説明

疾患の処置のためのゴシポールの律動的投薬法

本発明は、ゴシポールに応答性の疾患、障害および状態を処置するため、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の活性を阻害するため、細胞におけるアポトーシスを誘導するため、およびアポトーシス誘導因子に対する細胞の感受性を増大させるための、ゴシポールまたはその薬学的組成物の律動的用量投与に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬品化学の分野に属する。特に、本発明は、ゴシポールに反応性の疾患、障害、および状態を処置するため、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の活性を阻害するため、細胞におけるアポトーシスを誘導するため、およびアポトーシス誘導因子に対する細胞の感受性を増大させるための、ゴシポールまたはその薬学的組成物の律動的用量投与に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
がん細胞の侵襲性の表現型は、細胞内シグナル伝達経路の調節解除に至る多様な遺伝的変化およびエピジェネティックな変化の結果である(Ponder, Nature 411:336 (2001)(非特許文献1))。しかし、全てのがん細胞の共通点は、それらがアポトーシスプログラムを実行しないことであり、正常なアポトーシス機構の異常を原因とする適切なアポトーシスの欠如は、がんの顕著な特徴である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000)(非特許文献2))。化学療法剤、放射線療法(放射線療法薬)、および免疫療法を含む現行のがん治療の大部分は、がん細胞のアポトーシスを間接的に誘導することにより作用する。したがって、正常なアポトーシス機構の異常を原因としてがん細胞がアポトーシスプログラムを実行不能であることは、しばしば化学療法、放射線療法、または免疫療法により誘導されるアポトーシスに対する耐性の増加と関連する。アポトーシスの異常を原因とする、現行の処置プロトコールに対する、異なる起源のヒトのがんの先天性または獲得性の耐性は、現行のがん療法の主たる問題である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000)(非特許文献2); Nicholson, Nature 407:810 (2000)(非特許文献3))。したがって、がん患者の生存および生活の質を向上するために、新しい分子標的に特異的な抗がん療法を計画および開発することに向けた現在および将来の努力は、アポトーシスに対するがん細胞の耐性を特異的に標的化する戦略を含まなければならない。これに関して、がん細胞におけるアポトーシスを直接阻害することに中心的な役割を果たす重大な負の調節因子を標的化することは、新しい抗がん薬の設計のための大いに有望な治療戦略となる。
【0003】
アポトーシスの中心的な負の調節因子の二つのクラスが同定された。調節因子の第一のクラスは、アポトーシス阻害タンパク質(IAP)である(Deveraux et al., Genes Dev. 13:239 (1999)(非特許文献4); Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3:401 (2002)(非特許文献5))。IAPタンパク質は、がん細胞における化学療法剤、放射線照射、および免疫療法を含む多様なアポトーシス刺激により誘導されるアポトーシスを強力に抑制する。
【0004】
中心的なアポトーシスの負の調節因子の第二のクラスはBcl-2ファミリーのタンパク質である(Adams et al., Science 281:1322 (1998)(非特許文献6); Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997)(非特許文献7); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996)(非特許文献8))。Bcl-2は、このファミリーの基礎となるメンバーであり、がん遺伝子の産物として最初に単離された。Bcl-2ファミリーには、今やBcl-2およびBcl-XLなどの抗アポトーシス分子と、Bax、Bak、Bid、およびBadなどのアポトーシス促進分子との両方が含まれる。Bcl-2およびBcl-XLは、Bcl-2の過剰発現に至る染色体転座(t14, 18)により引き起こされる非ホジキンリンパ腫を含む多種類のヒトのがん(例えば乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がんなど)に過剰発現される。細胞をがん細胞または前がん細胞と規定すると同時に、細胞にアポトーシス経路を実行しようとさせる他の細胞の撹乱から、多くの種類のがん細胞が生き抜くことは、Bcl-2および/またはBcl-XLのレベル上昇に依存していることを示唆している。また、Bcl-2ファミリータンパク質の発現増加は、腫瘍細胞における細胞死を様々な方法で誘導するように作用するがん治療薬および放射線照射に対する耐性発生のための根拠として認識されている。
【0005】
Bcl-2およびBcl-XLは、腫瘍細胞の遊走および浸潤、そしてそのことから転移に役割を果たすと考えられる(Amberger et al., Cancer Res. 58:149 (1998)(非特許文献9); Wick et al., FEBS Lett. 440:419 (1998)(非特許文献10); Mohanam et al., Cancer Res. 53:4143 (1993)(非特許文献11); Pedersen et al., Cancer Res. 53:5158 (1993)(非特許文献12))。Bcl-2ファミリータンパク質は、新しい環境および非許容環境(例えば転移部位)で生存するためのメカニズムを腫瘍細胞に与え、臨床的な転移性のがんが拡大する器官特異的パターンに寄与すると思われる(Rubio, Lab Invest. 81:725 (2001)(非特許文献13); Fernandez et al., Cell Death Differ. 7:350 (2000)(非特許文献14))。Bcl-2および/またはBcl-XLなどの抗アポトーシスタンパク質はまた、例えば細胞表面インテグリンの調節により、細胞間相互作用を調節すると考えられる(Reed, Nature 387:773 (1997)(非特許文献15); Frisch et al., Curr. Opin. Cell Biol. 9:701 (1997)(非特許文献16); Del Bufalo et al., FASEB J. 11:947 (1997)(非特許文献17))。
【0006】
がん細胞の感受性を回復させ、がん細胞のアポトーシス耐性を克服するために、がんにおけるBcl-2およびBcl-XLを標的化するための治療戦略が広く概説されている(Adams et al., Science 281:1322 (1998)(非特許文献18); Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997)(非特許文献7); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996)(非特許文献8))。
【0007】
ゴシポールは、粗製綿実油(ワタ属(Gossypium sp.))由来の天然の二ビフェノール化合物である。男性避妊薬としてのゴシポールのヒト臨床試験は、これらの化合物の長期投与の安全性を実証した(Wu, Drugs 38:333 (1989)(非特許文献19))。最近になって、ゴシポールは、いくつかの抗増殖効果を有することが示された(Flack et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 76:1019 (1993)(非特許文献20); Bushunow et al., J. Neuro-Oncol. 43:79, (1999)(非特許文献21); Van Poznak et al., Breast Cancer Res. Treat. 66:239 (2001)(非特許文献22))。最近、ゴシポールおよびその誘導体は、Bcl-2およびBcl-XLの強力な阻害剤であり、強力な抗がん活性を有することが示された(米国特許出願第2003/0008924号(特許文献1))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第2003/0008924号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ponder, Nature 411:336 (2001)
【非特許文献2】Lowe et al., Carcinogenesis 27:485 (2000)
【非特許文献3】Nicholson, Nature 407:810 (2000)
【非特許文献4】Deveraux et al., Genes Dev. 13:239 (1999)
【非特許文献5】Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 5:401 (2002)
【非特許文献6】Adams et al., Science 281:1322 (1998)
【非特許文献7】Reed, Adv. Pharmacol. 41:501 (1997)
【非特許文献8】Reed et al., J. Cell. Biochem. 60:23 (1996)
【非特許文献9】Amberger et al., Cancer Res. 55:149 (1998)
【非特許文献10】Wick et al., FEBS Lett. 440:419 (1998)
【非特許文献11】Mohanam et al., Cancer Res. 53:4143 (1993)
【非特許文献12】Pedersen et al., Cancer Res. 55:5158 (1993)
【非特許文献13】Rubio, Lab Invest. 81:725 (2001)
【非特許文献14】Fernandez et al., Cell Death Differ. 7:350 (2000)
【非特許文献15】Reed, Nature 387:773 (1997)
【非特許文献16】Frisch et al., Curr. Opin. Cell Biol. 9:701 (1997)
【非特許文献17】Del Bufalo et al., FASEB J. 11:947 (1997)
【非特許文献18】Adams et al., Science 281:1322 (1998)
【非特許文献19】Wu, Drugs 38:333 (1989)
【非特許文献20】Flack et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 76:1019 (1993)
【非特許文献21】Bushunow et al., J. Neuro-Oncol. 43:79, (1999)
【非特許文献22】Van Poznak et al., Breast Cancer Res. Treat. 66:239 (2001)
【発明の概要】
【0010】
本発明は、ゴシポール、すなわち、(±)-ゴシポール(I)、(-)-ゴシポール(II)または(+)-ゴシポールの律動的用量投与に関する。驚くことに、ゴシポールの律動的用量投与は、有害事象の減少と共に臨床的有効性を与えることが見出された。ゴシポールおよびその薬学的組成物は、過剰増殖性疾患および他の疾患を処置するため、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の活性を阻害するため、細胞のアポトーシスを誘導するため、およびアポトーシス誘導因子に対する細胞の感受性を増大させるために有用である。

【0011】
本発明は、がんおよび他の疾患を患う患者へのゴシポールの律動的用量投与が、患者を治療有効量のゴシポールに曝露し、そして望まれない有害事象を最小限に抑えることを意図している。ゴシポールは、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の機能を阻害することから、がん細胞または支持細胞(生存の継続が、Bcl-2ファミリータンパク質の過剰な活性に依存する細胞)を徹底的に死滅させ、かつ/またはそれらの細胞を化学療法剤および/もしくは放射線療法剤の細胞死誘導活性にさらに高感受性の集団にする。律動的投薬により投与されたゴシポールが、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の機能に依存するがん細胞にアポトーシスを誘導するために単剤療法として投与された場合か、または、化学療法剤および/もしくは放射線療法剤単独のみで処置された患者における対応する細胞の比率と比べて、アポトーシスプログラムの実行に感受性のがん細胞または支持細胞の比率を大きくするように、他の細胞死誘導性化学療法剤および/または放射線療法剤と時間的に関係して投与された場合のいずれかで、複数の種類のがんを処置するというまだ満たされていない必要を満たすであろうことを、本発明は意図している。本発明はさらに、律動的投薬により投与されたゴシポールが、アポトーシスを誘導し、かつ/またはアポトーシスの調節不全を特徴とする他の疾患もしくは状態におけるアポトーシス誘導に対する細胞の感受性を高めることを意図している。
【0012】
本発明のある態様では、律動的投薬により投与された治療有効量のゴシポールおよび一種または複数種の追加の治療剤を用いた患者の組合せ処置が、これらの患者において、ゴシポールまたは一つもしくは複数の治療剤のみのいずれかで処置された患者と比べて、大きな腫瘍応答および臨床的利益を生じると予想される。言い換えれば、律動的投薬により投与されたゴシポールは、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質を発現する全ての細胞のアポトーシス閾値を低下させることから、抗がん薬などの治療剤のアポトーシス誘導活性に応答してアポトーシスプログラムをうまく実行する細胞の比率が増加すると考えられる。または、律動的投薬により投与されたゴシポールは、より低い、したがって毒性がより低く、耐容性のより大きい用量の抗がん剤の投与が、従来用量の抗がん剤単独と同じ腫瘍応答/臨床的利益を生じることを可能にすると予想される。承認された抗がん剤の全てについての用量が公知であることから、本発明は、公知の抗がん剤と、律動的投薬により投与されたゴシポールとの様々な組合わせを用いた併用療法を意図している。また、律動的投薬により投与されたゴシポールが、少なくとも部分的に抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質を阻害することにより作用することから、がん細胞および支持細胞の治療有効量のゴシポールへの曝露を、細胞が抗がん剤に応答してアポトーシスプログラムを実行しようとする試みと同時に起こるように時間的に結び付けることができる。したがって、いくつかの態様では、ある時間的関係に関連して律動的投薬によりゴシポールを投与することが、特に有効な治療的実践を提供するであろう。
【0013】
