説明

発光モジュール、発光装置、発光モジュールの作製方法、発光装置の作製方法

【課題】有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュール、または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを用いた発光装置を提供する。または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールの作製方法、または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを用いた発光装置の作製方法を提供する。
【解決手段】第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成された発光素子と粘性材層を、当該発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は当該発光素子と第2の基板の間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュール、発光モジュールを用いた発光装置、発光モジュールの作製方法および発光モジュールを用いた発光装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の電極の間に膜状に広がる発光性の有機化合物を含む層(EL層ともいう)を備える発光素子が知られている。このような発光素子は例えば有機EL素子と呼ばれ、一対の電極の間に電圧を印加すると、発光性の有機化合物から発光が得られる。そして、有機EL素子を用いた照明装置や、表示装置などに適用した発光装置が知られている。有機EL素子を用いた表示装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
また、有機EL素子の信頼性は、大気中の不純物(代表的には水および/または酸素)が存在する環境において、損なわれ易い。そして、有機EL素子を封止するためのさまざまな構造が検討されている。
【0004】
例えば、透湿性の低い基板上に形成された有機EL素子を透湿性の低い封止膜で覆う封止構造が知られている。また、一対の基板の間に有機EL素子と吸湿性物質を含む層を内側に封じ込めるように、該一対の基板が固着された表示装置の一例が、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−324673号公報
【特許文献2】特開2005−209633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機EL素子を覆う封止膜の透湿性を充分に低い値(具体的には、ガスバリア性が水蒸気透過率として10−5g/m・day以下、好ましくは10−6g/m・day以下)にするには、大気中の不純物を透過し難い材料を選択して、充分な厚さで成膜して用いる必要がある。
【0007】
例えば、CVD法やスパッタリング法などによりピンホールを生ずることなく充分な厚さで形成された無機材料を含む膜は、大気中の不純物が透過し難く、有機EL素子の封止膜として好適である。しかし、CVD法やスパッタリング法などは成膜速度が遅く、短時間で充分な厚さの封止膜を作製することは困難である。
【0008】
一方、液状の組成物を硬化する方法によれば、短時間で厚い膜が形成できる。しかし、有機EL素子に接して液状組成物を硬化すると、硬化に伴う体積の収縮が有機EL素子に応力を加え、有機EL素子が損傷し、発光不良が引き起こされる場合がある。
【0009】
本発明の一態様は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供することを課題の一とする。
【0010】
または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを用いた発光装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールの作製方法を提供することを課題の一とする。
【0012】
または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを用いた発光装置の作製方法を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、有機EL素子を覆う封止構造が当該有機EL素子に与える応力に着眼した。そして、以下の構成を備える発光モジュールに想到し、上記課題の解決に至った。
【0014】
本発明の一態様の発光モジュールは、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成された発光素子と粘性材層を、当該発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は当該発光素子と第2の基板の間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。
【0015】
すなわち、本発明の一態様は、第1の基板と、第1の基板と対向する第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、第1の基板と第2の基板の間に発光素子、粘性材層および枠体と、を有する発光モジュールである。そして、発光素子は、第1の基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極と重なる第2の電極と、第1の電極と第2の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層と、を備える。そして、粘性材層は、発光素子に接して第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含む。そして、枠体は、発光素子と粘性材層を囲み、シール材は、発光素子と、粘性材層と、枠体と、を内側に封じ込めるように設けられている。
【0016】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成された発光素子と粘性材層を、発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は周囲を枠体で囲われて、発光素子に接して前記第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。
【0017】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、が発光素子を囲むため、不純物が発光モジュールの内部に侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層は非固体であって発光素子と第2の基板の間で流動する。その結果、発光素子に加わる応力は粘性材層に緩和され、発光素子の損傷を防ぐことができる。また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光モジュール内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、発光素子の劣化を防ぐことができる。また、発光素子に接して設けられた粘性材層が、発光素子の駆動に伴う発熱を第2の基板の側に放熱し、発光素子の熱による劣化を抑制できる。また、発光素子と第2の基板の間に挟まれた粘性材層が、発光素子の発熱による寸法変化に起因する、発光素子と第2の基板の間に生じる応力を緩和して、発光素子の損傷を防ぐことができる。
【0018】
これらの相乗作用の結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0019】
また、本発明の一態様は、第1基板と、第1の基板と対向する第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、第1の基板と第2の基板の間に発光素子、粘性材層および枠体と、を有する発光モジュールである。そして、発光素子は、第1の基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極と重なる第2の電極と、第1の電極と第2の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層と、を備える。そして、粘性材層は、発光素子に接して前記第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含む。そして、枠体は、発光素子、粘性材層、第1の空間および第2の空間を囲み、第1の空間は発光素子と重なり、第2の空間は狭窄部を介して第1の空間と接続し、且つ少なくとも一部に粘性材層で満たされていない空間を備え、シール材は、発光素子と、粘性材層と、枠体と、を内側に封じ込めるように設けられている。
【0020】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成された発光素子と粘性材層を、発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は周囲を枠体で囲われて、発光素子に接して前記第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。また、枠体が発光素子と重なる第1の空間と、第1の空間と狭窄部を介して接続された第2の空間を囲み、さらに第2の空間の少なくとも一部に粘性材層で満たされていない構成を備える。
【0021】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、が発光素子を囲むため、不純物が発光モジュールの内部に侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層は非固体であって発光素子と第2の基板の間で流動する。その結果、発光素子に加わる応力は粘性材層に緩和され、発光素子の損傷を防ぐことができる。また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光モジュール内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、発光素子の劣化を防ぐことができる。また、発光素子に接して設けられた粘性材層が、発光素子の駆動に伴う発熱を第2の基板の側に放熱し、発光素子の熱による劣化を抑制できる。また、発光素子と第2の基板の間に挟まれた粘性材層が、発光素子の発熱による寸法変化に起因する、発光素子と第2の基板の間に生じる応力を緩和して、発光素子の損傷を防ぐことができる。加えて、狭窄部を介して第1の空間に接続された第2の空間の粘性材層で満たされていない空間が、発光モジュールの発熱に伴う粘性材層の体積変化を吸収または体積変化に伴う圧力を緩和する。その結果、発光モジュールの封止構造(例えば、シール材の接着構造)が粘性材層の熱膨張により破壊される現象を防ぐことができる。
【0022】
これらの相乗作用の結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0023】
また、本発明の一態様は、第2の電極、粘性材層および第2の基板が、発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する、上記の発光モジュールである。
【0024】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、透光性を有する材料で発光素子の第2の電極から第2の基板までが構成される。これにより、発光素子が発する光を第2の基板の側から取り出すことができる。また、粘性材層が発光素子の第2の電極と第2の基板を光学的に接続し、発光性の有機化合物を含む層が発する光を効率よく第2の基板の側に取り出すことができる。その結果、発光効率の高い発光モジュールを提供できる。また、信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0025】
また、本発明の一態様は、粘性材層に含まれる乾燥剤の中心粒径が、10nm以上400nm以下である、上記の発光モジュールである。
【0026】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、中心粒径が10nm以上400nm以下の乾燥剤を含んで構成される。これにより、発光性の有機化合物が発する光が粘性材層に散乱される現象を抑制できる。その結果、発光効率の高い発光モジュールを提供できる。また、信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0027】
また、本発明の一態様は、活性化材層を第1の基板と第2の基板の間であって、発光素子と枠体の間に重なるように備え、活性化材層は、粘性材層に含まれる乾燥剤を活性化する材料を含む、上記の発光モジュールである。
【0028】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、発光素子と枠体の間に活性化材層を備える。活性化材層は活性化材を含み、粘性材層に含まれる乾燥剤を活性化する働きを有する。このような構成において、流動性を有する粘性材層は、発光素子を囲う枠体の内側を流動する。粘性材層に含まれる乾燥剤は、発光素子の第2の電極と第2の基板の間で、不純物と反応或いは不純物を吸着する。次いで、不純物と反応或いは不純物を吸着した乾燥剤は、発光素子と枠体の間に設けられた活性化材層と接触し、再活性化される。その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0029】
また、本発明の一態様は、第1の基板と、第1の基板と対向する第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、第1の基板と第2の基板の間にトランジスタ、発光素子、粘性材層および枠体と、を有する発光装置である。そして、トランジスタは、第1の基板上に設けられ、発光素子は、第1の基板上にトランジスタを介して電力が供給される第1の電極と、第1の電極と重なる第2の電極と、第1の電極と第2の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層と、を備える。そして、粘性材層は、発光素子に接して前記第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含む。そして、枠体は、トランジスタと、発光素子と、粘性材層と、を囲み、シール材は、発光素子と、粘性材層と、枠体と、を内側に封じ込めるように設けられている。
【0030】
上記本発明の一態様の発光装置は、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成されたトランジスタと、第1の基板上に形成され且つ該トランジスタに接続された発光素子と、粘性材層とを、該発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は周囲を枠体で囲われて、発光素子に接して第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。
【0031】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、が発光素子を囲むため、不純物が発光装置の内部に侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層は非固体であって発光素子と第2の基板の間で流動する。その結果、発光素子に加わる応力は粘性材層に緩和され、発光素子の損傷を防ぐことができる。また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光装置内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、発光素子の劣化を防ぐことができる。また、発光素子に接して設けられた粘性材層が、発光素子の駆動に伴う発熱を第2の基板の側に放熱し、発光素子の熱による劣化を抑制できる。また、発光素子と第2の基板の間に挟まれた粘性材層が、発光素子の発熱による寸法変化に起因する、発光素子と第2の基板の間に生じる応力を緩和して、発光素子の損傷を防ぐことができる。
【0032】
その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光装置を提供できる。また、発光不良が生じ難い発光装置を提供できる。
【0033】
また、本発明の一態様は、トランジスタは、ゲート絶縁層と、ゲート絶縁層の一方の側に接するゲート電極と、ゲート絶縁層の他方の側に接し、且つゲート電極と重畳する酸化物半導体層と、酸化物半導体層にそれぞれ電気的に接続し、且つゲート電極と重なる間隙が設けられたソース電極とドレイン電極を備え、発光素子の第1の電極はソース電極またはドレイン電極のいずれか一方と電気的に接続される、上記の発光装置である。
【0034】
上記本発明の一態様の発光装置は、チャネル形成領域に酸化物半導体層を備えるトランジスタを含み、且つ該トランジスタと、粘性材層とを、該発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は、不純物(代表的には水)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。
【0035】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、がチャネル形成領域に酸化物半導体層を備えるトランジスタと発光素子を囲む構成により、発光装置の内部に不純物が侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光装置内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、水素原子を含む不純物(代表的には水)が、チャネル形成領域に酸化物半導体層を備えるトランジスタの信頼性を損なう現象を防止することができる。
