
GraphPad Prism Version 3.03を使用して、曲線下面積(AUC)を決定する。急性期と炎症期の両方に関して、試験群と対照群の両方の総AUCを計算する。各期に関する個々の動物のAUCも計算し、対照の総AUCに対するパーセンテージに換算する。試験される薬物と対照の両方についての平均パーセンテージおよびSEMを計算し、有意差について調べる。
【0075】
結果
トナベルサット−マウス(n=8/群)におけるホルマリン誘発痛覚モデルからの試験データ。試験の2つの期(急性期および炎症期)の間、なめた時間に対する効果
【0076】

【0077】
実施例2:坐骨神経結紮により誘発される末梢神経感作
目的
坐骨神経結紮モデルに対するトナベルサットの効果を決定すること。坐骨神経結紮モデルは、異痛および/または痛覚過敏の「至適基準」モデルである。ガバペンチンとプレガバリンの両方がこれらのモデルにおいて活性である。
【0078】
方法
Seltzerらによって記述されるように、坐骨神経を部分的に結紮した後の10日間の術後期間後に、一貫した機械的異痛(無害な刺激に対する疼痛反応)の発症について、手術されたSDラット(CharlesRiver,Inc.から入手)それぞれが試験される。1/4インチの穴があるステンレス鋼プラットホーム上に置かれた、底のないプレキシグラス製ボックスに動物を入れる。プラットホーム上のケージ内にラットが静かに置かれる、少なくとも30分間のコンディショニング時間後に、投薬前の50%足引っ込め閾値を表す、ベースラインの機械的感受性を決定する。この手順は、パッド間または踵の方へさらに後ろの部分の間の各後足の足底面に対して垂直に一連の目盛り付きVon Freyモノフィラメント繊維を適用することによって行われる。足引っ込めの50%閾値は、「アップダウン」段階法を用いることによって決定される。つまり、ポジティブな反応(X=足の引っ込め)を記録した後に、足を引っ込めない(O=引っ込めなし)ことが記録されるまで、より弱い繊維を適用することである。これは、推定閾値である。個々のラットの閾値の推定値が得られたら、次の最も高い/より堅い/より厚い繊維などを適用する。これを5段階繰り返す。最大直径繊維の圧力によって、引っ込みなく、足が持ち上げた場合には、「反応なし」とみなされ、データシートに>300グラムと記録される。
【0079】
投薬前の初期反応の測定に続いて、ラットにトナベルサットを経口注入する(n=8匹のラット/用量レベル)。次いで、注入後1、2、4、6、8、および24時間にて、機械的閾値を評価し、機械的異痛のこのモデルにおける試験化合物の作用持続時間およびTPEを決定する。薬物をウォッシュアウトするのに十分な時間、一般に7日間経過した後に、動物を再び使用することができる。
【0080】
各時点で決定された各動物の引っ込め閾値は、最初にDixon(1980)によって開発された「xoxox」段階法を用いて算出される。上述のように、閾値が推定された後に、繊維直径および反応パターンが記録される(最初のポジティブな反応(x)の後に、最初のネガティブ(o)な反応が続くポイント)。Chaplanによれば、理想的な反応パターンは「xoxox」である。各動物について、反応のパターンおよび試験された最終繊維(Xf)をExcelマクロに入力し、次式:
50%閾値(g)=10Λ(X+□□)/10,000
が計算される。
式中、Xが試験された最終的なvon freyヘアの値(log単位)である場合に、□は、観察されたポジティブ/ネガティブな反応のパターンの表形式の値であり(Dixon,W.J.(1980)Ann Rev.Pharmacol Toxicol,20:441−462から修正されたChaplanにおいて提供される付録)、□は、刺激間の平均差(log単位)である。
【0081】
各動物について決定される50%足引っ込め閾値を使用して、次いで、50%足引っ込め閾値の平均値+標準誤差(S.E.M.)を各時点でのラットについて計算する。これらの個々の値が、投薬前評価についての平均で割られた場合に、投薬前平均に対する変化(%対照値)が各ラットについて決定される。Grubbs Outlier試験(Graphpad Statistical Software)を使用して、個々の反応が、群の平均から3を超える標準偏差であることが判明した場合のみ、統計上のアウトライアーが除外される。次いで、各時点で残りの群について、変化%を平均する。次いで、DOSに基づくPCSソフトウェアを使用して、投薬前の値からの有意な差について、データをテストする。p<0.05である場合に、50%足引っ込め閾値+SEMを有意()であるとして報告する。
【0082】
結果
トナベルサット−ラットの慢性坐骨神経結紮モデル(n=8/群)からの試験データ。足引っ込め閾値(g)に対する効果
【0083】

