説明

疎水性で会合性の水溶性コポリマー

モノエチレン性不飽和水溶性表面活性モノマー(a)、ならびにモノマー(a)とは異なる、モノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)を含有する、疎水性で会合性の水溶性コポリマー。前記コポリマーは、非重合性の界面活性剤の存在下で製造され、かつ水性系中での顕著な増粘作用を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非重合性の表面活性化合物の存在下で得られる、疎水性で会合性の水溶性コポリマー、その製造方法およびその使用に関する。
【0002】
水溶性で増粘作用を有するポリマーは、多くの技術分野において、たとえば化粧品、食料品の分野で、洗浄剤、印刷インク、エマルション塗料を製造するために、しかし特に石油の回収の際に使用されている。
【0003】
増粘剤として使用することができる、化学的に異なったクラスのポリマーが多数が公知である。増粘作用を有するポリマーの1つの重要なクラスは、いわゆる疎水性の会合性ポリマーである。これは当業者が、側方または末端の疎水性基、たとえば長鎖のアルキル鎖を有する水溶性のポリマーであると理解するものである。水溶液中でこのような疎水性の基は、それ自体で、または他の疎水性の基を有する物質と会合する。これにより会合性の網状構造が形成され、この網状構造が媒体を増粘させる。
【0004】
この疎水性の会合性コポリマーの1つの重要な適用分野は、石油の回収の分野であり、特に石油の三次回収(Enhanced Oil Recovery、EOR)である。石油の三次回収に疎水性の会合性コポリマーを使用するための詳細は、たとえばTaylor、K.C.およびNasr−El−Din、H.A.による概要の論文が、J.Petr.Sci.Eng.1998年、19、第265〜280頁に記載されている。
【0005】
三次的な石油回収の技術には、いわゆる「ポリマーフラッド(Polymerfluten)」が含まれる。石油鉱床とは、地下に「石油の海」が存在するわけではなく、石油は貯留岩の小さな穴に保持されている。その累層における空間の直径は、通常、数マイクロメートルである。ポリマーフラッドのためには、注入用の穿孔から増粘作用を有するポリマーの水溶液を石油鉱床に圧入する。このポリマー溶液の圧入によって、石油は注入用の穿孔から累層中の前記の空間を通って生成物の穿孔の方向へ圧送され、石油は生成物用の穿孔を介して回収される。
【0006】
純粋な水に対してポリマー水溶液を使用することは、地下の累層のフラッドの際に、種々の透過性の流路の形成(いわゆる「フィンガーリング」)を妨げ、これにより残りの地下の領域ではフラッドが生じなくなる。水相へのポリマーの添加は、その移動性を低減させ、これが均一なフラッドプロセスにつながる。さらに留意すべきことは、ポリマー水溶液はゲル粒子を含有していないことである。すでにマイクロメートル範囲の寸法を有する小さいゲル粒子は、つまり累層中の微細な孔を閉塞させ、ひいては石油の回収が停止されうる。したがって、石油の三次回収のための疎水性の会合性コポリマーは、できる限りわずかな割合のゲル粒子を有しているべきである。したがってその目的は、ポリマーによって水の粘度を高めることであり、これは理想的には回収すべき炭化水素の粘度に相応するものである。
【0007】
疎水性で会合性の水溶性コポリマーはしばしば、いわゆるミセル共重合によって製造される。この場合、水不溶性のコモノマーは、界面活性剤の添加により水性の反応媒体中で可溶化され、親水性のコモノマー、たとえばアクリルアミドと共に、疎水性で会合性の水溶性のコポリマーへと反応する。たとえばMacromol.Chem.Phys.2001、202、1384〜1397は、水溶性コモノマーであるアクリルアミド、AMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)およびMADQUAT([2−(メタクリロイルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド)と、ジヘキシルアクリルアミドもしくはN−(4−エチル−フェニル)−アクリルアミドのミセル共重合を記載しており、他方、Polymer 1998、39(5)、1025〜1033は、アクリルアミドとジヘキシルアクリルアミドとの共重合を、およびEur.Polym.J.2007、43、824〜834は、アクリルアミドとN−オクタデシルアクリルアミドとの共重合を議論している。界面活性剤として、いずれの場合もドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を使用している。ミセル共重合のもう1つの例は、J.Colloid Interf.Sci.2009、333、152〜163に記載されている。ここではアクリルアミドとポリプロピレングリコールメタクリレートをSDSの存在下に反応させている。
【0008】
さらに、WO85/03510は、エチレン性不飽和の水溶性モノマーと、疎水性の基を有する、エチレン性不飽和の両親媒性モノマーとの疎水性で会合性の水溶性コポリマーを記載している。これらのコポリマーは、水溶性モノマー、たとえばアクリルアミドと、両親媒性モノマー、たとえばドデシルポリオキシエチレン(10)−メタクリレートとを反応させることにより得られる。両親媒性コモノマーは、室温で水溶性であるが、しかし高温で、もしくはコポリマーを製造する際に使用される温度、たとえば60℃で水不溶性であることによって特徴付けられる。したがって、ここでも、必要に応じて、つまり重合を高めた温度で行う場合、界面活性剤もしくは乳化剤を添加して、重合条件下での両親媒性コモノマーの溶解度が保証される。ただしこの場合、モノマーは水溶性ではない。
【0009】
疎水性で会合性の水溶性コポリマーを製造するためのもう1つの方法は、表面活性の、水溶性コモノマーの使用である。これらのコモノマーは、コポリマー中で疎水性に会合する効果を発揮する疎水性の割合と、コモノマーの水溶性を保証する親水性の割合とを有している。この方法の利点は、会合性の疎水性モノマーの可溶化のための付加的な界面活性剤が不要であることである。
【0010】
この方法を適用するための例は、EP705854A1、DE10037629A1およびDE102004032304A1に見られる。これらの文献は、疎水性で会合性の水溶性コポリマーと、これらの使用、たとえば建築化学の分野における使用を開示している。会合性の疎水性モノマーとして、開示されてるコポリマーはそれぞれ、以下のタイプのモノマーを含有している:H2C=C(Rx)−COO−(−CH2−CH2−O−)q−RyまたはH2C=C(Rx)−O−(−CH2−CH2−O−)q−Ry。この場合、Rxは、一般にHまたはCH3を表し、かつRyは、比較的大きな炭化水素基、一般に8〜40個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。文献中には、たとえば長鎖のアルキル基あるいはまたトリスチリルフェニル基が挙げられている。
【0011】
さらに、J.Appl.Polym.Sci.1999、74、第211〜217頁は、カチオン性の、疎水性で会合性の水溶性コモノマーの使用を議論しており、これは、2−メタクリロイルオキシエチル−ジメチルアミンと1−ブロモドデカンとの反応によって得られている。
【0012】
カナダの特許文献2,196,908は、会合性のモノマーおよびポリマーに関するものである。この文献では、実質的にメタクリル酸、エチルアクリレート、およびジメチル−m−イソプレニル−ベンジルイソシアネート(DMI)およびIEMもしくはポリブチレンオキシドもしくはポリブチレンオキシド−コ−ポリエチレンオキシドとの反応により得られたモノマーからなるエマルションポリマーが重要である。この場合、特に非水溶性の、および非親水性のモノマー、たとえばエチルアクリレートが使用される。
【0013】
これまで記載した全ての、および市販の会合性の疎水性ポリマーの欠点は、依然として極めて高いゲル割合であり、これは溶解の際に形成され、かつ多孔質の累層を閉塞する場合があり、このことによって均一なポリマーフラッドが敏感に妨げられることがあることである。この問題はすでに未公開の欧州特許出願EP09160799.4において部分的に解決されている。ここではたしかにゲル割合が顕著に低減されているが、しかしまだ完全には回避されていない。
【0014】
さらに、依然として、すでに公知の会合性の疎水性コポリマーと比較して、改善された増粘作用を有する会合性の疎水性ポリマーに対する要求が存在する。
【0015】
したがって本発明の課題は、ゲル割合が低いか、または検出することができない会合性の疎水性コポリマーを提供することであった。さらに、これらのコポリマーは、従来のコポリマーよりも経済的に製造することができ、かつ増粘剤としてのその作用が、従来の化合物に対して少なくとも同等であるべきである。
【0016】
前記課題は、
(a)少なくとも1種のモノエチレン性不飽和水溶性表面活性モノマー(a)、ならびに
(b)モノマー(a)とは異なる、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)
を含有する、疎水性で会合性の水溶性コポリマーによって解決された。
【0017】
本発明にとって重要な特徴は、このコポリマーが、その合成の際に重合反応の開始前にさらなる成分(c)として、少なくとも1の別の、しかし非重合性の表面活性化合物が添加されることである。
【0018】
すでに上で記載したように、従来技術から公知の方法の利点は、会合性の疎水性コポリマーを、界面活性剤の添加なしに製造できることである。というのも、使用された全てのコモノマーが水溶性だからである。
【0019】
したがって、本発明によるコポリマーにおいて、親水性モノマーと、疎水性で会合性の水溶性コモノマーとの水性の溶液重合の間に界面活性剤を添加することによって、ポリマー特性の明らかな改善、特に増粘作用の改善を達成することができ、さらに課題に記載したとおり、ゲル割合を顕著に低減することができたということは意外であった。
【0020】
この効果はおそらく、以下のとおりに説明することができる:
公知の方法実施では、表面活性の、会合性で疎水性のコモノマーは水性反応媒体中でミセルを形成する。これは重合の際に、疎水性の会合性範囲がブロック式にポリマー中に組み込まれることにつながる。ところで本発明によれば、コポリマーを製造する際に、付加的な表面活性化合物が存在しており、混合ミセルが形成される。これらの混合ミセルは重合性の割合と、非重合性の割合とを含有している。したがってこのことにより疎水性の会合性モノマーは、より短いブロック中に組み込まれる。同時に、ポリマー鎖あたりのこれらの短いブロックの数は増大する。
【0021】
したがって、本発明によるコポリマーのポリマー構成は明らかに、従来技術によるコポリマーとは異なっており、これによってその適用技術的な特性は顕著に改善される。
【0022】
本発明による疎水性の会合性コポリマーは、疎水性の基を有する水溶性のコポリマーである。水溶液中では、疎水性の基同士が、または他の疎水性の基を有する物質と会合し、かつこの相互作用によって水性媒体が増粘される。
【0023】
当業者には、水中での会合性の疎水性(コ)ポリマーの溶解度は、使用されるモノマーの種類に応じて程度の差はあれ、pH値に著しく依存しうることは公知である。したがって水溶性を判断するために考慮すべき点は、コポリマーのそのつどの使用目的にとって所望されるpH値であるべきである。特定のpH値において、予定されている使用目的にとって不十分な溶解度を有するコポリマーは、別のpH値では、十分な溶解度を有する場合がある。「水溶性」という用語は、特にポリマーのアルカリ可溶性分散液を含んでいる。つまり酸性のpH範囲で分散液として存在し、かつアルカリ性のpH範囲で初めて水中に溶解し、その増粘作用を発揮するポリマーである。
【0024】
理想的な場合には、本発明によるコポリマーは、任意の比率で水と混和可能である。しかし本発明によれば、コポリマーが少なくとも所望の使用濃度において、および所望のpHにおいて水溶性であれば十分である。通常、溶解度は水中、室温で少なくとも20g/l、有利には少なくとも50g/l、および特に有利には少なくとも100g/lであるべきである。
【0025】
したがって、本発明による、会合性の疎水性コポリマーは、すでに記載した疎水性の基以外に、前記の水溶性が少なくともそのつどの適用のために想定されるpH範囲において保証されるような量で、親水性の基を含んでいる。
【0026】
モノマー(a)
本発明による疎水性の会合性コポリマーは、少なくとも1の、モノエチレン性不飽和の水溶性モノマー(a)を含有しており、このモノマーは、本発明によるコポリマーに疎水性の会合性特性を付与するものであり、以下ではこれを疎水性の会合性モノマーとよぶ。
【0027】
本発明によれば、少なくとも1の、モノエチレン性不飽和の水溶性モノマー(a)は、有利には一般式(I)、(II)および/または(III)
2C=C(R1)−R4−O−(−CH2−CH2−O−)k−(−CH2−CH(R3)−O−)l−H (I)または
2C=C(R1)−O−(−CH2−CH2−O−)k−R2 (II)または
2C=C(R1)−(C=O)−O−(−CH2−CH2−O−)k−R2 (III)
[上記式中で、単位−(−CH2−CH2−O−)kおよび−(−CH2−CH(R3)−O−)lは、式(I)中で示されているブロック構造中の順序で配置されており、かつ基および添え字は以下の意味を有する:
kは、6〜150の数を表し、
lは、5〜25の数を表し、
1は、Hまたはメチルを表し、
2は、8〜40個の炭素原子を有する脂肪族および/または芳香族の、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基を表し、
3は、相互に無関係に、少なくとも2個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
4は、−(Cn2n)−[R4a]、−O−(Cn′2n′)−[R4b]および−C(O)−O−(Cn″2n″)−[R4c]の群から選択される二価の結合基を表し、その際、n、n′およびn″は、それぞれ1〜6の自然数を表す]のモノマーである。
【0028】
式(I)のモノマー(a)の場合、エチレン性の基H2C=C(R1)−は、二価の結合基である−R4−O−を介して、ブロック構造−(−CH2−CH2−O−)k−(−CH2−CH(R3)−O−)l−Hを有するポリオキシアルキレン基と結合しており、その際、両方のブロック−(−CH2−CH2−O−)kおよび−(−CH2−CH(R3)−O−)lは、式(I)中に示されている順序で配置されている。ポリオキシアルキレン基は、末端のOH基を有している。
【0029】
上記の式中で、R1は、Hまたはメチル基を表す。R4は、−(Cn2n)−[R4a]、−O−(Cn′2n′)−[R4b]−および−C(O)−O−(Cn″2n″)−[R4c]の群から選択される二価の結合基を表す。上記の式中で、n、n′およびn″は、それぞれ1〜6の自然数を表す。換言すれば、結合基は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であり、これらは直接に、またはエーテル基−O−を介して、またはエステル基−C(O)−O−を介して、エチレン性の基H2C=C(R1)−に結合している。有利には基−(Cn2n)−、−(Cn′2n′)−および−(Cn″2n″)−は、線状の脂肪族炭化水素基である。有利にはR3は、少なくとも3個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0030】
有利にはR1は、Hであり、かつR4は、−CH2−または−O−CH2−CH2−CH2−CH2−から選択される基である。
【0031】
有利にはR4aは、−CH2−、−CH2−CH2−および−CH2−CH2−CH2−から選択される基であり、特に有利にはメチレン基−CH2−である。
【0032】
有利にはR4bは、−O−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−および−O−CH2−CH2−CH2−CH2−から選択される基であり、特に有利には−O−CH2−CH2−CH2−CH2−である。
【0033】
