説明

発光ダイオードの支持フレーム構造およびその製作方法(一)

【課題】金属フレームを直接個別の状態として製作することで、カッティングの費用を削減するとともに、製作過程にて点灯試験および品質の確認を行うことができる発光ダイオードの支持フレーム構造およびその製作方法を提供する。
【解決手段】複数の金属フレームを備えるストリップ材として加工形成され、二枚の電極板と二枚の接続板とを備えた金属材料を準備する。続いて、被覆する樹脂ベースを前記金属フレーム上に成形し、さらに前記金属フレームにおいて樹脂ベースで被覆されていない二枚の電極板をカッティングし、前記電極板はカッティングされ、前記樹脂ベースと前記二枚の接続板の前端面の接続部との接続のみが残された後、さらにダイボンディング、ワイヤボンディング、封止およびベーキングなどの作業を行う。最後に、封止が完成した発光ダイオードの樹脂ベースを長手方向で押動して、前記二枚の接続板の2つの接続が前記樹脂ベースから分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードに関し、とりわけ発光ダイオードの支持フレーム構造の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の絶え間ない進化において、すでに数多くの発光ダイオードが照明器具に応用されたり、またはランプバルブとして製作されるようになり、従来の照明器具およびランプバルブと取って代わられている。これまで発光ダイオードの照明器具およびランプバルブは製作において、いずれも発光ダイオードの輝度および放熱効果を如何に高めるかということが研究開発および改善の方向性となっていることから、発光ダイオードの製作コストも相対的に増加してしまっていた。
【0003】
発光ダイオードの製作コストが高いというのは、材料の選択という要因以外に、その一側面として製作方法が挙げられる。現在、従来の発光ダイオードの製作方法は、図1A、B(これは台湾で公開されている出願番号第201021252A1号である)に示すように、前記発光ダイオードはリードフレーム1aがプレス打ち抜きまたはエッチングされた後、前記リードフレーム1aの電極シート11a上には切り欠き部12aが成形され、リードフレーム1a上には樹脂封止体2aが成形され、樹脂封止体2aの製作が完了した後、さらにダイボンディング、ワイヤボンディングおよび封止などの工程を行う。ダイボンディング、ワイヤボンディングおよび封止工程の後、切り欠き部12aを目安にして縦方向切削3aを行って、縦方向切削3aの後に、さらに横方向切削4aを行うことで、個別の発光ダイオードを形成する。
【0004】
このような発光ダイオードのリードフレーム1aは板金と一体となっている形式となっており、しかも縦方向および横方向カッティングという二次カッティングを行わないと個別の発光ダイオードを形成できないため、製作にかなり時間がかかり、工程の手間が増え、そして発光ダイオードのリードフレーム1aが板金と一体となっている設計であることから、製作中に点灯試験を行って品質を確認するということができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の主な目的は従来の欠点を解決するところにあり、本発明では発光ダイオードの支持フレーム構造における金属フレームを直接個別の状態として製作することで、後続の加工製作時にカッティングの費用を削減するとともに、製作過程にて点灯試験および品質の確認を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、
複数の金属フレームを備えるストリップ材として加工形成されており、当該金属フレームは成型後に二枚の電極板と二枚の接続板とを備え、当該二枚の接続板の前端面には2つで対称となる接続部を有する、金属材料を準備し、
後に前記二枚の電極板および前記二枚の接続板の前端部の接続部を被覆する樹脂ベースを前記金属フレーム上に成形し、
金属フレームにおいて樹脂ベースで覆われていない二枚の電極板をカッティングするものであり、前記二枚の電極板はカッティング後に屈曲され、前記樹脂ベースは前記二枚の接続板の前端面の接続部に接続され、
樹脂ベースを長手方向に押動させて、前記二枚の接続板の2つの接続部を前記樹脂ベースから分離する、ことを含む発光ダイオードの支持フレーム構造の製作方法(一)を提供する。
【0007】
このうち、前記加工がプレス打ち抜きまたはエッチングである。
【0008】
このうち、成形後に前記二枚の電極板を露出させる中空機能領域を有する前記樹脂ベースを熱硬化性樹脂で前記金属フレーム上に成形する。