【0084】
実施例3:眼窩周囲のvon Frey感度のラットモデル
目的
硬膜表面に「炎症性メディエータースープ」(IS)を毎日適用することによって誘発される慢性感作に続いて、ラットにおける眼窩周囲のvon Frey感度閾値に対する、午前のトナベルサット(10mg/kg,腹腔内投与)の効果を示すことである。
【0085】
結果
添付のグラフ(図1)の結果を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施例の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異痛および/または痛覚過敏の治療において使用される、トナベルサットまたは式1

(式中、YはC−Rであり;
はアセチルであり;
は、水素、C3−8シクロアルキル、任意選択により酸素がその間に挟まれている、またはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは置換アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、またはCFS;またはCF−A−基(Aは、−CF−、−CO−、−CH−、CH(OH)、SO、SO、CH−O、またはCONHである);またはCFH−A’−基(A’は、酸素、硫黄、SO、SO、CFまたはCFHである);トリフルオロメトキシ、C1−6アルキルスルフィニル、パーフルオロC2−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシスルフィニル、C1−6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニル(いずれかの芳香族部位が任意選択により置換されている)、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、C1−6アルキル−チオカルボニル、C1−6アルコキシ−チオカルボニル、C1−6アルキル−チオカルボニルオキシ、1−メルカプトC2−7アルキル、ホルミル、またはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル(いずれかのアミノ部位が、1または2個のC1−6アルキル基で任意選択により置換されている)、またはC1−6アルキルスルフィニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルコキシスルフィニルアミノまたはC1−6アルコキシスルホニルアミノ、またはC1−6アルキルカルボニル、ニトロまたはシアノ、または−C(C1−6アルキル)NOHまたは−C(C1−6アルキル)NNHで末端が置換されているエチレニル;または1または2個のC1−6アルキルによって、またはC2−7アルカノイルによって任意選択により置換されているアミノであり;RおよびRのうちの1つが水素またはC1−4アルキルであり、もう1つがC1−4アルキル、CFまたはCHであり、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、−S−C1−4アルキル、ニトロ、1または2個のアルキル基で任意選択により置換されているアミノ、シアノまたはC1−4アルコキシカルボニルであり;またはRおよびRは共に、C1−4アルキルで任意選択により置換されているC2−5ポリメチレンであり;
は、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1−6アルコキシであり、RおよびRは水素であるか、またはRはヒドロキシであり、Rは水素またはC1−2アルキルであり、Rは水素であり;
は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、その両方が、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、C1−4アルキルによって1回または2回任意選択により置換されているアミノ、シアノ、アジド、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される基または原子で独立して1回または複数回任意選択により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、OR11またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1−6アルキル、ホルミル、C1−6アルカノイル、アロイルまたはアリールC1−6アルキルであり、R10は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、モノまたはジC1−6アルキルアミノ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アシルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6−アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;R−N−CO−R基はR基に対してシス位にあり;Xは、酸素またはNR12であり、R12は水素またはC1−6アルキルである)
の類似体、またはその薬学的に許容される組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のトナベルサットまたは式1の類似体において、異痛および/または痛覚過敏の治療に使用される薬物の製造におけることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体。
【請求項3】
異痛および/または痛覚過敏を治療または予防する方法であって、その必要がある患者に、請求項1に記載のトナベルサットまたは式1の類似体の薬学的に有効な量を投与することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、神経障害と関連することを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、関連する神経過敏性障害であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、関連する炎症性症状であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、神経圧迫および/または絞扼と関連することを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、関連する外傷であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、関連する術後外傷であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、関連する幻肢痛であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項11】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記異痛および/または痛覚過敏が、口内焼灼感症候群であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−512888(P2013−512888A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541581(P2012−541581)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/GB2010/052021
【国際公開番号】WO2011/067608
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(512099389)プロキシマゲン リミテッド (3)
【Fターム(参考)】