有利にはR4cは、−C(O)−O−CH2−CH2−、−C(O)O−CH(CH3)−CH2−、−C(O)O−CH2−CH(CH3)−、−C(O)O−CH2−CH2−CH2−CH2−および−C(O)O−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−から選択される基であり、特に有利には−C(O)−O−CH2−CH2−および−C(O)O−CH2−CH2−CH2−CH2−であり、かつとりわけ有利には−C(O)−O−CH2−CH2−である。
【0034】
特に有利には、基R4は、基R4aまたはR4bであり、とりわけ有利であるのは基R4bである。
【0035】
さらに特に有利であるのは、R4は、−CH2−または−O−CH2−CH2−CH2−CH2から選択される基であり、とりわけ有利であるのは−O−CH2−CH2−CH2−CH2−である。
【0036】
モノマー(I)は、さらに、単位−(−CH2−CH2−O−)kおよび−(−CH2−CH(R3)−O−)lからなるポリオキシアルキレン基を有しており、その際、これらの単位は、式(I)に示されている順序でブロック構造中に配置されている。両ブロック間の移行は、急激なものであっても連続的なものであってもよい。
【0037】
アルキレンオキシド単位kの数は、6〜150の数、有利には12〜100、特に有利には15〜80、とりわけ有利には20〜30、およびたとえば約22〜25の数である。ポリアルキレンオキシドの分野における当業者にとっては、上記の数が、分散の平均値であることは明らかである。
【0038】
第二の、末端のブロックである−(−CH2−CH(R3)−O−)l−の場合、基R3は、相互に無関係に、少なくとも2個の炭素原子、有利には少なくとも3個、および特に有利には3〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。これは脂肪族および/または芳香族の、線状もしくは分枝鎖状の炭化水素基であってよい。有利であるのは脂肪族基である。
【0039】
適切な基R3の例は、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、またはn−デシル、ならびにフェニルである。有利な基の例は、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、および特に有利にはn−プロピル基である。
【0040】
つまりブロック−(−CH2−CH(R3)−O−)l−は、少なくとも4個の炭素原子、有利には少なくとも5個の炭素原子を有するアルキレンオキシド単位、および/または少なくとも2個、有利には少なくとも3個の炭素原子のエーテル基を有するグリシジルエーテルからなるブロックである。基R3として有利であるのは、前記の炭化水素基である。第二の末端のブロックの構成成分は特に有利には少なくとも5個の炭素原子を有するアルキレンオキシド単位、たとえばペンテンオキシド単位または高級アルキレンオキシドの単位である。
【0041】
アルキレンオキシド単位Iの数は、5〜25、有利には6〜20、特に有利には8〜18、とりわけ有利には10〜15の数であり、かつたとえば約12である。
【0042】
つまり式(I)のモノマーの場合、ポリオキシアルキレン基を有する末端のモノエチレン性の基は、ブロック構造と結合しており、それもまず、ポリエチレンオキシド単位を有する親水性のブロックと結合しており、かつこのブロックがふたたび、少なくともブテンオキシド単位、有利には少なくともペンテンオキシド単位または高級アルキレンオキシドの単位、たとえばドデセンオキシドから構成されている第二の末端の疎水性ブロックと結合している。第二のブロックは末端のOH基を有している。つまり末端基は、式(II)および(III)の疎水性の会合性モノマー(a)とは対照的に炭化水素基によってエーテル化されて疎水性の会合を形成するのではなく、末端のブロック−(−CH2−CH(R3)−O−)l自体が、基R3と一緒に、モノマー(a)を用いて製造されたコポリマーの疎水性の会合に寄与している。
【0043】
式(II)のモノマー(a)は、有利には一般式H2C=CH−O−(−CH2−CH2−O−)k−R2の化合物であり、その際、kは、10〜40の数であり、かつR2は、トリスチリルフェニル基を表す。
【0044】
式(III)のモノマー(a)の場合、R1は、有利にはメチルを表し、kは、6〜30の数を表し、かつR2は、C12−アルキル基またはトリスチリルフェニル基を表す。
【0045】
3つのモノマーの代表例(I)、(II)および(III)は、任意の割合でコポリマーの構成に関与していることができる。
【0046】
ポリアルキレンオキシドのブロックコポリマーの分野における当業者にとっては、両ブロック間の移行は、製造方法に応じて急激なものであっても連続的なものであってもよいことは明らかである。連続的な移行の場合、両ブロックの間にはさらに、両ブロックのモノマーを含有している1つの移行帯域が存在する。ブロックの境界をこの移行帯域の中央に確定する場合には、相応して第一のブロック−(−CH2−CH2−O−)kは、まだ少量の単位−CH2−CH(R3)−O−を含有しており、かつ第二のブロック−(−CH2−CH(R3)−O−)lは、少量の単位−CH2−CH2−O−を含有しており、ただしその際、これらの単位はブロックにわたってランダムに分散しているのではなく、前記の移行帯域に配置されている。
【0047】
本発明によれば、モノマー(a)は水溶性である。通常の場合、水中でのモノマー(a)の溶解度は室温で少なくとも10g/l、有利には少なくとも50g/lおよび特に有利には少なくとも100g/lであるべきである。
【0048】
モノエチレン性不飽和の、疎水性の会合性モノマー(a)の量は、本発明によるコポリマーのそのつどの使用目的に応じて調整され、一般にコポリマー中の全てのモノマーの全量に対して0.1〜20質量%である。有利にはこの量は、0.5〜15質量%である。
【0049】
親水性モノマー(b)
本発明による疎水性の会合性コポリマーは、モノマー(a)を越える量で、モノマー(a)とは異なるモノエチレン性不飽和の親水性モノマー(b)を少なくとも1種含有している。当然のことながら、複数の異なった親水性モノマー(b)の混合物も使用することができる。
【0050】
親水性モノマー(b)は、エチレン性不飽和基以外に、1もしくは複数の親水基を含有している。親水基は特にO原子またはN原子を含む官能基である。これらはさらに、ヘテロ原子として特にS原子および/またはP原子を含んでいてよい。
【0051】
特に有利にはモノマー(b)は任意の比率で水と混合可能であるが、しかし発明を実施するためには、本発明による疎水性の会合性コポリマーが、冒頭に記載した水溶性を有していれば十分である。通常の場合、水中でのモノマー(b)の溶解度は、室温で少なくとも100g/l、有利には少なくとも200g/l、および特に有利には少なくとも500g/lである。
【0052】
適切な官能基の例は、カルボニル基>C=O、エーテル基−O−、特にポリエチレンオキシド基−(CH2−CH2−O−)n−(その際、nは、有利には1〜200の数を表す)、ヒドロキシル基−OH、エステル基−C(O)O−、第一級、第二級もしくは第三級アミノ基、アンモニウム基、アミド基−C(O)−NH−、カルボキサミド基−C(O)−NH2または酸性の基、たとえばカルボキシル基−COOH、スルホン酸基−SO3H、ホスホン酸基−PO32またはリン酸基−OP(OH)3である。
【0053】
有利な官能基の例は、ヒドロキシル基−OH、カルボキシル基−COOH、スルホン酸基SO3H、カルボキサミド基−C(O)−NH2、アミド基−C(O)−NH−ならびにポリエチレンオキシド基−(CH2−CH2−O−)n−Hを含み、その際、nは有利には1〜200の数を表す。
【0054】
官能基は、直接エチレン性の基に結合していてもよいが、しかしまた1もしくは複数の結合性の炭化水素基を介してエチレン性の基に結合していてもよい。
【0055】
親水性のモノマー(b)は、有利には酸性の基を有するモノマーであり、その際、この酸性の基は、本発明によれば、−COOH、−SO3Hおよび−PO32の群から選択される少なくとも1の基である。一般式H2C=C(R7)R8のモノマー(式中、R7は、Hまたはメチルを表し、かつR8は、親水基を表すか、または1もしくは複数の親水基を有する1の基を表す)もまた有利である。
【0056】
基R8は、冒頭で定義した水溶性が達成されるような量でヘテロ原子を含んでいる基である。
【0057】