律動的投薬により投与されたゴシポールは、アポトーシス性の細胞死の誘導に応答する障害、例えば、がんなどの過剰増殖性疾患を含む、アポトーシスの調節不全を特徴とする障害の処置、改善、または予防に有用である。ある態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールは、がん治療に対する耐性を特徴とするがん(例えば化学療法抵抗性、放射線療法抵抗性、ホルモン耐性のがんなど)を処置、改善、または予防するために使用することができる。一つの態様では、がんは、タキサン、すなわちドセタキセルまたはパクリタキセルを用いた処置に化学療法抵抗性である。一つの態様では、化学療法抵抗性のがんは前立腺がんである。追加の態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールは、転移性のがんを処置、改善、または予防するために使用することができる。他の態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールは、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする過剰増殖性疾患および他の疾患を処置するために使用することができる。他の態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールは、殺精子活性を調整する(例えば男性避妊薬または避妊薬として機能する)ため、マラリア、微生物またはウイルス性疾患を処置する(例えばAIDSのための処置としてHIVウイルスの成長を阻害する)ため、肥満、皮膚障害または脱毛症を処置するため、内皮細胞の成長を阻害するため、血管形成または血管新生を阻害するため、関節炎状態、新血管に基づく皮膚科学的状態、糖尿病性網膜症、カポジ肉腫、加齢性黄斑変性症、再狭窄、毛細血管拡張症、緑内障、ケロイド、角膜移植後拒絶反応、創傷肉芽形成、血管線維腫、オスラー-ウェバー症候群、心筋血管形成、乾癬性関節炎または強皮症を処置するため、DNA合成またはDNAポリメラーゼ活性を阻害するため、および婦人科学的障害(例えば子宮内膜症)または糖尿病合併症を処置するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ゴシポールの律動的用量投与のスケジュールを示すチャートである。
【図2】ドセタキセルと組み合わせた律動的用量投与による(-)-ゴシポール酢酸共結晶のインビボ活性を示すグラフである。
【図3】ドセタキセルと組み合わせた律動的用量投与による(-)-ゴシポール酢酸共結晶のインビボ活性を示すグラフである。
【図4】化学療法未処置の患者における、(-)-ゴシポール酢酸共結晶を用いた処置後のPSA応答を示すウォーターフォールプロットである。
【図5】化学療法未処置の患者における、(-)-ゴシポール酢酸共結晶を用いた処置後の時間に対するPSA応答を示すグラフである。
【図6】(-)-ゴシポール酢酸共結晶を用いた処置前後の腫瘍の大きさを示す一連の四つの画像である。
【図7】ドセタキセル(タキソテール)耐性患者における(-)-ゴシポール酢酸共結晶を用いた処置後のPSA応答を示すウォーターフォールプロットである。
【図8】ドセタキセル(タキソテール)耐性患者における(-)-ゴシポール酢酸共結晶を用いた処置後のPSA応答の動態を示すグラフである。
【図9】ドセタキセル(タキソテール)耐性患者における(-)-ゴシポール酢酸共結晶を用いた処置後のPSA応答の動態を示すグラフである。
【図10】ドセタキセル(タキソテール)耐性患者における(-)-ゴシポール酢酸共結晶を用いた処置後のPSA応答の動態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、ゴシポールの律動的用量投与に関する。本発明の方法に使用するために、ゴシポールを含む様々な組成物を意図する。ゴシポール組成物は、例えば、(±)-ゴシポール、(-)-ゴシポール、(+)-ゴシポール、(±)-ゴシポール共結晶、(-)-ゴシポール共結晶、または(+)-ゴシポール共結晶を含みうる。ゴシポールは、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の阻害剤である。ゴシポールは、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質を阻害することにより、アポトーシス誘導因子に対して細胞を増感し、場合によってはそれ自体がアポトーシスを誘導する。したがって、本発明は、アポトーシス誘導因子に対して細胞を増感する方法、および細胞のアポトーシスを誘導する方法に関し、該方法は、単独でまたはアポトーシス誘導因子などの追加の治療剤と組み合わせて、律動的投薬によりゴシポールを投与することを含む。本発明はさらに、アポトーシスの誘導に応答性の患者における障害を処置、改善、または予防する方法に関し、その方法は、律動的投薬によるゴシポール、およびアポトーシス誘導因子、例えば抗がん剤を患者に投与することを含む。そのような障害には、アポトーシスの調節不全を特徴とする障害、および抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする障害が含まれる。一つの態様では、アポトーシスの誘導に応答性の疾患、状態または障害は、過剰増殖性疾患、すなわちがん性自己免疫障害、慢性炎症状態、すなわち乾癬、ウイルス感染症、微生物感染症、寄生虫感染症、変形性関節症、および動脈硬化症からなる群より選択される。
【0016】
一つの態様では、がんは、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、皮膚がん、膵臓がん、大腸がん、悪性黒色腫、卵巣がん、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頚部がん、神経膠腫、神経膠芽腫、肝がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、頭部癌、頚部癌、乳房癌、卵巣癌、肺癌、小細胞肺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣癌、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、大腸癌、前立腺癌、尿生殖器がん、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、悪性膵島インスリノーマ、悪性カルチノイド癌、絨毛上皮腫、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、頚部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリーセル白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症および網膜芽細胞腫からなる群より選択される。別の態様では、がんは前立腺がんである。
【0017】
本明細書に使用される「ゴシポール」という用語は、特に述べない限り、(±)-ゴシポール、(-)-ゴシポールまたは(+)-ゴシポール、およびそれらの薬学的に許容される塩を指す。
【0018】
本明細書に使用される「(-)-ゴシポール」という用語は、ゴシポールの光学活性組成物を指すが、ここで、この組成物を構成する活性分子は、偏光計により測定される平面偏光を反時計回りに旋光する(例えば左旋性分子)。好ましくは、(-)-ゴシポール化合物は、1%〜100%の鏡像体過剰率を有する。一つの態様では、(-)-ゴシポール化合物は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(-)-ゴシポールの鏡像体過剰率を有する。「(-)-ゴシポール化合物」の一例では、この化合物の比旋光度([α]D)は、約-350°〜約-390°、約-375°〜約-390°、または約-385°〜約-390°である。(例えばDowd, Chirality, 15:486 (2003); Ciesielska et al., Chem. Phys. Lett. 353:69 (2992); Freedman et al., Chirality, 15:196 (2003);およびZhou et al., Kexue Tongbao, 28:1574 (1983)を参照されたい)。ゴシポールのラセミ化合物を、実質的に精製された(+)-または(-)-ゴシポールに分割するための方法は公知である(例えばZhou et al., Kexue Tongbao, 28:1574 (1983)を参照されたい(ここで:L-フェニルアラニンメチルエステルを、ゴシポールのアルデヒド基と混合し、二つのジアステレオマー異性体を有するシッフ塩基を形成させ、次いでそれらを通常のシリカフラッシュクロマトグラフィー用カラムで分割した。濾液を濃縮し、ヘキサン:EtOAc=3:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより残渣を精製し、二つの画分を得た。5N HCl:THF(1:5、室温、一晩)中での二つの画分の酸加水分解により、個々のゴシポール鏡像異性体をそれぞれ再生した。高い方のRf値を有する第1画分は(-)-ゴシポールを含有し、低い方のRf値を有する第2画分は(+)-ゴシポールを含有した。反応混合物からTHFを除去した後の残渣から粗ゴシポール画分をエーテルに抽出した。次いで、シリカゲルクロマトグラフィーによりゴシポール画分を精製し、ヘキサン:EtOAc (3:1比)で溶出させ、2工程で光学的に純粋なゴシポールを30〜40%の収率で得た。これらの生成物についての旋光分散値は、(-)-ゴシポールについてαD=-352°(c=0.65、CHCl3)、およびαD=+341°(c=0.53、CHCl3))であった。
【0019】
本明細書に使用される「C1-8カルボン酸」という用語は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、t-酪酸、n-ペンタン酸、2-ペンタン酸、n-ヘキサン酸、2-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、n-オクタン酸、アクリル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、および安息香酸を含むがこれらに限定されない、直鎖または分岐、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、置換または非置換のC1-8カルボン酸を指す。
【0020】
本明細書に使用される「C1-8スルホン酸」という用語は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、n-プロパンスルホン酸、2-プロパンスルホン酸、n-ブタンスルホン酸、n-ペンタンスルホン酸 n-ヘキサンスルホン酸、n-ヘプタンスルホン酸、n-オクタンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸を含むがこれらに限定されない、直鎖または分岐、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、置換または非置換のC1-8スルホン酸を指す。
【0021】
本明細書に使用される「C1-12ケトン」という用語は、アセトンおよびシクロドデカノンを含むがこれらに限定されない、直鎖、環状または分岐、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、置換または非置換のC1-12ケトンを指す。
【0022】
本明細書に使用される「C1-12ジケトン」という用語は、2,4-ペンタンジオンを含むがこれに限定されない、直鎖または分岐、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、置換または非置換のC1-12ジケトンを指す。
【0023】
本明細書に使用される「ゴシポール共結晶」という用語は、(±)-ゴシポールの共結晶、およびC1-8カルボン酸、C1-8スルホン酸、C1-12ケトンまたはC1-12ジケトンを含む組成物を指す。本明細書に使用される「(-)-ゴシポール共結晶」という用語は、(-)-ゴシポールおよび酢酸、(-)-ゴシポールおよびアセトン、(-)-ゴシポールおよび2,4-ペンタンジオン、または(-)-ゴシポールおよびシクロドデカノンを含む組成物を指す。一つの態様では、(-)-ゴシポール共結晶は(-)-ゴシポール酢酸共結晶である。U.S. 7,342,046を参照されたい。(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製する方法は、U.S. 2008/0021110に記載されている。
【0024】
本明細書に使用される「律動的用量投与」という用語は、ゴシポールの間欠的 (すなわち、毎日一定というわけではない)投与を指す。本発明に有用な律動的用量投与のスケジュールは、治療有効量のゴシポールを、それを必要とする患者に提供する任意の不連続的毎日投与レジメンを包含する。律動的投薬レジメンは、連続的毎日投薬レジメンに典型的に採用されるゴシポールと同等の用量、それより低い用量、または高い用量を採用しうる。ゴシポールを投与する予定の日に、ゴシポールの投与を間欠的毎日投薬スケジュールに準じて1日1回、1日2回(すなわちBID)、1日3回、1日4回またはそれ以上行うことができる。
【0025】
薬物投与の治療有用性は、患者が経験する有害事象の回数および重篤度で相殺されるおそれがある。連続的毎日投薬に比べて、ゴシポールの律動的投薬の結果として、臨床的有害事象の回数および/または重篤度の減少と、臨床的有効性の維持または増強との予想外の組合せが生じる。さらに、ゴシポールの律動的用量投与の驚くべき臨床的利益は、他の治療剤と組み合わせた場合になおいっそう顕著になりうる。
【0026】
一例では、ゴシポールは、2日毎(すなわち、1日目、3日目、5日目、7日目、9日目等)、3日毎(すなわち、1日目、4日目、7日目、10日目等)、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、2週間毎、3週間毎、または4週間毎またはそれ以上毎に1日を超えない頻度で投与することができる。ゴシポールの投与は、1、2、3または4週間、1、2、3または4ヶ月、1、2、3または4年以上継続しうる。
【0027】
別の例では、ゴシポールが連続する少なくとも2日間、例えば連続する少なくとも3、4、5、6または7日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない少なくとも1日、連続する少なくとも2日間、連続する少なくとも3日間、連続する少なくとも4日間、連続する少なくとも5日間、連続する少なくとも6日間、連続する少なくとも7日間、連続する少なくとも8日間、連続する少なくとも9日間、連続する少なくとも10日間、連続する少なくとも11日間、連続する少なくとも12日間、連続する少なくとも13日間、連続する少なくとも2週間、連続する少なくとも3週間または連続する少なくとも4週間またはそれ以上が続きうる。ゴシポールの投与は、1、2、3または4週間、1、2、3または4ヶ月間、1、2、3または4年間またはそれ以上継続しうる。
【0028】
別の例では、ゴシポールが1日2回、連続する3日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない連続する11、12、13、14、15、16、17、18、19または20日間以上が続きうる。特定の例では、(-)-ゴシポールを含む薬学的組成物が、1日2回、連続する3日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない連続する17または18日間が続きうる。ゴシポールの投与は、2、3または4週間、1、2、3または4ヶ月間、1、2、3または4年間またはそれ以上継続しうる。
【0029】
別の例では、ゴシポールは、1週間に1日(例えば、ゴシポールが1日投与され、それにゴシポールが投与されない連続する6日間が続く)、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間または少なくとも8週間投与されうる。ゴシポールの投与は、1、2、3または4ヶ月間、1、2、3または4年間またはそれ以上継続しうる。
【0030】
