説明

発光ディスプレイおよびその制御方法

発光ディスプレイは、行と列に配置された画素を含む。第1の行の画素セルのパラメータ測定用の第1のスイッチ(S2)の制御に使用する制御信号(CTRL2)を、第2の行の画素セルのプログラミング用の第2のスイッチ(S1)の制御にも使用する。この手法で、1つの制御信号を使用して、プログラミングのために1つの画素セルを選択すると同時に、測定のために別の画素セルを選択することが可能である(S1、S2)。それ故、プログラミングと測定は、時間差を付けて実行するのに対して、アドレス指定は、それぞれの次の行に移動する。プログラミングは、電圧プログラミング(Vprog)が好ましい。一実施形態では、現在プログラミングする画素セルを流れる電流を遮断する。別の実施形態では、電流制御手段に結合する信号保持手段への過渡電流が衰えた後にだけ、測定を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ディスプレイに関し、特に、発光を制御することが可能なOLED(Organic Light Emitting Diode)すなわち有機発光ダイオードを含む発光ディスプレイに関する。さらに、本発明は、本発明によるディスプレイの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDの画素セルは、ディスプレイの耐用期間を通じて、加齢により性能の劣化を受ける。さらに、画素セルの電気光学特性は、製造工程の不完全のせいでディスプレイスクリーンの各場所にわたって変わり得る。この結果を補償するために、特に電圧駆動のOLED画素セルに対して、画素セルの特性を測定して駆動信号を適合させることが、広く利用されている。制御電流ではなく、駆動電圧を用いてOLED画素セルを駆動することで、所望の発光量の設定をより速くすることができる。しかし、通常運転中でのOLED画素セルの特性を測定することは、追加の電力供給線、制御線および測定線を必要とし、これらは光を放出する実行面積を減少する。それに対して、プログミングで使用するのと同じ線を使用して、例えばディスプレイにスイッチが入れられる度などの特定の測定周期で測定すれば、追加する線の数を減少させられるが、駆動信号の永続的な適応ができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、通常運転中にディスプレイ素子の特性(性能)の測定を許容する、発光ディスプレイおよびその発光ディスプレイを制御する方法の提供が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による発光ディスプレイでは、第1の行に配置された画素セルの第1および/または第3のスイッチを制御するための制御線が、第2の行に配置された画素セルの第2のスイッチも制御し、その第1の行と第2の行が、一実施形態において、互いに隣接している。ディスプレイ電流の駆動中、第2の行に配置された画素セルの制御手段が目標電流を流すようにプログラミングされ、同時に、第1の行に配置されている画素セルの電流および/または電圧が測定される。一旦1つの行がプログラミングされると他の行が測定され、行のアドレス指定は先に進む、すなわち、前のサイクルでプログラミングされた行が、今度は測定されることができる。好ましくは、例えばディスプレイの最上行からディスプレイの最下行へ行ごとのスキャンのような駆動スキームに従って、全行をプログラミングして測定した後、ディスプレイの最上行からのプログラミングおよび測定を再び始める。このようにして、時間差手法により通常運転中に発光ディスプレイの画素セルの素子の特性を測定することが可能となる上に、測定の実施に必要な制御線の数を減少することが可能である。
【0005】
本発明の一実施形態では、すでにプログラムしてある画素セルを流れる電流を測定するためと、プログラミングするべき次の画素セルにプログラミング電圧を印加するために、ただ1本の線を用意しており、それによって、ディスプレイに必要とする制御線の本数をさらに減少させている。プログラミング信号は、かなり素早く安定するので、行のプログラミングに利用可能な残りの時間を、前にプログラミングした行を測定するのに使用することができる。行をプログラミングし測定するのに利用可能な時間は、画像情報がリフレッシュされる割合とディスプレイの行数とに依存する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明について、以下に図を参照して説明する。
【0007】
これらの図では、同じまたは類似の要素は、同じ参照符号を使用して示す。
【0008】
図5は、全体像をわかり易くするためだけであり、必要に応じて、図1〜4の説明で参照する。
【0009】