【0009】
このうち、前記二枚の電極板のうちの一枚の上にはLEDチップが実装される。
【0010】
このうち、少なくとも一本の金線の一端が前記LEDチップ上に電気的に接続され、当該金線の他端が前記LEDチップの実装されていない電極板に電気的に接続される。
【0011】
このうち、前記樹脂ベースの中空機能領域内に樹脂材料が注入される。
【0012】
このうち、樹脂材料をベーキングした後、前記樹脂材料は乾燥し硬化した後に前記中空機能領域のレンズとして形成される。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の発光ダイオードの支持フレーム構造の製作方法により得られる発光ダイオードの支持フレーム構造(一)は、
その上に複数の金属フレームを備えており、当該金属フレームは2つで対応する二枚の電極板と2つで対応する二枚の接続板とを備えており、当該二枚の電極板と当該二枚の接続板は互いに直交する対応関係をなしており、また当該二枚の接続板上には2つで対称となる2つの接続部を各々備えるストリップ材と、
前記金属フレーム上に設けられ、前記二枚の電極板および前記二枚の接続板の2つの接続部を被覆する樹脂ベースと、を備えており、
このうち、二枚の電極板にて樹脂ベースで被覆されていない箇所をカッティングして屈曲して、前記樹脂ベースと前記二枚の接続板の前端部とを接続している。
【0014】
このうち、前記樹脂ベースが熱硬化性樹脂であって、前記二枚の電極板を露出させる中空機能領域をその上に有している。
【0015】
このうち、一枚の電極板に電気的に接続される少なくとも1つのLEDチップをさらに備えている。
【0016】
このうち、一端が前記LEDチップ上に電気的に接続され、他端が前記LEDチップの実装されていない電極板に電気的に接続されている少なくとも一本の金線をさらに備えている。
【0017】
このうち、前記樹脂ベースの中空機能領域上に設けられているレンズをさらに備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発光ダイオードは封止後において、樹脂ベースを長手方向上で押動するのみで、二枚の接続板の2つの接続部が変形した後に前記樹脂ベースから分離されて、封止が完了した個別の発光ダイオードが得られる。発光ダイオードの製作がより容易に簡単となり、カッティングの費用を削減するとともに、製作過程にて点灯試験および品質の確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】従来の発光ダイオードの側面および平面概略図。
【図1B】従来の発光ダイオードの側面および平面概略図。
【図2】本発明の発光ダイオードの支持フレーム構造の製作手順の概略図である。
【図3】本発明の複数の金属フレームを備えるストリップ材の概略図。
【図4】図3の金属フレーム一枚の拡大概略図。
【図5】図4の金属フレーム上に樹脂ベースを有する概略図。
【図6A】図5の金属フレームをカッティングする概略図。
【図6B】図6Aのカッティング後にさらに屈曲される側面概略図。
【図7】本発明の樹脂ベース内にLEDチップを実装し、ワイヤボンディングおよび封止する概略図。
【図8】図7の樹脂ベースと金属フレームとを分離する動作概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで本発明の技術内容および詳細な説明について、図面を合わせて下記のとおり説明する。
【0021】
本発明の発光ダイオードの支持フレーム構造の製作方法の手順の概略図である図2を参照されたい。また同時に図3ないし図8に開示するものを合わせて参照されたい。本発明の発光ダイオードの支持フレーム構造の製作方法(一)は、まず、工程100にて、プレス打ち抜きまたはエッチングなどの加工方法で複数の金属フレーム1を備えるストリップ材10として形成される金属材料を準備するものであり、前記金属フレーム1の各々の上には二枚の電極板11、11’および二枚の接続板12、12’を備えており、前記二枚の接続板12、12’の前端面上には2つで対称となる接続部13、13’が延出している。
【0022】
工程102にて、熱硬化性樹脂が加熱・硬化・成形される技術を用いて、成形後に前記二枚の電極板11、11’および前記二枚の接続板12、12’の前端面の接続部13、13’を被覆する樹脂ベース2を前記金属フレーム1上に成形する。しかも、前記樹脂ベース2は、前記二枚の電極板11、11’を露出させる中空機能領域21を有するように成形される。