別の例では、ゴシポールは、二つまたはそれ以上の律動的投薬スケジュールの組合せの連続的採用により投与されうる。この組合せは、同一の律動的投薬スケジュール(例えば、ゴシポールが1日2回、連続する3日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない連続する11日間が続き、それに続いてゴシポールが1日2回、連続する3日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない連続する11日間が続く)または異なる律動的投薬スケジュール(例えば、ゴシポールが1日2回、連続する3日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない連続する11日間が続き、それに続いてゴシポールが1日投与され、それに、ゴシポールが投与されない連続する6日間が続く)を含んでもよい。一例では、ゴシポールの律動的用量投与は、1日投与に、ゴシポールが投与されない連続する6日間が続き、それに続いて連続する少なくとも2日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない少なくとも1日が続くことを含む。別の例では、ゴシポールの律動的用量投与は、1日2回、連続する少なくとも3日間の投与に、ゴシポールが投与されない連続する少なくとも7日間が続き、それに続いて1日投与され、それに、ゴシポールが投与されない連続する少なくとも6日間が続くことを含む。別の例では、ゴシポールの律動的用量投与は、1日投与に、ゴシポールが投与されない連続する6日間が続き、それに続いて1日投与され、それに、ゴシポールが投与されない1日が続くことを含む。治療応答を達成または維持するために、二つまたはそれ以上の律動的投薬レジメンの組合せの連続的使用を、必要な限り何回も、例えば1〜約50回、例えば1〜約20回、例えば約1〜約10回繰り返すことができる。繰り返し毎に、任意の追加の治療剤は、以前の繰り返しに使用したものと同一であってもよいし、異なってもよい。
【0031】
本発明の別の態様では、ゴシポールは、律動的投薬スケジュールおよび/または二つもしくはそれ以上の律動的投薬スケジュールの連続的組合せに従って投与してもよく、それに待機期間が続く。本明細書に使用される「待機期間」という用語は、ゴシポールが患者に投与されない投薬スケジュールの間の時期を指す。待機期間は、1、2、3、4、5または6日間、1、2または3週間、1、2、3または4ヶ月間、1、2、3または4年間またはそれ以上でありうる。ある態様では、待機期間は1〜30日間、例えば7、14、21、または30日間、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30日間でありうる。待機期間の後に、ゴシポールの同一もしくは異なる律動的投薬スケジュールおよび/または一つもしくは複数の律動的投薬スケジュールの連続的組合せを再開してもよい。一例では、ゴシポールの律動的用量投与は、1日投与に、ゴシポールが投与されない連続する6日間(待機期間)、および連続する少なくとも2日間の投与が続き、それに、ゴシポールが投与されない少なくとも1日が続くことを含む。別の例では、ゴシポールの律動的投与は、1日投与に、ゴシポールが投与されない連続する6日間(待機期間)、および1日投与が続き、それにゴシポールが投与されない連続する6日間が続くことを含む。別の例では、ゴシポールの律動的用量投与は、1日2回、連続する少なくとも3日間投与に、ゴシポールが投与されない連続する少なくとも7日間(待機期間)、および1日投与が続き、それに、ゴシポールが投与されない連続する少なくとも6日間が続くことを含む。律動的投薬/待機期間レジメンは、治療応答を達成または維持するために必要な限り何回も、例えば1〜約50回、例えば1〜約20回、例えば約1〜約10回繰り返すことができる。繰り返し毎に、任意の追加の治療剤は、以前の繰り返しに使用したものと同一であってもよいし、異なってもよい。
【0032】
例示的な律動的用量投与スケジュールを図1に示す。加えて、図1を参照して、ゴシポールは、例えばスケジュールAとB、スケジュールBとC、スケジュールCとD、スケジュールDとE、スケジュールFとG、スケジュールGとH、スケジュールHとI、スケジュールHとH、スケジュールIとI、スケジュールHとIとH、またはスケジュールGとHとIの組合せの連続的採用により投与してもよい。また、ゴシポールは、スケジュールHに続いて待機期間(例えば1〜30日間)、それに続いてスケジュールI、スケジュールA-待機期間-スケジュールB、スケジュールH-待機期間-スケジュールE-待機期間-スケジュールA、スケジュールH-待機期間-スケジュールI-待機期間-スケジュールHまたはスケジュールH-スケジュールI-待機期間-スケジュールH-スケジュールIにより投与してもよい。上記律動的用量投与スケジュールは、例示的な目的のためだけに示されたものであり、限定とみなしてはならない。本発明は、治療有効量のゴシポールを、それを必要とする患者に提供する、任意の不連続1日投与レジメンを考えている。
【0033】
本明細書に使用される「有害事象」という用語は、臨床試験の間または臨床試験が完了した後の期間に発生する、任意の望まれない健康変化を指す。有害事象はグレードで分類され、あまり重篤でない有害事象にはグレード1 (軽度)および2 (中等度)が与えられ、より重篤な有害事象にはグレード3 (重度)および4(生命を脅かす、または不能となる)が与えられる。有害事象のグレード分けは、National Cancer Instituteの尺度(Common Terminology Criteria for Adverse Events, v3.0)などの、当技術分野で公知の任意の尺度を用いて行うことができる。有害事象数の減少は、実際の事象数の減少を指す。有害事象の重篤度の減少は、発生する有害事象のグレードの減少を指す。
【0034】
本明細書に使用される「Bcl-2ファミリータンパク質」という用語は、Bcl-2、Bcl-XL、Mcl-I、A1/BFL-1、BOO-DIVA、Bcl-w、Bcl-6、Bcl-8、およびBcl-yを含むがこれらに限定されないBcl-2ファミリーの抗アポトーシス性メンバーと、Bak、Bax、Bad、tBid、Hrk、Bim、Bmf、およびゴシポール化合物により調節される他のBcl-2ホモロジードメイン3(BH3)含有タンパク質を含むがこれらに限定されないBcl-2ファミリーのアポトーシス促進性メンバーとの両方を指す。
【0035】
本明細書に使用される「抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の過剰発現」という用語は、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質をコードしている基礎レベルのmRNAを発現しているか、または基礎レベルの抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質を有する類似の対応する非病的細胞と比べて、細胞における、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質をコードしているmRNAの上昇したレベル、および/または抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の上昇したレベルを指す。細胞における抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質をコードしているmRNAのレベルまたは抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質のレベルを検出するための方法には、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質抗体を使用するウエスタンブロット、免疫組織化学法、および核酸増幅または直接RNA検出法が含むがこれらに限定されない。細胞が抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質を過剰発現することを決定することに対する、この細胞における抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の絶対レベルと同様に、そのような細胞内での他のアポトーシス促進性シグナル伝達分子(例えばアポトーシス促進性Bcl-2ファミリータンパク質)に対する抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の相対レベルも重要である。前記二つのバランスが、もし抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質のレベルが無い状況でアポトーシス促進性シグナル伝達分子が細胞にアポトーシスプログラムを実行させて死滅させるのに十分であるようなものである場合、該細胞は、自己の生存を抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質に依存すると考えられる。これらの細胞では、阻害有効量の抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質阻害剤への曝露は、細胞にアポトーシスプログラムを実行させて死滅させるために十分であろう。したがって、「抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の過剰発現」という用語はまた、アポトーシス促進シグナルおよび抗アポトーシスシグナルの相対レベルが原因で、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の機能を阻害する阻害有効量の化合物に応答してアポトーシスを受ける細胞を指す。
【0036】
本明細書に使用される「治療剤」という用語は、疾患、状態もしくは障害、またはその一つもしくは複数の症状の処置、管理、または改善に使用することのできる任意の薬剤を指す。ある態様では、「治療剤」という用語は、ゴシポール、例えば(-)-ゴシポールを指す。ある他の態様では、「治療剤」という用語はゴシポールを表さない。好ましくは、治療剤は、障害またはその一つもしくは複数の症状の処置、管理、予防、または改善に有用であることが公知である、またはそれに使用されてきた、または現在使用されている薬剤である。一つの態様では、治療剤は抗がん剤である。
【0037】
本明細書に使用される「抗がん剤」および「抗がん薬」という用語は、(例えば哺乳動物における)がんなどの過剰増殖性疾患の処置に使用される任意の治療剤 (例えば化学療法化合物および/または分子治療化合物)、放射線療法、または外科的介入を指す。
【0038】
本明細書に使用される「治療有効量」という用語は、障害の一つもしくは複数の症状の改善を生じるか、または障害の進行を予防するか、または障害の後退を引き起こすために十分な量の治療剤を指す。例えば、がんの処置に関して、治療有効量は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%だけ腫瘍の成長速度を減少させる、腫瘍量を減少させる、転移の数を減少させる、腫瘍の進行までの時間を増大させる、または生存時間を増大させる治療剤の量を好ましくは指す。
【0039】
本明細書に使用される「増感する」および「増感」という用語は、ゴシポールの投与により、患者または患者の中の細胞を、第2の治療剤の生物学的効果(例えば、細胞の成長、増殖、浸潤、血管形成、またはアポトーシスを含むがこれらに限定されない、細胞機能の局面の促進または遅延)に対して、より感受性に、またはより応答性にすることを指す。標的細胞に及ぼすゴシポールの増感効果は、ゴシポールの投与下および非投与下で第2の治療剤を投与したときに観察された、対象となる生物学的効果(例えば、細胞の成長、増殖、浸潤、血管形成、またはアポトーシスを含むがこれらに限定されない、細胞機能の局面の促進または遅延)における差として測定することができる。増感された細胞の応答は、ゴシポールの非存在下での応答よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも350%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%だけ増加しうる。
【0040】
本明細書に使用される「アポトーシスの調節不全」という用語は、細胞がアポトーシスにより細胞死を受ける能力(例えば素因)における任意の異常を指す。アポトーシスの調節不全は、例えば、自己免疫障害(例えば全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、移植片対宿主病、重症筋無力症、またはシェーグレン症候群)、慢性炎症状態(例えば乾癬、喘息またはクローン病)、過剰増殖性障害(例えば腫瘍、B細胞性リンパ腫、またはT細胞性リンパ腫)、ウイルス感染症(例えばヘルペス、パピローマ、またはHIV)、微生物感染症、寄生虫感染症、ならびに変形性関節症およびアテローム性動脈硬化症などの他の状態を含む、多様な状態に関連するか、またはそれにより誘導される。調節不全が、ウイルス感染症により誘導されるか、またはそれに関連する場合に、そのウイルス感染症は、調節不全が発生または観察される時に検出可能な場合もあるし、検出可能でない場合もあることに留意されたい。すなわち、ウイルスにより誘導される調節不全は、ウイルス感染症の症状が消失した後でも発生しうる。
【0041】
本明細書に使用される「過剰増殖性疾患」という用語は、動物における増殖中の細胞の局所集団が、正常な成長の通常の限界により支配されない、がんなどの任意の状態を指す。過剰増殖性障害の例には、乾癬、再狭窄、腫瘍、新生物、リンパ腫などが含まれる。新生物は、それが浸潤または転移を経なければ良性と呼ばれ、これらいずれか一方を経るならば悪性と呼ばれる。「転移性」細胞は、隣接する身体構造に細胞が浸潤して、それを破壊できることを意味する。過形成は、組織または器官における細胞数の増加を伴うが、構造または機能に重大な変化を有さない細胞増殖の一形態である。化生は、一種類の完全に分化した細胞が別の種類の分化した細胞に置き換わる、制御された細胞成長の一形態である。
【0042】
本明細書に使用される「がん」という用語は、任意の公知のがんを指すことが意図され、がんには、以下のものが含まれうるがこれらに限定されない:白血病(急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病など、ならびに骨髄異形成症候群など);慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、およびヘアリーセル白血病など);真性赤血球増加症;リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病など);多発性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫など);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;意義未確定の単クローン性免疫グロブリン血症;良性単クローン性免疫グロブリン血症;重鎖病;骨および結合組織肉腫(骨肉腫(bone sarcoma)、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨線維肉腫、脊索腫、骨膜性肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma, hemangiosarcoma)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、および滑膜肉腫など);脳腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、非神経膠腫、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、および原発性脳リンパ腫など);乳がん(腺癌、小葉(小細胞)癌、腺管内癌、乳腺髄様がん、乳腺粘液がん、乳腺管状がん、乳腺乳頭状がん、乳房のパジェット病、および炎症性乳がんなど);副腎がん(褐色細胞腫および副腎皮質癌など);甲状腺がん(甲状腺乳頭状がんまたは濾胞腺がん、甲状腺髄様がんおよび甲状腺未分化がんなど);膵臓がん(インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドまたは膵島細胞腫など);下垂体がん(プロラクチン分泌腫瘍および先端巨大症など);眼がん(眼黒色腫、虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫および毛様体黒色腫、および網膜芽細胞腫など);膣がん(扁平上皮癌、腺癌、および黒色腫など);外陰がん(生殖器の扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびパジェット病など);子宮頚がん(扁平上皮癌および腺癌など);子宮がん(子宮内膜癌および子宮肉腫など);卵巣がん(卵巣上皮癌、卵巣上皮性境界腫瘍、胚細胞腫瘍、および間質性腫瘍など);食道がん(扁平上皮がん、腺癌、腺様嚢胞癌、粘膜表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、いぼ状癌、および燕麦細胞(小細胞)癌など);胃がん(腺癌、菌状(ポリープ状)、潰瘍性、表在拡大型、びまん性拡大型、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および癌肉腫など);大腸がん;直腸がん;肝がん(肝細胞癌および肝芽腫など)、胆嚢がん(腺癌など);胆管癌(乳頭状、結節状、およびびまん性など);肺がん(非小細胞肺がん、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺がんなど);睾丸がん(生殖細胞腫瘍、セミノーマ、未分化、古典的(定型)、精母細胞、非セミノーマ、胎生癌、奇形腫様癌、および絨毛上皮腫(卵黄嚢腫瘍)など)、前立腺がん(腺癌、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫など);陰茎がん;口腔がん(扁平上皮癌など);基底がん;唾液腺がん(腺癌、粘膜表皮癌、および腺様嚢胞癌など);咽頭がん(扁平上皮がんおよびいぼ状など);皮膚がん(基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節状黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫など);頭頚部がん;腎がん(腎細胞がん、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮がん(腎盂および/または尿管)など);ウィルムス腫瘍;ならびに膀胱がん(移行上皮癌、扁平上皮がん、腺癌、および癌肉腫など)。