本発明の第1の実施形態による発光ディスプレイでは、多数の画素セル101、201が行と列に配置されている。図1は、本発明の第1の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す。同図は、ディスプレイの隣接する2つの行の画素セル101、201を示す。画素セル101、201は、グランド(接地)と供給電圧VDDとの間に直列に接続されている、発光素子LEと電流制御手段CCと第3のスイッチS3とを含んでいる。同じ列に配置される画素セル101、201の電流制御手段CCの制御端子は、第1のスイッチS1によって第1のデータ線DATA1に切替可能に接続される。第1のデータ線DATA1は、目標電流を供給するように電流制御手段CCをプログラミングするのに使用される。第1のデータ線DATA1の本数は、ディスプレイの列の数に等しいことが好ましい。さらに、信号保持手段SHが各電流制御手段CCの制御端子に接続されて、セット制御信号を維持し、それによってプログラミングされた電流を維持する。第2のスイッチS2は、第3のスイッチS3と電流制御手段CCの結合点のそれぞれを第2のデータ線DATA2に接続する。第2のデータ線DATA2の本数は、ディスプレイの列の数に等しいことが好ましい。(各)第1の制御線CTRL1は、(対応の)1つの行に配置される画素セル101、201の第3のスイッチS3を制御するために用意される。第1の制御線CTRL1の本数は、ディスプレイの行の数に等しいことが好ましい。
【0010】
第2の制御線CTRL2は、第1の行に配置された画素セル101、201の第2のスイッチS2と、第2の行に配置された画素セルの第1のスイッチS1とを制御するために用意されており、ここで、第1と第2の行は互いに隣接する。言い換えれば、第2の制御線CTRL2は、この制御線CTRL2と同じ行に配置される画素セル101、201の第2のスイッチS2と、次の隣接行に配置される画素セル101、201の第1のスイッチS1とを制御する。本発明の第1の実施形態の展開では、ディスプレイの最下端の第2の制御線CTRL2は、ディスプレイの最下行に配置された画素セル101、201の第2のスイッチS2と、ディスプレイの最上行に配置された画素セル101、201の第1のスイッチS1とを制御する。
【0011】
本発明の第1の実施形態による発光ディスプレイの駆動方法は、次のステップを含む。第1の行の画素セル101の第3のスイッチを開き、電流制御手段CCおよび発光素子LEを流れる電流フローを遮断する。画素セルの第3のスイッチS3の開放は、第1の行の第1の制御線CTRL1に信号を相応に印加することにより行われる。画素セル201の第1のスイッチS1を閉じ、それによって電流制御手段CCの制御端子と第1のデータ線DATA1とを接続する。プログラミング電圧Vprogが、閉じている第1のスイッチS1と第1のデータ線DATA1を通じて、電流制御手段CCの制御端子に印加される。第2の行の画素セル201の第1のスイッチS1は、第1の行の第2の制御線CTRL2の相応の信号によって制御される。第1の行の第2の制御線CTRL2の信号は、第1の行の画素セル101の第2のスイッチS2をも閉じ、それによって、第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点を第2のデータ線DATA2に接続する。第2のデータ線DATA2を通じて、第1の行の画素セル101の電流制御手段CCと発光素子LEとに流れる電流が供給され、その電流が第2のデータ線DATA2を通じて測定される。画素セル101、201のプログラミングと測定を行った後で、第3のスイッチS3が再び閉じられ、第1と第2のスイッチS1、S2が、再び開かれる。一旦、第1と第2の行の画素セル101、201のプログラミングと測定が終了すると、第2の行、すなわち図5の画素セル201を含む行が、新たな第1の行になり、次の行、すなわち図5の画素セル301を含む行が、新たな第2の行になる。この方法は、ディスプレイの全部の行がそれぞれプログラミングされ測定されるまで繰り返され、次いでこの方法は、初めから、例えばディスプレイが行ごとに駆動されるときに、ディスプレイの最上行、すなわち画素セル001を含む行から新たに開始される。この方法は、新しい画像コンテンツをディスプレイに書き込む通常駆動サイクル中において、ディスプレイの画素セルの電気的特性を継続測定することを可能にする。留意すべきは、第3のスイッチS3の開放は、画素セルの電流制御手段CCのプログラミングの実行には、必要のないことである。この場合、プログラミングされている電流に起こりうる変化は、発光手段LEの明るさの増減によって目に見える。新しい電流をプログラミングする前に第3のスイッチS3が開かれている場合では、電流制御手段CCを現在プログラミング中での発光素子LEは、そのプログラミング中、光を少しも放射しない。
【0012】
