説明

異種無線ネットワークにおける分散型無線資源管理システム及び方法

【課題】本発明は、異種無線ネットワークにおける分散型無線資源管理システム及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、異種システムにおける無線アクセスネットワーク間において無線資源を管理する方法であって、異種システムにおける無線ネットワークは、それがカバーしている範囲内の移動端末にアクセス情報を周知するステップと、移動端末は、無線ネットワークが周知するアクセス情報を受信した後、前記移動端末のネットワーク選択アルゴリズムに基づいて、最適な無線ネットワークを選択するステップと、無線ネットワークがネットワーク側の収益をリアルタイムにモニタリングし、無線ネットワークの収益下がり幅が予定の閾値を超えたとき、前記無線ネットワークが調整制御アルゴリズムを触発して、前記無線ネットワークの競争係数を調整するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種無線ネットワークにおける分散型無線資源管理システム及び方法に関し、特に異種ネットワーク(Heterogeneous Network)にユーザ側のアクセス選択アルゴリズム(Access Selection Algorithm)及びネットワーク側の調整アルゴリズム(Adjustment Algorithm)を融合し、種間競争に基づく分散型連合無線資源管理システム及び方法に関し、無線ネットワークが価格パラメータを運営状況に応じて動的に調整することを可能として、ユーザがネットワークにアクセスする選択に影響を与え、さらにある条件でネットワーク運営者の収益を最大化させるとともに、ユーザの発呼渋滞率を低減させる。
【背景技術】
【0002】
将来のB3Gネットワークは、異種性を特徴とする、複数の無線アクセス技術が互いに融合される複合ネットワーク環境である。
【0003】
P. Magnusson, J. Lundsjo, J. Sachs, P. Wallentinが発表した論文「Radio resource management distribution in a beyond 3G multi-radio access architecture」(Proc. GLOBECOM, vol. 6, Nov. 2004, pp. 3472 − 3477を参照)、D. Cavalcanti, D. Agrawal, C. Cordeiro, B. Xie and A. Kumarが発表した論文「Issues in integrating cellular networks WLANs, AND MANETs: a futuristic heterogeneous wireless network」(IEEE Wireless Communications, vol. 12, Jun. 2005, pp. 30 − 41を参照)、X. Yang, J. Bigham, L. Cuthbertが発表した論文「Resource management for service providers in heterogeneous wireless networks」(IEEE Wireless Communications and Networking Conference 2005, vol. 3, Mar. 2005, pp. 1305 − 1310を参照)、及びW. H. Zhangが発表した論文「Bearer service allocation and pricing in heterogeneous wireless networks」(Proc. IEEE Int. Conf. Communication, May 2005, pp. 1367 − 1371を参照)には、これに関して説明している。
【0004】
異なる無線アクセスネットワークは、互いに協力して各種業務要求を満足させる必要がある一方、各ネットワークは各自の利益を持ち、このような利益上の衝突によって、無線アクセスネットワークの間はある種の相互競争の関係となる。P. Demestichas, V. Stavroulakiが発表した論文「Issues in introducing resource brokerage functionality in B3G composite radio environments」(IEEE Wireless Commun. Mag., vol. 11, Oct. 2004, pp. 32 − 40を参照)には、これに関して説明されている。従来の異種ネットワークに対する研究では、異種ネットワークの間の協力関係のみが強調されているが、競争関係は無視されている。現在の異種ネットワークに対する研究について、多数の研究は、如何にユーザへ最適の無線ネットワークを選択するかということに集中されている。このような、単純にユーザの立場からネットワークにアクセスするアルゴリズムによって、ネットワークは受動的になる。性能が少し悪いネットワークについては、ユーザがアクセスしない恐れがある。ネットワークの立場から見ると、如何にネットワークの収益を最大化するかということは、異種ネットワーク研究分野内の一つの重点課題として研究するべき問題である。ここで、異種ネットワーク選択アルゴリズム及びネットワーク側の調節制御アルゴリズムは、これに関する二つの鍵となる技術である。
【0005】
ネットワーク選択アルゴリズムは、ユーザの立場から各無線アクセスネットワークの性能を評価して、最適の一つの無線アクセスネットワークを選択する。従来のネットワーク選択技術において、あるアルゴリズムは、単純に異種無線通信システムにおける異なるネットワーク間の比較される単一要因、例えばサービス品質(QoS)、信号強さなどのみを考慮し、簡単な比較によって最適無線アクセスネットワークを確定する。例えば、C. X. Guo, Z. H. Guo, Q. Zhang, W. W. Zhuが発表した論文「A seamless and proactive end-to-end mobility solution for roaming across heterogeneous wireless networks」( in IEEE J. Select. Areas Commun., vol. 22, June. 2004, pp. 834 − 848を参照)、及びG. Fodor, A. Furuskar, and J. Lundsjoが発表した論文「On access selection techniques in always best connected networks」(ITC Specialist Seminar on Performance Evaluation of Wireless and Mobile Systems, Aug. 2004を参照)がある。現在では、いくつかの数学的方法を利用して多種の異なる要因を総合して考慮するアルゴリズムもあり、例えば、A. Majlesi, and B. H. Khalajが発表した論文「An adaptive fuzzy logic based handoff algorithm for interworking between WLANs and mobile networks」(The 13th IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications, vol. 5, Sept. 2002, pp. 2446 − 2451を参照),R. Agusti, O. Salient, J. Perez-Romero, L. G