加えて、本発明の方法および組成物により処置することのできるがんには、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性肺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌および乳頭腺癌が含まれる。これらの障害の概説には、Fishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J.B. Lippincott Co., Philadelphia, PAおよびMurphy et al., 1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, New York, NYを参照されたい。
【0043】
活性化リンパ系細胞の病的成長の結果として、しばしば自己免疫障害または慢性炎症状態が生じる。本明細書に使用される「自己免疫障害」という用語は、生物が、その生物自体の分子、細胞または組織を認識する抗体または免疫細胞を産生する任意の状態を指す。自己免疫障害の非限定的な例には、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベルジェ病またはIgA腎症、セリアックスプルー、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛症、移植片対宿主病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、白斑などが含まれる。
【0044】
本明細書に使用される「新生物疾患」という用語は、細胞の任意な異常成長が良性(非がん性)または悪性(がん性)のいずれかであることを指す。
【0045】
本明細書に使用される「抗新生物剤」という用語は、標的となる(例えば悪性)新生物の増殖、成長、または拡大を遅延させる任意の化合物を指す。
【0046】
本明細書に使用される「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、動物における病的細胞(例えば過剰増殖細胞または新生物細胞)の発生の減少を指す。予防は、完全、例えば対象における病的細胞の完全な非存在であってもよい。予防はまた、対象における病的細胞の発生が、本発明なしの発生よりも低いような、部分的なものであってもよい。
【0047】
本明細書に使用される「相乗的」という用語は、ゴシポールおよび第2の治療剤を個別に投与した場合の相加的効果よりも大きい、ゴシポールおよび第2の治療剤を一緒に(例えば同時または順次に)投与した場合に得られる効果を指す。相乗的効果は、低用量のゴシポールおよび/または第2の治療剤を投与可能にするか、または同用量で、より大きい有効性を与える。得られる相加的効果は、ゴシポールおよび第2の治療剤を個別に投与した場合の相加的効果よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、または少なくとも500%大きくなりうる。例えばがんの処置に関して、相乗的効果は、腫瘍の成長速度の減少、腫瘍量の減少、転移数の減少、腫瘍の進行までの時間増大、または生存時間の増大でありうる。律動的投薬によるゴシポールおよび抗がん剤の同時投与は、がんが効果的に処置される一方で、対象への任意の実質的な毒性が回避されるような、より低用量のゴシポールおよび/または抗がん剤の使用を可能にしうる。
【0048】
本明細書に使用される「約」という用語には、引用された数±10%が含まれる。したがって、「約0.5」は0.45〜0.55を意味する。
【0049】
本発明に有用な抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の阻害剤には、例えば、律動的投薬により投与されるゴシポールもしくはゴシポールの共結晶、またはそれらの薬学的組成物が含まれる。当業者は、薬学的組成物の製造、保存、輸送、および/または取り扱いにおける化合物の安定性の重要性を認識していよう。ゴシポールの共結晶を含む組成物は、ゴシポールを含む何か他の組成物よりも安定でありうる。ゴシポールを安定化することのできる任意のC1-8カルボン酸またはC1-8スルホン酸を組成物に使用してもよい。ゴシポール共結晶中のゴシポール対カルボン酸またはスルホン酸のモル比は、約10:1〜約1:10、例えば約2:1〜約1:2、例えば約1:1の範囲である。
【0050】
本発明に有用な、ゴシポールを含む組成物は、米国特許出願第2005/0234135号に開示された方法などの、当業者に公知の方法を用いて調製することができる。例えば、(-)-ゴシポール共結晶は、(-)-ゴシポールをアセトンに溶解させて溶液を形成させること、溶液を濾過すること、溶液が混濁するまで酢酸をその溶液にかき混ぜながら添加すること、混濁した溶液を室温で、次に低温で放置して共結晶を形成させること、その共結晶を収集すること、その共結晶を溶媒で洗浄すること、そしてその共結晶を乾燥させることにより調製してもよい。低温は、約20℃未満、好ましくは約0〜15℃、さらに好ましくは約4℃である。共結晶を形成させるための時間は、1時間〜1日の範囲でありうるが;好ましくはその時間は約1〜4時間である。共結晶は、濾過を含む任意の適切な手段により収集してもよい。共結晶を洗浄するための溶媒は、任意の適切な溶媒、例えばヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、または石油エーテルであってもよい。洗浄された共結晶は、室温で、好ましくは遮光容器に入れて乾燥させてもよい。共結晶はまた、真空乾燥器の中で、好ましくは高められた温度(例えば約30〜60℃、さらに好ましくは約40℃)で約6〜72時間、好ましくは約12〜48時間乾燥させてもよい。
【0051】
ゴシポール酢酸共結晶はまた、(±)-ゴシポールと酢酸の混合物から再結晶化により調製してもよい。ゴシポール酢酸共結晶はさらに、アセトンと酢酸の混合物に溶かしたゴシポール酢酸溶液から再結晶化してもよい。再結晶化混合物を、約15分〜約100分、例えば約30分〜約60分放置し、共結晶を形成させる。再結晶化は、外界温度、例えば約15℃〜約30℃、例えば約22℃で実施する。再結晶化に続いて、再結晶化混合物から(例えば濾過により)結晶を回収し、非極性溶媒、例えばペンタン、ヘキセン、ヘキサン、ヘプタン、またはその混合物で洗浄する。好ましくは、非極性溶媒の結晶への取り込みを避けるために、洗浄工程は迅速に行う。短い洗浄時間(2分未満)が好ましい。次に、遮光しながら、例えば真空中で結晶を乾燥させてもよい。不純物プロファイルを改善するために、再結晶化を1回よりも多く(例えば2、3、4、または5回またはそれ以上)、例えばゴシポール共結晶が約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の不純物を含むようになるまで繰り返してもよい。望まれる不純物プロファイルが一旦得られたならば、最終的な再結晶化を低温、例えば約-20℃〜約10℃、好ましくは約-10℃〜約0℃で実施してもよい。再結晶化混合物を約15分〜約100分、例えば約30〜約60分放置し、次に、結果として生じた結晶を上記のように濾過し、洗浄し、乾燥させる。ゴシポール酢酸共結晶を生成させるこの方法により、約5%未満、好ましくは約3%、2%、または1%未満の総不純物を含む最終産物が生成する。
【0052】
(-)-ゴシポール酢酸共結晶はまた、ジアステレオマーを形成させるために、光学活性アミンとのイミン(シッフ塩基)形成によりゴシポール酢酸共結晶から調製してもよい。本明細書に使用される「イミン」という用語には、エネアミン互変異性体などの他の互変異性体およびその立体異性体が含まれる。光学活性アミンは、L-フェニルアラニンメチルエステル、S-1-メチルフェネチルアミン、もしくはL-フェニルアラニノール、または対応する塩酸塩でありうるが、これらに限定されない。誘導体化は、酸素の非存在下で、例えば窒素気流下で実施してもよい。誘導体化は、非極性および/または極性溶媒、例えばジクロロメタンおよび/またはイソプロパノールの存在下で、約0.5〜約3時間の期間、例えば約1時間〜約2時間実施される。次に、反応混合物を約5〜約7、例えば約6のpHに緩衝化するために適した試薬と一緒に、硫酸ナトリウムなどの脱水剤または分子ふるい、例えばタイプ3Åを加える。適切な一緩衝剤は重炭酸ナトリウムである。次に、反応混合物を少なくとも約15分、例えば少なくとも約30分撹拌する。完了したかどうか反応の進行をモニターしてもよい。例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて、または好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりリアルタイムで、ゴシポールが非存在であるかどうか反応混合物をアッセイしてもよい。反応が不完全であれば、緩衝剤をさらに加えることによりpHを約6に調整し戻してもよい。次に、反応を約24時間続け、反応が完了したかどうか、もう一度チェックする。完了後に、反応混合物を濾過して固体を除去し、その固体を追加の非極性溶媒、例えばジクロロメタンで洗浄する。次に、例えば約30℃〜約40℃に設定した浴を備えるロータリーエバポレーターで濾液を蒸発乾固させてもよい。
【0053】
次に、結果として生じたジアステレオマーを、例えばクロマトグラフィーにより分離する。例えば、ジアステレオマーをシリカゲルクロマトグラフィー、例えばKromasil Siにより分離する。乾燥した濾液を非極性溶媒、例えばジクロロメタンで再構成し、カラムにチャージする。非極性溶媒および極性溶媒を含む溶媒系、例えば1:1のヘプタン:酢酸エチルでジアステレオマーを溶出させる。カラムの画分をHPLCによりモニターしてもよく、所望の異性体を(例えば少なくとも約90%)含有する画分をプールして、蒸発させてもよい。不純な画分を収集し、さらに何回かカラムを通過させてもよい。一つの態様では、ゴシポール誘導体の混入の任意の増加を避けるために、分離の前のジアステレオマー混合物の放置は、24時間未満、好ましくは12、6、または3時間未満とする。
【0054】
次に、分離したR-(-)-ゴシポールビス-イミンジアステレオマーを加水分解して(-)-ゴシポールを生成させてもよい。この加水分解は、酸素の非存在下、例えば窒素気流下で実施してもよい。(-)-ゴシポール誘導体を極性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)および酸(例えば水性塩酸)と混合し、少なくとも約1時間、例えば少なくとも約5時間撹拌する。ビス-およびモノ-イミン化合物の両者が約10%未満まで、好ましくは約5%未満まで枯渇したかどうか、反応の程度をTLCまたはHPLCによりモニターしてもよい。反応が十分でないならば、反応を少なくとも約15時間継続して再評価してもよい。
【0055】
一旦十分な加水分解が起こったならば、次に、反応混合物をブライン水溶液で洗浄してもよい。このブライン水溶液を極性溶媒(例えば酢酸エチル)で戻し抽出してもよい。次に、有機層を合わせ、アルカリ水溶液(例えば重炭酸ナトリウム)に続いてブライン溶液で洗浄する。次に、例えば約30℃〜約40℃に設定した浴を備えるロータリーエバポレーターで、有機層を蒸発乾固させてもよい。
【0056】
次に、非極性溶媒および極性溶媒を含む溶媒系(例えば、1:1のヘプタン:酢酸エチル)に粗単離物を溶解させ、少量の酢酸(プラグへの固着を避けるため)を含有する同溶媒系を使用してシリカゲルのプラグを通過させる。画分を収集し、TLCまたはHPLCを用いてゴシポール含量をモニターしてもよい。生成物を含有する画分をプールし、例えば約30℃〜約40℃に設定した浴を備えるロータリーエバポレーターで蒸発乾固させてもよい。
【0057】
(-)-ゴシポールのさらなる精製を望むならば、親水性樹脂、例えばDIOL、例えばYMC DIOL(120Å×10〜20ミクロン)(GL Sciences)などのジヒドロキシプロピル樹脂を通過させるクロマトグラフィーにより、(-)-ゴシポールを精製してもよい。前工程からの乾燥生成物を、非極性溶媒および極性溶媒を含む溶媒系(例えば1:1のヘプタン:酢酸エチル)中で再構成し、同溶媒系を使用してカラムを通過させ、精製してもよい。画分を収集し、低温(例えば約2℃〜約8℃)に保ち、TLCまたはHPLCを用いてゴシポール含量について画分をアッセイする。ゴシポール(例えば少なくとも90%)を含有する画分をプールし、例えば約30℃〜約40℃に設定した浴を備えるロータリーエバポレーターで蒸発乾固させてもよい。90%未満のゴシポールを有する画分をプールし、カラムを通過させて再精製してもよい。
【0058】
最終工程として、精製された(-)-ゴシポールをアセトン(例えばゴシポール1gあたり約4mL)に溶解させてもよく、そして氷酢酸(ゴシポール1gあたり約1.5mL)を添加する。次にこの混合物を、結晶化に適した容器(例えばビュッヒボール(Buchi Ball))に添加してもよい。即座に結晶化しないならば、結晶塊が現れるまで、真空で溶媒をゆっくりと除去してもよい。次に、この混合物を約15分〜約100分、例えば約30分〜約60分放置してもよく、次に濾過する。次に、結晶を同じ比のアセトンおよび酢酸で洗浄してもよい。最終的に、結晶を酢酸(ゴシポール1gあたり約3mL)に約20〜約40分、好ましくは約30分浸漬してもよく、酢酸を濾過して除去する。次に、結晶を(例えば真空中で)少なくとも1時間、例えば約2〜約4時間乾燥させてもよい。結晶をパッケージし、遮光して(例えば褐色ガラスバイアルに入れて)低温で(例えば約-30℃〜約0℃、好ましくは約-10℃〜約-20℃で保存してもよい。
【0059】
(-)-ゴシポール酢酸共結晶を生成させる上記方法においてシッフ塩基を形成させるために、(±)-ゴシポールを含むゴシポール酢酸出発物質を誘導体化する代替法は、非極性溶媒(例えばジクロロメタン)中のゴシポール酢酸出発物質と、光学活性アミン(例えばL-フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩)の混合物をトリエチルアミンで処理すること、および少なくとも2時間、例えば5時間、場合により無酸素雰囲気下で混合することを含む。反応が完了したかどうかを、HPLCまたはTLC法を用いてモニターしてもよい。反応の完了後に、混合物を水で抽出し、有機相を分離し、例えば約25℃〜約35℃に設定した浴を備えるロータリーエバポレーターで、続いて高真空で一晩、蒸発乾固させる。
【0060】