本発明の第2の実施形態による発光ディスプレイでは、多数の画素セル101、201が行と列に配置され、ここで画素セル101、201は、本発明の第1の実施形態の画素セルと同様である。図2は、本発明の第2の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す。同図は、ディスプレイの隣接する行の2つの画素セル101、201を示す。図1に基づいて説明したディスプレイの実施形態と異なって、1つの行に配置された画素セル101の第2と第3のスイッチS2、S3と、次の隣接行に配置された画素セル201の第1のスイッチS1とを制御するために、第2の制御線CTRL2だけが用意されている。第2の制御線CTRL2の本数は、ディスプレイの行の数に等しいことが好ましい。さらに、第3のスイッチS3は、本発明の第1の実施形態で説明した第3のスイッチS3のタイプに対して代替タイプのものである。代替として、本発明の第2の実施形態の第3のスイッチS3は、本発明の第1の実施形態で説明したタイプと同じであるが、第2の制御線CTRL2を通じて印加される制御信号を反転させるインバータを備える。信号の反転は、第3のスイッチS3の制御電極の黒丸で示す。本発明の第1の実施形態で説明したディスプレイと同様に、第2の実施形態によるディスプレイでは、第1の行に配置された画素セル101の第2のスイッチS2および第2の行に配置された画素セル201の第1のスイッチS1は、同じ第2の制御線CTRL2によって制御され、ここで、第1と第2の行は、互いに隣接している。本発明の第1の実施形態で説明したディスプレイとやはり同様に、本発明の第2の実施形態の展開では、ディスプレイの最下端の第2の制御線CTRL2は、ディスプレイの最下行に配置された画素セル201の第2と第3のスイッチS2、S3と、ディスプレイの最上行に配置された画素セル101の第1のスイッチS1とを制御する。
【0013】
本発明の第2の実施形態による発光ディスプレイの駆動方法は、次のステップを含む。第2の行の画素セル201の第1のスイッチS1を閉じ、それによって電流制御手段CCの制御端子と第1のデータ線DATA1とを接続する。画素セル101を含む第1の行の第2の制御線CTRL2に相応の信号を印加することにより、第1のスイッチS1が閉じられる。同時に、第1の行の第2の制御線CTRL2の信号は、第1の行の画素セルの第3のスイッチS3を開き、第1の行の画素セルの第2のスイッチS2を閉じる。それによって、第1の行の画素セルの第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点は、第2のデータ線DATA2に接続される。第1の行の画素セルの発光手段LEと電流制御手段CCとに流れる電流が今や供給され、第2のデータ線DATA2を介して測定される。第2の行の画素セルの電流制御手段CCを通る新しい目標電流が、第1のデータ線DATA1によってプログラミングされる。プログラミング電圧Vprogが、閉じている第1のスイッチS1および第1のデータ線DATA1を通じて電流制御手段CCの制御端子に印加される。画素セル101、201のプログラミングおよび測定を行った後、第3のスイッチS3が再び閉じられ、第1と第2のスイッチS1、S2が、再び開かれ、それによって通常運転を再開する。一旦、第1と第2の行の画素セル101、201のプログラミングおよび測定が終了すると、第2の行、すなわち図5の画素セル201を含む行が、新しい第1の行になり、次の行、すなわち図5の画素セル301を含む行が、新しい第2の行になる。この方法は、ディスプレイの全部の行がそれぞれプログラミングされ、測定されるまで繰り返され、次いでこの方法は、初めから、例えばディスプレイが行ごとに駆動されるときには、ディスプレイの最上行、すなわち画素セル001を含む行から新たに開始される。この方法は、新しい画像コンテンツをディスプレイに書き込む通常駆動サイクル中において、ディスプレイの画素セルの電気的特性を継続測定することを可能にする。
【0014】
本発明の第3の実施形態による発光ディスプレイでは、多数の画素セルが、第1と第2の実施形態で説明したのと同様のやり方で、行と列に配置される。図3は、本発明の第3の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す。図1、図2と同様に、ディスプレイの隣接する行の2つの画素セル101、201を示す。この場合もやはり、(各)第1の制御線CTRL1が、(対応の)1つの行に配置される画素セル101、201の第3のスイッチS3を制御するために用意される。第1の制御線CTRL1の本数は、ディスプレイの行の数に等しいことが好ましい。第1の実施形態で説明したディスプレイと同様に、第2の制御線CTRL2は、第1の行に配置される画素セル101の第2のスイッチS2と、第2の行に配置される画素セル201の第1のスイッチS1とを制御するために用意され、ここで、第1と第2の行101、201は、互いに隣接する。