iupponiが発表した論文「A fuzzy-neural based approach for joint radio resource management in a beyond 3G framework」(Proc. Int. Quality of Service in Heterogeneous Wired/Wireless Networks, 2004, pp. 216 − 224を参照),及びQ. Y. Song, A. Jamalipourが発表した「Network selection in an integrated wireless LAN and UMTS environment using mathematical modeling and computing techniques (AHP)」の論本(IEEE Wireless Communications, vol. 12, June. 2005, pp. 42 − 48を参照)には、多種類の異なる要因を総合考慮してネットワーク選択を行ういくつかの方法を開示している。これらの数学的方法は、例えばファジー理論(Fuzzy Logic)、階層分析法(Analysis Hierarchy Processing)などを含み、一連の相対的に複雑な操作によって二つのネットワークにおける多方面の要因を比較して、最適無線アクセスネットワークを取得する。しかしながら、これらの方法は、いずれもユーザの長期アクセスの行為を分析しておらず、即ちある数学モデルを利用してその行為を記述することができず、ネットワーク側で定量的にユーザの行為に基づいて適当な調整を行うことができなくなる。
【0006】
ネットワーク側の調整制御アルゴリズムは、ネットワークがリアルタイムの運行状況に応じて、ネットワークの状態パラメータを動的に調整して、さらにユーザの選択行為に影響を与えて元の既定目標に達することである。このような目標は、ネットワークの収益でも他の最適化目標でもよい。
【0007】
端末側のネットワーク選択技術は、ユーザの立場に基づいて最適無線アクセスネットワークを選択することであるのに対して、ネットワーク側の調整制御技術はネットワーク側の最終収益を保証することとなる。しかしながら、従来は、端末側の選択アルゴリズムとネットワーク側の調整制御アルゴリズムとを融合することで、ある条件でネットワーク運営者の収益を最大化させるとともに、ユーザの発呼渋滞率を低減させるという方法は一つも提出されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、異種無線ネットワークにおける分散型無線資源管理システム及び方法を提供することを目的とし、ユーザ側のアクセス選択アルゴリズム及びネットワーク側の調整アルゴリズムを融合し、種間競争モデルに基づいて無線資源を管理して、価格パラメータを運営状況に応じて動的に調整することができ、ユーザのアクセスネットワーク選択に影響を与えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一アスペクトによると、異種システムにおける無線アクセスネットワーク間において無線資源を管理する方法であって、異種システムにおける無線ネットワークは、それがカバーしている範囲内の移動端末にアクセス情報を周知するステップと、移動端末は、無線ネットワークが周知するアクセス情報を受信した後、前記移動端末のネットワーク選択アルゴリズムに基づいて、最適な無線ネットワークを選択するステップと、無線ネットワークがネットワーク側の収益をリアルタイムにモニタリングし、無線ネットワークの収益下がり幅が予定の閾値を超えたとき、前記無線ネットワークが調整制御アルゴリズムを触発して、前記無線ネットワークの競争係数を調整するステップとを含む方法を提供する。
【0010】
本発明の他のアスペクトによると、異種システムにおける無線アクセスネットワーク間に無線資源を管理するシステムであって、無線ネットワーク側に設置され、ネットワーク側の収益をリアルタイムにモニタリングし、無線ネットワークの収益下がり幅が予定の閾値を超えた場合、前記無線ネットワークが調整制御アルゴリズムを触発して、前記無線ネットワークの競争係数を調整するエージェント手段と、移動端末側に設置し、受信した相応する無線ネットワークが周知するネットワーク状態情報に基づいて、相応するネットワークに対する選択確率を計算し、確率の大きいネットワークを選択してアクセスするネットワーク選択手段とを備えるシステムを提供する。
【0011】
本発明の更なる他のアスペクトによると、少なくとも第1の無線ネットワーク及び第2のネットワークを含む異種システムにおける無線アクセスネットワーク間において無線資源を管理する方法であって、第1及び第2の無線ネットワークは、それらがカバーしている範囲内の移動端末にそれぞれのネットワーク状態パラメータを周知するステップと、移動端末が各無線ネットワークが周知しているネットワーク状態パラメータを受信した後、前記移動端末のネットワーク選択アルゴリズムに従って各無線ネットワークのアクセス確率を計算し、算出したアクセス確率の大きいネットワークを選択してアクセスするステップと、前記第1及び第2の無線ネットワークが、それぞれのネットワークの収益をリアルタイムにモニタリングし、前記第1及び/又は第2の無線ネットワークの収益の下がり幅が予定の閾値を超えた場合、前記第1及び/又は第2の無線ネットワークは、相応する調整制御アルゴリズムを触発して、第1及び/又は第2の無線ネットワークのネットワーク状態パラメータを調整することで、前記第1無線ネットワーク及び前記第2の無線ネットワークの共存を維持するステップとを含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、生物分野における代表的な種間競争モデルを参考して、端末側のネットワーク選択アルゴリズムとネットワーク側の調整制御アルゴリズムとを効率的に融合できるメカニズムを提出し、端末側のネットワーク選択とネットワーク側の調整制御技術とを有機的に結合して、互いに特定のタスクを完成することで、より優れた効果を実現する。このような融合によって、ユーザ側及びネットワーク側の利益を同時に満足させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の前記並びにその他の目的、特徴、及び利点は、以下に示す実施形態の説明を、以下のような添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかとなるであろう。
【0014】
以下、本発明の実施例である異種無線アクセスネットワークの無線資源管理方法及びシステムについて図面を参照して説明し、本発明の原理がよりよく理解されるように、また本発明の理解が曖昧にならないように説明の際に本発明にとって必要ではない細部及び機能を省略する。
【0015】
本発明は、生物分野における典型的な種間競争モデルを参考にして、端末側のネットワーク選択アルゴリズムとネットワーク側の調整制御アルゴリズムとを効率的に融合できるメカニズムを提出する。本発明の原理をよく理解するために、以下、生物個体群間の競争及び依存の関係、並びにこれから本発明に与えられた教示を説明する。
【0016】
生物界において、生物個体群間の競争関係は、個体群数の成長に抑制作用が具備されており、下記の式(1)及び(2)は、個体群間の競争モデル(L−Vモデル)を表す。これに関する具体的な内容は、尚玉昌が著す題目が「普通生態学」の書物を参考にしてもよい。
【数1】