ゴシポールは、Bcl-2およびBcl-XLにBH3結合溝で結合し、抗がん活性を有することが示された(米国特許出願第2003/0008924号)。したがって、ゴシポールは、アポトーシスを誘導するために使用することができ、また、律動的投薬により投与された場合に、アポトーシス誘導シグナルに応答したアポトーシスの誘導を強化する。律動的投薬により投与されたゴシポールは、アポトーシス誘導因子に耐性の細胞を含む細胞を、そのような誘導因子に対して増感すると考えられている。律動的投薬により投与されたゴシポールは、アポトーシスの誘導により処置、改善、または予防することのできる任意の障害におけるアポトーシスを誘導するために使用することができる。したがって、本発明は、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質を過剰発現していると特徴づけられた患者を標的化するための方法を提供する。態様のいくつかでは、細胞(例えばがん細胞)は、非病的試料(例えば非がん細胞)よりも高い発現レベルの一種または複数種の抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質を示す。他の態様では、それらの細胞は、阻害有効量のゴシポールの投与に応答してアポトーシスプログラムを実行して死滅することに基づいて、抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の発現レベル上昇を機能を果たすように現すが、該応答は、少なくとも部分的には、そのような細胞が自己の生存を抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の機能に依存していることが原因で起きる。
【0061】
いくつかの態様では、本発明の方法は、患者(例えば、ヒトおよび獣医学的動物を含むがこれらに限定されない哺乳類対象)における罹患した細胞、組織、器官、または病的状態および/もしくは疾患状態を処置するために使用される。これに関して、様々な疾患および状態は、本発明を用いた処置または予防が容易である。これらの疾患および状態の非限定的な例の明細には、がん、TおよびB細胞介在性自己免疫疾患、炎症性疾患、感染症、過剰増殖性疾患、AIDS、変性状態、血管疾患などが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの態様では、処置されているがん細胞は転移性である。他の態様では、処置されているがん細胞は、抗がん剤、例えばタキサン、例えばドセタキセルに耐性である。
【0062】
いくつかの態様では、本発明の方法を用いた処置に適した感染症には、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、マイコプラズマ、プリオンなどにより起こる感染症が含まれるがこれらに限定されない。
【0063】
本発明は、ゴシポールの律動的用量投与によりゴシポールの任意の公知の治療的有用性を活用できることを意図している。ある態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールは、殺精子活性を調整する(例えば男性避妊薬または避妊薬として機能する)ために、マラリア、微生物またはウイルス性疾患を処置する(例えばAIDSのための処置としてHIVウイルスの成長を阻害する)ために、肥満、皮膚障害または脱毛症を処置するために、内皮細胞の成長を阻害するために、血管形成または血管新生を阻害するために、関節炎状態、新血管に基づく皮膚科学的状態、糖尿病性網膜症、カポジ肉腫、齢関連黄斑変性症、再狭窄、毛細血管拡張症、緑内障、ケロイド、角膜移植後拒絶反応、創傷肉芽形成、血管線維腫、オスラー-ウェバー症候群、心筋血管形成、乾癬性関節炎または強皮症を処置するために、DNA合成またはDNAポリメラーゼ活性を阻害するために、そして婦人科学的障害(例えば子宮内膜症)または糖尿病合併症を処置するために使用することができる。
【0064】
本発明のいくつかの態様は、律動的投薬による有効量のゴシポールおよび少なくとも一つの追加的な治療剤(化学療法剤、抗新生物剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗炎症剤を含むがこれらに限定されない)および/または治療技法(例えば外科的介入および/または放射線療法剤)を施用するための方法を提供する。本明細書に使用される「化学療法剤」という用語は、がんの処置もしくは改善に有効であることが、および/またはアポトーシス誘導因子として、当業者に公知である任意の化学物質を指す。
【0065】
いくつかの態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールおよび一種または複数種の治療剤の組合せは、ゴシポールまたは治療剤のいずれか単独の投与よりも大きな効果を有するであろう。他の態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールおよび一種または複数種の治療剤の組合せは、いずれか一つ単独の投与に比べて相乗的効果(すなわち相加的よりも大きい)を生じると予想される。いくつかの態様では、ゴシポールの律動的用量投与は、患者における有害事象の回数の低下および/または重篤度の減少を生じる。いくつかの態様では、律動的投薬により投与されたゴシポールおよび一種または複数種の抗がん剤の組合せは、抗がん剤に対する患者の化学療法抵抗性を克服する。
【0066】
特定の態様では、本発明は、がんを処置、改善または予防する方法に関し、その方法は、それを必要とする患者に抗がん剤と組み合わせた(-)-ゴシポールを投与することを含み、ここで、該(-)-ゴシポールの約40mg〜約60mgが1日2回、3日間連続で投与され、それに該(-)-ゴシポールが投与されない連続する18日間が続く。一つの態様では、抗がん剤はドセタキセルである。一つの態様では、患者は、ドセタキセルの処置に化学療法抵抗性を示している。一つの態様では、がんは前立腺がんである。
【0067】
本発明の方法に使用するためにいくつかの適切な抗がん剤が意図される。実際、本発明は、以下のような多数の抗がん剤の投与を意図しているが、これらに限定されない:アポトーシスを誘導する薬剤;ポリヌクレオチド(例えばアンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);生物学的模倣体(biological mimetics)(例えばBH3模倣体);BaxなどのBcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えばオリゴマー化または複合体化する)薬剤;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍性抗生物質;代謝拮抗薬;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば抗がん薬、毒素、デフェンシンと接合した抗体)、毒素;放射性核種;生物学的応答調節物質(例えばインターフェロン(例えばIFN-α)およびインターロイキン(例えばIL-2));養子免疫療法剤;造血成長因子;腫瘍細胞の分化を誘導する薬剤(例えば全トランス型レチノイン酸);遺伝子治療薬(例えば、アンチセンス治療薬およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管形成阻害剤;プロテオソーム阻害剤:NF-κB調節物質;抗CDK化合物;HDAC阻害剤など。ゴシポールまたはその組成物との同時投与に適した化学療法化合物および抗がん療法の多数の他の例は、当業者に公知である。
【0068】
ある態様では、抗がん剤は、アポトーシスを誘導または刺激する薬剤を含む。アポトーシスを誘導する薬剤には、放射線(例えばX線、γ線、UV);キナーゼ阻害剤(例えば上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(グリベック(GLEEVEC)など));アンチセンス分子;抗体(例えばハーセプチン(HERCEPTIN)、リツキサン(RITUXAN)、ゼバリン(ZEVALIN)、ベキサール(BEXXAR)、およびアバスチン(AVASTIN));抗エストロゲン(例えばラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えばフルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド(aminoglutethamide)、ケトコナゾール、およびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2 (COX-2)阻害剤(例えばセレコキシブ、メロキシカム、NS-398、および非ステロイド系抗炎症薬);抗炎症薬(例えばブタゾリジン、デカドロン(DECADRON)、デルタソン(DELTASONE)、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール(dexamethasone intensol)、デキソン(DEXONE)、ヘキサドロール(HEXADROL)、ヒドロキシクロロキン、メチコルテン(METICORTEN)、オラデキソ(ORADEXON)、オラソン(ORASONE)、オキシフェンブタゾン、プレディアプレッド(PEDIAPRED)、フェニルブタゾン、プラキニル(PLAQUENIL)、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン(PRELONE)、およびタンデアリル(TANDEARIL));およびがん化学療法薬(例えばイリノテカン(カンプト(CAMPTOSAR))、CPT-11、フルダラビン(フルダラ(FLUDARA))、ダカルバジン、デキサメタゾン、ミトキサントロン、マイロターグ(MYLOTARG)、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、タキソテール(TAXOTERE)又はタキソール(TAXOL));細胞シグナル伝達分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリン;およびara-Cなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
なお他の態様では、本発明の方法は、ゴシポールの律動的用量投与および少なくとも一つの抗過剰増殖剤または抗新生物剤;例えば、アルキル化剤、代謝拮抗薬、および天然産物(例えば、ハーブおよび他の植物ならびに/または動物由来化合物)より選択されるものを提供する。
【0070】
本発明の組成物および方法に使用するために適したアルキル化剤には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:1)ナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)スルホン酸アルキル(例えばブスルファン);4)ニトロソウレア(例えばカルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));ならびに5)トリアゼン(例えばダカルバジン(ジメチルトリアゼノイミド-アゾールカルボキサミド(dimethyltriazenoimid-azolecarboxamide)。
【0071】
いくつかの態様では、本発明の組成物および方法に使用するために適した代謝拮抗薬には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:1)葉酸アナログ(例えばメトトレキサート(アメトプテリン));2)ピリミジンアナログ(例えばフルオロウラシル(5-フルオロウラシル)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));および3)プリンアナログ(例えばメルカプトプリン(6-メルカプトプリン)、チオグアニン(6-チオグアニン)、およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))。
【0072】
なおさらなる態様では、本発明の組成物および方法に使用するために適した化学療法剤には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:1) ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン);2) エピポドフィロトキシン(例えばエトポシドおよびテニポシド);3) 抗生物質(例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4) 酵素(例えばL-アスパラギナーゼ);5) 生物学的応答調節物質(例えばインターフェロンα);6) 白金配位錯体(例えばシスプラチンおよびカルボプラチン);7) アントラセンジオン(例えばミトキサントロン);8) 置換ウレア(例えばヒドロキシウレア);9) メチルヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン(N-メチルヒドラジン));10) 副腎皮質抑制剤(例えばミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);11) 副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン);12) プロゲスチン(例えばカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール);13) エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14) 抗エストロゲン(例えばタモキシフェン);15) アンドロゲン(例えばプロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);16) 抗アンドロゲン(例えばフルタミド):および17) ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(例えばロイプロリド)。
【0073】
がん治療の状況で使用される任意の腫瘍崩壊剤は、本発明の方法に用途を見出す。例えば、米国食品医薬品局は、米国で使用が承認された腫瘍崩壊剤の医薬品集を管理している。米国食品医薬品局に対応する国際機関は、同様の医薬品集を管理している。表1に、米国での使用が承認された例示的な抗新生物剤の一覧を示す。当業者は、例示的な薬剤について、米国で承認された全ての化学療法剤に必要な「製品ラベル」に、承認された適応、投薬情報、毒性データなどが記載されていることを認識しているであろう。
【0074】
【表1】










【0075】
抗がん剤にはさらに、抗がん活性を有すると同定されているが、U.S. Food and Drug Administrationもしくは同等の機関に現在認定されていない、または新規用途のために評価段階にある化合物も含む。例としては、3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセタート、17AAG、852 A、ABI-007、ABR- 217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジクオン、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンタアン(atrasenten)、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド、クロファラビン、コンブレタスタチンA4リン酸塩、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルパルシフェロール、E7070、E7389、エクチナサイジン743、エファプロキシラル、エフロルニチン、EKB-569、エンザスタウリン、エルロチニブ、エクシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、ホテムスチン、FR901228、Gl7DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グルフォスファミド、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリントニン、HSPPC-96、hul4.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン、イクサベピロン、ラパチニブ、レスタウルチニブ、リュープロリド、LMB-9イムノトキシン、ロナファーニブ、ルミリキシマブ(luniliximab)、マホスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテクサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセド二塩酸塩、ノルバデックス、NS-9、06-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピクサントロン、PS-341、PSC 833、PXDlOl、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ、レベッカマイシンアナログ、rhuアンジオスタチンタンパク質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-、15992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット、タランパネル(talampanel)、タリキダール、テムシロリムス、TGFa-PE38免疫毒素、サリドマイド、チマルファシン、チピファーニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、トリメトレキサートグルコン酸、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジレウトン、およびゾスキダル三塩酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0076】
抗がん剤および他の治療薬のより詳細な説明に関して、当業者は、Physician's Desk ReferenceおよびGoodman and Gilmanの「Pharmaceutical Basis of Therapeutics」第9版、編者Hardmanら、1996などを含むがこれらに限定されない、任意の数の指示的手引書を参照する。
【0077】
一態様において、抗がん剤は、アブラキサン、アクチノマイシンD、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、BCG生菌、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブタゾリジン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンα、ダウノマイシン、ダウノルビシン、デニロイキンディフチトクス、デキサメサゾン、デキスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピルビシン、エポエチンα、エストラムスチン、エチニルエストラジオール、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フィナステリド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、ゴセレリンアセタート、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシクロロキン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターロイキン-2、イリノテカン、ケトコナゾール、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾールHCl、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロンアセタート、メゲストロールアセタート、メロキシカム、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロンフェンプロピオナート、ナイトロジェンマスタード、ニトロイミダゾール、ニトロソウレア、ノフェツモマブ、オブリメルセンナトリウム、オプレルベキン、オキサリプラチン、オキサリプラチン、オキシフェンブタゾン、パクリタキセル、パミドロナート、ペガデマーゼ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、フェニルブタゾン、ピコプラチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロカルバジン、キナクリン、ラロキシフェン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ロミデプシン、サルグラモスチム、セムスチン、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、テモゾロマイド、テニポシド、テストラクトン、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チリパザミン、トポテカンHCl、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンおよびゾレドロン酸からなる群より選択される。
【0078】
別の態様では、抗がん剤はタキサンである。別の態様では、タキサンは、ドセタキセルおよびパクリタキセルからなる群より選択される。別の態様では、タキサンはドセタキセルである。
【0079】
本発明は、放射線療法を伴うゴシポールの律動的用量投与のための方法を提供する。本明細書に使用される「放射線療法剤」という用語は、がんの処置もしくは改善に有効であることが、および/またはアポトーシスの誘導因子として、当業者に公知である任意の種類の放射線療法を指す。本発明は、患者に治療線量の放射線を送達するために用いられる種類、量、または送達および投与系に限定されない。例えば、患者は、光子放射線療法、粒子ビーム放射線療法、放射線同位体療法(例えばモノクローナル抗体との放射性接合)、他の種類の放射線療法、およびその組合せを受けうる。いくつかの態様では、線形加速器を使用して放射線を患者に送達する。なお他の態様では、ガンマナイフを使用して放射線を送達する。
【0080】
放射線源は、患者の外部または内部でありうる。外部放射線療法が最も一般的であり、例えば線形加速器を使用して皮膚を介して高エネルギー放射線のビームを腫瘍部位に向けることを伴う。放射線ビームを腫瘍部位に限局する間に、正常で健康な組織の被曝を避けることはほぼ不可能である。しかし、外部放射線は通常は患者に十分に許容される。内部放射線療法は、がん細胞を特異的に標的化する送達システムの使用を含む、ビーズ、ワイヤー、ペレット、カプセル、粒子などの放射線発生源を、腫瘍部位またはその近くの体内に植え込むことを伴う(例えば、がん細胞結合性リガンドと結合した粒子を使用する)。そのような植込み物は、処置後に除去することができるし、また体内に不活性に放置することもできる。内部放射線療法の種類には、近接照射療法、組織内照射、体腔内照射、放射線免疫治療などが含むがこれらに限定されない。
【0081】
患者は、場合により、放射線増感剤(例えばメトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性低酸素選択的細胞毒素、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン-インターカレーター、5-チオトレトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサフリン、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン(tiripazamine)、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(高体温)など)、放射線防護剤(例えばシステアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミホスチン(amifostine)(WR 2721)、IL-1、IL-6など)を投与される。放射線増感剤は、腫瘍細胞の死滅を高める。放射線防護剤は、放射線の有害作用から健康な組織を保護する。
【0082】
放射線の線量が、許容されないネガティブな副作用を有さずに患者により許容される限り、任意の種類の放射線を患者に施用することができる。適切な種類の放射線療法には、例えば、イオン化(電磁)放射線療法(例えばX線またはγ線)または粒子ビーム放射線療法(例えば高線エネルギー放射線)が含まれる。イオン化放射線は、イオン化を生じる、すなわち電子を獲得または喪失するために十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線と定義される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるU.S. 5,770,581に記載されているように)。放射線の効果は、医師により少なくとも部分的に制御されうる。放射線の線量は、最大の標的細胞被曝と毒性減少のために、好ましくは分割される。
【0083】
動物に施用される放射線の合計線量は、好ましくは約0.01グレイ(Gy)〜約100Gyである。さらに好ましくは、約10Gy〜約65Gy (例えば約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gy、または60Gy)が処置のクールで施用される。いくつかの態様では、放射線の全部の線量を1日のクールにわたり施用することができるが、合計線量は、理想的には分割され、数日にわたり施用される。望ましくは、放射線療法は、少なくとも約3日間、例えば少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、または56日間(約1〜8週間)のクールにわたり施用される。したがって、放射線の1日線量は、約1〜5Gy(例えば、約1Gy、1.5Gy、1.8Gy、2Gy、2.5Gy、2.8Gy、3Gy、3.2Gy、3.5Gy、3.8Gy、4Gy、4.2Gy、または4.5Gy)、好ましくは1〜2Gy (例えば1.5〜2Gy)を含むであろう。放射線の1日線量は、標的となる細胞の破壊を誘導するために十分であるべきである。ある期間継続したならば、放射線を好ましくは毎日施用しないことによって、動物を休息させ、治療効果を実現させる。例えば、処置の各週について放射線を望ましくは連続する5日間施用し、2日間施用しないことによって、1週間に2日間休息させる。しかし、動物の応答性および任意の潜在的な副作用に応じて、放射線を1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、または7日全て/週だけ施用することができる。放射線療法は、治療期間中の任意の時点で開始することができる。好ましくは、放射線を第1週または第2週に開始し、治療期間の残りの時間に施用する。例として、例えば、固形腫瘍を処置するために、6週を含む治療期間の第1〜6または第2〜6週に放射線を施用する。または、5週を含む治療期間の第1〜5または第2〜5週に放射線を施用する。しかし、これらの例示的な放射線療法の施用スケジュールは、本発明を限定することを意図しない。
【0084】
抗菌治療剤もまた、本発明において治療剤として使用することができる。微生物の機能を死滅、阻害、または他の方法で減弱することのできる任意の薬剤を使用することができ、そのような活性を有すると考えられる任意の薬剤も同様である。抗菌剤には、単独または組み合わせて使用される、天然および合成抗生物質、抗体、阻害タンパク質(例えばデフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤などを含むがこれらに限定されない。実際に、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤などを含むがこれらに限定されない、任意の種類の抗生物質を使用することができる。
【0085】
本発明のいくつかの態様では、ゴシポールが不連続な投薬レジメンにより(すなわち律動的投薬により)投与されるならば、ゴシポールおよび一種または複数種の治療剤は、一つまたは複数の以下の状態、すなわち異なる周期性で、異なる継続期間で、異なる濃度で、異なる投与経路などで動物に投与される。いくつかの態様では、ゴシポールは、治療剤の前に、例えば治療剤を投与する0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間、1、2、3、4、5、または6日、1、2、3、または4週間前に、律動的投薬により投与される。いくつかの態様では、ゴシポールは、治療剤の後に、例えば、治療剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間、1、2、3、4、5、または6日、1、2、3、または4週間後に、律動的投薬により投与される。いくつかの態様では、ゴシポールおよび治療剤は、異なるスケジュールで同時投与され、例えばゴシポールは、少なくとも連続する2日間投与され、それに、ゴシポールが投与されない少なくとも1日が続き、一方で治療剤は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回投与される。他の態様では、ゴシポールは、週1日投与され、一方で、治療剤は、毎日、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回投与される。一つの態様では、(-)-ゴシポールは、21日毎に連続する3日間、1日2回投与され、一つの治療剤、例えばドセタキセルは、21日毎に投与され、別の治療剤、例えばプレドニゾンは毎日投与される。
【0086】
上記投薬投与スケジュールは、例示的な目的だけのために提供されたものであり、限定とみなしてはならない。
【0087】
薬学的組成物は、細胞にアポトーシスを誘導するために、または細胞をアポトーシス誘導因子に対して増感するために、治療有効量のゴシポールを薬学的に許容される担体と混合することにより製造することができる。薬学的組成物は、例えば、(±)-ゴシポール、(+)-ゴシポール、(-)-ゴシポール、(±)-ゴシポール共結晶、(+)-ゴシポール共結晶または(-)-ゴシポール共結晶を含みうる。
【0088】
本発明の範囲内で有用な薬学的組成物には、ゴシポールの対象となる目的を達成するために、例えばアポトーシスの誘導に応答性の疾患、状態または障害を処置、改善または予防するために有効な量でゴシポールを含有する全ての組成物が含まれる。個別の必要性は様々であるが、薬学的組成物中の各構成要素の有効量の最適範囲の決定は、当技術分野の技術の範囲内である。一つの態様では、ゴシポールを含む薬学的組成物を、患者、例えばヒトに1日あたり合計約1mg〜約1200mgの用量で、またはその薬学的に許容される塩を等価の用量で経口投与してもよい。別の態様では、1日に約5mg〜約500mg、約5mg〜約250mg、約5mg〜約100mg、または約5mg〜約60mgの合計経口用量を投与する。別の態様では、1日に約90mg〜約240mgの合計経口用量を投与する。別の態様では、1日に約80mg〜約200mgの合計経口用量を投与する。別の態様では、約5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mgまたは200mgの経口用量を1日2回投与する。別の態様では、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mgまたは80mgの経口用量を1日2回投与する。別の態様では、約50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgの経口用量を1日1回投与する。別の態様では、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mgまたは200mgの経口用量を1日1回投与する、ある態様では、投薬の間の期間が延長する状況で有害事象の見込みが減少しうることから、投薬の間の期間が延長するほど、投与されるゴシポールの量(例えば用量)は増大しうる。
【0089】