第2の制御線CTRL2の本数は、ディスプレイの行の数と等しいことが好ましい。本発明の第1の実施形態で説明したディスプレイとやはり同様に、本発明の第3の実施形態の展開では、ディスプレイの最下端の第2の制御線CTRL2は、ディスプレイの最下行に配置された画素セルの第2のスイッチS2と、ディスプレイの最上行に配置された画素セルの第1のスイッチS1とを制御する。本発明の第3の実施形態では、それぞれの第2の行の画素セル201の電流制御手段CCのプログラミングと、それぞれの第1の行の画素セル101の電気的特性の測定とを実質的に同時に行うための、第2のデータ線DATA2だけを用意している。第2のデータ線DATA2の本数は、ディスプレイの列の数に等しいことが好ましい。本発明の第3の実施形態によれば、プログラミング電圧Vprogが、電流測定手段CMを通してそれぞれの第2のデータ線DATA2に印加される。それぞれの第2の行では、電流制御手段CCは、電流制御手段CCの制御端子を第2のデータ線DATA2に接続する閉じた第1のスイッチS1を通じて、プログラミングされる。それぞれの第1の行では、閉じた第2のスイッチS2は、第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点をそれぞれの第2のデータ線DATA2に接続する。この手法では、電流制御手段CCに関連する信号保持手段SHへの充電電流が安定した後、1列に配置されている全画素セルに対してデータ線1本だけを使用して、前にプログラミングした画素セルの電流制御手段CCを通じて電流の測定が可能となる。便宜上、プログラミング電圧は、電流測定手段CMで起こり得る電圧降下を考慮する。第2のデータ線DATA2の遠端、すなわち第2のデータ線DATA2のプログラミング電圧Vprogを供給していない端におけるプログラミング電圧の測定、および第2のデータ線DATA2を通じて現在動作している画素セルに対する供給電流の測定も可能である。留意すべきは、プログラミング電圧は、第2のデータ線DATA2を通じて電流を現在供給している画素セルに対して、目標電流を配ることができるように、十分に高い電圧であることが必要であることである。
【0015】
本発明の第3の実施形態による発光ディスプレイの駆動方法は次のステップを含む。第1の行の画素セル101の第3のスイッチを開いて、電流制御手段CCおよび発光素子LEを流れる電流フローを遮断する。画素セルの第3のスイッチS3の開放は、第1の行の第1の制御線CTRL1に、信号を相応に印加することにより行う。第2の行の画素セル201の第1のスイッチS1を閉じ、それによって、電流制御手段CCの制御端子を第2のデータ線DATA2に接続する。プログラミング電圧Vprogが、閉じた第1のスイッチS1と第2のデータ線DATA2とを通じて、電流制御手段CCの制御端子に印加される。第2の行の画素セル201の第1のスイッチS1は、第1の行の第2の制御線CTRL2の相応の信号によって制御される。第1の行の第2の制御線CTRL2の信号は、第1の行の画素セル101の第2のスイッチS2をも閉じ、それによって、第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点を第2のデータ線DATA2に接続する。ディスプレイの第1の行の画素セル101の第3のスイッチS3が、第1の行の第1の制御線CTRL1に信号を相応に印加することによって開かれる。そうすることで、第1の行の画素セル101の電流制御手段CCおよび発光素子LEを流れる電流フローは、遮断されることとなるはずである。しかし、閉じた第2のスイッチS2が第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点をそれぞれの第2のデータ線DATA2に接続するので、電流測定手段CMを通してそれぞれの第2のデータ線DATA2に印加されたプログラミング電圧Vprogが、第1の行の画素セル101に動作電流を供給する。それぞれの第2の行では、電流制御手段CCは、電流制御手段CCの制御端子を第2のデータ線DATA2に接続する閉じた第1のスイッチS1を通じて、プログラミングされる。この手法では、電流制御手段CCに関連する信号保持手段SHへの充電電流が安定した後、1列に配置されている全画素セルに対してデータ線1本だけを使用して、前にプログラミングした画素セルの電流制御手段CCを通じて電流の測定が可能である。画素セル101、201のプログラミングおよび測定を行った後、第3のスイッチS3が、再び閉じられ、第1と第2のスイッチS1、S2が再び開かれる。一旦、第1と第2の行の画素セル101、201のプログラミングおよび測定が終了すると、第2の行すなわち図5の画素セル201を含む行が、新しい第1の行になり、次の行すなわち図5の画素セル301を含む行が、新しい第2の行になる。