【0036】
その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光装置を提供できる。また、発光不良が生じ難い発光装置を提供できる。
【0037】
また、本発明の一態様は、第1の基板に、発光素子を形成する第1のステップと、第2の基板に、発光素子を囲う枠体と枠体を囲うシール材を形成する第2のステップと、枠体で囲まれた領域に、不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下する第3のステップと、シール材を用いて、第1の基板と第2の基板を貼り合わせ、発光素子、非固体および枠体を内側に封じ込める第4のステップと、を有する発光モジュールの作製方法である。
【0038】
上記本発明の一態様の発光モジュールの作製方法は、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下するステップに続いて、第1の基板と第2の基板をシール材で貼り合わせて、発光素子と、枠体と、非固体と、を内側に封じ込める方法である。
【0039】
これにより、面積が大きい第1の基板と第2の基板の間に、非固体の粘性材層を効率よく形成できる。
【0040】
その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを作製できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを作製できる。
【0041】
また、本発明の一態様は、第1の基板に、トランジスタと発光素子を形成する第1のステップと、第2の基板に、トランジスタと発光素子を囲う枠体と枠体を囲うシール材を形成する第2のステップと、枠体で囲まれた領域に、不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下する第3のステップと、シール材を用いて、第1の基板と第2の基板を貼り合わせ、トランジスタ、発光素子、非固体および枠体を内側に封じ込める第4のステップと、を有する発光装置の作製方法である。
【0042】
上記本発明の一態様の発光装置の作製方法は、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下するステップに続いて、第1の基板と第2の基板をシール材で貼り合わせて、トランジスタと、発光素子と、枠体と、非固体と、を内側に封じ込める方法である。
【0043】
これにより、面積が大きい第1の基板と第2の基板の間に、非固体の粘性材層を効率よく形成できる。
【0044】
その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光装置を作製できる。また、発光不良が生じ難い発光装置を作製できる。
【0045】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すものとする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一態様である。
【0046】
また、本明細書において、物質Aを他の物質Bからなるマトリクス中に分散する場合、マトリクスを構成する物質Bをホスト材料と呼び、マトリクス中に分散される物質Aをゲスト材料と呼ぶものとする。なお、物質A並びに物質Bは、それぞれ単一の物質であっても良いし、2種類以上の物質の混合物であっても良いものとする。
【0047】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0048】
本発明の一態様によれば、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供できる。
【0049】
または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを用いた発光装置を提供できる。
【0050】
または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールの作製方法を提供できる。
【0051】
または、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを用いた発光装置の作製方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態に係る発光モジュールの構成を説明する図。
【図2】実施の形態に係る発光モジュールの構成を説明する図。
【図3】実施の形態に係る発光装置を説明する図。
【図4】実施の形態に係る発光装置を説明する図。
【図5】実施の形態に係る発光モジュールの作製方法を説明する図。
【図6】実施の形態に係る発光装置の作製方法を説明する図。
【図7】実施の形態に係る発光素子の構成を説明する図。
【図8】実施の形態に係るトランジスタの作製方法および構成を説明する図。
【図9】実施の形態に係る発光装置を説明する図。
【図10】実施の形態に係る電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0054】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールについて、図1を参照して説明する。
【0055】
本発明の一態様の発光モジュールの構成を図1に示す。図1(A)は本発明の一態様の発光モジュールの上面図であり、図1(B)は図1(A)の切断線A−Bおよび切断線C−Dにおける断面図である。
【0056】
図1に例示する発光モジュール100は、第1の基板101と第2の基板102の間に、発光素子110と粘性材層120を、発光素子110を囲むシール材131で封じ込める構成を有する。発光素子110は第1の電極111と、第2の電極112と、その間に発光性の有機化合物を含む層113と、を有する。また、隔壁114は第1の電極111と重なる開口部を有し、第1の電極111は第1の端子103と電気的に接続し、第2の電極112は第2の端子104と電気的に接続する。粘性材層120は、周囲を枠体132で囲われ、第2の電極112に接して、第1の基板101と第2の基板102との間に設けられている。
【0057】
なお、発光素子110と粘性材層の間に、発光素子110を覆う封止膜を設けても良い。
【0058】
<粘性材層>
粘性材層120は乾燥剤と粘性を有する非固体とを含む。
【0059】
また、粘性材層120は流動性を有し、粘性材層120を構成する粘性材の粘性は代表的には1cp以上500cp以下であると好ましい。粘性材の粘性が1cp以上あると粘性材がたれ難く、例えば粘性材の塗布装置からの液だれを防ぐことができ、粘性材層120の作製が容易である。また、粘性材の粘性が500cp以下であると、粘性材層120から発光素子110の第2の電極112に加わる応力を緩和できる。その結果、発光素子110を損傷することなく、発光素子110に近接した位置に乾燥剤を設けることが可能となり、不純物が発光素子110の内部に拡散する現象を効果的に抑制できる。よって、発光素子110の信頼性を効果的に向上できる。
【0060】
乾燥剤は、不純物と反応或いは不純物を吸着する材料であればよく、代表的には水および/または酸素と反応、或いは水および/または酸素を吸着する材料であれば好ましい。なお、不純物は発光素子の信頼性を低下する原因となる物質を指し、代表的には水、酸素等を挙げることができる。水、酸素等は発光性の有機化合物を含む層を劣化せしめ、発光素子の発光特性を損なう。乾燥剤に適用可能な材料としては、例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物など化学吸着型の乾燥剤等、または例えばゼオライト、シリカゲル、酸化アルミニウム、アロフェンなどの物理吸着型の乾燥剤等を挙げることができる。なお、封止された空間において不純物と反応した乾燥剤から気体が発生する、または乾燥剤の体積が大きく変化すると、封止構造(例えばシール材)に応力が加わり、封止構造を破壊してしまう場合がある。物理吸着型の乾燥剤は不純物との反応或いは吸着に伴う気体の発生や体積の増加が極めて少ないため好ましい。
【0061】
粘性を有する非固体は粘性を有する非固体ともいうことができ、乾燥剤を含む状態で流動性を有すれば良い。また、発光性の有機化合物を含む層を溶解しない材料、揮発性が低い材料が好ましい。粘性を有する非固体に適用可能な材料としては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、流動パラフィン、パーフルオロカーボン等を挙げることができる。なお、ストレートシリコーンオイルの具体例として、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等を挙げることができる。また、変性シリコーンオイルの具体例として、ポリシロキサンの側鎖をポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸含有、フッ素変性したもの等、主鎖の片末端または両末端を変性したものまたは側鎖および主鎖を変性したものを挙げることができる。
【0062】
本実施の形態で説明する発光モジュール100は、粘性材層120に、乾燥剤としてゼオライトと、粘性を有する非固体としてシリコーンオイルを含む。
【0063】
<枠体>
枠体132は第1の基板101と第2の基板102の間に挟まれた粘性材層120を囲んで、粘性材層120と接している。枠体132は単層構造であっても、2層以上の積層構造であっても、粘性材層120を二重に囲む構造であってもよい。なお、枠体132の基板からの高さを用いて第1の基板101と第2の基板102の間隔を調整する構成としてもよい。
【0064】
枠体132は粘性材層120と反応しない材料であればよく、不純物が透過し難い材料が特に好ましい。枠体132に適用可能な材料としては、例えば、フォトレジスト、アクリル樹脂、ポリイミド等を挙げることができる。
【0065】
本実施の形態で説明する発光モジュール100は、枠体132にポリイミドが用いられている。
【0066】
<シール材>
シール材131は第1の基板101と第2の基板102を貼り合わせ、第1の基板101と第2の基板102の間に発光素子110と、枠体132で囲まれた粘性材層120と、を封じ込めている。シール材131は単層構造であっても、2層以上の積層構造であっても、枠体132を二重に囲む構造であってもよい。
【0067】
シール材131は第1の基板101と第2の基板102を貼り合わせることができる材料であればよく、不純物が透過し難い材料が特に好ましい。シール材131に適用可能な材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ガラスフリット、ガラスリボン、ハンダ等を挙げることができる。
【0068】
なお、シール材131が粘性材層120と反応しない材料であれば、シール材131は枠体132を兼ねることができる。シール材131が枠体132を兼ねる構成とすることで、使用する材料の種類や、作製工程を削減できるため好ましい。
【0069】
本実施の形態で説明する発光モジュール100は、シール材131に紫外線硬化型のエポキシ樹脂が用いられている。
【0070】
<第1の基板および第2の基板>
第1の基板101および第2の基板102はそれぞれ製造工程に耐えられる程度の耐熱性を備え、その厚さおよび大きさは製造装置に適用可能であれば特に限定されない。また、単層構造であっても、2層以上の層が積層された構造であってもよい。
【0071】
第1の基板101および第2の基板102はガスバリア性を有すると好ましい。また、発光素子との間にガスバリア性を有する膜を形成しても良い。具体的には、ガスバリア性が水蒸気透過率として10−5g/m・day以下、好ましくは10−6g/m・day以下であると、発光モジュールの信頼性を高められるため好ましい。
【0072】
また、第1の基板101および第2の基板102は可撓性を有していてもよい。可撓性を有する基板としてはプラスチック基板の他、厚さが50μm以上500μmの薄いガラスや、金属箔を用いることができる。
【0073】
なお、第1の基板101または第2の基板102の少なくとも一方は、発光素子が発する光を透過する。
【0074】
発光素子が発する可視光を透過する基板としては、例えば、無アルカリガラス基板、バリウムホウケイ酸ガラス基板、アルミノホウケイ酸ガラス基板、石英基板、サファイア基板、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、ポリエステル、アクリルまたはポリイミド等を含むプラスチック基板、等をその例に挙げることができる。
【0075】
また、第1の基板101と第2の基板102のいずれか一方に、第1の基板に形成される発光素子が発する光を透過し難い基板を用いてもよい。例えば、セラミック基板やステンレス等を含む金属基板が挙げられる。
【0076】
なお、第1の基板101の発光素子を形成する側の面は、絶縁性であれば好ましい。また、絶縁性の膜を積層して用いてもよい。また、第1の基板101の発光素子を形成する側の面は、平坦であれば好ましい。また、発光素子との間に平坦化のための膜を形成しても良い。
【0077】
本実施の形態で説明する発光モジュール100は、第1の基板101と第2の基板102にそれぞれ無アルカリガラス基板が用いられている。
【0078】
<発光素子>
発光素子110は第1の電極111と第2の電極112の間に発光性の有機化合物を含む層113を挟持する。また、発光素子が発する光を透過する基板が適用された側の少なくとも一方の電極(具体的には第1の電極111または第2の電極112)は、発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過する。なお、本実施の形態で例示する発光モジュールに適用可能な発光素子の詳細な構成については、実施の形態6において説明するものとし、ここでは説明を省略する。
【0079】
本実施の形態で説明する発光モジュール100は、発光性の有機化合物を含む層113に白色を呈する光を発する層を備える発光素子110を有する。
【0080】
<隔壁>
隔壁114は第1の電極111と第2の電極112を電気的に絶縁する層である。また、単層構成であっても、2層以上の層を積層した構造であってもよい。また、その厚さは特に限定されない。また、隔壁の上端部または下端部に、曲率を有する曲面を形成すると好ましい。
【0081】
隔壁114に用いることができる材料としては、絶縁性を備え、作製工程に耐えられる程度の耐熱性を備える材料であればよく、例えばフォトポリマー(具体的には感光性アクリル、感光性ポリイミド等)、無機材料膜、有機材料膜から選ばれた一の絶縁層、またはこれらから選ばれた一を含む絶縁層を用いることができる。
【0082】
本実施の形態で説明する発光モジュール100は、隔壁114にポジ型の感光性ポリイミドが用いられ、その上端部に0.2μm以上3μmの曲率半径を有する曲面を備える。
【0083】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成された発光素子と粘性材層を、発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は周囲を枠体で囲われて、発光素子に接して第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。
【0084】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、が発光素子を囲むため、不純物が発光モジュールの内部に侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層は非固体であって発光素子と第2の基板の間で流動する。その結果、発光素子に加わる応力は粘性材層に緩和され、発光素子の損傷を防ぐことができる。また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光モジュール内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、発光素子の劣化を防ぐことができる。また、発光素子に接して設けられた粘性材層が、発光素子の駆動に伴う発熱を第2の基板の側に放熱し、発光素子の熱による劣化を抑制できる。また、発光素子と第2の基板の間に挟まれた粘性材層が、発光素子の発熱による寸法変化に起因する、発光素子と第2の基板の間に生じる応力を緩和して、発光素子の損傷を防ぐことができる。
【0085】
これらの相乗作用の結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0086】
<変形例1.>
また、本実施の形態で例示する発光モジュールの変形例について、図2(A)を参照して説明する。図2(A)の上側は本発明の一態様の発光モジュールの上面図であり、下側は切断線A−Bにおける断面図である。本発明の一態様の発光モジュール200aは、第1の基板201と第1の基板201と対向する第2の基板202の間に、第1の基板201上に形成された発光素子210と粘性材層220を、発光素子210を囲むシール材231で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層220は周囲を枠体232で囲われて、発光素子210の第2の電極(図示しないが、第1の基板201と接する側の反対側にある)に接して第2の基板202との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。また、枠体232は発光素子210と重なる第1の空間241と、第1の空間241と狭窄部245を介して接続された第2の空間242を囲み、さらに第2の空間242の少なくとも一部242bが粘性材層220で満たされていない。