単位経口用量は、ゴシポールを含む薬学的組成物を約1mg〜約1000mg含みうる。一つの態様では、単位経口用量は、ゴシポールを含む薬学的組成物を約5mg〜約500mg含みうる。別の態様では、単位経口用量は約5mg〜約100mgを含みうる。別の態様では、単位経口用量は約5mg〜約30mgを含みうる。別の態様では、単位経口用量は約30mg〜約80mgを含みうる。別の態様では、単位経口用量は、約40mg〜約60mgを含みうる。ゴシポールを含む薬学的組成物をそれぞれ約1〜約1000mg、好都合には組成物を約5mg〜約100mg、例えば約1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mg含有する一つまたは複数の錠剤、カプセル剤などとして、単位用量を1日に1回または複数回投与してもよい。一つの態様では、単位経口用量は、1日2回投与される。別の態様では、単位経口用量は、1日2回、連続する3日間投与される。
【0090】
筋肉内注射のための用量は、一般に経口用量の約2分の1である。例えば、ゴシポールの適切な筋肉内用量は、約0.5mg〜約500mgであろう。一つの態様では、筋肉内用量は、約0.5mg〜約100mg、約0.5〜約50mg、約0.5mg〜約25mg、または約0.5mg〜約15mgであろう。
【0091】
局所処方では、組成物は、担体1グラムあたり約0.01〜100mgの濃度で存在しうる。一つの態様では、組成物は、約0.07mg/g〜約1.0mg/g、約0.1〜約0.5mg/g、または約0.4mg/gの濃度で存在する。
【0092】
賦形剤および佐剤を含む適切な薬学的に許容される担体を含有する薬学的組成物の一部として、ゴシポールを律動的投薬により投与してもよい賦形剤および佐剤は、組成物から薬学的に使用することのできる調製物への加工を容易にする。経口投与することのできる製剤には、錠剤、糖衣錠、徐放性トローチ剤、カプセル剤などが含まれる。局所投与することのできる製剤には、口内洗浄剤および洗口剤、ゲル剤、液体懸濁剤、ヘアリンス、ヘアジェル、シャンプーなどが含まれる。直腸投与することのできる製剤には、坐剤などが含まれる。注射による投与のための製剤には、適切な溶液などが含まれる。律動的投薬により投与される製剤は、約0.01〜約99%、または約0.25〜約75%のゴシポールを賦形剤と一緒に含有する。
【0093】
本発明の方法は、そのような方法の有益効果を経験しうる任意の患者に施用してもよい。そのような患者の主なものは、哺乳動物、例えばヒトであるが、本発明がそのように限定されることを意図しない。他の患者には、獣医学的動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコなど)が含まれる。
【0094】
ゴシポールおよびその薬学的組成物は、それらの対象となる目的を達成する任意の手段で律動的用量投与により投与してもよい。例えば投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、口腔、髄腔内、頭蓋内、鼻腔内または局所経路によってもよい。あるいは、または同時に、投与は経口経路によってもよい。投与される投薬量は、レシピエントの齢、健康状態、および体重、もしもあれば併用処置の種類、処置頻度、ならびに所望の効果の性質に依存するであろう。
【0095】
本発明の製剤は、それ自体公知の方法で、例えば、従来の混合、造粒、糖衣錠作製、溶解、または凍結乾燥工程により製造される。したがって、経口使用のための製剤は、活性化合物を固体賦形剤と混合すること、結果として生じた混合物を場合により摩砕すること、および所望または必要であれば、適切な佐剤を添加後に、錠剤または糖衣錠の内核を得るために顆粒混合物を加工することにより得ることができる。
【0096】
適切な賦形剤は、特に、糖などの増量剤(filler)、例えば乳糖またはショ糖、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製品および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、ならびに例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプンなどを使用したデンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤である。所望であれば、上述のデンプンおよびまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を加えてもよい。佐剤は、とりわけ、流動調節剤および滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムなどのその塩、および/またはポリエチレングリコールである。所望であれば、糖衣錠の内核は、胃液に耐性の適切なコーティングを備える。このために、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有しうる濃厚糖溶液を使用してもよい。胃液に耐性のコーティングを製造するために、適切なセルロース製品、例えばアセチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの溶液が使用される。例えば活性化合物の投薬の組合せを確認する、または特徴づけるために、染料または色素を錠剤または糖衣錠のコーティングに加えてもよい。
【0097】
経口使用することのできる他の製剤には、ゼラチン製のプッシュフィット(push-fit)カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤からできた密封軟カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、乳糖などの増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに場合により安定化剤と混合されうる顆粒形態の活性化合物を含有しうる。軟カプセルにおいて、活性化合物は、好ましくは脂肪油または流動パラフィンなどの適切な液体に溶解または懸濁されている。加えて、安定化剤を添加してもよい。
【0098】
直腸に使用することのできる可能な製剤には、例えば、一種または複数種の活性化合物と坐剤用基剤との組合せからなる坐剤が含まれる。適切な坐剤用基剤は、例えば、天然もしくは合成トリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。加えて、活性化合物と基剤との組合せからなる直腸用ゼラチンカプセルを使用することもまた可能である。可能な基剤の材料には、例えば、流動トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が含まれる。
【0099】
非経口投与に適した処方には、水可溶性形態の活性化合物の水溶液、例えば水可溶性の塩およびアルカリ溶液が含まれる。加えて、適切な油性注射懸濁物として活性化合物の懸濁物を投与してもよい。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはポリエチレングリコール-400が含まれる。懸濁物の粘度を増大させる物質を含有しうる注射用水性懸濁物は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含有しうる。場合により、懸濁物は安定化剤もまた含有しうる。
【0100】
本発明の局所組成物は、好ましくは、適切な担体を選択することにより、油剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏などとして処方される。適切な担体には、植物油または鉱物油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分岐鎖脂肪または油、動物脂肪および高分子量アルコール(C12よりも大きい)が含まれる。好ましい担体は、活性成分が可溶性の担体である。乳化剤、安定化剤、湿潤剤および抗酸化剤、ならびに所望であれば色または香りを与える薬剤もまた含ませてもよい。追加的に、経皮的透過促進剤をこれらの局所処方に採用することができる。そのような促進剤の例は、米国特許第3,989,816号および第4,444,762号に見出すことができる。
【0101】
クリーム剤は、好ましくは、鉱物油、自己乳化性蜜ロウおよび水の混合物から処方され、その混合物では、少量の扁桃油などの油に溶解した活性成分が混合されている。そのようなクリーム剤の典型例は、約40部の水、約20部の蜜ロウ、約40部の鉱物油および約1部の扁桃油を含むクリームである。
【0102】
軟膏剤は、活性成分の懸濁物を温かい軟パラフィンと共に扁桃油などの植物油に入れて混合し、その混合物を冷却させることによって処方してもよい。そのような軟膏剤の典型例は、約30重量%の扁桃油および約70重量%の軟白色パラフィンを含む軟膏剤である。
【0103】
ローション剤は、好都合には、活性成分の懸濁物をプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの適切な高分子量アルコールに入れて調製することにより調製することができる。
【0104】
以下の実施例は本発明の方法を例示するものであるが、限定するものではない。臨床治療において普通に遭遇され、当業者に明らかな様々な状態およびパラメーターの適切な改変および適合は、本発明の精神および範囲内に属する。
【0105】
実施例1
ゴシポールの律動的投薬
進行がんを有する患者における(-)-ゴシポールの毎日(すなわち連続)の投薬に対する律動的(すなわち間欠的)投薬の最大耐用量および安全性を比較するために、第I相臨床試験を実施した。この試験の第2の目的は、(-)-ゴシポールの任意の抗腫瘍活性を確認することであった。以下の投薬スケジュールに準じて、漸増する用量の(-)-ゴシポールで患者を処置した:「毎日」投薬:28日サイクルで5〜60mg/日の(-)-ゴシポールを21日間;「1日2回×3日」投薬:28日サイクルで30〜80mg 1日2回の(-)-ゴシポールを連続する3日間(例えば月曜-火曜-水曜)、一週おきに繰り返し投与;および「毎週」投薬:28日サイクルで80〜200mgの(-)-ゴシポールを毎週1回。有害事象(AE)は、NCI-CTCAE v3によりグレード分けした。全般に、律動的投薬(1日2回×3日および毎週)は、連続的毎日投薬よりも、低い率のAE、特にグレード3/4のAEを生じた(表2、総AE参照)。
【0106】
【表2】




【0107】
実施例2
ゴシポールの臨床的有効性
進行がんを有する患者に(-)-ゴシポールを投与後に、以下の投薬スケジュールに従って、臨床的有効性(例えば安定病態を60日またはそれ以上有する患者)をモニターした:「毎日」投薬:28日サイクルで5〜60mg/日の(-)-ゴシポールを21日間;「1日2回×3日」投薬:28日サイクルで30〜80mg 1日2回の(-)-ゴシポールを連続する3日間(例えば月曜-火曜-水曜)、一週おきに繰り返し投与;および「毎週」投薬:28日サイクルで80〜200mgの(-)-ゴシポールを毎週1回。律動的投薬(1日2回×3日)は、連続的毎日投薬よりも、長い安定病態継続日数の中央値を生じた(表3)。
【0108】
【表3】

【0109】
実施例3
A549非小細胞がん(NSCLC)異種移植モデルにおける(-)-ゴシポール酢酸共結晶のインビボ有効性
A549 NSCLC異種移植モデルにおける、単独またはタキソテール(TXT)と組み合わせた(-)-ゴシポール酢酸共結晶のインビボ有効性を、図2および3に示す。1投薬群あたりマウス8匹とし、約5百万個のA549細胞をヌードマウスに接種した。一試験では、(-)-ゴシポール酢酸共結晶(15mg/kg、経口投薬(po)、21日間毎日)を単独または8mg/kgのタキソテール(iv、週1回3週間)と組み合わせて3週間投与した(図2)。別の試験では、(-)-ゴシポール酢酸共結晶を60mg/kg、poで、1週間に3日(第1〜3日/週)、2週間に1回 (第1〜3日、次いで第15〜17日) で、単独または30mg/kgのタキソテール(iv、単回投与のみ、3週間に1回)と組み合わせて投与した(図3)。これらの実験の結果は、とりわけタキソテールと組み合わせた(-)-ゴシポール酢酸共結晶の間欠的投薬が、効果的に腫瘍体積を減少させることを示す。
【0110】
実施例4
ドセタキセルと組み合わせたゴシポールの臨床試験
組織学的に確認された転移性前立腺がんを有する患者への非盲検非ランダム第I〜II相臨床試験(CS-202と表示されている)が実施中である。簡潔には、患者を以下の二つのコホートに分ける:コホートA (ホルモン療法を受けてPSAレベル上昇を有する患者、すなわちホルモン抗療性患者)およびコホートB (ドセタキセル(タキソテール)を受けてPSAまたは疾患の進行を有する患者、すなわちドセタキセル抗療性患者)。ラベル毎に全ての患者を40〜60mgの(-)-ゴシポール酢酸共結晶(40〜60mg 1日2回、第1〜3日、21日毎)、75mg/m2ドセタキセル(21日毎)およびプレドニゾン(毎日)で処置した。
【0111】
9人の患者からの第I相のデータを以下のようにまとめる:用量制限毒性なし、重篤な消化管毒性なし、ドセタキセルの血液毒性の増加なし。
【0112】
第I〜II相のデータを、コホートAの最初の患者20人から得ることができる。患者の人口統計を表4に提供する。TAX 327臨床試験のさらなる詳細については、N. Engl. J. Med. 351:1502-1512 (2004)を参照されたい。
【0113】
【表4】

【0114】
図4は、コホートAの最初の患者20人の治療応答を表すウォーターフォールプロットである。これらのデータは、(-)-ゴシポール酢酸共結晶処置で高率のPSA応答を示している。加えて、20人中1人だけが処置の開始時に抗療性であった。この試験のデータはまた、時間に対するPSA応答の傾きが急激に減少し、PSA減少が処置の初期に起こり、そして長期持続することを示している(図5)。最終的に、CTスキャンは、(-)-ゴシポール、ドセタキセル、およびプレドニゾン処置後の腫瘍サイズの減少を示している(図6)。
【0115】
表5は、CS-202とTAX327との間の有効性と安全性の予備的な比較を示す。(-)-ゴシポール酢酸共結晶を投与されている患者(「(-)-ゴシポール」と表示する)は、PSAの50%減少の顕著な促進、および有意に低い抗療率を示す。(「D」=ドセタキセル;「P」=プレドニゾン)。
【0116】
【表5】

【0117】
表6は、ホルモン抗療性前立腺がんの処置のための、(-)-ゴシポール酢酸共結晶コホートA併用療法のPSA応答を、承認されたドセタキセル単剤療法レジメンおよび他の治験併用療法と比較したものである。(-)-ゴシポール酢酸共結晶(「(-)-ゴシポール」と表示する)の応答は、これらの他の試験に報告されたものに比べて勝っている。
【0118】
【表6】

【0119】
図7に、コホートBの最初の患者11人の治療応答を図示する。これらのデータは、患者11人中6人が(-)-ゴシポール酢酸共結晶処置で所望のPSA応答を示し、患者4人がPSA応答に30+%の減少、および2人が50+%の減少を有したことを示す。
【0120】
図8〜10に、(-)-ゴシポール酢酸共結晶をコホートBの様々な患者のタキソテール投与レジメンに加えたときの迅速な治療応答を図示する。PSA応答の突然の反転(上昇から下降への)は、(-)-ゴシポール酢酸共結晶の律動的投薬が、化学療法抵抗性患者の処置に特に有効でありうることを示唆している。
【0121】
ここに本発明を十分に説明したが、当業者は、本発明の範囲またはその任意の態様に影響せずに、状態、処方、他のパラメーターが広く同等の範囲内で同じことを行われうることを了解しているであろう。本明細書に引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に十分に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴシポールを用いた処置に応答性の疾患、状態または障害を処置、改善または予防する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のゴシポールを律動的用量投与により投与することを含む、方法。
【請求項2】