この方法は、ディスプレイの全行がそれぞれプログラミングされて測定されるまで、繰り返される。次いでこの方法は、初めから、例えばディスプレイが行ごとに駆動されるときには、ディスプレイの最上行、すなわち画素セル001を含む行から新たに開始される。この方法は、新しい画像コンテンツをディスプレイに書き込む通常駆動サイクル中に、ディスプレイの画素セルの電気的特性を継続測定することを可能にする。留意すべきは、第3のスイッチS3の開放は、画素セルの電流制御手段CCのプログラミングの実行には、必要のないことである。この場合、プログラミングされている電流に起こりうる変化は、発光手段LEの明るさの増減によって目に見える。新しい電流をプログラミングする前に第3のスイッチS3が開かれている場合には、電流制御手段CCをプログラミング中における発光素子LEは、プログラミング中、光を少しも放射しない。
【0016】
本発明の第4の実施形態による発光ディスプレイでは、多数の画素セルが、第1、第2および第3の実施形態で説明したのと同様のやり方で、行と列に配置されている。図4は、本発明の第4の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す。図1、図2および図3と同様に、ディスプレイの隣接する行の2つの画素セル101、201を示す。図2に基づいて説明したディスプレイの第2の実施形態と同様に、1つの行に配置された画素セル101の第2と第3のスイッチS2、S3および次の隣接行に配置された画素セル201の第1のスイッチS1を制御するために、第2の制御線CTRL2だけが用意されている。第2の制御線CTRL2の本数は、ディスプレイの行の数に等しいことが好ましい。さらに、第3のスイッチS3は、本発明の第1と第3の実施形態で説明した第3のスイッチS3のタイプの代替タイプのものである。代替として、本発明の第4の実施形態の第3のスイッチS3は、本発明の第1と第3の実施形態で説明したタイプと同じであるが、第2の制御線CTRL2を通じて印加された制御信号を反転させるインバータを備える。信号の反転は、第3のスイッチS3の制御端子の黒丸で示す。これまでに説明した全てのディスプレイと同様に、本発明の第4の実施形態の展開では、ディスプレイの最下端の第2の制御線CTRL2は、ディスプレイの最下行に配置された画素セルの第2と第3のスイッチS2、S3と、ディスプレイの最上行に配置された画素セルの第1のスイッチS1とを制御する。図3に基づいて説明した第3の実施形態と同様に、本発明の第4の実施形態では、それぞれの第2の行の画素セル201の電流制御手段CCのプログラミングと、それぞれの第1の行の画素セル101の電気的特性の測定とを実質上同時に行うために、第2のデータ線DATA2だけを用意している。第2のデータ線DATA2の本数は、ディスプレイの列の数に等しいことが好ましい。本発明の第4の実施形態によれば、プログラミング電圧Vprogが、電流測定手段CMを通してそれぞれの第2のデータ線DATA2に印加される。それぞれの第2の行では、電流制御手段CCは、電流制御手段CCの制御端子を第2のデータ線DATA2に接続する閉じた第1のスイッチS1を通じて、プログラミングされる。それぞれの第1の行では、閉じた第2のスイッチS2は、第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点をそれぞれの第2のデータ線DATA2に連結する。この手法では、電流制御手段CCに関連する信号保持手段SHへの充電電流が安定した後、1列に配置されている全画素セルに対してデータ線1本だけを使用して、前にプログラミングした画素セルの電流制御手段CCを通じて電流の測定が可能である。便宜上、プログラミング電圧は、電流測定手段CMで起こり得る電圧降下を考慮する。第2のデータ線DATA2の遠端、すなわち第2のデータ線DATA2のプログラミング電圧Vprogを供給していない端におけるプログラミング電圧の測定、および第2のデータ線DATA2を通じて現在動作している画素セルに対する供給電流の測定も可能である。留意すべきは、プログラミング電圧は、第2のデータ線DATA2を通じて電流を現在供給している画素セルに対して、目標電流を配ることができるように、十分に高い電圧であることが必要であることである。
【0017】
本発明の第4の実施形態による発光ディスプレイの駆動方法は、次のステップを含む。第1の行の画素セル101の第3のスイッチを開いて、電流制御手段CCおよび発光素子LEを流れる電流フローを遮断する。画素セルの第3のスイッチS3の開放は、第1の行の第2の制御線CTRL2に信号を相応に印加することにより行う。第2の行の画素セル201の第1のスイッチS1を閉じ、それによって、電流制御手段CCの制御端子を第2のデータ線DATA2に接続する。プログラミング電圧Vprogが、閉じた第1のスイッチS1と第2のデータ線DATA2とを通じて、電流制御手段CCの制御端子に印加される。第2の行の画素セル201の第1のスイッチS1は、第1の行の画素セル101の第3のスイッチS3と同じく、ディスプレイの第1の行の第2の制御線CTRL2の信号によって制御される。第1の行の第2の制御線CTRL2の信号は、第1の行の画素セル101の第2のスイッチS2をもさらに閉じ、それによって、第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点を第2のデータ線DATA2に接続する。第1の行の画素セル101の第3のスイッチS3が開くと、第1の行の画素セル101の電流制御手段CCおよび発光素子LEを流れる電流フローは、遮断されることとなるはずである。しかし、閉じた第2のスイッチS2が第3のスイッチS3と電流制御手段CCとの間の結合点をそれぞれの第2のデータ線DATA2に接続するので、電流測定手段CMを通してそれぞれの第2のデータ線DATA2に印加されたプログラミング電圧Vprogが、第1の行の画素セル101に対して動作電流を供給する。それぞれの第2の行では、電流制御手段CCは、電流制御手段CCの制御端子を第2のデータ線DATA2に接続する閉じた第1のスイッチS1を通じて、プログラミングされる。この手法では、電流制御手段CCに関連する信号保持手段SHへの充電電流が安定した後、1列に配置されている全画素セルに対してデータ線1本だけを使用して、前にプログラミングした画素セルの電流制御手段CCを通じて電流の測定が可能である。画素セル101、201のプログラミングおよび測定を行った後、第3のスイッチS3が再び閉じられ、第1と第2のスイッチS1、S2が、再び開かれる。一旦、ディスプレイの第1と第2の行の画素セル101、201のプログラミングおよび測定が終了すると、第2の行すなわち図5の画素セル201を含む行が、新しい第1の行になり、次の行、すなわち図5の画素セル301を含む行が、新しい第2の行になる。この方法は、ディスプレイの全部の行がそれぞれプログラミングされて測定されるまで繰り返される。次いで、この方法は、初めから、例えばディスプレイが行ごとに駆動されるときには、ディスプレイの最上行、すなわち画素セル001を含む行から新たに開始される。この方法は、新しい画像コンテンツをディスプレイに書き込む通常駆動サイクル中に、ディスプレイの画素セルの電気的特性を継続測定することを可能にする。
【0018】
プログラミングと測定とに時間差を付けることにより、本発明の回路および駆動方法は、プログラミングした画素セルの素子に流れる電流を測定する前に、画素セルの素子が安定状態に達するのを都合よく可能にする。本発明の回路は、さらに専用の制御線を追加する必要をなくすが、これ(本発明の回路)以外の方法では、プログラミングと測定に時差をもたらすために、専用の制御線の追加が必要となるであろう。現在プログラミングしている画素セルで、プログラミング信号が安定するために必要とする時間は、画素セルの動作サイクルに比べて無視することができる。
【0019】
測定結果は、電気光学パラメータに応じて、目標の光出力に対する公称プログラミング値、例えば一定の電流を流すために必要な電流制御手段のそれぞれの端子の制御電圧または発光手段の電圧を適合させるために使用される。
【0020】
本発明の第1と第2の実施形態の電流測定手段CMは、1列だけの代わりに複数列からなるグループに対しても用意されてもよい。この場合、例えば一度に1列の画素セルだけを発光させるパターンなどのしかるべきビデオパターンを適用することにより、1つの画素セルを通る電流の測定が可能である。この目的のために、電流測定手段は、スイッチにより個別の列または列のグループに選択的に接続されてもよい。
【0021】
本発明について、発光素子としてOLEDを使用した発光ディスプレイを参照して説明したが、当業者には当然のことながら、本発明の概念は、発光ディスプレイの明るさが発光素子を流れる電流に依存し、制御電圧を使用して設定するような他のどのような種類の発光ディスプレイにも適用し得る。従って、本発明は、発光素子としてOLEDの代わりに例えばLEDを使用する発光ディスプレイにも適用し得る。
【0022】
当業者には当然のことながら、配置に関して画素セルの位置についての行および列という用語は、交換して使用してもよく、それ故、これまでに説明した例示の配置に本発明を限定しない。
【0023】
さらに、共通の制御線によって制御されるスイッチを持つ1列の画素セルは、必ずしも互いに隣接する必要がないことは明らかである。これまでの図に示した実施形態例は、むしろわかり易さの理由から隣接行を示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による発光ディスプレイの詳細を示す図である。