【0087】
狭窄部は、粘性材層が第1の空間と第2の空間の間を自由に往き来できるようにするものである。一方、狭窄部は第2の空間に設けた粘性材層で満たされていない一部242bが、第1の空間側に移動してしまう現象を防いでいる。なお、第2の空間の形状は狭窄部から広がる形状に限定されない。例えば、第2の空間は、狭窄部と同程度の断面積を有する管状であってもよく、容積を確保するために蛇行するように設けられた形状であってもよい。
【0088】
なお、発光モジュールに第2の空間を複数設けることもできる。第2の空間を複数に分けると、発光モジュールのレイアウトの自由度が高くなり、付加価値を高めることができる。図2(B)に例示する発光モジュール200bは、第2の空間を2つ備える。
【0089】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、が発光素子を囲むため、不純物が発光モジュールの内部に侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層は非固体であって発光素子と第2の基板の間で流動する。その結果、発光素子に加わる応力は粘性材層に緩和され、発光素子の損傷を防ぐことができる。
【0090】
また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光モジュール内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、発光素子の劣化を防ぐことができる。また、発光素子に接して設けられた粘性材層が、駆動に伴い発光素子が発する熱を第2の基板の側に放熱し、発光素子の熱による劣化を抑制できる。
【0091】
また、発光素子と第2の基板の間に挟まれた粘性材層が、発熱により膨張する発光素子の寸法変化を吸収し、発光素子と第2の基板の間に生じる応力が発光素子に集中する現象を防止できる。その結果、発光素子の損傷を防ぐことができる。
【0092】
加えて、第1の空間に狭窄部を介して接続された第2の空間の粘性材層で満たされていない空間が、発光モジュールの発熱に伴う粘性材層の体積変化を吸収または体積変化に伴う圧力を緩和するため、発光モジュールの封止構造(例えば、シール材の接着構造)が膨張した粘性材層により破壊される現象を防ぐことができる。また、封止された空間においてアルカリ金属の酸化物やアルカリ土類金属の酸化物などの化学吸着型の乾燥剤が、不純物と反応して気体を発生する場合やその体積が大きくなる場合であっても、第2の空間の粘性材層で満たされていない空間が、その体積変化を吸収または体積変化に伴う圧力を緩和できる。
【0093】
<変形例2.>
また、本実施の形態で例示する発光モジュールの変形例として、第2の電極112、粘性材層120および第2の基板102が、いずれも発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過する構成を有する発光モジュールについて説明する。
【0094】
特に、粘性材層120は発光性の有機化合物を含む層113が発する光を95%以上、好ましくは98%以上100%未満透過するものが好ましい。これにより、発光素子110が発する光を第2の基板102の側に効率良く取り出すことができる。具体的には、粘性を有する非固体にシリコーンオイルを用い、粘性材層120の厚さを10μmとして、可視光の透過率が99%の粘性材層120を構成することができる。
【0095】
特に、粘性材層120の屈折率は空気の屈折率以上、好ましくは1.3以上1.7以下、より好ましくは1.4以上1.6以下であって、発光性の有機化合物を含む層113の屈折率以上第2の基板102の屈折率以下であると好ましい。発光素子110が発する光を第2の基板102の側から外に効率良く取り出すことができるからである。
【0096】
また、粘性材層120と枠体132の間に粘性材層で満たされていない空間を設けてもよい。粘性材層で満たされていない空間が、粘性材層120が熱により膨張した際に生じる応力を緩和できるため好ましい。
【0097】
なお、発光素子110と粘性材層の間に、発光素子110を覆う封止膜を設けても良い。封止膜の屈折率は粘性材層の屈折率以上発光性の有機化合物を含む層の屈折率以下が好ましく、その厚さは1nm以上500nm以下が好ましい。
【0098】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、透光性を有する材料で発光素子の第2の電極から第2の基板までが構成される。これにより、発光素子が発する光を第2の基板の側から取り出すことができる。また、粘性材層が発光素子の第2の電極と第2の基板を光学的に接続し、発光性の有機化合物を含む層が発する光を効率よく第2の基板の側に取り出すことができる。その結果、発光効率の高い発光モジュールを提供できる。消費電力の低減された発光モジュールを提供できる。信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0099】
<変形例3.>
また、本実施の形態で例示する発光モジュールの変形例として、粘性材層120に含まれる乾燥剤の中心粒径が10nm以上400nm以下である発光モジュールについて説明する。
【0100】
上記本発明の一態様の発光モジュールは、中心粒径が10nm以上400nm以下の乾燥剤を含んで構成される。乾燥剤の中心粒径を10nm以上とすることで、乾燥剤の吸着部位が破壊されてしまう現象を抑制し、400nm以下とすることで乾燥剤の表面積を大きくし、不純物と反応または/および不純物と吸着し易くできる。なお、乾燥剤の中心粒径を400nm以下とすると乾燥剤が粘性材層で凝集し易くなるが、シランカップリング剤で表面を修飾した乾燥剤を用いることにより、凝集を防止できる。また、粘性材層に乾燥剤を分散する際に、超音波を照射すると凝集を防ぐことができる。
【0101】
また、第2の電極112、粘性材層120および第2の基板102が、いずれも発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過する構成において、粘性材層120に含まれる乾燥剤の中心粒径を10nm以上400nm以下とすることで、発光性の有機化合物が発する光が粘性材層に散乱される現象を抑制できる。その結果、発光効率の高い発光モジュールを提供できる。また、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0102】
<変形例4.>
また、本実施の形態で例示する発光モジュールの変形例について、図2(C)を参照して説明する。図2(C)の上側は本発明の一態様の発光モジュールの上面図であり、下側は切断線A−Bにおける断面図である。本発明の一態様の発光モジュール200cは、発光素子210と枠体232の間に粘性材層220に含まれる乾燥剤を活性化する活性化材を含む活性化材層246を備える。
【0103】
このような構成において、流動性を有する粘性材層は、発光素子を囲う枠体の内側を流動する。粘性材層に含まれる乾燥剤は、発光素子の第2の電極と第2の基板の間で、不純物と反応或いは不純物を吸着する。次いで、不純物と反応或いは不純物を吸着した乾燥剤は、発光素子と枠体の間に設けられた活性化材層と接触し、再活性化される。その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを提供できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを提供できる。
【0104】
なお、粘性材層には再生可能な乾燥剤を用いる。再生可能な乾燥剤としては、物理吸着型の乾燥剤をその例に挙げることができる。一方、活性化材層に用いる活性化材としては、物理吸着した水分等の不純物を奪い取る材料が求められる。具体的にはアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物など化学吸着型の乾燥剤を活性化材に用いる。
【0105】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0106】
(実施の形態2)
本実施の形態では、複数の本発明の一態様の発光モジュールをマトリクス状に配置して構成する発光装置について、図3を参照して説明する。
【0107】
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールがトランジスタにそれぞれ接続されたアクティブマトリクス型の発光装置を説明するが、本発明の一態様はアクティブマトリクス型の発光装置に限定されるものではなく、パッシブマトリクス型の発光装置にも適用可能である。また、いずれの発光装置も、表示装置や照明装置に利用できる。
【0108】
<アクティブマトリクス型の発光装置>
本発明の一態様のアクティブマトリクス型の発光装置の構成を図3に示す。なお、図3(A)は本発明の一態様の発光装置の上面図であり、図3(B)は図3(A)の切断線A−Bおよび切断線C−Dにおける断面図である。図3(B)に例示する発光装置1400は図中に示す矢印の方向に光を射出する。
【0109】
アクティブマトリクス型の発光装置1400は、駆動回路部(ソース側駆動回路)1401、画素部1402、駆動回路部(ゲート側駆動回路)1403、第2の基板1404、シール材1405を備える(図3(A)および図3(B)参照)。なお、シール材1405で囲まれた内側には、枠体1406が設けられており、枠体1406で囲まれた空間は、粘性材層1407を含む。
【0110】
発光装置1400は外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1409を介して、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCのみを図示するが、FPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCまたはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0111】
発光装置1400の構成の詳細について図3(B)に示す断面図を用いて説明する。発光装置1400は、第1の基板1410上に図示されたソース側駆動回路1401を含む駆動回路部および、同様に図示された画素を含む画素部1402を備える。また、ソース側駆動回路1401およびゲート側駆動回路1403に入力される信号を伝送するための引き回し配線1408を備える。
【0112】
なお、本実施の形態ではソース側駆動回路1401がnチャネル型トランジスタ1423とpチャネル型トランジスタ1424とを組み合わせたCMOS回路を含む構成について例示するが、駆動回路はこの構成に限定されず、種々のCMOS回路、PMOS回路またはNMOS回路で構成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0113】
<トランジスタの構成1.>
本実施の形態で例示するアクティブマトリクス型の発光装置は、さまざまなトランジスタを用いて構成できる。具体的には、チャネルが形成される領域に、アモルファスシリコン、ポリシリコン、単結晶シリコンの他、酸化物半導体などを用いたトランジスタを適用できる。
【0114】
トランジスタのチャネルが形成される領域に単結晶半導体を用いると、トランジスタサイズを微細化することが可能となるため、表示部において画素をさらに高精細化することができる。
【0115】
半導体層を構成する単結晶半導体としては、代表的には、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第14族元素でなる単結晶半導体基板、化合物半導体基板(SiC基板、サファイア基板、GaN基板等)などの半導体基板を用いることができる。好適には、絶縁表面上に単結晶半導体層が設けられたSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることができる。
【0116】
SOI基板の作製方法としては、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて作る方法、水素イオン照射により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開する方法や、絶縁表面上に結晶成長により単結晶半導体層を形成する方法等を用いることができる。
【0117】
本実施の形態では、単結晶半導体基板の一つの面からイオンを添加して、単結晶半導体基板の一つの面から一定の深さに脆弱化層を形成する。次いで、単結晶半導体基板の一つの面上、または第1の基板1410上のどちらか一方に絶縁層を形成する。次いで、脆弱化層が形成された単結晶半導体基板と第1の基板1410を、絶縁層を挟んで重ね合わせた状態で、脆弱化層に亀裂を生じさせて、単結晶半導体基板を脆弱化層で分離する熱処理を行い、単結晶半導体基板より半導体層として単結晶半導体層を第1の基板1410上に形成する。なお、第1の基板1410としては、ガラス基板を用いることができる。
【0118】
また、半導体基板に絶縁分離領域を形成し、絶縁分離された半導体領域を用いてトランジスタ1411、トランジスタ1412を形成してもよい。
【0119】
単結晶半導体をチャネル形成領域として用いることで、結晶粒界における結合の欠陥に起因する、トランジスタのしきい値電圧等の電気的特性のばらつきを軽減できるため、本発明の一態様の発光装置は、各画素にしきい値電圧補償用の回路を配置しなくても正常に発光素子を動作させることができる。したがって、一画素における回路要素を削減することが可能となるため、レイアウトの自由度が向上する。よって、発光装置の高精細化を図ることができる。例えば、マトリクス状に配置された複数の画素を一インチあたり350以上含む(水平解像度が350ppi(pixels per inch)以上である)、さらに好ましくは400以上含む(水平解像度が400ppi以上である)構成とすることが可能となる。
【0120】
さらに、単結晶半導体をチャネル形成領域として用いたトランジスタは、高い電流駆動能力を維持したまま、微細化が可能である。該微細なトランジスタを用いることで表示に寄与しない回路部の面積を縮小することができるため、表示部においては表示面積が拡大し、かつ発光装置の狭額縁化が達成できる。
【0121】
<画素部の構成1.>
画素部1402は複数の画素を備える。画素は発光素子1418と、発光素子1418の第1の電極1413にドレイン電極が接続された電流制御用トランジスタ1412と、スイッチング用トランジスタ1411と、を有する。
【0122】
発光モジュールに設けられた発光素子1418は、第1の電極1413と、第2の電極1417と、発光性の有機化合物を含む層1416と、を有する。なお、隔壁1414が第1の電極1413の端部を覆って形成されている。
【0123】
隔壁1414の上端部または下端部には、曲率を有する曲面が形成されるようにする。隔壁1414は、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型の感光性樹脂、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができる。例えば、隔壁1414の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、隔壁1414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。ここでは、ポジ型の感光性ポリイミド膜を用いることにより形成する。
【0124】
発光素子1418の構成としては、例えば実施の形態6で例示する発光素子の構成を適用できる。
【0125】
具体的には、発光性の有機化合物を含む層1416に白色を呈する光を発する構成を適用できる。また、白色を呈する光を発する発光素子にカラーフィルタを重ねて設ける構成とすることで、発光色が異なる発光モジュールを構成できる。
【0126】
例えば、複数の発光素子のそれぞれに、異なる色を呈する光を透過するカラーフィルタを重ねて設けると、発光性の有機化合物を含む層を作り分けることなく、異なる色を呈する光を発する発光モジュールを複数配置できる。そして、それぞれの発光モジュールを独立して駆動可能な構成とすることで、多色の表示装置を構成できる。
【0127】
また、遮光性の膜(ブラックマトリクスともいう)を隔壁に重ねて設けると、一のカラーフィルタに隣接する発光素子から入射する光を低減できる。その結果、表示装置の色再現性を向上できる。
【0128】
本実施の形態では、発光素子1418が発する光を第2の電極1417側に取り出す場合について説明する。具体的には、発光性の有機化合物を含む層1416が発する光を透過する導電膜を用いて、第2の電極1417を構成する場合について説明する。
【0129】
また、本実施の形態では、発光素子1418の第1の電極1413と第2の電極1417を用いて、微小共振器(マイクロキャビティともいう)を構成する場合について説明する。例えば、第1の電極1413に発光性の有機化合物を含む層1416が発する光を反射する導電膜を用い、第2の電極1417に、当該光の一部を反射し、一部を透過する半透過・半反射膜性の導電膜を用いて構成できる。
【0130】
また、光学調整層を第1の電極と第2の電極の間に設けることができる。光学調整層は反射性の第1の電極1413と半透過・半反射性の第2の電極1417の間の光学距離を調整する層であり、光学調整層の厚さを調整することにより、第2の電極1417から優先的に取り出す光の波長を調整できる。
【0131】
光学調整層に用いることができる材料としては、発光性の有機化合物を含む層を適用できる。例えば、電荷発生領域を用いて、その厚さを調整してもよい。特に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域を光学調整層に用いると、光学調整層が厚い構成であっても駆動電圧の上昇を抑制できるため好ましい。
【0132】
また、光学調整層に用いることができる他の材料としては、発光性の有機化合物を含む層1416が発する光を透過する透光性の導電膜を適用できる。例えば、反射性の導電膜の表面に該透光性を有する導電膜を積層して、第1の電極1413を構成できる。この構成によれば、フォトリソグラフィ工程を用いて隣接する第1の電極の光学調整層の厚さを変えることができ、表示装置の微細化に好適である。
【0133】
発光素子1418が発する光を第2の電極1417側に取り出す場合、カラーフィルタ1434および遮光性の膜1435は、いずれも第2の基板1404に設けることができる。
【0134】
なお、カラーフィルタ1434を設けた第2の基板1404と、第1の基板の間隔は、後述するシール材1405や、枠体1406などを用いて調整できる。カラーフィルタ1434は発光素子1418に近接して設けられている構成が好ましく、その間隔が隣接する発光素子間の間隔(隔壁の幅)以下であると、一のカラーフィルタに隣接する発光素子から入射する光を低減できる。その結果、表示装置の色再現性を向上できる。
【0135】
なお、隔壁1414を遮光性とすると、発光モジュールに設けられた反射性の膜による外光の反射を抑制できる。発光素子1418の外側に延在する反射膜が、外光を反射すると発光装置のコントラストが低下してしまうため、鮮やかな発光を得られない。隔壁を遮光性とする場合は、黒色に着色した樹脂層を用いて形成できる。
【0136】
<封止構造1.>
本実施の形態で例示する発光装置1400は、第1の基板1410、第2の基板1404、およびシール材1405で囲まれた空間に、発光素子1418を封止する構造を備える。
【0137】
空間には枠体1406が設けられ、枠体1406は発光素子1418と粘性材層1407を囲んでいる。空間は隙間なく粘性材層1407によって満たされていても良く、一部に空間が残っていてもよい。残された空間には不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填されていてもよい。不活性気体が充填された空間を設ける構成とすることで、粘性材層1407が熱により膨張した際に生じる応力を緩和できるため好ましい。また、残された空間に乾燥剤など不純物の吸着材を設けても良い。
【0138】
上記本発明の一態様の発光装置は、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成されたトランジスタと、第1の基板上に形成され且つ該トランジスタに接続された発光素子と、粘性材層とを、該発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は周囲を枠体で囲われて、発光素子に接して第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。
【0139】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、が発光素子を囲むため、不純物が発光装置の内部に侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層は非固体であって発光素子と第2の基板の間で流動する。その結果、発光素子に加わる応力は粘性材層に緩和され、発光素子の損傷を防ぐことができる。また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光装置内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、発光素子の劣化を防ぐことができる。また、発光素子に接して設けられた粘性材層が、発光素子の駆動に伴う発熱を第2の基板の側に放熱し、発光素子の熱による劣化を抑制できる。また、発光素子と第2の基板の間に挟まれた粘性材層が、発光素子の発熱による寸法変化に起因する、発光素子と第2の基板の間に生じる応力を緩和して、発光素子の損傷を防ぐことができる。
【0140】
その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光装置を提供できる。また、発光不良が生じ難い発光装置を提供できる。
【0141】
<変形例>
また、本実施の形態で例示する発光装置の変形例として、チャネル形成領域に酸化物半導体層を備えるトランジスタを含み、且つ該トランジスタと、粘性材層とを、発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する発光装置について図3(C)を参照して説明する。なお、当該粘性材層は、不純物(代表的には水)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含む構成を有する。
【0142】
図3(C)に例示する発光装置は、第1の基板1410上に図示されたソース側駆動回路1401を含む駆動回路部および、同様に図示された画素を含む画素部1402を備える。また、ソース側駆動回路1401およびゲート側駆動回路1403に入力される信号を伝送するための引き回し配線1408を備える。
【0143】
なお、本変形例ではソース側駆動回路1401がnチャネル型トランジスタ1423bを用いた回路を含む構成について例示する。また、本変形例では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0144】
<トランジスタの構成2.>
本実施の形態で例示するアクティブマトリクス型の発光装置の変形例は、チャネルが形成される領域に酸化物半導体を用いたトランジスタが適用されている。
【0145】
チャネルが形成される領域に酸化物半導体を用いたトランジスタは、大面積の基板に作製することが容易である。また、アモルファスシリコンを用いたトランジスタに比較して、高速に動作する。
【0146】
チャネルが形成される領域に酸化物半導体を用いたトランジスタの構成としては、例えば実施の形態7で例示するトランジスタの構成を適用できる。
【0147】
なお、酸化物半導体において水素イオン、又は水素分子は、酸化物半導体のキャリア濃度を高める不純物として働く。従って、チャネルが形成される領域に酸化物半導体を用いたトランジスタに水素原子を含む不純物が拡散すると、トランジスタの特性は損なわれ、それを用いた発光装置の信頼性も失われてしまう。そして、水素原子を含む不純物は、酸化物半導体を用いた発光装置に残存および/または装置外から浸入する。特に水分を発光装置から完全に除去すること、および/または大気中から浸入する水分を完全に防ぐことは困難である。
【0148】
<画素部の構成2.>
図3(C)に例示する画素部1402は複数の画素を備える。画素は発光素子1418と、発光素子1418の第1の電極1413にソース電極またはドレイン電極が接続された電流制御用トランジスタ1412bを有する。本実施の形態で例示するアクティブマトリクス型の発光装置の変形例は、チャネルが形成される領域に酸化物半導体を用いたトランジスタが適用されている。
【0149】
なお、カラーフィルタ1434を設けた第2の基板1404と、第1の基板の間隔は、シール材1405や、スペーサ1433などを用いて調整できる。
【0150】
スペーサ1433は隔壁1414上に、例えばフォトリソグラフィ工程で形成することができる。画素部に設けられたスペーサ1433は、発光素子1418が発する光の少なくとも一部を遮蔽し、隣接する他の画素に設けられたカラーフィルタに光が侵入する現象(光学的なクロストークといえる)を低減する効果を奏する。
【0151】
また、カラーフィルタ1434は発光素子1418に近接して設けられている構成が好ましく、その間隔が隣接する発光素子間の間隔(隔壁の幅)以下であると、一のカラーフィルタに隣接する発光素子から入射する光を低減できる。その結果、発光装置の色再現性を向上できる。さらに、本実施の形態の変形例で例示する発光装置は、スペーサ1433が画素部に設けられているため、カラーフィルタ1434と発光素子1418の間隔を画素部全体で均一に調整できる。
【0152】
<封止構造2.>
図3(C)に例示する発光装置は第1の基板1410、第2の基板1404およびシール材1405bで囲まれた空間に、発光素子1418を封止する構造を備える。
【0153】
空間には発光素子1418と粘性材層1407が設けられ、シール材1405bが発光素子1418と粘性材層1407を囲んでいる。言い換えると、図3(C)に例示する発光装置が備えるシール材1405bは、図3(B)に例示する発光装置が備えるシール材1405と枠体1406の機能を兼ねる。具体的には、図3(C)に例示する発光装置が備えるシール材1405bは第1の基板1410と第2の基板1404を貼り合わせ、その間に発光素子1418と、粘性材層1407を封止する働きを備える。
【0154】
シール材1405bは粘性材層1407と反応しない材料を用いる。具体的には、シール材1405bに適用可能な材料としては、例えば、ガラスフリット、ガラスリボン等を挙げることができる。
【0155】
なお、空間は隙間なく粘性材層1407によって満たされていても良く、一部に空間が残っていてもよい。残された空間には不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填されていてもよい。不活性気体が充填された空間を設ける構成とすることで、粘性材層1407が熱により膨張した際に生じる応力を緩和できるため好ましい。また、残された空間に乾燥剤など不純物の吸着材を設けても良い。
【0156】
<粘性材層>
粘性材層1407は乾燥剤と粘性を有する非固体とを含む。また、粘性材層1407は流動性を有し、粘性材層1407を構成する粘性材の粘性は代表的には1cp以上500cp以下であると好ましい。
【0157】
乾燥剤は、不純物と反応或いは不純物を吸着する材料であればよく、代表的には水および/または酸素と反応、或いは水および/または酸素を吸着する材料であれば好ましい。なお、本実施の形態で例示する発光装置の変形例においては、不純物は発光素子の信頼性を低下する原因となる物質だけでなく、トランジスタのチャネルが形成される領域に用いられた酸化物半導体のキャリア濃度を高める原因となる物質も含む。代表的には水、酸素の他、水素イオン、水素分子等を挙げることができる。乾燥剤に適用可能な材料としては、例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物など化学吸着型の乾燥剤等、または例えばゼオライト、シリカゲル、酸化アルミニウム、アロフェンなどの物理吸着型の乾燥剤等を挙げることができる。
【0158】
粘性を有する非固体は、乾燥剤を含む状態で流動性を有すれば良い。粘性を有する非固体に適用可能な材料としては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、流動パラフィン、パーフルオロカーボン等を挙げることができる。
【0159】
第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板を貼り合わせるシール材と、粘性材層と、がチャネル形成領域に酸化物半導体層を備えるトランジスタと発光素子を囲む構成により、発光装置の内部に不純物が侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層に含まれる乾燥剤が、発光装置内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、水素原子を含む不純物(代表的には水)が、チャネル形成領域に酸化物半導体層を備えるトランジスタの信頼性を損なう現象を防止することができる。
【0160】
その結果、有機EL素子を有する信頼性の高い発光装置を提供できる。また、発光不良が生じ難い発光装置を提供できる。
【0161】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0162】
(実施の形態3)
本実施の形態では、複数の本発明の一態様の発光モジュールをマトリクス状に配置して構成する発光装置について、図4を参照して説明する。なお、本実施の形態で例示する発光装置は、画素部と重なる第1の空間と、第1の空間と狭窄部を介して接続する第2の空間を備える。
【0163】
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールがトランジスタにそれぞれ接続されたアクティブマトリクス型の発光装置を説明するが、本発明の一態様はアクティブマトリクス型の発光装置に限定されるものではなく、パッシブマトリクス型の発光装置にも適用可能である。また、いずれの発光装置も、表示装置や照明装置に利用できる。
【0164】
<アクティブマトリクス型の発光装置>
本発明の一態様のアクティブマトリクス型の発光装置の構成を図4に示す。なお、図4(A)は本発明の一態様の発光装置の上面図であり、図4(B)は図4(A)の切断線A−Bおよび切断線C−Dにおける断面図である。図4(B)に例示する発光装置2400は図中に示す矢印の方向に光を射出する。
【0165】
アクティブマトリクス型の発光装置2400は、駆動回路部(ソース側駆動回路)2401、画素部2402、駆動回路部(ゲート側駆動回路)2403、第2の基板2404、シール材2405を備える(図4(A)および図4(B)参照)。なお、シール材2405で囲まれた内側には、枠体2406が設けられており、枠体2406で囲まれた空間は粘性材層2407を含む。また、枠体2406は画素部2402と重なる第1の空間2441と、駆動回路2401、駆動回路2403と重なる第2の空間2442を囲む。第1の空間2441と第2の空間2442は狭窄部2406aを介して接続され、第2の空間2442の少なくとも一部2442aが粘性材層2407で満たされていない。
【0166】
狭窄部2406aは枠体2406に設けられた開口部であり、粘性材層2407が第1の空間2441と第2の空間2442を自由に往き来できるようにするものである。一方、狭窄部2406aは第2の空間2442に設けられた粘性材層で満たされていない一部2442aが、第1の空間2441側に移動する現象を防いでいる。なお、第2の空間2442の断面の形状は狭窄部2406aから広がる形状に限定されない。例えば、狭窄部と同程度の断面積を有する管状であってもよく、容積を大きくするために蛇行させた管状であってもよい。
【0167】
第1の基板2410と、第2の基板2404と、第1の基板2410と第2の基板2404を貼り合わせるシール材2405と、粘性材層2407と、が画素部2402を囲むため、不純物が発光装置2400の内部に侵入する現象を抑制できる。また、粘性材層2407は非固体であって発光素子2418と第2の基板2404の間で流動する。その結果、発光素子2418に加わる応力は粘性材層2407に緩和され、発光素子2418の損傷を防ぐことができる。
【0168】
また、粘性材層2407に含まれる乾燥剤が、発光装置2400内に残留する不純物および/または外部から侵入する不純物と反応或いは吸着する。その結果、発光素子2418の劣化を防ぐことができる。また、発光素子2418の駆動に伴う発熱を第2の基板2404の側に放熱し、発光素子2418の熱による劣化を抑制できる。
【0169】
また、発光素子2418と第2の基板2404の間に挟まれた粘性材層2407が、発光素子の発熱による寸法変化に起因する、発光素子2418と第2の基板2404の間に生じる応力を緩和して、発光装置2400の損傷を防ぐことができる。
【0170】
加えて、第1の空間に狭窄部を介して接続された第2の空間の粘性材層で満たされていない空間が、発光モジュールの発熱に伴う粘性材層2407の体積変化を吸収または体積変化に伴う圧力を緩和するため、発光装置の封止構造(例えば、シール材2405の接着構造)が膨張した粘性材層2407により破壊される現象を防ぐことができる。
【0171】
発光装置2400は外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)2409を介して、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCのみを図示するが、FPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCまたはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0172】
発光装置2400の構成の詳細について図4(B)に示す断面図を用いて説明する。発光装置2400は、第1の基板2410上に図示されたソース側駆動回路2401を含む駆動回路部および、同様に図示された画素を含む画素部2402を備える。また、ソース側駆動回路2401およびゲート側駆動回路2403に入力される信号を伝送するための引き回し配線2408を備える。
【0173】
なお、本実施の形態ではソース側駆動回路2401がnチャネル型トランジスタ2423とpチャネル型トランジスタ2424とを組み合わせたCMOS回路を含む構成について例示するが、駆動回路はこの構成に限定されず、種々のCMOS回路、PMOS回路またはNMOS回路で構成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0174】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0175】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールの作製方法を説明する。具体的には、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下するステップに続いて、第1の基板と第2の基板をシール材で貼り合わせて、発光素子と、枠体と、非固体と、を内側に封じ込める作製方法について、図5を用いて説明する。
【0176】
<第1のステップ>
はじめに、第1の基板201上に発光素子210を形成する(図5(A)参照)。なお、図5には発光素子210の詳細な構造(第1の端子、第2の端子等)を省略して図示している。例えば、実施の形態1に例示する構造を発光素子210に適用できる。
【0177】
発光素子210の作製方法の一例を説明する。例えば第1の基板に無アルカリガラスを用い、スパッタリング法を用いて第1の基板上にNi−Al−La合金上にTi薄膜を積層した反射性の導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程を経て、島状の導電膜と、該導電膜と電気的に接続された第1の端子と、後に第2の電極が電気的に接続される第2の端子を形成する。次いで、島状の導電膜上に開口部を有する絶縁性の隔壁を形成し、当該開口部に現れた導電膜を第1の電極とする。
【0178】
次いで、発光性の有機化合物を含む層を第1の電極を覆うように形成し、第2の電極を第1の電極との間に発光性の有機化合物を含む層を挟持するように形成する。なお、第2の電極は第2の端子と電気的に接続する。
【0179】
<第2のステップ>
次いで、発光素子210を囲う枠体232と当該枠体232を囲うシール材231を、第2の基板202に形成する(図5(B)参照)。なお、枠体232とシール材231を形成する順番は特に限定されない。
【0180】
枠体232は例えばフォトリソグラフィ工程を用いて、フォトレジスト、アクリル樹脂、ポリイミド等を加工して形成することができる。また、インクジェット法や、ディスペンサ法を用いて形成することもできる。
【0181】
シール材231はその材料に合わせた方法を選択して形成すればよい。例えば、硬化性の樹脂(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)を用いる場合はディスペンサ等を用いてシール材231を形成すれば良く、ガラスフリットを用いる場合はディスペンサ法等でガラスフリットの分散液を塗布した後に仮焼成して、シール材231を形成すればよい。
【0182】
<第3のステップ>
次いで、第2の基板の枠体232で囲まれた領域に粘性材を滴下する。粘性材は不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む。また粘性材は粘性を有する非固体であるため、枠体232に囲まれた範囲に広がる(図5(C)参照)。粘性材を滴下する方法として、例えば液晶表示装置の作製に用いるODF(One Drop Fill)方式の製造装置を用いることができる。ODF方式の製造装置を用いて粘性材を滴下すると、第1の基板と第2の基板の間隔が狭い表示装置や、大型の表示装置の作製において製造時間を短縮できる。また、ポッティング装置を用いることもできる。
【0183】
<第4のステップ>
次いで、シール材231を用いて第1の基板201と第2の基板202を貼り合わせ、シール材231の内側に発光素子210、粘性材層220および枠体232を封じ込める。
【0184】
なお、第1の基板201と、第2の基板202と、枠体232の内側に封じ込める粘性材層220の量は、滴下する粘性材の量を変えることにより調整できる。また、粘性材と共に不純物が低減された気体(例えば、乾燥された窒素やアルゴンガスなどの不活性ガス)を封入する場合は、粘性材の量と共に第1の基板201と、第2の基板202を貼り合わせる環境を満たす気体の組成および圧力を調整すればよい。
【0185】
例えば減圧環境下で、第1の基板201と、第2の基板202と、枠体232で囲まれる空間と同じ体積の粘性材を滴下すれば、当該空間を粘性材層220で満たすことができる。一方、粘性材の滴下量を減らせば、当該空間に粘性材層220と共に減圧された空間を設けることができる。
【0186】
また、不純物が低減された気体中で、第1の基板201と、枠体232で囲まれる領域に、第1の基板201と、第2の基板202と、シール材231で囲まれる空間より少ない体積の粘性材を滴下すれば、当該空間に粘性材層220と共に不純物が低減された気体を封入することができる。
【0187】
粘性材料で満たされず、減圧された空間または減圧された気体が封じ込められた空間が、発光モジュールの発熱に伴う粘性材層の体積変化を吸収または体積変化に伴う圧力を緩和するため、発光モジュールの封止構造(例えば、シール材の接着構造)が粘性材層の熱膨張により破壊される現象を防ぐことができる。
【0188】
第1の基板201と第2の基板202を貼り合わせる方法は、シール材231に用いる材料に合わせた方法を選択すればよい。例えば、硬化性の樹脂(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)を用いる場合、紫外線硬化型であれば紫外線を、熱硬化型であれば熱を与えてシール材231を硬化する。また、例えばガラスフリットを用いる場合は、レーザを用いてガラスフリットが吸収する波長の光を照射して、第1の基板201と第2の基板202をシール材231で融着すればよい。
【0189】
<変形例>
また、本実施の形態で例示する発光モジュールの作製方法の変形例として、第1の基板に発光素子を囲う枠体と発光素子を形成する第1のステップと、第2の基板に枠体を囲うシール材を形成する第2のステップと、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下する第3のステップと、シール材を用いて、第1の基板と第2の基板を貼り合わせ、発光素子、非固体および枠体を内側に封じ込める第4のステップと、を有する発光モジュールの作製方法について説明する。
【0190】
この作製方法によれば、発光素子の第1の電極と枠体を第1の基板に形成する。その結果、同一の加工方法(例えば、フォトリソグラフィ法)を用いて、連続してこれらを形成できるため、作製工程が簡便なものとなる。
【0191】
上記本発明の一態様の発光モジュールの作製方法は、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下するステップに続いて、第1の基板と第2の基板をシール材で貼り合わせて、発光素子と、枠体と、非固体と、を内側に封じ込める方法である。
【0192】
これにより、面積が大きい第1の基板と第2の基板の間に、非固体の粘性材層を効率よく形成できる。
【0193】
有機EL素子を有する信頼性の高い発光モジュールを作製できる。また、発光不良が生じ難い発光モジュールを作製できる。
【0194】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0195】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置の作製方法を説明する。具体的には、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下するステップに続いて、第1の基板と第2の基板をシール材で貼り合わせて、トランジスタと、発光素子と、枠体と、非固体と、を内側に封じ込める作製方法について、図6を用いて説明する。
【0196】
<第1のステップ>
はじめに、第1の基板301上に発光素子およびトランジスタを含む画素部310と、トランジスタを含む駆動回路315と、を形成する(図6(A)参照)。なお、図6には画素部310と駆動回路315の詳細な構造を省略して図示している。
【0197】
画素部310に設ける発光素子には実施の形態1に例示する構造が適用できる。また、同一の工程で作製できるトランジスタを画素部310と駆動回路315に用いることが可能であり、例えば実施の形態7に例示するトランジスタを適用できる。
【0198】
画素部310の作製方法の一例を説明する。例えば第1の基板301に無アルカリガラスを用い、その表面に実施形態7で例示する方法でトランジスタを形成する。また、トランジスタと共に配線、容量などを形成し、画素部と駆動回路部を作製する。
【0199】
次いで、トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に接続する第1の電極を形成する。第1の電極としては、例えばスパッタリング法を用いてNi−Al−La合金上にTi薄膜を積層した反射性の導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程を経て、画素ごとに島状の導電膜を形成する。次いで、島状の導電膜のそれぞれに重なる開口部を有する絶縁性の隔壁を形成し、当該開口部に現れる導電膜を複数の発光素子の第1の電極とする。
【0200】
次いで、発光性の有機化合化合物を含む層を第1の電極を覆うように形成し、第2の電極を第1の電極との間に発光性の有機化合物を含む層を挟持するように形成する。
【0201】
<第2のステップ>
次いで、画素部310を囲う枠体332と当該枠体332を囲うシール材331を、第2の基板302に形成する(図6(B)参照)。なお、枠体332とシール材331を形成する順番は特に限定されない。
【0202】
枠体332は例えばフォトリソグラフィ工程を用いて、フォトレジスト、アクリル樹脂、ポリイミド等を加工して形成することができる。また、インクジェット法や、ディスペンサ法を用いて形成することもできる。なお、本実施の形態で例示する枠体332は狭窄部を有し、画素部310に重なる第1の空間を形成する部分と、駆動回路315と重なる第2の空間を形成する部分とが形成されるように設けられている。
【0203】
シール材331はその材料に合わせた方法を選択して形成すればよい。例えば、硬化性の樹脂(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)を用いる場合はディスペンサ法等を用いてシール材331を形成すれば良く、ガラスフリットを用いる場合はディスペンサ法等でガラスフリットの分散液を塗布した後に仮焼成して、シール材331を形成すればよい。
【0204】
<第3のステップ>
次いで、第2の基板の枠体332で囲まれた領域に粘性材を滴下する。粘性材は不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む。また粘性材は粘性を有する非固体であるため、枠体332に囲まれた範囲に広がる(図6(C)参照)。なお、第1の空間に狭窄部を介して接続する第2の空間を設ける場合、粘性材は第1の空間側に滴下する。第1の空間側に滴下することにより、第2の空間よりも先に第1の空間を満たすように粘性材を滴下できる。
【0205】
<第4のステップ>
次いで、シール材331を用いて第1の基板301と第2の基板302を貼り合わせ、シール材331の内側に画素部310、粘性材層320および枠体332を封じ込める。
【0206】
なお、第1の基板301と、第2の基板302と、枠体332の内側に封じ込める粘性材層320の量は、滴下する粘性材の量を変えることにより調整できる。また、粘性材と共に不純物が低減された気体(例えば、乾燥された窒素やアルゴンガスなどの不活性ガス)を封入する場合は、粘性材の量と共に第1の基板301と、第2の基板302を貼り合わせる環境を満たす気体の組成および圧力を調整すればよい。
【0207】
例えば減圧環境下で、第1の基板301と、第2の基板302と、枠体332で囲まれる空間と同じ体積の粘性材を滴下すれば、当該空間を粘性材層320で満たすことができる。一方、粘性材の滴下量を減らせば、当該空間に粘性材層320と共に減圧された空間を設けることができる。
【0208】
また、不純物が低減された気体中で、第1の基板301と、枠体332で囲まれる領域に、第1の基板301と、第2の基板302と、枠体332で囲まれる空間より少ない体積の粘性材を滴下すれば、当該空間に粘性材層320と共に不純物が低減された気体を封入することができる。
【0209】
粘性材料で満たされず、減圧された空間または減圧された気体が封じ込められた空間が、発光装置の発熱に伴う粘性材層の体積変化を吸収または体積変化に伴う圧力を緩和するため、発光装置の封止構造(例えば、シール材の接着構造)が粘性材層の熱膨張により破壊される現象を防ぐことができる。
【0210】
第1の基板301と第2の基板302を貼り合わせる方法は、シール材331に用いる材料に合わせた方法を選択すればよい。例えば、硬化性の樹脂(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)を用いる場合、紫外線硬化型であれば紫外線を、熱硬化型であれば熱を与えてシール材331を硬化する。また、例えばガラスフリットを用いる場合は、レーザを用いてガラスフリットが吸収する波長の光を照射して、第1の基板301と第2の基板302をシール材331で融着すればよい。
【0211】
なお、第1の基板301の画素部に白色を呈する光を発する画素を形成し、第2の基板302にそれぞれの画素に対応するカラーフィルタを形成すると、多色の発光装置を形成できる。
【0212】
<変形例>
また、本実施の形態で例示する発光装置の作製方法の変形例として、第1の基板に画素部を囲う枠体と画素部を形成する第1のステップと、第2の基板に枠体を囲うシール材を形成する第2のステップと、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下する第3のステップと、シール材を用いて、第1の基板と第2の基板を貼り合わせ、トランジスタと、発光素子と、枠体と、非固体と、を内側に封じ込める第4のステップと、を有する発光装置の作製方法について説明する。
【0213】
この作製方法によれば、画素部と枠体を第1の基板に形成する。その結果、同一の加工方法(例えば、フォトリソグラフィ法)を用いて、連続してこれらを形成できるため、作製工程が簡便なものとなる。
【0214】
上記本発明の一態様の発光装置の作製方法は、枠体で囲まれた領域に不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下するステップに続いて、第1の基板と第2の基板をシール材で貼り合わせて、発光素子と、枠体と、非固体と、を内側に封じ込める方法である。
【0215】
これにより、面積が大きい第1の基板と第2の基板の間に、非固体の粘性材層を効率よく形成できる。
【0216】
有機EL素子を有する信頼性の高い発光装置を作製できる。また、発光不良が生じ難い発光装置を作製できる。
【0217】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0218】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールまたは発光装置に用いることができる発光素子の構成について説明する。具体的には、一対の電極に発光性の有機化合物を含む層が挟持された発光素子の一例について、図7を参照して説明する。
【0219】
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層(以下EL層という)を備える。第1の電極または第2の電極のいずれか一方は陽極、他方は陰極として機能する。EL層は第1の電極と第2の電極の間に設けられ、該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材質に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成がこれに限定されないことはいうまでもない。
【0220】
<発光素子の構成例1.>
発光素子の構成の一例を図7(A)に示す。図7(A)に示す発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層が挟まれている。
【0221】
陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極1101の側から正孔が注入され、陰極1102の側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0222】
本明細書においては、両端から注入された電子と正孔が再結合する領域を1つ有する層または積層体を発光ユニットという。よって、当該発光素子の構成例1は発光ユニットを1つ備えるということができる。
【0223】
発光ユニット1103は、少なくとも発光物質を含む発光層を1つ以上備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
【0224】
発光ユニット1103の具体的な構成の一例を図7(B)に示す。図7(B)に示す発光ユニット1103は、正孔注入層1113、正孔輸送層1114、発光層1115、電子輸送層1116、並びに電子注入層1117が陽極1101側からこの順に積層されている。
【0225】
<発光素子の構成例2.>
発光素子の構成の他の一例を図7(C)に示す。図7(C)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間に発光ユニット1103を含むEL層が挟まれている。さらに、陰極1102と発光ユニット1103との間には中間層1104が設けられている。なお、当該発光素子の構成例2の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1が備える発光ユニットと同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例1の記載を参酌できる。
【0226】
中間層1104は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域1104c、電子リレー層1104b、及び電子注入バッファー1104aが陰極1102側から順次積層された構造を適用することができる。
【0227】
中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域1104cにおいて、正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102へ移動し、電子は電子リレー層1104bへ移動する。電子リレー層1104bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域1104cで生じた電子を電子注入バッファー1104aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー1104aは発光ユニット1103に電子を注入する障壁を緩和し、発光ユニット1103への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域1104cで発生した電子は、電子リレー層1104bと電子注入バッファー1104aを経て、発光ユニット1103のLUMO準位に注入される。
【0228】
また、電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cを構成する物質と電子注入バッファー1104aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
【0229】
当該発光素子の構成例2の陰極に用いることができる材料の選択の幅は、構成例1の陰極に用いることができる材料の選択の幅に比べて、広い。なぜなら、構成例2の陰極は中間層が発生する正孔を受け取ればよく、仕事関数が比較的大きな材料を適用できるからである。
【0230】
<発光素子の構成例3.>
発光素子の構成の他の一例を図7(D)に示す。図7(D)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間に2つの発光ユニットが設けられたEL層を備えている。さらに、第1の発光ユニット1103aと、第2の発光ユニット1103bとの間には中間層1104が設けられている。
【0231】
なお、陽極と陰極の間に設ける発光ユニットの数は2つに限定されない。図7(E)に例示する発光素子は、発光ユニット1103が複数積層された構造、所謂、タンデム型の発光素子の構成を備える。但し、例えば陽極と陰極の間にn(nは2以上の自然数)層の発光ユニット1103を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目の発光ユニットと、(m+1)番目の発光ユニットとの間に、それぞれ中間層1104を設ける構成とする。
【0232】
また、当該発光素子の構成例3の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層1104には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細については、発光素子の構成例1、または発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
【0233】
発光ユニットの間に設けられた中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層1104において正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102側に設けられた発光ユニットへ移動し、電子は陽極側に設けられた発光ユニットへ移動する。陰極側に設けられた発光ユニットに注入された正孔は、陰極側から注入された電子と再結合し、当該発光ユニットに含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられた発光ユニットに注入された電子は、陽極側から注入された正孔と再結合し、当該発光ユニットに含まれる発光物質が発光する。よって、中間層1104において発生した正孔と電子は、それぞれ異なる発光ユニットにおいて発光に至る。
【0234】
なお、発光ユニット同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、発光ユニット同士を接して設けることができる。具体的には、発光ユニットの一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発生領域として機能するため、発光ユニット同士を接して設けることができる。
【0235】
発光素子の構成例1乃至構成例3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、発光素子の構成例3の陰極と発光ユニットの間に中間層を設けることもできる。
【0236】
<発光素子に用いることができる材料>
次に、上述した構成を備える発光素子に用いることができる具体的な材料について、陽極、陰極、並びにEL層の順に説明する。
【0237】
<陽極に用いることができる材料>
陽極1101は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上が好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。
【0238】
これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、インジウム−亜鉛酸化物膜は、酸化インジウムに対し1wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5wt%以上5wt%以下、酸化亜鉛を0.1wt%以上1wt%以下含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
【0239】
この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン等)、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の導電性ポリマーを用いても良い。
【0240】
但し、陽極1101と接して第2の電荷発生領域を設ける場合には、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができる。具体的には、仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。第2の電荷発生領域を構成する材料については、第1の電荷発生領域と共に後述する。
【0241】
<陰極に用いることができる材料>
陰極1102に接して第1の電荷発生領域1104cを、発光ユニット1103との間に設ける場合、陰極1102は仕事関数の大小に関わらず様々な導電性材料を用いることができる。
【0242】
なお、陰極1102および陽極1101のうち少なくとも一方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成する。可視光を透過する導電膜としては、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(略称:ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などを挙げることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、5nm以上30nm以下程度)の金属薄膜を用いることもできる。
【0243】
<EL層に用いることができる材料>
上述した発光ユニット1103を構成する各層に用いることができる材料について、以下に具体例を示す。
【0244】
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
【0245】
なお、第2の電荷発生領域を用いて正孔注入層を形成してもよい。正孔注入層に第2の電荷発生領域を用いると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができるのは前述の通りである。第2の電荷発生領域を構成する材料については第1の電荷発生領域と共に後述する。
【0246】
<正孔輸送層>
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層は、単層に限られず正孔輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子よりも正孔の輸送性の高い物質であればよく、特に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0247】
正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。または、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)などのカルバゾール誘導体が挙げられる。
【0248】
これ以外にも、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)などの高分子化合物を正孔輸送層に用いることができる。
【0249】
<発光層>
発光層は、発光物質を含む層である。発光層は、単層に限られず発光物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。発光物質は蛍光性化合物や、燐光性化合物を用いることができる。発光物質に燐光性化合物を用いると、発光素子の発光効率を高められるため好ましい。
【0250】
発光物質として用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)などが挙げられる。
【0251】
発光物質として用いることができる燐光性化合物としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)などが挙げられる。
【0252】
発光物質は、ホスト材料に分散させて用いるのが好ましい。ホスト材料としては、その励起エネルギーが、発光物質の励起エネルギーよりも大きなものが好ましい。
【0253】
ホスト材料として用いることができる材料としては、NPB(略称)などの芳香族アミン化合物、CzPCA1(略称)などのカルバゾール誘導体を用いることができる。または、PVK(略称)、PVTPA(略称)、PTPDMA(略称)、Poly−TPD(略称)などの高分子化合物を含む正孔輸送性の高い物質を用いることができる。または、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体を用いることができる。または、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))などのオキサゾール系やチアゾール系配位子を有する金属錯体を用いることができる。または、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)などの電子輸送性の高い物質を用いることができる。
【0254】
<電子輸送層>
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層は、単層に限られず電子輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。正孔よりも電子の輸送性の高い物質であればよく、特に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0255】
電子輸送性の高い物質としては、例えばAlq(略称)などのキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。または、Zn(BOX)(略称)、Zn(BTZ)(略称)などのオキサゾール系や、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。または、PBD(略称)などが挙げられる。
【0256】
これ以外にも、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、などの高分子化合物を電子輸送層に用いることができる。
【0257】
<電子注入層>
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層は、単層に限られず電子注入性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子注入層を設ける構成とすることで陰極1102からの電子の注入効率が高まり、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0258】
電子注入性の高い物質としては、例えばリチウム(Li)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属またはこれらの化合物が挙げられる。また電子輸送性を有する物質中にアルカリ金属、アルカリ土類金属若しくはマグネシウム(Mg)又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることもできる。
【0259】
<電荷発生領域に用いることができる材料>
第1の電荷発生領域1104c、及び第2の電荷発生領域は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域である。なお、電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。但し、第1の電荷発生領域を陰極側に設ける積層構造の場合には、電子輸送性の高い物質を含む層が陰極1102と接する構造となり、第2の電荷発生領域を陽極側に設ける積層構造の場合には、アクセプター性物質を含む層が陽極1101と接する構造となる。
【0260】
なお、電荷発生領域において、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で、0.1以上4.0以下の比率でアクセプター性物質を添加することが好ましい。
【0261】
電荷発生領域に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。なお、酸化モリブデンは、吸湿性が低いという特徴を有している。
【0262】
また、電荷発生領域に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0263】
<電子リレー層に用いることができる材料>
電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cにおいてアクセプター性物質がひき抜いた電子を速やかに受け取ることができる層である。従って、電子リレー層1104bは、電子輸送性の高い物質を含む層であり、またそのLUMO準位は、第1の電荷発生領域1104cにおけるアクセプター性物質のアクセプター準位と、当該電子リレー層が接する発光ユニット1103のLUMO準位との間に位置する。具体的には、およそ−5.0eV以上−3.0eV以下とするのが好ましい。
【0264】
電子リレー層1104bに用いる物質としては、例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定な化合物であるため電子リレー層1104bに用いる物質として好ましい。さらに、含窒素縮合芳香族化合物のうち、シアノ基やフルオロ基などの電子吸引基を有する化合物を用いることにより、電子リレー層1104bにおける電子の受け取りがさらに容易になるため、好ましい。
【0265】
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)等が挙げられる。
【0266】
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)等が挙げられる。
【0267】
<電子注入バッファーに用いることができる材料>
電子注入バッファー1104aは、第1の電荷発生領域1104cから発光ユニット1103への電子の注入を容易にする層である。電子注入バッファー1104aを第1の電荷発生領域1104cと発光ユニット1103の間に設けることにより、両者の注入障壁を緩和することができる。
【0268】
電子注入バッファー1104aには、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0269】
また、電子注入バッファー1104aが、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した発光ユニット1103の一部に形成することができる電子輸送層の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0270】
<発光素子の作製方法>
発光素子の作製方法の一態様について説明する。第1の電極上にこれらの層を適宜組み合わせてEL層を形成する。EL層は、それに用いる材料に応じて種々の方法(例えば、乾式法や湿式法等)を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法などを選んで用いればよい。また、各層で異なる方法を用いて形成してもよい。EL層上に第2の電極を形成し、発光素子を作製する。
【0271】
以上のような材料を組み合わせることにより、本実施の形態に示す発光素子を作製することができる。この発光素子からは、上述した発光物質からの発光が得られ、その発光色は発光物質の種類を変えることにより選択できる。
【0272】
また、発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、発光スペクトルの幅を拡げて、例えば白色発光を得ることもできる。白色発光を得る場合には、例えば、発光物質を含む層を少なくとも2つ備える構成とし、それぞれの層を互いに補色の関係にある色を呈する光を発するように構成すればよい。具体的な補色の関係としては、例えば青色と黄色、あるいは青緑色と赤色等が挙げられる。
【0273】
さらに、演色性の良い白色発光を得る場合には、発光スペクトルが可視光全域に拡がるものが好ましく、例えば、一つの発光素子が、青色を呈する光を発する層、緑色を呈する光を発する層、赤色を呈する光を発する層を備える構成とすればよい。
【0274】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0275】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に用いることができるトランジスタの構成について説明する。なお、本実施の形態で例示するトランジスタの作製方法は実施の形態8で説明する。
【0276】
本実施の形態で例示するトランジスタの構成を、図8(D)を用いて説明する。図8(D)はトランジスタの断面を表している。
【0277】
本実施の形態で例示するトランジスタ710は、基板701上に下地となる絶縁層704と、ゲート電極711と、ゲート絶縁層712と、酸化物半導体層713と、ソース電極またはドレイン電極として機能する電極751と電極752と、トランジスタを保護する絶縁層705と、を有する。
【0278】
<下地となる絶縁層の構成>
下地となる絶縁層704はトランジスタ710の下地となる。
【0279】
下地となる絶縁層704は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムなどから選ばれた一または複数の材料を含む層の単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。
【0280】
<ゲート電極>
ゲート電極711はゲート絶縁層712を介して酸化物半導体層713と重なり、トランジスタ710のゲート電極として機能する。
【0281】
ゲート電極711は導電材料を含む層の単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。
【0282】
導電材料は導電性を有し熱処理工程に耐えられる材料であればよく、例えばモリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等から選ばれた一の金属、またはこれらから選ばれた一を含む合金を用いることができる。
【0283】
また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン層に代表される半導体層、ニッケルシリサイドなどのシリサイド層を用いてもよい。
【0284】
<ゲート絶縁層>
【0285】
ゲート絶縁層712は酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化タンタルなどを用いることができる。
【0286】
ゲート絶縁層712は高誘電率(high−k)材料を用いることもできる。高誘電率材料としては、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、ハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、ハフニウムアルミネート(HfAl(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl(x>0、y>0、z>0))などをその例として挙げられる。
【0287】
ゲート絶縁層712は単層構造であっても、積層構造であっても良い。例えば、high−k材料を含む層と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウムなどから選ばれた材料を含む層との積層構造としてもよい。
【0288】
ゲート絶縁層712はその厚さを薄くするか、上述したhigh−k材料をその材料に用いると、動作特性を損なうことなくトランジスタを微細化できる。
【0289】
例えば、酸化シリコンを用いる場合には、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。
【0290】
一方、high−k材料を用いる場合には、その厚さをトンネル効果などに起因するゲートリークが発生する程度に薄くすることなく、トランジスタを微細化できる。
【0291】
なお、ゲート絶縁層712に第13族元素および酸素を含む絶縁材料を適用できる。なお、第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一または複数の第13族元素を含むことを意味する。
【0292】
例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどが、第13族元素および酸素を含む絶縁材料の一例として挙げられる。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
【0293】
<酸化物半導体層>
チャネルが形成される酸化物半導体層713は、ゲート絶縁層712を介してゲート電極711と重なり、ゲート電極711を挟んで設けられた電極751と電極752と、電気的に接続されている。なお、電極751と電極752は、ソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0294】
チャネルが形成される酸化物半導体層713の厚さは、2nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とする。
【0295】
なお、酸化物半導体層713は島状に加工されていなくてもよい。
【0296】
酸化物半導体層713は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者である場合、アモルファスを含んでいても、結晶性を有する部分を含んでいても、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でもよい。また、アモルファスでも、多結晶でも、非アモルファスでもよい。
【0297】
結晶性を有する酸化物半導体層の一例としては、c軸配向結晶(CAAC:c−axis aligned crystals)を有する酸化物半導体層が挙げられる。
【0298】
酸化物半導体層713は、その化学量論比に対し、酸素を過剰に含む構成が好ましい。酸素を過剰にすることにより金属酸化物層の酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができる。
【0299】
酸化物半導体層713は、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。
【0300】
また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0301】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0302】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0303】
ここで、例えばIn−Ga−Zn−O系の材料とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物、という意味であり、その組成は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。例えば、SiOが入っていても良い。
【0304】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0305】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0306】
<ソース電極およびドレイン電極>
【0307】
電極751と電極752は、いずれも酸化物半導体層713と電気的に接続し、当該トランジスタのソース電極およびドレイン電極として機能する。
【0308】
ソース電極またはドレイン電極として機能する電極は導電材料を含む層の単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。
【0309】
導電材料は熱処理工程に耐えられる材料であればよく、例えばアルミニウム、クロム、銅、チタン、タンタル、モリブデンおよびタングステンから選ばれた一の金属、またはこれらから選ばれた一を含む合金を用いることができる。また、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジムおよびスカンジウムから選ばれた一の金属、またはこれらから選ばれた一を含む合金を用いることもできる。
【0310】
また、導電材料は金属窒化物を用いることができる。具体的には、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タングステン等をその例に挙げることができる。
【0311】
また、導電材料は導電性の金属酸化物を用いることができる。具体的には、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITOともいう)(酸化インジウム酸化スズ)、インジウム亜鉛酸化物(インジウム−亜鉛酸化物)、酸化亜鉛、ガリウムまたはアルミニウムが添加された酸化亜鉛、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0312】
また、導電材料はグラフェンなどを用いることができる。
【0313】
例えば、チタンや窒化チタンからなる単層構造、シリコンを含むアルミニウムの単層構造、アルミニウム層上にチタン層が積層された2層構造、窒化チタン層上にチタン層が積層された2層構造、チタン層とアルミニウム層とチタン層とが積層された3層構造などが挙げられる。
【0314】
なお、トランジスタのチャネル長(L)は酸化物半導体層に接するソース電極の端部と酸化物半導体層に接するドレイン電極の端部の間隔によって決定される。
【0315】
<トランジスタを保護する絶縁層>
トランジスタを保護する絶縁層705は水分等の不純物が外部から侵入する現象を防いで、トランジスタを保護する層である。
【0316】
絶縁層705の厚みは、少なくとも1nm以上とする。
【0317】
絶縁層705はバリア性を有する絶縁体を含む層の単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。
【0318】
特に、酸化アルミニウムを含む構成が好ましく、酸化アルミニウム層と、他の無機絶縁材料を含む層との積層構造としてもよい。酸化アルミニウムは、水分、酸素、その他の不純物を透過させにくいからである。
【0319】
また、絶縁層705は酸素過剰領域を有する酸化物絶縁層と、酸化アルミニウム層の積層体であって、酸化物半導体層側に酸素過剰領域を有する酸化物絶縁層を設ける構成としてもよい。
【0320】
酸素過剰領域を有する酸化物絶縁層は、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
【0321】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0322】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7で説明した酸化物半導体層をチャネル形成領域に備えるトランジスタ710の作製方法について、図8を用いて説明する。
【0323】
<下地となる絶縁層の形成>
はじめに、トランジスタ710の下地となる絶縁層704を形成する。下地となる絶縁層704は、基板701上にプラズマCVD法又はスパッタリング法等により形成する。
【0324】
基板701は下地となる絶縁層を形成する工程以後の工程において、処理に耐えうる程度の耐熱性を有すれば良く、その大きさには制限はない。
【0325】
基板701はあらかじめ他の半導体素子が設けられていてもよい。
【0326】
基板701として、例えば、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することもできる。
【0327】
基板701として、可撓性を有する基板を用いてもよい。可撓性基板上にトランジスタを直接作製してもよいし、他の作製基板上にトランジスタを作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置する場合は、作製基板と酸化物半導体層を含むトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。
【0328】
<ゲート電極の形成>
次に、ゲート電極となる導電層はスパッタリング法等を用いて成膜する。
【0329】
続いて、フォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、ゲート電極となる導電層をエッチングしてゲート電極711を形成する。
【0330】
<ゲート絶縁層>
次に、ゲート絶縁層712をゲート電極上に形成する。ゲート電極上の絶縁層となる絶縁層は、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて成膜する(図8(A)参照)。
【0331】
<酸化物半導体層の形成>
次に、チャネルが形成される酸化物半導体層713をゲート絶縁層712上に形成する。
【0332】
酸化物半導体層は、スパッタリング法、分子線エピタキシー法、原子層堆積法またはパルスレーザー蒸着法により成膜できる。
【0333】
例えば、酸化物半導体としてIn−Ga−Zn−O系の材料を用いる場合、ターゲットを用いて作製することができる。ターゲットの材料及びその組成は様々なものを用いることが可能であり、例えば、InとGaとZnOを1:1:1[mol数比](=In:Ga:ZnO)の割合で含む酸化物ターゲットを用いることができる。また、例えば、InとGaとZnOを1:1:2[mol数比](=In:Ga:ZnO)の割合で含む酸化物ターゲットを用いることもできる。
【0334】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0335】
また、例えば、酸化物半導体としてIn−Sn−Zn−O系の材料を用いる場合、ターゲットを用いて作製することができる。ターゲットの組成は、様々なモノを用いることが可能であり、例えば、InとSnとZnを原子数比で1:2:2(=In:Sn:Zn)の割合で含む酸化物ターゲットを用いることができる。また、例えば、InとSnとZnを原子数比で2:1:3(=In:Sn:Zn)の割合で含む酸化物ターゲットを用いることができる。また、例えば、InとSnとZnを原子数比で1:1:1(=In:Sn:Zn)の割合で含む酸化物ターゲットを用いることができる。また、例えば、InとSnとZnを原子数比で20:45:35(=In:Sn:Zn)の割合で含む酸化物ターゲットを用いることができる。
【0336】
なお、ターゲットの相対密度は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。相対密度の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体層は緻密な膜とすることができる。
【0337】
続いて、フォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、酸化物半導体層を選択的にエッチングして島状に形成する(図8(B)参照)。
【0338】
<ソース電極またはドレイン電極として機能する電極の形成>
次に、ソース電極またはドレイン電極として機能する電極751、電極752を形成する。
【0339】
ソース電極またはドレイン電極となる導電材料を含む層は、スパッタリング法などを用いて成膜する。
【0340】
次に、フォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、導電材料を含む層を選択的にエッチングして電極751、電極752を形成する(図8(C)参照)。なお、同じ導電材料を含む層からなる配線等(図示せず)も同一の工程で形成する。
【0341】
<トランジスタを保護する絶縁層の形成>
次に、トランジスタを保護する絶縁層705を形成する。
【0342】
トランジスタを保護する絶縁層は、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて成膜する。
【0343】
以上の工程により、チャネルが形成される領域に酸化物半導体材料を用いたトランジスタ710を作製できる。
【0344】
なお、本実施の形態において用いるレジストマスクは、フォトリソグラフィ工程により形成されるものに限られない。フォトリソグラフィ法の他に、インクジェット法、印刷法等を適宜用いて形成できる。フォトマスクを使用することなくレジストマスクを形成すると、発光装置の製造コストを低減することができる。
【0345】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0346】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様のパッシブマトリクス型の発光装置について説明する。具体的には、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成された複数の発光素子と粘性材層を、複数の発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は周囲を枠体で囲われて、発光素子に接して第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含むものである。
【0347】
<パッシブマトリクス型の発光装置>