疾患、状態または障害がアポトーシスの誘導に応答性である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アポトーシスの誘導に応答性の疾患、状態または障害が、過剰増殖性疾患、自己免疫障害、慢性炎症状態、ウイルス感染症、微生物感染症、寄生虫感染症、変形性関節症、およびアテローム性動脈硬化症からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
慢性炎症状態が乾癬である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
アポトーシスの誘導に応答性の疾患、状態または障害が、ウイルス感染症、微生物感染症、および寄生虫感染症からなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項6】
アポトーシスの誘導に応答性の疾患、状態または障害が過剰増殖性疾患である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
過剰増殖性疾患ががんである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
がんが、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、皮膚がん、膵臓がん、大腸がん、悪性黒色腫、卵巣がん、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頚部がん、神経膠腫、神経膠芽腫、肝がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、頭部癌、頚部癌、乳房癌、卵巣癌、肺癌、小細胞肺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣癌、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、大腸癌、前立腺癌、尿生殖器癌、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、悪性膵島インスリノーマ、悪性カルチノイド癌、絨毛上皮腫、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、頚部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリーセル白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症および網膜芽細胞腫からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
患者が、ゴシポールを毎日投与された場合に比べて、より少ないおよび/またはより重篤でない有害事象を被る、請求項1記載の方法。
【請求項10】
一種または複数種の追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
疾患、障害または状態ががんであり、かつ一種または複数種の追加の治療剤が一種または複数種の抗がん剤を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
一種または複数種の抗がん剤が、アブラキサン、アクチノマイシンD、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、BCG生菌、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブタゾリジン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンα、ダウノマイシン、ダウノルビシン、デニロイキンディフチトクス、デキサメサゾン、デキスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピルビシン、エポエチンα、エストラムスチン、エチニルエストラジオール、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フィナステリド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、ゴセレリンアセタート、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシクロロキン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターロイキン-2、イリノテカン、ケトコナゾール、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾールHCl、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロンアセタート、メゲストロールアセタート、メロキシカム、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロンフェンプロピオナート、ナイトロジェンマスタード、ニトロイミダゾール、ニトロソウレア、ノフェツモマブ、オブリメルセンナトリウム、オプレルベキン、オキサリプラチン、オキサリプラチン、オキシフェンブタゾン、パクリタキセル、パミドロナート、ペガデマーゼ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、フェニルブタゾン、ピコプラチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロカルバジン、キナクリン、ラロキシフェン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ロミデプシン、サルグラモスチム、セムスチン、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、テモゾロマイド、テニポシド、テストラクトン、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チリパザミン、トポテカンHCl、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンおよびゾレドロン酸からなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
抗がん剤がタキサンである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
タキサンが、ドセタキセルおよびパクリタキセルからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
一種または複数種の追加の治療剤が、アポトーシス誘導因子を含む、請求項10記載の方法。
【請求項16】
アポトーシス誘導因子が、一種または複数種の化学療法剤である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アポトーシス誘導因子が、一種または複数種の放射線療法剤である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
アポトーシス誘導因子が、一種または複数種の化学療法剤および一種または複数種の放射線療法剤の組合せである、請求項15記載の方法。
【請求項19】
患者が、一種または複数種の抗がん剤に対し化学療法抵抗性である、請求項11記載の方法。
【請求項20】
一種または複数種の抗がん剤がタキサンである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
タキサンがドセタキセルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
がんが、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、皮膚がん、膵臓がん、大腸がん、悪性黒色腫、卵巣がん、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頚部がん、神経膠腫、神経膠芽腫、肝がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、頭部癌、頚部癌、乳房癌、卵巣癌、肺癌、小細胞肺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣癌、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、大腸癌、前立腺癌、尿生殖器癌、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、悪性膵島インスリノーマ、悪性カルチノイド癌、絨毛上皮腫、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、頚部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリーセル白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症および網膜芽細胞腫からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
【請求項23】
がんが前立腺がんである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
ゴシポールが、一種または複数種の追加の治療剤の前に投与される、請求項10記載の方法。
【請求項25】
ゴシポールが、一種または複数種の追加の治療剤と同時投与される、請求項10記載の方法。
【請求項26】
ゴシポールが、一種または複数種の追加の治療剤の後に投与される、請求項10記載の方法。
【請求項27】
ゴシポールおよび一種または複数種の追加の治療剤が、異なる周期性で、異なる継続期間で、異なる濃度で、かつ異なる投与経路で投与される、請求項10記載の方法。
【請求項28】
ゴシポールが、2日毎に1日を超えない頻度で投与される、請求項1または10記載の方法。
【請求項29】
ゴシポールが、連続する少なくとも2日間投与され、それに該ゴシポールが投与されない少なくとも1日が続く、請求項1または10記載の方法。
【請求項30】
ゴシポールが、連続する少なくとも3日間投与される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
ゴシポールが、連続する3日間投与され、それに該ゴシポールが投与されない連続する少なくとも7日間が続く、請求項30記載の方法。
【請求項32】
ゴシポールが、連続する3日間投与され、それに該ゴシポールが投与されない連続する少なくとも11日間が続く、請求項31記載の方法。
【請求項33】
ゴシポールが、連続する3日間投与され、それに該ゴシポールが投与されない連続する少なくとも17日間が続く、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ゴシポールが、1日投与され、それに該ゴシポールが投与されない連続する6日間が続く、請求項1または10記載の方法。
【請求項35】
投与が少なくとも3週間継続される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1回繰り返される、請求項1または10記載の方法。
【請求項37】
ゴシポールが投与されない少なくとも1日の待機期間の後で、少なくとも1回繰り返される、請求項1または10記載の方法。
【請求項38】
待機期間が7日間である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
待機期間が14日間である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
待機期間が30日間である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
律動的用量投与が、二つまたはそれ以上の異なる律動的用量投与スケジュールの組合せの連続的使用を含む、請求項1または10記載の方法。
【請求項42】
スケジュールが、それぞれのスケジュールの間の、ゴシポールが投与されない少なくとも1日の待機期間で隔てられている、請求項41記載の方法。
【請求項43】
待機期間が7日間である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
待機期間が14日間である、請求項42記載の方法。
【請求項45】
待機期間が30日間である、請求項42記載の方法。
【請求項46】
ゴシポールを含む薬学的組成物が経口投与される、請求項10記載の方法。
【請求項47】
約5mg〜約200mgのゴシポールが1日2回経口投与される、請求項29記載の方法。
【請求項48】
約10mg〜約150mgのゴシポールが投与される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
約20mg〜約100mgのゴシポールが投与される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
約5mg〜約200mgのゴシポールが1日2回経口投与される、請求項30記載の方法。
【請求項51】
約10mg〜約150mgのゴシポールが投与される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
約20mg〜約100mgのゴシポールが投与される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
約30mg〜約90mgのゴシポールが投与される、請求項52記載の方法。
【請求項54】
約40mg〜約60mgのゴシポールが投与される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
約40mgのゴシポールが投与される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
約10mg〜約1000mgのゴシポールが経口投与される、請求項33記載の方法。
【請求項57】
約25mg〜約500mgのゴシポールが投与される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
約50mg〜約400mgのゴシポールが投与される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
約80〜約300mgのゴシポールが投与される、請求項58記載の方法。
【請求項60】
ゴシポールが(-)-ゴシポールである、請求項1または10記載の方法。
【請求項61】
それを必要とする患者に、抗がん剤と組み合わせて(-)-ゴシポールを投与することを含む、がんを処置、改善または予防する方法であって、約40mg〜約60mgの該(-)-ゴシポールが、1日2回、連続する3日間経口投与され、それに、該(-)-ゴシポールが投与されない連続する18日間が続く、方法。
【請求項62】
抗がん剤がドセタキセルである、請求項61記載の方法。
【請求項63】
患者が、抗がん剤に対し化学療法抵抗性を示している、請求項61記載の方法。
【請求項64】
抗がん剤がドセタキセルである、請求項63記載の方法。
【請求項65】
がんが前立腺がんである、請求項62または64記載の方法。
【請求項66】
約40mgの(-)-ゴシポールが投与され、かつ抗がん剤がドセタキセルであり、約75mg/m2の該ドセタキセルが、21日毎に静脈内投与される、請求項61記載の方法。
【請求項67】
プレドニゾンの毎日投与をさらに含む、請求項66記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−529023(P2010−529023A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510372(P2010−510372)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/006936
【国際公開番号】WO2008/150506
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509327862)アセンタ セラピューティックス インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】