適切なモノマー(b)の例は、酸性の基を含むモノマー、たとえば−COOH基を含むモノマー、たとえばアクリル酸またはメタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸、スルホン酸基を含むモノマー、たとえばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチル−ブタンスルホン酸または2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸またはホスホン酸基を含むモノマー、たとえばビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、N−(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸または(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸である。
【0058】
さらにアクリルアミドおよびメタクリルアミド、ならびにこれらの誘導体、たとえばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミドならびにN−メチロールアクリルアミド、N−ビニル誘導体、たとえばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタム、ならびにビニルエステル、たとえばビニルホルメートまたはビニルアセテートが挙げられる。N−ビニル誘導体は、重合後にビニルアミン単位へと、ビニルエステルはビニルアルコール単位へと加水分解することができる。
【0059】
その他の例は、ヒドロキシ基および/またはエーテル基を含むモノマー、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシビニルエチルエーテル、ヒドロキシビニルプロピルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルまたは式H2C=C(R1)−COO−(−CH2−CH(R9)−O−)b−R10(IVa)もしくはH2C=C(R1)−O−(−CH2−CH(R9)−O−)b−R10(IVb)の化合物(式中、R1は、上記で定義したものであり、かつbは、2〜200の数を表し、かつ有利には2〜100を表す)である。基R9は、相互に無関係にH、メチルまたはエチルであり、有利にはHまたはメチルであるが、ただし基R9の少なくとも50モル%は、Hである。有利には基R9の少なくとも75モル%がHであり、特に有利には少なくとも90モル%、および特に有利にはHのみである。基R10は、H、メチルまたはエチルであり、有利にはHまたはメチルである。個々のアルキレンオキシド単位は、ランダムに、またはブロック状に配置されていてよい。ブロックコポリマーの場合、ブロック間の移行は急激なものであっても連続的なものであってもよい。
【0060】
適切な親水性モノマー(b)は、さらにアンモニウム基を有するモノマーであり、特にN−(ω−アミノアルキル)(メタ)アクリルアミドまたはω−アミノアルキル(メタ)アクリルエステルである。
【0061】
特に、アンモニウム基を有するモノマー(b)は、一般式H2C=C(R7)−CO−NR13−R11−NR123+-(Va)および/またはH2C=C(R7)−COO−R11−NR123+-(Vb)の化合物(式中、R7は、上記の意味を有する、つまりHまたはメチルを表し、R11は、有利には線状のC1〜C4−アルキレン基を表し、かつR13は、HまたはC1〜C4−アルキル基、有利にはHまたはメチルを表す)であってよい。基R12は、相互に無関係にC1〜C4−アルキルを表し、有利にはメチルまたは一般式−R14−SO3Hの基(式中で、R14は有利には線状のC1〜C4−アルキレン基を表すか、またはフェニル基を表す)であるが、ただし通常の場合には、置換基R12の1より多くがスルホン酸基を有する置換基とはならない。3つの置換基R12は特に有利にはメチル基である、つまりモノマーは、基−N(CH33+を有する。X-は、上記の式中で一価のアニオン、たとえばCl-を表す。当然のことながら、X-は、多価アニオンの相応する割合を表すが、これは有利ではない。一般式(Va)もしくは(Vb)の適切なモノマー(b)の例は、3−トリメチルアンモニウム−プロピルアクリルアミドまたは2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートの塩、たとえば相応する塩化物、たとえば3−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドクロリド(DIMAPAQUAT)および2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド(MADAME−QUAT)を含む。
【0062】
つまりモノマー(b)は、中性のモノマー(b1)であってよく、かつここでは特に(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミドまたはN−ビニル−2−ピロリジンの群から選択されるモノマーであり、かつモノマー(b2)は、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチル−ブタンスルホン酸または2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸またはビニルホスホン酸の群から選択される少なくとも1のものであってよい。コポリマーはさらに、少なくとも1のカチオン性のアンモニウム基を有するモノマー(b3)を含んでいてよく、その際、カチオン性モノマーは、2−トリメチルアンモニウムメチル(メタ)アクリレートおよび3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドの塩である。
【0063】
上記の親水性モノマーは当然のことながら、記載した酸もしくは塩基の形で使用することができるのみでなく、相応する塩の形で使用することもできる。酸性もしくは塩基性の基をポリマーの形成後に、相応する塩へと変換することも可能である。
【0064】
すでに記載したように、本発明によるコポリマーは、発明の有利な実施態様では少なくとも1の酸性基を含むモノマー(b)を含んでいる。これは有利には、−COOH、−SO3Hまたは−PO32の群から選択される少なくとも1の基を含むモノマーであり、特に有利にはCOOH基および/または−SO3H基を含むモノマー、およびこれらの適切な塩である。
【0065】
有利にはモノマー(b)の少なくとも1つは、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の群から選択されるモノマーであり、特に有利にはアクリル酸および/またはAMPSもしくはこれらの塩である。
【0066】
総じて、コポリマー中の全ての成分の全量に対して、ポリマー中にそれぞれ、モノマー成分(a)は、0.1〜20.0質量%、有利には0.1〜5質量%の量で、モノマー成分(b)は、25.0〜99.9質量%の量で、および成分(c)は、0.1〜5.0質量%の量で含有されているべきである。正確な量は、疎水性の会合性コポリマーの種類および所望の使用目的に応じて調整され、かつ当業者によって相応して確定される。
【0067】
一般に、コポリマーは、少なくとも2種類の異なった親水性モノマー(b)を含み、これが少なくとも
・中性の親水性モノマー(b1)、有利にはアクリルアミド、および
・−COOH、−SO3HまたはPO32の群から選択される少なくとも1の酸性基を含む少なくとも1の疎水性のアニオン性モノマー(b2)
であるコポリマー(A1)であり、コポリマー中の全てのモノマーの量に対して、モノマー(a)の量が0.1〜12質量%であり、かつ全てのモノマー(b)が合計で70〜99.5質量%である場合に有利であると見なすことができる。
【0068】
さらに、少なくとも2種類の異なった親水性モノマー(b)を含み、かつこれが少なくとも
・少なくとも1の中性の親水性モノマー(b1)5〜50質量%と、
・スルホン酸基を含む少なくとも1のアニオン性モノマー(b2)25〜94.9質量%とであり、コポリマー中の全てのモノマーの量に対して、モノマー(a)の量が、0.1〜12質量%であり、かつ全てのモノマー(b)が合計で70〜99.9質量%であるコポリマー(A2)であるコポリマーが有利であると見なすことができる。
【0069】
成分(c)
本発明によるコポリマーは、少なくとも1の、非重合性の表面活性化合物の存在下に製造されることが必須であり、この化合物は有利には少なくとも1の非イオン系界面活性剤である。しかしまた、重合反応に関与しない限り、アニオン系およびカチオン系の界面活性剤も適切である。
【0070】
非イオン系界面活性剤は、有利にはエトキシル化された長鎖の脂肪族アルコールであり、これは場合により芳香族割合を含有していてもよい。
【0071】
たとえば次のものが挙げられる:C1214−脂肪アルコールエトキシレート、C1618−脂肪アルコールエトキシレート、C13−オキソアルコールエトキシレート、C10−オキソアルコールエトキシレート、C1315−オキソアルコールエトキシレート、C10−ゲルベアルコールエトキシレート、およびアルキルフェノールエトキシレート。
【0072】
適切な界面活性剤として、特にエトキシル化されたアルキルフェノール、エトキシル化された飽和のイソ−C13−アルコールおよび/またはエトキシル化されたC10−ゲルベアルコールの群から選択される少なくとも1の代表例が考えられる。
【0073】
モノマー(d)
本発明によるコポリマーは、特別な場合にはモノマー(a)および(b)以外に、場合により、2個以上の、有利には2個のエチレン性不飽和基を有するモノマー(d)を含んでいてよい。このことにより、コポリマーの意図する適用において不所望の否定的な作用を及ぼすことのない限りで、コポリマーの特定の架橋を達成することができる。しかしいずれにしても高すぎる架橋度は回避すべきである。特にコポリマーに要求される水溶性は損なわれてはならない。個別の事案でわずかな架橋が有意義でありうるか否かは、コポリマーのそのつどの適用に応じて調整され、当業者であれば相応して選択することができるものである。
【0074】
適切なモノマー(d)の例は、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはオリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、たとえばポリエチレングリコール−ビス(メタ)アクリレート、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリアリルアミン、トリアリルアミンメタアンモニウムクロリド、テトラアリルアンモニウムクロリドまたはトリス(2−ヒドロキシ)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートを含む。
【0075】
特に有利であるのは、トリアリルアミン、トリアリルメチルアンモニウムクロリド、テトラアリルアンモニウムクロリド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールビスメタクリレート、トリエチレングリコールビスアクリレート、ポリエチレングリコール(400)−ビスメタクリレートおよびポリエチレングリコール(400)−ビスアクリレートの群から選択されるモノマー(d)である。
【0076】
しかし存在するとしても、架橋作用のあるモノマー(d)はごく少量で使用されるのみである。通常の場合には、モノマー(d)の量は、使用される全てのモノマーの量に対して1質量%を越えるべきではない。有利には0.5質量%を越えるべきではなく、かつ特に有利には0.1質量%を越える量で使用するべきではない。架橋剤の種類および量は、当業者であれば、コポリマーの所望の適用に応じて確定することができる。
【0077】
疎水性で会合性の水溶性コポリマーの製造
本発明によるコポリマーは、原則として当業者に公知の方法により、モノマー(a)、(b)ならびに場合により(d)をラジカル重合することによって、たとえば水相中で溶液重合またはゲル重合することによって製造することができるが、ただしその際、考えられるいずれの重合変法であっても、少なくとも1の成分(c)の存在下で実施することが必須である。
【0078】
本発明により使用される式(I)のモノマー(a)の合成は、特に有利には上記の製造方法によりエチレン性不飽和アルコール、たとえばヒドロキシブチルビニルエーテルのアルコキシル化により行い、場合によりその後、エーテル化を行うことによって準備する。
【0079】
有利な実施態様では、水相中、ゲル重合を用いて製造を行う。ゲル重合のためにはまず、モノマー(a)、(b)および場合により(d)、開始剤、界面活性剤(c)およびその他の助剤と、水とからなる混合物を準備する。酸性のモノマーは、重合前に完全に、または部分的に中和することができる。有利であるのは、約4〜約9のpH値である。溶剤以外の全ての成分の濃度は、通常約20〜60質量%、有利には約30〜50質量%である。
【0080】
少なくとも1の疎水性の会合性モノマー(a)および少なくとも1の親水性モノマー(b)を、少なくとも1の表面活性成分(c)の存在下に水性の溶液重合に供することが推奨され、その際、有利には、モノマー成分(a)を装入し、かつ引き続き順次、モノマー成分(b)および成分(c)を添加する。さらに場合によりモノマー成分(a)には、モノマー成分(b)および成分(c)を含有する混合物を添加することができる。しかしまた、モノマー成分(a)に成分(c)を添加し、かつ引き続き得られた混合物にモノマー成分(b)を添加することもこの発明から考慮される。重合は特に5.0〜7.5の範囲のpH値で、および特に有利には6.0のpH値で実施することができる。
【0081】
反応溶液が重合を開始する前に界面活性剤(c)を添加することが重要であり、かつ本発明の本質であり、この場合、モノマー(a)および(b)ならびに成分(c)の添加順序は、上記のとおり、ほぼ自由に選択することができる。
【0082】
この混合物を引き続き光化学的におよび/または熱により、有利には−5℃〜50℃で重合させる。熱による重合の場合には、有利には比較的低い温度で開始する重合開始剤、たとえばレドックス開始剤を使用する。熱による重合はすでに室温で、または混合物を加熱することにより、有利には50℃を越えない温度で実施することができる。光化学的重合は通常、−5〜10℃の温度で実施される。特に有利には、熱による重合のための開始剤と、光化学的重合のための開始剤とを混合物に添加することにより、光化学的な重合と熱による重合とを相互に組み合わせることができる。この場合、重合は、まず光化学的に低い温度で、有利には−5〜+10℃で開始する。放出される反応熱により混合物は過熱され、これによりさらに熱による重合が開始される。この組合せによって99%以上の反応率を達成することができる。
【0083】
ゲル重合は通常、撹拌しないで行われる。これは、混合物を適切な容器中で層厚さを2〜20cmとして、照射および/または加熱することによって、回分式で行うことができる。重合により固体のゲルが生じる。重合は連続的に行うこともできる。このために、重合すべき混合物を収容するためのコンベアベルトを備えた重合装置を使用することができる。コンベアベルトは、加熱のため、または紫外線による照射のための装置を備えている。その後、この混合物を適切な装置によりベルトの端部へと注入し、回収に引き続きベルトの方向で混合物は重合され、かつベルトの他方の端部で固体のゲルを取り除くことができる。
【0084】
得られたゲルは、重合後に有利には粉砕し、かつ乾燥させる。乾燥は有利には100℃を下回る温度で行うべきである。付着を回避するために、この工程のために、適切な離型剤を使用することができる。疎水性の会合性コポリマーが顆粒または粉末として得られる。
【0085】
ゲル重合の実施に関するその他の詳細は、たとえばDE102004032304A1、段落[0037]〜[0041]に開示されている。
【0086】
本発明によるコポリマーは、有利には50000〜25000000g/モルの数平均分子量Mnを有している。
【0087】
得られたポリマー粉末もしくは顆粒は、適用の過程で使用の箇所では通常水溶液として使用されるので、粉末は現場で水中に溶解しなくてはならない。その際、記載した高分子量のポリマーは、望ましくない凝集を生じる場合がある。これを回避するために、本発明によるポリマーは、すでに合成の際に、乾燥させたポリマーが水中で溶解することを促進もしくは改善する助剤が添加されてもよい。このような助剤はたとえば尿素であってよい。
【0088】
疎水性で会合性の水溶性コポリマーの使用
本発明による疎水性の会合性コポリマーは、水相を増粘させるために使用することができる。
【0089】
モノマー(a)および(b)ならびに場合により(c)および/または(d)の種類および量の選択により、コポリマーの特性をそのつどの技術的な適用に合わせて調整することができる。
【0090】
使用濃度は当業者が増粘すべき水相の種類ならびにコポリマーの種類に応じて確定する。通常の場合、コポリマーの濃度は、水相に対して、0.05〜5質量%、有利には0.1〜2質量%、および特に有利には0.15〜1質量%である。
【0091】
この場合、コポリマーは、単独で使用することも、あるいはまた他の増粘性成分、たとえば他の増粘性ポリマーと組み合わせて使用することもできる。これらはさらにたとえば界面活性剤と一緒に、増粘すべき系に配合することもできる。界面活性剤は水溶液中でミセルを形成し、かつ疎水性に会合するコポリマーは、ミセルと共に三次元の、増粘作用を有する網状構造を形成することができる。
【0092】
使用のためにコポリマーを直接、増粘すべき水相に溶解することができる。また、コポリマーをあらかじめ溶解させておき、次いで形成された溶液を、増粘すべき系に添加することも考えられる。
【0093】
増粘すべき水相は、有利には建築化学系、たとえば水硬結合剤をベースとする建築材料系、たとえばセメント、石灰、石膏および硬石膏、ならびに水性塗料および被覆系、石油の回収のための調製物、たとえばボーリング孔の洗浄、酸性化もしくはフラクチャリングのための調製物、または石油の三次回収のための調製物であってよい。
【0094】
この関連で、本発明は、水性系、有利には溶液のための、および特に地下の石油および天然ガスの鉱床の開発、採鉱および竣工の際に使用される増粘作用を有するレオロジー添加剤としてのコポリマーの使用を、その有利な使用であると考える。本発明によるコポリマーを石油の三次回収に使用する場合、有利には前記のコポリマーの水性調製物を0.01〜1質量%の濃度で少なくとも1の注入孔を介して石油鉱床に圧入し、かつ該鉱床から少なくとも1の生成物である原油のための穿孔を経由して取り出す。
【0095】
しかしまた、本発明によれば、このコポリマーは、水硬結合剤系を含有している水性の建築材料系のためのレオロジー添加剤としても使用することができ、その場合にはコポリマーは有利には顆粒または粉末として存在しているべきである。
【0096】
増粘すべき水相はまた、たとえば液状の洗浄用およびクリーニング用の調製物、たとえば洗剤、洗浄助剤、たとえば染み抜き用前処理剤(Pre−Spotter)、柔軟剤、化粧品、医薬品、食料品、塗料、テキスタイルの製造のための調製物、捺染用ペースト、印刷インク、捺染印刷ペースト、着色塗料、顔料スラリー、起泡用の水性調製物、除氷混合物、たとえば航空機のためのもの、および一般的に建築産業のための調製物であってよい。
【0097】
以下の実施例は本発明を詳細に説明するためのものである:
実施例:
1.製造法
1.1 製造例1(比較):重合の際に界面活性剤を添加しない
攪拌機および温度計を備えた3Lの容器に、50%のNa−AMPS溶液(AMPS 2405、Lubrizol社)242.5gを装入した。撹拌下に水295.8gを添加した。引き続き、Surfynol DF 58を1.2g、およびBaysilone EN(Bayer社)を0.4g、消泡剤として順次添加した。Pluriol A1190V+12PeO(25個のエチレンオキシド単位と12個のペンテンオキシド単位とを有するヒドロキシブチルビニルエーテルからなるBASF社の開発製品)4.6gを添加した後に、50%濃度のアクリルアミド溶液(Cytec社)228.8gを添加した。アクリルアミド溶液を不安定化するために、5%濃度のVersenex溶液2.4gを添加した後に、pH値を、20%のNaOH溶液および/または20%のH2SO4溶液を用いて、6.0に調整した。窒素を用いて30分間パージすることにより不活性化する間に、溶液を約20℃に冷却した。引き続き該溶液を、15cm×10cm×20cmの寸法を有するプラスチック容器に充填し、かつ順次、10%濃度の2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド16.0g(200ppm)、1%濃度の亜硫酸水素塩溶液0.5g(10ppm)、0.1%濃度のt−ブチルヒドロペルオキシド溶液8g(6ppm)および1%濃度の硫酸鉄(II)溶液4.0g(5ppm)を添加した。
【0098】
重合は、UV光による照射(2本のフィリップス管、Cleo Performance 40W)によって開始した。約2〜3時間後に、切断できる硬さとなったゲルをプラスチック容器から取り出し、はさみで約5cm×5cm×5cmの大きさのさいころ状に切断した。これらのさいころを慣用の粉砕装置により粉砕する前に、離型剤であるSitren595(ポリジメチルシロキサンエマルション、Goldschmidt社)を塗布した。この離型剤は、1:20の割合で水により希釈したポリジメチルシロキサンエマルションである。
【0099】
得られたゲル顆粒を引き続き、乾燥用の格子上に均一に分配し、換気式乾燥棚中、真空下に約90〜120℃で質量が一定になるまで乾燥させた。白色で硬質の顆粒約500gが得られ、これを遠心ミルにより粉末状にした。
【0100】
1.2 製造例2〜4(本発明による):ゲル重合の間に界面活性剤を添加
比較例2に記載したモノマー溶液に加えて、界面活性剤として、Lutensol TO15(BASF社、C13−オキソアルコールエトキシレート+15エチレンオキシド単位)を以下の量で、重合前にモノマー溶液に溶解した:
製造例2:1%のLutensol TO15、2.4gに相当、
製造例3:2%のLutensol TO15、4.8gに相当、
製造例4:3%のLutensol TO15、7.2gに相当。
【0101】
1.3 製造例5〜10(本発明による)
製造例3から出発して、以下のポリマーをLutensol TO15に代わる界面活性剤を用いて製造した(粘度の測定は適用例1に記載のとおりである):
【表1】

【0102】
上記のデータからわかるように、Lutensol TO15のみでなく、他の非イオン系界面活性剤、ならびにアニオン系およびカチオン系界面活性剤も本発明によるコポリマーの合成の際に使用することができる。
【0103】
1.4 製造例11(本発明による)
製造例3と同様に、Pluriol A1190V+12PeOに代わる疎水性で会合性の水溶性モノマーを用いてコポリマーを製造した。このモノマーは、7個のEOエトキシル化されたC12アルコールからなっており、これは引き続き無水メタクリル酸と反応させた(Clariant社のGenagen LA070MA)。Genagenの使用量は、製造例3におけるPluriol A1190V+12PeOの使用量に相当するものである。適用例1に記載されているとおりの粘度の測定によれば、780mPasの値が生じた。
【0104】
この製造例は、種々の疎水性で会合性の水溶性モノマーを使用することができることを示している。
【0105】
1.5 製造例12(本発明による)
製造例3と同様に、混合されたイオン性コポリマーを製造した。このコポリマーはAMPS、アクリルアミドおよびPluriol A1190V+12PeOに加えて、カチオン性モノマーである3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド(DIMAPAQUAT)を含有していた。モノマーのモル比は、AMPS:アクリルアミド:DIMAPAQUAT:Pluriol A1190V+12PeO=30:37:32:1であった。適用例1に記載されているように、粘度の測定によれば、56mPasの値が生じた。
【0106】
1.6 製造例13(本発明による)
製造例3と同様に、コポリマーを製造したが、これはPluriol A1190V+12PeO 4.6gの代わりに、同じモル量のPluriol A1190V+16PeO(25のエチレンオキシド単位と、16のペンテンオキシド単位とを有するヒドロキシブチルビニルエーテルからなるBASF社の開発品)を含有しているものである。適用例1に記載されているように、粘度の測定によれば、77mPasの値が生じた。
【0107】
1.7 製造例14(本発明による)
製造例3と同様に、コポリマーを製造したが、これはNa−AMPSの代わりに、アクリル酸のナトリウム塩を含有しているものである。モノマーの質量割合は、アクリル酸Na 28%、アクリルアミド 70%、およびPluriolA1190V+12PeO 2%である。界面活性剤として、Lutensol AP 10(BASF) 4.8gを添加した。重合したゲルの固体含有率は19.5%であった。
【0108】
適用例1に記載されているように、粘度の測定によれば、49mPasの値が生じた。
【0109】
1.8 製造例15(本発明による)
製造例3と同様に、コポリマーを製造したが、ここではNa−AMPSが部分的に、アクリル酸のナトリウム塩によって交換されていた。モノマーの質量割合は、AMPS 28%、アクリル酸Na 20%、アクリルアミド 50%、およびPluriol A1190V+12PeO 2%であった。界面活性剤として、Lutensol TO 15(BASF) 4.8gを添加した。
【0110】
適用例1に記載されているように、粘度の測定によれば、40mPasの値が生じた。
【0111】
1.9 製造例16(本発明による)
この例は、製造例5に代わる重合法を記載する。
【0112】
電磁撹拌棒、pHメーター、および温度計を備えたプラスチック容器に、Na−AMPS(50%濃度の溶液)121.2gを装入し、引き続き、蒸留水 155g、Surfynol 0.6g、Baysilone 0.2g、Plurinol A1190V+12PeO 2.3g、アクリルアミド(50%濃度の溶液) 114.4g、Versenex(5%濃度の溶液) 1.2g、およびLutensol AP10 2.4gを順次添加した。
【0113】
20%濃度の、もしくは2%濃度の硫酸溶液によりpH値を6に調整し、かつ残りの水(すでに添加した水の量を引いた水の全量、必要とされる量の酸を引いたもの)を添加した後で、モノマー溶液を20℃の開始温度に調整した。この溶液を、保温フラスコ(Thermoskanne)に移し替え、温度を記録するための温度センサを設置し、かつ窒素で30分間パージした。窒素によるパージの終了時に、温度のオンライン測定を開始し、開始温度を再度制御もしくは後制御し、かつ10%濃度のV50溶液1.6ml、1%濃度のt−BHPO溶液0.12ml、および1%濃度の亜硫酸ナトリウム溶液0.24mlを順次添加した。モノマー溶液が増粘し始めたら、窒素フリットをモノマー溶液から除去した。ゲルブロックの温度が、その最大値に達したら、温度センサを除去し、かつ保温フラスコを80℃で2時間、乾燥室中においた。
【0114】
その後、ゲルブロックを保温フラスコから除去し、はさみでその表面を約0.5〜1cm切断し、これを廃棄した。残りを半分に分け、離型剤ComperlanCOD(やし油脂肪酸ジエタノールアミド)を塗布し、かつ粉砕機で粉砕した。
【0115】
得られたゲルの顆粒を、流動床乾燥器中、55℃で2時間乾燥させた。その際、白色で硬質の顆粒が得られ、これを遠心ミルにより粉末状の状態にした。
【0116】
1.10 製造例17(本発明による):
製造例1.9と同様に製造したが、ただしPluriol A1190V+12PeO 6gと、Lutensol AP10 6gを使用した。
【0117】
2.適用例:
2.1
製造例1〜4のポリマーを、DIN50900による人工海水(塩含有率35g/l)中に溶解し、ポリマー濃度を4000ppmとした。この溶液から、ダブルギャップ形状を有するHaakeのレオメーターを用いて7s-1および60℃で粘度を測定した。
【0118】
【表2】

【0119】
重合の間にLutensol TO 15を添加することにより、ポリマーの粘度を明らかに高めることができることが明らかである。さらに、界面活性剤の添加量は、粘度に明らかな影響を与えている。
【0120】
2.2
本発明によるポリマーが、製造例1のポリマーと界面活性剤とからなる単なる物理的混合物ではなく、ポリマー構造が重合反応の間に決定的な影響を受けるものであることを示すために、製造例1からのポリマーと、界面活性剤Lutensol TO 15との混合物の粘度も測定した:
【表3】

【0121】
この測定からわかるように、界面活性剤を後から添加しても、ポリマーの粘度に対する肯定的な影響は見られない。
【0122】
作用メカニズムを詳細に調査するために、製造例3からのポリマーを48時間にわたって、トルエンと共にソックスレー中で環流させた。その際、当初含有されていたLutensol TO15の90%が、コポリマーから抽出された。しかしポリマーの高い粘度は、界面活性剤をほぼ完全に抽出した後でも維持されていた。
【0123】
このことはさらに、界面活性剤がコポリマー中に共有結合により組み込まれている、もしくはグラフトされているのではなく、界面活性剤の添加がポリマー構造の構成に肯定的な影響を与えているものであることを示唆している。このことから、界面活性剤が疎水性の会合性モノマーと共に混合ミセルを形成していることが推測される。
【0124】
2.3
製造例1〜4のそれぞれのコポリマー1gを、DIN50900による人工海水(塩含有率35g/l)249g中で、24時間、完全に溶解するまで撹拌した。引き続き該溶液を、メッシュ幅200μmを有するふるいで濾過し、かつふるい上に残留している残留物の体積を測定した。得られた値が、ゲル割合に相当する。
【0125】
【表4】

【0126】
上記のデータからわかるように、ゲル割合は界面活性剤の添加によって明らかに低減される。界面活性剤の量が増加すると共に、ゲル割合は検出限界まで低減することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のモノエチレン性不飽和水溶性表面活性モノマー(a)、ならびに
(b)モノマー(a)とは異なる、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)
を含有する、疎水性で会合性の水溶性コポリマーにおいて、前記コポリマーを合成する際に、重合反応の開始前に更なる成分(c)として、少なくとも1種の別の、ただし非重合性の表面活性化合物を使用したものであることを特徴とする、疎水性で会合性の水溶性コポリマー。
【請求項2】
モノマー(a)が、以下の一般式
2C=C(R1)−R4−O−(−CH2−CH2−O−)k−(−CH2−CH(R3)−O−)l−H (I)または
2C=C(R1)−O−(−CH2−CH2−O−)k−R2 (II)または
2C=C(R1)−(C=O)−O−(−CH2−CH2−O−)k−R2 (III)
[上記式中、単位−(−CH2−CH2−O−)kおよび−(−CH2−CH(R3)−O−)lは、ブロック構造中、式中に記載されている順序で配置されており、かつ基および添え字は、以下の意味を有する:
kは、6〜150の数であり、
lは、5〜25の数であり、
1は、Hまたはメチルであり、
2は、8〜40個の炭素原子を有する脂肪族および/または芳香族の、直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基であり、
3は、相互に無関係に、少なくとも2個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
4は、−(Cn2n)−[R4a]、−O−(Cn′2n′)−[R4b]および−C(O)−O−(Cn″2n″)−[R4c]であり、ここで、n、n′およびn″は、それぞれ1〜6の自然数を表す]の少なくとの1種の化合物であることを特徴とする、請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
成分(c)として、非イオン性界面活性剤を含有していることを特徴とする、請求項1または2記載のコポリマー。
【請求項4】
そのつどコポリマー中の全ての成分の全量に対して、モノマー成分(a)を、0.1〜20.0質量%、および有利には0.1〜5質量%の量で、モノマー成分(b)を、25.0〜99.9質量%の量で、および成分(c)を、0.1〜5.0質量%の量で含有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項5】
3が、少なくとも3個の炭素原子を有する炭化水素基であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項6】
1が、Hであり、かつR4が、−CH2−または−O−CH2−CH2−CH2−CH2−から選択される基であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項7】
モノマー(b)の少なくとも1つは、酸性の基を有するモノマーおよび/またはその塩であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項8】
酸性の基が、−COOH、−SO3Hおよび−PO32の基から選択される少なくとも1の基であることを特徴とする、請求項7記載のコポリマー。
【請求項9】
少なくとも2つの異なった親水性モノマー(b)を含み、かつその際、モノマーは、少なくとも
・中性の親水性モノマー(b1)、有利にはアクリルアミド、および
・少なくとも1の親水性のアニオン性モノマー(b2)であり、これは、−COOH、−SO3Hまたは−PO32の群から選択される酸性の基および/またはその塩を含有しているものであり、
その際、コポリマー中の全てのモノマーに対して、モノマー(a)の量は、0.1〜5質量%であり、かつ全てのモノマー(b)は、合計して70〜99.5質量%であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項10】
中性のモノマー(b1)が、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミドまたはN−ビニル−2−ピロリジンの群から選択されるモノマーであり、かつモノマー(b2)が、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチル−ブテンスルホン酸または2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸またはビニルホスホン酸の群から選択される少なくとも1のモノマーであることを特徴とする、請求項9記載のコポリマー。
【請求項11】
コポリマーはさらに、少なくとも1のカチオン性の、アンモニウム基を有するモノマー(b3)を含むことを特徴とする、請求項9または10記載のコポリマー。
【請求項12】
カチオン性のモノマーが、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドおよび2−トリメチルアンモニウムメチル(メタ)アクリレートの塩であることを特徴とする、請求項11記載のコポリマー。
【請求項13】
少なくとも2つの異なった親水性モノマー(b)を含み、かつこのモノマーは少なくとも、
・中性の親水性モノマー(b1)、および
・少なくとも1のカチオン性モノマー(b3)
であり、その際、コポリマー中の全てのモノマーの量に対して、モノマー(a)の量は、0.1〜12質量%であり、かつ全てのモノマー(b)は合計して、70〜99.9質量%であるコポリマー(A2)であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項14】
少なくとも2つの異なった親水性モノマー(b)を含み、かつこのモノマーは少なくとも、
・少なくとも1の中性の親水性モノマー(b1)5〜50質量%、および
・少なくとも1のスルホン酸基を有するアニオン性モノマー(b2)25〜94.9質量%であり、その際、コポリマー中の全てのモノマーの量に対して、モノマー(a)の量は、0.1〜12質量%であり、かつ全てのモノマー(b)は合計して、70〜99.9質量%であるコポリマー(A2)であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項15】
コポリマーがさらに、架橋性の、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するモノマー(d)を1質量%まで含み、その際、モノマー(d)は、トリアリルアミン、トリアリルメチルアンモニウムクロリド、テトラアリルアンモニウムクロリド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールビスメタクリレート、トリエチレングリコールビスアクリレート、ポリエチレングリコール(400)−ビスメタクリレートおよびポリエチレングリコール(400)−ビスアクリレートの群から選択される少なくとも1のモノマーであることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載のコポリマーを製造する方法において、少なくとも1の疎水性の会合性モノマー(a)および少なくとも1の親水性モノマー(b)を、少なくとも1の表面活性成分(c)の存在下に、水性の溶液重合に供することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載のコポリマーを製造する方法。
【請求項17】
モノマー成分(a)を装入し、かつ引き続き順次モノマー成分(b)および成分(c)を添加することを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
モノマー成分(a)に、モノマー成分(b)および成分(c)を含有する混合物を添加することを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項19】
モノマー成分(a)に、成分(c)を添加し、かつ引き続き、得られた混合物にモノマー成分(b)を添加することを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項20】
重合を、5.0〜7.5の範囲のpH値および有利には6.0のpH値で実施することを特徴とする、請求項16から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
100〜400nmの波長、および有利には250〜350nmの波長の範囲の光を作用させることにより重合を開始することを特徴とする、請求項16から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
得られた重合生成物を、有利にはゲルの形で得られた重合生成物を粉砕し、かつ最終的に乾燥させることを特徴とする、請求項16から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
水性系のための、有利には水溶液のための、増粘作用を有するレオロジー添加剤としての請求項1から15までのいずれか1項記載のコポリマーおよび/または請求項16から22までのいずれか1項記載の方法により得られたコポリマーの使用。
【請求項24】
種々の石油および天然ガスの地下鉱床の開発、採鉱および竣工の際の請求項23記載のコポリマーの使用。
【請求項25】
前記請求項に記載のコポリマーの0.01〜5質量%の濃度の水性組成物を、少なくとも1の注入用の穿孔から石油鉱床に圧入し、かつ鉱床から少なくとも1の生成物用の穿孔を通じて原油を取り出すことにより、石油を三次回収するための請求項23または24記載のコポリマーの使用。
【請求項26】
水性組成物がさらに少なくとも1の界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項25記載の使用。
【請求項27】
水硬結合剤系を含有する水性建築材料系のためのレオロジー添加剤としての請求項1から15までのいずれか1項記載のコポリマーおよび/または請求項16から22までのいずれか1項記載の方法により得られたコポリマーの使用。
【請求項28】
顆粒または粉末としての請求項27記載の使用。

【公表番号】特表2013−501112(P2013−501112A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523295(P2012−523295)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061074
【国際公開番号】WO2011/015520
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】