パッシブマトリクス型の発光装置に発光素子と粘性材層を、当該発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を適用した場合の構成を図9に示す。なお、図9(A)は、発光装置の上面図。図9(B)は図9(A)に示す発光装置の第1の基板に設けられた画素部の詳細を示す斜視図、図9(C)は図9(A)をX−Yで切断した断面図である。
【0348】
パッシブマトリクス型の発光装置2500は、第1の基板2501と第2の基板2520の間に、画素部2402と、粘性材層2507と、画素部2402を囲む枠体2406と、をシール材2405で封じ込める構成を有する(図9(A)、図9(B)参照)。
【0349】
画素部2402は第1の基板2501上に設けられた第1の電極2502と、第1の電極2502と交差する第2の電極2503との間に、発光性の有機化合物を含む層2504が挟持された発光素子が、マトリクス状に設けられている。発光素子の構成としては、例えば実施の形態6で例示した発光素子の構成を適用できる。なお、第1の電極2502の端部は絶縁層2505に覆われており、絶縁層2505上には隔壁層2506が設けられている。
【0350】
隔壁層2506の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなるような傾斜を有する。つまり、隔壁層2506の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層2505の面方向と同様の方向を向き、絶縁層2505と接する辺)の方が上辺(絶縁層2505の面方向と同様の方向を向き、絶縁層2505と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層2506を設けることで、第2の電極2503をストライプ状に分断し、クロストーク等に起因した発光装置の動作不良を防ぐことができる。
【0351】
また、本実施の形態で例示する発光装置が備える発光素子は白色を呈する光を発し、第2の基板2520には、赤色を呈する光を透過するカラーフィルタ2140Rと、緑色を呈する光を透過するカラーフィルタ2140Gと、青色を呈する光を透過するカラーフィルタ2140Bと、が設けられている。それぞれのカラーフィルタと発光素子が互いに重なるように、シール材2405を用いて第1の基板2501と、第2の基板2520が張り合わされている。
【0352】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0353】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。具体的には、第1の基板と第1の基板と対向する第2の基板の間に、第1の基板上に形成された発光素子と粘性材層を、発光素子を囲むシール材で封じ込める構成を有する。そして、当該粘性材層は周囲を枠体で囲われて、発光素子に接して第1の基板と第2の基板との間に設けられ、且つ不純物(代表的には水および/または酸素)と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含む発光モジュールを有する発光パネルを搭載した電子機器について図10を用いて説明する。
【0354】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図10に示す。
【0355】
図10(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0356】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0357】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0358】
図10(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
【0359】
図10(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図10(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、または一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図10(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図10(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0360】
図10(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0361】
図10(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0362】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0363】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0364】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0365】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、または筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0366】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0367】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0368】
図10(E)は、折りたたみ式のコンピュータの一例を示している。折りたたみ式のコンピュータ7450は、ヒンジ7454で接続された筐体7451Lと筐体7451Rを備えている。また、操作ボタン7453、左側スピーカ7455Lおよび右側スピーカ7455Rの他、コンピュータ7450の側面には図示されていない外部接続ポート7456を備える。なお、筐体7451Lに設けられた表示部7452Lと、筐体7451Rに設けられた表示部7452Rが互いに対峙するようにヒンジ7454を軸として折り畳むと、表示部を筐体で保護することができる。
【0369】
表示部7452Lと表示部7452Rは、画像を表示する他、指などで触れると情報を入力できる。例えば、インストール済みのプログラムを示すアイコンを指でふれて選択し、プログラムを起動できる。または、表示された画像の二箇所に触れた指の間隔を変えて、画像を拡大または縮小できる。または、表示された画像の一箇所に触れた指を移動して画像を移動できる。また、キーボードの画像を表示して、表示された文字や記号を指で触れて選択し、情報を入力することもできる。
【0370】
また、コンピュータ7450に、ジャイロ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)受信機、指紋センサ、ビデオカメラを搭載することもできる。例えば、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、コンピュータ7450の向き(縦か横か)を判断して、表示する画面の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。
【0371】
また、コンピュータ7450はネットワークに接続できる。コンピュータ7450はインターネット上の情報を表示できる他、ネットワークに接続された他の電子機器を遠隔から操作する端末として用いることができる。
【0372】
図10(F)は、照明装置の一例を示している。照明装置7500は、筐体7501に光源として本発明の一態様の発光装置7503a〜7503dが組み込まれている。照明装置7500は、天井や壁等に取り付けることが可能である。
【0373】
また、本発明の一態様の発光装置は、発光パネルが薄膜状であるため、曲面を有する基体に貼り付けることで、曲面を有する発光装置とすることができる。また、その発光装置を、曲面を有する筐体に配置することで、曲面を有する電子機器または照明装置を実現することができる。
【0374】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0375】
100 発光モジュール
101 第1の基板
102 第2の基板
103 端子
104 端子
110 発光素子
111 第1の電極
112 第2の電極
114 隔壁
120 粘性材層
131 シール材
132 枠体
200a 発光モジュール
200b 発光モジュール
200c 発光モジュール
201 第1の基板
202 第2の基板
210 発光素子
220 粘性材層
231 シール材
232 枠体
241 第1の空間
242 第2の空間
242b 一部
245 狭窄部
246 活性化材層
301 第1の基板
302 第2の基板
310 画素部
315 駆動回路
320 粘性材層
331 シール材
332 枠体
701 基板
704 絶縁層
705 絶縁層
710 トランジスタ
711 ゲート電極
712 ゲート絶縁層
713 酸化物半導体層
751 電極
752 電極
1101 陽極
1102 陰極
1103 発光ユニット
1103a 発光ユニット
1103b 発光ユニット
1104 中間層
1104a 電子注入バッファー
1104b 電子リレー層
1104c 電荷発生領域
1113 正孔注入層
1114 正孔輸送層
1115 発光層
1116 電子輸送層
1117 電子注入層
1400 発光装置
1401 ソース側駆動回路
1402 画素部
1403 ゲート側駆動回路
1404 第2の基板
1405 シール材
1405b シール材
1406 枠体
1407 粘性材層
1408 配線
1410 第1の基板
1411 トランジスタ
1412 トランジスタ
1412b 電流制御用トランジスタ
1413 第1の電極
1414 隔壁
1417 第2の電極
1418 発光素子
1423 nチャネル型トランジスタ
1423b nチャネル型トランジスタ
1424 pチャネル型トランジスタ
1433 スペーサ
1434 カラーフィルタ
1435 膜
2140B カラーフィルタ
2140G カラーフィルタ
2140R カラーフィルタ
2400 発光装置
2401 ソース側駆動回路
2402 画素部
2403 ゲート側駆動回路
2404 第2の基板
2405 シール材
2406 枠体
2406a 狭窄部
2407 粘性材層
2408 配線
2410 第1の基板
2418 発光素子
2423 nチャネル型トランジスタ
2424 pチャネル型トランジスタ
2441 第1の空間
2442 第2の空間
2442a 一部
2500 発光装置
2501 第1の基板
2502 第1の電極
2503 第2の電極
2505 絶縁層
2506 隔壁層
2507 粘性材層
2520 第2の基板
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7450 コンピュータ
7451L 筐体
7451R 筐体
7452L 表示部
7452R 表示部
7453 操作ボタン
7454 ヒンジ
7455L スピーカ
7455R スピーカ
7456 外部接続ポート
7500 照明装置
7501 筐体
7503a〜7503d 発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板と対向する第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせるシール材と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に発光素子、粘性材層および枠体と、を有し、
前記発光素子は、前記第1の基板上に設けられた第1の電極と、前記第1の電極と重なる第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層と、を備え、
前記粘性材層は、前記発光素子に接して前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含み、
前記枠体は、前記発光素子と前記粘性材層を囲み、
前記シール材は、前記発光素子と、前記粘性材層と、前記枠体と、を内側に封じ込めるように設けられている発光モジュール。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1の基板と対向する第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせるシール材と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に発光素子、粘性材層および枠体と、を有し、
前記発光素子は、前記第1の基板上に設けられた第1の電極と、前記第1の電極と重なる第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層と、を備え、
前記粘性材層は、前記発光素子に接して前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含み、
前記枠体は、前記発光素子、前記粘性材層、第1の空間および第2の空間を囲み、
前記第1の空間は前記発光素子と重なり、
前記第2の空間は狭窄部を介して前記第1の空間と接続し、且つ少なくとも一部に前記粘性材層で満たされていない空間を備え、
前記シール材は、前記発光素子と、前記粘性材層と、前記枠体と、を内側に封じ込めるように設けられている発光モジュール。
【請求項3】
前記第2の電極、前記粘性材層および前記第2の基板が、前記発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する、請求項1または請求項2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記粘性材層に含まれる乾燥剤の中心粒径が、10nm以上400nm以下である、請求項3に記載の発光モジュール。
【請求項5】
活性化材層を第1の基板と第2の基板の間であって、発光素子と枠体の間に重なるように備え、
前記活性化材層は、前記粘性材層に含まれる乾燥剤を活性化する材料を含む、請求項3に記載の発光モジュール。
【請求項6】
第1の基板と、
前記第1の基板と対向する第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせるシール材と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間にトランジスタ、発光素子、粘性材層および枠体と、を有し、
前記トランジスタは、前記第1の基板上に設けられ、
前記発光素子は、前記第1の基板上に前記トランジスタを介して電力が供給される第1の電極と、前記第1の電極と重なる第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層と、を備え、
前記粘性材層は、前記発光素子に接して前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、且つ不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤と、粘性を有する非固体と、を含み、
前記枠体は、前記トランジスタと、前記発光素子と、前記粘性材層と、を囲み、
前記シール材は、前記発光素子と、前記粘性材層と、前記枠体と、を内側に封じ込めるように設けられている発光装置。
【請求項7】
前記トランジスタは、ゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層の一方の側に接するゲート電極と、前記ゲート絶縁層の他方の側に接し、且つ前記ゲート電極と重畳する酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層にそれぞれ電気的に接続し、且つ前記ゲート電極と重なる間隙が設けられたソース電極とドレイン電極を備え、
前記発光素子の第1の電極は前記ソース電極または前記ドレイン電極のいずれか一方と電気的に接続される、請求項6記載の発光装置。
【請求項8】
第1の基板に、発光素子を形成する第1のステップと、
第2の基板に、前記発光素子を囲う枠体と前記枠体を囲うシール材を形成する第2のステップと、
前記枠体で囲まれた領域に、不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含み、且つ粘性を有する非固体を滴下する第3のステップと、
前記シール材を用いて、前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせ、前記発光素子、前記非固体および前記枠体を内側に封じ込める第4のステップと、を有する発光モジュールの作製方法。
【請求項9】
第1の基板に、トランジスタと発光素子を形成する第1のステップと、
前記第2の基板に、前記トランジスタと前記発光素子を囲う枠体と前記枠体を囲うシール材を形成する第2のステップと、
前記枠体で囲まれた領域に、不純物と反応或いは不純物を吸着する乾燥剤を含む粘性を有する非固体を滴下する第3のステップと、
前記シール材を用いて、前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせ、前記トランジスタ、前記発光素子、前記非固体および前記枠体を内側に封じ込める第4のステップと、を有する発光装置の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−65549(P2013−65549A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185142(P2012−185142)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】