【0023】
工程104にて、カッティングを行うとき、プレス打ち抜き技術を用いて裁断工具により、金属フレーム1において樹脂ベース2で被覆されていない二枚の電極板11、11’の箇所を切断して、前記二枚の電極板11、11’はカッティング後に屈曲されており、そして前記樹脂ベース2の側面と前記二枚の接続板12、12’の前端面の接続部13、13’(図6のA、Bに示す)との接続のみが残される。
【0024】
工程106にて、前記二枚の電極板11、11’のその一枚の上にはLEDチップ3が実装されている(図7に示す)。
【0025】
工程108にて、ダイボンディングの後、金線4のワイヤボンディング作業を行うものであって(図7に示す)、金線4の一端を前記LEDチップ3に電気的に接続する一方で、前記金線4の他端を、LEDチップ3が実装されていない電極板11または11’上に電気的に接続する。
【0026】
工程110にて、ワイヤボンディングの後、前記樹脂ベース2の中空機能領域21内に封止作業を行う。
【0027】
工程112にて、封止の後、樹脂材料をベーキングすることで、前記樹脂材料は乾燥・硬化した後に前記中空機能領域21のレンズ5として形成される(図7に示す)。
【0028】
工程114にて、前記樹脂材料のベーキングの後には、裁断工具を用いる必要はなく、単に樹脂ベース2を長手方向上で押動することで、前記二枚の接続板12、12’の2つの接続部13、13’が変形し前記樹脂ベース2から分離されて(図8に示す)、封止が完了した個別の発光ダイオードが得られる。
【0029】
本発明では発光ダイオードの支持フレームにおける金属フレームを個別の状態として製作することで、カッティングの費用を削減するとともに、製作過程にて点灯試験および品質の確認を行うことができる。
【0030】
図3ないし図8に開示するものを参照されたい。本発明の発光ダイオードの支持フレーム構造は、ストリップ材10と、樹脂ベース2と、少なくとも1つのLEDチップ3と、少なくとも一本の金線と、レンズ5とを備えている。
【0031】
前記ストリップ材10は、その上に複数の金属フレーム1を備えており、前記金属フレーム1上には2つで対応する二枚の電極板11、11’と、2つで対応する二枚の接続板12、12’とを備えており、前記二枚の接続板12、12’と前記二枚の接続板12、12’は互いに直交する対応関係をなしている。また、前記接続板12、12’上には2つで対称となる2つの接続部13、13’を各々有している。
【0032】
前記樹脂ベース2は、金属フレーム1上に設けられており、前記樹脂ベース2は前記二枚の電極板11、11’および前記二枚の接続板12、12’の2つの接続部13、13’を覆っている。また、前記樹脂ベース2上には、前記二枚の電極板11、11’を露出させる中空機能領域21を有している。しかも樹脂ベース2が前記金属フレーム1に実装された後、金属フレーム1の二枚の電極板11、11’はカッティング・屈曲されている。
【0033】
前記少なくとも1つのLEDチップ3は、電極板11または11’の一枚の上に電気的に接続されている。
【0034】
前記少なくとも一本の金線4は、その一端が前記LEDチップ3上に電気的に接続され、他端が電極板11または11’の一枚の上に電気的に接続されている。
【0035】
前記レンズ5は、前記樹脂ベース2の金属フレーム1上に設けられ、中空機能領域21内の二枚の電極板11、11’、LEDチップ3および金線4を封止している。
【0036】
上記した発光ダイオードは封止が完成する前には、金属フレーム1はカッティング作業を一回行うのみで、前記二枚の電極板11、11’にて樹脂ベース2で被覆されていない箇所でカッティングし屈曲される。よって発光ダイオードは封止後には、樹脂ベース2を長手方向上で押動するのみで、前記二枚の接続板12、12’の2つの接続部13、13’が変形した後に前記樹脂ベース2から分離されて、封止が完了した個別の発光ダイオードが得られる。発光ダイオードの製作がより容易に簡単となり、カッティングの費用を削減するとともに、製作過程にて点灯試験および品質の確認を行うことができる。
【0037】
上記は本発明の好ましい実施例に過ぎないうえ、本発明の実施の範囲を限定するためのものではない。およそ本発明の特許請求の範囲により行われる均等な変化および付加は、いずれも本発明の特許範囲に収まるものである。
【符号の説明】
【0038】
従来技術:
1aリードフレーム
11a電極板
12a切り欠き部
2a樹脂封止体
3a縦方向切削
4a横方向切削
本発明:
100〜114工程
10ストリップ材
1金属フレーム