【0017】
ここで、N1及びN2は、それぞれ個体群1及び個体群2の数を表し、それぞれの環境負荷量はK1及びK2(競争がない場合)であり、各個体群又は種において単一の個体の瞬時成長率がそれぞれr1及びr2である。競争係数α12及びα21を導入することで、二つの個体群間の競争関係を反映する。α12は個体群2の競争係数であり、個体群2における各個体の、個体群1における個体に対する競争抑制作用を指す。同様に、α21は個体群1の競争係数であり、個体群1における各個体の、個体群2における個体に対する競争抑制作用を指す。二つの種が共存しようとすれば、下記の式(3)を満たさなければならず、即ち、両方の種の数は、いずれも零ではなく、平衡に達している。
【数2】

【0018】
この時、下記の方程式(4)及び(5)によって両方の種の数を計算することができる。
【数3】

【0019】
無線ネットワークにL−Vモデルを適用するために、無線ネットワークの特徴をL−Vモデルにマッピングさせる必要がある。その照合関係は下記の表のようになる。
【表1】

【0020】
二種類又は多種類の異なる型の無線ネットワークを有する異種無線通信システムにおいて、カバー領域内のユーザは、ネットワークが周知するパラメータに応じて、一定のアクセスアルゴリズムに基づいて個別且つ独立的に二種類のアクセスネットワークにアクセスする。当該ユーザは、
(1)ネットワークアクセスを選択しない
(2)ネットワークアクセスを選択する
ことができる。
【0021】
ユーザがネットワークを絶えず選択するプロセスは、選択確率の変化プロセスと見なされ得る。t+1時刻において、ユーザが業務を必要とする場合、まず各ネットワークの初期アクセス確率を計算する。t時刻でのネットワークIとネットワークIIのアクセスユーザ数をそれぞれN1(t)とN2(t)とすると、t+1時刻でのユーザの両ネットワークに対する初期アクセス確率は、下記の式(6)及び(7)で表される。
【数4】

【0022】
実際には、ユーザの両ネットワークに対する選択は完全に独立したものではない。ユーザが一回の選択を完成した後、当該ネットワークに対する体験及び理解を有するので、次回の選択に際してこのような感覚を考慮して、次回の他のネットワークを選択する確率に影響を与える。これは、異なるネットワーク間の競争を体現している。具体的には、あるユーザがt時刻でのネットワーク選択において一つのネットワーク、例えばネットワーク IIを選択するとすれば、t+1時刻でのネットワーク選択において当該ユーザが
【数5】

【0023】
の確率でネットワークIIを選択するが(競争のない場合と同じ)、
【数6】

【0024】
の確率でネットワークIを選択する(競争を体現している)。これは、当該ユーザがネットワークIIの優れたサービスを受けているので、他のユーザと比べてネットワークIを選択する確率が低くなるからである(他のユーザがこの時にネットワークIを選択する確率が
【数7】

【0025】
)。ここでの
【数8】

【0026】
は、ネットワークIIのネットワークIに対する競争を反映し、ネットワークIIのネットワークIに対する優位性の程度が大きいほど、当該ユーザが次回の選択においてネットワークIを選択する確率が大きく低減される。
【0027】
ユーザがネットワークを選択する場合、価格、アクセス帯域幅、信号品質などのパラメータを同時に考慮するため、本発明は、ネットワークIIのネットワークIに対する競争を反映する量である
【数9】

【0028】
を定義し、当該競争量は下記の式(8)で表される。
【数10】

【0029】
同様に、ネットワークIのネットワークIIに対する競争を反映する量である
【数11】

【0030】
は、下記の式(9)で表される。
【数12】

【0031】
式(8)及び(9)で、Pはネットワークiの価格であり、SSはネットワークiの信号強さ統計量であり、当該ネットワークにおいて信号強さがある閾値を超えたユーザの数を表し、Bはネットワークiが提供している単位帯域幅である。
【数13】

【0032】
は、規格化因子(ベクトル)であり、具体的には、
【数14】

【0033】
となる。本発明によれば、異なる異種無線アクセスネットワークが共存することができるために、
【数15】

【0034】
の値が0乃至1の範囲内にある。
【0035】
ユーザがネットワーク選択を行うときに考慮する両方面を総合すると、ユーザが時刻t+1においてネットワーク選択を行うときに、ネットワークIに対するアクセス確率の変化状況は下記のようになる。
【0036】
(1)時刻tにおいてネットワークIIを選択するユーザ(ユーザの数がN2(t))は、確率
【数16】

【0037】
でネットワークIを選択する。
【0038】
(2)他のユーザ(ユーザの数がK―N2(t))は、相変わらず確率
【数17】

【0039】
でネットワークIを選択する。
【0040】
そうすると、次回のネットワークIにおけるユーザの数は、式(10)で表される。
【数18】

【0041】
このような場合、時刻t+1においてネットワークIのユーザの数の変化は、式(11)で表される。
【数19】

【0042】
同様に、ネットワークIIについて、
(1)時刻tにおいてネットワークIを選択するユーザ(ユーザの数がN1(t))は、確率
【数20】

【0043】
でネットワークIIを選択する。
【0044】
(2)他のユーザ(ユーザの数がK―N1(t))は、相変わらず確率
【数21】

【0045】
でネットワークIIを選択する。
【0046】
このような場合、時刻t+1におけるネットワークIIのユーザの数の変化は、式(12)で表される。
【数22】

【0047】
式(11)及び(12)は、ネットワークにおけるユーザ数の変化状況を反映し、ユーザが異なるネットワークにアクセスすることによって産生する業務量には差異があるので、下記の式(13)乃至(16)を定義することができる。
【数23】

【0048】
式(13)乃至(16)において、Piは、単一ユーザがネットワークi (i = 1, 2,…n)において産生した平均の業務量を表す。Ti (i = 1, 2,…n)は、ネットワークiの業務量を表し、Ki (i = 1, 2,…n)は、ネットワークiの環境負荷量を表す。そして、式(13)乃至(16)に基づいて計算し取得した両ネットワークの業務量変化状況は、下記の式(17)及び(18)に示される。
【数24】

【0049】
前記の式(17)及び(18)には、それぞれ変数α12,α21が導入して、それぞれネットワークIIのネットワークIに対する競争係数、及びネットワークIのネットワークIIに対する競争係数と呼び、両競争係数は、それぞれ下記の式(19)及び(20)に示すように定義される。
【数25】

【0050】
式(17)及び(18)から分かるように、両ネットワークの担当する業務量の成長はL−Vモデルに従うものであり、これによって、個体群生態学における数学方法を使用して異種無線ネットワークにおける業務分布を分析し予測することができる。
【0051】
また、式(15)、(16)、(19)及び(20)に基づいて、
【数26】

【0052】
の成立、つまり、不等式(3)を満足することを検証することができる。L−Vモデルから分かるように、ユーザによる数回の選択を通じて、両ネットワークが必ず安定平衡に達する、即ち両ネットワークのいずれも一定の業務量を持つこととなる。安定平衡条件での業務量は、式(4)及び(5)連立して解を求めることで取得することができ、その形は式(21)で表す。
【数27】

【0053】
前記のように、異種無線ネットワークの競争モデル及び相互依存する関係は、完全に個体群生態学におけるモデルを参照して分析され、これにより異種無線ネットワークにおける業務量分布を予測できることが分かる。
【0054】
以下、本発明に係る異種無線ネットワークの業務量分布の予測及び管理を行う実施例について図面と共に説明する。
【0055】
図1A及び1Bは、それぞれ本発明に係る異種無線ネットワークの応用シナリオを示す。本発明が応用されるシナリオは、下記の2種類のシナリオがある。図1Aに示すシナリオIにおいて、2種類の異種な無線アクセスネットワークのカバー範囲は、一部分に重複されている。図1Bに示すシナリオIIにおいて、一無線アクセスネットワークのカバー範囲は、他の無線アクセスネットワークのカバー範囲を完全にカバーしている。注意すべきことは、本発明の提出する予測及び管理方法は、ユーザとネットワーク両方とも選択することを可能にするために、異種無線ネットワークが重複するカバー範囲を有する無線アクセスにしか適用することができないことである。
【0056】
図2は、時刻t+1での、ユーザ側がアルゴリズムを選択するフローチャートである。前記のアクセスアルゴリズムにおいて、ユーザはまず、異なる無線アクセスネットワーク、即ちネットワークIとネットワークIIに対するアクセス確率を計算する。アクセス確率の大きいネットワークを選択してアクセスする。つまり、ユーザ側で選択したアクセスネットワークに対して関与する。図2に示すように、まず、ステップS201において、ユーザ側は異なる無線ネットワークから相応するネットワーク周知の価格、帯域幅などの情報を受信し、受信した信号の強さを確定する。実例として、ユーザ側は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、及びノート型パソコンなどのような携帯無線通信装置であってもよい。なお、簡単にするために、本発明では二つの異種無線アクセスネットワークを例として異種無線アクセスネットワークにおける無線資源の予測及び管理を説明する。本発明はこれに限られるものではなく、その基本思想及び概念が複数の異種無線アクセスネットワークの場合に応用しても良いことは理解できる。
【0057】
注意すべきことは、ユーザ側のネットワークに対するアクセス確率は、相応するネットワークが提供している状態パラメータに応じて決定されるものであり、例えば、ネットワークの価格、帯域幅、及び信号の強さなどのパラメータによって決定されることである。アクセス確率は、これらのパラメータによって変化する。
【0058】
次に、ステップS202において、ユーザ側は異なる異種無線アクセスネットワークから受信した価格、帯域幅及び信号強さなどの情報に基づいて、前記の式(6)を利用してネットワークIに対するアクセス確率xt+1を計算する。同様に、ステップS203において、式(7)を利用してネットワークIIに対するアクセス確率yt+1を計算する。続いて、ステップS204において、両ネットワークに対するアクセス確率の大きさを比較する。ネットワークIに対するアクセス確率xt+1がネットワークIIに対するアクセス確率yt+1より大きくなれば、フローはステップS205に移行し、ネットワークIにアクセスする。そうでなければ、フローはステップS206に移行し、ネットワークIIにアクセスする。つまり、ユーザ側は計算したアクセス確率に基づいて、確率の大きいネットワークを選択してアクセスする。
【0059】
図3は、ユーザ側が前記のアクセス確率(時刻t+1)を計算するフローチャートを示す。まず、ステップS301において、ユーザ側はアクセスしようとするネットワークのアクセス済ユーザの数及び相応するネットワークの収容可能な最大ユーザ数を確定する。そして、ステップS302において、今回計算した統計確率を確定し、ここで統計確率
【数28】

【0060】
であり、アクセスユーザ数及び最大ユーザ数は、いずれもある具体的な候補アクセスネットワークに対するものである。次に、ステップS303において、相応するネットワークの初期アクセス確率
【数29】

【0061】
を計算する。そして、ステップ304において、当該ユーザ側が前の時刻(t)において隣接ネットワーク(即ち、前記ユーザ側を覆っている他の異種無線アクセスネットワーク)にアクセスしたか否かを判断する。次のステップS305及びS306において、式(22)に示すように懲罰確率を計算する。
【数30】

【0062】
ユーザがアクセスネットワークを選択するときのネットワーク間の競争関係を考慮すると、本発明では懲罰確率を導入する。懲罰確率を計算するときには、ネットワーク間の競争係数αを考慮する。
【0063】
ステップS304において、ユーザが前の時刻(t)で隣接ネットワークにアクセスしたと判断したら、ステップS305に移行する。前記のように、相応するネットワーク間に対するバランス関係を考慮し、懲罰確率pp=αpを計算する。ステップS304において、ユーザが前の時刻(t)で隣接ネットワークにアクセスしないと判断したら、フローはステップS306に移行し、懲罰確率pp=0を計算する。ステップS305及びS306の後、フローはステップS307に移行し、相応するネットワークの時刻t+1でのアクセス確率pt+1=pi-ppを計算する。
【0064】
前記の式(19)及び(20)が与えるネットワークIIのネットワークIに対する競争係数α12、及びネットワークIのネットワークIIに対する競争係数α21に基づいて、ユーザがネットワークIに対するアクセス確率を計算するときには、
【数31】

【0065】
となり、ユーザがネットワークIIに対するアクセス確率を計算するときには、
【数32】

【0066】
となる。但し、Pi、SSi及び
【数33】

【0067】
は、前記に定義した意味と同じである。前記の式におけるαは、2種類の方法によって取得し得る。一つの方法は、ネットワーク側で計算して端末に周知する。他の方法は、ネットワークが使用している価格、信号強さ統計量、帯域幅情報を端末に周知し、端末で当該値の計算を担当する。
【0068】
図4は、ネットワーク側アルゴリズム実行点状態の模式図を示す。本発明で、ネットワーク側は段階ごとに異なる機能を実行する。具体的に、ネットワーク側は、運営に際して初期配置段階、正常運行段階及び調整制御段階に区分けすることができる。まず、ステップS401において、異種無線アクセスネットワークは初期配置段階を実行し、ネットワークI及びネットワークIIは調整制御機能を実行する必要がある(図面5を参照して後述する)。調整制御を完成すると、ステップS402において、ネットワーク全体は正常運行段階に移行する。ネットワークI及びIIは、当該段階でモニタリング機能を実行する。ネットワークが、ネットワークの収益の下がり幅が予定の閾値を超えたことを検出する、即ち
【数34】

【0069】
となれば、調整制御アルゴリズムを触発して調整制御段階に移行する。但し、
【数35】

【0070】
は具体的な場合によって異なる値に設定し得る。ネットワークがステップS403において調整制御段階を行い、ネットワークI及びIIが調整制御アルゴリズムを実行することで、現在無線条件で対応できる最適価格ポリシーを取得する。調整制御を終了すると、ネットワークI及びネットワークIIは、正常運行段階に回復される。
【0071】
図5は異種無線アクセスネットワークが調整制御プロセスを実行するフローチャートを示す。具体的には、ステップS501において、相応するネットワークが本ネットワーク及び隣接ネットワークの状態パラメータを収集する。そして、ステップS502において、業務量の推定を行う。各ネットワークは、自分の提供するネットワークパラメータ及び隣接ネットワークの状態に応じて、前記に与えられた式(19)乃至(21)及びネットワークにおけるパラメータに基づいて、下記の式(23)に従ってネットワークにおける業務量を推定する。
【数36】

【0072】
但し、Kはカバー範囲内の総計ユーザ数であり、Piは業務量因子であり、単一ユーザのネットワークにおいて生産することができる業務量を表す。そして、ステップS503において、目標関数を確定する。式(23)で取得された業務量に基づいて、下記の式(24)を利用して、ネットワークの目標関数を計算して、本ネットワークの最適価格を確定する。
【数37】

【0073】
本ネットワークの最適価格は、目標関数Oiが最大値に達する時に対応する価格であり、下記の式(25)に示すようになる。
【数38】

【0074】
式(25)から分かるように、本ネットワークの最適価格の取得は、隣接ネットワークの価格ポリシーによって決定される。そこで、ステップS505において、ネットワーク間に対話調整制御した結果(当該ステップについては図6の対話価格プロセスを参照して説明する)、最終的に両ネットワークの目標関数の最大化を同時に満足する価格ポリシーを取得することができる。その後、ネットワークパラメータに対する調整制御アルゴリズムを終了する。当該ステップは、取得した価格ポリシーを対応する隣接無線ネットワークに伝送し、ネットワークでユーザに周知する。本発明の実施例によれば、パラメータを周知する方法は二つある。一つの方法は、ネットワークによって相応するパラメータを直接計算し、算出した競争係数(例えば、ネットワークアクセス価格、帯域幅、信号強さなどのパラメータ)を周知するものである。他の方法は、ネットワークで更新された価格パラメータ、信号強さ統計量及び帯域幅を周知し、端末は当該情報を受信した後、相応するネットワークの競争係数を計算するものである。
【0075】
図6は、ネットワークにおいて反復アルゴリズムを実行することで最適価格を取得するフローチャートを示す。図6を参照すると、まず例として、図面におけるネットワークI側で調整制御しようとするネットワークを触発し、調整した価格を隣接ネットワーク(例えば、図面におけるネットワークII)に送信する。近傍のネットワークIIは、ネットワークIが周知する価格パラメータを受信した後、前記の式(25)
【数39】

【0076】
に従って本ネットワークに対する最適化価格パラメータを計算し、算出した価格を本ネットワークの現在提供している最適化価格と比較する。算出した価格が現在の最適化価格と一致していなければ、ネットワークの価格パラメータを算出した最適化価格パラメータに更新し、この価格パラメータを調整制御を発動するネットワークIに伝送する。ネットワークIは、ネットワークIIでフィードバックした価格パラメータを受信した後、類似の操作を触発して最適の価格ポリシーを取得する。注意すべきことは、
【数40】

【0077】
を採用して前後二回の価格が一致するか否かを判断することである。
【数41】

【0078】
は、計算の精度によって異なる値を取ることができ、例えば0.01又は0.001である。ネットワークIとIIの間のパラメータ対話プロセスは、両ネットワークの収益を増加できなくなるまで繰り返される。この時、ネットワーク間の価格対話を終了する。
【0079】
図7は本発明実施例に係る異種無線アクセスネットワークにおいて分散型無線資源管理を実行するシステムの構成図である。本発明の実施をサポートするために、従来の無線アクセスネットワークと比べて、本発明の無線アクセスネットワークは、ネットワーク側アルゴリズムをサポートするエージェント装置71が追加されている。ユーザデバイスには、ネットワーク選択装置72が追加されている。実例として、ユーザデバイスは、携帯電話、携帯情報端末、及びノート型パソコンなどのような携帯通信デバイスであってもよい。
【0080】
一例として、エージェント装置71は、Hrインタフェースを通じて既存の無線ネットワークに接続する。ここで、Hrインタフェースは必要な情報、例えばネットワーク価格、提供可能な帯域幅、及び信号強さ統計量などを搭載しなければならない。一方、異なるエージェント装置同士は、Haインタフェースを通じて接続する。Haインタフェースは論理インタフェースであり、具体的に実現する場合に、例えばインターネットによって実現することができる。Haインタフェースが搭載している情報は、ネットワーク価格、提供可能な帯域幅、及び信号強さ統計量を含む。図8は、エージェント装置に関する細部を模式的に示したものである。本発明の実現シナリオは、下記の四つ特徴を有していてもよい。
【0081】
1)配置について、一つのエージェント装置は、管轄する無線アクセスネットワークの範囲を自分の容量に応じて配置することができ、例えば、一つのエージェント装置が一つのRNSを管轄してもよく、複数のRNSを管轄してもよい。
【0082】
2)実現に際して、エージェント装置は一つの論理的実体であってもよいので、一つの独立した物理的実体であってもよく、他の物理的実体に集積してもよい。例えば、無線ネットワークコントローラ(RNC)に内蔵することができる。
【0083】
3)触発を制御する方法について、エージェント装置は、多種類の無線アクセスネットワークの重複カバーを有する領域の対応する無線ネットワークのみに作用する。
【0084】
4)制御対象について、異なる領域でのユーザ分布及び業務分布には差異があるので、エージェント装置の制御はセルを単位として行うものである。ユーザ端末側には、ネットワーク選択装置71によってユーザアクセスネットワークの選択アルゴリズムを実行する。ユーザ端末が相応するネットワークの周知する情報を受信した後、ネットワーク選択装置は、受信した情報を処理することで、相応するネットワークに対する選択確率を計算し、アクセス確率の大きいネットワークを選択してアクセスする。
【0085】
なお、エージェント装置の機能は、ハードウェアによって実現することができるだけでなく、前記機能を実行するソフトウェアをネットワークコントローラのメモリにロードすることで、ネットワークコントローラによってネットワークにおける相応するデバイスを制御して実現することもできる。エージェント装置として機能するプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、半導体メモリなどのような記録媒体に記憶されてもよく、記録媒体からネットワークコントローラにロードしてネットワーク側の操作を制御することで、前記の各機能を実現する。
【0086】
図8は、エージェント装置71の内部機能構成図を示す。エージェント装置は、多代理体系の一つの核心実体であり、本発明によってネットワーク側において相応するアルゴリズムを実行するために用いられる。エージェント装置の内部は三つの層と区分けされることができ、それぞれ感知層、反応層及び記憶層となる。感知層は、主に周りの環境の変化を感知し、価格、帯域幅及び信号強さを含む相関情報を収集し、収集した情報を反応層に送信して処理する必要があるかどうかを判断する。感知層は、無線感知ユニット81と協力感知ユニット82とを含む。無線感知ユニット81は、Hrインタフェースを通じて無線ネットワーク側の状態パラメータ情報を周期的(T1)に受信し、予定の周期T2(T2<T1)で定時的に当該情報を反応層における制御ユニットに送信して処理する。このような方式における時間細分性は、実際の状況に応じて具体的に設定すればよい。また、無線感知ユニットは、調整制御処理の後に更新された価格等のパラメータをHrインタフェースを通じて代理する無線ネットワークにフィードバックする。協力感知ユニット82は、Haインタフェースを通じて他のエージェント装置のネットワーク状態パラメータを収集し、本ネットワークのネットワーク状態パラメータをHaインタフェースを通じて他のエージェント装置に伝送する。
【0087】
また、反応層はエージェント装置の核心的な制御部分であり、異種無線アクセスネットワークの資源をマクロ調整制御する。図8において、制御ユニットは反応層の核心部分である。図8に示すように、制御ユニット83は、ネットワークパラメータ処理ユニット831及びL−Vモデル検証ユニット832を含んでもよい。ネットワークパラメータ処理ユニット831は、異種無線アクセスネットワークの状況を分析し、ネットワーク間の競争係数を計算し、価格、帯域幅及び信号強さなどのネットワーク状態パラメータを調整して、本ネットワークの目標関数を最大化にする。なお、ネットワークパラメータ処理ユニット831は、隣接ネットワークのエージェント装置と合わせて、ネットワーク状態パラメータの交渉対話プロセスを完成し、2つのネットワークの目標関数をともに最大に達するようにする。また、制御ユニット83は、交渉の後に更新されたネットワーク状態パラメータをネットワークパラメータ処理ユニット831を通じて上の記憶層に、及び下の感知層に伝送し、無線感知ユニットの閾値パラメータを設定する。L−Vモデル検証ユニット832は調整結果を検証することで、それがL−Vモデルに従うものであるかどうかを確定する。
【0088】
また、記憶層はエージェント装置の知的体現である。類似の無線ネットワーク状態パラメータについて、エージェント装置はそのつど調整制御アルゴリズムをスタートして最適な価格を取得する必要はない。記憶ユニット84は、これまでの調整制御結果を制御ユニット83に直接伝送し、制御ユニット83は既存の調整制御結果を利用して最適な価格パラメータを取得する。これによって、調整制御の速度を向上させることができる。
【0089】
図9A及び9Bは、従来技術での無線資源管理と本発明に係る無線資源管理との性能比較模式図である。ここで、図9AはネットワークIの収益状況の比較模式図であり、図9BはネットワークIIの収益状況の比較模式図である。図9A及び9Bに示すように、ネットワークIが初期に提供していた帯域幅がネットワークIIより高くなり、両ネットワークの初期価格及び初期の信号強さは一致している。伝統的な方法によれば、100秒において、ネットワークIの信号強さが悪くなる。図9A及び9Bから分かるように、本発明に係る方法を採用すると、先の100秒において、両ネットワークとも伝統的なランダムアルゴリズム(RS)又は広帯域幅優先アルゴリズム(HBW)より高いネットワーク収益を取得することができる。100秒において、ネットワークIの信号品質が悪くなり、ネットワークIの競争能力が低減されることを招き、伝統的な調整制御アルゴリズムサポートのない場合には、ネットワークIの収益が大きく低減するのに対して、本発明に係る方法を利用すると、価格を調整して両ネットワークの競争関係を更新することで、ネットワークIの収益が最大限に維持される。これとともに、ネットワークIIは、本発明に係る方法を採用すると、より高いネットワーク収益を取得することができ、図9A及び9Bに示すようになる。図9Cは、本発明に係るアルゴリズム、伝統的なランダムアルゴリズム、及び広帯域幅優先アルゴリズを使用した場合の発呼渋滞率を比較したものである。図9cから分かるように、本発明は従来の方法に比してユーザの発呼渋滞率を大きく低減させる。
【0090】
図10A及び10Bは、ユーザ数が正弦的に規則変化する場合における、本発明と伝統的な方法の収益上の比較模式図を示す。比較に際して、総計ユーザ数は
【数42】

【0091】
で規則的に変化する。図10A及び10Bに示すように、プロセス全体において、本発明に係る方法は、2つのネットワークの収益が常に伝統的方法によるネットワーク収益より高いことを保証することができる。
【0092】
本発明は、生物界におけるL−V競争方程式を利用して、二つの競争ネットワークが平衡に達した後の業務量を分析し、推定される業務量をネットワーク収益と結合して、ネットワークに対して価格調整制御を行うことを基礎とする。このようなL−Vに基づく調整制御メカニズムは、前記のユーザアクセス選択アルゴリズムがネットワークの業務量成長がL−Vモデルに従うことが保証できることに基づくものである。
【0093】
本発明は、ユーザ側のニーズを保証し、ユーザのアクセス渋滞率を低減することができるとともに、ネットワーク側のために新しい分布型管理メカニズムを提供してネットワークの収益を保証する。
【0094】
ここまで、本発明について好ましい実施例を合わせて説明した。当業者であれば本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、様々な変更、交換及び追加を行ってもよいことが理解されるはずである。そこで、本発明の範囲は前記特定の実施例に限られるものと理解してはならず、添付した請求項の範囲によって限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1(A)及び1(B)は、それぞれ本発明に係る異種無線ネットワークの応用模式図を示す。
【図2】図2は本発明の実施例においてユーザ側で実行する選択アルゴリズムを説明するフローチャートである
【図3】図3は本発明の実施例によってユーザ側がネットワークにアクセスする確率を計算することを説明するフローチャートである。
【図4】図4は本発明の実施例に係るネットワーク側アルゴリズム実行点の状態を説明する模式図である。
【図5】図5は本発明の実施例に係るネットワーク側調整制御プロセスのフローチャートである。
【図6】図6は本発明の実施例によって最適価格を取得することを説明するフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例に係る無線資源管理システムの配置ブロック図である。
【図8】図8は本発明の実施例に係るネットワーク側アルゴリズム実行点の機能区分けを説明する模式図である。
【図9】図9(A)及び9(B)は伝統的な方案と本発明方案とのネットワーク収益の比較模式図である。図9(C)は伝統的な方法と本発明の方法との発呼損失率の比較模式図である。
【図10】図10(A)及び10(B)は伝統的な方法と本発明の方法との、ユーザ数が正弦的に規律変化する場合の収益比較模式図を示す。
【符号の説明】
【0096】
71…エージェント装置、72…ネットワーク選択装置、81…無線感知ユニット、82…協力感知ユニット、83…制御ユニット、84…記憶ユニット、831…ネットワークパラメータ処理ユニット、832…Vモデル検証ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種システムにおける無線アクセスネットワーク間において無線資源を管理する方法であって、
異種システムにおける無線ネットワークは、それがカバーしている範囲内の移動端末にアクセス情報を周知するステップと、
移動端末は、無線ネットワークが周知するアクセス情報を受信した後、前記移動端末のネットワーク選択アルゴリズムに基づいて、最適な無線ネットワークを選択するステップと、
無線ネットワークがネットワーク側の収益をリアルタイムにモニタリングし、無線ネットワークの収益下がり幅が予定の閾値を超えたとき、前記無線ネットワークが調整制御アルゴリズムを触発して、前記無線ネットワークの競争係数を調整するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記の異種システムは、カバー範囲が重複する異種無線ネットワークを少なくとも二つ含むことを特徴とする、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
前記移動端末がネットワーク選択アルゴリズムを実行するステップは、異なる異種無線ネットワークが周知するアクセス情報を受信し、異なる異種無線ネットワークが周知するアクセス情報に基づいて、異なる異種無線ネットワークに対するアクセス確率をそれぞれ計算するステップを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載された方法。
【請求項4】
算出した異なる異種無線ネットワークに対するアクセス確率の大きさを比較して、アクセス確率が大きい無線ネットワークを選択してアクセスするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載された方法。
【請求項5】
異なる異種無線ネットワークに対するアクセス確率を計算するステップは、ネットワークのアクセス済ユーザ数及び最大ユーザ数に基づいて統計確率
【数1】

を計算し、前記統計確率に基づいて相応する無線ネットワークに対する初期アクセス確率piを計算するステップを含むことを特徴とする、請求項3に記載された方法。
【請求項6】
下記の式
【数2】

に従って、前記初期確率を計算することを特徴とする、請求項5に記載された方法。
【請求項7】
前記移動端末が前の時刻(t)で隣接ネットワークにアクセスしたか否かを判断することによって、下記の式
【数3】

に従って懲罰確率を確定し、ここでαは異なる無線アクセスネットワーク間の競争係数を表すステップをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載された方法。
【請求項8】
移動端末が第1のネットワークにアクセスするときに、式(1)に従って前記競争係数αを計算し、
【数4】

移動端末が第2のネットワークにアクセスするときに、式(2)に従って前記競争係数αを計算し、
【数5】

ここで、Piはネットワークiの価格であり,SSiはネットワークiの信号強さの統計量であり,ネットワークにおける信号強さがある閾値を超えたユーザの数を表し、Biはネットワークiが提供している単位帯域幅であり、
【数6】

は規格化ベクトルであり,ここで、
【数7】

であることを特徴とする、請求項7に記載された方法。
【請求項9】
相応する無線ネットワークによって相応する競争係数αを計算し、移動端末に周知することを特徴とする、請求項8に記載された方法。
【請求項10】
相応する無線ネットワークが価格、信号強さ統計量、帯域幅情報を端末に周知し、端末が前記無線ネットワークの競争係数αを計算することを特徴とする請求項8に記載された方法。
【請求項11】
相応する無線ネットワークに対する現在のアクセス確率を計算するステップをさらに含み、ここで前記現在のアクセス確率は前記初期アクセス確率から懲罰確率が減算されてなることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載された方法。
【請求項12】
無線ネットワークは、ネットワーク収益の下がり幅が予定の閾値を超えたことを検出した場合、調整制御アルゴリズムを触発して競争係数を調整するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載された方法。
【請求項13】
前記無線ネットワークの競争係数を調整するステップは、相応する無線ネットワークが本ネットワークと隣接ネットワークの状態パラメータに基づいて相応するネットワークの業務量を推定するステップを含むことを特徴とする、請求項12に記載された方法。
【請求項14】
推定した業務量に基づいてネットワークの目標関数を計算して、本ネットワークの最適価格を確定するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載された方法。
【請求項15】
隣接の無線ネットワークと協調して結果を調整し、隣接ネットワークの状態パラメータに基づいて、収益を増大することができなくなるまで本ネットワークの状態パラメータを調整するステップを含むことを特徴とする、請求項14に記載された方法。
【請求項16】
前記アクセス情報は、相応する無線ネットワークのアクセス価格、帯域幅、及び信号強さ統計量を含むことを特徴とする、請求項1に記載された方法。
【請求項17】
異種システムにおける無線アクセスネットワーク間において無線資源を管理するシステムであって、
無線ネットワーク側に設置され、ネットワーク側の収益をリアルタイムにモニタリングし、無線ネットワークの収益下がり幅が予定の閾値を超えた場合、前記無線ネットワークが調整制御アルゴリズムを触発して、前記無線ネットワークの競争係数を調整するエージェント手段と、
移動端末側に設置され、受信した相応する無線ネットワークが周知するネットワーク状態情報に基づいて、相応するネットワークに対する選択確率を計算し、確率の大きいネットワークを選択してアクセスするネットワーク選択手段とを備えるシステム。
【請求項18】
前記エージェント手段は、無線ネットワーク側の状態情報を周期的に受信し、調整された状態情報を無線ネットワークにフィードバックして、前記無線ネットワークの競争係数を変更する無線感知ユニットを更に備えることを特徴とする、請求項17に記載されたシステム。
【請求項19】
前記エージェント手段は、他の無線ネットワーク情報を収集し、他の無線ネットワークに本ネットワークの状態情報を伝送する協力感知ユニットを更に備えることを特徴とする、請求項17に記載されたシステム。
【請求項20】
前記エージェント手段は、相応するネットワークの収益が最大化となるように、無線ネットワーク間の競争係数を分析し、本ネットワークの状態情報を調整し、隣接の無線ネットワーク間において相応するネットワーク状態情報を対話する制御ユニットを更に備えることを特徴とする、請求項17に記載されたシステム。
【請求項21】
前記ネットワーク状態情報は、相応するネットワークのアクセス価格、帯域幅、及び信号強さ統計量を含むことを特徴とする、請求項17に記載されたシステム。
【請求項22】
少なくとも第1の無線ネットワーク及び第2の無線ネットワークを含む異種システムにおける無線アクセスネットワーク間において無線資源を管理する方法であって、
第1及び第2の無線ネットワークは、それらがカバーしている範囲内の移動端末にそれぞれのネットワーク状態パラメータを周知するステップと、
移動端末は各無線ネットワークが周知したネットワーク状態パラメータを受信した後、前記移動端末のネットワーク選択アルゴリズムに従って各無線ネットワークに対するアクセス確率を計算し、算出したアクセス確率の大きいネットワークを選択してアクセスするステップと、
前記第1及び第2の無線ネットワークは、それぞれのネットワークの収益をリアルタイムにモニタリングし、前記第1及び/又は第2の無線ネットワークの収益の下がり幅が予定の閾値を超えた場合、前記第1及び/又は第2の無線ネットワークは、相応する調整制御アルゴリズムを触発して、第1及び/又は第2の無線ネットワークのネットワーク状態パラメータを調整することで、前記第1無線ネットワーク及び前記第2の無線ネットワークの共存を維持するステップとを含む方法。
【請求項23】
前記第1の無線ネットワークと前記第2の無線ネットワークのカバー範囲は、少なくとも部分的に重複されていることを特徴とする、請求項22に記載された方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−300620(P2007−300620A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114003(P2007−114003)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】