【図5】行と列に配置された画素セルの概観図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行および列に配置された画素セル(101、201)を含む発光ディスプレイであって、前記画素セルは発光手段(LE)および電流制御手段(CC)を含み、前記電流制御(CC)手段が前記発光手段(LE)を流れる電流を制御し、前記画素セルは第1のスイッチ(S1)をさらに含み、該第1のスイッチ(S1)が、電流のプログラミングのために、それぞれの電流制御手段の制御端子を第1のデータ線(DATA1)に接続し、前記画素セルは第2のスイッチ(S2)をさらに含み、該第2のスイッチ(S2)が、前記電流制御手段(CC)に流れる電流および/または前記接続点の電圧測定のために、前記電流制御手段の導電端子を第2のデータ線(DATA2)に接続し、第1の行にある第1の画素セルの前記第1のスイッチ(S1)と第2の行にある第2の画素セルの前記第2のスイッチ(S2)とが、共通制御線(CTRL2)に接続され、該第1の画素セルと該第2の画素セルが同じ列に配置されていることを特徴とする発光ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1と前記第2のデータ線(DATA1、DATA2)を1本のデータ線(DATA2)に統合していることを特徴とする請求項1に記載の発光ディスプレイ。
【請求項3】
前記電流制御手段(CC)および前記発光手段(LE)を供給電圧(VCC)に対して切替可能に接続するために、第3のスイッチ(S3)を前記発光手段(LE)および前記電流制御手段(CC)に直列に接続していることを特徴とする請求項1または2に記載の発光ディスプレイ。
【請求項4】
画素セルの前記第3のスイッチ(S3)が、同じ画素セルのそれぞれの第2のスイッチ(S2)の制御線と同じ制御線(CTRL2)によって制御されており、前記スイッチング信号を反転させるインバータを備えているか、または前記スイッチの応答特性が前記第2のスイッチ(S2)に比べて反転されていることを特徴とする請求項3に記載の発光ディスプレイ。
【請求項5】
電流測定手段(CM)が複数列の複数の第2のデータ線(DATA2)に選択的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の発光ディスプレイ。
【請求項6】
プログラミングおよび測定のサイクル中における請求項1に記載の発光ディスプレイの駆動方法であって、
共通制御線(CTRL2)に制御信号を印加することにより、同じ列の第1の行および第2の行に配置された画素セルの前記第1と前記第2のスイッチ(S1、S2)を閉じるステップと、
第1の行の前記電流制御手段(CC)に流れる電流をプログラミングするために前記第1のデータ線(DATA1)にプログラミング信号を印加するステップと、
前記第2のデータ線(DATA2)を介して第2の行の前記発光手段(LE)に流れる前記電流を測定するステップと、
前記第1と前記第2のスイッチ(S1、S2)を開くステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
プログラミングおよび測定のサイクル中における請求項2に記載の発光ディスプレイの駆動方法であって、
前記共通制御線(CTRL2)に制御信号を印加することにより、同じ列の第1の行および第2の行に配置された画素セルの前記第1と前記第2のスイッチ(S1、S2)を閉じるステップと、
前記第1の行の前記電流制御手段(CC)に流れる電流をプログラミングするために、前記統合された1本のデータ線(DATA2)にプログラミング信号を印加するステップと、
前記統合された1本のデータ線(DATA2)を介して前記第2の行の前記発光手段(LE)に流れる前記電流を測定するステップと、
前記第1と前記第2のスイッチ(S1、S2)を開くステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記電流は、前記電流制御手段(CC)をプログラミングすることに関連する過渡電流が安定した後でのみ測定されることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−518671(P2009−518671A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543753(P2008−543753)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066772
【国際公開番号】WO2007/065741
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】