11、11’電極板
12、12’接続板
13、13接続部
2樹脂ベース
21中空機能領域
3LEDチップ
4金線
5レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)、複数の金属フレームを備えるストリップ材として加工形成されており、当該金属フレームは成型後に二枚の電極板と二枚の接続板とを備え、当該接続板の前端面には2つで対称となる接続部を有する、金属材料を準備し、
b)、前記二枚の電極板および前記二枚の接続板の前端部の接続部を被覆する熱硬化性樹脂からなる樹脂ベースを前記金属フレーム上に成形し、
c)、金属フレームにおいて樹脂ベースで被覆されていない二枚の電極板をカッティングし、
d)、樹脂ベースを押動させて、前記二枚の接続板の2つの接続部を前記樹脂ベースから分離する、ことを含むことを特徴とする発光ダイオードの支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項2】
工程aの加工がプレス打ち抜きまたはエッチングである、ことを特徴とする請求項1に記載の支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項3】
工程bの樹脂ベース成形後に前記二枚の電極板を露出させる中空機能領域を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項4】
工程cにて、二枚の電極板をカッティング後に屈曲する、ことを特徴とする請求項3に記載の支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項5】
工程cと工程dとの間に、前記二枚の電極板のうちの一枚の上にLEDチップを実装する工程c1をさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載の支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項6】
工程c1の後に、少なくとも一本の金線の一端を前記LEDチップ上に電気的に接続し、当該金線の他端を前記LEDチップの実装されていない電極板に電気的に接続する工程c2を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項7】
工程c2の後に、前記樹脂ベースの中空機能領域内に樹脂材料を注入する工程c3を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項8】
工程c3の後に、樹脂材料をベーキングし、前記樹脂材料を乾燥し硬化した後に前記中空機能領域のレンズとして形成する工程c4を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の支持フレーム構造の製作方法(一)。
【請求項9】
その上に複数の金属フレームを備えており、当該金属フレームは2つで対応する二枚の電極板と2つで対応する二枚の接続板とを備えており、当該二枚の電極板と当該二枚の接続板は互いに直交する対応関係をなしており、また当該二枚の接続板上には2つで対称となる2つの接続部を各々備えるストリップ材と、
前記金属フレーム上に設けられ、前記二枚の電極板および前記二枚の接続板の2つの接続部を被覆する熱硬化性樹脂からなる樹脂ベースと、を備えており、
前記二枚の電極板にて樹脂ベースで被覆されていない箇所をカッティングして屈曲して、さらに樹脂ベースを押動することで、前記二枚の接続板の2つの接続部が変形し前記樹脂ベースから分離されている、ことを特徴とする発光ダイオードの支持フレーム構造(一)。
【請求項10】
前記樹脂ベース上に、前記二枚の電極板を露出させる中空機能領域を有している、ことを特徴とする請求項9に記載の支持フレーム構造(一)。
【請求項11】
一枚の電極板に電気的に接続される少なくとも1つのLEDチップをさらに備えている、ことを特徴とする請求項10に記載の支持フレーム構造(一)。
【請求項12】
一端が前記LEDチップ上に電気的に接続され、他端が前記LEDチップの実装されていない電極板に電気的に接続されている少なくとも一本の金線をさらに備えている、ことを特徴とする請求項11に記載の支持フレーム構造(一)。
【請求項13】
前記樹脂ベースの中空機能領域上に設けられているレンズをさらに備えている、ことを特徴とする請求項12に記載の支持フレーム構造(一)。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate